JP6866213B2 - 工作機械における送り軸の制御方法及び工作機械 - Google Patents
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Description
しかし、切れ刃の段数が多い場合は、工具ねじれ角により、同刃列内における各切れ刃取り付け位置の位相差が大きく、制御位置から大きく外れる切れ刃が発生してしまい、十分な効果を得ることができなかった。
各前記切れ刃が実際に加工する加工代の増減分を計算する加工代算出ステップと、
前記工具の1周分を所定の制御回数(1回は除く)で分割し、分割した制御範囲内に取り付けられた前記切れ刃の前記加工代の増減分の最大値を分割した制御範囲ごとに求め、これを平均化する制御量と制御位置とを各前記制御範囲ごとに算出する制御量算出ステップと、
前記制御量及び前記制御位置に基づいて前記微小変位の制御を重畳する重畳ステップと、を実行することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、前記制御量は、所定の制御回数での前記制御範囲内の前記加工代の増減分の最大値から、各前記制御範囲それぞれにおける前記加工代の増減分の最大値の平均を減算して、当該制御回数の前回の前記制御回数での前記制御量を加えたものであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、前記制御位置は、前記制御範囲内での各前記切れ刃の取り付け位置の平均であることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、同心円上に複数配置される切れ刃の段を、各段の前記切れ刃の数をそれぞれ等しくして、各前記切れ刃が周方向へ徐々にずれるように工具ねじれ角を有した複数の刃列を形成するように軸方向へ複数段装着してなる工具を回転させて被加工物を加工すると共に、加工中の送り軸に対して予め測定した前記切れ刃の振れ量に基づいて前記送り軸を加工逆方向に微小変位させる制御を重畳する工作機械であって、
各前記切れ刃が実際に加工する加工代の増減分を計算する加工代算出手段と、
前記工具の1周分を所定の制御回数(1回は除く)で分割し、分割した制御範囲内に取り付けられた前記切れ刃の前記加工代の増減分の最大値を分割した制御範囲ごとに求め、これを平均化する制御量と制御位置とを各前記制御範囲ごとに算出する制御量算出手段と、
前記制御量及び前記制御位置に基づいて前記微小変位の制御を重畳する重畳手段と、を備えることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、前記制御量算出手段は、前記制御量を、所定の制御回数での前記制御範囲内の前記加工代の増減分の最大値から、各前記制御範囲それぞれにおける前記加工代の増減分の最大値の平均を減算して、当該制御回数の前回の前記制御回数での前記制御量を加えて算出することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5の構成において、前記制御量算出手段は、前記制御位置を、前記制御範囲内での各前記切れ刃の取り付け位置の平均とすることを特徴とする。
図1は、本発明に係る送り軸の制御方法を実施する工作機械の一例を示す構成図である。同図において、1はベッド、2はコラムで、コラム2の前面には、主軸頭3が、X軸制御ユニット4及びZ軸制御ユニット5によって、X軸方向及びZ軸方向へ移動制御可能に設けられている。主軸頭3の下部で下向きに設けられた主軸6には、工具7が装着されている。
一方、ベッド1上には、Y軸制御ユニット8によってY軸方向へ移動制御可能なテーブル9が設けられて、テーブル9上に被加工物10が固定可能となっている。
そして、数値制御装置13は、演算装置12で制御量を重畳させた軸送り量に基づいて各送り軸を加工逆方向に微小変位させる制御を加えて加工を実施する。例えばX−Y平面における加工であれば、加工進行方向に対して計算した制御量をX軸、Y軸方向に分配して加工逆方向に送り軸を制御する。
このとき使用する工具の一例として、刃列数Z=4、刃段数N=6の工具7を挙げる。工具7は、図2(1)に示すように、4枚の切れ刃7a,7a・・が90°間隔で同心円上に配置されたもの(図2(1)における丸数字1〜4)を同刃段として(図2(2)7b)、これを軸方向に6段設けてなるものである。但し、軸方向の同刃列の切れ刃7aは、工具7の先端から回転方向前方側へ徐々にずれて配列されるようになっている(図2(2)7c)。
従来の微小変位重畳制御においては、切れ刃1刃列ごとに制御量と制御タイミングとの最適値計算を行うため、段数が多い場合は、図2(2)7cに示すように、工具ねじれ角により、同刃列内における各切れ刃位置の差が大きく、制御位置から大きく外れる切れ刃が発生してしまい、十分な効果を得ることが難しかった。
そこで、本発明は、装着する切れ刃の段数・ねじれ角が大きい工具においても、制御開始角度および制御量を最適化するため、工具1周分を制御回数で分割し、分割した範囲内に取り付けられた切れ刃ごとに制御量と制御位置との最適値を算出する。
ここで、刃列の番号を添え字i(1≦i≦Z、Z:刃列数)、刃段の番号を添え字j(1≧j≧N、N:刃段数)、測定した各切れ刃の振れ量をCi,J(μm)、各刃位置(工具回転角度)をPi,J(°)とする。
まず、各切れ刃における実際の加工代の増減分Di,Jは以下の式1により算出することができる。
例えば、図2(1)に示す工具において、L=6の場合、制御範囲はi〜viで6分割される。
ここで、制御回数kに用いる切れ刃の取り付け位置(工具回転角度)Pi,Jの範囲は、以下の式2となる。
そして、所定の重畳制御k回目における制御範囲内の各切れ刃の実加工代の増減分をDi,j,kとすると、制御量Rkは以下の式3により得られる。
Rk=(k回目制御範囲内の実加工代増減分Di,j,kの最大値)
−(全ての制御回数(k=1,2・・L) それぞれにおける実加工代増減分Di,j,kの最大値の平均)
+(k−1回目の制御量Rk−1)
(但し、k=1の場合、R1=0とする) ・・式3
また、切れ刃の取り付け位置に関しても同様に、所定の重畳制御k回目における制御範囲内の各切れ刃の取り付け位置をPi,j,kとすると、制御位置QkはPi,j,kの平均として得られる。
ここで、切れ刃7aの各位置と工具7の本体との位相関係は、例えば、主軸6に接続されているエンコーダで把握する。このエンコーダの出力に基づいて、主軸回転制御装置11が切れ刃7aの位相情報を得ることができる。
図4は、図3と同じ工具において、切れ刃の振れ量をもとに従来の刃列ごとに算出した制御量の計算値と、実加工代の増減分を示したものである。この場合、制御量が最適化できておらず、実加工代増減分の最大値は20μm(太枠部)で、制御なしから変化していない。
なお、図5において制御量R1=0となっていないのは、実際の工作機械で制御量が0以上となるように加算しているためである。但し、制御量は各制御範囲で相対的な差が同じであればよいので、加算は必須ではなく、上述の計算で得たRkの値のままであっても差し支えない。
工作機械も、同心円上に複数配置される切れ刃の段を軸方向へ複数段装着してなる工具を回転させて送り軸制御して加工を行うものであれば、複合加工機やマシニングセンタ等、特に機種を限定するものではない。
Claims (6)
- 同心円上に複数配置される切れ刃の段を、各段の前記切れ刃の数をそれぞれ等しくして、各前記切れ刃が周方向へ徐々にずれるように工具ねじれ角を有した複数の刃列を形成するように複数段装着してなる工具を回転させて被加工物を加工する工作機械において、加工中の送り軸に対して予め測定した前記切れ刃の振れ量に基づいて前記送り軸を加工逆方向に微小変位させる制御を重畳する送り軸の制御方法であって、
各前記切れ刃が実際に加工する加工代の増減分を計算する加工代算出ステップと、
前記工具の1周分を所定の制御回数(1回は除く)で分割し、分割した制御範囲内に取り付けられた前記切れ刃の前記加工代の増減分の最大値を分割した制御範囲ごとに求め、これを平均化する制御量と制御位置とを各前記制御範囲ごとに算出する制御量算出ステップと、
前記制御量及び前記制御位置に基づいて前記微小変位の制御を重畳する重畳ステップと、
を実行することを特徴とする工作機械における送り軸の制御方法。 - 前記制御量は、所定の制御回数での前記制御範囲内の前記加工代の増減分の最大値から、各前記制御範囲それぞれにおける前記加工代の増減分の最大値の平均を減算して、当該制御回数の前回の前記制御回数での前記制御量を加えたものであることを特徴とする請求項1に記載の工作機械における送り軸の制御方法。
- 前記制御位置は、前記制御範囲内での各前記切れ刃の取り付け位置の平均であることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械における送り軸の制御方法。
- 同心円上に複数配置される切れ刃の段を、各段の前記切れ刃の数をそれぞれ等しくして、各前記切れ刃が周方向へ徐々にずれるように工具ねじれ角を有した複数の刃列を形成するように軸方向へ複数段装着してなる工具を回転させて被加工物を加工すると共に、加工中の送り軸に対して予め測定した前記切れ刃の振れ量に基づいて前記送り軸を加工逆方向に微小変位させる制御を重畳する工作機械であって、
各前記切れ刃が実際に加工する加工代の増減分を計算する加工代算出手段と、
前記工具の1周分を所定の制御回数(1回は除く)で分割し、分割した制御範囲内に取り付けられた前記切れ刃の前記加工代の増減分の最大値を分割した制御範囲ごとに求め、これを平均化する制御量と制御位置とを各前記制御範囲ごとに算出する制御量算出手段と、
前記制御量及び前記制御位置に基づいて前記微小変位の制御を重畳する重畳手段と、を備えることを特徴とする工作機械。 - 前記制御量算出手段は、前記制御量を、所定の制御回数での前記制御範囲内の前記加工代の増減分の最大値から、各前記制御範囲それぞれにおける前記加工代の増減分の最大値の平均を減算して、当該制御回数の前回の前記制御回数での前記制御量を加えて算出することを特徴とする請求項4に記載の工作機械。
- 前記制御量算出手段は、前記制御位置を、前記制御範囲内での各前記切れ刃の取り付け位置の平均とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の工作機械。
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