ところが、上記のように軌道走行装置や転車装置をロックピンでロックしたものでは、該軌道走行装置や転車装置の自重による付勢力(荷重)がロックピンとピン穴との間にかかり(時間の経過とともにロックピンとピン穴間の圧接力が大きくなる)、そのままではロックピンを容易に抜き外せなくなることがある。
そこで、本願発明は、上記のように軌陸両用車の軌道走行装置や転車装置を格納状態でロックピンによりロックさせるようにしたものにおいて、ロックピンの抜き外し時に、ロックピンとピン穴との圧接力を小さくして該ロックピンを軽く抜き外すことができるようにした、軌陸両用車における軌道走行関連装置の制御方法及びその制御装置を提供することを目的としている。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、タイヤ車輪による路面走行と軌道走行装置(鉄輪)による軌道走行とが行えるようにした軌陸両用車における軌道走行関連装置(軌道走行装置や転車装置)の制御方法及び制御装置を対象にしている。
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明は、軌陸両用車における軌道走行関連装置の制御方法を対象にしており、特に軌道走行関連装置として軌道走行装置を適用したものである。
本願請求項1で採用される軌陸両用車は、車輌に路面走行用のタイヤ車輪と軌道走行用で鉄輪を含む軌道走行装置とを備えている。
軌道走行装置は、鉄輪が地面から離間する上方の格納位置と鉄輪が軌道上に載る下方の張出位置との間で上下動するようになっている。又、軌道走行装置は、格納位置においてロックピンで下動不能にロックし得るようにしている。尚、ロックピンの抜き差し操作は、伸縮シリンダによって自動で行ってもよいし、あるいは作業員による手動で行ってもよい。
このように、軌道走行装置を格納位置においてロックピンでロックし得るようにしたものでは、該軌道走行装置の自重による付勢力によってロックピンに大きな荷重がかかり、軌道走行装置を下方の張出位置側に下動させる際にロックピンを抜き外しにくくなる。
そこで、本願請求項1の軌道走行関連装置の制御方法では、軌道走行装置を格納位置においてロックピンでロックした状態から張出位置側に移動させるのに、軌道走行装置を一旦格納側に操作してロックピンに加わる荷重を除去した状態でロックピンをロック解除させ、その後に軌道走行装置を張出位置側に下動させるようにする。
このように、格納位置にある軌道走行装置を一旦格納側に操作すると、軌道走行装置の自重によりロックピンに加わっていた荷重を除去でき、その状態でロックピンを引き抜くと軽い操作力で抜き外すことができる。
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1の軌道走行関連装置の制御方法において、軌道走行装置がロックピンでロックされていない状態で軌道走行装置を非張出位置から張出位置側に移動させるのに、軌道走行装置を格納側に操作することなく直ちに下動させるようにする。
この請求項2の制御方法では、上記請求項1のようにロック状態にあるロックピンを抜き外すときに軌道走行装置を一旦格納側に操作するものであっても、ロックピンがロックされていない状態では、軌道走行装置を格納側に操作することなく直ちに下動させることができる。
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、軌陸両用車における軌道走行関連装置の制御方法を対象にしており、特に軌道走行関連装置として転車装置を適用したものである。
本願請求項3で採用される軌陸両用車は、車輌に路面走行用のタイヤ車輪と軌道走行用の軌道走行装置と車輌を浮上させるとともに車輌浮上状態で該車輌を方向転換させ得る転車台を含む転車装置とを備えている。
転車台は、地面から離間する上方の格納位置と地面に接地して車輌を浮上させる下方の張出位置との間で上下動するようになっている。又、転車台は、格納位置においてロックピンで下動不能にロックし得るようにしている。尚、この場合も、ロックピンの抜き差し操作は、伸縮シリンダによって自動で行ってもよいし、あるいは作業員による手動で行ってもよい。
このように、転車台を格納位置においてロックピンでロックし得るようにしたものでは、該転車台の自重による付勢力によってロックピンに大きな荷重がかかり、転車台を下方の張出位置側に下動させる際にロックピンを抜き外しにくくなる。
そこで、本願請求項3の軌道走行関連装置の制御方法では、転車台を格納位置においてロックピンでロックした状態から張出位置側に移動させるのに、転車台を一旦格納側に操作してロックピンに加わる荷重を除去した状態でロックピンをロック解除させ、その後に転車台を張出位置側に下動させるようにする。
このように、格納位置にある転車台を一旦格納側に操作すると、転車台の自重によりロックピンに加わっていた荷重を除去でき、その状態でロックピンを引抜くと軽い操作力で抜き外すことができる。
本願請求項4の発明
本願請求項4の発明は、上記請求項3の軌道走行関連装置の制御方法において、転車台がロックピンでロックされていない状態で転車台を非張出位置から張出位置側に移動させるのに、転車台を格納側に操作することなく直ちに下動させるようにする。
この請求項4の制御方法では、上記請求項3のようにロック状態にあるロックピンを抜き外すときに転車台を一旦格納側に操作するものであっても、ロックピンがロックされていない状態では、転車台を格納側に操作することなく直ちに下動させることができる。
本願請求項5の発明
本願請求項5の発明は、軌陸両用車における軌道走行関連装置の制御装置を対象にしており、特に軌道走行関連装置として軌道走行装置を適用したものである。
本願請求項5で採用される軌陸両用車は、上記請求項1と同様に、車輌に路面走行用のタイヤ車輪と軌道走行用で鉄輪を含む軌道走行装置とを備えている。
軌道走行装置は、上下動装置により鉄輪が地面から離間する上方の格納位置と鉄輪が軌道上に載る下方の張出位置との間で上下動させ得るようになっている。尚、軌道走行装置用の上下動装置としては、主として油圧シリンダが採用される。又、軌道走行装置は、格納位置においてロックピンで下動不能にロックし得るようにしている。
本願請求項5の軌道走行関連装置の制御装置は、ロックピンがロック状態にあるか否かを検出するロックピン検出器と、ロックピン検出器からの検出信号を受けて上下動装置の作動を制御する制御手段を有している。
そして、制御手段は、軌道走行装置を格納位置から張出位置側に移動させる際に、ロックピン検出器がロックピンのロック状態を検出しているときには上下動装置を一旦格納側に作動させる一方、ロックピン検出器がロックピンのロック解除状態を検出したときに前記上下動装置を張出側に作動させるように制御するものである。
尚、この制御手段は、電気回路を使用して上記制御を行わせるようにしたものでもよいし、あるいはコントローラを使用して上記制御を行わせるようにしたものでもよい。
この請求項5の制御装置でも、上記請求項1と同様に、軌道走行装置を格納位置から張出位置に移動させる際に、ロックピンでロックされている軌道走行装置を一旦格納側に操作することで軌道走行装置の自重によりロックピンに加わっていた荷重を除去でき、その状態でロックピンを引抜くと軽い操作力で抜き外すことができる。
尚、上記のように、上下動装置を一旦格納側に作動させてロックピンをロック解除させる際に、ロックピンに加わっていた荷重が除去された状態で該上下動装置の作動を一旦停止させてもよいし、上下動装置の格納側ストロークエンドでロックピンに対する荷重がなくなるものでは、上下動装置を格納側に作動させたままでもよい(ストロークエンドに達している)。
本願請求項6の発明
本願請求項6の発明は、請求項5と同様に、軌陸両用車における軌道走行関連装置の制御装置において、軌道走行関連装置として軌道走行装置を適用したものである。
本願請求項6で採用される軌陸両用車は、上記請求項5と同様に、車輌に路面走行用のタイヤ車輪と軌道走行用で鉄輪を含む軌道走行装置とを備えている。
軌道走行装置は、上下動装置により鉄輪が地面から離間する上方の格納位置と鉄輪が軌道上に載る下方の張出位置との間で上下動させ得るようになっている。尚、軌道走行装置用の上下動装置としては、主として油圧シリンダが採用される。又、軌道走行装置は、格納位置においてロックピンで下動不能にロックし得るようにしている。
本願請求項6の軌道走行関連装置の制御装置は、ロックピンがロック状態にあるか否かを検出するロックピン検出器と、ロックピンをロック位置とロック解除位置との間で操作するロックピン操作手段と、ロックピン検出器からの検出信号を受けて上下動装置及びロックピン操作手段の作動を制御する制御手段を有している。尚、ロックピン操作手段としては、例えば伸縮シリンダが使用できる。
そして、制御手段は、軌道走行装置を格納位置から張出位置側に移動させる際に、ロックピン検出器がロックピンのロック状態を検出しているときには上下動装置を一旦格納側に作動させた後に上下動装置の作動を停止させ、その状態でロックピン操作手段を作動させてロックピンをロック解除させ、ロックピン検出器がロックピンのロック解除状態を検出したときに上下動装置を張出側に作動させるように制御するものである。
尚、この制御手段は、電気回路を使用して上記制御を行わせるようにしたものでもよいし、あるいはコントローラを使用して上記制御を行わせるようにしたものでもよい。
この請求項6の制御装置でも、上記請求項5と同様に、軌道走行装置を格納位置から張出位置に移動させる際に、ロックピンでロックされている軌道走行装置を一旦格納側に操作することで軌道走行装置の自重によりロックピンに加わっていた荷重を除去でき、その状態でロックピンを引抜くと軽い操作力で抜き外すことができる。
尚、この請求項6の場合も、上下動装置を一旦格納側に作動させてロックピンをロック解除させる際に、ロックピンに加わっていた荷重が除去された状態で該上下動装置の作動を一旦停止させてもよいし、上下動装置の格納側ストロークエンドでロックピンに対する荷重がなくなるものでは、上下動装置を格納側に作動させたままでもよい。
又、この請求項6の制御装置に使用されている制御手段では、軌道走行装置を格納位置から張出位置に移動させるのに、ロックピン検出器からの各検出信号(ロック状態選出信号及びロック解除状態検出信号)を受けて、ロックピン操作手段でロックピンを操作できるとともに、上下動装置も制御できるので、軌道走行装置を格納位置から張出位置に移動させるのに、全自動で行える。
本願請求項7の発明
本願請求項7の発明は、上記請求項5又は6の軌道走行関連装置の制御装置において、制御手段は、ロックピン検出器がロックピンのロック解除状態を検出している状態で軌道走行装置を張出側に移動させるときに、上下動装置を格納側に作動させることなく直ちに張出側に作動させるように制御するものである。
この請求項7の制御装置では、上記請求項5又は6のようにロック状態にあるロックピンを抜き外すときに軌道走行装置を一旦格納側に操作するものであっても、ロックピンがロックされていない状態では、軌道走行装置を格納側に操作することなく直ちに下動させることができる。
本願請求項8の発明
本願請求項8の発明は、軌陸両用車における軌道走行関連装置の制御装置を対象にしており、特に軌道走行関連装置として転車装置を適用したものである。
本願請求項8で採用される軌陸両用車は、上記請求項3と同様に、車輌に路面走行用のタイヤ車輪と軌道走行用の軌道走行装置と車輌を浮上させるとともに車輌浮上状態で該車輌を方向転換させ得る転車台を含む転車装置とを備えている。
転車台は、上下動装置により地面から離間する上方の格納位置と地面に接地して車輌を浮上させる下方の張出位置との間で上下動するようになっている。尚、転車台用の上下動装置としては、主として油圧シリンダが採用される。又、転車台は、格納位置においてロックピンをピン穴に差込むことによって上下動不能にロックし得るようにしている。
本願請求項8の軌道走行関連装置の制御装置は、ロックピンがロック状態にあるか否かを検出するロックピン検出器と、ロックピン検出器からの検出信号を受けて上下動装置の作動を制御する制御手段を有している。
そして、制御手段は、転車台を格納位置から張出位置側に移動させる際に、ロックピン検出器がロックピンのロック状態を検出しているときには上下動装置を一旦格納側に作動させる一方、ロックピン検出器がロックピンのロック解除状態を検出したときに前記上下動装置を張出側に作動させるように制御するものである。
尚、この制御手段は、電気回路を使用して上記制御を行わせるようにしたものでもよいし、あるいはコントローラを使用して上記制御を行わせるようにしたものでもよい。
この請求項8の制御装置でも、上記請求項3と同様に、転車台を格納位置から張出位置に移動させる際に、ロックピンでロックされている転車台を一旦格納側に操作することで転車台の自重によりロックピンに加わっていた荷重を除去でき、その状態でロックピンを引抜くと軽い操作力で抜き外すことができる。
尚、この請求項8の場合も、上下動装置を一旦格納側に作動させてロックピンをロック解除させる際に、ロックピンに加わっていた荷重が除去された状態で該上下動装置の作動を一旦停止させてもよいし、上下動装置の格納側ストロークエンドでロックピンに対する荷重がなくなるものでは、上下動装置を格納側に作動させたままでもよい。
本願請求項9の発明
本願請求項9の発明は、上記請求項8と同様に、軌陸両用車における軌道走行関連装置の制御装置において、軌道走行関連装置として転車装置を適用したものである。
本願請求項9で採用される軌陸両用車は、上記請求項8と同様に、車輌に路面走行用のタイヤ車輪と軌道走行用の軌道走行装置と車輌を浮上させるとともに車輌浮上状態で該車輌を方向転換させ得る転車台を含む転車装置とを備えている。
転車台は、上下動装置により地面から離間する上方の格納位置と地面に接地して車輌を浮上させる下方の張出位置との間で上下動するようになっている。尚、転車台用の上下動装置としては、主として油圧シリンダが採用される。又、転車台は、格納位置においてロックピンで下動不能にロックし得るようにしている。
本願請求項9の軌道走行関連装置の制御装置は、ロックピンがロック状態にあるか否かを検出するロックピン検出器と、ロックピンをロック位置とロック解除位置との間で操作するロックピン操作手段と、ロックピン検出器からの検出信号を受けて上下動装置及びロックピン操作手段の作動を制御する制御手段を有している。尚、ロックピン操作手段としては、例えば伸縮シリンダが使用できる。
そして、制御手段は、転車台を格納位置から張出位置側に移動させる際に、ロックピン検出器がロックピンのロック状態を検出しているときには上下動装置を一旦格納側に作動させ、その状態でロックピン操作手段を作動させてロックピンをロック解除させ、ロックピン検出器がロックピンのロック解除状態を検出したときに上下動装置を張出側に作動させるように制御するものである。
尚、この制御手段は、電気回路を使用して上記制御を行わせるようにしたものでもよいし、あるいはコントローラを使用して上記制御を行わせるようにしたものでもよい。
この請求項9の制御装置でも、上記請求項8と同様に、転車台を格納位置から張出位置に移動させる際に、ロックピンでロックされている転車台を一旦格納側に操作することで転車台の自重によりロックピンに加わっていた荷重を除去でき、その状態でロックピンを引抜くと軽い操作力で抜き外すことができる。
尚、この請求項9の場合も、上下動装置を一旦格納側に作動させてロックピンをロック解除させる際に、ロックピンに加わっていた荷重が除去された状態で該上下動装置の作動を一旦停止させてもよいし、上下動装置の格納側ストロークエンドでロックピンに対する荷重がなくなるものでは、上下動装置を格納側に作動させたままでもよい。
又、この請求項9の制御装置に使用されている制御手段では、転車台を格納位置から張出位置に移動させるのに、ロックピン検出器からの各検出信号(ロック状態選出信号及びロック解除状態検出信号)を受けて、ロックピン操作手段でロックピンを操作できるとともに、上下動装置も制御できるので、転車台を格納位置から張出位置に移動させるのに、全自動で行える。
本願請求項10の発明 本願請求項10の発明は、上記請求項8又は9の軌道走行関連装置の制御装置において、制御手段は、ロックピン検出器がロックピンのロック解除状態を検出している状態で転車台を張出側に移動させるときに、上下動装置を格納側に作動させることなく直ちに張出側に作動させるように制御するものである。
この請求項10の制御装置では、上記請求項8又は9のようにロック状態にあるロックピンを抜き外すときに転車台を一旦格納側に操作するものであっても、ロックピンがロックされていない状態では、転車台を格納側に操作することなく直ちに下動させることができる。
本願の各発明は、それぞれ次のような効果を有する。尚、本願請求項1と本願請求項5、本願請求項2と本願請求項7、本願請求項3と本願請求項8、本願請求項4と本願請求項10は、それぞれ同内容の制御方法とその制御装置の関係にあり、それら同内容の制御方法と制御装置の各効果をまとめて説明する。又、本願請求項6は本願請求項5の制御装置を自動化させたものであり、本願請求項9は本願請求項8の制御装置を自動化させたものである。
本願請求項1及び5の各発明の効果
軌道走行装置を格納位置においてロックピンでロックした状態では、軌道走行装置の自重によりロックピンに大きな荷重が加わっている(ロックピンが引抜きにくい)が、本願請求項1及び5の各発明では、軌道走行装置を格納位置から張出位置に移動させるのに、軌道走行装置を一旦格納側に操作してロックピンに加わる荷重を除去した状態でロックピンをロック解除させ、その後に軌道走行装置を張出位置まで下動させるようにしている。
従って、本願請求項1及び5の各発明では、軌道走行装置をロックピンでロックしたものにおいて、該軌道走行装置を格納位置から張出させる際に、該ロックピンを軽い操作力で抜き外すことができる(ロックピンを容易に且つ確実に抜き外すことができる)という効果がある。
又、本願請求項5の制御装置では、ロックピン検出器がロックピンのロック解除状態を
検出したときにのみに軌道走行装置を作動させるようにしているので、ロックピンやその挿入部分が不意に損傷することがないという効果がある。
本願請求項6の発明の効果
本願請求項6の発明(軌道走行装置の制御装置)では、上記請求項5のものに加えて、ロックピンを操作するロックピン操作手段を有しているので、軌道走行装置を格納位置から張出させる際に、一連の張出動作中にロックピンも自動で操作できる。
従って、この請求項6の発明では、上記請求項5の効果に加えて、軌道走行装置の張出操作を全自動で行えるという効果がある。
本願請求項2及び7の各発明の効果
本願請求項2及び7の各発明では、軌道走行装置をロックしているロックピンを抜き外すときに、上記請求項1又は5のように、軌道走行装置を一旦格納側に操作するものであっても、ロックピンがロックされていない状態では、軌道走行装置を格納側に操作することなく直ちに下動させるようにしている。
従って、本願請求項2及び7の各発明では、上記請求項1及び5の効果に加えて、ロックピンがロックされていない状態では、軌道走行装置の張出側動作を速やかに行わせることができるという効果がある。
本願請求項3及び8の各発明の効果
転車台を格納位置においてロックピンでロックした状態では、転車台の自重によりロックピンに大きな荷重が加わっている(ロックピンが引抜きにくい)が、本願請求項3及び8の各発明では、転車台を格納位置から張出位置に移動させるのに、転車台を一旦格納側に操作してロックピンに加わる荷重を除去した状態でロックピンをロック解除させ、その後に転車台を張出位置まで下動させるようにしている。
従って、本願請求項3及び8の各発明では、転車台をロックピンでロックしたものにおいて、該転車台を格納位置から張出させる際に、該ロックピンを軽い操作力で抜き外すことができる(ロックピンを容易に且つ確実に抜き外すことができる)という効果がある。
又、本願請求項8の制御装置では、ロックピン検出器がロックピンのロック解除状態を
検出したときにのみに転車台を作動させるようにしているので、ロックピンやその挿入部分が不意に損傷することがないという効果がある。
本願請求項9の発明の効果
本願請求項9の発明(転車装置の制御装置)では、上記請求項8のものに加えて、ロックピンを操作するロックピン操作手段を有しているので、転車台を格納位置から張出させる際に、一連の張出動作中にロックピンも自動で操作できる。
従って、この請求項9の発明では、上記請求項8の効果に加えて、転車台の張出操作を全自動で行えるという効果がある。
本願請求項4及び10の各発明の効果
本願請求項4及び10の各発明では、転車台をロックしているロックピンを抜き外すときに、上記請求項3又は8のように、転車台を一旦格納側に操作するものであっても、ロックピンがロックされていない状態では、転車台を格納側に操作することなく直ちに下動させるようにしている。
従って、本願請求項4及び10の各発明では、上記請求項3及び8の効果に加えて、ロックピンがロックされていない状態では、転車台の張出側動作を速やかに行わせることができるという効果がある。
図1〜図12を参照して本願の実施例を説明すると、この実施例では軌陸両用車として、図1に示すようにクレーン作業車を採用している。
この図1のクレーン作業車は、車輌1の車体フレーム11上にクレーン作業機2を搭載している。クレーン作業機2は、車体フレーム11上に設けた旋回台21と、該旋回台21に起伏自在に取付けた伸縮ブーム22とを備え、旋回台21上に設けたウインチ23からのワイヤーロープ(図示省略)をブーム先端部を介して吊りフック24に導いて、クレーン作業を行えるようにしている。又、車体フレーム11には、前後・左右の4箇所にそれぞれジャッキ装置16を設けている。
尚、本願で使用できる軌陸両用車は、図1に示すようなクレーン作業車のほかに、高所作業車(車体フレーム上にブーム式作業台を搭載したもの)や荷物運搬用のトラック等も採用可能である。
図1に示すクレーン作業車は、軌陸両用に使用できるものである。即ち、図1のクレーン作業車(軌陸両用車)では、車輌1の車体フレーム11に路面走行用のタイヤ車輪(左右の前輪タイヤ12と左右の後輪タイヤ13)と、軌道走行用の前後2つの軌道走行装置3,3とを備え、各タイヤ車輪12,13による路面走行と各軌道走行装置3,3による軌道走行とを選択して行えるようになっている。又、図1のクレーン作業車には、車輌1を浮上させた状態で方向転換させるための転車装置5を設けている。尚、本願では、軌道走行装置3と転車装置5とを総称して軌道走行関連装置と表現している。
前後の各軌道走行装置3,3は、相互にほぼ同構造であって、車体フレーム11の前端部1aと後端部1bに前後対称形に配置している。この各軌道走行装置3,3の構成及び取付構造を図2〜図4に示す前部のもので説明すると、左右2つの鉄輪31,31を1本の鉄輪軸33に所定間隔(2本の軌道間隔)をもって取付け、該鉄輪軸33の両端部を横長の保持台32に保持させている。そして、該保持台32の後面の左右2箇所に取付けた各ブラケット(それぞれ2枚1組)35,35と、車体フレーム11の前端部11a下面に固定した横長フレーム材14側の左右2箇所に取付けている各ブラケット(それぞれ2枚1組)15,15とをそれぞれ支軸36,36(図4参照)で枢着しているとともに、保持台32を左右2つの上下動装置30,30で上下に揺動させ得るように構成されている。
各上下動装置30,30には、それぞれ油圧シリンダが使用されており、以下の説明ではこの上下動装置30を油圧シリンダという。
左右の各油圧シリンダ30,30は、図1及び図3に示すようにそのチューブ部分を車体フレーム11に取付けたブラケット17に枢支する一方、図3及び図4に示すようにロッド先端部を保持台32側の各ブラケット35,35(前記支軸36から離間する位置)に連結して取付けている。
そして、この軌道走行装置3は、左右の各油圧シリンダ30,30を同時伸縮させることによって、図1〜図4に実線図示する上方の格納位置と図1、図3、図4に鎖線図示(符号3′)する下方の張出位置との間で上下に揺動させ得るようになっている。尚、前後の各軌道走行装置3,3用の左右各油圧シリンダ30,30は、図7に示すように、油圧ポンプ80からの作動油をそれぞれソレノイドハルブ81,82で制御して伸縮及び停止させ得るようになっている。
前後の各軌道走行装置3,3は、実線図示する格納状態ではタイヤ車輪12,13の下面よりかなり上方に浮上しており、鎖線図示(符号3′)する張出状態では鉄輪31′,31′の下面がタイヤ車輪12,13の下面より下方に突出して、該各鉄輪31′,31′がそれぞれ左右2本の軌道B(図1)上に載り得るようになっている。尚、この実施例では、前側の軌道走行装置3の鉄輪軸33が駆動モータ34で駆動されるようになっている。
又、各軌道走行装置3,3が格納位置(図3の実線図示位置)にあるときに、それを検出する格納状態検出器(例えばリミットスイッチ)9Aが設けられている。図示例では、図3及び図4に示すように、保持台32が正確に格納位置まで上動したときに、そのブラケット35部分が格納状態検出器9Aを操作する(ONする)ようになっている。
転車装置5は、図1、図2及び図5に示すように、転車台51を2つの上下動装置50,50で上下動させ得るようにしたものであり、車輌1の重心付近における車体フレーム11の下方に設置している。
尚、転車装置5用の各上下動装置50,50も、それぞれ油圧シリンダが使用されており、以下の説明では、この上下動装置50を油圧シリンダという。
転車装置5用の各油圧シリンダ50,50は、車体フレーム11の左右各側面から下方に延出させた2つの縦向きフレーム材55,55内に収容させている。
転車台51は、矩形の基板52の下面側にベアリング53を介して接地板54を取付けている。尚、基板52と接地板54とは水平面内で相対回転するようになっている。
各油圧シリンダ50,50の伸縮側下端部は、基板52の対角位置の各角部に固定されている。
そして、この転車装置5は、各油圧シリンダ50,50を縮小させると転車台51が図1、図2及び図5において実線図示するように上方の格納位置に位置し、各油圧シリンダ50,50を伸長させると転車台51が図1及び図5に鎖線図示(符号51′)するように下方の張出位置に位置するようになる。尚、転車台51が張出位置まで下動した状態では、該転車台51がタイヤ車輪12,13の下面よりかなり下方まで降下して地面A(図1)上に接地するようになっている。又、転車台51用の左右各油圧シリンダ50,50は、図7に示すように、油圧ポンプ80からの作動油をソレノイドハルブ83で制御して伸縮及び停止させ得るようになっている。
又、転車台51が格納位置(図5の実線図示位置)にあるときに、それを検出する格納状態検出器(例えばリミットスイッチ)9Bが設けられている。図示例では、図5及び図6に示すように、転車台51が正確に格納位置まで上動したときに、その基板52部分が格納状態検出器9Bを操作する(ONする)ようになっている。
ところで、軌道走行装置3及び転車装置5(転車台51)を格納位置で保持している状態では、それぞれ自重による張出方向(下方)への付勢力が働いており、その各付勢力を油圧シリンダ30,30、50,50で支持していると、圧縮側油路中の作動油が微量ではあるがチェックバルブの内部リーク等によって減少することがある。その場合には、作動油の減少分だけ油圧シリンダ(30,50)が伸長し、軌道走行装置3あるいは転車台51が下動することになる。
そこで、この実施例の軌道走行装置3及び転車装置5にも、それぞれ格納位置でロックするためのロック装置4,6が設けられている。
前後の各軌道走行装置3,3の各ロック装置4,4は、相互にほぼ同構造であって、前側の軌道走行装置3用のもので説明すると、図3及び図4に示すように、固定側(フレーム材14側)に設けたロックピン42を可動側(保持台32側)に設けたピン穴37に対してエアシリンダ41で抜き差しし得るようにしたものが採用されている。即ち、保持台32の一方(図4の右側)のブラケット35,35の1枚にピン穴37を形成しており、他方、フレーム材14の前面側にブラケット43を介してロックピン42付きのエアシリンダ41が横向き姿勢で取付けられている。尚、この実施例では、ロックピン42はエアシリンダ41のロッドを利用している。
そして、軌道走行装置3(保持台32)が正確に格納位置にある状態では、ピン穴37がエアシリンダ41のロックピン(ロッド先端部)42と同軸上にあり、その状態でエアシリンダ41を伸長させる(ロックピン42となるロッド先端部が前進する)とロックピン42がピン穴37内に進入し(図4に実線図示するロック状態となる)、逆にエアシリンダ41を縮小させるとロックピン42がピン穴37から完全に抜け出すようになっている(図4に鎖線図示するロック解除状態となる)。尚、軌道走行装置3用のロック装置4の各エアシリンダ41,41は、図8に示すように、コンプレッサー85からの圧縮空気をソレノイドハルブ86,87で制御して伸縮させ得るようになっている。
又、軌道走行装置3用のロック装置4には、図4に示すように、ロックピン42がロック状態にあるか否かを検出するロックピン検出器(リミットスイッチ)8Aが設けられている。このロックピン検出器8Aは、図4に示すように、ロックピン42がロック位置にあるときにはOFFであり、鎖線図示するようにロックピン42がピン穴37から抜け出す(ロック解除する)と該ロックピン42で操作されてONになる。尚、軌道走行装置3側のロックピン検出器8Aは、図9及び図11に示すように各電気回路中に組み込まれている(図9及び図11の電気回路については後述する)。
転車装置5のロック装置6は、図5に示すように左右の各縦向きフレーム材55,55と転車台51の基板52間に2セット設けられていて、固定側(縦向きフレーム材55側)に設けたロックピン62を可動側(転車台51の基板52側)に設けたピン穴57に対してエアシリンダ61で抜き差しし得るようにしている。
即ち、このロック装置6は、図6に拡大図示するように、転車台51の基板52の角部に上向き姿勢で取付けたブラケット56にピン穴57を形成している一方、縦向きフレーム材55の外側面にエアシリンダ61で進退操作されるロックピン62を横向き姿勢で取付けている。ロックピン62は、ブラケット64に対して進退自在に取付けられている一方、揺動リンク63を介してエアシリンダ61で横向きに進退操作される。
そして、転車台51が正確に格納位置にある状態では、ブラケット56のピン穴57がロックピン62と同軸上にあり、その状態でエアシリンダ61を縮小させると、ロックピン62がピン穴57内に進入し(図6に実線図示するロック状態となる)、逆にエアシリンダ61を伸長させるとロックピン62がピン穴57から完全に抜け出すようになっている(図6に鎖線図示するロック解除状態となる)。尚、転車台51用のロック装置6のエアシリンダ61,61は、図8に示すように、コンプレッサー85からの圧縮空気をソレノイドハルブ88で制御して伸縮させ得るようになっている。
又、転車台51用のロック装置6には、図5及び図6に示すように、ロックピン62がロック状態にあるか否かを検出するロックピン検出器(リミットスイッチ)8Bが設けられている。この各ロックピン検出器8Bは、図6に示すように、ロックピン62がロック位置にあるときにはOFFであり、鎖線図示するようにロックピン62がピン穴57から抜け出す(ロック解除する)と該ロックピン62で操作されてONになる。尚、転車装置5側のロックピン検出器8Bは、図10及び図12に示すように各電気回路中に組み込まれている(図10及び図12の電気回路については後述する)。
ところで、上記のように軌道走行装置3や転車装置5(転車台51)をロック装置4,6でロックしたものでは、軌道走行装置3や転車台51の自重による付勢力(荷重)がロックピン42,62とピン穴37,57との間にかかり(時間の経過とともにロックピンとピン穴間の圧接力が大きくなる)、そのままではロックピン42,62を容易に抜き外せなくなることがある。
そこで、この実施例では、軌道走行装置3や転車台51を格納位置から張出位置側に操作する際に、上記各ロック装置4,6のロックピン42,62を軽く抜き外せるようにした制御手段7A,7Bを有している。この実施例では、制御手段7A,7Bとして、図9及び図10に示すように自動で制御する電気回路と、図11及び図12に示す手動で制御する電気回路とを有している。尚、図9の制御手段7Aは、軌道走行装置3用のロック装置4を自動制御するものであり(本願請求項6に対応している)、図10の制御手段7Bは、転車装置5用のロック装置6を自動制御するものであり(本願請求項9に対応している)、図11の制御手段7Aは、軌道走行装置3用のロック装置4を手動制御するものであり(本願請求項5に対応可能である)、図12の制御手段7Bは、転車装置5用のロック装置6を手動制御するものである(本願請求項8に対応可能である)。
図9に示す制御手段7Aによる制御方法の概略は、次の通りである。まず、軌道走行装置3を格納位置においてロックピン42でロックした状態(ロックピン検出器8AがOFF状態)から張出位置側に移動させるには、上下動装置となる各油圧シリンダ30,30を一旦格納側に操作(縮小操作)してロックピン42に加わる荷重を除去した状態で、ロックピン42を抜き外し(エアシリンダ41を縮小させる)、その後に各油圧シリンダ30,30を張出側に操作(伸長操作)する。又、ロックピン42がロック解除状態(ロックピン検出器8AがON)で軌道走行装置3を非張出位置から張出位置側に移動させるには、各油圧シリンダ30,30を縮小操作することなく直ちに伸長操作する。尚、軌道走行装置3,3を張出位置まで移動させる際には、転車装置5で車輌1を浮上させ且つ車輌1を軌道設置方向に向けた状態で行う。
図9に示す制御手段7Aの機能をさらに詳しく説明すると、図9の電気回路図において、符号89は電源(バッテリー)、90は軌道走行装置3を格納するか張出するかを選択する選択スイッチ、91は制御を実行するスタートスイッチ、92はタイマーTで操作されるスイッチ、93はリレーR1で操作されるスイッチ、94はリレーR2で操作されるスイッチ、95はリレーR3で操作されるスイッチ、96はリレーR4で操作されるスイッチ、97はリレーR5で操作されるスイッチである。8Aはロックピン検出器で、該ロックピン検出器8Aはロックピン42がロック状態(図4の実線図示状態)のときにOFFとなり、ロック解除状態(図4の鎖線図示状態)のときにONになる。9Aは軌道走行装置3の格納状態検出器で、該格納状態検出器9Aは軌道走行装置3が格納位置(図3の実線図示位置)にあるときにONになり、格納位置から下動するとOFFになる。81a,82aは前後の油圧シリンダ(2本ずつある)30,30の制御用ソレノイドハルブ81,82の各縮小操作側ソレノイド(図7参照)、81b,82bは同制御用ソレノイドハルブ81,82の各伸長操作側ソレノイド(図7参照)、86a,87aは前後の各エアシリンダ41,41の制御用ソレノイドハルブ86,87の各縮小操作側ソレノイド(図8参照)である。
そして、軌道走行装置3が格納位置(ロックピン42によりロックされている)にあるときの初期状態は図9の状態であり、この状態から軌道走行装置3を張出操作するには、選択スイッチ90を張出側(接点a側)に操作し、スタートスイッチ91をONにする。すると、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ81,82(図7)の各縮小操作側ソレノイド81a,82aがONになって、各油圧シリンダ30,30・・(4つとも)が一旦縮小側に作動し、その直後(約1秒後)にタイマーTが作動してスイッチ92がONになり、リレーR2及びリレーR3が作動して各スイッチ94,95がそれぞれ接点aに接続し、油圧シリンダ用ソレノイドハルブの縮小操作側ソレノイド81a,82aがOFFになる(油圧シリンダ30の縮小動作が停止する)。それと同時にエアシリンダ用ソレノイドハルブ86,87(図8)の縮小操作側ソレノイド86a,87aがONになって、エアシリンダ41,41(図8)が縮小し、ロックピン42(図4)が引き抜かれる。すると、ロックピン検出器8AがONになり、リレーR5がON、スイッチ97,97がそれぞれ接点aに接続して、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ81,82(図7)の各伸長操作側ソレノイド81b,82bがONになり、各油圧シリンダ30,30・・が伸長動作して前後の軌道走行装置3,3を張出位置(図1〜図4の符号3′の位置)まで作動させる。尚、軌道走行装置3が格納位置から張出側に移動すると、格納状態検出器9AがOFFになる(接点b側に切り換わる)。そして、各軌道走行装置3,3は、最終張出位置に達するとそこで停止し、その後、スタートスイッチ91をOFFにすると、軌道走行装置3の張出位置への動作が完了する。
又、軌道走行装置3,3は、ロック装置4,4がロック解除状態で非張出位置(例えば格納位置と張出位置の中間位置)にある状態から張出位置まで移動させる場合があるが、その場合は、ロックピン検出器8AがON側であり、格納状態検出器9AがOFF側(接点bに接続している)である。そして、この状態で選択スイッチ90を張出側(接点a側)に操作し、スタートスイッチ91をONにすると、リレーR5がONでスイッチ97,97がそれぞれ接点aに接続する一方、リレーR1がONでスイッチ93がONとなり、リレーR2がONでスイッチ94が接点aに接続することで、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ81,82(図7)の伸長操作側ソレノイド81b,82bがONになって各油圧シリンダ30,30・・が伸長動作し、前後の軌道走行装置3,3を直ちに(上記のように格納動作することなく)張出動作させるようになる。尚、軌道走行装置3,3が最終張出位置に達するとそこで停止し、その後、スタートスイッチ91をOFFにすると、軌道走行装置3の張出位置への動作が完了する。
又、各軌道走行装置3,3を張出位置から格納させる場合は、選択スイッチ90を格納側(接点b側)に操作し、スタートスイッチ91をONにすると、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ81,82の縮小操作用ソレノイド81a,82aがONになって、各油圧シリンダ30,30・・が縮小動作し、各軌道走行装置3,3を格納位置まで上動させるようになる。又、各軌道走行装置3,3を格納位置まで上動させた状態で、各エアシリンダ41,41を伸長させると、ロックピン42がロック側に移動して、図4に実線図示するようにブラケット35のピン穴37内に挿入される。
このように、図9の制御手段7Aを使用すると、軌道走行装置3をロックピン42でロックしたものにおいて、該軌道走行装置3を格納位置から張出させる際に、該ロックピン42を軽い操作力で抜き外すことができる。又、ロックピン42がロックされていない状態では、軌道走行装置3を格納側に操作することなく直ちに下動させることができるので、上記のように格納位置からの張出操作時に軌道走行装置3を一旦格納側に操作するものであっても、軌道走行装置3の張出側動作を速やかに行わせることができる。
図10の転車装置5用の制御手段7Bによる制御方法の概略は、次の通りである。まず、転車台51を格納位置においてロックピン62でロックした状態(ロックピン検出器8BがOFF状態)から張出位置に移動させるには、上下動装置となる各油圧シリンダ50,50を一旦格納側に操作(縮小操作)してロックピン62に加わる荷重を除去した状態で、ロックピン62を抜き外し(エアシリンダ61を伸長させる)、その後に各油圧シリンダ50,50を張出側に操作(伸長操作)する。又、ロックピン62がロック解除状態(ロックピン検出器9AがON)で転車台51を非張出位置から張出位置に移動させるには、各油圧シリンダ50,50を縮小操作することなく直ちに伸長操作する。
図10に示す制御手段7Bの機能をさらに詳しく説明すると、図10の電気回路図は、基本的に図9のものと同じものを使用しており、符号8Bはロックピン検出器で、該ロックピン検出器8Bはロックピン62がロック状態(図6の実線図示状態)のときにOFFとなり、ロック解除状態(図6の鎖線図示状態)のときにONになる。9Bは転車台51の格納状態検出器で、該格納状態検出器9Bは転車台51が格納位置にあるときにONになり、格納位置から下動するとOFFになる。83aは転車台油圧シリンダ50,50の制御用ソレノイドハルブ83の縮小操作側ソレノイド(図7参照)、83bは同制御用ソレノイドハルブ83の伸長操作側ソレノイド(図7参照)、88aは左右の各エアシリンダ61,61の制御用ソレノイドハルブ88の伸長操作側ソレノイド(図8参照)である。尚、図10において、図9と同一符号を付しているものは該図9のものと同じ機能をするものであり、その説明を省略する。
そして、転車台51が格納位置(ロックピン62によりロックされている)にある状態から転車台51を張出操作するには、選択スイッチ90を張出側(接点a側)に操作し、スタートスイッチ91をONにする。すると、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ83(図7)の縮小操作側ソレノイド83aがONになって、各油圧シリンダ50,50が一旦縮小側に作動し、その直後(約1秒後)にタイマーTが作動してスイッチ92がONになり、リレーR2及びリレーR3が作動してスイッチ94,95がそれぞれ接点aに接続し、油圧シリンダ用ソレノイドハルブの縮小操作側ソレノイド83aがOFFになる(油圧シリンダ50の縮小動作が停止する)。それと同時にエアシリンダ用ソレノイドハルブ88(図8)の伸長操作側ソレノイド88aがONになって、両エアシリンダ61,61(図8)が縮小し、ロックピン62(図6)が引き抜かれる。すると、ロックピン検出器8BがONになり、リレーR5がON、スイッチ97,97がそれぞれ接点aに接続して、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ83(図7)の伸長操作側ソレノイド83bがONになり、各油圧シリンダ50,50が伸長動作して転車台51を張出位置(図1及び図5の符号51′の位置)まで作動させる。尚、転車台51が格納位置から張出側に移動すると、格納状態検出器9BがOFF(接点b側に切り換わる)。そして、転車台51は、最終張出位置に達するとそこで停止し、その後、スタートスイッチ91をOFFにすると、転車台51の張出位置への動作が完了する。
又、転車台51は、ロック装置6,6がロック解除状態で非張出位置(例えば格納位置と張出位置の中間位置)にある状態から張出位置まで移動させる場合があるが、その場合は、ロックピン検出器8BがON側であり、格納状態検出器9BがOFF側(接点bに接続している)。そして、この状態で選択スイッチ90を張出側(接点a側)に操作し、スタートスイッチ91をONにすると、リレーR5がONでスイッチ97,97がそれぞれ接点aに接続する一方、リレーR1がONでスイッチ93がONとなり、リレーR2がONでスイッチ94が接点aに接続することで、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ83(図7)の伸長操作側ソレノイド83bがONになって各油圧シリンダ50,50が伸長動作し、転車台51を直ちに(上記のように格納動作することなく)張出動作させるようになる。尚、転車台51が最終張出位置に達するとそこで停止し、その後、スタートスイッチ91をOFFにすると、転車台51の張出位置への動作が完了する。
又、転車台51を張出位置から格納させる場合は、選択スイッチ90を格納側(接点b側)に操作し、スタートスイッチ91をONにすると、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ83の縮小操作用ソレノイド83aがONになって、各油圧シリンダ50,50が縮小動作し、転車台51を格納位置まで上動させるようになる。尚、転車台51を格納位置まで上動させた状態で、各エアシリンダ61,61を縮小させると、ロックピン62,62がロック側に移動して、図6に実線図示するようにブラケット56のピン穴57内に挿入される。
この図10の転車装置5用の制御手段7Bを使用したものでも、図9の軌道走行装置用の制御手段7Aと同内容の機能を有する。
又、上記した図9及び図10に示す各制御手段7A,7Bでは、軌道走行装置3又は転車台51が非格納状態で、ロックピン(42又は62)がロック状態にあるときには、油圧シリンダ(30又は50)が縮小側に作動しないようになっている。
即ち、図9の軌道走行装置3側の制御手段7Aでは、軌道走行装置3が非格納状態であると、格納状態検出器9AがOFFであり(設定b側に接続している)、リレーR4がOFFとなってスイッチ96もOFFとなる。そして、この状態で、もしロックピン42がロック位置に差し込まれると、ロックピン検出器8AがOFF(リレーR5もOFF)になり、スイッチ97が接点bに接続しているので、油圧シリンダ(軌道走行装置用)操作用ソレノイドハルブ81,82(図7)の各縮小側ソレノイド81a,82aがOFFのままで維持される。従って、油圧シリンダ操作用ソレノイドハルブ81,82を縮小側に操作しようとしても、各縮小側ソレノイド81a,82aがOFFのままで維持されるので、油圧シリンダ30,30が縮小動作(格納側動作)することがなく、ロック状態にあるロックピン42又はその周辺が破損するというトラブルを未然に防止できる。
他方、図10に示す転車台51用の制御手段7Bでは、上記図9の制御手段7Aと同様に、転車台51が非格納状態でロックピン62がロック状態にあるときには、格納状態検出器9BがOFF(接点bに接続)→リレーR4がOFF→スイッチ96がOFFである一方、ロックピン検出器8BがOFF→リレーR5がOFF→スイッチ97がOFFであるので、油圧シリンダ(転車台用)操作用ソレノイドハルブ83の縮小側ソレノイド83aがOFF状態に維持されている。従って、この転車台51用の制御手段7Bでも、油圧シリンダ操作用ソレノイドハルブ83を縮小側に操作しようとしても、縮小側ソレノイド83aがOFFのままで維持されるので、油圧シリンダ50,50が縮小動作(格納側動作)することがなく、ロック状態にあるロックピン62又はその周辺が破損するというトラブルを未然に防止できる。
図11の制御手段7Aは、軌道走行装置3,3用で、ロックピン42,42を手動で抜き差しするものである。尚、この図11の制御手段7Aでは、ロックピン42を手動操作するためにロックピン操作手段(エアシリンダ41)は不要であり、図8のエアー回路も不要である。又、軌道走行装置3の格納状態を検出する格納状態検出器9Aも省略している。
そして、軌道走行装置3,3が格納位置(ロックピン42によりロックされている)にある状態から軌道走行装置3,3を張出操作するには、選択スイッチ90を張出側(接点a側)に操作にすると、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ81,82(図7)の各縮小操作側ソレノイド81a,82aがONになって、各油圧シリンダ30,30・・(4つとも)が一旦縮小側に作動し、その直後(約1秒後)にタイマーTが作動してスイッチ92がONになり、リレーR2が作動してスイッチ94が接点aに接続し、油圧シリンダ用ソレノイドハルブの縮小操作側ソレノイド81a,82aがOFFになる(油圧シリンダ30の縮小動作が停止する)。この状態でロックピン42,42を手動でロック解除させるが、このときロックピン42,42に加わる荷重が除去されているので、軽くロック解除させる(引き抜く)ことができる。そして、ロックピン42がロック解除されると、ロックピン検出器8AがONになり、リレーR5がON、スイッチ97,97がONになって、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ81,82(図7)の各伸長操作側ソレノイド81b,82bがONになり、各油圧シリンダ30,30・・が伸長動作して前後の軌道走行装置3,3を張出位置まで作動させる。尚、各軌道走行装置3,3は、最終張出位置に達するとそこで停止し、その後、選択スイッチ90を中立にすると、軌道走行装置3,3の張出位置への動作が完了する。
又、軌道走行装置3,3を非張出位置(ロックピン42がロック解除状態)から張出位置まで移動させる場合は、ロックピン検出器8AがON側(スイッチ97,97もON)であるので、この状態で選択スイッチ90を張出側(接点a側)に操作すると、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ81,82(図7)の伸長操作側ソレノイド81b,82bがONになって各油圧シリンダ30,30・・が伸長動作し、前後の軌道走行装置3,3を直ちに(上記のように格納動作することなく)張出動作させるようになる。尚、軌道走行装置3,3が最終張出位置に達するとそこで停止し、その後、選択スイッチ90を中立にすると、軌道走行装置3の張出位置への動作が完了する。
図12の制御手段7Bは、転車台51用で、ロックピン62,62を手動で抜き差しするものである。尚、この図12の制御手段7Bでは、ロックピン62を手動操作するためにロックピン操作手段(エアシリンダ61)は不要であり、図8のエアー回路も不要である。又、転車台51の格納状態を検出する格納状態検出器9Bも省略している。
そして、転車台51が格納位置(ロックピン62によりロックされている)にある状態から転車台51を張出操作するには、選択スイッチ90を張出側(接点a側)に操作にすると、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ83(図7)の縮小操作側ソレノイド83aがONになって、各油圧シリンダ50,50が一旦縮小側に作動し、その直後(約1秒後)にタイマーTが作動してスイッチ92がONになり、リレーR2が作動してスイッチ94が接点aに接続し、油圧シリンダ用ソレノイドハルブの縮小操作側ソレノイド83aがOFFになる(油圧シリンダ50の縮小動作が停止する)。この状態でロックピン62,62を手動でロック解除させるが、このときロックピン62,62に加わる荷重が除去されているので、軽くロック解除させる(引き抜く)ことができる。そして、ロックピン62がロック解除されると、ロックピン検出器8BがONになり、リレーR5がON、スイッチ97,97がONになって、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ83(図7)の伸長操作側ソレノイド83bがONになり、各油圧シリンダ50,50が伸長動作して転車台51を張出位置まで作動させる。尚、転車台51は、最終張出位置に達するとそこで停止し、その後、選択スイッチ90を中立にすると、転車台51の張出位置への動作が完了する。
又、転車台51を非張出位置から張出位置まで移動させる場合は、ロックピン検出器8BがON(スイッチ97,97もON)であるので、この状態で選択スイッチ90を張出側(接点a側)に操作すると、油圧シリンダ用ソレノイドハルブ83(図7)の伸長操作側ソレノイド83bがONになって各油圧シリンダ50,50が伸長動作し、転車台51を直ちに(上記のように格納動作することなく)張出動作させるようになる。尚、転車台51が最終張出位置に達するとそこで停止し、その後、選択スイッチ90を中立にすると、転車台51の張出位置への動作が完了する。
上記した図9〜図12に示す各制御手段7A,7Bでは、ロックピン(42又は62)がロック解除状態(ロックピン検出器8A,8BがON)であるときにのみ、上下動装置(油圧シリンダ30又は50)が伸長可能となっている。換言すれば、ロックピン(42又は62)がロック位置にあると、ロックピン検出器(8A又は8B)がOFFになって、リレーR5によりスイッチ97を接点b側に接続させたり(図9及び図10の場合)OFF(図11及び図12の場合)させるので、油圧シリンダ操作用のソレノイドバルブの縮小側ソレノイド(81a,82a,83a)がONになることがなく、各油圧シリンダ(30又は50)が伸長動作することがない。従って、ロックピン(42又は62)がロック状態では、油圧シリンダ(30又は50)が不用意に伸長動作する(ロックピン又はその周辺が破損する)というトラブルを未然に防止できる。
尚、上記各実施例では、制御手段7A,7Bとして、図9〜図12の電気回路を使用しているが、他の実施例では、上記各制御をコントローラで行わせるようにしたものも採用可能である。
1は車輌、3は軌道走行装置、4はロック装置、5は転車装置、6はロック装置、7Aは軌道走行装置用の制御手段、7Bは転車装置用の制御手段、8A,8Bはロックピン検出器、9A,9Bは格納状態検出器、12は前輪タイヤ、13は後輪タイヤ、30は軌道走行装置用の上下動装置(油圧シリンダ)、31は鉄輪、37はピン穴、41はロックピン操作手段(エアシリンダ)、42はロックピン、50は転車装置用の上下動装置(油圧シリンダ)、51は転車台、61はロックピン操作手段(エアシリンダ)、62はロックピンである。