JP5825864B2 - タワークレーンのマスト支持構造、およびタワークレーンの支持方法 - Google Patents
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Description
特許文献1では、吊り荷や風荷重によるモーメントがマストを二層で支持した部位の水平力によって処理され、マスト上部の垂直設置反力は自重による荷重のみでモーメントによる垂直力が付加されないようにした設置方法となっている。マスト上部の支持構造として、マスト上部から左右両側に腕材を張り出し、それら張出し端部で垂直荷重を支持する構造となっている。
すなわち、特許文献1で開示されているタワークレーンの構造では、マストに対して剛接合となる腕材によって、マストの垂直荷重を支持する構造であり、従来のタワークレーンの設置方法よりも垂直設置反力を低減することができるが、マストに作用するモーメントによる垂直荷重が腕材の垂直設置反力に付加されてしまうことから、その点で改良の余地があった。
ところが、受梁は、クライミング時に一時的に必要な部材であり、クライミング毎に設置、撤去を行う必要があり、また長尺物であるため、狭小なエレベータシャフト内の空間での設置、撤去作業は手間と時間がかかるという問題があった。
しかも、腕材を折り畳んだり、伸ばしたりするために、多数のフランジボルトを取り外す、締め付ける作業が発生することから、作業効率が低下するという問題があった。
また、本発明の他の目的は、マスト支持部の盛り替え作業を狭小な空間で効率的に行うことができ、手間と時間を低減することができるタワークレーンのマスト支持構造、およびタワークレーンの支持方法を提供することである。
また、上層支持部を躯体に支持する支持脚部が球座ブロックに対して突出可能とすることし、マスト支持部の盛り替え時には球座ブロック内に支持脚部を収納して移設することができるので、盛り替え作業を狭小な空間で効率的に行うことができ、手間と時間を低減することができる。
ここで、マスト3は、平面視で四角形(正方形)の柱状をなし、所定長さのマストピース(単体のマスト)を上部に順次継ぎ足すことでその高さを延長する周知のものである。
そして、昇降装置41の下側の着脱フレームには構台44が設けられている。この構台44は、マスト3をクレーン本体4に反力を取って上昇させる際に、躯体2(本設梁6など)に固定可能となっている。
図3に示すように、上層支持部10は、マスト3の上下方向で略中間部の所定階(以下、上層支持部10を設ける階を「上層支持階P1」という)に配置され、躯体2(図1参照)に支持を取り、マスト3に作用する水平荷重と垂直荷重とを支持するものである。
ここで、図4及び図5において、上層支持部10の支持を受ける本設梁6の材軸方向を第1方向Xとし、平面視で第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとして以下、説明する。
第2係止板16Bは、L型鋼であり、第1辺部を第2受梁12上に係止された支持脚部14の伸縮方向(第2方向Y)の端面14bに当接するようにして、第2辺部をボルトにより第2受梁12に固定させている。
このように、マスト3の垂直荷重は、球座ブロック13および球体ブロック15の球体係合部で支持され、その垂直荷重は球座ブロック13および球体ブロック15、支持脚部14、第2受梁12、第1受梁11を介して躯体2へ伝達される。
図3に示すように、下層支持部20は、マスト3の下部3aを所定階(以下、下層支持部20を設置する階を「下層支持階P2」という)の躯体2に反力を取って水平支持し、マスト3に作用するモーメント(水平荷重)を受けるためのものである。
図11に示すように、昇降支持部30は、クレーン本体4を昇降させる際の支持構造であって、上層支持部10を利用して支持される。
昇降支持部30は、上層支持部10の一対の第2受梁12、12上に橋渡しするようにして固定される一対の第1受脚31と、これら第1受脚31上に橋渡しするようにして固定されるとともにクレーン本体4の下端4aに連結される一対の第2受脚32とからなる。昇降支持部30は、クレーン本体4を躯体2(本設梁6など)に固定させた状態において、マスト3の上方へ移動させる盛り替えるときの反力を取ることができる。
中高層階構築時では、マスト3の下部3aをベース架台5から切り離し、図2および図3に示すように、マスト3の上下方向略中間部を上層支持階P1において上層支持部10で支持し、マスト3の下部3aを下層支持階P2に固定し、クライミングにしたがって上層支持部10と下層支持部20の位置を順次上階へと移設する。
すなわち、予めベース架台5をマスト3から切り離して撤去した後、中層階(上層支持階P1)でマスト3を上層支持部10によって支持するとともに、下層支持階P2でマスト3を下層支持部20によって支持する。そして、クレーン本体4をマスト3に沿って上昇させて所定位置で停止させ、クレーン本体4によってマスト3上部に新たなマスト3を必要本数だけ継ぎ足して延長する。その後、図12(d)に示すように、上層支持部10と下層支持部20とを順次、盛り替えながらフロアクライミングしつつ躯体2を構築していく(ステップS4)。
また、上層支持部10を躯体2に支持する支持脚部14が球座ブロック13に対して突出可能とすることし、マスト支持部の盛り替え時には球座ブロック13内に支持脚部14を収納して移設することができるので、盛り替え作業を狭小な空間で効率的に行うことができ、手間と時間を低減することができる。
例えば、本実施の形態では第1受梁11を躯体2上に配置し、その第1受梁11上に橋渡しするようにして第2受梁12を設ける構成としているが、第2受梁12を躯体2に直接載置させる構成とすることも可能である。
また、本実施の形態では、第2受梁12に対して支持脚部14の水平方向への移動を規制する方法として、L型鋼からなる第1係止板16Aと第2係止板16Bを用いているが、これに限定されることはなく、H型鋼やC型鋼などの部材であっても良い。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
2 躯体
3 マスト
4 クレーン本体
5 ベース架台
6 本設梁
8 床スラブ
9 開口部
10 上層支持部
11 第1受梁
12 第2受梁(上層支持受梁)
13 球座ブロック
14 支持脚部
15 球体ブロック
16A 第1係止板
16B 第2係止板
20 下層支持部
21 フレーム
22 支持脚
23 クサビ
24 ヒンジ
30 昇降支持部
41 昇降装置
P1 上層支持階
P2 下層支持階
X 第1方向
Y 第2方向
Claims (3)
- 躯体の開口部に配置されるマストと、該マストの上部を挿通支持させた状態でそのマストに沿って上下動自在とされるクレーン本体と、を備え、前記マストの垂直荷重および水平荷重とを支持する上層支持部と、水平荷重のみを支持する下層支持部とを有するタワークレーンのマスト支持構造であって、
前記上層支持部は、
前記マストの両側に配置されて躯体に支持される一対の上層支持受梁と、
前記マストの内側に位置し、球座部を備えた球座ブロックと、
該球座ブロックから水平方向に突出可能で、その突出部が前記上層支持受梁上に載置される支持脚部と、
前記球座部の上部にて回転自在に嵌合可能な球体部を備えるとともに、前記マストに着脱可能に固定された球体ブロックと、
を備え、
前記球座ブロックは、前記躯体に対する水平移動が規制されていることを特徴とするタワークレーンのマスト支持構造。 - 前記球座ブロックおよび前記球体ブロックは、前記マストの枠内に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のタワークレーンのマスト支持構造。
- 請求項1又は2に記載のマスト支持構造を用いたタワークレーンの支持方法であって、
上層階の躯体において、前記マストに作用する水平荷重および垂直荷重を支持するとともに、前記球座部と前記球体部との嵌合により前記マストを回転自在に支持する上層支持部を設ける工程と、
前記上層階より下方の下層階において、前記マストに作用する水平荷重のみを支持する下層支持部を設ける工程と、
を有し、
前記上層支持部と前記下層支持部とを前記マストの盛り替えとともに順次移設することを特徴とするタワークレーンの支持方法。
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