以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。先ずシート及びシート状毛髪化粧品を収容する外装容器について説明する。シート及び外装容器については本発明においては特に限定されず、任意のものを用いることができる。シート状毛髪化粧品を介し髪を手櫛で梳きやすくし、後述する液状化粧料組成物の毛髪への移行性が良く、液状化粧料組成物を毛髪に薄く均一に塗布し、跳ね毛や浮き毛を抑えて毛髪にまとまりを与える観点、及び携行性に優れる観点から以下に説明するシート及び外装容器が好ましい。図1には、本発明の一実施形態のシート状毛髪化粧品を外装容器内に収容した毛髪化粧品の一実施形態を、一部破断した斜視図が示されている。同図に示す、毛髪化粧品10は外装容器11を有している。外装容器11は、例えば1枚のシート材を加工することで形成されている。具体的には、1枚のシート材における対向する一対の辺どうしが重なるように接合して(図示せず)、該シート材を筒状に形成し、筒状となった該シート材における2つの開口部をそれぞれヒートシール部11a等によって封止することで形成されている。なお、以下の説明において、本実施形態のシート状毛髪化粧品を外装容器に収容した毛髪化粧品10のことを、単に「本実施形態の毛髪化粧品10」とも言う。
外装容器11を構成するシート材としては、例えば通常使用する範囲で非透水性のものを用いることができる。非透水性であることに加えて、該シート材はシート状毛髪化粧品から揮散した水蒸気やエタノールが非透過性であることが好ましい。このような性質を有するシート材を用いることで、外装容器11内に収容されている湿潤状態のシート12から、液状化粧料組成物が滲出したり揮発したりすることを効果的に防止することができる。このような性質を有するシート材としては、例えばアルミニウムを蒸着した熱可塑性樹脂フィルム、熱可塑性樹脂フィルムの間にアルミニウムを挟んだフィルム等が挙げられる。
外装容器11は、上面11b及びこれに対向する下面(図示せず)を有している。また外装容器11は、第1側面11c及びこれに対向する第2側面(図示せず)も有している。上面11bのほぼ中央の位置には、内容物取出口11dが形成されている。内容物取出口11dは、例えば上面11bの長手方向と同方向に延びる長孔形状とすることができるが、この形状に制限されない。外装容器11内に収容されている湿潤状態のシート12は、この内容物取出口11dを通じて外部へ取り出される。内容物取出口11dの形状は特に限定されないが、内容物取出口11dを通じて湿潤状態のシート12を取り出したときに、該シート12が拡開しやすくなる観点からは、内容物取出口11dは例えば長方形、長楕円形、正方形ないし概正方形、又は円形ないし概円形のような形状をしていることが好ましい。
外装容器11から取り出された湿潤状態のシート12は、後述するように液状化粧料組成物が大量に含浸されているため、湿潤状態のシート12どうしが貼り付き広げにくくなる傾向にあるところ、湿潤状態のシート12を広げやすくする観点から、内容物取出口11dはその開口面積が過度に大きくないことが好ましい。具体的には、内容物取出口11dはその面積を4000mm2以下、好ましくは3000mm2以下、更に好ましくは2500mm2以下に設定することが有利である。一方、シート12に含浸した液状化粧料組成物を十分に含浸させたまま外装容器11から取り出す観点からは、内容物取出口11dはその開口面積が過度に小さくないことが好ましい。具体的には、内容物取出口11dはその面積を25mm2以上、好ましくは100mm2以上、更に好ましくは200mm2以上に設定することが有利である。例えば内容物取出口11dはその面積が25mm2以上4000mm2以下であることが好ましく、100mm2以上3000mm2以下であることが更に好ましく、200mm2以上2500mm2以下であることが一層好ましい。
内容物取出口11dの位置は、外装容器11から取り出された湿潤状態のシート12を広げやすくする観点から、折り畳まれて収納されているシート12における折曲線が、内容物取出口11dから見える位置に配置されるように、該シート12が折り畳まれ、外装容器11内に収容されていることが好ましい。同様の観点から、シート12が折り畳まれているか否かを問わず、シート12の端部が、内容物取出口11dから見える位置に配置されるように、該シート12が外装容器11内に収容されていることが好ましい。
外装容器11の上面11bには、内容物取出口11dの全域を覆うように開閉蓋11eが配置されている。開閉蓋はシート状毛髪化粧品から揮散した水蒸気やエタノール等の内容物を密閉できるものであればどのようなものでもよく、例えばヒンジを有する開閉蓋やシート状、弁状のものが挙げられる。本実施形態においては、開閉蓋11eはシート状のものであり、上面11bとの対向面に接着剤(図示せず)が塗布されており、該接着剤によって、外装容器11の上面11bと開閉蓋11eとが剥離可能になっており、かつ剥離された剥離部分が内容物取出口11dを被覆するように再接着可能になっている。再接着可能な接着剤としては、当該技術分野において従来用いられているもの、例えばポリエステル系、アクリル系、ゴム系等の感圧接着剤を用いることができる。本実施形態の毛髪化粧品10の保存中においては、開閉蓋11eは内容物取出口11dの全域を被覆しており、使用に際して開閉蓋11eの一部又は全部を外装容器11の上面から剥離して内容物取出口11を露出させる。そして内容物取出口11を通じて、外装容器11内に収容されている湿潤状態のシート12を指で摘んで外部へ取り出す。
外装容器11内には、液状化粧料組成物が含浸された湿潤状態のシート状毛髪化粧品13が収容されている。シート状毛髪化粧品13は、所定の形状に折り畳まれているか、又は折り畳まれていない状態で、複数枚が積層されて収容されている。毛髪化粧品10の携帯性を高める観点からは、シート状毛髪化粧品13は折り畳まれて収容されていることが有利である。以下の説明において単に「シート」というときは、文脈に応じ、液状化粧料組成物が含浸された湿潤状態のものを指すか、又は液状化粧料組成物が含浸されていない乾燥状態のものを指す。液状化粧料組成物が含浸されたシート状毛髪化粧品13が外装容器11内に収容されていることで、本実施形態の毛髪化粧品10の携帯性が格段に高まり、外出先等の様々な場面での利便性が良好になる。
外装容器11の内容物取出口の開口面積との関係で、外装容器11内に収容された状態のシート状毛髪化粧品13の平面視での面積は、該シート状毛髪化粧品13が折り畳まれているか否かを問わず、10cm2以上であることが好ましく、400cm2以下であることが好ましく、300cm2以下であることが更に好ましく、200cm2以下であることが一層好ましい。例えば、外装容器11内に収容された状態のシート状毛髪化粧品13の平面視での面積は、10cm2以上400cm2以下であることが好ましく、10cm2以上300cm2以下であることが更に好ましく、10cm2以上200cm2以下であることが一層好ましい。
シート12は、単層のシートであってもよく、あるいは2層以上の多層構造を有するシートであってもよい。また、複数枚の不織布を積層したマルチプライのシートであってもよい。更に、シートの一方の面に、液状毛髪化粧料が浸透しないフィルム(いわゆるバックシート)が付されていてもよい。シート12は、一般に矩形のものであるが、毛髪や頭皮の清拭操作を一層円滑に行う観点から、矩形以外の形状を採用してもよい。
シート12は、ドレープ性が高い柔軟なものであることが好ましい。柔軟であることによって、外装容器11内からシート状毛髪化粧品13を取り出して手のひらに載せたときに、シート状毛髪化粧品13が手指に馴染み操作性が良好になり、含浸された液状化粧料組成物を毛髪に薄く均一に塗布しやすくなる。また、シート状毛髪化粧品13の広げやすさの観点から、適度な剛性が必要である。これらの観点から、液状化粧料組成物の含浸前のシート12の柔軟性を、JIS L1096:2010に準拠してA法(45°カンチレバー法)によって測定された剛軟度で表したときに、この値が10mm以上であることが必要である。また、30mm以上であることが好ましい。また、70mm以下、更に65mm以下、更に60mm以下、更には50mm以下であることが有利である。具体的には剛軟度が10mm以上70mm以下であることが好ましく、10mm以上65mm以下であることが更に好ましく、10mm以上60mm以下であることが一層好ましい。剛軟度が前記の範囲であることは、シート状毛髪化粧品13を外装容器11内から取り出しやすくかつ広げやすくする観点からも有利である。シート12の剛軟度の値は、流れ方向(MD)と幅方向(CD)の剛軟度の相加平均値で算出する。
シート12としては、例えば不織布シート等の繊維材料を構成材料とする繊維シートを用いることができる。液状化粧料組成物の含浸前のシート12が、上述した範囲の剛軟度を達成するためには、例えばシート12を構成する繊維の種類やシート12の製造方法、シートの形状等を適切に選択すればよい。繊維の種類に関しては、シート12は、セルロース系繊維を含有することが有利である。この繊維を構成繊維とすることで、シート12は、液状化粧料組成物の含浸保持性が良好になる。更にシートの剛軟度やドレープ性を適切にし、手ぐしで毛髪を梳きやすくする観点、及び液状化粧料組成物が含浸されたシート状毛髪化粧品13で毛髪や頭皮を清拭するときに、シート状毛髪化粧品13に毛羽立ちや破れ等が生じにくくなる観点から、シート12はセルロース系繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有することが好ましい。
シート12の構成繊維として用いられるセルロース系繊維は、主として、シート12に液状化粧料組成物の含浸保持性を付与するために用いられる。セルロース系繊維としては、例えば天然繊維や再生繊維等の親水性繊維を用いることができる。天然セルロース系繊維としては、例えばコットンやパルプ等が挙げられる。再生セルロース系繊維としては、例えばレーヨン、キュプラ、リヨセル、テンセル等が挙げられる。これらのセルロース系繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シート12の構成繊維として用いられる熱可塑性樹脂繊維は、主として、シート12に適度な耐摩耗性を付与するために用いられる。熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの熱可塑性樹脂からなる繊維は、1種の樹脂のみからなる単一組成のものでもよく、あるいは2種以上の樹脂のブレンド物からなるものでもよい。また、2種以上の樹脂から構成される芯鞘型複合繊維や、サイド・バイ・サイド型複合繊維でもよい。なかでも、熱可塑性樹脂繊維としては、シート12の剛軟度や機械的強度の点から、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維を用いることが好ましい。
シート12がセルロース系繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含有する場合、シート12におけるセルロース系繊維と熱可塑性樹脂繊維との比率は、シート12の剛軟度や機械的強度、及びシート12が液状化粧料組成物を含浸保持する程度を考慮して決定することができる。例えば液状化粧料組成物の含浸前のシート12の質量に基づき、セルロース系繊維の占める含有量は30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上、更には50質量%以上であることが一層好ましい。また、セルロース系繊維の占める含有量は99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることが更に好ましく、95質量%以下であることが一層好ましい。一方、液状化粧料組成物の含浸前のシート12の質量に基づき、熱可塑性樹脂繊維の占める含有量は1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが更に好ましく、25質量%以上であることが更に好ましい。また、熱可塑性樹脂繊維の占める含有量は70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以下が一層好ましい。具体的には、液状化粧料組成物の含浸前のシート12の質量に基づき、セルロース系繊維の占める含有量は30質量%以上99質量%以下であることが好ましく、35質量%以上97質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以上95質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以上95質量%以下が一層好ましい。一方、熱可塑性樹脂繊維に関しては、1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、3質量%以上65質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以上50質量%以下が一層好ましい。
シート12の製造方法の観点からシート12の剛軟度をコントロールするためには、シート12の製造方法として、構成繊維の交点が結合しない方式の製造方法を採用することが有利である。そのような方式の製造方法としては、例えばスパンレース法やニードルパンチ法等の不織布製造方法を採用することができる。更に、剛軟度が低くドレープ性が高いシート12が得られることから、不織布製造方法としてスパンレース法を採用することが好ましい。スパンレース法によってシート12を製造すると、該シート12は、その構成繊維の交絡のみで不織布形態が保たれることになる。なお、場合によっては、構成繊維の交絡のみで不織布形態を保つことに代えて、構成繊維の交絡に加え、構成繊維の交点の一部を、熱融着や接着剤による接着で結合させてもよい。
スパンレース法でシート12を製造する場合には、シート12の構成繊維からなるウエブを形成し、該ウエブに対して流体を吹き付ければよい。流体としては、液体を用いることが好ましいが、場合によっては気体を用いてもよい。流体としては、取り扱い性が容易である点から水を用いることが有利である。スパンレース法においては、流体をウエブに吹き付けるときの圧力等を調整することで、繊維の交絡の程度を調整することができ、それによってシート12の剛軟度を調整することができる。
毛髪及び頭皮の双方の清拭を十分に行い得る量の液状化粧料組成物を含浸させる観点や、毛髪や頭皮の清拭操作を円滑に行う観点から、シート12はその見かけ面積が50cm2以上、更に100cm2以上、更に200cm2以上であることが好ましい。同様の観点から、シート12はその見かけ面積が1600cm2以下、更に900cm2以下、更に700cm2以下であることが好ましい。具体的には、シート12はその見かけ面積が50cm2以上1600cm2以下であることが好ましく、100cm2以上900cm2以下であることが更に好ましく、200cm2以上700cm2以下であることが一層好ましい。見かけ面積とは、シート12を平坦に広げ、平面視した状態でその輪郭によって画定される領域の面積のことである。したがって、シート12が凹凸や開孔を有していても、それらは見かけ面積に影響を及ぼすものではない。
液状化粧料組成物の含浸前のシート12の質量も、液状化粧料組成物の含浸量や、毛髪や頭皮の清拭操作に影響を及ぼす。この観点から、液状化粧料組成物の含浸前のシート12は、その質量が0.5g以上、更に1.0g以上、更に1.5g以上であることが好ましい。また8.0g以下、更に6.0g以下、更に4.0g以下であることが好ましい。具体的には、液状化粧料組成物の含浸前のシート12は、その質量が0.5g以上8.0g以下であることが好ましく、1.0g以上6.0g以下であることが好ましく、1.5g以上4.0g以下であることが更に好ましい。
シート12の質量に関連して、液状化粧料組成物の含浸前のシート12は、シート12にドレープ性を与えて手櫛による毛髪処理の操作性を向上するのに適した剛軟度を与え、液状化粧料組成物を十分に含浸保持させる観点から、その坪量が、10g/m2以上、更に15g/m2以上、更に20g/m2以上、更に25g/m2以上であることが好ましい。同様の観点から、200g/m2以下、更に150g/m2以下、更に100g/m2以下、更に80g/m2以下であることが好ましい。具体的には、液状化粧料組成物の含浸前のシート12は、その坪量が、10g/m2以上200g/m2以下であることが好ましく、15g/m2以上150g/m2以下であることが更に好ましく、20g/m2以上100g/m2以下であることが一層好ましい。
液状化粧料組成物の含浸前のシート12の厚みに関しては、携帯性の点からは薄いことが好ましく、液状化粧料組成物の含浸保持性の点からは厚いことが好ましい。また、耐摩耗性の観点からも厚いことが好ましい。これらのバランスを考慮すると、液状化粧料組成物の含浸前のシート12は、その厚みが、0.3mm超であることが好ましく、0.4mm以上であることが更に好ましく、0.5mm以上であることが更に好ましく、0.7mm以上であることが更に一層好ましく、0.8mm以上であることが更に一層好ましい。同様の観点から、5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることが更に好ましく、3mm以下であることが一層好ましく、1.3mm以下であることが更に一層好ましい。具体的には、液状化粧料組成物の含浸前のシート12は、その厚みが、0.3mmを超え5mm以下であることが好ましく、0.4mm以上4mm以下であることが更に好ましく、0.5mm以上3mm以下であることが更に好ましく、0.7mm以上3mm以下が一層好ましい。シート12の厚みは、JIS L 1096:2010に記載の「生地及び繊維製品の厚さ測定」に準拠して測定し、例えば、株式会社大栄科学精器製作所(型式FS−60DS)を用いて、0.3kPa荷重下で測定される。
シート12の剛軟度や液状化粧料組成物の含浸保持性をコントロールする観点から、シート12の一方の面又は両面に凹凸構造を形成してもよい。あるいは、シート12に開孔を設けてもよい。
シート12の表面に凹凸構造が形成されていると、凹凸構造に起因するクッション性によって、毛髪を清拭するときに、毛髪あるいは頭皮への物理的な刺激が低減するという利点もある。また、凹凸構造に起因してシート12が屈曲しやすくなり、指にかかるように手の上にシート12を載せたときに手に一層馴染みやすくなるという利点もある。シート12の表面に凹凸構造を形成する場合、凸部及び凹部は散点状に分散配置されていてもよく、あるいは、シート12の面内に沿って特定の一方向に延びるように多列に形成されていてもよい。均一に液状化粧料組成物を毛髪に適用し、髪のまとまりをより一層良くする観点から、凹凸構造はシート12の面内に沿って一方向に延びており、これが多列に形成されていることが好ましい。この理由はシート状毛髪化粧品を用いて手櫛で髪を処理又は清拭する際、一方向に伸びた凹部に毛髪がはまることで、毛髪とシート状毛髪化粧品との接触面積が増加して、より一層均一に液状化粧料組成物が適用されるためと予想される。また、シート12の両面に凹凸構造が形成されている場合、一方の面において凸部が形成されている位置に対応する他方の面は凹部になっていてもよく、あるいは凸部になっていてもよい。同様に、一方の面において凹部が形成されている位置に対応する他方の面は凸部になっていてもよく、あるいは凹部になっていてもよい。
また、シート12の両面に凹凸構造が形成されている場合、液状化粧料組成物の放出性をコントロールし、毛髪に対して薄く均一に液状化粧料組成物を塗布する観点から、シート12を平面視したときに、一方の面において凸部が形成された位置と他方の面に凸部が形成された位置とが略一致していることが好ましい。このような凹凸構造のシート12を用いることで、液状化粧料組成物が毛髪に対し薄く均一に塗布された場合に、毛髪に自然なまとまり感を与えることができ、またハネ毛や浮き毛も整えやすくなる。
更に、シート12の両面に凹凸構造が形成されている場合、液状化粧料組成物の放出性をコントロールし、毛髪に対して薄く均一に液状化粧料組成物を塗布する観点から、シートの厚さは均一ではない方が好ましい。具体的には、例えば図3に示すとおり、シート12の両面について凸部頂部から凹部底部までの高低差Da、Dbを測定し、高低差が大きい方の面を第1の面としたときに、第1の面の凸部のシート厚さが、第1の面の凹部のシート厚さよりも大きくなっていることが好ましい。凸部のシート厚さ及び凹部のシート厚さとは、実際に繊維が存在している部位での厚さのことである。ここでシートの厚さの大小を測定する場合には、シートを剃刀で切断し、断面をマイクロスコープで観察することによって得られる。
シート12に凸部及び凹部を形成する場合、凸部と凹部とでは坪量が相違することが、液状化粧料組成物の含浸保持性や、液状化粧料組成物の放出性の観点から好ましい。具体的には、凸部と凹部の坪量を比較した場合、凸部の坪量の方が、凹部の坪量よりも高くなっていることが、大量の液状化粧料組成物を保持し、拭いたときの押し圧によって放出しやすくなる点で好ましい。坪量に関しては、凸部の坪量の方が、凹部の坪量よりも高くなっていることが、同様の観点から好ましい。
なお、凸部と凹部の坪量を算出する際には、シートから凸部と凹部を切り出し、それぞれ凸部、凹部の重さ、及び面積を測定し、算出する。凸部及び凹部の坪量は後述する画像解析システムを使用して面積を計測した上で算出しても良いし、以下に記載した方法を用いて算出しても良い。ここで凹部に開孔が設けられている場合、凹部の坪量は、開孔の面積を除いた凹部の面積を用いて算出する。一方、シート12全体の坪量を算出する場合には、開孔の面積を含めたシート全体の面積(すなわち見かけの面積)から算出する。
〔凸部及び凹部の坪量の算出方法〕
(1)シートを10cm×10cmの大きさに切り出す。
(2)切り出したシートを、凸部と凹部に各々切り分け、凸部の総質量(g)及び凹部の総質量(g)をそれぞれ0.1mgまで精秤する。
(3)10cm×10cmの大きさの正方形の台紙を用意し、これを面積標準紙とする。凸部として切り出した全シート片(全凸部片)、及び面積標準紙をそれぞれ複写機でコピーする。面積標準紙のコピーした紙から、面積標準紙の部分を切り取る。同様に、全凸部片をコピーした紙から、全凸部片の部分を切り取る。次いで、切り取られた紙を0.1mgまで精秤する。そして、以下の式から全凸部片の面積を算出する。
[全凸部片の面積(m2)]=[全凸部片を切り取った紙の質量(g)]/[面積標準部紙を切り取った紙の質量(g)]/100
(4)凸部の坪量を、以下の式から算出する。
[凸部の坪量(g/m2)]=[凸部総質量(g)]/[全凸部片の面積(m2)]
(5)全凹部片の面積(m2)、及び凹部の坪量(g/m2)も、同様にして算出する。ただし、凹部に開孔が形成されている場合には、上述のとおり、該開孔の面積は除外する。
シート12の凹部に開孔が設けられていると、凹部の相対面積が減り、シート12に含浸保持されている液状化粧料組成物が凸部に偏在しやすくなり、拭いたときの押し圧で毛髪に移行しやすくなるので有利である。シート12に開孔を設ける場合、開孔は凸部及び凹部は散点状に分散配置されていてもよく、あるいは、シート12の面内の特定の位置に偏在して配置されていてもよい。開孔の形状は、円形や正多角形等の等方性のある形状とすることもでき、あるいは楕円形等の異方性のある形状とすることもできる。開孔は、シート12の厚み方向の全域を貫通するように設けられていてもよく、あるいは、開孔が完全に貫通しておらず、シート12の構成繊維の一部が開孔内に存在して薄膜部ないし低坪量部を形成していてもよい。
本発明のシート状毛髪化粧品は、後述するように毛髪の清拭を十分に行い、また、毛髪に十分な量の液状化粧料組成物を浸透させて、いわゆるウォーターセットの効果により跳ね毛や浮き毛を抑え、毛髪にまとまりを与えるため、多量の液状化粧料組成物を保持できることが好ましい。例えばシート12の最大保水率が700質量%以上、好ましくは800質量%以上、更に900質量%以上、更には1000質量%以上が好ましい。上限は特に規定されないが、例えば2000質量%以下、更には1500質量%以下、更には1300質量%以下が好ましい。なお、最大保水率は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法の6.9.2 保水率の測定法」に準拠して測定される。このようにして測定された最大保水率に、シート12のシート質量を掛け合わせ最大含水量を算出する。
図2には、本実施形態の毛髪化粧品に好適に用いられるシート12の一例が示されている。このシート12は、上述した凸部及び凹部並びに開孔を有するものである。シート12は、第1の面21aと、該第1の面21aと反対側に位置する第2の面21bとを有する。シート12には、両面21a,21bそれぞれの互いに対応する位置に凸部としての畝22及び凹部としての溝23が交互に形成されている。ここで、「互いに対応する位置」に形成されているとは、第1の面21aの畝22及び溝23が配された位置と、第2の面21bの畝22及び溝23が配された位置とがそれぞれ一致していることを意味している。両面21a,21bの畝22及び溝23は、互いに平行に延びており、かつシート12の平行に延びる一対の両辺21c,21dそれぞれと交差する方向に延びている。シート12は矩形であり、4辺それぞれが直線となっており、一対の平行に延びる左右側辺21c,21dと一対の平行に延びる上下端辺21e,21fとからなっている。側辺21c,21dと端辺21e,21fとは、互いに直交している。以下、左右側辺21c,21dが延びる方向をY方向、Y方向に直交する方向(上下端辺21e,21fの延びる方向)をX方向として説明する。
第1の面21aの畝22及び溝23は、第1の面21aの全面にわたって交互に配列され、互いに平行に延びている。畝22及び溝23それぞれと平行に延びる一対の両辺21c,21dそれぞれとは角αで交差しており、角αは、髪の汗、脂、汚れ等の拭き取り性の観点から、好ましくは30°以上、更に好ましくは45°以上であり、好ましくは80°以下であり、例えば、30°以上80°以下であることが好ましく、45°以上80°以下であることが更に好ましい。
シート12の縦断面を示す図3から明らかなとおり、第1の面21aの側の各畝22は、上に凸の曲線を描く輪郭となっており、同形同大の各畝22が、横方向に略等間隔を空けて配されている。第1の面21aの側の各畝22は、図4(a)に示すように、延びる方向において、畝22の厚みがいずれの位置においても略同じとなっている。第1の面21aの側の各溝23は、図3に示すように、横方向に隣り合う畝22どうしの間毎に形成されている。ここで畝22と溝23との明確な境界は存在しないが、境界を明確に定める場合には、例えば第1の面21a側を例に挙げると、畝22の頂部における高低差Da(畝22の頂部と溝の底部(ただし、後述する溝23の開孔24が形成された部分を除く)との間の距離)の1/2の位置Da1/2を畝22と溝23との境界とする(図3参照)。また、図3に示すように断面視して、第2の面21bの側の各畝22は、第1の面21aの側の畝22よりも低いが、下に凸の曲線を描く輪郭となっており、同形同大の各畝22が、横方向に略等間隔を空けて配されている。第2の面21bの側の各畝22は、第1の面21aの側の各畝22と同様に、図4(a)に示すように、延びる方向において、畝22の厚みがいずれの位置においても略同じとなっている。第2の面21bの側の各溝23も、第1の面21aの側の畝22と同様に、横方向に隣り合う畝22どうしの間毎に形成されている。したがって、シート12は、図3に示すように断面視して、横方向に厚みが周期的に変化した形状となっている。なお、第1の面21a及び第2の面21bそれぞれの側の畝22の厚み(高さ)は、例えば第1の面21a側を例に挙げると、上述した「畝22の頂部における高低差Daの1/2の位置Da1/2」から畝22の頂部までの距離を意味する。
シート12の各畝22の横方向の幅W1(図3参照)は、使用時における操作性の観点から、好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.8mm以上であり、好ましくは3.0mm以下であり、例えば、0.5mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以上3.0mm以下であることが更に好ましい。また、シート12の各溝23の横方向の幅W2(図3参照)は、取り除いた汚れの保持性の観点から、好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは2.2mm以上であり、好ましくは6.0mm以下、更に好ましくは5.5mm以下であり、例えば、2.0mm以上6.0mm以下であることが好ましく、2.2mm以上5.5mm以下であることが更に好ましい。
第1の面21a側の畝22の頂部における高低差Da(図3参照)は、毛髪・頭皮の清拭の操作性の観点から、好ましくは0.2mm以上であり、好ましくは1.2mm以下、更に好ましくは1.0mm以下であり、例えば、0.2mm以上1.2mm以下であることが好ましく、0.2mm以上1.0mm以下であることが更に好ましい。また、第2の面21b側の畝22の頂部における高低差Db(図3参照)は、同様の観点から、好ましくは0.1mm以上であり、好ましくは1.2mm以下、更に好ましくは1.0mm以下であり、例えば、0.1mm以上1.2mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1.0mm以下であることが更に好ましい。高低差Da,Dbは、株式会社キーエンス製(マイクロスコープVH‐8000)を用い、シート12の断面を50倍〜200倍に拡大観察して測定する。断面は、フェザー剃刀(フェザー安全剃刀(株)製の品番FAS−10)を用い、シート12をX方向にわたって切断して得る。
シート12においては、図2及び図3に示すように、両面21a,21bの溝23を貫通する開孔24が形成されている。各溝23は、図2に示すように、平面視して開孔24を有する開孔部23hと開孔24を有さない非開孔部23nとを交互に備えている。具体的には、図2に示すように、溝23それぞれが、溝23の延びる方向に開孔部23hと非開孔部23nとを交互に備えており、開孔部23hは1〜7個の開孔24を有している。1本の溝23が有する複数個の開孔部23hのうち、特に複数個(2個以上)の開孔24を有する開孔部23hにおいては、開孔24が溝23の延びる方向に等間隔を空けて配されている。
各開孔24は、シート12の構成繊維が寄り分けられ再配置されることにより形成されていることが好ましい。開孔24は、平面視において種々の形状をとり得る。開孔24の平面視形状としては、特にこだわらないが、例えば円形、長円形、楕円形、三角形、四角形、六角形等の形状、又はこれらの組み合わせの形状が挙げられる。
溝23の延びる方向に隣り合う開孔24どうしの間隔L1(図2参照)は、機械的強度を維持しつつ、液状化粧料組成物を凸部に局在化させて毛髪への移行性を向上させ、更に適切な剛軟度にする点から、好ましくは4.0mm以上であり、好ましくは15.0mm以下、更に好ましくは8.0mm以下であり、例えば、4.0mm以上15.0mm以下であることが好ましく、4.0mm以上8.0mm以下であることが更に好ましい。各開孔24の直径L2(最も狭い位置での間隔)(図2参照)は、液状化粧料組成物の放出性の観点から、好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは0.75mm以上であり、好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.70mm以下であり、例えば、0.7mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.75mm以上2.70mm以下であることが更に好ましい。溝23の幅W2(図3参照)における開孔24の直径L2(図2参照)の割合(L2×100/W2)は、機械的強度や剛軟度の観点から、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であり、好ましくは90%以下であり、20%以上90%以下であることが好ましく、30%以上90%以下であることが更に好ましい。
各開孔24の大きさは、シート12の平面視における投影面積で表した場合、液状化粧料組成物の放出性の観点から、好ましくは0.5mm2以上、更に好ましくは1mm2以上であり、好ましくは20mm2以下であり、更に好ましくは10mm2以下である。また、例えば、0.5mm2以上20mm2以下であることが好ましく、1mm2以上10mm2以下であることが更に好ましい。開孔24の大きさは、画像解析システムを使用して計測することができる。具体的には、光源〔サンライト SL−230K2;LPL(株)社製〕、スタンド〔コピースタンドCS−5;LPL(株)社製〕、レンズ〔24mm/F2.8Dニッコールレンズ〕、 CCDカメラ〔(HV−37;日立電子(株)社製)Fマウントによるレンズとの接続〕及びビデオボード〔スペクトラ3200;カノープス(株)社製〕を用いて、シート12の画像を取り込み、取り込まれた画像をNEXUS社製の画像解析ソフトNEW QUBE(ver.4.20)によって開孔24の部分を二値化処理する。二値化処理された画像から得られる個々の面積の平均値を開孔24の大きさとする。
非開孔部23nは、溝23の延びる方向における長さが、開孔部23hにおける溝23の延びる方向に隣り合う開孔24の最近接端部どうしの距離よりも長いことが好ましい。すなわち、非開孔部23nの両側に配置された開孔部23hの開孔24の間隔は、開孔部23hにおける隣り合う開孔24の間隔よりも長くなっていることが好ましい。
シート12においては、溝23の備える開孔部23h及び非開孔部23nの配置パターンと、該溝23に隣り合う溝23の備える開孔部23h及び非開孔部23nの配置パターンとが異なっている。例えば、図2に示す、ある1本の溝23aを基準に考えると、溝23aは、X方向の右側辺21d側から左側辺21c側に向かって、6個の開孔24の開孔部23h、非開孔部23n、5個の開孔24の開孔部23h、非開孔部23n、2個の開孔24の開孔部23h、非開孔部23nの順に配された配置パターンを有している。また、溝23aとY方向上側に隣り合う溝23bは、図2に示すように、X方向の右側辺21d側から左側辺21c側に向かって、非開孔部23n、5個の開孔24の開孔部23h、非開孔部23n、2個の開孔24の開孔部23h、非開孔部23n、5個の開孔24の開孔部23hの順に配された配置パターンを有している。更にまた、溝23aとY方向下側に隣り合う溝23cは、図2に示すように、X方向の右側辺21d側から左側辺21c側に向かって、7個の開孔24の開孔部23h、非開孔部23n、5個の開孔24の開孔部23h、非開孔部23n、6個の開孔24の開孔部23hの順に配された配置パターンを有している。このように、溝23aの備える開孔部23h及び非開孔部23nの配置パターンと、溝23aのY方向上下それぞれに隣り合う溝23b,23cの備える開孔部23h及び非開孔部23nの配置パターンとが異なっている。
シート12においては、その全体を平面視して、複数の溝23の開孔部23hにより形成される開孔領域41と、複数の溝23の非開孔部23nにより形成される非開孔領域42とを有し、開孔領域41及び非開孔領域42それぞれは、所定のパターンで配されている。例えば、開孔領域41は、開孔領域41の延びる方向(X方向)において、菱形あるいはV字状等の特定の形状が周期的に繰り返されるパターンで配されている。また、非開孔領域42は、非開孔領域42の延びる方向(X方向)において、V字状等の特定の形状が周期的に繰り返されるパターンで配されている。具体的には、開孔領域41は、図2に示すように、シート12の全体を平面視して、複数の溝23の開孔部23hにより形成された菱形状の開孔域30aがX方向に一定の間隔を空けて配されてなる第1開孔領域41aと、複数の溝23の開孔部23hにより形成されたV字状の開孔域30bがX方向に繰り返し配されてなる第2開孔領域41bとからなり、シート12は、第1開孔領域41aと第2開孔領域41bとがY方向に一定の間隔を空けて交互に配されたパターンを有している。更に詳述すると、シート12は、第2開孔領域41bと、該第2開孔領域41bのY方向に隣り合う第2開孔領域41bとが、X方向に半ピッチずれており、第2開孔領域41bのV字状の開孔域30bと、該第2開孔領域41bに対して半ピッチずれたY方向に隣り合う第2開孔領域41bの逆V字状の開孔域30bとの間毎に、第1開孔領域41aの菱形状の開孔域30aが配されたパターンを有している。このように、開孔領域41は、開孔領域41の延びる方向(X方向)と直交する方向(Y方向)において、非開孔領域42を挟んで繰り返し配されており、菱形あるいはV字状等の特定の形状を有するY方向に隣り合う開孔領域41は、その特定の形状の周期が半ピッチずれている。非開孔領域42は、非開孔領域42の延びる方向(X方向)とは直交する方向(Y方向)において、開孔領域41を挟んで繰り返し配されており、V字状等の特定の形状を有する非開孔領域42は、Y方向に隣り合う他の非開孔領域42のうち少なくともどちらか一方と、その特定の形状の周期が半ピッチずれている。
第1開孔領域41aを形成する菱形状の開孔域30aは、Y方向の長さL3(図2参照)が、機械的強度及び剛軟度の観点から、好ましくは20mm以上、更に好ましくは25mm以上であり、好ましくは110mm以下、更に好ましくは100mm以下であり、例えば、20mm以上110mm以下であることが好ましく、25mm以上100mm以下であることが更に好ましく、X方向の長さL4(図2参照)は、好ましくは20mm以上、更に好ましくは25mm以上であり、好ましくは60mm以下、更に好ましくは50mm以下であり、例えば、20mm以上60mm以下であることが好ましく、25mm以上50mm以下であることが更に好ましい。
第2開孔領域41bを形成するV字状の開孔域30bは、一定の幅で形成されており、開孔域30bの幅W3(図2参照)は、機械的強度及び剛軟度の観点から、好ましくは8mm以上であり、好ましくは20mm以下、更に好ましくは15mm以下であり、例えば、8mm以上20mm以下であることが好ましく、8mm以上15mm以下であることが更に好ましい。V字状の開孔域30bを形成する一辺は、該一辺とX方向に延びる直線とのなす角β(図2参照)となるように延在している。角βは10°以上40°以下であることが好ましい。V字状の開孔域30bを形成する他辺は、前記一辺を、Y方向に延びる線を基準に対称に反転させて形成されている。第2開孔領域41bは、このように形成されたV字状の開孔域30bがX方向に繰り返し配され、X方向に延びるノコギリ歯のようなギザギザ状に形成されている。
上述したように、シート12は、第1開孔領域41aと第2開孔領域41bとがY方向に一定の間隔を空けて交互に配されたパターンを有しており、該一定の間隔が、複数の溝23の非開孔部23nにより形成される非開孔領域42となっている。このように、非開孔領域42は、図2に示すように、複数の菱形状の開孔域30aがX方向に配されてなる第1開孔領域41aと、V字状の開孔域30aがX方向に繰り返し配されてなる第2開孔領域41bとの間毎に配されている。シート12の非開孔領域42は、第1開孔領域41aの菱形状の各開孔域30aを囲うように、複数の溝23の非開孔部23nにより形成されたV字状の非開孔域31aがX方向に繰り返し配されてなる第1非開孔領域42aと、複数の溝23の非開孔部23nにより形成された逆V字状の非開孔域31bがX方向に繰り返し配されてなる第2非開孔領域42bとからなる。第2非開孔領域42bは、第1非開孔領域42aを、菱形状の開孔域30aのX方向に延びる二等分線を基準に対称に反転させた形状となっている。言い換えれば、第1非開孔領域42aと第2非開孔領域42bとは、X方向に半ピッチずれている。第1非開孔領域42aを形成するV字状の非開孔域31aの一辺は、V字状の開孔域30bを形成する一辺と同様に、該一辺とX方向に延びる直線とのなす角β(図2参照)となるように延在している。V字状の非開孔域31aを形成する他辺は、前記一辺を、Y方向に延びる線を基準に対称に反転させて形成されている。第1非開孔領域42aは、このように形成されたV字状の非開孔域31aがX方向に繰り返し配され、第2開孔領域41bと同様に、X方向に延びるノコギリ歯のようなギザギザ状に形成されている。第2非開孔領域42bも、第1非開孔領域42aと同様に、逆V字状の非開孔域31bがX方向に繰り返し配されており、X方向に延びるノコギリ歯のようなギザギザ状に形成されている。
第1非開孔領域42aと第2非開孔領域42bとは、その幅W4が同じ幅に形成されている。このように、第1非開孔領域42a及び第2非開孔領域42bそれぞれは、一定の幅W4で形成されている。この幅W4は、溝23の延びる方向に隣り合う開孔24どうしの間隔L1(図2参照)よりも広く形成されている。幅W4(図2参照)は、機械的強度や剛軟度の観点から、好ましくは5mm以上、更に好ましくは10mm以上であり、好ましくは20mm以下であり、例えば、5mm以上20mm以下であることが好ましく、10mm以上20mm以下であることが更に好ましい。
シート12においては、開孔領域41(41a,41b)及び非開孔領域42(42a,42b)それぞれは、開孔領域41(41a,41b)の延びる方向及び非開孔領域42(42a,42b)の延びる方向それぞれが、畝22及び溝23それぞれが延びる方向と交差するパターンで配されている。具体的には、第1開孔領域41a及び第2開孔領域41bからなる開孔領域41はX方向に延びており、第1非開孔領域42a及び第2非開孔領域42bからなる非開孔領域42もX方向に延びており、開孔領域41及び非開孔領域42それぞれは、畝22及び溝23それぞれが延びる方向と交差している。
1本の畝22について着目すると、図4(a)に示すように、畝22と開孔領域41(41a,41b)とが交差する領域と、畝22と非開孔領域42(42a,42b)とが交差する領域とは、坪量が異なっており、畝22と開孔領域41(41a,41b)とが交差する領域の方が、畝22と非開孔領域42(42a,42b)とが交差する領域に比べて坪量が高くなっている。畝22と開孔領域41(41a,41b)とが交差する領域は、その坪量が、指のグリップ感維持等の観点の観点から、好ましくは60g/m2以上、更に好ましくは65g/m2以上であり、好ましくは500g/m2以下、更に好ましくは200g/m2以下であり、例えば、60g/m2以上500g/m2以下であることが好ましく、65g/m2以上200g/m2以下であることが更に好ましい。一方、畝22と非開孔領域42(42a,42b)とが交差する領域は、その坪量が、機械的強度や液状化粧料組成物の含浸保持性の観点から、好ましくは40g/m2以上であり、好ましくは440g/m2以下、更に好ましくは150g/m2以下であり、例えば、40g/m2以上440g/m2以下であることが好ましく、40g/m2以上150g/m2以下であることが更に好ましい。
また、1本の溝23について着目すると、図4(b)に示すように、溝23と開孔領域41(41a,41b)とが交差する領域と、溝23と非開孔領域42(42a,42b)とが交差する領域とは、坪量が異なっており、溝23と開孔領域41(41a,41b)とが交差する領域の方が、溝23と非開孔領域42(42a,42b)とが交差する領域に比べて坪量が高くなっている。溝23と開孔領域41(41a,41b)とが交差する領域は、その坪量が、シート12の強度維持の観点から、好ましくは40g/m2以上であり、好ましくは210g/m2以下、更に好ましくは110g/m2以下であり、例えば、40g/m2以上210g/m2以下であることが好ましく、40g/m2以上110g/m2以下であることが更に好ましい。一方、溝23と非開孔領域42(42a,42b)とが交差する領域は、その坪量が、不織布の強度や液体の吸収性の観点から、好ましくは20g/m2以上、更に好ましくは25g/m2以上であり、好ましくは180g/m2以下、更に好ましくは90g/m2以下であり、例えば、20g/m2以上180g/m2以下であることが好ましく、25g/m2以上90g/m2以下であることが更に好ましい。
以上、説明してきたシート12は、例えば、上述した開孔領域41(41a,41b)に対応するように設けられ、かつ開孔24の形状と大きさに対応するように孔部が形成されたステンレス製やプラスチック製のメッシュ上にウエブを配置して、スパンレース法を用いて形成することができる。
次に、シート12に含浸保持される液状化粧料組成物について説明する。液状化粧料組成物は、以下の(A)ないし(E)を含む液状のものである。
(A)前記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン。
(B)冷感剤。
(C)ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルから選ばれる1種又は2種以上。
(D)ポリオキシアルキレンヒマシ油又はポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上。
(E)水。
以下、それぞれの成分について説明する。
<成分(A)>
成分(A)であるオルガノポリシロキサンは、本発明の毛髪化粧品で毛髪を清拭時の指通りを高めるために、及び本発明の毛髪化粧品で毛髪を清拭し乾燥した後に、該毛髪に柔らかな感触を付与するために用いられる。成分(A)は、一般にアミノ変性シリコーンと呼ばれるものであり、したがって以下の説明では、成分(A)のことを「アミノ変性シリコーン」とも言う。特に、アミノ変性シリコーンとして、先に示した一般式(1)で表されるものを用いると、本発明の毛髪化粧品で毛髪を拭いたときの指通りが一層良好になり、また本発明の毛髪化粧品で毛髪を拭いた後に、該毛髪に一層柔らかな感触を付与できるので好ましい。式(1)で表されるアミノ変性シリコーンにおいて、Aで表される好ましい一価の基としては、入手容易性の観点から、好ましくは基−R、水酸基である。Aで表される一価の基が、Rで表されるか、又はRを含む場合、該Rとしては、炭素数が1以上であり、また上限は20以下、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である炭化水素基である。式(1)中、Aは同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。
式(1)で表されるアミノ変性シリコーンにおいて、R’で表される好ましい二価の炭化水素基としては、炭素数が1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また上限は8以下、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下である炭化水素基が挙げられる。nは、0以上、好ましくは1以上であり、上限は3以下、より好ましくは2以下である。
式(1)で表されるアミノ変性シリコーンの分子量は、ケイ素総原子数(p+q+2)が、上述のとおり、50以上20000以下になるような量であり、下限は好ましくは100以上、更に好ましくは300以上、更に好ましくは500以上、更に一層好ましくは800以上、更に好ましくは1000以上であり、上限は好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、更に好ましくは3000以下、更に好ましくは2000以下になるような量である。
式(1)で表されるアミノ変性シリコーンにおいては、そのアミノ当量が、下限は好ましくは500g/mol以上、好ましくは1000g/mol以上、より好ましくは2000g/mol以上、更に好ましくは4000g/mol以上、更に好ましくは1万g/mol以上、また上限は10万g/mol以下、好ましくは8万g/mol以下であり、より好ましくは5万g/mol以下、更に好ましくは2万g/mol以下である。
式(1)で表されるアミノ変性シリコーンは、エマルションの形で配合することもできる。アミノ変性シリコーンのエマルションは、機械的乳化(アミノ変性シリコーンと水との高剪断機械混合)、化学的乳化(アミノ変性シリコーンを水及び乳化剤で乳化)、若しくはこれらの組み合わせによって、又は乳化重合によっても調製することができる。化学的乳化を行う場合には、乳化剤として各種の界面活性剤を用いることができる。
式(1)で表されるアミノ変性シリコーンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。液状化粧料組成物に占めるアミノ変性シリコーンの含有量nAは、清拭時の毛髪とシートの間の平滑性を付与する観点から下限は0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また上限は乾燥後の毛髪のべたつきを抑える観点から、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。具体的には、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましく、0.02質量%以上0.5質量%以下であることが一層好ましい。液状化粧料組成物に占めるアミノ変性シリコーンの割合をこの範囲内に設定することで、本発明の毛髪化粧品で毛髪を拭いたときの指通りが高まり、また本発明の毛髪化粧品で毛髪を拭いた後に、該毛髪に柔らかな感触を付与できる。
<成分(B)>
成分(B)である冷感剤は、本発明の毛髪化粧品の使用中又は使用後に、使用者に冷感を付与することで、毛髪及び頭皮の洗浄感や清潔感を高める目的で用いられる。冷感剤は、人体に経皮的に吸収されることで、冷感ないし冷感を与える物質が用いられる。冷感剤としては、化粧品用又は医薬用に従来用いられてきたものと同様のものを用いることができる。例えば、l−メントール、メンチルアセテート、乳酸メンチル、l−メンチルグリセリルエーテル、メンチルピロリドンカルボン酸等のメントール誘導体、N−エチル−p−メンタンカルボキシアミド等のメントール類縁体、dl−カンファー、イソプレゴール、シネオール、ボルネオール、チモール及びこれらの誘導体が挙げられる。また、3−l−メトキシプロパンジオールや、ハッカ油、ペパーミント油等のメントールを含有した精油等も使用できる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、冷感作用向上の点から、l−メントール、メンチルピロリドンカルボン酸、乳酸メンチル、N−エチル−p−メンタンカルボキシアミドを用いるが好ましい。とりわけ冷感効果を十分に、かつ長時間持続して高めることができる観点や、即時効果の観点から、l−メントールを含むこれら2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
液状化粧料組成物に占める成分(B)である冷感剤の含有量nBは、洗浄感、清涼感を付与する観点から下限は0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上であり、また上限は、シート使用時の刺激臭や目への刺激感の観点から0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。具体的には、0.01質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.2質量%以下であることが更に好ましく、0.02質量%以上0.2質量%以下であることが一層好ましい。液状化粧料組成物に占める冷感剤の含有量をこの範囲内に設定することで、使用者に適度な冷感を付与することができる。
<成分(C)>
本発明者の検討の結果、上述した成分(A)及び(B)を水と混合して調製された液状化粧料組成物をシートに含浸させてなる毛髪化粧品では、成分(B)である冷感剤を使用後に十分な洗浄感や清潔感を付与するのに十分量を用いた場合、使用時にシートを広げた際にシートから揮散した成分(B)に起因する刺激臭や目への刺激感が過度に強くなってしまう。一方、刺激臭や目への刺激感を抑えることができる量で成分(B)を用いた場合、使用時の洗浄感、清涼感が不十分であることが判明した。そこで、成分(A)(B)に加え、成分(C)及び後述する成分(D)を配合した液状化粧料組成物をシートに含浸させて用いたところ、成分(A)、(B)及び水を含有する液状化粧料組成物の保存安定性が向上し、シート表面から揮散する成分(B)由来の刺激臭や目への刺激感が抑制され、使用後に洗浄感や清潔感を維持される。
成分(C)は、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルから選ばれる1種又は2種以上の非イオン界面活性剤である。これらの非イオン界面活性剤におけるポリオキシアルキレンは、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基から選ばれる1種又は2種、より好ましくはオキシエチレン基である。また、ポリオキシアルキレンの重合度の下限は液状化粧料組成物の保存安定性、刺激臭や目への刺激感の抑制、及び使用後の清涼感の観点から3以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、20以上、更に好ましくは30以上であり、下限は組成物の保存安定性の観点から、70以下、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、更には40以下である。
また、アルキル基及びアルケニル基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、アルキル基又はアルケニル基の炭素数の下限は液状化粧料組成物の保存安定性の観点から、10以上、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上であり、また下限は組成物の保存安定性の観点から30以下、好ましくは26以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下、更には18以下である。ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルは、それらのうちのいずれか一方又は両方を組み合わせて用いることができる。ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとして、2種類以上を組み合わせて用いることができ、同様にポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルとして、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。更に毛髪化粧品保存時の気温変動によらず、液状化粧料組成物を安定に維持し、製品使用時の目や鼻への刺激なく冷感を付与する点から、第2級アルコールアルコキシレートと第1級アルコールアルコキシレートとを併用する事が好ましい。
液状化粧料組成物に占める成分(C)の含有量nCは、組成物の保存安定性、刺激臭や目への刺激感の抑制、及び使用後の清涼感の観点から、下限は0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.4質量%以上、上限は組成物の保存安定性と使用後の良好な毛髪の感触を両立する観点から、1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下である。具体的には、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.8質量%以下であることが更に好ましく、0.2質量%以上0.6質量%以下であることが一層好ましい。液状化粧料組成物に占める成分(C)の含有量をこの範囲内に設定することで、次に述べる成分(D)との組み合わせの使用によって、成分(B)である冷感剤に起因する過度の刺激を効果的に緩和することができる。また、液状化粧料組成物中での成分(A)の安定性を高めることができる。
<成分(D)>
上述した成分(C)と組み合わせて用いられるもう一方の非イオン界面活性剤である成分(D)は、ポリオキシアルキレンヒマシ油及びポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤である。これらの非イオン界面活性剤におけるポリオキシアルキレンは、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基から選ばれる1種又は2種、より好ましくはオキシエチレン基である。また、ポリオキシアルキレンの重合度の下限は、組成物の保存安定性の観点から20以上、好ましくは 30以上、より好ましくは40以上、更に好ましくは50以上であり、また上限は組成物の保存安定性の観点から100以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下である。ポリオキシアルキレンヒマシ油及びポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油は、それらのうちのいずれか一方又は両方を組み合わせて用いることができる。ポリオキシアルキレンヒマシ油として、2種類以上を組み合わせて用いることができ、同様にポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油として、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
液状化粧料組成物に占める成分(D)の含有量nDは、組成物の保存安定性、刺激臭や目への刺激感の抑制、及び使用後の清涼感の観点から下限は0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更には0.7%以上であり、また上限は組成物の保存安定性と乾燥後の毛髪の良好な感触の付与を両立する観点から、2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下であることが好ましい。具体的には、0.01質量%以上1.5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上1.0質量%以下である。液状化粧料組成物に占める成分(D)の含有量をこの範囲内に設定することで、上述した成分(C)との組み合わせの使用によって、成分(B)である冷感剤に起因する過度の刺激を効果的に緩和することができる。また、液状化粧料組成物中での成分(A)の安定性を高めることができる。
<成分(E)>
成分(E)である水は、液状化粧料組成物の残部を占めるものである。液状化粧料組成物に占める水の含有量nEは好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、また上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量以下、更に好ましくは80質量%以下である。
本発明で用いる液状化粧料組成物において、液状化粧料組成物の保存安定性を一層高めて成分(B)である冷感剤に起因する過度の刺激臭や目の刺激感を更に緩和することと、使用後の毛髪に良好な感触の付与を両立する観点から、成分(A)ないし成分(D)の含有量のバランスが重要であることが、本発明者の検討の結果判明した。詳細には、成分(A)の含有量nA(質量%)及び成分(B)の含有量nB(質量%)の和と、成分(C)の含有量nC(質量%)及び成分(D)の含有量nD(質量%)の和との比である[nA+nB]/[nC+nD]を考えた場合、該比の値の下限は0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上となるように、また上限は、前記比の値が1以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、より好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.3以下、更には0.2以下となるように、成分(A)ないし成分(D)の含有量を設定することが有利である。具体的には、[nA+nB]/[nC+nD]の値を0.01以上1.0以下に設定し、好ましくは0.05以上0.6以下、更に好ましくは0.1以上0.3以下に設定する。
液状化粧料組成物の保存安定性を一層高めて成分(B)である冷感剤に起因する過度の刺激臭や目の刺激感の更に緩和することと、使用後の毛髪に良好な感触の付与を両立する観点から、nC/nDの値を、0.01以上、好ましくは0.1以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上であり、また上限は使用後の毛髪に良好な感触の付与を両立する観点から、0.95以下、好ましくは0.9以下、より好ましくはの0.8以下、更に好ましくは0.75以下である。
本発明で用いる液状化粧料組成物は、上述した各成分に加えて、本発明の毛髪化粧品の各種性能を高めることを目的として、他の成分を配合することもできる。例えば以下の成分(F)であるアルコールを配合することができる。
(F)炭素数が1以上6以下の一価又は多価アルコール。
成分(F)は、液状化粧料組成物の粘度を調整するために用いられ。また、液状化粧料組成物に含有させ得る成分の可溶化剤として用いられる。更に、本発明の毛髪化粧品で汚れ成分を除去するために用いられる。一価アルコールとしては、例えば炭素数が上述のとおり、1以上6以下、好ましくは2以上5以下である飽和又は不飽和の脂肪族アルコールを用いることができる。多価アルコールとしては、例えば炭素数が好ましくは2以上6以下、更に好ましくは2以上5以下である飽和又は不飽和の脂肪族アルコールを用いることができる。これら一価アルコール及び多価アルコールは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンを用いることが好ましい。
液状化粧料組成物に占める成分(F)の含有量の下限は、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量以上であり、また上限は、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%、更に好ましくは25以下であることが好ましい。例えば液状化粧料組成物に占める成分(E)の含有量は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上40質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以上30質量%以下であることが一層好ましい。
また、液状化粧料組成物に更に(C)、(D)以外の界面活性剤を配合することもできる。(C),(D)以外の界面活性剤としては、液状化粧料組成物を含浸した不織布シートで髪を梳く際の摩擦を低減して髪を梳きやすくし、液状化粧料組成物を毛髪に適用しやすくする観点から、陽イオン性界面活性剤が好ましい。
このような陽イオン界面活性剤として、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン及びその塩、アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩等が挙げられる。
また、陽イオン性界面活性剤を含有する場合には、液状化粧料組成物中の含有量が好ましくは0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また上限は1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下が好ましい。
また液状化粧料組成物に、温感剤、毛髪にさらさら感を付与するための粉体、消臭剤、防腐剤、香料、キレート剤等を配合してもよい。
ところで、毛髪に液状化粧料組成物を移行させるために十分な液量をシートに浸み込ませると、液が垂れてしまい、顔や衣服に飛び散るなど、使用勝手が悪いという問題がある。また、液垂れを防ぐために、シートに浸み込ませる液量を過度に少なくすると、毛髪の洗浄性や毛髪のスタイリング性が損なわれる。そこで本発明においては、液状化粧料組成物の総量を、1枚のシート12当たり1g以上、更には6g以上、更には7g以上、更には8g以上にすることが好ましい。また、毛髪が濡れすぎることなく、顔や衣服に液状化粧料組成物が飛び散らないという観点から、液状化粧料組成物の総量を、1枚のシート12当たり50g以下、更には30g以下、更には25g以下、更には20g以下、更には15g以下にすることが好ましい。例えば液状化粧料組成物の総量は、1枚のシート12当たり1g以上50g以下であることが好ましく、7g以上20g以下であることがより好ましく、8g以上15g以下であることが一層好ましい。この範囲の量の液状化粧料組成物を含浸させることで、十分な量の液状化粧料組成物が毛髪に移行する。また、シートからの液状化粧料組成物の垂れが起こりにくくなり、液状化粧料組成物の使い勝手が良好になる。この範囲の液状化粧料組成物の量は、従来の皮膚用のシート状化粧料よりも多量である。この理由は、本発明の液状化粧料組成物は、毛髪へ十分な量の化粧料を付与して毛髪の洗浄性を高めることや毛髪のスタイリング性を高めることを目的としているからである。また、毛髪に十分な量の液状化粧料組成物を浸透させて、跳ね毛や浮き毛を抑え、毛髪にまとまりを与えるためである。
また、シート12における液状化粧料組成物の保持力が高く、かつ毛髪への液状化粧料組成物の転移量も高くする観点から、液状化粧料組成物の含有割合はシート12の最大保水量に対して5質量%以上が好ましく、更には10質量%以上が好ましく、更には20質量%以上が好ましい。また90質量%以下が好ましく、更には85質量%以下が好ましく、更には80質量%以下が好ましく、更には60質量%以下が好ましい。シート12の最大保水量は、最大保水率から算出される。最大保水率は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法の6.9.2 保水率の測定法」に準拠して測定される。このようにして測定された最大保水率に、シート12のシート質量を掛け合わせ最大含水量を算出する。
以上の構成を有する本発明の毛髪化粧品10は、例えば外出先においてしたスポーツ、通勤通学時の洗髪や整髪に用いることができる。また、冬場の毛髪のパサつき対策や、梅雨時の毛髪の広がり・うねり対策に用いることができる。また、跳ね毛、浮き毛を抑え、毛髪にまとまりを与えたりするために用いることができる。使用時及び使用後には、成分(B)である冷感剤の作用によって、さっぱりした洗浄感や冷感が使用者に付与される。これら洗浄感や冷感に起因する刺激は、成分(C)及び成分(D)の作用によって、効果的に抑制される。
次に、本実施形態の毛髪化粧品10の使用方法の一例について説明する。図1に示す毛髪化粧品10を用いる場合には、先ず外装容器11の上面11bに取り付けられている開閉蓋11eを該上面11bから剥離して内容物取出口11dを露出させる。次に、図5に示すとおり、露出した内容物取出口11dを通じて、外装容器11内に収容されているシート状毛髪化粧品13を指で摘んで取り出す。この取り出操作によって、シート状毛髪化粧品13は内容物取出口11dの端部においてしごかれて、容易に拡開する。
外装容器11から取り出されたシート状毛髪化粧品13は、上述したとおり剛軟度が低いドレープ性が高いものなので、これを指にかかるように手の内側(手のひら側)の上に広げて載せると、図6に示すとおり手に馴染み、毛髪や頭皮の拭き取り操作が行いやすくなる。特に、外装容器11から取り出されたシート状毛髪化粧品13には液状化粧料組成物が含浸保持されているので、自重によって垂れ下がりやすくなり、手指に一層馴染みやすくなる。
図6に示すようにシート状毛髪化粧品13を指にかかるように手の内側の上に広げて載せたら、その状態を維持して手指を毛髪の根元にあてがう。例えば図7に示すとおり、頭頂部付近の毛髪の根元に指先を配置して、シート状毛髪化粧品13を毛髪に当接させる。そして、シート状毛髪化粧品13を毛髪に当接させた状態を維持しつつ、図8に示すとおり、手を毛髪の根元から毛先へ向けて移動させ、整髪操作を行う。この操作を毛髪全体に対して行うこともでき、あるいは毛髪のうちの一部に対して行うこともできる。この処理操作は繰り返し行い、全ての頭髪に対して行うことが好ましい。常に清浄な面で処理操作が行えるようにするために、指にかかるように手の内側の上に載せたシート状毛髪化粧品13の位置を変更しながら、各回の処理操作をすることが好ましい。
図7及び図8に示す操作を行う場合には、シート状毛髪化粧品13を載せた状態の手の指と指の間に毛束が存在するように、毛髪の根元に指先をあてがい、その状態下に各指によって毛髪を梳きながら整髪することが好ましい。例えば、シート状毛髪化粧品13を載せた手の指を若干立てた状態で毛髪の根元に指を挿入し、指先を頭皮に間接的に接触させた状態で、指で毛髪を梳くことが好ましい。このような操作を行うことで、いわゆる「手ぐし」感覚で洗髪及び整髪をすることができ、洗髪及び整髪操作を一層容易に行うことができる。本操作は、毛髪の中間、すなわち毛髪の根元と毛先の間に指先をあてがった状態から開始することもできる。毛髪全体に均一に液状化粧料組成物を塗布する観点からは、毛束の根元から前記操作を行うことが好ましい。
図8では毛髪の外側面(最表面)を清拭しているが、更に毛髪の内側面(すなわち頭皮寄りの側)に手のひらを配置し、シート状毛髪化粧品13を載せた状態の手の指と指の間に毛束が存在するように、毛髪の根元又は毛髪の中間に指先をあてがい、その状態下に各指によって毛髪を梳きながら毛髪を清拭することもできる。このような方法で毛髪にシート状毛髪化粧品13を適用することで、通常は化粧料を適用しにくい、表面に出てこない毛髪に対しても、満遍なく均一に化粧料を塗布できるので好ましい。
図9(a)及び(b)には、毛髪化粧品10を用いた別の使用方法が示されている。この方法においては、上述した図6に示すように、シート状毛髪化粧品13を指にかかるように手の内側の上に広げて載せる。この動作の前後又はこの動作と同時に、図9(a)に示すとおり、他方の手で、毛髪の一部を取り分けて毛束を作っておく。そして、取り分けた毛束を、シート状毛髪化粧品13を載せた状態の手で握る。毛束を握る位置は、毛束の根元に近い位置であることが好ましい。そして図9(b)に示すとおり、毛束を握ったまま、毛束の毛先に向けて手を移動させる。このように、シート状毛髪化粧品13を毛束の根元から毛先に向けて滑らすように移動させることで、シート状毛髪化粧品13に含浸されている液状化粧料組成物が効果的に毛束内に浸透する。この操作を毛髪全体に対して行うこともでき、あるいは毛髪のうちの一部に対して行うこともできる。
図10には、これまでの使用方法とは異なる使用方法が示されている。同図に示す方法では、首筋の毛髪の生え際に、シート状毛髪化粧品13を載せた手の指を差し入れ、シート状毛髪化粧品13を介して指先を毛髪の生え際にあてがって頭皮に間接的に接触させる。この接触状態を維持したままで、手を上下又は左右に細かく往復させて各指を上下又は左右に動かしながら掻き上げて頭皮を擦り上げれば、頭皮の汚れを除去することができる。また、このまま体側側から指を差し入れ、差し入れた指と指の間に毛髪を保持し、毛髪の根元から先端に向けて手を移動させれば、内表面の毛髪の汚れを除去することもできる。指先を、シート状毛髪化粧品13を介して頭髪に接触させ、上下又は左右に擦ることができればよく、例えば髪の分け目を作り、頭皮を露出させ、該露出した頭皮にシート状毛髪化粧品13を介して指を接触させて上下又は左右に擦ることもできる。効率的に満遍なく、均一に清拭する点からは、生え際にシートを載せた指をあてがうのが好ましい。
図11(a)ないし(e)には、図11とは異なる頭皮の清拭方法が示されている。この方法においては、先ず図11(a)に示す展開状態のシート状毛髪化粧品13を、図11(b)に示すとおり二つ折りし、更に、この二つ折りされたシート状毛髪化粧品13を図11(c)に示すとおり二つ折りして、四つ折り状態とする。次に図11(d)に示すとおり、四つ折りされたシート状毛髪化粧品13の内部に指を挿入して、該シート状毛髪化粧品13を手で把持する。そして、シート状毛髪化粧品13を把持した手を頭皮に当接させ、図11(e)に示すとおり、シート状毛髪化粧品13を介して指先で頭皮を擦って、頭皮を清拭する。このとき、毛髪の分け目に指先を位置させると、指先が頭皮に届きやすくなるので好ましい。なお、シート状毛髪化粧品13の折り畳み方はこれに限られない。
以上の操作によって毛髪や頭皮の清拭が完了したら、その後、必要に応じてブラシや手で毛髪全体のスタイルを整えてもよい。
また、これらの操作によって毛髪や頭皮の清拭をした後、好ましくは3時間、より好ましくは5時間、更に好ましくは8時間以上はシート状毛髪化粧品13によって毛髪や頭皮に移行させた液状化粧料組成物を洗い流さないことが好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図2ないし図4には、本発明で用いられる好適なシート12の一例が記載されているが、本発明で使用可能なシート12はこれらの図に記載されているものに限定されない。
また外装容器11の形態は、上述した、いわゆるピロー形態のものに限られず、他の形態の外装容器を用いてもよい。例えば、開閉部をヒンジによって接合された蓋にした容器であってもよい。
<1>
以下の成分(A)ないし(E)を含み、成分(A)の含有量n
A(質量%)及び成分(B)の含有量n
B(質量%)の和と、成分(C)の含有量n
C(質量%)及び成分(D)の含有量n
D(質量%)の和との比である[n
A+n
B]/[n
C+n
D]の値が、0.01以上2.8以下である液状化粧料組成物を、シートに含浸させたシート状毛髪化粧品。
(A)下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン。
(B)冷感剤。
(C)ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルから選ばれる1種又は2種以上。
(D)ポリオキシアルキレンヒマシ油及びポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上。
(E)水。
<2>
成分(B)が好ましくはl−メントール、メンチルアセテート、乳酸メンチル、l−メンチルグリセリルエーテル、メンチルピロリドンカルボン酸、N−エチル−p−メンタンカルボキシアミド、dl−カンファー、イソプレゴール、シネオール、ボルネオール、チモール、3−l−メトキシプロパンジオール、ハッカ油、ペパーミント油、更に好ましくはl−メントールである<1>に記載のシート状毛髪化粧品。
<3>
成分(A)の含有量nA(質量%)及び成分(B)の含有量nB(質量%)の和と、成分(C)の含有量nC(質量%)及び成分(D)の含有量nD(質量%)の和との比である[nA+nB]/[nC+nD]が好ましくは0.01以上、更には0.05以上、更には0.1以上であり、1以下、更には0.8以下、更には0.6以下、更には0.4以下、更には0.3以下である<1>又は<2>に記載のシート状毛髪化粧品。
<4>
液状化粧料組成物中の成分(B)の含有量nBが好ましくは0.01質量%以上、更には0.02質量%以上、更には0.03質量%以上であり、0.5質量%以下、更には0.2質量%以下、更には0.1質量%以下である<1>ないし<3>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<5>
成分(C)の含有量nC(質量%)と成分(D)の含有量nD(質量%)との比であるnC/nDの値が好ましくは0.01以上、更には0.1以上、更には0.3以上、更には0.5以上、更には0.6以上であり、また上限は好ましくは0.95以下、更には0.9以下、更には0.8以下、更には0.75以下である<1>ないし<4>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<6>
液状化粧料組成物中の成分(C)の含有量nCが好ましくは0.01質量%以上、更に0.05質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.2質量%以上、更に0.4質量%以上であり、上限は好ましくは1質量%以下、更に0.8質量%以下、更に0.7質量%以下、更には0.6質量%以下である<1>ないし<5>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<7>
液状化粧料組成物中の成分(D)の含有量nDが好ましくは0.01質量%以上、更には0.05質量%以上、更には0.1質量%以上、更には0.5質量%以上であり、上限は好ましくは2質量%以下、更には1.5質量%以下、更には1.0質量%以下、更には0.8以下である<1>ないし<6>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品
<8>
好ましくは、液状化粧料組成物が更に陽イオン性界面活性剤を含有する<1>ないし<7>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<9>
成分(C)として、第2級アルコールアルコキシレートと第1級アルコールアルコキシレートとを配合する<1>ないし<8>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<10>
成分(A)の液状化粧料組成物中の含有量nAが好ましくは0.01質量%以上、更には0.02質量%以上、更には0.05質量%以上、更には0.07質量%、更には0.1質量%であり、また上限は好ましくは1質量%以下、更には0.5質量%以下、更には0.2質量%以下である<1>ないし<9>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<11>
成分(A)のケイ素総原子数(p+q+2)が好ましくは100、更に好ましくは300以上、一層好ましくは500以上、更に一層好ましくは800以上であり、上限は好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、更に好ましくは3000以下である<1>ないし<10>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<12>
成分(A)のアミノ当量が、下限は好ましくは500g/mol以上、好ましくは1000g/mol以上、より好ましくは2000g/mol以上、更に好ましくは4000g/mol以上、更に好ましくは1万g/mol以上、また上限は10万g/mol以下、好ましくは8万g/mol以下であり、より好ましくは5万g/mol以下である<1>ないし<11>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品
<13>
好ましくは更に以下の(F)を含む<1>ないし<12>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
(F)炭素数が1以上6以下の一価又は多価アルコール。
<14>
好ましくは前記シートは、その表面に凹凸構造が形成されている<1>ないし<13>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<15>
好ましくは前記シートが第1の面及びそれと反対側に位置する第2の面を有し、
第1の面及び第2の面はともに凹凸構造を有する<14>に記載のシート状毛髪化粧品。
<16>
好ましくは、前記シートは、凸部頂部から凹部底部までの高低差が大きい方から見たときに、凸部となる部分のシート厚さが、凹部のシート厚さよりも大きいものである<14>又は<15>に記載のシート状毛髪化粧品。
<17>
好ましくは平面視において、第1の面の凸部の位置と、第2の面の凸部の位置とが略一致している、<14>ないし<16>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<18>
好ましくは前記シートにおいて、凸部の坪量が凹部の坪量よりも高くなっている<14>ないし<17>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<19>
好ましくは平面視において、凹部と凸部はシートの面内に沿って一定方向に伸びており、更に好ましくは凹部が溝状に、凸部が畝状に形成されており、更には溝状の凹部と畝状の凸部が交互に配置されており、更には溝状の凹部と畝状の凸部がシート全面にわたって形成されている<14>ないし<18>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<20>
好ましくは同形同大の畝状の凸部が等間隔を空けて配されており、その横方向の幅W1が好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.8mm以上であり、好ましくは3.0mm以下である<14>ないし<19>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<21>
好ましくは凸部としての畝及び凹部としての溝が形成されており、第1の面の畝頂部における高低差が好ましくは0.2mm以上1.2mm以下、更に好ましくは0.2mm以上1.0mm以下であり、第2の面の畝頂部における高低差は、好ましくは0.1mm以上1.2mm以下、更に好ましくは0.1mm以上1.0mm以下である<14>ないし<20>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<22>
好ましくは凹部に開孔が設けられている<14>又は<21>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<23>
凹部に設けられた開孔どうしの間隔L1が好ましくは4.0mm以上であり、好ましくは15.0mm以下、更に好ましくは8.0mm以下である<22>に記載のシート状毛髪化粧品。
<24>
溝状の凹部の幅W2における開孔の直径L2の割合(L2×100/W2)が好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であり、好ましくは90%以下である<22>又は<23>に記載のシート状毛髪化粧品。
<25>
前記シートは、その剛軟度が好ましくは10mm以上であり、好ましくは70mm以下であり、更に好ましくは65mm以下であり、一層好ましくは60mm以下である<1>ないし<24>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<26>
前記シートは、L 1096:2010に準拠して0.3kPa荷重下で測定された厚みが好ましくは0.3mm超であり、更に好ましくは0.4mm以上であり、一層好ましくは0.5mm以上であり、更に一層好ましくは0.7mm以上であり、好ましくは5mm以下であり、更に好ましくは4mm以下であり、更に好ましくは3mm以下、更に好ましくは1.3mm以下である<1>ないし<25>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<27>
前記シートはその見かけ面積が好ましくは50cm2以上、更に好ましくは100cm2以上、一層好ましくは200cm2以上であり、好ましくは1600cm2以下、更に好ましくは900cm2以下、一層好ましくは700cm2以下である<1>ないし<26>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<28>
好ましくは前記シートが不織布シートからなり、該不織布シートはその構成繊維の交絡のみで不織布形態を保っており、好ましくは該不織布シートはスパンレース法で作られたシートである<1>ないし<27>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<29>
前記シートが、好ましくはセルロース系繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有する<1>ないし<28>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<30>
前記液状化粧料組成物の含浸前の前記シートの質量に基づき、セルロース系繊維の占める含有量が好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは35質量%以上であり、一層好ましくは40質量%以上であり、好ましくは99質量%以下であり、更に好ましくは97質量%以下であり、一層好ましくは95質量%以下であり、
前記液状化粧料組成物の含浸前の前記不織布シートの質量に基づき、熱可塑性樹脂繊維の占める含有量が好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは3質量%以上であり、一層好ましくは5質量%以上であり、更に一層好ましくは10質量%以上であり、好ましくは70質量%以下であり、更に好ましくは65質量%以下であり、一層好ましくは60質量%以下である<29>に記載のシート状毛髪化粧品。
<31>
好ましくは前記シートがセルロース系繊維のみからなる<1>ないし<28>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<32>
前記液状化粧料組成物の量が1枚の前記シート当たり好ましくは7g以上であり、更に好ましくは8g以上であり、好ましくは20g以下であり、更に好ましくは15g以下である<1>ないし<31>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<33>
前記液状化粧料組成物の含有割合が、前記シートの最大保水量に対して好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上であり、一層好ましくは20質量%以上であり、好ましくは90質量%以下であり、更に好ましくは85質量%以下であり、一層好ましくは80質量%以下であり、更に一層好ましくは60質量%以下である<1>ないし<32>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<34>
前記シートの最大保水率が好ましくは700質量%以上、好ましくは800質量%以上、更に900質量%以上、更には1000質量%以上であり、上限は好ましくは2000質量%以下、更には1500質量%以下、更には1300質量%以下である<1>ないし<33>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品。
<35>
好ましくは<1>ないし<34>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品が以下の(C)内に収容されている毛髪化粧品。
(C)内容物取出口を被覆し、内容物を密閉する開閉蓋を有し、該内容物取出口の面積が25mm2以上、好ましくは100mm2以上、更に好ましくは200mm2以上であり、好ましくは4000mm2以下、3000mm2以下、更に好ましくは2500mm2以下である外装容器。
<36>
<1>ないし<34>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品を用いた毛髪処理方法であって、
i)前記シート状毛髪化粧品を指にかかるように手の内側に広げて載せる工程、及び
ii)前記シート状毛髪化粧品を載せた状態の手を、毛髪の根元から毛先に向けて移動させて毛髪を処理する工程、を有する毛髪処理方法。
<37>
ii)の工程において、前記シート状毛髪化粧品を載せた状態の手の指と指の間に毛束が存在するように、その毛束の根元、又は概中間ないし毛先に指先をあてがい、その状態下に各指によって毛髪を梳きながら毛髪を処理する<36>に記載の毛髪処理方法。
<38>
<1>ないし<34>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品を用いた毛髪処理方法であって、
i)前記シート状毛髪化粧品を指にかかるように手の内側に広げて載せる工程、
ii)毛髪の一部を取り分けた毛束を、前記シート状毛髪化粧品を載せた状態の手で握る工程、及び
iii)毛束を握ったまま、毛束の毛先に向けて手を移動させる工程、を有する毛髪処理方法。
<39>
<1>ないし<34>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品を用いた頭皮の清拭方法であって、
i)取り出された前記シート状毛髪化粧品を指にかかるように手の内側に広げて載せる工程、及び
ii)前記シート状毛髪化粧品を載せた状態の手の指先を頭皮にあてがい、その状態下に各指を上下又は左右に擦る工程、を有する頭皮の清拭方法。
<40>
<1>ないし<34>のいずれか1に記載のシート状毛髪化粧品を用いた頭皮の清拭方法であって、
i)前記液状化粧料組成物が含浸された前記シート状毛髪化粧品を、折り畳む工程、
ii)折り畳まれた前記シート状毛髪化粧品の内部に指を挿入して、該シート状毛髪化粧品を手で把持する工程、及び
iii)前記シート状毛髪化粧品を把持した手を頭皮に当接させ、該シート状毛髪化粧品を介して指先で頭皮を擦る工程、を有する頭皮の清拭方法。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。また、表に記載されている液状化粧料組成物の含有量は原料の有姿によらずアクティブ量を示す。
〔実施例1〕
(1)使用するシートの準備
シートを以下の製造方法で製造した。
スパンレース法によって図2ないし図4に示す形態の不織布シート12を製造した。不織布シート12は、表1に示すとおり、レーヨン(2.2dtex繊維長38mm;70%)及びポリエステル繊維(2.2dtex繊維長38mm;30%)を原料として製造された坪量60g/m2のものであった。不織布シート12の畝及び溝の延びる方向と不織布シート12の両辺とのなす角αは60°であり、各畝の幅W1は2.0mmであり、各溝の幅W2は3.2mmであり、厚みTは1.2mmであった。第1の面21a側の畝の頂部における高低差Daは0.7mmであり、第2の面21b側の畝の頂部における高低差Dbは0.2mmであった。開孔24どうしの間隔L1は6.3mmであり、開孔24の直径L2は3mmであり、開孔24の大きさは7mm2であった。また、第1開孔領域41aを形成する菱形状の開孔域30aは、Y方向の長さL3が28mmであり、X方向の長さL4が53mmであった。第2開孔領域41bを形成するV字状の開孔域30bは、幅W3が9mmであり、一辺とX方向に延びる直線とのなす角βが30°となるように形成されていた。第1非開孔領域42aを形成するV字状の非開孔域31aの一辺も、なす角が30°となるように形成されていた。第1非開孔領域42a及び第2非開孔領域42bの幅W4は8mmであった。不織布シート12は、全体の寸法が200mm×200mmであり、全体の質量が2.4gであり、全体の坪量が60g/m2であり、畝の坪量が84g/m2であり、溝の坪量が59g/m2であった。
(2)化粧料に配合するポリシリコーン−9の合成例
硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2−エチル−2−オキサゾリン12.8g(0.14モル)を脱水した酢酸エチル29gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2700であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%、重量平均分子量は114000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果によると、アミノ基は残存していなかった。
(3)化粧料の調製及び不織布シートへの含浸
表2に示す化粧料を常法に従って調製した。シートの最大含水量に対する化粧料量の割合が40%となるように調整した化粧料(液量10g)を、(1)で製造したシートへ含浸させた。
(4)外装容器への収容
外装容器として、アルミニウム層が内装されたPET製のフィルムからなるピロー形態の袋を用いた。この外装容器は図1に示す形態のものであった。この外装容器内における内容物取出口は、概長方形の形状をしており、その面積は1200mm2(40mm×30mm)であった。この外装容器内に、(3)で調製したシート状毛髪化粧品をZ折りで折り畳み、折り畳んだ状態で5枚積み重ねて収容した。シート状毛髪化粧品は、折り畳みによって形成された折曲線が、外装容器の内容物取出口から見える位置に配置されるように、該外装容器内に収容した。また、折り畳まれた状態のシート状毛髪化粧品は、平面視での面積が70cm2であった。このようにして、目的とする毛髪化粧品を製造した。
〔実施例2ないし6及び比較例1ないし5〕
実施例1で用いたシートと同様のものを用い、表2に記載の化粧料を、実施例1と同様に含浸させた。これら以外は、実施例1と同様にして毛髪化粧品を製造した。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた毛髪化粧品について、シートの剛軟度、厚み、最大保水率、外装容器から取り出したシート状毛髪化粧品の刺激臭の少なさ、使用時の冷感の持続、使用時の毛髪の感触(毛髪が濡れているとき、及び化粧料が乾燥した後)、化粧料が乾燥した後の毛髪のまとまり、及び原液安定性の評価を行った。評価は以下に記載の方法で行った。結果を表1及び表2に示す。
〔シートの剛軟度、厚み、最大保水率の測定〕
シートの剛軟度、厚み、最大含水量は、化粧料を含浸する前のシートをサンプルとして測定した。具体的な測定方法はそれぞれ以下に記載のとおりに行った。
●剛軟度の測定:
JIS L1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」8.21剛軟度のA法(45°カンチレバー法)に準拠して、シートの剛軟度を測定した。
<測定手順>
1)試料から、20mm×約150mmの試験片を縦方向及び横方向にそれぞれ 5枚採取し、一端が45°の斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置いた。
2)モーターによって一定速度で押し出しながら(0.3cm/秒)試験片を斜面の方向に緩やかに滑らせて、試験片の一端の中央点が斜面と接したとき他端の位置をスケールによって読む。剛軟度は、試験片が移動した長さ(mm)で示され、それぞれ5枚の表裏を測った。測定装置にはカンチレバーを用い、試験片は室温20℃、湿度65%RH環境下で24時間放置後に、室温20℃、湿度65%RHの環境下で測定した。
3)剛軟度(mm)の算出は、たて方向(流れ方向)及び横方向(幅方向)それぞれの平均値を算出し、小数点以下を四捨五入して算出した。なお、本方法での測定上限値は110mmであったので、測定できない硬さの試験片は剛軟度110mmとして平均値を算出することとした。
●厚みの測定:
JIS L 1096:2010に記載の「生地及び繊維製品の厚さ測定」に準拠し、化粧料を含浸する前のシートの厚さを測定した。測定には株式会社大栄科学精器製作所(型式FS−60DS)を用い、直径50.5mmのプレッサフットで0.3kPa荷重下で10秒放置後の値を測定した。試験片は面積が20cm2のものを5枚準備し、各試験片の平均値を算出した。
●最大保水率の測定:
JIS L1913:2010「一般不織布試験方法の6.9.2 保水率の測定法」に準拠して測定した。
<手順>
1)試料から100mm×100mmの試験片を3枚採取し、その質量を1mgまで測定した。
2)2Lのビーカーに精製水約1Lを入れ、試験片を15分間浸せきし、ピンセットで試験片の一つの角をつまんで水中から取り出して試験片を器壁に接触させずに5分間放置して水を滴り落とした後、その質量を1mgまで測定した。
3)次の式によって保水率を算出し、更にその平均値を求め、四捨五入法によって小数点以下1けたの値を算出した。
m=(m2−m1)/m1×100
m:保水率(%)
m1:試験片の標準状態での質量(mg)
m2:試験片を湿潤し、水を滴り落とした後の質量(mg)
〔外装容器から取り出したシート状毛髪化粧品の刺激臭の少なさの評価〕
実施例及び比較例で得られたシート状毛髪化粧品を外装容器から取り出し、一枚に広げた後、鼻先をシートから5cmに近づけて、臭いを嗅ぎ、シート状毛髪化粧品の刺激臭の少なさをパネラー10名により評価した。評価は以下の基準で採点し、合計点を算出した。
5:刺激臭を感じない。
4: ほとんど刺激臭を感じない。
3: やや刺激を感じる。
2: 刺激臭を感じる。
1: 非常に刺激臭を感じる。
〔使用直後、及び経時での冷感の持続の評価〕
実施例及び比較例で得られた毛髪化粧品について、前記化粧料を含浸させたシート状毛髪化粧品を外装容器から取り出し、指にかかるように手の内側に載せて大きく一枚に広げた。シート状毛髪化粧品を載せた状態の手の指と指の間に毛束が存在するように、頭皮部分に指先をあてがい地肌を清拭した。清拭直後と清拭後30分経過した後における冷感をそれぞれパネラー10名により評価した。評価は以下の基準で採点し、合計点を算出した。
5: 非常に冷感が強い。
4: 冷感が強い。
3: やや冷感が強い。
2: やや冷感が弱い。
1: 冷感が弱い。
〔シート状毛髪化粧品を使用後、濡れている状態での毛髪の指通り性の評価〕
実施例及び比較例で得られたシート状毛髪化粧品を外装容器から取り出し、指にかかるように手の内側に載せて大きく一枚に広げた。シート状毛髪化粧品を載せた状態の手の指と指の間に毛束が存在するように、頭頂部の毛束根元に指先をあてがい、各指によって毛髪を梳きながら毛先まで毛髪を処理した。処理した直後の濡れた状態での毛髪の指通り性をパネラー10名により評価した。評価は以下の基準で採点し、合計点を算出した。
5: 非常に指通りが良い。
4:指通りが良い。
3: やや指通りが良い。
2: やや指通りが悪い。
1: 指通りが悪い。
〔化粧料が乾燥した後の毛髪の滑らかさの評価〕
前述の毛髪を梳いて処理する工程を行い乾燥した後の毛髪の滑らかさをパネラー10名により評価した。評価は以下の基準で採点し、合計点を算出した。
5: 非常に滑らかである。
4: 滑らかである。
3: やや滑らかである。
2: やや滑らかでない。
1: 滑らかでない。
〔化粧料が乾燥した後の毛髪のまとまりの評価〕
前述の毛髪を梳いて処理する工程を行い乾燥した後、乾燥後の毛髪のまとまりをパネラー10名により評価した。評価は以下の基準で採点し、合計点を算出した。
5: 非常にまとまりが良い。
4: まとまりが良い。
3: ややまとまりが良い。
2: ややまとまりが悪い。
1: まとまりが悪い。
〔化粧料の保存安定性の評価〕
表2に示す実施例及び比較例の化粧料について、50℃で一か月保存をした後の溶液状態を目視で観察した。 〇:溶液が分離していない。
×:溶液が分離した。
*1:前記式(1)で表されるアミノ変性シリコーン(同式中、Aはメチル基であり、R’は基-CH2CH2CH2−であり、nは1であり、総ケイ素総原子数(p+q+2)は数平均で1500であり、アミノ当量は13000/mol)を乳化したもの
*2:ニッコールBC−40TX(日光ケミカルズ社製)
*3:エマルゲン305(花王社製)
*4:エマルゲン123P(花王社製)
*5:エマルゲン105(花王社製)
*6:ソフタノール90(花王社製)
*7:*1のキャリーオーバーとして配合されている
*8:エマノーンCH−60(花王社製)
*9:レオドールTW−L120(花王社製)
*10:レオドールTW−S120(花王社製)
*11:コータミン60W(花王社製)
*12:クレワットN(ナガセケムテックス社製)
表1及び表2に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られたシート状毛髪化粧品は、l−メントールに起因する過度の刺激臭を抑制しつつ、l−メントールに起因する冷感が持続するものである。また、使用時の毛髪の感触(毛髪が濡れているとき、及び化粧料が乾燥した後)が良好なものであり、乾燥後の毛髪にまとまりを付与するものであることが判る。更に、化粧料の安定性が高いものであることも判る。これに対して、化粧料中にl−メントールを配合していない比較例1では、使用時に冷感を与えられないことが判る。化粧料中にアミノ変性シリコーンを配合していない比較例2では、使用時の毛髪の感触(濡れているとき)が良好でないことが判る。化粧料中に成分(D)を配合していない比較例3及び4では、l−メントールに起因する刺激臭が強く、また化粧料の乾燥後の毛髪の感触が良好でないことが判る。更に、化粧料の安定性に欠けるものであることが判る。成分(A)ないし成分(D)の含有量が特定の比率の範囲外である比較例5は、化粧料の安定性に欠け、l−メントールに起因する刺激が強いものであることが判る。
〔実施例7〕
実施例1で用いたシートと同様のものを用い、以下の表3に記載の液状化粧料組成物を、実施例1と同様に含浸させた。これら以外は、実施例1と同様にしてシート状毛髪化粧品を製造した。このシート状毛髪化粧品を用いて髪を手櫛で梳いたところ、冷感の持続性が良好であるにも関わらず、メントール由来の刺激臭や目への刺激を感じることがなかった。また、毛髪も自然にまとめることができた。