JP5837230B2 - 交流回転機の制御装置、交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムおよび電動パワーステアリングシステム - Google Patents

交流回転機の制御装置、交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムおよび電動パワーステアリングシステム Download PDF

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Description

本発明は、位置センサを用いることなく、交流回転機の回転位置を推定することのできる交流回転機の制御装置、交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムおよび電動パワーステアリングシステムに関するものである。
従来、交流回転機を制御する場合において、回転子の回転位置に対応した適切な位相で電流を供給するために、エンコ−ダ、レゾルバおよびホ−ル素子といった位置センサが必要であった。しかしながら、このような位置センサを用いる場合、価格面、センサの信頼性、または配線の煩わしさなどといった問題点があった。
そこで、このような問題点を解決するために、位置センサを用いることなく、回転子の回転位置を推定することにより、交流回転機を制御する制御装置が提案されている。
このような従来における交流回転機の制御装置の具体例として、交流回転機の誘起電圧に基づいて、適応オブザ−バにより交流回転機の回転速度を推定し、推定した回転速度を積分器により積分することによって、回転位置を推定する制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。
また、電気的突極性を有する交流回転機の任意の回転二軸上に、高周波電圧を印加する場合に発生する突極性に起因した回転二軸上各成分におけるインダクタンスの差異を利用することによって、回転位置を推定する制御装置がある(例えば、特許文献2参照)。
また、交流回転機の任意の回転二軸上に、高周波電圧を印加する場合に発生する磁気飽和に起因したインダクタンスの差異を利用することによって、回転位置を推定する制御装置がある(例えば、特許文献3参照)。
特許第4672236号公報 特許第3312472号公報 特許第4632157号公報
しかしながら、従来技術には以下のような課題がある。
特許文献1に記載の従来技術では、交流回転機の誘起電圧に基づき、回転速度および回転位置を推定し、交流回転機の誘起電圧は、交流回転機の回転速度に比例して発生する。したがって、回転速度が低い領域では、誘起電圧が小さくなるので、回転位置を精度良く推定できず、また、交流回転機が停止している場合には、誘起電圧が発生しないので、原理上、回転位置を推定することができないという問題があった。
また、特許文献2に記載の従来技術では、電気的突極性を有する交流回転機のインダクタンスの差異に基づき、回転位置を推定する。したがって、突極性を有しない非突極の交流回転機の場合には、回転位置を推定することができないという問題があった。
また、特許文献3に記載の従来技術では、磁気飽和による交流回転機のインダクタンスの差異に基づき、回転位置を推定する。したがって、磁気飽和が発生するように、交流回転機に十分大きな電流を供給する必要があり、磁気飽和が発生しない給電状態の場合に、回転位置を推定することができないという問題があった。さらに、磁気飽和が発生する領域では、電流変化に対する回転磁束の変化が非線形となるので、交流回転機の制御が容易でないという問題があった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、交流回転機の回転速度、電気的突極性の有無および磁気飽和発生の有無といった制約に課されることなく、交流回転機の回転位置を推定することのできる交流回転機の制御装置、交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムおよび電動パワーステアリングシステムを得ることを目的とする。
本発明に係る交流回転機の制御装置は、交流回転機と、交流回転機に電力を供給する電力供給部と、交流回転機の出力トルクを検出するトルク検出部と、交流回転機の回転位置を推定する回転位置推定部とを備え、電力供給部は交流回転機に供給する所望の電力に位相の異なる少なくとも2つ以上の軸成分から成る所定の高周波電力を加え、回転位置推定部は出力トルクに含まれる高周波成分と高周波電力に対応する高周波成分に基づいて回転位置を推定するようにしたものである。
本発明によれば、自身に入力される高周波信号に対応する高周波成分が重畳される高周波電力を交流回転機に供給するとともに、交流回転機の出力トルクに含まれている出力トルク高周波と、高周波信号との位相差に基づき、交流回転機の回転位置を演算することができる。これにより、交流回転機の回転速度、電気的突極性の有無および磁気飽和発生の有無といった制約に課されることなく、交流回転機の回転位置を推定することのできる交流回転機の制御装置、交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムおよび電動パワーステアリングシステムを得ることができる。
本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置を示した構成図である。 本発明の実施の形態1において、実際のd−q軸および推定d−q軸と、高周波電流の合成ベクトルと、の位相関係を示した説明図である。 本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置を示した構成図である。 本発明の実施の形態3における電動パワーステアリングシステムを示した構成図である。 本発明の実施の形態3において、交流回転機、ハンドルおよび伝達軸のそれぞれに加わるトルクの関係を示した説明図である。 本実施の形態3において、交流回転機の出力軸に加わるトルクに対応する出力トルク高周波と、トルク検出部が検出したトルクに対応する出力トルク高周波と、の位相関係を示した説明図である。
以下、本発明の交流回転機の制御装置、交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムおよび電動パワーステアリングシステムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置を示した構成図である。この図1には、交流回転機の制御装置とともに、制御対象である交流回転機1およびトルク検出部2があわせて示されている。
本実施の形態1における交流回転機の制御装置は、電力供給部10および回転位置推定部20を備える。また、交流回転機1は、電力供給部10から高周波電力が供給され、トルク検出部2は、交流回転機1が出力する出力トルクTmを検出する。なお、発明の詳細な説明において使用するこの「高周波電力」とは、電力供給部10から交流回転機1へ供給される電力に対して、交流回転機1の回転制御には影響を与えない範囲で、高周波成分が重畳されている電力を意味している。
なお、以降では、交流回転機1の回転二軸上における第1軸および第2軸について、以下のように表して説明する。すなわち、第1軸は、交流回転機1の回転子磁束と同位相方向であり、d軸と表し、第2軸は、第1軸と直交する方向であり、q軸と表す。
ここで、本実施の形態1では、以下の技術的特徴を有する。
(特徴1)電力供給部10は、基準指令信号、高周波信号および回転位置推定部20が演算した回転位置に基づき、高周波信号に対応する高周波成分が重畳される高周波電力を交流回転機1に供給する。
(特徴2)回転位置推定部20は、高周波電力が供給された交流回転機1の出力トルクから高周波成分を出力トルク高周波として抽出し、出力トルク高周波および高周波信号に基づき、回転位置を演算する。
以下、上述した技術的特徴の詳細について説明する。
まず、電力供給部10について説明する。ここで、具体的に例示して説明するために、以下の場合を想定する。すなわち、電力供給部10に外部から入力される基準指令信号は、d軸基準指令信号として、d軸電流指令id1*であり、q軸基準指令信号として、q軸電流指令iq1*である。また、電力供給部10に入力される高周波信号は、d軸高周波信号として、d軸高周波電流Aidであり、q軸高周波信号として、q軸高周波電流Aiqである。さらに、交流回転機1には、電力供給部10から供給される高周波電力として、高周波信号に対応する高周波成分が重畳される三相交流電圧が印加される場合を想定する。
なお、d軸電流指令id1*およびq軸電流指令iq1*は、d−q軸上の電流指令におけるd軸成分およびq軸成分を示す。同様に、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqは、d−q軸上の高周波電流におけるd軸成分およびq軸成分を示す。
電力供給部10には、基準指令信号発生部(図示せず)から、d軸電流指令id1*およびq軸電流指令iq1*が入力され、高周波信号発生部(図示せず)から、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqが入力される。
また、電力供給部10は、d軸電流指令id1*およびq軸電流指令iq1*と、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、回転位置推定部20が演算した回転位置θと、に基づいて生成した三相交流電圧を交流回転機1に印加する。なお、ここでいう「回転位置θ」とは、交流回転機1の回転子の回転位置のことである。
また、電力供給部10は、高周波重畳部11、電流制御部12、座標変換部13、電力変換部14および電流検出部15を有する。
高周波重畳部11は、d軸電流指令id1*およびd軸高周波電流Aidを重畳(加算)することにより、d軸高周波重畳電流指令id2*を生成し、電流制御部12に出力する。また、同様に、高周波重畳部11は、q軸電流指令iq1*およびq軸高周波電流Aiqを重畳することにより、q軸高周波重畳電流指令iq2*を生成し、電流制御部12に出力する。
ここで、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqは、下式(1)に示すように、同一振幅、同一周波数であり、互いに直交した正弦波とする。また、下式(1)におけるパラメータとして、Aは、高周波の振幅を示し、whは、高周波の角周波数を示し、tは、時刻を示す。
Figure 0005837230
また、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqは、回転位置推定部20が回転位置θを演算するために用いられる。さらに、振幅Aは、交流回転機1の回転制御には影響を与えない範囲で、十分小さく設定される。
また、トルク検出部2が検出した出力トルクTmから高周波成分(すなわち、角周波数wh成分)を抽出した出力トルク高周波Tmhfが、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqだけに基づくものになるように、角周波数whは、設定される。すなわち、角周波数whは、d軸電流指令id1*およびq軸電流指令iq1*に含まれる周波数成分よりも、十分大きい値(所定倍だけ大きい値)になるように設定される。
なお、具体的に設定される振幅Aおよび角周波数whは、交流回転機1の用途によって異なる。
また、本実施の形態1では、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqは、同一振幅、同一周波数であり、互いに直交した正弦波である場合を例示して説明するが、正弦波に限定されない。すなわち、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqは、例えば、台形波、矩形波、三角波またはノコギリ波といった異なる形状の波動であってもよく、波動の種類は、問われない。さらに、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの振幅は同一とは限らず、異なる振幅のd軸高周波電流およびq軸高周波電流を重畳した場合であっても同様の効果を得ることができる。
電流制御部12は、高周波重畳部11が出力したd軸高周波重畳電流指令id2*およびq軸高周波重畳電流指令iq2*と、座標変換部13が出力したd軸検出電流idおよびq軸検出電流iqと、が各軸成分において一致するように、d軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*を生成する。
座標変換部13は、電流検出部15が検出したu相検出電流iu、v相検出電流ivおよびw相検出電流iwを、回転位置推定部20が演算した回転位置θに基づいて、座標変換することにより、d軸検出電流idおよびq軸検出電流iqを生成し、電流制御部12に出力する。さらに、座標変換部13は、電流制御部12が出力したd軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*を、回転位置推定部20が演算した回転位置θに基づいて、座標変換することにより、u相電圧指令vu*、v相電圧指令vv*およびw相電圧指令vw*を生成する。
電力変換部14は、交流回転機1にd軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqに対応する高周波成分が重畳されている高周波電力を供給する。すなわち、電力変換部14は、座標変換部13が出力したu相電圧指令vu*、v相電圧指令vv*およびw相電圧指令vw*に基づいた三相交流電圧を交流回転機1に印加する。電流検出部15は、電力変換部14が三相交流電圧を交流回転機1に印加する場合において、各相に流れる電流として、u相検出電流iu、v相検出電流ivおよびw相検出電流iwを検出する。
このように、電力供給部10は、d軸電流指令id1*およびq軸電流指令iq1*と、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、回転位置推定部20が演算した回転位置θと、に基づいて、高周波電力を交流回転機1に供給する。
また、d軸高周波重畳電流指令id2*およびq軸高周波重畳電流指令iq2*は、交流回転機1の実際の回転位置に対応するd−q軸上(以降では、実際のd−q軸上と称す)に対しての電流指令ではなく、回転位置推定部20が演算した回転位置に対応するd−q軸上(以降では、推定d−q軸上と称す)に対しての電流指令である。したがって、d軸高周波重畳電流指令id2*およびq軸高周波重畳電流指令iq2*は、実際のd−q軸と、推定d−q軸と、の位相差分だけずれて、交流回転機1に与えられることとなる。
次に、回転位置推定部20の詳細について説明する。回転位置推定部20には、トルク検出部2から、出力トルクTmが入力され、高周波信号生成部(図示せず)から、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqが入力される。ここで、回転位置推定部20に入力される出力トルクTmは、高周波電力が交流回転機1に供給されたことにより、交流回転機1が出力したトルクである。したがって、出力トルクTmには、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqに対応する高周波成分が含まれている。
また、回転位置推定部20は、出力トルク高周波生成部21、推定誤差演算部22および推定誤差制御部23を有する。さらに、推定誤差演算部22は、乗算部221、積分部222および位置誤差推定部223を含み、推定誤差制御部23は、PI制御部231を含む。
出力トルク高周波生成部21は、トルク検出部2が検出した出力トルクTmに基づいて、出力トルクTmに含まれている高周波成分に応じた出力トルク高周波Tmhfを抽出する。すなわち、出力トルク高周波生成部21は、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの角周波数wh近傍の信号のみを抽出することにより、出力トルク高周波Tmhfを生成し、推定誤差演算部22に出力する。なお、出力トルク高周波生成部21として、例えば、バンドパスフィルタなどを用いることができる。
また、推定誤差演算部22は、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、出力トルク高周波Tmhfと、に基づき、回転位置推定誤差Δθを演算する。なお、ここでいう「回転位置推定誤差Δθ」とは、実際のd−q軸と、推定d−q軸と、の位相差のことである。
乗算部221は、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqのそれぞれに、出力トルク高周波生成部21が出力した出力トルク高周波Tmhfを乗算することにより、d軸に対応する積Pdおよびq軸に対応する積Pqを演算し、積分部222に出力する。
積分部222は、乗算部221が出力した積Pdおよび積Pqのそれぞれを、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周期のN倍(Nは、1以上の整数)に相当する区間で、時間積分することにより、d軸相関値Zdおよびq軸相関値Zqを演算し、位置誤差推定部223に出力する。
位置誤差推定部223は、積分部222が出力したd軸相関値Zdをq軸相関値Zqで除算した除算値(Zd/Zq)の逆正接を演算することにより、回転位置推定誤差Δθを演算し、推定誤差制御部23に出力する。
また、推定誤差制御部23におけるPI制御部231は、位置誤差推定部223によって出力された回転位置推定誤差Δθが零となるように、制御演算を行うことで、回転位置θを演算し、電力供給部10に出力する。
なお、推定誤差制御部23は、PI制御部231により、回転位置θを演算したが、これに限定されず、他の方法で演算してもよい。すなわち、例えば、前回に演算した演算値に回転位置推定誤差Δθを加算して補正することにより、回転位置θを演算してもよい。
このように、回転位置推定部20は、高周波電力が供給された交流回転機1が出力した出力トルクTmから高周波成分を出力トルク高周波Tmhfとして抽出し、出力トルク高周波Tmhfと、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、に基づいて、回転位置θを演算し、電力供給部10にフィードバック(出力)する。
次に、回転位置推定部20が交流回転機1の回転位置θを演算する場合における具体的な演算方法について、図2を参照して説明する。図2は、本発明の実施の形態1において、実際のd−q軸および推定d−q軸と、高周波電流の合成ベクトルと、の位相関係を示した説明図である。
ここで、前述したように、d軸高周波重畳電流指令id2*およびq軸高周波重畳電流指令iq2*は、実際のd−q軸上ではなく、推定d−q軸上に対しての電流指令である。したがって、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqは、d軸高周波重畳電流指令id2*およびq軸高周波重畳電流指令iq2*と同様に、推定d−q軸上に重畳されることとなる。
この図2には、実際のd−q軸および推定d−q軸の位相関係が示されており、これらの軸の位相差を回転位置誤差Δθeとする。また、この図2において、推定d−q軸上に重畳される高周波電流の合成ベクトルもあわせて示されている。なお、ここでいう「高周波電流の合成ベクトル」とは、推定d−q軸上に重畳されるd軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの合成ベクトルのことである。
また、この図2から分かるように、推定d−q軸に重畳されるd軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqに対して、実際のd−q軸上に重畳されるd軸高周波電流Aidrおよびq軸高周波電流Aiqrは、回転位置誤差Δθeを用いると、下式(2)のように示される。
Figure 0005837230
また、トルク検出部2が検出した出力トルクTmにおいて、実際のd−q軸上に重畳されるd軸高周波電流Aidrおよびq軸高周波電流Aiqrに対応するトルクTm’は、下式(3)のように示される。また、下式(3)におけるパラメータとして、Pmは極対数を示し、φは誘起電圧定数を示し、LdおよびLqはインダクタンスのd軸成分およびq軸成分を示す。さらに、Pm、φ、LdおよびLqは、交流回転機1の特性を示す定数である。なお、出力トルクTmにおいて、d軸電流指令id1*およびq軸電流指令iq1*に対応するトルクは、ここでは、記載を省略する。
Figure 0005837230
また、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの角周波数whは、前述したように、d軸電流指令id1*およびq軸電流指令iq1*に含まれる周波数成分よりも、十分大きい値(所定倍だけ大きい値)になるように設定される。そのため、出力トルク高周波生成部21は、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqだけに基づいた出力トルク高周波Tmhfを生成することができる。
すなわち、出力トルク高周波生成部21は、出力トルクTm(d軸高周波電流Aidrおよびq軸高周波電流Aiqrに対応するトルクTm’)から、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの角周波数wh近傍の信号のみを抽出することにより、下式(4)のように示される出力トルク高周波Tmhfを生成することができる。
Figure 0005837230
ここで、上式(1)および上式(4)から分かるように、q軸高周波電流Aiqと、出力トルク高周波Tmhfと、の位相差は、回転位置誤差Δθeである。また、回転位置推定誤差Δθは、回転位置誤差Δθeと同等であるので、q軸高周波電流Aiqと、出力トルク高周波Tmhfと、の位相差である回転位置誤差Δθeが演算されれば、回転位置推定誤差Δθが演算されることとなる。
次に、推定誤差演算部22における乗算部221は、上式(1)のように示されるd軸高周波電流Aidと、上式(4)のように示される出力トルク高周波Tmhfと、を乗算することにより、d軸に対応する積Pdを演算し、積分部222に出力する。
また、積分部222は、乗算部221が出力した積Pdを、下式(5)に示すように、時刻t1から時刻t2の区間で時間積分することにより、d軸相関値Zdを演算し、位置誤差推定部223に出力する。ただし、上式(1)および上式(4)における回転位置誤差Δθeは、回転位置推定誤差Δθと同等であるので、下式(5)に示すように、回転位置誤差Δθeを回転位置推定誤差Δθとして置き換えている。
Figure 0005837230
なお、d軸相関値Zdを適切に算出するためには、積分区間(時間積分する区間)は、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周期のN倍(Nは、1以上の整数)であればよい。ここでは、出力トルク高周波Tmhfの変動に対して、d軸相関値Zdの応答性を向上させるために、N=1(すなわち、一周期分)とする。また、上式(5)における時刻t2は、積分演算時点での現在時刻として、時刻t1は、下式(6)のように示される時刻とする。
Figure 0005837230
また、q軸相関値Zqは、乗算部221および積分部222がd軸相関値Zdの演算と同様の動作を行うことにより、下式(7)に示すように、演算され、位置誤差推定部223に出力される。
Figure 0005837230
位置誤差推定部223は、下式(8)に示すように、積分部222が出力したd軸相関値Zdをq軸相関値Zqで除算し、除算値(Zd/Zq)の逆正接を演算することにより、回転位置推定誤差Δθを演算し、推定誤差制御部23に出力する。
Figure 0005837230
このように、本願発明は、出力トルク高周波生成部21が出力した出力トルク高周波Tmhfと、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、に間に生じる位相差が回転位置推定誤差Δθと同等になるという特性を利用していることを1つの技術的特徴としている。したがって、推定誤差演算部22は、このような特性を利用して、上述した演算方法により、回転位置推定誤差Δθを演算することができる。
また、推定誤差制御部23におけるPI制御部231は、下式(9)に示すように、位置誤差推定部223が出力した回転位置推定誤差Δθに対する制御演算を行うことで、回転位置θを演算し、電力供給部10に出力する。
Figure 0005837230
なお、上式(9)におけるsは、ラプラス演算子であり、KPは比例定数、KIは積分定数である。また、PI制御部231が、回転位置推定誤差Δθが零となるように、制御演算を行うことで、回転位置θを演算するように、比例定数KPおよび積分定数KIを設定する必要がある。
このように、回転位置推定部20は、推定d−q軸上に、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqが重畳された場合における出力トルクTmと、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、に基づいて、回転位置θを演算することにより、結果として、位置センサを用いることなく、回転位置θを精度良く推定することができる。
ここで、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqに対応した出力トルク高周波Tmhfは、交流回転機1の回転数の影響を受けることなく発生する。したがって、回転位置推定部20は、交流回転機1の回転数に関わらず、回転位置θを精度良く推定することができ、特に、回転子が低回転時または停止時の場合に、回転位置θをより精度良く推定することができる。
また、交流回転機1が非突極の場合(すなわち、交流回転機1のインダクタンスLdおよびLqが一致する場合)であっても、上式(3)のように示されるトルクTm’から抽出される出力トルク高周波Tmhfは、上式(4)のように示される。したがって、回転位置推定部20は、交流回転機1における突極性の有無に関わらず、回転位置θを精度良く推定することができる。
また、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqに対応した出力トルク高周波Tmhfは、交流回転機1における磁気飽和発生の有無に関わらず発生する。したがって、回転位置推定部20は、交流回転機1における磁気飽和発生の有無に関わらず、回転位置θを精度良く推定することができる。
ここで、本実施の形態1では、上述したように、出力トルク高周波Tmhfと、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、の間に生じる位相差が回転位置推定誤差Δθと同等になるという特性を利用することにより、回転位置演算部20が上式に示すような演算を行い、回転位置θを推定するように構成している。そして、本実施の形態1では、この位相差が回転位置推定誤差Δθと同等になるという特性を利用することが技術的特徴である。したがって、本実施の形態1において示した具体的な演算方法は、この位相差を演算するための一例に過ぎず、これに限定されることはない。すなわち、この位相差を演算することができれば、どのように演算してもよい。
次に、交流回転機の制御装置における前述した動作以外の動作例について説明する。交流回転機の制御装置の動作は、前述した動作に限定されず、以下のような動作を行うように、交流回転機の制御装置を構成することによっても、同様の効果が得られる。
(動作例1)
前述したように、電流制御部12は、d軸高周波重畳電流指令id2*およびq軸高周波重畳電流指令iq2*と、d軸検出電流idおよびq軸検出電流iqと、が一致するように、d軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*を演算する。そのため、d軸高周波重畳電流指令id2*およびq軸高周波重畳電流指令iq2*と、d軸検出電流idおよびq軸検出電流iqと、が同等である。
したがって、回転位置推定部20には、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqが入力される代わりに、d軸検出電流idおよびq軸検出電流iqの角周波数wh近傍の信号を抽出することにより生成したd軸高周波検出電流Aid’およびq軸高周波検出電流Aiq’が入力されるように構成してもよい。そして、回転位置推定部20は、出力トルクTmと、d軸高周波検出電流Aid’およびq軸高周波検出電流Aiq’と、に基づいて、同様に回転位置θを演算することができる。
ただし、d軸高周波検出電流Aid’およびq軸高周波検出電流Aiq’を生成すると、その生成分だけ演算量が増大する可能性がある。したがって、演算処理負荷の面を考慮する場合、回転位置推定部20は、前述したように、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqを用いることにより、回転位置θを演算することが好ましい。
(動作例2)
本実施の形態1における交流回転機の制御装置は、電力供給部10において重畳する高周波電力、及び回転位置推定部20において演算で使用する高周波電力を電流としているが、これらを電圧としてもよい。例えば、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの代わりに、d軸高周波信号およびq軸高周波信号として、高周波電圧を用いることにより、回転位置θを演算してもよい。
すなわち、電力供給部10が、d軸電流指令id1*およびq軸電流指令iq1*に、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqを重畳する代わりに、電流制御部12が出力したd軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*に、d軸高周波電圧Avdおよびq軸高周波電圧Avqを重畳するように構成してもよい。
また、電力供給部10が、d軸基準指令信号およびq軸基準指令信号として入力されたd軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*に、d軸高周波電圧Avdおよびq軸高周波電圧Avqを重畳するように構成してもよい。そして、回転位置推定部20は、出力トルクTmと、d軸高周波電圧Avdおよびq軸高周波電圧Avqと、に基づいて、同様に回転位置θを演算することができる。
ただし、q軸高周波電流Aiqと、出力トルク高周波Tmhfと、の位相が常に一致するのに対して、q軸高周波電圧と、出力トルク高周波Tmhfと、の位相差は、一致することなく、増大する。これは、交流回転機1の回転数が増加するほど、d軸方向鎖交磁束に起因する電圧成分が増加するからである。
そのため、回転位置推定部20は、d軸高周波電圧Avdおよびq軸高周波電圧Avqを用いることにより、回転位置θを演算すると、この位相差に基づく誤差が生じる可能性がある。したがって、回転位置θの推定精度の面を考慮すると、回転位置推定部20は、前述したように、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqを用いることにより、回転位置θを演算することが好ましい。
(動作例3)
本実施の形態1における交流回転機1の制御装置では、電力供給部10において重畳する高周波電力、回転位置推定部20の演算で使用する高周波はそれぞれd軸方向およびq軸方向の電力であるが、任意の座標系に対応する電力を用いることにより、回転位置θを演算してもよい。
すなわち、例えば、電力供給部10が、交流回転機1に対して静止した座標系であるα−β軸上にα軸方向に対応するα軸高周波電流Aiαおよびβ軸方向に対応するβ軸高周波電流Aiβを重畳するように構成してもよい。そして、回転位置推定部20は、出力トルクTmと、α軸高周波電流Aiα、β軸高周波電流Aiβと、に基づいて、回転位置θを演算することができる。
この場合に、電力供給部10は、回転位置推定部20が出力する回転位置θを用いて交流回転機1の回転子と同期して回転するd−q軸上のd軸電流指令id1*およびq軸電流指令iq1*をα−β軸上のα軸電流指令iα1*およびq軸電流指令iα1*に座標変換し、高周波重畳部11においてα軸高周波電流Aiα、β軸高周波電流Aiβをそれぞれ加算することでα軸高周波重畳電流指令iα2*およびβ軸高周波重畳電流指令iα2を算出する。電流制御部12に供給されるd軸高周波重畳電流指令id2*およびq軸高周波重畳電流指令iq2*は回転位置推定部20が出力する回転位置θを用いてα軸高周波重畳電流指令iα2*およびβ軸高周波重畳電流指令iα2をd−q軸上に座標変換することによって算出される。
また、回転位置推定部20では、推定誤差演算部22と同様の演算を行うことにより、静止座標系α−β軸と実際のd−q軸との位相差を算出することが可能である。ここで、静止座標系α−β軸と実際のd−q軸との位相差は回転位置θそのものに他ならない。すなわち、この場合、推定誤差制御部23相当の演算は不要であり、推定誤差演算部22と同様の演算のみによって回転位置θを算出することが可能である。
また、例えば、電力供給部10が、交流回転機1に対して静止した座標系上のu相電圧指令vu*、v相電圧指令vv*およびw相電圧指令vw*に、それぞれの位相差が120度であるu相高周波電圧Avu、v相高周波電圧Avvおよびw相高周波電圧Avwを重畳するように構成してもよい。そして、回転位置推定部20は、出力トルクTmと、u相高周波電圧Avu、v相高周波電圧Avvおよびw相高周波電圧Avwと、に基づいて、同様に回転位置θを演算することができる。
この場合に、推定誤差演算部22は、上式(5)に示したd軸相関値Zdと同様に、u相高周波電圧Avu、v相高周波電圧Avvおよびw相高周波電圧Avwのそれぞれと、出力トルク高周波Tmhfと、の相互相関関数を演算することにより、u相相関値Zu、v相相関値Zvおよびw相相関値Zwを演算する。
さらに、u相相関値Zu、v相相関値Zvおよびw相相関値Zwを直交した静止座標系であるα−β軸上に対応するα軸相関値Zα、β軸相関値Zβに変換し、α軸相関値Zα、β軸相関値Zβで除算し、除算値(Zα/Zβ)の逆正接を演算することにより静止座標系α−β軸と実際のd−q軸との位相差である回転位置θを算出することが可能である。
(動作例4)
回転位置推定部20が、上式(3)に示したトルクTm’の角周波数whの2倍の周波数成分と、角周波数whの2倍の周波数を有するd軸高周波電流およびq軸高周波電流と、に基づいて、回転位置θを演算するように構成してもよい。すなわち、上式(3)に示すように、トルクTm’は、角周波数whを有する第1正弦波と、角周波数whの2倍の周波数を有する第2正弦波と、から構成されており、第1正弦波の代わりに第2正弦波を用いる。
この場合に、出力トルク高周波生成部21は、トルクTm’から角周波数whの2倍の周波数近傍の信号のみを抽出することにより、角周波数whの2倍の周波数に対応する出力トルク高周波Tmhf’を生成する。したがって、回転位置推定部20は、出力トルク高周波Tmhf’と、角周波数whの2倍の周波数を有するd軸高周波電流およびq軸高周波電流と、に基づいて、同様に回転位置θを演算することができる。
以上、本発明の実施の形態1によれば、交流回転機の制御装置は交流回転機と、交流回転機に電力を供給する電力供給器と、交流回転機の出力トルクを検出するトルク検出手段と、交流回転機の回転位置を推定する回転位置推定手段とを備え、電力供給器は交流回転機に供給する所望の電流或いは電圧に位相の異なる少なくとも2つ以上の軸成分から成る所定の高周波電流或いは高周波電圧を加え、回転位置推定手段は出力トルクに含まれる高周波成分と高周波電流或いは電圧に対応する高周波成分に基づいて回転位置を推定することを特徴としている。これにより、交流回転機の回転速度、電気的突極性の有無および磁気飽和発生の有無といった制約に課されることなく、交流回転機の回転位置を推定することのできる交流回転機の制御装置、交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムおよび電動パワーステアリングシステムを得ることができる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、交流回転機1の出力トルクTmと、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、に基づいて、回転位置θを推定する回転位置推定部20を備えた交流回転機の制御装置について説明した。これに対して、本発明の実施の形態2では、さらに、交流回転機1の回転数を考慮して、回転位置θを推定する回転位置推定部20aを備えた交流回転機の制御装置について説明する。
ここで、本実施の形態2における交流回転機の制御装置は、交流回転機1の回転速度wが所定値未満(所定の回転数未満)の場合には、回転位置θとして、先の実施の形態1と同様に第1の回転位置θ1を出力するのに対して、回転速度wが所定値以上(所定の回転数以上)の場合には、回転位置θとして、交流回転機1の誘起電圧に基づいて算出した第2の回転位置θ2を出力する。
これにより、交流回転機1の回転速度wが、低速または停止時である場合(所定値未満の場合に相当)には、先の実施の形態1と同様に、回転位置θを精度良く推定することができるとともに、回転速度wが、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周波数よりも大きくなるような高速の場合(所定値以上の場合に相当)には、先の実施の形態1と比較して、回転位置θをより精度良く推定することができるという技術的特徴を有する。
図3は、本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置を示した構成図である。この図3における交流回転機の制御装置は、電力供給部10および回転位置推定部20aを備える。また、回転位置推定部20aは、出力トルク高周波生成部21、推定誤差演算部22、推定誤差制御部23、誘起電圧推定部24、切換部25および速度推定部26を有する。
ここで、この図3における交流回転機の制御装置を構成する各部について、先の図1における交流回転機の制御装置と比較すると、回転位置推定部20の代わりに、回転位置推定部20aが用いられている。また、回転位置推定部20aには、回転位置推定部20と比較すると、誘起電圧推定部24、切換部25および速度推定部26が新たに加わったことが分かる。なお、図3に示した構成において、誘起電圧推定部24、切換部25および速度推定部26以外は、先の実施の形態1で説明した機能構成・動作と同等であるので、詳細な説明を省略する。
この図3における交流回転機の制御装置において、出力トルク高周波生成部21、推定誤差演算部22および推定誤差制御部23は、先の実施の形態1と同様の動作を行う。この場合に、推定誤差制御部23は、第1の回転位置θ1を演算することができる(本実施の形態2では、推定誤差制御部23が演算する回転位置を第1の回転位置θ1とする)。
また、誘起電圧推定部24は、電流制御部12が出力したd軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*と、座標変換部13が出力したd軸検出電流idおよびq軸検出電流iqと、に基づいて、適応オブザーバおよび積分器を用いた公知の方法(例えば、特許文献1に記載)によって、交流回転機1が発生させる誘起電圧を推定し、第2の回転位置θ2を演算する(本実施の形態2では、誘起電圧推定部24が演算する回転位置を第2の回転位置θ2とする)。
なお、誘起電圧推定部24は、例えば、座標変換部13が出力したu相電圧指令vu*、v相電圧指令vv*およびw相電圧指令vw*と、電流検出部15が検出したu相検出電流iu、v相検出電流ivおよびw相検出電流iwなど、任意の座標系の電圧指令、検出電流に基づいて、誘起電圧を推定してもよい。
切換部25は、推定誤差制御部23が出力した第1の回転位置θ1と、誘起電圧推定部24が出力した第2の回転位置θ2と、後述する速度推定部26が出力した回転速度wと、に基づいて、回転位置θを出力する。すなわち、切換部25は、回転速度wが所定値未満の場合には、第1の回転位置θ1を選択し、回転速度wが所定値以上の場合には、第2の回転位置θ2を選択し、選択した回転位置を回転位置θとして出力する。なお、この所定値は、あらかじめ規定しておけばよい。
速度推定部26は、切換部25が出力した回転位置θを微分することにより、交流回転機1の回転速度wを演算し、切換部25に出力する。なお、切換部25は、回転速度wが零(交流回転機1が停止時)の場合に、初期設定として、第1の回転位置θ1を選択する。
このように、回転位置推定部20aは、回転速度wが所定値未満の場合には、先の実施の形態1と同様に、出力トルクTmと、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、に基づいて演算した回転位置θ1を出力する。これに対して、回転位置推定部20は、回転速度wが所定値以上の場合には、交流回転機1の誘起電圧に基づいて演算した回転位置θ2を出力する。
すなわち、回転位置推定部20aは、出力トルクTmと、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、d軸検出電流idおよびq軸検出電流iqと、d軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*と、に基づいて、交流回転機1の回転速度wに応じた回転位置θを演算し、電力供給部10に出力することとなる。
なお、誘起電圧推定部24は、適応オブザーバおよび積分器を用いた公知の方法によって第2の回転位置θ2を演算したが、これに限定されず、その他公知の方法による誘起電圧推定に基づいて、第2の回転位置θ2を演算してもよい。
また、切換部25が第2の回転位置θ2を、回転位置θとして選択した場合に、第1の回転位置θ1の演算が不要となるので、電力供給部10は、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの重畳を停止してもよい。この場合に、これらの高周波電流を交流回転機1に供給することによる影響を必要最小限とすることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態2によれば、交流回転機の制御装置は、出力トルクに含まれる高周波成分と高周波電流或いは電圧に対応する高周波成分に基づき算出する回転位置と交流回転機の誘起電圧に基づき算出する回転位置の双方により回転位置を推定し、交流回転機が所定の回転数以上で動作している場合のみ交流回転機の誘起電圧に基づき算出する回転位置を使用することを特徴としている。すなわち、交流回転機の回転速度が、低速または停止時である場合には、第1の回転位置を採用し、回転速度が、d軸高周波電流およびq軸高周波電流の周波数よりも大きくなるような高速の場合には、第2の回転位置を採用することで、広範な速度範囲に渡って、回転位置を精度良く推定することができる。
実施の形態3.
先の実施の形態1、2では、交流回転機の制御装置について説明した。これに対して、本実施の形態3では、先の実施の形態2における交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムについて説明する。なお、本実施の形態3における交流回転機駆動システムには、先の実施の形態2における交流回転機の制御装置の代わりに、先の実施の形態1における交流回転機の制御装置を備えてもよい。また、本実施の形態3では、具体的に例示して説明するために、交流回転機駆動システムの一例である電動パワーリングシステムについて説明する。
ここで、電動パワーステアリングシステムにおける交流回転機1には、交流回転機1の全動作域において、安定して動作することが要求される。さらに、運転者が操作する場合に、滑らかな操舵性および静音性が要求されるので、トルクリプルの小さい非突極の交流回転機1が用いられることが好ましい。したがって、本実施の形態1、2における交流回転機の制御装置を、電動パワーステアリングシステムに適用すれば、交流回転機1の回転数、突極性の有無および磁気飽和発生の有無に関わらず、回転位置θを安定して精度良く推定することができるので、従来技術と比較した有利な効果が得られる。
また、先の実施の形態1、2では、トルク検出部2が交流回転機1の出力軸上で直接、出力トルクTmを検出する場合について説明した。これに対して、先の実施の形態1、2における交流回転機の制御装置を、一般的な電動パワーステアリングシステムに適用した場合には、トルク検出部2は、交流回転機1の出力軸上で直接、出力トルクTmを検出しない。したがって、本実施の形態3において、トルク検出部2が検出する出力トルクTmは、先の実施の形態1、2とは異なり、交流回転機1の出力軸上に加わる出力トルク(以降では、交流回転機1の出力トルクTm0と称す)と一致しない。また、出力トルクTmと、出力トルクTm0と、の間には、トルクの周波数に依存した所定の位相差θ0が存在する。
したがって、より精度良く回転位置θを推定する場合には、この所定の位相差θ0を考慮しなければならない。本実施の形態3では、所定の位相差θ0を考慮することにより、回転位置θをより精度良く推定することのできる電動パワーステアリングシステムについて、具体的に例示して説明する。
図4は、本発明の実施の形態3における電動パワーステアリングシステムを示した構成図である。この図4における電動パワーステアリングシステムは、交流回転機1、トルク検出部2、電力供給部10、回転位置推定部20b、ハンドル30、前輪40、ギア50および伝達軸60を備える。
ここで、この図4における電動パワーステアリングシステムを構成する各部について、交流回転機1、トルク検出部2および電力供給部10は、先の実施の形態1、2で説明した機能構成・動作と同等であるので、詳細な説明を省略する。また、回転位置推定部20bには、先の実施の形態2における回転位置推定部20aと比較すると、位置誤差推定部223の代わりに、位置誤差推定部223bが用いられている。なお、回転位置推定部20bにおいて、位置誤差推定部223b以外は、先の実施の形態1、2で説明した機能構成・動作と同等であるので、詳細な説明を省略する。
運転者は、ハンドル30を左右に回転させて、前輪40の操舵を行う。ギア50は、交流回転機1の出力トルクTm0を伝達軸60に伝達する。伝達軸60は伝達された交流回転機の出力トルクをハンドル30及び前輪40に伝達し、運転者の操舵を補助する。トルク検出部2は伝達軸60に接続され、トルク検出部2を構成するトーションバーの捩れからギア22を介して伝達される伝達軸23上の交流回転機の出力トルクおよび運転手の操舵トルクに基づく出力トルクTmを検出し、出力トルクTmを回転位置推定手段9bに出力する。
また、推定誤差演算部22における乗算部221および積分部222は、先の実施の形態1、2と同様の動作を行う。この場合に、位置誤差推定部223bは、積分部222が出力したd軸相関値Zdをq軸相関値Zqで除算し、除算値の逆正接を演算する。さらに、位置誤差推定部223bは、この演算値から、所定の位相差θ0を減算することにより、回転位置推定誤差Δθを演算し、推定誤差制御部23に出力する。なお、所定の位相差θ0については、後述する。
また、電力供給部10に入力されるd軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周波数は、運転者による操舵トルクThの周波数よりも十分大きく、さらに、交流回転機1の慣性と、ハンドル30の慣性と、伝達軸60の剛性と、に起因する共振周波数よりも十分大きい、かつ電流制御部がd軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*を生成する際の一般的な制御応答である500Hzよりも十分小さい周波数になるように設定される。従って、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周波数は、特に、20Hz以上300Hz以下の範囲内で設定されることが好ましい。
次に、位置誤差推定部223bが、所定の位相差θ0を減算することにより、回転位置推定誤差Δθを演算する演算方法について、図5および図6を参照して説明する。図5は、本発明の実施の形態3において、交流回転機1の出力軸、ハンドル30および伝達軸60のそれぞれに加わるトルクの関係を示した説明図である。図6は、本実施の形態3において、交流回転機1の出力軸に加わる出力トルクTm0に対応した出力トルク高周波Tmhf0と、トルク検出部2が検出した出力トルクTmに対応した出力トルク高周波Tmhfと、の位相関係を示した説明図である。
この図5には、交流回転機1、ハンドル30およびトルク検出部2を構成するトーションバーのそれぞれに加わるトルクの関係が、機械的に等価な構造によって示されている。ここで、伝達軸60はトルク検出部2を構成するトーションバーと比較して十分剛であることとし、無視している。また、この図5には、交流回転機1の慣性モーメントJmと、交流回転機1の出力軸に加わる出力トルクTm0と、ハンドル30の慣性モーメントJhと、運転者による操舵トルクThと、ギア50のギア比Gと、伝達軸60に加わる出力トルクTmと、トルク検出部2を構成するトーションバーの減衰定数Cと、トルク検出部2を構成するトーションバーのバネ定数Kと、が示されている。
ここで、出力トルクTm、出力トルクTm0および操舵トルクThの関係は、下式(10)のように示される。
Figure 0005837230
また、電力供給部10に入力されるd軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周波数は、前述したように、操舵トルクThの周波数よりも十分大きい周波数になるように設定される。したがって、上式(10)において、出力トルクTm0の角周波数wh成分を出力トルク高周波Tmhf0として、出力トルクTmの角周波数wh成分を出力トルク高周波Tmhfとした場合に、出力トルク高周波Tmhfは、下式(11)のように示される。
Figure 0005837230
また、上式(11)におけるギア比G、慣性モーメントJm、減衰定数Cおよびバネ定数Kのそれぞれは、ギア50、交流回転機1および伝達軸60の機械的特性を表す定数である。したがって、出力トルク高周波Tmhf0および出力トルク高周波Tmhfの位相差は、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周波数のみに依存することが分かる。この出力トルク高周波Tmhf0および出力トルク高周波Tmhfの位相差が、前述した所定の位相差θ0となる。なお、所定の位相差θ0は、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周波数に基づいて値が決まる。
また、この図6には、先の図2と同様に、実際のd−q軸および推定d−q軸の位相関係が示されており、これらの軸の位相差が回転位置推定誤差Δθである。さらに、この図6には、交流回転機1の出力軸に加わる出力トルクTm0に対応した出力トルク高周波Tmhf0と、トルク検出部2が検出した出力トルクTmに対応した出力トルク高周波Tmhfと、の位相関係が図示されている。
ここで、出力トルク高周波Tmhf0は、交流回転機1の出力軸に加わる出力トルクTm0に対応するので、図6に示すように、推定d−q軸との位相差がΔθである実際のd−q軸上におけるq軸上に位置する。また、前述したように、出力トルク高周波Tmhf0と、出力トルク高周波Tmhfと、の位相差が所定の位相差θ0であるので、図6に示すように、出力トルク高周波Tmhfは、出力トルク高周波Tmhf0が位置するq軸上から所定の位相差θ0だけ回転した位置に位置する。
このように、位置誤差推定部223bは、積分部222が出力した相関値Zdを相関値Zqで除算した除算値の逆正接を演算し、この演算値から、所定の位相差θ0を減算することにより、回転位置推定誤差Δθをより精度良く演算することができる。そのため、回転位置推定部20は、トルク検出部2が検出した出力トルクTmと、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqと、に基づいて、先の実施の形態1、2と同様に、回転位置θを演算することが可能となる。
したがって、電動パワーステアリングシステムにおいて、位置センサを用いることなく、交流回転機1の全動作域で安定した運転手の操舵補助を行うことができる。さらに、交流回転機1の出力軸における出力トルクTm0と、トルク検出部2が検出した出力トルクTmと、の間に存在する所定の位相差θが考慮されているので、回転位置推定部20は、回転位置θをより精度良く推定することができる。
また、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周波数が、交流回転機1の慣性と、ハンドル30の慣性と、伝達軸60の剛性と、に起因する共振周波数よりも、十分高い周波数であり、かつ電流制御部がd軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*を生成する際の一般的な制御応答である500Hzよりも十分小さい20Hz以上300Hz以下の範囲内で設定される場合に、回転位置推定部20は、回転位置θをより精度良く推定することができる。さらに、回転位置推定部20における回転位置θの推定精度に対する電流制御部との干渉を最小限にする場合、d軸高周波電流Aidおよびq軸高周波電流Aiqの周波数を20Hz以上150Hz以下の範囲内で設定すると良い。すなわち、高周波電力を交流回転機1に供給することによって発生する交流回転機1の振動を最小限とすることができる。したがって、交流回転機1の動作に影響を及ぼすことがないので、回転位置推定部20は、回転位置θをより精度良く推定することができる。
なお、本実施の形態3において、電動パワーステアリングシステムを例示して説明したが、回転負荷であるハンドル30は、ハンドル以外の慣性モーメントに置き換えてもよく、電動パワーステアリング以外のいわゆる2慣性系として知られている装置のシステムに、本実施の形態1、2における交流回転機の制御装置を適用しても、同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施の形態3によれば、交流回転機駆動システムに適用された交流回転機の制御装置は、位置センサを使用することなく、交流回転機の回転数、突極性の有無、磁気飽和発生の有無といった制約に課されることなく、回転位置を安定して精度良く推定することができる。これにより、優れた操舵性および高い安全性を確保した交流回転機駆動システムを得ることができる。
なお、本実施の形態3において、交流回転機駆動システムの一例である電動パワーステアリングシステムが位置センサを備えない場合について説明したが、これに限定されず、位置センサを備えてもよい。すなわち、例えば、通常時において、位置センサにより回転位置を検出し、位置センサが故障した場合などの特定の条件下において、交流回転機の制御装置が回転位置を推定するようにしてもよい。
これにより、通常時には、位置センサが回転位置を検出し、位置センサが故障した場合には、交流回転機の制御装置が回転位置を推定することができるので、位置センサの故障後においても、安全な継続運転が可能となる。
1 交流回転機、2 トルク検出部、10 電力供給部、11 高周波重畳部、12 電流制御部、13 座標変換部、14 電力変換部、15 電流検出部、20、20a、20b 回転位置推定部、21 出力トルク高周波生成部、22 推定誤差演算部、23 推定誤差制御部、24 誘起電圧推定部、25 切換部、26 速度推定部、30 ハンドル、40 前輪、50 ギア、60 伝達軸、221 乗算部、222 積分部、223、223b 位置誤差推定部、231 PI制御部。

Claims (14)

  1. 交流回転機と、
    前記交流回転機に電力を供給する電力供給部と、
    前記交流回転機の出力トルクを検出するトルク検出部と、
    前記交流回転機の回転位置を推定する回転位置推定部と、
    を備え、
    前記電力供給部は、前記交流回転機に供給する所望の電力に位相の異なる少なくとも2つ以上の軸成分から成る所定の高周波電力を加え、
    前記回転位置推定部は、前記出力トルクに含まれる高周波成分と、前記高周波電力に対応する高周波成分とに基づいて、回転位置を推定する
    交流回転機の制御装置。
  2. 前記電力供給部は、前記高周波電力を前記回転位置と同期して回転する回転座標軸上に供給する
    請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  3. 前記電力供給部は、前記高周波電力を静止直交座標軸上に供給する
    請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  4. 前記高周波電力に対応する高周波成分は、高周波電流である
    請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  5. 前記高周波電力に対応する高周波電流は、電流指令である
    請求項4に記載の交流回転機の制御装置。
  6. 前記電力供給部が加える所定の高周波電力は、高周波電流である
    請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  7. 前記回転位置推定部は、
    前記出力トルクに含まれる高周波成分と、前記高周波電力に対応する高周波電流とに基づいて、推定回転位置の誤差である回転位置推定誤差を出力する推定誤差演算部と、
    前記回転位置推定誤差が零となるように、前記回転位置を算出し、出力する推定誤差制御部と、
    を備える請求項2に記載の交流回転機の制御装置。
  8. 前記推定誤差演算部は、
    前記出力トルクに含まれる高周波成分と、前記高周波電力に対応する高周波電流の前記推定回転位置と同期して回転する回転座標軸の各軸成分それぞれとを乗算する乗算部と、
    前記乗算部の出力それぞれを少なくとも前記高周波電力の周期よりも長い区間積分する積分部と、
    前記積分部の出力それぞれの関係から逆正接関数に基づいて、前記回転位置推定誤差を算出する位置誤差推定部と、
    を備える請求項7に記載の交流回転機の制御装置。
  9. 前記回転位置推定部は、
    前記出力トルクに含まれる高周波成分と、前記高周波電力に対応する高周波電流の静止直交座標軸の各軸成分それぞれとを乗算する乗算部と、
    前記乗算部の出力それぞれを少なくとも前記高周波電力の周期よりも長い区間積分する積分部と、
    前記積分部の出力それぞれの関係から逆正接関数に基づいて、前記回転位置を算出する位置誤差推定部と、
    を備える請求項3に記載の交流回転機の制御装置。
  10. 前記位置誤差推定部は、前記積分部の出力それぞれの関係から逆正接関数により算出した位置に所定値を加減算した値を回転位置推定誤差として出力するようにした
    請求項8または9に記載の交流回転機の制御装置。
  11. 前記回転位置推定部は、前記出力トルクに含まれる高周波成分と前記高周波電力に対応する高周波成分に基づき算出する回転位置と、前記交流回転機の誘起電圧に基づき算出する回転位置との双方により回転位置を推定する
    請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  12. 前記回転位置推定部は、前記交流回転機が所定の回転数以上で動作している場合のみ前記交流回転機の誘起電圧に基づき算出する回転位置を使用する
    請求項11に記載の交流回転機の制御装置。
  13. 請求項1に記載の交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムであって、
    前記交流回転機駆動システムは、
    前記交流回転機の出力トルクを伝達する伝達軸と、
    伝達軸を介して交流回転機の出力トルクが加えられる回転負荷と
    を備え、
    前記電力供給部が加える所定の高周波電力は、前記交流回転機駆動システムの交流回転機の慣性と回転負荷の慣性と伝達軸の剛性に起因する共振周波数よりも高い周波数とした
    交流回転機駆動システム。
  14. 請求項13に記載の交流回転機駆動システムは、
    電動パワーステアリングシステムであって、
    前記電力供給部が加える所定の高周波電力は、20Hz以上300Hz以下の範囲内の周波数とした
    電動パワーステアリングシステム。
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