JP5788541B2 - エレベータの釣合おもり - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、エレベータの釣合おもりに関する。
エレベータでは、乗りかごとの釣り合いをとるために、乗りかごの重量にバランスする釣合おもりが設けられている。従来の一般的な釣合おもりは、おもり片を幾段にも重ねるようにしておもり枠に積み上げた構造になっている。
近年、乗りかごに乗ったまま外の景色を展望できる展望用エレベータや、昇降路を構成する壁がガラス張りになっているエレベータが増えてきている。この種のエレベータでは、乗りかごだけでなく、乗りかごの昇降に伴って、釣合おもりも外から丸見えとなる。特に、積み上げたおもり片が武骨な印象を与え、エレベータの美観を大きく損なう場合がある。
そこで、展望用エレベータなどでは、おもり片を隠して美観を高めるために、釣合おもりにカバーを取り付けることが従来から行われている(例えば、特許文献1、2)。この種の釣合おもりでは、カバーとなる鋼板を釣合おもりの枠に対してネジの締結によって取り付けている。このようなカバーを釣合おもり枠に取り付けることにより、おもり片を外から見えないように隠すことができ、また、美観が向上する意匠上の効果も得ることができる。
特開2006−151603号公報 特開2010−195517号公報
しかしながら、エレベータの設置される建物によっては、釣合おもりの美観がより一層重視される場合があり、カバーの締結に用いられるねじの頭が見えることさえも見栄えを悪くすると問題にされることがある。
また、エレベータの点検作業時には、釣合おもりについてもカバーを取り外しておもり片の状態などを点検することがある。カバーの固定には、多数のねじを用いているため、カバーを取り外すには、一本一本ねじを戻していかなければならない。そして、点検が終わった後にカバーを取り付けるには、ねじを一本ずつ締め込んでいかねばならず、作業効率が悪いという問題があった。
そこで、本発明は、前記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであって、釣合おもりの枠に対して、ねじなどの締結部材を必要とせずに、おもりを隠すカバーを取り付けることが可能となり、しかもカバーによって美観をより高めることが可能になるようにしたエレベータの釣合おもりを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、乗りかごの重量に対して釣り合いをとるためのエレベータの釣合おもりにおいて、複数個のおもり片と、前記おもり片を積み重ねて搭載するための側面枠を構成するおもり枠と、搭載した前記おもり片を覆い隠すように釣合おもりの正面側および背面側にそれぞれ配置されるおもりカバーと、前記釣合おもりカバーの左右両端部で長さ方向に延びる縦縁部を保持可能な一対のブラケットと、を備え、前記一対のブラケットを釣合おもりの正面側と背面側でそれぞれ前記おもり枠に対して取り付け、前記ブラケットは、前記釣合おもりカバーの縦縁部が挿通され前記縦縁部が嵌合可能な溝を全長に亘って有することを特徴とするものである。
本発明の実施形態によるエレベータの釣合おもりが適用されるエレベータの概略構成を示す図である。 本発明の第1実施形態によるレベータの釣合おもり分解斜視図である。 本発明の第1実施形態によるエレベータの釣合おもりを示す斜視図である。 本発明の第1実施形態によるエレベータの釣合おもりにおいて、釣合おもりカバーを取り付けるブラケットの上端の要部を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態によるエレベータの釣合おもりにおいて、釣合おもりカバーを取り付けるブラケットの下端を示す斜視図である。 本発明による第1実施形態によるエレベータの釣合おもりのカバーを示す斜視図である。 本発明の第1実施形態によるエレベータの釣合おもりにおいて、釣合おもりカバーを取り付けた状態のブラケットの上端の要部を示す斜視図である。 第1実施形態のエレベータの釣合おもりの変形例を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態によるエレベータの釣合おもりを示す平面図である。 本発明の第2実施形態によるエレベータの釣合おもりの要部を示す斜視図である。
以下、本発明によるエレベータの釣合おもりの実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の実施形態によるエレベータの釣合おもりが適用されるエレベータの概略構成を示す図である。このエレベータは、2:1ローピングで構成されたエレベータである。この図1において、参照番号10はエレベータの昇降路を示している。参照番号11は乗りかごを示し、参照番号12が乗りかご11と釣り合いをとる釣合おもりを示している。このエレベータでは、昇降路10を構成する壁はガラス張りであり、外からは昇降する乗りかご11と釣合おもり12が見えるようになっている。
釣合おもり12の上部には、釣合おもりシーブ13が設置されている。昇降路10の頂部には巻上機15が設置されている。乗りかご11の下部には、カーシーブ16が設置されている。一端が昇降路10の天井に止着されたメインロープ14は、カーシーブ16、巻上機15、釣合おもりシーブ13の順に巻き掛けられ、メインロープ14の他端は昇降路10の天井に止着されている。
次に、図2並びに図3は、釣合おもり12の詳細な構成を示す。このうち図2は釣合おもりカバーを取り外した釣合おもり12を示し、図3は釣合おもりカバーを取り付けた状態の釣合おもり12を示している。
この実施形態による釣合おもり12は、おもり片18を積載するおもり台20を下部に有しており、釣合おもりシーブ13が設置されるシーブ台23を上部に備え、また釣合おもり12の左右両側面をなす一対の枠を構成する長尺な板状の釣合おもり枠21、21を備えている。おもり片18は、例えば板状のおもりからなり、乗りかご11の重量に対応する重量分のおもり片18を複数枚積み上げるようにしておもり台20の上に積載される。
釣合おもり枠21、21は、釣合おもり12の全長に相当する長さを有している。それぞれ釣合おもり枠21、21の左右両側面には、長手方向全長に亘るようにして延びる一対のブラケット24A、24Bが溶接あるいは図4に示されるように皿ねじ31の締結により取り付けられている。
図2では、釣合おもり12の正面側に配置されるブラケット24A、24Bが示されているが、同様の一対のブラケット24A、24Bは、釣合おもり12の背面側にも同じように配置されている。これらブラケット24A、24Bは、釣合おもりカバー25を取り付けるための部材である。これらブラケット24A、24Bは、コ字形の横断面形状を有する部材であって、おもり台20の上からシーブ台23の下まで延びる長さを有している。
図4に示されるように、釣合おもり枠21、21の上部では、その両側部に矩形に切り欠かれた切欠き30が形成されている。これら切欠き30は、おもり片18を積み込際の挿入口を形成するようになっている。
図2、図3に示されるように、この実施形態では、釣合おもりカバー25は、細長い長方形の鋼板からなるカバーであり、2枚一組にして釣合おもり12の正面および背面に設けられている。この例では、取り付けの便宜の上から、2枚に分割しているが、1枚板であってもよい。
釣合おもりカバー25の向かって左右両側縁には、一度内側に直角に折り曲げた縁部をさら外側に直角に折り曲げてなり、釣合おもり12の長さ方向全長に亘って延びる縦縁部26、26が形成されている。他方、ブラケット24A、24Bは、コ字型の横断面形状をもつことによって、この縦縁部26、26が嵌合可能な溝27が長さ方向全長に亘って形成されている。
なお、図2において、参照番号28は、ブラケット24A、24Bの溝27の全長に亘って嵌合し、釣合おもりカバー25のがたつきを防止するゴム部材である。
ここで、図5は、釣合おもりカバー25の脱落を防止するためにブラケット24A、24Bの下端に溶接によって接合されている板部材32を示している。この板部材32があることによって、釣合おもりカバー25は抜け落ちずに板部材32によって支持される。
他方、図6に示されるように、釣合おもりカバー25の上端部においては、両側の縦縁部26、26にそれぞれ横方向に長い長穴34が形成されている。この長穴34には、ストッパ36が挿入される。この実施形態の場合、ストッパ36は鋼板を折り曲げてT字形になして、本体から直角に突き出る規制片36aを有している。この規制片36aを長穴34に挿入することでストッパ36を取り付けることができる。図7に示されるように、ストッパ36の規制片36aは、ブラケット24A、24Bの切欠き30に挿入される。釣合おもりが下降するようなときに、慣性力で釣合おもりカバー25が上方向に向かって動こうとする場合でも、ストッパ36の規制片36が切欠き30の上縁に当接するので、釣合おもりカバー25の位置ずれを防止することができる。
本実施形態によるエレベータの釣合おもりは、以上のように構成されるものであり、次に、その作用並びに効果について説明する。
図2において、釣合おもり12では、おもり片18を積み込んでから、正面側と背面側に釣合おもりカバー25を取り付けることになる。
釣合おもり12におもり片18を搭載していく場合、下段のおもり片18は斜めにしておもり台20の上に運び込みながら、順次1枚1枚積み上げていく。上の段におもり片18を積み込むときには、ブラケット24A、24Bの上に開いている切欠き30からおもり片18を入れて積んでいく。
こうして必要な数のおもり片18を積み込んだら、次のようにして、釣合おもりカバー25を取り付ける。
釣合おもり12の正面側並びに背面側に配置されているブラケット24A、24Bには溝27が形成されており、このブラケット24A、24Bの溝27に長さ方向から挿通させるようにして、釣合おもりカバー25の両側の縦縁部26、26を係合させる。その際には、ゴム部材28を予めブラケット24A、24Bの溝27に装着しておくことが好ましい。
釣合おもりカバー25は、左右両側をブラケット24A、24Bによって拘束される。そして、釣合おもりカバー25は、ブラケット24A、24Bの下端に取り付けてある板部材32(図5参照)によって支持され、さらに、釣合おもりカバー25の上端部は、ストッパ36によって上下の動きを規制されている。このようにして、釣合おもりカバー25は上下左右を拘束されているので、釣合おもり12が昇降する間もがたついたり、外れたりすることはない。
図3には、釣合おもりカバー25を取り付けた後の釣合おもり12の外観が示されている。釣合おもりカバー25は、面積的には釣合おもり12の正面および背面の大部分を占めることになるが、その表面にはねじ等の機械的締結要素は一切存在しないので、すっきりした見栄えのする外観にすることができる。したがって、釣合おもり12が外から丸見えとなるエレベータであっても、エレベータの意匠上の美観を向上させることが可能になる。
また、エレベータの点検時に、釣合おもりカバー25を取り外す作業を行う場合には、上部に取り付けてあるストッパ36を抜き取ってから、釣合おもりカバー25を引き抜くだけで、簡易に取り外すことができる。また、その逆の順序で釣合おもりカバー25を元の状態に取り付けることができる。このため、多数のねじ等の締結要素を用いてカバーを固定する従来の釣合おもりに比べると、釣合おもりの点検・保守の作業時間を格段に短縮することができる。
変形例
次に、図8は、本実施形態による釣合おもり12の変形例を示す図である。この変形例は、永久磁石を用いて釣合おもりカバー25を固定するようにした例である。
図8において、ブラケット24A、24Bの内側面には、複数箇所に第1の磁石50が取り付けられている。他方、釣合おもりカバー25の両側の縦縁部26、26の内側には、第1磁石50に吸着される第2の磁石52が複数箇所に取り付けられている。
この変形例では、ブラケット24A、24Bの溝27に長さ方向から縦縁部26、26を挿通させるようにして釣合おもりカバー25を取り付けると、第1磁石50と第2磁石52とが引き合い釣合おもりカバー25を固定することができる。
この変形例によれば、がたつき防止のゴム部材28や、図7に示したストッパ36を必要とせずに、釣合おもりカバー25をがたつかないようにしっかりと取り付けることができる。
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態によるエレベータの釣り合いおもりについて、図9並びに図10を参照しながら説明する。なお、第1実施形態の釣合おもり12と共通の構成要素には同一の参照番号を付してその説明は省略する。
本発明の第1実施形態による釣合おもりは、釣合おもりカバー25を取り付けるブラケット24A、24Bが釣合おもり12の正面側および背面側に配置された構成である。これに対して、この第2実施形態は、ブラケット41を釣合おもり12の側面側に配置し、釣合おもりカバー40を釣合おもり12の側面で保持するようにした実施形態である。
図10に示されるように、釣合おもり12の側面をなしている左右両側のそれぞれの釣合おもり枠21の表面には、2本のブラケット41A、41Bが長さ方向全長に延びるように溶接または皿ねじの締結により固定されている。この場合、ブラケット41A、41Bの端縁部には、鉤形の屈曲形状をもつことによって溝42が長手方向全長に亘って形成されている。
この実施形態の場合、釣合おもりカバー40の左右両側は直角に折り曲げられている側面部43、43が形成されている。この側面部43には、直角に折り曲げられた縦縁部44が形成されている。このような釣合おもりカバー40の縦縁部44は、ブラケット41A、41Bに形成された溝42に長さ方向から通すようにして嵌合し、これによって、釣合おもりカバー40はブラケット41A、41Bによって保持されるようになっている。
以上のように構成される第2実施形態の釣合おもりの作用効果について説明する。
釣合おもり12の側面をなす釣合おもり枠21の表面に取り付けられているブラケット41A、41Bには溝42が形成されている。そして、正面側に近い方のブラケット41A、41Aを対にして、釣合おもりカバー40の縦縁部44を長さ方向から溝42に通すようにして釣合おもりカバー40を取り付けることができる。背面側に近い方のブラケット41B、41Bを対にして、同様に背面側の釣合おもりカバー40を取り付けることができる。
釣合おもりカバー40は、第1実施形態と同様に、ブラケット24の下端に取り付けてある板部材32(図5参照)によって支持され、さらに、釣合おもりカバー40の上端部は、ストッパ36によって上下の動きを規制されている。このようにして、釣合おもりカバー40は上下左右を拘束されているので、釣合おもり12が昇降する間もがたついたり、外れたりすることはない。なお、第1実施形態と同様に、図2に示すゴム部材28をがたつき防止に用いてもよい。また、板部材32およびストッパ36を用いずに、図8に示した永久磁石50、52を釣合おもりカバー40の固定に利用することも可能である。
また、この第2実施形態では、釣合おもりカバー40の全体の表面にねじ等の機械的締結要素が一切存在しないだけでなく、釣合おもりカバー40を保持しているブラケット41A、41Bも釣合おもりカバー40の側面部の裏側に隠すことが可能になり、第1実施形態の釣合おもり12よりも一層すっきりとした美観を有する外観にすることができる。
さらに、釣合おもりカバー40の固定にねじが一切用いられていないため、多数のねじ等の締結要素を用いてカバーを固定する従来の釣合おもりに比べると、格段に釣合おもりの点検・保守の作業時間を短縮することができる点も第1実施形態と同様である。
以上、本発明に係るエレベータの釣り合いおもりについて、好適な実施形態を挙げて説明したが、これらの実施形態は、例示として挙げたもので、発明の範囲の制限を意図するものではない。もちろん、明細書に記載された新規な装置、方法およびシステムは、様々な形態で実施され得るものであり、さらに、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、種々の省略、置換、変更が可能である。請求項およびそれらの均等物の範囲は、発明の主旨の範囲内で実施形態あるいはその改良物をカバーすることを意図している。
10…昇降路、11…乗りかご、12…釣合おもり、13…釣合おもりシーブ、14…メインロープ、15…巻上機、16…カーシーブ、18…おもり片、20…おもり台、21…釣合おもり枠、23…切欠き、25…釣合おもりカバー、26…縦縁部、27…溝、32…ストッパ板、34…長穴、36…ストッパ部材、41A、41B…ブラケット、42…溝、44…縦縁部、50…第1の磁石、52…第2の磁石

Claims (6)

  1. 乗りかごの重量に対して釣り合いをとるためのエレベータの釣合おもりにおいて、
    複数個のおもり片と、
    前記おもり片を積み重ねて搭載するための側面枠を構成するおもり枠と、
    搭載した前記おもり片を覆い隠すように釣合おもりの正面側および背面側にそれぞれ配置されるおもりカバーと、
    前記釣合おもりカバーの左右両端部で長さ方向に延びる縦縁部を保持可能な一対のブラケットと、を備え、
    前記一対のブラケットを釣合おもりの正面側と背面側でそれぞれ前記おもり枠に対して取り付け、前記ブラケットは、前記釣合おもりカバーの縦縁部が挿通され前記縦縁部が嵌合可能な溝を全長に亘って有することを特徴とするエレベータの釣合おもり。
  2. 前記ブラケットは、前記おもり枠の側面に固定されるコ字形の横断面を有する型材からなり、一対の前記ブラケットがそれぞれ前記正面側と背面側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの釣合おもり。
  3. 前記ブラケットは、前記おもり枠の表面に固定され鉤型の横断面を有する型材からなり、一対の前記ブラケットがそれぞれ釣合おもりの側面側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの釣合おもり。
  4. 前記ブラケットの下端には、前記釣合おもりカバーを支持する板部材を固定し、前記釣合おもりカバーの上端部に開口する穴から、前記ブラケットに形成された切欠きに係合して前記釣合おもりカバーの上下の動きを規制するストッパ部材を挿入するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のエレベータの釣合おもり。
  5. 前記ブラケットの溝に嵌合し、前記釣合おもりカバーの縦縁部のがたつきを防止するゴム部材を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のエレベータの釣合おもり。
  6. 前記ブラケットの前記溝を形成する内側面には、第1の永久磁石を配置するとともに、前記釣合おもりカバーの縦縁部に前記第1永久磁石に吸着される第2の永久磁石を取り付けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のエレベータの釣合おもり。
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