想い出バンク・システムは,金融機関(銀行,信用組合,郵便局等)に入金(振込)するときに,入金に関する情報に関連付けてメッセージ(伝言,メモ)を表すテキスト・データ,画像データ(静止画および動画を含む。),音声データを預入れる(登録する)ことができるシステムである。入金が行われると,入金先口座に関連付けられて,入金額,入金日,入金依頼人の氏名など(入金記録)が記憶装置に記憶される。入金されるとともにメッセージを表すテキスト・データ等の預入れが行われた場合には,そのメッセージも記憶装置に記憶される。記憶装置に記憶されたメッセージは,任意のときに読出して再生することができる。再生されるメッセージは典型的には入金時に作成され,かつ入金者(入金依頼人)から受取人に向けて発信されるものであるから,たとえば,いつ,誰から,どのような趣旨のもとで入金が行われたものであるかを,メッセージを再生することで後日(たとえば,数年後,数十年後)確認することができる。預入れられるメッセージは,入金の内容を詳細に想い出すことを手助けする情報であるから,この観点から,入金時に預入れられるメッセージ(メッセージを表すテキスト・データ等)を,以下,「想い出情報」と呼ぶ。
想い出情報の預入れは,上述のように,金融機関に開設された口座に入金する(振込む)ときに行われ,金融機関における預金受入業務または振込(為替)業務に付随する。預金受入(振込)に付随して行われる想い出情報の預入れには,銀行窓口(WM),ATM(Automated Teller Machine),インターネット・バンキング(インターネットに接続されたパーソナル・コンピュータ,携帯電話等),専用端末機などが利用される。預入れられた想い出情報の引出し(再生)にはパーソナル・コンピュータ,ATMなどが利用される。以下,インターネット・バンキング(パーソナル・コンピュータ)を利用した想い出バンク・システム(第1実施例)と,ATMおよび専用端末機を利用した想い出バンク・システム(第2実施例)とに分けて,想い出バンク・システムを詳細に説明する。
[第1実施例]
(想い出バンク・システムの全体構成)
図1は第1実施例の想い出バンク・システムのブロック図である。
第1実施例の想い出バンク・システムは,ネットワーク(インターネットなど)1を通じて通信可能に接続されたWebサーバ2および複数台のクライアント・コンピュータ5と,上記Webサーバ2に専用回線等によって接続されたホスト・コンピュータ3,および想い出情報管理装置4を含む。Webサーバ2,ホスト・コンピュータ3および想い出情報管理装置4は金融機関(銀行)等の管理下にある。クライアント・コンピュータ5はインターネット・バンキングを利用する顧客の管理下にある。Webサーバ2,ホスト・コンピュータ3および想い出情報管理装置4はいずれもコンピュータ・システムによって実現され,いずれもCPU,記憶装置(ハードディスクなど),メモリ,通信装置(ネットワーク・カード)などを含む。クライアント・コンピュータ5は典型的にはパーソナル・コンピュータであり,CPU,記憶装置,メモリ,通信装置,表示装置,入力装置などを含む。
インターネット・バンキングではクライアント・コンピュータ5が顧客の操作端末として用いられる。口座の残高照会,口座の入出金明細の表示,振込,定期預金の申込みなどの複数のサービスがインターネット・バンキングにおいて顧客に提供される。後述するように,顧客の指示に応じてWebサーバ2からクライアント・コンピュータ5に残高照会ページ,口座の入出金明細ページ,振込ページなどを表すhtmlデータが送信され,クライアント・コンピュータ5の表示装置の表示画面上にこれらのページが表示される。
Webサーバ2は,クライアント・コンピュータ5の表示画面上に表示される各種のWebページの提供,クライアント・コンピュータ5から送信される,およびクライアント・コンピュータ5によって受信される各種データの中継等を行う。Webサーバ2に接続された記憶装置11に,クライアント・コンピュータ5に送信される複数種類のhtmlデータおよび会員情報が格納された会員データベースが記憶されている。htmlデータに基づく画面表示および会員データベースの詳細は後述する。
ホスト・コンピュータ3は銀行業務(預金受入業務,振込業務など)を統括するコンピュータである。ホスト・コンピュータ3に接続された記憶装置12には元帳データベースが記憶されている。元帳データベースには口座を開設している顧客のそれぞれについての入出金記録等を含む元帳が記憶されており,ホスト・コンピュータ3は元帳への入出金の記録処理(勘定処理)などを行う。ホスト・コンピュータ3の処理および元帳データベースの詳細は後述する。
想い出情報管理装置4は,預入れられる想い出情報の管理業務処理を行うコンピュータである。想い出情報管理装置4に接続された記憶装置13に記憶されている想い出情報データベースに想い出情報が記憶され,かつ想い出情報データベースから想い出情報が読出される。想い出情報管理装置4の処理および想い出情報の詳細は後述する。
ホスト・コンピュータ3は全銀センター6にも接続されている。全銀センター6には,複数の金融機関のホスト・コンピュータが接続されており,ホスト・コンピュータ3から他の金融機関のホスト・コンピュータへのデータ送信(他行宛の振込など),他の金融機関のホスト・コンピュータから送信されるデータのデータ受信等が,全銀センター6を介して行われる。
(各種データベース)
図2はWebサーバ2の記憶装置11に記憶されているインターネット・バンキング会員データベースに含まれる会員テーブル11aを示している。金融機関に口座を開設している顧客のうち,あらかじめインターネット・バンキングの利用登録を行っている顧客がインターネット・バンキングを利用することができる。会員テーブル11aにはインターネット・バンキングを利用可能な顧客のそれぞれについて,ID(契約者番号),パスワード(暗証),氏名等が格納されている。
図3および図4は,ホスト・コンピュータ3の記憶装置12に記憶されている元帳データベースに含まれる元帳属性テーブル12aおよび元帳勘定系テーブル12bをそれぞれ示している。元帳属性テーブル12aおよび元帳勘定系テーブル12bはいずれも顧客ごとに採番されるCIF(Costomer Information File )番号を含み,CIF番号をキー項目にして互いに関連付けられている。元帳勘定系テーブル12bは顧客ごとに作成される。
元帳属性テーブル12a(図3)にはCIF番号,顧客の氏名,生年月日,住所,現在の所属,メール・アドレス等が格納されている。元帳勘定系テーブル12b(図4)にはCIF番号によって特定される顧客が開設している口座の口座番号,店番号および科目,口座ごとの入出金記録,記帳済みフラグ(通帳記帳済みであるかどうか示すフラグ)等が格納されている。入出金記録は,入出金が行われた年月日,引き出し金額または預け入れ金額,取扱内容(入金依頼人の氏名等),残高等を含む。
図5および図6は想い出情報管理装置4の記憶装置13に記憶されている想い出情報データベースに含まれる想い出情報付勘定系テーブル13aおよび想い出情報テーブル13bをそれぞれ示している。想い出情報付勘定系テーブル13aおよび想い出情報テーブル13bは顧客ごとに作成され,いずれも想い出ナンバ(想い出No. )を含み,想い出ナンバをキー項目にして互いに関連付けられている。もちろん想い出情報付勘定系テーブル13aおよび想い出情報テーブル13bは1つのデータテーブルであってもよい。
上述したように,想い出情報は,口座に入金が行われたときに入金に関する情報に関連付けられて保存される。入金に関する情報(以下,入金情報という)は元帳勘定系テーブル12b(図4)に記憶される入金記録と同一であってもその一部であってもよい。いずれにしても,入金情報は,少なくとも口座番号,日付(入金日,振込日),入金(振込)金額,および入金依頼人情報(代表的には入金依頼人の氏名)を含む。
想い出情報が付随する入金が行われると,想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)にその入金情報を表すデータを格納したレコードが作成される。想い出情報付勘定系テーブル13aに格納されているレコードは,CIF番号,口座番号,入金の年月日,預け入れ金額,取扱内容(ここに入金依頼人情報が入る),残高,年齢,所属,想い出情報確認フラグ,および想い出ナンバを含む。
年齢および所属は,入金が行われた時点(年月日によって特定される)における顧客の年齢および所属機関である。
想い出情報確認フラグは想い出情報(メッセージを表すデータ)の再生の有無を示すフラグであり,想い出情報が未再生である場合にオフ状態が継続し,一回でも再生されるとオンされる(フラグが立てられる)。想い出情報確認フラグによって想い出情報が再生されたかどうか(未再生であるかどうか)が表される。
想い出ナンバは想い出情報(想い出情報が付随する入金記録)ごとに採番されるユニークな符号であり,口座ごとに,想い出情報が付随する入金が行われるたびに採番される。
想い出情報テーブル13b(図6)には,想い出ナンバによって特定される想い出情報を表すデータが格納される。想い出情報を表すデータは,テキスト(文字列),静止画,動画または音声のいずれかのデータ形式とされる。テキスト・データ,静止画データ,動画データまたは音声データが,想い出情報を表す実体的データとして想い出情報テーブル13bに格納される。
想い出情報テーブル13bには,想い出情報ごとに,想い出情報管理装置4の記憶装置13における想い出情報の記憶場所を表すURL(Uniform Resource Locator)が格納されている。後述するように,想い出情報を再生するとき,上記URLが顧客に提示(送信)され,このURLが用いられて特定の想い出情報(テキスト・データ,画像データまたは音声データ)がクライアント・コンピュータ5にダウンロードされる。
(想い出情報の登録処理)
図7,図8および図9は,振込処理および想い出情報の登録処理のときのクライアント・コンピュータ5,Webサーバ2,ホスト・コンピュータ3,および想い出情報管理装置4の処理手順を示すフローチャートである。図10(A)および図10(B)はクライアント・コンピュータ5から送信される振込電文のデータ構造を示すもので,図10(A)は想い出情報の登録がないときの振込電文のデータ構造を,図10(B)は想い出情報が付随するときの振込電文のデータ構造をそれぞれ示している。図11から図19は振込処理のときにクライアント・コンピュータ5の表示画面上に表示される各種ページ(ウインドウ)を示している。
はじめにクライアント・コンピュータ(以下,クライアントという)5においてブラウザが起動され,インターネット・バンキングのログイン・ページのURLが入力される。図11に示すログイン・ページw1が表示画面上に表示される。ログイン・ページw1は契約者番号(ID)入力欄w1a,暗証(パスワード)入力欄w1bおよびログイン・ボタンw1cを含む。インターネット・バンキングを利用可能な顧客にあらかじめ通知されている契約者番号(ID)および暗証符号(パスワード)が,これらの契約者番号入力欄w1aおよび暗証入力欄w1bにそれぞれ入力される(図7,ステップS1)。
ログイン・ボタンw1cがクリックされると,入力された契約者番号および暗証符号がネットワーク1を介してWebサーバ2に送信される。Webサーバ2は,記憶装置11に記憶されている会員テーブル11a(図2)を用いて認証処理を行う。認証が成功するとWebサーバ2はサービス選択ページ・データをクライアント5に送信する(図7,ステップS21,S2)。
図12はサービス選択ページ・データによってクライアント5の表示画面上に表示されるサービス選択ページw2を示している。サービス選択ページw2には,残高・明細照会w2a,定期預金のお預け入れw2b,振込w2c,Web通帳w2d,およびパスワードの変更w2eの5つのサービスメニューが用意されている。想い出登録を行う場合には5つのサービスメニューのうちの振込の文字列(リンク)w2cがクリックされる(図7,ステップS3)。
「振込」の文字列w2cがクリックされると,振込ページ・データがWebサーバ2からクライアント5に送信され,振込用ぺージ(次に説明する依頼人名・出金口座の設定ページw3(図13),振込先の選択ページw4(図14),および振込先,振込金額の設定ページw5(図15))が,クライアント5の表示画面上に表示される(図7,ステップS22,ステップS4)。振込用ページはWebサーバ2とホスト・コンピュータ3との間で複数回のデータの送受信が行われて作成されるが,その処理の詳細の説明は省略する。
はじめに図13に示す依頼人名,出金口座の設定ページw3がクライアント5の表示画面に表示される。設定ページw3は,依頼人名入力欄w3a,電話番号入力欄w3b,引き落とし口座(出金口座)指定欄w3cおよび振込先指定欄w3dを含む。これらの入力欄および指定欄が用いられて,依頼人名(振込人名),出金元口座(振込元口座)および入金先口座(振込先口座)が入力および指定される。入金先口座(振込先口座)が金融機関に登録済みであれば(たとえば,元帳属性テーブル12aに記憶される),図13に示す設定ページw3に代えて図14に示す振込先の選択ページw4が表示される。振込先選択ページw4中の選択ボタンw4aが用いられて入金先口座(振込先口座)を選択することができる。振込先選択ページw4中の「戻る」ボタンw4bは前回表示されていたページ(ここでは図13の設定ページw3)を再び表示画面上に表示させる場合にクリックされる。このことは他のページでも同様である。
入金先口座(振込先口座)が選択されると,次に図15に示す振込先,振込金額の設定ページw5が表示される。設定ページw5に含まれる振込金額入力欄w5aに選択した入金先口座(振込先口座)に入金すべき(振込むべき)金額が入力される(図7,ステップS5)。
振込先,振込金額の設定ページw5にはさらに想い出登録を行うかどうかを選択するためのチェックボックスw5bが含まれている。チェックボックスw5bには想い出登録「する」と,想い出登録「しない」の2つのチェックボックスがある。
想い出登録「しない」がチェックされ,「次へ」ボタンw5cがクリックされると,一般的な振込処理になる。すなわち,出金元口座(振込元口座),入金先口座(振込先口座),振込金額等を確認するためのページ・データがWebサーバ2からクライアント5に送信されて,振込確認ページ(図示略)が表示される(図7,ステップS5,ステップS23でNO,ステップS24,ステップS6)。振込確認ページに含まれる「振込実行」ボタンがクリックされると,図10(A)に示すデータ構造を有する振込電文F1がクライアント5からWebサーバ2を介してホスト・コンピュータ3に送信される(ステップS7,S8)。
図10(A)を参照して,振込電文F1はあらかじめ定められたデータ構造を有しており,ヘッダレコード,データレコード,トレーラーレコードおよびエンドレコードの組から構成される。ヘッダレコードは振込元金融機関番号,振込元金融機関名,振込元口座番号,取引日付等を含む。データレコードは振込先金融機関番号,振込先金融機関名称,振込先科目(普通,当座など),振込先口座番号,受取人名,依頼金額(振込金額)等を含む。トレーラーレコードは,複数の振込がまとめて行われるときの振込電文の件数(レコード件数),振込金額の合計等を含む。エンドレコードは振込データの終端である旨を表すデータ等を含む。
図8を参照して,振込電文を受信したホスト・コンピュータ3は,振込電文にしたがって勘定処理を行う(図8,ステップS31,S32)。勘定処理では振込電文に記載されている出金元口座(振込元口座)から振込金額が出金され,入金先口座(振込先口座)に振込金額が入金される。これらの口座の残高更新も行われる。振込元口座および振込先口座のそれぞれの元帳勘定系テーブル12b(図4)において,入出金記録が追加され,かつ残高が更新される。
入金先口座(振込先口座)が他の金融機関の口座であれば,振込電文はホスト・コンピュータ3から全銀センター6(図1参照)を介して他の金融機関のホスト・コンピュータに送信される。この場合には,ホスト・コンピュータ3は出金元口座(振込元口座)に対して勘定処理を行い,入金先口座(振込先口座)の勘定処理は他の金融機関のホスト・コンピュータが実行する。
図7に戻って,振込先,振込金額の設定ページw5(図15)のチェックボックスw5bにおいて想い出登録「する」がチェックされ,「次へ」ボタンw5cがクリックされた場合,Webサーバ2からクライアント5に想い出情報設定ページ・データが送信される(図7,ステップS5,ステップS23でYES,ステップS25)。
図16は想い出情報設定ページ・データによって表される想い出情報設定ページw6を示している(図7,ステップS9)。
想い出情報設定ページw6は,メッセージ,写真(静止画),動画,音声のいずれのデータ形式のデータを想い出情報として登録するかを指定するためのチェック・ボックスw6a,「次へ」ボタンw6bおよび「戻る」ボタンw6cを含む。この実施例において,想い出情報は,メッセージ(テキスト),写真(静止画),動画および音声のいずれかの形式とされる。一または複数(全部でもよい)のデータ形式が,チェック・ボックスw6aが用いられて指定される。
「次へ」ボタンw6bがクリックされると,図17に示す想い出情報を入力(選択)するためのページw7がクライアント5の表示画面上に表示される。想い出情報入力ページw7はメッセージ入力欄w7a,データ選択欄w7b,「次へ」ボタンw7cおよび「戻る」ボタンw7dを含む。メッセージ入力欄w7aにクライアント5の入力装置(キーボード等)が用いられて文章(テキスト)が入力される。データ選択欄w7bにはクライアント5の記憶装置または外部記録媒体(USBメモリなど)に記憶されている画像データまたは音声データのアドレス(パス)が記述される(ステップS10)。
「次へ」ボタンw7cがクリックされると,データチェック(データ量のチェック,データ形式のチェックなど)が行われ(ステップS11),図18に示す振込の依頼内容確認ページw8が表示される。確認ページw8には出金口座(振込元口座),依頼人名,電話番号,入金先口座(振込先口座),振込金額,依頼日,振込日等が表示されるとともに,想い出情報入力ページ(図17)を用いて入力された想い出情報(テキストのメッセージ,画像等)がプレビュー表示され,音声をプレ再生することができる。
振込の依頼内容確認ページw8の「振込実行」ボタンw8aがクリックされると,図19に示す振込完了ページw9がクライアント5の表示画面上に表示される。また,振込電文がWebサーバ2を介してホスト・コンピュータ3に送信され,かつ振込電文および想い出情報(想い出情報付振込電文)が,Webサーバ2を介して想い出情報管理装置4に送信される(図7,ステップS12)。図10(B)を参照して,想い出情報管理装置4に送信される想い出情報付振込電文には,振込電文(図10(A)と同じ)に想い出データファイルMが付随する。振込電文を受信したホスト・コンピュータ3では,上述のように勘定処理(入出金記録の追加,残高更新)が行われる(図8)。
図9を参照して,想い出情報付振込電文を受信した想い出情報管理装置4は,振込電文に記載されている振込先口座番号(図10(B)参照)をホスト・コンピュータ3に送信し,受取人の生年月日,所属および口座残高の問い合わせ要求を行う(ステップS41,S42)。ホスト・コンピュータ3は元帳勘定系テーブル12b(図4)を用いて振込先口座番号から受取人のCIF番号を特定する。ホスト・コンピュータ3は特定されたCIF番号を持つ顧客の生年月日および所属のデータを元帳属性テーブル12a(図3)から読出し,かつ振込後の口座残高を元帳勘定系テーブル12bから読出して,想い出情報管理装置4に送信する(ステップS44)。
想い出情報管理装置4は,想い出情報付振込電文に含まれる振込先口座番号を持つ想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)に新たなレコードを作成し,クライアント5から受信した想い出情報付振込電文にしたがって,振込の年月日,預け入れ金額(振込金額),および取扱内容(振込人の氏名等)(入金情報)を格納する。また,ホスト・コンピュータ3から受信した生年月日から算出される顧客(受取人)の現在の年齢,現在の所属,および口座残高を,作成したレコードに格納する。さらに,作成された新たなレコードの想い出情報確認フラグに「0」(未再生)を格納し,想い出ナンバには新たな番号を採番して格納する。想い出情報管理装置4は,想い出情報テーブル13b(図6)にも新たなレコードを作成し,新たに作成されたレコードに,採番された想い出ナンバ,想い出情報(想い出データファイルMのデータ)および記憶装置13における想い出情報の記憶場所を表すURLを格納する(ステップS43)。これにより,入金(振込)に関連付けられた想い出情報の預入れ(登録)が完了する。
図19を参照して,振込完了ページw9中の「ログアウト」ボタンw9aがクリックされると,上述した振込処理(想い出情報の登録処理)が終了する。
(残高・明細照会処理)
上述のようにして入金先口座(振込先口座)への入金に関連付けられて登録される想い出情報は,口座残高および明細照会を通じて再生することができる。図20から図22は口座残高および明細照会処理におけるクライアント・コンピュータ5,Webサーバ2,ホスト・コンピュータ3および想い出情報管理装置4の処理手順を示すフローチャートである。図23から図25は口座残高および明細照会処理のときにクライアント・コンピュータ5の表示画面上に表示されるページ(ウインドウ)を示している。図20に示すフローチャートおいて,図7に示すフローチャート中の処理と同一処理には同一符号を付し重複説明を省略する。
サービス選択ページw2(図12)の「残高・明細照会」の文字列w2aがクリックされると,Webサーバ2からクライアント5に明細種類選択ページ・データが送信され,明細種類選択ページw10がクライアント5の表示画面上に表示される(図20,ステップS1,S21,S2,S51,S61,S52)。
図23は明細種類選択ページw10を示している。明細種類選択ページw10は「想い出明細」または「全ての明細」のいずれかを選択するためのチェック・ボックスw10a,「次へ」ボタンw10bおよび「戻る」ボタンw10cを含む。
「想い出明細」がチェックされた後に「次へ」ボタンw10bがクリックされると,ログインしている顧客の口座番号を含む想い出明細要求電文が,クライアント5からWebサーバ2を介して想い出情報管理装置4に送信される(図20,ステップS53,ステップS62で「想い出」,ステップS63)。
明細要求電文を受信した想い出情報管理装置4は,明細要求電文に含まれる口座番号にしたがって,その口座番号についての想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)をアクセスし,年月日(取引日付),入金金額(預け入れ),取扱内容(入金依頼人情報),残高,年齢,所属,想い出情報確認フラグ,および想い出ナンバを読出し,かつ上記想い出ナンバに関連付けられている想い出情報のURLを想い出情報テーブル13b(図6)から読出し(以下,これらの読出されるデータを包括して「照会情報」という)を,Webサーバ2に送信する(図21,ステップS71,S72)。照会情報に想い出情報(テキスト・データ,画像データ,動画データ,音声データ)自体は含まれない。Webサーバ2は受信した照会情報を含む想い出明細ページ・データを作成してクライアント5に送信する(図20,ステップS64,S65)。クライアント5の表示画面に想い出明細ページw11が表示される(ステップS54)。
図24は想い出明細ページw11を示している。
想い出明細ページw11には照会情報の内容が日付け順に表示される。
想い出明細ページw11中の「想い出情報」欄に想い出情報付勘定系テーブル13aおよび想い出情報テーブル13bに記憶されている想い出ナンバが表示される。この想い出ナンバに,想い出情報テーブル13bに記憶されている想い出情報のURLを表すリンク(下線で示す)が記述されている。後述するように,想い出ナンバ(リンク)がクリックされると,クリックされた想い出情報がダウンロードされてその再生が行われる。
明細種類選択ページw10(図23)のチェックボックスw10aにおいて「全ての明細」が選択されて「次へ」ボタンw10cがクリックされると,クライアント5からホスト・コンピュータ3に顧客の口座番号を含む全明細要求電文が送信される(図20,ステップS62で「全明細」,ステップS66)。図22を参照して,全明細要求電文を受信したホスト・コンピュータ3は,想い出情報管理装置4に想い出情報の問い合わせを行う(ステップS73,S74)。問い合わせを受付けた想い出情報管理装置4は,想い出ナンバ,URLおよび想い出情報確認フラグの組をホスト・コンピュータ3に送信する(図22,ステップS76)。ホスト・コンピュータ3は,元帳勘定系テーブル12b(図4)に格納されている入出金記録を,想い出情報が付随するものについては想い出情報管理装置4から受信した想い出ナンバ,URLおよび想い出情報確認フラグを含めて,Webサーバ2に送信する(図22,ステップS75)。
Webサーバ2は受信した入出金記録を含む全明細ページ・データを作成し,クライアント5に送信する(図20,ステップ67,68)。
図25は全明細ページ・データによって表される残高・入出金明細ページw12を示している。上述したように,想い出情報が付随する入金記録については想い出情報管理装置4からホスト・コンピュータ3に想い出ナンバおよびURLが送信されるので,残高・入出金明細ページw12にも,想い出情報のURLを示すリンクを持つ想い出ナンバを,想い出情報欄に表示することができる。
図24に示す想い出明細ページw11および図25に示す残高・入出金明細ページw12中の想い出情報欄に,「未確認」の文字が付随している想い出情報のリンクがある。これは,想い出情報の再生が未だ行われていないものであることを意味する。「未確認」の文字は,想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)の想い出情報確認フラグに「0」が格納されている場合に表示される。後述するように,想い出情報が再生されると,想い出情報付勘定系テーブル13aにおいて想い出情報確認フラグは「1」となり,「未確認」の文字はその後表示されないことになる。
(想い出情報の再生)
図26は想い出情報を再生するときのクライアント5,Webサーバ2,ホスト・コンピュータ3,および想い出情報管理装置4の処理手順を示すフローチャートである。図27から図29は想い出情報再生時にクライアント5の表示画面上に表示されるウインドウを示している。
上述したように,想い出明細ページw11(図24)または残高・入出金明細ページw12(図25)において,想い出情報欄に表示されている想い出ナンバには,その想い出ナンバによって特定される想い出情報へのリンク(URL)が記述されている。想い出ナンバがクリックされると(図26,ステップS81),後述するように,クリックされた想い出ナンバによって特定される想い出情報の要求電文が想い出情報管理装置4に送信される。
想い出情報の要求電文の送信に先立って,Webサーバ2からホスト・コンピュータ3に顧客の所属の問合わせ要求が行われる(ステップS91)。所属の問合わせ要求を受信したホスト・コンピュータ3は元帳属性テーブル12a(図3)をアクセスして所属欄に格納されているデータを読出し,Webサーバ2に送信する(ステップS101 )。Webサーバ2は受信した所属データを含む所属確認ページ・データを作成してクライアント5に送信する(ステップS92)。
図27は所属確認ページw13を示している。
所属確認ページw13は所属表示欄w13aを含み,ここにホスト・コンピュータ3の元帳属性テーブル12a(図3)に現時点で登録されている顧客の所属機関名が表示される(ステップS82)。
所属表示欄w13aに表示されている所属機関名が顧客の現時点の所属機関と合致していれば「次へ」ボタンw13bがクリックされる。顧客の現時点の所属機関と異なる所属機関名が表示されている場合に,「変更」ボタンw13cがクリックされる。
「変更」ボタンw13cがクリックされると,所属機関入力ページ・データがWebサーバ2からクライアント5に送信される(ステップ83でYES ,ステップS93,S84)。
図28は所属機関変更ページw14を示している。
所属機関変更ページw14は所属機関名入力欄w14aを含む。所属機関名入力欄w14aに,変更後の所属機関名が入力される(ステップS85)。
所属機関変更ページw14において「登録」ボタンw14bがクリックされると,入力された新たな所属機関名を表すデータがWebサーバ2を介してホスト・コンピュータ3に送信される。ホスト・コンピュータ3は受信した新たな所属名を元帳属性テーブル12aに格納する(ステップS94,ステップS102 )。元帳属性テーブル12aにおける顧客の所属データを,想い出情報の再生のタイミングにおいて最新の情報にすることができる。
所属機関変更ページw14において「登録」ボタンw14bがクリックされる,または所属機関確認ページw13において「次へ」ボタンw13bがクリックされると,リンク先データ要求がクライアント5からWebサーバ2を介して想い出情報管理装置4に送信される(ステップS95またはステップS86)。想い出情報管理装置4はクリックされた想い出ナンバに対応する想い出情報を想い出情報テーブル13b(図6)から読出し,かつ,その想い出ナンバに関連付けられている年月日,入金(預け入れ)金額,取扱内容(入金依頼人情報),年齢および所属のデータを想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)から読出し,Webサーバ2を介してクライアント5に送信する(ステップS103 ,ステップS96)。また,想い出情報管理装置4はクリックされた想い出情報についての確認フラグ(図5)がオフ(「0」)されていればオン(「1」)にする(ステップS104)。
図29および図30は想い出情報再生ページを示している(ステップS87)。
図29はテキストのメッセージによる想い出情報の再生ページである。
想い出情報再生ページw15は入金情報表示欄w15a,メッセージ表示欄w15b,所属機関変更ボタンw15c,画像・音声再生ページへの切換えボタンw15d,および「戻る」ボタンw15eを含む。入金情報表示欄w15aに,入金(振込)が行われたときの年月日,入金金額および取扱内容(誰からの振込であるか,振込人情報)が表示される。メッセージ表示欄w15bに想い出情報テーブル13bから読み出された想い出情報(テキスト・データに基づく文章のメッセージ)が表示される。さらに,メッセージ表示欄w15bの下側には,想い出情報付勘定系テーブル13aに格納されている,振込が行われたとき(振込年月日)の顧客(受取人)の年齢および所属機関名(符号w15fで示す)が表示される。想い出情報を再生している顧客が,何歳のとき,そしてどこに所属していたときのメッセージであるかを確認することができる。
所属機関変更ボタンw15cがクリックされると,上述した所属機関変更ページw14(図28)を表示画面上に表示させることができる。
「画像・音声再生へ」ボタンw15dがクリックされると,画像(静止画または動画)または音声についての想い出情報再生ページw16(図30)に切り替わる。画像・音声の想い出情報再生ページw16は,入金情報表示欄w16a,画像表示欄w16b,動画または音声の場合の操作ボタン(動画(音声)を先頭から再生する場合にクリックされる「はじめから」ボタンw16c,動画(音声)再生を一時的に停止するための一時停止ボタンw16d,動画(音声)再生を終了する場合の終了ボタンw16e),テキストメッセージの想い出情報再生ページw15への切換えボタンw16f,所属機関変更ボタンw16g,および「戻る」ボタンw16hを含む。画像表示欄w16bに,静止画または動画の想い出情報が表示される。音声は,クライアント5に接続されたスピーカ(図示略)から出力される。画像(音声)の想い出情報再生ページw16にも,振込が行われたとき(振込年月日)の顧客(受取人)の年齢および所属機関名(符号w16iで示す)が表示される。
想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)および想い出情報テーブル13b(図6)のデータは,口座が廃止されない限り想い出情報管理装置4の記憶装置13に保存される。このため,数年後,数十年後にも想い出情報を再生することができる。想い出情報は入金情報(入金先口座番号,入金金額,入金依頼人情報および取引日付)に関連付けられ,かつ入金者(振込依頼人)が入金時に作成するものである。いつ,誰から,どのような趣旨でいくら入金されたのかを,想い出情報再生ページw15,w16でいつでも確認することができる。また,その当時の自分の年齢および所属も表示されるので,入金(振込)が行われた当時の自分の様子についても想い出すことができる。
上述した第1実施例では,想い出情報が付随する振込を受取る受取人の想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)に入金情報に関連付けて想い出ナンバを格納し,その想い出ナンバに関連付けて想い出情報およびURLを想い出情報テーブル13b(図6)に格納して,受取人が残高・明細照会を行うときに想い出情報を再生するようにしているが,これに加えて,想い出情報が付随する振込を行う振込人の想い出情報付勘定系テーブルにも,出金情報に関連付けて上記想い出ナンバを格納するようにしてもよい。図31に示すように,この場合には振込人の想い出情報付勘定系テーブル13cにおいて,引き出し金額を含む出金情報に関連付けて想い出ナンバが格納される。受取人のみならず振込人も,想い出情報を再生することができる。
想い出情報は,登録後一定期間は受取人が再生できないようにしてもよい。
[第2実施例]
(想い出バンク・システムの全体構成)
図32は第2実施例の想い出バンク・システムの全体的構成を示すブロック図である。
第2実施例の想い出バンク・システムは,ネットワーク1に接続されたホスト・コンピュータ3A,想い出情報管理装置4A,複数台の自動取引装置(以下,ATMという)7および想い出情報登録機8を含む。第2実施例の想い出バンク・システムでは,銀行に設置されているATM7および想い出情報登録機8が想い出情報の登録に用いられる。想い出情報の再生にはATM7,携帯電話を含む通信可能な携帯端末等が用いられる。
図33はATM7の外観を示す斜視図,図34はATM7を構成する各種装置のブロック図である。
ATM7は,ATM7の全体的動作を統括的に制御する制御装置20を備えている。制御装置20はCPU,メモリ等を含む。制御装置20に,各種のガイダンス画面を表示し,かつ顧客による各種の入力および選択を受付けるタッチパネルを含む表示/入力装置21,硬貨の入出金処理を行う硬貨処理装置22,紙幣の入出金処理を行う紙幣処理装置23,通帳記入,通帳発行等を行う通帳処理装置24,および挿入されるキャッシュカードに記録されている情報の読取処理,取引情報が印字されたジャーナル用紙の排出処理等を行うカード/明細処理装置25,データの送受信を行う送受信装置26が接続されている。制御装置20に接続された記憶装置27に上述の各種装置の動作を制御するためのプログラムおよびデータが記憶されている。ATM7の表示/入力装置21に表示されるガイダンス画面にしたがって選択および入力を行うことにより,入金,出金,振込,想い出情報の登録等を行うことができる。
図35は想い出情報登録機8の斜視図,図36は想い出情報登録機8を構成する装置のブロック図である。
想い出情報登録機8は想い出情報の登録のために用いられる専用装置であり,たとえば,銀行内において専用ブース内に設置される。詳細は後述するが,想い出情報を登録しようとする顧客は,上述したATM7を用いて入金(振込)を行い,その後に専用ブース内に設置された想い出情報登録機8を操作して,ATM7を用いて行われた入金に関連付けて想い出情報を登録する。
想い出情報登録機8は,想い出情報登録機8の全体的動作を統括的に制御する制御装置30を備えている。制御装置30はCPU,メモリ等を含む。制御装置30に,被写体を撮像するカメラ31,各種ガイダンス画面を表示しかつ顧客による各種の入力および選択を受付けるタッチパネルを含む表示/入力装置32,音声を出力するスピーカを含む音声再生装置33,USBメモリ等の記録媒体が装着され,USBメモリ等に記録されているデータを読取るデータ読取装置34,音声の入力を受付けるマイクロフォンを含む音声入力装置35,バーコードまたは二次元コードを読取るスキャナ36,登録内容等が印字された印刷物を排出するプリンタ37,およびデータの送受信を行う送受信装置38が接続されている。制御装置30に接続された記憶装置39には上述の各種装置を制御するためのプログラムおよびデータが記憶されている。また,想い出情報登録機8は被写体(想い出情報登録機8の前方)を照明するための照明器具40を備えている。詳細は後述するが,カメラ31による撮像によって得られる静止画または動画,表示/入力装置32を用いて入力される文章,音声入力装置35を用いて入力される音声,USBメモリ等から読み出される静止画または動画が想い出情報として扱われる。
図32に戻ってホスト・コンピュータ3Aおよび想い出情報管理装置4Aはいずれもコンピュータ・システムによって実現され,いずれもCPU,記憶装置(ハードディスクなど),通信装置(ネットワーク・カード)などを含む。
ホスト・コンピュータ3Aは,第1実施例と同様,銀行業務(預金受入業務,為替業務など)を統括するコンピュータである。ホスト・コンピュータ3Aに接続された記憶装置12Aには第1実施例と同様,元帳属性テーブル12a(図3)および元帳勘定系テーブル12b(図4)を含む元帳データベースが記憶され,口座を開設している顧客のそれぞれについての入出金記録等が記憶されている。
想い出情報管理装置4Aも,第1実施例と同様に,預入れられる想い出情報の管理業務処理を行うコンピュータである。想い出情報管理装置4Aに接続された記憶装置13Aには,第1実施例と同様に,想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)および想い出情報テーブル13b(図6)を含む想い出情報データベースが記憶され,入金(振込)に付随して登録された想い出情報等が記憶されている。
(想い出情報の登録処理)
第1実施例と同様に,第2実施例においても,口座に入金(振込)を行うときに想い出情報は登録され,入金に関連付けられて想い出情報は登録される。第2実施例において,口座への入金はATM7を用いて行われる。想い出情報の登録には想い出情報登録機8が用いられる。
図37は,口座に振込を行うときのATM7およびホスト・コンピュータ3Aの処理手順を示すフローチャートである。図38(A)〜(C)はATM7の表示/入力装置21に表示されるガイダンス画面を示している。ATM7を用いて行われる出金元口座(振込元口座)の指定,入金先口座(振込先口座)の指定,入金金額の指定等は,基本的に第1実施例と同様にして行われるので,その詳細な説明は省略する。
はじめに振込処理が行われる(ステップS201 )。キャッシュ・カードがATM7のカード/明細処理装置25のカード挿入口に挿入され,その後暗証番号が表示/入力装置21を用いて入力されることによって振込可能な状態になる。表示/入力装置21が用いられて入金先口座(振込先口座),振込金額等が入力される。出金元口座(振込元口座)はキャッシュカードによって特定される。振込元口座,振込先口座,振込金額等を含む振込電文(図10(A)参照)がATM7からホスト・コンピュータ3Aに送信される。ホスト・コンピュータ3Aは振込電文に基づいて勘定処理を行う(ステップS211)。
振込処理を終えると,図38(A)に示す想い出情報の登録を行うかどうかを確認する確認画面g1がATM7の表示/入力装置21に表示される。想い出情報登録確認画面g1は「はい」ボタンg1a,「いいえ」ボタンg1bを含む。
「いいえ」ボタンg1bがタッチされると,ATM7はそのまま処理を終了する(ステップS202でNO)。
「はい」ボタンg1aがタッチされると,図38(B)に示す想い出登録用暗証番号設定画面g2が表示/入力装置21に表示される。想い出情報の登録は,上述したようにATM7ではなく想い出情報登録機8を用いて行われ,次に説明するように想い出情報登録機8を用いて想い出情報登録を行うときに想い出登録用暗証番号が必要とされる。想い出情報登録用の暗証番号の設定がATM7を用いて行われる。
想い出登録用暗証番号設定画面g2は「はい」ボタンg2aおよび「いいえ」ボタンg2bを含む。「いいえ」ボタンg2bがタッチされると,キャッシュ・カードに用いられている暗証番号(通常暗証番号)が,想い出情報登録機8を用いて想い出情報登録を行うときの暗証番号とされる。キャッシュカードの暗証番号がホスト・コンピュータ3Aに送信される(ステップS203でNO,ステップS205)。もちろん,ホスト・コンピュータ3Aの元帳属性テーブル12aにはキャッシュカードの暗証番号等も記憶されているので(図3において図示略),キャッシュカードの暗証番号(通常暗証番号)を用いる旨を表すデータをホスト・コンピュータ3Aに送信するようにしてもよい。
「はい」ボタンg2aがタッチされると(ステップ203でYES),図38(C)に示す想い出登録用暗証番号入力画面g3が表示/入力装置21に表示される。想い出登録用暗証番号入力画面g3は暗証番号入力欄g3a,暗証番号選択キーg3b,および「戻る」ボタンg3cを含む。暗証番号選択キーg3bに含まれる1〜9の数字のうちの任意の4つの数字が順にタッチされると,その組合わせ(順序を含む)が想い出情報登録用の暗証番号とされる。
暗証番号はATM7からホスト・コンピュータ3Aに送信され,振込元口座番号と関連付けられてホスト・コンピュータ3Aのメモリに一時的に記憶される(ステップS204 ,S212)。
暗証番号を受信したホスト・コンピュータ3Aはまた,有効期限(たとえば,現在の年月日から一週間後の年月日)を設定し,有効期限,振込元口座番号,振込先口座番号,振込金額,振込日等を表す二次元コードを作成し,有効期限を表す文字データと二次元コードとをATM7に送信する(ステップS213 )。有効期限を表す文字データおよび二次元コードを受信したATM7はカード/明細処理装置25からキャッシュカードおよび取引情報(振込情報)が印字されたジャーナル用紙を排出するとともに,有効期限の記載および二次元コード画像を含む想い出登録シートを出力する(ステップS206)。
図39はATM7から排出される想い出登録シートS1を示している。
想い出登録シートS1は,振込情報(銀行名,支店名,口座番号,振込先の名義)S1a,有効期限S1bおよび2次元コードS1cが印刷されたシートである。想い出登録シートS1は,次に説明する想い出情報登録機8を用いて行われる想い出情報登録に用いられる。
図40は,想い出情報を登録するときの想い出情報登録機8,ホスト・コンピュータ3A,および想い出情報管理装置4Aの処理手順を示すフローチャートである。
上述のようにしてATM7を用いて振込処理を行い,かつ想い出情報の登録を希望する顧客には想い出登録シートS1(図39)が発行される。想い出情報の登録を希望する顧客は,この想い出登録シートS1を持って想い出情報登録機8の設置場所に向かう。はじめに,想い出登録シートS1に印字されている二次元コードS1cが,想い出情報登録機8のスキャナ36によって読み取られる(ステップS221)。
想い出登録シートS1の二次元コードS1cは,上述したようにATM7を用いて振込処理が行われたときに入力された振込元口座番号,振込先口座番号,振込金額,振込日等の振込情報と,有効期限を含む。二次元コードS1cが読取られることによって,想い出情報登録機8は,二次元コードS1cの内容,すなわち振込元口座番号,振込先口座番号,振込金額,振込日等の振込情報と,有効期限をメモリに一時的に記憶する。
現在の日付が,二次元コードS1cによって表される想い出情報の登録有効期限内であるかどうかが判断される(ステップS222 )。ATM7を利用した振込のときから長い期間が経過した後に想い出情報の登録を許すと,登録される想い出情報が,入金(振込)時の想い出情報ではないものになるので,これを拒否する趣旨である。
現在の年月日が想い出情報の登録有効期限を経過していれば,想い出情報の登録は行われず想い出情報登録機8の処理は終了する(ステップS222でNO)。
現在の年月日が想い出情報の登録有効期限内であれば,暗証番号の入力に進む(ステップS222でYES)。表示/入力装置32が用いられて暗証番号が入力される(ステップ223)。
入力された暗証番号は,振込元口座番号とともに想い出情報登録機8からホスト・コンピュータ3Aに送信される。上述したように,想い出情報登録用の暗証番号は振込元口座番号と関連づけられてホスト・コンピュータ3Aのメモリに一時的に登録されている。ホスト・コンピュータ3Aは,想い出情報登録機8から送信された振込元口座番号にしたがって,その振込元口座番号に関連づけられてメモリに記憶されている暗証番号と,想い出情報登録機8から送信された暗証番号を対比することによって,一致するかどうかを判断する(ステップS231)。
2つの暗証番号が一致するとOK信号が,不一致であればNG信号が,それぞれホスト・コンピュータ3Aから想い出情報登録機8に送信される(ステップS232,233)。NG信号を受信した想い出情報登録機8は再度の(正しい)暗証番号の入力を顧客に求める画面を表示/入力装置32に表示する(ステップS224でNG)。OK信号を受信した想い出情報登録機8は想い出情報の登録受付に進む(ステップS224でOK,ステップ225)。
想い出情報の登録には,上述したように,想い出情報登録機8が備えるカメラ31,表示/入力装置32,音声入力装置35,およびデータ読取装置34が用いられる。表示/入力装置32が用いられてテキストのメッセージが入力される。カメラ31および音声入力装置35が用いられて画像と音声(動画)が入力される。データ読取装置34が用いられてUSBメモリ等にあらかじめ記録されている画像データが入力される。
想い出情報(文章,画像)の入力を終えると,入力された文章,画像を表すプレビュー画面が表示/入力装置32に表示される(ステップS226 )。音声を含む場合には音声再生装置33から音声が再生される。プレビュー画面の内容でOKであれば,入力された想い出情報と,想い出登録シート(二次元コード)を読取ることによって得られた振込情報とが,互いに関連付けられて想い出情報登録機8から想い出情報管理装置4Aに送信される(ステップ227)。
想い出情報管理装置4Aは,第1実施例と同様にして,受取人の口座番号(振込先口座番号)の想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)に新たなレコードを作成して,振込情報に基づく入金情報を格納し,かつ受信した想い出情報を想い出情報テーブル13b(図6)に格納する(ステップS241 )。想い出情報テーブル13b(図6)には想い出情報のURL(リンク)も記憶される。もちろん,第2実施例においても,第1実施例と同様にして,ホスト・コンピュータ3Aに問い合わせを行って顧客の年齢および所属を想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)に格納することができる。
(想い出情報の再生)
図41は想い出情報の再生時のATM7,ホストコンピュータ3Aおよび想い出情報管理装置4Aの処理手順を示すフローチャートである。図42(A)〜(D)は想い出情報再生時にATM7の表示/入力装置21に表示される各種画面を示している。
ATM7の通帳処理装置24の通帳挿入口に通帳を挿入し,表示/入力装置21を用いて通帳記帳を選択すると,ホスト・コンピュータ3Aは元帳勘定系テーブル12b(図4)から未記帳の入出金記録を読出してATM7に送信する。上述のように,元帳勘定系テーブル12bには記帳済みフラグが入出金記録ごとに格納されており,この記帳済みフラグによって未記帳であるかどうかが判断される。ATM7において未記帳分の入出金記録が通帳に印字される(ステップS251,ステップS261)。
通帳記帳を終えると,ATM7は想い出情報管理装置4Aに想い出情報の問い合わせを行う(ステップS252 )。この問い合わせには通帳処理装置24に挿入された通帳から読み取られた口座番号を含むのは言うまでもない。想い出情報管理装置14は,受信した想い出情報の問い合わせにしたがって,問い合わせに含まれる口座番号について未再生の想い出情報が想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)に記憶されているかどうかをチェックする(ステップS271)。
未再生の想い出情報が存在する場合,その旨を表すデータが想い出情報管理装置4AからATM7に送信され,これに応じてATMの表示/入力装置21に新着情報画面g4(図42(A))が表示される(ステップS253 )。新着情報画面g4中の「いいえ」ボタンがタッチされると想い出情報再生は行われず,ATM7の処理は終了する(ステップS254でNO)。
新着情報画面g4中の「はい」ボタンがクリックされると,想い出情報管理装置4Aは想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)から日付,金額,取扱内容(入金依頼人情報)および想い出情報確認フラグを,想い出情報テーブル13b(図6)から想い出情報のURLをそれぞれ読出し,ATM7に送信する(ステップS254でYES,ステップS272)。想い出情報自体はここでは送信されない。ATM7の表示/入力装置21に想い出情報が付随する入金情報の一覧画面g5(図42(B))が表示される(ステップ255)。
一覧画面g5中には想い出情報ごとに「詳細表示」の文字列が含まれ,想い出情報が未再生のものについてはさらに「未確認」の文字が表示される。「詳細表示」の部分には想い出情報のURL(リンク)が含まれるのは第1実施例と同様である。「詳細表示」がタッチされると,URLにしたがってタッチされた想い出情報(テキスト・データ,画像データなど)が想い出情報管理装置4Aにおいて想い出情報テーブル13b(図6)から読出されてATM7に送信され,図42(C)および図42(D)に示すように,ATM7の表示/入力装置21に想い出情報再生画面g6,g7が表示される(ステップS256 ,ステップS273,ステップS257)。通帳記帳時に想い出情報の新規登録の有無を確認することができ,さらに想い出情報を再生することができる。
新規(未再生)の想い出情報が存在しない場合にも,想い出情報を再生するかどうかを顧客に確認する画面(図42(A)と同様の画面)を,通帳記帳時にATM7の表示/入力装置21に表示するようにしてもよいのは言うまでもない。また未確認の文字が表示される未再生の想い出情報が付随する入金情報のみを一覧画面g5(図42(B))に表示するようにしてもよい。
[第1変形例]
図43および図44は第2実施例の第1変形例を示すもので,図43は入出金記録(取引内容)が印字された通帳T1(開かれた状態)を示している。図44は第2実施例の第1変形例におけるATM7,ホスト・コンピュータ3および想い出情報管理装置4Aの処理手順を示すフローチャートである。
第2実施例の第1変形例では,想い出情報が登録されている場合(想い出情報が想い出情報テーブル13bに記憶されている場合),ATM7を用いて通帳記帳を行うと,通帳T1の行単位に入出金記録を記帳する欄に想い出情報管理装置4Aの想い出情報テーブル13bに格納されている想い出情報のURL(図6参照)を表す二次元コードT1aが記帳される。二次元コードT1aは,後述するように,たとえば携帯電話が用いられて読取られ,URLにしたがって想い出情報が携帯電話にダウンロードされて再生される。
図44を参照して,ATM7の通帳処理装置24に通帳T1が挿入され,かつATM7の表示/入力装置21が用いられて通帳記帳が選択されると,挿入された通帳T1の口座番号を含む通帳記帳要求がATM7からホスト・コンピュータ3Aに送信される(ステップS281 )。通帳記帳要求を受信したホスト・コンピュータ3Aは,通帳記帳要求に含まれる口座番号を持つ元帳勘定系テーブル12b(図4)をアクセスし,未記帳分の入金記録に関して,その入金記録に対応する想い出情報が存在するかどうかを想い出情報管理装置4Aに問い合わせる(ステップS291 )。この問い合わせには日付,入金金額(預け入れ金額),取扱内容(入金依頼人情報)など,想い出情報管理装置4Aの想い出情報付勘定系テーブル13aに格納されている入金情報を特定する情報が含まれるのは言うまでもない。
問い合わせを受付けた想い出情報管理装置4Aは,想い出情報付勘定系テーブル13a(図5)をアクセスし,未記帳分の入金記録に対応する想い出情報が存在するかどうかを確認し,存在する場合,その想い出情報のURLをホスト・コンピュータ3Aに送信する(ステップS301 )。URLを受信したホスト・コンピュータ3AはURLを二次元コードT1aに変換し,二次元コードT1aを含む未記帳分の入出金記録をATM7に送信する(ステップS292,S293)。ATM7はURLを表す二次元コードT1aを含む入出金記録を通帳T1に記帳する(S282 ,図43)。
携帯電話の撮像機能および二次元コード認識機能を用いて通帳T1に記帳されている二次元コードT1aが撮像されて読込まれると,二次元コードT1aによって特定されるURLが携帯電話において認識される。携帯電話の通信機能を用いてそのURLにアクセスを行うことで,想い出情報管理装置4Aから携帯電話に想い出情報をダウンロードされる。携帯電話の表示画面上に想い出情報を再生することができる。もちろん,IDおよびパスワードを入力を求めて,認証が成功したときに想い出情報を携帯電話にダウンロードしてもよい。
上述した第1変形例ではホスト・コンピュータ3AによってURLを表す二次元コードT1aが作成されているが(ステップS292 ),二次元コードT1aの作成は,ホスト・コンピュータ3Aに代えて,想い出情報管理装置4Aに行わせてもよいし,またはATM7に行わせてもよい。また,入金(振込)依頼人の通帳にも二次元コードT1aを記帳してもよい。
[第2変形例]
図45および図46は第2実施例の第2変形例を示すもので,図45は通帳T2の外観を示している。図46は第2実施例の第2変形例におけるATM7,ホスト・コンピュータ3および想い出情報管理装置4Aの処理手順を示すフローチャートである。図46に示すフローチャートにおいて,図44に示すフローチャートと同一の処理には同一符号を付し,重複した詳細な説明を省略する。
上述した第2実施例の第1変形例においては,想い出情報をダウンロードするためのURLを表す二次元コードT1aが通帳T1に記帳されるが,第2変形例では二次元コードTa1は通帳T2に記帳されず,これに代えて想い出情報そのものが通帳T2に記憶される。想い出情報の記憶のために,通帳T2にはICチップM1が装着(貼付)されている。次に説明するように,通帳記帳時に,想い出情報管理装置4Aの想い出情報テーブル13bに記憶されている想い出情報(または想い出情報および想い出情報に関連付けられている入金情報の組)が,通帳T2のICチップM1に記憶される。ICチップM1は集積回路(IC)および半導体メモリを含む。ATM7の通帳処理装置24にはICチップM1の半導体メモリにデータを書込む書込み装置が備えられる。
図46を参照して,ATM7の通帳処理装置24に通帳T2が挿入され,かつATM7の表示/入力装置21が用いられて通帳記帳が選択されると,挿入された通帳T2の口座番号を含む通帳記帳要求がATM7からホスト・コンピュータ3Aに送信され(ステップS281 ),これに応じてホスト・コンピュータ3Aは通帳記帳要求に含まれる口座番号を持つ元帳勘定系テーブル12b(図4)をアクセスして,未記帳分の入金記録に対応する想い出情報が存在するかどうかを想い出情報管理装置4Aに問い合わせる(ステップS291 )。想い出情報管理装置4Aは,未記帳分の入金記録に対応する想い出情報のURLを,ホスト・コンピュータ3Aに送信する(ステップS301)。
URLを含む未記帳分の入出金記録がホスト・コンピュータ3AからATM7に送信される(ステップS294)。
URLを含む入出金記録を受信したATM7は,受信した未記帳分の入出金記録を通帳T2に記帳する(ステップS283 )。さらに,ATM7は,受信したURLを用いて想い出情報のダウンロード要求を想い出情報管理装置4Aに送信する(ステップS284)。
想い出情報管理装置4Aは,ATM7からのダウンロード要求にしたがって想い出情報を想い出情報テーブル13b(図6)から読出し,ATM7に送信する(ステップS302 )。ATM7の通帳処理装置24は受信した想い出情報を通帳T2に装着(貼付)されているICチップM1に書込む。通帳T2のICチップM1に想い出情報が記憶される(ステップS285 )。
ICチップM1に記憶されている想い出情報は,ICチップM1に記憶されているデータを読取るデータ読取り機(図示略)を用いて読出されて再生される。
上述した第2実施例の第2変形例において,想い出情報管理装置4Aから想い出情報のURLが読出され,このURLにしたがってATM7から想い出情報のダウンロード要求が行われているが(ステップS301,S294,S284 ),想い出情報のURLを送信することなく,ホスト・コンピュータ3Aからの問合わせ(ステップS291 )があったときに,想い出情報管理装置4Aからホスト・コンピュータ3Aを経由してATM7に想い出情報そのものを送信するようにしてもよい。いずれにしても,想い出情報の登録が行われた場合,通帳記帳時に,その想い出情報が通帳T2のICチップM1に記憶される。