JP5794443B1 - 調湿建材 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来に比べ、調湿性能に優れた調湿建材を提供する。【解決手段】調湿建材1は、活性炭2と、活性炭2を保持する保持体3とを有している。活性炭2の温度30℃における水蒸気吸脱着等温線Aは、以下の(1)〜(3)を満たす。(1)相対湿度40%RH〜70%RHの間にヒステリシスHが存在し、ヒステリシスHにおいて、相対湿度40%RH〜70%RHの間のいずれかの相対湿度Xにおける脱着等温線Dの水蒸気吸着量Dxと吸着等温線Aの水蒸気吸着量Axとの差が150mg/g以上、(2)相対湿度60%RH超において、吸着等温線の水蒸気吸着量が、相対湿度60%RHにおける吸着等温線の水蒸気吸着量を基準としてさらに175mg/g以上増加する、(3)相対湿度40%RH以下において、脱着等温線Dの水蒸気吸着量が180mg/g以下。【選択図】図2
Description
本発明は、調湿建材に関する。
近年、低炭素住宅や長期優良住宅等の建築物の設計・施工が増えつつある。低炭素住宅は、二酸化炭素の排出の抑制に資する住宅である。そのため、低炭素住宅には、無駄なエネルギーの消費を少なくするために高い気密性が要求される。一方、長期優良住宅は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が構造等に講じられた住宅である。そのため、長期優良住宅は、長期にわたって建材の劣化が抑制される必要がある。
一般に、建築物における気密性が高まると、低湿な外気との間の換気量が減少する。そのため、外気温度の低下により、建築物内の建材表面に結露が発生しやすくなる。建材に結露が発生すると、建材の腐朽等、建材の劣化が促進される。そのため、低炭素かつ長期優良な建築物を実現するためには、室内における空気中の湿度を調節する調湿機能を有する調湿建材が有用となる。
従来知られる調湿建材としては、例えば、特許文献1に、調湿機能のない石膏等の既存の建材に稚内珪藻土を添加してなる調湿建材が開示されている。
しかしながら、珪藻土を用いた調湿建材は、調湿性能が十分でないという問題がある。具体的には、珪藻土は、周囲の湿度が低下すると、吸湿していた水蒸気を直ちに放出する。そのため、珪藻土を用いた調湿建材は、周囲が乾燥気味になったときに、吸湿していた水蒸気を放出することにより周囲を十分に加湿することが難しい。
また、珪藻土は、水蒸気吸着量がそれほど多くない。そのため、珪藻土を用いた調湿建材は、周囲の湿度が上昇した場合に、湿気を十分に吸湿することができない。なお、吸湿量を多くするため、既存の建材に添加される珪藻土の添加量を増やすことが考えられる。しかし、珪藻土の添加量が多量となり、調湿建材の強度が低下するおそれがある。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、従来に比べ、調湿性能に優れた調湿建材を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、活性炭と、該活性炭を保持する保持体とを有しており、
上記活性炭の微分細孔容積分布は、細孔直径0.7nm〜0.9nmの範囲内にピーク細孔直径を有しており、
上記活性炭の温度30℃における水蒸気吸脱着等温線は、以下の(1)〜(3)を満たすことを特徴とする調湿建材にある。
(1) 相対湿度40%RH〜70%RHの間にヒステリシスが存在し、かつ、該ヒステリシスにおいて、相対湿度40%RH〜70%RHの間のいずれかの相対湿度における脱着等温線の水蒸気吸着量と吸着等温線の水蒸気吸着量との差が150mg/g以上である
(2) 相対湿度60%RH超において、吸着等温線の水蒸気吸着量が、相対湿度60%RHにおける吸着等温線の水蒸気吸着量を基準としてさらに175mg/g以上増加する
(3) 相対湿度40%RH以下において、脱着等温線の水蒸気吸着量が180mg/g以下である
上記活性炭の微分細孔容積分布は、細孔直径0.7nm〜0.9nmの範囲内にピーク細孔直径を有しており、
上記活性炭の温度30℃における水蒸気吸脱着等温線は、以下の(1)〜(3)を満たすことを特徴とする調湿建材にある。
(1) 相対湿度40%RH〜70%RHの間にヒステリシスが存在し、かつ、該ヒステリシスにおいて、相対湿度40%RH〜70%RHの間のいずれかの相対湿度における脱着等温線の水蒸気吸着量と吸着等温線の水蒸気吸着量との差が150mg/g以上である
(2) 相対湿度60%RH超において、吸着等温線の水蒸気吸着量が、相対湿度60%RHにおける吸着等温線の水蒸気吸着量を基準としてさらに175mg/g以上増加する
(3) 相対湿度40%RH以下において、脱着等温線の水蒸気吸着量が180mg/g以下である
上記調湿建材は、上記特定の水蒸気吸脱着等温線を備える活性炭と、この活性炭を保持する保持体とを有している。上記活性炭は、水蒸気吸脱着等温線が上記(1)〜(3)を満たしているため、建築物において調湿の要請が特に高い相対湿度40%RH〜70%RHの範囲内において、珪藻土に比べ、高い吸放湿性能を発揮することができる。
具体的には、上記活性炭は、水蒸気吸脱着等温線において、相対湿度40%RH〜70%RHの範囲内に上記ヒステリシスが存在している。そのため、上記活性炭は、周囲の湿度が低下しても吸湿していた水蒸気を直ちに放出することがない。それ故、上記調湿建材は、周囲が乾燥気味になったときに、吸湿していた十分な量の水蒸気を放出し、周囲を加湿することができる。
また、上記活性炭は、相対湿度60%RH超の雰囲気において、さらに自重の17.5質量%以上の水蒸気を吸着することができる。そのため、上記調湿建材は、除湿が必要な高湿雰囲気における吸湿能力に優れる。
また、上記活性炭は、相対湿度40%RH以下の雰囲気において、自重の18質量%以下の水蒸気を保持するだけである。つまり、上記活性炭は、相対湿度が40%RH以下になる前に、自重の18質量%を超える分の水蒸気を脱着することができる。そのため、上記調湿建材は、加湿が必要な低湿雰囲気における放湿能力に優れる。
よって、本発明によれば、従来に比べ、調湿性能に優れた調湿建材を提供することができる。
上記調湿建材は、活性炭と、活性炭を保持する保持体とを有している。ここで、上記調湿建材に用いられる活性炭は、温度30℃における水蒸気吸脱着等温線が上述した(1)〜(3)を満たす。以下、その技術的意義について説明する。
上記(1)に規定されるように、活性炭の水蒸気吸脱着等温線は、相対湿度40%RH〜70%RHの間にヒステリシスを有している。相対湿度40%RH〜70%RHの範囲は、建築物において調湿の要請が特に高い湿度範囲である。例えば、建築物衛生法の建築物環境衛生管理基準では、相対湿度が40%RH以上70%RH以下と定められている。また、諸説はあるものの、人にとって比較的快適な湿度範囲は、概ね、相対湿度50%RH〜60%RHの範囲といわれている。これらの点を考慮し、上記調湿建材では、活性炭の水蒸気吸脱着等温線における相対湿度40%RH〜70%RHの範囲を、特に重要な相対湿度の範囲として規定している。なお、ヒステリシスとは、吸着等温線と脱着等温線とが一致しない部分のことである。
上記ヒステリシスは、相対湿度40%RH〜70%RHの間のいずれかの相対湿度における脱着等温線の水蒸気吸着量と吸着等温線の水蒸気吸着量との差が150mg/g以上ある。上記差が150mg/g未満になると、水蒸気吸脱着等温線において縦長のヒステリシスが得られ難くなり、十分な調湿性能を得ることが難しくなる。上記差は、調湿性能の向上などの観点から、好ましくは、175mg/g以上、より好ましくは、200mg/g以上、さらに好ましくは、225mg/g以上であるとよい。一方、上記差が過度に大きくなると、活性炭の嵩密度が低下し、保持体に活性炭が混合された場合に、調湿建材の強度が低下するおそれがある。また、活性炭の経済性が悪くなり、それに伴い調湿建材の経済性も低下する。これらを考慮すると、上記差は、好ましくは、500mg/g以下、より好ましくは、450mg/g以下、さらに好ましくは、400mg/g以下であるとよい。
上記(2)において、相対湿度60%RH超における吸着等温線の水蒸気吸着量は、調湿建材の周囲が高湿度雰囲気となったときに、活性炭がさらにどの程度の吸湿余力を有しているかを表す物性値である。相対湿度60%RH超において、吸着等温線の水蒸気吸着量の増加量が、相対湿度60%RHにおける吸着等温線の水蒸気吸着量を基準として175mg/g未満になると、高湿による人の不快感の低減、結露の抑制、カビ等による建材の劣化抑制などのために最も除湿が必要とされるときに十分な除湿を行うことが難しくなり、建築物に調湿建材を適用する意味が少なくなる。相対湿度60%RH超において、吸着等温線の水蒸気吸着量の増加量は、好ましくは、180mg/g以上、より好ましくは、185mg/g以上、さらに好ましくは、190mg/g以上、さらにより好ましくは、200mg/g以上、さらにより一層好ましくは、220mg/g以上、最も好ましくは、250mg/g以上とすることができる。
一方、相対湿度60%RH超において、吸着等温線の水蒸気吸着量の増加量が過度に大きくなると、活性炭の嵩密度が低下し、保持体に活性炭が混合された場合に、調湿建材の強度が低下するおそれがある。また、活性炭の経済性が悪くなり、それに伴い調湿建材の経済性も低下する。これらを考慮すると、相対湿度60%RH超において、吸着等温線の水蒸気吸着量の増加量は、好ましくは、500mg/g以下、より好ましくは、450mg/g以下、さらに好ましくは、400mg/g以下であるとよい。
上記(3)において、相対湿度40%RH以下における脱着等温線の水蒸気吸着量は、調湿建材の周囲の相対湿度が40%RH以下となる前に、活性炭が吸湿していた水蒸気を活性炭自身に留めることなく、周囲の雰囲気中にどの程度放湿可能かを表す物性値である。相対湿度40%RH以下における脱着等温線の水蒸気吸着量が180mg/gを超えると、人が乾燥感を感じやすくなる前に十分な加湿を行うことが難しくなり、建築物に調湿建材を適用する意味が少なくなる。相対湿度40%RH以下における脱着等温線の水蒸気吸着量は、好ましくは、175mg/g以下、より好ましくは、170mg/g以下、さらに好ましくは、165mg/g以下、さらにより好ましくは、160mg/g以下とすることができる。なお、相対湿度40%RH以下における脱着等温線の水蒸気吸着量の下限は、0mg/g以上とすることができる。
上記調湿建材において、保持体による活性炭の保持形態としては、例えば、保持体中に活性炭が混合されている例、一対の保持体に活性炭が挟持されている例、保持体の表面に活性炭が積層されている例、保持体に形成された空隙に活性炭が直接または袋状物等を用いて充填されている例、これらの組み合わせなどを例示することができる。
上記調湿建材において、活性炭は、保持体中に混合されているとよい。
この場合には、保持体に活性炭が確実に保持されるため、活性炭の脱落などを抑制しやすくなる。また、活性炭と保持体材料とを混合することにより、調湿性能の高い調湿建材を比較的簡単に製造することが可能となる。
上記調湿建材において、活性炭の含有量は、5〜30質量%の範囲内とすることができる。なお、活性炭の含有量は、(活性炭の質量)/(保持体の質量+活性炭の質量)×100より算出することができる。
この場合には、調湿性能と強度とのバランスに優れた調湿建材が得られる。活性炭の含有量は、十分な調湿効果を得るなどの観点から、好ましくは、7質量%以上、より好ましくは、8質量%以上、さらに好ましくは、10質量%以上とすることができる。また、活性炭の含有量は、強度低下の抑制、建材としての防火性向上などの観点から、好ましくは、28質量%以下、より好ましくは、25質量%以下、さらに好ましくは、23質量%以下、さらにより好ましくは、20質量%以下とすることができる。
上記調湿建材において、活性炭は、具体的には、例えば、粒状、粉末状、繊維状、シート状、板状などの形状を呈することができる。これらのうち、活性炭は、粒状であるとよい。この場合には、調湿建材の製造時における活性炭の取扱い性がよく、また、保持体中に分散、混合させやすい利点がある。
上記調湿建材において、活性炭が粒状である場合、活性炭の平均粒径は、0.3〜3mmの範囲内にあるとよい。なお、上記活性炭の平均粒径は、調湿建材の断面を光学顕微鏡にて観察し、観察される個々の粒状活性炭について測定される最大径の平均値をいう。
この場合には、保持体中に活性炭が混合された際における、調湿建材の強度、調湿建材の成形性などが確保されやすい。また、活性炭に起因する調湿建材の表面凹凸が目立ち難くなるので、良好な見栄えが確保されやすい。また、調湿建材を、例えば、石膏ボードに適用したときの原紙の貼り付き性も確保しやすくなる。
活性炭の平均粒径は、調湿建材の強度、調湿建材の成形性の確保が容易になるなどの観点から、好ましくは、0.35mm以上、より好ましくは、0.4mm以上、さらに好ましくは、0.45mm以上、さらにより好ましくは、0.5mm以上とすることができる。また、活性炭の平均粒径は、調湿建材の見栄え向上、調湿建材を石膏ボードに適用したときの原紙の貼り付き性確保などの観点から、好ましくは、2.5mm以下、より好ましくは、2mm以下、さらに好ましくは、1.5mm以下、さらにより好ましくは、1mm以下とすることができる。
上記調湿建材において、活性炭の微分細孔容積分布は、細孔直径0.7nm〜0.9nmの範囲内にピーク細孔直径(微分細孔容積が最大値を示すときの細孔直径)を有している。活性炭の微分細孔容積分布は、好ましくは、細孔直径0.72nm〜0.88nmの範囲内に、より好ましくは、細孔直径0.75nm〜0.85nmの範囲内に、ピーク細孔直径を有しているとよい。
この場合には、活性炭の水蒸気吸脱着等温線が、上述した(1)〜(3)を満たしやすくなる。なお、活性炭の微分細孔容積分布は、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−miniII」)を用い、定温(77K)下での圧力と窒素ガスの吸着量との変化を表す吸着等温線を作成した後、これを吸着層厚みに対する窒素吸着量に変換してプロットした関係線の勾配変化(即ち表面積の変化)から体積変化を計測し、細孔直径から微分細孔容積を求めることにより測定することができる。
上記調湿建材において、活性炭は、竹、間伐材、コーヒーかすなどを原料とすることができる。これらのうち、活性炭は、竹を原料とすることが好ましい。
この場合には、珪藻土や比較的高級なヤシ殻活性炭では達成することが難しい上記(1)〜(3)を満たす活性炭を確実に得ることができる。そのため、上記作用効果を奏する調湿建材を確実に得ることが可能になる。また、この場合には、荒廃竹林等、未利用の竹を資源として有効活用することができる利点もある。
上記調湿建材において、保持体は、活性炭による水蒸気の吸脱着を妨げないように、水蒸気拡散性を有しておればよい。なお、水蒸気拡散性は、例えば、材質中の空隙等により確保することができる。保持体の材質としては、具体的には、例えば、石膏、珪酸カルシウム、セラミックス、多孔質プラスチックなどを例示することができる。
上記調湿建材において、保持体は、石膏またはケイ酸カルシウムを主成分とすることができる。なお、保持体の主成分とは、保持体を構成する成分のうち、最も質量割合が高いものをいう。
この場合には、従来に比べ、優れた調湿性能を有する石膏ボードまたはケイ酸カルシウム板を得ることができる。また、石膏ボードやケイ酸カルシウム板は、壁、床、天井等の内装材として従来より多用されている。そのため、この場合には、調湿性能を有しない従来の石膏ボードまたはケイ酸カルシウム板を、優れた調湿性能を有する石膏ボードまたはケイ酸カルシウム板に置換しやすい。それ故、この場合には、低炭素かつ長期優良な住宅等の建築物の設計・施工が促進されやすくなる利点がある。なお、石膏ボードは、一般に、石膏を含む石膏芯と、石膏芯を被覆する原紙とを有している。したがって、上記調湿建材を石膏ボードに適用するには、具体的には、石膏を主成分とし、上述の活性炭を含有する板状の保持体を石膏芯として用いればよい。
上記調湿建材において、活性炭を保持した状態にある保持体は、JIS A 1470−1に準拠して中湿域の湿度条件にて測定される初期から3時間の間における吸湿こう配が10g/(m2・h)以上であるとよい。
この場合には、調湿建材の周囲の湿度が高まった場合に、速やかに除湿が行われる。そのため、調湿建材の周囲の湿度が早期に一定水準に保たれやすくなる。
上記吸湿こう配は、上記作用効果を高める観点から、好ましくは、12g/(m2・h)以上、より好ましくは、13g/(m2・h)以上、さらに好ましくは、14g/(m2・h)以上、さらにより好ましくは、15g/(m2・h)以上とすることができる。なお、上記吸湿こう配の値は、大きい程好ましいが、活性炭の経済性などの観点から、例えば、35g/(m2・h)以下とすることができる。
上記調湿建材は、具体的には、壁、床、および、天井からなる群より選択される少なくとも1つの建築物の内装構造に用いられる内装材であるとよい。
この場合には、上記調湿建材の面積を大きくしやすいので、室内等、建築物における調湿すべき空間の調湿を行いやすくなる利点がある。
なお、上記調湿建材は、建築物における内装構造の内部に用いられることにより、調湿すべき空間に直接露出していなくてもよい。また、上記調湿建材は、建築物における内装構造の上記空間側表面に用いられることにより、調湿すべき空間に直接露出していてもよい。前者の場合には、調湿すべき空間側から調湿建材が直接視認されないため、黒色の活性炭が目立たずに済み、高いデザイン性もそれほど要求されない。そのため、この場合には、調湿性能を調節する自由度が高くなる。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
実施例の調湿建材について、図面を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1の調湿建材について、図1、図2を用いて説明する。図1に示すように、本例の調湿建材1は、活性炭2と、活性炭2を保持する保持体3とを有している。
実施例1の調湿建材について、図1、図2を用いて説明する。図1に示すように、本例の調湿建材1は、活性炭2と、活性炭2を保持する保持体3とを有している。
ここで、図2に示すように、活性炭2の温度30℃における水蒸気吸脱着等温線Iは、以下の(1)〜(3)を満たす。
(1):相対湿度40%RH〜70%RHの間にヒステリシスHが存在し、かつ、ヒステリシスHにおいて、相対湿度40%RH〜70%RHの間のいずれかの相対湿度における脱着等温線Dの水蒸気吸着量と吸着等温線Aの水蒸気吸着量との差が150mg/g以上である。
具体的には、図2に示されるように、相対湿度40%RH〜70%RHの間の任意の相対湿度Xにおける脱着等温線Dの水蒸気吸着量をDx、上記相対湿度Xにおける吸着等温線Aの水蒸気吸着量をAxとした場合に、その差である(Dx−Ax)が150mg/g以上である。
(2):相対湿度60%RH超において、吸着等温線の水蒸気吸着量が、相対湿度60%RHにおける吸着等温線の水蒸気吸着量A60を基準としてさらに175mg/g以上増加する。
(3):相対湿度40%RH以下において、脱着等温線Dの水蒸気吸着量が180mg/g以下である。
本例では、具体的には、活性炭2は、保持体3中に混合されることにより保持体3に保持されている。保持体3は、石膏を主成分とする。より具体的には、本例の調湿建材1は、石膏を主成分とし、活性炭2を含有する板状の保持体3と、この保持体3の両面を被覆する原紙4とを有する石膏ボードである。活性炭2を含有する板状の保持体3が石膏ボードにおける石膏芯として機能する。また、本例において、活性炭2は、原料である竹を、炭化、賦活してなるものであり、粒状の形状を呈している。活性炭2の平均粒径は、0.3〜3mmの範囲内にある。活性炭2の微分細孔容積分布は、細孔直径0.7nm〜0.9nmの範囲内にピーク細孔直径を有している。活性炭2を含有する保持体3に対する活性炭2の含有量は、5〜30質量%の範囲内にある。
また、本例では、活性炭2を保持した状態にある保持体3は、JIS A 1470−1に準拠して中湿域の湿度条件にて測定される初期から3時間の間における吸湿こう配が10g/(m2・h)以上とされている。
以下、上記調湿建材を、実験例を用いてより具体的に説明する。
<実験例1>
(活性炭の作製)
竹破砕物を120℃で含水率12質量%以下になるまで乾燥した。次いで、乾燥された竹粉砕物を、バイオマスペレット製造装置(アースエンジニアリング社製、「EF−BS−150」)を用いて、ペレット化し、竹ペレットを得た。次いで、得られた竹ペレットを、炭化炉内で、窒素雰囲気下、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温し、30分間保持することにより、炭化処理した。次いで、得られた炭化物を、賦活炉内で、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温した後、12g/分の水蒸気を流入させ、2.5時間、5時間、5.8時間、7.2時間保持することにより、賦活処理した。これにより、上記保持時間に対応して収率がそれぞれ23%、17.4%、15.8%、12.5%であるペレット状の各竹活性炭を得た。次いで、各竹活性炭を、ボールミルにて粉砕し、ふるいにて分級することにより、粒状の各竹活性炭を得た。なお、上記収率は、絶乾状態での原料(竹ペレット)の質量に対する、得られた活性炭の質量の比率(%)のことである。また、得られた粒状の各竹活性炭は、ふるい目開き0.5mm以上1mm以下の粒径に調整されている。
(活性炭の作製)
竹破砕物を120℃で含水率12質量%以下になるまで乾燥した。次いで、乾燥された竹粉砕物を、バイオマスペレット製造装置(アースエンジニアリング社製、「EF−BS−150」)を用いて、ペレット化し、竹ペレットを得た。次いで、得られた竹ペレットを、炭化炉内で、窒素雰囲気下、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温し、30分間保持することにより、炭化処理した。次いで、得られた炭化物を、賦活炉内で、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温した後、12g/分の水蒸気を流入させ、2.5時間、5時間、5.8時間、7.2時間保持することにより、賦活処理した。これにより、上記保持時間に対応して収率がそれぞれ23%、17.4%、15.8%、12.5%であるペレット状の各竹活性炭を得た。次いで、各竹活性炭を、ボールミルにて粉砕し、ふるいにて分級することにより、粒状の各竹活性炭を得た。なお、上記収率は、絶乾状態での原料(竹ペレット)の質量に対する、得られた活性炭の質量の比率(%)のことである。また、得られた粒状の各竹活性炭は、ふるい目開き0.5mm以上1mm以下の粒径に調整されている。
なお、上記以外にも、比較のため、比表面積が1200m2/gである市販のヤシ殻活性炭を準備した。また、市販の珪藻土(ユーディー社製、「MP床下材」)を準備した。
(活性炭の水蒸気吸脱着等温線)
準備した収率12.5%の竹活性炭、収率15.8%の竹活性炭、収率17.4%の竹活性炭、収率23%の竹活性炭、ヤシ殻活性炭、および、珪藻土について、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−18」)を用い、温度30℃における水蒸気吸脱着等温線を作成した。図3に、収率12.5%の竹活性炭、収率15.8%の竹活性炭の温度30℃における水蒸気吸脱着等温線を示す。図4に、収率17.4%の竹活性炭、収率23%の竹活性炭、ヤシ殻活性炭、および、珪藻土の温度30℃における水蒸気吸脱着等温線を示す。
準備した収率12.5%の竹活性炭、収率15.8%の竹活性炭、収率17.4%の竹活性炭、収率23%の竹活性炭、ヤシ殻活性炭、および、珪藻土について、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−18」)を用い、温度30℃における水蒸気吸脱着等温線を作成した。図3に、収率12.5%の竹活性炭、収率15.8%の竹活性炭の温度30℃における水蒸気吸脱着等温線を示す。図4に、収率17.4%の竹活性炭、収率23%の竹活性炭、ヤシ殻活性炭、および、珪藻土の温度30℃における水蒸気吸脱着等温線を示す。
図3に示されるように、収率12.5%の竹活性炭、収率15.8%の竹活性炭の水蒸気吸脱着等温線は、いずれも、上述した(1)〜(3)を満たしている。これらに対し、図4に示されるように、収率17.4%の竹活性炭、収率23%の竹活性炭、ヤシ殻活性炭、および、珪藻土の水蒸気吸脱着等温線は、いずれも、上述した(1)〜(3)のいずれかを満たしていない。上記結果から、竹活性炭は、収率を16%以下とすることにより、上述した(1)〜(3)を満たしやすくなることがわかる。また、竹活性炭は、相対湿度が60%RH以下にならないと、水蒸気を放出しないことがわかる。したがって、竹活性炭は、調湿建材に有用であることがわかる。これらに対し、珪藻土は、竹活性炭に比べ、全ての相対湿度範囲にわたり調湿性能に劣っていることがわかる。さらに、珪藻土は、周囲の湿度が低下するや否や、吸湿していた水蒸気を直ちに放出してしまうことがわかる。なお、比較的高級なヤシ殻活性炭であっても、上述した(1)〜(3)を満たす活性炭を得ることが難しいこともわかる。
(活性炭の微分細孔容積分布)
準備した収率12.5%の竹活性炭、収率15.8%の竹活性炭、収率17.4%の竹活性炭、収率23%の竹活性炭、ヤシ殻活性炭、および、珪藻土について、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−miniII」)を用い、定温(77K)下での圧力と窒素ガスの吸着量との変化を表す吸着等温線を作成した。その後、これを吸着層厚みに対する窒素吸着量に変換してプロットした関係線の勾配変化(即ち表面積の変化)から体積変化を計測し、細孔直径から微分細孔容積を求めた。図5に、各竹活性炭の微分細孔容積分布を示す。
準備した収率12.5%の竹活性炭、収率15.8%の竹活性炭、収率17.4%の竹活性炭、収率23%の竹活性炭、ヤシ殻活性炭、および、珪藻土について、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−miniII」)を用い、定温(77K)下での圧力と窒素ガスの吸着量との変化を表す吸着等温線を作成した。その後、これを吸着層厚みに対する窒素吸着量に変換してプロットした関係線の勾配変化(即ち表面積の変化)から体積変化を計測し、細孔直径から微分細孔容積を求めた。図5に、各竹活性炭の微分細孔容積分布を示す。
図5に示されるように、収率12.5%の竹活性炭、収率15.8%の竹活性炭は、細孔直径0.7nm〜0.9nmの範囲内に、ピーク細孔直径を有していることがわかる。この結果から、活性炭の微分細孔容積分布において、細孔直径0.7nm〜0.9nmの範囲内にピーク細孔直径を有している場合には、上述した(1)〜(3)を満たしやすくなることがわかる。
(活性炭の平均粒径)
収率12.5%のペレット状の各竹活性炭を、ボールミルとロールクラッシャーを用いて、粉砕し、ふるいにて分級することにより、粒径の異なる複数の粒状の竹活性炭を得た。次いで、粒径の異なる各竹活性炭を用いた以外は同条件にて、竹活性炭が混合されてなる板状の石膏サンプルを複数作製した。次いで、各石膏サンプルの断面を光学顕微鏡にて観察し、観察される個々の竹活性炭の最大径を測定し、平均値を算出することにより、各石膏サンプルに添加された各竹活性炭の平均粒径を求めた。
収率12.5%のペレット状の各竹活性炭を、ボールミルとロールクラッシャーを用いて、粉砕し、ふるいにて分級することにより、粒径の異なる複数の粒状の竹活性炭を得た。次いで、粒径の異なる各竹活性炭を用いた以外は同条件にて、竹活性炭が混合されてなる板状の石膏サンプルを複数作製した。次いで、各石膏サンプルの断面を光学顕微鏡にて観察し、観察される個々の竹活性炭の最大径を測定し、平均値を算出することにより、各石膏サンプルに添加された各竹活性炭の平均粒径を求めた。
竹活性炭の平均粒径が0.3mmを下回ると、石膏サンプルの強度が低下し、成形性も低下する傾向が見られた。一方、竹活性炭の平均粒径が3mmを上回ると、石膏サンプルの表面に竹活性炭に起因する表面凹凸が目立ち始め、見栄えが悪くなった。また、石膏サンプルの表面に石膏ボード用の原紙を貼り付けたところ、原紙の貼り付き力が弱くなる傾向が見られた。また、同様の試験を、竹活性炭が混合されてなる板状のケイ酸カルシウムサンプルを用いて行ったところ、上記と同様の傾向が見られた。以上の結果から、粒状の活性炭を用いる場合、活性炭の平均粒径は0.3〜3mmの範囲内にあるとよいことが確認された。
(活性炭の含有量)
収率12.5%の粒状の竹活性炭(上記「活性炭の平均粒径」の項目にて平均粒径が0.5mmであったもの)を準備した。次いで、竹活性炭の含有量を、0質量%、12.6質量%、20質量%、32質量%、38質量%とした以外は同条件にて、竹活性炭が混合されてなる板状の石膏サンプルを5種類作製した。次いで、各石膏サンプルについて、曲げ強さを測定した。その結果を表1に示す。
収率12.5%の粒状の竹活性炭(上記「活性炭の平均粒径」の項目にて平均粒径が0.5mmであったもの)を準備した。次いで、竹活性炭の含有量を、0質量%、12.6質量%、20質量%、32質量%、38質量%とした以外は同条件にて、竹活性炭が混合されてなる板状の石膏サンプルを5種類作製した。次いで、各石膏サンプルについて、曲げ強さを測定した。その結果を表1に示す。
表1に示されるように、竹活性炭の含有量が32質量%以上になると、曲げ強さが低下する傾向が見られた。また、同様の試験を、竹活性炭が混合されてなる板状のケイ酸カルシウムサンプルを用いて行ったところ、上記と同様の傾向が見られた。以上の結果から、活性炭が保持体中に混合される場合、活性炭の含有量は、強度低下を抑制するために30質量%以下とするのがよいといえる。
<実験例2>
(石膏ボード試料の作製)
石膏原料と、収率12.5%の粒状の竹活性炭(上記<実験例1>の「活性炭の平均粒径」の項目にて平均粒径が0.5mmであったもの)と、1質量%の気泡剤を含有する水溶液を撹拌して生成させた泡とを準備した。次いで、水に所定量の石膏原料を徐々に溶かし込みながら1分間撹拌した。この際、水量は、(石膏原料の質量×0.85)+(混合する竹活性炭の絶乾質量×1.0)とした。次いで、石膏原料と水との混合物に、絶乾状態の竹活性炭を所定量添加し、1分間撹拌して十分に分散させた。次いで、石膏原料と水と竹活性炭との混合物に、泡を所定量添加し、30秒間撹拌して十分に分散させた。この際、泡の添加量は、(石膏原料の質量+混合する竹活性炭の絶乾質量)×0.03とした。次いで、石膏ボードを形成するための型枠内の下部に、石膏ボード用の原紙を置き、その上に、石膏原料と水と竹活性炭と泡との混合物を流し込み、流し込み完了後に、さらに型枠内の混合物の表面に、石膏ボード用の原紙を置いた。つまり、石膏原料と水と竹活性炭と泡との混合物を一対の原紙により挟んだ状態とした。次いで、この状態のまま、1時間常温で養生した後、型枠を取り除いた。次いで、40℃に調温された乾燥器内で1日静置させた。これにより、石膏中に、上記(1)〜(3)を満たす上記竹活性炭が13質量%混合されてなる試料1の石膏ボード(原紙を除く厚み9mm)を作製した。
(石膏ボード試料の作製)
石膏原料と、収率12.5%の粒状の竹活性炭(上記<実験例1>の「活性炭の平均粒径」の項目にて平均粒径が0.5mmであったもの)と、1質量%の気泡剤を含有する水溶液を撹拌して生成させた泡とを準備した。次いで、水に所定量の石膏原料を徐々に溶かし込みながら1分間撹拌した。この際、水量は、(石膏原料の質量×0.85)+(混合する竹活性炭の絶乾質量×1.0)とした。次いで、石膏原料と水との混合物に、絶乾状態の竹活性炭を所定量添加し、1分間撹拌して十分に分散させた。次いで、石膏原料と水と竹活性炭との混合物に、泡を所定量添加し、30秒間撹拌して十分に分散させた。この際、泡の添加量は、(石膏原料の質量+混合する竹活性炭の絶乾質量)×0.03とした。次いで、石膏ボードを形成するための型枠内の下部に、石膏ボード用の原紙を置き、その上に、石膏原料と水と竹活性炭と泡との混合物を流し込み、流し込み完了後に、さらに型枠内の混合物の表面に、石膏ボード用の原紙を置いた。つまり、石膏原料と水と竹活性炭と泡との混合物を一対の原紙により挟んだ状態とした。次いで、この状態のまま、1時間常温で養生した後、型枠を取り除いた。次いで、40℃に調温された乾燥器内で1日静置させた。これにより、石膏中に、上記(1)〜(3)を満たす上記竹活性炭が13質量%混合されてなる試料1の石膏ボード(原紙を除く厚み9mm)を作製した。
試料1の石膏ボードの作製において、泡を添加しなかった点以外は同様にして、試料2の石膏ボードを作製した。また、試料1の石膏ボードの作製において、石膏中に、上記(1)〜(3)を満たす上記竹活性炭が4質量%混合されるように配合を調整した以外は同様にして、試料3の石膏ボードを作製した。
比較のため、珪藻土を含有する市販の石膏ボード(チヨダウーテ社製、「さわやかせっこうボード」)を、試料4の石膏ボードとした。また、試料1の石膏ボードの作製において、竹活性炭および泡を添加しなかった点以外は同様にして、試料5の石膏ボードを作製した。
各試料の石膏ボードの詳細をまとめて表2に示す。
図6に、試料1の石膏ボードの断面写真(倍率100倍)を示す。図6において、符号3は活性炭、符号2は保持体である石膏、符号20は保持体中に形成された空隙である。図7に、試料4の石膏ボードの断面写真(倍率100倍)を示す。図7において、符号5は珪藻土、符号2は保持体である石膏、符号20は保持体中に形成された空隙である。
(石膏ボード試料の曲げ強さ)
試料2の石膏ボードおよび試料5の石膏ボードについて、曲げ強さを測定した。その結果、試料2の石膏ボードの曲げ強さは、3.5MPa、試料5の石膏ボードの曲げ強さは、3.8MPaであった。この結果から、竹活性炭の含有量が適量であれば、竹活性炭の添加によって石膏ボードの曲げ強さが大きく低下することがないことが確認された。なお、試料2の石膏ボードおよび試料4の石膏ボードについて、X線回折による分析を行った。その結果、これら試料間に構造的な大きな差異は見られなかった。
試料2の石膏ボードおよび試料5の石膏ボードについて、曲げ強さを測定した。その結果、試料2の石膏ボードの曲げ強さは、3.5MPa、試料5の石膏ボードの曲げ強さは、3.8MPaであった。この結果から、竹活性炭の含有量が適量であれば、竹活性炭の添加によって石膏ボードの曲げ強さが大きく低下することがないことが確認された。なお、試料2の石膏ボードおよび試料4の石膏ボードについて、X線回折による分析を行った。その結果、これら試料間に構造的な大きな差異は見られなかった。
(石膏ボード試料の調湿性能試験1)
JIS A 1407−1:2008(建築材料の吸放湿性試験方向−第1部:湿度応答法)を参考にし、各石膏ボード試料の調湿性能を測定できるように装置を設定した。具体的には、恒温恒湿器(東京理化器械社製、「KCL−2000」)内に、連続的に質量データを記録可能なデータロガー(アズワン社製、「B−LOG−01」)を接続した電子天秤(AND社製、「EK−610i」)を設置した。そして、電子天秤上に、各石膏ボード試料を載せ、湿度変化に対する質量変化を測定した。なお、本試験1における各試料の大きさは、縦7cm×横7cmである。
JIS A 1407−1:2008(建築材料の吸放湿性試験方向−第1部:湿度応答法)を参考にし、各石膏ボード試料の調湿性能を測定できるように装置を設定した。具体的には、恒温恒湿器(東京理化器械社製、「KCL−2000」)内に、連続的に質量データを記録可能なデータロガー(アズワン社製、「B−LOG−01」)を接続した電子天秤(AND社製、「EK−610i」)を設置した。そして、電子天秤上に、各石膏ボード試料を載せ、湿度変化に対する質量変化を測定した。なお、本試験1における各試料の大きさは、縦7cm×横7cmである。
その結果を、図8に示す。図8に示されるように、試料1の石膏ボードは、珪藻土を用いた試料4の石膏ボードに比べ、吸湿性能、放湿性能ともに約2倍となった。また、試料1の石膏ボードと試料2の石膏ボードとを比較すると、保持体の空隙を増加させることにより、調湿性能を向上させることが可能であるといえる。この結果から、調湿建材に求められる強度等を考慮し、保持体の空隙を調節することにより、保持体中の活性炭の調湿機能をより発現させることが可能であることが確認された。また、試料1の石膏ボードと試料3の石膏ボードとを比較すると、活性炭の含有量を5質量%以上とすることにより、調湿性能の向上効果が大きくなることがわかる。
(石膏ボード試料の調湿性能試験2)
上記JIS A 1407−1に準拠し、試料1の石膏ボードおよび試料4の石膏ボードの調湿性能を測定した。試験条件は、湿度条件:中湿域、養生:23℃、50%RH、吸湿過程(ステップ1):23℃、75%RH、放湿過程(ステップ2):23℃、50%RH、サイクル数:1とした。なお、本試験2における各試料の大きさは、縦24cm×横24cmである。
上記JIS A 1407−1に準拠し、試料1の石膏ボードおよび試料4の石膏ボードの調湿性能を測定した。試験条件は、湿度条件:中湿域、養生:23℃、50%RH、吸湿過程(ステップ1):23℃、75%RH、放湿過程(ステップ2):23℃、50%RH、サイクル数:1とした。なお、本試験2における各試料の大きさは、縦24cm×横24cmである。
吸湿過程における試料の質量変化を図9に示す。放湿過程における試料の質量変化を図10に示す。吸湿こう配および放湿こう配の経時変化を図11に示す。なお、図11中、吸湿過程における吸放湿こう配が吸湿こう配、放湿過程における吸放湿こう配が放湿こう配を意味する。また、試料の質量は、養生後(ステップ1開始時)の値を0とした。
図9に示されるように、試料1の石膏ボードは、珪藻土を用いた試料4の石膏ボードに比べ、吸湿性能が約3倍となった。また、図10に示されるように、試料1の石膏ボードは、珪藻土を用いた試料4の石膏ボードとほぼ同等の放湿性能となった。試料1の石膏ボードの放湿性能は、活性炭単体の放湿性能よりも低い。そのため、保持体の空隙量等、保持体側の改良を進めることにより、石膏ボードの放湿性能をより向上させることが可能であると考えられる。
また、図11に示されるように、試料1の石膏ボードは、JIS A 1470−1に準拠して中湿域の湿度条件にて測定される初期から3時間の間における吸湿こう配が10g/(m2・h)以上である。具体的には、上記吸湿こう配が16〜26g/(m2・h)程度であることがわかる。これに対し、珪藻土を用いた試料4の石膏ボードは、上記吸湿こう配が5〜16g/(m2・h)程度である。この結果から、試料1の石膏ボードは、試料4の石膏ボードに比べ、調湿建材の周囲の湿度が高まった場合に、速やかに除湿が行われ、ボード周囲の湿度が早期に一定水準に保たれやすくなることがわかる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
1 調湿建材
2 活性炭
3 保持体
2 活性炭
3 保持体
Claims (8)
- 活性炭と、該活性炭を保持する保持体とを有しており、
上記活性炭の微分細孔容積分布は、細孔直径0.7nm〜0.9nmの範囲内にピーク細孔直径を有しており、
上記活性炭の温度30℃における水蒸気吸脱着等温線は、以下の(1)〜(3)を満たすことを特徴とする調湿建材。
(1) 相対湿度40%RH〜70%RHの間にヒステリシスが存在し、かつ、該ヒステリシスにおいて、相対湿度40%RH〜70%RHの間のいずれかの相対湿度における脱着等温線の水蒸気吸着量と吸着等温線の水蒸気吸着量との差が150mg/g以上である
(2) 相対湿度60%RH超において、吸着等温線の水蒸気吸着量が、相対湿度60%RHにおける吸着等温線の水蒸気吸着量を基準としてさらに175mg/g以上増加する
(3) 相対湿度40%RH以下において、脱着等温線の水蒸気吸着量が180mg/g以下である - 上記活性炭を保持した状態にある上記保持体は、JIS A 1470−1に準拠して中湿域の湿度条件にて測定される初期から3時間の間における吸湿こう配が、10g/(m2・h)以上であることを特徴とする請求項1に記載の調湿建材。
- 上記活性炭は、上記保持体中に混合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の調湿建材。
- 上記活性炭の含有量は、5〜30質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載の調湿建材。
- 上記活性炭は、粒状であり、平均粒径が0.3〜3mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の調湿建材。
- 上記保持体は、石膏またはケイ酸カルシウムを主成分とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の調湿建材。
- 上記活性炭は、竹を原料とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の調湿建材。
- 壁、床、および、天井からなる群より選択される少なくとも1つの建築物の内装構造に用いられる内装材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の調湿建材。
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