以下、本発明に係る駐車支援装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
駐車支援装置10は、図1に示すように、車両12に搭載され、駐車動作において車両12を誘導するシステムである。なお、本明細書中の「駐車動作」とは、車両12が駐車状態になる(駐車位置に移動して完全に停車する)までの行動を指し、駐車位置で停車した後の継続的な駐車状態を含むものではない。
駐車支援装置10を搭載する車両12は、AT(Automatic Transmission)車又はMT(Manual Transmission)車のいずれでもよい。第1実施形態ではAT車に搭載された駐車支援装置10について詳述し、第2実施形態ではMT車に搭載された駐車支援装置10Aについて詳述していく。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る駐車支援装置10は、駐車動作中に、車両12のステアリング14を自動で操作する自動操舵機能を有する。この自動操舵中に、駐車支援装置10は、運転者に対しシフトレバー16、アクセルペダル(図示せず)及びブレーキペダル(図示せず)の操作を案内し、車両12の前進や後退、制動等を運転者の操作により実施させる。勿論、駐車支援装置10は、自動操舵と共に車両12の駆動及び制動を自動的に行うものであってもよい。
駐車支援装置10は、駐車支援制御を行う制御部として駐車支援電子制御装置(以下、駐車支援ECU18という)を備える。駐車支援ECU18は、ハードウェアとして入出力部20、演算部22及び記憶部24を有する周知のコンピュータを適用し得る。駐車支援ECU18は、駐車支援制御において、図2に示すように、車両12の目標駐車位置P1を設定し、その目標駐車位置P1に車両12を誘導する処理を行う。
図1に戻り、駐車支援ECU18は、駐車支援制御のために、車両12に搭載される各種のデバイスやシステムとの間で、入出力部20を介して信号の送受信を行う。例えば、駐車支援装置10は、センサ群26、ナビゲーション装置28、電動パワーステアリングシステム(以下、EPSシステム30という)及びパーキングブレーキシステム(以下、PBシステム32という)を含んで構成される。これらのデバイスやシステムは、車両12に予め搭載されるものを利用してもよく、駐車支援制御のために別に搭載してもよい。
センサ群26は、駐車支援制御のために、車両12の状態又は車両12の周辺の状態を検出し、その検出結果(信号)を駐車支援ECU18に出力する。センサ群26としては、例えば、前方カメラ34f、後方カメラ34rr、左側方カメラ34l、右側方カメラ34rt、左後輪センサ36rl、右後輪センサ36rr、車速センサ38及びシフト位置センサ40が含まれる。
各カメラ34f、34rr、34l、34rt(以下、まとめてカメラ34という)は、車両12の周辺を自動撮像し撮像画像情報として駐車支援ECU18に出力する。この撮像画像情報は、駐車支援ECU18にて、例えば自車を俯瞰した案内画像情報に加工されて運転者に提供され、目標駐車位置P1(図2参照)を設定するために用いられる。なお、カメラ34は、駐車支援装置10が目標駐車位置P1を設定することが可能な撮像画像情報を取得できればよく、その搭載位置や搭載数は特に限定されるものではない。また、撮像画像情報の取得手段は、カメラ34に限定されず、例えばレーダや超音波等の他のセンサを適用する、外部からの情報通信により画像情報が送信される等の種々の方法をとり得る。
左後輪センサ36rl、右後輪センサ36rr(以下、まとめて車輪センサ36ともいう)は、車両12の車輪の回転角度θwrを検出する角度センサ又は変位センサである。車輪センサ36は、車輪が所定角度回転する毎に検出パルスを図示しないパルスカウンタに出力する。検出パルスは、パルスカウンタによりカウント値に変換されて駐車支援ECU18に送信される。勿論、検出パルスを直接駐車支援ECU18に送信して駐車支援ECU18にてカウントしてもよい。このカウント値は車輪の回転角度θwr(すなわち、移動距離)及び車輪の回転速度の算出に用いられる。
車速センサ38は、車両12の速度(以下、車速Vという)を検出して駐車支援ECU18に出力する。車速センサ38は、例えば、図示しないトランスミッションの内部に設けられ、トランスミッションのカウンタシャフトの回転に基づいて車速Vを検出する。
シフト位置センサ40は、シフトレバー16の位置(以下、シフト位置Psという)を検出して出力する。
一方、車両12に搭載されるナビゲーション装置28は、GPS(Global Positioning System)により車両12の現在位置を検出し、ユーザ(運転者を含む乗員)に対し目的地までの経路を案内する機能を有する。このナビゲーション装置28は、車両12の現在位置や経路等を表示するタッチパネル42と、目的地に向かうように車両12を音声ガイダンスするスピーカ44とを備える。
ナビゲーション装置28のタッチパネル42は、画像情報を表示する表示部と、表示部に重なりユーザの操作を認識する入力部を有する。例えば、タッチパネル42は、カメラ34の撮像画像情報に基づき生成された案内画像情報を表示すると共に、シフトレバー16の操作、加速又は減速等を案内する操作案内を表示する。シフトレバー16の操作、加速又は減速の操作案内は、音声ガイダンスとしてスピーカ44から出力してもよい。
車両12に搭載されるEPSシステム30は、運転者が車両12を操舵する際に軽い力でステアリング14を操作させるためのものであり、必要に応じて電力を供給してステアリング14の回転をアシストする。このEPSシステム30は、舵角センサ46、トルクセンサ48、EPSモータ50、レゾルバ51及びEPS電子制御装置(以下、EPS ECU52という)を備える。
舵角センサ46は、ステアリング14の舵角θstを検出する。トルクセンサ48は、ステアリング14にかかるトルクTQを検出する。EPSモータ50は、ステアリング14に連結されたステアリングコラム54に対して駆動力を付与することで、運転者によるステアリング14の操作支援及び駐車支援制御の自動操舵を可能とする。レゾルバ51は、EPSモータ50の回転角度θmを検出する。
EPS ECU52は、ハードウェアとして入出力部、演算部及び記憶部(いずれも図示せず)を有し、舵角θstやトルクTQの値に基づき供給電流を算出し、算出した供給電流に基づきEPSモータ50の回転を制御する。
EPSシステム30は、駐車支援装置10として使用される場合に、駐車支援ECU18からの舵角指示(目標舵角θO)に基づき、EPSモータ50の回転駆動の制御、すなわちステアリング14の自動操舵を実施する。
また、車両12に搭載されるPBシステム32は、パーキングブレーキを制御するものである。既述したように、車両12には、図示しない常用ブレーキとパーキングブレーキの2種類の制動装置が設けられる。常用ブレーキは、主として走行中の車両12を減速あるいは停止させるために用いられ、パーキングブレーキは、主として車両12の停車状態を維持するために用いられる。このように用途が異なることから、通常、常用ブレーキとパーキングブレーキは別のシステムとして構成される。
常用ブレーキはフットブレーキとして構成されることが多く、パーキングブレーキは足踏み式ブレーキもあるが、操作レバー56を手で引くタイプのハンドブレーキが多く、手動式のものはサイドブレーキとも呼ばれる。なお、パーキングブレーキの操作機構は、種々の構成を適用可能であり、サイドブレーキや足踏み式ブレーキの他に、例えばインストルメントパネルに設けられたボタンにより操作を行ってもよい。
PBシステム32は、電動式として構成され、操作レバー56、PB電子制御装置(以下、PB ECU58という)、ブレーキアクチュエータ60、インジケータ62及びブザー64を備える。なお、PBシステム32は、機械的な機構であってもよく、この場合、操作レバー56(操作部)のオン/オフを検出するセンサを設け、このセンサの検出信号を駐車支援ECU18が直接受信する構成としてもよい。
PB ECU58は、ハードウェアとして入出力部、演算部及び記憶部(いずれも図示せず)を有し、操作レバー56のオン/オフに基づきブレーキアクチュエータ60の動作を制御する。また、PB ECU58は、駐車支援ECU18に接続され、パーキングブレーキの作動状態を作動信号Sとして出力する。例えば、作動信号Sは、パーキングブレーキの非作動状態を0、作動状態を1としたオン/オフ信号とすることができる。PB ECU58は、車両12が傾斜地(坂道)等で停車した場合に、パーキングブレーキを自動的に作動させ、ブレーキペダルを離しても停車状態を短時間維持する、所謂ヒルスタート機能を有していてもよい。さらに、PB ECU58は、駐車支援ECU18から指示されてパーキングブレーキの作動や作動解除を行う機能を有するとよい。
ブレーキアクチュエータ60は、PB ECU58の指示に基づき、車両12の車輪(主に駆動輪、本実施形態では後輪)に設けられているブレーキ装置66の状態を制動状態/非制動状態に切り替える。ブレーキ装置66は、常用ブレーキのブレーキ装置を適用してもよく、パーキングブレーキ専用のブレーキ装置であってもよい。
また、インジケータ62は、車両12のインストルメントパネルに設けられ、パーキングブレーキがかかっている場合に点灯して、運転者にパーキングブレーキの作動を報知する。ブザー64も、インジケータ62と同様に、パーキングブレーキの作動を音(音声を含む)によりユーザに報知する。なお、パーキングブレーキの作動の報知は、ナビゲーション装置28のタッチパネル42やスピーカ44を使用してもよい。
PBシステム32は、駐車支援装置10に使用される場合に、パーキングブレーキの作動信号Sを駐車支援ECU18に送信する。駐車支援ECU18は、パーキングブレーキの作動に基づき、駐車支援制御の実施を中止又は停止する処理を行う。
なお、本明細書において「駐車支援制御」とは、車両12を誘導する際に必要な各種の設定を行う「駐車設定制御」と、駐車設定制御後の設定内容に基づき車両12を実際に自動操舵する「誘導制御」とを含む一連の制御である。また、本明細書中の駐車支援制御の「中止」とは、実施中の駐車支援制御を再開しないことを前提として制御を止める意味であり、駐車支援制御の実施前であれば制御を実施しない意味である。本明細書中の駐車支援制御の「停止」とは、実施中の駐車支援制御を再開可能に停止する(中断する)意味である。
以下、上記の駐車支援制御を行う駐車支援ECU18の構成について説明していく。駐車支援ECU18は、記憶部24に記憶されている図示しない駐車支援プログラムを演算部22により実行することで、図3に示すように、駐車支援開始処理部70、誘導制御部72、PB判別部74を機能的に構築する。
駐車支援ECU18の駐車支援開始処理部70は、主として駐車設定制御を行う処理部である。駐車設定制御としては、例えば、駐車支援制御の開始条件の判別、撮像画像情報の取得、案内画像情報の生成、目標駐車位置P1の設定、車両12の案内経路Gの設定等が挙げられる。
例えば、駐車支援開始処理部70は、運転中に、ナビゲーション装置28のタッチパネル42に駐車支援開始ボタン76を表示し、運転者による駐車支援開始ボタン76のオン操作に基づき駐車支援制御の開始条件の成立を判別する。また、駐車支援開始処理部70は、駐車支援制御の開始条件として、駐車支援開始ボタン76のオン操作に加えて車両12の車速Vが所定速度を下回っていることを判別してもよい。この場合は、所定速度以下で駐車支援開始ボタン76をタッチパネル42に表示させてもよい。あるいは、駐車支援開始ボタン76は、ナビゲーション装置28における地図情報中の駐車場に、車両12が近づいたことを判別することで表示されてもよい。
開始条件の成立に伴い、駐車支援開始処理部70は、カメラ34にて撮像画像情報を取得し、撮像画像情報に基づき案内画像情報(俯瞰画像)をタッチパネル42に表示する。なお、案内画像情報は、俯瞰画像に限定されず、例えば、所定のカメラ34の撮像画像を直接表示する等の種々の表示方法が挙げられる。
また、駐車支援開始処理部70は、案内画像情報において車両12の目標駐車位置P1を指定させる駐車枠77を表示し、ユーザの指示に基づき車両12が駐車する目標駐車位置P1を設定する。駐車枠77は、駐車場において駐車位置を示す白線に対し自動的に追従するように構成されるとよい。さらに、目標駐車位置P1の設定前には、並列駐車や縦列駐車等の詳細な駐車状態(駐車モード)をユーザに指定させることで、様々な状況に応じた駐車支援制御を行うことができる。なお、目標駐車位置P1の設定も種々の方法を適用可能であり、例えば、駐車支援開始処理部70がユーザの指示によらず自動設定してもよい。
駐車支援開始処理部70は、目標駐車位置P1を設定すると、車両12の停車状態(常用ブレーキによる停車)を待って、経路設定ボタン78をタッチパネル42に表示させる。そして、運転者による経路設定ボタン78のオン操作に基づき、図2に示すように、車両12の停車位置(初期位置P0)から目標駐車位置P1までの案内経路Gを設定する。案内経路Gの設定では、車両12と目標駐車位置P1の相対位置を算出し、この相対位置に基づき案内画像情報に関連する平面座標上において最適な経路を演算する。案内経路Gには、1つ又は複数の目標切り返し位置P2が含まれてもよい。
駐車支援開始処理部70は、この案内経路Gを設定することで駐車設定制御を終了し、誘導制御部72による誘導制御に自動的に移行させる。この際、駐車支援開始処理部70は、平面座標に伴う案内経路G及び車両12の初期位置P0の各情報を誘導制御部72に提供する。なお、誘導制御の移行時に、例えば図示しない誘導開始ボタンをタッチパネル42に表示し、運転者による誘導開始ボタンのオン操作に基づき、誘導制御を実施してもよい。
また、駐車支援開始処理部70は、後述するPB判別部74がパーキングブレーキの作動を判別すると、所定の処理を行うように構成されている。すなわち、パーキングブレーキの作動時に車両12を走行すると、ブレーキ装置66(図1参照)に車輪が引きずられることで、ブレーキ装置66の消耗が生じる。このため、駐車支援開始処理部70は、PB判別部74の指示下に、上述した駐車設定制御を中止又は停止する中止/停止処理を行う。
駐車支援開始処理部70は、中止/停止処理において、駐車設定制御を中止することでパーキングブレーキの解除後にもう一度最初から設定をやり直させてもよく、駐車設定制御を停止することで、途中から再開可能とさせてもよい。また、駐車設定制御の中止/停止処理では、駐車支援制御(駐車設定制御)の中止又は停止を警告するとよい。具体的には、警告をタッチパネル42に表示する、音声ガイダンスや警告音をスピーカ44から出力すること等が挙げられる。
なお、例えば車両12が勾配の大きい箇所に位置する可能性を考慮し、ユーザが案内経路Gを設定する前(停車前)までは、パーキングブレーキが作動しても駐車設定制御を継続可能としてもよい。これにより、ユーザはパーキングブレーキをかけても目標駐車位置P1を設定することができる。
駐車設定制御から誘導制御に移行する段階(案内経路Gの設定後)で、パーキングブレーキが作動している場合は、以降の誘導制御に支障をきたす可能性があるため、駐車支援制御を停止する(誘導制御を開始しない)処理を行うことが好ましい。この場合は、パーキングブレーキの解除後に設定した案内経路Gを使用してもよい。これにより、坂道等で停止状態から再発進する場合に駐車支援制御を行うことができる。案内経路Gを用いる際には、目標駐車位置P1までの案内経路Gを保持するために、パーキングブレーキの作動と共に車両12自体の走行を強制停止(例えば、トランスミッションのギアをロック等)してもよい。また、駐車支援ECU18は、PBシステム32のヒルスタート機能と連携し、パーキングブレーキが作動していてもアクセルペダルの操作でパーキングブレーキを自動解除し、誘導制御を継続してもよい。
駐車支援制御の誘導制御は、駐車支援ECU18の誘導制御部72の処理下に実施される。誘導制御部72は、誘導制御において、駐車支援開始処理部70が設定した案内経路Gに沿うように車両12を誘導する処理を行う。誘導制御としては、例えば、車両12の現在状態(位置及び傾き)の算出、目標舵角θOの算出等が挙げられる。
誘導制御部72は、駐車設定制御から誘導制御に移行すると、駆動時の車輪センサ36の検出パルス(パルスカウント値)により現在状態(位置及び傾き)を算出する。例えば、誘導制御部72は、車両12の駐車動作中に個々の車輪の移動距離を継続的に検出し、この移動距離と初期位置P0に基づき、平面座標上の現在位置と目標駐車位置P1に対する現在の傾きとを算出(監視)することができる。
そして、誘導制御部72は、算出した車両12の現在状態(位置及び傾き)に基づき、車両12が案内経路Gに沿っているかを判別すると共に、目標舵角θOを算出する。目標舵角θOの算出時には、車速センサ38による車速Vの検出、及びシフト位置センサ40のシフト位置Ps(つまり車両12の前進操作や後退操作)の判別を行うことで、車両12の動作状態も認識する。そして、駐車支援ECU18は、誘導制御部72が算出した目標舵角θOをEPSシステム30に送信することで、EPS ECU52に目標舵角θOに基づく動作を実施させる。これにより、車両12は、駐車支援装置10の誘導制御によりステアリング14を自動操舵することができる。
また、駐車支援ECU18は、目標舵角θOの算出と共に、シフトレバー16の操作(切り替え等)や車速(減速等)の案内を随時実施する。この案内は、タッチパネル42による表示又はスピーカ44からの音声ガイダンスの出力によりなされる。タッチパネル42は、この案内の他にもカメラ34が撮像する撮像画像情報や案内画像情報をリアルタイムに表示する。運転者は、このタッチパネル42の表示に基づき、誘導制御時の車両12の駆動を確認することができる。
そして、誘導制御部72も、PB判別部74によるパーキングブレーキの作動の判別に基づき、所定の処理を行うように構成されている。特に、誘導制御時にパーキングブレーキが作動すると、ブレーキ装置66により車輪の引きずりが生じる。その結果、誘導制御部72の車両12の現在状態(位置及び傾き)の算出結果と、実際に動作している車両12の位置や傾きにずれが生じる可能性がある。また、上述したようにブレーキ装置66の消耗も生じる。
そのため、誘導制御部72は、上述した誘導制御を基本的に中止する処理を行うことが好ましい。誘導制御の中止は、パーキングブレーキの作動を判別した直後に行ってもよく、パーキングブレーキの作動を判別し所定の待機時間Tの経過後に行ってもよい。以下、第1実施形態では、パーキングブレーキの作動の判別直後に誘導制御を中止する処理を説明し、後の第2実施形態では、待機時間Tの経過後に誘導制御を中止する処理を説明する。
誘導制御部72は、誘導制御を中止する場合、駐車支援ECU18による自動操舵を中止して、運転者による手動操作に移行させる処理を行う。すなわち、車両12は、誘導制御の中止を行うが、パーキングブレーキの作動中でも運転者による車両12の走行は可能である。換言すれば、駐車支援制御の中止とは、設定した目標駐車位置P1、初期位置P0、案内経路G、又は算出した車両12の現在状態(位置や傾き)の破棄等をいい、EPSシステム30やPBシステム32の動作は正常に行うことができる。これにより運転者は、一層自由度の高い操作を行うことが可能となる。
なお、誘導制御の中止前や中止後には、誘導制御の中止の警告をタッチパネル42に表示(報知)する、又はスピーカ44から音出力するとよい。また、誘導制御を急に中止すると、運転者が手動操作にスムーズに移行できない可能性もあり得る。そのため、駐車支援ECU18は、所定期間(又はステアリング14に運転者の操作力が伝わるまで)ステアリング14を固定する又は回転し難くする等の移行を簡単化する制御を行ってもよい。
あるいは、誘導制御部72は、誘導制御を停止(中断)する処理を行ってもよい。このように誘導制御を停止する場合は、誘導制御の停止時点の車両12の現在状態、案内経路G等を自動保存しておき、パーキングブレーキの作動の解除後に途中から再開させるとよい。誘導制御部72は、誘導制御の中断中において、車輪の引きずりを判別することで、誘導制御を中止に切り換えてもよい。
一方、駐車支援ECU18のPB判別部74は、PBシステム32からのパーキングブレーキの作動信号Sを受信することにより、パーキングブレーキの作動状態を判別する。また、PB判別部74は、車速センサ38による車速V、車輪センサ36による各車輪の回転速度情報に基づき、車輪の引きずりを判別して車輪の引きずりがある場合にパーキングブレーキの作動と判別してもよい。要するに、パーキングブレーキの作動とは、PBシステム32の操作レバー56(操作部)のオン状態に限定されるものでなく、常用ブレーキ以外で車輪の駆動を停止させるように働く種々の制動作用が含まれる。例えば、上述したヒルスタート機能による車両12の一時的な停車状態も含まれる。なお、駐車支援ECU18は、PB判別部74を省いて、駐車支援開始処理部70や誘導制御部72がPBシステム32からの作動信号Sを直接受け取る構成であってもよい。
第1実施形態に係る駐車支援装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、図4に示す処理フローの一例を参照してその作用効果について説明する。なお、以下では、パーキングブレーキの作動に伴い駐車支援制御の「中止」を行う処理について代表的に説明する。
駐車支援装置10は、車両12の運転者が任意の駐車場に駐車する場合に起動される。駐車支援ECU18の駐車支援開始処理部70は、タッチパネル42に駐車支援開始ボタン76を表示し、ユーザが駐車支援開始ボタン76を押したか否かを判別する(ステップS1)。そして、駐車支援開始ボタン76のオン操作を判別するとステップS2に進む。
駐車支援開始ボタン76が押されると、駐車支援開始処理部70は、駐車設定制御を実施する(ステップS2)。駐車設定制御では、上述したように目標駐車位置P1の設定、案内経路Gの設定等を順次行っていく。
この駐車設定制御の実施中に、PB判別部74は、PBシステム32からの作動信号Sに基づきパーキングブレーキの非作動又は作動を継続的に判別する(ステップS3)。駐車支援開始処理部70は、パーキングブレーキの作動を判別するとステップS4に進み、パーキングブレーキの非作動を判別するとステップS5に進む。
ステップS4において、駐車支援開始処理部70は、駐車設定制御(駐車支援制御)の中止/停止処理を行う。例えば、駐車設定制御の中止/停止処理では、目標駐車位置P1や初期位置P0、車両12の現在状態(位置や傾き)、案内経路Gの各情報を破棄する処理を行う。また、中止/停止処理では、パーキングブレーキの作動により駐車支援制御を中止する警告をタッチパネル42に表示又はスピーカ44から音出力する。これにより、駐車支援ECU18は、駐車支援制御を中止し、運転者による手動操作に切り換える。
パーキングブレーキが非作動の場合、ステップS5において、駐車設定制御の終了を判別し、駐車設定制御の継続中であればステップS2に戻る。駐車設定制御は、上述したように車両12が停車状態となり、案内経路Gが設定されることで終了する。駐車設定制御の終了を判別すると、ステップS6に進む。
駐車支援ECU18は、駐車設定制御の後に誘導制御に移行してステアリング14の自動操舵を開始する(ステップS6)。誘導制御では、車両12の現在状態の算出及び目標舵角θOの算出等を行い、EPSシステム30に対し自動操舵の指示(目標舵角θOの送信)を行い、さらに運転者に車両12の前進又は後退、制動等の案内を行う。これにより車両12は、図2に示す太い実線(案内経路G)のように目標駐車位置P1に誘導されていく。
この誘導制御の実施中に、PB判別部74は、PBシステム32からの作動信号Sに基づきパーキングブレーキの非作動又は作動を継続的に判別する(ステップS7)。誘導制御部72は、パーキングブレーキの作動を判別するとステップS8に進み、パーキングブレーキの非作動を判別するとステップS9に進む。
ステップS8において、誘導制御部72は、上述したステップS4と同様に、誘導制御(駐車支援制御)の中止/停止処理を行う。誘導制御の中止/停止処理では、目標駐車位置P1、初期位置P0、自車の現在状態(位置や傾き)、案内経路Gの各情報を破棄する処理を行う。また、パーキングブレーキの作動により駐車支援制御を中止する警告をタッチパネル42に表示又はスピーカ44から音出力する。これにより、駐車支援ECU18は、駐車支援制御を中止し、運転者による手動操作に切り換える。
一方、パーキングブレーキが非作動の場合、ステップS9において、誘導制御部72は、自車の現在状態の算出結果に基づき、車両12が案内経路Gに沿って移動して目標駐車位置P1に到達したか否かを判別する。車両12が目標駐車位置P1に到達していない場合は、ステップS6に戻り誘導制御を継続し、目標駐車位置P1に到達した場合は、ステップS10に進む。
最後に、駐車支援ECU18は、ステップS10において、駐車支援制御の終了処理を行い、車両12の駐車動作における誘導を終了する。
以上のように、第1実施形態に係る駐車支援装置10によれば、駐車支援ECU18が車両12のパーキングブレーキの作動に基づき駐車支援制御の実施を中止(又は停止)する。これにより、駐車支援制御から運転者による手動操作に直ぐに切り換えることができるので、駐車支援装置10の使用性が一層高まる。しかも簡単に構成することができるので、コストを抑えることができる。また、運転者は、駐車支援制御の中止に伴い車両12の駐車動作を停止する対応を図ることができ、ブレーキ装置66の消耗を防ぐことができる。よって、ブレーキ装置66の耐久性が向上する。
この場合、誘導制御部72は、車輪の回転に基づき車両12の現在状態を継続的に算出することで、駐車支援制御において車両12の誘導を簡単に行うことができる。また、車輪の回転に基づき現在状態を算出する構成であると、パーキングブレーキの作動により車輪に引きずりが生じて現在状態の算出に誤差が生じる可能性が高まるが、駐車支援ECU18は駐車支援制御を簡単に中止又は停止する構成となっている。従って、駐車支援装置10は、駐車支援制御において、パーキングブレーキの作動による車両12の誤誘導を阻止し、車両12を良好に制御することができる。
また、駐車支援装置10は、誘導制御部72が車両12の操舵のみを支援する構成であり、駐車支援制御が簡単化し車両12への搭載コストを低減することができる。そして、駐車動作において、運転者がパーキングブレーキを作動させてしまう誤操作を行っても、駐車支援ECU18により駐車支援制御の中止又は停止がなされるので、運転者は容易に必要な対応を図ることができる。
なお、駐車支援装置10は、上述した構成に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例をとり得る。例えば、上述した駐車支援装置10をMT車に適用することもできる。この場合、誘導制御時に自動操舵に伴いクラッチの切り換えをタッチパネル42やスピーカ44で案内するように構成すればよい。
また、駐車支援装置10が自動操舵と共に車両12の駆動及び制動を自動的に行う場合は、パーキングブレーキの作動を検出した際に、駐車支援制御の中止に伴い車両12を一旦停車させ、その後に運転者の操作に切り替える構成とすることが好ましい。これにより、運転が急に駐車支援制御から手動操作に切り換わることによる誤操作を低減することができる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る駐車支援装置10Aについて図5及び図6A及び図6Bを参照して説明する。なお、以下の説明において第1実施形態に係る駐車支援装置10と同一の構成又は同一の機能を有する構成については、同じ符号を付しその詳細な説明については省略する。
第2実施形態に係る駐車支援装置10Aは、MT車として構成される車両12Aに搭載される。この駐車支援装置10Aの駐車支援ECU18Aは、図3に示す駐車支援ECU18と同様に、駐車支援開始処理部70、誘導制御部72を有するが、PB判別部80の構成が、図3に示すPB判別部74と異なっている。
具体的には、駐車支援ECU18Aは、パーキングブレーキの作動状態において該パーキングブレーキが作動している経過時間を監視し、所定の時間以上経過することで駐車支援制御を中止又は停止する構成となっている。駐車支援制御の中止/停止処理は、第1実施形態に係る駐車支援装置10の処理に準じる。
このため、駐車支援ECU18AのPB判別部80は、処理上の時間的な比較を行う時間比較処理部82と、時間の計測を行うタイマー部84と、待機時間T(図6A及び図6B参照)の設定を行う待機時間設定部86とを有している。
時間比較処理部82は、PBシステム32からパーキングブレーキの作動信号Sが送信されると、タイマー部84を動作させ作動信号Sの受信時点から時間計測を開始すると共に、待機時間設定部86が設定した待機時間Tを読み出す。そして、パーキングブレーキが作動となっている間は時間計測を継続し、パーキングブレーキの作動中の経過時間(計測している時間)と、読み出した待機時間Tとを比較し、経過時間が待機時間Tを超えたか否かを判別する。待機時間Tを超えた場合には、駐車支援開始処理部70又は誘導制御部72に駐車支援制御の中止/停止処理を実施させる。パーキングブレーキの作動状態が、待機時間Tを超えずに解除された場合には、駐車支援制御を継続させる。
ここで、駐車においては、車両12Aが坂道等の大きな勾配(傾斜)を有する駐車場に一時停車する可能性がある。この場合、車両12A(特にMT車)は、勾配による自車の後退を避けるために、停車状態からの走行再開の初期時にパーキングブレーキを作動状態として走行させることもある。そのため、パーキングブレーキの作動の検出に伴い駐車支援制御を直ぐに停止してしまうと、勾配を有する場所で駐車支援制御を有効に利用することが難しくなる。
第2実施形態に係る駐車支援ECU18Aは、パーキングブレーキの作動後に駐車支援制御を直ぐに停止するのではなく、待機時間T分の猶予を設けることで、駐車支援制御の使用性を向上している。つまり、パーキングブレーキが作動しても、待機時間Tにおいてパーキングブレーキが解除されれば、中止/停止処理を控えて駐車支援制御を実施させることで、勾配の大きな箇所等でも駐車支援制御を行うことができる。
PB判別部80の待機時間設定部86は、上記の待機時間Tを設定する機能を有する。この待機時間Tは、特に限定されるものではないが、坂道等においてパーキングブレーキを一時的にかける平均時間に基づき設定されることが好ましく、例えば1〜3秒程度、より好ましくは2秒前後に設定するとよい。待機時間Tは、固定値として駐車支援ECU18Aに予め設定してもよく、あるいはタッチパネル42に設定画面を表示することでユーザにより設定変更させてもよい。
また、駐車支援装置10Aは、車両12Aに傾斜センサ88を搭載し、車両12Aが位置する箇所の勾配(角度)を傾斜センサ88により検出し、その角度に基づき待機時間Tを自動的に変動する構成でもよい。例えば、勾配が大きい場合には車両12Aを慎重に再発進させることから待機時間Tを長く設定し、勾配が小さい場合には車両12Aを容易に再発進させることから待機時間Tを短く設定するとよい。これにより、車両12Aが位置する勾配に応じて、駐車支援制御を適切に継続させることができる。なお、勾配を検出するセンサは、傾斜センサ88に限定されるものではなく、例えば、加速度センサ(Gセンサ)やサスペンションストロークセンサでもよい。
なお、PB判別部80によるパーキングブレーキの作動状態の判別は、PBシステム32からの作動信号Sだけに限定されるものではない。例えば、第1実施形態に係る駐車支援装置10と同様に、車輪センサ36による車輪の回転速度と、車速センサ38による車速Vとに基づき車輪の引きずりを判別し、車輪を引きずっている場合をパーキングブレーキの作動状態とみなしてもよい。
また、駐車支援装置10Aは、駐車設定制御や誘導制御の実施前にパーキングブレーキを先に作動状態とし、この作動状態から制御を開始して、経過時間と待機時間Tの比較処理を行う構成とすることもできる。従って、PB判別部80と、駐車支援開始処理部70及び誘導制御部72とは、処理内容が双方向に通信可能な構成となっていてもよい。
第2実施形態に係る駐車支援装置10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用効果について説明する。駐車支援ECU18Aの処理としては、上述したように駐車支援制御の実施中にパーキングブレーキが作動される場合と、パーキングブレーキの作動状態で駐車支援制御(特に誘導制御)を実施する場合とが挙げられる。よって、先ず図6Aを参照して、駐車支援制御の実施中にパーキングブレーキが作動される場合について述べていく。
駐車支援ECU18Aは、起動状態で、パーキングブレーキの作動信号Sを受信し、その作動信号Sに基づきPB判別部80において所定の処理を行うように動作する。この駐車支援ECU18Aは、図6Aに示す時点t1において、ユーザによる駐車支援開始ボタン76の操作に基づき駐車支援制御(駐車設定制御及び誘導制御)を開始する。なお、図6Aでは、説明の便宜のため、概略的に駐車支援制御の非実施状態を0とし、駐車支援制御の実施状態を1としている。
PB判別部80の時間比較処理部82は、駐車支援ECU18Aの起動状態で、PBシステム32からの作動信号Sを定常的に監視し、パーキングブレーキが作動したか否かを判別する。そして、図6Aに示す時点t2において、パーキングブレーキの作動信号Sがオンとなったことを検出すると、待機時間設定部86が設定した待機時間Tをセットする(図6A中の太線参照)。なお、勾配に基づき待機時間Tを変更する構成の場合は、待機時間設定部86は、駐車支援ECU18Aの起動状態で傾斜センサ88により勾配を定期的に検出し、勾配に応じた待機時間Tを定期的に算出しておくとよい。
また、時間比較処理部82は、パーキングブレーキの作動信号Sのオンに基づきタイマー部84を動作させ、時点t2から経過時間を計測する。さらに、時間比較処理部82は、経過時間の計測の際に、作動信号Sの状態を確認してパーキングブレーキが解除されたか否かを判別する。
図6Aの左側に示す時点t3において、パーキングブレーキの作動信号Sがオフとなった場合、時間比較処理部82は、待機時間Tの終了時点t4よりも短いことを判別する。そうすると、時間比較処理部82は、駐車支援開始処理部70や誘導制御部72が駐車支援制御の中止/停止処理を行わないように動作し、待機時間Tのリセット、タイマー部84の時間計測の中止等の処理を行う。すなわち、パーキングブレーキの作動状態がPB判別部80により破棄されることになり、駐車支援開始処理部70や誘導制御部72は、駐車支援制御をそのまま良好に継続することができる。
一方、図6Aの右側に示すようにパーキングブレーキの作動信号Sがオフに切り替わることなく、待機時間Tの終了時点t4を経過した場合、時間比較処理部82は、パーキングブレーキの作動を判別(確定)する。そして、時間比較処理部82は、駐車支援開始処理部70や誘導制御部72に対して駐車支援制御の中止/停止処理を行うように指示する。これにより駐車支援開始処理部70や誘導制御部72は、パーキングブレーキの作動に基づき、駐車支援制御を中止又は停止することができる。
次に、図6Bを参照して、パーキングブレーキの作動状態で駐車支援制御(誘導制御)を実施する場合について述べていく。PB判別部80は、上述したように駐車支援ECU18Aの起動状態で、PBシステム32からの作動信号Sを定常的に監視する。そして、図6Bに示す時点t11において、パーキングブレーキの作動信号Sに基づき、パーキングブレーキが作動していることを判別する。
その後、PB判別部80は、駐車支援開始処理部70や誘導制御部72の動作を監視し、図6Bに示す時点t12において、駐車設定制御や誘導制御の実施(オン)を検出する。なお、図6Bでは、説明の便宜のため、概略的に誘導制御の非実施状態を0とし、誘導制御の実施状態を1としている。
時間比較処理部82は、誘導制御の実施に伴い待機時間設定部86が設定した待機時間Tをセットする(図6B中の太線参照)。これと同時に、時間比較処理部82は、タイマー部84を動作させ、時点t12からの経過時間を計測する。そして、時間比較処理部82は、経過時間の計測の際に、作動信号Sの状態を確認してパーキングブレーキが解除されたか否かを判別する。
図6Bの左側に示す時点t13において、パーキングブレーキの作動信号Sがオフとなった場合、時間比較処理部82は、待機時間Tの終了時点t14よりも短いことを判別する。そうすると、時間比較処理部82は、誘導制御部72に対して誘導制御の中止/停止処理の指示を行わないように動作し、待機時間Tのリセット、タイマー部84の時間計測の中止等の処理を行う。すなわち、パーキングブレーキの作動状態がPB判別部80により破棄されることになり、誘導制御部72は、誘導制御をそのまま良好に継続することができる。これにより、駐車支援制御時の一時停車における坂道発進を簡単に行うことができる。
一方、図6Bの右側に示すようにパーキングブレーキの作動信号Sがオフに切り替わることなく、待機時間Tの終了時点t14を経過した場合、時間比較処理部82は、パーキングブレーキの作動を判別(確定)する。そして、時間比較処理部82は、誘導制御部72に対して誘導制御の中止/停止処理を行うように指示する。これにより誘導制御部72は、パーキングブレーキの作動状態において誘導制御を中止又は停止することができる。
なお、駐車支援ECU18Aは、パーキングブレーキの作動中に、車輪センサ36による車輪の回転速度と、車速センサ38による車速Vとの検出に基づき車輪の引きずりを判別した場合には、駐車支援制御(誘導支援制御)の中止/停止処理を直ぐに行ってもよい。また、駐車設定制御の実施前にパーキングブレーキの作動を判別した場合は、駐車設定制御の設定にかかる時間を加味した待機時間Tを設定し、待機時間Tの間に駐車設定制御を行い誘導制御に移行させるとよい。これにより、誘導制御の移行後に図6Bに示す動作を同様に実施することができる。勿論、駐車設定制御の実施前にパーキングブレーキの作動を判別した場合は、駐車支援制御を実施しないように処理してもよい。
以上のように、第2実施形態に係る駐車支援装置10Aによれば、駐車支援ECU18Aが経過時間と待機時間Tの判別を行うことで、駐車支援装置10Aは、パーキングブレーキの作動に伴い直ぐに駐車支援制御を中止又は停止させることがなくなる。これにより、例えば勾配が存在する箇所に停車してパーキングブレーキを作動させたとしても、駐車支援制御を継続することができる。すなわち、駐車支援装置10Aは、駐車支援制御において様々な状況に応じてパーキングブレーキの作動を時間的に許容することで、汎用性の高い制御を行うことが可能となる。
また、駐車支援装置10Aは、傾斜センサ88を備えることで、駐車支援制御において、勾配の大きさによりパーキングブレーキを適当な時間作動させることができるので、一層汎用性の高い制御を行うことができる。さらに、駐車支援装置10Aでも、PBシステム32のヒルスタート機能と連動させることができる。例えば、上述した待機時間Tを、ヒルスタート機能における停車状態の保持時間以上の長さに設定することで、車両12の坂道発進時にヒルスタートを行い、このヒルスタートと共に誘導制御を再開させることが可能となる。
なお、第2実施形態に係る駐車支援装置10Aも、上述した構成に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例をとり得る。例えば、AT車でも勾配の大きい箇所では、パーキングブレーキを作動させることがあるため、上述した駐車支援装置10AをAT車に適用してもよい。
また、駐車支援装置10、10Aは、例えば、目標停止位置に移動する観点からすれば、車両12、12A以外の移動体(例えば、船舶)に用いることも可能である。また、駐車支援制御においてユーザが指示や確認等する装置は、ナビゲーション装置28でなく、種々の表示手段(液晶ディスプレイ)や入力手段(専用ボタン、音声入力装置等)を用いることができる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。