JP5799118B2 - 軸物ワーク回転装置 - Google Patents
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Description
熱処理を施すと、不可避的に熱処理歪が発生し、僅かではあるが、ワーク(11)が変形する。この変形を是正し、製品寸法を維持するために、仕上げ加工を施す。
回転軸が水平である場合、重心が回転軸より上にある状態から下へ回転するときは重力作用で増速され、重心が回転軸より下にある状態から上へ回転するときは重力作用で減速される。結果、1回転中で、回転速度が波を打つように変化する。回転軸が鉛直である場合は重量作用が軽減されるが、1回転中で、回転速度が変化する現象は発生する。
すなわち、本発明によれば、軸物ワークを極力等速で回転させることができる技術が提供される。
センターピンの軸が回転軸を規定するため、軸物ワークが湾曲しているとワークチャック機構を軸直角方向に移動させる必要がでてくる。仮に、ワークチャック機構を全体的に移動可能にすると、ワークチャック機構の中心が回転軸から外れて、ワークチャック機構も不等速回転の発生源となる可能性がある。
この点、本発明では、ロック爪だけを軸直角方向へ移動可能にしたので、ワークチャック機構の中心は回転軸に維持され、等速回転に寄与する。
半製品を熱処理炉に入れて、浸炭焼き入れなどの熱処理を施す(ST04)。これで熱処理品が得られる。なお、熱処理は、窒化、ガス軟窒化、真空浸炭の何れでもよい。熱処理により、表面の硬度が高まる。
修正されたセンター穴を用いて、修正品に仕上げ加工としての第2次機械加工を施す(ST06(第2次機械加工工程))。この第2次機械加工工程では、スプライン加工、ねじ加工、シーブ面の仕上げなどを行う。これで、完成品が得られる。
図2に示すように、完成品は、CVTシャフト10である。CVTシャフト10は、センター穴11、12を有する軸部13と、この軸部13の途中から軸直角方向へ鍔状に張り出す円盤部14とからなる。円盤部14の一面にテーパ状のシーブ面15が備えられる。
図3(a)に示す熱処理品21は、熱処理歪みのため全体的に湾曲し、結果、センター穴12Aの中心軸22が、水平軸23に対してθだけ傾斜している。このままではすりこぎ運動と称する回転振れが発生する。
前記センター穴修正工程(図1、ST05)では、前記熱処理品における前記センター穴を拡径しつつ前記センター穴の傾きだけを修正することを特徴とする。
仮に、熱処理品にセンター穴を開け直すとすれば、中心軸を改めて決める工程と、センター穴開け直し工程が必要となり、工数が嵩む。
傾きを修正したセンター穴を用いて、修正品に機械加工を施して得られた完成品であっても、要求される品質が確保できた。すなわち、センター穴が修正されているため、第2次機械加工工程で、削り代は少なくて済む。
よって、本発明によれば、軸物ワークに熱処理を施しても、材料歩留まりを上げることができる。
図4に示すように、軸物ワークの加工装置30は、搬入されてきた熱処理品21を受け取るプレ・ステージ31と、このプレ・ステージ31の隣に設けられセンター穴に修正を施す修正加工ステージ32と、この修正加工ステージ32の隣に設けられ修正品の良否を判定する検査ステージ33と、プレ・ステージ31から修正加工ステージ32へ熱処理品を移動し修正加工ステージ32から検査ステージ33と修正品を移動するワーク移動手段34とを備えている。
なお、ポスト45は、ベース44ではなく、インデックスモータ機構46の出力軸に取付けてもよい。
テーブル47が図面時計回りに90°ずつ回転するため、粗加工ステージ32Aでセンター穴が粗加工され、仕上げ加工ステージ32Bでセンター穴が仕上げ
加工され、検査ステージ33で検査され、プレ・ステージ31で修正品がロボット36で排出される。
第2工具67は、想像線で示すように、ワークチャック機構61内へ収まっている。図では、第2工具67を見せるために、第3スライダ65を分離して、ワークチャック機構61より上に示した。
また、第1〜第3移動機構55、59、66は、エアシリンダが好適である。
図7に示すように、ワークチャック機構61は、第2スライダ58の水平部58aから下へ延びている支持筒72と、この支持筒72内に第1軸受73、73を介して回転可能に取付けられる内筒74と、この内筒74の下部から下へ延びる支持ピン75、75と、これらの支持ピン75、75で支持され水平に延びるロック爪76、76と、支持筒72外に第2軸受77、77を介して回転可能に取付けられる外筒78と、外筒78の下部から下へ延びる駆動ピン79、79とからなる。
電動モータ81を駆動源として、外筒78が低速で正転される。支持筒72は回転しない。内筒74は、回転可能であるが、駆動源を有していない。
ロック爪76は、熱処理品の中間部24に接する先端部がカム形状をなし、ワークを良好にチャックできる。
ロック爪76の先端がカム形状であるため、ロック爪76の傾きを変えることで、異なる径の中間部に先端部を当てることができる。結果、サイズ違いの軸物ワーク(熱処理品)をチャックすることができ、生産性の多様化を図ることができる。
なお、チャック後に、熱処理品21へ軸直角方向の力が加わった場合には、図6に示すように、支持ピン75の外径よりロック爪76側の穴85の径が若干大径とされているため、熱処理品21が軸直角方向へ移動し得る。
結果、図3で説明したように、センター穴12Aが修正され修正されたセンター穴12となる。
第2工具67、第2ブラシ69、第2給液手段88についても同様であるため、説明を省略する。
図11に示すように、検査ステージ33には、センター穴が修正された修正品89を支える下部センター軸91と上部センター軸92と径測定具93とシーブ面測定具94とが備えられている。
下部センター軸91に回転手段が設けられており、修正品89を所定回転速度で回す。白抜き矢印のように移動した外径測定具93で例えば中間部24の半径R1を測定する。また、白抜き矢印のように移動したシーブ面測定具94でシーブ面15の座標を測定する。座標からシーブ面15のテーパ角度を幾何学的に算出する。
バーコード97をイメージセンサ(カメラ)で読み取り、画像を解析して判読することは差し支えないが、イメージセンサ及び画像処理装置が高価である。
この点、バーコードリーダ95及びバーコード有無検知センサ96は、共に単機能品であるため、極めて安価である。
バーコードリーダ95でワークを個別識別し、検査結果をデータサーバーに累積(蓄積)し、製造履歴を監視し、最終製品の品質向上に役立てている。
Claims (8)
- 両端にセンター穴を有する軸物ワークを回す軸物ワーク回転装置であって、
前記両端のセンター穴の各々に挿入するセンターピンと、このセンターピンで位置決めされた前記軸物ワークの中間部をチャックするワークチャック機構と、このワークチャック機構を回転させるワーク回転機構とからなり、
前記ワークチャック機構は、前記軸物ワークの質量の少なくとも5倍の質量を有するフライホイールであり、
前記センターピンは、前記センター穴を浚う工具を兼ねている、
ことを特徴とする軸物ワーク回転装置。 - 前記工具は、砥石であることを特徴とする請求項1記載の軸物ワーク回転装置。
- 前記ワークチャック機構は、非回転部材である支持筒と、この支持筒内に第1軸受を介して回転自在に取付けられる内筒と、この内筒の一端に支持ピンを介して取付けられるロック爪と、支持筒外に第2軸受を介して回転自在に取付けられる前記ワーク回転機構で回される外筒と、この外筒の一端に設けられ前記ロック爪に係合している駆動ピンとからなり、
前記ロック爪は、少なくとも3個が等ピッチで配置され、
前記駆動ピンで前記ロック爪を回し、前記ロック爪の先端を前記内筒の中心へ進め、前記ロック爪の先端で前記軸物ワークをチャックするようにしたことを特徴とする請求項1記載の軸物ワーク回転装置。 - 前記支持ピンの軸直角方向へ前記ロック爪が移動可能となるように、前記ロック爪に設けた穴の径を、前記支持ピンの外径より大きくして所定の隙間を確保したことを特徴とする請求項3記載の軸物ワーク回転装置。
- 前記ワーク回転機構は、前記外筒の軸にモータ軸が平行に配置される電動モータと、前記モータ軸と前記外筒に渡したベルトとからなることを特徴とする請求項3記載の軸物ワーク回転装置。
- 前記軸物ワークは、熱処理され軸部が湾曲し、前記センター穴が前記センターピンに対して傾いている熱処理品であることを特徴とする請求項1記載の軸物ワーク回転装置。
- 前記軸物ワークは、CVTシャフトであることを特徴とする請求項6記載の軸物ワーク回転装置。
- 前記ロック爪の先端は、前記軸物ワークの前記中間部に接するカム形状を呈していることを特徴とする請求項3記載の軸物ワーク回転装置。
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