JP6210851B2 - 透明導電性シート - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電性シートに関する。
従来、透明導電性シートは、基材上にスズ含有酸化インジウムなどからなる透明導電性薄膜をスパッタリング、蒸着などのいわゆるドライプロセスで作製し、製造されている。このようなドライプロセスは、真空条件で行われるため、製造装置が高価となり、また生産効率が低い。そのため、このようなドライプロセスに代わる方法として透明導電性粒子を含む分散液を塗布して透明導電膜を形成するウェットプロセスの検討が進められている。
ウェットプロセスでは、ドライプロセスで使用されてきたスズ含有酸化インジウムの他、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ、酸化亜鉛、ガドリウム含有酸化スズ、フッ素含有酸化スズなどを粒子化して用い、このような透明導電性粒子の分散液を基板上に塗布して透明導電膜を形成したものが実用化されている。
透明導電性粒子のうち、酸化インジウムにスズを含有させたスズ含有酸化インジウム(ITO)粒子は、可視光に対する高い透光性と、高い導電性から、静電防止や電磁波遮蔽が要求されるCRT画面、LCD画面などに用いる静電防止フィルムや電磁波遮蔽フィルムに好適な材料として用いられてきた。
このようなウエットプロセスで形成した透明導電性シートは、タッチパネルあるいはパネル型地上波デジタルアンテナ、液晶表示素子、調光フィルム、エレクトロクロミック素子、電子ペーパーなどへの利用が検討されている。特に、液晶表示素子、調光フィルム、エレクトロクロミック素子などの電極に透明導電性シートを利用した場合、塗布膜はスパッタリング膜に比較して耐屈曲性に優れるため、湾曲部への適用が可能となり、製品展開が広がるものと期待されている。
ところで、ウエットプロセスにより低抵抗で光学特性に優れた透明導電性シートを作製する方法は、例えば特許文献1、特許文献2などに示されている。特許文献1では、ITO粒子を樹脂と共に溶剤中に分散させたペーストを樹脂フィルム上に塗布し、乾燥し、スチールロールにより圧縮処理を行い、透明導電膜を作製する方法が提案されている。この場合、ペーストの固形成分中にITO粒子は体積含有率で60〜80%含めて圧縮処理を行うことで、ITO粒子が相互に接近して抵抗低減を行い、また、ITO粒子間の空隙を樹脂で埋め尽くすことによりボイドによる光散乱を防止して光学特性向上を行っている。
また、特許文献2では、導電性粒子の体積を100とした時、その導電性粒子と体積で20未満の樹脂とを含む分散液を、支持体上に塗布し、乾燥し、圧縮処理して導電性粒子の圧縮層とし、得られた導電性粒子の圧縮層に透明物質を含浸して透明導電膜を作製することが提案されている。この場合、導電性粒子の体積を100とした時、樹脂の体積を20以上とすると導電性粒子同士の接触を阻害し、導電性が十分に確保できないことになるとしている。さらに、導電性粒子の圧縮層は多孔質のため、光散乱を生じることがあり、そこに樹脂を含浸することで、抵抗が低く、光散乱の少ない透明導電性シートを得ている。
更に特許文献3では、透明導電膜の厚さと有機物膜の厚さが各々特定の範囲の透明導電シートにおいて、導電性と光学特性に優れ、更に色調及びコントラストの変化が小さい透明導電シートが記載されている。
特許第2994764号公報 特開2001−332134号公報 特開2013−71439号公報
以上のように、導電性粒子を用いて抵抗が低く、光散乱が少ない光学特性が良好な透明導電性シートを得るには、塗布、乾燥後に塗膜を圧縮処理することが必要と考えられてきた。しかしながら、圧縮処理は、処理ロールなどの装置の一部に導電性塗膜の一部が付着するなどして圧縮装置を汚損し、透明導電性シートに凹み、付着物など欠陥を生じることが懸念される。
また、圧縮処理して得られた透明導電性シートを液晶表示素子、調光フィルムなどの電極として用いることを検討したところ、色調、コントラストなどにムラを生じることが分かった。更に透明導電シートにおいて透明導電膜の厚さと、透明導電膜の上に設けられる有機物膜の厚さの比率と、全光線透過率やヘイズなどの光学特性やイオンバリア性の関係については一切検討されていない。
このため、本発明は、調光フィルムなどの電極に用いた場合にも、最適な表面抵抗値を維持すると共に、ヘイズや全光線透過率などの光学特性に優れた透明導電性シートを提供するものである。
上記課題を解決するため、請求項1の透明導電性シートは、透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜の上に形成された有機物膜とを含む透明導電性シートであって、前記透明導電膜は、導電性粒子とバインダ樹脂とを含み、前記透明導電膜の厚さTaが、550〜900nmであり、前記有機物膜の厚さTbが、100〜200nmであり、前記透明導電膜の厚さと、前記有機物膜の厚さの比、Tb/Taが0.1〜0.3であることを特徴とする透明導電性シートである。
請求項2では前記導電性粒子の平均一次粒子径が、10〜200nmである透明導電性シートである。
請求項3では前記透明導電膜は、前記導電性粒子を83〜88重量%含むことを特徴とする透明導電性シートである。
請求項4では前記透明導電膜のガラス転移温度が、45〜110℃である透明導電性シートである。
請求項5では前記透明導電膜の表面抵抗値が5000〜20000Ω/□である透明導電シートである。
更に請求項6ではヘイズが、0.3〜1.2%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性シートである。
本発明によれば光学特性に優れ、イオンバリア性に関係する抽出水の伝導率が低く、かつ調光フィルムなどの電極に用いた場合、最適な表面抵抗値を維持すると共に、ヘイズや全光線透過率などの光学特性に優れた透明導電性シートを提供できる。
図1は、本発明の透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。
本発明の透明導電性シートは、透明基材と、上記透明基材の上に形成された透明導電膜と、上記透明導電膜の上に形成された有機物膜とを備えている。また、上記透明導電膜は、導電性粒子とバインダ樹脂とを含み、前記透明導電膜の厚さTaが、550〜900nmであり、前記有機物膜の厚さTbが、100〜200nmであり、前記透明導電膜の厚さと、前記有機物膜の厚さの比、Tb/Taが0.1〜0.3である。また、光学特性においてヘイズは、1.2%以下と良好である。
上記透明導電膜の厚さTaを550〜900nmとすることで、調光フィルムなどの電極に用いた場合、必要な表面抵抗値を確保しながら抽出水の伝導率を上昇させることなく、ヘイズや全光線透過率などの光学特性を維持することができる。透明導電膜の厚さTaが550nmより薄くなると、電極として必要な表面抵抗値が得られなくなる。一方900nmより厚くなるとヘイズや全光線透過率などの光学特性が低下するとともに、抽出水の伝導率が上昇する。透明導電膜の厚さTaを650〜800nmの範囲とすることがより好ましい。
また、上記有機物膜の厚さTbを100〜200nmとすることで、調光フィルムなどの電極に用いた場合、抽出水の伝導率上昇を抑制させると共に、ヘイズや全光線透過率などの光学特性を維持することができる。有機物膜の厚さTbが100nmより薄くなると、抽出水の伝導率が上昇する。一方200nmより厚くなると、ヘイズや全光線透過率の光学特性が低下する。有機物膜の厚さTbを110〜160nmの範囲とすることがより好ましい。
更に透明導電膜の厚さと、前記有機物膜の厚さの比、Tb/Taが0.1〜0.3の範囲とすることで、調光フィルムなどの電極に用いた場合、必要な表面抵抗値を確保しながら抽出水の伝導率上昇を抑制させると共に、ヘイズや全光線透過率などの光学特性を維持することができる。
Tb/Taが0.1より小さい場合、有機物膜の厚さTbが小さい場合は抽出水の伝導率上昇を抑制することが困難となり、ヘイズや全光線透過率などの光学特性が低下し、調光フィルムなどの電極用途としての耐久性を得ることができない。一方透明導電膜の厚さTaが大きい場合は、抽出水の伝導率が上昇し調光フィルムなどの電極用途としての特性を得ることができないと共に、ヘイズや全光線透過率などの光学特性を維持することができない。
Tb/Taが0.3より大きい場合、有機物膜の厚さTbが大きい場合はヘイズや全光線透過率などの光学特性を維持することができない。一方透明導電膜の厚さTaが小さい場合は調光フィルムなどの電極に用いた場合、必要な表面抵抗値を確保することができない。Tb/Taは0.15〜0.25の範囲がより好ましい。
本願では調光フィルムなどの電極用途としての透明導電性シートを実現するためには、抽出水の伝導率上昇の抑制と共に必要な表面抵抗値を確保し、その上でヘイズや全光線透過率などの光学特性を満足する必要がある。これら全てを満足するためには、透明導電性シートを構成する、抽出水の伝導率や表面抵抗値と密接に関係する透明導電膜の厚さTaと、この透明導電膜に設け、ヘイズや全光線透過率などの光学特性と密接に関係する有機物膜の厚さTbと共に、更にこれらの比率Ta/Tbが重要であることを見出して本願を発明するに到った。
導電性粒子を用いた透明導電膜を有する透明導電性シートを調光フィルムなどに組み込んで試験したところ、コントラストが経時変化する場合があった。これは、調光層などの特性劣化によるものであり、さらに透明導電膜中のイオン成分が影響していることを見出した。即ち、透明導電膜中のイオン成分が調光層などに移行し、このため、色調、コントラストが変化することが分かった。これに対し、イオンバリア膜となる有機物膜を透明導電膜上に設け対処することとした。具体的には、所定の塗膜組成で作製した光学特性が良好で低抵抗の透明導電膜上に有機物膜をイオンバリア膜として設け、更に透明導電膜と有機物膜の各厚さや厚さの比率を特定の範囲に設定することにより、透明導電膜中のイオン成分の調光層などへの移行を低減し、色調、コントラストの変化は抑制されると考え、本発明に至った。
有機物膜のイオンバリア層としての機能性を確認する手段として、抽出水の伝導率を測定する方法が簡便で適している。抽出水の伝導率が低いものは有機物層がイオンバリア層としての機能を充分発揮しており、透明導電膜中の不純物であるイオンが有機物膜の表層に移行していないことを示す。一方、抽出水の導電率が高いものは、有機物層がイオンバリア層としての機能を充分発揮していない、若しくは透明導電膜中の不純物が多く、有機物膜の表層にイオン成分が移行していることを示す。
次に、本発明を図面に基づき説明する。
先ず、本発明の透明導電性シートについて説明する。図1は、本発明の透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。図1において、本発明の透明導電性シート10は、透明基材11と、透明基材11の上に形成された透明導電膜12と、透明導電膜12の上に形成された有機物膜13とを備えている。
(透明導電膜)
透明導電膜12は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂とを含む。透明導電膜の厚さTaを550〜900nmとすることで、調光フィルムなどの電極に用いた場合、必要な表面抵抗値を確保しながら抽出水の伝導率を上昇させることなく、ヘイズや全光線透過率などの光学特性を維持することができる。
透明導電膜12のガラス転移温度は、45〜110℃であることが好ましい。透明導電膜12のガラス転移温度は、透明基材11から透明導電膜12を物理的・化学的に剥離させることにより、測定試料を作製し、示差走査熱量測定(DSC)により直接測定することができる。透明導電膜12を透明基材11から物理的・化学的に剥離する方法は特に限定されないが、物理的剥離方法としては、例えば、透明基材11の上の透明導電膜12を摩擦等により擦り取る方法あり、また、化学的剥離方法としては、例えば、透明導電膜12を有機溶剤等により膨潤させて剥離した後、乾燥させて有機溶媒等を除去する方法がある。なお、透明導電膜のガラス転移温度は、後述するバインダ樹脂のガラス転移温度とほぼ同じ値になる。
<導電性粒子>
上記導電性粒子としては、透明性と導電性を兼ね備えた粒子であれば特に限定されず、例えば、導電性金属酸化物粒子、導電性窒化物粒子などを用いることができる。上記導電性金属酸化物粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウムなどの金属酸化物粒子が挙げられる。また、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化カドミウムからなる群から選ばれる1種類以上の金属酸化物を主成分として、さらにスズ、アンチモン、アルミニウム、ガリウムがドープされた導電性金属酸化物粒子、例えば、アンチモン含有酸化スズ(ATO)粒子、スズ含有酸化インジウム(ITO)粒子、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)粒子、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)粒子、ITOをアルミニウム置換した導電性金属酸化物粒子なども使用できる。中でも、透明性、導電性及び化学特性に優れている点から、ITO粒子、ATO粒子が特に好ましい。また、導電性の観点から、上記ITO粒子において、ITO全体に対してスズの添加量は酸化スズ換算で1〜20重量%が好ましい。ITOへのスズの添加により導電性が改善されるが、スズの添加量が1重量%より少ない場合は導電性の改善が乏しい傾向があり、20重量%を超えても導電性向上の効果は少ない傾向がある。
上記透明導電性粒子は、平均一次粒子径が10〜200nmの範囲にあることが好ましい。10nmより大きい場合、分散処理が容易になり粒子同士の凝集を抑制でき、曇りを抑制でき、ヘイズや全光線透過率などの光学特性が向上する傾向がある。また、200nm以下の場合、粒子による可視光線の散乱が抑制され、曇りが小さくなる傾向がある。ここで、平均一次粒子径は、例えば、作製した塗膜の表面又は断面において、個々の粒子の粒子径を電子顕微鏡により観察・測定した後、少なくとも100個の粒子の粒子径を平均した平均粒子径をいう。
上記透明導電膜12は、このような透明導電性粒子をバインダ樹脂及び溶剤と共に分散処理して分散溶液とし、その分散溶液を透明基材11上に塗布し、乾燥して作製したものである。
<バインダ樹脂>
上記バインダ樹脂としては、バインダとして従来公知のアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、熱硬化性樹脂の少なくとも一種を含めることが好ましい。また、バインダ樹脂には重量平均分子量が10万以下のものを用いることが好ましい。分子量が10万以下のものを用いると光学特性が良好となる。さらに、バインダ樹脂にはアニオン系官能基を含む樹脂を含めることが好ましい。このようなアニオン系官能基を含む樹脂を添加すると、いわゆる分散性が向上するためか、光学特性が向上する。アニオン系官能基を含む樹脂としては、例えば、カルボン酸含有アクリル系樹脂、酸含有ポリエステル系樹脂、酸及び塩基含有ポリエステル系樹脂が好ましい。具体的には、三菱レイヨン社製の“ダイヤナールMR−2539”、“MB−2389”、“MB−2660”、“MB−3015”、“BR−52”、“BR−60”、“BR−64”、“BR−77”、“BR−84”、“BR−83”、“BR−87”、“BR−90”、“BR−95”、“BR−106”、“BR−113”(商品名)など、アビシア社製の“ソルスパーズ3000”、“ソルスパーズ20000”、“ソルスパーズ21000”、“ソルスパーズ26000”、“ソルスパーズ32000”、“ソルスパーズ36000”、“ソルスパーズ41000”、“ソルスパーズ43000”、“ソルスパーズ44000”、“ソルスパーズ45000”、“ソルスパーズ56000”(商品名)などが挙げられる。アニオン系官能基を含む樹脂を添加する場合、その添加量は導電性粒子に対し0.1重量%以上が好ましい。上記添加量が0.1重量%以上であれば、分散効果が得られやすいからである。
また、上記バインダ樹脂のガラス転移温度(Tg)は、45〜110℃であることが好ましい。これにより、前述のとおり、透明導電膜のガラス転移温度も45〜110℃にすることができる。バインダ樹脂のガラス転移温度が低くすぎると、表面抵抗値が高くなる傾向にあり、ガラス転移温度が高すぎると、透明導電膜の柔軟性が低下する傾向にある。バインダ樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)などにより測定することが好ましい。また、バインダ樹脂を複数含み、複数の樹脂のそれぞれのガラス転移温度が分かっている場合には、例えば、Foxの式[1/Tg=Σ(Wi/Tgi)、Wi:樹脂成分iの重量分率、Tgi:樹脂成分iのガラス転移温度(K)]によりバインダ樹脂全体のガラス転移温度を算出することがきできる。
また、バインダ樹脂として熱硬化性樹脂を用いてもよく、例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合は、硬化温度を透明基材11のガラス転移温度以下に設定することが必要である。透明基材11にポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムなどのポリエステル系樹脂フィルムを用いる場合、上記硬化温度を80℃以下に設定することが好ましい。硬化温度が透明基材11のガラス転移温度を超えると、透明基材11が変形することがある。
(透明基材)
透明基材11は、透光性を有する材料で形成されていれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリオレフィン類、セルローストリアセテートなどのセルロース系樹脂、ナイロン、アラミドなどのアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホンエーテルなどのポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、シクロオレフィンポリマー類などの材料からなる、フィルム又はシートを用いることができる。また、ガラス、セラミックスなどを用いてもよい。透明基材11の厚さは、その強度維持のため通常3〜1000μmが好ましく、25〜200μmがより好ましい。
透明基材11には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤などの添加剤が添加されてもよい。さらに、その上に設けられる透明導電膜12との密着性を向上させるために、透明基材11の表面に易接着剤層(例えば、プライマー層)を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行ってもよい。
(有機物膜)
有機物膜の厚さTbを100〜200nmとすることで、調光フィルムなどの電極に用いた場合、抽出水の伝導率上昇を抑制させると共に、ヘイズや全光線透過率などの光学特性を維持することができる。
有機物膜13は、従来公知のアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂の少なくとも一種を用いて形成することが好ましい。これらのうち、放射線硬化性樹脂を用いることが特に好ましい。放射線硬化性樹脂を用いた場合、硬化処理に用いる放射線には、電子線、ベータ線、紫外線などが用いられるが、特に、装置の簡便性から紫外線を用いることが好ましい。紫外線を硬化処理に用いる場合、放射線硬化性樹脂には紫外線重合開始剤を混合することが好ましい。上記放射線硬化性樹脂には、例えば、アクリルモノマー、メタクリルモノマー、アクリルオリゴマー、メタクリルオリゴマー、ウレタンアクリレート、フッ素系アクリレート、シリコン系アクリレート、エポキシアクリレートなどを用いてもよい。また、有機物膜の強度、耐久性、アンチブロッキングなどを向上させるため、フィラーを添加しても良い。フィラーは透明導電シートのヘイズ、透過率を低下させないものが好ましい。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、などの微粒子を用いてもよい。
(ヘイズ)
本願のより好ましい実施形態として、透明導電シートのヘイズが1.2%以下であることが好ましい。ヘイズが高いと、調光フィルムなどの電極に用いた場合、電極が肉眼で見えてしまい意匠性が劣ったり、或いはフィルムを通しての視認性が低下する。ヘイズは小さい方が好ましく、0%が最も好ましい。しかし透明導電膜の厚さや導電性微粒子を使用する場合はその平均一次粒子径の影響を受けるため、下限値は0.3%が好ましい。
(表面抵抗値)
透明導電膜の表面抵抗値は5000〜20000Ω/□が好ましく、8000〜15000Ω/□がより好ましい。透明導電膜の表面抵抗値をこの範囲とすることで、最適な表面抵抗値と、ヘイズや全光線透過率等の最適な光学特性を兼ね備えた透明導電シートを得ることができる。表面抵抗値が5000Ω/□より低下すると、表面抵抗値が低くなりすぎるため電流が流れやすくなり、各種機器の誤作動を起こす可能性が大きくなる。表面抵抗値が20000Ω/□より高くなると表面抵抗値が高くなりすぎるため、導電膜としての役割を果たさなくなるため、好ましくない。
次に、本発明の透明導電性シートの製造方法について説明する。本発明の透明導電性シートの製造方法は、透明導電性粒子と、バインダ樹脂と、溶剤とを含む分散溶液を透明基材11の上に塗布して塗膜を形成する第1塗布工程と、上記第1塗布工程後の上記塗膜を乾燥する第1乾燥工程と、上記第1乾燥工程後の上記塗膜をさらに乾燥して、透明基材11の上に透明導電膜12を形成する第2乾燥工程と、上記第2乾燥工程後の透明導電膜12の上に、樹脂溶液を塗布する第2塗布工程と、上記樹脂溶液を塗布した透明導電膜12を乾燥して、透明導電膜12の上に厚さ100〜200nmの有機物膜13を形成する樹脂乾燥工程とを含んでいる。
(第1塗布工程、第1乾燥工程及び第2乾燥工程)
<導電性粒子とバインダ樹脂と溶剤とを含む分散溶液>
上記分散溶液において、溶剤を除く固形分の全重量に対する透明導電性粒子の重量含有率は、83〜88重量%が好ましい。この範囲とすることで、乾燥時にバインダ樹脂の収縮により透明導電性粒子の密着を図ることができ、透明導電性粒子どうしの接触を良好に保つことができる。その結果、表面抵抗値の低い塗膜が得られる。
透明導電性粒子の重量含率が88%より高い場合、透明導電性粒子の量が増え、バインダ樹脂の量が少なくなるためヘイズが上昇し、光学特性が低下する。
透明導電性粒子の重量含率が83%より低い場合、透明導電性粒子の量が少なくなるため、表面抵抗値が上昇する。
本発明において重量含有率は、溶剤を除く分散溶液の固形分の全重量に対する各成分の重量の比率を意味し、透明導電膜12に含まれる導電性粒子の重量含有率と一致する。
上記分散溶液を作製するには、従来の分散方法を用いることができる。従来の分散方法としては、例えば、サンドグラインドミルなどのビーズミル、超音波分散機、3本ロールミルなどを用いた分散方法が挙げられるが、生産性の観点からビーズミルが好適である。
分散溶液の溶剤には、従来公知の炭化水素類、芳香族類、ケトン類、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、エーテル類などの溶剤が使用できる。具体的には、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、キシレン、シクロヘキサノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどを用いることができる。
上記分散溶液における上記溶剤の配合量は特に限定されず、分散溶液の塗布液としての粘度を維持できるように溶剤の配合量を調整すればよい。さらに、上記分散溶液には、他の成分を含んでいてもよい。
<第1塗布工程>
分散溶液を透明基材11上に塗布して塗膜を形成する方法は特に限定されず、従来の塗布方法を用いることができる。従来の塗布方法としては、例えば、グラビアロール法、マイクログラビアロール法、マイクログラビアコータ法、スリットダイコート法、スプレイ法、スピン法、ナイフ法、キス法、スクイズ法、リバースロール法、ディップ法、バーコート法などが挙げられる。
<第1乾燥工程及び第2乾燥工程>
第1乾燥工程は、温度20〜50℃の条件で行い、その後の第2乾燥工程は、温度90℃以上の環境に1分間以上さらすことにより行う。以上の条件から外れて乾燥処理した場合、表面抵抗値が高かったり、光学特性が劣ったりする場合がある。第2乾燥工程後、塗膜の残存溶剤は、厚さ1μmあたり1mg/m2以下が好ましい。残存溶剤が1mg/m2を超えると、透明導電膜12の表面抵抗値が高くなることがある。
(第2塗布工程及び樹脂乾燥工程)
<有機物膜の形成に用いる樹脂溶液>
上記樹脂溶液に用いる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などの少なくとも一種の樹脂を用いてもよい。また、未硬化の放射線硬化性のモノマー、オリゴマーあるいは樹脂の少なくとも一種を用い、放射線照射により硬化処理して有機物膜13を形成してもよい。
有機物膜13の作製に用いる樹脂溶液の作製は、例えば、樹脂を適切な溶剤に溶解させることにより行うことができる。上記溶剤には、例えば、水;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;あるいは二硫化炭素、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどが挙げられる。これらの溶剤は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。透明導電膜12に使用するバインダ樹脂にアクリル系樹脂、放射線硬化性樹脂を用いる場合、光学特性の点で、上記樹脂溶液の溶剤としてはアルコール類を用いることが好ましい。
上記樹脂溶液における樹脂の配合量は特に制限されないが、例えば、塗布が容易な粘度となることから、溶媒100重量部に対して、樹脂材料が、例えば0.2〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。溶媒100重量部に対して樹脂材料が0.2重量部以上であると、塗布に適した粘度が得られるので好ましく、また、30重量部以下であると、滑らかな塗布面を形成できる粘度が得られるので好ましい。
透明導電膜12の上に有機物膜13を形成するために樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、ダイコート法、ブレードコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法、押出法などが挙げられる。
<樹脂乾燥工程>
このようにして得られた塗膜は、室温〜100℃の範囲で乾燥させて、有機物膜13を得ることができる。以上のようにして、図1に示す本発明の透明導電性シートの一例を製造することができる。有機物膜13の厚さは、100〜200nmとする。このような厚さサブミクロンの塗膜を均一に形成するには、乾燥を緩慢に行うことが好ましく、温度100℃以下の条件で乾燥することが好ましい。このような条件を外れて乾燥した場合、有機物膜13の均一性が劣り、イオンバリア性が劣るためか、調光フィルムなどに用いた場合、色調、コントラストに変化を生じることがある。
有機物膜13の樹脂材料に放射線硬化性樹脂を用いた場合、乾燥処理後、硬化処理を行うことが好ましい。硬化処理には、紫外線、電子線、β線などを用いることができる。簡便に利用されるものとして、紫外線が挙げられる。紫外線の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線LEDランプなどが使用できる。紫外線を用いる場合、紫外線重合開始剤を樹脂溶液に添加してもよい。紫外線重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4−ジエチルチオキサントン、o−ヘンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェン、ベンジル、2−クロロチオキサントン、ジイソプロピルチオザンソン、9,10−アントラキノン、ベンソイン、ベンソインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトンなどが挙げられる。このような、紫外線重合開始剤は、放射線硬化性樹脂に対し、0.5〜20重量%の範囲で添加することが好ましい。この添加量が0.5重量%以上の場合、樹脂の硬化性が優れるためか、塗膜強度が優れるからである。また、この添加量が20重量%以下の場合、架橋が十分に発達できるためか、塗膜強度が向上する傾向にあるからである。紫外線の照射エネルギー量は、100〜2000mJ/cm2が好ましく、150〜1000mJ/cm2がより好ましい。また、上記放射線硬化処理は、酸素による硬化反応の阻害を抑制するため、窒素雰囲気で行うことが好ましい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特に指摘がない場合、下記において、「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
<分散溶液の調製>
先ず、以下の成分の混合物を、分散メディアとして直径0.1mmのジルコニアビーズを用い、ピコミル/浅田鉄工社製のビーズミルを用いて分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:20nm、酸化スズ含有率:8重量%) 90.0部
(2)アニオン性官能基を含むバインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−113”、重量平均分子量30000、ガラス転移温度:75℃) 10.0部
(3)溶剤〔組成比:メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン=50/50(重量比)〕 100部
<透明導電膜用塗料A1の調整>
上記にて得られた分散溶液50部に以下の成分の混合物を加え、30分撹拌を行い透明導電膜用塗料A1を調整した。
(3)バインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−83”、重量平均分子量:40000、ガラス転移温度:105℃) 1.0部
(4)溶剤〔メチルイソブチルケトン〕 35.7部
次に、撹拌した上記混合物をフィルター(日本ミリポア社製のグラスファイバーフィルター“AP−25”)を通して透明導電膜用塗料A1を得た。得られた塗料に含まれる固形分の全重量に対するITO粒子(導電性粒子)の重量含有率は86.5重量%である。また、Foxの式から求めたバインダ樹脂全体のガラス転移温度(Tg)は87℃であった。
<透明導電膜原反の作製>
次に、コータとドライヤとを組み合わせた塗布乾燥機によりを用いて、透明導電膜用塗料A1を透明基材(帝人デュポン社製のポリエステルフィルム“KEL86W”、厚み:125μm、ヘイズ:0.9%)に塗布して塗膜を形成し、25℃にて45秒、40℃にて60秒、110℃にて120秒となるよう乾燥を行い、透明基材上に厚さ550nmの透明導電膜を設けた原反を得た。
<有機物膜用塗料B1の調製>
以下の成分を混合、撹拌して有機物膜用塗料B1を調製した。
(1)放射線硬化性樹脂(ダイセル・オルネクス社製のペンタエリスリトールテトラアクリレート“EBECRYL180”) 2.4部
(2)紫外線重合開始剤(BASFジャパン社製“イルガキュア907”) 0.1部
(3)溶剤(n−プロパノール) 97.5部
<透明導電性シートの作製>
上記原反の透明導電膜上に原反の作製と同じ塗布乾燥機を用い、乾燥膜の厚さが110nmとなるように上記有機物膜用塗料B1を塗布し、ドライヤの温度を25℃にて20秒、50℃にて72秒となるよう乾燥を行い、窒素雰囲気で紫外線照射を行って有機物膜を形成して透明導電性シートを得た。紫外線の照射光量は250mJ/cm2とした。
(実施例2)
有機物膜の厚さを160nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例3)
透明導電膜の厚さを650μmに変更し、有機物膜の厚さを120nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例4)
透明導電膜の厚さを700μmに変更し、有機物膜の厚さを120nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例5)
透明導電膜の厚さを800μmに変更し、有機物膜の厚さを110nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例6)
透明導電膜の厚さを800μmに変更し、有機物膜の厚さを200nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例7)
透明導電膜の厚さを900μmに変更し、有機物膜の厚さを110nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例8)
透明導電膜の厚さを900μmに変更し、有機物膜の厚さを200nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(比較例1)
透明導電膜の厚さを500μmに変更し、有機物膜の厚さを100nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(比較例2)
透明導電膜の厚さを700μmに変更し、有機物膜の厚さを70nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(比較例3)
透明導電膜の厚さを700μmに変更し、有機物膜の厚さを70nmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例9)
<分散溶液の調製>
先ず、以下の成分の混合物を、実施例1と同様にして分散処理して分散溶液を得た。得られた分散溶液に含まれる固形分の全重量に対するITO粒子(導電性粒子)の重量含有率は86重量%である。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:20nm、酸化スズ含有率:8重量%) 86.0部
(2)アニオン性官能基を含むバインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−106”、重量平均分子量:60000、ガラス転移温度:50℃) 14.0部
(3)溶剤〔組成比:メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン=80/20(重量比)〕 100部
<透明導電膜用塗料A2の調整>
上記にて得られた分散溶液50部に以下の成分の混合物を加え、30分撹拌を行い透明導電膜用塗料を調整した。
(3)バインダ樹脂(三菱レイヨン社製のアクリル系樹脂“ダイヤナールBR−87”、重量平均分子量:25000、ガラス転移温度:105℃) 0.9部
(4)溶剤〔メチルイソブチルケトン〕 36.33部
次に、撹拌した上記混合物をフィルター(日本ミリポア社製のグラスファイバーフィルター“AP−25”)を通して透明導電膜用塗料A2を得た。得られた塗料に含まれる固形分の全重量に対するITO粒子(導電性粒子)の重量含有率は83.0重量%である。また、Foxの式から求めたバインダ樹脂全体のガラス転移温度(Tg)は87℃であった。
<透明導電膜付き原反の作製>
上記で得られた分散溶液を用い、表1に示したように乾燥温度を設定し、透明導電膜の厚さを700nmとした以外は、実施例1と同様にして原反を作製した。
<有機物膜用塗料B12の調製>
以下の成分を混合して有機物膜用塗料B1を調製した。
(1)放射線硬化性樹脂(ダイセル・オルネクス社製のトリメチロールプロパントリ
アクリレート“TMPTA”) 1.2部
(2)放射線硬化性樹脂(ダイセル・オルネクス社製のシリコンアクリレート“EBECRYL350”) 1.2部
(2)紫外線重合開始剤(BASFジャパン社製“イルガキュア184”) 0.12部(3)溶剤(n−プロパノール) 97.48部
<透明導電性シートの作製>
上記原反の透明導電膜上に、乾燥膜の厚さが150nmとなるように上記有機物膜用塗料B2を原反の作製と同じ塗布乾燥機を用い、ドライヤの温度を50℃に設定し、搬送速度10m/分で塗布、乾燥し、窒素雰囲気で紫外線照射を行って有機物膜を形成して透明導電性シートを得た。紫外線の照射光量は500mJ/cm2とした。
(実施例10)
透明導電膜の厚さを700nmに変更し、有機物膜の厚さを200nmに変更した以外は、実施例9と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例11)
透明導電膜の厚さを800nmに変更し、有機物膜の厚さを200nmに変更した以外は、実施例9と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例12)
透明導電膜の厚さを800nmに変更し、有機物膜の厚さを150nmに変更した以外は、実施例9と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例13)
透明導電膜の厚さを900nmに変更し、有機物膜の厚さを150nmに変更した以外は、実施例9と同様にして透明導電性シートを作製した。
(実施例14)
透明導電膜の厚さを600nmに変更し、有機物膜の厚さを120nmに変更した以外は、実施例9と同様にして透明導電性シートを作製した。
(比較例4)
透明導電膜の厚さを800nmに変更し、有機物膜の厚さを70nmに変更した以外は、実施例9と同様にして透明導電性シートを作製した。
(比較例5)
透明導電膜の厚さを800nmに変更し、有機物膜の厚さを250nmに変更した以外は、実施例9と同様にして透明導電性シートを作製した。
表1に、実施例1〜14及び比較例1〜5の透明導電膜の塗料組成、乾燥条件、透明導電膜のTg、膜厚(Ta)、及び有機物膜の塗料組成、膜厚(Tb)と透明導電膜と有機物膜との膜厚比(Tb/Ta)を示す。
Figure 0006210851
次に、実施例1〜14及び比較例1〜5の透明導電性シートについて、下記のとおり、全光線透過率、ヘイズ、表面抵抗値、及び抽出水の伝導率を評価した。その結果を表2に示す。
(全光線透過率・ヘイズ)
全光線透過率及びヘイズを日本電色工業社製のヘイズメーター“NDH2000”を用いて測定し評価した。透明導電性シートから30mm×20mmのサンプルを切り出し、全光線透過率は「JIS K 7361」に準拠し、ヘイズは「JIS K 7165」に準拠し測定した。光源はいずれもD65光源を用いた。
(表面抵抗値)
日置電機社製の絶縁抵抗計“DSM−8104”を用いて透明導電性シートの表面抵抗値を測定した。評価試料は、透明導電性シートから30mm×20mmのサンプルを切り出し、マスキングテープを用いてAgペースト(藤倉化成社製“ドータイト”)を30mm辺の両端部に幅5mm塗布した。常温下にて乾燥後、絶縁抵抗計の電極に繋いだワニ口クリップにてサンプル両端のドータイト塗布部を挟み、10Vの電圧を印加し表面抵抗値を測定した。
(抽出水の伝導率)
容量50mLのポリプロピレン製の広口容器(アイボーイ)に15cm×20cmの透明導電性シートを1.5cm×2.0cmに裁断した試験片と超純水5mLとを入れて16時間保存した。そして、保存後、水を分取し、抽出水の伝導率を堀場社製のコンパクト電気伝導率計“B173型”により測定した。用いた超純水の伝導率は0μS/cmであった。抽出水の伝導率が高いほどイオン抽出量が多いことを意味する。
Figure 0006210851
表2から、本発明の実施例1〜14は、比較例1〜5に比べて、全光線透過率、ヘイズ、表面抵抗値、及び抽出水の伝導率において高い評価を得たことが分かる。
一方、比較例1では透明導電膜の厚さが薄いため、表面抵抗値が高くなった。比較例3では透明導電膜の厚さが厚いため、全光線透過率やヘイズの光学特性が低下すると共に、抽出水の伝導率が高くなった。また、比較例2では、有機物膜の厚さが薄いため、抽出水の伝導率が高くなった。
比較例4では、透明導電膜の膜厚に対し有機物膜の膜厚が薄い(Tb/Taが低い)ため、全光線透過率やヘイズの光学特性が低下するとともに、抽出水の導電率が高くなった。さらに、比較例5では、有機物膜の膜厚が厚く、また透明導電膜の膜厚に対し有機物膜の膜厚が厚い(Tb/Taが高い)ため、全光線透過率が低く、またヘイズが高くなった。
本発明は、導電性及び光学特性に優れ、かつ調光フィルムなどの電極に用いた場合、色調及びコントラストの変化が小さい透明導電性シートを提供でき、調光フィルムなどへの応用が期待できる。
10 透明導電性シート
11 透明基材
12 透明導電膜
13 有機物膜

Claims (6)

  1. 透明基材と、前記透明基材の上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜の上に形成された有機物膜とを含む透明導電性シートであって、
    前記透明導電膜は、導電性粒子とバインダ樹脂とを含み、
    前記透明導電膜の厚さTaが、550〜900nmであり、
    前記有機物膜の厚さTbが、100〜200nmであり、
    前記有機物膜は放射線硬化性樹脂を含み、
    前記透明導電膜の厚さと、前記有機物膜の厚さの比、Tb/Taが0.1〜0.3 であることを特徴とする透明導電性シート。
  2. 前記導電性粒子の平均一次粒子径が、10〜200nmである請求項1に記載の透明導電性シート。
  3. 前記透明導電膜は、前記導電性粒子を83〜88重量%含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電性シート。
  4. 前記透明導電膜のガラス転移温度が、45〜110℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性シート。
  5. 前記透明導電膜の表面抵抗値が5000〜20000Ω/□である請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性シート。
  6. ヘイズが、0.3〜1.2%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電シート。
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