JP5832781B2 - アイスコーティング用油脂組成物及びアイスコーティング用チョコレート - Google Patents

アイスコーティング用油脂組成物及びアイスコーティング用チョコレート Download PDF

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本発明は、冷凍下での噛みだしがソフトでありながら残溶性を示し、且つ冷凍下でのひび割れが防止されたアイスコーティング用チョコレートを得ることができるアイスコーティング用油脂組成物、及び該アイスコーティング用油脂組成物を含有するアイスコーティング用チョコレートに関する。
アイスクリーム、アイスケーキ、アイスキャンディー等の冷菓食品は、食感のバラエティ化、あるいは水分の移行や昇華防止のため、その表面をチョコレートでコーティングすることがある。従来、このアイスコーティング用チョコレートに使用する油脂としては、冷凍温度下においてソフトな食感と良好な食感を求める場合は低融点の油脂、すなわち液状油が使用されていた。しかし、このような液状油を多く使用したアイスコーティング用チョコレートは噛みだしが軟らかすぎることに加え、口中融解性も高すぎるため残溶性(最後にゆっくりと融解する感じがあること)が全くなく、アイスコーティング用チョコレートの食感と被コーティング物である冷菓食品の食感との乖離の問題があり、また、良好な固化性が得られないという問題があった。
一方、冷凍温度下においても良好なスナップ性のある食感を求める場合は、ヤシ油やパーム核油等のラウリン系油脂が使用されていた。しかし、このようなラウリン系油脂を多く使用したアイスコーティング用チョコレートは、噛みだしが硬く噛み砕くような食感であることに加え、口中融解性が極めて高くシャープであるため残溶性が全くなく、アイスコーティング用チョコレートの食感と被コーティング物である冷菓食品の食感との乖離の問題があり、また、コーティングしたチョコレートがひび割れやすいという問題があった。
そこで、これらの問題を解決するために、液状油とラウリン系油脂を混合使用することも行われている(例えば特許文献1参照)。それによって、噛みだしが適度にソフトであるアイスコーティング用チョコレートを得ることができるが、口中融解性が高すぎるため残溶性が全くなく、アイスコーティング用チョコレートの食感と被コーティング物である冷菓食品の食感との乖離の問題は残り、また、固化性が悪い問題、さらには長期の冷凍保管を行うとひび割れを起こす問題があった。
そのため、これらの問題点を解決するための新規なアイスコーティング用チョコレートに使用する油脂として、例えば、以下のような油脂が提案されている。
例えば、パーム油と液状油の選択的エステル交換油脂(例えば特許文献2参照)、SUS型トリグリセリド(対称型トリグリセリド)を多く含有する油脂の分別軟部油(例えば特許文献3及び4参照)、ラウリン系油脂の硬化油を特定量含有する油脂(例えば特許文献5参照)、SSU、SUU(Sは、C16−C24の飽和脂肪酸であり、Uは、18個以上の炭素原子を有する不飽和脂肪酸である)等の非対称型トリグリセリドを特定量含有する油脂(例えば特許文献6及び7参照)等が提案されている。
しかし、特許文献2に記載の油脂は、固化性は良好だが、食感が全体的に硬く噛みだしが硬いことに加え、口中融解性が悪く残溶性が高すぎるため、口溶けが悪く感じられる問題があり、特許文献3及び4に記載の分別軟部油は、固化性を阻害しやすく、噛みだしは適度にソフトであるが口中融解性が悪い問題があり、特許文献5に記載の油脂は、固化性は良好だが、食感が全体的に硬く噛みだしが硬く口中融解性は良好であるが、残溶性が高すぎるため口溶けが悪く感じられる問題に加え、ひび割れしやすいという問題があり、特許文献6及び7に記載の油脂は、固化性は良好だが、噛みだしが硬く、口中融解性がシャープすぎることに加え、残溶性が全くなく、さらにひび割れしやすい問題があった。
アイスコーティング用チョコレートは、噛みだしのソフト性、良好な口中融解性、適度な残溶性を兼備えるものでないと、アイスコーティング用チョコレートの食感と被コーティング物である冷菓食品の食感とを合致させることができない。しかし、上記特許文献1〜7に記載の方法では上述のような食感のアイスコーティング用チョコレートを得ることはできなかった。
ここで、アイスコーティング用チョコレートを、固化性が良好でありながら、噛みだしが適度にソフトであり、口中融解性も良好なものとする方法として、ランダムエステル交換油脂を特定量使用し、特定のSFC(固体脂含量)とする方法(例えば特許文献8参照)が提案されている。
しかし、特許文献8に記載の方法では口中融解性がやや悪く、また、特定のSFCとするために液状油を多く使用する必要があり、そのため、残溶性がなく、アイスコーティング用チョコレートの食感と被コーティング物である冷菓食品の食感との乖離の問題は残ったままであった。
なお、特許文献8で実際に使用しているエステル交換油脂は融点が高く、そのため、ラウリン系油脂を多く使用したアイスコーティング用チョコレートに使用した場合は、当然、固化性が悪化し、噛みだしが硬く、口中融解性が悪くなってしまう問題があった。
特開2004−65070号公報 特開2001−321076号公報 特開平09−172972号公報 特開2002−165561号公報 特開2000−226598号公報 特表平10−506285号公報 特表平10−506286号公報 特開2010−268749号公報
本発明の目的は、固化性が高く、冷凍下での噛みだしがソフトでありながら口中融解性が良好で、残溶性を示し、且つ冷凍下でのひび割れが防止されたアイスコーティング用チョコレートを得ることができるアイスコーティング用油脂組成物、及び該アイスコーティング用油脂組成物を含有するアイスコーティング用チョコレートを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々検討した結果、アイスコーティング用油脂組成物に使用する油脂として特定のランダムエステル交換油脂を使用した場合、上記課題を全て解決可能であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、液状油と極度硬化油をエステル交換したエステル交換油脂を使用した油脂組成物であって、該エステル交換油脂のSFC(固体脂含量)が0℃で5〜25%、20℃で1〜5%、40℃で0〜2%であることを特徴とするアイスコーティング用油脂組成物、及び該アイスコーティング用油脂組成物を含有するアイスコーティング用チョコレートを提供するものである。
本発明のアイスコーティング用油脂組成物を用いた場合、ラウリン系油脂を主体とするアイスコーティング用チョコレートでも、液状油を主体とするアイスコーティング用チョコレートでも、冷凍下での噛みだしがソフトでありながら口中融解性が良好で、残溶性を示し、且つ冷凍下でのひび割れが防止されたアイスコーティング用チョコレートを得ることができる。
以下、本発明のアイスコーティング用油脂組成物について、その好ましい実施形態に基づいて詳述する。
本発明のアイスコーティング用油脂組成物で使用されるエステル交換油脂は、液状油と極度硬化油をエステル交換し、SFC(固体脂含量)を特定の値としたエステル交換油脂である。
上記液状油としては、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂を分別することで得られた軟部油であって、常温で液状である油脂も使用することもできる。また、これらの油脂に対し水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂についても、得られる加工油脂が常温で液状である範囲内において使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明では、上記液状油として、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油を使用することが好ましく、より好ましくは、噛みだしのソフト感と、冷凍下でのひび割れがより少ないアイスコーティング用チョコレートが得られる点で、菜種油(キャノーラ油)を使用することが好ましい。
上記極度硬化油としては、食用油脂に対し、ヨウ素価が好ましくは5以下、更に好ましくは2以下、最も好ましくは1以下となるまで水素添加することによって得られる水素添加油脂を挙げることができる。水素添加に用いる食用油脂としては、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、ハイエルシン菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油、からし油等の常温で液体の油脂に限らず、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂、また、これらの油脂に対し水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することができる。本発明においては、上記水素添加に用いる油脂として、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を混合した混合油を用いることもできる。
また、上記極度硬化油として、上記のようにして得られた極度硬化油を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明では上記極度硬化油として、炭素数16の飽和脂肪酸含量が10〜35質量%、好ましくは15〜25質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が15〜50質量%、好ましくは25〜45%質量である極度硬化油を使用することが、固化性、残溶性がともに極めて良好であり、さらには冷凍下でのひび割れ防止されたアイスコーティング用チョコレートが得られる点で好ましい。
上記特定の脂肪酸比を有する極度硬化油を得るには、炭素数16の脂肪酸を多く含有する油脂の極度硬化油と、炭素数20以上の脂肪酸を多く含有する油脂の極度硬化油とを混合する方法や、炭素数16の脂肪酸を多く含有する油脂と炭素数20以上の脂肪酸を多く含有する油脂との混合油脂を水素添加により極度硬化油とする方法が挙げられる。
炭素数16の脂肪酸を多く含有する油脂としては、パーム油、あるいはパーム油に対し水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を挙げることができ、好ましくはパーム油及び/又はパーム分別硬部油を使用する。また、炭素数20以上の脂肪酸を多く含有する油脂としては、ハイエルシン菜種油、からし油、及びこれらの油脂に対し水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を挙げることができ、好ましくはハイエルシン菜種油を使用する。
本発明のアイスコーティング用油脂組成物においては、上記液状油と上記極度硬化油をエステル交換したエステル交換油脂を使用するが、ここで、エステル交換前の液状油及び極度硬化油の配合割合は、良好な本発明の効果を得るためには、極度硬化油の配合割合が5〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは12〜25質量%、さらに好ましくは12〜20質量%である。ここで極度硬化油の配合割合が5質量%未満であると、アイスコーティング用チョコレートに適切な固化性、残溶性を付与することができず、一方、35質量%を超えると、アイスコーティング用チョコレートの噛みだしが硬くなりやすく、口中融解性も悪くなり、また、ひび割れを生じやすくなる。
本発明のアイスコーティング用油脂組成物は、上記のエステル交換油脂のみからなっていてもよく、また上記のエステル交換油脂の他に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、油溶性の乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料等が挙げられる。またアイスコーティング用油脂組成物は、上記のエステル交換油脂以外の他の油脂を40質量%以下含有していてもよい。
なお、エステル交換の反応は、常法に従って行うことができ、化学的触媒による方法でも、酵素による方法でもよいが、ランダムエステル交換反応であることが必要である。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記酵素としては、位置選択性のない酵素、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼが挙げられる。なお、該リパーゼは、イオン交換樹脂あるいはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
上記エステル交換油脂は、SFC(固体脂含量)が0℃で5〜25%、好ましくは5〜15%、より好ましくは10〜15%、20℃で1〜5%、好ましくは、1〜4%、より好ましくは1〜3%、40℃で0〜2%、好ましくは0〜1%、より好ましくは0%である。
SFCが0℃で5%未満又は20℃で1%未満であると、アイスコーティング用チョコレートに適切な固化性、残溶性を付与することができなくなる。一方、SFCが0℃で25%を超えると、及び/又は20℃で5%を超えると、アイスコーティング用チョコレートの噛みだしが硬くなりやすく、口中分散性も悪くなりやすいことに加え、ひび割れを生じやすくなる。更に、SFCが40℃で2%を超えると、口中融解性が悪く残溶性が高すぎるため、口溶けが悪くなってしまう。
次に本発明のアイスコーティング用チョコレートについて述べる。
本発明のアイスコーティング用チョコレートは、上記のようにして得られた本発明のアイスコーティング用油脂組成物を含有するものである。
本発明のアイスコーティング用チョコレートにおける上記アイスコーティング用油脂組成物の含有量は、アイスコーティング用チョコレートの油相中に、油相基準で好ましくは10〜95質量%、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜80質量%、最も好ましくは51〜80質量%である。油相中のアイスコーティング用油脂組成物の含有量が10質量%未満であると、本発明の効果、特に、噛みだしのソフト感、残溶性、ひび割れ防止効果が得られないおそれがある。また、95質量%超であると、良好な固化性や口中融解性が得られないおそれがある。
本発明のアイスコーティング用チョコレートは、上記アイスコーティング用油脂組成物に加え、極めて高くシャープである口中融解性を得るためには、ラウリン系油脂を含有することが好ましい。
なお、本発明においてラウリン系油脂とは、油脂の構成脂肪酸組成において炭素数12の飽和脂肪酸含量が50質量%以上である油脂をいい、具体的にはヤシ油、パーム核油、さらには、これらの油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を挙げることができる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできるが、良好な口溶けと良好なスナップ性を得ることが可能な点で、ヤシ油及び/又はパーム核油を使用することが好ましく、より好ましくはヤシ油を使用する。
本発明のアイスコーティング用チョコレートにおける上記ラウリン系油脂の含有量は、アイスコーティング用チョコレートの油相中に、油相基準で好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
本発明のアイスコーティング用チョコレートは、上記アイスコーティング用油脂組成物に加え、残溶性が極めて良好であるアイスコーティング用チョコレートを得るためには、カカオ脂分別軟部油、シア脂分別軟部油及びサル脂分別軟部油から選択される1種又は2種以上の分別軟部油を含有することが好ましく、より好ましくはシア脂分別軟部油を含有する。
上記カカオ脂分別軟部油、シア脂分別軟部油及びサル脂分別軟部油から選択される1種又は2種以上の分別軟部油のヨウ素価は、好ましくは40以上、より好ましくは50〜76である。
本発明のアイスコーティング用チョコレートにおける上記カカオ脂分別軟部油、シア脂分別軟部油及びサル脂分別軟部油から選択される1種又は2種以上の分別軟部油の含有量は、アイスコーティング用チョコレートの油相中に、油相基準で好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜25質量%である。
本発明のアイスコーティング用チョコレートは、上述の油脂以外に、一般のアイスコーティング用チョコレートに使用することのできるその他の油脂を含有させることができる。
上記その他の油脂としては、求めるアイスコーティング用チョコレートの硬さに応じ、適宜選択することができ、その代表例としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、シア脂、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂も用いることができ、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂(ただし、カカオ脂分別軟部油、シア脂分別軟部油及びサル脂分別軟部油から選択される1種又は2種以上の分別軟部油以外)を使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明のアイスコーティング用チョコレートにおける上記その他の油脂の含有量は、アイスコーティング用チョコレートの油相中に、油相基準で好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜45質量%である。
本発明のアイスコーティング用チョコレートが、ラウリン系油脂を含有する場合は、アイスコーティング用チョコレートの油相のSFC(固体脂含量)が、10℃で好ましくは5〜75%、より好ましくは7〜50%、更に好ましくは11〜40%、20℃で好ましくは2〜65%、より好ましくは3〜45%、更に好ましくは5〜25%、40℃で好ましくは0〜6%、より好ましくは0〜4%、更に好ましくは0〜3%である。
SFCが10℃で5%未満、及び/又は20℃で2%未満であると、シャープな口中融解性が得られにくい。一方、SFCが10℃で75%を超えると、及び/又は20℃で65%を超えると、冷凍下での食感が硬くなりすぎ、また口溶けも悪くなる。
また、本発明のアイスコーティング用チョコレートが、ラウリン系油脂を含有しない場合は、アイスコーティング用チョコレートの油相のSFC(固体脂含量)が、10℃で好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜15%、更に好ましくは1〜10%、20℃で好ましくは1〜15%、より好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜8%、40℃で好ましくは0〜6%、より好ましくは0〜4%、更に好ましくは0〜3%である。
SFCが10℃又は20℃で1%未満であると、アイスコーティング用チョコレートとしての適切な固化速度が得られにくい。一方、SFCが10℃で20%を超えると、及び/又は20℃で15%を超えると、噛み出しがソフトあるアイスコーティング用チョコレートが得られにくい。
また、本発明のアイスコーティング用チョコレートは、トランス酸を実質的に含有しないことが好ましい。ここでいう「トランス酸を実質的に含有しない」とは、トランス酸含量が、本発明のアイスコーティング用チョコレートに含まれている油脂の全構成脂肪酸中、好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満、最も好ましくは2質量%未満であることを意味する。
水素添加は油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、これによって得られる水素添加油脂は、完全水素添加油脂を除いて、通常構成脂肪酸中にトランス酸が10〜50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス酸を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものが要求されている。
本発明では、上記本発明のアイスコーティング用油脂組成物に使用する液状油及び極度硬化油が実質的にトランス酸を含有しないため、上記ラウリン系油脂、上記分別軟部油、及び上記その他の油脂として、それぞれ実質的にトランス酸を含有しない油脂を使用することで、水素添加油脂を使用せずとも良好なコンステンシーを有し、トランス酸を実質的に含有しないアイスコーティング用チョコレートを簡単に得ることができる。
本発明のアイスコーティング用チョコレートにおける油脂分含量は、好ましくは35〜80質量%、特に好ましくは40〜70質量%である。油脂分含量が35質量%未満であると、コーティング時のアイスコーティング用チョコレートの粘度が高くなり、薄く均一なコーティングが不可能となることがあり、80質量%超であると、アイスコーティング用チョコレートが薄く均一となるが呈味成分の味が薄く、アイスコーティング用チョコレートには適さないおそれがあることに加え、油性感が強い食感となってしまう。
なお、この油脂分含量は、アイスコーティング用チョコレートに直接配合する油脂以外に、アイスコーティング用チョコレートに油脂分を含有する食品素材や食品添加物を使用した場合には、それらに含まれる油脂分をあわせて算出するものとする。
本発明のアイスコーティング用チョコレートにおいて、油相の含量は、好ましくは35〜83質量%、特に好ましくは40〜72質量%である。本発明における油相は、以下の操作(油相抽出方法)によりアイスコーティング用チョコレートから抽出される部分である。通常、油相には、上述のアイスコーティング用油脂組成物、ラウリン系油脂、分別軟部油、その他の油脂、及び食品素材や食品添加物に含有される油脂分が含まれるほか、油溶性の任意成分(例えば、油溶性の乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料)を使用した場合には、これらも含まれる。
上記油相抽出方法:基準油脂分析法に記載のソックスレー抽出法。すなわち、試料10gを、ソックスレー抽出器で、ジエチルエーテルを用いて抽出する。
本発明のアイスコーティング用チョコレートには、カカオマス・ココアパウダー等のカカオ原料、脱脂粉乳・全粉乳・クリーム・牛乳・乳清ミネラル等の乳や乳製品等の一般的なチョコレートに通常使用することのできる原材料はもちろん、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸・乳酸・グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア・アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン・カラメル・紅麹色素等の着色料、トコフェロール・茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、香辛料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー原料等の各種食品素材や食品添加物を含有させることができる。
ただし、本発明のアイスコーティング用チョコレートにおいては、水分含量が高いと固化性が著しく悪化するため、水分含量は少ないほど好ましく、好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下とする。なお、この水分含量には、アイスコーティング用チョコレートに直接配合する水以外に、アイスコーティング用チョコレートに水分を含有する食品素材や食品添加物を使用した場合には、それらに含まれる水分をあわせて算出するものとする。
本発明のアイスコーティング用チョコレートに任意成分として含有させることができる上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができ、その好ましい添加量は、本発明のアイスコーティング用チョコレート中に、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%である。
本発明のアイスコーティング用チョコレートは、本発明の効果を高めることができる点で、上記乳化剤の中でも、結合脂肪酸の主体が飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルを、アイスコーティング用チョコレートの油相中に、油相基準で好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.1〜1質量%含有することが好ましい。ここでいう「結合脂肪酸の主体が飽和脂肪酸である」とは、その結合脂肪酸の脂肪酸組成において、飽和脂肪酸の割合が好ましくは65質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%であることを意味する。
上記飽和脂肪酸の種類は、好ましくは炭素数16以上の飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数18以上の飽和脂肪酸である。飽和脂肪酸の炭素数の上限は、特に制限されるものではないが、通常は多くても24である。
また、結合脂肪酸の主体が飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは6以下であり、さらに好ましくは5以下である。HLBの下限は、特に制限されるものではないが、通常小さくても0である。
また、本発明のアイスコーティング用チョコレートは、コーティング時の粘度を低くさせる効果が高いことから、レシチンを、アイスコーティング用チョコレート中に、0.05〜2質量%、特に0.1〜1質量%含有することが好ましい。なお、上記レシチンは、リゾレシチンを含むものである。
本発明のアイスコーティング用チョコレートに含有させることができる上記糖類や糖アルコールとしては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、蔗糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、果糖、黒糖、三温糖、麦芽糖、乳糖、シクロデキストリン、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、キシロース、トレハロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アラビノース、パラチノースオリゴ糖、アガロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ヘミセルロース、モラセス、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、カップリングシュガー、ラフィノース、ラクチュロース、テアンデオリゴ糖、ゲンチオリゴ糖等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができ、その好ましい添加量は、本発明のアイスコーティング用チョコレート中、糖類と糖アルコールとを合計した含有量が、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。
本発明のアイスコーティング用チョコレートに含有させることができる上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記増粘安定剤の好ましい含有量は、本発明のアイスコーティング用チョコレート中に、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%である。
なお、本発明のアイスコーティング用チョコレートでいうチョコレートとは、全国チョコレート業公正取引協議会で規定されたチョコレート、準チョコレートだけでなく、生チョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等の油脂加工食品も含まれるものである。
本発明のアイスコーティング用チョコレートがカカオ原料を含有する場合、アイスコーティング用チョコレート中のカカオ原料の含有量は、好ましくは5〜50質量%である。なお、ここでいうカカオ原料の含有量は、カカオ原料中に含まれる油分も含めた量である。また、上記エステル交換した油脂や上記その他の油脂にカカオ脂を使用した場合は、該カカオ脂も含めた量である。
次に、本発明のアイスコーティング用チョコレートの好ましい製造方法について説明する。
本発明のアイスコーティング用チョコレートは、油脂として本発明のアイスコーティング用油脂組成物を使用する以外は、一般的なアイスコーティング用チョコレートと同様の製造方法によって得ることができる。
本発明のアイスコーティング用チョコレートは、例えば、上記本発明のアイスコーティング用油脂組成物に、必要に応じ、ラウリン系油脂、並びにカカオ脂分別軟部油、シア脂分別軟部油及びサル脂分別軟部油から選択される1種又は2種以上の分別軟部油やその他の油脂を加え、さらに、カカオ原料、乳や乳製品をはじめとする、各種食品原料や食品添加物を加え、混合、ロール掛け、コンチングすることにより得ることができる。
この場合、上記本発明のアイスコーティング用油脂組成物を少なくとも含有するハードバター組成物をいったん製造してから、該ハードバター組成物に各種食品原料や食品添加物を加え、混合、ロール掛け、コンチングすることにより本発明のアイスコーティング用チョコレートを得ることもできる。
また、市販のチョコレートを加温・軟化させ、該チョコレートに上記本発明のアイスコーティング用油脂組成物と、必要に応じ、ラウリン系油脂、並びにカカオ脂分別軟部油、シア脂分別軟部油及びサル脂分別軟部油から選択される1種又は2種以上の分別軟部油やその他の油脂を加え、均質に混合することにより得ることもできる。
この場合、各種食品原料や食品添加物を同時に添加することも可能である。食品原料を添加する場合、該原料が液状のもの以外、特に粉末状のものである場合は添加・混合後、滑らかな食感のアイスコーティング用チョコレートとするためには、コンチングすることが好ましい。
上述のようにして得られた本発明のアイスコーティング用チョコレートは、冷凍食品のコーティング用に利用することができる。
コーティングの対象となる冷凍食品としては、アイスクリーム、アイスキャンディー、セミフレッドケーキ、冷凍ケーキ、冷凍パン、冷凍クッキー、アイスもなか、アイスコーン等の冷菓をはじめ、冷凍パイ、冷凍パン生地等の冷凍ベーカリー生地、畜肉及び畜肉加工食品、魚肉及び水産加工食品等が挙げられるが、本発明のアイスコーティング用チョコレートは、アイスクリーム、アイスキャンディーに特に適している。
本発明のアイスコーティング用チョコレートのこれらの冷凍食品へのコーティング方法としては、滴下、塗布、スプレー、浸漬、どぶ漬け等の方法が挙げられる。
なお、上記冷凍食品における本発明のアイスコーティング用チョコレートの使用量は、冷凍食品の種類に応じて任意であり、特に制限されるものではない。
以下、本発明を実施例等により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等により何等制限されるものではない。
<エステル交換油脂の製造>
〔製造例1〕エステル交換油脂Aの製造
菜種油(キャノーラ油)80質量部に、極度硬化油として、パーム油の極度硬化油と、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油とを50:50の質量比で混合した混合油脂(炭素数16の飽和脂肪酸含量が24質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が30質量%)20質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で15%、20℃で3%、40℃で0%であるエステル交換油脂Aを得た。
〔製造例2〕エステル交換油脂Bの製造
菜種油(キャノーラ油)80質量部に、パーム油の極度硬化油(炭素数16の飽和脂肪酸含量が44質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が0質量%)20質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で13%、20℃で2%、40℃で0%であるエステル交換油脂Bを得た。
〔製造例3〕エステル交換油脂Cの製造
菜種油(キャノーラ油)80質量部に、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油(炭素数16の飽和脂肪酸含量が3質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が59質量%)20質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で17%、20℃で4%、40℃で0%であるエステル交換油脂Cを得た
〔比較製造例1〕エステル交換油脂Dの製造
ヨウ素価65のパーム分別軟部油にナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で32%、20℃で16%、40℃で2%であるエステル交換油脂Dを得た。
〔比較製造例2〕エステル交換油脂Eの製造
菜種油(キャノーラ油)70質量部に、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油(炭素数16の飽和脂肪酸含量が3質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が59質量%)30質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で34%、20℃で12%、40℃で2%であるエステル交換油脂Eを得た。
<アイスコーティング用チョコレートの製造>
〔実施例1〕
エステル交換油脂Aをそのまま本発明のアイスコーティング用油脂組成物として用い、下記の配合・製法で、本発明のアイスコーティング用チョコレートを作成した。
エステル交換油脂A55質量%、ヤシ油15質量%、菜種油(キャノーラ油)29.6質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(ヘキサグリセリンヘキサステアレート)0.4質量%からなる油脂混合物を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ハードバター組成物Aを作製した。
カカオマス(油分含量=55質量%)3.0質量部、ココアパウダー(油分含量=11質量%)17.0質量部、砂糖29.6質量部、ハードバター組成物A50.0質量部、レシチン0.4質量部を、常法により、ロール掛けした後、コンチングして、本発明のアイスコーティング用チョコレートを得た。
得られたアイスコーティング用チョコレートの油相のSFCは10℃で16%、20℃で7%、40℃で0%であった。
得られたアイスコーティング用チョコレートは、トランス酸含量が2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
〔実施例2〕
エステル交換油脂Aをエステル交換油脂Bに変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、ハードバター組成物Bを作製し、ハードバター組成物Bを用いて本発明のアイスコーティング用チョコレートを作成した。
得られたアイスコーティング用チョコレートの油相のSFCは10℃で17%、20℃で8%、40℃で0%であった。
得られたアイスコーティング用チョコレートは、トランス酸含量が2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
〔実施例3〕
エステル交換油脂Aをエステル交換油脂Cに変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、ハードバター組成物Cを作製し、ハードバター組成物Cを用いて本発明のアイスコーティング用チョコレートを作成した。
得られたアイスコーティング用チョコレートの油相のSFCは10℃で18%、20℃で10%、40℃で0%であった。
得られたアイスコーティング用チョコレートは、トランス酸含量が2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
〔比較例1〕
エステル交換油脂Aをエステル交換油脂Dに変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、ハードバター組成物Dを作製し、ハードバター組成物Dを用いて比較例のアイスコーティング用チョコレートを作成した。
得られたアイスコーティング用チョコレートの油相のSFCは10℃で25%、20℃で16%、40℃で0%であった。
得られたアイスコーティング用チョコレートは、トランス酸含量が2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
〔比較例2〕
エステル交換油脂Aをエステル交換油脂Eに変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、ハードバター組成物Eを作製し、ハードバター組成物Eを用いて比較例のアイスコーティング用チョコレートを作成した。
得られたアイスコーティング用チョコレートの油相のSFCは10℃で30%、20℃で17%、40℃で0%であった。
得られたアイスコーティング用チョコレートは、トランス酸含量が2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
〔実施例4〕
実施例1におけるハードバター組成物Aの配合について、シア脂分別軟部油(ヨウ素価61)を15質量%配合し、エステル交換油脂Aの配合量を55質量%から40質量%に変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、ハードバター組成物Fを作製し、ハードバター組成物Fを用いて本発明のアイスコーティング用チョコレートを作成した。
得られたアイスコーティング用チョコレートの油相のSFCは10℃で16%、20℃で8%、40℃で0%であった。
得られたアイスコーティング用チョコレートは、トランス酸含量が2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
<評価>
上記実施例1〜4及び比較例1〜2で得られたアイスコーティング用チョコレートを、いったん55℃で融解後、40℃で調温した。ここに、−20℃に保存しておいたアイスクリームを浸漬し、その表面をコーティングし、チョココーティングアイスクリームを得た。その際の固化性について、下記評価基準に従い評価し、結果を表1に記載した。
また、得られたチョココーティングアイスクリームを−20℃に3日間保管した後、試食し、チョコレート部分について下記評価基準に従い食感(噛みだし、口中融解性、残溶性)を評価し、結果を表1に記載した。
さらに、得られたチョココーティングアイスクリームを−20℃に30日間保管し、そのチョコレート部分のひび割れの状態について、下記評価基準に従い評価し、結果を表1に記載した。
・固化性評価基準
◎:−20℃下で1分未満で固化
○:−20℃下で1分以上1.5分未満で固化
△:−20℃下で1.5分以上2分未満で固化
×:−20℃下で2分以上で固化
・食感評価基準
(噛みだし)
◎:ある程度の粘りと可塑性がある良好なソフト性の噛みだしであった。
○:やや良好なソフト性の噛みだしであった。
△:ソフトすぎて歯ごたえが全くない噛みだしであった。
×:スナップ性があり、硬い噛みだしであった。
××:硬すぎて噛み砕く感じである。
(口中融解性)
◎:ゆっくりとなめらかに溶解する感じで極めて良好であった。
○:なめらかに溶解する感じで良好であった。
△:シャープであり、やや不良であった。
×:口溶けが悪く、不良であった。
××:口溶けが極めて悪く、極めて不良であった。
(残溶性)
◎+:コクのある濃厚な風味がラストに感じられ、極めて良好であった。
◎:コクのある風味がラストに感じられ、極めて良好であった。
○:ラストに若干のコク味が感じられ、良好であった。
△:ラストにわずかにしかコク味が感じられず、やや不良であった。
×:あっさりとした感じであり、不良であった。
・ひび割れ評価基準
◎:ひび割れはまったくみられなかった。
○:ごくわずかにひび割れがみられた。
△:若干のひび割れがみられた。
×:激しいひび割れがみられた。
Figure 0005832781

Claims (7)

  1. 液状油と極度硬化油の混合油をエステル交換したエステル交換油脂を使用した油脂組成物であって、該エステル交換油脂のSFC(固体脂含量)が、0℃で5〜25%、20℃で1〜5%、40℃で0〜2%であり、
    上記エステル交換油脂における上記極度硬化油の配合割合が5〜35質量%であり、
    上記液状油が大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油であり、
    上記極度硬化油がパーム油の極度硬化油及び/又はハイエルシンナタネ油の極度硬化油であることを特徴とするアイスコーティング用油脂組成物。
  2. 上記極度硬化油として、炭素数16の飽和脂肪酸含量が10〜35質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が15〜50質量%である極度硬化油を使用したことを特徴とする請求項1記載のアイスコーティング用油脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載のアイスコーティング用油脂組成物を含有することを特徴とするアイスコーティング用チョコレート。
  4. さらに、カカオ脂分別軟部油、シア脂分別軟部油及びサル脂分別軟部油から選択される1種又は2種以上の分別軟部油を含有することを特徴とする請求項記載のアイスコーティング用チョコレート。
  5. さらに、ラウリン系油脂を含有することを特徴とする請求項3又は4記載のアイスコーティング用チョコレート。
  6. トランス酸を実質的に含有しないことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のアイスコーティング用チョコレート。
  7. 結合脂肪酸の65質量%以上が飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のアイスコーティング用チョコレート。
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