以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
(赤外線検知素子の基本構造)
図1および図2を参照しながら、本実施形態による赤外線検知素子1の構造について説明する。ここで、図1は赤外線検知素子1の平面図、図2は図1のA−Aで赤外線検知素子1を切断した断面図である。本実施形態による赤外線検知素子1は、基板2、絶縁膜3、赤外線検知膜5、下部電極である取出し電極6、パッド電極7および保護膜8を備える。
基板2としては、適度な機械的強度を有し、且つエッチングなどの微細加工に適した材質であれば、特に限定されるものではない。例えば、Si単結晶基板、サファイア単結晶基板、セラミック基板、石英基板、ガラス基板などが好適である。基板の表面および裏面には、Si酸化膜又はSi窒化膜などの絶縁膜3が形成される。
基板2には、赤外線を感知する赤外線検知膜5の熱容量を小さくするために赤外線検知膜5の位置に対応して、基板裏面にキャビティ4を有している。このキャビティ4により基板が取り除かれた部分はメンブレン10と呼ばれる。メンブレン10では熱容量が小さくなるため、微少な赤外線の変化を電気信号に変換することが可能となる。赤外線検知膜5はメンブレン10に形成され、その上には外気からの影響を遮断する保護膜8が形成される。この場合、赤外線検知膜5は一対の取出し電極6に跨るように設けられている。保護膜8の上には、赤外線の吸収効率を向上させるために赤外線吸収膜9を設けている。また、外部との接続部にはワイヤーボンドなどで電気信号を良好に取り出すためのパッド電極7が形成される。
赤外線検知膜5としてはボロメータ、サーモパイル、サーミスタなどが用いられるが、本実施形態ではサーミスタを使用する。サーミスタとしては、複合金属酸化物、アモルファスシリコン、ポリシリコン、ゲルマニウムなども負の温度抵抗係数を持つ材料をスパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの薄膜プロセスを用いて形成する。
また、取り出し電極6の材質としては、赤外線検知膜5の成膜工程および熱処理工程などのプロセスに耐えうる導電性物質で比較的高融点の材料、例えば、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)又はこれら何れか2種以上を含む合金などが好適である。この取出し電極6は、パッド電極7に接続されている。
パッド電極7としてはワイヤーボンドやフリップチップボンディングなどの電気的接続が行いやすい材料、例えばアルミニウム(Al)やAuなどが好適であり必要に応じて積層してもよい。また赤外線吸収膜9には本実施形態となるCu黒化膜を形成する。Cu黒化膜とはCu金属膜を黒化処理、すなわち、酸化処理して作製する黒色の膜である。
赤外線吸収膜9は、スパッタ法等の真空成膜により形成したCu金属膜を酸化処理の一種である黒化処理することによって提供される。また赤外線吸収膜9と下地層である保護膜8との間には密着層であるTi金属薄膜14が存在する。これにより、下地層である保護膜8との密着性を良くすることができる。また、Cuを主成分としたため原材料が容易に入手可能で、さらには特別な製造設備を必要としないことから容易に製造でき、低コストで赤外線吸収膜を作製することが可能となる。
Au黒膜では、例えば、基板上に真空成膜で多孔質のAuを成長させるため基板との界面にも空孔が多く、密着性がよくない。一方、図2で示す本実施形態の赤外線吸収膜9は、以下の理由により密着性を確保している。すなわち、まず下地層である保護膜8に密着層であるチタン(Ti)金属薄膜14を成膜した後、Cu金属膜9を成膜する。この時点でCu金属膜9は密度が高く、そのため密着性が高い金属膜であるため、それ自体膜の一部が剥離することがなく、また下地層である保護膜8とは密着層であるTi金属薄膜14を介して積層されているため、密着性が高い。
赤外線吸収膜9において、表面形状は葉状に形成されており、葉状部分は酸化第二銅(CuO)で形成され、膜厚方向において表面から下地層との界面までの領域は酸化第二銅(CuO)、酸化第一銅(Cu2O)、銅(Cu)の混合状態で形成される。なお、葉状とは、外観が葉状または針状であるような突起状の構造である。
赤外線吸収膜9は、Cu金属膜を、黒化処理すなわち、酸化処理し赤外線吸収効果をもたせる。Cu金属膜の一部は黒化処理により多孔質化するが、Cuが金属状態でも残存することにより、密着層であるTi金属薄膜14を介して密着性を確保している。一方で、黒化処理により生じる表面の葉状状態および多孔質化した内部構造により、入射する赤外線が反射を繰り返すことにより、赤外線が減衰しつつCu黒化膜に吸収される。以上のことから、赤外線吸収膜9は、従来のAu黒膜と同等以上の赤外線吸収効果を有し、かつAu黒膜等で問題視されているような密着性が弱いといった問題は発生しない。また、原材料の入手が容易で特別な製造設備を必要としないため容易に製造することもできる。
また本実施形態の赤外線吸収膜9において、葉状部分から下地層である保護膜8との界面にかけてCuの酸化数が減少し、下地層8との界面付近には酸化していないCuが一部分存在する、ことが好ましい。
例えば図4において、赤外線吸収膜9において、下地層である保護膜8との界面付近が多孔質になっており、赤外線吸収膜と下地層との間には密着層であるTi金属薄膜14が介在している。このため、赤外線吸収膜9と密着層14とは部分的に接触している。
赤外線吸収膜9と下地層である保護膜8との界面において黒化処理により酸化されずに存在するCuが、密着層であるTi金属薄膜14を介して赤外線吸収膜9と下地層8との密着性を保つ機能を担っている。
赤外線吸収膜9において、密着層14と接触している面積が赤外線吸収膜全体の面積に比べて20%以上である、ことが好ましい。この条件において、赤外線吸収膜9と密着層14との密着性が保たれる。
赤外線吸収膜9において、赤外線吸収膜9の内部は多孔質である、ことが好ましい。多孔質とすることで、赤外線吸収効果を発現させるとともに、内部応力が軽減されメンブレン10に生じる応力を緩和することができる。
赤外線検知素子1は、支持基板2上に赤外線検知膜5と赤外線吸収膜9とが積層されている。
赤外線検知素子1は、支持基板2の一部を取り除いたメンブレン構造を有すること、が好ましい。赤外線検知素子1は、基板2上に薄膜素子を作製した後基板を除去して薄肉化した、すなわち、薄膜積層方向全体として厚みを薄くした状態にしたメンブレン構造10としている。これにより、赤外線検知素子1の熱容量を小さくすることが可能になる。
赤外線検知素子1は、赤外線検知膜5が薄膜サーミスタであること、が好ましい。薄膜サーミスタにより微少な赤外線量の変化を精度よく電気信号に変換することができる。
赤外線吸収膜は、下地に対して密着性がよいことが求められ、また赤外線吸収膜成膜時に生じる内部応力やその自重によりメンブレンが破壊されることを防ぐ必要がある。また、これらの問題に対する対策を行うことで赤外線吸収効率を落とすことはあってはならず、赤外線吸収効率の維持・向上が求められる。さらに材料や製造設備の面で低コストであることが求められる。
赤外線吸収膜9は、Cu金属膜を黒化処理すなわち酸化処理することで、表面を葉状化し内部の一部を多孔質化することで赤外線吸収効果を発現させるため密着性がより良好で、赤外線吸収膜の重量を低減し内部応力を緩和することでメンブレンが破壊されることを防ぎ、Au黒膜などと比べて赤外線吸収効果が同等以上であり、高い信頼性を得ることが可能である。さらにはCuを使用しその黒化処理により赤外線吸収膜を作製することで、材料および製造装置の面から容易に製造でき、低コストで作製することが可能である。
(赤外線検知素子の基本構造の製造方法)
本実施形態の、メンブレン構造を備えた赤外線検知素子の製造方法について説明する。赤外線吸収膜前段薄膜を作製する工程と、赤外線吸収膜前段薄膜表面に葉状形状を設ける処理を施して赤外線吸収膜を作製することを特徴としている。
本実施形態の赤外線検知素子の製造方法において、赤外線吸収膜前段薄膜が金属であり、葉状形状を設ける黒化処理により、赤外線吸収膜前段薄膜が酸化して多孔質になる。葉状形状および多孔質構造において、入射する赤外線が反射を繰り返すことにより、赤外線が減衰しつつ赤外線吸収膜に吸収されるため、赤外線吸収効果が発現する。また多孔質化することにより、内部応力が軽減されメンブレンに生じる応力を緩和することができる。
本実施形態の赤外線検知素子の製造方法において、赤外線吸収膜前段薄膜がCuであり、葉状形状を設ける処理がCuの黒化処理である、ことが好ましい。Cuおよびその黒化処理を用いることで下地層との密着性がよく、低コストの赤外線吸収膜を形成することができる。またCu表面を選択的に葉状にすることができる。
本実施形態の赤外線吸収膜9は、まず下地層上に密着層であるTi金属薄膜を成膜した後、Cu金属膜を成膜する。この時点でCu金属膜は密度の高い金属膜であるため、それ自体膜の一部が剥離することがなく、また下地層とは密着層であるTi金属薄膜を介して積層されているため、密着性が高い。この状態のCu金属膜を、黒化処理すなわち、酸化処理し赤外線吸収効果をもたせる。Cu金属膜の一部は黒化処理により多孔質化するが、Cuが金属状態でも残存することにより、密着層であるTiを介して下地層との密着性を確保している。一方で、黒化処理により生じる表面の葉状状態および多孔質化した内部構造により、入射する赤外線が反射を繰り返すことにより、赤外線が減衰しつつCu黒化膜に吸収される。以上のことから、本実施形態の赤外線吸収膜9は、従来のAu黒膜と同等以上の赤外線吸収効果を有し、かつAu黒膜等で問題視されているような密着性が弱いといった問題は発生しない。
次に図2を参照しながら、赤外線検知素子1の製造工程について具体的に説明する。まず図2に示すように、基板2として、例えば、面方位が(100)であるSi基板を用意し、基板の表面に絶縁膜3を形成する。絶縁膜3として、例えばSi酸化膜を形成するには、熱酸化法やCVDによる成膜法を適用すればよい。膜厚は、絶縁膜3上に形成する膜と基板との絶縁がとれ、かつキャビティ4を形成する際のエッチング停止層として機能すればよい。通常0.1〜0.5μm程度が好適である。
更に絶縁膜3の上にRFマグネトロンスパッタ法などを用いて、取り出し電極6用の、膜厚が100〜600nm程度の金属膜を堆積する。取り出し電極6の材質としては、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)、イオンミリングなどの高精度なドライエッチングが可能である電導材質であることが好ましく、例えば、Ptなどが好適である。また絶縁膜3との密着性を向上させるためにはPtの下部にはTiなどの密着層を形成するのが好ましい。金属膜上にフォトリソグラフィによってエッチングマスクを形成した後、イオンミリング等によって、取り出し電極6を形成する。その後レジストで形成されたエッチングマスクを除去する。
取り出し電極6上に、スパッタ法により赤外線検知膜5として、サーミスタ材料である複合金属酸化物材料を堆積する。赤外線検知膜5の膜厚は目標とするサーミスタ抵抗値に応じて調整すればよく、例えばMnNiCo系酸化物を用いて抵抗値を室温での抵抗値(R25)を140kΩ程度に設定するのであれば、素子の電極間の距離にもよるが0.2〜1μm程度の膜厚に設定すればよい。一例としては、膜厚を0.4μmに設定し、スパッタ条件としては基板温度600℃、成膜圧力0.5Pa、導入ガス組成がアルゴン(Ar)に対する酸素(O2/Ar)の流量比で1%、RFパワー400Wの条件で成膜を行った。その後BOX焼成炉を用いて大気雰囲気で650℃1時間の熱処理を行った。続いて、検出領域として必要な部分にフォトリフォグラフィでエッチングマスクを形成し、それ以外の部分をウェットエッチングにより除去する。
ウェットエッチングに際し、赤外線検知膜5がMnCoNi系酸化物であれば、例えば塩化第二鉄水溶液を用いれば下部の膜にダメージを与えることなく容易に不要部が除去可能である。続いてエッチングマスクを除去した後、素子全面を被覆するように、保護膜8として、テトラエトキシシラン(Tetraethlorthosilicate:TEOS)という有機金属を用いたCVD(TEOS−CVD)法により0.3〜2μm程度の膜厚のSiO2膜を堆積する。さらにフォトリソグラフィによって保護膜8上にエッチングマスクを形成した後、ウェットエッチングによってSiO2膜を選択エッチングし、パッド電極7の接続部分のみを露出させる。そのままパッド電極7としてAlを電子ビーム蒸着法により膜厚1μm程度形成しパッド電極7を形成する。その後リフトオフ法により接続部分以外のAl電極は除去される。
続いて赤外線検知部の所望の場所にTi金属薄膜14および赤外線吸収膜9を形成した。この赤外線吸収膜9は、赤外線検知部へCuパターンを形成し、その後、Cuを黒化処理することでCu黒化膜とし赤外線吸収機能を持たせる。Cuの黒化処理とは、適切な条件でCuを酸化することにより、表面に葉状または針状のような凹凸を形成し、これにより入射する光が吸収されるため黒色に見える処理のことである。この時、パターン化されたCu黒化膜は、キャビティより大きいと赤外線吸収により得られた熱が基板2へ逃げてしまうため、そのパターン端がキャビティ4より20μm内側に入るように形成した。
さらに基板2の裏面、すなわち絶縁膜3や取り出し電極6などを形成していない側の面に、フォトリソグラフィによってエッチングマスクを形成した後、フッ化物系ガスを用いた反応性イオンエッチングによって基板2を除去し、一辺が500μm程度のキャビティ4を形成した。キャビティ4の形成にはエッチングとバリア層形成を交互に行いながら垂直に加工する深堀りRIE(Deep−RIE、D−RIE)法を用いた。
本実施形態の、赤外線吸収膜9を有する赤外線検知素子1の具体的な製造方法について、図3を用いて説明する。
図3aに示すように、基板2(Si基板、誘電率:2.4、板厚250μm)の2つの主面に、熱酸化法により厚さ0.5μmのSiO2膜を略全面に形成し絶縁膜3とした。
次いで、図3bに示すように、基板2の一方の主面上の絶縁膜3の表面に、高周波マグネトロンスパッタ法により、厚さ5nmのTi金属薄膜6A、および厚さ100nmのPt金属薄膜6Bを順次、略全面に形成し取り出し電極6とする。なおTi金属薄膜6AはPt金属薄膜6Bと絶縁膜3とを密着させるための密着層である。形成された取り出し電極6上に、フォトリソグラフィにて櫛歯状など所望の形状のエッチングマスク12をフォトレジストで形成した後、エッチングマスク12で覆われていないPt金属薄膜6BおよびTi金属薄膜6Aをイオンミリング法によりエッチングする。その後、図3cに示すように、エッチングマスク12を除去することにより、取り出し電極6を所望の形に形成する。
次いで、図3dに示すように、形成した取り出し電極6の表面に、赤外線検知膜5として、スパッタ法によりMnNiCo系複合酸化膜を成膜することで、厚さ0.4μm、抵抗値100kΩ、取り出し電極6間距離20μmのサーミスタ膜を形成する。このスパッタは、マルチターゲットスパッタ装置(商品名:ES350SU、株式会社エイコー・エンジニアリング製)を使用し、基板温度600℃、アルゴン(Ar)圧力0.5Pa、O2/Ar流量比1%、投入電力400Wの条件下で実施した。その後、BOX焼成炉を使用し、熱処理を大気雰囲気中で650℃、1時間の条件下で実施した。続いてフォトリソグラフィにより、検知部位を除く赤外線検知膜5上にフォトレジスト製のエッチングマスク13を作成した。
続いて、図3eに示すように、フォトリソグラフィにより、検知部位を除く赤外線検知膜5上にフォトレジスト製のエッチングマスク13を作成し、塩化第二鉄水溶液を用いてウェットエッチング処理し非マスク領域のMnNiCo系複合酸化膜を除去した。
しかる後、図3fに示すように、エッチングマスクを除去することにより、検知部位にのみ赤外線検知膜5を形成した。次に赤外線検知膜5の表面に、TEOS−CVD法によりSiO2膜を成膜することで、厚さ0.4μmの保護膜8を形成した。
続いて、図3gに示すように、保護膜8上に高周波マグネトロンスパッタ法により厚さ5nmのTi金属薄膜14、および厚さ2μmのCu金属薄膜である赤外線吸収膜前段薄膜15を順次、略全面に形成する。なおTi金属薄膜14は赤外線吸収膜前段薄膜15と保護層8とを密着させるための密着層である。赤外線吸収膜前段薄膜15上に、フォトリソグラフィによってエッチングマスク16を形成した。
その後、図3hに示すように、エッチングマスク16で覆われていない赤外線吸収膜前段薄膜15およびTi金属薄膜14をウェットエッチングする。その後、エッチングマスク16を除去することによりパターニンを形成する。この形成されたパターン状の赤外線吸収膜前段薄膜15は、後に黒化処理、すなわち酸化処理を施すことにより赤外線吸収膜9となる。
続いて赤外線吸収膜としての機能を発現させるために、パターニングした赤外線吸収膜前段薄膜15を黒化処理した。この処理はアルカリ性水溶液(亜塩素酸ナトリウム 60g/l、水酸化ナトリウム 80g/l)に85℃で11分間浸漬することで実施した。この処理により、Cuが酸化されて、酸化第一銅(Cu2O)または酸化第二銅(CuO)となる。この処理によりCu表面に葉状ないしは針状の突起状Cu酸化物が形成され赤外線吸収膜9となる。葉状とは、外観が葉状がないしは針状であるような突起状の構造である。こうすることで、密着層であるTi金属薄膜14を介して下地層との密着性がよく、かつCuを主成分とし特別な製造設備を必要としないことから、容易に製造でき、低コストで赤外線吸収膜を作製することが可能となる。
図4を用いて、赤外線吸収膜9の断面構造について説明する。赤外線吸収膜前段薄膜15が黒化処理、すなわち酸化処理により赤外線吸収膜9に変化する際、表面に凹凸を生じながらCu酸化物である葉状部9Aが成長する。それと同時に、赤外線吸収膜前段薄膜15内部へも黒化処理が進行し、空孔9Bが多く存在する多孔質状の膜となる。この黒化処理により、赤外線吸収膜9の膜厚は、赤外線吸収膜9の表面における葉状部9Aが2μm程度、多孔質状態を有する酸化Cu層9Cが2μm程度、また赤外線吸収膜9がTi金属層14を介して保護層8と接する界面で一部のCu、すなわち、残留Cu9Dが酸化されずに残っている領域すなわち、金属Cu残留領域9Eが0.3μm程度の厚みであった。
なお、葉状部9Aは主に酸化第二銅(CuO)で、多孔質状態を有する酸化Cu層9Cは酸化第二銅(CuO)、酸化第一銅(Cu2O)の混合状態である。金属Cu残留領域9Eは酸化第一銅(Cu2O)と銅(Cu)の混合状態であり、下地層である保護層8との界面付近には黒化処理により酸化されていない残留Cu9Dが存在する。このことから赤外線吸収膜9は、葉状部9AからTi金属薄膜14への界面にかけてCuの酸化数が減少していることがわかる。
なお、ここで示した処理例および赤外線吸収膜の各部位の膜厚は本実施形態を示すものであり、本実施形態はこれらによって限定されるわけではない。また、酸化Cuを析出・形成する方法については、亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬する方法や、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、りん酸ナトリムの混合水溶液に浸漬する方法、また他のアルカリ性酸化剤溶液を用いる方法や市販の黒化処理液による方法であってもよく、特に制限はない。
図3iに示すように、Cu黒化処理により赤外線吸収膜9を形成した後、パッド電極7を配置する部位を除く保護膜8上にフォトリソグラフィによりエッチングマスク17を作成し、パッド電極を配置する部位にウェットエッチング処理を施し、SiO2膜を除去することで、開口18を形成した。
続いて、図3jに示すように、形成した開口18およびエッチングマスク17上に、電子ビーム蒸着法より厚さ1.0μmのAl金属薄膜19を形成し、図3kに示すように、リフトオフ法により、開口を充填するように形成したAlの金属薄膜以外の部位のAlおよびマスクを除去し、パッド電極7を形成した。最後に、図3lに示すように、基板2の裏面にフォトリソグラフィによりエッチングマスク20を形成したのち、図3mに示すように、D−RIE法を用いてキャビティ4を形成し、赤外線検知部にメンブレン10を得た。
(変形例)
図6を参照しながら、変形例による赤外線吸収膜9の構造について説明する。上記実施形態と同様の方法で赤外線検知素子1を作製したが、図6に示すように赤外線吸収膜9の形状を変更した。すなわち上記実施形態では、図1に示したように赤外線吸収膜9は単純な四角形(正方形)をしていたが、変形例では図6に示すように、四角形の内部を周期的に、同形状を等間隔で除去した構造とした。
変形例の赤外線吸収膜9は、面内方向から見て周期的に除去された構造を有する連続膜である、ことが好ましい。赤外線吸収膜9の重量が軽減されメンブレンに生じる応力を緩和することができる。
赤外線吸収膜9は、同一形状で等間隔に連続して除去されている、ことが好ましい。赤外線吸収膜9の重量を軽減するとともに、赤外線吸収効果が赤外線吸収膜9全体に均一に発生する。
具体的には、上記実施形態でTi金属薄膜14および赤外線吸収膜前段薄膜15を成膜したのちにフォトリソグラフィによって外形の四角形を形成する際に同時に周期的除去構造も作製した。その後、赤外線吸収膜前段薄膜15に黒化処理を施した。
なお赤外線吸収膜9が多孔質となることで、赤外線吸収膜9が下地層である保護膜8と密着層であるTi金属薄膜14を介して接する面積が小さくなるため、赤外線吸収膜9の下地層である保護膜8への密着性が損なわれる懸念がある。赤外線吸収膜9を周期的に除去する際、たとえばチェック模様のようにそれぞれ独立した小さな島状パターンとして赤外線吸収膜9を残すと、赤外線吸収膜9は剥離をしやすくなる。
これは赤外線吸収膜9のパターン端面における黒化処理速度が速いために、多孔質化がより促進されるためと考えられる。このため、赤外線吸収膜9を分割した構造では膜剥がれが発生しやすいため、赤外線吸収膜9全体で密着性を確保するために、赤外線吸収膜9は分割せず一体、すなわち周期的に除去された構造を有する連続膜であることが好ましい。また赤外線吸収膜9の最外周部分に突起などの複雑形状が存在すると、その部分が剥離し、消失する可能性がある。このため最外周部分は、四角形ないし円形などの単純形状であることが好ましい。
また、赤外線吸収膜9は、図7に示したように、周期的に除去された領域の赤外線吸収膜側面9Fにおいて、表面が葉状部9Aである、ことが好ましい。周期的に除去された領域の赤外線吸収膜パターン端部の側面9Fに葉状構造を形成することにより、赤外線吸収膜パターン端部でも赤外線を効率よく吸収することができるため、面積低下による赤外線吸収効率の低減を緩和することができる。
この製造方法によれば、周期的に除去された構造を有するため前記赤外線吸収膜の重量が軽減し、メンブレンに生じる応力が低下する。また周期的に除去された領域の赤外線吸収膜パターン端部の側面に葉状構造を形成することができるため、赤外線吸収膜パターン端部でも赤外線を効率よく吸収することができるようになり、面積低下による赤外線吸収効率の低減を緩和することができる。
(変形例の製造方法)
変形例の、メンブレン構造を備えた赤外線検知素子の製造方法について説明する。上記実施形態と同様の方法で赤外線検知素子1を作製したが、図6に示すように赤外線吸収膜9の形状を変更した。すなわち上記実施形態では、図1に示したように赤外線吸収膜9は単純な四角形(正方形)をしていたが、変形例では図6に示すように、四角形の内部を周期的に、同形状を等間隔で除去した構造とした。すなわち、赤外線吸収膜9は、面内方向から見て周期的に除去された構造を有する連続膜であり、同一形状で等間隔に連続して除去している。
具体的には、上記実施形態でTi金属薄膜14および赤外線吸収膜前段薄膜15を成膜したのちにフォトリソグラフィによって外形の四角形を形成する際に同時に周期的除去構造も作製した。その後、赤外線吸収膜前段薄膜15に黒化処理を施した。
なお赤外線吸収膜9は多孔質となり、赤外線吸収膜9を周期的に除去する際、たとえばチェック模様のようにそれぞれ独立した小さな島状パターンとして赤外線吸収膜9を残すと、吸収膜は剥離しやすくなる。
このため、赤外線吸収膜9は分割せず一体、すなわち周期的に除去された構造を有する連続膜であり、赤外線吸収膜9の最外周部分は、四角形の単純形状になっている。
また、赤外線吸収膜9は、図7に示したように、周期的に除去された領域の赤外線吸収膜側面9Fにおいて、表面が葉状部9Aになっている。
図7に、図6におけるB−B断面構造を示す。赤外線前段薄膜15をパターン化してから黒化処理を行ったため、図7に示すように赤外線吸収膜9のパターン端部の側面9Fに葉状構造を形成することができた。このため赤外線吸収膜パターン端部でも赤外線を効率よく吸収することができるようになり、面積低下による赤外線吸収効率の低減を緩和することができたと考えられる。以上の理由により、変形例では赤外線吸収膜の重量が減っているにもかかわらず、赤外線吸収効率の減少が少ないと考えられる。
(赤外線検知素子の評価)
(比較例)
比較例として、上記実施形態と同じ構成の赤外線検知素子において、赤外線吸収膜9およびTi金属薄膜14のない赤外線検知素子を作製した。即ち、赤外線吸収膜9およびTi金属薄膜14を形成しない以外は上記実施形態と同じ構成の赤外線検知素子1である。具体的には、保護膜8が赤外線検知素子の最表面に露出している。
(評価1)
上記実施形態、および比較例で作製した素子において赤外線吸収膜の効果を確認するために素子出力電圧の測定を行った。出力電圧を得るための回路は、図8に示すような検知素子(THs)と参照素子(THr)を含むフルブリッジ回路を用いた。検知素子は図1および図2に示すような、赤外線吸収膜9を有する赤外線検知素子1であり、赤外線を吸収して抵抗値が変化する素子である。
一方、参照素子THrは、構造は赤外線検知素子1とほぼ同じであるが、赤外線吸収膜9の代わりに赤外線反射膜を有する点のみ異なる。参照素子THrは赤外線が入射しても、赤外線反射膜で反射されるため、抵抗変化は生じない。これにより参照素子THrでは、入射する赤外線に対して不感となり、周囲温度の変化にのみ反応して抵抗変化が生じる。ある温度で同じ抵抗値を示す参照素子THsと検知素子THrを用意すれば、赤外線が入射すると抵抗に差が生じるため、その差により周囲温度に対する温度差として、赤外線量を検知できる。
図8に示すフルブリッジ回路では、検知素子THsと参照素子THrの間に生じる抵抗差を検知することができる。フルブリッジ回路は、評価対象の検知素子THsおよび参照素子THrを使用し、さらに素子外部の2つの基準抵抗素子R1、R2で構成される。基準抵抗素子R1、R2は検知素子THsおよび参照素子THrとある温度でほぼ同じ抵抗値を有する固定抵抗である。
この検知用素子THsに赤外線吸収膜がない比較例の赤外線検知素子、または前記赤外線吸収膜を付加してCu黒化処理した上記実施形態の赤外線検知素子1を用い、出力を測定し比較した。なお、赤外線量に相当する出力電圧Pは、電圧P1と電圧P2の電圧の差すなわち差電圧で得られる。図8で示すように、電圧P1と電圧P2はグランドの電位=0と電位P1、P2との電位差であり、電位P1と電位P2は電圧P1と電圧P2と等しい。Vccは基準電圧である。
図9に、赤外線量の測定系外観を示す。測定方法としては、検知素子THsおよび参照素子THrを1つのパッケージ21の温度を25℃に保ち、表面温度40℃に設定した測定対象である平面黒体22の表面から距離L=5cm離して設置した時の、平面黒体の表面温度に対応する各サンプルの出力電圧を測定した。基準抵抗素子R1は120kΩ、基準電圧Vccは5Vであった。基準抵抗素子R2は、平面黒体表面温度を25℃にした時の出力電圧が0になるように調整してあらかじめ設置し、検知用素子THs、参照素子THrの抵抗値は、25℃において120kΩ±1kΩであった。結果を表1に示す。表1では赤外線吸収膜9がない比較例の出力電圧を1として、出力電圧の比較を行った。
図4に示すような赤外線吸収膜9、すなわち残留Cu9Dが局所的に存在する上記実施形態において、赤外線吸収膜9がない比較例に比べて2.2倍の出力電圧特性を得ることができた。
(評価2)
評価2として赤外線吸収膜の密着性について検討を行った。まずは、本評価2を行うにあたり、図5を用いて説明する。
本評価は、上記実施形態のサンプルを基準にして、赤外線吸収膜前段薄膜15を黒化処理する浸漬処理時間を変えて、赤外線吸収膜9とTi金属薄膜14を介した保護膜8の接触面積と密着性の関係を調べたものである。
本評価における具体的なサンプル作製方法としては、上記実施形態を踏襲するが、まず基板2(ガラス)にTEOS−CVD法により厚さ0.5μmのSiO2膜を略全面に形成し、保護膜8を形成した。
次いで、赤外線吸収膜9を形成するために、高周波マグネトロンスパッタ法により厚さ5nmのTi金属薄膜14、および厚さ2μmのCuの金属薄膜すなわち赤外線吸収膜前段薄膜15を順次、略全面に形成する。赤外線吸収膜前段薄膜15上に、フォトリソグラフィによってエッチングマスク16を形成した後、エッチングマスクで覆われていない赤外線吸収膜前段薄膜15およびTi金属薄膜14をウェットエッチングする。その後、エッチングマスク16を除去することにより金属薄膜パターンを形成する。この形成されたパターン状の赤外線吸収膜前段薄膜15は、後に黒化処理を施すことにより赤外線吸収膜9となる。この赤外線吸収膜作製工程は、図3gおよび図3hに示す工程である。
続いて、赤外線吸収膜9としての機能を持たすために、先ほどパターニングした吸収膜前段薄膜15を黒化処理した。この処理はアルカリ性水溶液(亜塩素酸ナトリウム 60g/l、水酸化ナトリウム 80g/l)に、時間を変えて浸漬処理を行い、黒化処理による赤外線吸収膜と下地膜との接触面積、即ち、黒化処理により酸化されずに残っている一部のCu残存率を調べ密着性との関係を調べた。なお、上記実施形態においては、事前に処理ムラ、温度、再現性などのプロセス安定性を考慮した実験を行い、最適処理温度として85℃で行った。
上述のように作製したサンプル素子において、赤外線吸収膜9の密着性を確認するため、赤外線吸収膜9とTi金属薄膜14を介した保護膜8の接触面積と密着性の関係を調べた。赤外線吸収膜9と下地層である保護膜8との接触面積は、ガラス基板を裏面から透視することで接触面積を計測した。この際、保護膜8は透明であり、またTi金属薄膜14は膜厚が薄いため光を透過するので、ガラス基板裏面から赤外線吸収膜9の状態を透視することができる。また密着性は、JISK5400を参考にして、テープテスト法で評価を行った。具体的にはカッターを用いて2mm間隔で赤外線吸収膜9を縦5列横5列のマス目状に切り込みを入れた後、赤外線吸収膜9上にテープを貼り付けてから剥がし、マス目状の赤外線吸収膜9が剥離するか否かを確認した。
図10は横軸に処理時間、縦軸に赤外線吸収膜9とTi金属薄膜14を介した保護膜8との接触面積を取ったデータである。赤外線吸収膜9の黒化処理を行う前におけるTi金属層14を介した保護膜8との接触面積を100%とした時の、黒化処理後の赤外線吸収膜9とTi金属層14を介した保護膜8との接触面積を比を示した。接触面積が減少する理由は、黒化処理の進行により赤外線吸収膜前段薄膜15が多孔質状になるためで、接触面積が減少した方が赤外線吸収膜9で赤外線を吸収することにより得たエネルギーが保護膜8に伝達しにくくなり、エネルギーが他へ逃げないという効果がある。この効果により赤外線吸収により得られたエネルギーでメンブレン10が加熱され、その温度上昇を赤外線検知膜5で検知することとなる。
図10より、赤外線吸収膜前段薄膜15では、保護膜8との界面まで十分に黒化処理による酸化が進んだ後、界面におけるCuの割合が時間とともに減少することがわかる。黒化処理は、赤外線吸収膜前段薄膜15表面から時間を追って内部へ進行し、ある時間が経過すると保護膜8付近まで酸化されるが、逆に処理不十分の場合は保護膜8付近まで酸化処理が進まず、赤外線吸収膜9内部でCuが層状に残ってしまう。
表2は、作製したサンプルのテープテスト結果を示す。ガラスを用いた基板2から観察して、赤外線吸収膜9全体の面積に対してCuの面積がどのくらい残っているかをCu残存面積比とした。表2中に○の表記で示すように、Cu残存面積比が多い試料は剥離せず密着性は良好であった。密着性が良好な接触面積の下限は20.0%であった。一方で、表2中に×の表記で示すように、Cu残存面積比が少なくなると密着性が弱くなり剥離が発生した。Cu残存面積比が15.1%でマス目状の赤外線吸収膜9の一部が剥離し、110.2%以下ではすべてが剥離した。このように赤外線吸収膜9において保護層8との界面においてCuの残存率が多いほど密着性が良好であることが言える。今回の結果からは、Cu残存面積比が20.0%以上あればテープテスト法による密着性は確保できた。
なお、テープテスト法は公知の通り、テープ自体の接着力や、引き剥がす角度やスピードによって結果が異なる。赤外線検知素子1を製造するプロセス工程等で問題のない密着力が確保できるのであれば接触面積を更に少なくすることもでき、必要に応じて接触面積を多くすることも必要となる。なお、発明者らの製造プロセスにおいては20%以上の接触面積があれば赤外線検知素子の製造プロセス上で剥離等の問題がなく作製できることを確認している。
また、表2のCu残存面積が100%とは、残留Cu9Dが途切れることなく連続してTi金属薄膜14との界面付近に存在する状態である。この場合、密着性に問題はないが、連続した金属膜であると熱が逃げて十分な出力がとれなくなるおそれがある。上記実施形態の出力電圧は、表2のCu残存面積比100%以外のすべての試料で確認された。したがってCu残存面積比が100%を少しでも下回れば、十分な赤外線吸収効果が発現すると考えられる。なおCu残存面積比を98%を目標に赤外線検知素子1を複数作製したところ、常に上記実施形態のような出力電圧を得ることができた。しかしながらCu残存面積比を99%目標に赤外線検知素子1を複数作製したところ、約1割の試料でCu残存面積比が100%となり、比較例に比べて出力が向上したものの、上記実施形態のような出力電圧を得ることはできなかった。
(評価3)
変形例の試料に関して、上記実施形態との出力電圧の比較を行った。結果を表3に示す。
表3より、変形例では上記実施形態に対して赤外線吸収膜9の面積が32%減少しているにもかかわらず、出力電圧は90%を超える値を示している。通常赤外線吸収膜9では、面積が減少すると赤外線吸収効率は面積に比例して減少する。変形例の場合、メンブレン10への応力を減少するために、赤外線吸収膜前段薄膜15について周期的に同一形状を等間隔で除去した後、黒化処理を行い赤外線吸収膜9を作製した。
図7に、図6におけるB−B断面構造を示す。赤外線前段薄膜15をパターン化してから黒化処理を行ったため、図7に示すように赤外線吸収膜9のパターン端部の側面9Fに葉状構造を形成することができた。このため赤外線吸収膜パターン端部でも赤外線を効率よく吸収することができるようになり、面積低下による赤外線吸収効率の低減を緩和することができたと考えられる。以上の理由により、変形例では赤外線吸収膜の重量が減っているにもかかわらず、赤外線吸収効率の減少が少ないと考えられる。
上記実施形態および変形例の赤外線吸収膜9は、Ti金属薄膜14を介して保護膜8との密着性が確保されている状態の赤外線吸収膜前段薄膜15を黒化処理することで赤外線吸収効果を発生させるため、低真空度で形成されるAu黒膜などに比べて密着性が良い。これは、Ti金属薄膜14との界面付近で黒化処理により酸化されていない残留Cu9Dが一部存在しているため、保護膜8との密着力を強固なものにしている。
赤外線吸収膜9は、表面は葉状であることから、入射してくる赤外線を効率よく吸収することができる。これにより、密着性が非常に良好で、Au黒膜と同等の赤外線吸収効果を有する赤外線吸収膜9を提供できる。さらには、低コスト材料であるCuを使用し、黒化処理という高コスト設備を必要としないプロセスを用いるため、赤外線検知素子のコストアップにつながるようなことはない。
また変形例で示した赤外線吸収膜9の構造においては、赤外線吸収膜の重量を低減し内部応力を緩和しながら赤外線吸収効率の減少を最小限に抑えられることを示した。