以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す側断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される給紙部20、画像形成部30、定着部40及びトナーコンテナ50と、を含む。
本体ハウジング10の前面側には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。前カバー11が開放されることで、トナーコンテナ50が前面側に露出する。これにより、ユーザーは、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。また、本体ハウジング10の側面には、左カバー12L(図1)と、左カバー12Lとは反対側の右カバー12R(図1には現れていない)とが、それぞれ鉛直方向に延伸するように配設されている。左カバー12Lの前側部分には、本体ハウジング10内に空気を取り込むための吸気口12Laが配設されている。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。前カバー11と、後カバー12と、左カバー12Lと、右カバー12Rと、排紙部13とによって画定される内部空間S(図2)に、画像形成を実行するための各種装置が内装される。
給紙部20は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット21を含む(図2)。この給紙カセット21は、その一部が本体ハウジング10の前面からさらに前方に突出している。給紙カセット21のうち、本体ハウジング10内に収容されている部分の上面は、給紙カセット天板21Uによって覆われている。給紙カセット21には、前記シートの束が収容されるシート収容空間、前記シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット21の後端側の上部にはシート繰出部21Aが設けられている。このシート繰出部21Aには、給紙カセット21内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すための給紙ローラー21Bが配置されている。
画像形成部30は、給紙部20から送り出されるシートにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31(像担持体)と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(図2には現れていない)、現像装置33、転写ローラー34及びクリーニング装置35とを含む。画像形成部30は、左カバー12Lと右カバー12Rとの間に、配設される。
感光体ドラム31は、回転軸31Aと、回転軸31A回りに回転する円筒面31Bと、を備える(図3参照)。円筒面31Bには、静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー像が円筒面31Bに担持される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。
帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。
クリーニング装置35は、クリーニングブレード351(図3)を有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面に付着したトナーを清掃するとともに、不図示の回収装置に該トナーを搬送する。また、感光体ドラム31と、帯電装置32と、クリーニング装置35とは、ドラムユニット31H(図3参照)(像担持体ユニット)として一体的に構成されている。クリーニング装置35およびドラムユニット31Hについては、後記で詳述する。
露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置33は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置33は、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー331と、不図示の現像ハウジングの内部で現像剤を攪拌しながら循環搬送する第1搬送スクリュー332及び第2搬送スクリュー333とを含む。
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーである。転写ローラー34は、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接し、転写ニップ部TP(図3)を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、シート上に定着される。
トナーコンテナ50は、現像装置33に補給するトナーを貯留する。トナーコンテナ50は、トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51と、コンテナ本体51の一側面の下部から突設された筒状部52と、コンテナ本体51の他の側面を覆う蓋部材53と、コンテナ内部に収容されトナーを搬送する回転部材54とを含む。トナーコンテナ50内に貯留されたトナーは、回転部材54が回転駆動されることによって、筒状部52の先端下面に設けられたトナー排出口521から現像装置33内に供給される。また、トナーコンテナ50の上方を覆うコンテナ天板50Hは、排紙部13の下方に位置する(図2参照)。
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路22F及び反転搬送路22Bが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20のシート繰出部21Aから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路22Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
主搬送路22F(シート搬送路)は、感光体ドラム31および転写ローラー34によって形成される転写ニップ部TPを、下方から上方に向かって、通過するように延設される。また、主搬送路22Fの、転写ニップ部TPよりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。シートは、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路22F及び反転搬送路22Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対24が配置されている。
反転搬送路22Bは、反転ユニット25の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。なお、反転ユニット25の内側面には転写ローラー34及びレジストローラー対23の一方のローラーが搭載されている。後カバー12及び反転ユニット25は、それらの下端に設けられた支点部121の軸回りに各々回動可能である。反転搬送路22Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路22Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置33が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット25も開放される。
次に、図3から図6を参照して、本実施形態に係るドラムユニット31Hの構成について、詳述する。図3は、本実施形態に係るドラムユニット31Hの拡大断面図である。また、図4は、ドラムユニット31Hに対して、比較参照されるためのドラムユニット31HWの拡大断面図である。なお、図3および図4は、図2において、紙面上の左右方向(画像形成装置1の前後方向)を反転させた図として示されている。
図3を参照して、ドラムユニット31Hは、感光体ドラム31と、帯電装置32と、クリーニング装置35と、を備える。ドラムユニット31Hは、左右方向(図3の紙面に直交する方向)の両端部に、不図示の一対の側板を備える。該一対の側板によって、感光体ドラム31が回転可能に支持される。また、前記一対の側板によって、帯電装置32およびクリーニング装置35が、感光体ドラム31に対向して、支持される。感光体ドラム31は、図3において、矢印DP方向に回転駆動される。また、ドラムユニット31Hは、前記側板に配設される固定部(不図示)を備える。ドラムユニット31Hが、画像形成装置1の本体ハウジング10に装着された際に、前記固定部が、画像形成装置1の本体ハウジング10に固定される。この結果、画像形成装置1において、ドラムユニット31Hの位置が固定される。前記固定部は、スクリューが締結される締結用穴などから構成される。
帯電装置32は、感光体ドラム31よりも、前側に配置される。帯電装置32は、帯電ローラー321と、クリーニングローラー322と、帯電ハウジング32Hとを備える。帯電ハウジング32Hは、感光体ドラム31の回転軸と直交する断面視において、略コの字型の形状を有する。帯電ハウジング32Hの中に、帯電ローラー321およびクリーニングローラー322が、それぞれ回転可能に支持される。
帯電ローラー321は、表面がゴム材料から構成されるロール部材である。帯電ローラー321には、不図示のバイアス印加手段から、帯電電圧が印加される。帯電ローラー321は、感光体ドラム31の周面に当接することで、感光体ドラム31に従動しながら回転される。帯電電圧が印加された帯電ローラー321によって、感光体ドラム31の周面が一様に帯電される。
クリーニングローラー322は、帯電ローラー321に当接し、帯電ローラー321と線速差をもって回転する。クリーニングローラー322は導電性ナイロンの繊維で形成されたブラシローラーである。帯電ローラー321が、感光体ドラム31の表面に当接することによって、帯電ローラー321の表面にトナーや異物などが付着する。クリーニングローラー322が、帯電ローラー321に接触しながら、線速差をもって回転されることによって、帯電ローラー321の表面に付着したトナー、異物などが、好適に除去される。
クリーニング装置35は、感光体ドラム31の上方に配置される。クリーニング装置35は、クリーナーハウジング35H(筐体)と、クリーニングブレード351と、搬送スクリュー352と、研磨ローラー353(回転部材)と、を備える。また、クリーニング装置35は、スクレーパ354と、スクレーパホルダ355と、上部シール356とを備える。更に、クリーニング装置35は、ループシール359(弾性部材)を備える。
クリーナーハウジング35Hは、クリーニング装置35内の各部材を支持する筐体である。クリーニング装置35は、感光体ドラム31および帯電装置32を上方で覆うように配置される。特に、クリーナーハウジング35Hの前方部分は、帯電ローラー321の上方に配置される。また、感光体ドラム31の回転軸と直交する断面視において、クリーナーハウジング35Hの前後方向の中央部は、上方に向かって円弧状に突出した形状を備える。更に、クリーナーハウジング35Hの後方部分は、ハウジング後壁35H1(立壁)によって画定される。ハウジング後壁35H1は、鉛直方向に延設される壁部である。ハウジング後壁35H1は、後記の研磨ローラー353に対向して配置される。ハウジング後壁35H1の下端には、後記のループシール359が配置される。
クリーニングブレード351は、クリーナーハウジング35Hの底部に沿って、水平方向に配置される。クリーニングブレード351は、ゴム材料から構成される板状部材である。クリーニングブレード351は、ブレードホルダ351Hによって支持される。ブレードホルダ351Hは、前記断面視において、L字型形状を備えた板金部材である。ブレードホルダ351Hの中央部分が、第1固定スクリュー351Bによって、クリーナーハウジング35Hに固定される。クリーニングブレード351とブレードホルダ351Hは、接着剤によって固定される。この結果、クリーニングブレード351の固定端が形成される。一方、クリーニングブレード351の先端は自由端とされ、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接される。クリーニングブレード351の前記先端は、後記の研磨ローラー353よりも、感光体ドラム31の回転方向(矢印DP方向)下流側の円筒面31Bに当接する。この結果、クリーニングブレード351の前記先端によって、感光体ドラム31の円筒面31B上に残留(付着)したトナーが除去される。
搬送スクリュー352は、クリーニングブレード351の上方において、クリーナーハウジング35Hに回転可能に支持される。搬送スクリュー352は、軸部と、該軸部周りに配設されたスパイラル状の羽根部材と、を備える。搬送スクリュー352は、クリーニングブレード351によって掻き取られ、クリーニングブレード351上に堆積した回収トナーPTを感光体ドラム31の回転軸31Aの軸方向に搬送する。
研磨ローラー353は、搬送スクリュー352の後方に配設される。研磨ローラー353は、感光体ドラム31の回転軸31Aよりも上方の円筒面31Bに当接する回転面を備える。また、研磨ローラー353は、転写ニップ部TPから感光体ドラム31の回転軸31Aの直上の位置までの、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接する。より詳しくは、研磨ローラー353は、感光体ドラム31の回転軸31Aの直上または、該直上よりも僅かに感光体ドラム31の回転方向上流側の円筒面31Bに当接する。該円筒面31B上の研磨ローラー353が当接する位置を当接位置CPと定義する。研磨ローラー353は、周面が粗面化処理されたゴムローラーであり、本実施形態では、直径12mmのシャフトに、肉厚1.75mmのEPDMゴム(エチレンプロピレンゴム)が配置されたものが使用される。研磨ローラー353は、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接しながら、感光体ドラム31に従動して回転される(矢印DC)。研磨ローラー353は、感光体ドラム31の円筒面31Bに付着したトナーを回収する。また、研磨ローラー353は、感光体ドラム31の表面に付着した放電生成物などの付着物を、研磨する。この際、研磨ローラー353の回転面に、所定量のトナーが付着することによって、前記放電生成物の除去性能(研磨性能)が向上される。
スクレーパ354(規制部材)は、上下方向(鉛直方向)に延設される板状部材である。本実施形態では、スクレーパ354は、0.05mmのSUS板から構成される。スクレーパ354の下端は、研磨ローラー353の回転面に当接される。スクレーパ354の下端は、研磨ローラー353の回転方向(矢印DC方向)に対向するように、研磨ローラー353の回転面に当接される。スクレーパ354が、所定の弾性力をもって、研磨ローラー353の回転面に当接することによって、研磨ローラー353の回転面に付着したトナーの量が規制される。この結果、研磨ローラー353の回転面に付着するトナー量が均一になることによって、研磨ローラー353による放電生成物の除去性能にばらつきが生じることが抑止される。
スクレーパホルダ355は、研磨ローラー353の上方を覆うように配置される。スクレーパホルダ355は、屈曲された板金部材から構成される。スクレーパホルダ355の中央部は、水平方向に延設される。スクレーパホルダ355の前側部分は、下方に向かって屈曲され、前記スクレーパ354を支持する。また、スクレーパホルダ355の後側部分は、後方かつ下方に向かって、屈曲される。
上部シール356は、スクレーパホルダ355の上に固定される。上部シール356の一端は、スクレーパホルダ355の中央部において支持され、上部シール356の他端は、前方に向かって、スクレーパホルダ355から突出するように配置される。上部シール356は、研磨ローラー353の回転面に付着したトナーが、スクレーパ354によって掻き取られた際に、上方に跳ね上がったトナーを塞ぎとめる機能を備える。
ループシール359は、ハウジング後壁35H1の下端に配置される。ループシール359は、左右方向に延伸される一対の長辺359F、359Bを備える矩形形状のウレタンシートからなる。ループシール359は、前記ウレタンシートがループ状に湾曲されて形成され、内部に空間を備える円筒形状を有する。該ウレタンシートの厚さは、好ましくは、0.05〜0.2mmに設定される。ループシール359の長辺359Fは、ハウジング後壁35H1の前側面35HA(第1の壁面)の下端部に接着される。また、ループシール359の長辺359Bは、ハウジング後壁35H1の後側面35HB(第2の壁面)の下端部に接着される。この結果、感光体ドラム31の回転軸31Aと直交する断面視において、ループシール359が楕円形状を備える。
ループシール359は、感光体ドラム31および研磨ローラー353に対向する周面を備える。ループシール359の周面は、研磨ローラー353と対向する領域であって、ハウジング後壁35H1の下端部から、感光体ドラム31の円筒面31Bまでの領域において、湾曲した形状を備える。このため、ループシール359の周面には、水平に配置される領域がない。ループシール359の下側の周面の一部が、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接される。ループシール359は、クリーニング装置35の内部から、トナーが漏れ出すことを防止する。また、ループシール359は、感光体ドラム35の円筒面31Bに付着したトナーおよび紙粉を、クリーニング装置35の内部に受け入れる。なお、ループシール359は、ウレタンシート以外の薄板状のシート部材から構成されるものでもよい。感光体ドラム31の円筒面31Bに傷がつかないために、ループシール359は柔らかく、変形可能な部材であることが好ましい。
帯電装置32の帯電ローラー321によって、周面が一様に帯電された感光体ドラム31は、帯電装置32よりも回転方向下流側において、不図示の露光装置によって静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム31の下方に配置された現像装置33(図2)によって、静電潜像がトナー像として可視化される。感光体ドラム31は、転写ニップ部TPにおいて、下方から上方に向かって回転される。そして、感光体ドラム31上に形成されたトナー像は、転写ニップ部TPを下方から上方に向かって搬送されるシートに転写される。
転写ニップ部TPにおいて、シートに転写されたトナー像の一部が、残留トナーとして感光体ドラム31上に残留する。感光体ドラム31上の残留トナーは、感光体ドラム31の回転に伴って、下方から上方に向かって、クリーニング装置35が感光体ドラム31に対向する領域に搬送される。
クリーニング装置35が対向する領域に搬送された残留トナーの一部は、研磨ローラー353の回転面に付着する。また、研磨ローラー353の回転面に付着しなかった残留トナーは、クリーニングブレード351によって掻き取られる。
次に、クリーニング装置35に配設されたトナーシール部材の課題について説明する。研磨ローラー353の回転面に付着したトナーの一部は、スクレーパ354によって掻き取られる。スクレーパ354の先端部を通過して、研磨ローラー353の回転面に残留したトナーは、スクレーパホルダ355およびハウジング後壁35H1と対向する領域を通過しながら、研磨ローラー353上を周回される。この際、研磨ローラー353の遠心力によって、研磨ローラー353の回転面に付着したトナーが、研磨ローラー353から離脱される。研磨ローラー353から離脱されたトナーは、スクレーパホルダ355、ハウジング後壁35H1および感光体ドラム31の円筒面31Bによって囲まれた領域に飛散する。
図4は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置35と比較されるための図であって、クリーニング装置35Wを備えたドラムユニット31HWの断面図である。クリーニング装置35Wは、本実施形態に係るクリーニング装置35と比較して、ハウジング後壁35H1の周辺の構造が異なる。このため、主に該相違点について説明し、その他の部分の説明を省略する。クリーニング装置35Wは、クリーナーハウジング35HWと、ハウジング後壁35H1Wと、研磨ローラー353Wと、プレート358Wと、トナーシール380と、を備える。
クリーナーハウジング35HWのハウジング後壁35H1Wは、前述のハウジング後壁35H1よりも後側に配置される。プレート358Wは、ハウジング後壁35H1Wの後側側面に固定される。プレート358Wの下側端部であるプレート下部358WSは、前方に向かって屈曲されるとともに、ハウジング後壁35H1Wの下方に配置される。
トナーシール380は、ウレタンシートからなる。トナーシール380は、プレート下部358WSに、水平方向に固定される。トナーシール380の一端は、プレート下部358WSに接着され、トナーシール380の固定端を形成する。一方、トナーシール380の他端は、トナーシール380の自由端を形成し、感光体ドラム31Wの円筒面31WBに当接する。トナーシール380のうち、プレート下部358WSから前方に延設される部分の上方には、空間が存在する。
トナーシール380の上方には、前記空間が存在するため、研磨ローラー353Wの回転面から飛散したトナーは、トナーシール380の上に堆積し、トナー溜まりTNを形成する。図5および図6は、この際の、トナーシール380の周辺の様子を示した図である。図5を参照して、トナーシール380上に堆積したトナー溜まりTNは、山の形状をなすように積みあがっていく。一般的に、クリーニング装置35によって回収されたトナーの安息角は、30度から40度である。しかしながら、前記回収されたトナーは、静電気をもって、周囲に位置する樹脂材料やゴム材料からなる部材に付着しやすい。このため、研磨ローラー353Wやハウジング後壁35H1Wが近接する領域では、回収されたトナーの安息角は、60度から70度となることがある。したがって、トナー溜まりTNが崩れにくく、トナーシール380の上に多量のトナーが堆積する。
一方、転写ニップ部TPにおいて、トナー像がシートPに転写される際、シートPの表面に付着していた紙粉が、感光体ドラム31Wの表面に移動される場合がある。感光体ドラム31Wの周面に付着した紙粉は、感光体ドラム31Wの回転に伴って、トナーシール380の先端に向かって搬送される。トナーシール380の上に、トナー溜まりTNが形成されていない場合、トナーシール380の先端は、低い当接圧をもって、感光体ドラム31Wの周面に当接している。この場合、感光体ドラム31W上を搬送された紙粉は、トナーシール380の先端と感光体ドラム31Wの円筒面31WBとの間を通過して、クリーニングブレード351Wによって回収される。
しかしながら、トナーシール380の上に堆積したトナー溜まりTNによって、トナーシール380の先端が、感光体ドラム31Wの周面に強く当接されている場合、紙粉は、トナーシール380の先端と感光体ドラム31Wの円筒面31WBとの間を通過することができない。この結果、図5に示すように、トナーシール380の先端と感光体ドラム31の円筒面31WBとの間に、紙粉の塊PDが形成される。
紙粉の塊PDが成長されると、感光体ドラム31Wの回転軸31WAの軸方向において、該塊PDが存在する部分に対応して、トナーシール380が感光体ドラム31Wの周面から浮き上がる(図6)。この結果、トナー溜まりTNから、トナーTN1が漏れ始める。トナーTN1は、重力に従って、感光体ドラム31Wの周面に沿って落下する(矢印DT)。そして、転写ニップ部TPに至ったトナーTN1が、転写ニップ部TPに搬送されたシートPに付着する。この結果、シートPにトナー汚れが生じる。
更に、感光体ドラム31Wの円筒面31WBに、トナーシール380の自由端が当接する場合、前記自由端には、軸方向において部分的に波うちが生じやすい。このため、前記波うちが生じた部分に対応して、トナー漏れが生じやすい。
上記のように、クリーニング装置35Wのトナーシール380の上方には、研磨ローラー353Wから飛散したトナーが堆積される。そして、トナーシール380と感光体ドラム31Wとの間には、紙粉の塊PDが生成される。この結果、シートPのトナー汚れがもたらされる。本実施形態に係るクリーニング装置35は、上記課題を解決するために、ループシール359の形状および配置に特徴を有する。
図7は、図3のクリーニング装置35の拡大断面図である。本実施形態では、ループシール359(図3、図7)は、矩形形状のウレタンシートがループ状に湾曲されて形成される。ループシール359の長辺359Fは、ハウジング後壁35H1の前側面35HAの下端部に接着され、ループシール359の長辺359Bは、ハウジング後壁35H1の後側面35HBの下端部に接着される。この結果、感光体ドラム31の回転軸31Aと直交する断面視において、ループシール359が楕円形状を備える。そして、ループシール359の周面の一部が、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接される。換言すれば、ループシール359は、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接する自由端を備えていない。このため、ループシール359に、波うちが生じにくく、該波うち部分からトナーが漏れることが抑止される。
また、ループシール359が感光体ドラム31に当接されるにあたり、ループシール359の周面は、弾性変形する。このため、前記当接部において、ループシール359の周面は、感光体ドラム31の円筒面31Bに倣った形状に変化される。すなわち、ループシール359の周面と、感光体ドラム31の円筒面31Bとが、トレール接触し、いわゆるカウンター姿勢(先端が感光体ドラム31の回転方向に対向する姿勢)となることがない。このため、感光体ドラム31の円筒面31B上に付着したトナーや紙粉が、前記当接部からクリーニング装置35の内部に進入されやすい。
更に、ループシール359の周面のうち、研磨ローラー353に対向する領域は、下方に傾斜する湾曲面を備える。このため、該周面の上に、トナーが溜まり難い。また、ループシール359に僅かなトナーが溜まった場合であっても、前記周面の傾斜に加え、ループシール359の弾性変形によって、トナーがループシール359の周面から落下しやすい。
なお、ループシール359が感光体ドラム31の円筒面31Bに当接されるにあたり、図7に示すように、ループシール359の鉛直方向における内径aよりも、ループシール359の水平方向における内径bの方が大きく設定されることが好ましい(内径a<内径b)。このような形状を備えることによって、内径a>内径bの場合と比較して、感光体ドラム31の回転方向(矢印D71)に向かって、ループシール359が感光体ドラム31の円筒面31Bに当接する角度が小さく設定される。すなわち、ループシール359の周面が、感光体ドラム31の円筒面31Bに、より倣った形状となる。したがって、ループシール359と感光体ドラム31との当接部において、トナーや紙粉が、より詰まりにくくなる。
このように、本実施形態に係るループシール359では、ループシール359の上に、トナーが堆積しにくい。このため、ループシール359の上に堆積するトナーによって、ループシール359の感光体ドラム31に対する当接圧が上昇することが抑制される。この結果、ループシール359の周面と感光体ドラム31の周面との間に、紙粉PDの塊が生成されにくい。このため、ループシール359の周面が、感光体ドラム31の円筒面31Bから浮き上がることによって、トナー漏れが生じることが抑止される。したがって、ループシール359から下方に落下するトナーによって、転写ニップ部TPに搬送されるシートPが汚れることが効果的に抑制される。
以上、本発明の実施形態に係るクリーニング装置35、およびこれを備えるドラムユニット31H、画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、ループシール359よりも、感光体ドラム31の回転方向下流側に、研磨ローラー353およびクリーニングブレード351が配置される態様にて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。研磨ローラー353は、感光体ドラム31の表面を清掃するクリーニングローラーであってもよい。この場合、該クリーニングローラーよりも、感光体ドラム31の回転方向下流側には、クリーニングブレード351が配設されてもよく、また、クリーニングブレード351が配設されない態様でもよい。
(2)また、上記の実施形態では、弾性部材としてのループシール359は、ウレタンシートが湾曲されることで形成され、内部に空間を備える円筒形状を有する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図8は、本発明の変形実施形態に係る円筒シール359Aを備えたクリーニング装置35Aの断面図である。本変形実施形態では、弾性部材としての円筒シール359Aは、円柱形状を備えたウレタンスポンジと、該ウレタンスポンジの周囲に巻かれたウレタンシートとからなる。なお、円筒シール359Aは、上記のウレタンスポンジのみからなる構成でもよいが、周囲にウレタンシートを備えることによって、感光体ドラム31との摺動性が向上される。また、ウレタンスポンジの表面に、トナーが詰まることが防止される。
このような円筒シール359Aを備える場合であっても、円筒シール359Aは、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接する自由端を備えていない。このため、円筒シール359Aに、波うちが生じにくく、該波うち部分からトナーが漏れることが抑止される。
また、円筒シール359Aが感光体ドラム31に当接されるにあたり、円筒シール359Aの周面は、弾性変形する。このため、前記当接部において、円筒シール359Aの周面は、感光体ドラム31の円筒面31Bに倣った形状に変化される。このため、感光体ドラム31の円筒面31B上に付着したトナーや紙粉が、クリーニング装置35Aの内部に進入されやすい。
更に、円筒シール359Aのうち、研磨ローラー353に対向する領域は、感光体ドラム31の円筒面31Bに向かって、下方に傾斜する周面からなる。このため、該周面の上に、トナーが溜まり難い。また、円筒シール359Aに僅かなトナーが溜まった場合であっても、前記周面の傾斜に加え、円筒シール359Aの弾性変形によって、トナーが円筒シール359Aの周面から落下しやすい。
(3)また、上記の実施形態では、ループシール359を備えるクリーニング装置35は、ドラムユニット31Hに配設される態様にて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。ループシール359を備えるクリーニング装置35は、画像形成装置1に対して、個別に装着されるものであってもよい。