JP5791249B2 - 二酸化塩素ガスの発生放出方法 - Google Patents
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Description
本発明にかかる二酸化塩素ガスの発生放出方法の一実施形態は、亜塩素酸塩水溶液または安定化二酸化塩素水溶液に、活性化剤と、ガス発生調節剤および吸水性樹脂の少なくともいずれかと、ガス共存剤とを添加して、ゲル化して得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させ、二酸化塩素ガスとともにガス共存剤を放出させることを特徴とする。
本実施形態において用いられる亜塩素酸塩水溶液とは、亜塩素酸塩を含む水溶液をいう。ここで、亜塩素酸塩水溶液に含まれる亜塩素酸塩は、活性化剤と反応して二酸化塩素を生成するものであれば特に制限はないが、たとえば、亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)、亜塩素酸カリウム(KClO2)、亜塩素酸リチウム(LiClO2)のような亜塩素酸アルカリ金属塩、または亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO2)2)、亜塩素酸マグネシウム(Mg(ClO2)2)、亜塩素酸バリウム(Ba(ClO2)2)のような亜塩素酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。この中で、市販されている亜塩素酸ナトリウムが入手しやすく使用上も問題がない。固形の亜塩素酸ナトリウムは市販品の86質量%品または76質量%品などが使用できる。
本実施形態において用いられる安定化二酸化塩素水溶液とは、二酸化塩素をアルカリ性水溶液に溶存させて安定化した水溶液をいい、既存化学物質1−143,CAS No.10049−04−4であり、二酸化塩素と同一番号で特定される化学物質である。一方、亜塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸ナトリウム液は、いずれも既存化学物質1−238,CAS No.7758−19−2で特定される化学物質である。
本実施形態において用いられる活性化剤とは、亜塩素酸塩水溶液または安定化二酸化塩素水溶液と反応して二酸化塩素ガスを発生させるものをいい、特に制限はなく、無機酸、有機酸、さらし粉、イソシアヌル酸類、水素塩などが用いられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、ギ酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸酸などのカルボン酸類などが挙げられる。安全性が高い観点から、食品添加物として使用される有機酸が好ましい。さらし粉としては、有効塩素濃度が33質量%〜38質量%程度の通常のさらし粉、有効塩素濃度が60質量%〜70質量%程度の高度さらし粉のいずれを用いてもよい。吸湿性が少なく熱に安定で長時間の保存に耐えることから、高度さらし粉を用いることが好ましい。ここで、通常のさらし粉は、主成分としてCaCl2・Ca(OCl)2・2H2Oが含まれ、その他の成分としてCa(OH)2、CaCl2、Ca(ClO)2、Ca(ClO3)2などが含まれている。高度さらし粉は、主成分としてCa(OCl)2が含まれる。イソシアヌル酸類とは、イソシアヌル酸およびその誘導体ならびにそれらの金属塩をいう。イソシアヌル酸類は、特に制限はないが、亜塩素酸塩水溶液または安定化二酸化塩素水溶液との反応性が高い観点から、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸などの塩素化イソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウムなどの塩素化イソシアヌル酸塩などが好適に挙げられる。水素塩とは、多価の酸のH+を陽イオンで置換した塩のうち、なおH+を残しているものをいう。本実施形態において活性剤として用いられる水素塩は、特に限定されず、たとえば、硫酸水素ナトリウム(NaHSO4)、硫酸水素カリウム(KHSO4)、リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)、リン酸水素二カリウム(K2HPO4)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)などが挙げられる。本実施形態において活性剤として用いられる水素塩は、二酸化塩素ガスの発生を高める観点から強酸の水素塩が好ましく、たとえば、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムおよびリン酸水素二カリウムからなる群から選ばれるいずれかが好ましい。
本実施形態において用いられるガス発生調節剤とは、上記の安定化二酸化塩素水溶液と上記の活性化剤とを反応させて生成した二酸化塩素ガスをゲル状組成物から持続的に発生させるための調節剤をいう。すなわち、ガス発生調節剤とは、二酸化塩素ガスの生成量が大量のときはその二酸化塩素ガスの少なくとも一部を表面および/または内部に保持し、二酸化塩素ガスの生成量が減少または無くなったときは保持していた二酸化塩素ガスを放出することにより、二酸化塩素ガスをゲル状組成物から持続的に発生させる機能を有するものをいう。
本実施形態において用いられる吸水性樹脂は、水分を吸収してゲル状組成物を形成するものであれば特に制限はないが、デンプン系吸水性樹脂、セルロース系吸水性樹脂、合成ポリマー系吸水性樹脂などが好ましく用いられる。デンプン系吸水性樹脂としてはデンプン/ポリアクリル酸系樹脂(三洋化成社製、粉末)などがあり、合成ポリマー系吸水性樹脂としては架橋ポリアクリル酸系樹脂、イソブチレン/マレイン酸系樹脂、ポパール/ポリアクリル酸塩系樹脂、ポリアクリル酸塩系樹脂などがあり、具体的にはポリアクリル酸ナトリウムなどが用いられる。なお、本発明においては、ゲル化の際に特に吸水性樹脂を使用せず粉状のガス発生調節剤のみを使用してもよい。
本実施形態において用いられるガス共存剤は、亜塩素酸塩水溶液または安定化二酸化塩素水溶液と、活性化剤との反応により発生した二酸化塩素ガスとともにゲル組成物から放出される化学物質であって、<1>二酸化塩素ガスの発生を促進し、<2>発生した二酸化塩素ガスをその刺激臭を抑制して放出し、<3>放出された二酸化塩素ガスを環境浄化、室内の消臭および殺菌のみならず、ハウスダスト、花粉、ダニの死骸および微細な黴の粒子などアレルギー性物質の除去、ならびにダニおよびゴキブリなどの害虫の排除にも適用可能とする。
ガス共存剤による二酸化塩素ガスの発生促進のメカニズムは、必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。たとえば、複数の水酸基を有する脂肪族化合物および尿素などのガス共存剤は、発生した二酸化塩素ガスにより、その水酸(−OH)基、アミノ(−NH2)基およびカルボニル(−CO−)基の少なくとも一部が酸化されて、有機酸が形成される。こうして形成された有機酸が、亜塩素酸塩水溶液または安定化二酸化塩素水溶液とさらに反応して二酸化塩素ガスをさらに発生させるものと考えられる。
ガス共存剤による二酸化塩素ガスの刺激臭抑制のメカニズムは、必ずしも明確でないが、以下のように考えられる。たとえば、複数の水酸基を有する脂肪族化合物および尿素などのガス共存剤は、亜塩素酸塩水溶液または安定化二酸化塩素水溶液に溶解する。このため、亜塩素酸塩水溶液または安定化二酸化塩素水溶液と反応して水分を含んだ二酸化塩素ガスが発生するとき、その水分中に含まれるガス共存剤は、二酸化塩素ガスの表面の少なくとも一部に付着した状態で、二酸化塩素ガスとともにゲル状組成物から放出される。すなわち、ゲル状組成物から放出される二酸化塩素ガスはその表面の少なくとも一部がガス共存剤により被覆(より好ましくは、二酸化塩素ガスはその表面全体がガス共存剤により包接)されているため、二酸化塩素ガスの刺激臭が抑制されるものと考えられる。
ガス共存剤によるアレルギー性物質の除去および害虫の排除のメカニズムは、必ずしも明確ではないが、上記のように、ゲル状組成物から放出される二酸化塩素ガスはその表面の少なくとも一部がガス共存剤により被覆(より好ましくは、二酸化塩素ガスはその表面全体がガス共存剤により包接)されている。このため、かかるガス共存剤がさらにハウスダスト、花粉、ダニの死骸および微細な黴の粒子などのアレルギー性物質またはダニおよびゴキブリなどの害虫の少なくとも一部に付着する(より好ましくは、ガス共存剤がアレルギー性物質または害虫を包接する)ことにより、二酸化塩素ガスの酸化力がアレルギー性物質または害虫に作用して、アレルギー性物質のアレルギー性を除去しまたは害虫を攪乱または忌避させるものと考えられる。
ClO2 + e- → Cl- + 2O (1)
により生成する活性酸素(O)により大きな消臭作用、大きな殺菌作用、アレルギー性物質の大きな除去作用、および害虫の大きな排除作用を発揮するものと考えている。
本発明にかかる二酸化塩素ガスの発生放出方法の他の実施形態は、固形物として、固形亜塩素酸塩と、活性化剤と、ガス発生調節剤および吸水性樹脂の少なくともいずれかとを準備し、使用の際に上記固形物に水とガス共存剤とを添加して、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させ、二酸化塩素ガスとともにガス共存剤を放出させることを特徴とする。
(例I−1)
直径57.0mm、高さ60mm、開口部直径33mmで内容量が150mlのPET(ポリエチレンテレフタレート)製円筒型容器の内部に、水酸基濃度が0.074mol/lになるようにNaOHが添加された11質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液(NaClO2水溶液)76gを入れ、さらにガス共存剤としてグリセリン(一方社油脂工業社製精製グリセリン(固型分98.5%以上))3.8gを添加して、容器に蓋をした後、容器を左右に振って、亜塩素酸ナトリウム水溶液にグリセリンを溶解させた。次に、容器の蓋を外して、ガス発生調節剤としてのセピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)2.6g、吸水性樹脂としてのポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)7.8g、および活性化剤としての結晶クエン酸(扶桑化学工業社製精製クエン酸(結晶))3.6gの混合物を亜塩素酸ナトリウム水溶液に添加した。かかる混合物の添加から5分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。この容器を雰囲気温度が9.0℃〜25.0℃の室内に静置して、この容器の開口部上で北川式検知管を用いて、この容器の開口部における二酸化塩素(ClO2)ガス濃度を経時的に測定することにより、上記ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を評価した。結果を表1にまとめた。ここで、経過した時間(経時)とは、上記亜塩素酸ナトリウム水溶液への上記混合物の添加からの時間をいうものとする。なお、容器の開口部にろ紙(No.2、これはJIS P 3801−1995に規定する定性分析用「2種」に相当する)を配置し、そのろ紙に付着した物質について、マススペクトル分析およびC(炭素)、H(水素)、O(酸素)の元素分析を行なった。この付着物質は、グリセリンであった。このことから、グリセリンが二酸化塩素ガスに付着して共存していることが確認された。
ガス共存剤としてグリセリンを7.6g添加したこと以外は、例I−1と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−1と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−1と同様にして、評価した。結果を表2にまとめた。
ガス共存剤としてグリセリンを15.2g添加したこと以外は、例I−1と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−1と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−1と同様にして、評価した。結果を表3にまとめた。
ガス共存剤としてポリエチレングリコール(関東化学社製ポリエチレングリコール400(試薬品))を3.8g添加したこと以外は、例I−1と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−1と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−1と同様にして、評価した。結果を表4にまとめた。なお、容器の開口部に配置したろ紙(No.2)に付着した物質は、ポリエチレングリコール400であった。このことから、ポリエチレングリコールが二酸化塩素ガスに付着して共存していることが確認された。
ガス共存剤としてポリエチレングリコールを7.6g添加したこと以外は、例I−1と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−1と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−1と同様にして、評価した。結果を表5にまとめた。
ガス共存剤としてポリエチレングリコールを15.2g添加したこと以外は、例I−1と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−1と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−1と同様にして、評価した。結果を表6にまとめた。
亜塩素酸ナトリウム水溶液にガス共存剤を添加しなかったこと以外は、例I−1と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−1と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−1と同様にして、評価した。結果を表7にまとめた。
直径57.0mm、高さ60mm、開口部直径33mmで内容量が150mlのPET製円筒型容器の内部に、水酸基濃度が0.0324mol/lになるようにNaOHが添加された4質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液(NaClO2水溶液)80gを入れ、さらにガス共存剤としてグリセリン(一方社油脂工業社製精製グリセリン(固型分98.5%以上))1.6gを添加して、容器に蓋をした後、容器を左右に振って、亜塩素酸ナトリウム水溶液にグリセリンを溶解させた。次に、容器の蓋を外して、ガス発生調節剤としてのセピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)1.8g、吸水性樹脂としてのポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)5.6g、および活性化剤としての結晶クエン酸(扶桑化学工業社製精製クエン酸(結晶))2.6gの混合物を亜塩素酸ナトリウム水溶液に添加した。かかる混合物の添加から5分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。この容器を雰囲気温度が9.0℃〜25.0℃の室内に静置して、この容器の開口部上で北川式検知管を用いて、この容器の開口部における二酸化塩素(ClO2)ガス濃度を経時的に測定することにより、上記ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を評価した。結果を表8にまとめた。ここで、経過した時間(経時)とは、上記亜塩素酸ナトリウム水溶液への上記混合物の添加からの時間をいうものとする。なお、容器の開口部に配置したろ紙(No.2)に付着した物質は、グリセリンであった。このことから、グリセリンが二酸化塩素ガスに付着して共存していることが確認された。
ガス共存剤としてグリセリンを4.0g添加したこと以外は、例I−7と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−7と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−7と同様にして、評価した。結果を表9にまとめた。
ガス共存剤としてグリセリンを8.0g添加したこと以外は、例I−7と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−7と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−7と同様にして、評価した。結果を表10にまとめた。
ガス共存剤としてポリエチレングリコール(関東化学社製ポリエチレングリコール400(試薬品))を4.0g添加したこと以外は、例I−7と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−7と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−7と同様にして、評価した。結果を表11にまとめた。なお、なお、容器の開口部に配置したろ紙(No.2)に付着した物質は、ポリエチレングリコール400であった。このことから、ポリエチレングリコールが二酸化塩素ガスに付着して共存していることが確認された。
ガス共存剤としてポリエチレングリコールを8.0g添加したこと以外は、例I−7と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−7と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−7と同様にして、評価した。結果を表12にまとめた。
亜塩素酸ナトリウム水溶液にガス共存剤を添加しなかったこと以外は、例I−7と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−7と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−7と同様にして、評価した。結果を表13にまとめた。
直径57.0mm、高さ60mm、開口部直径33mmで内容量が150mlのPET製円筒型容器の内部に、水酸基濃度が0.674mol/lになるようにNaOHが添加された11質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液(NaClO2水溶液)76gを入れ、さらにガス共存剤としてグリセリン(一方社油脂工業社製精製グリセリン(固型分98.5%以上))3.8gを添加して、容器に蓋をした後、容器を左右に振って、亜塩素酸ナトリウム水溶液にグリセリンを溶解させた。次に、容器の蓋を外して、ガス発生調節剤としてのセピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)15.0g、および活性化剤としての結晶クエン酸(扶桑化学工業社製精製クエン酸(結晶))3.6gの混合物を亜塩素酸ナトリウム水溶液に添加した。かかる混合物の添加により、流動性のゲル状組成物が形成された。この容器を雰囲気温度が9.0℃〜25.0℃の室内に静置して、この容器の開口部上で北川式検知管を用いて、この容器の開口部における二酸化塩素(ClO2)ガス濃度を経時的に測定することにより、上記ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を評価した。結果を表14にまとめた。なお、容器の開口部に配置したろ紙(No.2)に付着した物質は、グリセリンであった。このことから、グリセリンが二酸化塩素ガスに付着して共存していることが確認された。
直径57.0mm、高さ60mm、開口部直径33mmで内容量が150mlのPET製円筒型容器の内部に、水酸基濃度が0.074mol/lになるようにNaOHが添加された11質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液(NaClO2水溶液)76gを入れ、さらにガス共存剤としてグリセリン(一方社油脂工業社製精製グリセリン(固型分98.5%以上))3.8gを添加して、容器に蓋をした後、容器を左右に振って、亜塩素酸ナトリウム水溶液にグリセリンを溶解させた。次に、容器の蓋を外して、吸水性樹脂としてのポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)7.8g、および活性化剤としての結晶クエン酸(扶桑化学工業社製精製クエン酸(結晶))3.6gの混合物を亜塩素酸ナトリウム水溶液に添加した。かかる混合物の添加から5分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。この容器を雰囲気温度が9.0℃〜25.0℃の室内に静置して、この容器の開口部上で北川式検知管を用いて、この容器の開口部における二酸化塩素(ClO2)ガス濃度を経時的に測定することにより、上記ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を評価した。結果を表15にまとめた。なお、容器の開口部に配置したろ紙(No.2)に付着した物質は、グリセリンであった。このことから、グリセリンが二酸化塩素ガスに付着して共存していることが確認された。
亜塩素酸ナトリウム水溶液にガス共存剤を添加しなかったこと以外は、例I−13と同様にして、ゲル状組成物を形成させた。ゲル化時間は例I−13と同じ5分間であった。ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生放出量を、例I−13と同様にして、評価した。結果を表16にまとめた。
上記実施例Iの例I−1〜例I−13および例I−R1〜例I−R4でそれぞれ得られたゲル状組成物2gをそれぞれ長さ10cm×幅6cmで厚さが0.25mmのシール付PE(ポリエチレン)袋に収納した。これらの袋を1日間冷暗所(雰囲気温度10℃〜16℃)で保存した後、5名のパネラー(A、B、C、DおよびE。ここで、A、BおよびCは女性、DおよびEは男性。)のそれぞれがそれらの袋内の臭いを嗅いだときの刺激臭の有無を評価した。本官能試験においては、例II−1〜例評価基準は、涙と鼻水が出る程度の大きな刺激臭があるものを5、涙と鼻水が出る程度には至らないが刺激臭があるものを4、目、鼻、喉を刺激する程度の小さな刺激臭があるものを3、二酸化塩素ガスとわかる程度の臭いがあるものを2、目、鼻、喉を刺激しない程度の僅かな臭いがあるものを1、臭いがないものを0とした。結果を表17〜表18にまとめた。
例I−R1と同様にして得られたガス共存剤が添加されていないゲル状組成物が入った開口部を有する容器を、上記5名のパネラーの台所、洗面所および風呂場(いずれも雰囲気温度20℃〜30℃)のいずれかに90日間配置した(例III−R1)。同時に、例I−1と同様にして得られたガス共存剤が添加されているゲル状組成物が入った開口部を有する容器を、5名のパネラーの台所、洗面所および風呂場のいずれかであって例III−R1が配置されていない場所に上記90日間配置した(例III−1)。5名のすべてのパネラーは、ガス共存剤が添加されていないゲル状組成物が配置された場所にはゴキブリが現れたのに対し、ガス共存剤が添加されているゲル状組成物が配置された場所にはゴキブリが現れないことを確認した。
例I−1と同様にして得られたガス共存剤が添加されているゲル状組成物が入った開口部を有する容器を、上記5名のパネラーの寝室(雰囲気温度20℃〜30℃)に上記90日間配置した(例IV−1)。5名のすべてのパネラーは、ガス共存剤が添加されているゲル状組成物が配置された寝室では、ペットの犬または猫によるダニおよびその死骸、ハウスダスト、ならびに花粉などのアレルギー性物質に由来するアレルギー症状が解消されることを確認した。
Claims (3)
- 亜塩素酸塩水溶液または安定化二酸化塩素水溶液に、活性化剤と、ガス発生調節剤および吸水性樹脂の少なくともいずれかと、ガス共存剤とを添加して、ゲル化して得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させ、前記二酸化塩素ガスとともにガス共存剤を放出させることを特徴とし、
前記ゲル状組成物は、前記亜塩素酸塩水溶液が100%固形換算で1.0質量部〜15.0質量部または前記安定化二酸化塩素水溶液が二酸化塩素換算で1.0質量部〜15.0質量部、前記ガス共存剤が1.0質量部〜25.0質量部、前記活性化剤が100%固形換算で0.5質量部〜20.0質量部、前記ガス発生調節剤および前記吸水性樹脂の少なくともいずれかが5.0質量部〜35.0質量部、水が60質量部〜90.5質量部であり、
前記ガス共存剤は、グリセリンおよび複数のエチレンオキシ単位を有するポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくともいずれかである二酸化塩素ガスの発生放出方法。 - 前記亜塩素酸塩水溶液または前記安定化二酸化塩素水溶液は、0.01mol/l以上の水酸基イオン濃度を有する請求項1に記載の二酸化塩素ガスの発生放出方法。
- 固形物として、固形亜塩素塩と、活性化剤と、ガス発生調節剤および吸水性樹脂の少なくともいずれかとを準備し、使用の際に前記固形物に水とガス共存剤とを添加して、ゲル化して得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させ、前記二酸化塩素ガスとともにガス共存剤を放出させることを特徴とし、
前記ゲル状組成物は、前記固形亜塩素酸塩が100%固形換算で1.0質量部〜15.0質量部、前記活性化剤が100%固形換算で0.5質量部〜20.0質量部、前記ガス発生調節剤および前記吸水性樹脂の少なくともいずれかが5.0質量部〜35.0質量部、前記水が60質量部〜90.5質量部、前記ガス共存剤が1.0質量部〜25.0質量部であり、
前記ガス共存剤は、グリセリンおよび複数のエチレンオキシ単位を有するポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくともいずれかである二酸化塩素ガスの発生放出方法。
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