JP5803797B2 - リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、帯状の負極電極箔上に帯状で結着剤を含む負極活物質層が形成された負極板を捲回した電極体を備えるリチウムイオン二次電池、及び、このリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
従来より、負極電極箔上に負極活物質層が形成された負極板を有する電極体を備えるリチウムイオン二次電池(以下、単に電池とも言う)が知られている。この電池は、充放電の繰り返しや長期保存によって容量が低下する。このような容量低下は、リチウムイオンと電解液の電気化学反応によって負極活物質層の表面に形成される固体電解質皮膜(SEI皮膜、Solid Electrolyte Interface)が成長することにより、充放電に寄与するリチウムが減少することに起因すると考えられる。
この問題を解決するために、負極活物質層の表面に予め安定的な皮膜を形成しておくことで、SEI皮膜の成長を抑制する試みがなされている。この安定的な皮膜の形成手法としては、予め電解液に皮膜形成添加剤を加えておき、この皮膜形成添加剤を初充電時に還元分解して皮膜を負極活物質層の表面に形成する手法がある。
しかしながら、このようにして皮膜を形成すると、電極体が捲回型であり負極板及び負極活物質層が帯状をなす場合には、負極活物質層の幅方向の中央部よりも両端部で厚く形成される傾向にある。負極活物質層の中央部よりも両端部の方が、電解液中の皮膜形成添加物が供給され易いために、両端部で皮膜が厚く成長し易いと考えられる。とりわけ、ハイブリッド自動車や電気自動車など車載用の電池は、携帯電話やノートパソコン等に用いられる電池に比して、負極板及び負極活物質層が幅広であるため、特に、この皮膜は幅方向の中央部よりも両端部で厚く形成され易い。すると、負極活物質層の幅方向の両端部においてリチウムの受け入れ性が低くなって、この両端部で反応抵抗が大きくなる。このため、電池に充放電を繰り返し行わせたとき、特に、低温かつハイレートの充放電を繰り返し行わせたときに、幅方向の両端部でリチウム金属の析出(デンドライト)が生じ易いという問題があった。
ところで、リチウム析出を改善する方法も、いくつか提案されている。特許文献1には、リチウム析出に対する耐性を上げるため、−15〜65℃の環境下で、充放電の少なくとも一方の電流値を8C以上にして、充放電を500回以上繰り返す処理を電池に予め行うことが開示されている。また、特許文献2には、充電した電池を室温以下で12〜80時間保持し、その後、40〜65℃で少なくとも6時間保持する方法が開示されている。
特開2011−216428号公報 特開2009−283276号公報
しかしながら、特許文献1,2に示された対策は、負極活物質層全体に作用するものであるため、皮膜形成添加剤由来の皮膜に場所による厚み差が生じた電池について、これらの対策を行っても、リチウム析出を改善させる効果は少ない。また、これらの対策を行うと、工数が増えるなどコスト高を招く欠点もある。
また、負極活物質層自体の厚みを幅方向の中央部よりも両端部で厚く形成することで、幅方向の両端部におけるリチウムの受け入れ性を高くすることも考えられる。しかし、このように負極活物質層の厚みを幅方向で変えると、負極板を正極板やセパレータと共に捲回して電極体を形成する際に、巻きズレ等の不具合が生じる場合がある。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、低温かつハイレートの充放電を繰り返し行わせても、負極活物質層の幅方向の両端部でリチウム析出が生じ難く、電池寿命を向上させることができるリチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、SEI皮膜の成長を抑制する皮膜を負極活物質層の表面に形成する皮膜形成添加剤が電解液に添加されてなり、帯状の負極電極箔上に、帯状で結着剤を含む前記負極活物質層が形成され、前記負極活物質層の前記表面に、前記皮膜形成添加剤由来の前記皮膜を有する負極板を捲回した電極体を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記負極活物質層は、厚み方向全体について平均した前記結着剤の含有濃度Bnが、長手方向及び幅方向について場所によらず等しく、かつ、前記負極活物質層のうち、前記厚み方向の中央よりも前記負極活物質層の表面をなす側を表面側部、前記負極電極箔側を電極箔側部とし、前記負極活物質層を前記幅方向について中央部と2つの端部とに3等分したとき、前記中央部のうち前記表面側部における前記結着剤の含有濃度Badが、2つの前記端部のうち前記表面側部それぞれにおける前記結着剤の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくされてなり、前記負極活物質層における前記結着剤の前記厚み方向の偏りを示すマイグレーション指数Kを、前記表面側部における前記結着剤の含有濃度Bdと前記電極箔側部における前記結着剤の含有濃度Beとの比(K=Bd/Be)としたとき、前記負極活物質層は、前記幅方向の前記中央部における前記マイグレーション指数Kaと、2つの前記端部における前記マイグレーション指数Kb,Kcとの比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.04以上とされてなるリチウムイオン二次電池である。
この電池の負極活物質層は、結着剤の含有濃度Bnを長手方向及び幅方向について場所によらず等しくしながらも、幅方向の中央部の表面側部における結着剤の含有濃度Badが、2つの端部(両端部)の表面側部それぞれにおける結着剤の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくされている(Bad>Bbd、かつ、Bad>Bcd)。これにより、負極活物質層自体の、幅方向の中央部におけるリチウムの受け入れ性が、両端部におけるリチウムの受け入れ性よりも低くなる。このため、負極板全体で見たとき(負極活物質層と皮膜形成添加剤由来の皮膜とを合わせて見たとき)、幅方向の中央部と両端部とでリチウムの受け入れ性の差を小さく、また、反応抵抗の差も小さくできる。従って、電池に低温かつハイレートの充放電を繰り返し行わせても、負極活物質層の幅方向の両端部でリチウム析出が生じ難くなり、電池寿命を向上させることができる。
なお、「皮膜形成添加剤」とは、初充電の際に還元分解等により皮膜(SEI皮膜の成長を抑制する皮膜)を負極活物質層の表面に形成し得る添加剤を指す。この皮膜形成添加剤の具体例としては、ビニレンカーボネート(VC)、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)などが挙げられる。
加えて、上記のリチウムイオン二次電池であって、前記比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.10以上とされてなるリチウムイオン二次電池とすると良い。
更に、上記のリチウムイオン二次電池であって、前記比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.20以上であるリチウムイオン二次電池とすると良い。
このようにマイグレーション指数Kの比(Ka/Kb,Ka/Kc)を、それぞれ1.10以上、更には1.20以上となるように、端部よりも中央部の表面側部で結着剤の含有濃度が大きくなるようにすることで、電池に低温かつハイレートの充放電を繰り返し行わせても、負極活物質層の幅方向の両端部でリチウム析出が更に生じ難くなり、電池寿命を更に向上させることができる。
また、他の態様は、SEI皮膜の成長を抑制する皮膜を負極活物質層の表面に形成する皮膜形成添加剤が電解液に添加されてなり、帯状の負極電極箔上に、帯状で結着剤を含む前記負極活物質層が形成され、前記負極活物質層の前記表面に、前記皮膜形成添加剤由来の前記皮膜を有する負極板を捲回した電極体を備え、前記負極活物質層は、厚み方向全体について平均した前記結着剤の含有濃度Bnが、長手方向及び幅方向について場所によらず等しく、かつ、前記負極活物質層のうち、前記厚み方向の中央よりも前記負極活物質層の表面をなす側を表面側部、前記負極電極箔側を電極箔側部とし、前記負極活物質層を前記幅方向について中央部と2つの端部とに3等分したとき、前記中央部のうち前記表面側部における前記結着剤の含有濃度Badが、2つの前記端部のうち前記表面側部それぞれにおける前記結着剤の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくされてなり、前記負極活物質層における前記結着剤の前記厚み方向の偏りを示すマイグレーション指数Kを、前記表面側部における前記結着剤の含有濃度Bdと前記電極箔側部における前記結着剤の含有濃度Beとの比(K=Bd/Be)としたとき、前記負極活物質層は、前記幅方向の前記中央部における前記マイグレーション指数Kaと、2つの前記端部における前記マイグレーション指数Kb,Kcとの比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.04以上とされてなるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記負極電極箔上に、溶媒及び前記結着剤を含む負極ペーストを塗工して負極ペースト層を形成する塗工工程と、塗工した前記負極ペースト層を加熱乾燥させて、前記負極活物質層を形成する加熱乾燥工程であって、少なくともこの工程の前半において、2つの前記端部よりも前記中央部で前記溶媒が早く蒸発するパターンで、前記負極ペースト層を加熱乾燥させる加熱乾燥工程と、を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法である。
この電池の製造方法では、負極ペースト層を加熱乾燥させる加熱乾燥工程の少なくとも前半に、2つの端部(両端部)よりも中央部で溶媒が早く蒸発するパターンで、負極ペースト層を加熱乾燥させる。溶媒が負極ペースト層の表面から蒸発するのに伴って、溶媒の移動と共に結着剤も表面側に移動する傾向がある。この結着剤の表面側への移動は、負極ペースト層からの溶媒の蒸発速度が早く、このために負極ペースト層内における溶媒の移動速度が早いほど大きくなる。なお、結着剤の表面側への移動は、負極ペースト層内に含まれる溶媒の量が多く、結着剤が負極ペースト層内を自由に移動し易い加熱乾燥工程の前半で、特に大きく生じる。
従って、加熱乾燥工程の少なくとも前半に、幅方向の両端部よりも中央部で溶媒が早く蒸発するパターンで、負極ペースト層を加熱乾燥させる。これにより、結着剤の含有濃度Bnを長手方向及び幅方向について場所によらず等しくしながらも、幅方向の中央部の表面側部における結着剤の含有濃度Badが、両端部の表面側部それぞれにおける結着剤の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくされた負極活物質層を、容易に形成できる。前述したように、この負極活物質層自体は、幅方向の中央部におけるリチウムの受け入れ性が両端部におけるリチウムの受け入れ性よりも低いので、負極活物質層と皮膜とを合わせて見たときに、幅方向の中央部と両端部とでリチウムの受け入れ性の差が小さく、また、反応抵抗の差も小さくなる。よって、低温かつハイレートの充放電を繰り返し行わせても、負極活物質層の幅方向の両端部でリチウム析出が生じ難く、電池寿命が長い電池を、容易に製造できる。
更に、上記のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記加熱乾燥工程は、少なくともこの工程の前半に、熱風を前記中央部に吹き付けて、2つの前記端部よりも前記中央部で前記溶媒を早く蒸発させる熱風工程を含むリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
幅方向の端部よりも中央部で溶媒を早く蒸発させる手法としては、例えばIRヒータやその他のヒータを用いて、幅方向の中央部を局所的に加熱する方法が考えられる。しかし、ヒータによる加熱では、負極ペースト層の中央部の表面から蒸発した溶媒が表面近傍に滞留して、溶媒の蒸発を妨げるので、中央部における結着剤の表面側への移動が少なくなる。このため、負極活物質層における幅方向の中央部の表面側部と両端部の表面側部とで、結着剤の含有濃度Bad,Bbd,Bcdの差が小さくなりがちである。
これに対し、この電池の製造方法では、熱風工程で熱風を幅方向の中央部に吹き付けるので、負極ペースト層の中央部の表面から蒸発した溶媒を熱風と共に表面近傍から除去できる。このため、幅方向の中央部において結着剤が表面側へ移動し易くなり、中央部の表面側部と両端部の表面側部とで、結着剤の含有濃度Bad,Bbd,Bcdの差を大きくできる。
なお、この加熱乾燥工程において、熱風を幅方向の中央部に熱風を吹き付けると共に、IRヒータなどのヒータで幅方向の中央部を加熱してもよい。
更に、上記のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記熱風工程は、前記熱風を、前記負極ペースト層の長手方向に沿い、かつ、前記負極ペースト層に対して斜めに当たる向きで吹き付ける工程であるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
熱風工程において、熱風が負極ペースト層に垂直に当たる向きで熱風を吹き付けた場合、当たった熱風は幅方向に拡がるので、幅方向の中央部に当たるだけでなく、両端部にも当たり易くなる。すると、幅方向の中央部だけでなく両端部でも、溶媒の蒸発が進み、結着剤が表面側へ移動し易くなる。このため、負極活物質層における幅方向の中央部の表面側部と両端部の表面側部とで、結着剤の含有濃度Bad,Bbd,Bcdの差が小さくなりがちである。
これに対し、この電池の製造方法では、熱風工程で、負極ペースト層の長手方向に沿い、かつ、負極ペースト層に対して斜めに当たる向きで熱風を吹き付けるので、熱風は幅方向に拡がり難く、幅方向の両端部に当たる熱風を少なくできる。これにより、幅方向の両端部において結着剤が表面側へ移動し難くなる。このため、負極活物質層における幅方向の中央部の表面側部と両端部の表面側部とで、結着剤の含有濃度Bad,Bbd,Bcdの差を大きくできる。
更に、上記のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記熱風工程は、前記熱風を、前記負極電極箔の進行方向に対して逆向きに吹き付ける工程であるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
熱風工程において、熱風を負極電極箔の進行方向に向けて吹き付けた場合、負極ペースト層の中央部の表面から蒸発した溶媒も熱風と共に進行方向に移動する。すると、進行方向前方にこの溶媒を含む熱風が供給されることで、負極ペースト層の中央部からの溶媒の蒸発が抑制され、全体として負極ペースト層の中央部の乾燥に時間が掛かりがちになる。
これに対し、この電池の製造方法では、熱風を負極電極箔の進行方向に対して逆向きに吹き付けるので、負極ペースト層の中央部の表面から蒸発した溶媒は、熱風と共に進行方向の逆向き(後方)に移動する。この場合には熱風で十分暖まっていない部位に熱風が届くことになるので、負極ペースト層の中央部からの溶媒の蒸発が抑制されることが少なく、かくして、全体として負極ペースト層の中央部の蒸発をより早くできる。
実施形態1に係るリチウムイオン二次電池を示す斜視図である。 実施形態1に係るリチウムイオン二次電池を示す縦断面図である。 実施形態1に係り、電極体を示す斜視図である。 実施形態1に係り、正極板及び負極板をセパレータを介して互いに重ねた状態を示す、電極体の展開図である。 実施形態1に係り、負極板の幅方向に沿う断面図である。 実施形態1に係るリチウムイオン二次電池の製造方法に関し、加熱乾燥工程の第2加熱乾燥工程及び第3加熱乾燥工程において、熱風を負極ペースト層の中央部相当部に吹き付けて、負極ペースト層を加熱乾燥させる様子を示す説明図である。 実施形態1に係るリチウムイオン二次電池の製造方法に関し、加熱乾燥工程の第2加熱乾燥工程及び第3加熱乾燥工程において、熱風を、負極電極箔の搬送方向とは逆向き、かつ、負極ペースト層に対して斜めに当たる向きに吹き付ける様子を示す説明図である。 実施形態1に係るリチウムイオン二次電池の製造方法に関し、加熱乾燥工程の第4加熱乾燥工程及び第5加熱乾燥工程において、熱風を負極ペースト層の幅方向全体に吹き付けて、負極ペースト層を加熱乾燥させる様子を示す説明図である。 実施形態1に係るリチウムイオン二次電池の製造方法に関し、加熱乾燥工程の第4加熱乾燥工程及び第5加熱乾燥工程において、負極ペースト層に垂直に当たる向きに熱風を吹き付ける様子を示す説明図である。 実施形態1に係るリチウムイオン二次電池の製造方法に関し、負極電極箔に負極活物質層を形成してできた、幅方向に2つの負極板が繋がった負極原板を示す平面図である。 比較例に係るリチウムイオン二次電池の製造方法に関し、熱風を負極ペースト層の端部相当部に吹き付けて、負極ペースト層を加熱乾燥させる様子を示す説明図である。 実施形態2に係るハイブリッド自動車を示す説明図である。
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1及び図2に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100(以下、単に電池100とも言う)を示す。また、図3及び図4に、この電池100を構成する捲回型の電極体120及びこれを展開した状態を示す。また、図5に、負極板131の断面を示す。なお、以下では、電池100の厚み方向BH、幅方向CH、高さ方向DHを、図1及び図2に示す方向と定めて説明する。また、図1及び図2における上方を電池100の上側、下方を電池100の下側として説明する。
この電池100は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載される角型の密閉型電池である。この電池100は、直方体形状の電池ケース110と、この電池ケース110内に収容された扁平状捲回型の電極体120と、電池ケース110に支持された正極端子150及び負極端子160等から構成されている(図1及び図2参照)。
また、電池ケース110内には、非水系の電解液117が保持されている。この電解液117は、混合有機溶媒に溶質及び皮膜形成添加剤118を添加した有機電解液である。有機混合溶媒は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、体積比でEC:EMC:DMC=3:3:4に調整したものである。また、溶質は、LiPF6 であり、電解液117におけるリチウムイオン濃度を1.0mol/Lとしている。また、皮膜形成添加剤118は、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)であり、その添加量を0.5wt%としている。
電池ケース110は、金属(具体的にはアルミニウム)により形成されている。この電池ケース110は、上側のみが開口した箱状のケース本体部材111と、このケース本体部材111の開口111hを閉塞する形態で溶接されたケース蓋部材113とから構成されている(図1及び図2参照)。ケース蓋部材113のうち、その長手方向(電池100の幅方向CH)の中央付近には、非復帰型の安全弁113vが設けられている。また、この安全弁113vの近傍には、電解液117を電池ケース110内に注入する際に用いられる注液孔113hが設けられている。この注液孔113hは、封止部材115で気密に封止されている。
また、ケース蓋部材113のうち、その長手方向(電池100の幅方向CH)の両端近傍には、電池ケース110の内部から外部に延出する形態の正極端子(正極端子部材)150及び負極端子(負極端子部材)160がそれぞれ固設されている。具体的には、これらの端子150,160は、これらにバスバや圧着端子など電池外の接続端子を締結するためのボルト153,163と共に、樹脂からなる絶縁部材155,165を介して、ケース蓋部材113に固設されている。
次に、電極体120について説明する(図2〜図4参照)。この電極体120は、その軸線(捲回軸)AXが電池100の幅方向CHと平行となるように横倒しにした状態で、電池ケース110内に収容されている(図2参照)。この電極体120は、帯状の正極板121と帯状の負極板131とを、樹脂製の多孔質膜からなる帯状の2枚のセパレータ141,141を介して互いに重ねて(図4参照)、軸線AX周りに捲回し、扁平状に圧縮したものである(図3参照)。正極板121の幅方向の一部は、セパレータ141,141から軸線AX方向の一方側AC(図2中、左方、図3中、上方)に渦巻き状をなして突出しており、前述した正極端子(正極端子部材)150と接続(溶接)している。また、負極板131の幅方向FHの一部は、セパレータ141,141から軸線AX方向の他方側AD(図2中、右方、図3中、下方)に渦巻き状をなして突出しており、前述した負極端子(負極端子部材)160と接続(溶接)している。
正極板121(図4参照)は、芯材として、アルミニウムからなる帯状の正極電極箔122を有する。この正極電極箔122の両主面のうち幅方向の一部(図4中、下方)には、それぞれ長手方向EH(図4中、左右方向)に帯状に延びる正極活物質層(正極合剤層)123,123が形成されている。これらの正極活物質層123,123は、正極活物質と導電剤と結着剤とからなる。
負極板131(図4及び図5参照)は、芯材として、銅からなる帯状の負極電極箔132を有する。この負極電極箔132の両主面のうち幅方向FHの一方側FCの一部(図4中、上方、図5中、左方)には、それぞれ長手方向EH(図4中、左右方向、図5中、紙面に直交する方向)に帯状に延びる負極活物質層(負極合剤層)133,133が形成されている。更に、これらの負極活物質層133,133の表面133f,133fには、電解液117に添加した前述の皮膜形成添加剤118由来の皮膜134,134がそれぞれ形成されている。
負極活物質層133,133は、それぞれ厚みが0.15mmであり、場所によらず均一な厚みとなっている。この負極活物質層133は、負極活物質135と結着剤136と増粘剤137とからなる。本実施形態1では、負極活物質135として黒鉛、結着剤136としてスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、増粘剤137としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いている。また、負極活物質135と結着剤136と増粘剤137の混合割合は、負極活物質層133全体では、重量比で100:1:1である。
この負極活物質層133では、厚み方向GH全体について平均した結着剤136の含有濃度(平均含有濃度)Bnが、長手方向EH及び幅方向FHについて(負極活物質層133の拡がり方向について)場所によらず等しくなっている。具体的には、含有濃度Bn=0.98wt%である。
一方、負極活物質層133のうち、その厚み方向GHの中央よりも負極活物質層133の表面133fをなす側を表面側部133d、負極電極箔132側を電極箔側部133eとする。また、負極活物質層133を幅方向FHについて中央部133aと2つの端部133b,133cとに3等分する。すると、中央部133aの表面側部133adにおける結着剤136の含有濃度Badは、2つの端部133b,133cの表面側部133bd,133cdそれぞれにおける結着剤136の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくされている(Bad>Bbd、かつ、Bad>Bcd)。
各表面側部133ad,133bd,133cd及び後述する各電極箔側部133ae,133be,133ceにおける結着剤136の含有濃度Bad,Bbd,Bcd,Bae,Bbe,Bceは、次のようにして求めた。即ち、SEM−EDX装置(Scanning Electron Microscope - Energy Dispersive X-ray spectrometer)、具体的には、SEMとして日立ハイテクノロジー製:S−4300、EDXとして堀場製作所製:EMAX−57770を用意した。一方、前処理として、負極活物質層133を臭素(Br)で染色して、負極活物質層133中に存在する結着剤136に臭素を付着させる。そして、上記の装置を用いて、負極活物質層133の幅方向FHに沿う断面について、結着剤136に付着した臭素の特性X線の強度の面分布を測定して、この断面における結着剤136の分布をマッピングする。このマップに基づいて各表面側部133ad等及び各電極箔側部133ae等における結着剤136の含有濃度Bad,Bae等(相対値)をそれぞれ数値化して、比較した。
なお、上記の方法では、前処理として、負極活物質層133を臭素で染色したが、臭素の代わりに、オスミウム(Os)で染色することもできる。
また、フッ素を含む結着剤を用いた場合には、前述の前処理を行うことなく、フッ素のKα線を測定しマッピングすることによって、表面側部133ad等及び電極箔側部133ae等における結着剤136の含有濃度Bad,Bae等(相対値)をそれぞれ数値化してもよい。
また、負極活物質層133における結着剤136の厚み方向GHの偏りを示すマイグレーション指数Kを、表面側部133dにおける結着剤136の含有濃度Bdと、電極箔側部133eにおける結着剤136の含有濃度Beとの比(K=Bd/Be)で定義する。すると、この負極活物質層133は、幅方向FHの中央部133aにおけるマイグレーション指数Kaと、端部133b,133cにおけるマイグレーション指数Kb,Kcとの比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.10以上、更には1.20以上とされている。
具体的には、中央部133aにおけるマイグレーション指数Kaは、中央部133aの表面側部133adにおける結着剤136の含有濃度Badと、中央部133aの電極箔側部133aeにおける結着剤136の含有濃度Baeとの比より、Ka=Bad/Bae=1.36であった。
また、端部133bにおけるマイグレーション指数Kbは、端部133bの表面側部133bdにおける結着剤136の含有濃度Bbdと、端部133bの電極箔側部133beにおける結着剤136の含有濃度Bbeとの比より、Kb=Bbd/Bbe=1.11であった。従って、マイグレーション指数Kの比(Ka/Kb)は、1.23である。
同様に、端部133cにおけるマイグレーション指数Kcは、端部133cの表面側部133cdにおける結着剤136の含有濃度Bcdと、端部133cの電極箔側部133ceにおける結着剤136の含有濃度Bceとの比より、Kc=Bcd/Bce=1.11であった。従って、マイグレーション指数Kの比(Ka/Kc)は、1.23である。
一方、皮膜形成添加剤118由来の皮膜134,134は、電池100の初充電の際に、電解液117中の皮膜形成添加剤118が還元分解して負極活物質層133の表面133fに形成されたものである。この皮膜134は、負極活物質層133の幅方向FHの中央部133aよりも端部133b,133cで厚く形成されている。
以上で説明したように、この電池100の負極活物質層133は、幅方向FHの中央部133aの表面側部133adにおける結着剤136の含有濃度Badが、端部133b,133cの表面側部133bd,133cdそれぞれおける結着剤136の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくされている。これにより、負極活物質層133自体の、中央部133aにおけるリチウムの受け入れ性が、端部133b,133cにおけるリチウムの受け入れ性よりも低くなる。このため、負極板131全体で見たとき(負極活物質層133と皮膜134とを合わせて見たとき)、中央部133aと端部133b,133cとでリチウムの受け入れ性の差を小さく、また、反応抵抗の差も小さくできる。従って、電池100に低温かつハイレートの充放電を繰り返し行わせても、負極活物質層133の幅方向FHの端部133b,133cでリチウム析出が生じ難くなり、電池寿命を向上させることができる。特に、本実施形態1では、マイグレーション指数Kの比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.10以上、更には1.20以上となるように、端部133b,133cの表面側部133bd,133cdにおける結着剤136の含有濃度Bbd,Bcdよりも、中央部133aの表面側部133adにおける結着剤136の含有濃度Badを大きくしているので、特に電池寿命を向上させることができる。
次いで、上記電池100の製造方法について説明する。
まず、負極板131を製造について述べる。この負極板131(後述する正極板121も同様である)は、2枚の負極板131,131が幅方向FHに繋がると共に、この一対の負極板131,131が長手方向EHに複数繋がった負極原板131x(図10参照)を製造した後に、これを切断して個々の負極板131,131,…に個分けする方法により製造する。なお、図10における破線は、互いに隣り合う負極板131,131,…同士の境界を示している。
具体的には、銅からなる帯状の負極電極箔132xを用意する(図6参照)。この負極電極箔132xは、2枚分の負極電極箔132,132が幅方向FHに繋がった幅寸法を有する帯状である。
また別途、負極活物質135、結着剤136、増粘剤137及び溶媒138を含む負極ペーストを用意する。具体的には、天然黒鉛(負極活物質)135とSBR(結着剤)136とCMC(増粘剤)137とを100:1:1の重量比で混合し、溶媒138(具体的には水)で粘度を調整しながらスラリ(負極ペースト)を作成する。
そして、塗工工程において、前述の負極電極箔132xのうち、一方の主面の幅方向FHの中央部に、ダイコート法により負極ペーストを塗布して、負極ペースト層133pを形成する(図6参照)。
次に、加熱乾燥工程において、この負極ペースト層133pを加熱乾燥させて、2つの負極活物質層133,133が幅方向FHに繋がった負極活物質層133x(図10参照)を形成する。この加熱乾燥工程では、負極活物質層133の端部133b,133cとなる負極ペースト層133pの端部相当部133pb,133pcの間に挟まれた、負極活物質層133の中央部133aとなる負極ペースト層133pの中央部相当部133paで、溶媒138が早く蒸発するパターンで、負極ペースト層133pを加熱乾燥させる。
具体的には、この加熱乾燥工程は、第1加熱乾燥ゾーンから第5加熱乾燥ゾーンの5つの加熱乾燥ゾーンが連なる乾燥炉内を、負極ペースト層133pが形成された負極電極箔132xを通過させることによって行う。まず、第1加熱乾燥ゾーンにおいて第1加熱乾燥工程を行う。即ち、図示しないIRヒータを用い、ヒータ温度を350℃にして、負極ペースト層133pの幅方向FH全体を均一に加熱乾燥させる。
続く、第2加熱乾燥ゾーンにおいて第2加熱乾燥工程(前述の熱風工程に相当する)を行う。即ち、図6及び図7に示すように、第1乾燥装置KS1を用いて、その熱風吹出口KS1r,KS1rから、80℃の熱風NFを負極ペースト層133pに局所的に吹き付けて、負極ペースト層133pを加熱乾燥させる。具体的には、負極ペースト層133pのうち、負極活物質層133の中央部133aとなる中央部相当部133pa,133paに、それぞれ熱風NFを吹き付けて、負極ペースト層133pを加熱乾燥させる。その際、熱風NFは、負極ペースト層133pの長手方向EHに沿い、かつ、負極ペースト層133pに対して斜めに当たる向きに、更に具体的には、負極電極箔132xの進行方向EAに対して逆向きに吹き付ける(図7参照)。
このように熱風NFを吹き付けることで、中央部相当部133pa,133paでは、端部相当部133pb,133pc,…よりも溶媒138が早く蒸発する。溶媒138が負極ペースト層133pの表面133pfから蒸発するのに伴って、負極ペースト層133p内の結着剤136も溶媒138と共に表面133pf側に移動する。この結着剤136の表面133pf側への移動は、溶媒138の蒸発速度が早く、このために負極ペースト層133p内における溶媒138の移動速度が早いほど大きくなる。このため、中央部相当部133pa,133paでは、端部相当部133pb,133pc,…よりも結着剤136の移動が大きく生じて、結着剤136の厚み方向GHの偏在が相対的に大きく生じる。
また、結着剤136の表面133pf側への移動は、負極ペースト層133p内に含まれる溶媒138の量が多く、結着剤136が負極ペースト層133p内を自由に移動し易い加熱乾燥工程の前半ほど大きく生じる。従って、この第2加熱乾燥工程では、結着剤136の厚み方向GHの偏在が特に大きく生じる。
また、この第2加熱乾燥工程では、熱風NFを中央部相当部133pa,133paに吹き付けるので、中央部相当部133pa,133paの表面133pfから蒸発した溶媒138を熱風NFと共に表面133pf近傍から除去できる。このため、中央部相当部133pa,133paにおいて、結着剤136が表面133pf側へ移動し易くなり、結着剤136の厚み方向GHの偏在が大きく生じる。
また、この第2加熱乾燥工程では、負極ペースト層133pの長手方向EHに沿い、かつ、負極ペースト層133pに対して斜めに当たる向きで熱風NFを吹き付けるので、熱風NFは幅方向FHに拡がり難く、端部相当部133pb,133pc,…に当たる熱風NFを少なくできる。これにより、端部相当部133pb,133pc,…では、結着剤136が表面133pf側へ移動し難くなり、結着剤136の厚み方向GHの偏在が小さく生じる。
また、この第2加熱乾燥工程では、熱風NFを負極電極箔132xの進行方向EAに対して逆向きに吹き付けるので、中央部相当部133pa,133paの表面133pfから蒸発した溶媒138は、熱風NFと共に進行方向の逆向き(後方、図7中、左側)に移動する。これにより、熱風NFで十分暖まっていない部位に熱風NFが届くことになるので、中央部相当部133pa,133paからの溶媒138の蒸発が抑制されることが少なく、全体として中央部相当部133pa,133paの蒸発をより早くできる。
続く、第3加熱乾燥ゾーンにおいて第3加熱乾燥工程(前述の熱風工程に相当する)を行う。この第3加熱乾燥工程でも、上述の第2加熱乾燥工程と同様に、第1乾燥装置KS1を用いて、熱風NFを負極ペースト層133pの中央部相当部133pa,133paに局所的に吹き付けて、負極ペースト層133pを加熱乾燥させる(図6及び図7参照)。但し、熱風NFの温度は、第2加熱乾燥工程よりも5°高い85℃とする。この第3加熱乾燥工程でも、結着剤136が端部相当部133pb,133pc,…よりも中央部相当部133pa,133paで大きく表面133pf側に移動するので、中央部相当部133pa,133paにおける結着剤136の厚み方向GHの偏在が更に大きくなる。
次に、第4加熱乾燥ゾーンにおいて第4加熱乾燥工程を行う。ここでは、図8及び図9に示すように、第2乾燥装置KS2を用いて、その熱風吹出口KS2rから、100℃の熱風NFを負極ペースト層133pの幅方向FH全体に吹き付けて、負極ペースト層133p全体を加熱乾燥させる。その際、熱風NFは、負極ペースト層133pに垂直に当たる向きに吹き付ける(図9参照)。
続く、第5加熱乾燥ゾーンにおいて第5加熱乾燥工程を行う。この第5加熱乾燥工程でも、上述の第4加熱乾燥工程と同様に、第2乾燥装置KS2を用いて、熱風NFを負極ペースト層133pの幅方向FH全体に吹き付けて、負極ペースト層133p全体を加熱乾燥させる。但し、熱風NFの温度は、第4加熱乾燥工程よりも20℃高い120℃とする。
かくして、負極ペースト層133pから溶媒138が完全に蒸発して、負極活物質層133xが形成される。
同様に、負極電極箔132xの反対側の主面にも、負極ペーストを塗布して負極ペースト層133pを形成し(塗工工程)、その後、同様の乾燥炉を用い、負極ペースト層133pを熱風NF等により加熱乾燥させて、負極活物質層133xを形成する(加熱乾燥工程)。
その後、加圧ロールにより負極活物質層133x,133xを圧縮して、その密度を高める。これにより、負極原板131xが形成される(図10参照)。
次に、この負極原板131xを幅方向FHに半分に切断し、更に所要長さに切断して、個々の負極板131,131,…を得る。かくして、負極板131を形成する(図5参照)。
また別途、正極板121を製造する。即ち、アルミニウムからなる帯状の正極電極箔を用意する。この正極電極箔は、2枚分の正極電極箔122,122が幅方向に繋がった幅寸法を有する帯状である。そして、この正極電極箔のうち、一方の主面の幅方向の中央部に、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む正極ペーストを塗布し乾燥させて、正極活物質層を形成する。同様に、正極電極箔の反対側の主面にも、その幅方向の中央部に、上記の正極ペーストを塗布し乾燥させて、正極活物質層を形成する。その後、加圧ロールにより正極活物質層を圧縮して、その密度を高める。その後、この正極原板を切断して、個々の正極板121,121,…を得る。かくして、正極板121を形成する(図4参照)。
次に、帯状のセパレータ141,141を2枚用意し、前述の正極板121と負極板131とをセパレータ141,141を介して互いに重ね(図4参照)、巻き芯を用いて軸線AX周りに捲回する。その後、これを扁平状に圧縮して電極体120を形成する(図3参照)。
また別途、ケース蓋部材113と正極端子部材150と負極端子部材160とボルト153,163とを用意し、これらを射出成形用の金型にセットする。そして、射出成形により絶縁部材155,165を一体的に成形して、ケース蓋部材113に正極端子部材(正極端子)150及び負極端子部材(負極端子)160を固設しておく。
次に、正極端子150及び負極端子160を電極体120にそれぞれ接続(溶接)する。その後、ケース本体部材111を用意し、ケース本体部材111内に電極体120を収容すると共に、ケース本体部材111の開口111hをケース蓋部材113で塞ぐ。そして、ケース本体部材111とケース蓋部材113とをレーザ溶接する(図1及び図2参照)。
次に、電解液117を注液孔113hから電池ケース110内に注液し、封止部材115で注液孔113hを気密に封止する。
次に、この電池100について、初充電を行う。その際、電解液117中の皮膜形成添加剤118が還元分解して、負極活物質層133の表面133fに皮膜134が形成される。その後は、エージングや各種検査を行う。かくして、電池100が完成する。
以上で説明したように、この電池100の製造方法では、加熱乾燥工程の少なくとも前半に、具体的には第2加熱乾燥工程及び第3加熱乾燥工程において、端部相当部133pb,133pcよりも中央部相当部133paで溶媒138が早く蒸発するパターンで、負極ペースト層133pを加熱乾燥させる。これにより、結着剤136の厚み方向GH全体の含有濃度Bnが場所によらず等しく、かつ、幅方向FHの中央部133aの表面側部133adにおける結着剤136の含有濃度Badが、端部133b,133cの表面側部133bd,133cdそれぞれにおける結着剤136の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きい負極活物質層133を、容易に形成できる。
この負極活物質層133自体は、幅方向FHの中央部133aにおけるリチウムの受け入れ性が端部133b,133cにおけるリチウムの受け入れ性よりも低いので、負極活物質層133と皮膜134とを合わせて見たときに、中央部133aと端部133b,133cとでリチウムの受け入れ性の差が小さく、また、反応抵抗の差も小さい。よって、低温かつハイレートの充放電を繰り返し行わせても、負極活物質層133の幅方向FHの両端部133b,133cでリチウム析出が生じ難く、電池寿命が長い電池100を、容易に製造できる。
更に、本実施形態1では、第2加熱乾燥工程及び第3加熱乾燥工程において、熱風NFを中央部相当部133paに吹き付けるので、中央部相当部133paの表面133pfから蒸発した溶媒138を熱風NFと共に表面133pf近傍から除去できる。このため、中央部相当部133paにおいて結着剤136が表面133pf側へ移動し易くなる。その結果、負極活物質層133の中央部133aの表面側部133adと端部133b,133cの表面側部133bd,133cdとで、結着剤136の含有濃度Bad,Bbd,Bcdの差を大きくできる。
また、本実施形態1では、負極ペースト層133pの長手方向EHに沿い、かつ、負極ペースト層133pに対して斜めに当たる向きで熱風NFを吹き付けるので、熱風NFは幅方向FHに拡がり難く、端部相当部133pb,133pcに当たる熱風NFを少なくできる。これにより、端部相当部133pb,133pcにおいて結着剤136が表面133pf側へ移動し難くなる。このため、負極活物質層133における中央部133aの表面側部133adと端部133b,133cの表面側部133bd,133cdとで、結着剤136の含有濃度Bad,Bbd,Bcdの差を大きくできる。
また、本実施形態1では、熱風NFを負極電極箔132の進行方向EAに対して逆向きに吹き付けるので、中央部相当部133paの表面133pfから蒸発した溶媒138は、熱風NFと共に進行方向の逆向きに移動する。このため、負極ペースト層133pからの溶媒138の蒸発が抑制されることがなく、負極ペースト層133pの乾燥時間を短くできる。この熱風NFは、熱風NFで十分暖まっていない部位に届くことになるので、中央部相当部133paからの溶媒138の蒸発が抑制されることが少なく、かくして、全体として中央部相当部133paの蒸発をより早くできる。
(実施例及び比較例)
次いで、実施形態1に係る電池100及びその製造方法の効果を検証するために行った試験の結果について説明する。
実施例3として、実施形態1に係る電池の製造方法により電池100を製造した。この電池100の製造方法では、前述したように、加熱乾燥工程の第1加熱乾燥工程において、IRヒータにより、ヒータ温度350℃で負極ペースト層133pの幅方向FH全体を均一に加熱乾燥させた。
また、第2加熱乾燥工程及び第3加熱乾燥工程では、それぞれ、熱風NF(第2加熱乾燥工程では80℃、第3加熱乾燥工程では85℃)を負極ペースト層133pの中央部相当部133paに斜めに吹き付けて(表1には「中央部:斜め」と示す)、負極ペースト層133pを加熱乾燥させた。
また、第4加熱乾燥工程及び第5加熱乾燥工程では、それぞれ、熱風NF(第4加熱乾燥工程では100℃、第5加熱乾燥工程では120℃)を負極ペースト層133pの幅方向FH全体に垂直に吹き付けて(表1には「全体:垂直」と示す)、負極ペースト層133pを加熱乾燥させた。
また、以下の実施例1,2,4及び比較例1〜3に係る電池の製造では、表1に示すように、第2加熱乾燥工程〜第5加熱乾燥工程を変更した。
具体的には、実施例1では、第3加熱乾燥工程を変更し、それ以外は実施例3(実施形態1)と同様とした。即ち、第3加熱乾燥工程において、熱風NFを負極ペースト層133pの幅方向FH全体に垂直に吹き付けて、負極ペースト層133pを加熱乾燥させた。
実施例2では、実施例1における第2加熱乾燥工程を変更し、それ以外は実施例1と同様とした。即ち、第2加熱乾燥工程において、熱風NFを負極ペースト層133pの中央部相当部133paに垂直に吹き付けて(表1には「中央部:垂直」と示す)、負極ペースト層133pを加熱乾燥させた。
実施例4では、第4加熱乾燥工程を変更し、それ以外は実施例3と同様とした。即ち、第4加熱乾燥工程において、熱風NFを負極ペースト層133pの中央部相当部133paに斜めに吹き付けて、負極ペースト層133pを加熱乾燥させた。
一方、比較例1では、実施例1における第2加熱乾燥工程を変更し、それ以外は実施例1と同様とした。即ち、第2加熱乾燥工程において、熱風NFを負極ペースト層133pの幅方向FH全体に垂直に吹き付けて、負極ペースト層133pを加熱乾燥させた。
比較例2では、実施例3における第2加熱乾燥工程及び第3加熱乾燥工程をそれぞれ変更し、それ以外は実施例3と同様とした。即ち、第2加熱乾燥工程及び第3加熱乾燥工程において、図11に示すように、第3乾燥装置KS3を用いて、その熱風吹出口KS3rから、熱風NF(第2加熱乾燥工程では80℃、第3加熱乾燥工程では85℃)を、負極ペースト層133pの端部相当部133pb,133pcにそれぞれ吹き付けて、負極ペースト層133pを加熱乾燥させた。その際、熱風NFは、負極ペースト層133pの長手方向EHに沿い、かつ、負極ペースト層133pに対して斜めに当たる向きに(具体的には、負極電極箔132xの進行方向EAに対して逆向きに)吹き付けた。
比較例3では、第2加熱乾燥工程〜第5加熱乾燥工程をそれぞれ変更し、それ以外は実施例3と同様とした。即ち、第2加熱乾燥工程〜第5加熱乾燥工程の各工程において、熱風NFを負極ペースト層133pの幅方向FH全体に斜めに吹き付けて(表1には「全体:斜め」と示す)、負極ペースト層133pを加熱乾燥させた。
Figure 0005803797
これら実施例1〜4及び比較例1〜3に係る各負極板の負極活物質層について、幅方向FHの中央部におけるマイグレーション指数Kaと、両端部におけるマイグレーション指数Kb,Kcをそれぞれ求め、更にそれらの比(Ka/Kb,Ka/Kc)を求め,表2に示した。なお、比(Ka/Kb)と比(Ka/Kc)の値が異なったものについては、小さい方の値を表2に記載してある。
また、実施例1〜4及び比較例1〜3に係る各電池について、「低温ハイレートサイクル試験」(以下、単にサイクル試験とも言う)を行って、サイクル試験後の容量維持率(%)を求めた。具体的には、まず各電池を25℃の環境下に置いて、1Cの定電流で電池電圧値4.2Vまで充電した後、5分間休止した。その後、1Cの定電流で電池電圧値2.5Vまで放電させて5分間休止した。次に、定電流−定電圧方式により、1Cの定電流で電池電圧値4.2Vまで充電し、更にこの電池電圧値を維持しつつ、充電電流値が0.01Cに低下するまで充電を行った。その後、定電流−定電圧方式により、1Cの定電流で電池電圧値2.5Vまで放電させ、更にこの電池電圧値を維持しつつ、放電電流値が0.01Cに低下するまで放電を行った。そして、測定した放電容量を試験前の電池容量とした。
次に、低温ハイレートサイクル試験を行った。即ち、各電池を−15℃の環境下に置いて、6Cの定電流で0.5秒間充電した後、0.06Cの定電流で50秒間放電させ、その後29.5秒間休止した。この充放電を1サイクルとし、これを2000サイクル繰り返した。
その後、サイクル試験前の電池容量の測定と同様にして、サイクル試験後の電池容量をそれぞれ測定し、サイクル試験前に対するサイクル試験後の容量維持率(%)をそれぞれ算出した。この結果を表2に示す。
Figure 0005803797
まず、負極活物質層のマイグレーション指数Kの比(Ka/Kb,Ka/Kc)とサイクル試験後の容量維持率との関係について考察する。表2から判るように、比較例1,3に係る各電池は、いずれもマイグレーション指数Kの比が1.00であり、サイクル試験後の容量維持率が低かった(93.1〜93.2%)。また、比較例2に係る電池は、マイグレーション指数Kの比が1.00を下回っており(0.79)、サイクル試験後の容量維持率が更に低かった(87.4%)。
その理由は、以下であると考えられる。即ち、皮膜形成添加物由来の皮膜は、前述のように、負極活物質層の幅方向FHの中央部よりも端部で厚く形成されている。一方、比較例1,3に係る電池では、マイグレーション指数Kの比が1.00であり、幅方向FHの中央部の表面側部における結着剤の含有濃度Badと、両端部の表面側部それぞれにおける結着剤の含有濃度Bbd,Bcdとが等しくなっている(Bad=Bbd=Bcd)。このため、負極活物質層と皮膜とを合わせて見たときに、幅方向FHの両端部でリチウムの受け入れ性が低くなって反応抵抗が大きくなる。従って、サイクル試験において、幅方向FHの両端部でリチウム金属が析出し、充放電に寄与するリチウムが減少して、電池容量が大幅に低下したと考えられる。
また、比較例2に係る電池では、マイグレーション指数Kの比が1.00を下回っていることから、後述する実施例1〜4に係る各電池とは逆に、幅方向FHの両端部の表面側部それぞれにおける結着剤の含有濃度Bbd,Bcdが、中央部の表面側部における結着剤の含有濃度Badよりも大きくなっている(Bbd>Bad、かつ、Bcd>Bad)ことが判る。このようなものでは、負極活物質層と皮膜を合わせて見たときに、比較例1,3に比しても、幅方向FHの両端部でリチウムの受け入れ性が更に低くなって反応抵抗が更に大きくなる。従って、サイクル試験において、幅方向FHの両端部でリチウム金属がより多く析出し、充放電に寄与するリチウムがより大きく減少して、電池容量がより大幅に低下したと考えられる。
これら比較例1〜3に係る各電池に対し、実施例1〜4に係る各電池は、いずれもマイグレーション指数Kの比が1.00を越えており(1.04〜1.70)、サイクル試験後の容量維持率も比較例1〜3に比して高くなった(94.6〜97.8%)。中でも、マイグレーション指数Kの比が1.10以上である実施例1,3,4に係る各電池では、容量維持率が特に高かった(96.7〜97.8%)。更に、マイグレーション指数Kの比が1.20以上である実施例3,4に係る各電池では、容量維持率が更に高かった(97.5〜97.8%)。
その理由は、以下であると考えられる。実施例1〜4に係る各電池では、マイグレーション指数Kの比が1.00を越えている。即ち、負極活物質層の幅方向FHの中央部の表面側部における結着剤の含有濃度Badが、両端部の表面側部それぞれにおける結着剤の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくなっている(Bad>Bbd、かつ、Bad>Bcd)。この負極活物質層自体では、幅方向FHの中央部におけるリチウムの受け入れ性が、両端部におけるリチウムの受け入れ性よりも低くなっている。
このため、負極活物質層と皮膜とを合わせて見たときに、幅方向FHの中央部と両端部とでリチウムの受け入れ性の差が小さく、また、反応抵抗の差も小さくなっている。特に、マイグレーション指数Kの比が1.10以上、更には1.20以上では、幅方向FHの中央部と両端部とでリチウムの受け入れ性の差が特に小さく、また、反応抵抗の差も特に小さくなっている。従って、サイクル試験において、幅方向FHの両端部でリチウム析出が生じ難くなり、電池容量の低下が抑制されたと考えられる。
このことから、低温ハイレートサイクル試験後の容量維持率を高くするには、負極活物質層の幅方向FHの中央部の表面側部における結着剤の含有濃度Badを、両端部の表面側部それぞれにおける結着剤の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくする(マイグレーション指数Kの比を1.00を越える値とする)のが良いことが判る。特に、マイグレーション指数Kの比を1.10以上、更には1.20以上とするのが好ましいことが判る。
次に、加熱乾燥工程と負極活物質層のマイグレーション指数Kの比(Ka/Kb,Ka/Kc)との関係について考察する。第1加熱乾燥工程〜第5加熱乾燥工程のいずれの工程においても、負極ペースト層133pの幅方向FH全体を加熱乾燥させた比較例1,3に係る各電池では、表2から判るように、いずれもマイグレーション指数Kの比が1.00であった。その理由は、加熱乾燥工程の全工程で負極ペースト層133pの幅方向FH全体を均一に加熱乾燥させたことで、負極活物質層における結着剤136の厚み方向GHの偏りが、幅方向FHの中央部と両端部とで等しくなった。このため、マイグレーション指数Kの比が1.00になったと考えられる。
また、第2加熱乾燥工程及び第3加熱乾燥工程において、熱風NFを負極ペースト層133pの端部相当部133pb,133pcに吹き付けた比較例2に係る電池では、マイグレーション指数Kの比が1.00を下回った(0.79)。その理由は、第2加熱乾燥工程及び第3加熱乾燥工程において負極ペースト層133pの端部相当部133pb,133pcを局所的に加熱乾燥させたことで、中央部相当部133paよりも端部相当部133pb,133pcにおいて結着剤136の表面133pf側への移動が大きく生じた。その結果、負極活物質層における結着剤136の厚み方向GHの偏りが、幅方向FHの中央部よりも両端部で大きくなった。このため、マイグレーション指数Kの比が1.00を下回ったと考えられる。
これに対し、加熱乾燥工程の少なくとも前半(具体的には少なくとも第2加熱乾燥工程)において、熱風NFを負極ペースト層133pの中央部相当部133paに吹き付けた実施例1〜4に係る各電池では、マイグレーション指数Kの比が1.00を越えた(1.04〜1.70)。その理由は、加熱乾燥工程の少なくとも前半において負極ペースト層133pの中央部相当部133paを局所的に加熱乾燥させたことで、端部相当部133pb,133pcよりも中央部相当部133paにおいて結着剤136の表面133pf側への移動が大きく生じた。その結果、負極活物質層における結着剤136の厚み方向GHの偏りが、幅方向FHの両端部よりも中央部で大きくなった。このため、マイグレーション指数Kの比が1.00を越えたと考えられる。
このことから、マイグレーション指数Kの比を1.00を越える値とするには、加熱乾燥工程の少なくとも前半において、負極ペースト層133pの中央部相当部133paを局所的に加熱乾燥させるのが良いことが判る。
次に、第2加熱乾燥工程における熱風NFの風向きのみを変更した実施例1と実施例2の各電池を比較すると、実施例1に係る電池の方が、マイグレーション指数Kの比が大きくなっている。その理由は、以下であると考えられる。即ち、実施例2では、熱風NFを負極ペースト層133pに垂直に当てているので、熱風NFは、中央部相当部133paに当たるだけでなく、幅方向FHに拡がって端部相当部133pb,133pcにも多く当たる。すると、端部相当部133pb,133pcでも、結着剤136が表面133pf側へ移動し易くなる。その結果、負極活物質層の幅方向FHの中央部と両端部とで、結着剤136の厚み方向GHの偏りの差が小さくなって、実施例1に比して、マイグレーション指数Kの比が小さくなったと考えられる。
これに対し、実施例1では、熱風NFを負極ペースト層133pの長手方向EHに沿い、かつ、負極ペースト層133pに対して斜めに当てているので、熱風NFは幅方向FHに拡がり難く、端部相当部133pb,133pcに当たる熱風NFが少なくなる。すると、端部相当部133pb,133pcでは、結着剤136が表面133pf側へ移動し難くなる。その結果、負極活物質層の幅方向FHの中央部と両端部とで、結着剤136の厚み方向GHの偏りの差が大きくなって、実施例2に比して、マイグレーション指数Kの比が大きくなったと考えられる。
このことから、マイグレーション指数Kの比を大きくするには、熱風NFを、負極ペースト層133pの長手方向EHに沿い、かつ、負極ペースト層133pに対して斜めに当たる向きで吹き付けるのが好ましいことが判る。
次に、第3加熱乾燥工程のみを変更した実施例1と実施例3の各電池を比較すると、実施例3に係る電池の方が、マイグレーション指数Kの比が大きくなっている。その理由は、以下であると考えられる。即ち、実施例1では、第3加熱乾燥工程で負極ペースト層133pの幅方向FH全体を加熱乾燥させているのに対し、実施例3では、第3加熱乾燥工程でも負極ペースト層133pの中央部相当部133paを局所的に加熱乾燥させている。このため、実施例3の方が、中央部相当部133paにおいて結着剤136の表面133pf側へ移動が大きく生じた。その結果、実施例3の方が、負極活物質層の幅方向FHの中央部と両端部とで、結着剤136の厚み方向GHの偏りの差が大きくなって、実施例1に比して、マイグレーション指数Kの比が大きくなったと考えられる。
次に、第4加熱乾燥工程のみを変更した実施例3と実施例4の各電池を比較すると、実施例4に係る電池の方が、マイグレーション指数Kの比が大きくなっている。その理由は、以下であると考えられる。即ち、実施例3では、第4加熱乾燥工程で負極ペースト層133pの幅方向FH全体を加熱乾燥させているのに対し、実施例4では、第4加熱乾燥工程でも負極ペースト層133pの中央部相当部133paを局所的に加熱乾燥させている。このため、実施例4の方が、中央部相当部133paにおいて結着剤136の表面133pf側へ移動が大きく生じた。その結果、実施例4の方が、負極活物質層の幅方向FHの中央部と両端部とで、結着剤136の厚み方向GHの偏りの差が大きくなって、実施例3に比して、マイグレーション指数Kの比が大きくなったと考えられる。
以上より、低温ハイレートサイクル試験後の容量維持率を高くするには、負極活物質層の幅方向FHの中央部の表面側部における結着剤の含有濃度Badを、両端部の表面側部それぞれにおける結着剤の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくする(マイグレーション指数Kの比を1.00を越える値とする)のが良いことが判る。特に、マイグレーション指数Kの比を1.10以上、更には1.20以上とするのが好ましいことが判る。
そして、マイグレーション指数Kの比を1.00を越える値とするには、加熱乾燥工程の少なくとも前半において、負極ペースト層133pの中央部相当部133paを局所的に加熱乾燥させるのが良いことが判る。更に、マイグレーション指数Kの比を大きくするには、熱風NFを、負極ペースト層133pの長手方向EHに沿い、かつ、負極ペースト層133pに対して斜めに当たる向きで吹き付けるのが好ましいことが判る。
(実施形態2)
次いで、第2の実施の形態について説明する。本実施形態2に係るハイブリッド自動車(車両)700(以下、単に自動車700とも言う)は、実施形態1に係る電池100を搭載し、この電池100に蓄えた電気エネルギを、駆動源の駆動エネルギの全部または一部として使用するものである(図12参照)。
この自動車700は、電池100を複数組み合わせた組電池710を搭載し、エンジン740、フロントモータ720及びリアモータ730を併用して駆動するハイブリッド自動車である。具体的には、この自動車700は、その車体790に、エンジン740と、フロントモータ720及びリアモータ730と、組電池710(電池100)と、ケーブル750と、インバータ760とを搭載する。そして、この自動車700は、組電池710(電池100)に蓄えられた電気エネルギを用いて、フロントモータ720及びリアモータ730を駆動できるように構成されている。
前述したように、電池100は、低温かつハイレートの充放電を繰り返し行わせても、負極活物質層133の幅方向FHの端部133b,133bでリチウム析出が生じ難く、電池寿命が長いので、この自動車700の耐久性を高くできる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態2では、本発明に係る電池100を搭載する車両として、ハイブリッド自動車700を例示したが、これに限られない。本発明に係る電池を搭載する車両としては、例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、フォークリフト、電気車いす、電動アシスト自転車、電動スクータなどが挙げられる。
100 リチウムイオン二次電池(電池)
117 電解液
118 皮膜形成添加剤
120 電極体
121 正極板
131 負極板
131x 負極原板
132 負極電極箔
132x (切断前の)負極電極箔
133 負極活物質層(負極合剤層)
133a (負極活物質層の幅方向の)中央部
133ad (中央部の)表面側部
133ae (中央部の)電極箔側部
133b,133c (負極活物質層の幅方向の)端部
133bd,133cd (端部の)表面側部
133be,133ce (端部の)電極箔側部
133d (負極活物質層の)表面側部
133e (負極活物質層の)電極箔側部
133f (負極活物質層の)表面
133p 負極ペースト層
133pa (負極ペースト層の)中央部相当部
133pb,133pc (負極ペースト層の)端部相当部
133pf (負極ペースト層の)表面
133x (切断前の)負極活物質層
134 皮膜
135 負極活物質
136 結着剤
137 増粘剤
138 溶媒
141 セパレータ
700 ハイブリッド自動車(車両)
710 組電池
EA 進行方向
EH (負極板の)長手方向
FH (負極板の)幅方向
FC (長手方向の)一方側
FD (長手方向の)他方側
GH (負極板の)厚み方向
KS1 第1乾燥装置
KS1r (第1乾燥装置の)熱風吹出口
KS2 第2乾燥装置
KS2r (第2乾燥装置の)熱風吹出口
KS3 第3乾燥装置
KS3r (第3乾燥装置の)熱風吹出口
NF 熱風

Claims (7)

  1. SEI皮膜の成長を抑制する皮膜を負極活物質層の表面に形成する皮膜形成添加剤が電解液に添加されてなり、
    帯状の負極電極箔上に、帯状で結着剤を含む前記負極活物質層が形成され、前記負極活物質層の前記表面に、前記皮膜形成添加剤由来の前記皮膜を有する負極板を捲回した電極体を備える
    リチウムイオン二次電池であって、
    前記負極活物質層は、
    厚み方向全体について平均した前記結着剤の含有濃度Bnが、長手方向及び幅方向について場所によらず等しく、かつ、
    前記負極活物質層のうち、前記厚み方向の中央よりも前記負極活物質層の表面をなす側を表面側部、前記負極電極箔側を電極箔側部とし、
    前記負極活物質層を前記幅方向について中央部と2つの端部とに3等分したとき、
    前記中央部のうち前記表面側部における前記結着剤の含有濃度Badが、2つの前記端部のうち前記表面側部それぞれにおける前記結着剤の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくされてなり、
    前記負極活物質層における前記結着剤の前記厚み方向の偏りを示すマイグレーション指数Kを、前記表面側部における前記結着剤の含有濃度Bdと前記電極箔側部における前記結着剤の含有濃度Beとの比(K=Bd/Be)としたとき、
    前記負極活物質層は、前記幅方向の前記中央部における前記マイグレーション指数Kaと、2つの前記端部における前記マイグレーション指数Kb,Kcとの比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.04以上とされてなる
    リチウムイオン二次電池。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.10以上とされてなる
    リチウムイオン二次電池。
  3. 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.20以上である
    リチウムイオン二次電池。
  4. SEI皮膜の成長を抑制する皮膜を負極活物質層の表面に形成する皮膜形成添加剤が電解液に添加されてなり、
    帯状の負極電極箔上に、帯状で結着剤を含む前記負極活物質層が形成され、前記負極活物質層の前記表面に、前記皮膜形成添加剤由来の前記皮膜を有する負極板を捲回した電極体を備え、
    前記負極活物質層は、
    厚み方向全体について平均した前記結着剤の含有濃度Bnが、長手方向及び幅方向について場所によらず等しく、かつ、
    前記負極活物質層のうち、前記厚み方向の中央よりも前記負極活物質層の表面をなす側を表面側部、前記負極電極箔側を電極箔側部とし、
    前記負極活物質層を前記幅方向について中央部と2つの端部とに3等分したとき、
    前記中央部のうち前記表面側部における前記結着剤の含有濃度Badが、2つの前記端部のうち前記表面側部それぞれにおける前記結着剤の含有濃度Bbd,Bcdよりも大きくされてなり、
    前記負極活物質層における前記結着剤の前記厚み方向の偏りを示すマイグレーション指数Kを、前記表面側部における前記結着剤の含有濃度Bdと前記電極箔側部における前記結着剤の含有濃度Beとの比(K=Bd/Be)としたとき、
    前記負極活物質層は、前記幅方向の前記中央部における前記マイグレーション指数Kaと、2つの前記端部における前記マイグレーション指数Kb,Kcとの比(Ka/Kb,Ka/Kc)が、それぞれ1.04以上とされてなる
    リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記負極電極箔上に、溶媒及び前記結着剤を含む負極ペーストを塗工して負極ペースト層を形成する塗工工程と、
    塗工した前記負極ペースト層を加熱乾燥させて、前記負極活物質層を形成する加熱乾燥工程であって、少なくともこの工程の前半において、2つの前記端部よりも前記中央部で前記溶媒が早く蒸発するパターンで、前記負極ペースト層を加熱乾燥させる加熱乾燥工程と、を備える
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  5. 請求項4に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記加熱乾燥工程は、
    少なくともこの工程の前半に、熱風を前記中央部に吹き付けて、2つの前記端部よりも前記中央部で前記溶媒を早く蒸発させる熱風工程を含む
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  6. 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記熱風工程は、
    前記熱風を、前記負極ペースト層の長手方向に沿い、かつ、前記負極ペースト層に対して斜めに当たる向きで吹き付ける工程である
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記熱風工程は、
    前記熱風を、前記負極電極箔の進行方向に対して逆向きに吹き付ける工程である
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
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