以下、本発明の実施形態にかかる割込予測装置、割込予測方法及び運転支援システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
本発明の実施形態にかかる運転支援システムの構成について図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかる割込予測装置を含む運転支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、車両(以下「自車両」と呼ぶこともある)10は、運転支援ECU11と、ブレーキECU12と、エンジンECU13と、操舵ECU14と、ブレーキ21、エンジン22、ステアリング23、出力装置24、カーナビゲーション30と、データベース31と、車車間通信装置40と、インフラ通信装置41と、車載カメラ42と、車載レーダ43と、GPS44と、車速センサ45と、加速度センサ46と、ジャイロセンサ47と、ブレーキセンサ48と、アクセルセンサ49と、操舵角センサ50と、を有する。車両10において、ブレーキ21と、エンジン22と、ステアリング23と、出力装置24とが、運転支援装置20に含まれる。また、車両10において、車車間通信装置40と、インフラ通信装置41と、車載カメラ42と、車載レーダ43とが、周辺環境情報取得手段51に含まれる。また、車両10において、GPS44、車速センサ45と、加速度センサ46と、ジャイロセンサ47と、ブレーキセンサ48と、アクセルセンサ49と、操舵角センサ50とが、自車情報取得手段52に含まれる。
図1に示すように、車両10には車両10を運転する運転者に対してその運転操作を支援するための各種制御等を行う運転支援ECU11(本実施形態に係る割込予測装置を含む)が設けられている。運転支援ECU11は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。本実施形態では、運転支援ECU11は、運転支援にかかる各種制御を実行するとともに、各種条件に基づいて運転支援を行うべきタイミングを決定してタイミングに沿って運転支援に関する情報や信号を出力する。そのため、運転支援ECU11には、運転支援を実行するための各種プログラムや、支援に用いられる各種パラメータなどが予め記憶されている。各種パラメータには、運転支援のタイミング等の演算に用いられる車両10の特性や性能を示す値などが含まれる。運転支援ECU11は、ブレーキECU12と、エンジンECU13と、操舵ECU14と、カーナビゲーション30と、データベース31と、出力装置24と、車車間通信装置40と、インフラ通信装置41と、車載カメラ42と、車載レーダ43と、GPS44と、車速センサ45と、加速度センサ46と、ジャイロセンサ47と、ブレーキセンサ48と、アクセルセンサ49と、操舵角センサ50とが、CAN(Control Area Network)などの車載ネットワークを介してそれぞれ通信可能に接続されている。運転支援ECU11の詳細な構成については、後述する。なお、図1では、配線の図示を省略したが、車両10の各部は、運転支援ECU11以外とも車載ネットワークを介して通信可能に接続されている。
ブレーキECU12は、車両10のブレーキ21の制御を行うECUであって、車速センサ45やブレーキセンサ48等の各種センサが接続されているとともに、各種センサからの信号に基づいて車両10のブレーキ21の制御を通じて当該車両10に制動力を発生させる。具体的には、車速センサ45からの信号に基づいて把握される車両10の速度、ブレーキセンサ48のブレーキ踏込量の信号等に基づいて要求される制動力を算出してブレーキ21を制御する。
エンジンECU13は、車両10のエンジン22の運転制御を行うECUであって、アクセル踏込量を検出するアクセルセンサ49や吸入空気量を検出するセンサ等が接続されているとともに、スロットルバルブの駆動回路、燃料噴射弁の駆動回路等の各種機器の駆動回路が接続されている。エンジンECU13は、上記各センサから入力した検出信号に基づいて把握されるエンジン22の運転状態等を検知するとともに、上記各種機器の駆動回路の指令信号を出力する。こうしてエンジン22の運転制御がエンジンECU13を通じて実施される。
操舵ECU14は、車両10のステアリング23の制御を行うECUであって、ジャイロセンサ47、操舵角センサ50等の各種センサに接続されるとともに、各種センサからの信号に基づいて、電動アシスト制御などによるステアリング23の制御を行う。
ブレーキECU12と、エンジンECU13と、操舵ECU14とは、上記した運転支援ECU11と同様に、それぞれ各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。
出力装置24は、運転支援ECU11に電気的に接続され、各種情報に応じた通知を出力する。本実施形態では、出力装置24は、スピーカ24aおよびディスプレイ24bを含んで構成される。
スピーカ24aは、通知を音声で出力する音声装置である。スピーカ24aは、例えば運転支援にかかる通知に基づいて、運転者への注意を喚起するための音声や警告音等を発生する。スピーカ24aは、運転支援ECU11からの信号に応じた音声案内メッセージや警報音などを出力する。例えば、スピーカ24aは、後述のカーナビゲーション30から入力された音・音声データ等に対応した音や音声を出力する。スピーカ24aには、音・音声データとして、カーナビゲーション30から、経路案内や交通情報などの音声情報や、運転支援ECU11からの運転支援情報に対応している音声情報などが入力される。運転支援情報は、車両10の運転を支援するための情報であり、例えば、車両10の運転者に対してどのように車両10の運転操作を行うべきかを指示する情報等を含む。
ディスプレイ24bは、通知を画像や映像で出力する表示装置である。ディスプレイ24bは、例えば、車室内のセンターコンソール付近に設置される。ディスプレイ24bには、カーナビゲーション30から入力される画像データ等に対応した画像が表示される。ディスプレイ24bは、カーナビゲーション30から、地図表示の画像データや、運転支援ECU11から入力された運転支援情報に応じた通知表示等の画像データを表示する。
ディスプレイ24bは、車両10の運転を支援する運転支援情報を表示する場合、例えば、車両10の周辺に存在する障害物の検知結果に基づいて、障害物の有無を運転者に通知するといった簡易な情報提供を行う運転支援情報を表示する。また、ディスプレイ24bは、車両10の前方に周辺車両がいる場合に計算された周辺車両の速度および距離に基づいて、周辺車両が接近している旨を注意喚起する運転支援情報を表示する。また、ディスプレイ24bは、車両10の前方に周辺車両がいる場合に計算された周辺車両の速度および距離から衝突までの時刻に基づいて、周辺車両と何秒後に衝突する可能性があり、衝突回避するために車両10をどのように制御すればよいかを指示する警報を行う運転支援情報を表示する。本実施形態において、ディスプレイ24bが運転支援情報を表示する際には、対応する音声情報もスピーカ24aから出力されてもよい。
カーナビゲーション30は、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)44等を利用して車両10の現在位置を検出するとともに、予め記憶された道路地図情報を参照して、運転者に目的地までの車両10の走行経路等の案内を行う。本実施形態のカーナビゲーション30は、データベース31に予め記憶された道路地図情報を取得して利用する。また、カーナビゲーション30は、車両10の位置に関する位置情報や、現在位置周辺の情報として抽出した道路地図情報などを運転支援ECU11に送信する。これにより、カーナビゲーション30は、車両10の現在位置とその周辺の地図とを組み合わせた画像データを出力して、車両10の位置とその周辺の地図とが組み合わされた画像をディスプレイ24bに表示させる。
データベース31は、各部の処理で使用するデータや、各部で検出したデータを格納する装置であり、格納装置として不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)が用いられる。道路地図情報は、地図に関する情報であり、道路や道路地図の背景を表示するためのデータや、交差点の名称などから成るデータ等により構成されている。道路地図情報は道路の形状、道路における交差点や横断歩道の情報などの道路付属情報が含まれている。具体的には、道路地図情報は、道路付属情報として、信号機が設けられた対象交差点や一時停止地点の位置、道路の道路形状、トンネル、横断歩道、事故多発地点、路面状態などの情報が含まれる。このことから、カーナビゲーション30から運転支援ECU11に送信される道路地図情報にも上述の道路付属情報等が含まれる。
データベース31は、地図データ31aと、割込発生実績データ31bとを有する。地図データ31aは、カーナビゲーション処理に使用する道路地図情報のデータベースである。割込発生実績データ31bは、過去に車両10の前方への周辺車両の割り込みが発生した際に取得された割り込み発生直前の車両10に関する走行環境と、割り込み発生実績とを、対応付けて記憶する割込発生実績のデータベースである。本実施形態において、走行環境とは、特定の状況下における車両10に関する走行環境を示す情報を意味する。この走行環境は、後述の走行環境取得部60により周辺環境情報取得手段51、自車情報取得手段52、地図データ31a等から取得される。割込発生実績データ31bには、過去に車両10の前方への周辺車両の割り込みが発生した状況である車両割込シーンの走行環境が記憶されている。例えば、車両割込シーンの走行環境としては、割り込み発生直前の自車状態(例えば、走行速度、加速度等)、自車と前車との相対関係(例えば、車間距離、相対速度、相対位置等)、前車と周辺車両との相対関係、時間や時間帯に依存する交通流の状況(例えば、混み具合等)、自車が走行中の場所もしくは場所の特徴、日時等を示す情報などが挙げられるが、これらに限定されない。場所の特徴としては、例えば、走行地点の道幅、車線数、勾配、曲率、インフラ(信号等)の有無、交通規則(一時停止地点等)の有無、制限速度、交差点形状、道路形状などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、割込発生実績データ31bは、後述の割込予測部64により周辺車両の割り込みを予測する際に使用される割込発生判定閾値Cを、対応する車両割込シーンの走行環境に対応付けて記憶する。割込発生判定閾値Cは、後述の割込発生確率演算部62により演算される割込発生確率Pとの大小の比較により、割り込みが発生する可能性が高いか、あるいは、割り込みが発生するかは不定であるかを判定するために使用されるパラメータである。本実施形態において、割込発生判定閾値Cの初期値は、0以上1以下の任意の大きさの値に設定される。この初期値の値は、後述のデータ更新部70により適切な大きさに随時更新される。
次に、周辺環境情報取得手段51に含まれる各部について説明する。周辺環境情報取得手段51に含まれる各部は、車両10の周囲の各種情報を検出する。周辺環境情報取得手段51は、例えば、周辺車両との関係を検出するセンサの情報や、車両10が走行している周囲、例えば走行経路の情報等を取得する。車車間通信装置40は、車両10の位置情報や走行情報などの各種情報を車両10の周辺に位置する周辺車両との間で無線通信により相互に伝達する、いわゆる車車間通信を行う通信装置である。車車間通信では、通信可能エリア内の複数の車両のそれぞれとの間で定期的に車両情報を授受する。車両情報は、車両毎に一意に付与された車両ID、車両のGPSにより検出された車両の絶対位置、車両の速度、車両の進行方向、及び車両の車種・車高の情報等が含まれている。車車間通信装置40は、車車間通信で受信された周辺車両の車両情報を運転支援ECU11に送信する。これにより、運転支援ECU11には、周辺車両の車両情報が入力されるとともに、運転支援ECU11がその車両10の周辺に位置する周辺車両の走行状態を把握することができるようになっている。つまり、運転支援ECU11は、障害物となる車両10の周辺に位置する周辺車両に関する車両情報を受信することができる。
インフラ通信装置41は、赤外線信号などの光信号により交差点や道路等に設けられるインフラ装置と通信を行う通信装置である。そして、インフラ通信装置41は、インフラ装置から送信されるインフラ情報信号を受信するとともに、当該受信したインフラ情報信号を運転支援ECU11に送信する。これにより、運転支援ECU11がインフラ情報を把握することができるようになっている。例えば、インフラ通信装置41は、インフラ装置を介して、インフラ情報の一つとして、VICS(登録商標)センターから配信される日時情報や道路交通情報を受信する。この道路交通情報には、例えば、渋滞区間、渋滞度等の渋滞情報、通行止め等の通行規制情報等が含まれる。また、インフラ情報には、インフラ装置が設けられている周囲の道路の道路状況(例えば、交差点形状、曲率、勾配、車線数を含む)などこの道路に付随した付随情報や、地上設備等により検出された周辺車両や歩行者等の移動体の位置や速度などを示す移動体情報なども含まれる。これにより、運転支援ECU11は、障害物となる車両10の周辺に位置する周辺車両や歩行者等に関する移動体情報を受信することができる。更に、インフラ情報には、インフラ装置が設けられている場所の信号機の灯火状態を示す信号灯火情報なども含まれる。信号灯火情報は、対象の信号機の灯火状態が赤色、黄色、青色のうちいずれかであるかを示す情報である。この他、信号灯火情報は、赤信号または黄色信号の点滅状態や、信号機手前の車両が進行可能な方向を示す矢印信号の灯火状態などを示す情報を含んでいてもよい。
車載カメラ42は、ルームミラーの裏側に設置された光学式のCCDカメラなどにより車両10の前方の所定範囲を撮像するとともに、撮像された撮像画像に基づく画像信号を運転支援ECU11に送信する。運転支援ECU11は、この車載カメラ42により撮像された画像信号に基づいて、前方の信号機の灯火状態(例えば、信号の色や点滅等)や前方に位置する前方車両や対向車両の状態を抽出する。
車載レーダ43は、レーザ光を車両前方の所定範囲に照射することにより、そのレーザ光を反射する前方車両等の反射物体との距離、相対速度、方位等を検出する。これらの検出結果は、各反射物体について運転支援ECU11に送信される。これにより、運転支援ECU11は、車両10の前方の他車両や歩行者などの移動体を含む障害物の検知情報を取得し、この検知情報に基づいて障害物の有無や種類を判別したり、離間距離を把握したりすることができる。
次に、自車情報取得手段52に含まれる各部について説明する。自車情報取得手段52に含まれる各部は、車両10に関する各種情報を検出する。GPS44は、車両10の絶対位置を検出するためにGPS衛星信号を受信するとともに、受信されたGPS衛星信号に基づき車両10の位置を検出する。GPS44は検出された車両10の位置情報を運転支援ECU11に送信する。これにより、運転支援ECU11は、車両10の位置を把握することができる。車速センサ45は、検出した車輪の回転速度に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。加速度センサ46は、検出した車両10の加速度に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。ジャイロセンサ47は、検出した車両10の進行方向に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。ブレーキセンサ48は、検出した運転者によるブレーキペダルの操作の有無やブレーキペダルの踏込量に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。アクセルセンサ49は、検出した運転者によるアクセルペダルの操作の有無やペダルの踏込量に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。操舵角センサ50は、検出したステアリング23の操舵角の変化量に応じた信号を運転支援ECU11に送信し、運転支援ECU11は受け取った信号に基づいて操舵角を算出するようになっている。この他、自車情報取得手段52は、自車両のウインカーランプの点灯状態を検出する方向指示検出器を含んでいてもよい。
上記各センサからの各種信号は、それぞれ所定の周期で運転支援ECU11に送信されることから、運転支援ECU11は、上記伝達される各種信号に基づいて、車両10の位置、速度、方向等の車両状況を逐次把握することができるようになっている。
また、車両10は、入力装置を設けてもよい。入力装置は、例えば、上記のディスプレイ24bと一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、各種の入力操作に使用される。
次に、運転支援ECU11について説明する。運転支援ECU11は、走行環境取得部60と、割込発生確率演算部62と、割込予測部64と、割込検出部66と、データベース作成部68と、データ更新部70と、システム制御部72と、を有する。
走行環境取得部60は、周辺環境情報取得手段51、自車情報取得手段52、地図データ31a等から車両10(自車両)に関する走行環境を取得する。本実施形態において、例えば、走行環境取得部60は、周辺環境情報取得手段51から周辺車両に関する車両情報、前車と周辺車両との相対関係、交通流の状況、日時等を示す情報を取得する。走行環境取得部60は、自車情報取得手段52から自車状態、自車と前車との相対関係、自車が走行中の場所等を示す情報を取得する。走行環境取得部60は、地図データ31aから、自車が走行中の場所の特徴等を示す情報を取得する。
割込発生確率演算部62は、走行環境取得部60により取得された車両10に関する走行環境と、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された車両割込シーンの走行環境とを比較することで両者の走行環境間での近似度を求め、当該近似度の大きさに応じて割込発生確率Pを演算する。ここで、割込発生実績データ31bには、過去に車両10の前方への周辺車両の割り込みが発生した際に、走行環境取得部60により取得された割り込み発生直前の車両10に関する走行環境と、割り込み発生実績とが対応付けられて記憶されている。よって、走行環境取得部60により取得された現在の車両10に関する走行環境と、割込発生実績データ31bに記憶された過去の車両割込シーンの走行環境との近似度が高いほど、将来、車両10の前方への周辺車両の割り込みが発生する確率が高くなると考えられる。そこで、割込発生確率演算部62は、現在の走行環境と過去に割り込みが発生した車両割込シーンの走行環境との近似度が大きい場合は、相対的に大きな値の割込発生確率Pを演算する。一方、割込発生確率演算部62は、現在の走行環境と過去に割り込みが発生した車両割込シーンの走行環境との近似度が小さい場合は、相対的に小さい値の割込発生確率Pを演算する。
割込予測部64は、走行環境取得部60により取得された現在の車両10に関する走行環境と、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された過去の車両割込シーンの走行環境との比較により演算される割込発生確率Pに基づいて、車両10の前方への周辺車両の割り込みを予測する。本実施形態において、割込予測部64は、割込発生確率演算部62により演算された割込発生確率Pと、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された割込発生判定閾値Cとの比較により周辺車両の割り込みを予測する。具体的には、割込予測部64は、割込発生確率Pが割込発生判定閾値C以上である場合(C≦P)は、周辺車両の割り込みが発生する可能性が高いと予測する。一方、割込予測部64は、割込発生確率Pが割込発生判定閾値Cより小さい場合(C>P)は、周辺車両の割り込みが発生するかは不定であると予測する。ここで、割込予測部64は、後述のデータ更新部70により随時更新される車両割込シーンの走行環境を用いて周辺車両の割り込みを予測している。
割込検出部66は、車両10の前方への周辺車両の割り込みを検出する。本実施形態において、割込検出部66は、走行環境取得部60により周辺環境情報取得手段51等から取得される情報に基づいて、周辺車両の割り込みを検出する。例えば、割込検出部66は、車載カメラ42や車載レーダ43で車両10の前方の物体(物標)を検知し、画像処理等の割込検出手法を用いて検知物体が割込車両か否かを判定して、周辺車両の割り込みを検出する。割込検出手法は、画像処理に限られず、当該技術分野において割込検出に用いられる任意の検出手法であってもよい。また、割込検出部66は、運転者等が車両10の前方に割込車両があると判定した際に、入力装置を介して割込車両があることが入力された場合に、周辺車両の割り込みを検出してもよい。
データベース作成部68は、割込検出部66により周辺車両の割り込みを検出した際に、走行環境取得部60により取得された走行環境を車両割込シーンの走行環境として、割込発生実績に対応付けてデータベース31に格納することで、割込発生実績のデータベース(すなわち、割込発生実績データ31b)を作成する。
データ更新部70は、割込検出部66により車両10の前方への周辺車両の割り込みを検出した際に、走行環境取得部60により取得された車両10に関する走行環境に基づいて、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された車両割込シーンの走行環境を更新する。本実施形態において、データ更新部70は、割込検出部66による周辺車両の割り込みの検出結果と、割込予測部64による周辺車両の割り込みの予測結果とに基づいて、当該予測結果の正誤を判定する。そして、データ更新部70は、判定した予測結果の正誤を、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された車両割込シーンの走行環境と対応付けて記憶する。ここで、データ更新部70は、予測結果が誤っていた場合は、対応する車両割込シーンの走行環境に関する割込発生判定閾値Cを変更する。
システム制御部72は、割込予測部64による予測結果に基づいて、運転支援装置20に含まれる各部を制御するための制御量を算出し、当該算出した制御量に基づいて運転支援装置20に運転支援を実施させる。例えば、システム制御部72は、運転支援として車両制御を行う場合、算出した制御量に基づいてブレーキECU12、エンジンECU13、操舵ECU14等を制御する。これにより、システム制御部72は、運転支援装置20のブレーキ21、エンジン22、ステアリング23等を動作させて、割込車両との衝突を回避するようにブレーキ制御、エンジン制御、操舵制御等を実施する。また、システム制御部72は、運転支援として運転支援情報の出力制御を行う場合、算出した制御量に基づいて運転支援装置20の出力装置24を動作させて、割込車両との衝突を回避することを促す運転支援情報を運転者に対して出力させる。
続いて、図2〜図4を参照し、上述した構成の運転支援システムで行われる本実施形態における処理について詳細に説明する。図2は、本実施形態における周辺車両の割り込みが発生する状況の一例を示す図である。図3は、本実施形態におけるデータベース作成処理の一例を示すフローチャートである。図4は、本実施形態における割込予測処理およびデータ更新処理の一例を示すフローチャートである。
本実施形態では、図2に示すような周辺車両の割り込みが発生する状況を想定している。図2に示す状況では、車両10(自車両)の前方に周辺車両80−1および周辺車両80−2が走行している。そして、車両10と、この車両10と同じ走行車線を走行中の周辺車両80−2との間に、車両10の右隣の走行車線を走行中の周辺車両80−1が、周辺車両80−1の進行方向に対して左前方方向102へ車線変更している。つまり、周辺車両80−1は、車両10と周辺車両80−2との間に、割り込んでいる。
このような図2に示す状況下において実行されるデータベース作成処理について図3を参照して説明する。
図3に示すように、まず、運転支援ECU11は、走行環境取得部60によって、車両10に関する走行環境を取得する(ステップST101)。ステップST101において取得される走行環境は、例えば、車両10の自車状態(図2において、車両10の走行速度、加速度等)、自車と前車との相対関係(図2において、車両10と周辺車両80−1〜2との車間距離、相対速度、相対位置等)、交通流の状況(図2の例では、低い混雑度)、走行中の場所およびその時間(もしくは時間帯)等である。
運転支援ECU11は、割込検出部66によって、車両10の前方への周辺車両80−1の割り込みを検出する(ステップST102)。
運転支援ECU11は、割込検出部66により周辺車両80−1の割り込みが検出されたタイミングをトリガーとし、データベース作成部68によって割込発生実績のデータベース(すなわち、割込発生実績データ31b)を作成する(ステップST103)。ステップST103において、データベース作成部68は、ステップST101において割り込み発生直前に取得された車両10の自車状態、自車と前車との相対関係、交通流を、走行中の場所およびその時間(もしくは時間帯)に対応付けて、車両割込シーンの走行環境としてデータベース31に格納する。このとき、データベース作成部68は、車両割込シーンの走行環境を、更に割込発生実績に対応付けてデータベース31に格納することで、割込発生実績のデータベースを作成する。
次に、図3に示すようなデータベース作成処理を行うことで作成された割込発生実績データ31bを用いて実行される割込予測処理、および、この割込発生実績データ31bに対して実行されるデータ更新処理について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、運転支援ECU11は、走行環境取得部60によって、車両10に関する走行環境を取得する(ステップST201)。ステップST201において取得される走行環境は、例えば、車両10の自車状態、自車と前車との相対関係、交通流の状況、走行中の場所およびその時間等である。
運転支援ECU11は、ステップST201で取得した現在の車両10の走行環境(例えば、車両10が走行中の場所や時間)に基づいて、予めデータベース31の割込発生実績データ31bに記憶された複数の車両割込シーンの走行環境から、対応するかまたは類似するデータがあるか検索する。このようにして、運転支援ECU11は、走行中の場所や時間に応じて、割込発生予測に用いるのに適切な割込発生実績のデータベース(割込発生実績データ31b)を選択する(ステップST202)。
運転支援ECU11は、割込発生確率演算部62によって、ステップST201で走行環境取得部60により取得された車両10に関する走行環境と、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された車両割込シーンの走行環境とを比較する。そして、割込発生確率演算部62は、この比較により両者の走行環境間での近似度を求め、当該近似度の大きさに応じて割込発生確率Pを演算する(ステップST203)。ステップST203において、割込発生確率演算部62は、現在の走行環境と過去に割り込みが発生した車両割込シーンの走行環境との近似度が大きい場合は、相対的に大きな値の割込発生確率Pを演算する。一方、割込発生確率演算部62は、現在の走行環境と過去に割り込みが発生した車両割込シーンの走行環境との近似度が小さい場合は、相対的に小さい値の割込発生確率Pを演算する。
運転支援ECU11は、割込予測部64によって、ステップST203で割込発生確率演算部62により演算された割込発生確率Pと、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された割込発生判定閾値Cとの比較により周辺車両の割り込みを予測する(ステップST204〜ST205,ST208)。具体的には、割込予測部64は、ステップST204で割込発生確率Pが割込発生判定閾値C以上である(C≦P)と判定した場合(ステップST204:Yes)、ステップST205で周辺車両の割り込みが発生する可能性が高いと予測する。その後、ステップST206の処理へ進む。一方、割込予測部64は、ステップST204で割込発生確率Pが割込発生判定閾値Cより小さい(C>P)と判定した場合(ステップST204:No)、ステップST208で周辺車両の割り込みが発生するかは不定であると予測する。その後、ステップST209の処理へ進む。
運転支援ECU11は、ステップST205で周辺車両の割り込みが発生する可能性が高いと予測した場合、データ更新部70によって、割込検出部66による周辺車両の割り込みの検出結果に基づいて、割込発生を検出したか否かを判定する(ステップST206)。つまり、ステップST206において、データ更新部70は、割込検出部66による周辺車両の割り込みの検出結果と、割込予測部64による周辺車両の割り込みの予測結果とに基づいて、当該予測結果の正誤を判定する。ここで、データ更新部70は、ステップST206で判定した予測結果の正誤を、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された車両割込シーンの走行環境と対応付けて記憶してもよい。
ここで、運転支援ECU11は、ステップST206で割込発生を検出したと判定した場合(ステップST206:Yes)、本処理を終了する。
一方、運転支援ECU11は、ステップST206で割込発生を検出しなかったと判定した場合(ステップST206:No)、データ更新部70によって、割込発生判定閾値Cの値の大きさを、判定に使用された直前の割込発生判定閾値Cの値の大きさと比べて大きい値に更新する(ステップST207)。つまり、ステップST207において、データ更新部70は、周辺車両の割り込みが発生する可能性が高いとの予測結果が誤っていた場合は、ステップST204において周辺車両の割り込みを予測する際に使用した割込発生判定閾値Cの大きさが適切な値ではないと判定して、予測精度が向上するように割込発生判定閾値Cに対してパラメータ調整を実行する。その後、本処理を終了する。
ステップST208から本処理の説明を続ける。運転支援ECU11は、ステップST208で周辺車両の割り込みが発生するかは不定であると予測した場合、データ更新部70によって、割込検出部66による周辺車両の割り込みの検出結果に基づいて、割込発生を検出したか否かを判定する(ステップST209)。つまり、ステップST209において、データ更新部70は、割込検出部66による周辺車両の割り込みの検出結果と、割込予測部64による周辺車両の割り込みの予測結果とに基づいて、当該予測結果の正誤を判定する。ここで、データ更新部70は、ステップST209で判定した予測結果の正誤を、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された車両割込シーンの走行環境と対応付けて記憶してもよい。
ここで、運転支援ECU11は、ステップST209で割込発生を検出したと判定した場合(ステップST209:Yes)、データ更新部70によって、割込発生判定閾値Cの値の大きさを、判定に使用された直前の割込発生判定閾値Cの値の大きさと比べて小さい値に更新する(ステップST210)。つまり、ステップST210において、データ更新部70は、周辺車両の割り込みが発生するかは不定であるとの予測結果が誤っていた場合は、ステップST204において周辺車両の割り込みを予測する際に使用した割込発生判定閾値Cの大きさが適切な値ではないと判定して、予測精度が向上するように割込発生判定閾値Cに対してパラメータ調整を実行する。その後、本処理を終了する。
一方、運転支援ECU11は、ステップST209で割込発生を検出しなかったと判定した場合(ステップST209:No)、本処理を終了する。
なお、図示しないが、運転支援ECU11は、上述の処理により割り込みが発生する可能性が高いと予測した場合(ステップST205)、および/または、割り込みが発生したと検出した場合(ステップST206:Yes,ステップST209:Yes)、システム制御部72によって、割込車両との衝突を回避するように運転支援装置20に運転支援を実施させる。
上述した実施形態によれば、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された過去の車両割込シーンの走行環境を、実際の車両割込シーンの走行環境に基づいて随時修正していくことができるので、割込発生実績データ31bの情報が現実の車両割込シーンと近くなり、周辺車両の割込予測精度を向上させることができる。例えば、上述した実施形態によれば、過去に割込予測を誤った環境では、予測と結果が一致しやすいように割込発生判定閾値Cを修正することができるので、予測精度を更に向上させることができる。このように、上述した実施形態によれば、車両の割り込み予測精度を向上させることができるので、予測精度の高い割込予測結果に基づいて、状況に応じた適切な運転支援を実施することができる。
上述した実施形態によれば、各種センサ等により割り込みを検出する前に、予め割り込みを予測することで、運転者の気づきや実際の割り込み発生に先んじた注意喚起等の運転支援を実施することができる。これにより、上述した実施形態によれば、車両の割り込みが発生した後に割り込みを検出し、衝突回避や運転者への警告などの運転支援を行う場合に比べて、運転支援の開始を早めることができるので、追突事故等が発生する可能性を低減させることができる。
なお、上述の実施形態において、割込予測部64は、各部から取得した情報に基づいて解析を行って、予測結果を取得したがこれに限定されない。割込予測部64は、他の機器で算出された予測結果を取得してもよい。つまり、情報に基づいて解析を行って予測結果を算出する処理を他の機器で行ってもよい。例えば、車両10に通信部を設け、通信部を介してサーバと通信を行い、当該サーバから予測結果を取得してもよい。
[実施形態の変形例1]
ここで、図5〜図6を参照し、上述した構成の運転支援システムで行われる本実施形態の変形例1における処理について説明する。図5は、本実施形態の変形例1における車両の割り込みが発生する状況の一例を示す図である。図6は、本実施形態の変形例1における割込予測処理の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の変形例1では、図5に示すような周辺車両の割り込みが発生する状況を想定している。図5に示す状況では、車両10(自車両)の前方に周辺車両80−1、周辺車両80−2、周辺車両80−3が走行し、車両10の後方に周辺車両80−4、周辺車両80−5が走行している。そして、車両10と、この車両10と同じ走行車線を走行中の周辺車両80−2との間に、車両10の右隣の走行車線を走行中の周辺車両80−1が、周辺車両80−1の進行方向に対して左前方方向102へ車線変更している。つまり、周辺車両80−1は、車両10と周辺車両80−2との間に、割り込んでいる。
このような図5に示す状況下において実行される割込予測処理について図6を参照して説明する。
図6に示すように、運転支援ECU11は、走行環境取得部60によって、車両10および周辺車両に関する走行環境を取得する(ステップST301)。ステップST301において取得される走行環境は、例えば、車両10の自車状態(図5において、車両10の走行速度、加速度等)、自車と前車との相対関係(図5において、車両10と周辺車両80−1〜3との車間距離、相対速度、相対位置等)、前車と周辺車両との相対関係(図5において、例えば、周辺車両80−1(前車)と、周辺車両80−2〜5との車間距離、相対速度、相対位置等)、交通流の状況(図5の例では、高い混雑度)、走行中の場所およびその時間等である。
運転支援ECU11は、ステップST301で取得した現在の車両10の走行環境(例えば、車両10が走行中の場所や時間)に基づいて、予めデータベース31の割込発生実績データ31bに記憶された複数の車両割込シーンの走行環境から、対応するかまたは類似するデータがあるか検索する。このようにして、運転支援ECU11は、走行中の場所や時間に応じて、割込発生予測に用いるのに適切な割込発生実績のデータベース(割込発生実績データ31b)を選択する(ステップST302)。
ここで、本変形例1では、運転支援ECU11は、ステップST302で選択した割込発生実績のデータベースを用いて、以下のステップS303の処理、および、ステップS304の処理を並行して実行する。
運転支援ECU11は、割込発生確率演算部62によって、ステップST301で走行環境取得部60により取得された車両10に関する走行環境(例えば、現在の自車状態、自車と前車との相対関係、交通流の状況等)と、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された車両割込シーンの走行環境とを比較する。そして、割込発生確率演算部62は、この比較により両者の走行環境間での近似度を求め、当該近似度の大きさに応じて割込発生確率Pを演算する(ステップST303)。ステップST303において、割込発生確率演算部62は、現在の走行環境と過去に割り込みが発生した車両割込シーンの走行環境との近似度が大きい場合は、相対的に大きな値の割込発生確率Pを演算する。一方、割込発生確率演算部62は、現在の走行環境と過去に割り込みが発生した車両割込シーンの走行環境との近似度が小さい場合は、相対的に小さい値の割込発生確率Pを演算する。その後、ステップST305の処理へ進む。
運転支援ECU11は、割込発生確率演算部62によって、ステップST301で走行環境取得部60により取得された、周辺車両に関する走行環境(例えば、現在の周辺車両状態、前車と周辺車両との相対関係、交通流の状況等)と、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された車両割込シーンの走行環境とを比較する。そして、割込発生確率演算部62は、この比較により両者の走行環境間での近似度を求め、当該近似度の大きさに応じて割込発生確率Pi(i=1,2,〜n)を、各周辺車両について演算する(ステップST304)。その後、ステップST305の処理へ進む。
運転支援ECU11は、割込予測部64によって、自車両に関する割込発生確率Pが、周辺車両に関する割込発生確率Piよりも大きいか否かを全てのiに関して判定する(ステップST305)。ここで、車線変更をしたい車両は、走行中の複数の車両の間のどこかに割り込もうとしていると考えられる。よって、図5に示すように車両10と周辺車両80−2との間に周辺車両80−1が割り込む確率を示す割込発生確率Pが、周辺車両80−2の前や周辺車両80−5の前に周辺車両80−1が割り込む確率等を示す割込発生確率Piよりも大きい場合は、車両10と周辺車両80−2との間に周辺車両80−1が割り込む可能性が高いと判断できる。そこで、ステップST305では、割込予測部64は、自車両に関する割込発生確率Pが、周辺車両に関する割込発生確率Piよりも大きいか否かを全てのiに関して判定することで、車両10の前方への周辺車両80−1の割り込みを予測している。
ここで、運転支援ECU11は、割込予測部64によって、ステップST305で自車両に関する割込発生確率Pが、周辺車両に関する割込発生確率Piよりも全てのiに関して大きい(P>Pi)と判定した場合(ステップST305:Yes)、車両10の前方へ周辺車両80−1が割り込む可能性が高いと予測する(ステップST306)。その後、本処理を終了する。
一方、運転支援ECU11は、割込予測部64によって、ステップST305で自車両に関する割込発生確率Pが、周辺車両に関する割込発生確率Piよりも全てのiに関しては大きくないと判定した場合(ステップST305:No)、車両10の前方へ周辺車両80−1が割り込むかは不定であると予測する(ステップST307)。その後、本処理を終了する。
なお、図示しないが、運転支援ECU11は、上述の処理により、車両10の前方へ周辺車両80−1が割り込む可能性が高いと予測した場合(ステップST306)、システム制御部72によって、割込車両との衝突を回避するように運転支援装置20に運転支援を実施させる。
上述した実施形態の変形例1によれば、自車両に関する割込発生確率Pと、周辺車両に関する割込発生確率Piを算出し、これら割込発生確率Pと割込発生確率Piとの相対関係から、割り込み発生を予測することができる。これにより、上述した実施形態の変形例1によれば、割り込み発生を予測する際に、上述の実施形態の図4で示したような割込発生判定閾値Cが不要となる。その代わりに、上述した実施形態の変形例1によれば、割込発生確率Pと割込発生確率Piとで相対的な大きさを比較している。これにより、車両10の前方へ割込車両が割り込みが発生する確率を示す割込発生確率Pが、車両10以外のその他の周辺車両の前方へ割込車両が割り込みが発生する確率を示す割込発生確率Piよりも大きい場合は、車両10の前方へ割込車両が割り込む可能性が高いと判断することができる。
[実施形態の変形例2]
更に、図7〜図8を参照し、上述した構成の運転支援システムで行われる本実施形態の変形例2における処理について説明する。図7は、本実施形態の変形例2における車両の割り込みが発生する状況の一例を示す図である。図8は、本実施形態の変形例2における割込検出処理の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の変形例2は、図7に示すような周辺車両の割り込みが発生する状況を想定している。図7に示す状況では、車両10(自車両)の前方に周辺車両80−1および周辺車両80−2が走行している。ここで、車両10は、予め周辺車両80−1が車両10と周辺車両80−2との間に割り込む予測結果104を保持している。そして、車両10と、この車両10と同じ走行車線を走行中の周辺車両80−2との間に、車両10の右隣の走行車線を走行中の周辺車両80−1が、周辺車両80−1の進行方向に対して左前方方向102へ車線変更している。つまり、周辺車両80−1は、車両10と周辺車両80−2との間に、割り込んでいる。
このような図7に示す状況下において実行される割込予測処理について図8を参照して説明する。
図8に示すように、運転支援ECU11は、走行環境取得部60によって走行環境を取得する(ステップST401)。ステップST401において取得される走行環境は、上述の図4のステップST201または図6のステップST301において取得される走行環境と同様である。
運転支援ECU11は、割込予測部64によって、ステップST401で走行環境取得部60により取得された現在の車両10に関する走行環境と、データベース31の割込発生実績データ31bに記憶された過去の車両割込シーンの走行環境との比較により演算される割込発生確率Pに基づいて、車両10の前方への周辺車両の割り込みを予測する(ステップST402)。ステップST402において、割込予測部64は、上述の図4または図6で示した割込予測処理と同様の処理を行うことで、車両10の前方への周辺車両の割り込みを予測する。
運転支援ECU11は、割込検出部66によって、車載カメラ42や車載レーダ43を介して割込車両として妥当な位置に存在する車両10の前方の物標を検知する(ステップST403)。
ここで、本変形例2では、運転支援ECU11は、ステップST402で割込予測部64によって車両10の前方への周辺車両の割り込みが予測されているか否かを判定する(ステップST404)。
運転支援ECU11は、ステップST404で車両10の前方への周辺車両の割り込みが予測されていると判定した場合(ステップST404:Yes)、割込検出部66によって、割込判定の初期発見プロセス終了を待たずに割り込みを検出する。つまり、ステップST403では、割込検出部66は、例えば、画像処理等の割込検出手法を用いて検知物体が割込車両か否かを判定するといった初期発見プロセス終了を待たずに、車両10の前方への周辺車両の割り込みを検出する。その後、本処理を終了する。
一方、運転支援ECU11は、ステップST404で車両10の前方への周辺車両の割り込みが予測されていないと判定した場合(ステップST404:No)、通常通りプロセスに従って割り込み検出を行う(ステップST406)。つまり、ステップST404では、割込検出部66は、例えば、車載カメラ42や車載レーダ43で車両10の前方の物体(物標)を検知し、画像処理等の割込検出手法を用いて検知物体が割込車両か否かを判定して、周辺車両の割り込みを検出する。その後、本処理を終了する。
なお、図示しないが、運転支援ECU11は、上述の処理により、車両10の前方へ周辺車両80−1が割り込むことを検出した場合、システム制御部72によって、割込車両との衝突を回避するように運転支援装置20に運転支援を実施させる。
上述した実施形態の変形例2によれば、割込予測部64により割り込みが発生する可能性が高いと予測された場合、割込検出部66は、何らかの物標を適切な距離で検出したらすぐに、割り込みが発生したと判定することができる。これにより、上述した実施形態の変形例2によれば、割込検出部66は、割込予測部64による予測結果に応じて、画像処理等の割込検出手法を用いて検知物体が割込車両か否かを判定するといった初期発見プロセスを短縮することができる。その結果、上述した実施形態の変形例2によれば、運転支援開始が遅れる可能性を低減させることができ、割込車両に対する追突や衝突事故の回避率を向上させることができる。