JP5789163B2 - 透明導電性シート - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電性シートに関する。
従来、透明導電性シートは、基材上にスズ含有酸化インジウムなどからなる透明導電性薄膜をスパッタリング、蒸着などのいわゆるドライプロセスで作製し、製造されている。このようなドライプロセスは、真空条件で行われるため、製造装置が高価となり、また生産効率が低い。そのため、このようなドライプロセスに代わる方法として透明導電性粒子を含む分散液を塗布して透明導電膜を形成するウェットプロセスの検討が進められている。
ウェットプロセスでは、ドライプロセスで使用されてきたスズ含有酸化インジウムの他、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ、酸化亜鉛、ガドリウム含有酸化スズ、フッ素含有酸化スズなどを粒子化して用い、このような透明導電性粒子の分散液を基板上に塗布して透明導電膜を形成したものが実用化されている。
透明導電性粒子のうち、酸化インジウムにスズを含有させたスズ含有酸化インジウム(ITO)粒子は、可視光に対する高い透光性と、高い導電性から、静電防止や電磁波遮蔽が要求されるCRT画面、LCD画面などに用いる静電防止フィルムや電磁波遮蔽フィルムに好適な材料として用いられてきた。
このようなウエットプロセスで形成した透明導電性シートは、タッチパネルあるいはパネル型地上波デジタルアンテナ、液晶表示素子、調光フィルム、エレクトロクロミック素子、電子ペーパーなどへの利用が検討されている。特に、液晶表示素子、調光フィルム、エレクトロクロミック素子などの電極に透明導電性シートを利用した場合、塗布膜はスパッタリング膜に比較して耐屈曲性に優れるため、湾曲部への適用が可能となり、製品展開が広がるものと期待されている。
ところで、ウエットプロセスにより低抵抗で光学特性に優れた透明導電性シートを作製する方法は、例えば特許文献1、特許文献2などに示されている。特許文献1では、ITO粒子を樹脂と共に溶剤中に分散させたペーストを樹脂フィルム上に塗布し、乾燥し、スチールロールにより圧縮処理を行い、透明導電膜を作製する方法が提案されている。この場合、ペーストの固形成分中にITO粒子は体積含有率で60〜80%含めて圧縮処理を行うことで、ITO粒子が相互に接近して抵抗低減を行い、また、ITO粒子間の空隙を樹脂で埋め尽くすことによりボイドによる光散乱を防止して光学特性向上を行っている。
また、特許文献2では、導電性粒子の体積を100とした時、その導電性粒子と体積で20未満の樹脂とを含む分散液を、支持体上に塗布し、乾燥し、圧縮処理して導電性粒子の圧縮層とし、得られた導電性粒子の圧縮層に透明物質を含浸して透明導電膜を作製することが提案されている。この場合、導電性粒子の体積を100とした時、樹脂の体積を20以上とすると導電性粒子同士の接触を阻害し、導電性が十分に確保できないことになるとしている。さらに、導電性粒子の圧縮層は多孔質のため、光散乱を生じることがあり、そこに樹脂を含浸することで、抵抗が低く、光散乱の少ない透明導電性シートを得ている。
特許第2994764号公報 特開2001−332134号公報
以上のように、導電性粒子を用いて抵抗が低く、光散乱が少ない光学特性良好な透明導電性シートを得るには、塗布、乾燥後に塗膜を圧縮処理することが必要と考えられてきた。しかしながら、圧縮処理は、処理ロールなどの装置の一部に導電性塗膜の一部が付着するなどして圧縮装置を汚損し、透明導電性シートに凹み、付着物など欠陥を生じることが懸念される。
また、圧縮処理して得られた透明導電性シートを液晶表示素子、調光フィルムなどの電極として用いることを検討したところ、色調、コントラストなどにムラを生じることが分かった。このため、本発明は、調光フィルムなどの電極に用いた場合にも、色調及びコントラストのムラがなく、またそれらの変化が抑制された透明導電性シートを提供するものである。
本発明の透明導電性シートは、透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜の上に形成された有機物膜とを含む透明導電性シートであって、前記透明導電膜は、導電性粒子とバインダ樹脂とを含み、前記透明導電膜は、前記導電性粒子を83〜88重量%含み、前記透明導電膜の厚さが、0.5〜2.0μmであり、前記有機物膜は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、熱硬化性樹脂及び放射線硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いて形成され、前記有機物膜の厚さが、50〜100nmであり、前記透明導電性シートの抵抗率が、0.2〜1.0Ω・cmであることを特徴とする。
本発明によれば、導電性及び光学特性に優れ、かつ調光フィルムなどの電極に用いた場合、色調及びコントラストの変化が小さい透明導電性シートを提供できる。
図1は、本発明の透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。
本発明の透明導電性シートは、透明基材と、上記透明基材の上に形成された透明導電膜と、上記透明導電膜の上に形成された有機物膜とを備えている。また、上記透明導電膜は、導電性粒子とバインダ樹脂とを含み、上記透明導電膜は、上記導電性粒子を83〜88重量%含み、上記透明導電膜の厚さは、0.5〜2.0μmであり、上記有機物膜の厚さは、50〜100nmである。さらに、上記透明導電性シートの抵抗率は、0.2〜1.0Ω・cmである。また、光学特性においてヘイズは、1.5%以下と良好である。
上記透明導電膜の導電性粒子の含有率を83〜88重量%とし、上記透明導電膜の厚さを0.5〜2.0μmとすることで、導電性及び光学特性に優れた透明導電性シートを提供できる。より具体的には、上記透明導電性シートの抵抗率を0.2〜1.0Ω・cmとすることができる。また、上記有機物膜の厚さを50〜100nmとすることで、調光フィルムなどの電極に用いた場合、色調及びコントラストの変化が小さい透明導電性シートを提供できる。
ところで、従来の透明導電性シートを調光フィルムなどに組み込んで試験したところ、色調あるいはコントラストのムラが生じることが分かった。従来の透明導電性シートは圧縮処理を行っており、この圧縮処理により導電性粒子を接触させて抵抗低減し、塗膜の導電性の向上を行っている。調光フィルムなどに生じる色調およびコントラストのムラは、このような圧縮処理時の欠陥に起因するものと我々は推定している。即ち、圧縮処理時の欠陥部は他の部分に比較し導電性が異なるので、色調あるいはコントラストのムラを生じると推定した。このようなムラをなくすため、圧縮処理を行わずに作製した塗膜を用いて検討を進めた。圧縮処理を行わない塗膜を有する透明導電性シートを調光フィルムなどに組み込んで試験したところ、色調あるいはコントラストにムラは生じないが、コントラストが経時変化することが分かった。これは、調光層などの特性劣化によるものであり、さらに透明導電膜中のイオン成分が影響していることを見出した。即ち、透明導電膜中のイオン成分が調光層などに移行し、このため、色調、コントラストが変化することが分かった。これに対し、イオンバリア膜となる有機物膜を透明導電膜上に設け対処することとした。具体的には、所定の塗膜組成で作製した光学特性が良好で低抵抗の透明導電膜上にイオンバリア膜を設けることにより色調、コントラストの変化は抑制されると考え、本発明に至った。
また、透明電極として使用するに際し、イオンバリア層となる有機物膜の厚さは50〜100nmが適していた。50nm未満の場合、イオンバリア性に劣るためか、色調及びコントラストの変化が抑制されなかった。また、100nmを超える場合、有機物膜が厚いためか、表面の電気抵抗が高くなり、電極としての機能が十分でなかった。
次に、本発明を図面に基づき説明する。
先ず、本発明の透明導電性シートについて説明する。図1は、本発明の透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。図1において、本発明の透明導電性シート10は、透明基材11と、透明基材11の上に形成された透明導電膜12と、透明導電膜12の上に形成された有機物膜13とを備えている。
(透明導電膜)
透明導電膜12は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む。透明導電膜12の厚さが大きすぎると光学特性が低下し、厚さが小さすぎると導電性が低下するので、透明導電膜12の厚さは、0.5〜2.0μmとする。
透明導電膜12のガラス転移温度は、45〜110℃であることが好ましい。透明導電膜12のガラス転移温度は、透明基材11から透明導電膜12を物理的・化学的に剥離させることにより、測定試料を作製し、示差走査熱量測定(DSC)により直接測定することができる。透明導電膜12を透明基材11から物理的・化学的に剥離する方法は特に限定されないが、物理的剥離方法としては、例えば、透明基材11の上の透明導電膜12を摩擦等により擦り取る方法あり、また、化学的剥離方法としては、例えば、透明導電膜12を有機溶剤等により膨潤させて剥離した後、乾燥させて有機溶媒等を除去する方法がある。なお、透明導電膜のガラス転移温度は、後述するバインダ樹脂のガラス転移温度とほぼ同じ値になる。
<導電性粒子>
上記導電性粒子としては、透明性と導電性を兼ね備えた粒子であれば特に限定されず、例えば、導電性金属酸化物粒子、導電性窒化物粒子などを用いることができる。上記導電性金属酸化物粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウムなどの金属酸化物粒子が挙げられる。また、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化カドミウムからなる群から選ばれる1種類以上の金属酸化物を主成分として、さらにスズ、アンチモン、アルミニウム、ガリウムがドープされた導電性金属酸化物粒子、例えば、アンチモン含有酸化スズ(ATO)粒子、スズ含有酸化インジウム(ITO)粒子、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)粒子、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)粒子、ITOをアルミニウム置換した導電性金属酸化物粒子なども使用できる。中でも、透明性、導電性及び化学特性に優れている点から、ITO粒子が特に好ましい。また、導電性の観点から、上記ITO粒子において、ITO全体に対してスズの添加量は酸化スズ換算で1〜20重量%が好ましい。ITOへのスズの添加により導電性が改善されるが、スズの添加量が1重量%より少ない場合は導電性の改善が乏しい傾向があり、20重量%を超えても導電性向上の効果は少ない傾向がある。
上記透明導電性粒子は、平均一次粒子径が10〜200nmの範囲にあることが好ましい。10nmより大きい場合、分散処理が容易になり粒子同士の凝集を抑制でき、曇りを抑制でき、光学特性が向上する傾向がある。また、200nm以下の場合、粒子による可視光線の散乱が抑制され、曇りが小さくなる傾向がある。ここで、平均一次粒子径は、例えば、作製した塗膜の表面又は断面において、個々の粒子の粒子径を電子顕微鏡により観察・測定した後、少なくとも100個の粒子の粒子径を平均した平均粒子径をいう。
上記透明導電膜12は、このような透明導電性粒子をバインダ樹脂及び溶剤と共に分散処理して分散溶液とし、その分散溶液を透明基材11上に塗布し、乾燥して作製したものである。
<バインダ樹脂>
上記バインダ樹脂としては、バインダとして従来公知のアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、熱硬化性樹脂の少なくとも一種を含めることが好ましい。また、バインダ樹脂には重量平均分子量が10万以下のものを用いることが好ましい。分子量が10万以下のものを用いると光学特性が良好となる。さらに、バインダ樹脂にはアニオン系官能基を含む樹脂を含めることが好ましい。このようなアニオン系官能基を含む樹脂を添加すると、いわゆる分散性が向上するためか、光学特性が向上する。アニオン系官能基を含む樹脂としては、例えば、カルボン酸含有アクリル系樹脂、酸含有ポリエステル系樹脂、酸及び塩基含有ポリエステル系樹脂が好ましい。具体的には、三菱レイヨン社製の“ダイヤナールMR−2539”、“MB−2389”、“MB−2660”、“MB−3015”、“BR−60”、“BR−64”、“BR−77”、“BR−84”、“BR−83”、“BR−106”、“BR−113”(商品名)など、アビシア社製の“ソルスパーズ3000”、“ソルスパーズ21000”、“ソルスパーズ26000”、“ソルスパーズ32000”、“ソルスパーズ36000”、“ソルスパーズ41000”、“ソルスパーズ43000”、“ソルスパーズ44000”、“ソルスパーズ45000”、“ソルスパーズ56000”(商品名)などが挙げられる。アニオン系官能基を含む樹脂を添加する場合、その添加量は導電性粒子に対し0.1重量%以上が好ましい。上記添加量が0.1重量%以上であれば、分散効果が得られやすいからである。
また、上記バインダ樹脂のガラス転移温度(Tg)は、45〜110℃であることが好ましい。これにより、前述のとおり、透明導電膜のガラス転移温度も45〜110℃にすることができる。バインダ樹脂のガラス転移温度が低くすぎると、電気抵抗値が高くなる傾向にあり、ガラス転移温度が高すぎると、透明導電膜の柔軟性が低下する傾向にある。バインダ樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)などにより測定することが好ましい。また、バインダ樹脂を複数含み、複数の樹脂のそれぞれのガラス転移温度が分かっている場合には、例えば、Foxの式[1/Tg=Σ(Wi/Tgi)、Wi:樹脂成分iの重量分率、Tgi:樹脂成分iのガラス転移温度(K)]によりバインダ樹脂全体のガラス転移温度を算出することがきできる。
また、バインダ樹脂として熱硬化性樹脂を用いてもよく、例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合は、硬化温度を透明基材11のガラス転移温度以下に設定することが必要である。透明基材11にポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムなどのポリエステル系樹脂フィルムを用いる場合、上記硬化温度を80℃以下に設定することが好ましい。硬化温度が透明基材11のガラス転移温度を超えると、透明基材11が変形することがある。
(透明基材)
透明基材11は、透光性を有する材料で形成されていれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリオレフィン類、セルローストリアセテートなどのセルロース系樹脂、ナイロン、アラミドなどのアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホンエーテルなどのポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、シクロオレフィンポリマー類などの材料からなる、フィルム又はシートを用いることができる。また、ガラス、セラミックスなどを用いてもよい。透明基材11の厚さは、その強度維持のため通常3〜1000μmが好ましく、25〜200μmがより好ましい。
透明基材11には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤などの添加剤が添加されてもよい。さらに、その上に設けられる透明導電膜12との密着性を向上させるために、透明基材11の表面に易接着剤層(例えば、プライマー層)を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行ってもよい。
(有機物膜)
有機物膜13は、従来公知のアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂の少なくとも一種を用いて形成することが好ましい。これらのうち、放射線硬化性樹脂を用いることが特に好ましい。放射線硬化性樹脂を用いた場合、硬化処理に用いる放射線には、電子線、ベータ線、紫外線などが用いられるが、特に、装置の簡便性から紫外線を用いることが好ましい。紫外線を硬化処理に用いる場合、放射線硬化性樹脂には紫外線重合開始剤を混合することが好ましい。上記放射線硬化性樹脂には、例えば、アクリルモノマー、メタクリルモノマー、アクリルオリゴマー、メタクリルオリゴマー、ウレタンアクリレート、フッ素系アクリレート、シリコン系アクリレート、エポキシアクリレートなどを用いてもよい。
次に、本発明の透明導電性シートの製造方法について説明する。本発明の透明導電性シートの製造方法は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、溶剤とを含む分散溶液を透明基材11の上に塗布して塗膜を形成する第1塗布工程と、上記第1塗布工程後の上記塗膜を乾燥する第1乾燥工程と、上記第1乾燥工程後の上記塗膜をさらに乾燥して、透明基材11の上に透明導電膜12を形成する第2乾燥工程と、上記第2乾燥工程後の透明導電膜12の上に、樹脂溶液を塗布する第2塗布工程と、上記樹脂溶液を塗布した透明導電膜12を乾燥して、透明導電膜12の上に厚さ50〜100nmの有機物膜13を形成する樹脂乾燥工程とを含んでいる。
(第1塗布工程、第1乾燥工程及び第2乾燥工程)
<導電性粒子とバインダ樹脂と溶剤とを含む分散溶液>
上記分散溶液において、溶剤を除く固形分の全重量に対する透明導電性粒子の重量含有率は、83〜88重量%とする。上記重量含有率が88重量%以下の場合、乾燥時のバインダ樹脂の収縮による導電性粒子の密着が図られるためか、電気抵抗の低い塗膜が得られる。また、上記重量含有率が83重量%以上の場合、導電性粒子の接触が良好に保たれるためか、電気抵抗の低い塗膜が得られる。本発明において重量含有率は、溶剤を除く分散溶液の固形分の全重量に対する各成分の重量の比率を意味し、透明導電膜12に含まれる導電性粒子の重量含有率と一致する。
上記分散溶液を作製するには、従来の分散方法を用いることができる。従来の分散方法としては、例えば、サンドグラインドミルなどのビーズミル、超音波分散機、3本ロールミルなどを用いた分散方法が挙げられるが、生産性の観点からビーズミルが好適である。
分散溶液の溶剤には、従来公知の炭化水素類、芳香族類、ケトン類、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、エーテル類などの溶剤が使用できる。具体的には、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、キシレン、シクロヘキサノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどを用いることができる。
上記分散溶液における上記溶剤の配合量は特に限定されず、分散溶液の塗布液としての粘度を維持できるように溶剤の配合量を調整すればよい。さらに、上記分散溶液には、他の成分を含んでいてもよい。
<第1塗布工程>
分散溶液を透明基材11上に塗布して塗膜を形成する方法は特に限定されず、従来の塗布方法を用いることができる。従来の塗布方法としては、例えば、グラビアロール法、マイクログラビアロール法、マイクログラビアコータ法、スリットダイコート法、スプレイ法、スピン法、ナイフ法、キス法、スクイズ法、リバースロール法、ディップ法、バーコート法などが挙げられる。
<第1乾燥工程及び第2乾燥工程>
第1乾燥工程は、温度20〜50℃の条件で行い、その後の第2乾燥工程は、温度90℃以上の環境に1分間以上さらすことにより行う。以上の条件から外れて乾燥処理した場合、電気抵抗が高かったり、光学特性が劣ったりする場合がある。第2乾燥工程後、塗膜の残存溶剤は、厚さ1μmあたり1mg/m2以下が好ましい。残存溶剤が1mg/m2を超えると、透明導電膜12の電気抵抗が高くなることがある。
(第2塗布工程及び樹脂乾燥工程)
<有機物膜の形成に用いる樹脂溶液>
上記樹脂溶液に用いる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などの少なくとも一種の樹脂を用いてもよい。また、未硬化の放射線硬化性のモノマー、オリゴマーあるいは樹脂の少なくとも一種を用い、放射線照射により硬化処理して有機物膜13を形成してもよい。
有機物膜13の作製に用いる樹脂溶液の作製は、例えば、樹脂を適切な溶剤に溶解させることにより行うことができる。上記溶剤には、例えば、水;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;あるいは二硫化炭素、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどが挙げられる。これらの溶剤は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。透明導電膜12に使用するバインダ樹脂にアクリル系樹脂、放射線硬化性樹脂を用いる場合、光学特性の点で、上記樹脂溶液の溶剤としてはアルコール類を用いることが好ましい。
上記樹脂溶液における樹脂の配合量は特に制限されないが、例えば、塗布が容易な粘度となることから、溶媒100重量部に対して、樹脂材料が、例えば0.2〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。溶媒100重量部に対して樹脂材料が0.2重量部以上であると、塗布に適した粘度が得られるので好ましく、また、30重量部以下であると、滑らかな塗布面を形成できる粘度が得られるので好ましい。
透明導電膜12の上に有機物膜13を形成するために樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、ダイコート法、ブレードコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法、押出法などが挙げられる。
<樹脂乾燥工程>
このようにして得られた塗膜は、室温〜100℃の範囲で乾燥させて、有機物膜13を得ることができる。以上のようにして、図1に示す本発明の透明導電性シートの一例を製造することができる。有機物膜13の厚さは、50〜100nmとする。このような厚さサブミクロンの塗膜を均一に形成するには、乾燥を緩慢に行うことが好ましく、温度100℃以下の条件で乾燥することが好ましい。このような条件を外れて乾燥した場合、有機物膜13の均一性が劣り、イオンバリア性が劣るためか、調光フィルムなどに用いた場合、色調、コントラストに変化を生じることがある。
有機物膜13の樹脂材料に放射線硬化性樹脂を用いた場合、乾燥処理後、硬化処理を行うことが好ましい。硬化処理には、紫外線、電子線、β線などを用いることができる。簡便に利用されるものとして、紫外線が挙げられる。紫外線の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線LEDランプなどが使用できる。紫外線を用いる場合、紫外線重合開始剤を樹脂溶液に添加してもよい。紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4−ジエチルチオキサントン、o−ヘンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェン、ベンジル、2−クロロチオキサントン、ジイソプロピルチオザンソン、9,10−アントラキノン、ベンソイン、ベンソインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトンなどが挙げられる。このような、紫外線重合開始剤は、放射線硬化性樹脂に対し、1〜20重量%の範囲で添加することが好ましい。この添加量が1重量%以上の場合、樹脂の硬化性が優れるためか、塗膜強度が優れるからである。また、この添加量が20重量%以下の場合、架橋が十分に発達できるためか、塗膜強度が向上する傾向にあるからである。紫外線の照射エネルギー量は、100〜2000mJ/cm2が好ましく、150〜1000mJ/cm2がより好ましい。また、上記放射線硬化処理は、酸素による硬化反応の阻害を抑制するため、窒素雰囲気で行うことが好ましい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特に指摘がない場合、下記において、「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
<分散溶液の調製>
先ず、以下の成分の混合物を、分散メディアとして直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、ダイノミル/シンマルエンタープライゼス社製のビーズミルを用いて分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%) 85.0部
(2)アニオン性官能基を含むバインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−113”、重量平均分子量30000、ガラス転移温度:75℃) 10.0部
(3)バインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−83”、重量平均分子量:40000、ガラス転移温度:105℃) 5.0部
(4)溶剤〔組成比:メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=10/55/35(重量比)〕 185部
次に、分散処理した上記混合物をフィルターを通してジルコニアビースを除去して分散溶液を得た。得られた分散溶液に含まれる固形分の全重量に対するITO粒子(導電性粒子)の重量含有率は85重量%である。また、Foxの式から求めたバインダ樹脂全体のガラス転移温度(Tg)は84℃であった。
<透明導電膜付き原反の作製>
次に、コータとドライヤとを組み合わせた塗布乾燥機により分散溶液を透明基材(東レ社製のポリエステルフィルム“ルミラー”、厚み:100μm、ヘイズ:0.2%)に塗布して塗膜を形成し、1回目の乾燥を行った。その後、同じ塗布乾燥機のドライヤを用いて2回目の乾燥を行い、透明基材上に厚さ1.0μmの透明導電膜を設けた原反を得た。表1に1回目及び2回目の乾燥温度を示す。
<樹脂溶液の調製>
以下の成分を混合して有機物膜形成用の樹脂溶液を調製した。
(1)放射線硬化性樹脂(ダイセルサイテック社製のトリメチロールプロパントリアクリレート“TMPTA”) 1.2部
(2)紫外線重合開始剤(BASFジャパン社製“イルガキュア907”) 0.06部
(3)溶剤(n−プロパノール) 100部
<透明導電性シートの作製>
上記原反の透明導電膜上に、乾燥膜の厚さが100nmとなるように上記樹脂溶液を原反の作製と同じ塗布乾燥機を用い、ドライヤの温度を40℃に設定し、搬送速度10m/分で塗布、乾燥し、窒素雰囲気で紫外線照射を行って有機物膜を形成して透明導電性シートを得た。紫外線の照射光量は250mJ/cm2とした。
作製した透明導電性シートの透明導電膜のガラス転移温度をDSCにより測定したところ、85℃であった。
(実施例2)
透明導電膜の厚さを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例3)
透明導電膜の厚さを2.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(比較例1)
透明導電膜の厚さを0.3μmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(比較例2)
透明導電膜の厚さを2.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例4)
<分散溶液の調製>
先ず、以下の成分の混合物を、実施例1と同様にして分散処理して分散溶液を得た。得られた分散溶液に含まれる固形分の全重量に対するITO粒子(導電性粒子)の重量含有率は85重量%である。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%) 85.0部
(2)アニオン性官能基を含むバインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−106”、重量平均分子量:60000、ガラス転移温度:50℃) 15.0部
(3)溶剤〔組成比:メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=10/75/15(重量比)〕 150部
<透明導電膜付き原反の作製>
上記で得られた分散溶液を用い、表1に示したように乾燥温度を設定し、透明導電膜の厚さを2.0μmとした以外は、実施例1と同様にして原反を作製した。
<樹脂溶液の調製>
以下の成分を混合して有機物膜形成用の樹脂溶液を調製した。
(1)放射線硬化性樹脂(ダイセルサイテック社製のシリコンアクリレート“EBECRYL350”) 1.2部
(2)紫外線重合開始剤(BASFジャパン社製“イルガキュア184”) 0.10部
(3)溶剤(n−プロパノール) 100部
<透明導電性シートの作製>
上記原反の透明導電膜上に、乾燥膜の厚さが55nmとなるように上記樹脂溶液を原反の作製と同じ塗布乾燥機を用い、ドライヤの温度を70℃に設定し、搬送速度10m/分で塗布、乾燥し、窒素雰囲気で紫外線照射を行って有機物膜を形成して透明導電性シートを得た。紫外線の照射光量は500mJ/cm2とした。
作製した透明導電性シートの透明導電膜のガラス転移温度をDSCにより測定したところ、50℃であった。
(比較例3)
有機物膜の厚さを120nmに変更した以外は、実施例4と同様にして透明導電性シートを作製した。
(比較例4)
有機物膜の厚さを40nmに変更した以外は、実施例4と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例5)
<分散溶液の調製>
先ず、以下の成分の混合物を、実施例1と同様にして分散処理して分散溶液を得た。得られた分散溶液に含まれる固形分の全重量に対するITO粒子(導電性粒子)の重量含有率は83重量%である。また、Foxの式から求めたバインダ樹脂の全体のガラス転移温度(Tg)は46℃であった。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%) 83.0部
(2)アニオン性官能基を含むバインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−113”、重量平均分子量:30000、ガラス転移温度:75℃) 5.0部
(3)バインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−117”、重量平均分子量:140000、ガラス転移温度:35℃) 12.0部
(4)溶剤〔組成比:メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=10/75/15(重量比)〕 150部
<透明導電膜付き原反の作製>
上記で得られた分散溶液を用い、表1に示したように乾燥温度を設定し、透明導電膜の厚さを1.8μmとした以外は、実施例1と同様にして原反を作製した。
<樹脂溶液の調製>
以下の成分を混合して有機物膜形成用の樹脂溶液を調製した。
(1)放射線硬化性樹脂(ダイセルサイテック社製のペンタエリスリトールトリアクリレート“PETRA”) 1.2部
(2)紫外線重合開始剤(BASFジャパン社製“イルガキュア819”) 0.012部
(3)溶剤(iso−ブタノール) 100部
<透明導電性シートの作製>
上記原反の透明導電膜上に、乾燥膜の厚さが80nmとなるように上記樹脂溶液を原反の作製と同じ塗布乾燥機を用い、ドライヤの温度を50℃に設定し、搬送速度10m/分で塗布、乾燥し、実施例1と同様にして窒素雰囲気で紫外線照射を行って有機物膜を形成して透明導電性シートを得た。
作製した透明導電性シートの透明導電膜のガラス転移温度をDSCにより測定したところ、46℃であった。
(実施例6)
<分散溶液の調製>
先ず、以下の成分の混合物を、実施例5と同様にして分散処理して分散溶液を得た。得られた分散溶液に含まれる固形分の全重量に対するITO粒子(導電性粒子)の重量含有率は88重量%である。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%) 88.0部
(2)アニオン性官能基を含むバインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−113”、重量平均分子量:30000、ガラス転移温度:75℃) 4.5部
(3)バインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−117”、重量平均分子量:140000、ガラス転移温度:35℃) 7.5部
(4)溶剤〔組成比:メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=10/75/15(重量比)〕 150部
<透明導電性シートの作製>
上記分散溶液を用いた以外は、実施例5と同様にして透明導電性シートを作製した。
作製した透明導電性シートの透明導電膜のガラス転移温度は、49℃であった。
(比較例5)
<分散溶液の調製>
先ず、以下の成分の混合物を、実施例5と同様にして分散処理して分散溶液を得た。得られた分散溶液に含まれる固形分の全重量に対するITO粒子(導電性粒子)の重量含有率は80重量%である。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%) 80.0部
(2)アニオン性官能基を含むバインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−113”、重量平均分子量:30000、ガラス転移温度:75℃) 5.0部
(3)バインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−117”、重量平均分子量:140000、ガラス転移温度:35℃) 15.0部
(4)溶剤〔組成比:メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=10/75/15(重量比)〕 150部
<透明導電性シートの作製>
上記分散溶液を用いた以外は、実施例5と同様にして透明導電性シートを作製した。
作製した透明導電性シートの透明導電膜のガラス転移温度は、45℃であった。
(比較例6)
<分散溶液の調製>
先ず、以下の成分の混合物を、実施例5と同様にして分散処理して分散溶液を得た。得られた分散溶液に含まれる固形分の全重量に対するITO粒子(導電性粒子)の重量含有率は90重量%である。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%) 90.0部
(2)アニオン性官能基を含むバインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−113”、重量平均分子量:30000、ガラス転移温度:75℃) 4.5部
(3)バインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−117”、重量平均分子量:140000、ガラス転移温度:35℃) 5.5部
(4)溶剤〔組成比:メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=10/75/15(重量比)〕 150部
<透明導電性シートの作製>
上記分散溶液を用いた以外は、実施例5と同様にして透明導電性シートを作製した。
作製した透明導電性シートの透明導電膜のガラス転移温度は、52℃であった。
表1に、実施例1〜6及び比較例1〜6の透明導電膜の乾燥温度、透明導電膜のTg、透明導電膜の構成及び有機物膜の乾燥温度と厚さを示す。
Figure 0005789163
次に、実施例1〜6及び比較例1〜6の透明導電性シートについてい、下記のとおり、抵抗率、光学特性及びイオン抽出量を評価した。その結果を表2に示す。
(抵抗率)
先ず、ダイアインスツルメンツ社製の抵抗率計“ロレスタEP(MCP−360T型)”とLSPプローブを用いて透明導電性シートの表面抵抗を測定した。評価試料は、透明導電性シートから75mm×75mmのサンプルを切り出し使用した。次に、測定した表面抵抗に透明導電膜の厚さを乗じて抵抗率を算出した。
(光学特性)
曇り(ヘイズ)を日本分光社製の分光光度計“V-570”を用いて測定して光学特性を評価した。具体的には、積分球“ILN−472”を組み合わせ、ヘイズ値計算モードで、レスポンスがFast、バンド幅が2.0nm、近赤外が8.0nm、走査速度が400nm/分の条件で波長範囲380〜780nmのスペクトルを測定した。ヘイズの計算は、C光源、視野2度の条件で行った。評価試料は、透明導電性シートから30mm×50mmのサンプルを切り出し使用した。
(イオン抽出量)
容量50mLのポリプロピレン製の広口容器(アイボーイ)に1.5cm角の透明導電性シートと超純水6mLとを入れて16時間保存した。そして、保存後、水を分取し、抽出水の伝導率を堀場社製のコンパクト電気伝導率計“B173型”により測定した。用いた超純水の伝導率は0μS/cmであった。抽出水の伝導率が高いほどイオン抽出量が多いことを意味する。
Figure 0005789163
表2から、本発明の実施例1〜6は、比較例1〜6に比べて、抵抗率、光学特性及びイオン抽出量において高い評価を得たことが分かる。
一方、比較例1では透明導電膜の厚さが薄いため、抵抗率が高くなり、比較例2では透明導電膜の厚さが厚いため、イオン抽出量が多くなった。また、比較例3では、有機物膜の厚さが厚いため、抵抗率が高くなり、比較例4では、有機物膜の厚さが薄いため、イオン抽出量が多くなった。さらに、比較例5では、透明導電膜の導電性粒子の含有量が少ないため、抵抗率が高くなり、比較例6では、透明導電膜の導電性粒子の含有量が多いため、抵抗率が高く、光学特性が低く、イオン抽出量が多くなった。
本発明は、導電性及び光学特性に優れ、かつ調光フィルムなどの電極に用いた場合、色調及びコントラストの変化が小さい透明導電性シートを提供でき、調光フィルムなどへの応用が期待できる。
10 透明導電性シート
11 透明基材
12 透明導電膜
13 有機物膜

Claims (4)

  1. 透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜の上に形成された有機物膜とを含む透明導電性シートであって、
    前記透明導電膜は、導電性粒子とバインダ樹脂とを含み、
    前記透明導電膜は、前記導電性粒子を83〜88重量%含み、
    前記透明導電膜の厚さが、0.5〜2.0μmであり、
    前記有機物膜は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、熱硬化性樹脂及び放射線硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いて形成され、
    前記有機物膜の厚さが、50〜100nmであり、
    前記透明導電性シートの抵抗率が、0.2〜1.0Ω・cmであることを特徴とする透明導電性シート。
  2. 前記導電性粒子の平均一次粒子径が、10〜200nmである請求項1に記載の透明導電性シート。
  3. 前記透明導電膜のガラス転移温度が、45〜110℃である請求項1に記載の透明導電性シート。
  4. ヘイズが、1.5%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性シート。
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