JP5817614B2 - 2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法 - Google Patents

2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、水酸基の1つが保護基で保護されたハイドロキノン化合物から、特殊な装置を必要とせず、効率良く安全に、かつ、工業的に有利に2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物を製造する方法に関する。
従来、フェノール類をホルミル化してアルデヒド類を製造する方法としては、以下のような方法が知られている。
(a)ガッターマン法;塩化アルミニウムや塩化亜鉛を触媒として用い、フェノール類にシアン化水素を反応させるか、又はシアン化亜鉛と塩化水素を反応させる方法(非特許文献1)
(b)ガッターマン−コッホ法;塩化アルミニウムと塩化銅の存在下、一酸化炭素と塩化水素を作用させる方法(非特許文献2)
(c)フッ化ホルミルと三フッ化ホウ素を用いる方法(非特許文献3)
(d)ジクロロメチルアルキルエーテル又はオルトギ酸エステルを用いる方法;ジクロロメチルアルキルエーテル又はオルトギ酸エステルを、四塩化チタンや塩化アルミニウムの存在下に反応させ、ついで加水分解する方法(非特許文献4)
(e)ビルスマイヤー反応;オキシ塩化リンや塩化チオニルを、N−置換ホルムアミド類と反応させて得られる化合物を用いる方法(非特許文献5)
(f)ライマー−チーマン反応;アルカリの存在下、クロロホルム、ブロモホルム、トリクロロ酢酸等を反応させる方法(非特許文献6)
(g)ダフ反応;ホウ酸グリセリンエステル、酢酸又はトリフルオロ酢酸の存在下、ヘキサメチレンテトラミンを反応させる方法(非特許文献7)。
(h)フェノキシマグネシウムブロミドとパラホルムアルデヒドによる方法;フェノール類を、エチルマグネシウムブロミドとパラホルムアルデヒドと反応させる方法(特許文献1)
(i)マグネシウムメトキシドとパラホルムアルデヒドによる方法;フェノール類とマグネシウムメトキシドをメタノール溶媒中で反応させ、ついで、芳香族炭化水素系溶媒中で、パラホルムアルデヒドを反応させる方法(非特許文献8)
このように、フェノール類をホルミル化してアルデヒド類を製造する方法は、数多く知られている。
しかしながら、これらの方法でハイドロキノン化合物のホルミル化を試みても、目的とする2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物は全く得られないか、得られたとしても収率は極めて低い。例えば(g)の方法で、ヘキサメチレンテトラミンとハイドロキノンを反応させた場合、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドの収率は19%程度である(非特許文献9)。
従来、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物を製造する方法としては、下記式に示すように、ハイドロキノンのモノエーテル保護体である4−メトキシフェノールをホルミル化し、その後、脱保護する方法が知られている(非特許文献8、10)。
Figure 0005817614
しかし、保護基として単にメチル基を用いた場合、脱保護反応において、三臭化ホウ素や臭化水素酸のような強酸を加熱条件下で用いる必要がある。このような反応条件下では、副反応が起き、目的物の収率が低下し、さらに専用の設備が必要となる等、工業的に有利な方法とはいえない。
特開平06−87783号公報
Org.React.,9巻,37頁(1957) J.Amer.Chem.Soc.,91巻,4606頁(1969) J.Amer.Chem.Soc.,82巻,2380頁(1960) Chem.Ber.,93巻,88頁(1960) Org.Synth.,3巻,98頁(1955) Ber.,9巻,423頁,1876年 J.Chem.Soc.,276頁,(1945) J.Chem.Soc.,Perkin Transactions 1,(13),1823−31(1994) Organic Reactions,28巻,22項(1982) Letters in Organic Chemistry,8(1),48−52(2011)
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、特殊な装置を必要とせず、効率良く安全に、かつ、工業的に有利に2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、水酸基の1つが保護基で保護されたハイドロキノンを、芳香族炭化水素系溶媒中、マグネシウムアルコキシド存在下、パラホルムアルデヒドと反応させた後、得られた反応液を酸で接触させた後、塩基と接触させることで、2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を含有する溶液を得、次いで、この溶液から、2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を単離することなく、2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物の水酸基の保護基の脱保護反応を行うことにより、目的とする2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物を、効率良く安全に製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔7〕の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法が提供される。
〔1〕式(2)
Figure 0005817614
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を表し、Rは、置換基を有していてもよいベンジル基、t-ブチル基、メトキシメチル基、又は2−メトキシエトキシメチル基を表す。)
で示されるフェノール化合物を、芳香族炭化水素系溶媒中、マグネシウムアルコキシド存在下、パラホルムアルデヒドと反応させる工程(I)、
工程(I)で得られた反応液を、酸と接触させた後、塩基と接触させて、式(3)
Figure 0005817614
(式中、R〜Rは、前記と同じ意味を表す。)
で示される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を含有する溶液を得る工程(II)、および、
工程(II)で得られた溶液から前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を単離することなく、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物の水酸基の保護基Rを脱保護する工程(III)
を有する、式(1)
Figure 0005817614
(式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す。)
で示される2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
〔2〕前記式(1)、(2)及び(3)中、R、R及びRが、いずれも水素原子である、〔1〕に記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
〔3〕前記式(2)及び(3)中、Rが、式(4)
Figure 0005817614
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)で表される置換基を有していてもよいベンジル基である、〔1〕又は〔2〕に記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
〔4〕前記式(2)及び(3)中、Rがベンジル基である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
〔5〕前記工程(III)が、前記工程(II)で得られた溶液に、アルコール系溶媒を加えた後、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を単離することなく、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物の水酸基の保護基Rを脱保護する工程であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
〔6〕前記芳香族炭化水素系溶媒として、トルエン又はキシレンを用いる、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
〔7〕前記塩基として金属炭酸水素塩を用いる、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、特殊な装置を必要とせず、効率良く安全に、工業的に有利に、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法は、下記工程(I)〜(III)を有することを特徴とする。
工程(I):前記式(2)で表されるフェノール化合物を、芳香族炭化水素系溶媒中、マグネシウムアルコキシド存在下、パラホルムアルデヒドと反応させる工程
工程(II):工程(I)で得られた反応液を、酸と接触させた後、塩基と接触させて、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を含有する溶液を得る工程
工程(III):前記工程(II)で得られた溶液から、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を単離・精製することなく、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物の水酸基の保護基Rを脱保護する工程
〈工程(I)〉
工程(I)は、前記式(2)で表されるフェノール化合物(以下、「フェノール化合物(2)」ということがある。)を、芳香族炭化水素系溶媒中、マグネシウムアルコキシドの存在下、パラホルムアルデヒドと反応させる工程である。
前記式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を表す。
前記R、R及びRのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。これらの置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基の炭素数7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。これらの置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基等が挙げられる。
これらの中でも、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基であるのが好ましく、すべてが水素原子であるのがより好ましい。
前記式中、Rは、置換基を有していてもよいベンジル基、t−ブチル基、メトキシメチル基、又は2−メトキシエトキシメチル基を表し、水酸基の保護基としての導入及び脱離容易性等の理由から、置換基を有していてもよいベンジル基が好ましく、前記式(4)で表される基がより好ましい。
前記式(4)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;トリフルオロメチル基;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;又は、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;を表す。
これらの中でも、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基であるのが好ましく、R〜Rがすべて水素原子であるのが特に好ましい。
フェノール化合物(2)は、対応するハイドロキノン化合物を原料とし、その一つの水酸基に、従来公知の方法により保護基(前記R基)を導入することにより得ることができる。
用いる芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、目的物が収率よく得られる観点から、トルエン、キシレンが好ましい。
芳香族炭化水素系溶媒の使用量は、フェノール化合物(2)に対して、通常5〜20質量倍、好ましくは7〜10質量倍である。
用いるマグネシウムアルコキシドとしては、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等が挙げられる。
マグネシウムアルコキシドの使用量は、フェノール化合物(2)に対して、通常0.5〜1.0当量、好ましくは0.6〜0.7当量である。
マグネシウムアルコキシドは、マグネシウムとアルコールから調製することができる。アルコールの使用量は、マグネシウムに対して、通常30〜100質量倍、好ましくは35〜50質量倍である。
マグネシウムアルコキシドを調製する際の反応温度は、通常、40℃から用いる溶媒の還流温度であり、好ましくは還流温度である。反応時間は、通常、数分から数時間、好ましくは数十分から1時間である。
具体的な調製方法としては、後述する実施例に示す方法等が挙げられる。
本発明においては、マグネシウムアルコキシドとして、実施例に示すように、マグネシウムアルコキシドを調製した反応液をそのまま使用してもよいし、反応液から単離したもの(粉末)を使用してもよい。
パラホルムアルデヒドの使用量は、フェノール化合物(2)に対して、通常2〜5当量、好ましくは3〜4当量である。
工程(I)の反応温度は、通常80℃〜120℃、好ましくは90℃〜95℃である。
反応時間は反応規模等にもよるが、通常、数十分から数時間である。
〈工程(II)〉
工程(II)は、工程(I)で得られた反応液を、酸と接触させた後、塩基と接触させて、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物(以下、「化合物(3)」ということがある。)を含有する溶液を得る工程である。
工程(I)で得られた反応液中、未反応のフェノール化合物(2)と化合物(3)はマグネシウム塩となっているため、酸と接触させることで、遊離のフェノール化合物(2)と化合物(3)とする。
この操作を行うことにより、反応液から化合物(3)を単離することなく後工程に進んでも、後工程においてホルミル基が外れることなく、最終的に目的物を収率よく得ることができる。
用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;等が挙げられる。これらの中でも、塩酸が好ましい。
工程(I)で得られた反応液と酸とを接触させる方法としては、例えば、得られた反応液に、前記酸の水溶液を加え、全容を攪拌する方法等が挙げられる。
撹拌温度は通常0〜40℃であり、撹拌時間は、通常数十分から数時間である。
酸の使用量は、用いたマグネシウムアルコキシド1モルに対し、通常2〜2.5モルである。
酸と接触させた後、塩基と接触させて、化合物(3)を含有する溶液を得る。
酸と接触させると、分液しても、有機層に酸が残り、その後の脱保護反応(触媒反応)を阻害するため、塩基と接触させて、有機層を中和しておく必要がある。
用いる塩基としては、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属水酸化物及び金属水素化物等の無機塩基;並びに有機塩基;等が挙げられる。
金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;等が挙げられる。
金属炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩;等が挙げられる。
金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;等が挙げられる。
有機塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の3級アミン等が挙げられる。
これらの中でも、目的物を収率よく得られる観点から、金属炭酸水素塩が好ましく、アルカリ金属炭酸水素塩がより好ましく、炭酸水素ナトリウム(重曹)がさらに好ましい。
塩基と接触させる方法としては、例えば、前記酸と接触させた後の反応液に、前記塩基の水溶液、又は塩基の粉末を加え、全容を攪拌する方法等が挙げられる。なかでも、塩基の水溶液を用いる方法が好ましい。
炭酸水素ナトリウムを用いる場合、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の形で用いるのが特に好ましい。
用いる塩基の使用量は、有機層に存在する酸を中和するのに必要な量であればよい。
工程(I)で得られた反応液を、酸と接触させた後、得られた処理液に所望により水を添加して分液して、有機層を分取し、次いで、塩基と接触させた後、得られた処理液に所望により水を添加して分液して、有機層を分取することで、化合物(3)を含有する溶液を得ることができる。
〈工程(III)〉
工程(III)は、工程(II)で得られた溶液から化合物(3)を単離することなく、化合物(3)の水酸基の保護基Rを脱保護する工程である。
脱保護する方法としては、保護基の構造、種類に応じて、従来公知の方法を適宜選択して採用することができる。
保護基Rが、t−ブチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基である場合には、例えば、前記工程(II)で得られた溶液に、酸を添加して全容を撹拌する方法等が挙げられる。
用いる酸としては、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸ピリジン塩、塩化水素、酢酸、塩酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。
また、保護基Rが、置換基を有していてもよいベンジル基である場合、水素化触媒存在下、水素添加して脱保護する方法を採用するのが好ましい。
用いる水素化触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属を、カーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させた固体触媒系が挙げられる。なかでも、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナが好ましく、収率よく目的物が得られることから、パラジウム/カーボン粉末を用いるのが特に好ましい。
水素化触媒の使用量は、出発物質のフェノール化合物(2)100質量部に対して、通常2〜20質量部であり、好ましくは5〜10質量部である。
反応は、工程(II)で得られた反応液に、アルコール系溶媒を加え、芳香族炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒中で行うのが好ましい。
アルコール系溶媒を用いることにより、目的物の溶解度が向上するため、水素化反応をより容易に進行させることができ、また、後処理操作におけるロスを防ぎ、収率よく目的物を得ることができる。
用いるアルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール等が挙げられる。これらの中でも、目的物が収率よく得られる観点から、炭素数1〜3のアルコールが好ましく、コスト及びリサイクルの観点から、メタノールが特に好ましい。
アルコール系溶媒の使用量は、芳香族炭化水素系溶媒に対し、通常0.2〜1質量倍、好ましくは0.2〜0.3質量倍である。
この反応の反応温度は、通常10℃〜50℃、好ましくは20℃〜30℃である。反応時間は反応規模にもよるが、通常数十分から数十時間、好ましくは数時間から24時間である。
いずれの場合も、反応終了後は、有機合成化学における、反応方法に応じた通常の後処理操作を行い、所望により、分離・精製手段を施すことにより、目的物を単離することができる。分離・精製手段としては、カラムクロマトグラフィー、再結晶法、蒸留法等の公知の方法が挙げられるが、なかでも、目的物を収率よく得られる観点から、再結晶法が好ましい。
目的物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定により、同定することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これら実施例等になんら制限されるものではない。
(実施例1)
〈工程(I)〉 中間体1の合成
Figure 0005817614
(式中、Bnはベンジル基を表す。)
窒素気流中、反応器に、マグネシウム1.24g(0.051mol)とメタノール51gを加え、加熱還流条件下で1時間攪拌した。反応液を25℃に戻し、4−(ベンジルオキシ)フェノール17.0g(0.085mol)を加え、常圧下でメタノール25gを蒸留により除去した。ここにトルエン85gを加え、反応液の内温が85℃になるまで、メタノールとトルエンとをさらに共沸蒸留により除去した。その後、パラホルムアルデヒド10.2g(0.340mol)とトルエン34gとのスラリー溶液を、滴下漏斗を用いて1時間かけて滴下した。その際、反応の進行とともにメタノールが生成するので、反応液内温を85〜95℃に維持してメタノールを共沸除去した。前記スラリー液の滴下終了後、さらに全容を1時間攪拌した。
〈工程(II)〉
反応終了後、反応液を25℃まで戻し、12N塩酸10.32gを水50gで希釈した溶液を反応液に加え、全容を2時間攪拌した。得られた反応混合物に飽和食塩水37gを加えて、分液し、有機層を分取した。次いで、有機層をさらに飽和食塩水17gと飽和重曹水17gとの混合液で洗浄し、分液し、有機層を分取して、中間体1を含有するトルエン溶液を得た。
〈工程(III)〉 化合物1の合成
Figure 0005817614
工程(II)で得たトルエン溶液に、メタノール34gと5%パラジウム/カーボン粉末(50%含水品、STDタイプ、エヌ・イー ケムキャット社製)1.96gを加え、反応容器内を水素置換した後、水素を満たしたガスバックを接続して、25℃で15時間反応させた。反応終了後、触媒を吸引ろ過によって取り除き、得られたろ液を、内温が110℃になるまでメタノールを常圧下で蒸留除去した。得られた濃縮液を25℃まで冷却して、析出した結晶をろ過により単離し、乾燥することで黄色固体として化合物1を9.61g得た。(収率81.9%)
目的物の構造はH−NMRスペクトルで同定した。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):10.19(s,1H)、10.04(s,1H)、9.20(s,1H)、6.95−7.01(m,2H)、6.84(d,1H,J=8.6Hz)
(実施例2)
実施例1の工程(II)において、有機層の中和に用いる飽和重曹水を、0.1N水酸化ナトリウム水溶液に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、目的物である化合物1を収率75.0%で得た。
(実施例3)
実施例1の工程(II)において、有機層の中和に用いる飽和重曹水を、粉末の重曹1.7gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、目的物である化合物1を収率79.2%で得た。
(実施例4)
実施例1の工程(II)において、有機層の中和に用いる飽和重曹水を、トリエチルアミン1.7gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、目的物である化合物1を収率72.3%で得た。
(比較例1)
実施例1の工程(II)において、有機層の飽和重曹水による中和操作を実施しない以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、目的物である化合物1の収率は3.5%であった。
(比較例2)
実施例1の工程(II)において、有機層の中和に用いる飽和重曹水を、蒸留水に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、目的物である化合物1の収率は21.1%であった。
実施例1〜4及び比較例1,2の結果を下記表1にまとめた。
Figure 0005817614
工程(I)で有機層を塩基で中和しなかった比較例1及び2では、工程(II)の脱保護においてホルミル基が外れたメチルヒドロキノン等が生成し、目的物の収率が低い。
ホルミル化工程で酸による後処理を行った後に、塩基で有機層を中和した実施例1〜4では、中間体を単離することなく、簡便な操作により、高収率で目的物を得ることができる。

Claims (7)

  1. 式(2)
    Figure 0005817614
    (式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基を表し、Rは、置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)
    で示されるフェノール化合物を、芳香族炭化水素系溶媒中、マグネシウムアルコキシド存在下、パラホルムアルデヒドと反応させる工程(I)、
    工程(I)で得られた反応液を、酸と接触させた後、塩基と接触させて、式(3)
    Figure 0005817614
    (式中、R〜Rは、前記と同じ意味を表す。)
    で示される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を含有する溶液を得る工程(II)、および、
    工程(II)で得られた溶液から前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を単離することなく、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物の水酸基の保護基Rを、水素添加して脱保護する工程(III)
    を有する、式(1)
    Figure 0005817614
    (式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す。)
    で示される2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
  2. 前記式(1)、(2)及び(3)中、R、R及びRが、いずれも水素原子である、請求項1に記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
  3. 前記式(2)及び(3)中、Rが、式(4)
    Figure 0005817614
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキル基、又は、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)で表される置換基を有していてもよいベンジル基である、請求項1又は2に記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
  4. 前記式(2)及び(3)中、Rがベンジル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
  5. 前記工程(III)が、前記工程(II)で得られた溶液に、アルコール系溶媒を加えた後、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を単離することなく、前記式(3)で表される2−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物の水酸基の保護基Rを脱保護する工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
  6. 前記芳香族炭化水素系溶媒として、トルエン又はキシレンを用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
  7. 前記塩基として金属炭酸水素塩を用いる、請求項1〜6のいずれかに記載の2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド化合物の製造方法。
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