JP5810772B2 - 熱転写記録媒体 - Google Patents
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Description
そして、本発明による熱転写記録媒体は、優れた熱転写性を有し、かつ熱転写物の耐候性、耐擦過性、耐薬品性、耐光性が優れているものである。
本発明による熱転写記録媒体は、基材上に、剥離層、保護層および着色層がこの順序で形成されてなる熱転写記録媒体であって、
前記剥離層が、メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体を構成単位とし、メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体との共重合比(MMA/BMA)が95/5〜70/30(モル比)であるアクリル系共重合体100重量部と、ワックス粒子1〜5重量部とを含んでなり、前記保護層が、(成分イ)重量平均分子量が50000〜100000であるポリメタクリル酸メチルと、(成分ロ)重量平均分子量が5000〜40000であるポリメタクリル酸メチルとを含んでなり、前記の(成分イ)と(成分ロ)との存在比((成分イ)/(成分ロ))が5/95〜30/70(重量比)である樹脂組成物からなること、を特徴とする。
図1に示される本発明による熱転写記録媒体1は、基材2に、剥離層3、保護層4および着色層5がこの順序で形成されてなる熱転写記録媒体であって、
前記剥離層3が、所定のアクリル系共重合体とワックス粒子とを含んでなり、
前記保護層4が、所定の(成分イ)および(成分ロ)を含む樹脂組成物からなっている。
また、本発明による熱転写記録媒体1には、従来の熱転写記録媒体と同様に、必要に応じて、例えば接着層(図示せず)を設けることができる。
本発明による熱転写記録媒体の基材としては、種々のものを採用することができる。例えば、各種のプラスチック材料、例えばポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリフェニレンサルファイト、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなるフィルム、および紙、例えばグラシン紙、コンデンサー紙などを用いることができる。本発明では、耐熱性および強度の観点から、上記の中では、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミドが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。基材の厚さは、好ましくは2.5〜9.0μm、特に好ましくは3.5〜6.0μm、である。
本発明による熱転写記録媒体の剥離層は、メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体を構成単位とし、メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体との共重合比(MMA/BMA)が95/5〜70/30(モル比)であるアクリル系共重合体100重量部と、ワックス粒子1〜5重量部とを含んでなるものである。
剥離層の厚さは、乾燥後の厚さで、通常0.1〜2.0μm、好ましくは0.1〜1.0μm、特に好ましくは0.1〜0.5μm、である。
アクリル系共重合体を得る方法としては、上記アクリル系共重合体が得られるのであれば任意の方法を採用することができる。例えば、(イ)重合開始剤(例えば、好ましくは、アゾ化合物や過酸化物)の共存下、溶媒中で、メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体との共重合体を行う溶液重合法、(ロ)メチルメタクリレート(MMA)単量体、ブチルメタクリレート(BMA)単量体、水、水溶性重合開始剤、界面活性剤等を含む乳化液中で、上記メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体との共重合体を得る乳化重合法、(ハ)メチルメタクリレート(MMA)単量体、ブチルメタクリレート(BMA)単量体、水、モノマー可溶性の重合開始剤、懸濁剤によって形成されたコロイド状態において、上記メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体との共重合体を得る懸濁重合法等を採用することができる。この中では、(イ)の溶液重合法が好ましい。
重合開始剤の使用量は、全単量体成分1モルに対して、0.1〜5gであることが望ましい。
その他の形態については、特に制限はない。
前記保護層が、(成分イ)重量平均分子量が50000〜100000であるポリメタクリル酸メチルと、(成分ロ)重量平均分子量が5000〜40000であるポリメタクリル酸メチルとを含んでなり、前記の(成分イ)と(成分ロ)との存在比((成分イ)/(成分ロ))が5/95〜30/70(重量比)である樹脂組成物からなる。
保護層の厚さは、乾燥後の厚さで、通常0.2〜3.0μm、好ましくは0.5〜2.0μm、特に好ましくは0.5〜1.0μm、である。
本発明における着色層は、色材およびバインダを必須成分で含有するものである。色材およびバインダーは、従来よりこの種の熱転写記録媒体において用いられてきたいものを本発明でも使用することができる。
本発明において好ましいバインダとしては、例えば、アクリル系樹脂およびポリエステル樹脂を挙げることができる。この中では、ポリエステル樹脂が好ましい。
着色層の厚さは、乾燥後の厚さで、通常0.5〜3.0μm、好ましくは0.5〜2.0μm、特に好ましくは0.5〜1.0μm、である。
本発明による熱転写記録媒体は、基材上に、剥離層、保護層および着色層がこの順序で形成されてなる熱転写記録媒体であるが、この基材の背面(即ち、剥離層3、保護層4および着色層5が形成されている面とは反対の面)には、必要に応じて、背面層を設けることができる。
下記によって得られたアクリル系共重合体、剥離層形成用塗工液、保護層形成用塗工液、着色層形成用塗工液を用いて、本発明による熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を下記の[評価方法]によって評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
トルエンおよび水とからなる混合溶媒中に、下記の重合開始剤、連鎖移動剤、メチルメタクリレート(MMA)単量体およびブチルメタクリレート(BMA)単量体を混合し(MMAとBMAとの混合比率は、MMAが85(モル比)、BMAが15(モル比)、下記条件で重合操作を行うことによって、アクリル系共重合体の製造を行った。
・混合溶媒:トルエン(20重量%)と水(80重量%)とからなる混合溶媒
・重合開始剤:過酸化水素、配合量5g
・連鎖移動剤:メルカプトエタノール、使用量5g
・メチルメタクリレート(MMA)単量体:配合量500g
・ブチルメタクリレート(BMA)単量体:配合量500g
・重合操作条件:重合釜を密閉した状態で95℃に加温し、単量体を120分かけて添加して重合物を生成した。
・アクリル系共重合体:重量平均分子量(Mw)=20000、数平均分子量(Mn)=5000、生成量980g
上記の<<アクリル系共重合体の製造>>によって得られたアクリル系共重合体と、ワックス粒子(平均粒径5μmのポリエチレン粒子)とを、トルエン中に配合して、剥離層形成用塗工液の調製した。塗工液中のアクリル系共重合体の濃度は、20%であり、ワックス粒子の配合量は、アクリル系共重合体100重量部に対して1重量部であった。
(成分イ)として、重量平均分子量が95000であるポリメタクリル酸メチルを用い、(成分ロ)として、重量平均分子量が25000であるポリメタクリル酸メチルを用いた。
トルエン中に、上記の(成分イ)および(成分ロ)を、存在比((成分イ)/(成分ロ))が15/85となるように配合した。なお、塗工液中のアクリル系共重合体の濃度[(成分イ)および(成分ロ)の合計]を20%になる様にした。
上記のようにして、保護層形成用塗工液を調製した。
ポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロン200(商品名))200gをトルエン/メチルエチルケトンの1:1(重量比)混合溶媒10kgに溶解したものに、カーボンブラック(Degussa社製、プリンテックス25(商品名))50gを添加し、分散して、着色層形成用塗工液を調製した。
シリコン樹脂(大日精化社製)を固形分が5%になるようにメチルエチルケトンに溶解させて、背面層形成用塗工液を調製した。
上記の剥離層形成用塗工液、保護層形成用塗工液、着色層形成用塗工液および背面層形成用塗工液を用いて、基材(ポリエチレンテレフタレート製、厚さ4.5μm)上に、剥離層、保護層、着色層および背面層を順次形成した。
・剥離層の形成:上記基材上に、剥離層形成用塗工液をグラビアコーティング法によって塗工し、その後乾燥させることによって、厚さ0.5μmの剥離層を形成した。
・保護層の形成:上記剥離層上に、保護層形成用塗工液をグラビアコーティング法によって塗工し、その後乾燥させることによって、厚さ1.2μmの保護層を形成した。
・着色層の形成:上記保護層上に、着色層形成用塗工液をグラビアコーティング法によって塗工し、その後乾燥させることによって、厚さ1.0μmの着色層を形成した。
・背面層の形成:上記基材上に、背面層形成用塗工液をグラビアコーティング法によって塗工し、その後乾燥させることによって、厚さ0.1μmの背面層を形成した。
(イ)転写性
熱転写装置(ゼブラ社製の「型番140XiIII」)を用い、印字スピード4“/sec、印字エネルギー+20の条件にて、PETラベルに対して、熱転写を行った。
その熱転写物を目視にて観察し、熱転写性の評価を行った。
◎:鮮明な印字が得られた。
○:大きな欠けもない印字が得られた。
△:細線の印字に欠けが見られた。
×:印字がうまくできなかった。
摩耗試験機((株)栄科学精器製作所社製のクロックメーター「型番140XiIII」)に、アルコール(IPA)を1mlを吸収させた綿布(カナキン3号(大きさ:50×50mm))を装着し、この綿布によって熱転写物の表面をJIS L−0849の条件で20回擦った。擦った後に、熱転写物の表面を拡大鏡(×10倍)にて観察することによって耐アルコール性の評価を行った。
◎:全く印字に欠けが生じていない。
○:擦った痕跡はあるが、印字に欠けが生じていない。
△:印字に欠けが見られる。
×:擦った部分の印字が完全に消えている。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して2重量部にした以外は実施例1と同様にして、本発明による熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して5重量部にした以外は実施例1と同様にして、本発明による熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して10重量部にした以外は実施例1と同様にして、熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、MMAとBMAとの混合比率をMMAを95(モル比)、BMAを5(モル比)にし、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して2重量部にした以外は実施例1と同様にして、本発明による熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、MMAとBMAとの混合比率をMMAを70(モル比)、BMAを30(モル比)にし、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して2重量部にした以外は実施例1と同様にして、本発明による熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、MMAとBMAとの混合比率をMMAを50(モル比)、BMAを50(モル比)にし、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して2重量部にした以外は実施例1と同様にして、熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して2重量部にし、実施例1の<<保護層形成用塗工液の調製>>において、(成分イ)を用いずに、(成分イ)/(成分ロ)を0/100とした以外は実施例1と同様にして、熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して2重量部にし、実施例1の<<保護層形成用塗工液の調製>>において、(成分イ)を用いず、その代わりに、重量平均分子量が40000あるポリメタクリル酸メチル(成分ハ)を用い、(成分ハ)/(成分ロ)を50/50とした以外は実施例1と同様にして、熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して2重量部にし、実施例1の<<保護層形成用塗工液の調製>>において、(成分イ)/(成分ロ)を5/95とした以外は実施例1と同様にして、本発明による熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して2重量部にし、実施例1の<<保護層形成用塗工液の調製>>において、(成分イ)を用いず、その代わりに、重量平均分子量が40000あるポリメタクリル酸メチル(成分ハ)を用い、(成分ハ)/(成分ロ)を5/95とした以外は実施例1と同様にして、熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
実施例1の<<剥離層形成用塗工液の調製>>において、ワックス粒子の配合量をアクリル系共重合体100重量部に対して2重量部にし、実施例1の<<保護層形成用塗工液の調製>>において、(成分イ)/(成分ロ)を30/70とした以外は実施例1と同様にして、本発明による熱転写記録媒体を得た。
この熱転写記録媒体を実施例1と同様に評価した。
結果は、表1に示されるとおりである。
2 基材
3 剥離層
4 保護層
5 着色層
6 背面層
Claims (4)
- 基材上に、剥離層、保護層および着色層がこの順序で形成されてなる熱転写記録媒体であって、
前記剥離層が、メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体を構成単位とし、メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体との共重合比(MMA/BMA)が95/5〜70/30(モル比)であるアクリル系共重合体100重量部と、ワックス粒子1〜5重量部とを含んでなり、
前記保護層が、(成分イ)重量平均分子量が50000〜100000であるポリメタクリル酸メチルと、(成分ロ)重量平均分子量が5000〜40000であるポリメタクリル酸メチルとを含んでなり、前記の(成分イ)と(成分ロ)との存在比((成分イ)/(成分ロ))が5/95〜30/70(重量比)である樹脂組成物からなることを特徴とする、熱転写記録媒体。 - 前記剥離層において、メチルメタクリレート(MMA)単量体とブチルメタクリレート(BMA)単量体との共重合比(MMA/BMA)が90/10〜70/30(モル比)である、請求項1に記載の熱転写記録媒体。
- 前記保護層において、(成分イ)と(成分ロ)との存在比((成分イ)/(成分ロ))が5/95〜15/85(重量比)である、請求項1または2に記載の熱転写記録媒体。
- 前記基材の、前記の剥離層、保護層および着色層が形成されている面とは反対の面に、さらに背面層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写記録媒体。
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