以下に本発明の実施形態に係るフィルタについて説明する。
(フィルタの構成)
以下に、本発明の一実施形態に係るフィルタの構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るフィルタ10の外観斜視図である。図2は、フィルタ10の積層体12の分解斜視図である。図3は、フィルタ10の等価回路図である。図1及び図2において、z軸方向は、絶縁体層16の積層方向を示す。また、x軸方向は、フィルタ10の長辺に沿った方向を示し、y軸方向は、フィルタ10の短辺に沿った方向を示す。x軸方向、y軸方向及びz軸方向は互いに直交している。
フィルタ10は、図1及び図2に示すように、積層体12、外部電極14(14a〜14c)、LC並列共振器LC1〜LC3、コンデンサC4〜C6及びビアホール導体b16,b17,b34〜b42,b66,b67を備えている。
積層体12は、図2に示すように、セラミック誘電体からなる絶縁体層16a〜16kが積層されることにより構成され、直方体状をなしている。また、積層体12は、LC並列共振器LC1〜LC3及びコンデンサC4〜C6を内蔵している。
絶縁体層16a〜16kは、図2に示すように、長方形状をなしており、例えば、セラミック誘電体により構成されている。絶縁体層16a〜16kは、z軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように積層されている。以下では、絶縁体層16のz軸方向の正方向側の面を表面と称し、絶縁体層16のz軸方向の負方向側の面を裏面と称す。
LC並列共振器LC1〜LC3は、x軸方向に沿って並んでいる。本実施形態では、LC並列共振器LC1〜LC3は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。そして、y軸方向に隣り合うLC並列共振器LC1〜LC3は、互いに電磁気的に結合することによって、帯域通過フィルタを構成している。
LC並列共振器LC1は、図3に示すように、コイルL1及びコンデンサC1を含んでいる。より詳細には、LC並列共振器LC1は、ビアホール導体b1〜b15、線路導体層18a,18b、コンデンサ導体層26a,32a及びグランド導体層30により構成され、ループ形状をなしている。
コンデンサC1は、コンデンサ導体層26a,32a及びグランド導体層30を有している。グランド導体層30は、十字型をなす導体層であり、端部30a、中央部30b及び端部30cにより構成されている。中央部30bは、絶縁体層16iの表面の中央に設けられている長方形状の導体層である。端部30aは、中央部30bのx軸方向の負方向側の辺からx軸方向の負方向側に向かって突出している長方形状の導体である。端部30cは、中央部30bのx軸方向の正方向側の辺からx軸方向の正方向側に向かって突出している長方形状の導体である。
コンデンサ導体層26aは、絶縁体層16g,16hを介してグランド導体層30の端部30aに対向している導体層であり、絶縁体層16gの表面上に設けられている。これにより、コンデンサ導体層26aとグランド導体層30との間には静電容量が発生している。コンデンサ導体層26aは、y軸方向に長手方向を有する長方形状をなしており、絶縁体層16gの対角線の交点よりもx軸方向の負方向側に設けられている。
コンデンサ導体層32aは、絶縁体層16iを介してグランド導体層30の端部30aに対向している導体層であり、絶縁体層16jの表面上に設けられている。これにより、コンデンサ導体層32aとグランド導体層30との間には静電容量が発生している。コンデンサ導体層32aは、y軸方向に長手方向を有する長方形状をなしており、絶縁体層16jの対角線の交点よりもx軸方向の負方向側に設けられている。コンデンサ導体層26aとグランド導体層30との間の静電容量と、コンデンサ導体層32aとグランド導体層30との間の静電容量とが並列接続されることにより、コンデンサC1が形成されている。
コイルL1は、ビアホール導体b1〜b15及び線路導体層18a,18bを有している。線路導体層18aは、絶縁体層16bの表面上に設けられ、L字型をなす線状の導体である。より詳細には、線路導体層18aは、平行部A及び折り曲げ部Bにより構成されている。平行部Aは、y軸方向に延在している。折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の正方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在している。以上のように構成された線路導体層18aは、絶縁体層16bの対角線の交点よりもx軸方向の負方向側に設けられている。
線路導体層18bは、絶縁体層16cの表面上に設けられ、L字型をなす線状の導体である。より詳細には、線路導体層18bは、平行部A及び折り曲げ部Bにより構成されている。平行部Aは、y軸方向に延在している。折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の正方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在している。以上のように構成された線路導体層18bは、絶縁体層16cの対角線の交点よりもx軸方向の負方向側に設けられている。
ビアホール導体b1〜b7はそれぞれ、絶縁体層16b〜16hをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b1のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18aの折り曲げ部Bのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b2のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18bの折り曲げ部Bのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b7のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体層30に接続されている。これにより、ビアホール導体b1〜b7は、線路導体層18a,18bのy軸方向の正方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、グランド導体層30に接続されている。
ビアホール導体b8〜b15はそれぞれ、絶縁体層16b〜16iをz軸方向に貫通しており、ビアホール導体b1〜b7よりもy軸方向の負方向側に設けられている。ビアホール導体b8のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18aの平行部Aのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b9のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18bの平行部Aのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b12のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層26aに接続されている。また、ビアホール導体b15のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層32aに接続されている。これにより、ビアホール導体b8〜b15は、線路導体層18a,18bのy軸方向の負方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、コンデンサ導体層26a,32aに接続されている。
以上のように、コイルL1は、ビアホール導体b7とグランド導体層30の接続点を一端とし、ビアホール導体b1〜b7、線路導体層18a,18b、ビアホール導体b8〜b15を経由して、ビアホール導体b15とコンデンサ導体層32aとの接続点を他端とするループ形状なしている。
以上のように構成されたLC並列共振器LC1は、z軸方向から平面視したときに、L字型に折れ曲がったループ面を形成している。LC並列共振器LC1のループ面とは、LC並列共振器LC1により囲まれている仮想の平面である。
LC並列共振器LC2は、図3に示すように、コイルL2及びコンデンサC2を含んでいる。より詳細には、LC並列共振器LC2は、ビアホール導体b21〜b33、線路導体層18c,18d、コンデンサ導体層26b,28及びグランド導体層30により構成され、ループ形状をなしている。
コンデンサC2は、コンデンサ導体層26b,28及びグランド導体層30を有している。グランド導体層30は、十字型をなす導体層である。
コンデンサ導体層26bは、絶縁体層16g,16hを介してグランド導体層30の中央部30bに対向している導体層であり、絶縁体層16gの表面上に設けられている。これにより、コンデンサ導体層26bとグランド導体層30との間には静電容量が発生している。コンデンサ導体層26bは、x軸方向に長手方向を有する長方形状をなしており、絶縁体層16gの対角線の交点近傍に設けられている。
コンデンサ導体層28は、絶縁体層16hを介してグランド導体層30の中央部30bに対向している導体層であり、絶縁体層16hの表面上に設けられている。これにより、コンデンサ導体層28とグランド導体層30との間には静電容量が発生している。コンデンサ導体層28は、x軸方向に長手方向を有する長方形状をなしており、絶縁体層16hの対角線の交点よりもy軸方向の負方向側に設けられている。コンデンサ導体層26bとグランド導体層30との間の静電容量と、コンデンサ導体層28とグランド導体層30との間の静電容量とが並列接続されることにより、コンデンサC2が形成されている。
コイルL2は、ビアホール導体b21〜b33及び線路導体層18c,18dを有している。線路導体層18cは、絶縁体層16bの表面上に設けられ、y軸方向に延在する直線状をなす線状の導体である。線路導体層18cは、平行部Aにより構成されている。以上のように構成された線路導体層18cは、絶縁体層16bの対角線の近傍に設けられている。
線路導体層18dは、絶縁体層16cの表面上に設けられ、y軸方向に延在する直線状をなす線状の導体である。線路導体層18dは、平行部Aにより構成されている。以上のように構成された線路導体層18dは、絶縁体層16cの対角線の近傍に設けられている。
ビアホール導体b21〜b27はそれぞれ、絶縁体層16b〜16hをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b21のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18cのy軸方向の正方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b2のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18bのy軸方向の正方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b27のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体層30に接続されている。これにより、ビアホール導体b21〜b27は、線路導体層18c,18dのy軸方向の正方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、グランド導体層30に接続されている。
ビアホール導体b28〜b33はそれぞれ、絶縁体層16b〜16gをz軸方向に貫通しており、ビアホール導体b21〜b27よりもy軸方向の負方向側に設けられている。ビアホール導体b28のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18cのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b29のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18dのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b32のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層26bに接続されている。また、ビアホール導体b33のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層28に接続されている。これにより、ビアホール導体b28〜b33は、線路導体層18c,18dのy軸方向の負方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、コンデンサ導体層26b,28に接続されている。
以上のように、コイルL2は、ビアホール導体b27とグランド導体層30の接続点を一端とし、ビアホール導体b21〜b27、線路導体層18c,18d、ビアホール導体b28〜b33を経由して、ビアホール導体b33とコンデンサ導体層28との接続点を他端とするループ形状なしている。
以上のように構成されたLC並列共振器LC2は、yz平面に平行なループ面を形成している。LC並列共振器LC2のループ面とは、LC並列共振器LC2により囲まれている長方形状の仮想の平面である。
LC並列共振器LC3は、図3に示すように、コイルL3及びコンデンサC3を含んでいる。より詳細には、LC並列共振器LC3は、ビアホール導体b51〜b65、線路導体層18e,18f、コンデンサ導体層26c,32b及びグランド導体層30により構成され、ループ形状をなしている。
コンデンサC3は、コンデンサ導体層26c,32b及びグランド導体層30を有している。グランド導体層30は、十字型をなす導体層である。
コンデンサ導体層26cは、絶縁体層16g,16hを介してグランド導体層30の端部30cに対向している導体層であり、絶縁体層16gの表面上に設けられている。これにより、コンデンサ導体層26cとグランド導体層30との間には静電容量が発生している。コンデンサ導体層26cは、y軸方向に長手方向を有する長方形状をなしており、絶縁体層16gの対角線の交点よりもx軸方向の正方向側に設けられている。
コンデンサ導体層32bは、絶縁体層16iを介してグランド導体層30の端部30cに対向している導体層であり、絶縁体層16jの表面上に設けられている。これにより、コンデンサ導体層32bとグランド導体層30との間には静電容量が発生している。コンデンサ導体層32bは、y軸方向に長手方向を有する長方形状をなしており、絶縁体層16jの対角線の交点よりもx軸方向の正方向側に設けられている。コンデンサ導体層26cとグランド導体層30との間の静電容量と、コンデンサ導体層32bとグランド導体層30との間の静電容量とが並列接続されることにより、コンデンサC3が形成されている。
コイルL3は、ビアホール導体b51〜b65及び線路導体層18e,18fを有している。線路導体層18eは、絶縁体層16bの表面上に設けられ、L字型をなす線状の導体である。より詳細には、線路導体層18eは、平行部A及び折り曲げ部Bにより構成されている。平行部Aは、y軸方向に延在している。折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の正方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在している。以上のように構成された線路導体層18eは、絶縁体層16bの対角線の交点よりもx軸方向の正方向側に設けられている。
線路導体層18fは、絶縁体層16cの表面上に設けられ、L字型をなす線状の導体である。より詳細には、線路導体層18fは、平行部A及び折り曲げ部Bにより構成されている。平行部Aは、y軸方向に延在している。折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の正方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在している。以上のように構成された線路導体層18fは、絶縁体層16cの対角線の交点よりもx軸方向の正方向側に設けられている。
ビアホール導体b51〜b57はそれぞれ、絶縁体層16b〜16hをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b51のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18eの折り曲げ部Bのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b52のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18fの折り曲げ部Bのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b57のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体層30に接続されている。これにより、ビアホール導体b51〜b57は、線路導体層18e,18fのy軸方向の正方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、グランド導体層30に接続されている。
ビアホール導体b58〜b65はそれぞれ、絶縁体層16b〜16iをz軸方向に貫通しており、ビアホール導体b51〜b57よりもy軸方向の負方向側に設けられている。ビアホール導体b58のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18eの平行部Aのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b59のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18fの平行部Aのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b62のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層26cに接続されている。また、ビアホール導体b65のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層32bに接続されている。これにより、ビアホール導体b58〜b65は、線路導体層18e,18fのy軸方向の負方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、コンデンサ導体層26c,32bに接続されている。
以上のように、コイルL3は、yz平面において、ビアホール導体b57とグランド導体層30の接続点を一端とし、ビアホール導体b51〜b57、線路導体層18e,18f、ビアホール導体b58〜b65を経由して、ビアホール導体b65とコンデンサ導体層32bとの接続点を他端とするループ形状なしている。
以上のように構成されたLC並列共振器LC3は、z軸方向から平面視したときに、L字型に折れ曲がったループ面を形成している。LC並列共振器LC3のループ面とは、LC並列共振器LC3により囲まれている仮想の平面である。
LC並列共振器LC1のループ面とLC並列共振器LC3のループ面とは、LC並列共振器LC2のループ面を挟んでいる。これにより、図3に示すように、LC並列共振器LC1のコイルL1とLC並列共振器LC2のコイルL2とが電磁界結合する。また、LC並列共振器LC2のコイルL2とLC並列共振器LC3のコイルL3とが電磁界結合する。
また、線路導体層18a,18cは、L字型をなしている。そして、線路導体層18aのy軸方向の正方向側の端部には、ビアホール導体b1〜b7が接続されており、線路導体層18aのy軸方向の負方向側の端部には、ビアホール導体b8〜b15が接続されている。更に、線路導体層18bのy軸方向の正方向側の端部には、ビアホール導体b21〜b27が接続されており、線路導体層18bのy軸方向の負方向側の端部には、ビアホール導体b28〜b33が接続されている。更に、線路導体層18cのy軸方向の正方向側の端部には、ビアホール導体b51〜b57が接続されており、線路導体層18cのy軸方向の負方向側の端部には、ビアホール導体b58〜b65が接続されている。
これにより、y軸方向に隣り合うビアホール導体b1〜b7とビアホール導体b21〜b27との間の距離は、y軸方向に隣り合うビアホール導体b8〜b15とビアホール導体b28〜b33との間の距離と異なっている。本実施形態では、ビアホール導体b8〜b15とビアホール導体b28〜b33との間の距離は、ビアホール導体b1〜b7とビアホール導体b21〜b27との間の距離よりも大きい。
同様に、y軸方向に隣り合うビアホール導体b51〜b57とビアホール導体b21〜b27との間の距離は、y軸方向に隣り合うビアホール導体b58〜b65とビアホール導体b28〜b33との間の距離と異なっている。本実施形態では、ビアホール導体b58〜b65とビアホール導体b28〜b33との間の距離は、ビアホール導体b51〜b57とビアホール導体b21〜b27との間の距離よりも大きい。距離とは、z軸方向から平面視したときの直線距離を意味する。
また、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体層32a,28,32bに接続されているビアホール導体b8〜b15,b28〜b33,b58〜b65から互いに平行にy軸方向の正方向側に延在している。
コンデンサC4は、コンデンサ導体層22a,22b及び結合導体層24aを有している。結合導体層24aは、絶縁体層16fの表面上に設けられており、x軸方向に延在している。コンデンサ導体層22aは、絶縁体層16eを介して結合導体層24aに対向している導体層であり、絶縁体層16eの表面上に設けられている。コンデンサ導体層22aは、ビアホール導体b10,b11に接続されている。コンデンサ導体層22bは、絶縁体層16eを介して結合導体層24aに対向している導体層であり、絶縁体層16eの表面上に設けられている。コンデンサ導体層22aは、ビアホール導体b30,b31に接続されている。これにより、コンデンサ導体層22a,22bと結合導体層24aとの間には静電容量が発生し、コンデンサC4が形成されている。以上のように、コンデンサC4を介して、LC並列共振器LC1とLC並列共振器LC2とは容量結合している。
コンデンサC5は、コンデンサ導体層22b,22c及び結合導体層24bを有している。結合導体層24bは、絶縁体層16fの表面上に設けられており、x軸方向に延在している。コンデンサ導体層22cは、絶縁体層16eを介して結合導体層24bに対向している導体層であり、絶縁体層16eの表面上に設けられている。コンデンサ導体層22cは、ビアホール導体b60,b61に接続されている。コンデンサ導体層22bは、絶縁体層16eを介して結合導体層24bに対向している導体層であり、絶縁体層16eの表面上に設けられている。これにより、コンデンサ導体層22b,22cと結合導体層24bとの間には静電容量が発生し、コンデンサC5が形成されている。以上のように、コンデンサC5を介して、LC並列共振器LC3とLC並列共振器LC2とは容量結合している。
コンデンサC6は、コンデンサ導体層22a,22c及び結合導体層20を有している。結合導体層20は、絶縁体層16dの表面上に設けられており、x軸方向に延在している。これにより、結合導体層20は、絶縁体層16dを介してコンデンサ導体層22a,22cに対向している。その結果、コンデンサ導体層22aと結合導体層20との間には静電容量が発生しており、コンデンサ導体層22bと結合導体層20との間には静電容量が発生している。以上のように、コンデンサ導体層22a,22cは、結合導体層20を介して容量結合している。これにより、コンデンサC6が形成されている。以上のように、コンデンサC6を介して、LC並列共振器LC1とLC並列共振器LC3とは容量結合している。
外部電極14aは、図1に示すように、積層体12においてz軸方向の負方向側の底面に設けられており、入力電極として用いられる。すなわち、外部電極14aは、絶縁体層16kの裏面上に設けられている。外部電極14bは、積層体12においてz軸方向の負方向側の底面に設けられ、グランド電極として用いられる。すなわち、外部電極14bは、絶縁体層16kの裏面上に設けられている。外部電極14cは、積層体12においてz軸方向の負方向側の底面に設けられ、出力電極として用いられる。すなわち、外部電極14cは、絶縁体層16kの裏面上に設けられている。外部電極14a〜14cは、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。
ビアホール導体b16,b17は、絶縁体層16j,16kをz軸方向に貫通しており、コイル導体層32aと外部電極14aとを接続している。ビアホール導体b66,b67は、絶縁体層16j,16kをz軸方向に貫通しており、コイル導体層32bと外部電極14cとを接続している。ビアホール導体b34〜b36は、絶縁体層16i〜16kをz軸方向に貫通しており、グランド導体層30と外部電極14bとを接続している。ビアホール導体b37〜b39は、絶縁体層16i〜16kをz軸方向に貫通しており、グランド導体層30と外部電極14bとを接続している。ビアホール導体b40〜b42は、絶縁体層16i〜16kをz軸方向に貫通しており、グランド導体層30と外部電極14bとを接続している。
次に、フィルタ10の動作の一例について、図1ないし図3を参照しながら説明する。最初に、外部電極14aから入力された高周波信号Sig1は、図3に示すように、LC並列共振器LC1を流れる。
コイルL1とコイルL2とは、電磁界結合している。よって、高周波信号Sig1が、LC並列共振器LC1に流れると、高周波信号Sig2が、電磁誘導により、LC並列共振器LC2に流れる。
コイルL2とコイルL3とは、電磁界結合している。よって、高周波信号Sig2が、LC並列共振器LC2に流れると、高周波信号Sig3が、電磁誘導により、LC並列共振器LC3に流れる。これにより、高周波信号Sig3は、外部電極14bから出力される。
ここで、LC並列共振器LC1〜LC3はそれぞれコイルL1〜L3及びコンデンサC1〜C3により定まる固有の共振周波数を有している。そして、LC並列共振器LC1〜LC3のインピーダンスは、これらの共振周波数において高くなる。これにより、これらの共振周波数により定まる所定の周波数帯域の高周波信号Sig3が、外部電極14cを介してグランドへ流れることなく、外部電極14bから出力される。
(フィルタの製造方法)
次に、フィルタ10の製造方法について図1及び図2を参照しながら説明する。
まず、絶縁体層16a〜16kとなるべきセラミックグリーンシートを準備する。次に、絶縁体層16b〜16kとなるべきセラミックグリーンシートのそれぞれに、ビアホール導体b1〜b17,b21〜b42,b51〜b67を形成する。具体的には、絶縁体層16b〜16kとなるべきセラミックグリーンシートにレーザビームを照射してビアホールを形成する。次に、このビアホールに対して、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などの導電性ペーストを印刷塗布などの方法により充填する。
次に、絶縁体層16b〜16jとなるべきセラミックグリーンシートの表面上に、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、線路導体層18a〜18f、結合導体層20,24a,24b、コンデンサ導体層22a〜22c,26a〜26c,28,32a,32b及びグランド導体層30を形成する。絶縁体層16kとなるべきセラミックグリーンシートの裏面上に、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、外部電極14a〜14cとなるべき導体電極を形成する。なお、導体電極、線路導体層18a〜18f、結合導体層20,24a,24b、コンデンサ導体層22a〜22c,26a〜26c,28,32a,32b及びグランド導体層30の形成の際に、ビアホールに対する導電性ペーストの充填を行ってもよい。
次に、各セラミックグリーンシートを積層する。具体的には、絶縁体層16kとなるべきセラミックグリーンシートを配置する。次に、絶縁体層16kとなるべきセラミックグリーンシート上に絶縁体層16jとなるべきセラミックグリーンシートを配置する。この後、絶縁体層16jとなるべきセラミックグリーンシートを絶縁体層16kとなるべきセラミックグリーンシートに対して圧着する。この後、16i,16h,16g,16f,16e,16d,16c,16b,16aとなるべきセラミックグリーンシートについても同様にこの順番に積層及び圧着する。以上の工程により、マザー積層体が形成される。このマザー積層体には、静水圧プレスなどにより本圧着が施される。
次に、マザー積層体をカット刃により所定寸法の積層体12にカットする。この未焼成の積層体12には、脱バインダー処理及び焼成がなされる。
以上の工程により、焼成された積層体12が得られる。積層体12には、バレル加工が施されて、面取りが行われる。
最後に、導体電極の表面に、Niめっき/Snめっきを施すことにより、外部電極14a〜14cを形成する。以上の工程を経て、図1に示すようなフィルタ10が完成する。
(効果)
以上のように構成されたフィルタ10によれば、所望の通過特性を容易に得ることができる。より詳細には、フィルタ10では、ビアホール導体b8〜b15とビアホール導体b28〜b33との間の距離は、ビアホール導体b1〜b7とビアホール導体b21〜b27との間の距離よりも大きい。ビアホール導体b58〜b65とビアホール導体b28〜b33との間の距離は、ビアホール導体b51〜b57とビアホール導体b21〜b27との間の距離よりも大きい。これにより、フィルタ10では、グランド導体層30に接続されているビアホール導体b1〜b7、ビアホール導体b21〜b27及びビアホール導体b51〜b57同士は、コンデンサ導体層32a,28,32bに接続されているビアホール導体b8〜b15、ビアホール導体b28〜b33及びビアホール導体b58〜b65同士よりも近接している。グランド導体層に接続されているビアホール導体同士が近接すると磁界結合が相対的に強くなり、通過帯域の狭帯域化が図られる。一方、コンデンサ導体層に接続されているビアホール導体同士が近接すると容量結合が相対的に強くなり、通過帯域の広帯域化が図られる。よって、フィルタ10では、通過帯域の狭帯域化が図られる。
以上のように、フィルタ10によれば、ビアホール導体b8〜b15とビアホール導体b28〜b33との間の距離と、ビアホール導体b1〜b7とビアホール導体b21〜b27との間の距離とを異ならせ、ビアホール導体b58〜b65とビアホール導体b28〜b33との間の距離と、ビアホール導体b51〜b57とビアホール導体b21〜b27との間の距離とを異ならせている。これにより、フィルタ10の通過帯域を変化させることができる。すなわち、フィルタ10において、所望の通過特性を容易に得ることができる。
また、フィルタ10では、以下に説明する理由によっても、フィルタ10の通過帯域を変化させることができる。より詳細には、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体層32a,28,32bに接続されているビアホール導体b8〜b15、ビアホール導体b28〜b33及びビアホール導体b58〜b65から互いに平行にy軸方向の正方向側に延在している。すなわち、線路導体層18a,18c,18eの平行部Aが離れた状態で平行に延在している。同様に、線路導体層18b,18d,18fの平行部Aが離れた状態で平行に延在している。これにより、線路導体層18a,18c,18e同士の磁界結合、及び、線路導体層18b,18d,18f同士の磁界結合が弱くなる。その結果、フィルタ10では、フィルタ10の通過帯域の広帯域化が図られる。以上のように、線路導体層18a〜18fの形状を変化させることによっても、フィルタ10の通過帯域を変化させることができる。すなわち、フィルタ10において、所望の通過特性を容易に得ることができる。
本願発明者は、フィルタ10が奏する効果をより明確にするために、以下に説明するコンピュータシミュレーションを行った。より詳細には、フィルタ10の第1のモデルないし第3のモデル、及び、比較例に係るフィルタの第4のモデルを作成した。図4は、第1のモデルの線路導体層18a,18c,18eをz軸方向から平面視した図である。図5は、第2のモデルの線路導体層18a,18c,18eをz軸方向から平面視した図である。図6は、第3のモデルの線路導体層18a,18c,18eをz軸方向から平面視した図である。図7は、第4のモデルの線路導体層118a,118c,118eをz軸方向から平面視した図である。
第1のモデルでは、図4に示すように、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、互いに近接している。すなわち、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、z軸方向から平面視したときに、グランド導体層30に接続されているビアホール導体b1〜b7、ビアホール導体b21〜b27及びビアホール導体b51〜b57から互いに平行にy軸方向の負方向側に延在している。そして、線路導体層18aの折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の負方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在している。線路導体層18eの折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の負方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在している。
第2のモデルでは、図5に示すように、線路導体層18a,18cは、z軸方向から平面視したときに、直線状をなしており、y軸方向の正方向側に行くにしたがって、互いの距離が小さくなっている。
第3のモデルでは、図6に示すように、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、互いに離れている。すなわち、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体層32a,28,32bに接続されているビアホール導体b8〜b15、ビアホール導体b28〜b33及びビアホール導体b58〜b65から互いに平行にy軸方向の正方向側に延在している。そして、線路導体層18aの折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の正方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在している。線路導体層18eの折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の正方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在している。第3のモデルは、図2に示すフィルタ10と同じ構造を有している。
第4のモデルは、図7に示すように、線路導体層118a〜118fがy軸方向に延在する直線状をなしている。すなわち、線路導体層118a〜118fが互いに平行となっている。
本願発明者は、第1のモデルないし第4のモデルの通過特性及び反射特性を調べた。通過特性とは、外部電極14aから入力させた入力信号に対する外部電極14bから出力した出力信号の減衰量と入力信号の周波数との関係である。反射特性とは、外部電極14aから入力させた入力信号に対する外部電極14aから出力した反射信号の減衰量と入力信号の周波数との関係である。図8は、第1のモデルのシミュレーション結果を示したグラフである。図9は、第2のモデルのシミュレーション結果を示したグラフである。図10は、第3のモデルのシミュレーション結果を示したグラフである。図11は、第4のモデルのシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸は、減衰量を示し、横軸は、周波数を示している。
図8ないし図10のグラフと図11のグラフとを比較すると、第1のモデルないし第3のモデルの通過帯域は、第4のモデルの通過帯域よりも狭くなっていることが分かる。よって、グランド導体層30に接続されているビアホール導体b1〜b7、ビアホール導体b21〜b27及びビアホール導体b51〜b57同士が、コンデンサ導体層32a,28,32bに接続されているビアホール導体b8〜b15、ビアホール導体b28〜b33及びビアホール導体b58〜b65同士よりも近接することによって、フィルタ10の狭帯域化が図られることが分かる。
また、図8ないし図10を比較すると、第1のモデルの通過帯域が最も狭く、第3のモデルの通過帯域が最も広いことが分かる。第1のモデルでは、平行部Aが近接しているので、LC並列共振器LC1〜LC3同士の磁界結合が強い。そのため、第1のモデルでは、狭帯域化が図られていることが分かる。一方、第3のモデルでは、平行部Aが離れているので、LC並列共振器LC1〜LC3同士の磁界結合が弱い。そのため、第3のモデルでは、広帯域化が図られていることが分かる。以上より、線路導体層18a〜18fの形状を変化させることによっても、フィルタ10の通過特性を変化させることができることが分かる。
(変形例)
以下に、変形例に係るフィルタ10aについて図面を参照しながら説明する。図12は、変形例に係るフィルタ10aの積層体12の分解斜視図である。図12において、フィルタ10と同じ構成については、フィルタ10と同じ参照符号を付した。フィルタ10aの外観斜視図については、図1を援用する。また、フィルタ10aの等価回路図については、図3を援用する。
フィルタ10とフィルタ10aとの相違点は、コンデンサ導体層32a,28,32bに電気的に接続されているビアホール導体b8,b9、ビアホール導体b28,b29及びビアホール導体b58,b59同士がグランド導体層30に電気的に接続されているビアホール導体b1,b2、ビアホール導体b21,b22及びビアホール導体b51,b52同士よりも近接している点である。
より詳細には、LC並列共振器LC1は、図3に示すように、コイルL1及びコンデンサC1を含んでいる。より詳細には、LC並列共振器LC1は、ビアホール導体b1〜b15、線路導体層18a,18b、コンデンサ導体層26a,32a、グランド導体層30及び接続導体層40a,42aにより構成され、ループ形状をなしている。
フィルタ10aのコンデンサC1は、フィルタ10のコンデンサC1と同じであるので説明を省略する。
コイルL1は、ビアホール導体b1〜b15、線路導体層18a,18b及び接続導体層40a,42aを有している。線路導体層18aは、絶縁体層16bの表面上に設けられ、L字型をなす線状の導体である。より詳細には、線路導体層18aは、平行部A及び折り曲げ部Bにより構成されている。平行部Aは、y軸方向に延在している。折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の負方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在している。以上のように構成された線路導体層18aは、絶縁体層16bの対角線の交点よりもx軸方向の負方向側に設けられている。
線路導体層18bは、絶縁体層16cの表面上に設けられ、L字型をなす線状の導体である。より詳細には、線路導体層18bは、平行部A及び折り曲げ部Bにより構成されている。平行部Aは、y軸方向に延在している。折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の負方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在している。以上のように構成された線路導体層18bは、絶縁体層16cの対角線の交点よりもx軸方向の負方向側に設けられている。
接続導体層40aは、絶縁体層16dの表面上に設けられ、x軸方向に延在している。接続導体層40aは、絶縁体層16dの対角線の交点よりもx軸方向の負方向側であってy軸方向の正方向側に設けられている。接続導体層42aは、絶縁体層16dの表面上に設けられ、x軸方向に延在している。接続導体層42aは、絶縁体層16dの対角線の交点よりもx軸方向の負方向側であってy軸方向の負方向側に設けられている。
ビアホール導体b1,b2はそれぞれ、絶縁体層16b,16cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b1のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18aの平行部Aのy軸方向の正方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b2のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18bの平行部Aのy軸方向の正方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b2のz軸方向の負方向側の端部は、接続導体層40aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。
ビアホール導体b3〜b7はそれぞれ、絶縁体層16d〜16hをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b3のz軸方向の正方向側の端部は、接続導体層40aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b7のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体層30に接続されている。これにより、ビアホール導体b1,b2は、線路導体層18a,18bのy軸方向の正方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、ビアホール導体b3〜b7を介してグランド導体層30に電気的に接続されている。
ビアホール導体b8,b9はそれぞれ、絶縁体層16b,16cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b8のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18aの折り曲げ部Bのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b9のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18bの折り曲げ部Bのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b9のz軸方向の負方向側の端部は、接続導体層42aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
ビアホール導体b10〜b15はそれぞれ、絶縁体層16d〜16iをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b10のz軸方向の正方向側の端部は、接続導体層42aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b12のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層26aに接続されている。また、ビアホール導体b15のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層32aに接続されている。これにより、ビアホール導体b8,b9は、線路導体層18a,18bのy軸方向の負方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、ビアホール導体b10〜b15を介してコンデンサ導体層26a,32aに接続されている。
フィルタ10aのLC並列共振器LC2は、フィルタ10のLC並列共振器LC2と同じであるので説明を省略する。
LC並列共振器LC3は、図3に示すように、コイルL3及びコンデンサC3を含んでいる。より詳細には、LC並列共振器LC3は、ビアホール導体b51〜b65、線路導体層18e,18f、コンデンサ導体層26c,32b、グランド導体層30及び接続導体層40b,42bにより構成され、ループ形状をなしている。
フィルタ10aのコンデンサC3は、フィルタ10のコンデンサC3と同じであるので説明を省略する。
コイルL3は、ビアホール導体b51〜b65、線路導体層18e,18f及び接続導体層40b,42bを有している。線路導体層18eは、絶縁体層16bの表面上に設けられ、L字型をなす線状の導体である。より詳細には、線路導体層18eは、平行部A及び折り曲げ部Bにより構成されている。平行部Aは、y軸方向に延在している。折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の負方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在している。以上のように構成された線路導体層18eは、絶縁体層16bの対角線の交点よりもx軸方向の正方向側に設けられている。
線路導体層18fは、絶縁体層16cの表面上に設けられ、L字型をなす線状の導体である。より詳細には、線路導体層18fは、平行部A及び折り曲げ部Bにより構成されている。平行部Aは、y軸方向に延在している。折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の負方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在している。以上のように構成された線路導体層18fは、絶縁体層16cの対角線の交点よりもx軸方向の正方向側に設けられている。
接続導体層40bは、絶縁体層16dの表面上に設けられ、x軸方向に延在している。接続導体層40bは、絶縁体層16dの対角線の交点よりもx軸方向の正方向側であってy軸方向の正方向側に設けられている。接続導体層42bは、絶縁体層16dの表面上に設けられ、x軸方向に延在している。接続導体層42bは、絶縁体層16dの対角線の交点よりもx軸方向の正方向側であってy軸方向の負方向側に設けられている。
ビアホール導体b51,b52はそれぞれ、絶縁体層16b,16cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b51のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18eの平行部Aのy軸方向の正方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b52のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18fの平行部Aのy軸方向の正方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b52のz軸方向の負方向側の端部は、接続導体層40bのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
ビアホール導体b53〜b57はそれぞれ、絶縁体層16d〜16hをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b53のz軸方向の正方向側の端部は、接続導体層40bのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b57のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体層30に接続されている。これにより、ビアホール導体b51,b52は、線路導体層18e,18fのy軸方向の正方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、ビアホール導体b53〜b57を介してグランド導体層30に電気的に接続されている。
ビアホール導体b58,b59はそれぞれ、絶縁体層16b,16cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b58のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18eの折り曲げ部Bのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b59のz軸方向の正方向側の端部は、線路導体層18fの折り曲げ部Bのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b59のz軸方向の負方向側の端部は、接続導体層42bのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。
ビアホール導体b60〜b65はそれぞれ、絶縁体層16d〜16iをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b60のz軸方向の正方向側の端部は、接続導体層42bのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。また、ビアホール導体b62のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層26cに接続されている。また、ビアホール導体b65のz軸方向の負方向側の端部は、コンデンサ導体層32bに接続されている。これにより、ビアホール導体b58,b59は、線路導体層18e,18fのy軸方向の負方向側の端部からz軸方向の負方向側に向かって延在する1本のビアホール導体を構成し、かつ、ビアホール導体b60〜b65を介してコンデンサ導体層26c,32bに接続されている。
フィルタ10aのコンデンサC4〜C6は、フィルタ10のコンデンサC4〜C6と同じであるので説明を省略する。
(効果)
以上のように構成されたフィルタ10aによれば、所望の通過特性を容易に得ることができる。より詳細には、フィルタ10aでは、ビアホール導体b8,b9とビアホール導体b28,29との間の距離は、ビアホール導体b1,b2とビアホール導体b21,b22との間の距離よりも小さい。ビアホール導体b58,b59とビアホール導体b28,b29との間の距離は、ビアホール導体b51,b52とビアホール導体b21,b22との間の距離よりも小さい。これにより、フィルタ10では、グランド導体層30に電気的に接続されているビアホール導体b1,b2、ビアホール導体b21,b22及びビアホール導体b51,b52同士は、コンデンサ導体層32a,28,32bに電気的に接続されているビアホール導体b8,b9、ビアホール導体b28,b29及びビアホール導体b58,b59同士よりも離れている。グランド導体層に接続されているビアホール導体同士が近接すると磁界結合が相対的に強くなり、通過帯域の狭帯域化が図られる。一方、コンデンサ導体層に接続されているビアホール導体同士が近接すると容量結合が相対的に強くなり、通過帯域の広帯域化が図られる。よって、フィルタ10aでは、通過帯域の広帯域化が図られる。
以上のように、フィルタ10aによれば、ビアホール導体b8,b9とビアホール導体b28,b29との間の距離と、ビアホール導体b1,b2とビアホール導体b21,b22との間の距離とを異ならせ、ビアホール導体b58,b59とビアホール導体b28,b29との間の距離と、ビアホール導体b51,b52とビアホール導体b21,b22との間の距離とを異ならせている。これにより、フィルタ10aの通過帯域を変化させることができる。すなわち、フィルタ10aにおいて、所望の通過特性を容易に得ることができる。
また、フィルタ10aでは、以下に説明する理由によっても、フィルタ10aの通過帯域を変化させることができる。より詳細には、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、z軸方向から平面視したときに、グランド導体層30に電気的に接続されているビアホール導体b1,b2、ビアホール導体b21,b22及びビアホール導体b51,b52から互いに平行にy軸方向の負方向側に延在している。すなわち、線路導体層18a,18c,18eの平行部Aが離れた状態で平行に延在している。同様に、線路導体層18b,18d,18fの平行部Aが離れた状態で平行に延在している。これにより、線路導体層18a,18c,18e同士の磁界結合、及び、線路導体層18b,18d,18f同士の磁界結合が弱くなる。その結果、フィルタ10aでは、フィルタ10aの通過帯域の広帯域化が図られる。以上のように、線路導体層18a〜18fの形状を変化させることによっても、フィルタ10aの通過帯域を変化させることができる。すなわち、フィルタ10aにおいて、所望の通過特性を容易に得ることができる。
本願発明者は、フィルタ10aが奏する効果をより明確にするために、以下に説明するコンピュータシミュレーションを行った。より詳細には、フィルタ10aの第5のモデルないし第7のモデルを作成した。図13は、第5のモデルの線路導体層18a,18c,18eをz軸方向から平面視した図である。図14は、第6のモデルの線路導体層18a,18c,18eをz軸方向から平面視した図である。図15は、第7のモデルの線路導体層18a,18c,18eをz軸方向から平面視した図である。
第5のモデルでは、図13に示すように、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、互いに近接している。すなわち、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体層32a,28,32bに電気的に接続されているビアホール導体b8,b9、ビアホール導体b28,b29及びビアホール導体b58,b59から互いに平行にy軸方向の正方向側に延在している。そして、線路導体層18aの折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の正方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在している。線路導体層18eの折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の正方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在している。
第6のモデルでは、図14に示すように、線路導体層18a,18eは、z軸方向から平面視したときに、直線状をなしており、y軸方向の正方向側に行くにしたがって、互いの距離が広くなっている。
第7のモデルでは、図15に示すように、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、互いに離れている。すなわち、線路導体層18a〜18fの平行部Aは、z軸方向から平面視したときに、グランド導体層30に電気的に接続されているビアホール導体b1,b2、ビアホール導体b21,b22及びビアホール導体b51,b52から互いに平行にy軸方向の負方向側に延在している。そして、線路導体層18aの折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の負方向側の端部からx軸方向の正方向側に延在している。線路導体層18eの折り曲げ部Bは、平行部Aのy軸方向の負方向側の端部からx軸方向の負方向側に延在している。第7のモデルは、図12に示すフィルタ10aと同じ構造を有している。
本願発明者は、第5のモデルないし第7のモデルの通過特性及び反射特性を調べた。図16は、第5のモデルのシミュレーション結果を示したグラフである。図17は、第6のモデルのシミュレーション結果を示したグラフである。図18は、第7のモデルのシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸は、減衰量を示し、横軸は、周波数を示している。
図16ないし図18のグラフと図11のグラフとを比較すると、第5のモデルないし第7のモデルの通過帯域は、第4のモデルの通過帯域よりも広くなっていることが分かる。よって、コンデンサ導体層32a,28,32bに電気的に接続されているビアホール導体b8,b9、ビアホール導体b28,b29及びビアホール導体b58,b59同士が、グランド導体層30に電気的に接続されているビアホール導体b1,b2、ビアホール導体b21,b22及びビアホール導体b51,b52同士よりも近接することによって、フィルタ10aの広帯域化が図られることが分かる。
また、図16ないし図18を比較すると、第5のモデルの通過帯域が最も狭く、第7のモデルの通過帯域が最も広いことが分かる。第5のモデルでは、平行部Aが近接しているので、LC並列共振器LC1〜LC3同士の磁界結合が強い。そのため、第5のモデルでは、狭帯域化が図られていることが分かる。一方、第7のモデルでは、平行部Aが離れているので、LC並列共振器LC1〜LC3同士の磁界結合が弱い。そのため、第7のモデルでは、広帯域化が図られていることが分かる。以上より、線路導体層18a〜18fの形状を変化させることによっても、フィルタ10aの通過特性を変化させることができることが分かる。
(その他の実施形態)
なお、本発明に係るフィルタは、フィルタ10,10aに限らず、その要旨の範囲において変更可能である。
なお、LC並列共振器の数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。