JP5796735B2 - 後輪操舵装置 - Google Patents
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Description
このような四輪操舵車において後輪を操舵する後輪操舵装置が知られている(特許文献1参照)。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
このようなことが発生したとしても、四輪操舵車がしばらく直進を続ければ、後輪が路面から受ける反力(いわゆるセルフアライニングトルク)によって中立状態へ戻ろうとし、これに応じて連結アームが中立位置へ戻ろうとする。ここで、連結アームには、進出状態のピン部材を凹部へ案内するためのガイド溝が形成されている。そのため、ピン部材は、後輪が中立状態に戻りきる前に進出状態になったとしても、中立位置へ戻ろうとする連結アームのガイド溝に案内されることで凹部に嵌まり込むことができ、これに応じて、連結アームがロックされた位置が中立位置まで矯正されるので、後輪を中立状態まで確実に復帰させることができる。
請求項2記載の発明によれば、後輪が中立状態に戻りきる前に進出状態になったピン部材は、傾斜が急なガイド溝に案内されることで凹部に速やかに嵌まり込むので、後輪を中立状態まで速やかに復帰させることができる。
そして、ガイド溝が深くなる度合いを、第1領域に比べて第2領域において高くすれば、ガイド溝の傾斜は、第2領域では急であるものの、第1領域では緩やかになる。この場合、ガイド溝が深くなる度合いが第1領域および第2領域の全域に亘って一律に高い場合に比べて、ガイド溝全体を浅くすることができる。これにより、ガイド溝が設けられる連結アームを、強度が高くない安価な材料で形成することができる。
図1は、この発明の一実施形態に係る四輪操舵車1の模式的な平面図であって、四輪操舵車1が低速で直進している状態を示している。図2は、四輪操舵車1の模式的な平面図であって、四輪操舵車1が低速で旋回している状態を示している。
なお、以下では、図1における四輪操舵車1の姿勢を基準として、四輪操舵車1の方向を規定する。具体的には、図1では、紙面左側が四輪操舵車1の左側で、紙面右側が四輪操舵車1の右側で、紙面上側が四輪操舵車1の前側で、紙面下側が四輪操舵車1の後側である。図1の左右方向が四輪操舵車1の車幅方向である。図示された太線矢印は、四輪操舵車1の進行方向を示している(図2や、後述する図3〜図5においても同様)。
前輪2および後輪3のそれぞれは、円筒状のホイール5と、ホイール5に取り付けられる円筒状または円柱状のハブ6と、ホイール5に外嵌される環状のタイヤ7とを含んでいる。前輪2および後輪3のそれぞれの回転軸方向は、ホイール5、ハブ6およびタイヤ7の軸線方向と一致している。
前輪操舵装置10は、ステアリングホイール12と、入力軸13と、トーションバー14と、出力軸15と、中間軸16と、ピニオン軸17と、前側ピニオン18と、前側ラック軸19と、タイロッド20と、ナックルアーム21と、ウォームホイール22と、ウォーム23とを含んでいる。さらに、前輪操舵装置10は、第1電動モータ24と、進退制御手段としてのECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)25と、トルクセンサ26と、車速センサ27とを含んでいる。
ここで、ステアリングホイール12を回転させる際、ECU25は、トルクセンサ26が検出した操舵トルク、および、車速センサ27が検出した車速に基づいて、ステアリングホイール12に必要な補助トルクの大きさを算出する。そして、ECU25は、当該大きさの補助トルクがウォームホイール22からステアリングシャフト28(ステアリングホイール12)に与えられるように、第1電動モータ24の駆動を制御する。このように、前輪操舵装置10は、いわゆる電動パワーステアリング装置を構成しているので、乗り手は、軽い力でステアリングホイール12を回転させることによって、前輪2を転舵させることができる。
ナックルアーム42は、各後輪3のハブ6に取り付けられている。ナックルアーム42には、四輪操舵車1の車体1Aから延びるキングピン49が挿通されており、各後輪3は、キングピン49を中心に転舵することができる。また、左側の後輪3のナックルアーム42においてキングピン49より後側の部分は、リンクピン50を介して左側のタイロッド41に連結されており、右側の後輪3のナックルアーム42においてキングピン49より後側の部分は、リンクピン50を介して右側のタイロッド41に連結されている。そのため、後側ラック軸40は、タイロッド41およびナックルアーム42を介して、左右1対の後輪3間に連結されている。
ウォームホイール45は、ピニオン軸44および後側ピニオン43と一体化されている。ウォーム46は、ウォームホイール45と噛み合っている。ウォーム46には、第2電動モータ47の出力軸(図示せず)が連結されている。第2電動モータ47が駆動されると、ウォーム46およびウォームホイール45が回転することによって、後側ピニオン43が回転し、後側ピニオン43の回転に連動して、後側ラック軸40がスライドする。ECU25は、第2電動モータ47の駆動を制御する。なお、第2電動モータ47の出力軸(図示せず)が後側ピニオン43に直接つながっていてもよい。
図1では、左右の後輪3は、転舵しておらず、中立状態にある。このときの車幅方向における後側ラック軸40の位置を中立位置という。後側ラック軸40が中立位置にあるとき、後側ピニオン43は、ラック48の長手方向中央部分と噛み合っている。この状態で、ステアリングホイール12をいずれかの方向(ここでは、図1における時計回りの方向)へ回転させると、ECU25は、第2電動モータ47を駆動させる。このとき、ECU25は、ステアリングセンサ51が検出したステアリングホイール12の回転方向および回転量と、車速センサ27が検出した車速とに基づいて、第2電動モータ47のロータ(図示せず)の回転方向および第2電動モータ47の回転数または回転速度を制御する。このような第2電動モータ47の駆動により、後側ピニオン43が回転して、後側ラック軸40を車幅方向におけるいずれか(ここでは、右側)へスライドさせる。後側ラック軸40のスライドに連動して、各後輪3のナックルアーム42においてタイロッド41につながった部分が後側ラック軸40のスライド方向へ変位し、これに伴って、左右の後輪3は、キングピン49を中心として転舵する。左右の後輪3が転舵した後の状態が図2に示されている。図2では、後輪3の転舵角βが図示されている。ここで、後側ラック軸40は、車幅方向にスライドすることによって左右の後輪3を転舵させている。
このように、この四輪操舵車1は、前輪2および後輪3の両方が転舵可能である。ちなみに、後輪3の転舵は、ステアリングホイール12を回転させる人力ではなく、第2電動モータ47の駆動によって行われる。また、図2に示すように、前輪2の転舵方向(図2では右向き)と後輪3の転舵方向(図2では左向き)とを逆にすれば、前輪2の転舵方向へ向けて、四輪操舵車1をより小さい回転半径で小回りさせることができる。また、設定に応じて、前輪2および後輪3を同じ方向へ転舵させることもでき、この場合には、四輪操舵車1を、前後方向に対して左右に傾斜する方向へ直線移動(斜め移動)させることができる。四輪操舵車1を、このように小回りさせたり、斜め移動させたりすることによって、円滑に駐車することができる。なお、前輪2および後輪3の両方が転舵する場合、一般的に前輪2の転舵角αは後輪3の転舵角βよりも大きくなるが、転舵角αと転舵角βとが同じになってもよい。また、ステアリングホイール12を回転させたときに前輪2および後輪3のそれぞれが転舵を開始するタイミングにずれがあってもよい。
図3は、四輪操舵車1の模式的な平面図であって、四輪操舵車1が高速で直進している状態を示している。図4は、図2において後輪3が転舵したままロックした状態を示している。図5(a)は、図4において前輪2を中立状態に戻した様子を示しており、図5(b)は、図5(a)の要部拡大図であり、図5(c)〜図5(e)は、四輪操舵車1が直進走行するのに従って図5(a)の要部の状態が時系列順に変わっていく様子を示している。
凹部61は、後側ラック軸40の表面においてラック48を避けた位置(図1では、ラック48より左側)に設けられており、後側ラック軸40の内部へ向けて凹んでいる。
ガイド溝62は、後側ラック軸40の表面に形成されていて、詳しくは、凹部61を中心に後側ラック軸40の長さ方向(車幅方向)両側に連設されている。つまり、ガイド溝62は、凹部61に対して車幅方向両側から連続するように設けられている。図1に示すガイド溝62は、凹部61へ向けて階段状に徐々に深くなっている。そのため、ガイド溝62は、凹部61の車幅方向両側のそれぞれに、所定数(ここでは、4つ)の段部67を有している。凹部61の車幅方向両側のそれぞれにおいて、これらの段部67は、凹部61の深さ方向かつ車幅方向において凹部61へ向けて徐々に接近するように、連なって傾斜している。このような階段状のガイド溝62および凹部61のまとまりは、後側ラック軸40において逆ピラミッド状の断面を形成している。
ピン部材63は、柱状の本体63Aと、本体63Aから細長く突き出たピン状の先端63Bとを一体的に含んでいる。
ガイド窪み64は、車体1Aにおいて後側ラック軸40を臨む位置に設けられており、後側ラック軸40から離れる方へ細長く窪んでいる。ピン部材63は、先端63Bが後側ラック軸40を臨んだ状態で、ガイド窪み64内に収容されている。ピン部材63では、本体63Aが先端63Bよりも、ガイド窪み64の底側に位置している。ピン部材63は、ガイド窪み64内に収容された状態で、スライド可能である。
付勢部材65は、たとえば、圧縮ばねであり、ガイド窪み64の底とピン部材63の本体63Aとの間に、圧縮した状態で配置されている。付勢部材65は、伸びようとする付勢力によって、ピン部材63全体を、ガイド窪み64からはみ出て後側ラック軸40の凹部61へ接近する方向へ付勢している。
次に、変形例について説明する。
そして、後輪3の最大転舵角が小さければ、その分、後側ラック軸40の車幅方向へのスライド範囲も狭くなるので、ガイド溝62の車幅方向における寸法も小さくなる。後輪3の最大転舵角が相対的に小さい場合は、図6(a)〜図6(c)に示されており、後輪3の最大転舵角が相対的に大きい場合は、図6(d)〜図6(f)に示されている。図6(d)の場合では、図6(a)の場合に比べて、後輪3の最大転舵角が大きくなる分、ガイド溝62の車幅方向における寸法Xが大きくなっている。同様に、図6(e)の場合では、図6(b)の場合に比べて、後輪3の最大転舵角が大きくなる分、ガイド溝62の車幅方向における寸法が大きくなっており、図6(f)の場合では、図6(c)の場合に比べて、後輪3の最大転舵角が大きくなる分、ガイド溝62の車幅方向における寸法が大きくなっている。
なお、車速が低ければ、後輪3がある程度転舵した状態でロックされていても、そのことが四輪操舵車1の走行に与える影響はそれほど大きくない。そのため、後輪3が早急に中立状態に戻らなくてもよい(図6(a)および図6(d)参照)。この場合、ガイド溝62が深くなる度合いが低くてもよく、その分、ガイド溝62を浅くすることができる。ガイド溝62が階段状(点線部分参照)である場合、ガイド溝62が深くなる度合いが低くなるようにするために、ガイド溝62における各段部67の段差を小さくしたり、隣り合う段部67の間隔を大きくしたり、段部67の数を減らしたりすることができる。そして、ガイド溝62を浅くすることで、後側ラック軸40を、強度が高くない安価な材料で形成することができる。
図6(c)および図6(f)の場合、後輪3が中立状態に戻りきる前に進出状態になったピン部材63は、ガイド溝62において傾斜が急な第2領域Bに案内されることで凹部61側へ速やかに向うので、後輪3を中立状態近傍まで速やかに復帰させることができる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
Claims (3)
- 前後輪の両方が転舵可能な四輪操舵車に適用可能な後輪操舵装置であって、
1対の後輪間に連結されており、車幅方向にスライドすることによって1対の後輪を転舵させる連結アーム、
前記連結アームに設けられ、外側からピンが嵌まり込むことのできる凹部、
前記連結アームが車幅方向にスライドしない中立位置にあるときに前記凹部に対向する位置に設けられていて、進出状態にあるときには前記凹部に嵌まり込んで前記連結アームのスライドをロックし、退避状態にあるときには前記凹部から外れて前記連結アームのスライドロックを解除するピン部材、および
車速が所定速度以下の低速状態にある場合には前記ピン部材を退避状態とし、車速が前記所定速度を上回ると前記ピン部材を進出状態とする進退制御手段を含み、
前記連結アームには、前記凹部を中心に前記連結アームの長さ方向の両側に連設され、前記進出状態のピン部材を前記凹部へ案内するためのガイド溝が形成されていて、
前記ガイド溝は、前記凹部へ向けて階段状に徐々に深くなっていることを特徴とする、後輪操舵装置。 - 前記ガイド溝を階段状に深くさせるように構成された複数の段部を含み、
前記所定速度が高くなるのに応じて、隣り合う前記段部の先端をつなぐ直線の前記車幅方向に対する傾斜角度が大きく設定されていることを特徴とする、請求項1記載の後輪操舵装置。 - 前記ガイド溝は、前記長さ方向に関して前記凹部に近い第1領域と、前記長さ方向に関して前記第1領域よりも前記凹部から遠い第2領域とを含み、
前記第2領域における前記傾斜角度は、前記第1領域における前記傾斜角度よりも大きいことを特徴とする、請求項2記載の後輪操舵装置。
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