JP5834518B2 - 刃先交換式回転切削工具 - Google Patents

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本発明は、各種被削材に溝加工や段付き加工等を行なうときに使用する刃先交換式回転切削工具、特に切削工具本体の外周部に形成した複数の螺旋状の溝に沿って、複数のインサートを着脱自在に装着した刃先交換式回転切削工具に関する。
工具軸線の回りに回転する円柱状の切削工具本体の外周部に、切削工具本体の先端側から基端側に向けて、間隔をおいてねじれをもって形成された複数の螺旋状の溝(又はねじれ溝)を設け、これら螺旋状の溝(以下、「螺旋状溝」という)に切れ刃を備えた複数のインサートを着脱自在に装着した刃先交換式回転切削工具、いわゆるラフィングエンドミルが実用化されている。
この種の刃先交換式回転切削工具においては、切削工具本体の外周部に3〜6つの螺旋状溝が形成され、一つの螺旋状溝には3〜7個程度のインサートが配列をなして装着されている。この刃先交換式回転切削工具を用いて被削材を切削加工するときには、切削工具本体の回転に伴って、切削工具本体の外周部の螺旋状溝に装着されたインサートの切れ刃が、順次被削材に切込みながら切削加工を行うので大きな振動の発生を防止することができる。しかし、複数の螺旋状溝のそれぞれに複数のインサートが装着されているので、小さな振動が発生し易くなるという不具合がある。このような小さな振動が発生すると、切れ刃の欠損の発生、加工面の品質低下、その結果として加工能率の低下などの課題が生じている。このような課題を解決するために、従来から多数の技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1〜特許文献7に記載の発明が提案されている。
特許文献1(特開昭63−93511号公報)には、切削加工時に発生する振動の共振を防止する手段を備えたスローアウェイ式転削工具が提案されている。この振動の共振を防止する手段は、各螺旋状溝に沿うスローアウェイチップのアキシャルすくい角を切削工具本体の先端側から基端側に向けて次第に大きくなるように設定したものである。そして、特許文献1には、このように、スローアウェイチップのアキシャルすくい角を異なる角度に設定することにより、切削工具本体に作用する切削抵抗の大きさ及び作用する時間が、切削工具本体の軸線方向に向けて不規則に変化するため、切削工具本体に規則的な振動を与えることがない、すなわち、共振動の発生を防止することができる、ことが記載されている。
特許文献2(特開昭63−52911号公報)には、切削加工時に発生する比較的小さな振動の発生を防止する手段を備えたスローアウェイ式転削工具が提案されている。この比較的小さな振動の発生を防止する手段は、複数(複数条)の螺旋状溝のうちの少なくとも一つの螺旋状溝のねじれ角を他の螺旋状溝のねじれ角と異なる角度に設定したものである。そして、特許文献1には、このように、螺旋状溝のうちの少なくとも一つの螺旋状溝のねじれ角を他の螺旋状溝のねじれ角と異なる角度に設定することにより、異なるねじれ角に設定された螺旋状溝に装着されたスローアウェイチップの切れ刃と、これと隣接する螺旋状溝に装着されたスローアウェイチップの切れ刃との間の周方向の間隔が変化するので、切削工具本体に発生する振動の振動数が切削工具本体の回転に伴って不規則に変化するので共振を発生することがない、ことが記載されている。
特許文献3(特表2004−510594号公報)には、振動の減少、より良好な表面仕上げ、よりスムースな切削作業等を目的としたミリングカッターに関する発明が提案されている。この特許文献3には、切削工具本体の外周部に少なくとも第1及び第2のスパイラル状溝を設けたミリングカッターにおいて、これら各スパイラル状溝に装着したインサートの軸方向すくい角を、各スパイラル状溝間、及び各スパイラル状溝内で変化させた構成とすることが記載されている。また、特許文献3には、このようにインサートの軸方向すくい角を、各スパイラル状溝間、及び各スパイラル状溝内で変化させた構成にすることにより、インサートが被加工物に向かうにつれて切削エッジがより均一な陳列効果をもたらすので、被加工物に切削エッジの衝撃をより不規則に分配することが記載されている。
特許文献4(米国特許第7399146号明細書)には、切削加工時に発生する振動の共振を防ぐためのロータリーカッティングツール(ラフィングエンドミル)に関する発明が提案されている。このロータリーカッティングツールは、例えば、切削工具本体の外周面に3つの螺旋状溝を形成したときに、この3つの螺旋状溝に設けるインサートの取り付け座を外周面の円周上に等間隔に設けないようにする、すなわち、3つの螺旋状溝を切削工具本体の軸線に対して120度間隔で設けない構成(不等分割または不等間隔)とし、さらに、いくつかの着座面のラジアルレーキ角とアキシャルレーキ角を異なる値に設定した構成とされている。
特許文献5(特開2008−68345号公報)には、波刃状切刃を装着したラフィングエンドミルにおいて、切削抵抗の低減と切屑処理性の向上を目的とした発明が提案されている。特許文献5に記載のラフィングエンドミルは、軸線回りに回転されるエンドミル本体1の外周に軸線方向に間隔をあけて複数の螺旋状溝を設け、周方向に隣接するインサートの列同士で少なくとも一部のインサートAを軸線方向に互いにずらして配置し、この一部のインサートAは、エンドミル本体の外周側を向く切刃が軸線方向に向かうに従い凹凸する波刃状切刃とする。さらに、このうち、1のインサート列の1のインサートAと他のインサート列の軸線方向にずらされたインサートAとは、互いの波刃状切刃がその位相を軸線回りの回転軌跡において連続させた波刃状切刃列を構成し、エンドミル本体の外周に位相が異なる複数の波刃状切刃列を形成する構成としたことが記載されている。
そして、特許文献5に記載の発明においては、エンドミル本体の外周に位相の異なる複数の波刃状切刃列を形成することにより、切屑を確実、かつより細かく分断して切削抵抗を十分に低減するとともに切屑処理を向上させつつ、ワークの加工面をより平滑に切削することを可能にしたものである。
特許文献6(特開平8−1426号公報)には、切削抵抗の増大によりびびり振動の発生が起きにくくなるように改善したラフィングエンドミルに関する発明が提案されている。特許文献6に記載の発明は、第1のねじれ溝には、四角形のスローアウェイチップを先端より等配して装着する。第2のねじれ2には、第1のねじれ溝におけるスローアウェイチップの配列の間隙を補完するようにスローアウェイチップを配列するとともに、第2のスローアウェイチップ(3c)の先端側に、第1のねじれ溝における第1のスローアウェイチップ(3a)の外縁と回転軌跡がほぼ重複するスローアウェイチップ(13)を加える。この結果、損傷の早い先端部の切れ刃数は2倍になり、また、外周切れ刃が分割されているので、良好な切りくず排出と振動の抑制された切削が得られるようにしたものである。
特許文献7(特表2011−513074号公報)に記載の発明には、切削加工中に切削インサートに加わる切削負荷を均等に分散させて、不要な振動の発生を低減させる手段を備えたヘリカルフライス(刃先交換式回転切削工具)が提案されている。このヘリカルフライスは、ヘリカルフライスの外周面に沿って螺旋状配列で形成、かつ配置され、隣接するポケットから円周角方向に離隔された複数のポケットを備え、このポケットの各々の同じ点である個別の点によって規定されたレイアウトラインを、第1の列より先の列では不均一な傾斜を有するように構成したものである。
また、このヘリカルフライスは、複数の切削インサートがヘリカルフライスの外周面に沿って螺旋状配列で配置され、ヘリカルフライスの外周面において複数のインサートの各々の少なくとも1つの切れ刃が隣接する切削インサートのポケットから離隔して、第1の列より先の列の1つ以上の切れ刃の少なくとも2つの個別の点が、不均一な傾斜を有するレイアウトラインの一部を規定するように構成したものである。
特開昭63−93511号公報 特開昭63−52911号公報 特表2004−510594号公報 米国特許第7399146号明細書(US7399146B2) 特開2008−68345号公報 特開平8−1426号公報 特表2011−513074号公報
特許文献1に開示されているスローアウェイ式転削工具は、同一刃列内および各刃列間において配列されたインサートのアキシャルレーキを変えているため、切削工具本体の最先端側に装着されたインサートの底面側の逃げ角が変化してしまう。そのため、幅広いアキシャルレーキに対応するため、使用されるインサートの逃げ角は大きくする必要があり、インサート自体の刃先強度の低下が懸念される。
特許文献2に開示されているスローアウェイ式転削工具は、複数ある刃列のうち、少なくとも一つ以上の刃列のねじれ角を他の刃列と異なるねじれ角に設定しているため、工具基端側になればなるほど、他の刃列よりも大きなねじれ角を有する刃列では、インサートを取り付ける部分のバックメタルが小さくなり、切削工具本体自体の強度低下が発生してしまう。
特許文献3に開示されているミリングカッターは、工具基端側に配列されているインサートのアキシャルレーキを大きくすることで振動の抑制を図っているが、同一段内においては同一のアキシャルレーキとなっているため、例えば軸方向切込み量が小さい場合には、効果的に振動を抑制することは困難である。
特許文献4に開示されているロータリーカッティングツールは、切削工具本体に取り付けられているインサートを、回転円周方向に不等分割して装着し、さらに、いくつかの着座面のラジアルレーキ角とアキシャルレーキ角を異なる値に設定することにより、調和振動の発生を低減する技術を開示している。しかし、複数の螺旋状溝の最先端に装着するインサートには切削加工の負荷が最も大きく作用するので、これらのインサートの切刃の損傷、あるいは切削加工に伴う振動が大きくなる可能性が生じる。
特許文献5に開示されているラフィングエンドミルは、エンドミル本体の外周に位相の異なる複数の波刃状切刃列(複数のインサートを配列した刃列)を形成することにより、切屑を確実、かつより細かく分断して切削抵抗を十分に低減するとともに切屑処理を向上させつつ、ワークの加工面をより平滑に切削することを可能にしたものである。従って、このラフィングエンドミルには、切削加工時に発生する振動による共振を積極的に抑制するための手段は含まれていないと考えられる。
特許文献6に開示されているラフィングエンドミルは、第1のねじれ溝には、四角形のスローアウェイチップを先端より等配して装着する。第2のねじれ2には、第1のねじれ溝におけるスローアウェイチップの配列の間隙を補完するようにスローアウェイチップを配列するとともに、第2のスローアウェイチップ(3c)の先端側に、第1のねじれ溝における第1のスローアウェイチップ(3a)の外縁と回転軌跡がほぼ重複するスローアウェイチップ(13)を加えることにより、先端部に装着されたスローアウェイチップについて、良好な切りくず排出と振動の抑制を行うようにしたものである。しかし、ラフィングエンドミルにおいて、振動の発生、特に発生した振動の共振を抑制するためには、各螺旋状溝に装着されるスローアウェイチップ(インサート)の軸方向すくい角についても考慮する必要がある。また、各インサートの刃先強度も確保できるようにすることも重要である。
特許文献7に開示されているヘリカルフライスは、複数の螺旋状溝に、ヘリカルフライスの先端部から順次装着される切削インサートについて、第1の列より先の列の1つ以上の切れ刃の少なくとも2つの個別の点が、不均一な傾斜を有するレイアウトラインを構成することにより、切削加工時に不要な振動の発生を低減させるものである。しかし、不要な振動の発生を低減させるためには、各切削インサートの切れ刃がなす軸方向すくい角も重要な要因になる。特許文献7には、この不要な振動の発生を低減させるために切れ刃がなす軸方向すくい角の詳細な構成については開示されていない。
このように、従来の刃先交換式のラフィングエンドミルが抱えている課題を纏めると、次のようになる。
切削工具本体の回転に伴って、複数のインサートの切れ刃回転軌跡が連続する切れ刃を描くように装着した場合には、インサートの切れ刃回転軌跡が不連続になるようにインサートを千鳥状に装着した場合と比較して、インサートを固定するための取り付け座の数が多くなる。このため、例えば、切削工具本体に、十分な強度を維持するためのバックメタルの確保や、十分なチップポケットの容積確保、インサートをより強固に切削工具本体と締結するための拘束面の確保、等の要求される条件をすべて満足することは困難になっている。
インサートを千鳥状に装着したラフィングエンドミルは従来から実用化されているが、工具の有効刃数の減少に伴い加工能率も低下するため、近年の産業界での利用価値は年々低下している。また、一方で、切削工具本体の外周部に形成した螺旋状溝に多数のインサートを装着したラフィングエンドミルは、切削加工中に発生する切削工具と被削材との接触箇所が通常の工具よりも増えるため、切削加工中に発生する振動(切削振動)の共振によりビビリ振動が発生し易くなる。そのため、切削加工面の品位低下や振動を起因とする工具損傷が懸念される。
また、ラフィングエンドミルにおいて、一般的に、切削加工中に発生するビビリ振動を抑制する技術として、螺旋状溝に配列するインサートの刃列を、切削工具本体の外周部上に不等間隔に配置する不等分割と呼ばれる技術があり、この不等分割の技術を適用することが好ましいと考えられる。しかし、切削工具本体の回転に伴うインサートの切れ刃の回転軌跡が連続する切れ刃を描くように装着されている場合は、このようなインサートの刃列を不等間隔で配置するすると、インサートを切削工具本体に十分な強度を維持した状態で装着するためのバックメタルを切削工具本体に確保することが困難になり、切削工具本体の強度低下にも繋がるという課題を有していた。
このような課題を解決するためには、切削工具本体の強度を十分に確保しつつ、切削加工中に発生するビビリ振動を抑制する手段を備えることが必要である。この課題を解決するためには、複数の螺旋状溝に装着する個々のインサートの配列の改善と、その軸方向すくい角を適切に設定して、切削工具本体の強度を十分に確保し、かつ、切削加工中に発生するビビリ振動を抑制することが、特に重要であり、この課題を解決すると、多数のインサートを装着したラフィングエンドミルの産業的利用価値は大いに向上すると考えられる。
本発明は、上記した従来の刃先交換式回転切削工具が備えている課題を解決するものである。本発明の目的は、特に、切削工具本体の強度を落とすことなく、また切削工具本体の先端側に装着したインサートの刃先強度も維持したまま、切削加工時に振動の発生を抑制することができ、さらに、高能率な加工条件下でも長時間安定した切削性を得ることができる刃先交換式回転工具を提供することにある。
本発明の請求項1に係る刃先交換式回転切削工具は、工具軸線の回りに回転する円柱状の切削工具本体の外周部の先端側から基端側に向けて、前記工具軸線に沿うように間隔を設けて形成された複数の螺旋状溝と、平面視で略四辺形平板状をなし、前記螺旋状溝に着脱自在に装着される複数のインサートを備え、前記切削工具本体の回転に伴って前記装着した前記インサートの切れ刃の回転軌跡が連続する軌跡を描くようになされた刃先交換式回転切削工具において、
前記複数の螺旋状溝は、前記複数のインサートを前記螺旋状溝の先端側から前記基端側に向けて刃列パターンAに基づいて配列した第1の螺旋状溝と、同じく前記複数のインサートを刃列パターンBに基づいて配列した第2の螺旋状溝とから構成され、
前記切削工具本体の側面展開図において、同一の前記螺旋状溝に装着され、隣接する前記インサートの同じ部位どうしを結んだ直線が、前記切削工具本体の前記工具軸線となす角度を配列角としたときに、
前記刃列パターンAに基づいて前記第1の螺旋状溝に配列された前記インサートの配列角は、前記先端側の最先端に装着されたインサートと該最先端のインサートに続いて前記基端側方向に装着された第2段目のインサートとがなす前記配列角をθA1とし、前記第2段目のインサートと第3段目のインサートとがなす前記配列角をθA2としたときに、θA1>θA2とされるとともに、前記第3段目以降に装着された前記インサートがなす前記配列角は前記θA2とされ、
前記刃列パターンBに基づいて前記第2の螺旋状溝に配列された前記インサートの配列角は、前記先端側の最先端に装着されたインサートと該最先端に続いて第2段目のインサートとによって形成されるインサート配列角をθB1とし、前記第2段目のインサートと第3段目のインサートとによって形成されるインサート配列角をθB2としたときに、θB1>θB2とされ
前記第2の螺旋状溝において、前記第3段目のインサートと第4段目のインサートとによって形成される配列角をθ B3 としたときに、前記θ B1 と、前記θ B2 と、前記θ B3 は、θ B1 >θ B2 >θ B3 とされていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の刃先交換式回転切削工具に係り、第4段目以降に配列された前記インサートの前記配列角は、前記θ B2 と前記θ B3 の組み合わせの繰り返しとされていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記複数の螺旋状溝は3つの螺旋状溝からなり、
前記3つの螺旋状溝のうち2つの螺旋状溝は、前記刃列パターンAに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第1の螺旋状溝とされ、残りの1つの螺旋状溝は、前記刃列パターンBに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第2の螺旋状溝とされていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記複数の螺旋状溝は3つの螺旋状溝からなり、
前記3つの螺旋状溝のうち2つの螺旋状溝は、前記刃列パターンBに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第2の螺旋状溝とされ、残りの1つの螺旋状溝は、前記刃列パターンAに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第1の螺旋状溝とされていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記複数の螺旋状溝は、前記工具軸線に対して対向するように形成された4つの螺旋状溝からなり、
前記4つの螺旋状溝のうち、前記工具軸線に対して対向する1組の前記螺旋状溝は、前記刃列パターンAに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第1の螺旋状溝とされ、
前記工具軸線に対して対向する他の1組の前記螺旋状溝は、前記刃列パターンBに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第2の螺旋状溝とされていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記複数の螺旋状溝は、前記工具軸線に対して対向するように形成された6つの螺旋状溝からなり、
前記6つの螺旋状溝は、前記刃列パターンAに基づくインサートの前記配列角を備えた第1の螺旋状溝と、前記刃列パターンBに基づくインサートの前記配列角を備えた第2の螺旋状溝とが、隣りどうしで配置されていることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記刃列パターンAを備えた前記第1の螺旋状溝と、前記刃列パターンBを備えた前記第2の螺旋状溝において、これら螺旋状溝の前記最先端に装着された前記インサートの軸方向すくい角は、前記最先端を除く位置に装着された前記インサートの軸方向すくい角より小さくされていることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記刃列パターンBを備えた前記第2の螺旋状溝の前記第2段目のインサート以降に装着された該インサートの軸方向すくい角は、前記刃列パターンAを備えた前記第1の螺旋状溝の第2段目インサート以降に装着された該インサートの軸方向すくい角よりも小さくされていることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記刃列パターンAを備えた前記第1の螺旋状溝と、前記刃列パターンBを備えた前記第2の螺旋状溝において、これら螺旋状溝の最先端に装着されたインサートの軸方向すくい角は、同一とされていることを特徴としている。
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記螺旋状溝に装着される前記インサートの全ては、平面視で、相対する2辺間の長さと、相対する2つの鈍角が同一とされた平行四辺形をなしていることを特徴としている。
請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項10のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記切削工具本体と前記インサートの一方、又は双方は、周期律表4a、5a、6a族金属、Al、Si、Bの元素から選択される1種以上の元素を含有する窒化物、炭窒化物、酸窒化物のいずれかからなる硬質皮膜が被覆されていることを特徴としている。
なお、本発明において上記した配列角とは、下記(1)又は(2)のいずれかを示す。
(1)切削工具本体の側面展開図において、同一の螺旋状溝に装着されたインサートについて、隣接して配列されている2つのインサートの同じ部位どうし、例えば、切削工具本体に装着したインサートの外周切れ刃のうち、切削工具本体の先端側であって外周部側に位置するコーナー部どうしを結んだ直線が、切削工具本体の工具軸線と交差する角度を示す。
(2)同じく、切削工具本体の側面展開図において、同一の螺旋状溝に形成したインサート取付座であって、インサートを装着していない状態で、隣接して形成されている2つのインサート取付座の同じ部位どうし、例えば、切削工具本体の外周部側に位置するインサート取付座のコーナー部どうしを結んだ直線が、切削工具本体の工具軸線と交差する角度を示す。
本発明の刃先交換式回転切削工具は、工具本体の強度を落とすことなく、また工具の最先端側に装着したインサートの刃先強度も維持したまま、幅広い加工条件においても振動の発生を抑制することができ、高能率な加工条件下でも長時間安定した切削性を得ることができる刃先交換式回転切削工具を提供することができる。
本発明の刃先交換式回転切削工具の一例を示す斜視図である。 図1における第1及び第2の螺旋状溝について側面展開図の一例を示す図である。 本発明の刃先交換式回転切削工具に装着されるインサートの一例を示す正面図である。 図3に示すインサートの側面図を示す図である。 本発明の刃先交換式回転切削工具に装着されるインサートについて、他の例を示す正面図である。 図5に示すインサートの側面図を示す図である。 切刃先交換式回転切削工具を用いて切削加工試験を実施したときの切削音について、FFT解析を行って得た周波数と振幅との関係を示す線図であって、(a)は比較例となる刃先交換式回転切削工具、(b)は本発明例となる刃先交換式回転切削工具の線図を示す。 切削加工試験を実施したときに、比較例となる切刃先交換式回転切削工具について、その第1及び第2の螺旋状溝の側面展開図を示す図である。 切削加工試験を実施したときに、従来例となる切刃先交換式回転切削工具について、その第1及び第2の螺旋状溝の側面展開図を示す図である。
図1は本発明に係る刃先交換式回転切削工具の一例を示す斜視図であって、4つ(4条)の螺旋状溝A1、A2、A3、A4を備えている例を示している。図2は図1に示す切削工具本体の側面展開図であって、螺旋状溝に配列された複数のインサートについてその配列例を示す図である。
図1に示す刃先交換式回転切削工具(ラフィングエンドミル)1においては、工具軸線Oを中心として回転する円柱状の切削工具本体2の外周部に、切削工具本体2の先端側2aから基端側2bに向けて、4つの螺旋状の溝(以下、「螺旋状溝」という)A1〜A4が等間隔に形成されている。そして、4つの螺旋状溝A1〜A4のそれぞれには、切削工具本体2の先端側2aから基端側2bに向けて、工具軸線Oに対して等間隔でインサート取付座10が形成されている。これらインサート取付座10には、切れ刃を備えたインサート5がネジ部材11により着脱自在に装着される。従って、各螺旋状溝A1〜A4には、切削工具本体2の先端側2aから基端側2bに向けて、工具軸線Oに対して等間隔で、複数のインサート5が装着されており、これら複数のインサート5は、インサートの刃列を構成している。
図1に示す本発明の刃先交換式回転切削工具1においては、切削工具本体2の回転に伴う各螺旋状溝A1〜A4に装着されたインサート5の外周切れ刃6の回転軌跡は、連続する切れ刃の回転軌跡を描くようになっている。なお、図1に示す12はバックメタル、13は各インサート5に対応して各螺旋状溝A1〜A4内に形成されたチップポケットである。
インサート取付座10に装着するインサート5は、全て板状であって、平面視で、相対する2辺間の長さ、及び相対する2つの鈍角が同一である平行四辺形状であることが好ましい。インサート5の詳細な構成については後述する。なお、以下の説明において、インサート5を代表して総称するときは「インサート5」と記載し、各螺旋状溝A1〜A4のそれぞれにおいて、先端側2aの最先端に装着されたインサート5を最先端インサート(5−1)、この最先端側インサート(5−1)に隣接して基端側2b方向に装着されるインサート5を第2段目インサート(5−2)、以下、順次、基端側2b方向に装着されるインサート5を第3段目インサート(5−3)、第4段目インサート(5−4)、第5段目インサート(5−5)、・・・と記載する場合がある。
本発明に係る刃先交換式回転切削工具1は、切削工具本体2の外周部に、複数の螺旋状溝A1、A2、A3、・・・を備え、これら螺旋状溝A1、A2、A3、・・・ごとに、複数のインサート5を装着して配列した構成としているが、このインサート5がなす配列(以下「刃列」という)は、2種の刃列パターンを備えるようにしている。そして、本発明においては、切削工具本体2の外周部に設けた螺旋状溝の数(条数)に応じて、この2種の刃列パターンの組合せ、すなわち、切削工具本体2の外周部に形成した螺旋状溝A1、A2、A3、・・・、等におけるインサートの刃列パターンの配置順序を設定していることに特徴がある。なお、この刃列パターンは、切削加工時に発生する振動を低減させるために、同一の螺旋状溝に装着された複数のインサート5について、主として、隣接する2つのインサート5がなす配列角などを考慮して設定したものである。
本発明において、上記した配列角とは、例えば、切削工具本体2の側面展開図において、同一の螺旋状溝に装着された複数のインサート5について、隣接して配列されている2つのインサートの同じ部位どうし、例えば、外周切れ刃の工具本体先端側となるコーナー部の始点(又は終点)どうしを結んだ直線が、工具本体の工具軸線Oと交差する角度を示すものである。
なお、以下の説明において、この2種の刃列パターンの一方を「刃列パターンA」、他方を「刃列パターンB」とし、さらに、刃列パターンAに基づいてインサート5を配列した螺旋状溝を「第1の螺旋状溝3」、刃列パターンBに基づいてインサート5を配列した螺旋状溝を「第2の螺旋状溝4」という名称で説明する場合がある。
図1に示す4つの螺旋状溝A1〜A4を備えた刃先交換式回転切削工具1においては、工具軸線Oと対向する1組の螺旋状溝である螺旋状溝A1とA3が第1の螺旋状溝3とされ、工具軸線Oと対向する他の1組の螺旋状溝である螺旋状溝A2とA4が第2の螺旋状溝4とされている。すなわち、切削工具本体2の外周部には第1の螺旋状溝と第2の螺旋状溝がこの順番で配置されている。
なお、図1に表示しているA1(3)は、螺旋状溝A1は第1の螺旋状溝3(刃列パターンA)とされていること、A2(4)は、螺旋状溝A2は第2の螺旋状溝4(刃列パターンB)とされていること、A3(3)は、螺旋状溝A3は第1の螺旋状溝3(刃列パターンA)とされていること、A4(4)は、螺旋状溝A4は第2の螺旋状溝4(刃列パターンB)とされていることを示している。
続いて、本発明の特徴となる螺旋状溝A1、A2、・・・のそれぞれに複数のインサート5を配列するための刃列パターンA及び刃列パターンBの構成について、図2を参照して説明する。
図2は、図1に示す4つの螺旋状溝A1、A2、A3、A4を備えた刃先交換式回転切削工具1について、工具軸線Oの回りに回転する円柱状の切削工具本体2の側面展開図を示している。図2には4つの螺旋状溝A1、A2、A3、A4のうち、刃列パターンAに基づいた第1の螺旋状溝3におけるインサートの刃列と、刃列パターンBに基づいた第2の螺旋状溝4におけるインサートの刃列とを示し、各螺旋状溝の切削工具本体2の最先端側から、順次基端側に向けて6個のインサート(5−1)〜(5−6)を装着した場合を示している。
図2の側面展開図において、刃列パターンAに基づいてインサートを配列した第1の螺旋状溝3、及び刃列パターンBに基づいてインサートを配列した第2の螺旋状溝4に装着される各インサート(5−1)〜(5−6)は、工具軸線Oの方向に対して等間隔ピッチPでインサート取付座10に装着されている。
なお、前記したように、4つの螺旋状溝A1、A2、A3、A4のうち、工具軸線Oと対向する1組の螺旋状溝となる螺旋状溝A1とA3が刃列パターンAに基づいた第1の螺旋状溝3とされ、工具軸線Oと対向する他の1組の螺旋状溝となる螺旋状溝A2とA4が刃列パターンBに基づいた第2の螺旋状溝4とされている。
続いて、刃列パターンAとBの特徴について説明する。
図2に示すθA1は、刃列パターンA(第1の螺旋状溝3)において最先端側インサート(5−1)と第2番目インサート(5−2)とがなす配列角を示している。また、θA2は同じく第2番目インサート(5−2)と第3番目インサート(5−3)とがなす配列角を示している。
同様に、図2に示すθB1は、刃列パターンB(第2の螺旋状溝4)において最先端側インサート(5−1)と第2番目インサート(5−2)とがなす配列角を示し、θB2は同じく第2番目インサート(5−2)と第3番目インサート(5−3)とがなす配列角を示し、θB3は第3番目インサート(5−3)と第4番目インサート(5−4)とがなす配列角を示している。
本発明においては、図2に示すように、刃列パターンA(第1の螺旋状溝3)においては、第3番目インサート(5−3)以降から第6番目インサート(5−6)までの各配列角を、前記した配列角θA2に設定していることに特徴がある。すなわち、第3番目インサート(5−3)以降のインサートの配列角は、第2番目インサート(5−2)と第3番目インサート(5−3)とがなす配列角θA2と同一にしている。
刃列パターンB(第2の螺旋状溝4)においては、第番目インサート(5−)以降に装着されたインサートの配列角を、前記した配列角θB2とθB3とを繰り返すように設定していることに特徴がある。
さらに、本発明においては、刃列パターンA(第1の螺旋状溝3)における前記した配列角θA1と配列角θA2は、「配列角θA1>配列角θA2」の関係を有するように設定し、刃列パターンB(第2の螺旋状溝4)における前記した配列角θB1と、配列角θB2と、配列角θB3とは、「配列角θB1>配列角θB2>配列角θB3」の関係を有するように設定していることに特徴がある。
このように、第1の螺旋状溝3の最先端側インサート(5−1)と第2段目インサート(5−2)とによって形成される配列角をθA1とし、第2の螺旋状溝4の最先端側インサート(5−1)と第2段目インサート(5−2)とによって形成される配列角をθB1として設定することにより、第1及び第2の螺旋状溝3、4に装着される第2段目インサート(5−2)の位置が決定されることになる。
このとき、配列角θA1とθB1を、45≦θA1≦55、45≦θB1≦55の範囲に設定することで、3次元的に工具を設計する上で、切削加工の負荷が最も大きくなる切削工具本体2の最先端側に装着するインサート(5−1)を、切削工具本体2に、より強固に締結するために工具軸線O方向に沿う拘束面を十分に確保することができる。この理由は、θA1値とθB1値が45度未満の値では、インサートを締結するための工具軸線O方向に沿う拘束面を十分に確保することが困難になる。また、θA1値とθB1値が55度を超える値になると、螺旋状溝のねじれが強くなり、隣接する螺旋状溝との干渉が発生する。従って、インサート取付座10のバックメタル12(図1参照)の肉厚を十分に確保することが困難になり、切削工具本体2の強度が得られないという不都合が生じるからである。
第2の螺旋状溝4の第2段目インサート(5−2)以降から基端側に後続して装着するインサートは、工具軸線O方向に対して等間隔ピッチPで装着され、また、配列角は、前記したように、それぞれθB1値、θB2値およびθB3値をもって装着することにより、インサートの刃列におけるその装着位置が決定される。
このとき、第1の螺旋状溝3の配列角θA2、第2の螺旋状溝4の配列角θB2、及びθB3値は、それぞれ、前記した「配列角θB1>配列角θB2>配列角θB3」の下で、35≦θA2≦45、35<θB2≦45、35≦θB3<45の範囲に設定することで、3次元的に工具を設計する上で十分なチップポケット13の容積確保と、十分なバックメタル12の強度を維持することが可能になる。
なお、上記した配列角θA2値、θB2値およびθB3値を35度未満に設定すると、切削工具本体2の外周部に形成した螺旋状溝に沿って複数のインサートを装着するときに、インサートどうし間の距離が近接するため、各々のインサートどうしが干渉する不都合が生じる。一方、上記した配列角θA2値、θB2値およびθB3値を45度を超えた値に設定すると、螺旋状溝の回転ねじれが強くなり、隣接する螺旋状溝との干渉が発生する。このために、インサート取り付け座の強度を十分に確保することが困難になる。
上記したように、第2段目インサート(5−2)以降から基端側に後続して装着するインサートの配列角は、最先端側インサート(5−1)と第2段目インサート(5−2)がなす配列角θA1、θB1よりも小さくすることが好ましい。この理由は、切削工具本体2の最先端側に装着するインサート(5−1)の拘束面と、第2段目インサート(5−2)以降に装着するインサートの拘束面との位置が異なるからである。そのため、第2段目インサート(5−2)以降に装着するインサートの配列角を、配列角θA1、θB1よりも大きくすると、夫々のインサートに対応するチップポケット13の容積が過度に大きくなり、切削工具本体2の強度を十分確保することが困難なる。従って、第2段目インサート(5−2)以降に装着するインサートの配列角は、45度以下の範囲にすることが好ましい。
さらに、配列角が、θA1>θA2、θB1>θB2>θB3の関係を満足することは、3次元的に工具を設計する上で、切削工具本体2の強度を十分に確保しつつ、インサートの外周切れ刃の回転軌跡が連続する切れ刃を描くように複数のインサートを装着することにとって、好都合となる。
本発明の刃先交換式回転切削工具において、刃列パターンAに基づいてインサートを配列した第1の螺旋状溝3、及び刃列パターンBに基づいてインサートを配列した第2の螺旋状溝4を、切削工具本体2の底面から工具軸線O方向にみたときに、工具軸線Oを中心に円柱状の切削工具本体2の外周部に等間隔で配置することで、切削工具本体の強度を十分に確保することができる。さらに、第2の螺旋状溝4に装着されるインサートの配列角の関係を、θB1>θB2>θB3の関係とし、図2に示すように、第段目インサート(5−)以降から基端側に後続して装着されるインサートの配列角は前記θB2とθB3との組み合わせの繰り返しで装着することにより、切削加工中に発生する切削工具と被削材との接触の時間的な間隔がずれるので、切削加工により発生する振動の共振を抑制することができるようになる。
また、本発明の刃先交換式回転切削工具において、複数の螺旋状溝A1、A2、・・・のそれぞれの位置は切削工具本体2の周方向に対して等間隔で形成して配置した溝とし、第1の螺旋状溝3では、第2段目インサート(5−2)以降に装着するインサートの配列角をθA2となるように一定にして、同様に、第2の螺旋状溝4では、第2段目インサート(5−2)以降に装着するインサートの配列角を異なる2種類の配列角θB2とθB3の繰り返しにより装着している。これによって、実質的には、各螺旋状溝の第2段目インサート(5−2)以降に装着するインサートは、回転円周方向に対して不等間隔に配置されていることとなり、切削工具本体2の強度を十分に確保しつつ、切削加工中に発生する加工振動を抑制することができる。このとき、実際の工具設計上、刃先交換式回転切削工具の工具径によりその配列角の差異の範囲は異なるように設定することが望ましい。
この配列角の差異の範囲は、より具体的には、「3≦(θB2−θB3)≦8」に設定することが好ましい。この理由は、(θB2−θB3)が3度未満になると、不等間隔に配置したインサートの配列角による振動抑制の効果が十分に得られないからである。一方、(θB2−θB3)が8度を超えると、第2段目インサート(5−2)以降に装着するインサートの配列角が大きくなりすぎてしまい、夫々のインサートにおけるチップポケット13の容積が過度に大きくなる。そうすると、バックメタル12の厚さが減少して、切削工具本体2の強度を十分確保することが困難になるからである。
上記した本発明の実施形態の説明では、「配列角」は、切削工具本体2の側面展開図において、同一の螺旋状溝に装着されたインサート5−1、5−2、・・・について、隣接して配列されている2つのインサートの同じ部位どうしを結んだ直線が、切削工具本体2の工具軸線Oと交差する角度を示すものとして説明したが、本発明においてこの「配列角」は次の角度を示すものと定義してもよい。すなわち、本発明の刃先交換式回転切削工具の切削工具本体2のインサート取付座10に装着するインサートの形状は後述するように、全て同じ形状、例えば、平面視で、相対する2辺間の長さと、相対する2つの鈍角が同一とされた平行四辺形をとしている。
これにより、前記した「配列角」は、切削工具本体2の側面展開図において、同一の螺旋状溝に形成したインサート取付座10であって、インサートを装着していない状態で、隣接して形成されている2つのインサート取付座10の同じ部位どうし、例えば、切削工具本体2の外周部側に位置するインサート取付座10のコーナー部どうしを結んだ直線が、切削工具本体2の工具軸線Oと交差する角度と定義することができる。
図1に示す本発明の実施形態となる刃先交換式回転切削工具1は、4つの螺旋状溝A1〜A4を設けた例を示しているが、螺旋状溝の数は3つ以上設けることが有効であり、実用的には最大6つ程度までが有効である。なお、螺旋状溝の数を2つとした刃先交換式回転切削工具では、通常の切削加工により発生した振動が共振することによりビビリ振動が発生しにくい工具となる。このため、本発明は、3つ以上の螺旋状溝を設けた刃先交換式回転切削工具に適用することが好ましい。また、工具径と螺旋状溝の数とのバランスを考えると、本発明の刃先交換式回転切削工具は、φ32〜φ63mmの範囲の工具径に適用し、工具径や適用できる被削材の材質等に応じて、螺旋状溝の数は3〜6とすることが効率的であり、共振発生に対する優れた抑制の効果を得ることができる。
また、本発明の刃先交換式回転切削工具において、螺旋状溝の数を3つとした場合には、第1の螺旋状溝3と第2の螺旋状溝4の組合せは、次の(1)又は(2)の何れかを採用して共振発生に対する抑制効果が得られるようにする。
(1)3つの螺旋状溝のうちの2つの螺旋状溝は刃列パターンAに基づく第1の螺旋状溝3とし、残りの1つの螺旋状溝は刃列パターンBに基づく第2の螺旋状溝4とする。
(2)3つの螺旋状溝のうちの2つの螺旋状溝は刃列パターンBに基づく第2の螺旋状溝4とし、残りの1つの螺旋状溝は刃列パターンAに基づく第1の螺旋状溝3とする。
また、螺旋状溝の数を4つとした場合には、4つの螺旋状溝のうち、切削工具本体2の工具軸線Oに対して対称な位置、すなわち、工具軸線Oに対して切削工具本体2の外周部の円周方向に90°間隔となるように配置するとともに、対向する1組の螺旋状溝は前記した刃列パターンAに基づくインサートの配列角を有する第1の螺旋状溝3とし、工具軸線Oに対して対向する他の1組の螺旋状溝は前記した刃列パターンBに基づくインサートの配列角を有する第2の螺旋状溝4を備えた先交換式回転切削工具とすることが望ましい。
この理由は、次の通りである。すなわち、4つの螺旋状溝が工具軸線Oに対して対称な位置となるように配置すると、切削工具の回転時における重心バランスを均等に維持することができるので、振動発生の抑制に対して有効になる。また、複数のインサートの装着に対して、バックメタルの厚さを確保し切削工具本体の強度を維持することに対して好都合になるからである。
さらに、本発明の刃先交換式回転切削工具において螺旋状溝の数を6つとした場合には、この6つの螺旋状溝は、工具軸線Oに対して対称な位置、すなわち、工具軸線Oに対して切削工具本体2の外周部の円周方向に60°間隔となるように配置するとともに、前記した刃列パターンAに基づくインサートの配列角を備えた第1の螺旋状溝3と、前記した刃列パターンBに基づくインサートの配列角を備えた第2の螺旋状溝4とが、切削工具本体2の外周面周面に対して隣りどうしで配置された先交換式回転切削工具とすることが望ましい。
この理由は、次の通りである。すなわち、前記した4つの場合と同様に、6つの螺旋状溝が工具軸線Oに対して対称な位置となるように配置すると、切削工具の回転時における重心バランスを均等に維持することができるので、振動発生の抑制に対して有効になる。また、複数のインサートの装着に対して、バックメタルの厚さを確保し切削工具本体の強度を維持することに対して好都合になるからである。
また、本発明の刃先交換式回転切削工具は、第1及び第2の螺旋状溝3、4に装着するインサート5について、インサート5の切れ刃強度を確保するために、インサート取付座10へのインサート取付け角度を示す軸方向すくい角を、本発明に特有となるように設定していることにも特徴がある。この軸方向すくい角の特徴は、第1及び第2の螺旋状溝3、4の最先端側に装着したインサート(5−1)の切れ刃強度を確保するために、最先端側インサート(5−1)の軸方向すくい角は、この最先端側インサート(5−1)を除く基端側に装着したインサート(5−2)、(5−3)、・・・等の軸方向すくい角よりも小さい値としていることにある。
通常、本発明のような刃先交換式回転切削工具、すなわち、ラフィングエンドミルでは、切削工具本体2の最先端側に装着したインサートの工具損傷が最も激しくなる。そのため、最先端側インサート(5−1)と、第2段目インサート(5−1)以降となる基端側に装着するインサートとに要求される切削性能はそれぞれ異なってくる。具体的には、最先端側インサート(5−1)は、最も切削抵抗を強く受けるためその損傷が激しくなる。このため、最先端側インサート(5−1)は、耐欠損性、耐チッピング性が向上するような軸方向すくい角で装着することが好ましい。これに対し、第2段目インサート(5−2)以降のインサートは、通常の使用下では大きな欠損やチッピングは発生しにくい。
そのため、切削工具本体2のインサート取付座10に装着する全てのインサート5は、切削加工中に発生する切削振動自体を小さくして、ビビリ振動自体が発生しにくくなるようにするとともに、より低い切削抵抗になるような軸方向すくい角で装着することが好ましい。すなわち、最先端側インサート(5−1)の軸方向すくい角は、インサート自体の逃げ角が許す限り小な値にして、インサートの強度を保てるように装着し、第2段目インサート(5−2)以降のインサートの軸方向すくい角は、最先端側インサート(5−1)よりも大きな値のすくい角をもって装着することが望ましい。なお、本発明の刃先交換式回転切削工具において、全ての軸方向すくい角は、6度〜10度の範囲内で適切な値を設定することが好ましい。また、第2段目インサート(5−2)以降の軸方向すくい角は、第1の螺旋状溝3、第2の螺旋状溝4ごとに一定の値としてもよい。
本発明において、各インサート5の軸方向すくい角は次のように設定している。
すなわち、刃列パターンAに基づいてインサートを配列した第1の螺旋状溝3において、最先端側インサート(5−1)の軸方向すくい角をAA1値(図2参照)とし、同じく第2段目インサート(5−2)以降に装着するインサートの軸方向すくい角をAA2とし、刃列パターンBに基づいてインサートを配列した第2の螺旋状溝4の最先端側インサート(5−1)の軸方向すくい角をBA1値(図2参照)、同じく第2の螺旋状溝4の2段目インサート(5−2)以降に装着するインサートの軸方向すくい角をBA2値としたときに、「2≦(AA2−AA1)≦5」、「2≦(BA2−BA1)≦5」の範囲に設定することが好ましい。
本発明において、第1及び第2の螺旋状溝3、4に装着しているインサートの軸方向すくい角AA1、AA2、BA1、BA2を、上記した「2≦(AA2−AA1)≦5」、「2≦(BA2−BA1)≦5」を満たすように設定した理由は、次の通りである。
(AA2−AA1)値、及び(BA2−BA1)値を2度未満に設定すると、切削加工時における刃先交換式回転切削工具全体の切削抵抗の低減が小さくなり、加工中に発生する振動自体が大きくなってしまうからである。また、(AA2−AA1)値、(BA2−BA1)値が5度を超えた値に設定すると、本発明に採用する各インサートは同一のインサート形状としているため、第2段目インサート(5−2)以降に装着しているインサートの軸方向すくい角が過度に大きくなって、同一の螺旋状溝内に装着しているインサートどうしの距離が近接し、このため、第2段目インサート(5−2)以降に装着した各々のインサートどうしが干渉する懸念が生じるからである。
従って、夫々の軸方向すくい角を、上記のような範囲に設定することにより、切削加工時において、切削工具本体2の最先端側インサート(5−1)の工具損傷を軽減することができ、さらに、刃先交換式回転切削工具全体の切削抵抗の低減が可能になる。
また、本発明の刃先交換式回転切削工具においては、第1の螺旋状溝3の第2段目インサート(5−2)以降に装着したインサートの軸方向すくい角AA2は、第2の螺旋状溝4の第2段目インサート(5−2)以降に装着したインサートの軸方向すくい角BA2よりも大きくすることが好ましい。この理由は、第1の螺旋状溝3の第2段目インサート(5−2)以降に装着したインサートの軸方向すくい角AA2を、第2の螺旋状溝4のそれよりも大きくすることで、切削加工時に発生する切削抵抗を、第2の螺旋状溝4よりも第1の螺旋状溝3で小さくすることができるからである。これによって、切削加工中に発生する切削振動の共振を抑制し、ビビリ振動の発生を抑えることが可能となる。
より具体的には、AA2とBA2の差異となる(AA2−BA2)の値は、1≦(AA2−BA2)≦3の範囲に設定することが好ましい。この理由は、(AA2−BA2)値が1度未満では、切削抵抗の大きさにそれほど大きな差は無く、共振の抑制効果が薄くなってしまうからである。一方、3度を超えると、装着したインサートの軸方向すくい角が過度に大きくなり、同一螺旋状溝内に装着したインサートどうしの距離が近接するため、各々のインサート同士が干渉する懸念が生じるからである。
さらに、本発明の刃先交換式回転切削工具においては、第1、第2の螺旋状溝3、4の最先端側インサート(5−1)の軸方向すくい角AA1、BA1は、全て等しくすることが好ましい。
この理由は次の通りである。本発明の刃先交換式回転切削工具では、切削工具本体2の最先端側に装着したインサート(5−1)の工具損傷が最も激しくなる。このため、各螺旋状溝の最先端側インサート(5−1)の軸方向すくい角を全て等しく設定することで、各螺旋状溝の最先端側に装着するインサート(5−1)の工具損傷状態のバラツキを小さくし、突発的な工具損傷を防ぐことができるからである。これに対して、最先端側に装着したインサート(5−1)の軸方向すくい角AA1、BA1が、各螺旋状溝で異なった場合には、軸方向すくい角の大きなインサート(5−1)の早期摩耗の進行が懸念され、突発的な工具損傷に繋がる恐れがあるからである。従って、全ての最先端側インサート(5−1)の軸方向すくい角AA1、BA1を上記のように等しくなるように設定することにより、インサートの工具損傷を軽減することが可能になる。
上記した本発明の実施形態に係る刃先交換式回転切削工具1に用いる切削工具本体2の材質は、例えば、「SKD61」等の合金工具鋼とし、切削工具本体2はこの合金工具鋼の素材を、5軸制御マシニングセンタを用いたNC制御による加工に基づいて製造することができる。なお、前記した切削工具本体2の螺旋状溝A1、A2、・・・に装着するインサート5の配列角、及び軸方向すくい角を変化させるためには、螺旋状溝内においてこれらインサート5の底面を装着するインサート取付座10の位置や、インサート取付座10の上面部が工具軸線Oとなす角度を所定の角度になるように、切削工具本体2の工具軸線O方向角度及び回転角度の割り出しを行って、NC制御に基づいて切削加工を行う。
本発明の刃先交換式回転切削工具において、螺旋状溝A1、A2、・・・に形成したインサート取付座10に装着する超硬合金製のインサート5は、平面視で全て同じ形状、すなわち、相対する2辺間の長さ、及び相対する2つの鈍角が同一である板状の平行四辺形とすることが好ましい。
この理由は、第1、第2の螺旋状溝3、4に装着する全てのインサート5の形状、大きさを同一にすることで、使用面でのインサートの管理が容易になり、さらに加工の多機能性を向上させることができるからである。切削工具本体2のインサート取付座10に装着するインサート5の形状、大きさを同一にすることは、使用するインサートが最低1種類あれば被削材に対する切削加工が可能になる。そのため、刃先交換式回転切削工具を使用する上でのインサートの管理は容易になる。また、切削工具本体2に装着するインサート5の全ては、相対する2辺間の長さ、相対する2つの鈍角が同一である平行四辺形とすることは、相対する2コーナーの使用ができ、切れ刃のすくい面に形成したブレーカ形状の異なる2種類以上のインサート5を組み合わせて切削工具本体2に装着して切削加工を実施することも可能な形態となる。従って、同一の形状、大きさであっても、切削工具本体2に装着するインサートの種別に基づいて、加工能率の向上や切削抵抗の低減等についても改善を実施することが可能となる。
続いて、本発明の刃先交換式回転切削工具に装着するインサート5の構成について説明する。前記したように、刃先交換式回転切削工具のインサート取付座10に装着するインサート5は、平面視で、相対する2辺間の長さ、及び相対する2つの鈍角が同一である板状の平行四辺形をなしている。
図3〜図6は、図1に示す刃先交換式回転切削工具1に装着するインサートの一例を5a、5bとして示している。このインサートは、超硬合金からなる粉末をプレス成形等により成形した成形体を焼結した後に、切れ刃等に仕上げ加工を施すことにより製造される。なお、図3〜図6は、平行四辺形状をなすインサートはその長辺となる切れ刃(外周刃)にニック溝9を形成したインサート5aと5bを示している。
本発明に係る刃先交換式回転切削工具に、ニック溝9を形成したインサート5a又は5bを装着する場合には、例えば、第1の螺旋状溝3には、図3及び図4に示すように、平行四辺形の長辺となる切れ刃(外周刃)に2箇所のニック溝9を有するインサート5aを装着し、第2の螺旋状溝4には、図5及び図6に示すように、平行四辺形の長辺となる切れ刃(外周刃)に3箇所のニック溝9を有するインサート5bを装着し、さらに、このとき、第1、第2の螺旋状溝3、4に装着した各々のインサート5a、5bの切れ刃(外周刃)が、ニック溝9の部分を相互に補完するように配慮することで、切削工具本体2の回転に伴うインサート5a、5bの切れ刃の回転軌跡が、連続的な切れ刃の軌跡からなるようにすることができる。従って、被削材の表面は、切れ間なくインサートの切れ刃と接触することができる。
なお、外周刃にニック溝9を形成したインサート5a、5bは、ニック溝を有しないインサートに比べて、排出される切屑の大きさを小さく分断することができるため、切削加工中に発生する振動を小さくすることができる。また、切削抵抗自体も小さくなり、好ましい。ニック溝9を形成したインサート5a、5bを装着することで、切削抵抗の低減が実現でき、軸方向切込み量(mm)と径方向切込み量(mm)の双方の値を大きく設定することが可能になる。また、本発明において、このようなニック溝9を形成したインサート5a、5bを装着することは、インサートの切れ刃形状を任意に変更可能な実施形態の一例となり、様々な加工に幅広く対応することが可能になるという効果も生じる。
また、本発明の刃先交換式回転切削工具においては、切削工具本体2及びインサート5の双方、あるいは切削工具本体2とインサート5のいずれか一方の表面を硬質皮膜で被覆することが好ましい。この硬質皮膜としては、周期律表4a、5a、6a族金属、Al、Si、Bの元素から選択される1種以上の元素を含有する窒化物、炭窒化物、酸窒化物のいずれかであることが望ましい。硬質皮膜を被覆する理由は、インサート5を切削工具本体2に繰り返して着脱することで生じる接触部の摩耗、摩滅を抑制することができるからである。この硬質皮膜の被覆を行うことにより、特に、切削工具本体2のインサート取付座10、及びインサート5の拘束面に対して、摩耗等によるインサート5の装着精度の劣化を回避することが可能となり、インサート5を確実に精度良くインサート取付座10に取り付けることができるようになる。
本発明に係る6種の刃先交換式回転切削工具を試作して、切削加工の作用効果を確認するための切削加工試験を行った。以下、この切削加工試験の内容(実施概要)と切削加工試験の結果について説明する。
(切削加工試験の実施概要)
本発明の刃先交換式回転切削工具について、表1に示す試料番号1〜6の6種の刃先交換式回転切削工具を製作して、切削加工試験を行った。なお、本発明の刃先交換式回転切削工具と比較するために、比較例に係る刃先交換式回転切削工具(表1に示す試料番号7)と、従来例に係る刃先交換式回転切削工具(表1に示す試料番号8)も製作した。この切削加工試験では、被削材について、一定時間の連続加工を行った後に、装着したインサートの損傷状態、被削材の加工面の加工面性状を確認した。また、切削加工中のビビリ振動の有無を、発生する振動音などから官能評価して、その優劣を判断した。
また、試料番号1(本発明例)と試料番号7(比較例)については、切削加工時に発生する音を収集(録音)して、FFT解析を行って振幅と周波数(Hz)との関係を示すパワースペクトル(周波数分布)を求めて、ビビリ振動の抑制効果についても確認した。
製作した各刃先交換式回転切削工具については、表1に、試料番号ごとに、工具径(D)、溝数(螺旋状溝の数を示す)、刃長、首下長さ(L)、図2に示したように切削工具本体2を側面展開図で示したときの、第1の螺旋状溝3に装着したインサートについてその配列角θA1とθA2、及び軸方向すくい角AA1とAA2、同じく第2の螺旋状溝4に装着したインサートついてその配列角θB1とθB2とθB3、及び軸方向すくい角BA1とBA2とを示している。また、本発明例に係る試料番号1〜5の切削工具本体2とインサートの表面には硬質皮膜を施したので、その組成を示している。この硬質皮膜の組成は、表1に示すように、切削工具本体には(CrSi)Nからなる硬質皮膜を、インサートには(AlCrSi)Nからなる硬質皮膜を被覆したことを示している。
なお、表1の「溝数」欄の( )内の数値は、一つの螺旋状溝に装着したインサートの個数を示している。
Figure 0005834518



























また、製作した各刃先交換式回転切削工具に装着したインサートは全て板状の超硬合金製とし、その形状は平面視で平行四辺形とするとともに、この平行四辺形状の相対する2辺間の長さ、相対する2つの鈍角αの角度を同一とした。さらに、装着した全てのインサートは、図3、図4に示すようにインサートの外周切れ刃6の長さhが10mm、底刃7方向の幅uが8mm、厚さtが5mm、逃げ角βが11度、ノーズR8が0.8mm、相対する2つの鈍角αが95度のインサートとした。また、ブレーカ形状は、図3から図6に示したように、外周切れ刃6の部分にニック溝9を形成した2種のニック溝付きインサート5a、5bを装着した。なお、第1の螺旋状溝3には外周切れ刃6に2つのニック溝9を形成したニック溝付きインサート5aを、第2の螺旋状溝4には外周切れ刃6に3つのニック溝9を形成したニック溝付きインサート5bを装着した。
この切削加工試験に採用した試験条件は、下記に示す試験条件1から試験条件4の通りである。なお、切削加工試験を行うために製作した刃先交換式回転切削工具は、その工具径D(刃径)を同一としなかったため、試験条件は、夫々の工具径Dに適した加工条件に設定した。具体的には、試験条件1は本発明例に係る試料番号1、試料番号4〜6、比較例7に係る試料番号7に適用した。また、試験条件2は本発明例に係る試料番号2に、試験条件3は本発明例に係る試料番号3に、試験条件4は従来例に係る試料番号8に夫々適用した。
(試験条件1)
被削材 :S50C相等材、硬さHB220
切削速度 :150m/分
主軸の回転数 :955回転/分
軸方向切込み量 :40mm
径方向切込み幅 :8mm
1刃の送り :0.15mm
テーブル送り :573mm/分
切削時間 :20分
加工方法 :エアーブロー、等高線加工
装着したインサート総数 :16個
(試験条件2)
被削材 :S50C相等材、硬さHB220
切削速度 :150m/分
主軸の回転数 :1493回転/分
軸方向切込み量 :40mm
径方向切込み幅 :8mm
1刃の送り :0.15mm
テーブル送り :673mm/分
切削時間 :20分
加工方法 :エアーブロー、等高線加工
装着したインサート総数 :15個
(試験条件3)
被削材 :S50C相等材、硬さHB220
切削速度 :150m/分
主軸の回転数 :758回転/分
軸方向切込み量 :40mm
径方向切込み幅 :8mm
1刃の送り :0.15mm
テーブル送り :682mm/分
切削時間 :20分
加工方法 :エアーブロー、等高線加工
装着したインサート総数 :24個
(試験条件4)
被削材 :S50C相等材、硬さHB220
切削速度 :150m/分
主軸の回転数 :955回転/分
軸方向切込み量 :40mm
径方向切込み幅 :8mm
1刃の送り :0.15mm
テーブル送り :286mm/分
切削時間 :20分
加工方法 :エアーブロー、等高線加工
装着したインサート総数 :12個
表1に示すように、製作した各刃先交換式回転切削工具の仕様は次のようになる。
本発明例に係る試料番号1は、工具径Dがφ50mmの4つの螺旋状溝を有し、第1の螺旋状溝3における配列角θA1が53度、配列角θA2が45度、第2の螺旋状溝4における配列角θB1が51.2度、配列角θB2が42.7度、配列角θB3が37.1度、であり、前記した「θA1>θA2」、「θB1>θB2>θB3」の関係を満たしている。また、第1、第2の螺旋状溝の最先端側に装着したインサート(5−1)の軸方向すくい角AA1、BA1は、6.0度ですべて等しくした。また、第1の螺旋状溝3の2段目インサート(5−2)以降に装着したインサートの軸方向すくい角AA2は10.0度、第2の螺旋状溝4の2段目インサート(5−2)以降に装着したインサートの軸方向すくい角BA2は8.0度に設定した。従って、軸方向すくい角AA2とAA1との差(AA2−AA1)は4.0度、軸方向すくい角BA2とBA1との差(BA2−BA1)は2.0度である。
本発明例に係る試料番号2は、工具径Dがφ32mm、3つの螺旋状溝を有し、本発明例に係る試料番号3は、工具径Dがφ63mm、6つの螺旋状溝を有し、配列角は「θA1>θA2」、「θB1>θB2>θB3」の関係を満たしている刃先交換式回転切削工具である。
本発明例に係る試料番号4は、本発明例となる試料番号1に準じて工具径Dがφ50mm、4つの螺旋状溝を有した刃先交換式回転切削工具であって配列角は「θA1>θA2」、「θB1>θB2>θB3」の関係を満たしているが、最先端側に装着されたインサートの軸方向すくい角AA1、BA1を8.0度に設定した。
本発明例に係る試料番号5は、本発明例となる試料番号1に準じて工具径Dがφ50mm、4つの螺旋状溝を有した刃先交換式回転切削工具であるが、第1、第2の螺旋状溝3、4の2段目インサート(5−2)以降に装着したインサートの軸方向すくい角AA2、BA2を全て6.0度に設定した。
本発明例に係る試料番号6は、本発明例となる試料番号1に準じて4つの螺旋状溝を有した刃先交換式回転切削工具であるが、切削工具本体2とインサートに硬質皮膜を被覆していない工具である。
比較例に係る試料番号7の刃先交換式回転切削工具については、その切削工具本体の側面展開図を図8に示している。この比較例となる試料番号7は、本発明例に係る試料番号1に準じて刃径がφ50mm、4つの螺旋状溝を有した刃先交換式回転切削工具であるが、第1の螺旋状溝3における全ての配列角θを45.0度と一定に設定し、さらに第2の螺旋状溝4における全ての配列角θも45.0度と一定に設定して6個のインサート(5−1)〜(5−6)の刃列を備え、上記した本発明例のように「θA1>θA2」、「θB1>θB2>θB3」の関係を満たしていない刃先交換式回転切削工具である。なお、図8に示す切削工具本体の側面展開図では、1つの螺旋状溝に6個のインサートを装着した例を示しているが、切削試験を実施した比較例となる試料番号7においては、1つの螺旋状溝に4個のインサートを装着した。
従来例に係る試料番号8の切削工具本体の側面展開図を図9に示している。従来例となる試料番号8は、本発明例となる試料番号1に準じて刃径がφ50mm、4つの螺旋状溝を有した刃先交換式回転切削工具であるが、第1の螺旋状溝3、第2の螺旋状溝4にインサートを千鳥状に装着しており、切削工具本体の最先端には2個のインサートのみが装着され、さらに。装着したインサートの外周切れ刃の回転軌跡が不連続になっている従来例の工具である。試料番号8においては、夫々の螺旋状溝における配列角θは全て7.0度と一定にし、また全てのインサートの軸方向すくい角は6.0度に設定した。
なお、表1に示す各試料番号の刃先交換式回転切削工具において、溝数(螺旋状溝の数)を3にした場合には、前記したように、3つの螺旋状溝のうちの2つの螺旋状溝は前記した第1の螺旋状溝3とし、残りの1つの螺旋状溝は、前記した第2の螺旋状溝4を備えた刃先交換式回転切削工具とし、溝数を4にした場合には、前記したように、工具軸線Oに対して対向する1組の螺旋状溝は第1の螺旋状溝3とし、工具軸線Oに対して対向する他の1組の螺旋状溝は第2の螺旋状溝4を備えた先交換式回転切削工具とした。また、溝数を6にした場合には、前記したように、6つの螺旋状溝は、第1の螺旋状溝3と第2の螺旋状溝4とが、切削工具本体2の外周面周面に対して隣りどうしで配置された先交換式回転切削工具とした。
(切削加工試験の結果)
続いて、上記した切削加工試験の実施内容に基づいて実施した結果について説明する。製作した8種の刃先交換式回転切削工具を用いて実施した切削加工試験の結果を、試料番号ごとに表1の「評価結果」欄に示している。また、試料番号1(本発明例)と試料番号7(比較例)については、切削加工試験を行った際に発生した切削音についてFFT解析を行って、この切削音の振幅と周波数(Hz)との関係を示すパワースペクトル(周波数分布)を求めた結果を、図7に示している。なお、図7(a)は試料番号7(比較例)のFFT解析結果を、図7(b)は試料番号1(本発明例)のFFT解析結果を示している。
まず、表1の「評価結果」欄に示す切削加工の試験結果について説明する。
本発明例となる試料番号1は、刃径(工具径D)がφ50mm、4つの螺旋状溝を有する刃先交換式回転切削工具である。本発明例に係る試料番号1では、切削時の工具突き出しのオーバーハングOH(首下長さL)量が170mm、この切削時の工具長さL値(mm)と工具径D値(mm)との比(L/D)値が3.4と、首下長さが比較的長い状態においても、ビビリ振動の発生は確認できなかった。また、20分の連続加工を行ったインサート切れ刃の摩耗状態を確認したところ、摩耗状態も小さく、さらには工作物の表面粗さ(最大高さRz)を測定してもRz値が13.5μmと良好な加工面を維持した。
本発明例となる試料番号2は、刃径がφ32mm、3つの螺旋状溝を有し、各螺旋状溝に5個のインサートを装着した工具である。試料番号2の評価結果は、ビビリ振動の発生もなく、また、使用後のインサート切れ刃の摩耗量も小さかった。工作物の表面粗さ(最大高さRz)を測定しても、Rz値が12.3μmと良好な加工面を維持した。これにより、螺旋状溝数が3においても、ビビリ振動を抑制することが確認できた。
本発明例となる試料番号3は、刃径がφ63mm、6つの螺旋状溝を有する工具である。OH量は210mm、(L/D)値は3.3、と首下長さが比較的長い状態とした。この場合においても、試料番号3の評価結果は、ビビリ振動の発生は確認できなかった。また、20分の連続加工を行ったインサートの摩耗状態を確認したところ、インサート切れ刃の摩耗量も小さく、さらには工作物の表面粗さ(最大高さRz)を測定しても、Rz値が14.1μmと良好な加工面を維持した。これにより、螺旋状溝数が6においても、ビビリ振動を抑制することが確認できた。
本発明例となる試料番号4は、刃径がφ50mm、4つの螺旋状溝を有する工具である。OH量は170mm、(L/D)値は3.4、と首下長が比較的長い状態とした。この場合においても、試料番号4の評価結果は、ビビリ振動の発生は確認できなかった。しかし、20分加工後のインサート切れ刃の摩耗状態を確認したところ、工具の最先端側に装着したインサートのノーズR8部分に、微小ではあるがチッピングが発生していた。これは、最先端側に装着したインサート(5−1)の軸方向すくい角が8.0度と、試料番号1〜3と比較して大きくしたために、切削加工中に発生する切削抵抗がよりスラスト方向に強くなってしまったために発生したと推察される。しかし、工作物の表面粗さ(最大高さRz)を測定したところ、本発明例となる試料番号1と同等程度の12.8μmと良好な加工面になっていることを確認した。
本発明例となる試料番号5は、刃径がφ50mm、4つの螺旋状溝を有し、軸方向すくい角が全て6.0度となっている刃先交換式回転切削工具である。試料番号5の評価結果は、切削加工中にビビリ振動が若干ではあるが発生した。20分加工後のインサート摩耗状態を確認したところ、工具の最先端側に装着したインサート(5−1)において2箇所、また第3段目に装着したインサート(5−3)において1箇所の計3箇所のチッピングが発生していた。これは、第2段目インサート(5−2)以降に装着したインサートの軸方向すくい角がすべて同じとなっているため、本発明例となる試料番号1に比べると切削抵抗自体が高くなったと考えられる。これによって、切削加工中に発生する振動自体が大きくなり、ビビリ振動の発生に繋がり、インサートのチッピングに繋がったと考えられる。しかし、ビビリ振動自体はそれほど大きいものではなく、切削加工の実施は可能であった。また、工作物の表面粗さ(最大高さRz)を測定したところ、24.3μmとなり、ビビリ振動の影響で工作物の表面粗さが、試料番号1〜4と比較して劣化していることが確認された。
本発明例となる試料番号6は、刃径がφ50mm、4つの螺旋状溝を有し、試料番号1と比較すると、硬質皮膜の被覆を行なっていない工具である。この試料番号6の評価結果は、本発明例となる試料番号1と同様の結果となったが、加工終了後のインサート装着部の摩耗状態を確認したところ、若干ではあるが、工具本体のインサート着座面に褐色を帯びた接触痕が観察された。
比較例となる試料番号7は、刃径がφ50mm、4つの螺旋状溝を有する工具である。OH値(首下長さ(L))は170mm、(L/D)値は3.4、と首下長さが比較的長い状態とし、装着したインサートの全ての配列角は45度、軸方向すくい角AA1、BA1は6.0度と同一にした工具である。
この比較例となる試料番号7の評価結果は、切削開始直後よりビビリ振動が発生し、加工自体は非常に不安定な状態であった。また、切削開始後10分を過ぎた頃よりビビリ振動が大きくなってきたため、加工時間12分の状態で評価試験を中断した。この状態でインサート切れ刃の損傷状態を確認したところ、装着したインサート16個中、11個のインサートでチッピングが発生していた。また、工作物の表面粗さ(最大高さRz)を測定したところ47.0μmとなり、劣化していた。これは、ビビリ振動の影響と考えられ、実用に耐えられない状態であった。
従来例となる試料番号8は、4つの螺旋状溝に、インサートを千鳥状に装着した工具である。この従来例となる試料番号8の評価結果は、切削抵抗もそれほど高くなく加工できており、ビビリ振動の発生もなかった。加工自体は問題なく加工できた。しかし、インサートを千鳥状に装着したため、4つの螺旋状溝を有しているが、インサートの配列状態により、有効刃数は2枚となってしまう。そのため、加工能率は本発明例となる試料番号1と比較して半分の値となった。
続いて、切削加工試験を行った際に発生した切削音についてFFT解析を行った結果を、図7を参照して説明する。図7は、切削加工試験を行った際に発生した切削音についてFFT解析結果を行って、その結果を縦軸にパワースペクトル(振幅)、横軸に周波数(Hz)として表示したパワースペクトル(周波数分布)を示す線図であって、(a)は試料番号7(比較例)のFFT解析結果を、(b)は試料番号1(本発明例)のFFT解析結果を示している。
図7に示すFFT解析結果から次のことが明らかになった。
(1)本発明例となる試料番号1においては、周波数400Hz近傍でパワースペクトルがほとんど見られないのに対し、比較例となる試料番号7では3本のパワースペクトルが表れていた。
(2)同様に、周波数800Hz近傍において両者の振動音のパワースペクトルを比較すると、比較例となる試料番号7は、本発明例となる試料番号1の約く3.7倍と大きくなっていた。
(3)上記(1)、(2)の結果から、本発明の刃先交換式回転切削工具においては、下記(a)、(b)、(c)の構成、すなわち、
(a)複数の螺旋状溝はインサートを前記した刃列パターンA、及び刃列パターンBに基づいて配列した螺旋状溝を備えていること。
(b)螺旋状溝に配列したインサートの配列角を「θA1>θA2」、「θB1>θB2>θB3」になるように設定していること。
(c)刃列パターンAを備えた第1の螺旋状溝3と、刃列パターンBを備えた第2の螺旋状溝4において、これら螺旋状溝の最先端に装着されたインサート(5−1)の軸方向すくい角は、この最先端インサート(5−1)を除く同一螺旋状溝において他の位置に装着されたインサートの軸方向すくい角より小さくされていること。
等により、ビビリ振動の発生を抑制する効果が生じていたと考えられる。
上記した実施例においては、本発明例に係る各刃先交換式回転切削工具のそれぞれの螺旋状溝には、4個又は5個(試料番号2)のインサートを装着した切削加工実験を行ったが、本発明例となる試料番号1、試料番号3〜6の刃先交換式回転切削工具に、5個、あるいは5個以上のインサートを装着しても、上記(a)、(b)、(c)の構成、及び前記した本発明の特徴を備えた構成にすれば、上記実施例で得られた効果を得ることができる。
本発明の刃先交換式回転切削工具はラフィングエンドミルに関したものであり、特に切削用インサートの装着における配列や切れ刃角度を改善して、切削性能を改善している。切削用インサート切刃の耐欠損性を維持しながら切削抵抗の低抵抗化と振動の抑制とを可能とし、特に切削時のL/D値が2以上、好ましくは3〜5という、工具突き出し量が長い場合における切削加工に好適であり、産業上の利用可能性に富む。
1: 刃先交換式回転切削工具、
2: 切削工具本体、 2a:先端側、2b:基端側、
3: 第1の螺旋状溝、
4: 第2の螺旋状溝、
5、5a、5b: インサート、
5−1: 最先端側インサート、5−2:第2段目インサート、
5−3: 第3段目インサート、5−4:第4段目インサート、
5−5: 第5段目インサート、5−6:第6段目インサート、
6: 外周切れ刃、
7: インサートの底刃、
8: インサートのノーズR、
9: ニック溝、
10: インサート取付座、
11: ネジ部材、
12: バックメタル、
13: チップポケット、
O: 工具軸線、
h: インサートの切れ刃長さ、
t: インサートの厚さ、
u: インサートの幅、
α: インサートの鈍角部の角度、
β: インサートの逃げ角、
θA1、θA1: 第1の螺旋状溝に装着されたインサートの配列角、
θB1、θB2、θB3: 第2の螺旋状溝に装着されたインサートの配列角、
A1、AA2: 第1の螺旋状溝に装着されたインサートの軸方向すくい角、
A1、BA2: 第2の螺旋状溝に装着されたインサートの軸方向すくい角。

Claims (11)

  1. 工具軸線の回りに回転する円柱状の切削工具本体の外周部の先端側から基端側に向けて、前記工具軸線に沿うように間隔を設けて形成された複数の螺旋状溝と、平面視で略四辺形平板状をなし、前記螺旋状溝に着脱自在に装着される複数のインサートを備え、前記切削工具本体の回転に伴って前記装着した前記インサートの切れ刃の回転軌跡が連続する軌跡を描くようになされた刃先交換式回転切削工具において、
    前記複数の螺旋状溝は、前記複数のインサートを前記螺旋状溝の先端側から前記基端側に向けて刃列パターンAに基づいて配列した第1の螺旋状溝と、同じく前記複数のインサートを刃列パターンBに基づいて配列した第2の螺旋状溝とから構成され、
    前記切削工具本体の側面展開図において、同一の前記螺旋状溝に装着され、隣接する前記インサートの同じ部位どうしを結んだ直線が、前記切削工具本体の前記工具軸線となす角度を配列角としたときに、
    前記刃列パターンAに基づいて前記第1の螺旋状溝に配列された前記インサートの配列角は、前記先端側の最先端に装着されたインサートと該最先端のインサートに続いて前記基端側方向に装着された第2段目のインサートとがなす前記配列角をθA1とし、前記第2段目のインサートと第3段目のインサートとがなす前記配列角をθA2としたときに、θA1>θA2とされるとともに、前記第3段目以降に装着された前記インサートがなす前記配列角は前記θA2とされ、
    前記刃列パターンBに基づいて前記第2の螺旋状溝に配列された前記インサートの配列角は、前記先端側の最先端に装着されたインサートと該最先端に続いて第2段目のインサートとによって形成されるインサート配列角をθB1とし、前記第2段目のインサートと第3段目のインサートとによって形成されるインサート配列角をθB2としたときに、θB1>θB2とされ
    前記第2の螺旋状溝において、前記第3段目のインサートと第4段目のインサートとによって形成される配列角をθ B3 としたときに、前記θ B1 と、前記θ B2 と、前記θ B3 は、θ B1 >θ B2 >θ B3 とされていることを特徴とする刃先交換式回転切削工具。
  2. 第4段目以降に配列された前記インサートの前記配列角は、前記θ B2 と前記θ B3 の組み合わせの繰り返しとされていることを特徴とする請求項1に記載の刃先交換式回転切削工具。
  3. 前記複数の螺旋状溝は3つの螺旋状溝からなり、
    前記3つの螺旋状溝のうち2つの螺旋状溝は、前記刃列パターンAに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第1の螺旋状溝とされ、残りの1つの螺旋状溝は、前記刃列パターンBに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第2の螺旋状溝とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の刃先交換式回転切削工具。
  4. 前記複数の螺旋状溝は3つの螺旋状溝からなり、
    前記3つの螺旋状溝のうち2つの螺旋状溝は、前記刃列パターンBに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第2の螺旋状溝とされ、残りの1つの螺旋状溝は、前記刃列パターンAに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第1の螺旋状溝とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の刃先交換式回転切削工具。
  5. 前記複数の螺旋状溝は、前記工具軸線に対して対向するように形成された4つの螺旋状溝からなり、
    前記4つの螺旋状溝のうち、前記工具軸線に対して対向する1組の前記螺旋状溝は、前記刃列パターンAに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第1の螺旋状溝とされ、
    前記工具軸線に対して対向する他の1組の前記螺旋状溝は、前記刃列パターンBに基づくインサートの前記配列角を備えた前記第2の螺旋状溝とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の刃先交換式回転切削工具。
  6. 前記複数の螺旋状溝は、前記工具軸線に対して対向するように形成された6つの螺旋状溝からなり、
    前記6つの螺旋状溝は、前記刃列パターンAに基づくインサートの前記配列角を備えた第1の螺旋状溝と、前記刃列パターンBに基づくインサートの前記配列角を備えた第2の螺旋状溝とが、隣りどうしで配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の刃先交換式回転切削工具。
  7. 前記刃列パターンAを備えた前記第1の螺旋状溝と、前記刃列パターンBを備えた前記第2の螺旋状溝において、これら螺旋状溝の前記最先端に装着された前記インサートの軸方向すくい角は、前記最先端を除く位置に装着された前記インサートの軸方向すくい角より小さくされていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具。
  8. 前記刃列パターンBを備えた前記第2の螺旋状溝の前記第2段目のインサート以降に装着された該インサートの軸方向すくい角は、前記刃列パターンAを備えた前記第1の螺旋状溝の第2段目インサート以降に装着された該インサートの軸方向すくい角よりも小さくされていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具。
  9. 前記刃列パターンAを備えた前記第1の螺旋状溝と、前記刃列パターンBを備えた前記第2の螺旋状溝において、これら螺旋状溝の最先端に装着されたインサートの軸方向すくい角は、同一とされていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具。
  10. 前記螺旋状溝に装着される前記インサートの全ては、平面視で、相対する2辺間の長さと、相対する2つの鈍角が同一とされた平行四辺形をなしていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具。
  11. 前記切削工具本体と前記インサートの一方、又は双方は、周期律表4a、5a、6a族金属、Al、Si、Bの元素から選択される1種以上の元素を含有する窒化物、炭窒化物、酸窒化物のいずれかからなる硬質皮膜が被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具。
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