JP5836027B2 - イオンプレーティング装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イオンプレーティング装置および方法に関し、特に、被膜の材料を収容する収容手段と、この収容手段に収容されている被膜材料を蒸発させる蒸発手段と、蒸発した被膜材料の蒸発粒子をイオン化するための熱電子を放出する熱陰極と、この熱陰極と距離を置いて設けられており当該熱陰極との間に電位差が与えられることによって熱電子を加速させる陽極と、を具備し、加速された熱電子が被膜材料の蒸発粒子と衝突することによって当該蒸発粒子がイオン化されると共に、イオン化された蒸発粒子を被処理物の表面に入射させるためのバイアス電力を当該被処理物に供給することによって当該被処理物の表面に被膜を生成する、いわゆる熱陰極アーク放電型のイオンプレーティング装置および方法に関する。
この種のイオンプレーティング装置として、従来、例えば特許文献1に開示されたものがある。この従来技術によれば、真空槽の内部に、蒸発源が設けられている。この蒸発源は、蒸着材料が収容される坩堝と、この坩堝内の蒸着材料を加熱する電子銃と、を有する。そして、坩堝の上方に、被処理物としての基板が設けられる。併せて、基板には、バイアス電力が供給され、詳しくは接地電位を基準とする正負非対称のパルス電圧が印加される。さらに、坩堝と基板との間であって当該坩堝の近傍の斜め上方に、熱陰極としての熱電子放射フィラメントが設けられている。この熱電子放射フィラメントは、例えば直径が1.0mm程度の高融点材料によって形成されており、その両端に、交流または直流のフィラメント加熱電力が供給される。また、フィラメント加熱電力には、接地電位を基準とする負の直流電力であるフィラメントバイアス電力が重畳される。加えて、熱電子放射フィラメントの上方であって基板よりも下方の位置に、陽極としてのイオン化電極が配置されている。このイオン化電極は、例えば棒状または板状の高融点材料によって形成されており、その両端に、交流のイオン化電極加熱電力が供給される。また、イオン化電極加熱電力には、接地電位を基準とする正の直流電力であるアノード電力が重畳される。
この構成において、例えば絶縁物であるアルミナが蒸着材料として採用される場合、粒状の当該アルミナが坩堝に充填される。この坩堝内のアルミナは、電子銃によって加熱され、蒸発する。その一方で、熱電子放射フィラメントが、フィラメント加熱電力の供給によって加熱され、熱電子を放射する。熱電子放射フィラメントとイオン化電極との間には、フィラメントバイアス電力とアノード電力との総和による電位差が与えられているので、当該熱電子放射フィラメントから放射された熱電子は、イオン化電極に向かって加速される。この加速された熱電子は、アルミナの蒸発粒子と非弾性衝突する。これにより、アルミナの蒸発粒子が電離し、つまりイオン化される。また、このイオン化に伴い、アルミナの蒸発粒子から弾き飛ばされた電子が、イオン化電極に流れ込む。この状態が継続されることで、当該イオン化されたアルミナ粒子を含むプラズマが発生する。そして、このイオン化されたアルミナ粒子は、パルス電圧が印加されている基板の表面に入射され、厳密には当該パルス電圧の負期間中に基板表面に入射される。この結果、基板表面に絶縁性被膜であるアルミナ膜が生成される。
なお、従来技術では、イオン化電極にイオン化電極加熱電力が供給されることによって、当該イオン化電極が加熱される。これは、アルミナ膜がイオン化電極の表面に付着することによる当該イオン化電極の表面の絶縁化を防止するためである。ただし、金属膜等の導電性被膜の生成用途においては、イオン化電極の表面が絶縁化されることはないので、当該イオン化電極へのイオン化電極加熱電力の供給は不要である。
また、従来技術では、基板に供給されるバイアス電力としてパルス電圧(パルス電力)が採用されるが、これは、当該基板の表面に電荷が蓄積されるというチャージアップ現象の発生を防止するためである。このチャージアップ現象の発生を防止するには、バイアス電力としてパルス電力以外の交流電力、例えば周波数が13.56MHzの高周波電力、が採用されてもよいが、この場合、当該高周波電力の供給側と受給側との間のインピーダンスを整合させるためのマッチングボックスが必要となる。従来技術では、この高周波電力よりも周波数の低いパルス電圧が採用されることで、詳しくは当該パルス電圧の周波数が10kHz〜250kHzとされると共に、当該パルス電圧の正期間が0.1μs以上かつデューティ比で40パーセント以下とされることで、マッチングボックスが不要とされている。なお、導電性被膜の生成用途においては、チャージアップ現象は発生しないので、バイアス電力として交流電力に限らず直流電力が採用されてもよい。
さらに、従来技術では、熱電子放射フィラメントとイオン化電極との間に与えられる電位差がフィラメントバイアス電力とアノード電力との総和によって与えられるが、これは、イオン化電極の電位によって決まるプラズマの空間電位を低めに抑えて異常放電の発生を防止しつつ、蒸着材料の蒸発粒子、特にイオン化され難いとされる絶縁性被膜の材料の蒸発粒子、を効率よくイオン化するためである。なお、導電性被膜の生成用途においては、絶縁性被膜の生成用途に比べて、被膜材料の蒸発粒子がイオン化され易いので、熱電子放射フィラメントとイオン化電極との間に与えられる電位差は比較的に小さくてもよく、極端にはフィラメントバイアス電力とアノード電力とのいずれか一方のみによって当該電位差が与えられてもよい。
特開平11−36073号公報(第0012段落〜第0032段落および図1)
しかしながら、上述の従来技術においては、イオン化電極に流れる電流、言わばイオン化電極電流が、時間の経過と共に変化し、これに伴い、基板に流れる電流、言わば基板電流もまた、時間の経過と共に変化する。イオン化電極電流は、イオンの生成量に相関(比例)するため、このイオン化電極電流が変化するということは、当該イオンの生成量が変化することを意味する。そして、このようにイオンの生成量が変化すると、当然に、基板表面へのイオンの入射量が変化し、この結果、基板電流が変化することになる。基板表面へのイオンの入射量の変化は、被膜の品質や再現性に大きく影響するため、極めて不都合である。この問題を種々考察したところ、主に次の2つの事象が原因であると帰着するに至った。
まず、第1の原因として、時間の経過と共に坩堝内の蒸着材料が消費されて、当該蒸着材料の蒸発面が下がることが、考えられる。即ち、蒸着材料の蒸発面が下がると、この蒸発面からその上方にある熱電子放射フィラメントとイオン化電極との間の言わばイオン化空間までの距離が長くなる。すると、イオン化空間における蒸着材料の蒸発粒子の密度が低下し、当該蒸発粒子と熱電子との衝突頻度が低下する。これにより、イオンの生成量が減少し、ひいては基板表面へのイオンの入射量が減少する。
そして、第2の原因として、熱電子放射フィラメント自体の消耗、詳しくは当該熱電子放射フィラメント自体が昇華し、或いはプラズマ中のイオンによってスパッタされることが、考えられる。即ち、熱電子放射フィラメント自体が消耗して、その径が小さくなると、当該熱電子放射フィラメント自体の電気インピーダンスが増大する。すると、熱電子放射フィラメントの加熱温度(表面温度)が上昇して、熱電子の放射量が増大する。ここで例えば、上述のイオン化空間における蒸着材料の蒸発粒子の密度が一定であるとすると、当該蒸発粒子と熱電子との衝突頻度が上がる。これにより、イオンの生成量が増大し、ひいては基板表面へのイオンの入射量が増大する。
それゆえに、本発明は、基板等の被処理物の表面へのイオンの入射量を安定化させることで、従来よりも高品質かつ再現性の高い被膜を生成することができるイオンプレーティング装置および方法を提供することを、目的とする。
この目的を達成するために、本発明のうちの第1発明は、被膜の材料を収容する収容手段と、この収容手段に収容されている被膜材料を蒸発させる蒸発手段と、蒸発した被膜材料の蒸発粒子をイオン化するための熱電子を放出する熱陰極と、この熱陰極と距離を置いて設けられており当該熱陰極との間に電位差が与えられることによって熱電子を加速させる陽極と、を具備する。そして、加速された熱電子が被膜材料の蒸発粒子と衝突することによって当該蒸発粒子がイオン化されると共に、このイオン化された蒸発粒子を被処理物の表面に入射させるためのバイアス電力を当該被処理物に供給することによって当該被処理物の表面に被膜を生成する、という上述の熱陰極アーク放電型のイオンプレーティング装置を前提とする。この前提の下、陽極に流れる電流を検出する陽極電流検出手段と、この陽極電流検出手段による電流検出値が一定になるように熱陰極による熱電子の放出量を制御する熱電子量制御手段と、を具備する。
この構成によれば、陽極に流れる電流、言わば陽極電流が、陽極電流検出手段によって検出される。この陽極電流は、イオンの生成量に相関する。そして、この陽極電流が一定になるように、つまりイオンの生成量が一定になるように、熱陰極による熱電子の放出量が熱電子量制御手段によって制御される。このようにイオンの生成量が安定化されることで、被処理物の表面へのイオンの入射量もまた安定化される。
なお、熱陰極と陽極との少なくとも一方は、収容手段の上方に設けられてもよい。言い換えれば、熱陰極と陽極との間の言わばイオン化空間の一部または全部が、収容手段に収容されている被膜材料の蒸発面の上方に形成されてもよい。この場合、収容手段に収容されている被膜材料が時間の経過と共に消費されて、その蒸発面が下がると、当該蒸発面とイオン化空間との距離が長くなり、当該イオン化空間における被膜材料の蒸発粒子の密度が低下する。この状態が放置されると、熱電子と被膜材料の蒸発粒子との衝突頻度が低下して、イオンの生成量が減少し、ひいては陽極電流が減少する。本発明によれば、陽極電流が一定になるように、熱陰極による熱電子の放出量が制御され、詳しくは当該熱電子の放出量が増大する方向に制御される。この結果、熱電子と被膜材料の蒸発粒子との衝突頻度が維持され、イオンの生成量が安定化される。
また、熱陰極は、線状のフィラメントを含むものであってもよい。この場合、熱陰極自体、特にフィラメント自体、が消耗して、その径が小さくなると、当該フィラメント自体のインピーダンスが増大する。この状態が放置されると、フィラメントの加熱温度が上昇して、熱電子の放出量が増大する。そして例えば、上述のイオン化空間における被膜材料の蒸発粒子の密度が一定であるとすると、当該被膜材料の蒸発粒子と熱電子との衝突頻度が上がって、イオンの生成量が増大し、ひいては陽極電流が増大する。本発明によれば、陽極電流が一定となるように、熱陰極による熱電子の放出量が制御され、詳しくは当該熱電子の放出量が減少する方向に制御される。この結果、熱電子と被膜材料の蒸発粒子との衝突頻度が維持され、イオンの生成量が安定化される。
この構成に加えてさらに、被処理物の表面に生成される被膜の生成速度を検出する成膜速度検出手段と、この成膜速度検出手段による速度検出値が一定になるように蒸発手段による材料の蒸発量を制御する蒸発量制御手段と、が設けられてもよい。この構成によれば、上述のイオンの生成量とは別に、言い換えれば被処理物の表面へのイオンの入射量とは別に、当該被処理物の表面に生成される被膜の生成速度が、制御される。このように被処理物の表面へのイオンの入射量と当該被処理物の表面に生成される被膜の生成速度とが独立して制御されることによって、当該被膜の品質や特性を柔軟かつ多様に制御することができる。
本発明の第2発明は、収容手段に収容されている被膜の材料を蒸発させる蒸発過程と、蒸発した被膜材料の蒸発粒子をイオン化するための熱電子を熱陰極から放出させる熱電子放出過程と、熱陰極と距離を置いて設けられている陽極と当該熱陰極との間に電位差を与えることによって熱電子を加速させる熱電子加速過程と、を具備する。そして、加速された熱電子が被膜材料の蒸発粒子と衝突することによって当該蒸発粒子がイオン化されると共に、このイオン化された蒸発粒子を被処理物の表面に入射させるためのバイアス電力を当該被処理物に供給することによって当該被処理物の表面に被膜を生成する、イオンプレーティング方法を前提とする。この前提の下、陽極に流れる電流を検出する陽極電流検出過程と、この陽極電流検出過程における電流検出値が一定になるように熱電子放出過程における熱陰極からの熱電子の放出量を制御する熱電子量制御過程と、を具備する。さらに、被処理物の表面に生成される被膜の生成速度を検出する成膜速度検出過程と、この成膜速度検出過程における速度検出値が一定になるように蒸発過程における被膜材料の蒸発量を制御する蒸発量制御過程と、を具備する。
即ち、この第2発明は、第1発明に対応する方法発明であり、特に被処理物の表面へのイオンの入射量と当該被処理物の表面に生成される被膜の生成速度とが独立して制御される構成に対応する方法発明である。従って、この第2発明によれば、第1発明と同様、被処理物の表面へのイオンの入射量の安定化が図られると共に、当該被処理物の表面に生成される被膜の品質や特性の柔軟かつ多様な制御が可能となる。
上述したように、本発明によれば、被処理物の表面へのイオンの入射量の安定化が図られる。従って、被処理物としての基板の表面へのイオンの入射量が時間の経過と共に変化する従来技術に比べて、より高品質かつ再現性の高い被膜を生成することができる。また特に、被処理物の表面へのイオンの入射量と当該被処理物の表面に生成される被膜の生成速度とが独立して制御可能とされることによって、当該被膜の品質や特性を柔軟かつ多様に制御することができ、ひいては種々の要求に対応することができる。
本発明の一実施形態の概略構成を示す図解図である。 同実施形態の有効性を説明するための図解図である。 図2とは異なる状況下における本実施形態の有効性を説明するための図解図である。
本発明の一実施形態に係るイオンプレーティング装置10は、図1に示すように、概略円筒形の真空槽12を備えている。この真空槽12は、高耐食性および高耐熱性の金属、例えばSUS304等のステンレス鋼、によって形成されており、その壁部は、基準電位としての接地電位に接続されている。そして、この真空槽12の壁部の適宜位置、例えば底部には、排気口14が設けられており、この排気口14には、図示しない排気管を介して、当該真空槽12の外部にある図示しない排気手段としての真空ポンプが結合されている。なお、真空槽12内の直径(内径)は、例えば約500mmであり、高さ寸法は、例えば約600mmである。また、この真空槽12の上部は、強度向上等の理由により概略ドーム状に形成されている。
真空槽12内においては、その底部近傍に、蒸発源16が配置されている。この蒸発源16は、収容手段としての概略カップ形(詳しくは上部が開口された概略円筒形)の銅製の坩堝18と、蒸発手段としての270°偏向型の電子銃20と、を有している。即ち、坩堝18は、後述する被膜の材料22を収容するためのものであり、電子銃20は、当該坩堝18内の被膜材料22を加熱して蒸発させるためのものである。なお、電子銃20の出力(パワー)Wgは、真空槽12の外部にある専用の電源装置24によって制御され、例えば最大で10kWである(図1においては、電源装置24の電力の供給先が蒸発源16(筐体)であるように示されているが、これは図示の簡略化のためであり、実際には、電子銃20(のフィラメント)に当該電源装置24の電力が供給される)。また、詳しい図示は省略するが、蒸発源16は、坩堝18の過熱を防ぐための水冷式の冷却機構を備えている。
そして、蒸発源16の上方に、被処理物としての例えば基板26が配置される。この基板26は、その成膜の対象となる面を蒸発源16に向けた状態で、特に坩堝18の開口部に向けた状態で、保持手段としての基板台28によって保持されている。また、基板26と坩堝18との間には、図示しない開閉機構によって開閉駆動されるシャッタ30が、設けられている。
さらに、基板台28は、真空槽12の外部にあるバイアス電力供給手段としての直流の基板バイアス電源装置32に接続されており、詳しくは当該基板バイアス電源装置32の負極端子に接続されている。そして、この基板バイアス電源装置32の正極端子は、接地電位に接続されている。これにより、基板26には、基板台28を介して、基板バイアス電源装置32から、負の直流電力である基板バイアス電力が供給される。なお、基板バイアス電力の電圧成分、言わば基板バイアス電圧Vsubは、可変であり、例えば−100V〜−2000Vの範囲で任意に設定される。
加えて、蒸発源16とシャッタ30との間であって当該蒸発源16の近傍の斜め上方に、要するに当該蒸発源16からの後述する蒸発粒子の蒸発経路の邪魔にならないように、イオン化手段としてのイオン化機構34が設けられている。このイオン化機構34は、熱陰極としての熱電子放射フィラメント36と、陽極としてのイオン化電極38と、を有している。このうちの熱電子放射フィラメント36は、例えば直径が1mmのタングステン(W)製の線状体であり、坩堝18の開口部周縁から上方に直線(最短)距離で10mm〜40mmほど、好ましくは20mmほど、離れた位置において、水平方向に延伸するように設けられている。そして、この熱電子放射フィラメント36の両端は、真空槽12の外部にある交流のフィラメント加熱電源装置40に接続されている。つまり、熱電子放射フィラメント36は、フィラメント加熱電源装置40からの交流のフィラメント加熱電力Wcの供給を受けることによって加熱(赤熱)し、熱電子を放射する。なお、熱電子放射フィラメント36の両端の一方、言い換えればフィラメント加熱電源装置40の2つある出力端子の一方は、接地電位に接続されている。また、フィラメント加熱電力Wcは、直流電力であってもよい。
イオン化電極38は、例えば長さ寸法が約100mm、幅寸法が約30mm、厚さ寸法が約3mmのモリブデン(Mo)製の板状(長尺状)体であり、熱電子放射フィラメント36のさらに上方において、その長辺が当該熱電子放射フィラメント36と平行を成して延伸するように設けられている。なお、上述した坩堝18の開口部周縁からこのイオン化電極38までの直線距離は、例えば20mm〜100mmであり、好ましくは50mm〜70mmである。このイオン化電極38は、真空槽12の外部にある直流のイオン化電源装置42に接続されており、詳しくは当該イオン化電源装置42の正極端子に接続されている。そして、イオン化電源装置42の負極端子は、陽極電流検出手段としての電流検出装置44を介して、接地電位に接続されている。つまり、イオン化電極38には、イオン化電源装置42から、正の直流電力であるイオン化電極電力が供給される。言い換えれば、イオン化電極38を正極とし、上述の熱電子放射フィラメント36を陰極として、これら両者間に、当該イオン化電極電力の電圧成分、言わばイオン化電極電圧Vd、に応じた電位差が与えられる。
電流検出装置44は、イオン化電極38に流れる電流、言わばイオン化電極電流Id、を検出するためのものであり、この電流検出装置44による電流検出値は、熱電子量制御手段としてのフィラメント制御装置46に供給される。フィラメント制御装置46は、電流検出装置44による電流検出値が一定になるように、つまりイオン化電極電流Idが一定になるように、フィラメント加熱電源装置40を制御し、詳しくはフィラメント加熱電力Wcの電流値Icを制御する。なお、フィラメント加熱電力Wcの電圧値Vcは、基本的に熱電子放射フィラメント36の長さによって決まる。
また、基板台28の近傍には、例えば水晶振動子式の膜厚センサ48が、その検出部を坩堝18の開口部に向けた状態で配置されている。この膜厚センサ48は、真空槽12の外部にある膜厚モニタ50に接続されている。膜厚モニタ50は、膜厚センサ48と共に成膜速度検出手段を構成するものであり、当該膜厚センサ48による膜厚検出値に基づいて、基板26の表面への被膜の生成速度、いわゆる成膜レートRfを、算出する。そして、この膜厚モニタ50による成膜レートRfの算出結果は、蒸発量制御手段としての蒸発量制御装置52に供給される。
蒸発量制御装置52は、膜厚モニタ50による成膜レートRfの算出結果に基づいて、当該成膜レートRfが一定になるように、蒸発源16からの被膜材料22の蒸発量を制御する。詳しくは、電子銃20専用の電源装置24を制御することによって、当該電子銃20の出力Wgを制御する。なお、この蒸発量制御装置52は、電子銃20専用の電源装置24または膜厚モニタ50に組み込まれてもよい。
このように構成されたイオンプレーティング装置10によれば、例えばステンレス鋼製の基板26の表面に銅(Cu)の被膜を形成することができる。
この場合、当該銅の被膜材料22が坩堝18に収容される。そして、真空槽12内が10−4Pa程度にまで排気され、いわゆる真空引きされる。この真空引きの後、シャッタ30が閉じられた状態で、フィラメント加熱電源装置40から熱電子放射フィラメント36に対してフィラメント加熱電力Wcが供給され、例えば50Aの電流Icが供給される。これによって、熱電子放射フィラメント36が加熱され、熱電子を放射する。
併せて、イオン化電源装置42からイオン化電極38に対してイオン化電極電力が供給され、例えば20V〜60Vのイオン化電極電圧Vdが印加される。即ち、イオン化電極38を正極とし、熱電子放射フィラメント36を陰極として、これら両者間に、20V〜60Vの電位差が与えられる。これにより、熱電子放射フィラメント36から放射された熱電子が、イオン化電極38に向かって加速される。この加速された熱電子のエネルギは、イオン化電極電圧Vdに相関し、つまり20eV〜60eVである。そして、この熱電子がイオン化電極38に流入することによって、当該イオン化電極38に例えば0.2mA〜1.0mAのイオン化電極電流Idが流れる。
この状態で、蒸発源16の電子銃20に対して当該電子銃20専用の電源装置24から通電されることで、坩堝18内の被膜材料22が加熱され、蒸発する。この被膜材料22は、蒸発粒子は、上方に向かって流れ、その途中で、熱電子放射フィラメント36とイオン化電極38との間の言わばイオン化空間を通過する。イオン化空間においては、上述の如く熱電子が加速されているので、この熱電子が被膜材料22の蒸発粒子と非弾性衝突することによって、当該蒸発粒子が電離し、つまりイオン化される。また、このイオン化に伴い、蒸発粒子から弾き飛ばされた電子が、イオン化電極38に流れ込む。これにより、イオン化電極電流Idが、例えば10A〜100Aに増大し、これが継続されることで、イオン化された蒸発粒子を含むプラズマが発生する。
そして、基板バイアス電源装置32から基板台28を介して基板26に対し基板バイアス電力が供給され、例えば−100Vの基板バイアス電圧Vsubが印加される。その上で、シャッタ30が開かれ、基板26の成膜対象面がプラズマ空間に露出される。これにより、イオン化された蒸発粒子、つまり銅イオンが、基板26の表面に入射される。この結果、基板26の表面に銅の被膜が生成される。
ここで例えば、坩堝18内の被膜材料22が時間の経過と共に消費されて、その蒸発面が下がる、と仮定する。すると、この蒸発面と上述のイオン化空間との距離が長くなり、当該イオン化空間における被膜材料22の蒸発粒子の密度が低下する。この状態が放置されると、熱電子と被膜材料22の蒸発粒子との衝突頻度が低下して、イオン(銅イオン)の生成量が減少する。そして、このようにイオンの生成量が減少すると、当然に、基板26の表面への当該イオンの入射量も減少する。この基板26の表面へのイオンの入射量の減少は、当該基板26の表面に生成される被膜の品質や再現性に大きく影響するため、極めて不都合である。この不都合を解消するために、本実施形態では、上述の如く電流検出装置44とフィラメント制御装置46とが設けられている。
即ち、電流検出装置44は、イオン化電極38に流れるイオン化電極電流Idを検出する。この電流検出装置44による電流検出値、つまりイオン化電極電流Idは、イオンの生成量に比例する。従って、上述の如くイオンの生成量が減少すると、このイオン化電極電流Idもまた減少する。フィラメント制御装置46は、このイオン化電極電流Idが一定になるように、フィラメント加熱電源装置40を制御し、この場合はフィラメント加熱電力Wcの電流値Icを増大させる。これにより、熱電子放射フィラメント36からの熱電子の放射量が増大し、当該熱電子と被膜材料22の蒸発粒子との衝突頻度が維持され、イオンの生成量が安定化される。そして、基板26の表面へのイオンの入射量が安定化され、ひいては当該基板26の表面に生成される被膜の品質や再現性が安定化される。なお、基板26の表面へのイオンの入射量は、当該基板26に流れる電流、言わば基板電流Isub、に比例する。従って、この基板電流Isubが一定であれば、基板26の表面へのイオンの入射量が一定であるとみなすことができる。
また例えば、時間の経過と共に坩堝18内の被膜材料22の蒸発面が下がらない場合であっても、つまり上述のイオン化空間における当該被膜材料22の蒸発粒子の密度が一定であっても、イオンの生成量が変化することがある。その主な原因として、熱電子放射フィラメント36自体の消耗、詳しくは当該熱電子放射フィラメント36自体が昇華し、或いはイオンによってスパッタされることが、考えられる。即ち、熱電子放射フィラメント36自体が消耗して、その径が小さくなると、当該熱電子放射フィラメント36自体の電気インピーダンスが増大する。その一方で、熱電子放射フィラメント36に供給されるフィラメント加熱電力Wcが一定であるとすると、当該熱電子放射フィラメント36の加熱温度が上昇し、熱電子の放射量が増大する。この状態が放置されると、熱電子と被膜材料22との衝突頻度が上がり、イオンの生成量が増大する。そして、このようにイオンの生成量が増大することによって、基板26の表面への当該イオンの入射量も増大する。
この場合も、本実施形態では、イオン化電極電流Idが一定になるように、つまりイオンの生成量が一定になるように、熱電子放射フィラメント36に供給されるフィラメント加熱電力Wcが制御される。具体的には、当該フィラメント加熱電力Wcの電流値Icが低減される。これにより、熱電子放射フィラメント36からの熱電子の放射量が減少し、当該熱電子と被膜材料22の蒸発粒子との衝突頻度が維持され、イオンの生成量が安定化される。
このイオンの生成量の安定化とは別に、つまり基板26の表面へのイオンの入射量の安定化とは別に、本実施形態では、さらに、上述の如く当該基板26の表面への成膜レートRfが一定になるように、電子銃20の出力Wgが制御され、ひいては蒸発源16からの被膜材料22の蒸発量が制御される。このように基板26の表面へのイオンの入射量と当該基板26の表面への成膜レートRfとが独立して制御されることによって、被膜の品質や特性を柔軟かつ多様に制御することができ、種々の要求に対応することができる。
ここで、本実施形態の有効性を確認するために、次の2つの実験を行った。
まず、第1の実験として、直径が30mmの坩堝18を採用する。そして、成膜レートRfが5nm/sになるように、電子銃20の出力Wgを自動制御する。併せて、フィラメント加熱電力Wcの初期値を1350Wとし、詳しくはその電流値Icを45Aとする。なお、当該フィラメント加熱電力Wcの電圧値Vcは、30Vである。さらに、イオン化電極電圧Vdを40Vとし、基板バイアス電圧Vsubを−100Vとする。この条件下で、上述した要領による銅の成膜処理を行い、時間の経過に対するイオン化電極電流Idと基板電流Isubとを推移を観測した。その結果を、図2(a)に示す。また、比較対照用として、フィラメント制御装置46によるフィラメント加熱電源装置40の制御を行わずに、フィラメント加熱電力Wcを1350Wに固定することで、上述の従来技術によるのと同様の成膜環境を模擬的に形成し、このときのイオン化電極電流Idと基板電流Isubとを観測した。その結果を、図2(b)に示す。
図2(a)に示すように、本実施形態によれば、イオン化電極電流Idが一定であること、つまりイオンの生成量が一定であることが、確認された。そして、基板電流Isubが一定であること、つまり基板26の表面へのイオンの入射量が一定であることも、確認された。なお、イオン化電極電流Idは、20Aであり、基板電流Isubは、1.0Aである。基板電流Isubは、基板26の表面積や基板バイアス電圧Vsub,イオン化電極電圧Vd等によって変わるが、概ねイオン化電極電流Idの数分の1〜数十分の1程度である。
これに対して、模擬的に形成された従来技術によれば、図2(b)に示すように、時間の経過と共にイオン化電流Idが減少すること、つまりイオンの生成量が減少することが、確認された。詳しくは、当該イオン化電極電流Idは、成膜処理の開始当初は20Aであるものの、30分経過後は15Aに減少した。これは、時間の経過と共に坩堝18内の被膜材料22の蒸発面が下がることによるものと、推察される。そして、このイオン化電極電流Idの減少に伴い、基板電流Isubが減少すること、つまり基板26の表面へのイオンの入射量が減少することが、確認された。詳しくは、当該基板電流Isubは、成膜処理の開始当初は1.0Aであるものの、30分経過後は0.7Aに減少した。
即ち、この第1の実験の結果から、本実施形態によれば、時間の経過と共に坩堝18内の被膜材料22の蒸発面が下がったとしても、その影響を受けることのないよう、イオンの生成量が安定化され、ひいては基板26の表面へのイオンの入射量が安定化されることが、証明された。
続いて、第2の実験として、坩堝18内の被膜材料22の蒸発面が下がることによる影響を排除するべく、第1の実験よりも大きな坩堝18を採用し、詳しくは直径が60mmの坩堝18を採用する。そして、成膜レートRfが10nm/sになるように、電子銃20の出力Wgを自動制御する。併せて、フィラメント加熱電力Wcの初期値を1500Wとし、詳しくはその電流値Icを50Aとする。なお、当該フィラメント加熱電力Wcの電圧値Vcは、第1の実験と同じ30Vである。さらに、イオン化電極電圧Vdを40Vとし、基板バイアス電圧Vsubを−100Vとする。この条件下で、イオン化電極電流Idと基板電流Isubとを観測する。その結果を、図3(a)に示す。また、この第2の実験においても、比較対照用として、フィラメント加熱電力Wcを1500Wに固定することで、従来技術によるのと同様の成膜環境を模擬的に形成し、このときのイオン化電極電流Idと基板電流Isubとを観測する。その結果を、図3(b)に示す。
図3(a)に示すように、この第2の実験においても、本実施形態によれば、イオン化電極電流Idが一定であること、つまりイオンの生成量が一定であることが、確認された。そして、基板電流Isubもまた一定であること、つまり基板26の表面へのイオンの入射量もまた一定であることが、確認された。なお、イオン化電極電流Idは、30Aであり、基板電流Isubは、1.5Aである。
これに対して、模擬的に形成された従来技術によれば、図3(b)に示すように、成膜処理の開始直後から或る時点tsまでは、イオン化電流Idは一定であり、つまりイオンの生成量は一定である。しかし、当該時点ts以降は、時間の経過と共にイオン化電流Idが増大し、つまりイオンの生成量が増大する。詳しくは、成膜処理の開始直後から時点tsまでは、イオン化電流Idは30Aという一定値を保つものの、当該時点ts以降は、時間の経過と共に増大する。そして、当該時点tsから2時間経過後、イオン化電極電流Idは50Aにまで増大した。これは、時間の経過と共に熱電子放射フィラメント36自体が消耗することによるものと、推察される。そして、このようなイオン化電極電流Idの推移に伴い、基板電流Isubもまた、つまり基板26の表面へのイオンの入射量もまた、成膜処理の開始直後から或る時点tsまでは一定であり、当該時点ts以降は時間の経過と共に増大する。詳しくは、成膜処理の開始直後から時点tsまでは、基板電流Isubは1.5Aという一定値を保つものの、当該時点ts以降は、時間の経過と共に増大し、当該時点t2から2時間経過後には2.5Aにまで増大した。
即ち、この第2の実験の結果から、本実施形態によれば、時間の経過と共に熱電子放射フィラメント36自体が消耗したとしても、その影響を受けることのないよう、イオンの生成量が安定化され、ひいては基板26の表面へのイオンの入射量が安定化されることが、証明された。
以上のように、本発明によれば、時間の経過と共に坩堝18内の被膜材料22の蒸発面が下がったり、或いは熱電子放射フィラメント36自体が消耗したりしたとしても、これらの影響を受けることのないよう、イオンの生成量が安定化され、ひいては基板26の表面へのイオンの入射量が安定化される。従って、時間の経過と共に基板表面へのイオンの入射量が変化する従来技術に比べて、より高品質かつ再現性の高い被膜を生成することができる。
また、この基板26の表面へのイオンの入射量の安定化とは別に、当該基板26の表面への成膜レートRfが安定化されることで、つまりこれら両者を独立して制御されることで、被膜の品質や特性のさらなる向上および多様化が図られる。例えば、基板26の表面へのイオンの入射量が小さく、かつ、当該基板26の表面への成膜レートRfが大きいほど、密度の小さいいわゆるポーラス質の被膜が生成される。これとは反対に、基板26の表面へのイオンの入射量が大きく、かつ、当該基板26の表面への成膜レートRfが小さいほど、密度の大きいいわゆるバルク質の被膜が生成される。ゆえに、被膜の品質や特性についての様々な要求に対応することができる。
なお、本実施形態で説明した内容は、本発明を実現するための1つの具体例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
例えば、蒸発手段として、電子銃20を挙げたが、これに限らない。抵抗加熱方式等の他の蒸発手段が採用されてもよい。
また、イオンプレーティング装置として、アルゴン(Ar)ガス等の放電用ガスを用いてプラズマを励起させるものがあるが、このような放電用ガスを用いるものにも、本発明を適用することができる。
さらに、基板26として、ステンレス鋼製のものを例示したが、これに限らない。即ち、当該基板26は、ステンレス鋼以外の金属製であってもよいし、金属以外の導電性物質、或いは半導体や絶縁性物質であってもよい。
そして、基板26に生成される被膜として、銅被膜を例示したが、これに限らない。即ち、当該被膜は、銅被膜以外の金属膜あってもよいし、金属以外の導電性被膜、或いは絶縁性被膜であってもよい。この場合、必要に応じて、被膜の材料となる材料ガスが真空槽12内に導入される。
ただし、基板26が絶縁性物質である場合、または、被膜が絶縁性被膜である場合には、基板バイアス電力として、直流電力ではなく交流電力が採用されることが肝要であり、例えば上述の従来技術におけるパルス電力が採用されるのが望ましい。加えて、この場合、当該従来技術の如くイオン化電極38にイオン化電極加熱電力が供給されてもよいし、フィラメント加熱電力Wcにフィラメントバイアス電力が重畳されてもよい。
10 イオンプレーティング装置
16 蒸発源
18 坩堝
20 電子銃
26 基板
32 基板バイアス電源装置
34 イオン化機構
36 熱電子放射フィラメント
38 イオン化電極
40 フィラメント加熱電源装置
42 イオン化電源装置
44 電流検出装置
46 フィラメント制御装置

Claims (4)

  1. 被膜の材料を収容する収容手段と、
    上記収容手段に収容されている上記材料を蒸発させる蒸発手段と、
    蒸発した上記材料の蒸発粒子をイオン化するための熱電子を放出する熱陰極と、
    上記熱陰極と距離を置いて設けられており該熱陰極との間に電位差が与えられることによって上記熱電子を加速させる陽極と、
    を具備し、
    加速された上記熱電子が上記蒸発粒子と衝突することによって該蒸発粒子がイオン化されると共に、イオン化された該蒸発粒子を被処理物の表面に入射させるためのバイアス電力を該被処理物に供給することによって該被処理物の表面に上記被膜を生成する、イオンプレーティング装置において、
    上記陽極に流れる電流を検出する陽極電流検出手段と、
    上記陽極電流検出手段による電流検出値が一定になるように上記熱陰極による上記熱電子の放出量を制御する熱電子量制御手段と、
    上記被処理物の表面に生成される上記被膜の生成速度を検出する成膜速度検出手段と、
    上記成膜速度検出手段による速度検出値が一定になるように上記蒸発手段による上記材料の蒸発量を制御する蒸発量制御手段と、
    をさらに具備することを特徴とする、イオンプレーティング装置。
  2. 上記熱陰極と上記陽極との少なくとも一方は上記収容手段の上方に設けられている、
    請求項1に記載のイオンプレーティング装置。
  3. 上記熱陰極は線状のフィラメントを含む、
    請求項1または2に記載のイオンプレーティング装置。
  4. 収容手段に収容されている被膜の材料を蒸発させる蒸発過程と、
    蒸発した上記材料の蒸発粒子をイオン化するための熱電子を熱陰極から放出させる熱電子放出過程と、
    上記熱陰極と距離を置いて設けられている陽極と該熱陰極との間に電位差を与えることによって上記熱電子を加速させる熱電子加速過程と、
    を具備し、
    加速された上記熱電子が上記蒸発粒子と衝突することによって該蒸発粒子がイオン化されると共に、イオン化された該蒸発粒子を被処理物の表面に入射させるためのバイアス電力を該被処理物に供給することによって該被処理物の表面に上記被膜を生成する、イオンプレーティング方法において、
    上記陽極に流れる電流を検出する陽極電流検出過程と、
    上記陽極電流検出過程における電流検出値が一定になるように上記熱電子放出過程における上記熱陰極からの上記熱電子の放出量を制御する熱電子量制御過程と、
    上記被処理物の表面に生成される上記被膜の生成速度を検出する成膜速度検出過程と、
    上記成膜速度検出過程における速度検出値が一定になるように上記蒸発過程における上記材料の蒸発量を制御する蒸発量制御過程と、
    をさらに具備することを特徴とする、イオンプレーティング方法。
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