JP6500877B2 - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6500877B2
JP6500877B2 JP2016219796A JP2016219796A JP6500877B2 JP 6500877 B2 JP6500877 B2 JP 6500877B2 JP 2016219796 A JP2016219796 A JP 2016219796A JP 2016219796 A JP2016219796 A JP 2016219796A JP 6500877 B2 JP6500877 B2 JP 6500877B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
voltage
motor
waveform
pulse
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016219796A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017131094A (ja
Inventor
遠齢 洪
遠齢 洪
賢樹 岡村
賢樹 岡村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to US15/408,692 priority Critical patent/US10158312B2/en
Priority to CN201710037719.6A priority patent/CN106992735B/zh
Publication of JP2017131094A publication Critical patent/JP2017131094A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6500877B2 publication Critical patent/JP6500877B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P27/00Arrangements or methods for the control of AC motors characterised by the kind of supply voltage

Description

本発明は、モータを制御するモータ制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、例えば、モータに電力を供給するインバータを、PWM(Pulse Width Modulation)信号によってスイッチング制御する装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では特に、モータの回転周波数及びトルク指令に基づいて、インバータのスイッチング周波数及びモータ電流の歪み率が少なくなることを条件として、モータの1電気周期中のパルス数を生成し、電圧指令と該生成されたパルス数とに基づいて、該電圧指令に同期したPWM信号を生成することが開示されている。
特開2013−187933号公報
この種の装置には、バッテリとインバータとの間に配置された昇圧回路を備える装置がある。昇圧回路はリアクトル及びキャパシタを有し、該リアクトル及びキャパシタによりLC回路が構成される。すると、モータの動作点によっては、該LC回路が共振する(即ち、昇圧回路で共振が発生する)。上記特許文献1に記載の技術では、昇圧回路の共振については考慮されていないという技術的問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、昇圧回路の共振を抑制しつつ、エネルギー効率を向上させることができるモータ制御装置を提供することを課題とする。
本発明の第1のモータ制御装置は、上記課題を解決するために、バッテリに電気的に接続された昇圧回路と、一端が前記昇圧回路に電気的に接続されると共に、他端がモータに電気的に接続されたインバータと、を備えるモータ制御装置であって、前記モータに矩形波電圧を出力するように前記インバータを制御して、前記モータを駆動する制御手段を備え、前記制御手段は、前記モータの動作点が、前記昇圧回路で共振が生じる動作領域である共振領域に該当することを条件に、前記モータに係る電圧指令と前記モータに係る電流との位相差に基づいて、前記矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転するように前記インバータを制御する。
上述したように、モータの動作点によっては、昇圧回路で共振が発生する。具体的には、モータの駆動電力における電気周波数の6次成分(電気6次周波数)が、昇圧回路におけるLC回路の共振周波数を含む所定の周波数帯に該当すると、モータの駆動電力における高調波によりLC回路が共振する。この結果、昇圧回路からインバータに供給される電圧である昇圧電圧が変動し、バッテリから出力される電流も変動する。
本願発明者の研究によれば、昇圧回路で共振が発生する場合に、インバータからモータへ出力される矩形波電圧の矩形波の形状を所定のタイミングで変化させる(例えば、180度毎にハイレベル・ローレベルが反転する矩形波を、90度及び270度で更にハイレベル・ローレベルを反転させる等)と、電気6次周波数を高周波化することができ、結果として、昇圧回路での共振の発生を回避できることが判明している。
本発明の第1のモータ制御装置では、モータの動作点が共振領域に該当することを条件に、制御手段により、モータに係る電圧指令とモータに係る電流との位相差に基づいて、矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転するようにインバータが制御される。
矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転されることにより元の矩形波(例えば、180度毎に電圧極性が反転する矩形波)の形状が変化するので、当該モータ制御装置によれば、昇圧回路での共振の発生を抑制することができる。加えて、当該モータ制御装置では、矩形波電圧を用いてモータが駆動されるので(即ち、矩形波制御によりモータが駆動されるので)、PWM制御によりモータが駆動される場合に比べてインバータにおけるスイッチング損失を低減することができ、エネルギー効率を向上させることができる。
特に、モータに係る電圧指令とモータに係る電流との位相差に基づいて、矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転するようにインバータが制御されることにより、昇圧回路での共振の発生を好適に抑制できることが、本願発明者の研究により判明している。
本発明の第2のモータ制御装置は、上記課題を解決するために、バッテリに電気的に接続された昇圧回路と、一端が前記昇圧回路に電気的に接続されると共に、他端が三相コイルを有するモータに接続されたインバータと、を備えるモータ制御装置であって、前記モータに矩形波電圧を出力するように前記インバータを制御して、前記モータを駆動する制御手段を備え、前記制御手段は、前記出力される矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転するように前記インバータを制御し、前記制御手段は、前記モータに供給される矩形波電圧に係るU相電圧波形、V相電圧波形及びW相電圧波形と、前記モータに供給される電流に係るU相電流波形、V相電流波形及びW相電流波形と、前記インバータに係る入力電圧とに基づいて、前記出力される矩形波電圧に係る電圧極性を一時的に反転すべき電圧位相と、反転を継続すべき電圧位相範囲とを決定する。
第2のモータ制御装置においても、上述した第1のモータ制御装置と同様に、矩形波電圧に係る電圧極性を一時的に反転するようにインバータが制御されるので、モータの動作点が共振領域に該当することとなったとしても、昇圧回路での共振の発生を抑制することができる。当該モータ制御装置でも、矩形波制御によりモータが駆動されるので、PWM制御によりモータが駆動される場合に比べてインバータにおけるスイッチング損失を低減することができ、エネルギー効率を向上させることができる。
本願発明者の研究によれば、U相電圧波形、V相電圧波形、W相電圧波形、U相電流波形、V相電流波形、W相電流波形、及びインバータに係る入力電圧から、矩形波電圧に係る電圧極性を反転させるべき電圧位相と、反転を継続すべき電圧位相範囲とを適切に決定することができることが判明している(具体的な決定方法については、後述する第4実施形態参照)。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
第1実施形態に係るモータ制御装置の構成を示す概略構成図である。 第1実施形態に係るモータの制御モードを設定するための設定マップの一例である。 (a)昇圧回路で共振が発生する場合のモータ電圧、モータ電流及びモータ電力各々の時間変動の一例を示す図である。(b)昇圧回路で共振が発生しない場合のモータ電圧、モータ電流及びモータ電力各々の時間変動の一例を示す図である。 第1実施形態に係る矩形波制御方式によるモータ制御の一例を示す制御ブロック図である。 第1実施形態に係るパルスパターンの決定処理を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る新パルスパターンの一例を示す図である。 第1実施形態に係るパルス発生器の動作を説明するための図である。 第1実施形態の変形例に係るPWM信号生成部の動作を説明するための図である。 第1実施形態の変形例に係る新パルスパターンの一例を示す図である。 第2実施形態に係る新パルスパターンの概念を示す概念図である。 第2実施形態に係る位相関係検出の概念を示す概念図である。 第2実施形態に係る新パルスパターンの一例を示す図である。 第3実施形態に係る力行時の新パルスパターンの一例を示す図である。 (a)従来の矩形波パルスパターンに従ってモータが制御される場合のモータ電圧、モータ電流及びモータ電力各々の一周期分の波形の一例を示す図である。(b)新パルスパターンに従ってモータが制御される場合のモータ電圧、モータ電流及びモータ電力各々の一周期分の波形の一例を示す図である。 (a)第3実施形態に係る回生時の新パルスパターンの一例を示す図である。(b)第3実施形態に係る力行時の新パルスパターンの他の一例を示す図である。 第4実施形態に係る制御装置の要部を示すブロック図である。 第4実施形態に係る新パルスパターンの決定処理の概要を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る波形取得処理を示すフローチャートである。 第4実施形態に係るパルス位置算出処理を示すフローチャートである。 3相電力に係る6次高調波の波形の一例を示す図である。 第4実施形態に係るパルス幅算出処理を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る電圧波形生成処理を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る電圧波形生成処理により生成された電圧波形の一例を示す図である。 第4実施形態に係るパルスパターン決定処理を示すフローチャートである。
本発明のモータ制御装置に係る実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、本発明のモータ制御装置の一例として、例えばハイブリッド自動車又は電気自動車の駆動用のモータを制御するモータ制御装置を挙げる。モータ制御装置の制御対象としてのモータは、三相の交流モータであり、電動機及び発電機の機能を併せ持つように構成されている。
実施形態に係るモータ制御装置は、バッテリとインバータとの間に配置された昇圧回路を備えている。実施形態に係るモータ制御装置では、モータに供給される矩形波電圧の矩形波の形状が所定のタイミングで変化するようにインバータが制御される。具体的には、矩形波電圧に係る電圧極性を所定のタイミングで一時的に反転するようにインバータが制御される。この結果、モータの駆動電力における電気6次周波数が高周波化され、昇圧回路での共振の発生を回避することができる。
<第1実施形態>
本発明のモータ制御装置に係る第1実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。以下では、先ずモータ制御装置の構成とモータ制御動作の概要を説明し、次に本願独自の新パルスパターンについて説明する。
(装置の構成)
第1実施形態に係るモータ制御装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るモータ制御装置の構成を示す概略構成図である。
図1において、モータ制御装置1は、例えば2次電池等であるバッテリ12から出力される直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ11に供給するインバータ21と、バッテリ12及びインバータ21間に配置された昇圧回路22と、インバータ21及び昇圧回路22を制御する制御装置100と、を備えて構成されている。
インバータ21は、スイッチング素子としての6つのトランジスタと、該6つのトランジスタに夫々対応する6つの逆並列ダイオードと、を有する。インバータ21には、既存の各種態様を適用可能であるので、その詳細についての説明は省略する。
昇圧回路22は、リアクトル221と、平滑キャパシタ222と、上アームのトランジスタ223及びダイオード224と、下アームのトランジスタ225及びダイオード226と、を有する。
トランジスタ223のエミッタとトランジスタ225のコレクタとは電気的に接続されており、更に、リアクトル221の一端とも電気的に接続されている。リアクトル221の他端は、バッテリ12の正極に電気的に接続されている。トランジスタ223のコレクタは、インバータ21の電源ラインと電気的に接続されている。トランジスタ225のエミッタは、インバータ21のアースライン及びバッテリ12の負極に電気的に接続されている。インバータ21の電源ラインとアースラインとの間には、平滑キャパシタ222が電気的に接続されている。
当該モータ制御装置1の動作時に、トランジスタ223及び225が夫々スイッチング制御されることにより、昇圧回路22によって、バッテリ12から出力された直流電力の電圧(昇圧前電圧VL)が所定の電圧(昇圧電圧VH)まで昇圧されインバータ21に供給される。また、トランジスタ223及び225が夫々スイッチング制御されることにより、昇圧回路22によって、インバータ21からの回生電力の電圧が降圧されるので、該回生電力によりバッテリ12を充電することもできる。
昇圧前電圧VLは、電圧センサ23により検出され、制御装置100に送信される。また、昇圧電圧VHは、平滑キャパシタ222の端子間に電気的に接続された電圧センサ24により検出され、制御装置100に送信される。
(モータ制御動作)
上述の如く構成されたモータ制御装置1において実行されるモータ制御動作について、図1に加え、図2を参照して説明する。図2は、実施形態に係るモータの制御モードを設定するための設定マップの一例である。
制御装置100は、外部に設けられた車両制御用の電子制御ユニット(図示せず)から入力されたトルク指令値Trqcom、電圧センサ23により検出された昇圧前電圧VL、電圧センサ24により検出された昇圧電圧VH、電流センサ26v及び26w(図4参照)により検出されたモータ電流iv及びiw、並びに、例えばレゾルバ、ホール素子等である回転検出器25により検出されたモータ11の回転角θに基づいて、後述する方法によりモータ11がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するように、インバータ21及び昇圧回路22をスイッチング制御する。
制御装置100は、トルク指令値Trqcom等に基づいて目標昇圧電圧を算出し、該算出された目標昇圧電圧に昇圧電圧VHが一致するように昇圧回路22を制御する。
モータ制御装置1では、インバータ21における電圧変換について3つの制御モードが存在する。具体的には、図2に示すように、制御モードとして、正弦波PWM電圧を用いる正弦波PWM制御方式、過変調PWM電圧を用いる過変調PWM制御方式、及び矩形波電圧を用いる矩形波制御方式が存在する。
制御装置100は、トルク指令値Trqcomとモータ11の回転数とからモータ必要電圧(即ち、誘起電圧)を算出する。制御装置100は、モータ必要電圧と昇圧電圧VHの最大値(即ち、システム電圧の最大値)との関係に従って(具体的には、変調度が0.78より大きいか否かを判定して)、矩形波制御方式と、正弦波PWM制御方式及び過変調PWM制御方式とのいずれによりモータ11を制御するかを決定する。
正弦波PWM制御方式及び過変調PWM制御方式のいずれを用いるかについては、ベクトル制御に従う電圧指令値の変調度範囲に応じて決定される。
このように制御モードが決定されることにより、低回転数領域ではトルク変動を抑えて滑らかな出力特性を得ることができ、中高回転数領域ではモータ11の出力をより向上させることができる。
(昇圧回路に起因する問題点)
ところで、昇圧回路22は、図1に示すように、リアクトル221及び平滑キャパシタ222を有している。該リアクトル221及び平滑キャパシタ222によりLC回路が構成される。LC回路の共振周波数fr(中心周波数)は、リアクトル221のリアクタンスL及び平滑キャパシタ222のキャパシタンスCを用いて、fr=1/{2π√(LC)}と表せる。
LC回路は、中心周波数のみで共振するのではなく、中心周波数を中心にある程度の範囲内の周波数(fr(下限)〜fr(上限))で共振する。ここで、fr(下限)は、LC回路が共振するリアクタンスL及びキャパシタンスC各々の最小値により決定される。他方、fr(上限)は、LC回路が共振するリアクタンスL及びキャパシタンスC各々の最大値により決定される。尚、LC回路が共振するリアクタンスLの最小値及び最大値、キャパシタンスCの最小値及び最大値は、回路定数として予め設定される。
モータ11の動作点によっては、モータ11の駆動電力における電気6次周波数が、fr(下限)〜fr(上限)の範囲内に該当する場合がある。この場合、昇圧回路22を構成するLC回路がモータ11の駆動電力における高調波により共振する。この結果、昇圧電圧VHが変動することとなり、バッテリ12から出力される電流も変動する。
(昇圧回路の共振回避方法)
本願発明者は、モータ11に対しインバータ21から出力される矩形波電圧の矩形波の形状を所定のタイミングで変化させると(図3(b)の“モータ電圧”の矢印参照)、モータ11の駆動電力における電気6次周波数が高周波化することができることを見出した(図3の“モータ電力”参照)。この結果、電気6次周波数が、fr(下限)〜fr(上限)の範囲から外れ、昇圧回路22を構成するLC回路の共振を回避することができる。
本実施形態では、矩形波制御方式によりモータ11が制御される際に、モータ11の動作点が、昇圧回路22で共振が発生する動作領域である共振領域に該当することを条件に、矩形波電圧の矩形波の形状が変化され(即ち、矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転され)、モータ11の駆動電力における電気6次周波数が高周波化される。
(矩形波制御方式)
上述した昇圧回路22での共振を回避する制御は、矩形波制御方式を基礎としているので、先ず、矩形波制御方式によりモータ11が制御される場合のモータ制御動作について、図4を参照して説明する。
制御装置100は、矩形波制御方式によるモータ制御動作を実行するために、その内部に実現される論理的な処理ブロック又は物理的な処理回路として、3相/dq相変換部101、トルク推定部102、減算器103、PI(Proportional−Integral:比例−積分)制御部104、位相リミッタ105及びパルス発生器106を備えて構成されている。
3相/dq相変換部101は、回転検出器25により検出されたモータ11の回転角θを参照して、電流センサ26v及び26wにより夫々検出されたV相電流iv及びW相電流iwを、d軸電流id及びq軸電流iqに変換する。
トルク推定部102は、d軸電流id及びq軸電流iqに基づいて、モータ11の出力トルクTrqを推定する。尚、出力トルクTrqの推定方法については、既存の方法を適用可能であるので、その詳細についての説明は省略する。
減算器103は、トルク指令値Trqcomと出力トルクTrqとからトルク偏差ΔTrq(=Trqcom−Trq)を求める。PI制御部104は、トルク偏差ΔTrqについて所定ゲインによるPI演算を行って、制御偏差を求め、該求められた制御偏差に応じて矩形波電圧の位相φを設定する(つまり、PI制御部104は、トルクフィードバック制御を行う)。
具体的には、PI制御部104は、トルク指令値Trqcomが正である場合、トルク不足時には電圧位相を進め、トルク過剰時には電圧位相を遅らせる。他方、PI制御部104は、トルク指令値Trqcomが負である場合、トルク不足時には電圧位相を遅らせ、トルク過剰時には電圧位相を進める。
位相リミッタ105は、PI制御部105により設定された電圧位相φが所定範囲(例えば、前回の電圧位相からの変化量に起因してショックが発生しないような範囲)内であるか否かを判定する。電圧位相φが所定範囲内であれば、位相リミッタ105は、電圧位相φをパルス発生器106に供給する。他方、電圧位相φが所定範囲内ではない場合、位相リミッタ105は、所定範囲の上限値に相当する電圧位相φをパルス発生器106に供給する。
パルス発生器106は、位相リミッタ105から供給された電圧位相φと、回転検出器25により検出されたモータ11の回転角θとに基づいて、各相電圧指令値(即ち、U相電圧指令値、V相電圧指令値、W相電圧指令値)を生成する。そして、パルス発生器106は、生成された各相電圧指令値に基づいて、インバータ21をスイッチング制御するためのスイッチング制御信号としての、電圧パルス指令値(図1参照)をインバータ21に出力する。
(パルスパターンの決定方法)
制御装置100は、更に、パルスパターン決定部107を備えて構成されている。パルスパターン決定部107は、パルス発生器106により生成される電圧パルス指令値が、昇圧回路22で共振が発生しないようなパルスパターン(以降、適宜“新パルスパターン”と称する)に従うものとするか否かを決定する。ここで、「パルスパターン」は、各相の電圧位相と電圧指令値との関係(言い換えれば、電圧指令値の電圧位相に対する変化)を規定するものを意味する。
パルスパターン決定部107におけるパルスパターンの決定方法について、図5のフローチャートを参照して説明する。以下に説明する処理は、制御装置100のパルスパターン決定部107により所定周期で繰り返し実行される。
図5において、パルスパターン決定部107は、現在の制御モードが、矩形波制御方式であるか否かを判定する(ステップS101)。この判定の結果、現在の制御モードが矩形波制御方式ではないと判定された場合(ステップS101:No)、パルスパターン決定部107は、処理を終了する。この場合、モータ制御装置1は、正弦波PWM制御方式又は過変調PWM制御方式によりモータ11を制御している。
他方、ステップS101の判定の結果、現在の制御モードが矩形波制御方式であると判定された場合(ステップS101:Yes)、パルスパターン決定部107は、モータ11の動作点が共振領域に該当するか否かを判定する(即ち、モータ11の駆動電力における電気6次周波数が、昇圧回路22を構成するLC回路が共振する周波数範囲fr(下限)〜fr(上限)に該当するか否かを判定する)(ステップS102)。尚、電気6次周波数は、モータ11の回転数N(rpm:回転/分)を用いて、N/60×(モータ11の対極数)×6と表せる。
ステップS102の判定の結果、モータ11の動作点が共振領域に該当すると判定された場合(ステップS102:Yes)、パルスパターン決定部107は、新パルスパターンに従う電圧パルス指令値を生成するようにパルス発生器106を制御する(ステップS103)。
他方、ステップS102の判定の結果、モータ11の動作点が共振領域に該当しないと判定された場合(ステップS102:No)、パルスパターン決定部107は、従来の矩形波制御方式により(即ち、昇圧回路22の共振を考慮しない)電圧パルス指令値を生成するようにパルス発生器106を制御する(ステップS104)。
(新パルスパターン)
パルス発生器106における新パルスパターンに従う電圧パルス指令値の生成方法の一例について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、第1実施形態に係る新パルスパターンの一例を示す図である。図7は、第1実施形態に係るパルス発生器の動作を説明するための図である。
上述の「矩形波制御方式」において説明したように、パルス発生器106には、電圧位相φと回転角θとが供給される。そして、パルス発生器106は、電圧位相φ及び回転角θに基づく各相電圧指令値から電圧パルス指令値を生成する。
しかしながら、新パルスパターンに従う電圧パルス指令値の生成には、モータ11の回転角θに応じて電圧パルス指令値が決定されるようなテーブルを用意し、該テーブルを用いるとよい。
図6(a)に、新パルスパターンに係る各相の波形の一例を示す。具体的には、U相電圧パルスの波形は、回転角θが180度でハイレベルとローレベルとが反転する矩形波において、回転角θが90度近傍及び270度近傍で、更にハイレベルとローレベルとが一時的に反転されている。V相電圧パルスの波形は、U相電圧パルスの波形の位相を120度遅らせた波形である。W相電圧パルスの波形は、U相電圧パルスの波形の位相を240度遅らせた(又は位相を120度進めた)波形である。
ハイレベルを“1”、ローレベルを“0”として、図6(a)に示す波形を数値で表すと、例えば位相α1(回転角θ=0度)の場合、U相、V相、W相の順に“101”となる。このようにして、位相(回転角θ)と波形とが関連付けられることによって、図6(b)に示すようなテーブルが構築される。尚、図6(b)における“0、1、2、…”は、位相に対応付けられた参照符号である。
パルス発生器106は、その内部に実現される論理的な処理ブロック又は物理的な処理回路として、角度一致検出部1061及びパターン選択部1062を有する(図7参照)。
角度一致検出部1061は、回転検出器25により検出されたモータ11の回転角θと、テーブルに含まれる位相のいずれかとが一致した場合に、一致した位相に対応する参照符号nを出力する。具体的には例えば、回転角θと位相α3とが一致した場合、角度一致検出部1061は、参照符号“2”を出力する(図6(b)参照)。
パターン選択部1062は、角度一致検出部1061から出力された参照符号nに基づいて、テーブルから各相のパターンを取得し、電圧パルス指令値を生成する。具体的には例えば、角度一致検出部1061から参照符号“2”が出力された場合、パターン選択部1061は、テーブルから“101”というパターンを取得する。そして、パターン選択部1062は、U相及びW相の電圧パルス指令値としてハイレベルに対応する電圧パルス指令値を生成し、V相の電圧パルス指令値としてローレベルに対応する電圧パルス指令値を生成する。
尚、パターン選択部1062は、角度一致検出部1061から新たな参照符号nが出力されるまでは、前回出力された参照符号nに基づく電圧パルス指令値を生成する。つまり、パターン選択部1062は、回転角θが、例えば位相α1と一致した後位相α2に一致するまでは、位相α1に対応する参照符号“0”に基づいて電圧パルス指令値を生成する。
電圧パルス指令値によりインバータ21がスイッチング制御されることによって、所定のタイミングで、モータ11に供給される矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転される。具体的には例えば、U相電圧の場合、モータ11の回転角θが、位相α5と一致したタイミングで、矩形波電圧に係る電圧極性が正から負に反転され、モータ11の回転角θが、位相α6と一致したタイミングで、矩形波電圧に係る電圧極性が負から正に再び反転される。
(効果)
本実施形態に係るモータ制御装置1では、モータ11の動作点が、昇圧回路22で共振が発生する共振領域に該当する場合に、新パルスパターンに従う電圧パルス指令値が生成される。該生成された電圧パルス指令値に従ってインバータ21がスイッチング制御されることにより、モータ11の駆動電力における電気6次周波数が高周波化され、結果として、昇圧回路22での共振の発生を回避することができる。
本実施形態では、矩形波制御方式を基礎として新パルスパターンを実現しているので、正弦波PWM制御方式及び過変調PWM制御方式に比べて、インバータ21におけるスイッチング損失を抑えてエネルギー効率を向上させることができる。
<変形例>
次に、第1実施形態の変形例について、図8及び図9を参照して説明する。図8は、第1実施形態の変形例に係るPWM信号生成部の動作を説明するための図である。図9は、第1実施形態の変形例に係る新パルスパターンの一例を示す図である。
上述した第1実施形態では、矩形波制御方式を基礎としていたが、本変形例では、PWM制御方式を基礎として新パルスパターンが実現される。PWM制御方式によるモータ11の制御動作には、既存の各種態様を適用可能であるので、その詳細についての説明は省略する。ここでは、制御装置100がPWM制御方式によりモータ11を制御するために、その内部に実現される論理的な処理ブロック又は物理的な処理回路として、備えるPWM信号生成部111の動作のみを図8及び図9を参照して説明する。
本変形例に係るPWM信号生成部111は、三角波比較方式によりPWM制御を実現する(図8参照)。PWM信号生成部111は、U相電圧パルスを生成する比較器1111と、V相電圧パルスを生成する比較器1112と、W相電圧パルスを生成する比較器1113と、を有する。比較器1111、1112及び1113の各々には、同一のキャリア(三角波)が入力される。
図9に示すような波形を有するU相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令が、変調波として、比較器1111、1112及び1113に入力されれば、図6(a)に示した新パルスパターンに係るパルス波形と同様のパルス波形が生成される(図9の“U相電圧パルス”、“V相電圧パルス”、“W相電圧パルス”参照)。
このように、変調波及びキャリア各々の波形を適切に選択することにより、PWM制御方式であっても、昇圧回路22での共振の発生を回避できる新パルスパターンを実現することができる。
<第2実施形態>
本発明のモータ制御装置に係る第2実施形態について、図10乃至図12を参照して説明する。第1実施形態では、モータ11の電圧と電流との位相差(即ち、力率)は固定値(具体的には位相差ゼロ)とされている。第2実施形態では新パルスパターンに係るパルス波形が力率を考慮して決定される点で、第1実施形態と異なっている以外は、上述した第1実施形態と同様である。よって、第2実施形態ついて、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図10乃至図12を参照して説明する。
図10は、第2実施形態に係る新パルスパターンの概念を示す概念図である。図11は、第2実施形態に係る位相関係検出の概念を示す概念図である。図12は、第2実施形態に係る新パルスパターンの一例を示す図である。
(新パルスパターン)
矩形波制御に係る、例えばU相電圧指令(即ち、U相電圧パルス)が、便宜上、図10に示すような正弦波で表されるとする。モータ11の電圧(ここでは、U相電圧指令)とモータ11のU相電流との位相差ΔΦがゼロである場合(即ち、力率が1である場合)、U相については、図6(a)に示したモータ11の回転角θが90度近傍及び270度近傍で、ハイレベルとローレベルとが反転するパルスパターンが、新パルスパターンとして決定される。
他方、位相差ΔΦがゼロでない場合、モータ11のU相電流のピークに合わせて、矩形波電圧に係る電圧極性の一時的な反転が行われると、モータ11の電力変動を抑制することができることが、本願発明者の研究により判明している。この場合、モータ11に供給されるU相電圧の波形の90度対称性を維持するために、U相電圧指令のピークから位相差ΔΦだけ進んだ(又は遅れた)タイミングでも、矩形波電圧に係る電圧極性の一時的な反転が行われる。このため、U相については、図10の下段に示すパルスパターンが、新パルスパターンとして決定される。
本実施形態に係るパルス発生器106(図4参照)は、位相リミッタ105(図4参照)から供給された電圧位相φと、3相/dq相変換部101(図4参照)により変換されたd軸電流id及びq軸電流iqと、に基づいて、位相差ΔΦを求める。具体的には、図11に示すように、dq座標において、d軸電流id及びq軸電流iqにより表される電流ベクトルIのd軸からの回転角を電流位相Φiとする。パルス発生器106は、電圧位相φと電流位相Φiとから位相差ΔΦ(=φ−Φi)を求める。
図12(a)に、位相差ΔΦが“m”である場合の新パルスパターンに係る各相の波形の一例を示す。ハイレベルを“1”、ローレベルを“0”として、図12(a)に示す波形を数値で表すことにより、位相差ΔΦが“m”である場合のテーブル(モータ11の回転角θに応じて電圧パルス指令値を決定するテーブル)が構築される(図12(b)参照)。
本実施形態では、このようにして構築された複数の位相差ΔΦに夫々対応する複数のテーブルがパルス発生器106に予め格納されている。
モータ制御装置1が矩形波制御方式によりモータ11を制御する場合であって、パルスパターン決定部107により新パルスパターンに従う電圧パルス指令値を生成するようにパルス発生器106が制御される場合、パルス発生器106は、先ず、上述の如く位相差ΔΦを求める。
次に、パルス発生器106は求められた位相差ΔΦに対応するテーブルを選択する。そして、パルス発生器106の角度一致検出部1061(図8参照)は、回転検出器25により検出されたモータ11の回転角θと、選択されたテーブルに含まれる位相のいずれかとが一致した場合に、一致した位相に対応する参照符号nを出力する。
続いて、パルス発生器106のパターン選択部1062(図8参照)は、角度一致検出部1061から出力された参照符号nに基づいて、選択されたテーブルから各相のパターンを取得し、電圧パルス指令値を生成する。
(効果)
力率が考慮された新パルスパターンでは、矩形波電圧に係る電圧極性の一時的な反転が、モータ11の電力変動がピークとなるタイミングで行われることとなる。この結果、モータ11の電力変動が抑制されると共に、モータ11の駆動電力における電気6次周波数が高周波化される。従って、本実施形態に係るモータ制御装置1によれば、モータ11の電力変動を好適に抑制しつつ、昇圧回路22での共振の発生を回避することができる。
尚、本実施形態に係る「制御装置100」は、本発明に係る「制御手段」の一例である。
<第3実施形態>
本発明のモータ制御装置に係る第3実施形態について、図13乃至図15を参照して説明する。第3実施形態では、モータ11の動作態様(具体的には、力行か回生か)によって新パルスパターンに係るパルス波形が決定される点で、第1実施形態と異なっている以外は、上述した第1実施形態と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図13乃至図15を参照して説明する。図13は、第3実施形態に係る力行時の新パルスパターンの一例を示す図である。
(新パルスパターン)
(1)力行時
駆動力を出力するようにモータ11が制御される場合(即ち、力行時)、例えば図13(a)に示すパルスパターンが、新パルスパターンとして決定される。具体的には、U相電圧パルスの波形は、回転角θが180度でハイレベルとローレベルとが反転する矩形波において、回転角θが、例えば162度近傍及び、例えば342度近傍で、更にハイレベルとローレベルとが一時的に反転されている。V相電圧パルスの波形は、U相電圧パルスの波形の位相を120度遅らせた波形である。W相電圧パルスの波形は、U相電圧パルスの波形の位相を240度遅らせた(又は位相を120度進めた)波形である。
ハイレベルを“1”、ローレベルを“0”として、図13(a)に示す各相電圧パルスの波形を数値で表すことにより、力行時のテーブル(モータ11の回転角θに応じて電圧パルス指令値を決定するテーブル)が構築される(図13(b)参照)。
モータ制御装置1が、矩形波制御方式により、駆動力を出力するようにモータ11を制御する場合であって、パルスパターン決定部107により新パルスパターンに従う電圧パルス指令値を生成するようにパルス発生器106が制御される場合、パルス発生器106は、力行時に対応するテーブルを選択する。そして、パルス発生器106の角度一致検出部1061(図8参照)は、回転検出器25により検出されたモータ11の回転角θと、選択されたテーブルに含まれる位相のいずれかとが一致した場合に、一致した位相に対応する参照符号nを出力する。
続いて、パルス発生器106のパターン選択部1062(図8参照)は、角度一致検出部1061から出力された参照符号nに基づいて、選択されたテーブルから各相のパターンを取得し、電圧パルス指令値を生成する。
ここで、図13(a)に示すパルスパターンに従ってモータ11が制御される場合の3相電力に係る波形について、図14を参照して説明する。尚、3相電力に係る波形とは、各相の電力波形が重ね合わされた波形を意味する。図14(a)は、従来の矩形波制御方式によりモータ11が制御される場合のモータ電圧、モータ電流及びモータ電力各々の一周期分の波形の一例を示す図である。図14(b)は、新パルスパターンに従ってモータ11が制御される場合のモータ電圧、モータ電流及びモータ電力各々の一周期分の波形の一例を示す図である。
図14(a)の「3相電力」と図14(b)の「3相電力」とを比較すると、新パルスパターンに従ってモータ11が制御される場合(図14(b)参照)、インバータ21から出力される矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転されることに起因して(図14(b)の“モータ電圧”の矢印参照)、3相電力に係る波形の山部分に切れ込みが生じていることがわかる。尚、切れ込みが6箇所で発生している理由は、各相のモータ電圧において電圧極性の一時的な反転が2回ずつ起こり、3相合わせて6回電圧極性の一時的な反転が起こるからである。
図14(a)の「3相電力」に示す波形、及び図14(b)の「3相電力」に示す波形各々に高調波解析を施すと、次の結果が得られることが、本願発明者の研究により判明している。即ち、電気周波数の6次成分は、新パルスパターンに従ってモータ11が制御される場合のほうが、従来の矩形波制御方式によりモータ11が制御される場合に比べて著しく小さい。他方、電気周波数の12次成分や18次成分については、新パルスパターンに従ってモータ11が制御される場合のほうが、従来の矩形波制御方式によりモータ11が制御される場合に比べて大きい。つまり、新パルスパターンに従ってモータ11が制御されることによって、3相電力に係る波形の電気周波数の6次成分が高周波化される。
(2)回生時
モータ11で回生が行われる場合、例えば図15(a)に示すパルスパターンが、新パルスパターンとして決定される。具体的には、U相電圧パルスの波形は、回転角θが180度でハイレベルとローレベルとが反転する矩形波において、回転角θが、例えば18度近傍及び、例えば198度近傍で、更にハイレベルとローレベルとが一時的に反転されている。V相電圧パルスの波形(図示せず)は、U相電圧パルスの波形の位相を120度遅らせた波形である。W相電圧パルスの波形(図示せず)は、U相電圧パルスの波形の位相を240度遅らせた(又は位相を120度進めた)波形である。
(3)力行時(変形例)
駆動力を出力するようにモータ11が制御される場合、例えば図15(b)に示すパルスパターンが、新パルスパターンとして決定されてよい。具体的には、U相電圧パルスの波形は、回転角θが180度でハイレベルとローレベルとが反転する矩形波において、回転角θが、例えば102度近傍及び、例えば282度近傍で、更にハイレベルとローレベルとが一時的に反転されている。V相電圧パルスの波形(図示せず)は、U相電圧パルスの波形の位相を120度遅らせた波形である。W相電圧パルスの波形(図示せず)は、U相電圧パルスの波形の位相を240度遅らせた(又は位相を120度進めた)波形である。
(新パルスパターンの実験的な求め方)
図13及び図15に示すパルスパターンを、実験的に求める方法の一例について説明する。以下では、例えば図13(a)に示すU相電圧パルスの波形において、180度以下で、ハイレベルからローレベルに反転される位相α8に相当する位相を「開始位置θs1」、ローレベルからハイレベルに再び反転される位相α9に相当する位相を「終了位置θe1」と称する。尚、図13(a)に示すU相電圧パルスの波形における位相α17及び位相α18は、夫々、「θs1+180」及び「θe1+180」と表される。また、V相電圧パルス及びW相電圧パルスについては、U相電圧パルスについて求められた開始位置θs1及び終了位置θe1を、120度又は240度ずらせばよい。
先ず、180度以下で開始位置θs1及び終了位置θe1の探索範囲を設定する。尚、探索範囲の上限値と下限値との差は30度以下にすることが望ましい。次に、設定された探索範囲内で開始位置θs1及び終了位置θe1各々を変化させつつ、実機により3相電圧波形及び3相電流波形を取得する。この際、開始位置θs1と終了位置θe1との差は一定にすることが望ましい。
次に、取得された3相電圧波形及び3相電流波形から、開始位置θs1及び終了位置θe1の組合せ毎に3相電力に係る波形を求め、該求められた3相電力に係る波形に高調波解析を施す。次に、高調波解析の結果、電気周波数の6次成分が最も小さくなる開始位置θs1及び終了位置θe1の組合せを、最適開始位置θsmin及び最適終了位置θeminとして決定する。
上述した手順を、回転数及びトルクにより規定されるモータ11の複数の動作点各々について繰り返し行うことにより、モータ11の各動作点に対応する新パルスパターンを求めることができる。
(効果)
本実施形態に係るモータ制御装置1によれば、特に、モータ11の動作態様に応じた最適なパルスパターンが新パルスパターンとして選択されるので、昇圧回路22における共振の発生を好適に回避することができる。加えて、本実施形態では、矩形波制御方式を基礎として新パルスパターンを実現しているので、正弦波PWM制御方式及び過変調PWM制御方式に比べて、インバータ21におけるスイッチング損失を抑えてエネルギー効率を向上させることができる。
<第4実施形態>
本発明のモータ制御装置に係る第4実施形態について、図16乃至図24を参照して説明する。第4実施形態では、新パルスパターンに係るパルス波形の求め方が異なっている以外は、上述した第3実施形態と同様である。よって、第4実施形態について、第3実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図16乃至図24を参照して説明する。
(新パルスパターンの求め方)
先ず、新パルスパターンの求め方の概要を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。
(1)概要
先ず、本実施形態に係る新パルスパターンに係るパルス波形の求め方の概要について、図17のフローチャートを参照して説明する。ここで、本実施形態に係る制御装置100は、図16に示すように、その内部に実現される論理的な処理ブロック又は物理的な処理回路として、パルスパターン演算装置(以降、“演算装置”と称する)120を備えて構成されている。
図17において、演算装置120は、3相電力に係る波形を取得する(ステップS10)。次に、演算装置120は、取得された3相電力に係る波形に基づいて、矩形波電圧に係る電圧極性を一時的に反転すべき電圧位相を、パルス位置として計算する(ステップS20)。尚、本実施形態に係る「パルス位置」は、上述した第3実施形態とは異なり、電圧極性が一時的に反転されている電圧位相範囲の中央値を意味する(例えば図23の“θmin”参照)。
次に、演算装置120は、計算されたパルス位置等に基づいて、一時的な電圧極性の反転を継続すべき電圧位相範囲を、パルス幅として計算する(ステップS30)。最後に、演算装置120は、計算されたパルス位置及びパルス幅に基づいて、新パルスパターンに係るパルス波形を決定する(ステップS40)。
(2)波形取得処理
上述したステップS10の処理の詳細について、図18のフローチャートを参照して説明する。
図18において、演算装置120は、各相(即ち、U相、V相及びW相)の電圧波形及び電流波形、並びにインバータ21の入力電圧(即ち、昇圧電圧VH)を取得する(ステップS101)。尚、取得される各相の電圧波形及び電流波形は、モータ11のある動作点について実測又はシミュレーションにより求められた波形である(尚、モータ11は、従来の矩形波制御方式により、又は予め求められた新パルスパターンに従って、制御されるものとする)。
次に、演算装置120は、取得された各相の電圧波形及び電流波形から、同期された少なくとも1周期分の各相の電圧波形及び電流波形を抽出する(ステップS102)。ここで、抽出された各相の電圧波形及び電流波形を次のように表す。即ち、U相電圧波形はvu(θ)、U相電流波形はiu(θ)、V相電圧波形はvv(θ)、V相電流波形はvi(θ)、W相電圧波形はvw(θ)、W相電流波形はvw(θ)。ここで、θは、“0≦θ≦360”の関係を満たすものとする。
次に、演算装置120は、各相の電圧波形及び電流波形に基づいて3相電力に係る波形を計算する(ステップS103)。ここで、3相電力に係る波形をP(θ)とすると、波形P(θ)=vu(θ)×iu(θ)+vv(θ)×iv(θ)+vw(θ)×iw(θ)と表される。
(3)パルス位置算出処理
上述したステップS20の処理の詳細について、図19のフローチャートを参照して説明する。
図19において、演算装置120は、位相αを初期値である“−90”に設定する(ステップS201)。次に、演算装置120は、波形P(θ)に基づいて、“P(θ)×sin(6θ+α)”を“Psin6(θ、α)”として求める(即ち、Psin6(θ、α)=P(θ)×sin(6θ+α))。また、演算装置120は、“P(θ)×cos(6θ+α)”を“Pcos6(θ、α)”として求める(即ち、Pcos6(θ、α)=P(θ)×cos(6θ+α))。
次に、演算装置120は、Psin6(θ、α)及びPcos6(θ、α)を、0〜360で、θについて積分して、Pa(α)(=∫Psin6(θ、α)×dθ)及びPb(α)(=∫Pcos6(θ、α)×dθ)を求める(ステップS202)。
次に、演算装置120は、位相αをΔαだけ増加して(ステップS203)、新たな位相αについて、上述したステップS202の処理と同様に、Pa(α)及びPb(α)を求める(ステップS204)。
次に、演算装置120は、今回ステップS204の処理において求められたPa(α)及びPb(α)と、前回の処理(即ち、ステップS202の処理、又は前回のステップS204の処理)において求められたPa(α−Δα)及びPb(α−Δα)(図18のステップS203に示すように、位相αは毎回更新されるので、前回の位相αを便宜上“α−Δα”と記載する)とに基づいて、Pa(α)−Pb(α)の絶対値が、Pa(α−Δα)−Pb(α−Δα)の絶対値以下であるか否かを判定する(ステップS205)。
ステップS205の判定において、Pa(α)−Pb(α)の絶対値が、Pa(α−Δα)−Pb(α−Δα)の絶対値より大きいと判定された場合(ステップS205:No)、後述するステップS207の処理が行われる。
他方、ステップS205の判定において、Pa(α)−Pb(α)の絶対値が、Pa(α−Δα)−Pb(α−Δα)の絶対値以下であると判定された場合(ステップS205:Yes)、演算装置120は、現在の位相αを、αminとして記憶する(ステップS206)。
次に、演算装置120は、位相αが90度以上であるか否かを判定する(ステップS207)。この判定において、位相αが90度未満であると判定された場合(ステップS207:No)、上述したステップS203の処理が行われる。
他方、ステップS207の判定において、位相αが90度以上であると判定された場合(ステップS207:Yes)、演算装置120は、θを初期値である“θc−θa”に設定する(ステップS208)。尚、“θa”、“θc”及び後述する“θb”は定数である。“θa”、“θb”及び“θc”は、後述するステップS209以降の処理において、θの変化範囲を規定する値である。具体的には、θは、θc−θa〜θc+θbの範囲で変化する。
次に、演算装置120は、Psin6(θ、αmin)(=P(θ)×sin(6θ+αmin))及びPcos6(θ、αmin)(=P(θ)×cos(6θ+αmin))を求める(ステップS209)。
次に、演算装置120は、θをΔθだけ増加して(ステップS210)、新たなθについて、上述したステップS209と同様に、Psin6(θ、αmin)及びPcos6(θ、αmin)を求める(ステップS211)。
次に、演算装置120は、今回ステップS211の処理において求められたPsin6(θ、αmin)及びPcos6(θ、αmin)と、前回の処理(即ち、ステップS209の処理、又は前回のステップS211の処理)において求められたPsin6(θ−Δθ、αmin)及びPcos6(θ−Δθ、αmin)(図18のステップS210に示すように、θは毎回更新されるので、前回のθを便宜上“θ−Δθ”と記載する)とに基づいて、Psin6(θ、αmin)−Pcos6(θ、αmin)の絶対値が、Psin6(θ−Δθ、αmin)−Pcos6(θ−Δθ、αmin)の絶対値以下であるか否かを判定する(ステップS212)。
尚、図18では、便宜上、“Psin6(θ、αmin)−Pcos6(θ、αmin)”を、“Psin6(n)−Pcos6(n)”と、“Psin6(θ−Δθ、αmin)−Pcos6(θ−Δθ、αmin)”を、“Psin6(n−1)−Pcos6(n−1)”と記載している。
ステップS212の判定において、Psin6(θ、αmin)−Pcos6(θ、αmin)の絶対値が、Psin6(θ−Δθ、αmin)−Pcos6(θ−Δθ、αmin)の絶対値より大きいと判定された場合(ステップS212:No)、後述するステップS214の処理が行われる。
他方、ステップS212の判定において、Psin6(θ、αmin)−Pcos6(θ、αmin)の絶対値が、Psin6(θ−Δθ、αmin)−Pcos6(θ−Δθ、αmin)の絶対値以下であると判定された場合(ステップS212:Yes)、演算装置120は、現在のθを、θminとして記憶する(ステップS213)。
次に、演算装置120は、θが“θc+θb”以上であるか否かを判定する(ステップS213)。この判定において、θが“θc+θb”未満であると判定された場合(ステップS213:No)、上述したステップS210の処理が行われる。他方、この判定において、θが“θc+θb”以上であると判定された場合(ステップS213:Yes)、図18に示す処理が終了される。
ここで、上述したステップS208〜S214の処理は、例えば図20に示すPsin6(θ)に係る波形と、Pcos6(θ)に係る波形との交点を探索するための処理である。図18に示す処理が終了されたときに、θminとして記憶されている値が、交点を示す位相である。具体的には例えば、図13におけるU相電圧パルスにおいて、ハイレベルとローレベルとが一時的に反転される162度は、図20において円C1で囲った交点の位相に対応する。また、図15(b)におけるU相電圧パルスにおいて、ハイレベルとローレベルとが一時的に反転される102度は、図20において円C2で囲った交点の位相に対応する。
(4)パルス幅算出処理
上述したステップS30の処理の詳細について、図21及び図22のフローチャートを参照して説明する。
図21において、演算装置120は、パルス幅wを初期値である“wa”に設定する(ステップS301)。次に、演算装置120は、θmin及びパルス幅wに基づいて、矩形波電圧の電圧波形を生成する(ステップS302)。
ここで、ステップS302の処理について、図22のフローチャートを参照して説明を加える。尚、図22は、U相電圧の電圧波形の生成処理を示しているが、V相電圧及びW相電圧についても同様の処理が行われる。
図22において、演算装置120は、θを初期値である“0”に設定する(ステップS3001)。次に、演算装置120は、θが0以上且つ“θmin―w/2”未満であるか否かを判定する(ステップS3002)。この判定において、θが0以上且つ“θmin―w/2”未満であると判定された場合(ステップS3002:Yes)、演算装置120は、現在のθ及びパルス幅wについてのU相電圧vu(θ、w)を“Vh(θ)/2”とする(ステップS3003)。ここで、“Vh(θ)”は、図18のステップS101の処理において取得されたインバータ21の入力電圧の電圧波形である。
次に、演算装置120は、θをΔθだけ増加して(ステップS3004)、新たなθについて、360以上であるか否かを判定する(ステップS3005)。この判定において、θが360以上であると判定された場合(ステップS3005:Yes)、図22に示す処理が終了される。他方、ステップS3005の判定において、θが360未満であると判定された場合(ステップS3005:No)、上述したステップS3002の処理が行われる。
ステップS3002の判定において、θが“θmin―w/2”以上であると判定された場合(ステップS3002:No)、演算装置120は、θが“θmin+w/2”未満であるか否かを判定する(ステップS3006)。この判定において、θが“θmin+w/2”未満であると判定された場合(ステップS3006:Yes)、演算装置120は、現在のθ及びパルス幅wについてのU相電圧vu(θ、w)を“−Vh(θ)/2”として(ステップS3007)、ステップS3004の処理を行う。
ステップS3006の判定において、θが“θmin+w/2”以上であると判定された場合(ステップS3006:No)、演算装置120は、θが“180”未満であるか否かを判定する(ステップS3008)。この判定において、θが“180”未満であると判定された場合(ステップS3008:Yes)、演算装置120は、現在のθ及びパルス幅wについてのU相電圧vu(θ、w)を“Vh(θ)/2”として(ステップS3009)、ステップS3004の処理を行う。
ステップS3008の判定において、θが“180”以上であると判定された場合(ステップS3008:No)、演算装置120は、θが“180+θmin−w/2”未満であるか否かを判定する(ステップS3010)。この判定において、θが“180+θmin−w/2”未満であると判定された場合(ステップS3010:Yes)、演算装置120は、現在のθ及びパルス幅wについてのU相電圧vu(θ、w)を“−Vh(θ)/2”として(ステップS3011)、ステップS3004の処理を行う。
ステップS3010の判定において、θが“180+θmin−w/2”以上であると判定された場合(ステップS3010:No)、演算装置120は、θが“180+θmin+w/2”未満であるか否かを判定する(ステップS3012)。この判定において、θが“180+θmin+w/2”未満であると判定された場合(ステップS3012:Yes)、演算装置120は、現在のθ及びパルス幅wについてのU相電圧vu(θ、w)を“Vh(θ)/2”として(ステップS3013)、ステップS3004の処理を行う。
ステップS3012の判定において、θが“180+θmin+w/2”以上であると判定された場合(ステップS3012:No)、演算装置120は、現在のθ及びパルス幅wについてのU相電圧vu(θ、w)を“−Vh(θ)/2”として(ステップS3014)、ステップS3004の処理を行う。
図22に示す処理が行われた結果、例えば図23に示すような矩形波電圧の電圧波形が生成される。
再び図21に戻り、演算装置120は、ステップS302の処理において生成された各相の電圧波形等に基づいて、3相電力に係る波形を計算する(ステップS303)。パルス幅wについての3相電力に係る波形を“P1(θ、w)”とする。尚、この処理において、各相の電流波形には、図18のステップS101の処理において取得された各相の電流波形が用いられてよい。
次に、演算装置120は、図19に示す処理において求められたαminと、波形P1(θ、w)とに基づいて、“P1(θ、w)×sin(6θ+αmin)”を“P1sin6(θ、w)”として求める(即ち、P1sin6(θ、w)=P1(θ、w)×sin(6θ+αmin))。また、演算装置120は、“P1(θ、w)×cos(6θ+αmin)”を“P1cos6(θ、w)”として求める(即ち、P1cos6(θ、w)=P1(θ、w)×cos(6θ+αmin))。(ステップS304)
P1sin6(θ、w)により示される波形とP1cos6(θ、w)により示される波形とを重ねて示すと、図20と同様になる。
次に、演算装置120は、P1sin6(θ、w)及びP1cos6(θ、w)各々を、0〜360で、θについて積分して、P1a(αmin)(=∫P1sin6(θ、w)×dθ)及びP1b(αmin)(=∫P1cos6(θ、w)×dθ)を求める(ステップS305)。
次に、演算装置120は、P1a(αmin)及びP1b(αmin)に基づいて、P1a(αmin)の2乗とP1b(αmin)の2乗との差分の平方根を、パルス幅wについての電気周波数の6次成分の変動P6(w)として計算する(ステップS306)。
次に、演算装置120は、パルス幅wをΔwだけ増加して(ステップS307)、新たなパルス幅wについて、上述したステップS302〜S306と同じ処理を、ステップS308〜S312として行う。
次に、演算装置120は、今回ステップS312の処理において求められたP6(w)が、前回の処理(即ち、ステップS306の処理、又は前回のステップS312の処理)において求められたP6(w−Δw)(図21のステップS307に示すように、パルス幅wは毎回更新されるので、前回のパルス幅wを便宜上“w−Δw”と記載する)以下であるか否かを判定する(ステップS313)。
ステップS313の判定において、P6(w)がP6(w−Δw)より大きいと判定された場合(ステップS313:No)、後述するステップS315の処理が行われる。他方、ステップS313の判定において、P6(w)がP6(w−Δw)以下であると判定された場合(ステップS313:Yes)、演算装置120は、現在のパルス幅wを、wminとして記憶する(ステップS314)。
次に、演算装置120は、パルス幅wが、定数wb(wb>wa)未満であるか否かを判定する(ステップS315)。この判定において、パルス幅wが定数wb未満であると判定された場合(ステップS315:Yes)、上述したステップS308の処理が行われる。他方、この判定において、パルス幅wが定数wb以上であると判定された場合(ステップS315:No)、図21に示す処理が終了される。
(5)パルスパターン決定処理
上述したステップS40の処理の詳細について、図24のフローチャートを参照して説明する。図24では、パルスパターンの波形を“Pls(θ)”とする。尚、図24は、U相電圧に係るパルスパターン(即ち、U相電圧パルスの波形)の生成処理を示しているが、V相電圧及びW相電圧についても同様の処理が行われる。
図24において、演算装置120は、θを初期値である“0”に設定する(ステップS401)。次に、演算装置120は、θが“θmin―wmin/2”より大きいか否かを判定する(ステップS402)。この判定において、θが“θmin―w/2”以下であると判定された場合(ステップS402:No)、演算装置120は、現在のθについての波形Pls(θ)の値を“1(即ち、ハイレベル)”とする(ステップS403)。
次に、演算装置120は、θをΔθだけ増加して(ステップS404)、新たなθについて、360以上であるか否かを判定する(ステップS405)。この判定において、θが360以上であると判定された場合(ステップS405:Yes)、図24に示す処理が終了される。他方、ステップS405の判定において、θが360未満であると判定された場合(ステップS405:No)、上述したステップS402の処理が行われる。
ステップS402の判定において、θが“θmin―wmin/2”より大きいと判定された場合(ステップS402:Yes)、演算装置120は、θが“θmin+wmin/2”より大きいか否かを判定する(ステップS406)。この判定において、θが“θmin+wmin/2”以下であると判定された場合(ステップS406:No)、演算装置120は、現在のθについての波形Pls(θ)の値を“0(即ち、ローレベル)”として(ステップS407)、ステップS404の処理を行う。
ステップS406の判定において、θが“θmin+wmin/2”より大きいと判定された場合(ステップS406:Yes)、演算装置120は、θが“180”より大きいか否かを判定する(ステップS408)。この判定において、θが“180”以下であると判定された場合(ステップS408:No)、演算装置120は、現在のθについての波形Pls(θ)の値を“1”として(ステップS409)、ステップS404の処理を行う。
ステップS408の判定において、θが“180”より大きいと判定された場合(ステップS408:Yes)、演算装置120は、θが“180+θmin−wmin/2”より大きいか否かを判定する(ステップS410)。この判定において、θが“180+θmin−wmin/2”以下であると判定された場合(ステップS410:No)、演算装置120は、現在のθについての波形Pls(θ)の値を“0”として(ステップS411)、ステップS404の処理を行う。
ステップS410の判定において、θが“180+θmin−wmin/2”より大きいと判定された場合(ステップS410:Yes)、演算装置120は、θが“180+θmin+wmin/2”より大きいか否かを判定する(ステップS412)。この判定において、θが“180+θmin+wmin/2”以下であると判定された場合(ステップS412:No)、演算装置120は、現在のθについての波形Pls(θ)を“1”として(ステップS413)、ステップS404の処理を行う。
ステップS412の判定において、θが“180+θmin+w/2”より大きいと判定された場合(ステップS412:Yes)、演算装置120は、現在のθについての波形Pls(θ)を“0”として(ステップS414)、ステップS404の処理を行う。
図24に示す処理が行われた結果、振幅が規格化された(即ち、振幅が1である)、例えば図23に示すパルス波形のパルスパターンが生成される。
(効果)
本実施形態に係るモータ制御装置1によれば、新パルスパターンを演算処理により求めることができるので、実用上非常に有利である。そして、求められた新パルスパターンに従ってモータ11が制御されれば、モータ11の動作点が共振領域に該当することとなったとしても、昇圧回路22における共振の発生を好適に回避することができる。加えて、本実施形態では、矩形波制御方式を基礎として新パルスパターンを実現しているので、正弦波PWM制御方式及び過変調PWM制御方式に比べて、インバータ21におけるスイッチング損失を抑えてエネルギー効率を向上させることができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うモータ制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…モータ制御装置、11…モータ、12…バッテリ、21…インバータ、22…昇圧回路、100…制御装置

Claims (3)

  1. バッテリに電気的に接続された昇圧回路と、一端が前記昇圧回路に電気的に接続されると共に、他端がモータに電気的に接続されたインバータと、を備えるモータ制御装置であって、
    前記モータに矩形波電圧を出力するように前記インバータを制御して、前記モータを駆動する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記モータの動作点が、前記昇圧回路で共振が生じる動作領域である共振領域に該当することを条件に、前記モータに係る電圧指令と前記モータに係る電流との位相差に基づいて、前記矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転するように前記インバータを制御する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. バッテリに電気的に接続された昇圧回路と、一端が前記昇圧回路に電気的に接続されると共に、他端が三相コイルを有するモータに接続されたインバータと、を備えるモータ制御装置であって、
    前記モータに矩形波電圧を出力するように前記インバータを制御して、前記モータを駆動する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記出力される矩形波電圧に係る電圧極性が一時的に反転するように前記インバータを制御し、
    前記制御手段は、前記モータに供給される矩形波電圧に係るU相電圧波形、V相電圧波形及びW相電圧波形と、前記モータに供給される電流に係るU相電流波形、V相電流波形及びW相電流波形と、前記インバータに係る入力電圧とに基づいて、前記出力される矩形波電圧に係る電圧極性を一時的に反転すべき電圧位相と、反転を継続すべき電圧位相範囲とを決定する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  3. 前記制御手段は、(i)前記U相電圧波形、前記V相電圧波形、前記W相電圧波形、前記U相電流波形、前記V相電流波形及び前記W相電流波形から三相電力に係る三相電力波形を求め、(ii)前記三相電力波形から、前記三相電力に係る周波数の6次成分を求め、(iii)前記6次成分に基づいて前記電圧位相を決定し、(iv)前記決定された電圧位相及び前記入力電圧から、U相、V相及びW相各々の電圧波形を生成し、前記生成された電圧波形に基づいて、前記電圧位相範囲を決定することを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
JP2016219796A 2016-01-20 2016-11-10 モータ制御装置 Active JP6500877B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/408,692 US10158312B2 (en) 2016-01-20 2017-01-18 Motor control apparatus
CN201710037719.6A CN106992735B (zh) 2016-01-20 2017-01-18 马达控制装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016008478 2016-01-20
JP2016008478 2016-01-20

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017131094A JP2017131094A (ja) 2017-07-27
JP6500877B2 true JP6500877B2 (ja) 2019-04-17

Family

ID=59395839

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016219796A Active JP6500877B2 (ja) 2016-01-20 2016-11-10 モータ制御装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6500877B2 (ja)
CN (1) CN106992735B (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6967750B2 (ja) * 2018-01-05 2021-11-17 パナソニックIpマネジメント株式会社 モータ制御装置およびモータ制御装置の制御方法
JP6950560B2 (ja) * 2018-02-15 2021-10-13 株式会社デンソー 電動車両の制御装置
JP7153168B2 (ja) 2019-03-05 2022-10-14 株式会社デンソー 電動機の制御装置
JP6910418B2 (ja) * 2019-12-18 2021-07-28 三菱電機株式会社 交流回転電機の制御装置
JP2022112443A (ja) * 2021-01-21 2022-08-02 トヨタ自動車株式会社 駆動装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4670882B2 (ja) * 2008-03-18 2011-04-13 トヨタ自動車株式会社 電動機駆動制御装置、それを備えた車両および電動機駆動制御方法
EP2562928B1 (en) * 2010-04-21 2016-11-16 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Control device for motor drive system and vehicle having same
CN102959855B (zh) * 2010-06-25 2015-01-21 丰田自动车株式会社 马达驱动装置和搭载该马达驱动装置的车辆
JP5472475B2 (ja) * 2011-01-11 2014-04-16 トヨタ自動車株式会社 モータ駆動システムの制御装置
JP5423777B2 (ja) * 2011-06-03 2014-02-19 株式会社デンソー 車両用コンバータ制御装置
JP2013009490A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Toyota Motor Corp 車両
JP2013027121A (ja) * 2011-07-20 2013-02-04 Toyota Motor Corp 電動車両および電動車両の制御方法
US8818596B2 (en) * 2011-10-26 2014-08-26 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Motor controller
EP2908422B1 (en) * 2012-10-10 2020-06-03 Daikin Industries, Ltd. Direct power conversion device and method for controlling direct power conversion device
WO2014080497A1 (ja) * 2012-11-22 2014-05-30 三菱電機株式会社 交流回転機の制御装置、交流回転機の制御装置を備えた交流回転機駆動システムおよび電動パワーステアリングシステム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017131094A (ja) 2017-07-27
CN106992735A (zh) 2017-07-28
CN106992735B (zh) 2019-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6500877B2 (ja) モータ制御装置
JP5321614B2 (ja) 回転機の制御装置
JP4379427B2 (ja) 多相回転電機の制御装置
JP5633650B2 (ja) 車両および車両の制御方法
JP2017208990A (ja) 電力変換装置の制御装置
JP6406108B2 (ja) モータ制御システムの制御装置
Nian et al. Investigation of open-winding PMSG system with the integration of fully controlled and uncontrolled converter
JP5803559B2 (ja) 回転電機制御装置
JP6428491B2 (ja) 回転電機の制御装置
US10158312B2 (en) Motor control apparatus
JP5369630B2 (ja) 交流電動機の制御装置
JP2012235659A (ja) 回転機の制御装置
WO2017145841A1 (ja) インバータ制御装置
RU2486658C1 (ru) Устройство управления для электродвигателя
JP5958400B2 (ja) モータ駆動制御装置
JP3547117B2 (ja) 交流電動機のトルク検出装置及び駆動制御装置
Renukadevi et al. Comparison of different PWM schemes for n-phase VSI
JP2001145368A (ja) 電圧形pwmインバータのデッドタイム補償方法
JP2010183702A (ja) インバータの制御装置
JP2015012662A (ja) インバータ装置
JP7001043B2 (ja) インバータ装置
Matsumoto et al. Study of inverter integrated SRM with vector control
JP5696572B2 (ja) 回転機の制御装置
JP7367628B2 (ja) インバータの制御装置
Prasad et al. Simulation of five-level inverter fed PMSM based on fast SVPWM

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190304

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6500877

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250