以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す側断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される給紙部20、画像形成部30、定着部40及びトナーコンテナ50と、を含む。
本体ハウジング10の前面側には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。前カバー11が開放されることで、トナーコンテナ50が前面側に露出する。これにより、ユーザーは、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。また、本体ハウジング10の側面には、左カバー12L(図1)と、左カバー12Lとは反対側の右カバー12R(図1には現れていない)とが、それぞれ鉛直方向に延伸するように配設されている。左カバー12Lの前側部分には、本体ハウジング10内に空気を取り込むための吸気口12Laが配設されている。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。前カバー11と、後カバー12と、左カバー12Lと、右カバー12Rと、排紙部13とによって画定される内部空間S(図2)に、画像形成を実行するための各種装置が内装される。
給紙部20は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット21を含む(図2)。この給紙カセット21は、その一部が本体ハウジング10の前面からさらに前方に突出している。給紙カセット21のうち、本体ハウジング10内に収容されている部分の上面は、給紙カセット天板21Uによって覆われている。給紙カセット21には、前記シートの束が収容されるシート収容空間、前記シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット21の後端側の上部にはシート繰出部21Aが設けられている。このシート繰出部21Aには、給紙カセット21内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すための給紙ローラー21Bが配置されている。
画像形成部30は、給紙部20から送り出されるシートにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31(像担持体)と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(図2には表れていない)、現像装置33、転写ローラー34(転写部材)及びクリーニング装置35とを含む。画像形成部30は、左カバー12Lと右カバー12Rとの間に、配設される。
感光体ドラム31は、回転軸31Aと、回転軸31A回りに回転する円筒面31Bと、を備える。円筒面31Bには、静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー像が円筒面31Bに担持される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。
帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。
クリーニング装置35は、クリーニングブレード351(図3)を有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面に付着したトナーを清掃するとともに、不図示の回収装置に該トナーを搬送する。また、感光体ドラム31と、帯電装置32と、クリーニング装置35とは、ドラムユニット31H(図3参照)(像担持体ユニット)として一体的に構成されている。クリーニング装置35およびドラムユニット31Hについては、後記で詳述する。
露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置33は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置33は、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー331と、不図示の現像ハウジングの内部で現像剤を攪拌しながら循環搬送する第1搬送スクリュー332及び第2搬送スクリュー333とを含む。
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーである。転写ローラー34は、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接し、転写ニップ部TP(図3)を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、シート上に定着される。
トナーコンテナ50は、現像装置33に補給するトナーを貯留する。トナーコンテナ50は、トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51と、コンテナ本体51の一側面の下部から突設された筒状部52と、コンテナ本体51の他の側面を覆う蓋部材53と、コンテナ内部に収容されトナーを搬送する回転部材54とを含む。トナーコンテナ50内に貯留されたトナーは、回転部材54が回転駆動されることによって、筒状部52の先端下面に設けられたトナー排出口521から現像装置33内に供給される。また、トナーコンテナ50の上方を覆うコンテナ天板50Hは、排紙部13の下方に位置する(図2参照)。
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路22F及び反転搬送路22Bが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20のシート繰出部21Aから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路22Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
主搬送路22F(シート搬送路)は、感光体ドラム31および転写ローラー34によって形成される転写ニップ部TPを、下方から上方に向かって、通過するように延設される。また、主搬送路22Fの、転写ニップ部TPよりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。シートは、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路22F及び反転搬送路22Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対24が配置されている。
反転搬送路22Bは、反転ユニット25の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。なお、反転ユニット25の内側面には転写ローラー34及びレジストローラー対23の一方のローラーが搭載されている。後カバー12及び反転ユニット25は、それらの下端に設けられた支点部121の軸回りに各々回動可能である。反転搬送路22Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路22Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置33が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット25も開放される。
次に、図3を参照して、本実施形態に係るドラムユニット31Hの構成について、詳述する。図3は、本実施形態に係るドラムユニット31Hの断面図である。なお、図3は、図2において、紙面上の左右方向(画像形成装置1の前後方向)を反転させた図として示されている。
図3を参照して、ドラムユニット31Hは、感光体ドラム31と、帯電装置32と、クリーニング装置35と、を備える。ドラムユニット31Hは、左右方向(図3の紙面に直交する方向)の両端部に、不図示の一対の側板を備える。該一対の側板によって、感光体ドラム31が回転可能に支持される。また、前記一対の側板によって、帯電装置32およびクリーニング装置35が、感光体ドラム31に対向して、支持される。感光体ドラム31は、図3において、矢印DP方向に回転駆動される。また、ドラムユニット31Hは、前記側板に配設される固定部(不図示)を備える。ドラムユニット31Hが画像形成装置1の本体ハウジング10に装着された際に、前記固定部が画像形成装置1の本体ハウジング10に固定される。この結果、画像形成装置1において、ドラムユニット31Hの位置が固定される。前記固定部は、スクリューが締結される締結用穴などから構成される。
帯電装置32は、感光体ドラム31よりも、前側に配置される。帯電装置32は、帯電ローラー321と、クリーニングローラー322と、帯電ハウジング32Hとを備える。帯電ハウジング32Hは、感光体ドラム31の回転軸と直交する断面視において、略コの字型の形状を有する。帯電ハウジング32Hの中に、帯電ローラー321およびクリーニングローラー322が、それぞれ回転可能に支持される。
帯電ローラー321は、表面がゴム材料から構成されるロール部材である。帯電ローラー321には、不図示のバイアス印加手段から、帯電電圧が印加される。帯電ローラー321は、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接することで、感光体ドラム31に従動しながら回転される。帯電電圧が印加された帯電ローラー321によって、感光体ドラム31の円筒面31Bが一様に帯電される。
クリーニングローラー322は、帯電ローラー321に当接し、帯電ローラー321と線速差をもって回転する。クリーニングローラー322は導電性ナイロンの繊維で形成されたブラシローラーである。帯電ローラー321が、感光体ドラム31の表面に当接することによって、帯電ローラー321の表面にトナーや異物などが付着する。クリーニングローラー322が、帯電ローラー321に接触しながら、線速差をもって回転されることによって、帯電ローラー321の表面に付着したトナー、異物などが、好適に除去される。
クリーニング装置35は、感光体ドラム31の上方に配置される。クリーニング装置35は、クリーナーハウジング35H(筐体)と、クリーニングブレード351と、搬送スクリュー352と、研磨ローラー353(回転部材)と、を備える。また、クリーニング装置35は、スクレーパ354(規制部材)と、ケーシング353Hと、上部シール356とを備える。更に、クリーニング装置35は、プレート358と、巻き込み防止シート359と、トナーシール360(シート部材)とを備える。
クリーナーハウジング35Hは、クリーニング装置35内の各部材を支持する筐体である。クリーニング装置35は、感光体ドラム31および帯電装置32を上方で覆うように配置される。特に、クリーナーハウジング35Hの前方部分は、帯電ローラー321の上方に配置される。また、感光体ドラム31の回転軸と直交する断面視において、クリーナーハウジング35Hの前後方向の中央部は、上方に向かって円弧状に突出した形状を備える。更に、クリーナーハウジング35Hの後方部分は、ハウジング後壁35H1によって画定される。ハウジング後壁35H1は、鉛直方向に延設される壁部である。ハウジング後壁35H1は、後記の研磨ローラー353に対向して配置される。ハウジング後壁35H1の下端は、感光体ドラム31の周面に間隔をおいて配置される。また、ハウジング後壁35H1の下端は、後記のトナーシール360の上方に間隔をおいて配置される。
クリーニングブレード351は、クリーナーハウジング35Hの底部に沿って、水平方向に配置される。クリーニングブレード351は、ゴム材料から構成される板状部材である。クリーニングブレード351は、ブレードホルダ351Hによって支持される。ブレードホルダ351Hは、前記断面視において、L字型形状を備えた板金部材である。ブレードホルダ351Hの中央部分が、第1固定スクリュー351Bによって、クリーナーハウジング35Hに固定される。クリーニングブレード351とブレードホルダ351Hは、接着剤によって固定される。この結果、クリーニングブレード351の固定端が形成される。一方、クリーニングブレード351の先端は自由端とされ、感光体ドラム31の周面に当接される。クリーニングブレード351の前記先端は、後記の研磨ローラー353よりも、感光体ドラム31の回転方向(矢印DP方向)下流側の円筒面31Bに当接する。この結果、クリーニングブレード351の前記先端によって、感光体ドラム31の円筒面31B上に残留(付着)したトナーが除去される。
搬送スクリュー352は、クリーニングブレード351の上方において、クリーナーハウジング35Hに回転可能に支持される。搬送スクリュー352は、軸部と、該軸部周りに配設されたスパイラル状の羽根部材と、を備える。搬送スクリュー352は、クリーニングブレード351によって掻き取られ、クリーニングブレード351上に堆積した回収トナーPTを感光体ドラム31の回転軸31Aの軸方向に搬送する。
研磨ローラー353は、搬送スクリュー352の後方に配設される。研磨ローラー353は、感光体ドラム31の回転軸31Aよりも上方の円筒面31Bに当接する周面を備える。また、研磨ローラー353は、転写ニップ部TPから感光体ドラム31の回転軸31Aの直上の位置までの、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接する。より詳しくは、研磨ローラー353は、感光体ドラム31の回転軸31Aの直上または、該直上よりも僅かに感光体ドラム31の回転方向上流側の円筒面31Bに当接する。なお、該円筒面31B上の研磨ローラー353が当接する位置を当接位置CPと定義する。研磨ローラー353は、周面が粗面化処理されたゴムローラーである。研磨ローラー353は、感光体ドラム31の周面に当接しながら、感光体ドラム31に線速差をもって回転される(矢印DC)。研磨ローラー353は、感光体ドラム31の円筒面31Bに付着したトナーを表面に付着させて像担持体を研磨する。また、研磨ローラー353は、感光体ドラム31の表面に付着した放電生成物などの付着物を、研磨する。この際、研磨ローラー353の周面に、所定量のトナーが付着することによって、前記放電生成物の除去性能(研磨性能)が向上される。
スクレーパ354は、上下方向(鉛直方向)に延設される板状部材である。本実施形態では、スクレーパ354は、0.05mmのSUS板から構成される。スクレーパ354の下端は、研磨ローラー353の周面に当接される。スクレーパ354の下端は、研磨ローラー353の回転方向(矢印DC方向)に対向するように、研磨ローラー353の周面に当接される。スクレーパ354が、所定の弾性力をもって、研磨ローラー353の周面に当接することによって、研磨ローラー353の周面に付着したトナーの量が規制される。この結果、研磨ローラー353の周面に付着するトナー量が均一になることによって、研磨ローラー353による放電生成物の除去性能にばらつきが生じることが抑止される。
ケーシング353Hは、研磨ローラー353を覆うように配置される。本実施形態では、ケーシング353Hは、研磨ローラー353の上方を覆うスクレーパホルダ355と、研磨ローラー353の後方を覆う飛散防止壁390(立壁)とから構成される。
スクレーパホルダ355は、研磨ローラー353の上方を覆うように配置される。スクレーパホルダ355は、屈曲された板金部材から構成される。スクレーパホルダ355の中央部は、水平方向に延設される。スクレーパホルダ355の前側部分は、下方に向かって屈曲され、前記スクレーパ354を支持する。また、スクレーパホルダ355の後側部分は、後方かつ下方に向かって、屈曲される。
上部シール356は、スクレーパホルダ355の上に固定される。上部シール356の一端は、スクレーパホルダ355の中央部において支持され、上部シール356の他端は、前方に向かって、スクレーパホルダ355から突出するように配置される。上部シール356は、研磨ローラー353の周面に付着したトナーが、スクレーパ354によって掻き取られた際に、上方に跳ね上がったトナーを塞ぎとめる機能を備える。
飛散防止壁390は、感光体ドラム31の円筒面31Bと間隔をおいて、スクレーパホルダ355に連設される。飛散防止壁390は、研磨ローラー353と後記のトナーシール360の上方の空間との間に立設される。飛散防止壁390の上端部は、スクレーパホルダ355の屈曲された後端部に連設される。飛散防止壁390は、研磨ローラー353に対向して鉛直方向に立設され、研磨ローラー353の後方を覆うように配置される。飛散防止壁390は、防止壁先端部390F(立壁先端部)を備える。
防止壁先端部390Fは、飛散防止壁390のうち感光体ドラム31の円筒面31Bに対向する端部である。また、防止壁先端部390Fは、後記のトナーシール360のシール先端部360Sよりも感光体ドラム31の回転方向下流側の円筒面31Bに向かって延伸される。本実施形態では、防止壁先端部390Fは、飛散防止壁390の下端部が屈曲されることで形成され、研磨ローラー353の当接位置CPに向かう方向に鉛直方向に対して傾いてに配設される。
プレート358は、ハウジング後壁35H1の後方において、ハウジング後壁35H1に沿って配置される。プレート358は、上下方向に延設される板金部材である。また、プレート358は、通紙域外において固定スクリューにより、クリーナーハウジング35Hに固定されている。プレート358の上端部であるプレート上部358Tは、後方向に屈曲された後、上方に湾曲するように屈曲される。プレート358の下端部であるプレート下部358Sは、前方に向かって屈曲するように配置される。プレート下部358Sは、ハウジング後壁35H1の下端部と感光体ドラム31との間に進入するように配置される。
巻き込み防止シート359は、プレート358に沿って、上下方向に延設される。巻き込み防止シート359の上側部分は、プレート358に接着固定され、巻き込み防止シート359の固定端を形成する。また、巻き込み防止シート359の下側部分は、プレート358から下方に突出するように配置され、巻き込み防止シート359の自由端を形成する。巻き込み防止シート359の下側の先端部は、感光体ドラム31の円筒面31Bに近接して配置される。
トナーシール360(シート部材)は、プレート358のプレート下部358Sに沿って、水平方向に延設される。トナーシール360は、厚さ100μmのウレタンシートである。トナーシール360の後側部分は、プレート下部358Sに接着固定される。この結果、トナーシール360の固定端であるシール固定端360Fが形成される。一方、トナーシール360の前側部分であるシール先端部360Sは、トナーシール360の自由端を形成し、かつ、感光体ドラム31の円筒面31Bに当接する。トナーシール360のシール先端部360Sは、感光体ドラム31の回転軸31Aと直交する断面視において、回転軸31Aよりも上方であって、研磨ローラー353よりも感光体ドラム31の回転方向上流側の円筒面31Bに当接する。この際、トナーシール360は、感光体ドラム31の回転軸31Aと直交する断面視において、回転軸31Aと研磨ローラー353の当接位置CPとを結ぶ基準直線RLに近づく方向に向かって、円筒面31Bに当接する。なお、トナーシール360は、ウレタンシート以外の薄板状のシート部材から構成されるものでもよい。感光体ドラム31の円筒面31Bに傷がつかないために、トナーシール360は柔らかく、変形可能な部材であることが好ましい。トナーシール360の上方の空間と研磨ローラー353との間には、前述の飛散防止壁390が立設される。
帯電装置32の帯電ローラー321によって、周面が一様に帯電された感光体ドラム31は、帯電装置32よりも回転方向下流側において、不図示の露光装置によって静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム31の下方に配置された現像装置33(図2)によって、静電潜像がトナー像として可視化される。感光体ドラム31は、転写ニップ部TPにおいて、下方から上方に向かって回転される。そして、感光体ドラム31上に形成されたトナー像は、転写ニップ部TPを下方から上方に向かって搬送されるシートに転写される。
転写ニップ部TPにおいて、シートに転写されたトナー像の一部が、残留トナーとして感光体ドラム31上に残留する。感光体ドラム31上の残留トナーは、感光体ドラム31の回転に伴って、下方から上方に向かって、クリーニング装置35が感光体ドラム31に対向する領域に搬送される。
クリーニング装置35が対向する領域に搬送された残留トナーの一部は、研磨ローラー353の周面に付着する。また、研磨ローラー353の周面に付着しなかった残留トナーは、クリーニングブレード351によって掻き取られる。
次に、クリーニング装置35に配設されたトナーシール部材(シート部材)の課題について説明する。研磨ローラー353の周面に付着したトナーの一部は、スクレーパ354によって掻き取られる。スクレーパ354の先端部を通過して、研磨ローラー353の周面に残留したトナーは、スクレーパホルダ355およびハウジング後壁35H1と対向する領域を通過しながら、研磨ローラー353上を周回される。この際、研磨ローラー353の遠心力によって、研磨ローラー353の周面に付着したトナーが、研磨ローラー353から離脱される。
図4は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置35と比較されるための図であって、クリーニング装置35Wを備えたドラムユニット31HWの断面図である。クリーニング装置35Wは、本実施形態に係るクリーニング装置35と比較して、飛散防止壁390を備えていない点で相違する。クリーニング装置35Wの研磨ローラー353W、ハウジング後壁35H1W、プレート358Wは、それぞれ、クリーニング装置35の研磨ローラー353、ハウジング後壁35H1、プレート358に相当する。プレート358Wの下端部であるプレート下部358WSからは、トナーシール380が延設される。
トナーシール380のうち、プレート下部358WSから前方に延設される部分の上方には、図4に示すように空間が存在する。このため、研磨ローラー353Wの周面から飛散したトナーは、研磨ローラー353W、ハウジング後壁35H1Wおよび感光体ドラム31Wの円筒面31WBによって囲まれた領域に飛散する。更に、前記トナーはトナーシール380の上に堆積し、トナー溜まりTNを形成する。図5および図6は、この際の、トナーシール380の周辺の様子を示した図である。図5を参照して、トナーシール380上に堆積したトナー溜まりTNは、山の形状をなすように積みあがっていく。一般的に、クリーニング装置35(35W)によって回収されたトナーの安息角は30度から40度である。しかしながら、前記回収されたトナーは、静電気をもって、周囲に位置する樹脂材料やゴム材料からなる部材に付着しやすい。このため、研磨ローラー353Wやハウジング後壁35H1Wが近接する領域では、回収されたトナーの安息角は60度から70度となることがある。したがって、トナー溜まりTNが崩れにくく、トナーシール380の上に多量のトナーが堆積する。
一方、転写ニップ部TPにおいて、トナー像がシートPに転写される際、シートPの表面に付着していた紙粉が、感光体ドラム31Wの円筒面31WBに移動される場合がある。感光体ドラム31Wの円筒面31WBに付着した紙粉は、感光体ドラム31Wの回転に伴って、トナーシール380の先端に向かって搬送される。トナーシール380の上に、トナー溜まりTNが形成されていない場合、トナーシール380の先端は、低い当接圧をもって感光体ドラム31Wの円筒面31WBに当接している。この場合、感光体ドラム31W上を搬送された紙粉は、トナーシール380の先端と感光体ドラム31Wの円筒面31WBとの間を通過して、クリーニングブレード351によって回収される。
しかしながら、トナーシール380の上に堆積したトナー溜まりTNによって、トナーシール380の先端が、感光体ドラム31Wの円筒面31WBに強く当接されている場合、紙粉はトナーシール380の先端と感光体ドラム31Wの円筒面31WBとの間を通過することができない。この結果、図5に示すように、トナーシール380の先端と感光体ドラム31の円筒面31WBとの間に、紙粉の塊PDが形成される。
紙粉の塊PDが成長されると、感光体ドラム31Wの回転軸31WAの軸方向において、該塊PDが存在する部分に対応して、トナーシール380の先端部381が感光体ドラム31Wの円筒面31WBから浮き上がる(図6)。この結果、トナー溜まりTNから、トナーTN1が漏れ始める。トナーTN1は、重力に従って、感光体ドラム31Wの円筒面31WBに沿って落下する(矢印DT)。そして、転写ニップ部TPに至ったトナーTN1が、転写ニップ部TPに搬送されたシートPに付着する。この結果、シートPにトナー汚れが生じる。
なお、上記のように研磨ローラー353Wから飛散するトナー量は、研磨ローラー353Wの周速度によって変化される。図7は、研磨ローラー353Wの周速度とトナーシール380上のトナーの溜まり量との関係を示すグラフである。なお、図7は、画像形成装置1において、20K(20,000枚)相当の印刷を行った時点で評価した結果である。また、図8は、研磨ローラー353Wの周速度と研磨ローラー353W上のトナーが受ける遠心力との関係を示すグラフである。
20K相当の印刷を経て、現像装置33内に収容されるトナーの帯電性が若干低下されると、研磨ローラー353Wに付着したトナーの飛散も促進される。一方、画像形成装置1が高速条件で使用され、感光体ドラム31の線速が速くなると、研磨ローラー353Wの周速度も速くなる。本実施形態では、感光体ドラム31の線速と研磨ローラー353W(研磨ローラー353)の周速度との比は、1:1.2に設定される。図7に示すように、研磨ローラー353Wの周速度が300mm/secを越えると、研磨ローラー353Wから飛散するトナーが増加し、トナーシール380の上に、多量のトナーが堆積される。
また、このときに研磨ローラー353Wの周面上に付着するトナーが受ける遠心力Fを算出すると、前記遠心力Fは以下の式1から算出される。
F=m×V2/r ・・・(式1)
(m:トナー密度=0.36g/cm3、V:研磨ローラーの周速度、r:研磨ローラーの外径=1.55cm)
式1から、周速度V=300mm/secの場合に、単位体積あたりのトナーが受ける遠心力Fは、6.0mN/mm3であることがわかる。このように、研磨ローラー353Wの周速度が300mm/sec以上の場合、または、研磨ローラー353Wが周面上の単位体積あたりのトナーに付与する遠心力が6.0mN/mm3以上の場合には、研磨ローラー353Wからのトナーの飛散が顕著となる。
上記のように、クリーニング装置35Wのトナーシール380の上方には、研磨ローラー353Wから飛散したトナーが堆積され、紙粉の塊PDが生成される。この結果、シートPのトナー汚れがもたらされる。本実施形態に係るクリーニング装置35は、上記課題を解決するために、飛散防止壁390が配置される点に特徴を有する。
図9および図10は、図3のクリーニング装置35の一部を拡大した拡大断面図である。本実施形態では、研磨ローラー353とトナーシール360の上方の空間との間には、前述のとおり、飛散防止壁390が立設される。また、飛散防止壁390のうち感光体ドラム31の円筒面31Bに対向する端部である防止壁先端部390Fは、トナーシール360のシール先端部360Sよりも感光体ドラム31の回転方向下流側の円筒面31Bに向かって延伸される(図9の矢印D9)。研磨ローラー353と防止壁先端部390Fとの間には、開口部SGが形成される。研磨ローラー353によって感光体ドラム31から回収された回収トナーが、研磨ローラー353の回転に伴って、研磨ローラー353の周面から飛散した場合であっても、前記トナーは飛散防止壁390に衝突される。このため、トナーシール360の上方の空間に前記トナーが飛散することが抑止される。更に、飛散防止壁390に衝突したトナーは下方に落下し、開口部SGを介して、トナーシール360よりも前記回転方向下流側の円筒面31Bに落下する。このため、トナーシール360の上にトナーが堆積することが好適に防止される。この結果、トナーシール360上に堆積したトナーが、トナーシール360を感光体ドラム31側に押圧することが抑止される。したがって、トナーシール360の感光体ドラム31に対する当接圧が高く成り難く、トナーシール360のシール先端部360Sからトナー漏れが生じることが抑制される。
特に、前述のとおり、研磨ローラー353の周速度が300mm/sec以上であって、研磨ローラー353からトナーが飛散しやすい条件であっても、飛散防止壁390によって前記トナーがトナーシール360の上方に飛散することが抑止される。また、研磨ローラー353が周面上の単位体積あたりのトナーに付与する遠心力が6.0mN/mm3以上であって、研磨ローラー353からトナーが飛散しやすい条件であっても、飛散防止壁390によって前記トナーがトナーシール360の上方に飛散することが抑止される。
ここで、図10を参照して、防止壁先端部390Fは、突出基準直線GLと面一または突出基準直線GLよりも感光体ドラム31の円筒面31B側に突出することが望ましい(矢印D10)。突出基準直線GLは、研磨ローラー353の回転における軸心353Aと、トナーシール360のシール先端部360Sと円筒面31Bとの当接位置と、を結ぶ直線である。このように、防止壁先端部390Fが配置されることで、飛散防止壁390に衝突したトナーが、開口部SGを介して、防止壁先端部390Fから落下する際に、前記トナーがトナーシール360側に向かって吹き出すことが抑止される。
また、上記の実施形態によれば、飛散防止壁390は、研磨ローラー353に対向して鉛直方向に立設され、防止壁先端部390Fは、研磨ローラー353の当接位置CPに向かう方向に鉛直方向に対して傾いて配設される。このため、飛散防止壁390に衝突したトナーは鉛直下方に落下される。また、防止壁先端部390Fが研磨ローラー353の当接位置CPに向かって配置されるため、飛散防止壁390に衝突した前記トナーは、トナーシール360から可及的に離れた円筒面31Bに落下する。更に、防止壁先端部390Fは、円筒面31Bに向かって、下方に傾斜する傾斜面からなる。このため、防止壁先端部390Fの上にトナーが滞留しにくい。
更に、上記の実施形態によれば、飛散防止壁390は、感光体ドラム31の軸方向に沿って研磨ローラー353を囲むケーシング353Hの一部であり、ケーシング353Hの一部であるスクレーパホルダ355はスクレーパ354を支持する。このため、ケーシング353Hによって、スクレーパ354が研磨ローラー353の周面に安定して当接するとともに、研磨ローラー353からトナーがトナーシール360側に飛散することが効果的に抑止される。
また、上記の実施形態によれば、研磨ローラー353の周面に付着したトナーによって、研磨ローラー353による感光体ドラム31の円筒面31Bに対する研磨効果が促進される。この際、感光体ドラム31としてアモルファスシリコン感光体が採用されることで、研磨ローラー353によって感光体ドラム31の円筒面31Bが削れにくく、感光体ドラム31の円筒面31Bに付着した付着物が選択的に研磨されやすい。
また、上記の実施形態では、研磨ローラー353は、転写ニップ部TPから、感光体ドラム31の回転軸31Aの直上の位置までの間の感光体ドラム31の円筒面31Bに当接する。また、トナーシール360のシール先端部360Sは、研磨ローラー353が円筒面31Bに当接する位置よりも、下方かつ感光体ドラム31の回転方向上流側の円筒面31Bに当接する。このため、研磨ローラー353から飛散したトナーが、トナーシール360の上に落下しやすい。このような場合であっても、上記の実施形態によれば、研磨ローラー353から飛散したトナーは飛散防止壁390に衝突される。このため、トナーシール360の上方の空間に前記トナーが飛散することが抑止される。更に、飛散防止壁390に衝突したトナーは、トナーシール360よりも感光体ドラム31の回転方向下流側の円筒面31Bに落下する。このため、トナーシール360の上にトナーが堆積することが好適に防止される。この結果、トナーシール360上に堆積したトナーが、トナーシール360を感光体ドラム31側に押圧することが抑止される。したがって、トナーシール360の感光体ドラム31に対する当接圧が高く成り難く、トナーシール360のシール先端部360Sからトナー漏れが生じることが抑制される。
更に、転写ニップ部TPにおいて、感光体ドラム31の円筒面31BにシートPの紙粉が付着した場合であっても、感光体ドラム31の回転に伴って、トナーシール360の先端部まで移動された紙粉が、トナーシール360のシール先端部360Sと感光体ドラム31の円筒面31Bとの間で、塊に成長されることが抑止される。この結果、前記紙粉の塊によって、トナーシール360のシール先端部360Sが浮き上がり、トナーがトナーシール360と感光体ドラム31の隙間から漏れることを防止できる。したがって、下方に漏れたトナーによって、搬送されるシートPが汚されることが抑制される。
以上、本発明の実施形態に係るクリーニング装置35、およびこれを備えるドラムユニット31H、画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、飛散防止壁390が鉛直方向に立設され、防止壁先端部390Fが感光体ドラム31の円筒面31Bに向かって屈曲される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。飛散防止壁390および防止壁先端部390Fは、研磨ローラー353の周面に沿って湾曲した形状からなるものであってもよい。また、飛散防止壁390は、ケーシング353Hとは別部材から構成されるものであってもよい。
(2)また、上記の実施形態では、トナーシール360を備えるクリーニング装置35は、ドラムユニット31Hに配設される態様にて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。トナーシール360を備えるクリーニング装置35は、画像形成装置1に対して、個別に装着されるものであってもよい。