JP5832899B2 - モノクローナル抗体の拮抗活性の調節方法 - Google Patents

モノクローナル抗体の拮抗活性の調節方法 Download PDF

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Description

発明の背景
技術分野
本発明は抗体工学分野に関し、より詳細には、抗体のスクリーニングおよび/または抗体の促進/拮抗活性の調節方法に関する。より詳細には、本発明は、モノクローナル抗体、またはその二価機能的断片もしくは誘導体の拮抗活性を遺伝子工学による調節方法に関する。本発明はまた、このような調節方法に有用なポリペプチドおよび得られた抗体に関する。
発明の具体的説明
「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は最も広い意味において互換的に用いられ、モノクローナル抗体(例えば、全長または完全モノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体、または多重特異性抗体(例えば、それらが所望の生物活性を示す限り二重特異性抗体(bispecific antibody))を含む。
より詳細には、このような分子は、ジスルフィド結合により内部連結された少なくとも2本の重(H)鎖と、2本の軽(L)鎖とを含んでなる糖タンパク質からなる。各重鎖は重鎖可変領域(またはドメイン)(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)と、重鎖定常領とからなる。重鎖定常領域は三つのドメインCH1、CH2、およびCH3からなる。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略される)と、軽鎖定常領域とからなる。軽鎖定常領域は一つのドメインCLからなる。VHおよびVL領域はさらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存性の高い領域が散在した、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に細分することができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へと、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で並んだ三つのCDRと、四つのFRとからなる。重鎖および軽鎖の可変領域は抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および従来の補体系の第一の成分(C1q)とを含む宿主組織または因子との結合を媒介し得る。
免疫グロブリンの重鎖は三つの機能的領域:Fd領域、ヒンジ領域、フレキシブルヒンジ領域により接続されたFc領域(結晶化可能な断片)に分けることができる。Fd領域はVHおよびCH1ドメインを含んでなり、軽鎖と組み合わさってFab、すなわち抗原結合断片を形成する。Fc断片は、例えば、補体結合およびエフェクター細胞の同族Fc受容体との結合を含む免疫グロブリンエフェクター機能を担っている。IgG、IgA、およびIgD免疫グロブリンクラスに見られるヒンジ領域は、Fab部分がFc領域に対して空間的に自由に動くことができるようなフレキシブルスペーサーとして働く。定常領域とは対照的に、ヒンジドメインは構造的に多様であり、免疫グロブリンクラスおよびサブクラスの間で配列と長さの双方が異なる。
結晶学的研究によれば、免疫グロブリンヒンジ領域はさらに構造的および機能的に、アッパーヒンジ(upper hinge)、コアおよびロワーヒンジ(lower hinge)の三つの領域に細分することができる(Shin et al, Immunological Reviews 130:87, 1992)。アッパーヒンジは、CH1のカルボキシル末端から、動きを制限するヒンジの最初の残基、一般には2本の重鎖間で鎖内ジスルフィド結合を形成する最初のシステイン残基までのアミノ酸を含む。アッパーヒンジ領域の長さは抗体のセグメントフレキシビリティーに相関する。コアヒンジ(core hinge)領域は重鎖内ジスルフィド架橋を含む。ロワーヒンジ領域はCH2ドメインのアミノ末端を連結し、CH2アミノ末端の残基を含む。ヒトIgG1のコアヒンジ領域は、ジスルフィド結合の形成により二量体化した際に、ピボットとして働くことによってフレキシビリティーを付与すると考えられている環状オクタペプチドを生じる配列Cys−Pro−Pro−Cysを含む。免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチド配列の構造およびフレキシビリティーにより許容されるコンフォメーション変化は抗体のFc部分のエフェクター機能に影響を及ぼし得る。
一般に、ネズミ起源のモノクローナル抗体またはそれらの機能的断片の作製に関しては、特に、手引き書"Antibodies" (Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor NY, pp. 726, 1988)に記載されている技術またはKohler and Milstein (Nature, 256:495-497, 1975)により記載されているハイブリドーマからの調製技術を参照することができる。その後、モノクローナル抗体を、例えば該モノクローナル抗体により特異的に認識されるエピトープを含む対象受容体またはその断片の一つが予め固定されたアフィニティーカラムで精製することができる。より詳細には、該モノクローナル抗体は、Aおよび/またはGタンパク質上でのクロマトグラフィーにより精製することができ、その後に残留タンパク質夾雑物ならびにDNAおよびLPSを除去することを目的としたイオン交換クロマトグラフィーを行っても行わなくてもよく、それ自体の後に、二量体または他の多量体の存在により起こり得る凝集を排除するためのセファロースゲル上での排除クロマトグラフィーを行っても行わなくてもよい。一層より好ましい様式では、これら全部の技術を同時にまたは連続的に用いることができる。
本発明による抗体の機能的断片とは、特に、Fv、scFv(scは単鎖を表す)、Fab、F(ab’)、Fab’、scFv−Fc断片もしくはダイアボディー、またはポリ(エチレン)グリコールなどのポリ(アルキレン)グリコールの付加のような化学的修飾(「ペグ化」)(Fv−PEG、scFv−PEG、Fab−PEG、F(ab’)−PEGまたはFab’−PEGと呼ばれるペグ化断片)(「PEG」はポリ(エチレン)グリコールを表す)によるか、もしくはリポソームに組み込むことにより半減期が延長された任意の断片(該断片は元の抗体の少なくとも一つの特徴的なCDRを有する)といった抗体断片を含むことを意図する。
好ましくは、これらの機能的断片は、それらが由来している抗体と同じ結合特異性を一般に有する、Fv、scFv、Fab、F(ab’)、F(ab’)、scFv−Fc型の断片、またはダイアボディー(diabody)である。本発明によれば、本発明の抗体断片は、上記のよう抗体から出発して、ペプシンもしくはパパインなどの酵素による消化のような方法および/または化学的還元によるジスルフィド架橋の切断によって得ることができる。別法では、本発明に含まれる抗体断片は、同様に当業者に周知の遺伝子組換え技術、または例えばApplera社などによって供給されているものなどの自動ペプチド合成装置の手段によるペプチド合成によって得ることができる。
本明細書において「アンタゴニスト」とは、細胞外または膜貫通受容体などの標的分子の1以上の生物活性を阻害することができる分子を意味する。アンタゴニストは、受容体のリガンドへの(また、その逆)の結合を妨げることにより、および/または受容体のリン酸化を低下させることにより、および/またはリガンドによって活性化された細胞を不能化するか、または死滅させることにより働き得る。アンタゴニストは、受容体−リガンド相互作用を完全に遮断することができるか、あるいは競合、コンフォメーション変化、放出、またはダウンレギュレーションによってこのような相互作用を実質的に低下させることができる。アンタゴニストによるこのような介入(intervention)点は総て、本発明の目的では等価であると考えるべきである。
本明細書において「アゴニスト」とは、標的分子の1以上の生物活性を活性化することができる、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体断片、コンジュゲート、大分子、小分子を含む任意の化合物を意味する。
治療用抗体の研究においては、できる限りアンタゴニストとしての抗体を得ることが期待される場合が多い。
アンタゴニスト抗体の従来の例として、ヘルセプチン、ペルツズマブ、セツキシマブ、抗VEGFR、または抗IGF−1R抗体がある。
特定の例として、種々のモデルにおいて単独で加えた際に強力なアゴニストとして振る舞う、Genentech[WO96/38557号公報]より作出された抗c−Met 5D5抗体を挙げることができる。この技術的問題を解決するために、この抗体は、Fab断片として、または一価抗体(単腕5D5)として拮抗活性を有するように操作されなければならなかった。結果として、このような抗体は抗体とは見なされず、断片であり、「完全な抗体」形式であることによる総ての利点を提供するわけではない(エフェクター機能が無く、クリアランスおよび半減期が短い[2008年10月21〜24日、ジュネーブの第20回EORTC-NCI-AACRシンポジウムのポスター411に記載されているように従来の二価抗体よりも2倍速い])。
当業者ならば、エフェクター機能には、例えば、C1q結合、補体依存性細胞傷害性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)、食作用、ならびに例えば、1998年4月14日に付与された米国特許第5,739,277号公報に記載されているようなサルベージ受容体結合リガンド(FcRn)の組み込みによる細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションおよび半減期の延長が含まれることを認識するであろう。
本発明の態様の一つは、このような技術的問題を解決すること、すなわち「完全二価」形式を保存しつつ、抗体の拮抗活性を改良することである。
ここで、「ヒトマウス」(ヒト免疫グロブリンを産生する遺伝的に改変されたマウス)の免疫化によるか、または選択されたscFv、Fabもしくは他のいずれかの等価な断片から完全抗体を構築するためのファージディスプレー技術を用いて得られたヒト抗体の促進/拮抗活性を調節するために適用可能であることを述べておかなければならない。
もう一つの従来からの技術的問題は、ネズミ抗体のキメラ化および/またはヒト化の過程で遭遇する。ネズミ抗体のキメラ化および/またはヒト化工程が理論では極めて容易であるとしても、最初の特性の全部または一部を失わずにこのようなネズミ抗体のキメラ化および/またはヒト化を管理することはそれほど容易なことではないのは当業者にはよく知られている。キメラまたはヒト化抗体は、そのADCC、CDC、拮抗/促進、結合、(TBC)などの活性の一部を失うことがある。本発明はより詳細には、キメラ化および/またはヒト化工程後のネズミ抗体の促進/拮抗活性の改変に関する。
特定の例として、強力なアンタゴニストネズミ抗体として振る舞う一連の抗cMet抗体(以下、224G11、2274H1および11E1と記載する)は、ヒトIgG1形式でキメラ化された際に部分的アゴニストとなった。この強力なアンタゴニストから部分的アゴニストへの移行は、異種移植モデルにおいてin vivo活性の完全な消失をもたらした。
本発明はこれらの問題を解決することを意図し、より詳細には、特定の標的分子に対するモノクローナル抗体、またはその二価機能的断片(divalent functional fragment)もしくは誘導体の拮抗活性を改良する方法に関し、該抗体は該標的分子の1以上の生物活性を阻害することができ、該方法は、少なくとも一つのアミノ酸の欠失、付加、または置換によるヒンジ領域のアミノ酸配列の改変からなるヒンジ領域の再構成工程を含んでなる。
「拮抗活性を改良する」という表現はその最も広い意味において、すなわち、望まれる結果として解釈されるべきあるのは明らかである。機械論的には、このような結果は抗体の固有の拮抗活性の改良および/または固有の促進活性の低減により得ることができる。
より詳細には、定量的薬理学における用語の基本定義は、the International Union of Pharmacology (IUPHAR) Committee on receptor Nomenclature (Neubigら 2003参照)に示されている推奨の更新版に基づく。
「アゴニスト」とは、受容体と結合し、その受容体の状態を変化させて生物学的応答の刺激または増強をもたらすリガンド(任意の分子種)を表す。アゴニストは完全アゴニストまたは部分的アゴニストとして働き得る。
・完全アゴニスト:アゴニストにより誘発された受容体刺激がその系の最大応答能に達した場合、それはその系の最大応答をもたらし、それはその系の完全アゴニストである。いくつかのアゴニストが同等の最大応答を惹起することもあり、その実験系においてそれらは総て完全アゴニストである。
・部分的アゴニスト:所与の組織において、特定の条件下で、同じ系で同じ受容体を介して作用する完全アゴニストほど大きな作用を惹起することができない分子(総ての受容体が占有されるはずの高濃度で適用した場合でも)。部分的アゴニストは一般に、完全アゴニストが共存する場合に、それらは該完全アゴニストの最大応答をそれら固有の最大応答まで引き下げることから、部分的アンタゴニストでもある。この完全アゴニストと部分的アゴニストという表記は系に依存し、ある系またはある測定での完全アゴニストは、別の系または別の測定では部分的アゴニストである場合がある。
「アンタゴニスト」とは、別の薬剤、一般にはアゴニストの作用を低減する分子を表す。多くのアンタゴニストはそのアゴニストと同じ受容体高分子において働く。
拮抗作用の有効性は、アンタゴニストとアゴニストの共存下でのその系の応答がその系の基本(リガンド無し)活性に相当する場合には完全拮抗作用であり得る。
アンタゴニストは、アンタゴニストおよびアゴニストの共存により惹起された最大阻害(総ての受容体がそのアンタゴニストにより占有されるはずの高濃度で適用した場合でも)がその系の基本活性を上回る場合に部分的アンタゴニストとして作用し得る。
・拮抗作用は、アゴニストおよびアンタゴニストの結合が互いに相容れない場合に競合的であり得る。これはアゴニストとアンタゴニストが同じ結合部位をめぐって競合し、重複する隣接部位と一緒になるためである可能性がある。第三の可能性は、異なる部位が関与するが、それらは受容体高分子にアゴニスト分子と、アンタゴニスト分子とが同時には結合できないような影響を及ぼすということである。
・非競合的拮抗作用はアゴニストと、アンタゴニストとが同時に受容体に結合できる場合に見られ、アンタゴニストの結合はアゴニストの作用を低下させるか、または妨げ、そのアゴニストの結合に影響を及ぼす場合と及ぼさない場合がある。
欠失、付加、または置換は、従来から当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。
所与のDNA配列に、付加、欠失、または挿入を作出するために、当業者はいくつかの方法を適用することができる。限定されるものではないが、膵臓DNアーゼIを用いたDNAの部分的消化、制限酵素を用いたDNAの部分的消化、リンカーに基づく挿入変異体、BAL31ヌクレアーゼ、DNアーゼI、またはエキソヌクレアーゼIIIを用いた欠失変異体のネステッドセットを挙げることができる。これらの方法はMolecular Cloning, A laboratory manual(Sambrook, Fritsch and Maniatis)などの実験手引き書に包括的に記載されている。DNA分子に欠失、挿入、または部位特異的突然変異誘発を行うにはまた、限定されるものではないがオーバーラップ・エクステンションPCR(Wurchら 1998)など(これに限定されるものではない)いくつかのPCRに基づく方法も使用することができる。部位特異的突然変異誘発を行うには、他のいくつかの技術を使用することができ。例としては、限定されるものではないが、オリゴヌクレオチドに基づく突然変異誘発(シングルプライマーまたはダブルプライマー法のいずれかに基づく)、ウラシルの組み込みに基づくKunkel法(Kunkel、 1985)を挙げることができる。これらの方法はMolecular Cloning, A laboratory manual (Sambrook, Fritsch and Maniatis)に包括的に記載されている。
限定されるものではないが、付加の例としては、ヒンジ領域への、またはヒンジ領域に隣接したプロリンの付加を挙げることができる。
本発明の方法の好ましい実施形態においては、該改変は、
i)該ヒンジ領域アミノ酸配列の少なくとも一つのアミノ酸の欠失、および/または
ii)該ヒンジ領域への少なくとも一つのジスルフィド架橋の付加
から選択される。
本発明を明確にするため、まず、第一の態様(i)を詳細に説明した後、第二の態様(ii)を詳細に説明する。この順序は単に本願の記載のために過ぎず、これらの両態様は、以降で明らかになるが、同じ重要度であると理解すべきである。
特定の実施形態では、ヒンジ領域のアミノ酸配列を改変する方法は、該ヒンジ領域アミノ酸配列の多くとも2、3、または4個のアミノ酸の欠失からなる。
本発明の特定の態様は、該モノクローナル抗体が二価抗体であることである。実際、以下に示すように、該抗体の構造を改変することによって抗体の促進/拮抗活性を調節することができる。発明者らは、長い半減期またはエフェクター機能などの良好な特性を保存する目的で、抗体の二価形態を保存しつつこのような促進/拮抗活性を調節する独創的な方法を初めて報告する。またここで、エフェクター機能の増強を目的としたモノクローナル抗体のヒンジ領域の改変が先行技術ですでに報告されていたとしても、このようなヒンジ領域への改変がモノクローナル抗体の促進/拮抗活性の調節において着目されるものであり得るということが報告されたことはない。これは明らかに、既存の先行技術に対して新規かつ発明性のある本発明の主題である。
本発明の方法による一態様として、モノクローナル抗体はキメラ抗体である。
「キメラ」抗体とは、所与の種の抗体に由来する天然の可変(軽鎖および重鎖)領域を、その所与の種とは異種(例えば、マウス、ウマ、ウサギ、イヌ、ウシ、ニワトリなど)の抗体の軽鎖および重鎖定常領域と組み合わせて含む抗体を示すものとする。
本発明によるキメラ型の抗体またはそれらの断片は遺伝子組換えの技術を使用することにより作製することができる。例えば、キメラ抗体は、プロモーターと本発明による非ヒト、特にネズミ、モノクローナル抗体の可変領域をコードする配列とヒト抗体の定常領域をコードする配列とを含む組換えDNAをクローニングすることにより作製することができる。このような組換え遺伝子によりコードされる本発明のキメラ抗体は例えばマウス−ヒトキメラであり、この抗体の特異性はネズミDNAに由来する可変領域により決定され、そのアイソタイプ(isotype)はヒトDNAに由来する定常領域により決定される。キメラ抗体の作製方法に関しては、例えば、Verhoeynら(BioEssays, 8:74, 1988)、Morrisonら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6851-6855, 1984)、または米国特許第4,816,567号公報を参照することができる。
本発明の方法による別の態様として、モノクローナル抗体はヒト化抗体である。「ヒト化抗体」とは、非ヒト起源の抗体に由来するCDR領域を含む抗体を示すものとし、この抗体分子の他の部分は一つの(または複数の)ヒト抗体または生殖細胞系に由来する。さらに、その骨格(FRと呼ばれる)のセグメントのいくつかの残基は、結合親和性を保存するために改変することができる(Jones et al., Nature, 321:522-525, 1986、 Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536, 1988、 Riechmann et al., Nature, 332:323-327, 1988)。
本発明によるヒト化抗体またはそれらの断片は、当業者に公知の技術(例えば、文献Singer et al., J. Immun. 150:2844-2857, 1992、 Mountain et al., Biotechnol. Genet. Eng. Rev., 10:1-142, 1992、またはBebbington et al., Bio/Technology, 10:169-175, 1992に記載されているものなど)により作製することができる。
例えば、Protein Design Lab (PDL)が、欧州特許出願第EP0451216号公報、EP0682040号公報、EP0939127号公報、EP0566647号公報または米国特許第5,530,101号公報、同第6,180,370号公報、同第5,585,089号公報、および同第5,693,761号公報に記載している「CDRグラフト」法などの他のヒト化法も当業者に知られている。以下の特許出願も挙げることができる:米国特許第5,639,641号公報、同第6,054,297号公報、同第5,886,152号公報、および同第5,877,293号公報。
本発明の方法による別の態様として、モノクローナル抗体はヒト抗体である。「ヒト抗体」とは、ヒト免疫グロブリン配列に由来する1以上の可変領域と、定常領域をと有するあらゆる抗体を含む。好ましい実施形態では、総ての可変および定常ドメイン(または領域)がヒト免疫グロブリン配列に由来する(完全ヒト抗体)。言い換えれば、それはヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域(存在する場合)を有する、すなわち、ヒトにより生産された抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有し、および/または当業者に公知の任意のヒト抗体作製法を用いて作製されたいずれの抗体も含む。
一つの実施形態においては、ヒトモノクローナル抗体は、ヒト重鎖導入遺伝子と、軽鎖導入遺伝子とを含んでなるゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウスから得られたB細胞を不死化細胞と融合させたものを含むハイブリドーマによって産生される。
このようなトランスジェニックマウスの例として、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の大断片を含んでなり、マウス抗体生産に欠陥がある操作されたマウス系統であるXENOMOUSE(商標)(Green at al, 1994, Nature Genetics, 7:13-21)を挙げることができる。XENOMOUSE(商標)は完全ヒト抗体の成体様ヒトレパートリーを産生し、抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を生成する。第二世代のXENOMOUSE(商標)は、およそ80%のヒト抗体レパートリーを含む(Green & Jakobovits, 1998, J. Exp. Med., 188:483-495)。
また、ファージディスプレー技術などの当業者に公知の他の技術も、本発明によるヒト抗体の作出に使用可能である。
本発明による方法は、ヒンジ領域、すなわち、IgA、IgD、およびIgGを含んでなるいずれの種の免疫グロブリンにも使用可能である。一例として、IgAアイソタイプの場合、IgA1のヒンジ領域はアミノ酸配列PSTPPTPSPSTPPTPSPS(配列番号8)を含んでなり、IgA2のヒンジ領域はアミノ酸配列PPPPP(配列番号9)を含んでなる。
同様に、IgDのヒンジ領域はアミノ酸配列
SPKAQASSVPTAQPQAEGSLAKATTAPATTRNTRGGEEKKKEKEKEEQEERETKTP(配列番号10)を含んでなる。
本発明の特定の実施形態として、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4を含むIgGを使用するのが好ましい。
IgGヒンジ領域の種々のアイソタイプに相当する個々のアミノ酸配列は次の通りである:
IgG1は、PKSCDKTHTCPPCP(配列番号11)、
IgG2は、RKCCVECPPCP(配列番号7)、
IgG3は、
LKTPLFTGDTTHTCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCP(配列番号12)、および
IgG4は、SKYGPPCPSCP(配列番号13)。
より一層詳細には、IgG1を使用するのが好ましい。実際、治療用抗体の分野では、より詳細には癌の処置において、標的とする抗原への特異的結合に関連する機能に加えてADCCおよびCDCなどのエフェクター機能を得るためにIgG1を生成するのが好ましい。
本発明の方法は、該モノクローナル抗体がIgG1であることを特徴とする。「標的分子」とは、本発明の意味の範囲内で、モノクローナル抗体が特異的に結合することができる、またはその活性を調節することができるいずれの分子にも関する。一般に、このような標的分子は「抗原」と呼ぶことができる。
限定されるものではないが、モノクローナル抗体が標的とすることのできる標的分子の例としては、可溶性リガンド、膜貫通型受容体などの受容体、膜腫瘍マーカーなどを挙げることができる。
好ましい実施形態では、該標的分子は膜貫通受容体である。
「膜貫通受容体」とは、細胞の原形質膜を貫通し、リガンドに結合する能力を有するタンパク質の細胞外ドメインと、リガンドが結合した際に変化(増強または低下)され得る活性(プロテインキナーゼなど)を有する細胞内ドメインとを備えたタンパク質に関する。言い換えれば、膜貫通受容体は、一般には細胞の原形質膜内に、それだけでなくいくつかの細胞下コンパートメントおよびオルガネラの膜にも存在して働く内在性膜タンパク質である。膜の一方の側でシグナル伝達分子または場合によってはそのような分子の対と結合すると、膜貫通受容体は他方の側で反応を誘発する。このように、それらは細胞のコミュニケーションおよびシグナル伝達において特有で、重要な役割を果たす。
多くの膜貫通受容体は、ひとまとまりになって働き、リガンドが結合した際、または外れた際、またはそれらの「活性化」周期の別の段階にきた際に解離し得る2以上のタンパク質サブユニットからなる。それらは多くの場合にはそれらの分子構造に基づいて、あるいは総てではないが、いくつかの受容体に関しては構造が詳細に分かっていないためにそれらの仮説の(場合によっては実験的に確認された)膜トポロジーに基づいて分類される。単純なポリペプチド鎖は脂質二重層を一度だけ貫通すると推定されているが、他のものは7回も(いわゆるGタンパク質共役受容体またはGPCR)またはそれ以上貫通する。
内在性膜タンパク質と同様に、膜貫通受容体も、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインの三つの部分またはドメインに分けることができる。
細胞外ドメインは、細胞またはオルガネラの外側の膜に突き出ている受容体の部分である。受容体のポリペプチド鎖が二重層を数回貫通する場合、外部ドメインは膜の外に突き出た数個の「ループ」を含んでなり得る。定義によれば、受容体の主な機能は特定のリガンド、例えば、神経伝達物質またはホルモンを認識して応答し(ある種の受容体は膜電位の変化にも応答するが)、多くの受容体では、これらのリガンドは細胞外ドメインと結合する。
構造的証拠がある大部分の受容体では、膜貫通αヘリックスが膜貫通ドメインのほとんどを構成している。ニコチン性アセチルコリン受容体などのある種の受容体では、膜貫通ドメインは膜にタンパク質が並んだ細孔、すなわち、イオンチャネルを形成する。適当なリガンドの結合により細胞外ドメインが活性化すると、この孔はイオンの接近が可能となり、イオンが通過する。他の受容体においては、膜貫通ドメインは結合時にコンフォメーション変化を受けて細胞内に影響を及ぼすと仮定される。7TMスーパーファミリーのメンバーなどのいくつかの受容体では、膜貫通ドメインはリガンド結合ポケットを含み得る。
受容体の細胞内(または細胞質)ドメインは細胞またはオルガネラの内部と相互作用してシグナルを中継する。この相互作用には、a)細胞内ドメインが特異的タンパク質−タンパク質相互作用を介してエフェクタータンパク質とコミュニケーションをとり、シグナル鎖に沿ってその目標点にシグナルを送るか、b)酵素結合受容体とコミュニケーションをとり、細胞内ドメインが酵素活性を有するか、の基本的に異なる二つの方法がある。多くの場合、これはチロシンキナーゼ活性である。この酵素活性はまた、細胞内ドメインと会合している酵素上に存在している場合もある。
細胞が膜貫通受容体の活性を調節するにはいくつかの方法がある。それらのほとんどが細胞内ドメインを介して働くものである。最も重要な方法は、リン酸化およびインターナリゼーション(ユビキチン参照)またはcAMP、IP、Ca2+、もしくはcGMPなどのセカンドメッセンジャーカスケードの活性化である。
酵素活性を示す膜タンパク質も総て、本発明に記載されている改変を伴う抗体によって標的とされ得る。例としては、限定されるものではないが、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)ファミリー、「ディスインテグリン・メタロプロテアーゼドメイン・プロテアーゼ(disintegrin and a metalloprotease domain protease)」(ADAM)ファミリー、アデニル酸シクラーゼなどを挙げることができる。
イオンチャネル、細孔、およびトランスポーターとして働く膜タンパク質も総て、本発明に記載されている改変を伴う抗体によって標的とされ得る。例としては、限定されるものではないが、ナトリウムチャネルファミリー、カリウムチャネルファミリー、ニコチン性アセチルコリン受容体ファミリー、シグマ受容体、モノアミントランスポーターファミリーを挙げることができる。
さらに広くは、所与の疾病の特異的マーカーであることが確認されている膜タンパク質も総て抗体処置によって標的とされ得るが、この抗体も同様に本発明に記載されている改変によって改良することができる。
本発明の好ましい実施形態では、該膜貫通受容体はチロシンキナーゼ受容体、テトラスパニン(tetraspanin)、およびGPCRからなる群から選択される。
より好ましい実施形態においては、該膜貫通受容体は好適にはIGF−1R、c−Met、RON、Ax1、VEGF、VEGFR、Her−2neu、ErbBファミリーのホモ二量体、およびヘテロ二量体などからなる群から選択されるチロシンキナーゼ受容体である。
本願において、およびより詳細には以下の明細書において、配列はIMGTを参照して定義される。IMGT特有のナンバリングは、どんな抗原受容体、鎖種または種であれ、可変ドメインを比較するために定義されている[Lefranc M. -P., Immunology Today 18, 509 (1997)、 Lefranc M. -P., The Immunologist, 7, 132-136 (1999)、 Lefranc, M.-P., Pommie, C, Ruiz, M., Giudicelli, V., Foulquier, E., Truong, L., Thouvenin-Contet, V.およびLefranc, Dev. Comp. Immunol, 27, 55-77 (2003)]。このIMGT特有のナンバリングでは、例えば、システイン23(1st−CYS)、トリプトファン41(CONSERVED−TRP)、疎水性アミノ酸89、システイン104(2nd−CYS)、フェニルアラニンまたはトリプトファン118(J−PHEまたはJ−TRP)など、保存されているアミノ酸は常に同じ位置を有する。IMGT特有のナンバリングはフレームワーク領域(FR1−IMGT:1〜26位、FR2−IMGT:39〜55位、FR3−IMGT:66〜104位およびFR4−IMGT:118〜128位)ならびに相補性決定領域:CDR1−IMGT:27〜38位、CDR2−IMGT:56〜65位およびCDR3−IMGT:105〜117位の標準的画定を行う。ギャップが占有されていない位置を表す場合、CDR−IMGT長(括弧内に示され、ドットで分けられる、例えば、[8.8.13])は重要な情報となる。IMGT特有のナンバリングは、IMGT Colliers de Perles [Ruiz, M. and Lefranc, M. -P., Immunogenetics, 53, 857-883 (2002)、 Kaas, Q. and Lefranc, M. -P., Current Bioinformatics, 2, 21-30 (2007)]と呼ばれる2Dグラフ、およびIMGT/3Dstructure-DB [Kaas, Q., Ruiz, M. and Lefranc, M. -P., T cell receptor and MHC structural data. Nucl. Acids. Res., 32, D208-D210 (2004)]における3D構造に使用される。
当業者にとって、IMGTシステムによって記載される本発明を例えば、Kabatナンバリングシステムなどの他のいずれかのナンバリングシステムに置き換えることは自明である。
あらゆる種のあらゆるIGおよびTR V領域のIMGT特有のナンバリングが、可変領域の構造の保存性が高いことに頼っている。5000を超える配列を整列した後に設定されたこのナンバリングは、フレームワーク(FR)および相補性決定領域(CDR)の定義、X線回折研究からの構造データ、ならびに超可変ループの特性決定を考慮に入れ、組み合わせている。FR−IMGT領域と、CDR−IMGT領域との限界はすでに定義されている。同様に、IMGT特有のナンバリングはCドメインにも適用されており、Ig様ドメインの正確な画定を可能とする。Cドメインは免疫グロブリン(IG)の種類によって完全なC領域、またはC領域の大部分、またはC領域の一部のみに相当する。
Cドメイン(IGおよびTR)のIMGTナンバリングは、V領域の主要IMGT特有のナンバリングから104位までのVドメインのIMGT特有のナンバリングとして導かれる。従って、アミノ酸の位置はCドメインと、Vドメインとの間で容易に比較することができる。
ヒンジ領域を正確に位置決定するために、CドメインのIMGTナンバリングを適用してCH1およびCH2ドメインの正確な位置を決定した。ヒンジ領域はIMGT−CH1の最後の残基と、IMGT−CH2の最初の残基との間の総てのアミノ酸残基を含む。同じヒンジドメインにわたるKabatまたはA.Honeggerなどの他の免疫グロブリンナンバリングは総て本発明に含まれる。
本発明の好ましい例として、上記のようなIMGTナンバリングシステムに基づけば、IgG1のヒンジ領域のアミノ酸配列は、アッパーヒンジに相当するセグメントH1〜H9と、コアヒンジに相当するセグメントH10〜H14とを有するH1〜H14の残基を含んでなる。より詳細には、ヒトIgG1ヒンジ領域はアミノ酸配列PKSCDKTHTCPPCP(配列番号11)を含んでなり、ネズミIgG1ヒンジ領域はアミノ酸配列PRDCGCKPCICT(配列番号14)を含んでなる。
本発明の好ましい実施形態においては、二価抗体のヒンジ領域をコードするタンパク質配列を短縮することを目的とする改変を意図する。より詳細には、本発明による方法は、ヒンジ領域の少なくとも一つのアミノ酸を欠失させる工程を含んでなる。
上述のように、前記ヒンジ領域の多くとも二つのアミノ酸の欠失が好ましい。
上述のように、前記ヒンジ領域の多くとも三つのアミノ酸の欠失が好ましい。
上述のように、前記ヒンジ領域の多くとも四つのアミノ酸の欠失が好ましい。
本発明の方法の特定の使用では、改変はH1、H2、H3、H5、H6、H7、H8、H9、H11、H12、またはH14位のアミノ酸から選択される少なくとも一つのアミノ酸の欠失からなる。より詳細には、本発明者らは特定の残基の関与を実証し、本発明の特定の態様はある特定の残基の選択からなる。
IgG1の好ましい場合では、H1位のアミノ酸はプロリンからなり、H2位のアミノ酸は、ヒト型ではリシン、ネズミ型ではアルギニンからなり、H3位のアミノ酸は、ヒト型ではセリン、ネズミ型ではアスパラギン酸からなり、H5位のアミノ酸はヒト型ではアスパラギン酸、ネズミ型ではグリシンからなり、H6位のアミノ酸はリシンからなり、H8位のアミノ酸はヒト型ではヒスチジン、ネズミ型ではリシンからなり、H9位のアミノ酸はヒト型ではトレオニン、ネズミ型ではプロリンからなり、H11位のアミノ酸はヒト型ではプロリン、ネズミ型ではイソロイシンからなり、H12位のアミノ酸はヒト型ではプロリンからなる。
好ましい実施形態によれば、この欠失は「アッパーヒンジ」領域で行われなければならない。
より好ましい実施形態では、この欠失は、例えばIgG1の場合、アミノ酸H10〜H14からなった「コアヒンジ」との比較により、アミノ酸H1〜H9からなった「アッパーヒンジ」の部分である。
本願では、アミノ酸のナンバリングはこれまでに記載したようにIMGTシステムを考慮して行われる。ナンバリングは違っているが、ヒンジ領域に関与する残基の性質は変わらない他のナンバリングシステムはいずれも等価であると考えなければならないのは明らかである。
一例として、特定された本発明のアミノ酸部分(IMGTシステムによる)をKabatシステムで再ナンバリングすることも等価であると考えなければならない。
本発明の別の態様は、「アッパーヒンジ」領域における、好ましくは、H4位に存在する少なくとも一つのシステインの欠失に基づく。本発明の別の態様は、ヒンジ領域への少なくとも一つのジスルフィド架橋の付加に基づく。
より詳細には、本発明の方法は、その改変が「アッパーヒンジ」領域への少なくとも一つのシステインの導入からなることを特徴とする。
本発明者らによれば、満足のいく例(plausible explanation)は、長さの短縮および/または別のジスルフィド架橋の導入のいずれかによって起こるヒンジの「厳密化」に基づく。このような「厳密化」により、結果として改良された拮抗活性を有する抗体の適当な空間的コンフォメーションの維持が可能となるだろう。ヒンジ領域の厳密化を目的とした方法はいずれも本発明による方法と等価な方法であると考えなければならないのは明らかである。
システインの導入はこのようなアミノ酸の付加により行うことができ、該付加は当業者に公知の任意の方法により行われる。
ヒンジ領域にシステインを導入するための別の好ましい方法は、少なくとも一つのアミノ酸の置換からなる。
より詳細には、ヒンジ領域にシステインを導入するための別の好ましい方法は、H1〜H9から選択される少なくとも一つのアミノ酸の置換からなる。このような置換は当業者に公知の任意の方法により行うことができる。
より詳細には、本発明の方法は、「アッパーヒンジ」領域におけるH7位のトレオニンの、システインによる置換を含んでなる。
別の実施形態では、本発明の方法は、「アッパーヒンジ」領域におけるH6位のリシンの、システインによる置換を含んでなる。
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、「アッパーヒンジ」領域におけるH1位のプロリンの、システインによる置換を含んでなる。
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、「アッパーヒンジ」領域におけるH2位のリシンの、システインによる置換を含んでなる。
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、「アッパーヒンジ」領域におけるH3位のセリンの、システインによる置換を含んでなる。
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、「アッパーヒンジ」領域におけるH5位のアスパラギン酸の、システインによる置換を含んでなる。
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、「アッパーヒンジ」領域におけるH8位のヒスチジンの、システインによる置換を含んでなる。
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、「アッパーヒンジ」領域におけるH9位のトレオニンの、システインによる置換を含んでなる。
別の実施形態によれば、ヒンジ領域をコードするアミノ酸配列全部を交換することにより、ヒンジ領域の長さを短縮すること、および/またはジスルフィド架橋を付加することも可能である。
好ましい例として、本発明の方法の改変は、好ましくはその拮抗活性を改良することが望まれるモノクローナル抗体がIgG1抗体である場合、IgG1ヒンジ領域のアミノ酸H1〜H14の、IgG2ヒンジ領域のアミノ酸H1〜H14による置換からなる。
別の適用では、本発明は、特定の標的分子に対するモノクローナル抗体、またはその二価機能的断片または誘導体をアンタゴニストに関してスクリーニングする方法に関し、該抗体は該標的分子の一以上の生物活性を阻害することができ、該方法は以下の工程を含んでなる:
(a)該標的分子の該一以上の生物活性の、初期レベルの阻害を有する初期抗体を選択する工程、
(b)該初期抗体のヒンジ領域のアミノ酸配列を本発明の方法により改変する工程、
(c)工程(b)の改変抗体を、その該標的分子の該一以上の生物活性を阻害する能力に関して評価する工程、および
(d)該標的分子の該一以上の生物活性の阻害レベルが該阻害の初期レベルよりも高い工程(c)の抗体を陽性結果として選択する工程。
初期抗体は、限定されるものではないが、IGF−1R、c−Met、RON、Ax1、CD151、VEGF、VEGFR、Her−2neu、ErbBファミリーのホモ二量体およびヘテロ二量体に対する抗体アンタゴニストなどの既存の抗体から選択することができる。限定されるものではないが、好ましい例として、該初期抗体はヘルセプチン、ペルツズマブ、セツキシマブ、抗VEGFR、または抗IGF−1R抗体からなり得る。
「阻害レベル」は、本発明の意味の範囲内で、抗体の拮抗活性を示す。このような阻害レベルは、限定されるものではないが、a)直接的細胞計数または3[H]チミジン、テトラゾリン塩もしくは増殖を評価するための他のいずれかの蛍光手段の使用、b)シグナル伝達を測定するためのウエスタンブロット法、ホスホ−ELISAまたはα−スクリーンアッセイ、c)二量体形成アッセイのためのBRETまたはFRET分析、d)移動、浸潤、脈管形成、または形態形成を測定するための顕微鏡または蛍光法、およびe)in vivo評価のための腫瘍のカリパス測定などの当業者に公知の方法によって測定することができる。
このスクリーニング方法は、バリデートされた抗体の改良のため、または研究用または前臨床抗体の選択段階として使用することができる。
本発明による別の態様は、本発明の方法により得ることのできる特定の標的分子に対するモノクローナル抗体、または二価機能的もしくは誘導体に関し、該抗体は、配列番号1(PRDCGCKPCICT)、配列番号2(PKSCGCKPCICT)、配列番号3(PKSCGCKPCICP)、配列番号4(PRDCGCKPCPPCP)、配列番号5(PRDCGCHTCPPCP)、配列番号6(PKSCDCHCPPCP)、配列番号7(RKCCVECPPCP)、配列番号22(CKSCDKTHTCPPCP)、配列番号23(PCSCDKTHTCPPCP)、配列番号24(PKCCDKTHTCPPCP)、配列番号25(PKSCCKTHTCPPCP)、配列番号26(PKSCDCTHTCPPCP)、配列番号27(PKSCDKCHTCPPCP)、配列番号28(PKSCDKTCTCPPCP)、配列番号29(PKSCDKTHCCPPCP)、配列番号30(PKSCDKTHTCCPCP)、配列番号31(PKSCDKTHTCPCCP)、配列番号32(PKSCDKTHTCPPCC)、配列番号33(PSCDKTHTCPPCP)、配列番号34(PKSCDTHTCPPCP)、配列番号35(PKSCDKTHCPPCP)、配列番号36(KCDKTHTCPPCP)、配列番号37(PSCKTHTCPPCP)、配列番号38(PKSCDTHCPPCP)、配列番号39(PKSCTHTCPPCP)、配列番号40(PKSCDKTTCPCP)、配列番号41(PKSCDKTHCPPC)、配列番号42(PKSCDCHTCPPCP)、配列番号43(PKSCDCTHCPPCP)、配列番号44(PCSCKHTCPPCP)、配列番号45(PSCCTHTCPPCP)、配列番号46(PSCDKHCCPPCP)、配列番号47(PKSTHTCPPCP)、配列番号48(PKSCTCPPCP)、または配列番号49(PKSCDKCVECPPCP)からなる群から選択されるヒンジ領域アミノ酸配列を含んでなることを特徴とする。
本発明の方法の実施により得られる好ましいモノクローナル抗体は、配列番号1(PRDCGCKPCICT)、配列番号2(PKSCGCKPCICT)、配列番号3(PKSCGCKPCICP)、配列番号4(PRDCGCKPCPPCP)、配列番号5(PRDCGCHTCPPCP)、配列番号6(PKSCDCHCPPCP)、配列番号7(RKCCVECPPCP)、配列番号22(CKSCDKTHTCPPCP)、配列番号23(PCSCDKTHTCPPCP)、配列番号24(PKCCDKTHTCPPCP)、配列番号25(PKSCCKTHTCPPCP)、配列番号26(PKSCDCTHTCPPCP)、配列番号27(PKSCDKCHTCPPCP)、配列番号28(PKSCDKTCTCPPCP)、配列番号29(PKSCDKTHCCPPCP)、配列番号30(PKSCDKTHTCCPCP)、配列番号31(PKSCDKTHTCPCCP)、配列番号32(PKSCDKTHTCPPCC)、配列番号33(PSCDKTHTCPPCP)、配列番号34(PKSCDTHTCPPCP)、配列番号35(PKSCDKTHCPPCP)、配列番号36(KCDKTHTCPPCP)、配列番号37(PSCKTHTCPPCP)、配列番号38(PKSCDTHCPPCP)、配列番号39(PKSCTHTCPPCP)、配列番号40(PKSCDKTTCPCP)、配列番号41(PKSCDKTHCPPC)、配列番号42(PKSCDCHTCPPCP)、配列番号43(PKSCDCTHCPPCP)、配列番号44(PCSCKHTCPPCP)、配列番号45(PSCCTHTCPPCP)、配列番号46(PSCDKHCCPPCP)、配列番号47(PKSTHTCPPCP)、配列番号48(PKSCTCPPCP)、または配列番号49(PKSCDKCVECPPCP)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなることを特徴とし得る。
好ましい実施形態では、該モノクローナル抗体はヒト抗体であり、より好ましくはIgG1抗体である。
本発明はまた、これまでに記載したような、すなわち、配列番号1(PRDCGCKPCICT)、配列番号2(PKSCGCKPCICT)、配列番号3(PKSCGCKPCICP)、配列番号4(PRDCGCKPCPPCP)、配列番号5(PRDCGCHTCPPCP)、配列番号6(PKSCDCHCPPCP)、配列番号7(RKCCVECPPCP)、配列番号22(CKSCDKTHTCPPCP)、配列番号23(PCSCDKTHTCPPCP)、配列番号24(PKCCDKTHTCPPCP)、配列番号25(PKSCCKTHTCPPCP)、配列番号26(PKSCDCTHTCPPCP)、配列番号27(PKSCDKCHTCPPCP)、配列番号28(PKSCDKTCTCPPCP)、配列番号29(PKSCDKTHCCPPCP)、配列番号30(PKSCDKTHTCCPCP)、配列番号31(PKSCDKTHTCPCCP)、配列番号32(PKSCDKTHTCPPCC)、配列番号33(PSCDKTHTCPPCP)、配列番号34(PKSCDTHTCPPCP)、配列番号35(PKSCDKTHCPPCP)、配列番号36(KCDKTHTCPPCP)、配列番号37(PSCKTHTCPPCP)、配列番号38(PKSCDTHCPPCP)、配列番号39(PKSCTHTCPPCP)、配列番号40(PKSCDKTTCPCP)、配列番号41(PKSCDKTHCPPC)、配列番号42(PKSCDCHTCPPCP)、配列番号43(PKSCDCTHCPPCP)、配列番号44(PCSCKHTCPPCP)、配列番号45(PSCCTHTCPPCP)、配列番号46(PSCDKHCCPPCP)、配列番号47(PKSTHTCPPCP)、配列番号48(PKSCTCPPCP)、または配列番号49(PKSCDKCVECPPCP)からなる群から選択されるヒンジ領域アミノ酸配列を含んでなるモノクローナル抗体をコードする単離核酸に関する。
さらに別の態様によれば、本発明は、以下核酸から選択される単離核酸に関する:
a)本発明による人工ヒンジ領域をコードする核酸、DNA、またはRNA、その対応するRNA核酸またはその相補的配列、
b)配列番号15〜21、配列番号50〜77からなる群から選択される核酸配列(nucleic sequence)を含んでなる単離核酸配列、その対応するRNA核酸およびその相補的配列、および
c)高ストリンジェンシー条件下で配列番号15〜21および50〜77の少なくとも一つの配列とハイブリダイズし得る少なくとも18ヌクレオチドの核酸。
好ましくは、本発明は、配列番号15〜21および配列番号50〜77からなる群から選択される核酸配列を含んでなる単離核酸を含んでなる。
また、これまでに記載したような単離核酸、より詳細には、配列番号15〜配列番号21および配列番号50〜配列番号77からなる群から選択される核酸配列を含んでなる単離核酸、その対応するRNA核酸およびその相補的配列を含んでなる発現ベクターまたは形質転換宿主細胞も本発明の一部である。
本発明において違いなく使用される用語の核酸、核酸配列(nucleic sequence)または核酸配列、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド配列、ヌクレオチド配列は、核酸の断片または領域の定義を可能とし、非天然ヌクレオチドを含むまたは含まない、二本鎖DNA、一本鎖DNA、ならびに該DNAの転写産物に相当し得る、改変型または非改変型の正確なヌクレオチドの結合を示すものとする。また、ここで、本発明はそれらの天然の染色体環境にある、すなわち天然状態のヌクレオチド配列には関係しないと理解すべきである。それは、単離された、および/または精製された、すなわち、例えばコピーにより直接または間接的に選択された配列に関する(それらの環境は少なくとも部分的に改変されている)。よって、同様に、ここでは、例えば宿主細胞の手段による遺伝子組換えにより得られる、または化学合成により得られる単離核酸を示すものとする。
高ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは、温度条件およびイオン強度条件が相補的DNAの二つの断片間のハイブリダイゼーションを維持可能なように選択されることを意味する。例としては、上記のポリヌクレオチド断片を定義することを目的としたハイブリダイゼーション工程の高ストリンジェンシー条件は有利には以下のものである。
DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションを二段階で行う:(1)5×SSC(1×SSCは0.15M NaCl+0.015Mクエン酸ナトリウム溶液に相当する)、50%のホルムアミド、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、10×デンハート、5%のデキストラン硫酸および1%のサケ精子DNAを含有するリン酸バッファー(20mM、pH7.5)中、42℃で3時間のプレハイブリダイゼーション、(2)プローブのサイズに応じた温度(すなわち、プローブサイズが>100ヌクレオチドの場合42℃)で20時間の実際のハイブリダイゼーションの後、2×SSC+2%のSDS中、20℃で20分の洗浄2回、0.1×SSC+0.1%のSDS中、20℃で20分の洗浄1回。この最後の洗浄は、プローブサイズが>100ヌクレオチドの場合、0.1×SSC+0.1%のSDS中、60℃で30分行う。大きさが定義されたポリヌクレオチドに対する上記の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、Sambrookら(1989, Molecular cloning: a laboratory manual. 2nd Ed. Cold Spring Harbor)の教示に従い、当業者により、より大きなまたは小さなオリゴヌクレオチドに適したものとすることができる。
本発明は同様に、本発明による核酸を含んでなるベクターに関する。
本発明は、特に、本発明によるヌクレオチド配列を含むクローニングおよび/または発現ベクターを目的とする。
本発明によるベクターは好ましくは、所定の宿主細胞において翻訳されるヌクレオチド配列の発現および/または分泌を可能とするエレメントを含む。よって、ベクターはプロモーター、翻訳の開始および終結のシグナル、ならびに転写調節の適当な領域を含まなければならない。それは宿主細胞内で安定な様式で維持され得るものでなければならず、所望により、翻訳されるタンパク質の分泌を指定する特定のシグナルを持っていてもよい。
これらの種々のエレメントは、当業者により、使用する宿主細胞に応じて選択および至適化される。この主旨で、本発明によるヌクレオチド配列を選択された宿主内の自律複製ベクターに挿入することができ、あるいは選択された宿主の組み込みベクターに挿入することができる。
このようなベクターは当業者に現在用いられている方法によって作製することができ、得られたクローンを、リポフェクション、エレクトロポレーション、熱ショック、または化学法などの標準的な方法によって適当な宿主に導入することができる。
本発明によるベクターは、例えばプラスミド起源またはウイルス起源のベクターである。それらは本発明によるヌクレオチド配列をクローニングするまたは発現させるために宿主細胞を形質転換するのに有用である。
本発明はまた、本発明によるベクターにより形質転換された、または本発明によるベクターを含んでなる宿主細胞を含んでなる。
宿主細胞は原核生物系または真核生物系、例えば、細菌細胞から、また酵母T細胞または動物細胞、特に、哺乳類細胞から選択することができる。同様に、昆虫細胞または植物細胞も使用することができる。
本発明の他の特徴および利点は、実施例および図面とともに一連の記載で明らかになる。
実施例1:キメラMabの構築およびc−Met受容体のリン酸化状態の機能的評価
原型チロシンキナーゼ受容体(c−Met受容体)を標的とする数種のマウスMabを、マウス可変ドメインと、ヒト定常ドメインとを有するキメラMabとして再構成した。それらの固有の活性を、リガンド(HGF)依存的なc−Met受容体リン酸化の阻害を測定する機能的アッセイに基づき分析した。マウス可変ドメイン配列(VH、VL)のPCR−クローニングの際、マウスVHまたはVL配列のいずれかを有する{NheI−BclI}制限断片を、IgG1免疫グロブリンのヒト軽鎖Cκまたはヒト重鎖[CH1−ヒンジ−CH2−CH3]のいずれかの定常ドメインの全コード配列を有するpCEP4ベクター(InVitrogen, US)に連結してキメラMabを構築した。クローニング工程は総て、Laboratory manual (Sambrook and Russel, 2001)に記載されているような慣例の分子生物学的技術に従って、または供給者の説明書に従って行った。各遺伝子構築物をBig Dyeターミネーターサイクルシーケンシングキット(Applied Biosystems, US)を用いたヌクレオチド配列決定により完全にバリデートし、3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems, US)を用いて分析した。対応するキメラMabの作製は6mMグルタミンを添加した血清不含培地Excell 293(SAFC Biosciences)で増殖させた、懸濁に適応したHEK293 EBNA細胞(InVitrogen, US)を用いて分析した。直鎖状25kDaポリエチレンイミン(PEI)(Polysciences)を用い、一時的トランスフェクションを行った。培養工程を、細胞生存率とMab生産に基づいて測定した。Aタンパク質樹脂(GE Healthcare, US)上での慣例的クロマトグラフィーアプローチを用い、Mabを精製した。
種々の形態のMabは総て機能的評価に好適なレベルで作製した。生産性レベルは一般に精製Mab15〜30mg/lの範囲である。
機能的評価はA549ヒト肺癌細胞で行った。c−Met受容体のリン酸化状態は、細胞溶解液に対して特異的捕捉ELISAアッセイを用いて行った。ヤギ抗c−Met Mab(R&D, AF276)を捕捉抗体として用い、検出抗体は抗ホスホ−c−Met Mab(Biosource ref KHO0281)に相当した。発光の読み取り値はMithras LB920マルチモードプレートリーダー(Berthold)で記録した。
三種類のネズミMab 11E1、224G11、および227H1は総てc−Met受容体リン酸化に対して匹敵する固有活性を生じ、すなわち、それら自体によるアゴニスト活性はほとんど無く(HGF作用は5%未満、図1A)、HGF[100ng/ml]により誘発されたc−Met受容体のリン酸化が強く阻害された(HGF作用の阻害は>70%、図1B)。大変驚くべきことに、マウスIgG1/κからヒトIgG1κへ切り換えるためにもっぱらMabの定常ドメインを改変することにより、得られたキメラMabの固有活性の完全な改変が見られた(図1A〜1B)。実際、アンタゴニスト効力に重要な低下を伴って(c224G11に対するHGF作用の阻害の60%をとどめるに過ぎない、図1B)強い促進作用(c11E1に対するHGF作用の20%に達する、図1A)が見られた。これらの3種類の供試Mab(11E1、224G11および227H1モノクローナル抗体は2007年3月14日にCNCM I−3724(11E1に相当)、I−3731(224G11に相当)およびI−3732(227H1に相当)としてthe Collection Nationale de Cultures de Microorganismes (CNCM, National Collection of Microorganism Cultures) (Institut Pasteur, Paris, France)に寄託されたハイブリドーマにより分泌される)で同じ現象が見られたことから、この作用は抗体の可変ドメインに依存していた(WO2009/007427号公報として公開されているPCT特許出願を参照)。
実施例2:操作されたヒンジ型の設計、クローニング、および作製
上記の所見に基づけば、マウスIgG1 MabをヒトIgG1 Mabへ再構成した際に見られた薬理学的特性の障害はヒトIgG1ドメインによるものであったとの仮説が立てられる。一方、文献では、c−Met受容体の活性化がその二量体化と関連していること、およびc−Met受容体の二量体化の阻害がc−Met受容体のリン酸化および下流のシグナル伝達を阻害し得ることが知られていた。
他方、Mabは本質的にはそれらの固有の構造的基礎による二価分子であり、従って、それらはc−Met受容体二量体化の誘導物質として働き得る。従って、回転、折れ曲がりまたは振れなどのキメラMabのコンフォメーションのフレキシビリティーを制限することにより(Rouxら、1997参照)、親型のネズミMabの着目する固有活性(強い拮抗作用および弱い促進作用)を取り戻すことができるとの仮説が立てられる。この仮説はマウスおよびヒトIgG1ヒンジ領域(IgG1 H領域とも呼ばれる)の以下の個々の配列の分析により補強される:
マウスIgG1 H領域 PRDCGCKPCICT (配列番号1)
ヒトIgG1 H領域 PKSCDKTHTCPPCP (配列番号11)
ヒトIgG2 H領域 RKCCVECPPCP (配列番号7)。
このアライメントは、マウスIgG1 H領域はヒトIgG1 H領域と比べた際に短く、余分な1個のジスルフィド架橋(Cys)を含むことを示す。また、それはヒトIgG2 H領域がその長さ(11AA)と、ジスルフィド架橋の数(4)との双方でマウスIgG1 H領域と似ていることをも示す。
よって、ヒトIgG1 H領域の堅牢性の増強は、Cys残基などの安定化突然変異を導入することにより、および/またはこの特定のセグメントを短縮することにより得ることができると推測される。この推定される増強されたH領域の堅牢性は、操作されたヒトIgG1 Mabの改良された機能的特性に関連するものである可能性がある。
最初の系列の7つの操作型は、マウス配列とヒト配列の間でN末端ヒンジ領域かまたはC末端ヒンジ領域のいずれかが交換された際にキメラH領域を作り出すことにより設計されたものである(表2)。IgG2均等物の構築も同様に行った。
H領域内に1個の付加的システイン残基を導入すること、または少なくとも一つのアミノ酸の欠失を作出すること、またはH領域内における1個のシステインの付加と少なくとも一つのアミノ酸の欠失を同時に組み合わせることのいずれかの影響を評価するために、H領域におけるさらなる系列の28の変異株を設計および構築した。
この新規な系列のヒンジ突然変異体を表3に記載する。
ヒンジ操作の例として、224G11と呼ばれるマウス抗c−Met Mabの可変ドメイン(重鎖および軽鎖)を選択した。
これらのマウス配列を、最初の場合では、ヒトIgG1軽鎖のヒト定常ドメイン[Cκ]に、そして重鎖の[CH1−ヒンジ−CH2−CH3]に融合させた。ヒンジ領域の改変は、{Nhe1−Bcl1}制限断片を、所望の改変を有する均等部分と交換することにより行った(各個の{Nhe1−Bcl1}断片はグローバルな遺伝子合成(Genecust, LU)により合成される)。同様にして総ての新たなヒンジ突然変異体を構築した。
クローニング工程は総て、Laboratory manual (Sambrook and Russel, 2001)に記載されているような慣例の分子生物学的技術に従って、または供給者の説明書に従って行った。各遺伝子構築物をBig Dyeターミネーターサイクルシーケンシングキット(Applied Biosystems, US)を用いたヌクレオチド配列決定により完全にバリデートし、3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems, US)を用いて分析した。
懸濁に適応したHEK293 EBNA細胞(InVitrogen, US)は通常、オービタルシェーカー(回転速度110rpm)上、250mlフラスコの、6mMグルタミンを添加した50mlの血清不含培地Excell 293(SAFC Biosciences)中で増殖させた。一時的トランスフェクションは、水中に終濃度1mg/ml混合物で調製した直鎖状25kDaポリエチレンイミン(PEI)(Polysciences)とプラスミドDNA(重鎖プラスミドと軽鎖プラスミドの比を1:1として、終濃度1.25μg/ml)を用い、2.10細胞/mlで行った。トランスフェクション後4時間で、培養物を最終細胞密度が10細胞/mlとなるように1容量の新鮮培養培地で希釈した。培養工程を細胞生存率およびMabの生産に基づいて測定した。一般に、培養を4〜5日間維持した。Aタンパク質樹脂(GE Healthcare, US)上での慣例的クロマトグラフィーアプローチを用いてMabを精製した。
種々の形態のMabを総て機能的評価に好適なレベルで生産した。生産レベルは一般に精製Mab15〜30mg/lの間の範囲である。
実施例3:ホスホ−c−Met特異的ELISAアッセイにおける操作されたMabの評価
A549細胞を12マルチウェル(MW)プレートの完全増殖培地[F12K+10%FCS]に播種した。細胞を16時間飢餓状態にした後、HGF[100ng/ml]で刺激し、リガンド刺激の15分前に各供試Mabを終濃度30μg/mlで加えた。氷冷溶解バッファーを加え、15分後にHGFを加えてリン酸化反応を停止させた。細胞を機械的にこすり落とし(scaped)、細胞溶解液を4℃、13000rpmにて10分間の遠心分離により回収し、細胞溶解液は上清相に相当する。タンパク質含量はBCAキット(Pierce)を用いて定量し、使用まで−20℃で保存した。c−Metのリン酸化状態をELISAにより定量した。ヤギ抗c−Met Mab(R&D, ref AF276)を捕捉抗体として用い(一晩4℃でコーティング)、TBS−BSA5%バッファーを用いた飽和工程(室温で(RT)1時間)の後、25μgのタンパク質溶解液を、コーティングした96MWプレートの各ウェルに加えた。室温で90分インキュベートした後、プレートを4回洗浄し、検出抗体(位置1230、1234および1235のリン酸化されたTyr残基に対する抗ホスホ−c−Met Mab)を加えた。さらに1時間インキュベートし、4回洗浄した後に、HRP(Biosource)に結合された抗ウサギ抗体を室温で1時間加え、ルミノールを加えることにより発光の検出を行った。発光の読み取りはMithras LB920マルチモードプレートリーダー(Berthold)にて行った。
重鎖ヒンジドメインの第一の系列の操作型を構築し、c−Met受容体リン酸化アッセイでアッセイした。図2Aに示されるように、224G11[IgG1−Chim]と比較して、IgG2に基づく構築物といくつかの操作型IgG1/κ構築物[MH、MUP9HおよびTH7、図2A]の双方で、hIgG1/κアイソタイプに関連したアゴニスト作用の重要な低下が見られた。最も弱く、匹敵する促進活性が完全ネズミIgG1ヒンジ領域を含む224G11[MH−IgG1]とほとんどヒトの操作型IgG1ヒンジ領域を含むと224G11[TH7]で見られた。同時にアンタゴニスト抗力の増加も得られた[図2B]。よって、ネズミ224G11可変ドメインを伴うIgG2に基づくものと操作型hIgG1/κに基づくTH7ヒンジ突然変異体は、マウス224G11 Mabの場合とほぼ同様の機能的活性を生じた。しかしながら、224G11[MMCH−IgG1−chim]と224G11[IgG1−chim]との促進/拮抗活性を比較したところ、拮抗活性の増強はこのような抗体の固有の拮抗特性に関係なく抗体を操作することにより得られ得ることが証明された。
重鎖ヒンジドメインの第二の系列の操作型を構築し、c−Met受容体リン酸化アッセイでアッセイした。図11Aに示されるように、システイン残基を導入する重鎖ヒンジドメインにおけるアミノ酸置換は抗体のアゴニスト作用を改変した。実際、一方で、例えばc224G11[C2]、c224G11[C3]、c224G11[C5]、c224G11[C6]、またはc224G11[C7]などのいくつかの突然変異型はc224G11よりも弱いアゴニスト作用を示し、c224G11[C11]、c224G11[C12]、およびc224G11[C14]などの他のものはアゴニスト作用を増強した。さらに、アミノ酸置換に関連する、または関連しない重鎖ヒンジドメインにおけるアミノ酸欠失も抗体のアゴニスト特性を改変した[図11B]。例えば、c224G11[Δ1−3]、c224G11[Δ4−5−6]、c224G11[Δ5−6−7−8]、c224G11[C7Δ6]、c224G11[C6Δ9]、c224G11[C2Δ5−7]、c224G11[C5Δ2−6]、またはc224G11[C9Δ2−7]は、c224G11よりも弱いアゴニスト作用を示したが、c224G11[Δ8−11]はより強いアゴニスト作用を示した。c224G11[TH7]のように、より弱いアゴニスト作用を示す新規な型は総て、同時にアンタゴニスト効力の増強を示したが[図12Aおよび12B]、より強いアゴニスト作用を示すものは弱いアンタゴニスト効力を示した。
本願において、角括弧の使用は必ずしも必要ではなく、例としては、[224G11][IgG2chim]は224G11IgG2chimと同じであると考えるべきである。同様に、抗体がネズミ抗体であることを示すためには、ネズミという表示またはmの文字を付け足すことができ、抗体がキメラ抗体であることを示すためには、chimという表示またはcの文字を付け足すことができ、抗体がヒト化抗体であることを示すためには、humという表示またはhの文字を付け足すことができる。例として、キメラ抗体224G1IgG2はc224GHIgG2、c224G[IgG2]、c[224G11]IgG2、c[224G11][IgG2]、224G11IgG2chim、224G11[IgG2chim]、[224G11]IgG2chim、または[224G11][IgG2chim]と呼ぶことができる。
記号Δは欠失を意味する。
実施例4:BRET分析
第一の実験セットでは、無関連のマウスIgGl、ヒトIgG1およびヒトIgG2は両BRETモデルにおいてHGFにより誘導されるBRETシグナルの効果は無かったことを対照とした(図3)。これらのMabをさらに対照として用いた。
次に、c−Met二量体化およびc−met活性化BRETモデルにおいて、マウス224G11 Mab([224G11]chim)、マウス11E1 Mab(11E1]chim)、およびマウス227H1 Mab([227H1]chim)のIgG1キメラ型の作用を評価した。
マウス224G11 Mabはc−Met二量体化モデルにおいてHGFにより誘導されるBRETシグナルの59%を阻害したが、[224G11]chim Mabは29%を阻害したに過ぎなかった(図4)。[224G11]chimおよびm224G11抗体はHGFにより誘導されるBRETシグナルの34.5%および56.4%を阻害したことから(図5)、[224G11]chim抗体もまた、HGFにより誘導されるc−Metの活性化の阻害にあまり有効でなかった。さらに、m224G11単独もc−Metの活性化に効果が無く、一方、[224G11]chimはc−Metの活性化に、HGFにより誘導されるシグナルの32.9%に相当する部分的アゴニスト作用を持っていた。[224G11]chimは単独でm224G11の場合の21.3%に対してHGFにより誘導されるシグナルの46.6%に相当するBRETの増強を誘導したことから、この[224G11]chimの部分的アゴニスト作用はc−Met二量体化BRETモデルでも見られた。
第二の系列の操作型重鎖ヒンジドメインのアゴニスト効力をc−Met活性化BRETモデルで評価した(図13Aおよび13B)。c−Metの活性化に対して部分的アゴニスト作用を有していたc224G11とは対照的に、アミノ酸置換、アミノ酸欠失またはその双方を含んでなる224G11抗体の種々のヒンジ突然変異キメラ形態は、c224G11[C2]、c224G11[C3]、c224G11[C5]、c224G11[C6]、c224G11[C7]、c224G11[Δ1−3]、c224G11[Δ4−5−6]、c224G11[Δ5−6−7−8]、c224G11[C7Δ6]、c224G11[C6Δ9]、c224G11[C2Δ5−7]、c224G11[C5Δ2−6]、またはc224G11[C9Δ2−7]のそれぞれで単独に、c−Metの活性化に有意な作用を示さなかった。これに対し、c224G11[Δ6]、c224G11[C11]、c224G11[C12]、およびc224G11[C14]のような他のヒンジ突然変異キメラ型は、アゴニスト作用の増強を示した。
実施例5:キメラおよびヒト化224G11型によるc−Met認識
組換えc−Metの種々のキメラ形態およびヒト化形態の結合能を調べるために直接的ELISAを設定した。要するに、R&D Systemsからの組換え二量体c−Metを96ウェルImmunlon IIプレートに1.25μg/mlでコーティングした。4℃で一晩インキュベートした後、ウェルを0.5%ゼラチン/PBS溶液で飽和させた。次に、プレートを37℃で1時間インキュベートした後、2倍希釈の供試抗体を加えた。プレートをさらに1時間インキュベートした後、ネズミ抗体を検出するためのヤギ抗マウスIgG HRPとキメラおよびヒト化抗体認識のためのヤギ抗ヒトκ軽鎖HRPを加えた。プレートを1時間インキュベートし、ペルオキシダーゼ基質TMB Uptimaを5分間加え、HSO 1Mで中和した。図6Aおよび6Bに示す結果は、供試した総ての形態でc−Met認識は匹敵するものであったことを示した。
実施例6:in vitroにおけるHGFにより誘導されるNCI−H441細胞の増殖に対するネズミ抗体およびキメラ抗体の作用
ATCCからのNCI−H441細胞を通常、RPMI1640培地(Invitrogen Corporation, Scotland, UK)、10%FCS(Invitrogen Corporation)、1%L−グルタミン(Invitrogen Corporation)中で培養した。増殖アッセイのため、プレーティング前にコンフルエント増殖期となるように使用の3日前に細胞を分割した。NCI−H441細胞を96ウェル組織培養プレートの200μlの血清不含培地(RPMI1640培地および1%L−グルタミン)中に3.75×10細胞/ウェルの密度でプレーティングした。プレーティング24時間後に、供試抗体をNCI−H441に加え、37℃で30分間インキュベートし、その後、HGFを終濃度400ng/ml(5nM)でさらに142時間加えた。各抗体の試験用量範囲は10〜0.0097μg/ml(各ウェル中の終濃度)である。この実験では、ネズミIgG1 Mabをネズミアイソタイプ対照として加え、供試抗体は次のものであった:それぞれ[224G11]chim、[11E1]chimおよび[227H1]chimとして識別されるm224G11、m11E1、m227H1およびそれらのヒトIgG1キメラ形態。細胞単独−/+HGFをプレーティングしたウェルも含めた。次に、細胞を0.25μCiの[H]チミジン(Amersham Biosciences AB, Uppsala, Sweden)で7時間30分刺激した。トリクロロ酢酸に不溶なDNAに組み込まれた[H]チミジンの規模を液体シンチレーション計数により定量した。結果は、腫瘍細胞に単独で加えた場合の抗c−Met Mabで見られ得る潜在的な固有アゴニスト活性をより良く評価するために未変換のcpmデータとして表す。
図7A、7B、および7Cに示す結果は、予測されたように、ネズミ抗体は、どんな供試用量であっても癌細胞に単独で加えた場合にはアゴニスト作用を示さないことを実証した。この実験でのこのアイソタイプ対照に関して見られた高いcpm変動からして、このアイソタイプ対照ではHGFにより誘導される増殖の有意な阻害は見られなかった。単独で加えた場合、ネズミm224G11もm11E1またはm227H1も、mIgG1アイソタイプ対照Mabまたは細胞単独に比べてアゴニスト作用を示さなかった。m224G11、m11E1またはm227H1 Mabに関してはそれぞれ78%、80%、または80%に達する用量依存的な抗増殖活性であった(阻害率%の計算:100−[(cpm細胞+供試Mab−平均cpmバックグラウンドmIgG1)×100/(平均cpm細胞+HGF−平均cpm細胞単独)])。驚くことに、これらの3種類のMabのキメラ形態は、単独で加えた場合、それぞれ[11E1]chimおよび[227H1]chimに関して、HGFで見られたものに近い増殖刺激を伴って、有意な用量依存的アゴニスト作用を誘導した。特に高い固有アゴニスト活性を示すこれら2種類の抗体では、アンタゴニスト作用は有意に低下し、それらの両ネズミ形態で見られた80%に比べて53%および21%の阻害作用であった。キメラ[224G11]chimで見られたアゴニスト作用もまた用量依存的であったが、それは[11E1]chimおよび[227H1]chimに関して見られたものより低かった。しかしながら、このアゴニスト作用はHGFにより誘導される増殖のin vitro阻害に影響を示し、ネズミm224G11の78%からそのキメラ形態の50%までシフトさせた。このような「低い」in vitro固有アゴニスト活性が変化のないin vivo作用と相容れたのか否かを調べるため、in vivo試験のためにm224G11と[224G11]chimとの双方を作製した。事前の試験で30μg/マウスの用量が有意なin vivo活性を示したことから、その用量をin vivo評価用に選択した。
実施例7:NCI−H441異種移植モデルにおけるネズミおよびキメラ224G11 Mabのin vivo比較
NCI−H441は乳頭状肺腺癌に由来し、高レベルのc−Metを発現し、c−Met RTKの構成的リン酸化を示す。
NCI−H441異種移植モデルに対する抗体のin vivo作用を評価するために、6〜8週齢の無胸腺マウスを濾過除菌フィルターで蓋をしたケージで飼育し、無菌条件で維持し、仏国および欧州ガイドラインに従って操作した。マウスに9×10細胞を皮下注射した。そして、細胞移植6日後に腫瘍が測定可能となり(約100mm)、動物を匹敵する大きさの腫瘍を有する6匹ずつに分け、まず、60μg抗体/マウスの負荷用量で処置し、その後、1週間に2回、各供試抗体1mg/用量で処置した。異種移植増殖速度を観測するためにマウスを追跡した。腫瘍体積は、式:π(Pi)/6×長さ×幅×高さにより算出した。図8に示した結果は、予測されたように、in vivoアゴニスト活性を欠いたネズミMabは、供試用量が低くても強力なアンタゴニストとして振る舞うことを示す。ネズミMabの場合に見られたものとは対照的に、キメラ型のものは極めて一時的なin vivo活性を示し、腫瘍は細胞注射20日後に完全にこの処置を回避した。この実験は、アンタゴニスト活性の低下をもたらしたin vitroアゴニスト作用の増強がin vivoにおける有意なアンタゴニスト活性の損失も担っていたことを明らかに示す。
実施例8:in vitroにおけるHGFにより誘導されるNCI−H441細胞の増殖に対するネズミ224G11 Mabならびにこの抗体の種々のキメラ型およびヒト化型の作用
ATCCからのNCI−H441細胞を通常、RPMI1640培地(Invitrogen Corporation, Scotland, UK)、10%FCS(Invitrogen Corporation)、1%L−グルタミン(Invitrogen Corporation)で培養した。増殖アッセイのため、プレーティング前にコンフルエント増殖期となるように使用の3日前に細胞を分割した。NCI−H441細胞を96ウェル組織培養プレートの200μlの血清不含培地(RPMI1640培地および1%L−グルタミン)中に3.75×10細胞/ウェルの密度でプレーティングした。プレーティング24時間後に、供試抗体をNCI−H441に加え、37℃で30分間インキュベートし、その後、HGFを終濃度400ng/ml(5nM)でさらに142時間加えた。各抗体の試験用量範囲は10〜0.0097μg/ml(各ウェル中の終濃度)である。この実験では、ネズミIgG1 Mabをネズミアイソタイプ対照として、またアゴニスト陰性対照として加えた。供試抗体は次のものであった:i)m224G11、ii)それぞれ[224G11]chim、[224G11][MH chim]、[224G11][MUP9H chim]、[224G11][MMCH chim]、[224G11][TH7 chim]として識別されるそのヒトIgG1キメラ形態、iii)それぞれ[224G11][Hz1]、[224G11][Hz2]、[224G11][Hz3]として記載されるそのヒト化IgG1形態。細胞単独−/+HGFをプレーティングしたウェルも含めた。ATCCでハイブリドーマ細胞株として商業的に入手可能なGenentechからの5D5完全抗体を完全アゴニスト陽性対照として含め、以降、m5D5と呼んだ。次に、細胞を0.25μCiの[H]チミジン(Amersham Biosciences AB, Uppsala, Sweden)で7時間30分刺激した。トリクロロ酢酸に不溶なDNAに組み込まれた[H]チミジンの規模を液体シンチレーション計数により定量した。結果は、腫瘍細胞に単独で加えた場合の抗c−Met Mabで見られ得る潜在的な固有アゴニスト活性をより良く評価するために未変換のcpmデータとして表す。
図9Aに記載した結果は、予測されたように、アイソタイプ対照もm224G11もNCI−H441の増殖に対してアゴニスト活性を示さなかったことを示した。アイソタイプ対照はHGFにより誘導される細胞増殖に対して作用を持たなかったが、m224G11は終濃度10μg/mlで加えた場合に66%の阻害を示した。アゴニスト対照として用いたm5D5は、予測されたように、完全な用量依存的アゴニスト作用を示した。すでに見られたように、[224G11]chim Mabは有意な用量依存的アゴニスト作用を示し、このキメラ形態の低い阻害活性が見られた:ネズミ形態の66%に対して19%。単独で加えた場合、これらの3種類のIgG1ヒト化Mabはm224G11形態に比べて用量依存的なアゴニスト作用を示した。[224G11][Hz1]、[224G11][Hz2]および[224G11][Hz3]は約46、30、および35%といった匹敵するアンタゴニスト活性を持っていた。これらの活性はm224G11の場合に見られたものよりも有意に低い。図9Bでは、種々のIgG1キメラ形態を試験した。NCI−H441細胞に単独で加えた場合に用量依存的なアゴニスト作用を示した[224G11]chim形態と比較すると、[224G11][MH chim]、[224G11][MUP9H chim]、[224G11][MMCH chim]、[224G11][TH7 chim]形態は有意な固有のアゴニスト作用を持たなかった。それらのアンタゴニスト活性はm224G11 Mab(57%)で見られたものよりも高く、その阻害は[224G11][MH chim]、[224G11][MUP9H chim]、[224G11][MMCH chim]および[224G11][TH7 chim]でそれぞれ79、78、84、および93%に達するものであった。
実施例9:224G11 Mabの種々のIgG1キメラおよびヒト化形態のin vitro作用
ATCCからのNCI−H441細胞を通常、RPMI1640培地(Invitrogen Corporation, Scotland, UK)、10%FCS(Invitrogen Corporation)、1%L−グルタミン(Invitrogen Corporation)で培養した。増殖アッセイのため、プレーティング前にコンフルエント増殖期となるように使用の3日前に細胞を分割した。NCI−H441細胞を96ウェル組織培養プレートの200μlの血清不含培地(RPMI1640培地および1%L−グルタミン)中に3.75×10細胞/ウェルの密度でプレーティングした。プレーティング24時間後に、供試抗体をNCI−H441に加え、37℃で30分間インキュベートし、その後、HGFを終濃度400ng/ml(5nM)でさらに142時間加えた。各抗体の試験用量範囲は10〜0.0097μg/ml(各ウェル中の終濃度)である。この実験では、ネズミIgG1 Mabをアゴニスト活性のバックグランド陰性対照として加え、供試抗体は次のものであった:i)m224G11、ii)それぞれ[224G11]chim、[224G11][TH7 chim]として識別されるそのヒトIgG1キメラ形態、iii)それぞれ[224G11][TH7 Hz1]、[224G11][TH7 Hz3]として記載されるそのヒト化IgG1形態。細胞単独−/+HGFをプレーティングしたウェルも含めた。ATCCでハイブリドーマ細胞株として商業的に入手可能なGenentechからの5D5完全抗体を完全アゴニスト陽性対照として含め、以降、m5D5と呼んだ。次に、細胞を0.25μCiの[H]チミジン(Amersham Biosciences AB, Uppsala, Sweden)で7時間30分刺激した。トリクロロ酢酸に不溶なDNAに組み込まれた[H]チミジンの規模を液体シンチレーション計数により定量した。結果は、腫瘍細胞に単独で加えた場合の抗c−Met Mabで見られ得る潜在的な固有アゴニスト活性をより良く評価するために未変換のcpmデータとして表す。
図10は、m224G11 Mabが通常の阻害作用を示すことを示した(74%阻害)。キメラIgG1形態[224G11]chimは、予測されたように、用量依存的な固有のアゴニスト作用とネズミ形態に比べて低いアンタゴニスト作用(74%阻害に対して33%)を示した。[224G11][TH7 chim]はこの実験で、極めて弱いアゴニスト活性を有していた。さらに、それはネズミMabに関して見られたものに近い、高い阻害作用(81%)を示した。この2種類のヒト化形態は固有のアゴニスト作用を持たず、ネズミMabまたは[224G11][TH7 chim]に関して見られたものに近いアンタゴニスト活性([224G11][TH7 Hz1]、および[224G11][TH7 Hz3]でそれぞれ67%および76%の阻害)を持っていた。
実施例10:操作型[TH7]ヒンジ領域に関して切り換えるアイソタイプ
PKSCDCHCPPCPに相当する[TH7]ヒンジ配列によりヒトIgG1以外の免疫グロブリンアイソタイプ骨格に誘導される薬理学的特性の調節を評価するために、本発明者らは上記の[TH7]配列をヒトIgG2およびIgG4骨格へ遺伝的に移入した。ヒンジ領域の改変は、{Nhe1I−Bcl1}制限断片を[TH7]改変を有する均等部分と交換することにより行った。なお、この{NheI−Bcl1}断片はグローバルな遺伝子合成(Genecust, LU)により合成される。クローニング工程は、Laboratory manual (Sambrook and Russel, 2001)に記載されているような慣例の分子生物学的技術に従って、または供給者の説明書に従って行った。各遺伝子構築物をBig Dyeターミネーターサイクルシーケンシングキット(Applied Biosystems, US)を用いたヌクレオチド配列決定により完全にバリデートし、3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems, US)を用いて分析した。得られた結果をTH7操作ヒトIgG2およびIgG4アイソタイプ(重鎖のみ、軽鎖は他の総てのIgG1系構築物に用いられているc224G11/ヒトCκと同じ)のそれぞれアミノ酸配列とヌクレオチド配列に関して配列番号78、79、80、および81として記載する。これらの新規な構築物を上記実施例2のようにキメラ224G11抗c−Met Mabに適用した。
上記のように懸濁に適応したHEK293 EBNA細胞における一時的発現により、対応する操作型抗体c224G11[IgG2TH7]およびc224G11[IgG4TH7]を作出した。
実施例11:ホスホ−c−Met特異的ELISAアッセイおよびBRETアッセイにおける操作型Mabs c224G11[IgG2TH7]およびc224G11[IgG4TH7]の評価
TH7ヒンジをIgG2およびIgG4キメラ224G11 Mabにも導入し、c−Met受容体リン酸化アッセイで試験した。14Aおよび14Bに示されるように、c224G11[IgG2TH7]およびc224G11[IgG4TH7]は微弱ながらc224G11 Mabよりも有意に弱いアゴニスト作用のみを誘導し、224G11 Mabのネズミ形態(m224G11)に匹敵するアンタゴニスト作用を示した。この結果をc−Met活性化BRETモデルで確認したところ(図15)、c224G11[IgG2TH7]およびc224G11[IgG4TH7]もc224G11 Mabより弱いアゴニストを示した。
よって、IgG2またはIgG4 Mab形式に導入されたTH7ヒンジ突然変異は、c224G11[TH7]よりも類似の特性を有する機能的抗体をもたらした。
実施例12細胞接着アッセイ
PC3前立腺癌細胞を、トリプシンを用いてディッシュから剥がし、血清不含F12k培地で3回洗浄し、同じ培地に再懸濁させた。細胞(100,000細胞/ウェル)を、1μg/mlのラミニン1をコーティングした96ウェルプレートにプレーティングした。以下の形態の供試抗CD151 Mabを同時に終濃度10μg/mlで加えた:ネズミIgG1 Mab m214B2、c214B2と呼ばれる非改変キメラIgG1抗体形態およびcTH7−214B2と呼ばれるTH7改変を伴うキメラIgG1抗体形態。
CD151はテトラスパニンファミリーに属す膜タンパク質であり、2008年2月21日にCNCMに提出されたハイブリドーマI−3919により生産される抗CD151 Mab 214B2は公開特許出願WO2009/136070 号公報に記載されている。
ネズミおよびヒトIgG1抗体をアイソタイプ対照抗体として用いた。最終条件は次の通りである:100000細胞/ウェルおよび抗体10μg/ml。37℃で1時間インキュベートした後、これらのプレートを軽くたたき落とし、血清不含F12k培地で2回洗浄した。分析前に100μlの血清不含F12k培地を各ウェルに分注した。細胞接着ウェルに対する抗体の影響を評価するため、位相差顕微鏡下で写真撮影を行った(図16)。その後、ATPアッセイを用いて接着した細胞の数を求めた(図17)。
ネズミ214B2抗体およびキメラTH7−214B2抗体は、細胞と細胞との相互作用を改質することができ(図16)、PC3細胞接着を均等に増強することができたが(図17)、214B2の非改変キメラ形態(c214B2)を用いた場合の効果は無かった(ヒトIgG1アイソタイプ対照抗体に匹敵)。
図1Aおよび1Bは一連のネズミ抗c−Met Mab、およびヒトIgG1/κアイソタイプとして生成された対応するキメラ抗c−Met Mabの、A549細胞におけるc−Met受容体リン酸化に対する作用図1A:HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激に対するパーセンテージとして算出されたアゴニスト作用図1B:HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激の阻害率(%)として算出されたアンタゴニスト作用 図2Aおよび2BはA549細胞におけるc−Met受容体リン酸化に対する、種々の操作されたヒンジ領域を含むネズミ224G11Mabと、キメラ224G11Mabとの比較図2A:HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激に対するパーセンテージとして算出されたアゴニスト作用図2B:HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激の阻害率(%)として算出されたアンタゴニスト作用 図3Aおよび3Bはc−Metの二量体化および活性化BRETモデル c−Metの二量体化および活性化BRETモデル c−Metの二量体化および活性化BRETモデル 図6Aおよび6Bはキメラおよびヒト化224G11型によるc−Metの認識 図7A、7B、および7Cはin vitroにおける、HGFにより誘導されるNCI−H441細胞の増殖に対するネズミ抗体およびキメラ抗の作用。NCI−H441細胞を血清不含培地にプレーティングした。プレーティング24時間後に、(図7A)m11E1および[11E1]chim、(図7B)m227H1および[227H1]chimまたは(図7C)m224G11および[224G11]chimをそれぞれHGFの非存在下または存在下に加えた。黒い矢印はHGFの非存在下(左斜め下方向の矢印)または存在下(右斜め下方向の矢印)のいずれかで、細胞を単独でプレーティングしたウェルを示す。ネズミIgG1(mIgG1)をアイソタイプ対照として含めた。 in vivo におけるNCI−H441異種移植モデルに対するネズミ224G11 Mabとキメラ224G11 Mabとの比較 図9Aおよび9はBin vitroにおける、HGFにより誘導されるNCI−H441細胞の増殖に対するネズミ224G11 Mab、ならびにこの抗体の種々のキメラ型およびヒト化型の作用。NCI−H441細胞を血清不含培地にプレーティングした。プレーティング24時間後に、被処理抗体をHGFの非存在下または存在下で加えた。パネル(図9A)は、ネズミm224G11、キメラIgG1[224G11]chim、ヒト化IgG1[224G11][Hz1]、[224G11][Hz2]、[224G11][Hz3]型を示した。パネル(図9B)に、ネズミm224G11および種々のキメラIgG1型([224G11]chim、[224G11][MH chim]、[224G11][MHUP9H chim]、[224G11][MMCH chim]、[224G11][TH7 chim])を示した。黒い矢印はHGFの非存在下(左斜め下方向の矢印)または存在下(右斜め下方向の矢印)のいずれかで、細胞を単独でプレーティングしたウェルを示す。ネズミIgG1をアゴニスト活性の陰性対照として含めた。m5D5を用量依存的完全アゴニスト対照として用いた。 in vitroにおける、HGFにより誘導されるNCI−H441細胞の増殖に対するネズミ224G11 Mab、ならびにこの抗体の種々のキメラ型およびヒト化型の作用。NCI−H441細胞を血清不含培地にプレーティングした。プレーティング24時間後に、被処理抗体をHGFの非存在下または存在下で加えた。ネズミm224G11、[224G11]chim、[224G11][TH7 chim])IgG1キメラ型および[224G11][TH7 Hz1]、[224G11][TH7 Hz3])を示した。黒い矢印はHGFの非存在下(左斜め下方向の矢印)または存在下(右斜め下方向の矢印)のいずれかで、細胞を単独でプレーティングしたウェルを示す。ネズミIgG1をアゴニスト活性の陰性対照として含めた。m5D5を用量依存的な完全アゴニスト対照として用いた。 図11A−11BはA549細胞におけるc−Met受容体のリン酸化に対する、操作されたヒンジを有する本発明の一連の抗c−Met Mabの作用。図11Aおよび11B:HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激に対するパーセンテージとして算出されたアゴニスト作用。図12Aおよび12B:HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激に対するパーセンテージとして算出されたアンタゴニスト作用 図12A−12BはA549細胞におけるc−Met受容体のリン酸化に対する、操作されたヒンジを有する本発明の一連の抗c−Met Mabの作用。図11Aおよび11B:HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激に対するパーセンテージとして算出されたアゴニスト作用。図12Aおよび12B:HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激に対するパーセンテージとして算出されたアンタゴニスト作用 図13Aおよび13Bはc−Met二量体化および活性化のBRETモデル HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激に対するパーセンテージとして算出されたアゴニスト作用 HGF[100ng/ml]によるc−Metリン酸化の最大刺激に対するパーセンテージとして算出されたアンタゴニスト作用 c−Met二量体化および活性化のBRETモデル PC3細胞接着に対する種々の形態のMab 214B2の作用に関する顕微鏡分析 ATPアッセイを用いた、PC3細胞間接着に対する種々の形態のMab 214B2の作用に関する分析。各ウェルにおいて、接着した細胞の数を0〜200000細胞/ウェルまで、PC3標準曲線を用いて決定した。結果を以下のように表す:非処理細胞を参照(100%)とし、処理細胞を参照の%として表す。

Claims (14)

  1. 特定の標的分子に対するモノクローナル抗体、またはその二価の機能的断片もしくは誘導体の拮抗活性を改良する方法であって、該抗体は該標的分子の1以上の生物活性を阻害することができ、少なくとも一つのアミノ酸の欠失、付加、または置換によるヒンジ領域のアミノ酸配列の改変からなるヒンジ領域の再構成工程を含んでなり、アミノ酸配列の改変によって得られた再構成されたヒンジ領域が、配列番号1、2、4、6、7、22〜29、33〜39、および42〜49からなる群から選択される配列を有するヒンジ領域である、方法。
  2. モノクローナル抗体が二価抗体である、請求項1に記載の方法。
  3. モノクローナル抗体がキメラ抗体である、請求項1または2に記載の方法。
  4. モノクローナル抗体がヒト化抗体である、請求項1または2に記載の方法。
  5. モノクローナル抗体がヒト抗体である、請求項1または2に記載の方法。
  6. モノクローナル抗体がIgG1である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 標的分子が膜貫通受容体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 膜貫通受容体がチロシンキナーゼ受容体、テトラスパニン、およびGPCRからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 特定の標的分子に対するモノクローナル抗体、またはその二価機能的断片または誘導体をアンタゴニストに関してスクリーニングする方法であって、該抗体は該標的分子の1以上の生物活性を阻害することができ、
    (a)該標的分子の該一以上の生物活性の、初期レベルの阻害を有する初期抗体を選択する工程、
    (b)該初期抗体のヒンジ領域のアミノ酸配列を、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法により改変する工程、
    (c)工程(b)の改変抗体を、その該標的分子の該一以上の生物活性を阻害する能力に関して評価する工程、および
    (d)該標的分子の該一以上の生物活性の阻害レベルが、該阻害の初期レベルよりも高い工程(c)の抗体を陽性結果として選択する工程
    を含んでなる、方法。
  10. 配列番号2、4、6、22〜26、28、29、33〜39、および42〜49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる、モノクローナル抗体。
  11. ヒト抗体である、請求項10に記載のモノクローナル抗体。
  12. IgGl抗体である、請求項10または11に記載のモノクローナル抗体。
  13. 請求項10〜12のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体をコードする単離核酸。
  14. 配列番号16〜20、50〜54、56、57、61〜67、および69〜77からなる群から選択される核酸配列を含んでなる、請求項13に記載の単離核酸。
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