JP5813340B2 - 軌陸作業車の鉄輪揺動ロック装置 - Google Patents

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Description

本願発明は、車体に道路走行用のタイヤ車輪と軌道走行用の鉄輪とを備え、道路上と軌道上の両方で走行させ得るようにした軌陸作業車に関し、さらに詳しくは、軌道走行時の脱輪防止用として前後いずれかの左右鉄輪が上下に従動し得るようにした軌陸作業車において、オンレール作業時(レール上において作業車停止状態で行う作業時)に用いられる鉄輪揺動ロック装置に関するものである。
この種の軌陸作業車は、道路走行用のタイヤ車輪と軌道走行用の鉄輪とを備え、道路を走行する際(道路走行モード時)には各タイヤ車輪を接地させる(鉄輪は浮上している)一方、軌道を走行する際(軌道走行モード時)には各鉄輪を軌道上に載せる(タイヤ車輪は浮上している)。尚、軌陸作業車の機種としては、車体上にブーム式作業台を搭載した高所作業車や、車体上にブーム式クレーンを搭載したクレーン作業車や、荷物運搬用のトラック等がある。
ところで、軌道がカーブしている場所では左右のレールに高低差が生じ、特にカーブの入口付近及び出口付近では左右のレールにねじれが生じる。そして、そのように左右のレールに高低差(特にねじれ)がある場所を前後・左右の4つの鉄輪で走行させる際に、該4つの鉄輪が全て車体フレームに対して固定されていると、4つの鉄輪のうちの1つがレールから浮き上がり、脱輪の虞れが生じる。
そこで、軌道のカーブ場所においても、4つの鉄輪を常時左右のレール上に接触させた状態で走行させ得るようにするために、本件出願人は、図8に示す軌陸作業車において図9に示すように、後輪側の左右の鉄輪32,32をシーソー状に揺動させ得るようにしたものを既に実施している。尚、図8の例では、軌陸作業車として、車体フレーム11上に旋回台21と伸縮ブーム22と作業台23とを有した高所作業機2を搭載した高所作業車が採用されている。
図8の軌陸作業車において、前側鉄輪31が駆動側(駆動モータ34で駆動される)で後側鉄輪32が従動側である。又、前後の各鉄輪31,32は、それぞれ油圧シリンダからなる上下動装置30,30により上方格納位置(実線図示位置)と下方使用位置(鎖線図示位置)との間で上下に揺動せしめられる。そして、この軌陸作業車は、前後の各鉄輪31,32を上方に格納した状態では各タイヤ車輪(前後・左右の4箇所にある)12による道路走行が行える一方、各鉄輪(前後・左右の4つ)31,32を下方の使用位置に張出させることで軌道走行が行えるようになっている。
図9は図8における後輪側の左右鉄輪32,32が左右のレールR,R上に載った状態(図8の鎖線図示状態)でのIX−IX拡大矢視図である。そして、この図9の公知例の後側鉄輪取付構造では、車体フレーム11の後端寄り下面に左右向きの揺動フレーム4の長さ方向中間部を前後向きの支軸40で枢支して、該揺動フレーム4が上下にシーソー状に揺動し得るように支持している一方、該揺動フレーム4の左右各端部に後輪側の左右鉄輪32,32をそれぞれ取付けている。従って、左右の後側鉄輪32,32は、車体フレーム11に対して揺動フレーム4を介してシーソー状に従動し得るようになっている。尚、左右の各前側鉄輪31は、下方使用位置において車体フレーム11に対してそれぞれ固定的に(上下動しない状態で)取付けられている。
そして、図9に示す後側鉄輪取付構造を採用した軌陸作業車(図8)では、鉄輪による軌道走行時に、軌道がカーブしていて左右のレールR,Rに高低差(ねじれ)があっても、揺動フレーム4が上下に揺動自在(図9に鎖線図示する符号4′及び4″)となっているので左右の後側鉄輪32,32がレールの高低差に追従し、左右の前側鉄輪31,31(図8)及び左右の後側鉄輪32,32の4輪が常にレールR,R上に接触した状態で走行させることができるようになっている(従って、軌道走行時に各鉄輪が脱輪しない)。
ところで、軌陸作業車の軌道上での機能は、各鉄輪により軌道上を走行させることと、軌道上の所定場所で停車させた状態(前後の各鉄輪31,32をレールR上に載せたまま)で上部の作業機(高所作業機)2を使用して所定の作業を行うことであるが、高所作業機2を使用して行う作業時には作業車転倒防止性能(作業を規制する限界モーメント性能)が高いほど良い。
そして、図9の後側鉄輪取付構造を採用した軌陸作業車(図8)では、左右の後側鉄輪32,32を取付けている揺動フレーム4が車体フレーム11に対して常に揺動可能となっているので、作業車を軌道上に載せた状態では、4つの鉄輪が左右のレール上に載っているものの、作業車は図10に示すように左右の各前側鉄輪31,31の2点(符号A、B)と各後側鉄輪32,32を取付けている揺動フレーム4の枢支部(支軸)40の1点(符号M)との実質3点で支持されることになる。
ところで、この種の軌陸作業車には、作業車の転倒防止に関する制御として、コントローラに4つの鉄輪31,31,32,32がレールR,R上に載った状態(オンレール状態)での作業機2の限界姿勢を規制するための転倒防止性能をパラメータ(データテーブル)として記憶しているが、図9の後側鉄輪取付構造を採用した軌陸作業車(図8)では、揺動フレーム4が常に揺動し得る状態となっているので、転倒防止性能としては図10に示すように3点(A、B、M)を結ぶ線で囲われた範囲内のものとなる。
即ち、図9に示すように後側鉄輪32,32を揺動フレーム4に取付けた軌陸作業車では、軌道走行時に4つの鉄輪がそれぞれレール上に接触するので脱輪防止機能は確保できるものの、オンレール作業時には図10に示す3点(A、B、M)を結ぶ線で囲われた比較的狭い範囲の転倒防止制御しか行えず、転倒防止に関する作業機の限界姿勢が狭いものとなる(小さい範囲の作業姿勢でしか作業ができない)という問題があった。
尚、4つの鉄輪を車体フレームに対してそれぞれ個別に固定状態で取付けたものでは、軌陸作業車を常時4点(4つの鉄輪位置)で支持できるので、上記3点支持の場合より作業車転倒防止性能を高く設定できるが、その場合は軌道にレール高低差があると走行時に1つの鉄輪が浮き上がる(脱輪する)という危険性がある。
そこで、本願発明は、上記のように車体フレームに対して揺動可能な揺動フレームの左右各端部に左右の鉄輪を取付けた軌陸作業車において、鉄輪による軌道走行時には揺動フレームが上下に揺動し得る状態に維持させる(脱輪防止機能がある)一方、作業車を軌道上に停車させたオンレール作業時には揺動フレームの揺動を禁止して4つの鉄輪による4点支持状態で作業を行える(作業車転倒防止性能を高めることができる)ようにした、軌陸作業車の鉄輪揺動ロック装置を提供することを目的としてなされたものである。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、タイヤ車輪による道路走行と鉄輪による軌道走行とが行えるようにした軌陸作業車において、左右の鉄輪(後側鉄輪)を揺動可能にしたり揺動不能にロックしたりすることができる鉄輪揺動ロック装置を対象にしている。
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明で対象としている軌陸作業車は、車体に道路走行用のタイヤ車輪と軌道走行用の鉄輪とを備え、タイヤ車輪による道路走行モードと鉄輪による軌道走行モードとを選択して切り換え得るようにしたものである。
ところで、この種の軌陸作業車は、車体フレーム上に伸縮ブーム式のクレーン作業機や伸縮ブーム式の高所作業機を搭載したものが主流であり、軌道上においても該クレーン作業機や高所作業機を使用して各種の作業が行われる。そして、各鉄輪を軌道(左右のレール)上に載せた状態で各種作業機を使用して作業を行う際には、作業車の転倒防止に関する制御が行われる。
又、本願で使用される軌陸作業車は、作業車を各鉄輪により軌道上を走行させる際に、左右のレールの高低差(ねじれ)による鉄輪浮き上がり防止のために、後輪側又は前輪側のいずれか一方の左右鉄輪を車体フレームの下部に上下揺動自在に枢支した揺動フレームの左右各端部に取付けて、前後・左右の4つの鉄輪が常に左右のレール上に接触した(載った)状態で走行させ得るようにしている。尚、上下に従動させるべき鉄輪は、一般に作業車の後輪側のものが適用されるが、前輪側のものであってもよい。
このように、後輪側(又は前輪側)の左右鉄輪を揺動フレームの左右各端部に取付けた軌陸作業車では、鉄輪による軌道走行時に後輪側(又は前輪側)の左右鉄輪が上下に従動し得るので、左右のレールに高低差(ねじれ)があっても、従動可能な左右鉄輪が揺動フレームとともにシーソー状に従動することにより、4つの鉄輪が常にレール上に接触した状態で走行するようになる(全鉄輪がレールから浮き上がらないので脱輪しない)。
上記揺動フレームは、車体フレームの下面から所定間隔を隔てた下方位置において、該揺動フレームの左右長さの中間部を車体フレームの下面に前後向きの支軸で枢支して、該揺動フレームが車体フレームの下面側でシーソー状に揺動し得るように設置されている。
ところで、このように後輪側(又は前輪側)の左右鉄輪を揺動フレームの各端部に取付けたものでは、揺動フレームが車体フレームに対して支軸部分の1点で支持されているだけなので、このままでは軌道上に載せられた作業車は、固定側の左右鉄輪の2点と揺動フレームの枢支部の1点との合計3点で支持されるようになる。このように作業車が3点で支持された状態では、上記「発明が解決しようとする課題」の項で説明したように、作業車転倒防止性能に関する許容範囲が狭くなり、軌道上での作業機の限界姿勢範囲が狭くなる。
そこで、本願請求項1の発明は、上記軌陸作業車に鉄輪揺動ロック装置を備えたものであるが、この請求項1の鉄輪揺動ロック装置は、車体フレームと揺動フレームとの間に、揺動フレームを車体フレームに対して揺動不能にロックするための揺動ロック手段を設けたものである。
この請求項1で使用する揺動ロック手段としては、揺動フレームを車体フレームに対してロック状態(揺動不能状態)とロック解除状態(揺動可能状態)とに変化させ得るものであればよく、単純な構成のものとして例えば車体フレーム下面と揺動フレーム上面との間に詰め物を挿脱自在に介在させ得るようにしたものでもよい。尚、この揺動ロック手段を動力で操作するには、該揺動ロック手段として油圧シリンダを使用し、該油圧シリンダを電磁切換弁で切換え得るようにしたものを採用するとよい。
この請求項1の鉄輪揺動ロック装置を採用した軌陸作業車では、オンレール作業時(4つの鉄輪を軌道上に載せた停車状態)において、揺動ロック手段により揺動フレームをロック状態にすると該揺動フレームが揺動不能となり、軌陸作業車が前後・左右の4つの鉄輪で4点支持されるようになる。
そして、軌陸作業車をオンレール状態で4点支持したものでは、上記のように前輪側の左右鉄輪(2点)と揺動フレームの枢支部(1点)による3点支持したものより支持面積が広くなり(2倍になる)、それによって作業車転倒防止性能が高くなる(作業機の転倒防止に関する限界姿勢を拡大できる)。
又、この請求項1の発明では、揺動ロック手段がロック状態にあるかロック解除状態にあるのかを検出するロック状態検出手段を有している。
このロック状態検出手段としては、例えば揺動ロック手段の位置を検出するリミットスイッチや揺動ロック手段が油圧作動式のものでは油圧検知スイッチ(圧力スイッチ)が使用できる。
そして、この請求項では、ロック状態検出手段により揺動ロック手段がどの状態(ロック状態又はロック解除状態)にあるのかをオペレータが確認できる。即ち、オンレール作業時(ロック状態にする)及びオンレール状態から発進時(ロック解除状態にする)等に揺動ロック手段の状態が適正状態であるかどうかを容易に確認できる。
[本願請求項の発明]
本願請求項の発明は、上記請求項1の軌陸作業車の鉄輪揺動ロック装置において、揺動ロック手段として、揺動フレームの上面と車体フレームの下面との間に揺動フレームの枢支部を挟んで左右2つのロックシリンダを用いたものを採用している。
この請求項において揺動ロック手段に採用している各ロックシリンダは、油圧作動式の伸縮シリンダが使用されており、揺動フレームの枢支部を挟んだ左右2位置でそれぞれ伸縮させることによって該揺動フレームを車体フレームに対して揺動不能状態(ロック状態)と揺動可能状態(ロック解除状態)とに変化させ得るようになっている。
そして、この請求項のように、揺動ロック手段に左右2つのロックシリンダを用いたものでは、揺動フレームを左右両側からバランスよくロックすることができる。
[本願請求項の発明]
本願請求項の発明は、上記請求項1又は2の軌陸作業車の鉄輪揺動ロック装置において、揺動ロック手段は、鉄輪を走行作動させる信号を受けて自動的にロック解除されるように構成したものである。
尚、この請求項において、鉄輪を走行させる信号とは、具体的には鉄輪駆動モータにON信号を発することであるが、この鉄輪駆動モータへのON信号は、作業車が軌道走行可能な状態(軌道走行に必要な各種の条件が確保された状態)にあるときに発せられるものである。
そして、本願で使用する軌陸作業車は、オンレール作業時には揺動ロック手段をロック状態(上記4点支持状態)にして作業を行うが、オンレール作業後に軌道走行させるときには揺動ロック手段をロック解除状態(上記3点支持状態)にする必要がある。そして、この請求項のように、鉄輪を走行作動させる信号が発せられたときにその信号を受けて揺動ロック手段が自動的にロック解除される(上記3点支持状態となる)ようにしていると、揺動ロック手段をロック解除し忘れたまま軌道走行させる(脱輪の虞れが生じる)というトラブル発生要因を未然に排除できる。
[本願請求項の発明]
本願請求項の発明は、上記請求項の軌陸作業車の鉄輪揺動ロック装置において、コントローラに揺動ロック手段がロック状態であるときの作業車転倒防止性能を記憶したロック時のデータ記憶手段を備え、オンレール作業時において、ロック状態検出手段がロック状態を検出しているときには該ロック状態検出手段からのロック状態検出信号に基いて前記ロック時のデータ記憶手段で記憶している作業車転倒防止性能を用いて作業車の限界姿勢範囲を制御するように構成したものである。
本願で使用する軌陸作業車には、コントローラに、道路上での通常の作業時における作業車転倒防止性能のほかに、オンレール作業時(鉄輪による支持状態)における作業車転倒防止性能も記憶させているが、この請求項5では、コントローラに揺動ロック手段がロック状態であるときの作業車転倒防止性能を記憶したロック時のデータ記憶手段を備えている。このロック時のデータ記憶手段で記憶している作業車転倒防止性能は、揺動ロック手段がロック状態のときのものであるので、作業車が4つの鉄輪による4点支持された状態のものである。従って、このロック時のデータ記憶手段で記憶している作業車転倒防止性能は、作業車が上記3点支持されたときの作業車転倒防止性能より高いものである。
そして、この請求項では、オンレール作業時において、ロック状態検出手段がロック状態を検出しているときには該ロック状態検出手段からのロック状態検出信号に基いて前記ロック時のデータ記憶手段で記憶している高い性能の作業車転倒防止性能を用いて作業車の限界姿勢範囲を制御するように構成しているので、上記3点支持での作業車転倒防止性能で制御されるより、安全性を確保した上で作業機の限界姿勢範囲が拡大される(広範囲の作業が行える)。
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明は、前後いずれか一方の左右鉄輪を揺動フレームを介して揺動可能にすることで軌道走行時に鉄輪の浮き上がり(脱輪)を防止し得るようにした軌陸作業車であっても、鉄輪によるオンレール作業時において揺動フレーム(左右の鉄輪)を揺動ロック手段で揺動不能にロックすることで、作業車を4つの鉄輪で4点支持できる。尚、この4点支持状態は、非揺動側の左右鉄輪と揺動フレームの枢支部との3点で支持したものより作業車転倒防止性能が高くなるという特性がある。
従って、本願請求項1の鉄輪揺動ロック装置を用いた軌陸作業車では、オンレール作業時に揺動ロック手段で揺動フレームを揺動不能にロックしておくことで作業車転倒防止性能を高めることができるので、作業機の限界姿勢範囲(作業範囲)を拡大できるという効果がある。
又、本願請求項1の発明では、揺動ロック手段がロック状態にあるかロック解除状態にあるのかを検出するロック状態検出手段を有しているので、ロック状態検出手段により揺動ロック手段がどの状態にあるのかをオペレータが確認できる。
従って、この請求項の鉄輪揺動ロック装置では、オンレール作業時(ロック状態にする)及びオンレール状態から発進時(ロック解除状態にする)等に揺動ロック手段の状態が適正状態であるかどうかをオペレータが確認することで、不適正状態での作業(又は操作)を防止するのに役立つという効果がある。
[本願請求項の発明の効果]
本願請求項の発明は、上記請求項1の鉄輪揺動ロック装置において、揺動ロック手段として、揺動フレームの上面と車体フレームの下面との間に揺動フレームの枢支部を挟んで左右2つのロックシリンダを用いたものを採用している。
そして、この請求項のように左右2つのロックシリンダを用いたものでは、揺動フレームを左右両側からバランスよくロックすることができる。
従って、この請求項の鉄輪揺動ロック装置では、上記請求項1の効果に加えて、左右2つのロックシリンダにより揺動フレームを安定状態でロックできるという効果がある。
[本願請求項の発明の効果]
本願請求項の発明は、請求項1又は2の鉄輪揺動ロック装置において、揺動ロック手段は、鉄輪を走行作動させる信号を受けて自動的にロック解除されるように構成したものである。
この請求項の鉄輪揺動ロック装置では、鉄輪を走行作動させると揺動ロック手段が自動的にロック解除されるので、請求項1〜の効果に加えて、揺動ロック手段をロック解除し忘れたまま軌道走行させる(脱輪の虞れが生じる)というトラブル発生要因を未然に排除できるという効果がある。
[本願請求項の発明の効果]
本願請求項の発明は、請求項の鉄輪揺動ロック装置において、コントローラに揺動ロック手段がロック状態であるときの作業車転倒防止性能を記憶したロック時のデータ記憶手段を備え、オンレール作業時において、ロック状態検出手段がロック状態を検出しているときには該ロック状態検出手段からのロック状態検出信号に基いて前記ロック時のデータ記憶手段で記憶している作業車転倒防止性能を用いて作業車の限界姿勢範囲を制御するように構成している。
尚、ロック時のデータ記憶手段に記憶している作業車転倒防止性能は、作業車が上記4点支持された状態での高い性能である。
従って、この請求項の鉄輪揺動ロック装置では、オンレール作業時においてロック状態検出手段がロック状態を検出しているときには、ロック時のデータ記憶手段に記憶している高い性能の作業車転倒防止性能を用いて作業車の限界姿勢範囲を制御するので、上記請求項の効果に加えて、安全性を確保した上で作業機の限界姿勢範囲が拡大される(広範囲の作業が行える)という効果がある。
本願実施例の鉄輪揺動ロック装置が採用される軌陸作業車の側面図である。 本願実施例の鉄輪揺動ロック装置を採用した軌陸作業車(図1)の一部拡大図である。 図2のIII−III矢視図(揺動ロック手段のロック解除状態図)である。 図3の一部拡大図である。 図3の状態変化図(揺動ロック手段のロック状態図)である。 本願実施例の鉄輪揺動ロック装置を備えた軌陸作業車の機能説明図である。 本願実施例の鉄輪揺動ロック装置の制御系統を示すブロック図である。 公知の揺動フレーム付き軌陸作業車の側面図である。 図8のIX−IX拡大矢視図である。 図8の軌陸作業車の機能説明図である。
図1〜図7を参照して本願の実施例を説明すると、この実施例では軌陸作業車として、図1に示すように高所作業車を採用している。そして、以下の説明では、軌陸作業車を高所作業車ということがある。
尚、他の実施例では、軌陸作業車として、クレーン作業車や荷物運搬用のトラック等を採用することができる。
図1の高所作業車は、図8に示す公知例のものと同じものであるが、本願実施例で使用するものとして若干の説明を追加する。
図1の高所作業車は、車両1の車体フレーム11上に高所作業機2を搭載している。高所作業機2は、車体フレーム11上に設けた旋回台21と、該旋回台21に起伏自在に取付けた伸縮ブーム22と、伸縮ブーム22の先端部に装備した作業台23を備えている。
車体フレーム11の前後・左右の4箇所には、それぞれアウトリガ(ジャッキ装置)13を設けている。
図1に示す高所作業車は、軌陸両用に使用できるもので、車体フレーム11に道路走行用のタイヤ車輪(前後・左右の4箇所にある)12と、軌道走行用の軌道走行装置3(前後・左右の4箇所にある)とを備え、各タイヤ車輪12,12による道路走行と各軌道走行装置3,3による軌道走行とを選択して行えるようになっている。
又、図1の高所作業車には、車両1を浮上させた状態で方向転換させるための転車装置9を設けている。この転車装置9は、上下動装置(油圧シリンダ)90により転車台(接地板)91を上方格納位置(実線図示位置)と下方突出位置(符号91′で示す鎖線図示位置)との間で上下動させ得るようにしたものである。尚、転車台91部分には、ターンテーブル機構を有している。
前後・左右(合計4つ)の各軌道走行装置3は、相互にほぼ同構造のものであって、車体フレーム11の前端部と後端部にそれぞれ左右対称形のものが一対ずつ配置されている。
前輪側の各軌道走行装置3は、鉄輪(前側鉄輪)31を保持台33で保持し、該保持台33を車体フレーム11に設けたサポート14に軸15で枢支するとともに、保持台33を上下動装置(油圧シリンダ)30で上下に揺動させ得るように構成されている。図1の実施例の高所作業車では、前輪側の左右各軌道走行装置3が駆動側で、各前側鉄輪31,31が駆動モータ34で駆動されるようになっている。鉄輪の駆動モータ34は、電動モータが使用されており、図3に示すように駆動モータ用のスイッチ35をON操作することで、該駆動モータ34を作動させ得るようになっている。尚、他の実施例では、鉄輪の駆動モータ34として油圧モータを使用してもよい。又、この実施例では、後側鉄輪32,32が従動輪となっているが、他の実施例では駆動側鉄輪を前側鉄輪31,31から後側鉄輪32,32に変更してもよく、さらに他の実施例では全部の鉄輪(4輪)をそれぞれ駆動させる(4駆にする)ようにしたものでもよい。
後輪側の各軌道走行装置3は、図2及び図3に拡大図示するように、鉄輪(後側鉄輪)32を保持台33で保持し、該保持台33を後述する揺動フレーム4の両端部(サポート41)に軸42で枢支するとともに、保持台33を上下動装置(油圧シリンダ)30で上下に揺動させ得るように構成されている。
そして、各前側鉄輪31,31及び各後側鉄輪32,32は、図1において実線図示する上動格納位置と鎖線図示する下動使用位置との間をそれぞれ上下動装置30により同時に上下揺動せしめられる。尚、前輪側及び後輪側の各左右鉄輪31,31(及び32,32)間の間隔は、適用される軌道幅(左右のレールR,Rの間隔)と同じに設定される。
図1に示す軌陸作業車(高所作業車)において、タイヤ車輪12による道路走行モードから各鉄輪31,32による軌道走行モードに切換えるには、次のように操作する。即ち、作業車を走行させて前後のタイヤ車輪12,12が軌道(両レールR,R)を跨いだ位置で停車させ→転車装置9の上下動装置90を伸長させて転車台91下面を図1に鎖線図示(符号91′)するように下動させて各タイヤ車輪12を地面から浮上させ→転車装置9を中心にして前後4つの鉄輪31,32が左右レールR,Rの直上方に位置するように車両1を旋回させ→前後・左右の4つの鉄輪31,32をそれぞれ鎖線図示するように下方に張り出させ→該各4つの鉄輪31,32がそれぞれ左右レールR,R上に対応した状態で転車装置9の上下動装置90を縮小させることで、図2及び図3に示すように4つの各鉄輪31,32をそれぞれ左右レールR,R上に載せることができる。
尚、4つの鉄輪31,32を左右のレールR,R上に載せた状態で、前側鉄輪31の駆動モータ34(図1)を作動させると作業車を軌道走行させることができる一方、作業車を軌道上に停車させた状態で高所作業機2により各種の作業を行うことができる。又、高所作業機2による作業時には、各鉄輪31,32をブレーキ装置36(図3参照)でロックしておくとよい。
この実施例の軌陸作業車(高所作業車)では、背景技術の項でも説明したように、左右のレールR,Rに高低差(特にねじれ)がある場所を鉄輪走行させる場合に、4つの鉄輪31,32のうちの1つがレールから浮き上がる現象を防止するために、後輪側の左右の鉄輪32,32をシーソー状に揺動させ得るようにしたものを採用している。
即ち、この実施例の軌陸作業車では、図3に示すように車体フレーム11の後端寄り下面に左右向きの揺動フレーム4の長さ方向中間部を前後向きの支軸40で枢支して、該揺動フレーム4が上下にシーソー状に揺動し得るように支持している一方、該揺動フレーム4の左右各端部に後輪側の左右鉄輪32,32をそれぞれ取付けている。尚、揺動フレーム4が上下に揺動自在であること、及び該揺動フレーム4の左右各端部にそれぞれ後輪側の左右鉄輪32,32を取付けていることは、図9の公知例のものと同じである。
そして、図3に示す実施例の後側鉄輪取付構造を採用した軌陸作業車(図1、図2)では、鉄輪による軌道走行時に、軌道がカーブしていて左右のレールR,Rに高低差(ねじれ)があっても、揺動フレーム4が上下に揺動する(図4の符号4′,4″参照)ことで左右の後側鉄輪32,32がレールの高低差に追従し、左右の前側鉄輪31,31及び左右の後側鉄輪32,32の4輪が常にレールR,R上に接触した状態で走行させることができる。
ところで、このように揺動フレーム4が常時揺動し得る状態にあるものでは、[発明が解決しようとしている課題]の項でも説明したように、作業車を軌道上に載せた状態では、4つの鉄輪が左右のレール上に載っているものの、作業車は図6に示すように左右の各前側鉄輪31,31の2点(符号A、B)と各後側鉄輪32,32を取付けている揺動フレーム4の枢支部(支軸)40の1点(符号M)との実質3点で支持されることになり、比較的狭い範囲の転倒防止制御しか行えない。
そこで、この実施例の軌陸作業車(高所作業車)には、軌道上において高所作業機2による作業を行う際に揺動フレーム4(左右の後側鉄輪32,32)の揺動をロックし得るようにした鉄輪揺動ロック装置を備えている。
この実施例で使用されている鉄輪揺動ロック装置は、図2〜図5に示すように、車体フレーム11と揺動フレーム4との間に、揺動フレーム4を車体フレーム11に対して揺動不能にロックするための揺動ロック手段5を設けたものである。
この実施例の揺動ロック手段5には、図3及び図4に示すように、揺動フレーム4の支軸40を挟んで左右2つのロックシリンダ50,50を使用している。尚、揺動ロック手段5として左右2つのロックシリンダ50,50を使用したことは、本願請求項の構成に対応するものである。
この各ロックシリンダ50,50には、比較的小ストロークの単動式油圧シリンダが採用されている。この各ロックシリンダ50,50は、車体フレーム11の下面の左右端部位置においてピストンロッド51が下向きに出没する状態で取付けている。又、この各ロックシリンダ50,50は、後述する油圧装置6によりシリンダの伸長側油室53に高圧作動油が供給されことにより、各側のピストンロッド51,51が同時に押下げられるようになっている。
各ロックシリンダ50,50のピストンロッド51の下端部には、それぞれ大形板52が取付けられている。この各大形板52,52の下面と揺動フレーム4の上面との間には、ピストンロッド51を上方に付勢するスプリング55,55が介設されている。尚、この左右のスプリング55,55は、揺動ロック手段5がロック解除状態にある状態での揺動フレーム4に対するサスペンションの機能を有している。
揺動フレーム4の上面における各ロックシリンダ50,50の直下位置には、ピストンロッド51の下動時に各側の大形板52,52を衝合させる突起物43,43が取付けられている。
そして、図3及び図4に示すように、各ロックシリンダ50,50が縮小している状態では、各大形板52,52の下面と各突起物43,43の上面との間に適宜間隔の隙間が形成されていて、図4に鎖線図示(符号4′、4″)するように該隙間の範囲内(突起物43上面が大形板52下面に衝合するまでの範囲内)で揺動フレーム4が支軸40を中心にしてシーソー状に揺動し得るようになっている。尚、各ロックシリンダ50,50の縮小状態における揺動フレーム4の揺動可能範囲は、軌道の左右レールの高低差が最大である場所での走行時においても、左右の各後側鉄輪32,32が各レール高さに追従し得るように設定されている。
各ロックシリンダ50,50を作動させる油圧装置6は、図3に示すように、作動油タンク60と、油圧ポンプ61と、電磁切換弁62と、2系統の油路63,64と、2つのチェック弁65,65とを有している。2系統の油路のうちの実線図示する油路64は、単動式の各ロックシリンダ50,50を作動させるメイン油路であり、点線表示する符号63の油路は、チェック弁65,65を解放するためのバイパス油路である。
そして、この油圧装置6は、各ロックシリンダ50,50に対して次のように作動させる。
まず、電磁切換弁62が非励磁状態(図3の状態)で油圧ポンプ61を作動させると、作動油が点線図示するバイパス油路63を通って各チェック弁65,65を開弁させる。すると、各ロックシリンダ50,50の伸長側油室53,53と作動油タンク60とがメイン油路64を介して連通し、各ピストンロッド51,51(大形板52,52)がスプリング55,55で付勢されていることにより、各ロックシリンダ50,50が縮小状態を維持するようになる。尚、この各ロックシリンダ50,50の縮小状態が揺動ロック手段5のロック解除状態となる。
又、図3に示すように電磁切換弁62が非励磁状態で油圧ポンプ61を停止させた状態では、各チェック弁65,65が閉弁しても各ロックシリンダ50,50をそれぞれスプリング55,55で縮小側に付勢しているので、該各ロックシリンダ50,50は図3及び図4に示す縮小状態(ロック解除状態)に維持される。従って、この状態では、揺動フレーム4は支軸40を中心にして上下に揺動可能となっている。
他方、図5に示すように、油圧ポンプ61を作動させた状態で電磁切換弁62を励磁させる(電磁切換弁操作用のスイッチ66をONにする)と、作動油がメイン油路64及び各チェック弁65,65を通って各ロックシリンダ50,50の伸長側油室53,53に導入され、両ロックシリンダ50,50を同時に伸長させる。すると、各ピストンロッド51,51の下端にある各大形板52,52がスプリング55の付勢力に抗して押し下げられて、該各大形板52,52が揺動フレーム4側の各突起物43,43の上面にそれぞれ押し付けられる。尚、この図5のロックシリンダ50,50の伸長状態が揺動ロック手段5のロック状態となる。
又、この図5の状態(電磁切換弁62が励磁状態)で油圧ポンプ61を停止させても、メイン油路64中の各チェック弁65,65が閉状態であるので、各ロックシリンダ50,50の伸長状態(ロック状態)が維持される。従って、この状態では、揺動フレーム4は上下に揺動不能となっている。
ところで、上記構成の鉄輪揺動ロック装置を備えた軌陸作業車(高所作業車)では、次のような機能がある。
まず、軌道走行時には、図3及び図4に示すように、揺動ロック手段5をロック解除状態にしておくことにより、作業車を上記した3点支持状態で軌道走行させることができるので、4つの鉄輪がいずれもレールから浮き上がることがない。尚、作業車を3点支持した状態とは、図6において左右の各前側鉄輪31,31の2点(符号A,B)と揺動フレーム4の支軸40部分の1点(符号M)の合計3点で支持された状態のことであり、この3点支持状態では、オンレール作業時における作業車転倒防止性能が低い状態となる。
他方、オンレール作業時には、図5に示すように、揺動ロック手段5をロック状態にする(各ロックシリンダ50,50を伸長させる)ことにより揺動フレーム4が揺動不能になるので、作業車を図6において左右の各前側鉄輪31,31の2点(符号A,B)と各後側鉄輪32,32の2点(符号C,D)の合計4点で支持させることができる。
そして、このように作業車を4つの鉄輪位置からなる4点(A,B,C,D)で支持させた状態では、上記3点(A,B,M)で支持させたときの支持面積より広くなるので(支持面積が2倍になる)、作業車転倒防止性能が高くなる。尚、このことは、オンレール作業時において、作業機2の転倒防止に関する限界姿勢を拡大できる(広範囲の作業が行える)という利点がある。
又、上記実施例のように、揺動ロック手段5として左右2つのロックシリンダ50,50を使用したもの(本願請求項の内容)では、揺動フレーム4を左右両側からバランスよくロックすることができるので、揺動フレーム4を安定状態でロックできるという機能がある。
ところで、本願実施例の鉄輪揺動ロック装置には、上記構成のほかに、本願請求項1の後段部分に対応する構成と、本願請求項に対応する構成と、本願請求項に対応する構成とを、それぞれ備えている。
まず、本願請求項1の後段部分に対応する構成として、揺動ロック手段5がロック状態にあるかロック解除状態にあるのかを検出するロック状態検出手段7を有している。この実施例のロック状態検出手段7では、図3〜図5に示すように、各ロックシリンダ50,50の伸縮状態を直接検出するリミットスイッチ71,71と、油圧装置6のバイパス油路63中の作動油圧力を検出する圧力スイッチ72とを併用している。
上記各リミットスイッチ71,71は、各ロックシリンダ50,50の各大形板52,52の位置を検出するもので、図3(及び図4)に示すようにロックシリンダ50の最縮小状態(大形板52の最上動状態)においてONになる一方、図5に示すようにロックシリンダ50が伸長するとOFFになる。そして、両リミットスイッチ71,71のON・OFF状態を例えば図7に示すコントローラ10の判別手段101で判別することにより、各ロックシリンダ50,50が縮小状態(揺動ロック手段5がロック解除状態)であるか伸長状態(揺動ロック手段5がロック状態)であるかを認知できるようになっている。
上記圧力スイッチ72は、電磁切換弁62が非励磁状態(図3)で油圧ポンプ61が作動し、バイパス油路63中の作動油が昇圧することでONになるものである。即ち、バイパス油路63中の作動油圧力が高くなると、各チェック弁65,65が解放されて各ロックシリンダ50,50が縮小する(ロック解除状態になる)が、該バイパス油路63中の作動油圧力の変化による圧力スイッチ72のON・OFF状態を例えば図7に示すコントローラ10の判別手段101で判別することにより、各ロックシリンダ50,50が縮小状態(揺動ロック手段5がロック解除状態)であるか伸長状態(揺動ロック手段5がロック状態)であるかを認知できるようになっている。
尚、この実施例では、ロック状態検出手段7として、上記各リミットスイッチ71,71と圧力スイッチ72の両方を併用している(検出精度を高くできる)が、他の実施例では、いずれか一方の検出スイッチのみでもよい。
このように、ロック状態検出手段7(71,72)を備えたものでは、揺動ロック手段5がどの状態にあるのかをオペレータが確認できるので、オンレール作業時(ロック状態にする)及びオンレール状態から発進時(ロック解除状態にする)等に揺動ロック手段5の状態が適正状態であるかどうかをオペレータが確認することで、不適正状態での作業(又は操作)を防止するのに役立つ。
本願請求項に対応する構成として、この実施例の鉄輪揺動ロック装置では、揺動ロック手段5は、鉄輪31を走行作動させる信号を受けて自動的にロック解除されるようにしたものを採用している。
鉄輪31を走行作動させる信号は、この実施例では図3及び図5に示すように鉄輪駆動モータ34を作動させるスイッチ35をONすることで発せられる。そして、この実施例では、電磁切換弁62の操作回路中にスイッチ66とは直列に常閉スイッチ67を設けて、鉄輪駆動モータ作動用のスイッチ35のON操作に連動して上記常閉スイッチ67をOFFさせるようにしたものを採用している。即ち、図5に示す電磁切換弁62の励磁状態(揺動ロック手段5のロック状態)で鉄輪駆動モータ作動用のスイッチ35がON操作されると、それに連動して上記常閉スイッチ67がOFFになって、電磁切換弁62が非励磁状態(図3の状態)になるようにしている。
尚、鉄輪駆動モータ作動用のスイッチ35は、以下の各条件を満たした状態でON操作されるようになっている。即ち、4つの鉄輪が全て下方に張り出していること、高所作業機2の姿勢が走行可能な範囲内であること、アウトリガが全て格納状態であること、転車装置9が格納されていること、各鉄輪のブレーキ装置36が解除されていること、等が鉄輪駆動モータ作動用のスイッチ35をONし得る条件となる。
ところで、オンレール作業時には、上記のように揺動ロック手段5をロック状態(上記4点支持状態)にして作業を行うが、オンレール作業後に軌道走行させるときには揺動ロック手段5をロック解除状態(上記3点支持状態)にする必要がある。そして、上記のように鉄輪駆動モータ作動用のスイッチ35をONにすることで電磁切換弁62を自動的に非励磁状態にするようにしていると、揺動ロック手段5が自動的にロック解除されることにより、揺動ロック手段5をロック解除し忘れたままで(電磁切換弁操作用のスイッチ66のOFF操作せずに)軌道走行させる(脱輪の虞れが生じる)というトラブル発生要因を未然に排除できる。
本願請求項に対応する構成として、この実施例の鉄輪揺動ロック装置では、図7に示すように、コントローラ10に揺動ロック手段5がロック状態であるときの作業車転倒防止性能を記憶したロック時のデータ記憶手段104を備え、オンレール作業時において、ロック状態検出手段7(71,72)がロック状態を検出しているときには該ロック状態検出手段7からのロック状態検出信号に基いてロック時のデータ記憶手段104で記憶している作業車転倒防止性能を用いて作業車の限界姿勢範囲を制御するようにしている。
ところで、この実施例の軌陸作業車では、コントローラ10に、道路上での通常の作業時における作業車転倒防止性能のほかに、オンレール作業時(鉄輪による支持状態)における作業車転倒防止性能も記憶させているが、図7の実施例では、コントローラ10に、揺動ロック手段5がロック解除状態(上記3点支持状態)であるときの作業車転倒防止性能を記憶したロック解除時のデータ記憶手段103と、揺動ロック手段5がロック状態(上記4点支持状態)であるときの作業車転倒防止性能を記憶したロック時のデータ記憶手段104とを備えている。
尚、ロック解除時のデータ記憶手段103で記憶している作業車転倒防止性能は、上記3点支持状態(図6のA、B、Mの3点)での限界性能であってその性能が低いものであり、他方、ロック時のデータ記憶手段104で記憶している作業車転倒防止性能は、上記4点支持状態(図6のA、B、C、Dの4点)での限界性能であってその性能が高いものである。
又、図7のコントローラ10には、上記ロック解除時のデータ記憶手段103とロック時のデータ記憶手段104のほかに、ロック状態検出手段7がON状態であるかOFF状態あるかを検出する判別手段101と、転倒防止制御に関連する作業機の状態(旋回台21の旋回角度、伸縮ブーム22の長さ及び起伏角度等)を検出する作業機状態検出手段8(旋回角度検出器、ブーム長さ検出器、ブーム起伏角度検出器等を総称している)からの各種検出値に基いて現状の転倒モーメント値を演算する演算手段102と、ロック解除時のデータ記憶手段103又はロック時のデータ記憶手段104で記憶しているいずれかの作業車転倒防止性能(判別手段101で判別されたもの)と演算手段102で演算した現状の転倒モーメント値とを比較する比較手段105と、比較手段105で現状の転倒モーメント値が比較対象の作業車転倒防止性能に達したときに出力する出力手段106とを備えている。尚、図7に示す作業機作動規制手段107とは、旋回台21や伸縮ブーム22等が転倒に関する危険側に作動するのを禁止する制御をするものである。
そして、図7の実施例では、ロック状態検出手段7の検出状態を判別手段101で判別し、該判別手段101がロック解除状態と判別しているときには、ロック解除時のデータ記憶手段103で記憶している低性能(3点支持によるもの)の作業車転倒防止性能を用い、該判別手段101がロック状態と判別しているときには、ロック時のデータ記憶手段104で記憶している高性能(4点支持によるもの)の作業車転倒防止性能を用いる。
このように、オンレール作業時において、ロック状態検出手段7がロック状態を検出しているときには、それを判別手段101で判別してロック時のデータ記憶手段104で記憶している高い性能の作業車転倒防止性能を用いて作業車の限界姿勢範囲を制御するようにすると、上記3点支持での作業車転倒防止性能で制御されるより、安全性を確保した上で作業機の限界姿勢範囲が拡大される(広範囲の作業が行える)という機能がある。
又、オンレール作業時において、揺動ロック手段5をロックしない状態(3点支持状態)のままで作業機2による作業を行う場合(3点支持状態)には、ロック状態検出手段7がOFFのままである(判別手段101がロック解除状態と判別している)ので、ロック解除時のデータ記憶手段103に記憶している低性能の作業車転倒防止性能で制御を行うので、作業機2が限界姿勢を越えて作動されることはない(安全性が確保される)。
又、この実施例の鉄輪揺動ロック装置では、図3及び図5の油圧回路中に左右のロックシリンダ50,50にそれぞれ接続されている各油路(メイン油路64から分岐させたもの)を接続油路68で接続するとともに、該接続油路68の途中に手動式の切換弁69を介設している。
そして、この接続油路68と切換弁69とは、次の目的で使用されるものである。即ち、図5に示す揺動ロック手段5(各ロックシリンダ50,50)のロック状態でオンレール作業を行った後、作業車を軌道走行させるには、該揺動ロック手段5をロック解除して揺動フレーム4を揺動可能にしておく必要があるが、該揺動ロック手段5をロック解除させるには、電磁切換弁62が非励磁状態(図3の状態)で油圧ポンプ61を作動させることで行う。ところが、何らかの理由で油圧ポンプ61が作動しない場合には、各チェック弁65,65を開弁させるためのバイパス油路63に作動油を供給することができない。そこで、この実施例では、上記接続油路68と切換弁69とを設け(切換弁69は通常閉鎖状態である)、何らかの理由で揺動ロック手段5がロック解除できない場合(ロック状態検出手段7で検出できる)には、上記切換弁69を手動で開放側に切換えることで、左右のロックシリンダ50,50の各伸長側油室53,53同士を接続油路68で連通させることができる。
このように、各伸長側油室53,53同士を接続油路68で連通させると、揺動フレーム4に揺動作用が働いたときに、圧縮側の油室の作動油が伸長側の油室側に移動できるので、該揺動フレーム4を揺動可能状態にすることができる。従って、もし揺動ロック手段5を油圧装置6でロック解除できない事態が発生しても、上記切換弁69を操作することで揺動フレーム4を揺動可能にすることができるので、安全に軌道走行させることができる。
尚、上記実施例では、揺動ロック手段5として、車体フレーム11と揺動フレーム4との間に左右2つのロックシリンダ50,50を用いたものを採用しているが、本願請求項1に対応する揺動ロック手段としては、揺動フレーム4を車体フレーム11に対して揺動不能にし得るものであれば、適宜の構成のものを採用できる。
1は車両、2は作業機、3は軌道走行装置、4は揺動フレーム、5は揺動ロック手段、6は油圧装置、7はロック状態検出手段、8は作業機状態検出手段、9は転車装置、10はコントローラ、11は車体フレーム、12はタイヤ車輪、31は前側鉄輪、32は後側鉄輪、34は鉄輪駆動モータ、35はスイッチ、40は支軸、50はロックシリンダ、55はスプリング、61は油圧ポンプ、62は電磁切換弁、71はリミットスイッチ、72は圧力スイッチである。

Claims (4)

  1. 車体に道路走行用のタイヤ車輪と軌道走行用の4つの鉄輪とを備え、さらに後輪側又は前輪側のいずれか一方の左右鉄輪を車体フレームの下部に上下揺動自在に枢支した揺動フレームの左右各端部に取付けた軌陸作業車において、
    前記車体フレームと前記揺動フレームとの間に、該揺動フレームを前記車体フレームに対して揺動不能にロックするための揺動ロック手段を設けているとともに、
    前記揺動ロック手段がロック状態にあるかロック解除状態にあるのかを検出するロック状態検出手段を有している、
    ことを特徴とする軌陸作業車の鉄輪揺動ロック装置。
  2. 請求項1において、
    前記揺動ロック手段として、前記揺動フレームの上面と前記車体フレームの下面との間に前記揺動フレームの枢支部を挟んで左右2つのロックシリンダを用いたものを採用している、
    ことを特徴とする軌陸作業車の鉄輪揺動ロック装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記揺動ロック手段は、鉄輪を走行作動させる信号を受けて自動的にロック解除されるように構成している、
    ことを特徴とする軌陸作業車の鉄輪揺動ロック装置。
  4. 請求項において、
    コントローラに前記揺動ロック手段がロック状態であるときの作業車転倒防止性能を記憶したロック時のデータ記憶手段を備え、
    オンレール作業時において、前記ロック状態検出手段がロック状態を検出しているときには該ロック状態検出手段からのロック状態検出信号に基いて前記ロック時のデータ記憶手段で記憶している作業車転倒防止性能を用いて作業機の限界姿勢範囲を制御するように構成している、
    ことを特徴とする軌陸作業車の鉄輪揺動ロック装置。
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