以下、本発明に係る冷却装置と画像形成装置の実施形態について図面を用いて説明する。最初に全体構成を説明し、その後に特徴部分について説明する。
図1は、画像形成ユニットとなる印刷ユニット500の構成を示す。印刷ユニット500は、画像形成装置100、冷却装置200、排紙装置300と、印刷状態を表示する表示部13を有する操作パネル400とを備えている。操作パネル400は、画像形成装置100に配置されている。
冷却装置200と排紙装置300は、画像形成装置100に対するオプションであり、ユーザーが任意に選択するものである。このため、画像形成装置100と同時に購入して納品される場合と、画像形成装置100の購入後に冷却装置200、排紙装置300が単体で購入される場合がある。冷却装置200が画像形成装置100と同時に購入されて使用される場合、冷却装置200を備えた画像形成装置としての取引形態となり、冷却装置200が画像形成装置100と個別に購入された場合は冷却装置200単独での取引形態となる。
画像形成装置100は原稿情報に基づいて記録媒体となる用紙Pの表面に印刷を行い、印刷された用紙Pを図2に示す定着手段となる熱定着装置101を用いて用紙Pに固着させて印刷物を得る周知のものである。画像形成方式としては、周知の電子写真方式を想定しているので、用紙Pにはトナー像が転写され、このトナー像が熱定着装置101による熱と圧力で溶解することで用紙Pに定着されることになる。この熱定着された用紙P(画像形成後の用紙)は排紙装置300へ搬送される前に、画像形成装置100と排紙装置300の間に配置された冷却装置200において冷却される。
排紙装置300は、用紙Pを積載する機能、ソートする機能、ステープル動作する機能を備えた周知のものであり、冷却装置200において冷却されて排紙された用紙Pに対し、予め設定された内容に基づいて、少なくとも1つの機能を実行する。
図2に示す冷却装置200は、その筐体201内に外気を取り込み、搬送経路を冷却する冷却ファン1A、1Bと、筐体201内の空気を排出する排出ファン2、3A、3Bと、画像形成装置100から排出されて搬送されてきた用紙Pを排紙装置300へ搬送する搬送経路4と、搬送経路4の近傍に配置され搬送経路4の温度を計測する温度計測手段6を備えている。これら冷却ファン1A、1Bと排出ファン2、3A、3Bは、搬送経路4を冷却するための冷却手段を構成している。なお、発明を実施するための形態において、冷却手段と記載する場合は符号18が付される。
搬送経路4は、熱伝導性の搬送経路部材となる搬送ガイド部材41,42によって構成されている。搬送ガイド部材41,42は搬送経路4内における矢印Aで示す記録媒体搬送方向となる用紙搬送方向と直交する用紙表裏側で互いに対向するように筐体201内に配置されている。筐体201内は、これら搬送ガイド部材41,42によって2つの空間202,203に区分されている。空間202には冷却ファン1Aと排気ファン2が、空間203には冷却ファン1Bと排気ファン3A、3Bがそれぞれ配設されている。
搬送経路4は、筐体上部右側に用紙Pを受け取る受取口4Aが位置し、筐体上部左側に用紙Pを排出する排出口4Bが位置し、受取口4Aと排出口4Bを繋ぐ中間部4Cが筐体上部から筐体下部に向かって大きく湾曲して形成されている。中間部4Cを湾曲させているのは用紙Pの搬送距離を長くして冷却効果を高めるためである。搬送経路4には、用紙Pを表裏方向から挟持して搬送するための複数の搬送ローラ対5が配置されている。搬送ローラ対5は図示しない駆動モータからの駆動力により回転駆動されることで、受取口4Aから用紙Pを搬送経路4内に取り込み中間部4Cを通過させ、排出口4Bから冷却装置200外部へと搬送する。
用紙Pを冷却する原理としては、上部の冷却ファン1Aで取り込んだ外気を、空間202内に面する搬送経路4の搬送ガイド部材41に吹き当てることで上部の搬送経路4の熱を放熱させ、放熱により温められた空間202内の空気を排気ファン2にて冷却装置200の外に排出する。また下部の冷却ファン1Bで取り込んだ外気を空間203内に面する搬送経路4の搬送ガイド部材42に吹き当てて下部の搬送経路4の熱を放熱させ、放熱により温められた空間203内の空気を排気ファン3A、3Bにて冷却装置200の外に排出する。
このように冷却装置200では、外気を搬送ガイド部材41、42に吹き当て、放熱により温められた筐体201内の空気を換気することにより搬送ガイド部材41,42を冷却することから、用紙Pは冷却された搬送経路4内を搬送ローラ対5によって搬送されながら冷却される。このため、如何に効率よく用紙Pの熱を搬送ガイド部材41、42に伝達するかが冷却効率向上のための1つのポイントとなり、また、その温度に応じて各装置の動作を制御する場合、如何に適切に(精度良く)搬送経路4の温度計測(検出)をするかが重要である。
(第1の実施形態)
そこで、本発明者達は、温度計測手段6を搬送経路4の直線部分ではなく、湾曲して用紙Pの搬送方向が変更される曲がり部4Dに配置して、曲がり部4Dの温度を計測するようにした。温度計測手段6の設置は、搬送経路4上の1箇所だけでも良いが、画像形成装置100が、用紙Pの表面と裏面を反転させて排出する機能や両面印刷する機能を備えている場合、温度計測手段7を曲がり部4Eに追加して設置しても良い。この場合、搬送経路4の上部と下部(用紙の表裏方向側)の両方を計測することにより、1箇所での計測に比べて用紙Pの冷却可否をより適切に行えるようになる。
図3を用いて温度計測手段6の設置場所とその効果について説明する。用紙Pは、用紙Pの熱を受けることで放熱する役割をもつ搬送ガイド部材41,42に案内されて搬送経路4を搬送されるが、搬送経路4の曲がり部4Dでは湾曲して搬送される。このため、曲がり部4Dにおいては、用紙搬送方向Aに対して外側に位置する搬送ガイド部材41と常に接触しながら搬送されることとなる。温度計測手段6としては、搬送ガイド部材41における曲がり部4Dの外側面41Aの部分に、例えばサーミスタなどの接触式の温度センサを設置して温度計測する。あるいは、搬送ガイド部材41における曲がり部4Dの外側面41Aの近傍にサーモパイルなどの非接触式の温度センサを設置して温度計測するようにしても良い。温度計測手段6が計測する部位となる曲がり部4Dは、温度の違う用紙P、すなわち種類の異なる用紙Pが搬送経路4内を搬送された場合でも、用紙Pが搬送ガイド部材41に接触するため、用紙Pの熱が搬送ガイド部材41に確実に伝わり温度が変化する。
このため、冷却装置200における用紙Pの冷却可否を適切に判定するためのパラメータである搬送経路4の温度情報を、搬送経路4の直線部分に温度計測手段6を設置して温度計測する場合に比べて精度良く適切に把握することができる。また、温度計測手段6は、搬送経路4の幅方向(図3においては紙面垂直方向)において、略中央に設置することで、搬送経路4内を搬送される用紙Pの幅(用紙サイズ)が変わったとしても、確実に用紙Pの温度の違いによる搬送経路4の温度変化を温度計測手段6にて精度良く適切に計測することができる。
(第2の実施形態)
図4は温度計測手段6の設置場所の別な形態を示す。図3では温度計測手段6を曲がり部4Dの外側に位置する搬送ガイド部材41側に配置したが、この形態では内側に位置する搬送ガイド部材42側に配置している。この場合、搬送経路4の温度を計測するために、曲がり部4Dにおいて用紙搬送方向Aの内側に位置する搬送ガイド部材42における曲がり部4Dに、搬送経路4内につながる開口42Aを形成し、温度計測手段6Aを開口42A近傍に設置する。そして、この開口42Aを通して、搬送ガイド部材41の内側面41Bの温度を計測するようにしている。温度計測手段6Aとしては、例としてサーモパイルなどの非接触式の温度センサを用いる。用紙Pの熱は、用紙Pが接触した搬送ガイド部材41の内側面41Bから外側面41Aに伝わる。一方、冷却ファン1Aは、搬送ガイド部材41の外側面41Aに空気を吹き当てるため、熱は搬送ガイド部材41の外側面41Aで放熱される。つまり、搬送ガイド部材41の外側面41Aよりも内側面41Bの方が、温度が高い場合がある。このため、搬送ガイド部材41の外側面41A側から搬送経路4の温度を温度計測手段6で計測するよりも、搬送ガイド部材41の内側面41B側の温度を温度計測手段6Aで計測することで、搬送経路4の内部温度を直接計測することができる。そのため、冷却装置200における用紙Pの冷却可否を判定するパラメータである温度情報を、より精度良く計測することができる。
なお、図2に示す温度計測手段7においても、図4に示す温度計測手段6Aと同様に、搬送経路4の曲がり部4Eの内側となる搬送ガイド部材41に開口を形成し、同開口から搬送経路4の曲がり部4Eの外側となる搬送ガイド部材42の内側面42Bの温度を計測するようにしても良い。
(第3の実施形態)
図5は、画像形成装置100と冷却装置200と表示パネル400の制御部15,8、11の構成を示す。これら制御部15,8、11は周知のコンピュータで構成されていて、各種情報を記憶する機能、演算する機能、送受信する機能を備えている。
画像形成装置100の制御部8は印刷制御手段9を備え、冷却装置200の制御部15とは通信線10を介して双方向通信可能に接続されている。操作パネル400の制御部11は表示制御手段12を備え、表示部13と通信線17を介して接続されており、画像形成装置100の制御部8とは、通信線14を介して双方向通信可能に接続されている。
印刷制御手段9は、熱定着装置101、冷却装置200、排紙装置300などに対して印刷可能な状態に移行するように印刷開始要求を送信し、全ての装置から印刷開始の許可を受けた場合に、印刷動作を開始させる機能を備えている。印刷制御手段9は、印刷中に熱定着装置101、冷却装置200あるいは排紙装置300の少なくとも1つが印刷できない状態になり、印刷不可通知を該当の装置から受けた場合には、印刷動作を中断させる機能を備えている。
冷却装置200の制御部15は冷却制御手段16を備え、この冷却制御手段16には、温度計測手段6と冷却手段18が接続されている。冷却手段18は、図2に示した冷却ファン1A,1B、排出ファン2,3A,3Bを指す。
本形態において、冷却制御手段16には、温度計測手段6による計測温度と比較する第1の設定値から第3の設定値となる設定値1、設定値2,設定値3が予め記憶されて設定されている。設定値1は、用紙搬送が実行されてもブロッキングが発生しない温度域の温度である。設定値2は、用紙搬送が実行されるとブロッキングが発生する温度域の温度である。設定値3は、設定値1よりも高い温度域の温度である。
冷却制御手段16は、温度計測手段6で計測した搬送経路4の温度が、設定値1以下の場合には、搬送経路4への用紙Pの搬送を許可する信号を画像形成装置100の印刷制御手段9に送信(通知)し、用紙搬送中に温度計測手段6で計測した搬送経路4の温度が、設定値2以上になった場合には、搬送経路4への用紙Pの搬送を不可とする信号を印刷制御手段9に送信(通知)する機能を備えている。
次に、図6〜図8を用いて具体的な制御内容を説明する。
図6は通紙許可判定制御の処理内容を示すフローチャートである。通紙許可判定制御は、画像形成装置100での印刷開始時に冷却制御手段16が実行するものである。なお、本形態では印刷開始時に、画像形成装置100の印刷制御手段9から、冷却装置200の冷却制御手段16(制御部15)に通紙可否を問合せる信号が入力されたものとする。
図6のステップS601では、冷却手段18を作動して冷却動作を開始する。具体的には、冷却ファン1A,1B及び排出ファン2,3A,3Bを作動する。ステップS602では、温度計測手段6にて搬送経路4の温度を計測し、ステップS603において、温度計測手段6の計測温度が設定値1以下であるか否かを判定する。ここで計測温度が設定値1以下の場合には、通紙してもブロッキングが発生しないものとみなしてステップS604へ移行し、同ステップにおいて用紙Pの搬送を許可する信号(通紙許可の通知)を画像形成装置100の印刷制御手段9(制御部8)に送信する。
このような制御を行うことで、温度計測手段6により精度良く計測された搬送経路4の計測温度が、冷却手段18が作動してブロッキングを誘発しない設定値1以下になると通紙可能と判定するので、トナー像が定着された用紙Pのブロッキング現象の発生を低減することができる。
図7は、印刷中の通紙中断判定制御の処理内容を示すフローチャートである。通紙中断判定制御は、印刷中に冷却制御手段16が実行するものである。図7のステップS701では、温度計測手段6にて搬送経路4の温度を計測し、ステップS702において計測温度が設定値2よりも大きいか否かを判定する。ここで計測温度が設定値2よりも大きい場合には、ブロッキングの発生のおそれがあるとみなしステップS703へ移行する。なお、ここでは設定値1≦設定値2として設定されている。
ステップS703では、用紙Pの搬送を不可とする信号(通紙中断の通知)を画像形成装置100の印刷制御手段9(制御部8)に送信する。このため、画像形成装置100では、用紙Pの搬送を停止(中断)する。
ステップS704では、温度計測手段6にて搬送経路4の温度を再度計測する。そして、ステップS705においてステップS704での計測温度が設定値1以下であるか否かを判定し、計測温度が設定値1以下の場合には、通紙してもブロッキングが発生しないものとみなし、ステップS706へ移行する。ステップS706では、図6のステップ604同様、用紙Pの搬送を許可する信号(通紙許可の通知)を画像形成装置100の印刷制御手段9(制御部8)に送信する。このため、画像形成装置100では、用紙Pの搬送を再開する。
このような制御を行うことで、温度計測手段6により精度良く計測された搬送経路4の計測温度が、印刷途中においてブロッキングの発生が懸念される設定値2よりも大きくなると通紙中断の通知が行われるので、画像形成装置100では用紙Pの通紙を停止する、すなわち冷却装置200に対する給紙を停止するので、トナー像が定着された用紙Pのブロッキング現象の発生を低減することができる。このような中断制御は、印刷枚数が多く冷却手段18を作動しても十分に搬送経路4の温度低下をできない場合や、過渡的に温度上昇が発生した場合に、ブロックキングを有効に抑制するのに好適である。
さらに本形態では、中断停止した後に再度、搬送経路4の温度を計測し、その計測温度が設定置1以下の場合には、用紙Pの搬送を許可する信号の送信(通紙許可の通知)が行われるので、画像形成装置100では冷却装置200に対して中止していた用紙Pの搬送を再開する。このため、搬送経路4の温度が低下すると、用紙Pの給紙が自動的に再開されるので、ユーザーが再開操作をしなくてもよい。
図7のフローチャートでは、ステップS703での印刷の中断後に再度搬送経路4の温度を計測し、計測温度が設定値1以下の場合には通紙を許可して、印刷を再開可能としているが、ステップS701〜S703までの処理だけを行うことで、通紙中断ではなく、印刷自体を停止するように、印刷の停止指令を画像形成装置100の制御部8に通知するようにしても良い。
図8は、操作パネル400の表示部13に表示される画面の一例を示す。冷却制御手段16は、図7のステップS703で印刷が中断した際、表示制御手段12に対して、表示部13の符号133で示す領域に、装置が準備中である内容を表示する信号を、印刷制御手段9を介して送信し、表示制御手段12は、その送信指令を受けて、領域133に装置が準備中である内容を表示する。この表示内容により、印刷が中断した原因がユーサーの誤操作によるものではないことを、ユーザーに伝えることができ、ユーザーの誤認の低減につながる。
(第4の実施形態)
本形態の特徴は、搬送経路4の温度を適切に計測し、搬送経路4の温度に応じて用紙Pの通紙量を制御することでブロッキングの発生を抑制しようとするものである。本形態において、通紙量とは、単位時間当たりの搬送経路4の通紙枚数であり、通紙枚数は用紙Pの搬送間隔で調整する。
従来の構成は、図2の熱定着装置101を通過後の用紙Pの温度を直接計測し、その結果より用紙Pの搬送速度を変更していたので、用紙Pの冷却可否の判定タイミングが遅れ気味となり、適切に用紙Pを冷却することができなかった。そこで、本形態では、用紙Pの温度を計測するのではなく、搬送経路4の温度を計測しその計測温度に対応した用紙Pの搬送間隔に変更としている。
具体的には図9に示すように、画像形成装置100の制御手段となる制御部8が印刷制御手段9Aを備えているとともに、冷却装置200の制御部15が冷却制御手段16Aを備えている。これ以外の構成は、図5に示す構成と同一機能を備えているので、図9では、図5で用いた符号と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
印刷制御手段9Aは、各装置から通知される用紙搬送間隔を印刷中は常時監視し、通知内容に応じて用紙搬送間隔を変更する機能や適宜基準よりも長くする機能を備えている。用紙搬送間隔とは、先行用紙先端と後続用紙先端との距離のことである。例として、排紙装置300で用紙Pのステープル動作を行なう際は、印刷制御手段9Aは排紙装置300から通知を受けたステープル動作時間を用紙搬送間隔として確保する。印刷制御手段9Aは、複数の装置から用紙搬送間隔を長くする通知があった場合、各装置から通知された用紙搬送間隔を一旦記憶すると共に、記憶した用紙搬送間隔の中で、最も長い用紙搬送間隔を選択し、当該用紙搬送間隔に現在の用紙搬送間隔を調整する機能を備えている。印刷制御手段9Aに、印刷制御手段9と同様、熱定着装置101、冷却装置200、排紙装置300などに対して印刷可能な状態に移行するように印刷開始要求を送信し、全ての装置から印刷許可通知を受けた場合に、印刷動作を開始させる機能や、印刷中に熱定着装置101、冷却装置200あるいは排紙装置300の少なくとも1つが印刷できない状態になり、印刷不可通知を該当の装置から受けた場合には、印刷動作を中断させる機能を持たせても良い。
冷却制御手段16Aは、画像形成装置100から搬送経路4に用紙Pの搬送が行われている間、温度計測手段6で計測した搬送経路の計測温度が、ブロッキングが発生する温度域にある設定値3よりも大きい場合、用紙Pの搬送間隔を広げる信号を画像形成装置100の印刷制御手段9Aに送信(通知)する機能と、温度計測手段6で計測した搬送経路4の計測温度が設定値3よりも小さい場合、用紙Pの搬送間隔を狭める信号を画像形成装置100の印刷制御手段9Aに送信(通知)する機能を備えている。なお、設定値3の値は、設定値1≦設定値3≦設定値2となるように設定されている。
このような構成による用紙搬送間隔変更制御の処理内容について図10を用いて説明する。この用紙搬送間隔変更制御の内、変更するか否かの判定は冷却制御手段16Aで行われ、用紙搬送間隔の変更自体は印刷制御手段9Aによって画像形成装置100側で行われる。図10を用いて冷却制御手段9Aが行なう処理内容について説明する。なお、図10では、既に画像形成装置100による印刷が実行されているものとする。
図10のステップS901では、温度計測手段6にて搬送経路4の温度を計測し、ステップS902において計測温度が設定値3より大きいかを判定(確認)する。計測温度が設定値3より大きい場合はステップS903へ移行し、それ以外の場合はステップS907に移行する。
ステップS903では、現在の用紙搬送間隔が最大値より小さいか否かを判定し、現在の用紙搬送間隔が最大値より小さい場合はステップS904に移行する。最大値としては、例えば、基準の用紙搬送間隔の10倍に設定しておく。ステップS904では、用紙搬送間隔を現在の用紙搬送間隔のN倍に設定する。すなわち、用紙搬送間隔を広くする。なお、Nは、例として2に設定しておく。
ステップS905では、N倍して広げた用紙搬送間隔の情報を画像形成装置100の印刷制御手段9A(制御部8)に通知し、ステップS906において通知後一定時間まつ。この待ち時間は、例として10秒とする。
一方、ステップS902において計測温度が設定値3以下である場合はステップS907において、現在の用紙搬送間隔が最小値より大きいか否かを判定する。ここで、現在の用紙搬送間隔が最小値より大きい場合は、ステップS908に移行する。最小値としては、例えば基準の用紙搬送間隔に設定されているものとする。
ステップS908では、用紙搬送間隔を現在の用紙搬送間隔のN分の1に設定する。すなわち用紙搬送間隔を狭くする。Nは例として2に設定されているものとする。ステップS909では、N分の1として狭めた用紙搬送間隔の情報を画像形成装置100の印刷制御手段9A(制御部8)に通知し、ステップS906において通知後一定時間待つ。
ここで、一定時間待つのは、例えば、ステップS905において、搬送経路4の温度が設定温度より高くなった場合に用紙搬送間隔を最小値のN倍にしたとしても、搬送経路4の温度がすぐに設定温度以下になるわけではない。つまり、用紙搬送間隔を広くしても、その効果が搬送経路4の温度に現れるには、ある程度の時間がかかるため、ここでは、待ち時間を設けている。仮にステップS906の待ち時間が設定されていないと、搬送経路4の温度が一瞬でも設定温度より高くなった時点で、用紙搬送間隔が一気に最小値から最大値に変化するフローチャートとなり、生産性を無駄に落とすことになるため、待ち時間を設定することは、生産性の観点から重要な要素となる。
このように、温度計測手段6により精度良く計測される搬送経路4の計測温度が設定値3より大きい場合、用紙搬送間隔を現在の用紙搬送間隔よりも広げる方向に可変制御するので、単位時間当たりの搬送経路4を搬送される用紙Pの枚数(通紙量)が低減する。このため、印刷時に搬送経路4の温度がブロッキングの発生する温度域になった場合でも、印刷動作を中断あるいは停止させることなく印刷枚数を低減させて熱負荷を低減しつつも、冷却手段18を作動させて搬送経路4を冷却するので、印刷を中断、停止する場合に比べて印刷物の生産性を確保しつつも、効率的に搬送経路4の冷却を行える。
また、用紙搬送間隔を広げて通紙枚数を間引いて通紙量を低減する制御の結果、搬送経路4の計測温度が設定値1より小さくなってブロッキングの発生がしなくなった場合には、現在の用紙搬送間隔を狭めるように用紙搬送間隔を制御するので、印刷物の生産性の低下を抑えつつも効率的に搬送経路4の冷却を行える。
(第5の実施形態)
本形態の特徴は、搬送経路4の温度を適切に計測し、搬送経路4の温度に応じて用紙Pの通紙量を制御することでブロッキングの発生を抑制しようとするものである。本形態において、通紙量とは、単位時間当たりの搬送経路4の通紙枚数であり、これらは用紙Pの搬送速度で調整する。
具体的には図11に示すように、画像形成装置100の制御手段となる制御部8が印刷制御手段9Bを備えているとともに、冷却装置200の制御部15が冷却制御手段16Bを備えている。これ以外の構成は、図5に示す構成と同一機能を備えているので、図11では、図5で用いた符号と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
印刷制御手段9Bは、各装置から通知される用紙搬送速度を確認し、用紙搬送速度を通知内容に応じて変更する機能や、適宜基準よりも遅くする機能を備えている。ここで、用紙搬送速度とは、単位時間あたりに用紙Pが進む距離のことである。印刷制御手段9Bは、各装置から通知された用紙搬送速度の中で、最も遅いものを選択して、用紙搬送速度を調整するように機能する。印刷制御手段9Bは、複数の装置から用紙搬送速度を遅くする通知があった場合、各装置から通知された用紙搬送速度の中で、最も遅いものを選択して当該用紙搬送速度となるように現在の用紙搬送速度を調整する機能も備えている。印刷制御手段9Bに、印刷制御手段9と同様、熱定着装置101、冷却装置200、排紙装置300などに対して印刷可能な状態に移行するように印刷開始要求を送信し、全ての装置から印刷許可通知を受けた場合に、印刷動作を開始させる機能や、印刷中に熱定着装置101、冷却装置200あるいは排紙装置300の少なくとも1つが印刷できない状態になり、印刷不可通知を該当の装置から受けた場合には、印刷動作を中断させる機能を持たせても良い。
冷却制御手段16Bは、画像形成装置100から搬送経路4に用紙Pの搬送が行われている間、温度計測手段6で計測した搬送経路4の計測温度が、ブロッキングが発生する温度域にある設定値3よりも大きい場合、用紙Pの搬送速度を遅くする信号を画像形成装置100の印刷制御手段9B(制御部8)に送信(通知)するとともに、温度計測手段6で計測した搬送経路4の計測温度が、設定値3よりも小さい場合、用紙搬送速度を早くする信号を画像形成装置100の印刷制御手段9B(制御部8)に送信(通知)する機能を備えている。なお、設定値3の値は、設定値1≦設定値3≦設定値2となるように設定されている。
このような構成による用紙搬送速度変更制御の処理内容について図12を用いて説明する。この用紙搬送速度変更制御の内、変更するか否かの判定は冷却制御手段16Bで行われ、用紙搬送速度の変更自体は印刷制御手段9Bによって画像形成装置100側で行われる。図12を用いて冷却制御手段9Bが行なう処理内容について説明する。なお、図12では、既に画像形成装置100による印刷が実行されているものとする。
図12のステップS1001では温度計測手段6にて搬送経路4の温度を計測し、ステップS1002において計測温度が設定値3より大きいかを判定(確認)する。そして計測温度が設定値3より大きい場合はステップS1003へ移行し、それ以外の場合は、ステップS1007に移行する。
ステップS1003では、現在の用紙搬送速度が最小値より大きいか否かを判定し、大きい場合にはステップS1004に移行する。最小値は、例として基準の用紙搬送速度の4分の1に設定しておく。ステップS1004では、用紙搬送速度を現在の用紙搬送速度のN分の1に設定する。なお、Nは、例として2に設定されているものとする。
ステップS1005では、N分の1にして減速した用紙搬送速度の信号を画像形成装置100の印刷制御手段9B(制御部8)に通知し、ステップS1006において通知後一定時間まつ。この時間は、例として10秒とする。
一方、ステップS1002において計測温度が設定値3以下である場合はステップS1007において、現在の用紙搬送速度が最大値より小さいか否かを判定する。ここで現在の用紙搬送速度が最大値より小さい場合にはステップS1008に移行する。ここでの最大値は基準の用紙搬送速度とする。ステップS1008では、用紙搬送速度を現在の用紙搬送速度のN倍に設定する。なおNは、例として2に設定されているものとする。
ステップS1009では、N倍して増速した用紙搬送速度の信号を画像形成装置100の印刷制御手段9B(制御部8)に通知し、ステップS1006において通知後一定時間まつ。
このように、温度計測手段6により精度良く計測される搬送経路4の計測温度が、ブロッキングが発生する温度域にある設定値3よりも大きい場合、用紙搬送速度を減速するように制御するので、単位時間当たりの搬送経路4を搬送される用紙Pの枚数(通紙量)が低減する。このため、印刷時に搬送経路4の温度がブロッキングの発生する温度域になった場合でも、印刷動作を中断、停止させることなく印刷枚数を低減させて熱負荷を低減しつつも冷却手段18を作動させて搬送経路4を冷却するので、印刷を中断、停止する場合に比べて印刷物の生産性を確保しつつも、効率的に搬送経路4の冷却を行える。
また、用紙搬送速度を減速して通紙枚数を間引いて通紙量を低減する制御の結果、搬送経路4の計測温度が設定値3以下となってブロッキングの発生がしなくなった場合には、現在の用紙搬送速度を増速するように用紙搬送速度を制御するので、印刷物の生産性の低下を抑えつつも効率的に搬送経路4の冷却を行える。
(第6の実施形態)
本形態の特徴は、第4の実施形態と第5の実施形態を同時に行うものであり、温度計測手段6により計測した搬送経路4の計測温度に応じた用紙搬送速度の可変制御を最初に実行し、その後に計測温度に応じた用紙搬送間隔の可変制御を行うものである。
図13は本形態を実施するための制御系のブロックであり、図14,図15は制御内容を示すフローチャートである。本形態では、図13に示すように、画像形成装置100の制御手段となる制御部8が印刷制御手段9Cを備えているとともに、冷却装置200の制御部15が冷却制御手段16Cを備えている。これ以外の構成は、図5に示す構成と同一機能を備えているので、図13では、図5で用いた符号と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
印刷制御手段9Cは、各装置から通知される用紙搬送速度を確認し、用紙搬送速度を通知内容に応じて変更する機能や、適宜基準よりも遅くする機能を備えている。ここで、用紙搬送速度とは、単位時間あたりに用紙Pが進む距離のことである。印刷制御手段9Bは、各装置から通知された用紙搬送速度の中で、最も遅いものを選択して、用紙搬送速度を調整するように機能する。印刷制御手段9Bは、複数の装置から用紙搬送速度を遅くする通知があった場合、各装置から通知された用紙搬送速度の中で、最も遅いものを選択して当該用紙搬送速度となるように現在の用紙搬送速度を調整する機能も備えている。
印刷制御手段9Cは、各装置から通知される用紙搬送間隔を印刷中は常時監視し、通知内容に応じて用紙搬送間隔を変更する機能や適宜基準よりも長くする機能を備えている。用紙搬送間隔とは、先行用紙先端と後続用紙先端との距離のことである。印刷制御手段9Cは、複数の装置から用紙搬送間隔を長くする通知があった場合、各装置から通知された用紙搬送間隔を一旦記憶すると共に、記憶した用紙搬送間隔の中で、最も長い用紙搬送間隔を選択し、当該用紙搬送間隔に現在の用紙搬送間隔を調整する機能を備えている。
印刷制御手段9Cに、印刷制御手段9と同様、熱定着装置101、冷却装置200、排紙装置300などに対して印刷可能な状態に移行するように印刷開始要求を送信し、全ての装置から印刷許可通知を受けた場合に、印刷動作を開始させる機能や、印刷中に熱定着装置101、冷却装置200あるいは排紙装置300の少なくとも1つが印刷できない状態になり、印刷不可通知を該当の装置から受けた場合には、印刷動作を中断させる機能を持たせても良い。
冷却制御手段16Cは、画像形成装置100から搬送経路4に用紙Pの搬送が行われている間、温度計測手段6で計測した搬送経路4の計測温度が、ブロッキングが発生する温度域にある設定値3よりも大きい場合、用紙Pの搬送速度を減速する信号を画像形成装置100の印刷制御手段9C(制御部8)に送信するとともに、温度計測手段6で計測した搬送経路4の計測温度が、設定値3以下である場合、用紙Pの搬送速度を増速する信号を画像形成装置100の印刷制御手段9C(制御部8)に送信する機能を備えている。
冷却制御手段16Cは、用紙搬送速度の可変制御が実行された後であっても、温度計測手段6で計測した搬送経路の温度が、ブロッキングが発生する温度域にある設定値3よりも大きい場合、用紙Pの搬送間隔を広げる信号を画像形成装置100の印刷制御手段9C(制御部8)に送信する機能と、温度計測手段6で計測した搬送経路4の温度が設定値3以下である場合、用紙搬送間隔を狭める信号を画像形成装置100の印刷制御手段9C(制御部8)に送信する機能を備えている。なお、設定値3の値は、設定値1≦設定値3≦設定値2となるように設定されている。
図14,図15を用いて冷却制御手段9Cが行なう用紙搬送速度と用紙搬送間隔の変更制御の処理内容について説明する。図15は、図14の端子Aにつながるフローチャートである。
図14のステップS1101では温度計測手段6にて搬送経路4の温度を計測し、ステップS1102において計測温度が設定値3より大きいかを判定(確認)する。そして計測温度が設定値3より大きい場合はステップS1107へ移行し、計測温度が設定値1より小さい場合はステップS1103に移行する。
ステップS1103では、現在の用紙搬送速度が最大値1より小さいか否かを判定する。ここで現在の用紙搬送速度が最大値1より小さい場合には、ステップS1104に移行する。ここでの最大値1は基準の用紙搬送速度に設定されているものとする。ステップS1104では、用紙搬送速度を現在の用紙搬送速度のN倍に設定する。Nは、例として2に設定されているものとする。ステップS1105では、N倍して増速した用紙搬送速度の情報を画像形成装置100の冷却制御手段9C(制御部8)に通知し、ステップS1106において通知後一定時間待つ。この待ち時間は、例として10秒とする。
一方、計測温度が設定値3以下である場合にはステップS1107へ移行し、現在の用紙搬送速度が最小値1より大きいか否かを判定し、大きい場合はステップS1108に移行する。ここでの最小値1は、例として基準の用紙搬送速度の4分の1に設定されているものとする。ステップS1108では、用紙搬送速度を現在の用紙搬送速度のN分の1に設定する。なお、Nは、例として2に設定されているものとする。ステップS1109では、N分の1とされて減速された用紙搬送速度の情報を画像形成装置100の冷却制御手段9C(制御部8)に通知し、ステップS1106において通知後一定時間待つ。
さらに本形態では、ステップS1107において、現在の用紙搬送速度が最小値1より小さい場合には、用紙搬送速度の可変制御による冷却には限界があるものとして、用紙搬送間隔の可変制御をすべく図15に示すステップS1110に進む。ステップS1110では温度計測手段6にて搬送経路4の温度を再計測し、ステップS1111において計測温度が設定値3より大きいかを判定(確認)する。そして計測温度が設定値3より大きい場合はステップS1112へ移行し、それ以外の場合は、ステップS1116に移行する。
ステップS1112では、現在の用紙搬送間隔が最大値2より小さいか否かを判定し、ここで現在の用紙搬送間隔が最大値2より小さい場合にはステップS1113に移行する。最大値2としては、例えば、基準の用紙搬送間隔の10倍に設定されているものとする。ステップS1113では、用紙搬送間隔を現在の用紙搬送間隔のM倍に設定する。すなわち、用紙搬送間隔を広くする。なお、Mは、例として2に設定されているものとする。
ステップS1114では、M倍して広くされた用紙搬送間隔を画像形成装置100の冷却制御手段9C(制御部8)に通知し、ステップS1115において通知後一定時間待つ。この待ち時間は、例として10秒とする。
一方、ステップS1111において計測温度が設定値3以下である場合はステップS1116に移行し、現在の用紙搬送間隔が最小値2より大きいか否かを判定する。ここで現在の用紙搬送間隔が最小値2より大きい場合は、ステップS1117に移行する。ここでの最小値2は、基準の用紙搬送間隔に設定されているものとする。
ステップS1117では、用紙搬送間隔を現在の用紙搬送間隔のM分の1に設定する。すなわち用紙搬送間隔を狭くする。Mは例として2に設定されているものとする。ステップS1118では、M分の1に狭めた用紙搬送間隔の情報を画像形成装置100の冷却制御手段9C(制御部8)に通知し、ステップS1115において通知後一定時間待つ。
このように、搬送経路4の計測温度に応じた用紙搬送速度の可変制御と計測温度に応じた用紙搬送間隔の可変制御の双方を1つの処理で行うことで、用紙搬送速度だけでは十分な温度低下をできない場合でも、用紙搬送間隔を可変制御することで、より効率的に搬送経路4の冷却を行える。
しかし、用紙搬送速度を画像形成装置100で定められた最小の用紙搬送速度以下にすると、例えば、画像形成装置100内の駆動モータやローラ等の駆動部の不安定な動作による筐体の振動が大きくなり、画像にバンディングが発生することが想定される。
このため、冷却制御手段9Cにおいて判定した用紙搬送速度が、画像形成装置100で予め定められた最小の用紙搬送速度以下になった場合には、用紙搬送速度の可変制御ではなく、用紙搬送間隔の可変変更に切り替えるようにすることで、画像劣化を防止しながら搬送経路4の効果的な冷却を行うことができる。
(第7の実施形態)
本形態の特徴は、第4の実施形態と第5の実施形態を同時に行うものであり、温度計測手段6により計測した搬送経路4の計測温度に応じた用紙搬送間隔の可変制御を最初に実行し、その後に計測温度に応じた用紙搬送速度の可変制御を行うものである。つまり、第6の実施形態と用紙搬送間隔と用紙搬送速度の可変制御の順序が逆な場合を示す。この制御を実施する制御系としては、制御の順序が前後する以外は、図13に示す制御系と同一であるので、ここでは図13に示す印刷制御手段9Cが実行するものとする。
図16、図17を用いて冷却制御手段9Cが行なう用紙搬送間隔と用紙搬送速度の変更制御の処理内容について説明する。図17は、図16の端子Bにつながるフローチャートである。
図16のステップS1201では温度計測手段6にて搬送経路4の温度を再計測し、ステップS1202において計測温度が設定値3より大きいかを判定(確認)する。そして計測温度が設定値3以下である場合はステップS1207へ移行し、小さい場合はステップS1203に移行する。
ステップS1203では、現在の用紙搬送間隔が最小値1より大きいか否かを判定し、ここで現在の用紙搬送間隔が最小値1より大きい場合には、ステップS1204に移行する。ステップS1204では、用紙搬送間隔を現在の用紙搬送間隔のN分の1に設定する。すなわち、用紙搬送間隔を狭くする。ステップS1205では、狭めた用紙搬送間隔の情報を画像形成装置100の冷却制御手段9C(制御部8)に通知し、ステップS1206において通知後一定時間待つ。
ステップS1202において計測温度が設定値3以上である場合にはステップS1207に移行し、現在の用紙搬送間隔が最大値1より小さいか否かを判定する。ここで、現在の用紙搬送間隔が最大値1より小さい場合には、ステップS1208に移行する。ステップS1208では、用紙搬送間隔を現在の用紙搬送間隔のN倍に設定する。すなわち用紙搬送間隔を広くする。Nは例として2に設定されているものとする。ステップS1209では、N倍されて広くされた用紙搬送間隔の情報を画像形成装置100の冷却制御手段9C(制御部8)に通知し、ステップS1206において通知後一定時間待つ。
ステップS1207において、現在の用紙搬送間隔が最大値1より大きい場合には、用紙搬送間隔の可変制御による冷却には限界があるものとして、用紙搬送速度の可変制御をすべく図17に示すステップS1210に進む。ステップS1210では、温度計測手段6にて搬送経路4の温度を再計測し、ステップS1211において計測温度が設定値3より大きいかを判定(確認)する。そして計測温度が設定値3より大きい場合はステップS1212へ移行し、それ以外の場合にはステップS1216に移行する。
ステップS1212では、現在の用紙搬送速度が最小値2より大きいか否かを判定し、ここで、現在の用紙搬送速度が最小値2より大きい場合には、ステップS1213に移行する。ステップS1213では、用紙搬送速度を現在の用紙搬送速度のL分の1に設定する。すなわち、用紙搬送速度を遅くする。
ステップS1214では、L分の1減速された用紙搬送速度の情報を画像形成装置100の冷却制御手段9C(制御部8)に通知し、ステップS1215において通知後一定時間待つ。この時間は、例として10秒とする。
一方、ステップS1211において計測温度が設定値3以下である場合にはステップS1216に移行し、現在の用紙搬送速度が最大値2より小さいか否かを判定する。ここで、現在の用紙搬送速度が最大値2より小さい場合には、ステップS1217に移行し、用紙搬送速度を現在の用紙搬送速度のL倍に設定する。すなわち用紙搬送間隔を早くする。ステップS1218では、L倍増速された用紙搬送速度の情報を画像形成装置100の冷却制御手段9C(制御部8)に通知し、ステップS1215において通知後一定時間待つ。
このように、搬送経路4の計測温度に応じた用紙搬送間隔の可変制御と計測温度に応じた用紙搬送速度の可変制御の双方を行うことで、用紙搬送間隔だけでは十分な温度低下をできない場合でも、用紙搬送速度を可変制御することで、より効率的に搬送経路4の冷却を行える。
つまり、用紙搬送間隔を画像形成装置100で定められた最大の用紙搬送間隔以下にすると、印刷物の生産性に対して、例えば画像形成装置100内のローラの回転数の比率が高くなる。その結果、印刷物の生産性に対する画像形成装置100の部品の使用率が高まり耐久性が低下することが想定される。このため、冷却制御手段9Cにおいて判定した用紙搬送間隔が、画像形成装置100で予め定められた最大の用紙搬送間隔以上になった場合には、用紙搬送速度の変更制御に切り替えるようにすることで、装置の耐久性を確保しつつも搬送経路4の効果的な冷却を行うことができる。
なお、図14,図15に示した処理内容は、制御初期において用紙搬送速度を遅くするため、印刷画質よりも冷却装置200における用紙Pの冷却効果や印刷装置内の部品の耐久性を重視したい場合に用いると良い。また図16、図17に示す処理内容は、制御初期において用紙搬送間隔を広げるため、冷却装置200における用紙Pの冷却効果や画像形成装置100内の部品の耐久性よりも印刷画像を重視する場合に用いると良い。
すなわち、用紙搬送速度を遅くしていくと、耐久性は悪くならないが、画質が悪くなる。これに対し用紙搬送間隔を広くしていくと、耐久性が悪くなるが、画質は悪くならない。この関係を考慮すると、図14,図15のように、先に用紙搬送速度を遅くし、後で用紙搬送間隔を広くすることは、耐久性を悪くしたくない場合に向いていると言え、一方、図16,図17のように、先に用紙搬送間隔を広くし、後で用紙搬送速度を遅くするは、画質を悪くしたくない場合に向いていると言える。
(第8の実施形態)
本形態の特徴は、温度計測手段6で計測した搬送経路4の計測温度が、設定値1以下の場合には、冷却手段18の冷却動作を停止し、計測温度が第4の設定値としての設定値4より大きい場合には冷却手段18の冷却動作を始動するものである。なお、設定値4の値は、設定値4≦設定値1となるように設定されている。
すなわち、この処理内容を示す図18に示すフローチャートに沿って説明すると、ステップS1301において、温度計測手段6にて搬送経路4の温度を計測し、ステップS1302において計測温度が設定値4以下であるか否かを判定(確認)する。そして計測温度が設定値4以下の場合には、ステップS1303に移行して冷却手段18の冷却動作を停止し、ステップS1304において一定時間待つ。計測温度が設定値4を超える場合にはステップS1305に移行して冷却手段18の冷却動作を開始し、ステップS1304において一定時間待つ。
このような制御は、上記何れかの冷却制御手段9、9A、9B、9Cの何れかで実行させることで、計測温度に応じて冷却装置200による消費電力の増加を抑制することができる。
図19は、印刷終了後の冷却動作終了制御の処理内容を示すフローチャートである。冷却動作終了制御は、印刷終了後に冷却制御手段16が実行するものである。図19においては、印刷終了時に、画像形成装置100の印刷制御手段9から、冷却装置200の印刷制御手段16(制御部15)に印刷終了の通知があったものとする。なお、設定値4の値は、設定値4≦設定値1となるように設定されている。
図19のステップS801では、温度計測手段6にて搬送経路4の温度を計測し、ステップS802において計測温度が設定値4以下であるか否かを判定し、計測温度が設定値4以下の場合にはS803へ移行する。ステップS803では、冷却手段18(冷却ファン1A,1B、排出ファン2,3A,3B)による冷却動作を停止する。
このような制御を行うことで、印刷終了指令があった後の搬送経路4の温度が、ブロッキングが発生しない温度である設定値1と同等あるいはそれ以下になると、冷却手段18の冷却動作が停止するので、搬送経路4の温度をブロッキングが発生しない温度域まで十分に低下しながらも、印刷終了後の無駄な冷却手段18の作動を軽減して消費電力の低減を図ることができる。
上記ステップS602、ステップS701、ステップS704、ステップS801での温度計測は、温度計測手段6に限定されるものではなく、温度計測手段6Aあるいは温度計測手段7、7Aのいずれか一つ以上を用いれば良い。温度計測手段6Aや温度計測手段7Aによる非接触式で搬送経路4内の温度計測は、温度計測手段の計測箇所に対して、先行用紙Pの後端が通過してから、後続用紙Pの先端が到達するまでの期間に計測することで、搬送される用紙Pに遮られることがなく、精度良く搬送経路4内の温度を計測できるので望ましい。また、計測温度とは、温度計測手段6、6A、7、7Aの何れか1つの手段による計測温度、あるいは複数の温度計測手段による計測温度の平均値の何れであってもよい。
設定値1、設定値2、設定値3、設定値4としては、予め所定の値として冷却制御手段16に記憶しておいても良いが、これらのうち、少なくとも一つを任意に調整可能とする調整手段として設定値変更手段450を図8に示すように操作パネル400に設け、ユーザーにより任意に調整可能としても良い。この場合においても設定値1〜設定値4の大小関係は、設定値4≦設定値1≦設定値3≦設定値2の関係を保った上で、任意に調整できるように各設定値の調整範囲を予め設定しておくのが好ましい。これにより、冷却装置200における用紙Pの冷却と搬送頻度(印刷の生産性)を、画像形成装置100と冷却装置200の装置利用者の目的に合わせて調整することができるようになり、ユーザーの使い勝手を向上することができる。