JP2010165642A - 透明導電性シートの製造方法及び透明導電性シート - Google Patents

透明導電性シートの製造方法及び透明導電性シート Download PDF

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Abstract

【課題】塗布により基材に透明導電膜を形成するに際し、塗膜を硬化処理した後にカレンダ処理を行うことにより、良好な電気特性及び光学特性を有しつつ、優れた塗膜強度を有する透明導電性シートを得る。
【解決手段】本発明の透明導電性シートの製造方法は、透明基材11と、透明基材11の上に形成された透明導電膜12とを含む透明導電性シート10の製造方法であって、透明基材11の上に、透明導電性粒子と硬化性樹脂と溶剤とを含むコーティング組成物を塗布して塗膜を形成する工程と、上記塗膜を硬化処理する工程と、上記硬化処理後の塗膜をカレンダ処理して透明導電膜12を形成する工程とを含み、上記透明導電性粒子の平均一次粒子径が、10〜200nmであり、上記コーティング組成物における透明導電性粒子の体積含有率が、40〜80%であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性シートの製造方法及び透明導電性シートに関する。
従来、透明導電膜は、基材上にスズ含有酸化インジウムなどの透明導電性薄膜をスパッタリング、蒸着などのいわゆるドライプロセスで作製されてきている。このようなドライプロセスは、真空条件で行われるため、製造装置が高価となり、また生産効率が低い。そのため、このようなドライプロセスに代わる方法として透明導電性粒子を含む分散組成物を塗布して塗布型透明導電膜を形成するウェットプロセスの検討が進められている。
また、塗布型透明導電膜においては、透明性などの光学特性や導電性などの電気特性を向上させるための検討が進められている。例えば、特許文献1では、透明導電性粒子と紫外線硬化樹脂を含む分散組成物を塗布し、圧延処理(カレンダ処理)後、紫外線硬化処理を行うことで、透明導電膜付き基材の光学特性、電気特性を向上させることが提案されている。
一方、塗布型透明導電膜は、その優れた透光性及び導電性により、タッチパネル用電極、透明面発熱体などへの展開が期待されている。透明導電膜をタッチパネル用電極として利用する場合、透明導電膜は他の基材と接触することになる。このため、繰り返し使用するうちに表面が削られて微小な欠陥が生じる。これは、接触時に微妙に摺動することが原因と考えられ、対策として、摺動特性を改善することが行われている。そして透明導電性粒子を含む塗布型透明導電膜においては塗膜強度を向上させることにより、摺動特性を改善することが可能である。
特許文献1に記載のように、硬化処理をする前にカレンダ処理を行うと、圧延効果を高め電気特性を改善することは可能であるが、光学特性及び塗膜強度が不十分であるという問題がある。
特許第2994767号公報
このように塗布により基材上に透明導電膜を形成する場合、従来では、良好な電気特性及び光学特性を有しつつ、優れた塗膜強度を有する透明導電膜が得られていなかった。
本発明は、上記問題を解決するため、塗布により基材に透明導電膜を形成するに際し、塗膜を硬化処理した後にカレンダ処理を行うことにより、良好な電気特性及び光学特性を有しつつ、優れた塗膜強度を有する透明導電性シートが得られる透明導電性シートの製造方法及び透明導電性シートを提供する。
本発明の透明導電性シートの製造方法は、透明基材と、上記透明基材の上に形成された透明導電膜とを含む透明導電性シートの製造方法であって、上記透明基材の上に、透明導電性粒子と硬化性樹脂と溶剤とを含むコーティング組成物を塗布して塗膜を形成する工程と、上記塗膜を硬化処理する工程と、上記硬化処理後の塗膜をカレンダ処理して透明導電膜を形成する工程とを含み、上記透明導電性粒子の平均一次粒子径が、10〜200nmであり、上記コーティング組成物において溶剤を除く成分中の上記透明導電性粒子の体積含有率が、40〜80%であることを特徴とする。
本発明の透明導電性シートは、透明基材と、上記透明基材の上に形成された透明導電膜とを含む透明導電性シートであって、上記透明導電膜は、透明導電性粒子と硬化性樹脂とを含み、上記透明導電膜は、上記透明導電性粒子と上記硬化性樹脂と溶剤とを含むコーティング組成物を透明基材の上に塗布して乾燥させ、硬化処理を行い、その後、カレンダ処理を行うことにより形成されており、上記透明導電性粒子の平均一次粒子径が、10〜200nmであり、上記コーティング組成物において溶剤を除く成分中の上記透明導電性粒子の体積含有率が、40〜80%であることを特徴とする。
本発明によれば、硬化性樹脂と、体積含有率が40〜80%である透明導電性粒子とを含むコーティング組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜を硬化処理した後、カレンダ処理することにより、優れた電気特性、光学特性及び塗膜強度を有する透明導電性シートを提供できる。
本発明の製造方法により得られる透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。
発明者らは、鋭意検討した結果、透明導電性粒子と硬化性樹脂とを含む透明導電膜の製造において、コーティング組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜を硬化処理した後カレンダ処理することにより、優れた電気特性を有しつつ、光学特性と塗膜強度を向上し得ることを見出し、本発明に至った。硬化処理を行った後にカレンダ処理すると光学特性が改善されるのは、硬化性樹脂が架橋して塗膜が硬質となるため、カレンダロール表面の透明導電性粒子と硬化性樹脂とを含む汚れが低減し、カレンダ処理後の塗膜表面が平滑になる、あるいはカレンダ処理時に塗膜にかかる圧縮力が均一になるためであると考えられる。また、カレンダ処理する前に硬化処理を行うことにより、より効果的に硬化性樹脂の硬化が進み、塗膜強度も向上すると思われる。
以下、本発明の透明導電性シートの製造方法を説明する。
本発明の透明導電性シートの製造方法は、透明基材と、上記透明基材の上に形成された透明導電膜とを含む透明導電性シートの製造方法であって、上記透明基材の上に、透明導電性粒子と硬化性樹脂と溶剤とを含むコーティング組成物を塗布して塗膜を形成する工程と、上記塗膜を硬化処理する工程と、上記硬化処理後の塗膜をカレンダ処理して透明導電膜を形成する工程とを含む。図1は、本発明の製造方法により得られる透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。図1において、本発明の透明導電性シート10は、透明基材11と、透明基材11の一方の主面に透明導電膜12を設けている。
上記透明導電性粒子としては、透明性と導電性を兼ね備えた粒子であればよく、特に限定されず、例えば、導電性金属酸化物粒子や導電性窒化物粒子などを用いることができる。上記導電性金属酸化物粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウムなどの金属酸化物粒子が挙げられる。また、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化カドミウムからなる群から選ばれる1種類以上の金属酸化物を主成分として、さらにスズ、アンチモン、アルミニウム、ガリウムがドープされた導電性金属酸化物粒子、例えば、アンチモン含有酸化スズ(ATO)粒子、スズ含有酸化インジウム(ITO)粒子、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)粒子、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)粒子、アルミニウム置換したITO粒子などが挙げられる。中でも、透明性、導電性及び化学特性に優れている点から、ITO粒子が特に好ましい。また、導電性の観点から、上記ITO粒子において、ITO全体に対してスズの添加量は酸化スズ換算で1〜20重量%が好ましい。ITOへのスズの添加により導電性が改善されるが、スズの添加量が1重量%より少ない場合は導電性の改善が乏しい傾向があり、20重量%を超えても導電性向上の効果は少ない傾向がある。
上記透明導電性粒子は、平均一次粒子径が10〜200nmであり、より好ましくは20〜60nmである。上記平均一次粒子径が10nm未満であると、分散処理が困難になり粒子同士が凝集するため、ヘイズが大きくなり光学特性が低下する。また、上記平均一次粒子径が200nmより大きいと、粒子による可視光線の散乱によりヘイズが大きくなり光学特性が低下する。ここで、粒子の平均一次粒子径とは、透明導電性粒子そのものをサンプルとし、透過型電子顕微鏡(TEM)により、粒界で区切られた個々の粒子の粒子径を観察・測定した後、少なくとも100個の粒子の粒子径を平均した平均粒子径をいう。
上記硬化性樹脂は、例えば、放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂と熱硬化剤の混合物、及びそれらの混合物を用いることができる。中でも、生産性という観点から、硬化性樹脂に放射線硬化性樹脂を用い、硬化処理に紫外線を用いることが好ましい。
上記放射線硬化性樹脂としては、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルオリゴマーなどを用いることができる。例えば、テトラヒドロフルフラール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレートなどの単官能モノマー、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーが挙げられる。また、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどは、根上工業社製の“アートレジンUN−3320HA”、“アートレジンUN−905”などを用いてもよく、日本化薬社、サートマー社、共栄社化学社、ダイセルユーピーシー社などから市販されているものを用いてもよい。また、ダイキン工業社製の“オプツールDAC”、DIC社製の“ディフェンサFH―800ME”などのフッ素含有の防汚作用を持つ、放射線硬化性樹脂を用いてもよい。このような放射線硬化性樹脂は単独で用いてもよく、また複数混合して用いてもよい。
上記放射線硬化性樹脂の硬化に用いる放射線には、電子線、ガンマ線、又は紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる場合は、紫外線重合開始剤をさらに加えてもよい。上記紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4−ジエチルチオキサントン、o−ヘンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェン、ベンジル、2−クロロチオキサントン、ジイソプロピルチオザンソン、9,10−アントラキノン、ベンソイン、ベンソインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトンなどを用いることができる。上記紫外線重合開始剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
上記紫外線重合開始剤は、硬化性樹脂、分散剤などを含むコーティング組成物中の溶剤を除く有機物成分全体に対し、1〜20重量%の範囲で添加することが好ましい。1重量%より少ない場合、樹脂の硬化性が劣るため、塗膜強度が劣る傾向にある。また、20重量%を超える場合、架橋が十分に発達しないためか、塗膜強度が劣る傾向にある。
上記放射線硬化性樹脂の硬化に熱を用いてもよい。この場合、熱重合開始剤をさらに加えてもよい。上記熱重合開始剤としては、ter−ブチルヒドロパーオキサイドなどのヒドロパーオキサイド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、ter−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ter−ブチルパーオキシネオデカノエート、ter−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、ter−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−ter−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド類、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−トキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ系化合物などを用いることができる。上記熱重合開始剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。この場合、熱硬化処理は40〜100℃の環境に24時間以上保存することにより行うことができる。特に、熱硬化処理温度は、基材の変形を防ぐため、基材のガラス転移温度より低く設定することが好ましい。
上記熱重合開始剤は、硬化性樹脂、分散剤などを含むコーティング組成物中の溶剤を除く有機物成分全体に対し、1〜20重量%の範囲で添加することが好ましい。1重量%より少ない場合、樹脂の硬化性が劣るため、塗膜強度が劣る傾向にある。また、20重量%を超える場合、重合開始剤同士の結合が起こり架橋が十分に発達しないためか、塗膜強度が劣る傾向にある。
硬化性樹脂としては、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂など従来公知の熱可塑性樹脂と熱硬化剤をあわせて用いてもよい。熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。熱硬化剤には、ポリイソシアネート系化合物、有機チタン系化合物、カルボジイミド化合物など従来公知の架橋剤を用いてもよい。この場合、熱硬化処理は、40〜100℃の環境に24時間以上保存することにより行うことができる。特に、熱硬化処理温度は、基材の変形を防ぐため、基材のガラス転移温度より低く設定することが好ましい。
上記コーティング組成物には、透明導電性粒子の分散を改善させるため、分散剤を含めてもよい。
上記分散剤としては、少なくともアニオン系官能基を含む分散剤を用いることが好ましく、アニオン系官能基を含むポリエステル系樹脂、アニオン系官能基を含むアクリル系樹脂を用いることがより好ましい。例えば、カルボン酸含有アクリル系樹脂、酸含有ポリエステル系樹脂、酸及び塩基含有ポリエステル系樹脂などを用いることができる。具体的には、三菱レイヨン社製の“ダイヤナールMR−2539”、“ダイヤナールMB−2389”、“ダイヤナールMB−2660”、“ダイヤナールMB−3015”、“ダイヤナールBR−60”、“ダイヤナールBR−64”、“ダイヤナールBR−77”、“ダイヤナールBR−84”、“ダイヤナールBR−83”、“ダイヤナールBR−106”、“ダイヤナールBR−113など、あるいはアビシア社製の“ソルスパーズ3000”、“ソルスパーズ21000”、“ソルスパーズ26000”、“ソルスパーズ32000”、“ソルスパーズ36000”、“ソルスパーズ41000”、“ソルスパーズ43000”、“ソルスパーズ44000”、“ソルスパーズ45000”、“ソルスパーズ56000”などの市販のものを用いることができる。
また、上記分散剤としては、シリコンカップリング剤、チタンカップリング剤などのアルコキシ金属塩を含む加水分解性官能基含有化合物を用いてもよい。例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコレート、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトナトアセテート)、トリノルマルブトキシチタンモノステアレートを用いることができる。
上記分散剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。上記分散剤の添加量は、透明導電性粒子と分散剤との合計重量に対し0.1〜20重量%が好ましい。0.1重量%より少ないと、分散効果が得られない傾向がある。また、20重量%を超えると、塗膜強度が劣る傾向がある。
上記溶剤としては、ヘキサンなど炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエステルなどのグリコールエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤を用いることができる。また上記溶剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
上記コーティング組成物の作製は、透明導電性粒子を樹脂及び/又は溶剤中に分散できればよく、特に限定されない。例えば、サンドグラインドミルなどのビーズミル、超音波分散機、3本ロールミルなどによる分散処理が挙げられるが、より分散性が優れるという点から、ビーズミルによる分散処理が好ましい。
また、上記コーティング組成物の作製は、透明導電性粒子と分散剤と溶剤からなる混合物を分散処理した後に硬化性樹脂、重合開始剤及び溶剤を追加配合してもよく、透明導電性粒子と分散剤と溶剤からなる混合物にその他の成分を全部又は一部添加した後に分散処理してもよい。
上記コーティング組成物において溶剤を除く成分中の透明導電性粒子の体積含有率は、40〜80%であり、より好ましくは45〜80%である。上記体積含有率が40%より少ない場合、硬化処理後にカレンダ処理を行っても、塗膜の電気特性は顕著に改善されない傾向がある。これは、カレンダ処理前の塗膜中に空隙が形成されなかったため、カレンダ処理による透明導電性粒子の接近、接触が阻害されたためであると考えられる。一方、上記体積含有率が80%を超えると、塗膜強度が劣る。これは、カレンダ処理後に、塗膜中に空隙が残るためであると考えられる。本発明では、上記のように体積含有率は、溶剤を除くコーティング組成物成分全体に対する透明導電性粒子の体積の比率を意味する。ところで、上記溶剤を除くコーティング組成物成分、例えば透明導電性粒子、樹脂成分、分散剤、重合開始剤などの体積は、それぞれの重量含有率及び比重から求めてもよい。また、比重、即ち真密度はピクノメータを用いて測定するなど従来公知の方法で測定すればよい。このうち、放射線硬化性樹脂の比重は、例えば、樹脂に対し紫外線重合開始剤、例えば2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オンを5重量%添加し、紫外線を500mJ/cm2照射して得られた放射線硬化後の樹脂の測定値を用いることが好ましい。
透明基材11としては、透明な透光性を有する材料で形成されていれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリオレフィン類、セルローストリアセテートなどのセルロース樹脂、ナイロン、アラミドなどのアミド樹脂、ポリフェニレンエーテルフィルム、ポリスルホンエーテルフィルムなどのポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂などの材料からなる、フィルム又はシートを用いることができる。また、ガラス、セラミックスなどを用いてもよい。透明基材11の厚さは、通常3〜300μmである。
なお、透明基材11には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤などの添加剤が添加されていてもよい。さらに、その上に設けられる膜との密着性を向上させるために、基材表面に易接着層(例えば、プライマー層)を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行ってもよい。
本発明の透明導電膜10の製造方法における第一の工程として、上記コーティング組成物を、透明基材11上に塗布して塗膜を形成する。塗布方法としては、平滑な塗膜を形成しうる塗布方法であればよく、特に限定されない。例えば、グラビアロール法、マイクログラビアロール法、スプレイ法、スピン法、ナイフ法、キス法、スクイズ法、リバースロール法、ディップ法、バーコート法などの塗布方法を用いることができる。また必要に応じて、コーティング組成物を塗布した後、乾燥によって溶剤を除去する。塗膜中の残存溶剤は塗膜を柔軟にする作用があり、カレンダロールの汚れの原因になることがあるため、塗膜中の残存溶剤は低減することが好ましい。上記塗膜中の残存溶剤は、塗膜厚み1μmあたり10mg/m2以下が好ましい。ここで、塗膜中の残存溶剤は、ガスクロマトグラフなどを用いて塗膜からの残存溶剤などの揮発成分を評価することにより得られる。また、上記上記塗膜中の残存溶剤などの揮発成分はカレンダ効果を向上する働きもあるので、塗膜厚み1μmあたり0.1mg/m2以上含むことが好ましい。塗膜の厚みは、0.1〜10μmが好ましい。0.1μmより薄い場合、カレンダ処理の効果を得ることが困難となり、10μmより厚い場合、透光性が劣る傾向にある。
また、第二の工程として、上記塗膜を、硬化処理する。硬化性樹脂として放射線硬化性樹脂を用いる場合は、放射線により硬化処理を行うことができる。放射線としては、紫外線、電子線、β線などを用いることができる。簡便に利用されるものとして、紫外線が挙げられる。紫外線の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線LEDランプなどが使用される。紫外線の照射エネルギー量は、150〜2,000mJ/cm2が好ましく、250〜1,000mJ/cm2がより好ましい。また、放射線硬化性樹脂と熱重合開始剤を用いる場合は、熱硬化処理を行えばよい。また、硬化性樹脂として熱可塑性樹脂と熱硬化剤を用いる場合も、熱硬化処理を行えばよい。上記熱硬化処理の温度は、基材の変形を防ぐため、透明基材11のガラス転移温度より低く設定することが好ましい。
さらに、第三の工程として、硬化処理後の塗膜(以下、原反ロールともいう。)を、カレンダ処理して透明導電膜12を形成する。カレンダ処理を効率よく行うには、透明基材として樹脂フィルムを用い、カレンダロールを用いて処理することが好ましい。カレンダロールは、少なくとも金属ロールを1本含むことが好ましい。ここで、金属ロールとは、ロール表面にクロムメッキなどの金属メッキを施したロールをいう。また、ロール表面の粗度(Ry)が1.0μm以下のものを用いることが好ましい。ロール表面を研磨することなどにより、ロール表面の粗度(Ry)を1.0μm以下にすることができる。また、金属ロールにコーティング組成物を塗布して形成した塗膜が接触するように原反ロールをセットして、カレンダ処理することが好ましい。カレンダ処理の温度、即ちカレンダロールの温度は、基材の変形などを考慮して決めることが必要であるが、50〜200℃の範囲が好ましい。50℃より低いと、電気特性改善効果が乏しい傾向がある。200℃を超えると、基材が変形する恐れがある。また、カレンダ処理の線圧力は1000N/cm以上が好ましい。1000N/cmより低いと、電気特性改善の効果が乏しい傾向がある。
上記透明導電性シートの表面抵抗は、1500Ω/スクエア以下であることが好ましく、1000Ω/スクエア以下であることがさらに好ましく、500Ω/スクエア以下であることが特に好ましい。上記表面抵抗は、透明導電性シートの導電性を示すものであり、値が低いほど、導電性が高く、電気特性に優れる。ここで、表面抵抗とは、カレンダ処理直後のシート抵抗をいう。
上記透明導電性シートの380〜780nmの波長領域におけるヘイズは、3%以下であることが好ましく、2.5%以下であることがさらに好ましく、2%以下であることが特に好ましい。上記ヘイズは、透明導電性シートの透明性の尺度の一つであり、値が低いほど、透明性が高く、光学特性に優れる。
上記透明導電性シートの380〜780nmの波長領域における全光線透過率は、75%以上であることが好ましく、83%以上であることがさらに好ましい。上記全光線透過率は、透明導電性シートの透明性の尺度の一つであり、値が高いほど、透明性が高いことを示す。透過率をさらに高めるため、透明基材の上に高屈折率層、低屈折率層あるいはこれらを組み合わせて設けてもよい。
後述するように上記透明導電性シートの摺動試験前後の表面抵抗の変化は、2倍以下であり、塗膜強度に優れる。
上記のように、本発明の透明導電性シートの製造方法によれば、良好な電気特性及び電気特性を有しつつ、優れた塗膜強度を有する透明導電性シートが得られる。
以下、実施例に基いて本発明を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に指摘がない場合、下記において、「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
<コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、分散メディアとして直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、ペイントコンディショナーを用いて1時間分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%、比重:7.21) 95部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(アビシア社製“ソルスパーズ32000”、比重:1.13) 4.0部
(3)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔DPHA〕(日本化薬社製放射線硬化性樹脂、比重:1.29) 0.5部
(4)メチルエチルケトン 75部
(5)トルエン 75部
次に、分散処理した上記の混合物に、以下の紫外線重合開始剤及び溶剤を添加・混合した。その後、フィルターを通してジルコニアビーズを取除いて、コーティング組成物を得た。
(6)紫外線重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製“IRGACURE907”、比重:1.14) 0.2部
(7)シクロヘキサノン 42.5部
(8)トルエン 42.5部
<透明導電性シートの作製>
上記コーティング組成物をマイクログラビアコータを用いてポリエステルフィルム(東レ社製“ルミラー”、厚み:100μm)に塗布、乾燥した。その後、500mJ/cm2の紫外線を照射し、原反ロールを得た。得られた原反ロールにカレンダ処理を行った。具体的には、1対の金属ロール(表面ハードクロムメッキ、Ry:0.8μm)を有するロール処理機を用い、ロール温度110℃、線圧力5000N/cm、搬送速度5m/分の条件で行い、実施例1の透明導電性シートを得た。なお、塗膜厚みはカレンダ処理後に、1μmとなるように設定した。
(実施例2)
<コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、実施例1と同様に分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%、比重:7.21) 85部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(アビシア社製“ソルスパーズ32000”、比重:1.13) 3.58部
(3)トリメチロールプロパントリアクリレート〔TMPTA〕(サートマー社製放射線硬化性樹脂、比重:1.24) 11.42部
(4)メチルエチルケトン 75部
(5)トルエン 75部
次に、分散処理した上記の混合物を用い、紫外線重合開始剤の添加量を0.75部とした以外は、実施例1の場合と同様にして、コーティング組成物を得た。
<透明導電性シートの作製>
上記コーティング組成物を実施例1と同様に、ポリエステルフィルムに塗布・乾燥させ、紫外線を照射し、原反ロールを得た。得られた原反ロールに、線圧力を7500N/cmに変更した以外は実施例1と同様に条件でカレンダ処理を行い、実施例2の透明導電性シートを得た。
(実施例3)
<コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、実施例1と同様に分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%、比重:7.21) 96部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(アビシア社製“ソルスパーズ32000”、比重:1.13) 3.50部
(3)DPHA(日本化薬社製放射線硬化性樹脂、比重:1.29) 0.50部
(4)メチルエチルケトン 75部
(5)トルエン 75部
次に、分散処理した上記の混合物を用い、紫外線重合開始剤の添加量を0.25部とした以外は、実施例1の場合と同様にして、コーティング組成物を得た。
<透明導電性シートの作製>
上記コーティング組成物を実施例1と同様に、ポリエステルフィルムに塗布・乾燥させ、紫外線を照射し、原反ロールを得た。得られた原反ロールに、温度を80℃に、線圧力を6000N/cmに変更した以外は、実施例1と同様に条件でカレンダ処理を行い、実施例3の透明導電性シートを得た。
(実施例4)
<コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、実施例1と同様に分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%、比重:7.21) 90部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(三菱レイヨン社製“ダイナールBR113”、比重:1.21) 5.0部
(3)DPHA(日本化薬社製放射線硬化性樹脂、比重:1.29) 5.0部
(4)メチルエチルケトン 75部
(5)トルエン 75部
次に、分散処理した上記の混合物を用い、紫外線重合開始剤の添加量を1.0部とした以外は、実施例1の場合と同様にして、コーティング組成物を得た。
<透明導電性シートの作製>
上記コーティング組成物を実施例1と同様に、ポリエステルフィルムに塗布・乾燥させ、紫外線を照射し、原反ロールを得た。得られた原反ロールに、温度を120℃に変更した以外は実施例1と同様に条件でカレンダ処理を行い、実施例4の透明導電性シートを得た。
(実施例5)
カレンダ処理の線圧力を2500N/cmに変更した以外は、実施例4と同様にして、実施例5の透明導電性シートを得た。
(実施例6)
<コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、実施例1と同様に分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%、比重:7.21) 90部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(三菱レイヨン社製“ダイナールBR113”、比重:1.21) 5.0部
(3)熱可塑性樹脂(アクリル系樹脂、三菱レイヨン社製“ダイヤナールLR2586”、比重:1.20) 5.5部
(4)メチルエチルケトン 75部
(5)トルエン 75部
次に、分散処理した上記の混合物に、以下の熱重合開始剤及び溶剤を添加・混合して、実施例1と同様にして、コーティング組成物を得た。
(6)熱硬化剤(ポリイソシアネート系化合物、日本ポリウレタン工業社製“コロネートHX”、比重:1.15) 0.5部
(7)シクロヘキサノン 42.5部
(8)トルエン 42.5部
<透明導電性シートの作製>
上記コーティング組成物を実施例1と同様に、ポリエステルフィルムに塗布・乾燥させた後、熱硬化処理(60℃、24時間保存)を行い原反ロールを得た。得られた原反ロールに、実施例4と同様に条件でカレンダ処理を行い、実施例6の透明導電性シートを得た。
(比較例1)
実施例1と同様のコーティング組成物を、実施例1と同様にポリエステルフィルムに塗布、乾燥させた。次に、実施例1と同様の条件でカレンダ処理を行い、その後、実施例1と同様の条件で紫外線照射を行った。即ち、紫外線照射とカレンダ処理の順番を変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の透明導電性シートを得た。
(比較例2)
<コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、実施例1と同様に分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%、比重:7.21) 97.5部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(アビシア社製“ソルスパーズ32000”、比重:1.13) 2.20部
(3)DPHA(日本化薬社製放射線硬化性樹脂、比重:1.29、) 0.5部
(4)メチルエチルケトン 75部
(5)トルエン 75部
次に、分散処理した上記の混合物を用い、紫外線重合開始剤の添加量を0.15部とした以外は、実施例1の場合と同様にして、コーティング組成物を得た。
<透明導電性シートの作製>
上記コーティング組成物を実施例1と同様に、ポリエステルフィルムに塗布・乾燥させ、紫外線を照射し、原反ロールを得た。得られた原反ロールに、温度を80℃に変更した以外は実施例1と同様に条件でカレンダ処理を行い、比較例2の透明導電性シートを得た。
(比較例3)
<コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、実施例1と同様に分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%、比重:7.21) 78部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(アビシア社製“ソルスパーズ32000”、比重:1.13) 3.37部
(3)TMPTA(サートマー社製放射線硬化性樹脂、比重:1.24) 18.63部
(4)メチルエチルケトン 75部
(5)トルエン 75部
次に、分散処理した上記の混合物を用い、紫外線重合開始剤の添加量を0.75部とした以外は、実施例1の場合と同様にして、コーティング組成物を得た。
<透明導電性シートの作製>
上記コーティング組成物を実施例1と同様に、ポリエステルフィルムに塗布・乾燥させ、紫外線を照射し、原反ロールを得た。得られた原反ロールに、線圧力を7500N/cmに変更した以外は実施例1と同様に条件でカレンダ処理を行い、比較例3の透明導電性シートを得た。
(比較例4)
<コーティング組成物の調製>
先ず、以下の組成の混合物を、実施例1と同様に分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%、比重:7.21) 90部
(2)アニオン性官能基含有分散剤(三菱レイヨン社製“ダイナールBR113”、比重:1.21) 5.0部
(3)熱可塑性樹脂(アクリル系樹脂、三菱レイヨン社製“ダイヤナールLR2586”、比重:1.20、) 6.0部
(4)メチルエチルケトン 75部
(5)トルエン 75部
次に、分散処理した上記の混合物に、以下の溶剤を添加・混合して、実施例1と同様にして、コーティング組成物を得た。
(6)シクロヘキサノン 42.5部
(7)トルエン 42.5部
<透明導電性シートの作製>
上記コーティング組成物をポリエステルフィルムに塗布・乾燥させ、紫外線照射を行わないこと以外は、実施例1と同様にして原反ロールを得た。得られた原反ロールに実施例4と同様にカレンダ処理を行い、比較例4の透明導電性シートを得た。
実施例1〜6及び比較例1〜4の透明導電性シートについて、下記のとおり電気抵抗、光学特性及び塗膜強度を測定・評価した。その結果を下記表1に示す。
(電気抵抗)
透明導電性シートから長さ75mm、幅75mmのサンプルを切り出し、抵抗率計(“ロウレスタAP−MCP−T400”)及び抵抗率計(“ハイレスタHT−210”)を用いて、透明導電膜側の表面抵抗率を測定した。なお、いずれの抵抗率計もダイアインスツルメンツ社製である。
(光学特性)
光学特性は、ヘイズを測定することにより評価した。ヘイズの値が低いほど、光学特性が優れることになる。紫外可視近赤外分光光度計“V−570”(日本分光社製)を用いて、ポリエステルフィルムを含めた透明導電性シートの曇り(ヘイズ)を評価した。具体的には、積分球ILN−472を組み合わせ、ヘイズ値計算モードで、レスポンスがFast、バンド幅が2.0nm、近赤外が8.0nm、走査速度が400nm/minの条件で波長範囲380〜780nmの透過率スペクトルを測定した。ヘイズの計算は、C光源、視野2度の条件で行った。評価試料は、透明導電性シートから幅30mm、長さ50mmのサンプルを切り出して使用した。
(塗膜強度)
表面性測定機“HEIDON−14DR”(新東科学社製)を用いて、塗膜強度を評価した。具体的には、直径15mmの円柱冶具の円形底面に布(日本薬局方ガーゼタイプI)を平らになるように巻きつけ固定した。次に、冶具を底面と試料の透明導電膜が平行に接触するように測定器にとり付け、バランスをとり、500g/cm2の圧力がかかるように錘をセットした。摺動速度が4500mm/分、ストロークが25mmの条件で測定器を動かし、往復摺動試験を行った。往復回数は2000回とした。摺動試験前後の表面抵抗の変化が、2倍以下のものをA、2倍より大きいものをBとして評価した。評価試料は、透明導電性シートから幅25mm、長さ75mmのサンプルを切り出して使用した。
Figure 2010165642
表1から、実施例1〜5では、ITO粒子の体積含有率が40〜80%の範囲にあり、硬化性樹脂である放射線硬化性樹脂を含み、放射線照射後にカレンダ処理を行ったので、電気抵抗は低く、光学特性が良好であり、塗膜強度もよいことがわかる。また、実施例6ではITO粒子の体積含有率が40〜80%の範囲にあり、硬化性樹脂として熱可塑性樹脂と熱硬化剤とを含み、熱硬化処理後にカレンダ処理を行ったので、電気抵抗は低く、光学特性が良好であり、塗膜強度もよいことがわかる。
一方、比較例1ではカレンダ処理後に放射線照射を行ったため、光学特性が劣り、また塗膜強度が劣ることがわかる。比較例2ではITO粒子の体積含有率が80%を超えたため、塗膜強度が劣ることがわかる。また、比較例3では、ITO粒子の体積含有率が40%より低いため、カレンダ処理前後で電気抵抗は変わらず、高いことがわかる。比較例4では放射線硬化性樹脂を含まず、また熱硬化剤も含まず、塗膜が硬質にならないため、光学特性が劣り、また塗膜強度が劣ることが分かる。
透明導電性粒子を含む透明導電膜を形成するに際し、塗膜を硬化処理した後にカレンダ処理を行うことにより、良好な電気特性及び光学特性を有しつつ、優れた塗膜強度を有する透明導電性シートが得られ、タッチパネル用電極、透明面発熱体などへの応用が期待できる。
10 透明導電性シート
11 透明基板
12 透明導電膜

Claims (10)

  1. 透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜とを含む透明導電性シートの製造方法であって、
    前記透明基材の上に、透明導電性粒子と硬化性樹脂と溶剤とを含むコーティング組成物を塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜を硬化処理する工程と、
    前記硬化処理後の塗膜をカレンダ処理して透明導電膜を形成する工程とを含み、
    前記透明導電性粒子の平均一次粒子径が、10〜200nmであり、
    前記コーティング組成物における前記透明導電性粒子の体積含有率が、40〜80%であることを特徴とする透明導電性シートの製造方法。
  2. 前記透明導電性粒子が、スズ含有酸化インジウム粒子、アンチモン含有酸化スズ粒子、アルミニウム含有酸化亜鉛粒子、ガリウム含有酸化亜鉛粒子及びアルミニウム置換したスズ含有酸化インジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の透明導電性シートの製造方法。
  3. 前記コーティング組成物は、さらにアニオン系官能基を含むポリエステル系樹脂、アニオン系官能基を含むアクリル系樹脂、及びアルコキシ金属塩を含む加水分解性官能基含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む請求項1又は2に記載の透明導電性シートの製造方法。
  4. 前記硬化性樹脂が、放射線硬化性樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性シートの製造方法。
  5. 前記コーティング組成物は、さらに紫外線重合開始剤を含み、
    前記硬化処理に紫外線を用いる請求項4に記載の透明導電性シートの製造方法。
  6. 前記コーティング組成物は、さらに熱重合開始剤を含み、熱硬化処理を行う請求項4に記載の透明導電性シートの製造方法。
  7. 前記硬化性樹脂が、熱可塑性樹脂と熱硬化剤からなり、熱硬化処理を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性シートの製造方法。
  8. 前記熱硬化処理の温度が、前記透明基材のガラス転移温度より低い請求項6又は7に記載の透明導電性シートの製造方法。
  9. 前記透明基材が、樹脂フィルムであり、
    前記カレンダ処理に用いるカレンダロールの少なくとも1本が金属ロールであり、
    前記カレンダ処理は、1000N/cm以上の線圧力、かつ前記コーティング組成物の塗布面が前記金属ロールに接触するようにして行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電性シートの製造方法。
  10. 透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜とを含む透明導電性シートであって、
    前記透明導電膜は、透明導電性粒子と硬化性樹脂とを含み、
    前記透明導電膜は、前記透明導電性粒子と前記硬化性樹脂と溶剤とを含むコーティング組成物を透明基材の上に塗布して乾燥させ、硬化処理を行い、その後、カレンダ処理を行うことにより形成されており、
    前記透明導電性粒子の平均一次粒子径が、10〜200nmであり、
    前記コーティング組成物における前記透明導電性粒子の体積含有率が、40〜80%であることを特徴とする透明導電性シート。
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