JP5443092B2 - 透明導電性シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電性シート及びその製造方法に関する。詳しくは、透明導電性シートの耐久性及び導電性の向上に関する。
従来、透明導電膜は、基材上にスズ含有酸化インジウムなどの透明導電性薄膜をスパッタリング、蒸着などのいわゆるドライプロセスで作製し、製造されてきている。このようなドライプロセスは、真空条件で行われるため、製造装置が高価となり、また生産効率が低い。そのため、このようなドライプロセスに代わる方法として透明導電性粒子を含む分散組成物を塗布して透明導電膜を形成するウェットプロセスの検討が進められている。
透明導電性粒子のうち、酸化インジウムにスズを含有させたスズ含有酸化インジウム(ITO)粒子は、可視光に対する高い透光性と、高い導電性から、静電防止や電磁波遮蔽が要求されるCRT画面、LCD画面などに好適な材料として用いられてきた。
また、透明導電膜のドライプロセスで使用されてきたスズ含有酸化インジウムの他、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ、酸化亜鉛、ガドリウム含有酸化スズ、フッ素含有酸化スズなどの透明導電性粒子を含む分散組成物を基板上に塗布して形成した塗布型透明導電膜も実用化されている。
塗布型透明導電膜は、その優れた透光性及び導電性により、タッチパネル用電極、透明面発熱体などへの展開が期待されている。透明導電膜をタッチパネル用電極として利用する場合、透明導電膜は他の基材と接触することになる。このため、繰り返し使用するうちに表面が削られて微小な欠陥が生じる。これは、接触時に電極が微妙に摺動することが原因と考えられ、その対策として、耐摺動特性を改善することが行われている。そして、透明導電性粒子を含む塗布型透明導電膜においては塗膜強度を向上させることにより、耐摺動特性(耐久性)を改善することが可能である。
ところで、特許文献1には、透明導電性粒子を含む透明導電塗膜の経時変化による抵抗上昇を抑制する方法として、透明導電膜にシランカップリング剤、シラザン、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤、ホスフェートカップリング剤といった表面処理剤により処理された導電粉と硬化性化合物とを含めることが提案されている。
特開2006-59722号公報
しかし、特許文献1に記載のように、表面処理剤により処理された導電粉と硬化性化合物とを透明導電膜に含ませても耐摺動特性(耐久性)の向上が十分ではないという問題がある。また、導電性向上に関与しない表面処理剤を用いることにより、かえって導電性が低下するという問題もある。
本発明は、上記問題を解決するため、透明導電膜を2層構造にすることにより、高い耐久性及び高い導電性を有する透明導電性シートを提供する。
本発明の透明導電性シートは、透明基材と、前記透明基材の上に形成された第1透明導電膜と、前記第1透明導電膜の上に形成された第2透明導電膜とを含む透明導電性シートであって、前記第1透明導電膜は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含み、前記第2透明導電膜は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含み、前記第1透明導電膜の厚さ及び前記第2透明導電膜の厚さが、それぞれ0.5〜3.0μmであり、前記第1透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率が、前記第2透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率より大きいことを特徴とする。
本発明の透明導電性シートの製造方法は、透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜とを含む透明導電性シートの製造方法であって、透明基材の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む第1コーティング組成物を塗布して第1透明導電膜を形成する工程と、前記第1透明導電膜の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含む第2コーティング組成物を塗布して第2透明導電膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、耐久性及び導電性がともに高い透明導電性シートを提供することができる。
図1は、本発明の透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。
本発明の透明導電性シートは、透明基材と、上記透明基材の上に形成された第1透明導電膜と、上記第1透明導電膜の上に形成された第2透明導電膜とを備える。また、上記第1透明導電膜は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含み、上記第2透明導電膜は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含み、上記第1透明導電膜の厚さ及び上記第2透明導電膜の厚さは、それぞれ0.5〜3.0μmであり、上記第1透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率は、上記第2透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率より大きいことを特徴とする。
また、本発明の透明導電性シートの製造方法は、透明基材の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む第1コーティング組成物を塗布して第1透明導電膜を形成する工程と、上記第1透明導電膜の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含む第2コーティング組成物を塗布して第2透明導電膜を形成する工程と含むことを特徴とする。
第1透明導電膜に透明導電性粒子とバインダ樹脂とを含ませ、且つ、第2透明導電膜に透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含ませることにより、耐久性(耐摺動特性、塗膜強度)及び導電性がともに高い透明導電性シートを提供できる。
以下、図面に基づき本発明の透明導電性シートを説明する。
図1は、本発明の透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。図1において、本発明の透明導電性シート10は、透明基材11と、透明基材11の上に形成された第1透明導電膜12と、第1透明導電膜12の上に形成された第2透明導電膜とを備えている。
(透明導電膜)
第1透明導電膜12は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む。これにより、透明導電性シート10の導電性を主として向上できる。また、第2透明導電膜13は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含む。これにより、透明導電性シート10の耐久性を主として向上できる。
第1透明導電膜12の厚さ及び第2透明導電膜13の厚さは、それぞれ0.5〜3.0μmに設定されている。第1透明導電膜12の厚さが、0.5μmより薄い場合は、導電性が低下し、3.0μmより厚い場合は、透明性が低下する。また、第2透明導電膜13の厚さが、0.5μmより薄い場合は、導電性及び耐久性が低下し、3.0μmより厚い場合は、導電性が低下する。
また、第1透明導電膜12に含まれる透明導電性粒子の重量含有率は、第2透明導電膜13に含まれる透明導電性粒子の重量含有率より大きくなるように設定されている。これにより、透明導電性シート10の耐久性及び導電性を確実に向上できる。
また、第1透明導電膜12は、導電性のさらなる向上のため、圧縮膜であることが好ましい。また、第2透明導電膜13も圧縮膜であってもよい。上記圧縮層は、例えば後述するとおり、コーティング組成物を塗布・乾燥した塗膜をカレンダ処理して得られる。
<透明導電性粒子>
上記透明導電性粒子としては、透明性と導電性を兼ね備えた粒子であればよく、特に限定されず、例えば、導電性金属酸化物粒子、導電性窒化物粒子などを用いることができる。上記導電性金属酸化物粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウムなどの金属酸化物粒子が挙げられる。また、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化カドミウムからなる群から選ばれる1種類以上の金属酸化物を主成分として、さらにスズ、アンチモン、アルミニウム、ガリウムがドープされた導電性金属酸化物粒子、例えば、アンチモン含有酸化スズ(ATO)粒子、スズ含有酸化インジウム(ITO)粒子、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)粒子、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)粒子、ITOをアルミニウム置換した導電性金属酸化物粒子なども用いることができる。中でも、透明性、導電性及び化学特性に優れている点から、ITO粒子が特に好ましい。また、導電性の観点から、上記ITO粒子において、ITO全体に対してスズの添加量は酸化スズ換算で1〜20重量%が好ましい。ITOへのスズの添加により導電性が改善されるが、スズの添加量が1重量%より少ない場合は導電性の改善が乏しい傾向があり、20重量%を超えても導電性向上の効果は少ない傾向がある。
上記透明導電性粒子は、平均一次粒子径が10〜200nmの範囲にあることが好ましい。10nmより小さい場合、分散処理が困難になり粒子同士が凝集しやすくなるためか、曇りが大きくなり、光学特性が劣る傾向がある。また、200nmより大きい場合、粒子による可視光線の散乱によるためか、曇りが大きくなる傾向がある。ここで、平均一次粒子径は、例えば、作製した塗膜の表面又は断面において、個々の粒子の粒子径を電子顕微鏡を用いて観察・測定した後、少なくとも100個の粒子の粒子径を平均した平均粒子径をいう。
第1透明導電膜12に含まれる透明導電性粒子の重量含有率をa(%)、第2透明導電膜13に含まれる透明導電性粒子の重量含有率をb(%)としたとき、85≦a≦95、10≦b≦80、及び1.0<a/b≦9.5の関係を満たすことが好ましい。これらの関係を満たすことにより、透明導電性シートの透明性、導電性及び耐久性を全て向上できるからである。
また、第1透明導電膜12に含まれる透明導電性粒子と、第2透明導電膜13に含まれる透明導電性粒子とは、同種の透明導電性粒子であってもよく、異種の透明導電性粒子であってもよいが、透明導電膜の均質性の観点から同種の透明導電性粒子であることが好ましい。
<表面処理剤>
上記表面処理剤は、特に限定されない。例えば、各種カップリング剤、脂肪酸系表面処理剤などを用いることができる。特に炭素数5〜15の炭化水素鎖を有する表面処理剤が好ましく、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのOH基反応性官能基含有化合物を用いてもよい。中でも、塗膜強度をより向上させるという観点から、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、テトラオクチルチタネートなどの炭素数5〜15の直鎖アルキル基を含むシランカップリング剤、及び、へキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、パルミトレイン酸などの炭素数5〜15の直鎖アルキル基を含む脂肪酸を用いることが好ましい。また、パーフルオロアルキル基を含む表面処理剤を用いてもよい。具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸アンモニウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸リチウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸カリウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸ナトリウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アンモニウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸リチウム、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸アンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウムなどの炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を含むフッ素系表面処理剤を用いることもできる。
上記表面処理剤の含有量は、第2透明導電膜13に含まれる透明導電性粒子100重量部に対して0.05〜5重量部であることが好ましい。0.05重量部より少ないと塗膜強度向上の効果が乏しい傾向があり、5重量部より多いと可塑成分として働くためか、塗膜強度が低下する傾向がある。また、塗膜強度をより向上させるという観点から、0.1〜5重量部であることがより好ましく、0.5〜5重量部であることが特に好ましい。上記表面処理剤は、単独で用いてもよく、又は二種以上を組合せて用いてもよい。
<バインダ樹脂>
上記バインダ樹脂は、特に限定されないが、ガラス転移温度が30〜90℃の樹脂が好ましい。上記バインダ樹脂としては、ガラス転移温度が30〜90℃である樹脂を用いることにより、透明導電膜は適度な柔軟性を有することができる。上記バインダ樹脂としては、例えば、ガラス転移温度が30〜90℃である熱可塑性樹脂又はガラス転移温度が30〜90℃である放射線硬化性樹脂などを用いることができる。上記バインダ樹脂は、単独で用いてもよく、又は二種以上を組合せて用いてもよい。ここで、ガラス転移温度の測定は、いわゆる熱分析によるDSC法を用いて日本工業規格(JIS)K7121に準拠して行うことができる。
上記ガラス転移温度が30〜90℃である熱可塑性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂又はポリエステル樹脂を用いることができる。
上記アクリル系樹脂としては、例えば、三菱レイヨン社製の“ダイヤナールBR−60”、“ダイヤナールBR−64”、“ダイヤナールBR−75”、“ダイヤナールBR−77”、“ダイヤナールBR−80”、“ダイヤナールBR−90”、“ダイヤナールBR−95”、“ダイヤナールBR−96”、“ダイヤナールBR−101”、“ダイヤナールBR−105”、“ダイヤナールBR−106”、“ダイヤナールBR−107”、“ダイヤナールBR−108”、“ダイヤナールBR−110”、“ダイヤナールBR−113”、“ダイヤナールBR−122”、“ダイヤナールBR−605”、“ダイヤナールMB−2539”、“ダイヤナールMB−2389”、“ダイヤナールMB−2487”、“ダイヤナールMB−2660”、“ダイヤナールMB−2952”、“ダイヤナールMB−3015”、“ダイヤナールMB−7033”などが挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、東洋紡積社製の“バイロン200”、“バイロン220”、“バイロン226”、“バイロン240”、“バイロン245”、“バイロン270”、“バイロン280”、“バイロン290”、“バイロン296”、“バイロン660”、“バイロン885”、“バイロンGK110”、“バイロンGK250”、“バイロンGK360”、“バイロンGK640”、“バイロンGK880”などが挙げられる。
上記ガラス転移温度が30〜90℃である放射線硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルオリゴマーなどが挙げられる。具体的には、イソボルニルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコ−ルジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどを用いることができる。ここで、放射線硬化性樹脂のガラス転移温度は、例えば、樹脂100重量部に対し紫外線重合開始剤、例えば2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを5重量部添加し、紫外線を500mJ/cm2照射して得られた放射線硬化処理後の測定値を用いることが好ましい。
また、上記ガラス転移温度が30〜90℃である樹脂として、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いてもよい。
バインダ樹脂として放射線硬化性樹脂を用いた場合、紫外線、電子線、β線などの放射線により硬化処理を行ってもよい。これらのうち紫外線を用いることが簡便であり、この場合、放射線硬化性樹脂に、さらに紫外線重合開始剤を含ませてもよい。紫外線重合開始剤としては、以下のものを用いることができる。例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4−ジエチルチオキサントン、o−ヘンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェン、ベンジル、2−クロロチオキサントン、ジイソプロピルチオザンソン、9,10−アントラキノン、ベンソイン、ベンソインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトンなどを用いることができる。上記紫外線重合開始剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
上記紫外線重合開始剤は、放射線硬化性樹脂100重量部に対し、1〜20重量部の範囲で添加することが好ましい。1重量部より少ない場合、樹脂の硬化性が劣るためか、塗膜強度が劣る傾向にある。また、20重量部を超える場合、架橋が十分に発達しないためか、塗膜強度が劣る傾向にある。
また、第1透明導電膜12に含まれるバインダ樹脂と、第2透明導電膜13に含まれるバインダ樹脂とは、同種の樹脂であってもよく、異種の樹脂であってもよいが、透明導電膜の均質性の観点から同種の樹脂であることが好ましい。
本発明において塗膜強度の向上において重要な点は、透明導電性粒子とバインダ樹脂との間の摺動によるひずみの低減にあると考えられる。透明導電性粒子、表面処理剤、バインダ樹脂を含む第2透明導電膜において、表面処理剤としてのOH基反応性官能基含有化合物は透明導電性粒子表面のOH基と、表面処理剤としての脂肪酸は透明導電性粒子表面の金属イオンと、それぞれ結合すると考えられる。また、表面処理剤のアルキル鎖などの疎水基はバインダ樹脂と分子間力などで相互作用していると考えられ、比較的緩やかなものになる。本発明において、上記のような表面処理剤のアルキル鎖とバインダ樹脂の比較的緩やかな相互作用が耐摺動特性の向上に結びついていると考えられる。
(透明基材)
透明基材11としては、透明な透光性を有する材料で形成されていればよく、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリオレフィン類、セルローストリアセテートなどのセルロース系樹脂、ナイロン、アラミドなどのアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホンエーテルなどのポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などの材料からなる、フィルム又はシートを用いることができる。また、ガラス、セラミックスなどを用いてもよい。透明基材11の厚さは、通常3〜300μmが好ましく、25〜200μmがより好ましい。
また、本発明で透明とは、JIS K7161:1997に準拠して測定した全光線透過率が75%以上であることをいう。
透明基材11には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤などの添加剤が添加されてもよい。さらに、その上に設けられる第1透明導電膜との密着性を向上させるために、基材表面に易接着剤層(例えば、プライマー層)を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行ってもよい。
透明導電性シート10の表面抵抗は、10000Ω/スクエア以下であることが好ましく、1000Ω/スクエア以下であることがより好ましい。上記表面抵抗は、透明導電性シートの導電性を示すものであり、値が低いほど、導電性が高く、電気特性に優れる。
次に、本発明の透明導電性シートの製造方法を説明する。
本発明の透明導電性シートの製造方法は、透明基材の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む第1コーティング組成物を塗布して第1透明導電膜を形成する工程と、上記第1透明導電膜の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含む第2コーティング組成物を塗布して第2透明導電膜を形成する工程とを含む。
(コーティング組成物)
上記第1コーティング組成物及び上記第2コーティング組成物に含まれる透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤については、上記に説明したとおりである。
また、上記第1コーティング組成物は、透明導電性粒子とバインダ樹脂とを溶剤に分散させて調製することができる。また、上記第2コーティング組成物は、透明導電性粒子とバインダ樹脂と表明処理剤とを溶剤に分散して調製することができる。上記溶剤としては、ヘキサンなどの炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエステルなどのグリコールエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤を用いることができる。また、上記溶剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
上記第1コーティング組成物において溶剤を除く成分中の透明導電性粒子の重量含有率は、好ましくは85〜95%である。上記重量含有率が85%より少ない場合、硬化処理後にカレンダ処理を行っても、塗膜の導電性は顕著に改善されない傾向がある。これは、カレンダ処理前の塗膜中に空隙が形成されなかったため、カレンダ処理による透明導電性粒子の接近、接触が阻害されるためであると考えられる。一方、上記重量含有率が95%を超えると、塗膜強度が劣る傾向がある。これは、カレンダ処理後に、塗膜中に空隙が残るためであると考えられる。
また、上記第2コーティング組成物において溶剤を除く成分中の透明導電性粒子の重量含有率は、好ましくは10〜80%である。上記重量含有率が10%より少ない場合、導電性が低下する傾向がある。一方、上記重量含有率が80%を超えると、塗膜強度が劣る傾向がある。
さらに、上記第1コーティング組成物に含まれる透明導電性粒子の重量含有率をa(%)、第2コーティング組成物に含まれる透明導電性粒子の重量含有率をb(%)としたとき、85≦a≦95、10≦b≦80、及び1.0<a/b≦9.5の関係を満たすことが好ましい。これらの関係を満たすことにより、透明導電性シートの透明性、導電性及び耐久性を全て向上できるからである。
本発明では、上記のように重量含有率は、溶剤を除くコーティング組成物の成分全体に対する透明導電性粒子の重量の比率を意味する。
上記第2コーティング組成物において、上記表面処理剤の含有量は、透明導電性粒子100重量部に対して0.05〜5重量部であることが好ましい。0.05重量部より少ないと塗膜強度向上の効果が乏しい傾向があり、5重量部より多いと可塑成分として働くためか、塗膜強度が低下する傾向がある。また、塗膜強度をより向上させるという観点から、0.1〜5重量部であることがより好ましく、0.5〜5重量部であることが特に好ましい。
上記第1コーティング組成物に含まれる上記バインダ樹脂の含有量は、透明導電性粒子100重量部に対して5〜18重量部であることが好ましい。5重量部より少ないと塗膜強度向上の効果が乏しい傾向があり、18重量部より多いと表面抵抗が上昇する傾向があり、良好な導電性が得られない可能性がある。
また、上記第2コーティング組成物に含まれる上記バインダ樹脂の含有量は、透明導電性粒子100重量部に対して24〜900重量部であることが好ましい。24重量部より少ないと塗膜強度向上の効果が乏しい傾向があり、900重量部より多いと表面抵抗が上昇する傾向があり、良好な導電性が得られない可能性がある。
上記第1コーティング組成物の調製方法は、透明導電性粒子とバインダ樹脂とを溶剤中に分散できればよく、また、上記第2コーティング組成物の調製方法は、透明導電性粒子と表面処理剤とバインダ樹脂とを溶剤中に分散できればよく、その分散方法はそれぞれ特に限定されない。例えば、サンドグラインドミルなどのビーズミル、超音波分散機、3本ロールミルなどによる分散処理が挙げられるが、より分散性が優れるという点から、ビーズミルによる分散処理が好ましい。
上記第1コーティング組成物及び上記第2コーティング組成物には、分散剤などの添加剤を含ませてもよい。分散剤としては、少なくともアニオン系官能基を含む分散剤を用いることが好ましく、アニオン系官能基を含むポリエステル系樹脂、アニオン系官能基を含むアクリル系樹脂を用いることがより好ましい。例えば、カルボン酸含有アクリル系樹脂、酸含有ポリエステル系樹脂、酸及び塩基含有ポリエステル系樹脂などを用いることができる。具体的には、三菱レイヨン社製の“ダイヤナールMR−2539”、“ダイヤナールMB−2389”、“ダイヤナールMB−2660”、“ダイヤナールMB−3015”、“ダイヤナールBR−60”、“ダイヤナールBR−64”、“ダイヤナールBR−77”、“ダイヤナールBR−84”、“ダイヤナールBR−83”、“ダイヤナールBR−106”、“ダイヤナールBR−113など、又はアビシア社製の“ソルスパーズ3000”、“ソルスパーズ21000”、“ソルスパーズ26000”、“ソルスパーズ32000”、“ソルスパーズ36000”、“ソルスパーズ41000”、“ソルスパーズ43000”、“ソルスパーズ44000”、“ソルスパーズ45000”、“ソルスパーズ56000”などの市販のものを用いることができる。
(透明導電膜の形成)
透明導電膜の形成方法には、第1コーティング組成物を透明基材に塗布して形成した第1透明導電膜を乾燥してカレンダ処理した後に、その第1透明導電膜の上に第2コーティング組成物を塗布して乾燥する、所謂逐次重層塗布方式と、第1コーティング組成物を透明基材に塗布して形成した第1透明導電膜が乾燥する前に、その第1透明導電膜の上に第2コーティング組成物を塗布して乾燥する、所謂同時重層塗布方式とがある。本発明ではいずれの方式でもよい。
先ず、逐次重層塗布方式について説明する。本方式では、先ず、透明基材の上に、上記第1コーティング組成物を塗布して第1透明導電膜を形成する。透明基材については、上記に説明したとおりである。塗布方法としては、平滑な塗膜を形成しうる塗布方法であればよく、特に限定されない。例えば、グラビアロール法、マイクログラビアロール法、スプレイ法、スピン法、ナイフ法、キス法、スクイズ法、リバースロール法、ディップ法、バーコート法などの塗布方法を用いることができる。
次に、形成した第1透明導電膜を乾燥した後にカレンダ処理する。但し、カレンダ処理を行わない場合もある。乾燥方法としては、第1透明導電膜中の溶剤が除去できれば、特に限定されず、例えば、加熱乾燥、真空乾燥、自然乾燥などにより行うことができる。カレンダ処理方法としては、第1透明導電膜を圧縮できれば、特に限定されず、例えば、カレンダロールを用いて圧縮処理することができる。第1透明導電膜がカレンダ処理で圧縮して緻密化することにより、第1透明導電膜の電気抵抗が低減するとともに光学特性も向上する。
カレンダ処理にカレンダロールを用いる場合、カレンダロールは、少なくとも金属ロールを1本含むことが好ましい。上記金属ロールとしては、ロール表面にクロムメッキなどの金属メッキを施したロールを用いればよい。また、ロール表面の粗度(Ry)が1.0μm以下のものを用いることが好ましい。ロール表面を研磨することなどにより、ロール表面の粗度(Ry)を1.0μm以下にすることができる。また、塗膜が金属ロールに接触するように原反ロールをセットして、カレンダ処理することが好ましい。カレンダ処理の温度、即ちカレンダロールの温度は、基材の変形などを考慮して決めることが必要であるが、25〜200℃の範囲が好ましい。25℃より低いと、電気特性改善効果が乏しい傾向がある。200℃を超えると、基材が変形する恐れがある。また、カレンダ処理の線圧力は1000N/cm以上が好ましい。1000N/cmより低いと、電気特性改善の効果が乏しい傾向がある。
続いて、上記のとおり乾燥してカレンダ処理した第1透明導電膜の上に、上記第2コーティング組成物を塗布して乾燥して第2透明導電膜を形成する。塗布方法及び乾燥方法は、上記のとおり特に限定されない。また、上記と同様にさらにカレンダ処理を行ってもよい。
逐次重層塗布方式では、第1透明導電膜を乾燥した後に、その上に第2透明導電膜を形成するため、第1透明導電膜の含有成分と第2透明導電膜の含有成分との成分上の界面が比較的明確であり、第1透明導電膜と第2透明導電膜の各含有成分が相互拡散により混合することは少ない。
次に、同時重層塗布方式について説明する。本方式では、透明基材の上に、上記第1コーティング組成物を塗布して第1透明導電膜を形成した後、その第1透明導電膜が乾燥する前に、第1透明導電膜の上に上記第2コーティング組成物を塗布して乾燥する。透明基材については、上記に説明したとおりである。また、塗布方法及び乾燥方法は、上記のとおり特に限定されない。また、上記と同様にさらにカレンダ処理を行ってもよい。
第1透明導電膜を形成した後に、第2コーティング組成物を塗布するまでの時間は、第1透明導電膜が乾燥する前であれば、特に限定されず、第1コーティング組成物の塗布の後、直ちに、即ち実質的には略同時に第2コーティング組成物の塗布を行ってもよい。
同時重層塗布方式では、第1透明導電膜が乾燥する前に第2透明導電膜を形成するため、第1透明導電膜の含有成分と第2透明導電膜の含有成分との成分上の界面が不明確となる場合あり、第1透明導電膜と第2透明導電膜の各含有成分が相互拡散により混合する場合がある。但し、逐次重層塗布方式に比べて、同時重層塗布方式の方が、第1透明導電膜と第2透明導電膜との接合強度は向上する。
本発明の透明導電性シートの製造方法によれば、良好な電気特性(導電性)を有しつつ、優れた塗膜強度、即ち耐摺動特性(耐久性)を有する透明導電性シートが得られる。
以下、実施例に基いて本発明を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に指摘がない場合、下記において、「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
<第1コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、分散メディアとして直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、ペイントコンディショナーにより30分間、分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%) 96.0部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(アビシア社製“ソルスパーズ32000”) 4.0部
(3)メチルエチルケトン 75部
(4)トルエン 75部
次に、分散処理した上記の混合物に、以下のバインダ樹脂と溶剤とを添加し、ペイントコンディショナーにより30分間、分散処理した。その後、フィルターを通してジルコニアビーズを取り除いて、第1コーティング組成物を得た。
(5)アクリル樹脂(三菱レイヨン社製“ダイヤナールBR−80”) 1.1部
(6)シクロヘキサノン 43部
(7)トルエン 43部
<第2コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、分散メディアとして直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、ペイントコンディショナーにより30分間、分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%) 96.0部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(アビシア社製“ソルスパーズ32000”) 4.0部
(3)表面処理剤(デカン酸:炭化水素鎖の炭素数9) 4.8部
(4)メチルエチルケトン 79部
(5)トルエン 79部
次に、分散処理した上記の混合物に、以下のバインダ樹脂と溶剤とを添加し、ペイントコンディショナーにより30分間、分散処理した。その後、フィルターを通してジルコニアビーズを取り除いて、第2コーティング組成物を得た。
(6)アクリル樹脂(三菱レイヨン社製“ダイヤナールBR−80”) 535.2部
(7)シクロヘキサノン 668部
(8)トルエン 668部
<透明導電性シートの作製>
上記第1コーティング組成物を、マイクログラビアコータを用いて透明基材としてのポリエステルフィルム(東レ社製“ルミラー”、厚み:100μm)に塗布、乾燥して、原反ロールを得た。得られた原反ロールにカレンダ処理を行った。具体的には、1対の金属ロール(表面ハードクロムメッキ、Ry:0.8μm)を有するロール処理機を用い、ロール温度110℃、線圧力5000N/cm、搬送速度5m/分の条件で行い、ポリエステルフィルム上に第1透明導電膜を形成した。次に、上記第2コーティング組成物を、マイクログラビアコータを用いて上記第1透明導電膜上に塗布、乾燥して、第1透明導電膜の上に第2透明導電膜を形成した透明導電性シートを得た。
(実施例2〜9及び比較例1〜6)
第1コーティング組成物の各成分の含有量を表1に示した含有量に変更し、第2コーティング組成物の各成分の含有量を表2に示した含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜9及び比較例1〜6の透明導電性シートを作製した。
(実施例10)
表面処理剤のデカン酸をヘキサン酸に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例10の透明導電性シートを作製した。
(実施例11)
表面処理剤のデカン酸をパルミチン酸に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例11の透明導電性シートを作製した。
(実施例12)
表面処理剤のデカン酸をヘキシルトリメトキシシランに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例12の透明導電性シートを作製した。
(比較例7)
表面処理剤を全く使わず、表面処理剤の代わりにアクリル樹脂(三菱レイヨン社製“ダイヤナールBR−80”)4.8部を添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例7の透明導電性シートを作製した。
(比較例8)
第2透明導電膜を設けずに、第1透明導電膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例8の透明導電性シートを作製した。
(比較例9)
第2透明導電膜を設けずに、第1コーティング組成物に表面処理剤として、デカン酸を4.8部加えて第1透明導電膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例9の透明導電性シートを作製した。
実施例1〜12及び比較例1〜9の透明導電性シートの透明性、導電性及び耐久性を下記のとおり測定して評価した。その結果を表3に示す。表3では、第1透明導電膜の透明導電性粒子の重量含有率a%とその厚さ、第2透明導電膜の透明導電性粒子の重量含有率b%とその厚さ及びa/bも示した。
<透明性>
光学特性としての透明性は、全光線透過率を測定することにより評価した。全光線透過率の値が高いほど、光学特性が優れることになる。具体的には、紫外可視近赤外分光光度計“V−570”(日本分光社製)を用いて、ポリエステルフィルムを含めた透明導電性シートの全光線透過率を評価した。より詳細には、積分球ILN−472を組み合わせ、ヘイズ値計算モードで、レスポンスがFast、バンド幅が2.0nm、近赤外が8.0nm、走査速度が400nm/minの条件で波長範囲380〜780nmの光学特性を測定した。全光線透過率の計算は、C光源、視野2度の条件で行った。その結果、全光線透過率が、80%以上のものをA、80%より小さいものをBとして評価した。評価試料は、透明導電性シートから幅30mm、長さ50mmのサンプルを切り出して使用した。
<導電性>
透明導電性シートから長さ75mm、幅75mmのサンプルを切り出し、抵抗率計“ロウレスタAP−MCP−T400”(ダイアインスツルメンツ社製)及び抵抗計“ハイレスタHT−210”(ダイアインスツルメンツ社製)を用いて、透明導電膜側の表面抵抗率を測定した。表面抵抗率が、10000Ω/スクエア以下のものをA、10000Ω/スクエアより大きいものをBとして評価した。
<耐久性>
表面性測定機“HEIDON−14DR”(新東科学社製)を用いて、塗膜強度を評価した。具体的には、直径15mmの円柱冶具の円形底面に布(日本薬局方ガーゼタイプI)を平らになるように巻きつけ固定した。次に、冶具をその底面と試料の透明導電膜とが平行に接触するように測定器にとり付け、バランスをとり、500g/cm2の圧力がかかるように錘をセットした。摺動速度が4500mm/分、ストロークが25mmの条件で測定器を動かし、往復摺動試験を行った。往復回数は20000回とした。摺動試験前後の電気抵抗の変化が、2倍以下のものをA、2倍より大きいものをBとして評価した。評価試料は、透明導電性シートから横25mm、縦75mmのサンプルを切り出して使用した。
表1から分かるように、第1透明導電膜の厚さ及び第2透明導電膜の厚さが、それぞれ0.5〜3.0μmであり、第1透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率が、第2透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率より大きい実施例1〜12では、透明性、導電性及び耐久性の全てにおいて高い特性を有する透明導電性シートが得られた。
一方、第2透明導電膜の厚さが0.3μmの比較例1では導電性と耐久性とが低下し、第1透明導電膜及び第2透明導電膜の透明導電性粒子の重量含有率を同じにした比較例2では耐久性が低下し、第2透明導電膜の厚さを3.5μmとした比較例3では導電性が低下し、第1透明導電膜よりも第2透明導電膜の透明導電性粒子の重量含有率を大きくした比較例4では導電性と耐久性とが低下し、第1透明導電膜の厚さが0.3μmの比較例5では導電性が低下し、第1透明導電膜の厚さを3.5μmとした比較例6では透明性が低下し、第2透明導電膜に表面処理剤を含まない比較例7では耐久性が低下し、第2透明導電膜を形成しない比較例8では耐久性が低下し、第1透明導電膜に表明処理剤を含み、第2透明導電膜を形成しない比較例9では導電性が低下した。
本発明の透明導電性シートは、透明性、導電性及び耐久性の全ての点で優れており、タッチパネル用電極、透明面発熱体などへの応用が期待できる。
10 透明導電性シート
11 透明基材
12 第1透明導電膜
13 第2透明導電膜

Claims (12)

  1. 透明基材と、前記透明基材の上に形成された第1透明導電膜と、前記第1透明導電膜の上に形成された第2透明導電膜とを含む透明導電性シートであって、
    前記第1透明導電膜は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含み、
    前記第2透明導電膜は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含み、
    前記第1透明導電膜の厚さ及び前記第2透明導電膜の厚さが、それぞれ0.5〜3.0μmであり、
    前記第1透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率が、前記第2透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率より大きいことを特徴とする透明導電性シート。
  2. 前記第1透明導電膜は、圧縮膜である請求項1に記載の透明導電性シート。
  3. 前記第1透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率をa(%)、前記第2透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率をb(%)としたとき、
    85≦a≦95
    10≦b≦80
    1.0<a/b≦9.5
    の関係を満たす請求項1又は2に記載の透明導電性シート。
  4. 前記第1透明導電膜に含まれる透明導電性粒子と、前記第2透明導電膜に含まれる透明導電性粒子とは、同種の透明導電性粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性シート。
  5. 前記バインダ樹脂のガラス転移温度が、30〜90℃である請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性シート。
  6. 前記表面処理剤は、炭素数5〜15の炭化水素鎖を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性シート。
  7. 透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜とを含む透明導電性シートの製造方法であって、
    透明基材の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む第1コーティング組成物を塗布して第1透明導電膜を形成する工程と、
    前記第1透明導電膜の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含む第2コーティング組成物を塗布して第2透明導電膜を形成する工程と、
    を含み、
    前記第2コーティング組成物の塗布を、前記第1透明導電膜を乾燥し、カレンダ処理した後に行うことを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
  8. 透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜とを含む透明導電性シートの製造方法であって、
    透明基材の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む第1コーティング組成物を塗布して第1透明導電膜を形成する工程と、
    前記第1透明導電膜の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含む第2コーティング組成物を塗布して第2透明導電膜を形成する工程と、
    を含み、
    前記第2コーティング組成物の塗布を、前記第1透明導電膜が乾燥する前に行うことを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
  9. 透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜とを含む透明導電性シートの製造方法であって、
    透明基材の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む第1コーティング組成物を塗布して第1透明導電膜を形成する工程と、
    前記第1透明導電膜の上に、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、表面処理剤とを含む第2コーティング組成物を塗布して第2透明導電膜を形成する工程と、
    を含み、
    前記第1透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率をa(%)、前記第2透明導電膜に含まれる透明導電性粒子の重量含有率をb(%)としたとき、
    85≦a≦95
    10≦b≦80
    1.0<a/b≦9.5
    の関係を満たすことを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
  10. 前記第1透明導電膜に含まれる透明導電性粒子と、前記第2透明導電膜に含まれる透明導電性粒子とは、同種の透明導電性粒子である請求項7〜のいずれか1項に記載の透明導電性シートの製造方法。
  11. 前記バインダ樹脂のガラス転移温度が、30〜90℃である請求項7〜10のいずれか1項に記載の透明導電性シートの製造方法。
  12. 前記表面処理剤は、炭素数5〜15の炭化水素鎖を有する請求項7〜11のいずれか1項に記載の透明導電性シートの製造方法。
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