JP5798562B2 - 変異型dnaの検出法 - Google Patents

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Description

本発明は、変異型DNAの検出方法であって、一本鎖DNAとプローブとをハイブリダイズさせて特徴的な形態を有する2本鎖DNAのハイブリッド体を形成させ、得られたハイブリッド体を当該特徴的な形態に基づいて電気泳動法で分離することにより変異型DNAを検出する方法に関する。
近年、特定遺伝子中の変異の有無は、様々な分野で重要視されてきている。例えば、法医学におけるDNA鑑定で、DNA中の変異または多型による1塩基置換の有無を確認することは、個体識別の方法として既によく知られている。また、医学の分野でも、特定の遺伝子多型と薬剤感受性の間に相関性を有することが知られてきており、特定の遺伝子多型を調べることで、薬害リスクの低減を図ることがなされている。また、遺伝性疾患の変異型DNA保有者の検出等にも用いられており、遺伝子の変異の検出は、以前よりも重要度を増している。
DNA中の1塩基置換を検出する従来の簡易法としては、エス・エス・シー・ピー(SSCP)法が知られている。SSCP法は、DNA断片をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で増幅し、その産物を熱融解させて一本鎖DNAとし、熱融解後の冷却過程で該一本鎖DNAが分子内で部分的塩基対合を形成することを利用したものであり、1塩基変異を有する分子を1本鎖DNAの形状に変化させ、野生型DNAとの電気泳動法の移動度の差により、変異型DNAを分離識別する方法である。しかし、このSSCP法は、一本鎖DNAの分子形状を維持するために電気泳動中の温度を一定に保つ必要があった。そのため、電気泳動装置に循環式定温装置を装備させる必要があり、大がかりな装置が必要となるという問題を有していた。
そして、SSCP法の上記問題点を解決する方法として、DNA断片のPCR反応後の反応液に一本鎖オリゴDNAを添加してDNA断片とハイブリダイゼーションさせ、得られたハイブリッド体の構造の違いから電気泳動法により変異遺伝子を判別するループ・ハイブリッド(LH)法が提案されていた(特開2007-61080号)。
Orita, M.他 Genomics 5, 874-879 (1989) Matsukuma, S. 他 J. Mol. Diag. 8, 504-512,( 2006) 特許公開2007-61080
本発明者らは、上記LH法では、野生型DNAと変異型DNAの電気泳動法による分離が完全ではなく、変異型DNAを検出できない場合があることを見出し、野生型DNAと変異型DNAとを完全に分離し、変異型DNAを高精度に検出できる方法を開発するため更に鋭意研究を重ねた。その結果、LH法で得られるハイブリッド体中のループ部分をステム構造とすることにより、野生型DNA由来のハイブリッド体と変異型DNA由来のハイブリッド体とを電気泳動で容易に分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、野生型DNAとプローブのハイブリッド体及び変異型DNAとプローブとのハイブリッド体とを形成し、それらを電気泳動により効率よく分離し、変異型DNAを検出する方法の提供を課題とする。
即ち、本発明は、プローブを用いた変異型DNAの検出方法であって、
(1)置換塩基、欠損塩基領域、若しくは挿入塩基領域を有する一本鎖DNA(変異型DNA)又は/及びそれに対応する野生型の一本鎖DNA(野生型DNA)を含有する試料と、両一本鎖DNAとハイブリダイズするプローブとを接触させて、変異型DNAとのハイブリッド体(変異型ハイブリッド体)又は/及び野生型DNAとのハイブリッド体(野生型ハイブリッド体)を形成させ、得られた変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体の少なくとも一方はステム構造を有するものであり、
(2)得られた変異型ハイブリッド体又は/及び野生型ハイブリッド体を、ステム構造の有無又はステム構造の違いにより、電気泳動法で分離し、
(3)試料中の変異型DNAの有無を検出することを特徴とする、変異型DNAの検出方法に関する。
本発明の方法によれば、変異型が存在するDNAに関し、そのDNAが変異型であるかどうかを容易に検出することを可能とする。特に、従来のループハイブリッド法では、分離検出できなかった変異型DNAであっても分離検出することを可能とする。よって、本発明の方法は、癌細胞の有無や、ある特定の遺伝子の有無による薬剤効果の適否の判断等臨床検査薬の種々の検査に適応することができる。また、本発明によれば、KRAS遺伝子検査のように隣接したコドン(例えばコドン12と13)で変異が発生する場合であっても、その両者の変異を同一の測定系にて精度よく検出する事が可能となる。
図1は、実施例1で得られた、ステム構造を有するハイブリッド体を形成するプローブを用いてループハイブリッド法(LH法)により作製した、KRAS遺伝子の野生型DNAと変異型DNAのハイブリッド体をマイクロチップ電気泳動法で泳動した結果である。 図2は、比較例1で得られた、ステム構造を有さないハイブリッド体を形成するプローブを用いてLH法により作製した、KRAS遺伝子の野生型DNAと変異型DNAのハイブリッド体をマイクロチップ電気泳動法で泳動した結果である。 図3は、実施例2で得られた、ステム構造を有するハイブリッド体を形成するプローブを用いてLH法により作製した、KRAS遺伝子の7種類の変異型DNAと野生型DNAのハイブリッド体をポリアクリルアミド電気泳動法で泳動した結果である。 図4は、実施例3で得られた、ステム構造を有するハイブリッド体を形成するプローブ(IN-4)を用いてLH法により作製した、KRAS遺伝子の7種類の変異型DNAと野生型DNAのハイブリッド体をマイクロチップ電気泳動で泳動した結果である。 図5は、実施例4で得られた、ステム構造を有するハイブリッド体を形成するプローブ(IN-1)を用いてLH法により作製した、KRAS遺伝子の12種類の変異型DNAと野生型DNAのハイブリッド体をマイクロチップ電気泳動で泳動した結果である。 図6は、実施例5で得られた、UGT1A1遺伝子の野生型DNA(TA6)と変異型DNA(TA7)を検出した結果を示した図である。即ち、左図は、野生型DNA(TA6)と変異型DNA(TA7)のヘテロについてLH法により得たハイブリッド体を測定した結果を、真ん中の図は、変異型DNA(TA7)のホモについてLH法により得たハイブリッド体を測定した結果を、右図は野生型DNA(TA6)のホモについてLH法により得たハイブリッド体を測定した結果を、それぞれ表す。 図7は、実施例6で得られた、UGT1A1遺伝子の野生型DNA(TA6)と変異型DNA(TA5)、(TA7)及び(TA8)を検出した結果を示した図である。左図は、それらをサイバー・グリーンIの蛍光検出で測定した結果を、右図はCy5の蛍光検出で測定した結果を表す。 図8は、実施例7で得られた、LHサイクル数0〜4回としたときのUGT1A1遺伝子の野生型DNA(TA6)と変異型DNA(TA7)を検出した結果を示した図である。左図は、Cy5の蛍光検出で測定した結果を、右図はサイバー・グリーンIの蛍光検出で測定した結果を表す。 図9は、実施例8で得られた、TOMM40遺伝子多型のポリT多型を検出するために必要な固定長ポリーTを有する増幅域DNAに対するSLH形成とその分離を検出した結果を示した図である。
本発明に係る変異型DNAは、置換塩基、欠損塩基領域、又は挿入塩基領域(以下、これらを総称して単に変異塩基領域と記載する場合がある。)を有するものであって、且つその野生型DNAの塩基配列が、少なくともこれら変異塩基領域の前後100〜1000塩基について既知である一本鎖DNAであれば何れも用いることができる。即ち、動物、微生物、細菌、植物等の生物から単離されるゲノムDNA断片、ウイルスから単離可能なDNA断片、およびmRNAを鋳型として合成されたcDNA断片も含まれる。このような変異型DNAの中でも、ヒト細胞由来の癌遺伝子が好ましいものとして挙げられる。また、ハイブリッド体を形成する変異型DNAの鎖長(測定の対象となる鎖長)は、通常50〜2000塩基、好ましくは100〜500塩基である。尚、上記欠損塩基領域としては、野生型DNA中の1〜200塩基の塩基配列が連続して欠損している領域を表す。また、上記挿入塩基領域としては、野生型DNAに1〜200塩基の塩基配列が連続して挿入されている領域を表す。尚、本発明に係る変異型DNA及び野生型DNA両者とハイブリダイズするプローブは、特定の置換塩基、欠損塩基領域又は挿入塩基領域をターゲットとして本発明に係るステム構造を形成するため、ターゲットとするもの以外に置換塩基、欠損塩基領域又は挿入塩基領域が複数存在しても構わない。
本発明に係る野生型DNAは、上記本発明に係る変異型DNAの変異を有さないDNAである。本発明の方法に於いて用いられる本発明に係る野生型DNAは、本発明に係る変異型DNAと変異塩基領域を除いた塩基配列が同一のものであり、その長さとしては変異型DNAと同程度のものを用いるのが好ましく、通常50〜2000塩基、好ましくは100〜500塩基である。
上記本発明に係る変異型DNA及び野生型DNAは、上記DNAができる限り精製され、核酸断片以外の余分な成分が取り除かれているものが好ましい。具体的には、例えばシリカ担体を用いたBoom法(Boom et al. J. Clin. Microbiol. 28:495-503 (1990))、ヨウ化ナトリウム溶液を使用する方法(Proc. Natl. Acad. Sci.USA 76-2,p615-619 (1979))など、常法に準じて精製されたものが好ましい。また、自体公知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR反応)、例えばNucleic Acids Research,1991,Vol.19,3749、BioTechniques, 1994, Vol.16, 1134-1137に記載の方法により目的とするDNAを増幅させたものを用いてもよい。
本発明に係るステム構造とは、ゲノムDNA中に作られる場合には、プローブとハイブリダイズしない(塩基対を形成しない)一本鎖塩基鎖で構成されるものであり、プローブ中に作られる場合には、ゲノムDNAとハイブリダイズしない(塩基対を形成しない)一本鎖塩基鎖で構成されるものであって、且つゲノムDNAとプローブのハイブリッド体中で、それ自身で塩基対を形成し得る配列を含むものである。該ステム構造は、塩基対が少なくとも2塩基対以上、好ましくは3塩基対以上連続するものであり、該塩基対を形成し得る配列のみで構成されるものであっても、該塩基対を形成し得る配列とループ配列とを含むものであってもよい。尚、本発明におけるループ配列とは、ゲノムDNAとプローブのハイブリッド体において、プローブと塩基対を形成し得ない一本鎖塩基鎖、又はゲノムDNAと塩基対を形成し得ない一本鎖塩基鎖であって、それ自身で塩基対を形成し得ないものである。また、上記塩基対を形成し得る配列とループ配列を含むものとしては、塩基対を形成し得る配列を含むものであれば、塩基対が、ステム構造中の先端(ゲノムDNAにハイブリダイズしている塩基鎖から最も離れている箇所)、ステム構造中の中間(ステム構造中ループ配列で囲まれる箇所)又は、ステム構造中の末端(ゲノムDNAにハイブリダイズしている塩基鎖に最も近い箇所)の何れにあってもよい。変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体の電気泳動による分離性能の点では、上記の中でも塩基対を形成し得る配列のみで構成されるものが好ましい。尚、以下に、本発明に係るハイブリッド体において推定される本発明に係るステム構造の模式図を記載する。左から順に、ステム構造が塩基対を形成し得る配列のみで構成されるものの模式図を、ステム構造が塩基対を形成し得る配列とループ配列で構成され、塩基対がステム構造中の末端に存在するものの模式図を、塩基対がステム構造中の先端に存在するものの模式図を、塩基対がステム構造中の中間に存在するものの模式図を、それぞれ表す。実線部分はステム構造を表し、点線部はゲノムDNAとプローブとが形成する二本鎖塩基鎖を表す。また、ステム構造中の並行部分は塩基対を形成し得る配列を表し、弧はループ配列を表す。
Figure 0005798562
形成され得る上記塩基対の数は、通常2〜20bp、好ましくは3〜10 bp、より好ましくは3〜5 bpである。また、該塩基対は、少なくとも3塩基対連続しているものが含まれていればよく、複数の塩基対を有していてもよいが、全てが連続しているものが好ましい。上記ステム構造は、プローブ側にあってもゲノム側にあってもよいが、プローブ側にあると、プローブの設計により自由にステム構造を設定できるため、ゲノム側にあるものより好ましい。上記ステム構造の塩基鎖長は、通常4〜60mer、好ましくは6〜30mer、より好ましくは6〜20merである。
なお、本発明においては、変異型ハイブリッド体におけるステム構造と野生型ハイブリッド体のステム構造は、異なる構造となる。即ち、例えば変異型DNAが置換塩基を有するもので、プローブが置換塩基と結合し、正常塩基とは結合しないように設計され、得られるハイブリッド体がプローブ側にステム構造を有する場合、その変異型ハイブリッド体は、プローブ側で設計した通りのステム構造を形成すると推定される。一方、その野生型ハイブリッド体において、プローブは正常塩基と結合しないため、ハイブリッド体中のステム構造は、正常塩基と結合しない塩基を含むものとなり、変異型ハイブリッド体におけるステム構造(設計したステム構造)よりも1塩基長いものとなると推定される。このように、プローブ側にステム構造を有する場合、本発明に係るプローブは、変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体とで、何れか一方がプローブ作製時に設計したステム構造とは異なるものとなり、その結果、変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体を効率よく分離することができる。なお、上記の野生型ハイブリッド体の例のように、ハイブリッド体中のステム構造が設計したものと異なる場合やステム構造が塩基対を形成しない場合、即ち、ハイブリッド体がステム構造を有さない場合もあるが、本発明においては、変異型ハイブリッド体、野生型ハイブリッド体の少なくとも何れか一方がステム構造を有していれば、変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体を効率よく分離することができる。また、例えば変異型DNAが欠損塩基領域を有するものであって、野生型ハイブリッド体がプローブ側にステム構造を有する場合、変異型ハイブリッド体中のステム構造は、野生型ハイブリッド体中のステム構造に更に欠損塩基領域の塩基鎖を含むことになる。また、例えば変異型DNAが挿入塩基領域を有するものであって、野生型ハイブリッド体がゲノム側にステム構造を有する場合、変異型ハイブリッド体中のステム構造は、野生型ハイブリッド体中のステム構造に更に挿入塩基領域を含むことになる。このように、本発明の方法においては、ステム構造が異なる構造となることにより、変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体とをそのステム構造の違いに基づいて電気泳動で効率よく分離することを可能とする。
本発明に係るステム構造が塩基対を形成し得る配列とループ配列とで構成される場合、ループ配列中の塩基が、塩基対中の相補な塩基と結合する場合があると考えられる。この場合、塩基対を形成できなくなる場合もあるが、その場合であっても、本発明の方法によれば、変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体のステム構造が異なるものとなるため、効率よく分離することができる。また、このようなループ配列中の塩基と塩基対中の塩基との相互作用(結合)を利用することで、置換塩基の種類が異なる変異DNAを用いた場合であっても、異なるステム構造を形成させることができ、結果として、置換塩基の種類が異なる変異DNAの分離をも可能とする。
本発明に係る変異型DNA及び野生型DNA両者とハイブリダイズするプローブ(以下、本発明に係るプローブと略記する場合がある)は、変異型DNA又は野生型DNAとハイブリダイズして、それぞれのハイブリッド体を形成するものであって、ハイブリダイズした際に、変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体の少なくとも何れか一方に上記ステム構造を作らせるものであり、且つ、両者にステム構造が形成される場合には、両者のステム構造が異なるものとなるように設計されている。このような本発明に係るプローブは、通常30〜300mer、好ましくは50〜150merである。また、ステム構造をプローブ側に形成する場合、プローブの設計により自由にステム構造を設定できるが、ゲノム側にステム構造を形成する場合には、ゲノムの塩基配列中からステム構造を有する塩基配列を検索し、その部分でステム構造を作るようにプローブを設計すればよい。本発明に係るプローブの具体例については、ハイブリッド体の具体例と併せて後述するが、例えば検出するDNAが置換塩基を有する変異DNAで、プローブ側にステム構造を作らせる場合には、例えば下記図のようにプローブを設計すればよい。下記図に示されたものの場合、正常(野生型)ゲノムの一本鎖塩基配列を置換塩基に相当する正常塩基を中心としてA部、B部に分け、そのA部、B部の間に、ステム構造を形成し得る配列(ステム構造該当配列)を挿入するように設計すればよい。尚、図中のMは、置換塩基を表し、Nは置換塩基に対応する正常塩基を表す。また、A'部及びB'部は、それぞれA部、B部と相補な塩基領域を表す。
Figure 0005798562
このように設計することにより、例えば野生型ハイブリッド体を形成した場合には、設計した通りのステム構造が形成され、一方、変異型ハイブリッド体においては、置換塩基とプローブ中の正常塩基と相補な塩基とが結合しないため、正常塩基と相補な1塩基を含むステム構造が形成されると考えられ、その結果、野生型のステム構造とは異なるものとなる。尚、上記のように、プローブ側にステム構造を有する場合、本発明に係るプローブ中のステム構造に該当する配列としては、例えばパリンドローム(回文)配列、又はパリンドローム配列を含む塩基配列、相補となる塩基をそれぞれ同数連結させた塩基配列(例えばAAAATTTT等)、又は相補となる塩基をそれぞれ同数連結させた塩基配列を含む塩基配列が好ましい。
本発明に係るハイブリッド体は、上記本発明に係るプローブが野生型DNA又は変異型DNAにハイブリダイズすることにより形成されるものであるが、野生型ハイブリッド体と変異型ハイブリッド体では、上述のように、そのステム構造が異なる。即ち、本発明の方法においては、同じプローブを用いて両ハイブリッド体を形成するため、両者の変異塩基(領域)におけるプローブとDNAの結合塩基対数が異なり、その結果、両ハイブリッド体におけるステム構造が異なってくると推定される。従って、このステム構造が異なるものとなることにより電気泳動で両者を容易に分離することが可能となる。
また、本発明に係るハイブリッド体は、ステム構造を有する塩基鎖の反対側、即ち、ゲノムDNA側にステム構造を有する場合にはプローブ側に、プローブ側にステム構造を有する場合にはゲノムDNA側に、更にステム構造又はループ構造を有するのが好ましく、中でもステム構造を有するのが好ましい。ステム構造を有する塩基鎖の反対側にステム構造又はループ構造を有することにより、より高い分離能を奏することが可能となる。このようなステム構造は、上記本発明に係るステム構造と同じものが挙げられる。また、ループ構造は、上記ステム構造を形成し得ない、プローブと塩基対を形成しない一本鎖塩基鎖、又はゲノムDNAと塩基対を形成しない一本鎖塩基鎖で構成されるものであり、具体的には、それ自身が塩基対を形成しない又は形成しても1塩基対のみである、プローブと塩基対を形成しない一本鎖塩基鎖、又はゲノムDNAと塩基対を形成しない一本鎖塩基鎖である。その鎖長等については、ステム構造に準じたものであればよい。
上記プローブ並びに上記ハイブリッド体は、測定対象とする変異型DNAの種類(前記置換塩基、欠損塩基領域、又は挿入塩基領域を有する一本鎖DNA)や、変異塩基領域とハイブリッドするのか若しくは変異塩基領域に対応する正常塩基又は正常塩基領域とハイブリッドするのかにより、適宜設計して合成すればよいが、具体的なプローブの例については、以下の如く場合分けしてそれぞれ説明する。
(I)変異型DNAが置換塩基を有するDNAの場合
(I-1)プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
(a)プローブが正常塩基と結合する場合
(b)プローブが置換塩基と結合する場合
(I-2)ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
(a)プローブが正常塩基と結合する場合
(b)プローブが置換塩基と結合する場合
(II)変異型DNAが欠損塩基領域を有するDNAの場合
(II-1)プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
(a)少なくとも変異型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
(b)少なくとも野生型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
(II-2)ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
(III)変異型DNAが挿入塩基領域を有するDNAの場合
(III-1)ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
(a)少なくとも変異型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
(b)少なくとも野生型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合:
(III-2)プローブ側にステム構造を有するDNAの場合
(a)少なくとも野生型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
(b)少なくとも変異型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
(IV)ステム構造を有する塩基鎖の反対側の鎖中に更にステム構造又はループ構造を形成する場合
[本発明に係るプローブ及びハイブリッド体の具体例]
(I)変異型DNAが置換塩基を有するDNAの場合
(I-1)プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
[該塩基配列中、1stSS1、2ndSS1は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'1及びX'5はそれぞれ任意の塩基を表し、X'2〜X'4は塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは変異塩基と相補な塩基又は変異塩基に対応する正常塩基と相補な塩基であり、該変異塩基と相補な塩基又は正常塩基と相補な塩基は、ハイブリダイズした際に、変異型DNAの置換塩基又は野生型DNAの正常塩基と対応する位置に存在するものである。StP1はプローブ側でステム構造を形成する配列(以下、プローブ側ステム配列と略記する場合がある)を表す。]
上記X'1〜X'5における任意の塩基とは、アデニン、グアニン、チミン、シトシンの何れかの塩基である。以下、本発明における任意の塩基とは、同じものを表す。
X'2〜X'4における結合手とは、塩基は存在せず、単に両隣の塩基と結合させている場合を表す。例えばX'2がアデニン(A)で、X'3が結合手で、X'4がグアニンの場合、X'2-X'3-X'4はA-Gを表す。以下、本発明における結合手とは、同じものを表す。
本発明に係るプローブ側ステム配列は、ハイブリッド体を形成した際に、ゲノムDNAとハイブリダイズしない(塩基対を形成しない)ものであって、且つプローブ内の一本鎖塩基鎖がそれ自身で塩基対を形成し得る配列であり、前記ステム構造を形成し得るものである。該プローブ側ステム配列は、それのみでステム構造となるものもあるが、ステム配列と隣接する、ゲノムDNAと塩基対を形成しない塩基又は塩基配列と連結し、ステム構造を形成してもよい。この場合、ステム配列の構成が変化して上記塩基対を形成できず、本発明に係るステム構造を構成できない(ループ構造となる)場合もあるので、変異型ハイブリッド体、野生型ハイブリッド体の少なくとも何れか一方が本発明に係るステム構造を有するように設計しておく必要がある。
本発明に係るプローブ側ステム配列は、通常4〜60mer、好ましくは6〜20merからなるものである。また、該プローブ側ステム配列がステム構造を形成した際のステム構造中の塩基対は、通常2〜20bp、好ましくは3〜10 bp、より好ましくは3〜5 bpの連続する二本鎖塩基対からなるもの又は2〜20 bp、好ましくは3〜10 bp、より好ましくは3〜5 bpの連続する二本鎖塩基対とループ配列とを含むものが挙げられ、中でも、連続する二本鎖塩基対からなるものが好ましい。
上記プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS1、2ndSS1は上記と同じであり、1stDS1、2ndDS1は、それぞれ1stSS1、2ndSS1と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X'1〜X'5は上記と同じであるが、X1及びX5は塩基を表し、X'1とX1及びX'5とX5はそれぞれ相補な塩基であり、X2〜X4は塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは置換塩基であり、対応するX'2〜X'4に対して相補な塩基又は結合手である。但し、プローブ中のX'2〜X'4の何れかが正常塩基と相補な塩基である場合、対応するX2〜X4の何れかの置換塩基とは相補なものとならない。)
また、上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS1、2ndSS1、1stDS1、2ndDS1、X'1〜X'5、X1及びX5は上記と同じであるが、X1とX5及びX'1とX'5は、それぞれ相補な塩基であり、Y2〜Y4は塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは変異塩基に対応する正常塩基であり、対応するX'2〜X'4に対して相補な塩基又は結合手である。但し、プローブ中のX'2〜X'4の1つが置換塩基と相補な塩基である場合、対応するY2〜Y4の何れかの正常塩基とは相補なものとならない。)
変異型DNAが置換塩基を有するものであってプローブ側にステム構造を有する場合について、更に、(a)プローブが正常塩基と相補な塩基を有する場合と(b) プローブが置換塩基と相補な塩基を有する場合とに分けて以下で説明する。
(I-1)(a)プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合であって、プローブが正常塩基と結合する場合
変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、プローブが正常塩基と結合し、プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合、該本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(該塩基配列中、1stSS11、2ndSS11は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'11及びX'15は任意の塩基を表し、X'12〜X'14は塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは変異塩基に対応する正常塩基と相補な塩基であり、該正常塩基と相補な塩基は、ハイブリダイズした際に、変異型DNAの置換塩基又は野生型DNAの正常塩基と対応する位置に存在するものである。St P11はプローブ側ステム配列を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、X'11〜X'15、St P11は上記と同じであるが、1stSS11、2ndSS11は上記と同じであり、1stDS11、2ndDS11は、それぞれ1stSS11、2ndSS11と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X11及びX15は塩基を表し、X'11とX11及びX'15とX15は相補な塩基であり、X12〜X14は塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは置換塩基であり、X12〜X14中の置換塩基は、対応するX'12〜X'14に対して相補な塩基とはならないが、その他のものは、対応するX'12〜X'14に対して相補な塩基又は結合手となる。)
尚、上記変異型ハイブリッド体中のX'12〜X'14の何れか1つは正常塩基と相補な塩基であるため、X12〜X14中の置換塩基と塩基対を形成しない。そのため、プローブ側ステム配列と正常塩基と相補な塩基の間に塩基がある場合、その塩基については、ゲノム側塩基と相補な塩基であっても結合が不安定となり、塩基対を形成できなくなる。その結果、X'12〜X'14も塩基対を形成することができなくなる場合があり、このような塩基対を形成できなくなったものはステム配列と連結する。尚、この場合、これらの塩基は、ステム配列及び塩基対を形成できなくなった塩基の組合せによってはステム構造を形成するが、単なるループ構造となってもよい。例えば、下記図のように、X13が置換塩基(図中はMで表示)で、X'13が正常塩基と相補な塩基(図中はN'で表示)であった場合、X12とX'12は通常であれば塩基対を形成するが、両隣の塩基がゲノム側の塩基と塩基対を形成しないため、St P11 -X'12-N'( X'13)-は全て変異型DNAのゲノム側と塩基対を形成せずにこれらでステム構造を形成することとなる。
Figure 0005798562
また、上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS11、2ndSS11は上記と同じであり、1stDS11、2ndDS11、X'11〜X'15、X11、X15及びSt P11は、上記と同じであるが、X11とX15はそれぞれX'11とX'15に相補な塩基であり、Y12〜Y14は塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは変異塩基に対応する正常塩基であり、対応するX'12〜X'14に対して相補な塩基又は結合手である。)
上記野生型ハイブリッド体においては、プローブで設計されたステム配列のみでステム構造を形成する。本発明の変異型DNAの検出方法においては、該野生型ハイブリッド体が少なくともステム構造を有するものとなるため、上記変異型ハイブリッド体がステム構造を有さないものであってもよい。尚、上記変異型ハイブリッド体がステム構造を有する場合であっても、該野生型ハイブリッド体とは異なるステム構造を有することとなる。
上記変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブが正常塩基と相補な塩基を有し、プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合の変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体の具体的な組合せとしては、例えば下記表のものが挙げられる。
Figure 0005798562
表中、1stSS、2ndSSは、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、1stDS、2ndDSは、それぞれ1stSS、2ndSSとと共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、XはプローブとゲノムDNAの間で相補となる塩基を表し、Mは置換塩基を、Nは置換塩基に対応する正常塩基を、N'は正常塩基と相補な塩基を、Stはプローブ側ステム配列を表す。また、□で囲った範囲は、ゲノムDNAと塩基対を形成せず、ステム構造又はループ構造を形成していることを表す。
(I-1)(b)プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合であって、プローブが置換塩基と結合する場合
変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、プローブが置換塩基と結合し、プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合、該本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(該塩基配列中、1stSS21、2ndSS21は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'21及びX'25は任意の塩基を表し、X'22〜X'24は塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは置換塩基と相補な塩基であり、該置換塩基と相補な塩基は、ハイブリダイズした際に、変異型DNAの置換塩基又は野生型DNAの正常塩基と対応する位置に存在するものである。St P21はプローブ側ステム配列を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS21、2ndSS21、X'21〜X'25、St P22は上記と同じであるが、1stDS21及び2ndDS21は、それぞれ1stSS21、2ndSS21と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X21及びX25は塩基を表し、X'21とX21及びX'25とX25は相補な塩基を表し、X22〜X24は塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは置換塩基であり、対応するX'22〜X'24に対して相補な塩基又は結合手である。)
該変異型ハイブリッド体においては、プローブで設計されたステム配列のみでステム構造を形成する。本発明の変異型DNAの検出方法においては、該変異型ハイブリッド体が少なくともステム構造を有するものとなるため、下記野生型ハイブリッド体がステム構造を有さないものであってもよい。尚、下記野生型ハイブリッド体がステム構造を有する場合であっても、該変異型ハイブリッド体とは異なるステム構造を有することとなる。
また、上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS21、2ndSS21、1stDS21、2ndDS21、X'21〜X'25、X21、X25及びSt P21は上記と同じであるが、X21とX25はそれぞれX'21とX'25に相補な塩基であり、Y22〜Y24は塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは置換塩基に対応する正常塩基であり、その他のY22〜Y24は対応するY'22〜Y'24に対して相補な塩基又は結合手である。)
尚、上記野生型ハイブリッド体中のX'22〜X'24の何れか1つは置換塩基と相補な塩基であるため、Y22〜Y24の何れかの正常塩基とは塩基対を形成しない。その結果、ステム配列の構造の影響により、X'22〜X'24も塩基対を形成することができない場合があり、そのような塩基対を形成できないものはプローブ側ステム配列と連結する。尚、この場合、これらの塩基は、ステム配列及び塩基対を形成できなくなった塩基の組合せによってはステム構造を形成するが、単なるループ構造となってもよい。
上記の変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブが置換塩基と相補な塩基を有し、プローブ側にステム配列を有するハイブリッド体を形成するものである場合の変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体の具体的な組合せとしては、例えば下記表のものが挙げられる。
Figure 0005798562
表中、1stSS、2ndSSは、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、1stDS、2ndDSは、それぞれ1stSS、2ndSSと共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、XはプローブとゲノムDNAの間で相補となる塩基を表し、Mは置換塩基を、Nは置換塩基に対応する正常塩基を、M'は置換塩基と相補な塩基を、Stはプローブ側ステム配列を表す。また、□で囲った範囲は、ゲノムDNAと塩基対を形成せず、ステム構造又はループ構造を形成していることを表す。
上述の如き、変異型DNAが置換塩基を有するDNAであって、プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合のハイブリッド体は、そのゲノム側に更にステム構造又はループ構造を形成するものも含む。その詳細については(IV)で記載する。
(I-2)ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS31、2ndSS31は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'31、X'32及びX'33は、それぞれ任意の塩基を表し、X'32は置換塩基に相補な塩基又は正常塩基に相補な塩基を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
[該ハイブリッド体中、1stSS31、2ndSS31、X'31〜X'33は上記と同じ。1stDS31、2ndDS31は、それぞれ1stSS31、2ndSS31と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X31及びX33はそれぞれ塩基を表し、それぞれX'31及びX'33と相補な塩基である。M31は置換塩基を表し、StG31はゲノム側でステム構造を形成する配列(以下、ゲノム側ステム配列と略記する場合がある)を表す。]
該ハイブリッド体においては、X'32が置換塩基に相補な塩基である場合、ゲノム側ステム配列がステム構造を形成し、X'32が正常塩基に相補な塩基である場合、ゲノム側ステム配列と置換塩基とが連結してステム構造又はループ構造を形成する。
上記ゲノム側ステム配列は、上記プローブ側ステム配列と同様に、ハイブリッド体を形成した際に、プローブとハイブリダイズしない(塩基対を形成しない)、ゲノム内の一本鎖塩基鎖がそれ自身で塩基対を形成する配列であり、前記ステム構造を形成するものである。該ステム配列は、それのみでステム構造となるものであるが、X'32が正常塩基に相補な塩基である場合、StG31-M31でステム構造又はループ構造を形成する。尚、ループ構造を形成する場合には、野生型ハイブリッド体が本発明に係るステム構造を有するように、設計しておく必要がある。
ゲノム側ステム配列は、通常6〜60mer、好ましくは6〜10merからなるものであり、該ゲノム側ステム配列がステム構造を形成した際のステム構造中の塩基対は、通常3〜20bp、好ましくは3〜5bpの連続する二本鎖塩基対からなるもの又は3〜20bp、好ましくは3〜5bpの連続する二本鎖塩基対を有するループ構造が挙げられ、中でも、3〜20bp、好ましくは3〜5bpの連続する二本鎖塩基対からなるものが好ましい。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(1stSS31、2ndSS31、1stDS31、2ndDS31、X'31〜X'33、X31、X33及びSt G31は上記と同じ。N31は置換塩基に対応する正常塩基を表す。)
該ハイブリッド体においては、X'32が正常塩基に相補な塩基である場合、ゲノム側ステム配列がステム構造を形成し、X'32が置換塩基に相補な塩基である場合、ゲノム側ステム配列と置換塩基とが連結してステム構造またはループ構造を形成する。
(I-2)(a)ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合であって、プローブが正常塩基と結合する場合
変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、プローブが正常塩基と結合し、ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS41、2ndSS41は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'41及びX'43は、それぞれ塩基を表し、N'41は正常塩基に相補な塩基を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS41、2ndSS41、X'41、X'43及びN'41は上記と同じ。1stDS41、2ndDS41は、それぞれ1stSS41、2ndSS41と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X41及びX43は塩基配列を表し、それぞれX'41及びX'43と相補な塩基であり、M41は置換塩基を表し、StG41はゲノム側ステム配列を表す。)
上記ハイブリッド体において置換塩基M41は、N'41と塩基対を形成できないため、StG41と連結してステム構造又はループ構造を形成する。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
Figure 0005798562
野生型ハイブリッド体
(1stSS41、2ndSS41、1stDS41、2ndDS41、X'41、X'42及びX'43、X41、X43及びStG41は上記と同じ。N41は置換塩基に対応する正常塩基を表す。)
該ハイブリッド体においては、ゲノム側ステム配列がステム構造を形成する。
変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、ゲノム側にステム配列を有するハイブリッド体を形成する場合の変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体の具体的な組合せとしては、例えば下記表のものが挙げられる。
Figure 0005798562
表中、1stSS、2ndSSは、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、1stDS、2ndDSは、それぞれ1stSS、2ndSSと共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、XはプローブとゲノムDNAの間で相補となる塩基を表し、Mは置換塩基を、Nは置換塩基に対応する正常塩基を、N'は正常塩基と相補な塩基を、(St)はゲノム側ステム配列を表す。また、□で囲った範囲は、プローブと塩基対を形成せず、ステム構造又はループ構造を形成していることを表す。
(I-2)(b)ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合であって、プローブが置換塩基と結合する場合
変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、プローブが置換塩基と結合し、ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS51、2ndSS51は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'51及びX'53は、それぞれ塩基を表し、M'51は置換塩基に相補な塩基を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS51、2ndSS51、X'51、X'53及びM'51は上記と同じ。1stDS51、2ndDS51は、それぞれ1stSS51、2ndSS51と共に塩基対を形成する塩基配列領域を表し、X51及びX53は塩基を表し、X'51とX51及びX'53とX53はそれぞれ相補な塩基である。M51は置換塩基を表し、StG51はゲノム側ステム配列を表す。)
該ハイブリッド体においては、ゲノム側ステム配列がステム構造を形成する。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS51、2ndSS51、1stDS51、2ndDS51、X'51〜X'53は上記と同じ。Y51及びY53はそれぞれ塩基を表し、それぞれY'51及びX'53と相補な塩基である。N51は置換塩基に対応する正常塩基を表し、St G51はゲノム側ステム配列を表す。)
上記ハイブリッド体においては、N51はM'51と塩基対を形成できないため、St G51と連結してステム構造又はループ構造を形成する。
変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブが置換塩基と相補な塩基を有するものであって、ハイブリダイズした際に、ゲノム側にステム配列を有するハイブリッド体を形成する場合の変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体の具体的な組合せとしては、例えば下記表のものが挙げられる。
Figure 0005798562
表中、1stSS、2ndSSは、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、1stDS、2ndDSは、それぞれ1stSS、2ndSSと共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、XはプローブとゲノムDNAの間で相補となる塩基を表し、Mは置換塩基を、Nは置換塩基に対応する正常塩基を、M'は置換塩基と相補な塩基を、(St)はゲノム側ステム配列を表す。また、□で囲った範囲は、プローブと塩基対を形成せず、ステム構造又はループ構造を形成していることを表す。
上述の如き、変異型DNAが置換塩基を有するDNAであって、ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合のハイブリッド体は、そのプローブ側に更にステム構造又はループ構造を形成するものも含む。その詳細については(IV)で記載する。
(II)変異型DNAが欠損塩基領域を有するDNAの場合
(II-1)プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
(a)少なくとも変異型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
変異型DNAが欠損塩基領域を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、ステム構造がプローブ側に形成され、少なくとも変異型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS211、2ndSS211は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'211及びX'212はそれぞれ任意の塩基を表し、DM'は欠損塩基領域に相補な塩基配列であって、且つステム構造を形成する塩基配列を表す。)
上記欠損塩基領域とは、変異型DNAで欠損している、野生型DNA中の塩基領域を意味する。
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS211、2ndSS211、X'211、X'212及びDM'は上記と同じ。1stDS211、2ndDS211は、それぞれ1stSS211、2ndSS211と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X211及びX212は塩基を表し、X'211とX211及びX'212とX212はそれぞれ相補な塩基である。)
上記ハイブリッド体に於いては、欠損塩基領域に相補な塩基配列がステム構造を形成する。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS211、2ndSS211、1stDS211、2ndDS211、X'211及びX'212は上記と同じ。X211及びX212はそれぞれ塩基を表し、それぞれX'211及びX'212と相補な塩基である。DMは、欠損塩基領域を表し、DM'は欠損塩基領域と相補な塩基であってDMと塩基対を形成している。)
上記ハイブリッド体は、プローブとゲノムが完全に塩基対を形成するため、ステム構造を形成しない。
(b)少なくとも野生型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
変異型DNAが欠損塩基領域を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、ステム構造がプローブ側に形成され、少なくとも野生型ハイブリッド体はステム構造を形成する(野生型ハイブリッド体が設計されたステム構造を形成する)場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS221、2ndSS221は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'221及びX'222はそれぞれ塩基を表す。DM'は欠損塩基領域に相補な塩基配列を表し、St P221はプローブ側ステム配列を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(1stSS221、2ndSS221、X'221、X'222、DM'及びSt P221は上記と同じである。1stDS221、2ndDS221は、それぞれ1stSS221、2ndSS221と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X221及びX'222は塩基を表し、X'221とX221及びX'222とX222はそれぞれ相補な塩基である。)
上記ハイブリッド体においては、DM'-StP221とStP221、即ち、欠損塩基領域に相補な塩基配列とプローブ側ステム配列が連結してステム構造又はループ構造を形成する。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(1stSS221、2ndSS221は、1stDS221、2ndDS221、X'221、X'222、DM'及びSt P221は上記と同じ。X221及びX222はそれぞれ塩基を表し、それぞれX'221及びX'222と相補な塩基である。DMは、欠損塩基領域を表す。)
上記ハイブリッド体においては、プローブ側ステム配列がステム構造を形成するため、上記ハイブリッド体はプローブで設計されたステム構造を有する。
上述の如き、変異型DNAが欠損塩基領域を有するDNAであって、プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合のハイブリッド体は、そのゲノム側に更にステム構造又はループ構造を形成するものも含む。その詳細については(IV)で記載する。
(II-2)ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
変異型DNAが欠損塩基領域を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、ステム構造がゲノム側に形成され、少なくとも野生型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS231は、欠損塩基領域を含まない、欠損塩基の3'側と相補な一本鎖の塩基配列を表し、2ndSS231は、欠損塩基領域を含まない、欠損塩基の5'側と相補な一本鎖の塩基配列をそれぞれ表す。)
上記欠損塩基領域とは、変異型DNAで欠損している、野生型DNA中の塩基領域を意味する。
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS231及び2ndSS231は上記と同じ。1stDS231、2ndDS231は、それぞれ1stSS211、2ndSS211と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表す。)
上記ハイブリッド体は、プローブとゲノムが完全に塩基対を形成するため、ステム構造を形成しない。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS231、2ndSS231、1stDS231、2ndDS231は上記と同じ。DMは、欠損塩基領域であって且つステム構造を形成する配列を表す。)
上記ハイブリッド体に於いては、ゲノムDNA側において欠損塩基領域がステム構造を形成するため、該ハイブリッド体はステム構造を有する。
上述の如き、変異型DNAが欠損塩基領域を有するDNAであって、ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合のハイブリッド体は、そのプローブ側に更にステム構造又はループ構造を形成するものも含む。その詳細については(IV)で記載する。
(III)変異型DNAが挿入塩基領域を有するDNAの場合
(III-1)ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
(a)少なくとも変異型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
変異型DNAが挿入塩基領域を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、少なくとも変異型ハイブリッド体がゲノム側にステム構造を形成する場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS311、2ndSS311は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'311及びX'312はそれぞれ塩基を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(ハイブリッド体中、1stSS311、2ndSS311、X'311及びX'312は上記と同じである。1stDS311、2ndDS311は、それぞれ1stSS311、2ndSS311と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X311及びX312はそれぞれ塩基を表し、X'311とX311及びX'312とX312は相補な塩基である。IMは挿入塩基領域配列を表す。)
該ハイブリッド体においては、挿入塩基領域配列がステム構造を形成する。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(1stSS311、2ndSS311、1stDS311、2ndDS311、X'311及びX'312は上記と同じ。X311及びX312はそれぞれ塩基を表し、それぞれX'311及びX'312と相補な塩基を表す。)
該ハイブリッド体においては、プローブとゲノムが完全に塩基対を形成するため、ステム構造を形成しない。
(b)少なくとも野生型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
変異型DNAが挿入塩基領域を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、ゲノム側にステム構造が形成され、少なくとも野生型ハイブリッド体がステム構造を形成する(野生型ハイブリッド体が設計されたステム構造を形成する)場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS321、2ndSS321は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'321及びX'322はそれぞれ塩基を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS321、2ndSS321、X'321及びX'322は上記と同じ。1stDS321、2ndDS321は、それぞれ1stSS321、2ndSS321と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X321及びX322は塩基を表し、それぞれX'321とX'322と相補な塩基である。IMは挿入塩基領域配列を表し、St G321はゲノム側ステム配列を表す。)
該ハイブリッド体においては、IM - StG321塩基鎖、即ち、挿入塩基領域とゲノム型ハイブリッド体が連結してステム構造又はループ構造を形成する。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(該ハイブリッド体中、1stSS321、2ndSS321、1stDS321、2ndDS321、X'321、X'322、X321、X322及びStG321は、上記と同じ。)
該ハイブリッド体においては、ゲノム側ステム配列がステム構造を形成する。
上述の如き、変異型DNAが挿入塩基領域を有するDNAであって、ゲノム側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合のハイブリッド体は、そのプローブ側に更にステム構造又はループ構造を形成するものも含む。その詳細については(IV)で記載する。
(III-2)プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合
(a)少なくとも野性型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
変異型DNAが挿入塩基領域を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、プローブ側にステム構造が形成され、少なくとも野生型ハイブリッド体はステム構造を形成する場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS321、2ndSS321は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'321及びX'322はそれぞれ任意の塩基を表し、IM'321は置換塩基領域と相補な塩基配列であって且つステム構造を形成する塩基配列を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(ハイブリッド体中、1stSS321、2ndSS321、X'321、X'322及びIM'321は上記と同じである。1stDS321、2ndDS321は、それぞれ1stSS321、2ndSS321と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X321及びX322はそれぞれ塩基を表し、X'321とX321及びX'322とX322は相補な塩基である。IM321は挿入塩基領域配列を表す。)
該ハイブリッド体においては、プローブとゲノムが完全に塩基対を形成するため、ステム構造を形成しない。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(ハイブリッド体中、1stSS321、2ndSS321、X'321、X'322、IM'321、1stDS321、2ndDS321、X321、及びX322は上記と同じ)
該ハイブリッド体においては、挿入塩基領域と相補な塩基鎖がステム構造を形成する。
(b)少なくとも変異型ハイブリッド体がステム構造を形成する場合
変異型DNAが挿入塩基領域を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、プローブ側にステム構造が形成され、少なくとも変異型ハイブリッド体がステム構造を形成する(変異型ハイブリッド体がステム構造を形成する)場合、本発明に係るプローブは、例えば以下の構造を有するものが用いられる。
Figure 0005798562
(1stSS331、2ndSS331は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'331及びX'332はそれぞれ任意の塩基を表し、IM'331は置換塩基領域と相補な塩基配列を表し、Stp331は、プローブ側ステム配列を表す。)

Figure 0005798562
(1stSS331、2ndSS331、X'331、X'332、IM'331及びStp331は、上記と同じ。)
上記プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
又は
Figure 0005798562
(ハイブリッド体中、1stSS331、2ndSS331、X'331、X'332及びIM'331は上記と同じである。1stDS331、2ndDS331は、それぞれ1stSS331、2ndSS331と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X331及びX332はそれぞれ塩基を表し、X'331とX331及びX'332とX332はそれぞれ相補な塩基である。IM331は挿入塩基領域配列であり、IM'331と相補な塩基を表し、Stp331はプローブ側ステム配列を表す。)
該ハイブリッド体においては、プローブ中のプローブ側ステム配列がステム構造を形成するため、該ハイブリッド体はプローブで設計されたステム構造を有する。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
又は
Figure 0005798562
(ハイブリッド体中、1stSS331、2ndSS331、X'331、X'332、IM'331、Stp331、1stDS331、2ndDS331、X331及びX332は上記と同じ。)
上記変異型ハイブリッド体においては、プローブ側ステム配列と欠損塩基領域とが連結してステム構造又はループ構造を形成する。
上述の如き、変異型DNAが挿入塩基領域を有するDNAであって、プローブ側にステム構造を有するハイブリッド体を形成する場合のハイブリッド体は、そのゲノム側に更にステム構造又はループ構造を形成するものも含む。その詳細については下記(IV)で記載する。
(IV)ステム構造を有する塩基鎖の反対側の鎖中にステム構造又はループ構造を形成する場合
上記(I)〜(III)で記載した本発明に係るハイブリッド体においては、ステム構造を有する配列の反対側の鎖に、即ち、ゲノム側にステム構造がある場合にはプローブ側にも、プローブ側にステム構造がある場合にはゲノム側にも、更にステム構造又はループ構造を形成させることにより、好ましくはステム構造を形成させることにより、変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体の分離精度を上げることができる。
その場合のプローブとしては、ゲノム側にステム構造を有する場合には、上記プローブの配列中に更に、ステム配列又はプローブを形成するための配列を挿入すればよく、プローブ側にステム構造を有する場合には、ゲノム中にステム構造又はループ構造を形成させるために、これらを形成する配列に対応する相補鎖をプローブから取り除けばよい。
具体的には例えば変異型DNAが挿入塩基領域を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、ゲノム側にステム構造が形成され、少なくとも変異型ハイブリッド体はステム構造を形成する場合(上記III-1に該当)に更にプローブ側にステム構造又はループ構造を形成する場合には、例えば以下の構造を有する本発明に係るプローブを用いればよい。
Figure 0005798562
(1stSS411、2ndSS411は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'411及びX'412はそれぞれ塩基を表し、Stopはプローブ側ステム配列又はプローブ側にループ構造を形成する配列を表す。)
該プローブと変異型DNAをハイブリッドさせると、下記変異型ハイブリッド体が形成される。
変異型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(ハイブリッド体中、1stSS411、2ndSS411、X'411及びX'412は上記と同じである。1stDS311、2ndDS311は、それぞれ1stSS311、2ndSS311と共に相補二重鎖を形成する塩基配列領域を表し、X411及びX412はそれぞれ塩基を表し、X'411とX411及びX'412とX412は相補な塩基である。IMは挿入塩基領域配列を表す。)
該ハイブリッド体においては、ゲノム側で挿入塩基領域配列がステム構造を形成し、プローブ側で、プローブ側ステム配列又はプローブ側にループ構造を形成する配列がステム構造又はループ構造を形成する。
上記プローブと野生型DNAをハイブリッドさせると、下記野生型ハイブリッド体が形成される。
野生型ハイブリッド体
Figure 0005798562
(1stSS411、2ndSS411、1stDS411、2ndDS411、X'411及びX'412は上記と同じ。)
該ハイブリッド体においては、プローブ側で、プローブ側ステム配列又はプローブ側にループ構造を形成する配列がステム構造又はループ構造を形成する。
尚、ゲノム側にステム又はループ構造を更に形成させる場合に関しては、例えば変異型DNAが置換塩基を有するものであって、プローブがハイブリダイズした際に、プローブ側にステム構造が形成させ(上記I-1に該当)、更にゲノム側にステム構造又はループ構造を形成させる場合には、プローブ側から、ステム構造又はループ構造を形成する配列と相補となる塩基鎖をを取り除けばよく、例えばプローブ側ステム配列に連結する4〜60mer、好ましくは6〜30mer、より好ましくは6〜20merの塩基鎖を除いたプローブを用いればよい。
[本発明の変異DNAの検出方法]
本発明の変異DNAの検出方法は、
(1)置換塩基、欠損塩基領域、若しくは挿入塩基領域を有する一本鎖DNA(変異型DNA)又は/及びそれに対応する野生型の一本鎖DNA(野生型DNA)を含有する試料と、両一本鎖DNAとハイブリダイズするプローブとを接触させて、変異型DNAとのハイブリッド体(変異型ハイブリッド体)又は/及び野生型DNAとのハイブリッド体(野生型ハイブリッド体)を形成させ、
(2)得られた変異型ハイブリッド体又は/及び野生型ハイブリッド体とを電気泳動法により分離し、
(3)試料中の変異型DNAの有無を検出することによりなされる。
上記(1)における変異型一本鎖DNA又は/及び野生型DNAを含有する試料とプローブとを接触させて、変異型ハイブリッド体又は/及び野生型ハイブリッド体を形成させる方法としては、変異型DNA又は/及び野生型DNAを含有溶液に、本発明に係るプローブを溶液中の濃度が20nM〜2μM、好ましくは100nM〜500nMとなるように添加し、その後、例えば、90〜100℃で2〜4分(熱変性)、30〜55℃で1〜30秒(DNA分子会合反応)、65〜75℃1〜4分(残存ポリメラーゼによる鋳型伸長反応)で1〜4サイクルさせることにより(以下、該反応をステムループハイブリッド反応又はステムループハイブリッド法と呼ぶことがある)、変異型ハイブリッド体又は/及び野生型ハイブリッド体を形成させればよい。なお、上記ステムループハイブリッド法におけるDNA分子会合反応は、残存ポリメラーゼによる鋳型伸長反応時の条件であっても反応が進行するため、ステムループハイブリッド法を、90〜100℃で2〜4分(熱変性、DNA分子会合反応)、65〜75℃1〜4分(残存ポリメラーゼによる鋳型伸長反応)で1〜4サイクルさせることにより行ってもよい。また、ステムループハイブリッド反応はそのサイクル数が多いほど、その反応物である変異型ハイブリッド体又は野生型ハイブリッド体を多く得ることができる。しかし、4サイクル以上行ってもその量はほとんど変化しないため、通常2〜4サイクルが好ましく、3〜4サイクルがより好ましい。
より具体的には、先ず、例えば変異型DNA又は/及び野生型DNAを100ngを溶解した例えば10〜50mMトリス緩衝液(pH8.4〜9.0)等の緩衝溶液20〜40μLに、本発明に係るプローブを溶液中の濃度が20nM〜2μM、好ましくは100nM〜500nMとなるように、より好ましくは100〜200nMとなるように添加する。その後、例えば、90〜100℃で2〜4分(熱変性)、30〜55℃で1〜30秒(DNA分子会合反応)、65〜75℃1〜4分(残存ポリメラーゼによる鋳型伸長反応)で1〜4サイクルさせることにより変異型ハイブリッド体又は/及び野生型ハイブリッド体は形成される。
上記(1)の反応における変異型一本鎖DNA又は野生型DNAは、前述の如き公知のPCR反応に従って増幅させたものを用いてもよく、その場合、(1)のステップは、具体的には以下の如くなされる。即ち、例えば、鋳型となるDNA1〜100pgを20〜40μLの反応溶液に溶解し、2種のプライマー(Forward, Reverse)それぞれを通常1〜100pmol、好ましくは1〜50pmol、4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)それぞれを通常0.01〜50nmol、好ましくは、0.1〜20nmolとなるように添加し、Taq DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ等の耐熱性DNAポリメラーゼを1〜5U含有するトリス塩酸緩衝液等の緩衝液中で、例えば(1)93〜98℃、10秒〜10分→(2)50〜60℃、10秒〜3分→65〜75℃、1〜5分間のサイクルを30〜40回繰り返すことによりなされる。その後、得られた反応溶液に、本発明に係るプローブをPCRプライマーの0.1〜5倍量、例えば通常0.1〜500pmol、好ましくは0.1〜50pmol添加し、上記と同様に、ステムループハイブリッド反応を行うことによりなされる。
また、上記の如くPCR反応により変異型一本鎖DNA又は/及び野生型DNAを増幅させる場合、該PCR反応と同時にステムループハイブリッド反応を行うこともできる。その場合、本発明に係るプローブとしては、3'末端及び5'末端をリン酸基等で修飾したものを用い、該プローブの存在下、上記PCR反応を行えばよい。具体的には、例えば、鋳型となるDNA1〜100pgを20〜40μLの反応溶液に溶解し、2種のプライマー(Forward, Reverse)それぞれを通常1〜100pmol、好ましくは1〜50pmol、4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)それぞれを通常0.01〜50nmol、好ましくは0.1〜20nmol、3'末端及び5'末端が修飾された本発明に係るプローブを通常0.1〜500pmol、好ましくは0.1〜50pmol添加し、耐熱性DNAポリメラーゼを例えば1〜5U含有する10〜50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.4〜9.0)等の緩衝液中で、例えば(1)93〜98℃、10秒〜10分→(2)50〜60℃、10秒〜3分→(3)65〜75℃、1〜5分間のサイクルを30〜40回繰り返すことによりなされる。
上記(2)の電気泳動法としては、上記変異型ハイブリッド体と野生型ハイブリッド体とを分離し得るものであれば特に限定はされないが、例えば等電点電気泳動法、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法、アガロースゲル電気泳動法、アクリルアミド電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、キャピラリーチップ電気泳動法等の電気泳動法や誘電泳動法等の電気的分離法が挙げられ、冷却効率がよく、高電圧をかけることができ、効率よく分離し得る等の点から、キャピラリー電気泳動法、キャピラリーチップ電気泳動法が好ましく、微量サンプル分析に適しているキャピラリーチップ電気泳動法が特に好ましい。尚、これら分離方法の条件は、自体公知の方法に準じて行えばよく、例えばキャピラリーチップ電気泳動は、WO2007/027495等に記載の方法に準じて行えばよい。
上記(3)における検出方法は、自体公知の方法であれば何れでも用いることができるが、示差屈折検出器、蛍光検出器、UV検出器等の機器により検出されればよく、中でも、UV検出器、蛍光検出器による検出が好ましく、蛍光検出器による検出がより好ましい。
蛍光検出を行う場合には、種々の蛍光検出方法を利用すればよい。例えば、(I)予め蛍光標識したプローブを用いて、上記(1)の反応後、(2)の電気泳動を行って蛍光検出をする方法、(II)蛍光標識しているプローブを用いて(1)の反応後、電気泳動を行い、泳動後にDNAをインターカレーター等で標識する等の方法等により行えばよい。
ここで用いられるプローブの蛍光標識としては、例えばシアニン色素が挙げられる。ここでいうシアニン色素とは、2個の複素環をメチン基又はポリメチン基で結合し、且つ該複素環の少なくとも1個が含窒素複素環である化合物であり、前記2個の複素環の両者が含窒素複素環であるものが好ましい。上記シアニン色素由来の置換基としては、例えばUS4,981,977、US 5,268,486、US5,486,616等に記載のCy系色素由来のもの、US6,083,485等に記載のDy系色素由来のもの、WO2006/047452等に記載のHiLyte系色素由来のもの、Alexa系色素由来のもの等が好ましい。また、市販のものに由来するものを用いてもよく、例えばCy系色素由来のものを用いる場合としては、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7等由来のもの〔何れもアマシャムバイオサイエンス社(Amersham Biosciences)商品名〕が、Dy系色素由来のものとしては、DY-700、DY-701、DY-730、DY-731、DY-732、DY-734、DY-750、DY-751、DY-752、DY-776、DY-780、DY-781、DY-782等由来のものが、HiLyte系色素由来のものとしては、HiLyte Fluor 555、HiLyte Fluor 647、HiLyte Fluor 680、HiLyte Fluor 750等由来のもの〔何れもアナスペック社(AnaSpec製)商品名〕が、Alexa系色素由来のものとしては、Alexa Fluor Dye 532、Alexa Fluor Dye 546、Alexa Fluor Dye 555、Alexa Fluor Dye 568、Alexa Fluor Dye 594、Alexa Fluor Dye 633、Alexa Fluor Dye 647、Alexa Fluor Dye 660、Alexa Fluor Dye 680、Alexa Fluor Dye 700、Alexa Fluor Dye 750等由来のもの〔何れもモレキュラープローブス社(Molecular Probes)商品名〕が好ましいものとして挙げられる。中でもCy系色素由来のものが好ましく、その中でもCy5由来のものが好ましい。
また、上記で用いられるインターカレーターとしては、核酸鎖に結合することによって強い蛍光を発するものであればよく、具体的には、例えばアクリジンオレンジ等のアクリジン色素、例えば臭化エチジウム,エチジウムホモダイマー1(EthD-1),エチジウムホモダイマー2(EthD-2),臭化エチジウムモノアジド(EMA),ジヒドロエチジウム等のエチジウム化合物、例えばヨウ素化プロピジウム,ヨウ素化ヘキシジウム等のヨウ素化合物、例えば7−アミノアクチノマイシンD(7-AAD)、例えばPOPO-1, BOBO-1, YOYO-1, TOTO-1, JOJO-1, POPO-3, LOLO-1, BOBO-3, YOYO-3, TOTO-3等のシアニンダイマー系色素(何れもモレキュラープローブ社商品名)、例えばPO-PRO-1, BO-PRO-1, YO-PRO-1, TO-PRO-1, JO-PRO-1, PO-PRO-3, LO-PRO-1, BO-PRO-3, YO-PRO-3, TO-PRO-3, TO-PRO-5等のシアニンモノマー系色素(何れもモレキュラープローブ社商品名)、例えばSYBR Gold, SYBR Green I and SYBR Green II, SYTOX Green, SYTOX Blue, SYTOX Orange等のSYTOX系色素(何れもモレキュラープローブ社商品名)等が挙げられる。また、DNA二重らせんのマイナーグルーブに結合するもの〔例えば4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI:モレキュラープローブ社商品名),ペンタハイドレ−ト(ビス−ベンズイミド)(Hoechst 33258:モレキュラープローブ社商品名),トリヒドロクロライド(Hoechst 33342:モレキュラープローブ社商品名),ビスベンズイミド色素(Hoechst 34580:モレキュラープローブ社商品名)等〕、アデニン−チミン(A-T)配列に特異的に結合するもの〔例えば9-アミノ-6-クロロ-2-メトキシアクリジン(ACMA),ビス-(6-クロロ-2-メトキシ-9-アクリジニル)スペルミン(アクリジンホモダイマー)等のアクリジン色素、例えばヒドロキシスチルバミジン等〕等もインターカレーターと同様にして用いることができる。
本発明の変異DNAの検出方法は、具体的には例えば以下のようになされる。
即ち、例えばがん患者由来のヒトゲノムDNAについて変異DNAを検出する場合、市販のキット等により抽出・精製したヒトゲノムDNAを試料として、PCR反応を行う。PCR反応用試料は、例えば、検出対象とするDNAのプライマー(ForwardとReverse)それぞれを通常100〜1000nM、4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)がそれぞれ通常0.1〜500nM、Taq DNAポリメラーゼが1〜5unitとなるように、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液20μL中に溶解した後、ヒトゲノムDNA 1ng〜100ngを添加して調製すればよく、PCR反応は、例えば(1) 93〜98℃、10〜30秒、(2)50〜60℃、10〜30秒、(3)68〜72℃、1〜3分間のサイクルを35〜40サイクル行うことにより、対象の一本鎖DNAを増幅することができる。PCR反応の後、PCRのプライマーの0.1〜10倍量のプローブを添加し、ハイブリッド反応を行う。即ち、例えばPCR産物に、最終濃度が100〜500nMとなるように本発明に係るプローブを添加し、それを、90〜100℃で2〜4分、30〜55℃で1〜30秒、65〜75℃1〜4分で1〜4サイクルさせることにより、検出目的のDNAのハイブリッド体が得られる。得られた溶液を、適当な分離方法、例えばキャピラリーチップ電気泳動により分離し、例えば蛍光検出器等により検出することにより、変異型DNAを検出することができる。
以下に実施例、参考例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等により何等限定されるものではない。
実施例1 ステム構造を有するハイブリッド体を形成し得るプローブによるKRAS遺伝子の一塩基置換変異DNAの検出
(1)大腸がん患者由来ヒトゲノムDNAの調製
大腸がん患者由来ヒトゲノムDNAはキアゲン社QIAamp DNA Mini Kitを用い、凍結したがん組織25mgをホモゲナイズ後、キットに添付のバファーを添加しさらにproteinaseKを加えて56℃で完全溶解しRNaseAで処理後、キットに添付のバッファーにより除タンパク後、遠心上清をキットに添付のスピン・カラムで抽出・精製し、そのうち50ngを鋳型材料として準備した。得られた精製ゲノムDNAを、次項(3)記載のPCR反応により増幅後、ミリポア社のモンタージュPCRにより精製した増幅DNAをサンプルDNAとし、プライマーKRAS-Rv[配列番号15]をシーケンスプライマーとして用い、後述の合成例1の(2)と同様の方法にてシーケンス確認を行い、KRAS遺伝子のコドン12上に一塩基置換変異(GTT)がある事を確認した。
(2)ステム型Loop-Hybrid反応(SLH反応)用プローブの作成
プローブが変異塩基と結合するように、且つハイブリッド体形成時にできるループがステム構造となるように設計した、下記プローブを、SLH反応用のプローブとして用いた(IN-1)。上記プライマーおよびプローブのオリゴ合成については、シグマジェノシス社の受託合成サービスを利用した。
aaggcctgctgaaaatgactgaatataaacttgtggtagttggagctggtatatatataggcgtaggcaagagtgccttgacgatacag [配列番号17])
尚、該プローブを用いた場合、下記ステム構造がプローブ上に形成されると考えられる。
Figure 0005798562
(3)大腸がん患者由来ヒトゲノムDNA のSLH反応
上記(1)で調製した大腸がん患者由来ヒトゲノムDNAを試料として、アキュプライムTaqポリメラーゼ・システム(PCR反応用キット、インヴィトロジェン社製)を用いてPCR反応を行った。即ち、まず、キットに添付の製品プロトコールに従い、各10μMのプライマー(KRAS-Fw; aaggcctgctgaaaatgactg[配列番号16]とKRAS-Rv; ggtcctgcaccagtaatatgca[配列番号15])を2μLずつおよびキットに添付のPCR反応バッファー2μLを使用し、PCR用反応液20μLを調製した。その後、大腸がん患者由来ヒトゲノムDNA 25ngをPCR用反応液20μlに懸濁添加し、PCR用試料とした。尚、上記プライマーのオリゴ合成については、シグマジェノシス社の受託合成サービスを利用した。このPCR用試料を用い、MJ Research社のDNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200)を使用して、下記の反応条件で36サイクル のPCR反応を行った。
PCR反応条件:
熱変性 : 95℃、15 sec
アニーリング: 55℃、15 sec
重合反応 : 68℃、47 sec
反応終了後、PCR反応産物に対してSLHプローブ(ID.=IN-1;
aaggcctgctgaaaatgactgaatataaacttgtggtagttggagctggtatatatataggcgtaggcaagagtgccttgacgatacag [配列番号17]) を最終濃度200nMとなるように添加し、DNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200、MJ Research社製)を使用して、下記の反応条件にて1サイクル反応を行った。
(SLH-reaction:)
PCR product 4.5 μl
SLH probe 0.5μl of 2μM stock
105℃ hot lid
95℃ 2 min
55℃ 0-30 sec
68℃ 4 min
4℃ pause
(4)SLH反応によるハイブリッド体の分離検出(マイクロチップ電気泳動)
上記(3)で得られた反応生成物を、Agilent2100バイオアナライザー・システム(アジレント社)を用いてマイクロチップ電気泳動方法に供した。本泳動方法では専用試薬であるAgilent DNA1000 Assayキット(アジレント社製)を使用し、キットに添付の製品プロトコールに従い、各反応生成物1.0μLをアプライした。また電気泳動後のピーク解析には、システムに付属のAgilent2100エキスパートソフトウェアを使用して、波形解析およびピーク移動度の算出を行った。
その結果を図1に示した。
比較例1 ステム構造を有さないハイブリッド体を形成するプローブ(LHプローブ)によるKRAS遺伝子の一塩基置換変異DNAの検出
ハイブリッド体形成時にループ構造が形成される、下記プローブを、LH反応用のプローブとして用いた(Del-7)。
LHプローブID.=Del-7;
aaggcctgctgaaaatgactgaatataaacttgtggtagttggagctggtggcgtaggcaagagtgccttgacgatacagct [配列番号18])
尚、該プローブを用いた場合、下記構造のループ構造がゲノムDNA上に形成されると考えられる。
Figure 0005798562
上記プローブを用いた以外は、実施例1と同じ方法により、大腸がん患者由来ヒトゲノムDNAの測定を行った。その結果を図2に示す。
図1及び2の結果から明らかなように、ステム構造を有するハイブリッド体を形成しないプローブ(ループ構造のみを形成するプローブ、Del-7)を用いた場合(図2)では分離できなかった大腸癌患者由来ヒトゲノムDNAが、ステム構造を有するハイブリッド体を形成するプローブ(IN-1)を用いた場合(図1)では、分離できることが判った。即ち、ハイブリッド体にステム構造を持たせることにより、単なるループ構造を有するハイブリッド体と比較して、変異型DNAと野生型DNAの識別能が格段に向上できることが判った。

合成例1 KRAS遺伝子における変異型DNAと野生型DNAの配列を持つサンプルクローンの調製
KRAS遺伝子エクソン1のコドン12およびコドン13における一塩基置換は、コドン内の第一塩基および第二塩基それぞれの3種類の変異を合わせると12種類の変異が存在する。そこで、合成オリゴヌクレオチドを用いたoverlap extension PCR変異導入法(BioTechniques, Vol. 48, No. 6, June 2010, pp. 463-465)により、これらの変異を導入した野生型DNA配列をPCRにより増幅し、更に、その増幅産物をpGEM-T Vectorシステム(プロメガ社)を用いてプラスミドにクローニングし、これら12種類の変異型DNAと野生型の配列を持つサンプルクローンを得た。このクローニングの手順の詳細を以下に示す。
即ち、まず、正常ヒト・ゲノムDNAを正常健康人の全血2mlからキアゲン社QIAamp(R) DNA Blood Midi Kitに付属のプロトコールに従い以下の如く抽出・精製した。即ち、血液2 mlにキット付属のQIAGEN Protease200μLを添加し、混和した。次いで、キット付属のBuffer AL 2.4 mlを添加し、完全に混和した後、70℃で10分間インキュベートした。その後、サンプルにエタノール(96〜100%)2 mlを添加し、完全に混和した後、得られた溶液を、キット付属の遠心チューブ中のQIAamp Midiカラムに移した。1,850x g(3,000 rpm)で3分間遠心分離し、QIAamp Midiカラムを取り除き、ろ液を捨て、QIAamp Midiカラムを遠心チューブに戻し、1,850 x g(3,000 rpm)で3分間遠心分離した。再度、QIAamp Midiカラムを取り除き、ろ液を捨て、QIAamp Midiカラムを15 ml遠心チューブに戻した。次いで、キット付属のBuffer AW1 2 mlをQIAamp Midiカラムに添加し、4,500 x g(5,000 rpm)で1分間遠心分離した。更に、キット付属のBuffer AW2 2mlを、QIAamp Midiカラムに添加し、4,500 x g(5,000 rpm)で15分間遠心分離した。新しいキット付属の遠心チューブにQIAamp Midiカラムを移し、ろ液の入ったチューブを除去した。最後に、室温(15〜25℃)でキット付属のBuffer AE 300μLをQIAamp Midiカラムのメンブレン上に直接ピペッティングして蓋を閉め、室温で5分間インキュベートした後、4,500 x g(5,000 rpm)で2分間遠心分離し、正常健康人の全血から正常ヒトゲノムDNAを含む溶出液を回収した。
次いで、得られた正常ヒトゲノムDNAを鋳型として、Platinum Taqポリメラーゼ・システム(PCR反応用キット、インヴィトロジェン社製)を用いてPCR反応を行った。即ち、まず、キットに添付の製品プロトコールに従い、10μMの下記12種のプライマー(1211,1212,1213,1221,1222,1223,1311,1312,1313,1321,1322,1323それぞれと1204; catgaaaatggtcagagaaacc[配列番号1]の組合せ)各1μLおよびキットに添付のPCR反応バッファー5μL、10mMdNTPsを1μLを使用し、正常ヒトゲノムDNA50ngをPCR用反応液50μLに懸濁添加し、PCR用試料とした。
Figure 0005798562
このPCR用試料を用い、MJ Research社のDNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200)を使用して、下記の反応条件で35サイクル のPCR反応を12種について行った。
PCR反応条件:
熱変性 : 94℃、20 sec
アニーリング : 55℃、20 sec
重合反応 : 72℃、20 sec。
これらの12種のPCR産物を1000倍に希釈後、変異の導入効率の精度を高めるために複製精度が最も高いポリメラーゼであるPwo SuperYield DNA Polymerase (Roche)を用いPCR反応をさらに行った。即ち、PCR反応液は10μM の変異導入用プライマー対12種のそれぞれについて各1μLと、キット添付の反応バッファー5μL、10mM dNTPs 1μLを使用し、1000倍に希釈した対応する前項の変異導入PCR産物を0.25μL加えて、 PCR用反応液50μLを調製した。このPCR用試料を用い、下記の反応条件で20サイクル のPCR反応を12種の変異導入PCR産物について行った。
PCR反応条件:
熱変性 : 94℃、15sec
アニーリング : 55℃、30 sec
重合反応 : 68℃、20 sec。
これにより、コドン12またはコドン13に変異が導入された12種の高品位の変異導入PCR産物が得られた。
次に、目的とする最終PCR産物の上流部を含みかつ、上記の変異導入PCR産物と重複する部分をもつDNAを高精度PCRで増幅するために、正常ヒトゲノムDNAを鋳型とし、Pwo SuperYield DNA Polymerase (Roche)を用い、10μMのプライマー1203N; gtactggtggagtatttgatagtg [配列番号14]とプライマーR; ggtcctgcaccagtaatatgca[配列番号15]、各1μL、およびキットに添付のPCR反応バッファー5μLと10mMdNTPsを1μL使用し、正常ヒトゲノムDNA25ngをPCR用反応液50μlに懸濁添加し、PCR用試料とし、下記の反応条件で30サイクル のPCR反応を行った。
PCR反応条件:
熱変性 : 94℃、15sec
アニーリング : 55℃、30 sec
重合反応 : 68℃、20 sec。
こうして得られた246bpの上流側用PCR産物(1203N,R)と、前段で得られた12種の変異導入PCR産物(162-175bp)のそれぞれを使用し、Platinum Taq DNA Polymerase High Fidelity (invitrogen)を用いてoverlap extension PCRを行った。反応液は、添付のPCR反応バッファー5μL、10mMdNTPsを1μL、50mM MgSO4を2μL使用し、上流側用PCR産物(1203N,R)と変異導入PCR産物の各1μLをPCR用反応液50μlに懸濁添加し、PCR用試料とし、下記の反応条件で2サイクル のPCR反応を行った。
PCR反応条件:
熱変性 : 94℃、20sec
アニーリング : 50℃、30 sec
重合反応 : 68℃、20 sec。
このoverlap extension PCR反応終了後、10μMのプライマー1203N; gtactggtggagtatttgatagtg [配列番号14]と1204; catgaaaatggtcagagaaacc [配列番号1]を各1μL上記のPCR反応液に添加し、下記の反応条件で25サイクル のPCR反応を引き続き行った。
PCR反応条件:
熱変性 : 94℃、20sec
アニーリング : 55℃、20 sec
重合反応 : 68℃、20 sec。
野生型に対応するPCR産物はPlatinum Taq DNA Polymerase High Fidelity (invitrogen)により10μMのプライマー1203Nと1204を各1μLと、添付のPCR反応バッファー5μL、10mMdNTPs1μL、50mM MgSO4を2μL使用し、正常ヒトゲノムDNA50ngを鋳型として、PCR用反応液50μlに懸濁添加し、下記の反応条件で30サイクル のPCR反応を行った。
PCR反応条件:
熱変性 : 94℃、20sec
アニーリング : 55℃、20 sec
重合反応 : 68℃、20 sec。
これらの一連のPCR反応によって得られた287bpの12種の変異導入PCR産物と1種の野生型PCR産物をpGEM-T Vector System(Promega社) を用いてTAクロ−ニング法によりプラスミド・ベクターpGEM-T easyに挿入した。ライゲーション反応はキットに添付のRapid Ligation BufferとT4リガーゼを用いて室温で1時間行った。
その後、東洋紡社製E. coli JM109 Competent Cellsを用い、その製品プロトコールに従って、上記で得られた組み換えDNAを用いて42℃45secでE. coli JM109 Competent Cellsの形質転換を行った。その後、100μg/mlのアンピシリン、0.2 mM イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)、40μg/ml X-Galを含むLB-寒天培地に、得られた形質転換体を37℃で16時間プレート培養した。培養後、培地中の白色コロニーをピックアップし、目的のDNA断片を挿入した組み換えDNAが導入された、各クローンに対する形質転換体を得た。その後、QIAGEN社のプラスミド抽出キット(QIAprep Spin Miniprep)を用いて、DNAの抽出・精製までの工程を行った。
即ち、5mlの100μg/mlのアンピシリン含有LB液体培地で一夜増殖させた各クローンに対する形質転換体を遠心により集菌し、アルカリ法で溶菌後、酢酸カリウム酸性液で中和し、それらの遠心後の上清液からキットに添付の精製カラムによりプラスミッドDNAを精製した。
(2)12種類の変異DNAと野生型DNAの配列の確認
次に、上記(1)でクローニングされた、12種類の変異DNAと野生型の配列を持つサンプルクローンを用いて、Big Dye Terminatorキット(アプライドバイオシステムズ社製)により、製品プロトコールに従って以下の手順でシークエンス解析を行った。
サンプルDNA(各クローン) ;2μL(100ng)
T7プロモータープライマー ;1μL(5pmol)
premix ;8μL
即ち、上記の混合物に、総量20μLとなるように脱イオン化滅菌水を加え、DNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200、MJ Research社製)を使用して、下記の反応条件で30サイクルのシークエンス反応を行った。
96℃ 2min →(96℃ 10sec→50℃ 5sec→60℃ min)×25→4℃
得られたシークエンス反応産物をゲルろ過カラム(QIAGEN社製)で精製後、シークエンサー(BaseStation、MJ Research社製)を用いて機器付属の手順書に従い、候補配列すべてのシークエンス解読を完了した。その結果、コドン12又はコドン13において、下記表1及び2の12種類の変異型DNAと野生型DNAの配列を持つサンプルクローンが作製できた事を確認した。
Figure 0005798562
Figure 0005798562
実施例2 アクリルアミドゲル電気泳動法によるKRAS遺伝子の一塩基置換変異DNAの検出
(1)SLH反応
上記合成例1で調製した各サンプルクローンを試料として、アキュプライムTaqポリメラーゼ・システム(PCR反応用キット、インヴィトロジェン社製)を用いてPCR反応を行った。即ち、まず、キットに添付の製品プロトコールに従い、各10μMのプライマー(KRAS-Fw; aaggcctgctgaaaatgactg[配列番号16] とKRAS-Rv; ggtcctgcaccagtaatatgca[配列番号15])1.0μLおよびキットに添付のPCR反応バッファー2.0μLを使用し、PCR用反応液20.0μLを調製した。その後、各サンプルクローン 2pgをPCR用反応液20μlに懸濁添加し、PCR用試料とした。尚、上記プライマーおよびプローブのオリゴ合成については、シグマジェノシス社の受託合成サービスを利用した。このPCR用試料を用い、MJ Research社のDNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200)を使用して、下記の反応条件で30サイクル のPCR反応を行った。
PCR反応条件
熱変性 : 95℃、15 sec
アニーリング : 55℃、15 sec
重合反応 : 68℃、47 sec
反応終了後、PCR反応産物に対してSLHプローブ(ID.=IN-1;
aaggcctgctgaaaatgactgaatataaacttgtggtagttggagctggtatatatataggcgtaggcaagagtgccttgacgatacag [配列番号17]) を最終濃度200nMとなるように添加し、DNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200、MJ Research社製)を使用して、下記の反応条件にて1サイクル反応を行った。
(SLH-reaction:)
PCR product 4.5 μl
SLH probe 0.5μl of 2μM stock
105℃ hot lid
95℃ 2 min
55℃ 30 sec
68℃ 4 min
4℃ pause
(2)SLH反応によるハイブリッド体の分離検出(アクリルアミド重合ゲル電気泳動)
上記(1)で得られた各種SLH反応生成物のうち7種の変異型DNA(KR12_CG、KR12_TG、KR12_GA、KR12_GC、KR12_GT、KR13_CG及びKR13_TG)と野生型DNAを用いたものの1.5μlにゲル・ローディング・バッファー1.5μlをそれぞれ添加し、非変性10% ポリアクリルアミド・ゲルで電気泳動した。また分子量マーカーとしては、100 bp ladder for size marker(promega社製)1.5μlを使用して、同一ゲルにローディングし電気泳動を行った。ポリアクリルアミド・ゲルは7cm x 7cm のコンパクトゲル(コンパクトゲルC10L、アトー社製)を用い、トリス・グリシン緩衝液(37.5mM Tris , 288mM Glycine ) を泳動緩衝液として小型電気泳動装置( アトー社、AE-7300 コンパクトPAGE )で室温で泳動した。泳動後、サイバー・グリーンI ( タカラバイオ社、F0513) で10分間染色し、水洗後、レーザー・イメージング・スキャナー(アマシャム社、STORM 860)を用い励起波長450nm 、検出フィルター520LP で検出した。
尚、各ハイブリッド体予測されるステム構造は、以下の通りである。表中、小文字は、ゲノムDNAと相補になっていない塩基を表し、下線部は、ステム構造を形成していると考えられる配列である。
Figure 0005798562
(3)結果
7種類の変異DNAと野生型の配列を持つサンプルクローンについて、SLH反応後に得られた電気泳動による実験結果を図3に示した。尚、図3中の1〜5レーンは、それぞれ、KR12_CG、KR12_TG、KR12_GA、KR12_GC、KR12_GTを用いた結果を、6〜7レーンは、それぞれKR13_CG, KR13_TGを用いた結果を表し、wtは野生型を用いた結果を表す。
図3の結果から、アクリルアミド重合ゲル電気泳動を用いて本発明により得られたSLH反応産物を測定した結果、コドン12がそれぞれ、CGT、TGT、GAT、GCT、GTTである5種の変異DNA、並びにコドン13がそれぞれ、CGC、TGCである2種の変異DNAについて変異型の識別ができることが判った。
実施例3 アクリルアミドゲル電気泳動法によるKRAS遺伝子の一塩基置換変異DNAの検出
(1)SLH反応
上記実施例2の(1)におけるSLHプローブ(ID.=IN-1)の代わりにSLHプローブ[ID.=IN-4:aaggcctgctgaaaatgactgaatataaacttgtggtagttggagctggttctgcagaaggtgtaggcaagagtgc
cttgacgatacag(配列番号22)]を用いた以外は、実施例2と同様の方法により、合成例1で調製した各サンプルクローンのSLH反応を行った。
尚、上記プローブを用いた場合、下記構造のステム構造がプローブ側に合成されると考えられる。
Figure 0005798562
(2)SLH反応によるハイブリッド体の分離検出(アクリルアミド重合ゲル電気泳動)
上記(1)で得られた各種SLH反応生成物として、12種の変異型DNAと野生型DNAを用いた以外は、上記実施例2の(2)と同様の方法により、SLH反応生成物のゲル電気泳動を行った。
(3)結果
12種類の変異DNAと野生型の配列を持つサンプルクローンについて、SLH反応後に得られた電気泳動による実験結果を図4に示した。尚、図3中の1〜6レーンは、それぞれ、KR13_AG、KR13_CG、KR13_TG、KR13_GA、KR13_GC、KR13_GTを用いた結果を、7〜12レーンは、それぞれKR13_CG, KR13_TGを用いた結果を表し、Wは野生型を用いた結果を表す。
図4の結果から、上記IN-4のプローブを用いて、本発明により得られたSLH反応産物をアクリルアミド重合ゲル電気泳動で分離・検出した結果、コドン12がそれぞれ、AGT、CGT、TGT、GAT、GCT、GTTである、6種の変異DNA並びにコドン13がそれぞれ、AGC、CGC、TGC、GAC、GCC、GTCである、6種の変異DNAについても変異型の識別ができることが判った。
実施例4 KRAS遺伝子における各種一塩基置換変異DNAの検出(マイクロチップ電気泳動法)
上記実施例2(1)で得られたSLH反応生成物を、Agilent2100バイオアナライザー・システム(アジレント社)を用いてマイクロチップ電気泳動方法に供した。本泳動方法では専用試薬であるAgilent DNA1000 Assayキット(アジレント社製)を使用し、キットに添付の製品プロトコールに従い、各反応生成物1.0μLをアプライした。また電気泳動後のピーク解析には、システムに付属のAgilent2100エキスパートソフトウェアを使用して、波形解析およびピーク移動度の算出を行った。
その結果を図5に示した。尚、図5中のピークは、それぞれ1がKR12_AG、2がKR12_CG、3がKR12_TG、4がKR12_GA、5がKR12_GC、6がKR12_GT、7がKR13_AG、8がKR13_CG、9がKR13_TG、10がKR13_GA、11がKR13_GC、12がKR13_GTを用いたものを表す。
図5の結果から明らかなように、本発明のSLH反応を用いてマイクロチップ電気泳動で検出を行った結果、コドン12およびコドン13上に変異を有する変異DNAのピークは、何れも野生型DNAのピークと分離しており、変異DNAとして完全に識別できることが判った。即ち、この結果から、SLH反応により得られた変異型DNAは、マイクロチップ電気泳動により容易に検出できることが分かった。これは、ステム構造が熱の発生により変化するが、熱の発生が少ないマイクロチップ電気泳動法によれば安定した構造を維持することができるため、分離を容易にしたものと考えられた。更に、マイクロチップ電気泳動法は、ゲル電気泳動と比較してピーク分析が容易であるため、このようなSLH反応を用いた変異型DNAの検出に適していることが示された。
尚、KRAS遺伝子検査のように隣接したコドン(例えばコドン12と13)で変異が発生する場合、その両者の変異を検出する必要があったが、ループ構造のみを形成するプローブ(Del-7等)を用いた従来のループハイブリッド法では、隣接したコドンの変異全てを検出することはできなかった。しかし、図5の結果からも明らかな如く、本発明者らにより考案されたステム構造を有するハイブリッド体を用いる方法により、隣接したコドン12および13に発生し得る変異を同一の測定系にて精度よく検出する事が可能となる。
実施例5 UGT1A1の挿入塩基領域を有する変異型DNAの検出
(1)ヒト血液由来ヒトゲノムDNA及びの調製
ヒト血液に由来するサンプルを複数準備し、ヒト・ゲノムDNAをキアゲン社QIAamp DNA Blood Midi Kitに従い全血2mlをproteinaseKで70℃10分処理後エタノールを添加し、遠心後の上清をQIAmp Midi カラムで抽出・精製した。そのうちの50ngを鋳型材料として準備し、合成例1(2)と同様の方法にてシーケンス確認を行った。その中から、野生型DNA(TA6)のホモ、野生型DNA(TA6)と変異型DNA(TA7;野生型DNAにTAが挿入されたDNA)のヘテロ、変異型DNA(TA7)のホモの3種の検体を得て、試料とした。
野生型DNA(TA6)のプロモータ部の塩基配列; TATATATATATA
変異型DNA(TA7)のプロモータ部の塩基配列; TATATATATATATA
(2)SLH反応用プローブの作成
ハイブリッド体形成時にゲノム配列上にステム構造が形成されるように設計した、下記プローブを、SLH反応用のプローブとして用いた(UGT1Adel-12F)。
ctttgtggactgacagctttttatagtcacgtgacacagtcaaacattaacttggtgtatcgattggtttttgatataagtaggagagggcgaac [配列番号21])
尚、該プローブを用いた場合、目的とするゲノム配列より増幅されたDNA増幅断片上に下記構造のステム構造が形成されると考えられる。

野生型DNA(TA6)を用いた場合:
Figure 0005798562
変異型DNA(TA7)を用いた場合:
Figure 0005798562
(3)SLH反応
上記(1)で調製した3種のサンプルを用いて、アキュプライムTaqポリメラーゼ・システム(PCR反応用キット、インヴィトロジェン社製)でPCR反応を行った。即ち、まず、キットに添付の製品プロトコールに従い、各10μMのプライマー( ctttgtggactgacagctttttatag [配列番号19]とgctgccatccactgggatc[配列番号20] )を1.0μLずつおよびキットに添付のPCR反応バッファー2.0μLを使用し、PCR用反応液20.0μLを調製した。その後、正常ヒト血液由来ヒトゲノムDNA 1ngをPCR用反応液20μlに懸濁添加し、PCR用試料とした。尚、上記プライマーおよびプローブのオリゴ合成については、シグマジェノシス社の受託合成サービスを利用した。このPCR用試料を用い、MJ Research社のDNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200)を使用して、下記の反応条件で36サイクルのPCR反応を行った。
PCR反応条件:
熱変性 : 95℃、15 sec
アニーリング: 55℃、15 sec
重合反応 : 68℃、47 sec
反応終了後、SLHプローブID.= UGT1Adel-12F を最終濃度200nMとなるように添加し、MJ Research社のDNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200)を使用して、下記の反応条件にて1サイクル反応を行った。
(SLH-reaction:)
PCR product 4.5 μl
SLH probe 0.5μl of 2μM stock
105℃ hot lid
95℃ 2 min
55℃ 30 sec
68℃ 4 min
4℃ pause
(4)SLH反応によるハイブリッド体の分離検出(マイクロチップ電気泳動)
上記(3)で得られたSLH反応生成物(ハイブリッド体)を、Agilent2100バイオアナライザー・システム(アジレント社)を用いてマイクロチップ電気泳動方法に供した。本泳動方法では専用試薬であるAgilent DNA1000 Assayキット(アジレント社製)を使用し、キットに添付の製品プロトコールに従い、各反応生成物1.0μLをアプライした。また電気泳動後のピーク解析には、システムに付属のAgilent2100エキスパートソフトウェアを使用して、波形解析およびピーク移動度の算出を行った。
得られた結果を図6に示した。尚、図中の左図は、野生型DNA(TA6)と変異型DNA(TA7)のヘテロを測定した結果、真ん中の図は、変異型DNA(TA7)のホモを測定した結果、右図は野生型DNA(TA6)のホモを測定した結果をそれぞれ表す。
図6の結果から明らかな如く、本発明の方法によれば、UGT1A1遺伝子プロモータの遺伝子多型*28の遺伝型の識別判定を可能とすることが判った。即ち、挿入塩基を有する変異型DNAであっても、本発明の方法により、野生型DNAと変異型DNAを分離検出できることが判った。また、このようなヘテロやホモとなる変異遺伝子の検出の場合、変異の有無のみならず、これらの遺伝型の区別を兼ねた検出は難しいことが多いが、本発明の方法を用いれば、ヘテロ、ホモの何れの遺伝型であるかについても明瞭に識別できることが確認された。
なお、UGT1A1遺伝子は、上述の多型*28以外にエキソン1の多型*6の検出も重要となるが、本発明の方法を応用し、*6と*28のSLH反応液を同一の電気泳動に供することにより、これらの型判別を同時に行うことができる。即ち、多型*6と*28に対しそれぞれの蛍光SLHプローブを調製し、*6および*28のそれぞれとハイブリダイズさせたものを混合して電気泳動用の試料とすることにより、SLHプローブとの反応体のみをそのプローブの蛍光により特異的に検出し、それらが異なる移動度で分離する条件を設定することで、各多型のそれぞれの変異型の判別が一回の試行で可能でとなる。
実施例6 UGT1A1多型*28での変異体に対するLHバンドの特異的検出
(1)UGT1A1遺伝子における変異型DNAと野生型DNAの配列を持つサンプルDNAの調製
200人のサンプルを用いてスクリーニングし、野生型DNA(TA6)、並びに、野生型(TA6)に対して*28座位がヘテロ接合型のアリルを持つ、変異型DNA(TA5)(野生型DNAからTAが欠損しているDNA)、(TA7)(野生型DNAにTAが挿入されたDNA)及び(TA8)(野生型DNAにTATAが挿入されたDNA)を得、サンプルDNAとした。尚、野生型DNA(TA6)、変異型DNA(TA5)、変異型DNA(TA7)及び変異型DNA(TA8)の各プロモータ部の塩基配列は以下の通りである。
野生型DNA(TA6): TATATATATATA
変異型DNA(TA5): TATATATATA
変異型DNA(TA7): TATATATATATATA
変異型DNA(TA8): TATATATATATATATA
具体的には、以下の如く行った。即ち、*28座位がヘテロ接合型のアリルを持つ200人のサンプルより得られた各ゲノムDNAサンプル(5ng)をAccuprimeTaqを使用してPCR反応を行った(PCR反応条件:95℃、15sec、55℃、15sec、68℃、47secで36サイクル)。得られたPCR増幅産物をTOPO(R)TAクローニングシステム(Invitrogen社)を使用してTAクローニングベクターpCR2.1TOPOに組み込み、エレクトロポレーションで大腸菌One Shot(R) TOP10(Invitrogen社)に導入した。その後、カナマイシン(25ng/ml)を含むLB寒天培地で37℃18時間培養し、抗生物質耐性を指標として選択して得たコロニーをランダムにクローン化した。
各コロニーの大腸菌の1白金耳を、25ng/mlのアンピシリンを含む液体LB培地50μLで2〜4時間37℃培養し遠心した。遠心後の菌体沈査に対しクローンチェッカー(Invitrogen)のグリーン液8μLを加えて浮遊させたのち、98℃ 30秒で菌からDNAを遊離させた。このDNA液を100μLの蒸留水に分散させたものをtempliphi(GE healthcare)で増幅後、サンガー法でplasmid DNAの配列を決定した。このスクリーニングにより、野生型DNA(TA6)、変異型DNA(TA5)、変異型DNA(TA7)及び変異型DNA(TA8)を得、これらをサンプルDNAとした。
(2)SLH反応用プローブの作成
ハイブリッド体形成時にゲノム配列上にステム構造が形成し得るように設計した、下記プローブ(UGT1Adel-8F)を合成した。
ctttgtggactgacagctttttatagtcacgtgacacagtcaaacattaacttggtgtatcgattggtttttgatatatataagtaggagagggcgaac [配列番号23]
サイバー・グリーンI(SYBRGreenI)の蛍光検出によりハイブリッド体を測定する場合には、該プローブ(以下、プローブ1と略記する)をSLH反応用のプローブとして用いた。また、Cy5の蛍光検出用によりハイブリッド体を測定する場合には、該プローブ配列の5'末端をCy5で蛍光修飾したもの(以下、プローブ2と略記する)をSLH反応用のプローブとして用いた。尚、蛍光修飾には、シグマジェノシス社の受託合成サービスを利用した。
上記プローブ1及び2を用いた場合、目的とするゲノム配列より増幅されたDNA増幅断片のゲノム側に下記構造のステム構造が形成されると考えられる。
変異型DNA(TA5)を用いた場合:
Figure 0005798562
野生型DNA(TA6)を用いた場合:
Figure 0005798562
変異型DNA(TA7)を用いた場合:
Figure 0005798562
変異型DNA(TA8)を用いた場合:
Figure 0005798562
(3)SLH反応
上記(1)で調製した4種のサンプルDNAを用いて、それぞれについて、アキュプライムTaqポリメラーゼ・システム(PCR反応用キット、インヴィトロジェン社製)でPCR反応を行った。
即ち、まず、キットに添付の製品プロトコールに従い、各10μMのプライマー( ctttgtggactgacagctttttatag [配列番号19] とgctgccatccactgggatc [配列番号20] )を1.0μLずつおよびキットに添付のPCR反応バッファー2.0μLを使用し、PCR用反応液20.0μLを調製した。その後、サンプルDNA 1ngをPCR用反応液20μlに懸濁添加し、PCR用試料とした。尚、上記プライマーのオリゴ合成については、シグマジェノシス社の受託合成サービスを利用した。このPCR用試料を用い、MJ Research社のDNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200)を使用して、下記の反応条件で36サイクル のPCR反応を行った。
PCR反応条件:
熱変性 : 95℃、15 sec
アニーリング: 55℃、15 sec
重合反応 : 68℃、47 sec
反応終了後、得られた4種類のPCR産物それぞれに、SLHプローブ1を最終濃度200nMとなるように添加し、MJ Research社のDNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200)を使用して、下記の反応条件にてSLH反応を1サイクル行った。
(SLH反応:)
PCR product 4.5 μl
SLH probe 0.5μl of 2μM stock
105℃ hot lid
95℃ 2 min
55℃ 30 sec
68℃ 4 min
4℃ pause
また、同様にして、得られた4種類のPCR産物それぞれに、SLHプローブ2を最終濃度200nMとなるように添加して、上述の条件でSLH反応を1サイクル行った。
(4)SLH反応によるハイブリッド体の分離検出(アクリルアミド重合ゲル電気泳動)
上記(3)でSLHプローブ1を用いて得られたSLH反応生成物(ハイブリッド体)4サンプル各1.5μlにゲル・ローディング・バッファー1.5μlをそれぞれ添加し、非変性10% ポリアクリルアミド・ゲルで電気泳動した。また分子量マーカーとしては、100 bp ladder for size marker(promega社製)1.5μlを使用して、同一ゲルにローディングし電気泳動を行った。ポリアクリルアミド・ゲルは7cm x 7cm のコンパクトゲル(コンパクトゲルC10L、アトー社製)を用い、トリス・グリシン緩衝液(37.5mM Tris , 288mM Glycine ) を泳動緩衝液として小型電気泳動装置( アトー社、AE-7300 コンパクトPAGE )で室温で泳動した。
泳動後、サイバー・グリーンI ( タカラバイオ社、F0513) で10分間染色し、水洗後、レーザー・イメージング・スキャナー(アマシャム社、STORM 860)を用いて検出を行った。この際、サイバー・グリーンIの蛍光検出には励起波長450nm 、検出フィルター520LP を使用した。得られた結果を図7の左図に示した。尚、レーン1は変異型DNA(TA5)を用いた結果を、レーン2は変異型DNA(TA6)を用いた結果を、レーン3は変異型DNA(TA7)を用いた結果を、レーン4は変異型DNA(TA8)を用いた結果をそれぞれ表す。
また、同様に、上記(3)でSLHプローブ2を用いて得られたSLH反応生成物(ハイブリッド体)4サンプル各1.5μlを用いて、上記方法と同じ方法により電気泳動した後、そのまま蛍光検出(励起波長635nm 、検出フィルター650LP)を行った。得られた結果を図7の右図に示した。尚、レーン1は変異型DNA(TA5)を用いた結果を、レーン2は変異型DNA(TA6)を用いた結果を、レーン3は変異型DNA(TA7)を用いた結果を、レーン4は変異型DNA(TA8)を用いた結果をそれぞれ表す。
サイバー・グリーンIで検出を行った場合(図7左図)、PCRバンドとLHバンドも確認できるが、これら以外の、TA反復配列が原因で出現すると考えられる非特異的な増幅産物による他のバンドも見られた。一方、Cy5で検出を行った場合(図7右図)では、LHプローブとループハイブリッドのみが顕著に見られた。これは、Cy5で修飾したLHプローブを用いているため、LH反応に関与しない増幅産物は検出されず、LHプローブと結合するもののみが特異的に検出されたことに起因すると考えられた。よって、Cy5のような蛍光基を直接プローブに結合させて修飾することにより、より特異的な検出が可能となることが判った。
また、図7の結果から明らかな如く、本発明の方法によれば、野生型(TA6)、変異型(TA5)、(TA7)、(TA8)それぞれのLHバンドが異なる位置で検出されるため、一度の泳動でこれらを検出できることも判った。
実施例7 UGT1A1の挿入塩基領域を有する変異型DNAの検出(LH サイクルの違いによるループハイブリッド体量への影響)
(1)ヒト血液由来ヒトゲノムDNA及びその調製
ヒト全血2ml を、QIAamp DNA Blood Midi Kit(キアゲン社)を使用してproteinaseKで70℃10分処理した。その後エタノールを添加して、遠心後の上清をQIAmp Midi カラムで抽出・精製したものをサンプルDNAとした。
そのうちの50ngを鋳型材料として準備し、合成例1と同様の方法にてシーケンス確認を行った。その結果、野生型DNA(TA6)と変異型DNA(TA7)を有するヘテロの検体であることを確認した。
野生型DNA(TA6)のプロモータ部の塩基配列; TATATATATATA
変異型DNA(TA7)のプロモータ部の塩基配列; TATATATATATATA
(2)SLH反応用プローブの作成
実施例6(2)で記載したものと同じものを使用した。即ち、サイバー・グリーンI(SYBRGreenI)の蛍光検出用にはプローブ1を、Cy5の蛍光検出用にはプローブ2を使用した。
尚、該プローブを用いた場合、目的とするゲノム配列より増幅されたDNA増幅断片上に下記構造のステム構造が形成されると考えられる。
野生型DNA(TA6)を用いた場合:
Figure 0005798562
変異型DNA(TA7)を用いた場合:
Figure 0005798562
(3)SLH反応
上記(1)で調製したサンプルDNAを用いて、実施例6(3)記載のPCR反応と同様にPCR反応を行った。
反応終了後、得られたPCR産物に、SLHプローブ1 を最終濃度200nMとなるように添加し、MJ Research社のDNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200)を使用して、下記の反応条件にて1−4サイクルでの反応を行った。
(SLH-reaction:)
PCR product 4.5 μl
SLH probe 0.5μl of 2μM stock
105℃ hot lid
95℃ 2 min
55℃ 30 sec
68℃ 4 min
また、同様にして、得られたPCR産物に、SLHプローブ2を最終濃度200nMとなるように添加して、上述の条件でSLH反応を1〜4サイクル行った。
(4)SLH反応によるハイブリッド体の分離検出(アクリルアミド重合ゲル電気泳動)
上記(3)でSLHプローブ1を用いて得られた、1〜4サイクルのSLH反応を行ったSLH反応生成物(ハイブリッド体)とPCR反応産物(SLH反応0サイクル)を準備し、各1.5μlそれぞれにゲル・ローディング・バッファー1.5μlを添加し、非変性10% ポリアクリルアミド・ゲルで電気泳動した。分子量マーカーとしては、100 bp ladder for size marker(promega社製)1.5μlを使用して、同一ゲルにローディングし電気泳動を行った。ポリアクリルアミド・ゲルは7cm x 7cm のコンパクトゲル(コンパクトゲルC10L、アトー社製)を用い、トリス・グリシン緩衝液(37.5mM Tris , 288mM Glycine )を泳動緩衝液として小型電気泳動装置( アトー社、AE-7300 コンパクトPAGE )で室温で泳動した。泳動後、サイバー・グリーンI ( タカラバイオ社、F0513) で10分間染色し、水洗後、レーザー・イメージング・スキャナー(アマシャム社、STORM 860)を用いての検出を行った。この際、サイバー・グリーンIの蛍光検出には励起波長450nm 、検出フィルター520LP を使用した。得られた結果を図8の右図に示した。尚、レーン0はPCR反応産物を用いた結果を、レーン1〜4はそれぞSLH反応を1〜4サイクル行った結果をそれぞれ表す。
また、同様に、上記(3)でSLHプローブ2を用いて得られた、1〜4サイクルのSLH反応を行ったSLH反応生成物(ハイブリッド体)とPCR反応産物(SLH反応0サイクル)を準備し、上記方法と同じ方法により電気泳動した後、そのまま蛍光検出(励起波長635nm 、検出フィルター650LP)を行った。得られた結果を図8の左図に示した。尚、レーン0はPCR反応産物を用いた結果を、レーン1〜4はそれぞSLH反応を1〜4サイクル行った結果をそれぞれ表す。
左図ではLHプローブ(図中のss LH-probe)とループハイブリッド(図中のLH-bands)が顕著に見えており、LHサイクルの回数が多いほど、LHプローブの単体量が減少し、ループハイブリッドの量が増加していることが判った。また、(TA6)と(TA7)が別々のバンドとして現れることも確認できた(図中のLH-bandsにおいて上のバンドが(TA6)、下のバンドが(TA7)であった)。尚、2-4回のLHサイクルにより得たハイブリッド体の泳動結果においては、LHプローブのすぐ上に別のバンドが見られたが、これはSLH反応において、Taqポリメラーゼの伸長反応によりLHプローブにprimer領域が付加されたものがテンプレートになり、増幅したhomoduplex(図中のshort LH-duplex)であると考えられた。また、SYBRGreenIによる検出でも、同様に、LHサイクルの回数が多いほど、ループハイブリッド(図中のLH-bands)の量が増加することが判り、(TA6)と(TA7)が別々のバンドとして現れることも確認できた。
このように、上記結果から明らかな如く、LH反応のサイクル数を増やすことでループハイブリッド量を増加することが判った。これは、ループハイブリッド形成率が低い系で有効であり、特に、3〜4回行うことで効率よくハイブリッド体が得られることが判った。尚、図中では示していないが、5回のLHサイクルの結果は4回の時とほぼ同じ結果であった。
実施例8 TOMM40遺伝子配列中のpoly-T鎖長多型の検出(両側にステム構造を有するハイブリッド体による分離検出)
(1)TOMM40遺伝子のrs10524523マーカー配列における様々なpoly-T鎖長多型に対応させたpoly-T固定鎖長を持つサンプルDNAの合成
TOMM40遺伝子におけるpoly-T鎖長多型(rs10524523)のモデル塩基配列として、下記表3中の5種類のサンプルDNAを合成した。尚、表中Poly-Tは、poly-Aの鎖長を表す。
Figure 0005798562

(2)SLH反応用プローブの作成
ターゲット配列とのハイブリッド体形成時に、ゲノム配列上のpoly-T鎖長の塩基数を反映したループ構造をとり、なおかつSLH反応用プローブ上にステム構造をとるように設計した、下記プローブ(cy5delTINGC)を合成した。
gacctcaagctgtcctcttgccccagccctccaaagcattgggattactggcatgagccattgcatctggacgcgcgtagatggggtctcaccatg [配列番号30]
また、Cy5の蛍光検出用によりハイブリッド体を測定するために、該プローブ配列の5'末端をCy5で蛍光修飾したものをSLH反応用のプローブとして用いた。尚、蛍光修飾には、シグマジェノシス社の受託合成サービスを利用した。
該プローブを用いた場合、目的とするゲノム配列とのハイブリッド体形成により下記構造のステム・ループ構造が形成されると考えられる。尚、図中の(N)はpoly-T多型の鎖長によって異なる値をとる。
Figure 0005798562
(3)SLH反応
上記(1)で調製した5種のサンプルDNAそれぞれを鋳型DNAとし、SLH用プローブとして上記cy5delTINGCを用いて、SLH反応を4サイクル行った。
即ち、5μMの各サンプルDNA 1.0μL(反応溶液中の濃度として500nM)に対して、2μMのSLHプローブを1.0μL(反応溶液中の濃度として200nM)をそれぞれ添加した後、アキュプライムTaqポリメラーゼ・High Fidelity(インヴィトロジェン社製) 0.04μLならびに製品付属の10x bufferを1.0μLおよびddH2O 2.96μLをそれぞれ添加して、5種の反応溶液10μLをそれぞれ調製した。次に、MJ Research社のDNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200)を使用して、5種の反応溶液を用いて下記の反応条件にてSLH反応を4サイクル行った。
(SLH反応サイクル条件)
105℃ hot lid
95℃ 2 min
55℃ 15 sec
68℃ 4 min
(4)SLH反応によるハイブリッド体の分離検出(アクリルアミド重合ゲル電気泳動)
上記(3)でSLHプローブを用いて得たSLH反応生成物(ハイブリッド産物)5種各1.5μlにゲル・ローディング・バッファー1.5μlをそれぞれ添加し、非変性10% ポリアクリルアミド・ゲルで電気泳動した。また分子量マーカーとしては、100 bp ladder for size marker(promega社製)1.5μlを使用して、同一ゲルにローディングし電気泳動を行った。ポリアクリルアミド・ゲルは6cm x 6cm のC・PAGEL(C10L、アトー社製)を用い、トリス・グリシン緩衝液(37.5mM Tris , 288mM Glycine ) を泳動緩衝液として小型電気泳動装置( アトー社、AE-7300 コンパクトPAGE )で室温で泳動した。
泳動後、レーザー・イメージング・スキャナー(アマシャム社、STORM 860)を用いて蛍光検出(励起波長635nm 、検出フィルター650LP)を行った。得られた結果を図9に示した。
図9の結果から明らかな如く、上記のcy5delTINGCプローブを用いて、本発明により得られたSLH反応産物をアクリルアミド重合ゲル電気泳動で分離・検出した結果、5塩基ずつ鎖長の異なるpoly-T配列を含む各サンプルDNAの識別検出が可能である事が示された。なお、本実験結果より、各サンプル間での識別能が非常に高い事がわかったため、poly-T配列長における2塩基あるいは1塩基の差であっても十分に識別検出できると考えられた。ここで、TOMM40遺伝子多型に係る診断技術の臨床的意義を考えた場合、poly-T配列鎖長が11〜16塩基の場合にはアルツハイマー病発症の低リスク群とされ、19〜39塩基の場合には高リスク群として識別・区分される(The Pharmacogenomics Journal (2010) 10, 375-384)。従って、本実施例で示した結果は、診断技術として求められる基準をクリアし得る性能を示唆しているものである。
また、Mono-および、di-あるいはtri-ヌクレオチドリピートの多型解析については、従来技術であるダイレクト・シークエンス法での対応が困難である場合が多いため、本発明による簡便で高精度な測定技術の有用性は非常に高いと言える。

Claims (22)

  1. プローブを用いた変異型DNAの検出方法であって、
    (1)置換塩基、欠損塩基領域、若しくは挿入塩基領域を有する一本鎖DNA(変異型DNA)又は/及びそれに対応する野生型の一本鎖DNA(野生型DNA)を含有する試料と、両一本鎖DNAとハイブリダイズするプローブとを接触させて、変異型DNAとのハイブリッド体(変異型ハイブリッド体)又は/及び野生型DNAとのハイブリッド体(野生型ハイブリッド体)を形成させ、得られた変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体の少なくとも一方はステム構造を有するものであり、
    (2)得られた変異型ハイブリッド体又は/及び野生型ハイブリッド体を、ステム構造の有無又はステム構造の違いにより、電気泳動法で分離し、
    (3)試料中の変異型DNAの有無を検出することを特徴とする、変異型DNAの検出方法。
  2. 変異型DNAが置換塩基を有する一本鎖DNAである、請求項1記載の検出方法。
  3. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体の少なくとも一方は、プローブ側にステム構造を有するものである、請求項2記載の検出方法。
  4. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体が、更に、ゲノムDNA側にループ構造又はステム構造を有する、請求項3記載の検出方法。
  5. プローブが以下の何れかの配列で表されるものである、請求項3記載の検出方法。
    Figure 0005798562
    又は
    Figure 0005798562
    [上記配列中、1stSS1、2ndSS1は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'1及びX'5は任意の塩基を表し、X'2〜X'4は任意の塩基又は結合手を表し、そのうちの何れか1つは変異塩基と相補な塩基又は変異塩基に対応する正常塩基と相補な塩基であり、該変異塩基と相補な塩基又は正常塩基と相補な塩基は、ハイブリダイズした際に、変異型DNAの置換塩基及び野生型DNAの正常塩基と対応する位置に存在するものである。StP1はプローブ側でステム構造を形成する配列を表す。]
  6. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体の少なくとも一方は、ゲノムDNA側にステム構造を有するものである、請求項2記載の検出方法。
  7. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体が、更に、プローブ側にループ構造又はステム構造を有する、請求項6記載の検出方法。
  8. プローブが以下の配列で表されるものである、請求項6記載の検出方法。
    Figure 0005798562
    (配列中、1stSS31、2ndSS31は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'31、X'32及びX'33は、それぞれ任意の塩基を表し、X'32は置換塩基に相補な塩基又は正常塩基に相補な塩基を表す。)
  9. 変異型DNAが欠損塩基領域を有する一本鎖DNAである、請求項1記載の検出方法。
  10. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体の少なくとも一方は、プローブ側にステム構造を有するものである、請求項9記載の検出方法。
  11. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体が、更に、ゲノムDNA側にループ構造又はステム構造を有する、請求項10記載の検出方法。
  12. プローブが以下の配列の何れかで表されるものである、請求項10記載の検出方法。
    Figure 0005798562
    (1stSS211、2ndSS211は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'211及びX'212はそれぞれ任意の塩基を表し、DM'は欠損塩基領域に相補で塩基配列を表す。)又は
    Figure 0005798562
    (1stSS221、2ndSS221は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'221及びX'222はそれぞれ任意の塩基を表す。DM'は欠損塩基領域に相補な塩基配列を表し、St P221はプローブ側ステム配列を表す。)
  13. 欠損塩基がステム構造を形成し得るものであって、野生型ハイブリッド体が、ゲノムDNA側にステム構造を有するものである、請求項9記載の検出方法。
  14. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体が、更に、プローブ側にループ構造又はステム構造を有する、請求項13記載の検出方法。
  15. プローブが以下の配列で表されるものである、請求項13記載の検出方法。
    Figure 0005798562
    (1stSS231は、欠損塩基を含まない、欠損塩基の5’側と相補な一本鎖の塩基配列を表し、2ndSS231は、欠損塩基を含まない、欠損塩基の3’側と相補な一本鎖の塩基配列をそれぞれ表す。)
  16. 変異型DNAが挿入塩基領域を有する一本鎖DNAである、請求項1記載の検出方法。
  17. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体の少なくとも一方は、ゲノムDNA側にステム構造を有するものである、請求項16記載の検出方法。
  18. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体が、更に、プローブ側にループ構造又はステム構造を有する、請求項17記載の検出方法。
  19. プローブが以下の配列の何れかで表されるものである、請求項17記載の検出方法。
    Figure 0005798562
    (1stSS311、2ndSS311は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'311及びX'312はそれぞれ任意の塩基を表す。)又は
    Figure 0005798562
    (1stSS321、2ndSS321は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'321及びX'322はそれぞれ塩基を表す。)
  20. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体の少なくとも一方は、プローブ側にステム構造を有するものである、請求項16記載の検出方法。
  21. 変異型ハイブリッド体及び野生型ハイブリッド体が、更に、ゲノムDNA側にループ構造又はステム構造を有する、請求項20記載の検出方法。
  22. プローブが以下の何れかの配列で表されるものである、請求項20記載の検出方法。
    Figure 0005798562
    (1stSS321、2ndSS321は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'321及びX'322はそれぞれ任意の塩基を表し、IM’321挿入塩基領域と相補な塩基配列であって且つステム構造を形成する塩基配列を表す。)、
    Figure 0005798562
    又は
    Figure 0005798562
    (1stSS331、2ndSS331は、それぞれ野生型DNA及び変異型DNAと相補な一本鎖の塩基配列を表し、X'331及びX'332はそれぞれ任意の塩基を表し、IM’331挿入塩基領域と相補な塩基配列を表し、Stp331は、プローブ側ステム配列を表す。)
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