JP5833311B2 - 有用物質の製造法 - Google Patents

有用物質の製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP5833311B2
JP5833311B2 JP2010526727A JP2010526727A JP5833311B2 JP 5833311 B2 JP5833311 B2 JP 5833311B2 JP 2010526727 A JP2010526727 A JP 2010526727A JP 2010526727 A JP2010526727 A JP 2010526727A JP 5833311 B2 JP5833311 B2 JP 5833311B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pts
dna
strain
seq
production method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010526727A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2010024267A1 (ja
Inventor
正人 池田
正人 池田
誠記 竹野
誠記 竹野
裕太 水野
裕太 水野
敏 三橋
敏 三橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYOUWA HAKKO BIO CO.,LTD
Shinshu University NUC
Original Assignee
KYOUWA HAKKO BIO CO.,LTD
Shinshu University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KYOUWA HAKKO BIO CO.,LTD, Shinshu University NUC filed Critical KYOUWA HAKKO BIO CO.,LTD
Priority to JP2010526727A priority Critical patent/JP5833311B2/ja
Publication of JPWO2010024267A1 publication Critical patent/JPWO2010024267A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5833311B2 publication Critical patent/JP5833311B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P13/00Preparation of nitrogen-containing organic compounds
    • C12P13/04Alpha- or beta- amino acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • C07K14/34Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Corynebacterium (G)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/20Bacteria; Culture media therefor
    • C12N1/205Bacterial isolates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P13/00Preparation of nitrogen-containing organic compounds
    • C12P13/04Alpha- or beta- amino acids
    • C12P13/08Lysine; Diaminopimelic acid; Threonine; Valine
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12RINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES C12C - C12Q, RELATING TO MICROORGANISMS
    • C12R2001/00Microorganisms ; Processes using microorganisms
    • C12R2001/01Bacteria or Actinomycetales ; using bacteria or Actinomycetales
    • C12R2001/15Corynebacterium

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、有用物質の製造法に関する。
ホスホトランスフェラーゼ・システム(Phosphotransferase System、以下PTSともいう)は、多くの細菌で見られる糖の取り込みとリン酸化に関与するシステムである。ホスホエノールピルビン酸をリン酸ドナーとし、EIタンパク質、HPrタンパク質およびEIIタンパク質の3つのコンポーネントがリン酸をリレーしてある種の糖をリン酸化しつつ細胞内に取り込む。PTSにより取り込まれる糖はPTS糖と呼ばれる。PTSが欠損すると、該PTS糖を単一の炭素源とする最少培地では生育できなくなることが知られている(非特許文献1参照)。
PTSを介さずにパーミアーゼで細胞内に取り込まれ、次いでキナーゼによってリン酸化を受ける糖、いわゆる非PTS糖もあるが、微生物を用いる発酵生産に一般に用いられるグルコースは、多くの微生物においてPTS糖に分類される。したがって、PTSを欠損したコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacteriumglutamicum)等のコリネバクテリウム属に属する微生物や大腸菌〔エシェリシア・コリ(Escherichia coli)〕等をグルコースを炭素源とする発酵生産に用いると、グルコースを利用できないため生育が悪く、そのため生産性も悪い。
大腸菌においては、ガラクトースパーミアーゼ遺伝子の変異により、グルコース培地で再び生育できるようになる菌株(非特許文献2参照)等、PTS以外のPTS糖の取り込みシステムを有する菌株が報告されているが、コリネ型細菌に属する微生物においては、このようなシステムは知られていない。
コリネバクテリウム・グルタミカムの染色体DNA上のORFのうちで、Cgl0181 (NCgl0178)およびCgl3058 (NCgl2953)はともに、ミオイノシトールの輸送に関わる蛋白質をコードしていることが報告されている(非特許文献3)。しかしこれらの蛋白質をコードする遺伝子の発現が強化された微生物のグルコース取り込み能がどうなっているか、当該蛋白質の発現強化が微生物の有用物質生産能に与える効果については知られていない。
Biochem. Biophys. Res. Commun., 289, 1307(2001) Nat. Biotechnol., 14, 620(1996) J. Bacteriol., 188, 8054 (2006)
本発明の目的は、効率のよい有用物質の製造法を提供することにある。
本発明は以下の(1)〜(9)に関する。
(1)ホスホトランスフェラーゼ・システム(以下、PTSと略す)を介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力が強化され、かつ有用物質を生産する能力を有するコリネ型細菌に属する微生物を培地に培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
(2)PTSを介して細胞内に取り込まれる糖がグルコース、フラクトースおよびスクロースから選ばれる糖である、(1)記載の製造法。
(3)コリネ型細菌に属する微生物が、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属およびミクロバクテリウム(Microbacterium)属からなる群より選ばれる属に属する微生物である、(1)または(2)記載の製造法。
(4)コリネ型細菌に属する微生物が、コリネバクテリウム属に属する微生物である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造法。
(5)コリネ型細菌に属する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に属する微生物である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造法。
(6)微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum) SupH(FERM BP-10998)株である、(1)記載の製造法。
(7)培養を35〜38℃で行うことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の製造法。
(8)有用物質がアミノ酸である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の製造法。
(9)PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力が強化され、かつ有用物質を生産する能力を有するコリネ型細菌に属する微生物が、[1]〜[5]のいずれかに記載の蛋白質の生成能が強化された微生物である、(1)記載の製造法。
[1]配列番号12または14で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2]配列番号12または14で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列からなり、かつミオイノシトール輸送活性を有する蛋白質
[3]配列番号13または15で表される塩基配列にコードされる蛋白質
[4]配列番号13または15で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつミオイノシトール輸送活性を有する蛋白質
[5]配列番号13または15で表される塩基配列と80%以上の相同性ないし同一性を有する塩基配列からなるDNAにコードされ、かつミオイノシトール輸送活性を有する蛋白質。
本発明により、効率のよい有用物質の製造法を提供することができる。
図1はptsH遺伝子破壊用DNA断片の構築の模式図とプライマーが結合するおおよその位置を示す図である。 図2は、グルコース培地における、SupH株およびATCC31833株の生育を示す図である。黒四角はSupH株を示し、白抜きの三角はATCC31833株を示す。
本発明の製造法で用いられる微生物は、PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力を有し、かつ有用物質を生産する能力を有していれば、コリネ型細菌に属するいずれの微生物であってもよい。
コリネ型細菌としては、Bergeys Manual of Determinative Bacteriology, 8, 599 (1974)に定義される、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、またはミクロバクテリウム(Microbacterium)属に属する微生物があげられる。
具体的には、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム(Corynebacterium acetoacidophilum)、コリネバクテリウム・アセトグルタミカム(Corynebacteriumacetoglutamicum)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacteriumglutamicum)、コリネバクテリウム・ハーキュリス(Corynebacterium herculis)、コリネバクテリウム・リリウム(Corynebacteriumlilium)、コリネバクテリウム・メラセコラ(Corynebacterium melassecola)、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(Corynebacteriumthermoaminogenes)、ブレビバクテリウム・サッカロリティカム(Brevibacterium saccharolyticum)、ブレビバクテリウム・イマリオフィラム(Brevibacteriumimmariophilum)、ブレビバクテリウム・ローゼウム(Brevibacterium roseum)、ブレビバクテリウム・チオゲニタリス(Brevibacteriumthiogenitalis)、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム(Microbacterium ammoniaphilum)等をあげることができる。
PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖としては、グルコース、フラクトース、スクロース等があげられる。
有用物質としては、コリネ型細菌に属する微生物が生産することができる工業上有用とされている物質であればいずれでもよく、アミノ酸、核酸、ビタミン、各種酵素等のタンパク質、グルタチオン等のペプチド、キシロース等の糖、キシリトール等の糖アルコール、エタノール等のアルコール、乳酸、コハク酸等の有機酸および脂質等をあげることができ、好ましくはアミノ酸、核酸およびビタミン、特に好ましくはアミノ酸があげられる。
アミノ酸としては、L−アラニン、グリシン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−リジン、L−メチオニン、L−スレオニン、L−ロイシン、L−バリン、L−イソロイシン、L−プロリン、L−ヒスチジン、L−アルギニン、L−チロシン、L−トリプトファン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−システイン、L−3−ヒドロキシプロリン、L−4−ヒドロキシプロリン等があげられ、核酸としては、イノシン、グアノシン、イノシン酸、グアニル酸等があげられ、ビタミンとしては、リボフラビン、チアミン、アスコルビン酸等があげられる。
本発明の製造法で用いられる微生物は、PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力を有することから、PTSが機能しない状態、例えばPTSの機能を阻害した場合においても、PTS糖を単一の炭素源とする最少培地、たとえば、MM寒天培地(PTS糖10g、硫酸マグネシウム7水和物0.4g、塩化アンモニウム 4g、尿素2g、リン酸一水素カリウム 3g、リン酸二水素カリウム 1g、硫酸鉄7水和物10 mg、硫酸マンガン5水和物1 mg、ニコチン酸 5 mg、ビオチン 0.1 mg、チアミン塩酸塩 5 mg、およびバクトアガー20gを水1リットルに含み、pH 7.2に調整した培地)で30〜39℃で生育が可能である。なお、本発明の微生物のPTSが、既に機能していない場合は、あえてPTSの機能を阻害する必要はない。
微生物のPTSが機能しているか否かを調べる方法としては、生育阻害を示すPTS糖のアナログを用いる方法があげられる。たとえば、リボース等の非PTS糖を炭素源とし、PTS糖のアナログを含有する最少培地における30〜37℃での該微生物の生育を観察し、生育阻害が認められる場合は、PTSが機能していると判断し、逆に生育阻害が認められない場合は、PTSが機能していないと判断することができる。生育阻害の有無は、該微生物の、栄養寒天培地〔たとえば、BY寒天培地(肉エキス7g、ペプトン10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス5gおよびバクトアガー15gを水1Lに含み、pH7.2に調整した培地)〕における同温度での生育と比較することにより判断できる。
PTS糖のアナログとしては、例えば、グルコースのアナログである、2−デオキシグルコースがあげられる。最少培地中のPTS糖アナログの濃度は、野生型株の栄養寒天培地での生育が阻害される濃度を指標として適宜決めればよい。例えば、2−デオキシグルコースでは1mg/mlが好ましい。
PTSの機能を阻害する方法としては、例えば、突然変異処理法、組換えDNA技術を用いて人為的にPTSを欠損させる方法があげられるが、組換えDNA技術を用いる方法が好ましく用いられる。
組換えDNA技術を用いる方法としては、例えば、コリネ型細菌の染色体上のPTSをコードするDNAまたはその転写・翻訳調節領域中に1以上の塩基の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を導入する方法があげられる。
PTSは、すべてのPTS糖の取り込みに共通して関与するEIタンパク質とHPrタンパク質、および個々のPTS糖に固有のEIIタンパク質の計3つのコンポーネントからなる。したがって、好ましくは共通コンポーネントであるEIタンパク質またはHPrタンパク質をコードする遺伝子またはその転写・翻訳調節領域中に1以上の塩基の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を導入することにより、PTSの機能を喪失させることができる。
PTSをコードするDNAまたはその転写・翻訳調節領域中に1以上の塩基の置換、欠失、挿入、付加、または逆位を生じさせる方法としては、例えばMolecular cloning: a laboratory manual, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488(1985) 等に記載の部位特異的変異導入法をあげることができる。
例えばEIタンパク質またはHPrタンパク質をコードする遺伝子のコーディング領域が削除されたDNAを、宿主細胞中では自律複製できず、かつ抗生物質に対する耐性マーカー遺伝子および枯草菌のレバンシュクラーゼ遺伝子sacB[Mol. Microbiol., 6, 1195 (1992)]を有するプラスミドに組み込み、目的の微生物に導入する。該組換え体プラスミドは宿主細胞中で自律複製できないので、該組換え体プラスミド上に存在する抗生物質に対する耐性を指標として選択することにより、該組換え体プラスミドがCampbellタイプの相同組換えにより染色体に組み込まれた形質転換株を取得することができる。つぎに、該遺伝子のコーディング領域が削除されたDNAと共に染色体上に組み込まれる枯草菌レバンシュクラーゼが自殺基質を生産することを利用した選択[J. Bacteriol., 174, 5462 (1992)]を行うことによって、宿主染色体上の正常なEIタンパク質またはHPrタンパク質をコードする遺伝子が欠失型のものに置換された株を取得することができる。
組換えDNA技術を用いる方法としては、上記遺伝子置換法以外にも、細胞融合、形質導入等を用いることもできる。
PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力が強化され得る本発明の蛋白質としては、例えば以下の蛋白質があげられる。
[1]配列番号12または14で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2]配列番号12または14で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列からなり、かつミオイノシトール輸送活性を有する蛋白質
[3]配列番号13または15で表される塩基配列にコードされる蛋白質
[4]配列番号13または15で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつミオイノシトール輸送活性を有する蛋白質
[5]配列番号13または15で表される塩基配列と80%以上の相同性ないし同一性を有する塩基配列からなるDNAにコードされ、かつミオイノシトール輸送活性を有する蛋白質。
なお、配列番号13および15記載の塩基配列を有するDNAは、DDBJ/GenBank/EMBLに、それぞれ、Cgl0181 (NCgl0178)およびCgl3058 (NCgl2953)として登録されているDNAであり、Cgl0181 (NCgl0178)とCgl3058 (NCgl2953)は、ミオイノシトール輸送活性を有する配列番号12,14に記載の蛋白質をそれぞれコードしている。
上記において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力が強化される活性を有する蛋白質は、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)(以下、モレキュラー・クローニング第2版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、例えば配列番号12または14で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA(例えば、配列番号13または15で表される塩基配列を有するDNA)に部位特異的変異を導入することにより、取得することができる。
欠失、置換または付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、置換または付加できる程度の数であり、1個から数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
配列番号12または14で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1または複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されていてもよい。
アミノ酸の欠失または付加が可能なアミノ酸の位置としては、例えば配列番号12または14で表されるアミノ酸配列のN末端側およびC末端側の1〜数個のアミノ酸をあげることができる。
欠失、置換または付加は同時に生じてもよく、置換または付加されるアミノ酸は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−アルギニン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−システインなどがあげられる。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
また、本発明の蛋白質が、PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力が強化される活性を有するためには、配列番号12または14で表されるアミノ酸配列との相同性ないし同一性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性ないし同一性を有していることが望ましい。
アミノ酸配列や塩基配列の相同性ないし同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。gapped alignmentを得るために、Altschulら(1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)に記載されるようにGapped BLASTを利用することができる。あるいは、PSI-BlastまたはPHI-Blastを用いて、分子間の位置関係(Id.)および共通パターンを共有する分子間の関係を検出する繰返し検索を行うことができる。BLAST、Gapped BLAST、PSI-Blast、およびPHI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照されたい。
配列番号12または14で表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性ないし同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、有用物質を生産する能力を有するコリネ型細菌において、PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力が強化される蛋白質もまた本発明の蛋白質である。
本明細書において、「ハイブリダイズする」とは、特定の条件下で特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部にDNAがハイブリダイズすることをいう。したがって、該特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部の塩基配列は、ノーザンまたはサザンブロット解析のプローブとして有用であるか、またはPCR解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できる長さのDNAであってもよい。プローブとして用いるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAをあげることができるが、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAであってもよい。
DNAのハイブリダイゼーション実験の方法はよく知られており、例えばモレキュラー・クローニング第2版、第3版(2001年)、Methods for General and Molecular Bacteriolgy, ASM Press(1994)、Immunology methods manual, Academic press(Molecular)に記載の他、多数の他の標準的な教科書に従ってハイブリダイゼーションの条件を決定し、実験を行うことができる。
上記のストリンジェントな条件とは、例えばDNAを固定化したフィルターとプローブDNAとを50%ホルムアミド、5×SSC(750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、および20μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩、インキュベートした後、例えば約65℃の0.2×SSC溶液中で該フィルターを洗浄する条件をあげることができるが、より低いストリンジェント条件を用いることもできる。ストリンジェントな条件の変更は、ホルムアミドの濃度調整(ホルムアミドの濃度を下げるほど低ストリンジェントになる)、塩濃度および温度条件の変更により可能である。低ストリンジェント条件としては、例えば6×SSCE(20×SSCEは、3mol/lの塩化ナトリウム、0.2mol/lのリン酸二水素ナトリウム、0.02mol/lのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベートした後、50℃の1×SSC、0.1%SDS溶液を用いて洗浄する条件をあげることができる。また、さらに低いストリンジェントな条件としては、上記した低ストリンジェント条件において、高塩濃度(例えば5×SSC)の溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った後、洗浄する条件をあげることができる。
上記した様々な条件は、ハイブリダイゼーション実験のバックグラウンドを抑えるために用いるブロッキング試薬を添加、または変更することにより設定することもできる。上記したブロッキング試薬の添加は、条件を適合させるために、ハイブリダイゼーション条件の変更を伴ってもよい。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えば上記したBLASTおよびFASTA等のプログラムを用いて、上記パラメーターに基づいて計算したときに、配列番号13または15で表される塩基配列と少なくとも80%、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性ないし同一性を有する塩基配列からなるDNAをあげることができる。
上記したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、或いは1以上のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列からなり、かつミオイノシトール輸送活性を有する蛋白質をコードするDNAが、コリネ型細菌の、PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力を強化する蛋白質をコードするDNAであることは、当該DNAを有するコリネ型細菌が、PTSを介して取り込まれない糖を唯一の炭素源とする培地中で増殖することで確認できる。
PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムで細胞内に取り込む能力を強化する蛋白質をコードするDNAは、例えばコリネ型細菌に属する微生物から斎藤らの方法〔Biochim. Biophys. Acta, 72, 619 (1963)〕に従い調製した染色体DNAを鋳型として、配列番号13または15で表される塩基配列に基づき設計、合成したプライマーDNAを用いてPCRにより取得することができる。
例えば、コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13032株またはATCC31833株から染色体DNAを調製し、該DNAを鋳型として、配列番号2または4で表されるそれぞれの塩基配列の5’末端および3’末端領域の配列を有するDNAをプライマーセットとして用いたPCRにより本発明のDNAを取得することができる。
取得できる具体的なDNAとしては、配列番号13で表される塩基配列を有するCgl0181 (NCgl0178)および配列番号15で表される塩基配列を有するCgl3058 (NCgl2953)等をあげることができる。
また、配列番号13または配列番号15で表される塩基配列からなるDNAの一部、または全部をプローブとしたハイブリダイゼーション法、または配列番号13または配列番号15で表される塩基配列に基づき、公知の方法で該塩基配列を有するDNAを化学合成する方法等によっても取得することができる。
また、各種の遺伝子配列データベースに対して配列番号12または14で表されるアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列と80%以上もしくは90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性ないし同一性を有する配列を検索し、該検索によって得られた塩基配列に基づき、該塩基配列を有する生物の染色体DNA、cDNAライブラリー等から上記した方法により本発明のDNA、または本発明の製造法に用いられるDNAを取得することもできる。
DNAの塩基配列は、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばジデオキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74, 5463 (1977)]、373A・DNAシークエンサー(パーキン・エルマー社製)等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより決定することができる。
塩基配列を決定した結果、取得されたDNAが部分長であった場合は、該部分長DNAをプローブに用いた、染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション法等により、全長DNAを取得することができる。
取得したDNAをそのまま、または必要に応じてコリネ型細菌の発現に最適なコドンとなるように塩基を置換したDNAを調製し、さらに必要に応じて該蛋白質をコードする部分を含む適当な長さのDNA断片とし、コリネ型細菌に適した発現ベクターのプロモーターの下流に挿入して組換え体DNAを調製する。
ベクターとしては、コリネ型細菌において自律複製可能または染色体中への組み込みが可能で、本発明のDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが好ましく用いられる。
例えば、pCG1(特開昭57-134500)、pCG2(特開昭58-35197)、pCG4(特開昭57-183799)、pCG11(特開昭57-134500)、pCG116、pCE54、pCB101(いずれも特開昭58-105999)、pCE51、pCE52、pCE53〔いずれもMolecular and General Genetics, 196, 175 (1984)〕等が好適に用いられる。
ベクターに本発明のDNAを組み込んで得られる組換え体DNAは、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明のDNA、転写終結配列、より構成されることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
プロモーターとしては、宿主細胞(コリネ型細菌)中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(P trp )、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーターをあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp×2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターやコリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物中で発現させるためのP54-6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674-679 (2000)]のように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間は適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節されていることが好ましい。転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列が配置されていることが好ましい。
得られた組換え体DNAを宿主となるコリネ型細菌に導入する。
組換え体DNAの導入方法としては、コリネ型細菌へDNAを導入できる方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等をあげることができる。
PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力を強化する活性を有する蛋白質をコードするDNAは、コリネ型細菌の染色体に組み込んでもよく、プラスミドとしてコリネ型細菌に導入して形質転換体としてもよい。また、PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力を強化する活性を有する蛋白質をコードするDNAは、コリネ型細菌由来のDNAが好ましく使用される。
本発明の微生物は、たとえば、コリネ型細菌に属する微生物に、N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン等の突然変異誘発剤処理(微生物実験マニュアル、1986年、131頁、講談社サイエンティフィック社)、紫外線照射処理等の突然変異処理を行って得られた菌株の中から、PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力を有するようになった菌株を選択して取得することができる。
例えば、突然変異処理を行って得られた菌株のPTSの機能を、上記方法に準じて阻害した後、PTS糖を単一の炭素源とする最少培地で、30〜39℃で、好ましくは35〜39℃で、さらに好ましくは37〜39℃で生育可能である菌株を選択する方法があげられる。
コリネ型細菌に属する微生物として、あらかじめ上記方法に準じて得られるPTSの機能を喪失している株の中から、自然突然変異によって10-5〜10-6の頻度で、PTSとは異なるシステムを介してPTS糖を細胞内に取り込むことのできる菌株を取得することもできる。
本発明の微生物における有用物質を生産する能力は、1種以上の有用物質を生産する能力であればよく、育種の過程において、必要に応じて公知の方法により所望の有用物質を生産する能力を人為的に付与または増強してもよい。
当該公知の方法としては、
(a)有用物質の生合成を制御する機構の少なくとも1つを緩和または解除する方法、
(b)有用物質の生合成に関与する酵素の少なくとも1つを発現強化する方法、
(c)有用物質の生合成に関与する酵素遺伝子の少なくとも1つのコピー数を増加させる方法、
(d)有用物質の生合成経路から該有用物質以外の代謝産物へ分岐する代謝経路の少なくとも1つを弱化または遮断する方法、および
(e)野生型株に比べ、有用物質のアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択する方法、
などをあげることができ、上記公知の方法は単独または組み合わせて用いることができる。
上記(a)〜(e)の具体的な方法は、例えば有用物質がアミノ酸である場合については、上記(a)の方法に関してはAgric. Biol. Chem., 43, 105-111(1979)、J. Bacteriol., 110, 761-763(1972)およびAppl. Microbiol. Biotechnol., 39, 318-323(1993)などに記載されている。上記(b)の方法に関しては、Agric. Biol. Chem., 43, 105-111(1979)およびJ. Bacteriol., 110, 761-763(1972)などに記載されている。上記(c)の方法に関しては、Appl. Microbiol. Biotechnol., 39, 318-323(1993)およびAgric. Biol. Chem., 39, 371-377(1987)などに記載されている。上記(d)の方法に関しては、Appl. Environ. Micribiol., 38, 181-190(1979)およびAgric. Biol. Chem., 42, 1773-1778(1978)などに記載されている。上記(e)の方法に関しては、Agric. Biol. Chem., 36, 1675-1684(1972)、Agric. Biol. Chem., 41, 109-116(1977)、Agric. Biol. Chem., 37, 2013-2023(1973)およびAgric. Biol. Chem., 51, 2089-2094(1987)などに記載されている。上記文献等を参考に各種アミノ酸を生成、蓄積する能力を有する微生物を調製することができる。
さらに上記(a)〜(e)のいずれかまたは組み合わせた方法によるアミノ酸を生成、蓄積する能力を有する微生物の調製方法については、Biotechnology 2nd ed., Vol.6, Products of Primary Metabolism (VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim, 1996) section 14a, 14bやAdvances in Biochemical Engineering/ Biotechnology 79, 1-35 (2003)、アミノ酸発酵、学会出版センター、相田 浩ら(1986)に多くの例が記載されている。また、上記以外にも具体的なアミノ酸を生成、蓄積する能力を有する微生物の調製方法は、特開2003-164297、Agric. Biol. Chem., 39, 153-160 (1975)、Agric. Biol. Chem., 39, 1149-1153(1975)、特開昭58-13599、J. Gen. Appl. Microbiol., 4, 272-283(1958)、特開昭63-94985、Agric. Biol. Chem., 37, 2013-2023(1973)、WO97/15673、特開昭56-18596、特開昭56-144092および特表2003-511086など数多くの報告があり、上記文献等を参照することにより1種以上のアミノ酸を生産する能力を有する微生物を調製することができる。
アミノ酸以外の有用物質を生産する能力を微生物に付与する方法もまた、多くの報告があり、従来知られているすべての方法は、本発明の製造法に用いられる微生物の調製に用いることができる。
PTSを介して細胞内に取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力が強化された微生物を用いる有用物質の生産は、微生物を用いる通常の有用物質の生産に準じて行うことができる。
たとえば、該微生物を培地に培養し、培養物中に生成蓄積した有用物質を採取することにより、有用物質を効率よく生産することができる。
培地としては、炭素源、窒素源、無機塩類などを適量含有する培地であれば合成培地または天然培地のいずれも使用できる。
炭素源としては、該微生物が資化できるものであればよいが、PTSを介さずに細胞内に取り込まれるようになったPTS糖が好ましい。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの各種無機および有機アンモニウム塩類、尿素、その他窒素含有化合物、ならびに肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、大豆加水分解物等の窒素含有有機物等があげられる。
無機塩としては、リン酸第一水素カリウム、リン酸第二水素カリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム等があげられる。
その他、必要に応じて、ビオチン、チアミン、ニコチンアミド、ニコチン酸等の微量栄養源を加えてもよい。これら微量栄養源は、肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、カザミノ酸等で代用することもできる。
培養は、振とう培養、深部通気撹拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は一般に20〜42℃が好適であり、さらに好ましくは30〜39℃である。培地のpHは5〜9の範囲で、中性付近に維持することが好ましい。培地のpHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア、pH緩衝液などを用いて行う。
培養期間は通常1〜6日間であり、培養液中にL-アミノ酸等の目的とする有用物質を生成蓄積させることができる。培養終了後、菌体などの沈殿物を除去して得られた培養液より、活性炭処理、イオン交換樹脂処理などの公知の方法を併用することにより目的とする有用物質を回収することができる。
本発明の微生物は、たとえば37〜39℃という、通常のコリネ型細菌では生育速度が低下するような高温であっても生育が良好であるため、有用物質の生産のための培養において高温で培養することが可能となり、夏季における冷却コストを低減できるだけでなく、雑菌汚染の可能性も低減することができる。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)ptsH遺伝子破壊用DNA断片の構築
日本DNAデータバンクDDBJから入手したコリネバクテリウム・グルタミカム野生株ATCC13032のゲノム情報(http://gib.genes.nig.ac.jp/single/index.php?spid=Cglu_ATCC13032)をもとに、HPrタンパク質をコードする遺伝子であるptsH[遺伝子番号:Cgl1937 (NCgl1862)]の上流域を増幅するためのプライマーを2種(ptsHup800F(配列番号1)とptsHFusR(配列番号2))、ならびに、ptsHの下流域を増幅するためのプライマーを2種(ptsHdown800R(配列番号3)とptsHFusF(配列番号4))、デザインした。
その際、1回目のPCRで増幅した上流域断片と下流域断片を連結する2回目のPCR (fusion PCR)を行うために、上流域増幅用の3’プライマー(ptsHFusR;配列番号2)の5’側に下流域増幅用の5’プライマー(ptsHFusF;配列番号4)の3’側約25塩基の相補的な配列を、ptsHFusFの5’側にptsHFusRの3’側約25塩基の相補的な配列を付加した。さらに上流域増幅用の5’プライマー(ptsHup800F)と下流域増幅用の3’プライマー(ptsHdown800R)の5’側に制限酵素FbaIサイトとその足場となる塩基を付加した。図1に、ptsH遺伝子破壊用DNA断片の構築の模式図とプライマーが結合するおおよその位置を示した。また、配列番号1〜4に、上記4種のプライマー、ptsHup800F、ptsHFusR、ptsHdown800RおよびptsHFusFの塩基配列を示した。
コリネバクテリウム・グルタミカムの野生型株であるコリネバクテリウム・グルタミカムATCC31833株(以下、ATCC31833株という)の染色体DNAを斎藤らの方法[Biochim. Biophys. Acta 72, 619 (1963)]に従って調製した。
該染色体DNAを鋳型として用い、ptsH の上流域および下流域を増幅させる1回目のPCRを行い、上流域の約0.83kbのDNA断片および下流域の約0.82kbのDNA断片を得た。次いで、これらの上流域断片と下流域断片を連結する2回目のPCRを行い、約1.65kbのDNA断片を、ptsH遺伝子破壊用DNA断片として得た(図1)。
(2)ptsH破壊用プラスミドの構築
カナマイシン耐性遺伝子を有するEscherichia coliのベクターpHSG299 [Gene, 61, 63,(1987)]のPstI切断部位に、Bucillus subtilisのレバンシュクラーゼ遺伝子sacBを含む2.6kbのPstI DNA断片[Mol. Microbiol., 6, 1195 (1992)]を連結したプラスミドpESB30および上記で取得したptsH遺伝子破壊用DNA断片を、それぞれ制限酵素FbaIおよびBamHIで切断後、ライゲーションキットver1(宝酒造社製)を用い、リガーゼ反応を行った。該反応産物を用い、常法[Molecular cloning: a laboratory manual, 3rd ed.,2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press]に従ってEscherichia coliDH5α[東洋紡社製]を形質転換した。
得られた菌株を、20μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地[バクトトリプトン(ディフコ社製)10g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、塩化ナトリウム 10g、バクトアガー(ディフコ社製)16gを水1Lに含み、pH7.0に調整された培地]上で培養し、形質転換株を選択した。
該形質転換株を20μg/mlのカナマイシンを含むLB培地(寒天を含まない以外はLB寒天培地と同じ組成の培地)に植菌して終夜培養し、得られた培養液からアルカリSDS法[Molecular cloning: a laboratory manual, 3rd ed,2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press]によりプラスミドを調製した。塩基配列解析により、該プラスミドは、pESB30に約1.65kbのptsH遺伝子破壊用DNA断片が挿入された構造を有するプラスミドであることを確認した。このプラスミドをpCΔptsHと命名した。
(3)コリネバクテリウム・グルタミカムのptsH破壊株の造成
レストらの方法[Appl. Microbiol. Biotech., 52, 541 (1999)]に従って電気穿孔法にてATCC31833株にpCΔptsHを導入し、カナマイシン耐性株を選択した。該カナマイシン耐性株の1株から得た染色体の構造をサザンハイブリダイゼーション[Molecular cloning: a laboratory manual, 3rd ed.,2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press]により調べたところ、pCΔptsHがCampbellタイプの相同組換えにより染色体に組み込まれていることが確認された。
該形質転換株(一回組換え体)をSuc寒天培地〔スクロース100g、肉エキス7g、ペプトン10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、バクトアガー(ディフコ社製)15gを水1Lに含み、pH7.2に調整した培地〕上に塗布し、30℃で1日間培養して生育するコロニーを選択した。sacB遺伝子が存在する株は、スクロースを自殺基質に転換するので、この培地では生育できない[J. Bacteriol., 174, 5462 (1991)]。これに対し、染色体上に近接して存在する野生型と欠失型のptsH遺伝子間での2回目の相同組み換えによりsacB遺伝子が欠失した株では、自殺基質はできずこの培地で生育することができる。この相同組み換えの際には、野生型遺伝子もしくは欠失型遺伝子のいずれかが、sacBとともに脱落する。このとき野生型遺伝子がsacBとともに脱落した株では、欠失型遺伝子への遺伝子置換が起こったことになる。
このようにして得られた2回組換え体の染色体DNAを、斎藤らの方法[Biochim. Biophys. Acta 72, 619 (1963)]により調製し、PCR増幅したptsH遺伝子領域の塩基配列を常法により決定した。その結果、ΔptsH株と命名した2回組換え体のptsHは、その構造遺伝子中の216bpを欠失した目的のptsH破壊株であることがわかった。
ΔptsH株およびその親株であるATCC31833株を、それぞれグルコースを単一の炭素源として含有する最少培地であるMM寒天培地〔グルコース10g、硫酸マグネシウム7水和物0.4g、塩化アンモニウム 4g、尿素2g、リン酸一水素カリウム 3g、リン酸二水素カリウム 1g、硫酸鉄7水和物10 mg、硫酸マンガン5水和物1 mg、ニコチン酸 5 mg、ビオチン 0.1 mg、チアミン塩酸塩 5 mg、およびバクトアガー20gを水1リットルに含み、pH 7.2に調整した培地。以下、グルコース培地ともいう〕に塗布し、30℃で2日間培養したところ、ATCC31833株が良好に生育するのに対し、ΔptsH株は生育しなかった。
一方、グルコース培地のグルコースを非PTS糖であるリボースに置換した培地(以下、リボース培地ともいう)では、ΔptsH株およびATCC31833株ともに良好に生育した。結果を第1表に示す。
これらのことから、ΔptsH株はptsHが欠損した株(以下、ptsH破壊株という)であると判断した。
(4)ptsH破壊株のグルコース培地での生育が回復した株(以下、サプレッサー変異株という)の取得
ΔptsH株を、BY寒天培地(肉エキス 7g、ペプトン 10g、塩化ナトリウム 3g、酵母エキス 5g、バクトアガー 15gを水1Lに含み、pH7.2に調整した培地)に塗布し、30℃で18時間培養した。
該培地上に生育した菌体を生理食塩水に菌体濃度が108/mlになるように懸濁し、該懸濁液をMM寒天培地に塗布して30℃で6日間培養した。その結果、約10-5の頻度でMM寒天培地上にコロニーが出現した。これらのコロニーを、ΔptsH株およびATCC31833株を対照として、MM寒天培地に塗布し30℃で2日間培養したところ、ΔptsH株が該MM寒天培地上で生育できないのに対し、取得したコロニーはいずれもMM寒天培地とほぼ同等に生育した。
このようにして得たサプレッサー変異株のうちの1株を分離してSupH株を得た。コリネバクテリウム・グルタミカムSupH株は、ブダペスト条約に基づいて2008年8月22日付けで、FERM BP-10998として独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6 郵便番号305-8566)に寄託されている。
ATCC31833株、ΔptsH株およびSupH株を、それぞれグルコース培地、およびリボース培地に塗布し、30℃で2日間培養した場合の各菌株の生育を第1表に示す。
また、上記(3)におけるグルコース培地、リボース培地、およびリボース培地に1mg/mlとなるように、グルコースのアナログである2−デオキシグルコースを添加した培地に、ATCC31833株、ΔptsH株およびSupH株をそれぞれ塗布し、30℃で2日間培養して生育を調べた。結果を第1表にあわせて示す。
Figure 0005833311
第1表に示すとおり、野生型株は1mg/mlの2−デオキシグルコース存在下で生育できなかったが、ΔptsH株およびSupH株は生育できた。これらのことから、SupH株はPTS以外のシステムを介してグルコースが取り込まれるようになった菌株であると判断した。
(5)グルコース培地でのSupH株の生育
SupH株およびATCC31833株をBY寒天培地に塗布し、30℃で18時間培養し、生育した菌体を、BY培地(寒天を含まない以外はBY寒天培地と同じ組成の培地) 5mlの入った太型試験管に植菌した。30℃で12時間培養し、得られた培養液0.05mLを、MM培地(寒天を含まない以外はMM寒天培地と同じ組成の培地)5mlの入ったL字型試験管にそれぞれ2本ずつ植菌して1本は30℃で、他方は38℃で好気培養した。OD660にて測定した生育の経過を図2に示す。
図2に示すとおり、30℃条件ではSupH株およびATCC31833株の両株とも良好に生育したが、高温条件である38℃では、ATCC31833株の生育は著しく悪化して培養途中から生育がほぼ停止したのに対し、SupH株は良好に生育した。
このように、グルコース培地での液体培養において、SupH株はATCC31833株よりも高い高温抵抗性を有していることが示された。
SupH株を用いるL-リジンの製造
実施例1で得たSupH株に特開2002-191370号公報(米国特許7332310号公報)の記載に準じて、lysC311変異を導入してSupH(lysC311)株を作製する。
BY寒天培地上で30℃、24時間培養したSupH(lysC311)株の菌体1白金耳を、種培地(グルコース 20g、肉エキス 7g、ペプトン 10g、塩化ナトリウム 3g、酵母エキス 5gを水1Lに含みpH7.2に調整後、炭酸カルシウムを10g加えた培地)5mlを含む太型試験管に植菌して30℃で15時間培養する。この種培養液 0.5mlを本培養培地(グルコース 50g、コーン・スティープ・リカー 10g、硫酸アンモニウム 45g、尿素 2g、リン酸二水素カリウム 0.5g、硫酸マグネシウム7水和物 0.5g、ビオチン 0.3mgを水 1Lに含みpH7.0に調整後、炭酸カルシウムを30g加えた培地) 5mlを含む太型試験管に接種し、30〜37℃で72時間振とう培養する。遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL-リジン塩酸塩の蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量し、L-リジンが生成していることを確認する。
SupH株を用いたL-リジン生産試験
コリネバクテリウム・グルタミカムの野生株に、lysC311変異(Thr311→Ile)を導入すると、L-リジン生産菌が得られることが公知となっている[特開2002-191370、Appl. Microbiol. Biotechnol., 58, 217 (2002)]。また、該変異の導入方法についても、該公開特許公報[特開2002-191370]に詳細に記載されている。それらの情報に従い、lysC311変異を実施例1で得たSupH株およびその親株であるATCC31833株にそれぞれ導入した。lysC311変異を有するATCC31833株およびSupH株を、それぞれ、ATCC31833(lysC311)株およびSupH(lysC311)株と命名した。
このようにして得たATCC31833 (lysC311)株およびSupH(lysC311)株のL-リジン生産試験を試験管培養により次のように行った。BY寒天培地上で30℃、24時間培養した培養菌体1白金を、種培地(グルコース 20g、肉エキス 7g、ペプトン 10g、塩化ナトリウム 3g、酵母エキス 5gを水1Lに含みpH7.2に調整後、炭酸カルシウムを10g加えた培地)5mlを含む太型試験管に植菌して30℃で13時間培養した。この種培養液 0.5mlを本培養培地(グルコース 50g、コーンスティープリカー 10g、硫酸アンモニウム 45g、尿素 2g、リン酸二水素カリウム 0.5g、硫酸マグネシウム7水和物 0.5g、ビオチン 0.3mgを水 1Lに含みpH7.0に調整後、炭酸カルシウムを30g加えた培地) 5mlを含む太型試験管に接種し、33℃で72時間振とう培養した。遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL-リジン塩酸塩の蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。結果を第2表に示す。
Figure 0005833311
第2表から明らかなように、本発明のサプレッサー変異株にlysC311変異を導入したSupH(lysC311)株では、ATCC31833株に同変異を導入したATCC31833(lysC311)株に比べ、L-リジン塩酸塩の生産量は有意に向上していた。
Cgl0181遺伝子またはCgl3058遺伝子の発現株によるL-リジン生産試験
以下のように配列番号13または15で表される塩基配列からなるDNA断片を有するプラスミドを構築した。
なお、配列番号13で表される塩基配列からなるDNAは配列番号12で表されるCgl0181 (NCgl0178)のアミノ酸配列を、配列番号15で表される塩基配列からなるDNAは配列番号14で表されるCgl3058 (NCgl2953)のアミノ酸配列をコードしている。
(1)Cgl0181およびCgl3058の発現用DNA断片の構築
配列番号5および6で表される塩基配列からなるDNA、配列番号8および9で表される塩基配列からなるDNAをそれぞれプライマーセットとして用い、ATCC31833株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅されたそれぞれ約1kb、約1.88kbのDNA断片を混合してこれを鋳型として用い、配列番号5および9で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用い、2回目のPCRを行った。これによりCgl0181発現用DNA断片(gapAプロモーターの下流にCgl0181をコードするDNAが挿入された約2.88kbのDNA断片)を取得した。
同様に配列番号5および7で表される塩基配列からなるDNA、配列番号10および11で表される塩基配列からなるDNAをそれぞれプライマーセットとして用い、ATCC31833株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。増幅されたそれぞれ約1kb、約1.68kbのDNA断片を混合してこれを鋳型として用い、2回目のPCRを行った。これによりCgl3058発現用DNA断片(gapAプロモーターの下流にCgl3058をコードするDNAが挿入された約2.68kbのDNA断片)を取得した。
(2)Cgl0181またはCgl3058の発現用DNA断片を有するプラスミドの構築
プラスミドpCS299P[Appl.Microbiol.Biotech.,63,592(2004)]および上記(1)で得たCgl0181の発現用DNA断片をそれぞれ制限酵素SalIおよびXhoIで切断後、ライゲーションキットver1(宝酒造社製)を用い、リガーゼ反応を行った。一方、pCS299Pおよび上記(1)で得たCgl3058の発現用DNAを制限酵素BamHIで切断後、同様にリガーゼ反応を行った。それぞれの反応産物を用い、常法に従ってEscherichiacoli DH5aを形質転換した。
得られた菌株を、20mg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地上で培養し、形質転換株を選択した。該形質転換株を20mg/mlのカナマイシンを含むLB培地に植菌して終夜培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりプラスミドを調製した。塩基配列解析により、該プラスミドは、pCS299Pに約2.88kbまたは約2.68kbの断片が挿入された構造を有するプラスミドであることを確認した。これらのプラスミドを、それぞれ、pPgapA-0181およびpPgapA-3058と命名した。
(3)pPgapA-0181またはpPgapA-3058を有するΔptsH株の生育特性試験
実施例1で得たΔptsH株にpPgapA-0181およびpPgapA-3058を導入して、それぞれ、ΔptsH/pPgapA-0181株およびΔptsH/pPgapA-3058株を得た。これらを、グルコース培地、リボース培地、およびリボース培地に1mg/mlになるように2−デオキシグルコースを添加した培地にそれぞれ塗布し、30℃で2日間培養して生育を調べた。結果を第3表に示す。
Figure 0005833311
第3表に示すとおり、ΔptsH株はグルコース培地で生育できないが、ΔptsH/ pPgapA-0181株およびΔptsH/ pPgapA-3058株は生育した。さらに、それら両株は、ΔptsH株と同様に、2−デオキシグルコース存在下でも生育した。以上より、ΔptsH/ pPgapA-0181株およびΔptsH/ pPgapA-3058株は、ともにPTS以外のシステムを介してグルコースを取り込む能力を有していることがわかった。
(4)pPgapA-0181またはpPgapA-3058を有するATCC31833(lysC311)株によるL-リジン生産試験
実施例3で得たL-リジン生産菌ATCC31833(lysC311)株に、pPgapA-0181およびpPgapA-3058を導入して、それぞれ、ATCC31833(lysC311)/ pPgapA-0181株およびATCC31833(lysC311)/ pPgapA-3058株を得た。これらのL-リジン生産試験を、実施例3で示した試験管培養と同様な方法によって行った。遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL-リジン塩酸塩の蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。結果を第4表に示す。
Figure 0005833311
第4表から明らかなように、pPgapA-0181またはpPgapA-3058を有するATCC31833(lysC311)株では、それらのプラスミドを有さないATCC31833(lysC311)株に比べ、L-リジン塩酸塩の生産量が有意に向上していた。
本発明により、効率のよい有用物質の製造法を提供することができる。
配列番号1−人工配列の説明:合成DNA
配列番号2−人工配列の説明:合成DNA
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA
配列番号10−人工配列の説明:合成DNA
配列番号11−人工配列の説明:合成DNA

Claims (7)

  1. ホスホトランスフェラーゼ・システム(PTS)を介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力が強化され、かつ有用物質を生産する能力を有するコリネ型細菌に属する微生物を培地に培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物から有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法において、
    PTSを介して細胞内へ取り込まれる糖を、PTSとは異なるシステムを介して細胞内に取り込む能力が強化され、かつ有用物質を生産する能力を有するコリネ型細菌に属する微生物が、[1]〜[4]のいずれかに記載の蛋白質の生成能が強化された微生物であり、
    培養を35〜38℃で行うことを特徴とする、製造法。
    [1]配列番号14で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
    [2]配列番号14で表されるアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列からなり、かつミオイノシトール輸送活性を有する蛋白質
    [3]配列番号15で表される塩基配列にコードされる蛋白質
    [4]配列番号15で表される塩基配列と95%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAにコードされ、かつミオイノシトール輸送活性を有する蛋白質
  2. PTSを介して細胞内に取り込まれる糖がグルコース、フラクトースおよびスクロースから選ばれる糖である、請求項1記載の製造法。
  3. コリネ型細菌に属する微生物が、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属およびミクロバクテリウム(Microbacterium)属からなる群より選ばれる属に属する微生物である、請求項1または2記載の製造法。
  4. コリネ型細菌に属する微生物が、コリネバクテリウム属に属する微生物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  5. コリネ型細菌に属する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に属する微生物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造法。
  6. 35〜38℃で行う培養が、対数増殖期における培養である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造法。
  7. 有用物質がアミノ酸である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造法。
JP2010526727A 2008-09-01 2009-08-26 有用物質の製造法 Active JP5833311B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010526727A JP5833311B2 (ja) 2008-09-01 2009-08-26 有用物質の製造法

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008223739 2008-09-01
JP2008223739 2008-09-01
JP2009041363 2009-02-24
JP2009041363 2009-02-24
PCT/JP2009/064821 WO2010024267A1 (ja) 2008-09-01 2009-08-26 有用物質の製造法
JP2010526727A JP5833311B2 (ja) 2008-09-01 2009-08-26 有用物質の製造法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015211776A Division JP5897197B2 (ja) 2008-09-01 2015-10-28 有用物質の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010024267A1 JPWO2010024267A1 (ja) 2012-01-26
JP5833311B2 true JP5833311B2 (ja) 2015-12-16

Family

ID=41721434

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010526727A Active JP5833311B2 (ja) 2008-09-01 2009-08-26 有用物質の製造法
JP2015211776A Active JP5897197B2 (ja) 2008-09-01 2015-10-28 有用物質の製造法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015211776A Active JP5897197B2 (ja) 2008-09-01 2015-10-28 有用物質の製造法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8530203B2 (ja)
EP (1) EP2330184B1 (ja)
JP (2) JP5833311B2 (ja)
WO (1) WO2010024267A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR112013020216B1 (pt) 2011-02-09 2020-12-01 Kyowa Hakko Bio Co., Ltd. processo para produzir substância-alvo através do processo defermentação
KR20140102393A (ko) * 2013-02-13 2014-08-22 씨제이제일제당 (주) L-쓰레오닌 생산능을 가지는 재조합 에스케리키아 속 미생물 및 이를 이용한 l-쓰레오닌의 생산방법
US9988624B2 (en) 2015-12-07 2018-06-05 Zymergen Inc. Microbial strain improvement by a HTP genomic engineering platform
BR112018011503A2 (pt) 2015-12-07 2018-12-04 Zymergen Inc promotores da corynebacterium glutamicum
US11208649B2 (en) 2015-12-07 2021-12-28 Zymergen Inc. HTP genomic engineering platform
WO2018005655A2 (en) 2016-06-30 2018-01-04 Zymergen Inc. Methods for generating a bacterial hemoglobin library and uses thereof
JP2019519241A (ja) 2016-06-30 2019-07-11 ザイマージェン インコーポレイテッド グルコース透過酵素ライブラリーを生成するための方法およびその使用
WO2020130067A1 (ja) * 2018-12-20 2020-06-25 公益財団法人地球環境産業技術研究機構 カルボニル化合物の製造法
KR102306007B1 (ko) 2021-04-07 2021-09-27 씨제이제일제당 (주) 신규한 슈가 포터 계열 mfs 트랜스포터 변이체 및 이를 이용한 l-발린 생산 방법

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996034961A1 (en) * 1995-05-05 1996-11-07 Genencor International, Inc. Application of glucose transport mutants for production of aromatic pathway compounds
WO1998018937A1 (en) * 1996-10-26 1998-05-07 Holland Sweetener Company V.O.F. Microbial preparation of substances from aromatic metabolism/ii
WO2000037497A1 (fr) * 1998-12-18 2000-06-29 Ajinomoto Co., Inc. Transporteur de sucre et gene le codant
JP2002191370A (ja) * 1999-12-16 2002-07-09 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd 新規ポリヌクレオチド
WO2003040292A2 (de) * 2001-11-05 2003-05-15 Basf Aktiengesellschaft Gene die für membransynthese- und membrantransport-proteine codieren
JP2006501851A (ja) * 2002-10-04 2006-01-19 ジェネンコー・インターナショナル・インク 生物資源の生産に対するグルコース輸送変異体

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5618596A (en) 1979-07-23 1981-02-21 Ajinomoto Co Inc Production of l-lysine through fermentation process
JPS56144092A (en) 1980-04-14 1981-11-10 Ajinomoto Co Inc Preparation of l-methionine by fermentation
JPS57134500A (en) 1981-02-12 1982-08-19 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd Plasmid pcg1
JPS57183799A (en) 1981-04-17 1982-11-12 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd Novel plasmid
DE3127361A1 (de) 1981-07-08 1983-02-03 Schering Ag, 1000 Berlin Und 4619 Bergkamen Herstellung und anwendung von plasmiden mit genen fuer die biosynthese von l-prolin
JPS5835197A (ja) 1981-08-26 1983-03-01 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd プラスミドpcg2
IL67510A (en) 1981-12-17 1988-08-31 Kyowa Hakko Kogyo Kk Recombinant vector plasmids autonomously replicable in microorganisms belonging to the genus corynebacterium or brevibacterium and process for the production thereof
JPS6394985A (ja) 1986-10-09 1988-04-26 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd L−チロシンの製造法
JP2545078B2 (ja) 1987-04-06 1996-10-16 協和醗酵工業株式会社 核酸関連物質の製造法
DE19539952A1 (de) 1995-10-26 1997-04-30 Consortium Elektrochem Ind Verfahren zur Herstellung von O-Acetylserin, L-Cystein und L-Cystein-verwandten Produkten
ATE377449T1 (de) 1998-07-15 2007-11-15 Max Planck Gesellschaft Polyelektrolythüllen auf biologischen templaten
US6884614B1 (en) * 1999-07-01 2005-04-26 Basf Aktiengesellschaft Corynebacterium glutamicum genes encoding phosphoenolpyruvate: sugar phosphotransferase system proteins
DE19949579C1 (de) 1999-10-14 2000-11-16 Consortium Elektrochem Ind Verfahren zur fermentativen Herstellung von L-Cystein oder L-Cystein-Derivaten
RU2230114C2 (ru) 2001-11-30 2004-06-10 Закрытое акционерное общество "Научно-исследовательский институт Аджиномото-Генетика" Мутантная глутаминсинтетаза, фрагмент днк, штамм escherichia coli - продуцент l-глутамина и способ получения l-аминокислот
DE10314618A1 (de) 2003-04-01 2004-10-14 Degussa Ag Verfahren zur Herstellung von L-Aminosäuren unter Verwendung von Stämmen der Familie Enterobacteriaceae
RU2004130954A (ru) 2004-10-22 2006-04-10 Закрытое акционерное общество "Научно-исследовательский институт Аджиномото-Генетика" (ЗАО АГРИ) (RU) Способ получения l-аминокислот с использованием бактерий семейства enterobacteriaceae
EP2287287B1 (en) 2008-06-17 2015-04-08 Research Institute Of Innovative Technology For The Earth Coryneform bacterium transformant having improved d-xylose-utilizing function

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996034961A1 (en) * 1995-05-05 1996-11-07 Genencor International, Inc. Application of glucose transport mutants for production of aromatic pathway compounds
WO1998018937A1 (en) * 1996-10-26 1998-05-07 Holland Sweetener Company V.O.F. Microbial preparation of substances from aromatic metabolism/ii
WO2000037497A1 (fr) * 1998-12-18 2000-06-29 Ajinomoto Co., Inc. Transporteur de sucre et gene le codant
JP2002191370A (ja) * 1999-12-16 2002-07-09 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd 新規ポリヌクレオチド
WO2003040292A2 (de) * 2001-11-05 2003-05-15 Basf Aktiengesellschaft Gene die für membransynthese- und membrantransport-proteine codieren
JP2006501851A (ja) * 2002-10-04 2006-01-19 ジェネンコー・インターナショナル・インク 生物資源の生産に対するグルコース輸送変異体

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6009052489; FLORES, N. et al.: ''Pathway engineering for the production of aromatic compounds in Escherichia coli'' Nat. Biotechnol. Vol.14, 199605, p.620-623 *
JPN6014047216; FEMS Microbiol. Lett. vol.290, 20081121, pp.227-235 *
JPN6014047217; Enzyme and Microbial Technology vol.25, 1999, pp.762-768 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP2330184A1 (en) 2011-06-08
US8530203B2 (en) 2013-09-10
JP5897197B2 (ja) 2016-03-30
EP2330184A4 (en) 2012-05-09
JPWO2010024267A1 (ja) 2012-01-26
JP2016013141A (ja) 2016-01-28
US20110244528A1 (en) 2011-10-06
EP2330184B1 (en) 2020-11-25
WO2010024267A1 (ja) 2010-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5897197B2 (ja) 有用物質の製造法
EP1801206B1 (en) Method for producing l-arginine, l-ornithine or l-citrulline
KR101592140B1 (ko) 자일로즈 이용능이 부여된 코리네박테리움 속 미생물 및 이를 이용한 l-라이신의 생산방법
JP2926991B2 (ja) 発酵法によるl−リジン及びl−グルタミン酸の製造方法
US11180784B2 (en) Microorganism of the genus Corynebacterium producing L-amino acids and a method for producing L-amino acids using the same
JP2003164297A (ja) 新規変異型グルタミンシンテターゼ、およびアミノ酸の生産方法
WO2007024010A1 (ja) L−グルタミン酸生産菌及びl−グルタミン酸の製造方法
EP2674499B1 (en) Method for producing target substance by fermentation process
EP2990475A1 (en) Corynebacterium sp. microorganism having improved l-arginine productivity and method for producing l-arginine using same
JP5592059B2 (ja) L−グルタミンの製造法
CN115552000A (zh) 新型双功能pyr操纵子转录调节因子/尿嘧啶磷酸核糖转移酶变体及使用其生产imp的方法
CN114402070A (zh) 新的l-苏氨酸脱水酶变体及使用其生产l-异亮氨酸的方法
KR101687474B1 (ko) L-아르기닌 생산능이 향상된 코리네박테리움속 미생물 및 이를 이용한 l-아르기닌의 생산 방법
EP2837688A1 (en) Method for producing amino acid
WO2010095642A1 (ja) 有用物質の製造方法
JP4257215B2 (ja) 変異型イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ
JP5537818B2 (ja) 有用物質の製造方法
EP4400588A1 (en) Recombinant microorganism used for producing cdp-choline, and method for producing cdp-choline using said recombinant microorganism
JP2002051790A (ja) コリネ型細菌のアルギニンリプレッサー欠失株及びl−アルギニンの製造法
TW202307201A (zh) 具有減弱之LacI家族DNA結合性轉錄調節子之活性之微生物及使用其之L-麩胺酸之生產方法
CN115551999A (zh) 新型腺嘌呤磷酸核糖转移酶变体及使用其生产imp的方法
CN117568299A (zh) Bbd29_06325基因突变体及其应用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120828

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20140411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141111

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150804

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150929

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151029

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5833311

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250