JP5785278B2 - 靴底複合材、それにより構成された靴製品およびそのような靴製品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は靴底複合材、それにより構成された靴製品およびそのような靴製品の製造方法に関する。
水蒸気透過性であるにも拘わらず防水性である靴底構成材、詳しく言えば、多孔組織または開口組織を持つ底革およびその上に防水性で水蒸気透過性の、例えば膜形態の機能層が使用された靴底構成材の出現以来、防水性であるが汗湿分も通さない靴底構成材にするのか、または汗湿分を通すが防水性でない靴底構成材にするのか、その選択の必要性はもはやなくなっている。その例が、資料文献EP0275644A2、EP0382904A2、EP1506723A2、EP0858270B1、DE10036100C1、EP959704B1、WO2004/028284A1、DE20200408539U1およびWO2005/065479A1に紹介されている。
人間の足は強い発汗性向を持っているので、本発明では、非常に高い水蒸気透過性を持ちながら、その安定性が大きく損われることのない靴底構造を持った靴製品の提供を努力目標に掲げている。
底革通し空洞のサイズが小さく設定されている、EP0382904A2に基づく靴製品の場合、常態では堅い底革材により、確かに靴底構成材として十分な安定性は達成できるが、しかし靴底の水蒸気透過性については極限られたレベルでしかない。
EP959704B1およびWO2004/028284A1に基づく靴底構成材は、水蒸気透過性を上げる上で有利に作用する底革を持っているが、該底革は幾つかの独立した底革滑り止め材のほかには、実質的には、水蒸気透過性材料を囲い込むための外囲い枠だけから成っている。該透過性材料は、その上に張られた膜に小石などの異物が入り込むのを防止するが、但しそれ自体は特別に安定なものではなく、該靴底構成材は多種の靴製品に望まれるような靴底構造の安定化に寄与するものではない。WO2004/028284A1に記載の底革は、外囲い枠および外囲い枠内で靴底裏面全体に分布する多数の底革滑り止め材から形成されている。
DE20200408539U1およびWO2005/065479A1に基づく靴底構成材の場合も同様の状況である。それらの場合底革の大きな面積の通し空洞に防水性、水蒸気透過性の嵌め込み部材が使用されている。それには、それぞれの通し空洞を防水被覆する膜およびその下方には、膜に異物が侵入するのを防止するための格子状薄片が備え付けられている。膜も格子状薄片も比較的柔軟な材料から成っていて、靴底構成材の安定化には殆ど寄与し得ないので、大きな面積を持つ開口箇所では靴底構成材の安定性は脆弱である。
底革が、大きな開口面積をもつ底革部材から形成されている、DE10036100C1に記載のスポーツシューズの場合では、靴底構成材の安定化向上は、底革部材を耐圧性合成物質から成る担体層の裏側に配置させ、担体層に、大きな面積を持つ底革部材通し空洞の上方位置で格子状開口を設け、それによって底革部材と同様水蒸気透過性にすることによって達成された。担体層と水蒸気透過目的で通し空洞を設けたその上にある内靴底との間には、水蒸気を透過させる一方で防水性を達成させるためにだけでなく、担体層の格子開口構造では阻止できずに靴内部に入り込む小石を遮断するためにも膜が配置されている。機械的作用で容易に傷つく膜は、本来それ自体が受ける必要のある保護を、このように、提供もしなければならない。
別な解決策、例えばEP1506723A2およびEP0858270B1によれば、膜の下方に、有孔底革を通って膜に達した小石などの異物が中に侵入するのを防止するため、保護層が設けられている。
EP1506723A2の実施形態では、膜と保護層は、点接着により、すなわち、点状マトリックスとして提供された接着剤パターンにより互いに結合させている。水蒸気の移行になお有効なのは、膜面のうち接着剤で覆われていない部分だけである。その場合膜と保護層が接着複合体を形成し、該複合体と底革とで、それ自体靴製品の靴甲底部に固定される靴底複合体を形成するか、あるいは底革だけが固定される靴甲底部の一部を形成する。
EP1506723A2の別な一実施形態では、底革が厚さに応じて二分されていて、両底革層には互いに一直線に並んだ、直径の比較的小さな穿孔が設けられ、両底革層の間には保護層が配置されている。靴の完成時には膜はこの底革の上面にある。水蒸気の透過に有効なのは、この底革の穿孔部分だけなので、それに応じて、水蒸気透過に寄与できる膜面積も小さな割合に過ぎない。その上、滞留する空気量も水蒸気の移行を妨げていることが実証された。そのような滞留空気は当該底革の穿孔部で生成され、底革を貫通させての空気循環による除去は、保護層により妨げられる。膜面のうち、底革の穿孔部から外れた位置にある部分が膜全体の面積のかなりな割合を占め、それらが水蒸気移行に関しては有効に作用し得ないという現象に加え、さらには、上記穿孔に対応する膜部分の膜全体に占める割合も限定的で、水蒸気移行の点では限られた作用しか及ぼし得ないということもある。
靴製品の製造では今日分業化が慣行になっており、あるメーカーが靴甲を製造する一方で、他のメーカーが対応の靴底または靴底複合材の製造、あるいは靴甲への成形加工を担当している。靴底メーカーは、通例、防水性で水蒸気透過性の膜による加工はあまり行わず、経験も少ないことから、靴底複合材自体には膜がなくて、膜は、靴底複合材の配置される靴甲底部の一部を形成するという靴底構想にすれば、実現に向けて推進する価値がある。
以上より、本発明の課題は、持続的防水性および非常に高い水蒸気透過性を示し、好ましくは、できる限り高い安定性を併せ持つ靴底構造から成る靴製品、それに適した靴底複合材および靴製品の製造方法を提供することにある。
この課題の解決のため、本発明は請求項1に記載の水蒸気透過性の靴底複合材、請求項92に記載の靴製品および請求項102に記載の靴製品の製造方法を提供する。これら対象物の展開形態については、それぞれ対応の従属請求項に記載されている。
本発明の第1の観点に基づき、靴底複合材の厚さ全体を通って広がる少なくとも1つの通し空洞を持ち、且つ上面の形成された水蒸気透過性の靴底複合材を提供することができる。靴底複合材では靴底複合材の上面の少なくとも一部を形成する遮断ユニットが使用される。遮断ユニットには、異物の侵入を阻止するためのバリアを形成する水蒸気透過性の遮断材が含まれ、それにより少なくとも1つの通し空洞が水蒸気透過状態で閉鎖されている。遮断材に対応して、靴底複合材の機械的安定化のために形成された安定化領域が配置されていて、それには少なくとも1つの安定化帯材が使用されているが、それは遮断材の少なくとも1つの表面に設置され、少なくとも1つの通し空洞を少なくとも部分的に横切るように配置されている。
遮断ユニットの下方には、少なくとも一部の底革が配置されている。これは、遮断ユニットの下方では、少なくとも一部の底革が、地面または床のほうへ向いた遮断ユニットの表面に配置されていることを意味している。それにより、少なくとも一部の当該底革部分のみが靴底複合材の歩行時または停止時の機能を担うことになる。少なくとも一部の底革部分は、遮断ユニットでの配置では、少なくとも1つの通し空洞には底革の部分が全く来ないようにすることができる。遮断ユニットは、靴底複合材の床に触れる層という観点からは、全くあるいはそれ程関わりがないので、剛性およびねじれ剛性など、その安定化特性を最適化させることが可能である。それに対し、底革は底革としての機能性の観点から最適化することができる。例えば、磨耗性の少ない、接着性の高い素材を選択することができる。
本発明の一実施形態で使用される遮断材は、融解温度の異なる少なくとも2つの繊維成分を持つ繊維複合材である。その第1繊維成分の少なくとも一部は第1融解温度およびそれより低い第1軟化温度領域を持ち、第2繊維成分の少なくとも一部は第2融解温度およびそれより低い第2軟化温度領域を有している。第1融解温度および第1軟化温度領域は第2融解温度および第2軟化温度領域より高い位置にある。繊維複合材は、第2繊維成分が第2軟化温度領域内に含まれる接着軟化温度により熱活性化する結果、熱固着されるが、熱固着領域での水蒸気透過性は維持されたままである。
ポリマーまたは繊維構造体の領域では、融解温度とは、ポリマーまたは繊維構造体の結晶部分が融解して、ポリマーが液状に移行する狭い温度領域のことを言う。これは軟化温度領域より高い位置にあり、部分結晶のポリマーにとっては重要な指数である。軟化温度領域とは、合成繊維の領域では、融解温度到達前に出現する、軟化は現われるが、融解はまだ現われない段階の様々な帯幅を持つ温度領域のことである。
この特性は遮断材において利用されており、繊維複合材の両繊維成分を対象として、融解温度と軟化温度領域について本発明の定義する関係が満たされるように材料選択が行われる。熱固着に関しては、第2繊維成分の軟化をもたらす、第2繊維成分に対する接着軟化温度としての温度が選択される。すなわち、当該材料が接着作用を展開して、第2繊維成分の少なくとも一部の繊維部分が接着によって互いに熱固着し、その結果として繊維複合材の固着安定化に到る。その安定性は、両繊維成分が同一素材から成る繊維複合材を純機械的固着により、例えば針状への固着加工により得られる固着水準を上回っている。接着軟化温度はまた、接着が第2繊維成分の繊維間だけによるのではなく、加えて、第1繊維複合材の繊維の個別位置が第2繊維複合材の繊維の軟化部分で部分的に、または全体的に覆われ、つまり、第1繊維複合材のそのような位置が第2繊維成分の繊維によって部分的に、または全体的にくるみ込まれ、それによって繊維複合材の固着安定性がそれ相応に高められるほどにまで第2繊維成分の繊維が軟化されるように、選択することもできる。
本発明に基づく靴底複合材の一実施形態では、遮断材は第1繊維成分および2つの繊維部分を持つ第2繊維成分を含む繊維複合材を有している。そのうちの第1繊維成分は第1融解温度およびそれより低い第1軟化温度領域を、第2繊維成分の第2繊維部分は第2融解温度およびそれより低い第2軟化温度領域を有しており、第1融解温度と第1軟化温度領域は第2融解温度と第2軟化温度領域よりも高く、第2繊維成分の第1繊維部分は第2繊維部分に比べて、融解温度もそれより低い軟化温度領域も高い位置にある。第2繊維成分の第2繊維部分が第2軟化温度領域内にある接着軟化温度で熱活性化するので、繊維複合材は、熱固着領域で水蒸気透過性を維持したまま熱固着する。その場合材料選択は、両繊維成分および両繊維部分を対象として、融解温度と軟化温度領域について本発明の定義する関係が満たされるように行われる。熱固着に関しては、第2繊維成分の第2繊維部分の軟化をもたらす、第2繊維成分の第2繊維部分に対する接着軟化温度としての温度が選択される。すなわち、当該材料が接着作用を展開して、第2繊維成分の少なくとも一部の繊維部分が接着によって互いに熱固着し、その結果として繊維複合材の固着安定化に到るように選択される。その安定性は、両繊維成分が同一素材から成る繊維複合材に対する純機械的固着、例えば針状への固着加工によって得られる固着水準を上回っている。
異なった融解温度および異なった軟化温度領域を持つ2つの繊維部分を含む第2繊維成分の一実施形態として心部/外郭構造を持つ繊維がある。この繊維では心部が外郭より高い融解温度および高い軟化温度領域を有しており、繊維複合材の熱固着は外郭の然るべき軟化によって行う。
異なった融解温度および異なった軟化温度領域を持つ2つの繊維部分を含む第2繊維成分の別な実施形態として、両者が並列構造の繊維がある。この場合では第2繊維成分は繊維の縦方向に平行に延びる2つの繊維部分を有していて、そのうちの一方はもう一方の繊維部分より高い融解温度および高い軟化温度範囲を有しており、繊維複合材の熱固着は第2繊維部分の然るべき軟化によって行う。
この実施形態の場合でも、接着軟化温度は、接着が第2繊維成分の第2繊維部分間だけによるのではなく、加えて、第1繊維成分の繊維の個別位置が第2繊維成分に含まれる第2繊維部分の軟化成分で部分的に、または全体的に覆われ、つまり、第1繊維成分の繊維のそのような位置が第2繊維成分の第2繊維部分の中に部分的に、または全体的にくるみ込まれ、それによって繊維複合材の固着安定性がそれ相応に高められるほどにまで第2繊維成分の第2繊維部分が軟化されるように、選択することができる。これは特に、第2繊維成分が既述の並列繊維構造の場合に当てはまる。その場合では、第2繊維成分の第2繊維部分が上記の程度に接着軟化することによって、第1繊維成分の繊維の個別位置だけでなく、第2繊維成分の第1繊維部分も部分的に、あるいは全体的にくるみ込むことが可能である。
第2繊維成分の接着軟化過程で、またはその後に繊維複合材を補助的に圧搾することにより、安定化の追加増進が達成できる。その場合では第2繊維成分の軟化繊維部分への繊維の部分的または全体的くるみ込みがさらに強められる。他方、接着軟化温度の適用によって達成される繊維複合材の熱接着は、繊維複合材に十分な水蒸気透過性が与えられるように、すなわち、繊維の接着が常に個々の接着箇所にのみ限定されて、その結果水蒸気移行用としての非接着箇所が十分に残るように選択しなければならない。接着軟化温度の選択は、その時々の現場での実施形態に対応して、特に安定性特性および水蒸気透過性の面で課せられた要求に応じて行うことができる。
両繊維成分として特定の素材を選択することによって、および繊維複合材の熱固着度を選択することによって、繊維複合材は、熱固着前の状態に比べて、水蒸気透過性を維持しつつ安定化した望ましい状態に改善することが可能である。この熱固着によって、繊維複合材に強度が付与され、それにより当該材料は、特に靴底複合材を安定化させる水蒸気透過性の遮断材として、したがって、一方では良好な水蒸気透過性を持ち、他方では良好な安定性を持たねばならない靴底用製靴材として適している。
この種の遮断材は、その熱固着により、およびそれによって達成された安定性により、特に、高い水蒸気透過性の付与のために大きな面積の通し空洞が形成される靴底複合材として適している。これは、一方では、その通し空洞を通って小石などの異物が当該材の上に配置されている膜にまで侵入するのを防止するための遮断材であるが、他方、大きな面積の通し空洞を持っているので安定化のための補助策を必要としている。
靴底製造分野では旧来から使用されている、唯1つの繊維成分によって構成され、熱固着試験では完全熔融されて加熱圧搾される不織布状の繊維複合材の場合とは異なり、この種の遮断材に関しては、少なくとも2つの繊維成分用材料の選択を通して、および熱固着のために選択したパラメータを通して自由度を判断材料に利用することができ、それによって所期安定性および水蒸気透過性の程度が調整可能になる。融解温度の低い繊維成分の軟化によって、この繊維成分に属する繊維が互いに固着するだけでなく、熱固着過程では融解温度の高い他の繊維成分に属する繊維も固着するため、繊維複合材は非常に良好な機械的固着および安定性を持つに到る。融解温度の高い繊維成分の繊維と融解温度の低い繊維成分の繊維との間の比率選択により、および接着軟化温度、つまり軟化度の選択により遮断材の通気性、水蒸気透過性および機械的安定性など、遮断材の特性を調整することができる。
遮断材の一実施形態では、その繊維複合材は平坦な繊維材であり、織物、編物、メリヤス、不織布、フェルト、ネットまたは巣形状物の形態を取ることができる。実際の一実施形態によると、繊維複合材は機械的に固着された不織布が使用されている。その場合の機械的固着は繊維複合材のニードリングによって達成することができる。繊維複合材の機械的固着には噴流水を使用することもできる。その場合では、実際の針の代わりに噴流水が繊維複合材の各繊維に対する機械的揉み合わせおよび固着に使用されている。
本発明の一実施形態では、第1の繊維成分が担体成分、第2の繊維成分が遮断材の固着成分をなしている。
第2繊維成分が融解温度の高い第1繊維部分と融解温度の低い第2繊維部分を含む本発明の一実施形態では、第2繊維成分の第1繊維部分は、第1繊維成分に加えて補助的な担体成分を形成している。他方、第2繊維成分の第2繊維部分は遮断材の固着成分を形成する。
繊維成分の素材選択は、一実施形態によると、第2繊維成分が少なくとも1つの第1繊維部分および第2繊維部分を含んでいる場合には、第2繊維成分の少なくとも一部、すなわち、第2繊維成分の第2繊維部分の少なくとも一部が、温度80℃〜230℃の領域内のある温度で接着軟化に対して活性化可能になるように行われる。
一実施形態では、第2軟化温度の領域は60℃〜220℃の範囲にある。
靴製品、とりわけ靴底の製造では、例えば底革の成形加工では比較的高い温度に曝されることの多い点が特に考慮され、本発明の一実施形態では、第1繊維成分および必要に応じて第2繊維成分の第1繊維部分も少なくとも130℃の温度に融解安定なものが指定される。但し、実際の実施形態では少なくとも温度170℃、あるいはそれどころか250℃での融解安定性が選択され、第1繊維成分のほか、必要に応じて第2繊維成分の第1繊維部分についても然るべき選択が行われる。
第1繊維成分には、および必要な場合に限るが、第2繊維成分の第1繊維部分にも、天然繊維、合成繊維、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの素材およびそれらの混合物が使用され適している。天然繊維の中では皮革繊維が適した素材である。
本発明の一実施形態では、第2繊維成分、それも必要な場合では第2繊維成分の第2繊維部分は、然るべき温度での熱固着に適した少なくとも1種類の合成繊維によって形成されている。
本発明の一実施形態では、両繊維成分の少なくとも一方、および必要な場合には第2繊維成分の両繊維部分の少なくとも一方は、ポリオレフィン、ポリアミド、コポリアミド、ビスコース、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリブチレンテレフタレートおよびそれらの混合物を含む素材グループから選択されている。なお、ポリオレフィンはポリエチレンとポリプロピレンから選択することができる。
本発明の一実施形態では、第1繊維成分および必要に応じて第2繊維成分の第1繊維部分もポリエステルおよびコポリエステルの素材グループから選択されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも第2繊維成分は、それも必要な場合では第2繊維成分の少なくとも第2繊維部分は、少なくとも1種類の熱可塑性物質で構成されている。第2繊維成分、それも必要な場合では第2繊維成分の第2繊維部分は、ポリアミド、コポリアミド、ポリブチレンテレフタレートおよびポリオレフィンの素材グループ、あるいはまたポリエステルおよびコポリエステルの素材グループから選択することができる。
適した熱可塑性物質の例としては、ポリエチレン、ポリアミド(PA)、ポリエステル(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリ塩化ビニル(PVC)がある。そのほかで適した素材としては、ゴム、熱可塑性ゴム(TR=サーモプラスチックラバー)およびポリウレタン(PU)がある。パラメータ(硬度、色、弾性など)が非常に多様に調整できる熱可塑性ポリウレタン(TPU)も適している。
本発明の一実施形態では、第2繊維成分の両繊維部分はポリエステルから成っていて、第2繊維部分のポリエステルのほうが第1繊維部分のポリエステルより低い融解温度を有している。
本発明の一実施形態では、少なくとも第2繊維成分は心部/外郭構造、すなわち、繊維成分の心部素材が同軸の外郭層によって取り巻かれた構造を有している。その場合、高い融解温度を持つ第1繊維部分が心部を、低い融解温度を持つ第2繊維部分が外郭を形成している。
本発明の別な一実施形態では、少なくとも第2繊維成分は並列構造を有している。すなわち、繊維の縦方向に平行に延びる材質の異なった2つの繊維部分があって、それぞれ例えば半円形の横断面を持ち、両繊維部分が並列の状態で結合するように配置されている。その場合、一方の側は遮断材の第2繊維成分のうちの高い融解温度を持つ第1繊維部分を、もう一方の側は低い融解温度を持つ第2繊維部分を形成している。
本発明の一実施形態では、第2繊維成分の単位面積質量は繊維複合材の全体に比べて10%〜90%の範囲にある。第2繊維成分の質量%の割合が10%〜60%の実施形態もある。実際の実施形態では、第2繊維成分の質量%の割合は50%または20%である。
本発明の一実施形態では、両繊維成分用の素材、および必要な場合では第2繊維成分の両繊維部分用の素材はそれらの融解温度が少なくとも20℃相違するように選択されている。
遮断材は、その厚さ全体に亘って熱固着させることができる。特に、通気性、水蒸気透過性および安定性に関する要求レベル如何では、遮断材の厚さ全体のうち一部だけが熱固着された実施形態を選択することができる。本発明の一実施形態では、厚さ全体の少なくとも一部が熱固着された遮断材の少なくとも1つの表面は、追加処置として圧力または温度負荷がかけられ表面平滑に圧搾されている。靴底複合材の接地面のほうを向いた遮断材下面を表面圧搾により平滑化するのは、靴底複合材の通し空洞を通って遮断材下面に到る汚れをそこに付着し難くするので有力な手段になり得る。同時に遮断材の耐磨耗性も高まる。
本発明の一実施形態では、遮断材は、撥水剤、防汚剤、撥油剤、抗菌剤、防臭剤およびそれらの組み合わせを含む製剤グループからの一種または複数種の製剤によって加工または処理されている。
また別な一実施形態では、遮断材は撥水、防汚、撥油、抗菌加工および/または防臭加工がなされている。
本発明の一実施形態では、遮断材は少なくとも4,000g/m2・24時間の水蒸気透過性を有している。現場での実施形態では、少なくとも7,000g/m2・24時間、あるいはそれにも増して10,000g/m2・24時間の水蒸気透過性が選択される。
本発明の一実施形態では、遮断材は透水性に形成されている。
本発明の幾つかの実施形態では、遮断材は少なくとも1mm〜5mmの範囲の厚さを有している。現場での実施形態では、それが、特に1mm〜2.5mm、あるいはそれにも増して1mm〜1.5mmの範囲になる。特別に選択されたこの厚さは、遮断材の特殊用途に沿うものであり、さらには、求める表面平滑性、通気性、水蒸気透過性および機械的強度にも依存している。
本発明の現場での一実施形態では、遮断材は、融解温度と軟化温度領域の異なる、少なくとも2つの繊維成分を含む繊維複合材を有している。その第1繊維成分はポリエステルで構成され、第1融解温度およびそれより低い第1軟化温度領域を有しており、第2繊維成分の少なくとも一部は第2融解温度およびそれより低い第2軟化温度領域を有している。その場合、第1融解温度と第1軟化温度領域はそれぞれ第2融解温度と第2軟化温度領域より高い。なお、第2繊維成分は心部/外郭構造を成し、心部を形成するポリエステルの第1繊維部分と外郭を形成するポリエステルの第2繊維部分を有している。その場合融解温度も軟化温度領域も第1繊維部分のほうが第2繊維部分より高い。繊維複合材は、第2軟化温度領域内に含まれる接着軟化温度での第2繊維成分の熱活性化により熱固着されるが、当該熱固着領域では水蒸気透過性を維持している。当該繊維複合材は、圧力および温度負荷のもと、その少なくとも1つの面で圧搾され、ニードル加工不織布として仕上げられている。
本発明の一実施形態では、遮断材は加熱プレート温度230℃、単位面積圧力11.5N/cm2〜4N/cm2の条件下で繊維複合材の表面を10秒間圧搾することによって得ている。現場での実施形態では、繊維複合材の表面圧搾加工は単位面積圧力3.3N/cm2、加熱プレート温度230℃で10秒間行われる。
本発明の一実施形態では、遮断材は290N〜320Nの範囲の耐貫通強度を持つように作製されているので、その上にある防水性、水蒸気透過性の膜に小石などの異物が侵入貫通するのを防止する良好な防護体を成している。
このように、この種遮断材は水蒸気透過性の靴底複合材において、靴底複合材を安定化させて、自身の上に置かれた膜を保護する水蒸気透過性の遮断層として非常に適している。
したがって、そのような遮断材で構成された遮断ユニットは、本発明に基づく靴底複合材に非常に適している。
本発明では遮断材に対応して、遮断材の安定化、延いては靴底複合材の安定化のための少なくとも1つの安定化部材が配置されている。これは、特に、遮断材自体が全く、あるいは十分には安定材としては形成されていないために、遮断材が安定化部材の安定化作用または安定化補助を受ける場合には有利である。それにより、遮断材には、例えば熱固着および場合によっては表面圧搾によって取得した自己安定性に加え、遮断ユニットの特定位置に、特に、靴底複合材で高い水蒸気透過性を実現するために大きな面積に構成された靴底複合材の通し空洞領域を対象とした追加の安定化作用が与えられる。
以下では、足の前方および中央部に対応する靴底複合材の領域について説明する。人間の足では、足前方は足指とふくらみを越えて中央湾曲部の開始部分にまで及ぶ縦方向の領域であり、足中央部はふくらみと踵間の縦方向の領域である。本発明に基づく靴底複合材との関係では、足前方および足中央部とは、そのような靴底複合材の取り付けられた靴を着用した場合に靴着用者の足前方または足中央部が当る靴底複合材の縦方向の領域のことである。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足前方に相当する領域の面積の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足前方に相当する領域の面積の少なくとも25%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足前方に相当する領域の面積の少なくとも40%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足前方に相当する領域の面積の少なくとも50%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足前方に相当する領域の面積の少なくとも60%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足前方に相当する領域の面積の少なくとも75%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足中央部に相当する領域の面積の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足中央部に相当する領域の面積の少なくとも25%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足中央部に相当する領域の面積の少なくとも40%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足中央部に相当する領域の面積の少なくとも50%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足中央部に相当する領域の面積の少なくとも60%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、靴底複合材の足中央部に相当する領域の面積の少なくとも75%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
上記様々なパーセンテージをもたらす足中央部の安定化部材はそれぞれ、上記様々なパーセンテージをもたらす足前方の各安定化部材と組み合わせることができる。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、足の前半分に相当する靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、足の前半分に相当する靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも25%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、足の前半分に相当する靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも40%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、足の前半分に相当する靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも50%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、足の前半分に相当する靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも60%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、足の前半分に相当する靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも75%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、踵領域を差し引いた靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、踵領域を差し引いた靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも25%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、踵領域を差し引いた靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも40%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、踵領域を差し引いた靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも50%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、踵領域を差し引いた靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも60%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの安定化部材が、踵領域を差し引いた靴底複合材の縦方向の領域においてその面積の少なくとも75%が水蒸気透過性になるように、形成されている。
水蒸気透過性に関連する前記パーセントの数値は、靴底複合材全体のうち、靴着用者足底の外輪郭内の面積に相当する部分、つまり、実質上は、完成した靴において靴底側の下方靴甲の内周(靴底側の靴甲輪郭)によって取り囲まれた、靴底複合材の平面部分を対象としている。靴底側の靴甲輪郭を越えて外側放射方向にはみ出た、つまり、靴着用者の足底より外側にはみ出た靴底縁には汗を分泌する足の部分が来ないので、そこは水蒸気透過性にする必要がない。したがって、上記パーセントの数値は、足前方に関しては、靴底側の靴甲輪郭によって取り囲まれた面の足前方として限定された部分を、足の中央部に関しては、靴底側の靴甲輪郭によって取り囲まれた面の足中央部として限定された部分を対象にしたものである。
検討した靴製品は、例えば、その底革が靴底側の靴甲輪郭の外側を越えて比較的広い幅で突き出ている、例えば、靴底側の靴甲輪郭の外側を同様に取り巻く据付枠に、堅固に縫付けられている底革周辺縁を持つビジネスシューズであるが、この底革周辺縁の領域は足が踏み入れられる靴底複合材の領域の外にあって、したがってその領域では汗の分泌は起こらないので、水蒸気透過性である必要はない。前記段落で記載したパーセントの数値は、ビジネスシューズ特有の上記突き出た底革縁部を持たない靴製品を対象にしたものである。ビジネスシューズのこの底革領域は総底革面の約20%にもなることがあるので、ビジネスシューズの場合では総底革面から約20%差し引くことができ、靴底複合材の水蒸気透過性を示す上記パーセントの数値は、総底革面の残り約80%を対象にしたものである。
安定化部材は、例えば、遮断材の底革側の下面上に配置された単一または複数の安定化帯材で構成することができる。一実施形態では、安定化部材には少なくとも1つの開口箇所が設けられていて、それは靴底複合材の構成後には通し空洞の少なくとも一部を形成しており、遮断材によって閉鎖されている。
本発明の一実施形態では、足の前方領域および/または中央部領域に関する水蒸気透過性の前記パーセントの数値は、主として、あるいは完全に、安定化部材の少なくとも1つの開口箇所領域を対象にしたものである。
本発明の一実施形態では、単一通し空洞または複数通し空洞の少なくとも1つに、遮断材に対応させて少なくとも1つの支持要素が配置されている。その構成領域は、歩行時に遮断材が歩行地面に接地する当該支持要素を通じて支えられるように、遮断材の歩行面側から歩行面の水平面にまで及んでいる。その場合、安定化帯材の少なくとも1つは、同時に支持要素として形成することもできる。
本発明に基づき、遮断ユニットおよびその下に配置された、それぞれ水蒸気透過孔を持つ1構成部または数構成部から成る底革を有する靴底複合材の場合、底革またはその部材および遮断ユニットの透過孔は同じまたは異なった面サイズにすることができる。重要なのは、これらの透過孔が少なくとも部分的には重なり合っていることである。その場合、遮断ユニットのそれぞれの透過孔および底革またはその部材のそれぞれの透過孔の交差面が靴底複合材全体を貫く通し空洞を形成している。底革またはその部材のそれぞれの透過孔を特定のサイズに設定している場合、遮断ユニットの対応透過孔を少なくとも同じ大きさにして、底革またはその部材の対応透過孔のサイズを完全にカバーすれば、通し空洞のサイズは最大になるが、また逆の関係も成り立つ。
少なくとも1つの安定化帯材を持つ安定化部材は、少なくとも1つの底革の構成部分としては想定されていない。すなわち、安定化部材および特に少なくとも1つの安定化帯材は底革の機能を備えていない。特に、少なくとも1つの安定化帯材を持つ安定化部材は、地面または床まで間隔が空いている。底革を含む靴底複合材の場合では、地面または床の上で歩き、立つことが想定されている。靴底複合材に少なくとも1つの安定化帯材が使用されるが、それは地面または床から離れた上方位置に配置され、安定化帯材と地面との間には一定の間隔が置かれている。一実施形態では、その距離は、遮断ユニットの下方に配置されている少なくとも1つの底革部材の厚さに相当する。
少なくとも1つの安定化帯材は地面または床から離されるという標準条件に対し、例外的ケースになるのは、安定化帯材が同時に、地面または床にまで及ぶ支持要素としても形成されている場合である。
別な一実施形態では、底革部材が第1素材を、安定化部材が第1素材とは異なる第2素材を含んでいる。なお、第2素材は第1素材より硬質である(ショア硬度)。硬度とは、ある物体が別なより硬度の高い物体の侵入に対抗して示す機械的抵抗のことである。
靴底複合材のそれぞれの通し空洞を水蒸気透過性の遮断材で閉鎖することにより、靴底複合材の少なくとも1つの通し空洞において水蒸気透過性が達成されると同時に、その上にある膜への小石など異物の圧入透過が防止される。遮断ユニット用として、熱固着および必要に応じて表面の追加圧搾処理により、熱固着および表面固着処理を施していない素材より遥かに高い固有安定性を示すことができる遮断材を使用すれば、靴底複合材の単一または複数の通し空洞が、高い水蒸気透過性の達成に有利なように非常に面積を大きく形成されていようとも、そのような遮断ユニット用遮断材は通し空洞を持つ靴底複合材に対し十分な安定性を提供する。この固有安定性は、前記の補助安定化部材の適用によって、それも靴底複合材の中で特に安定化を必要とする領域を対象とすることでさらに高められる。
安定化部材に複数の開口箇所が設けられている場合、それら全体を一片の遮断材で閉鎖することも、あるいはそれぞれ一片の遮断材で個別に閉鎖することも可能である。
安定化部材を靴底複合材の全面にあてがうべき場合では、それは靴底の形に、あるいは安定化部材を靴底複合材の一部にのみあてがうべき場合では、それは靴底個別部分の形態に形成することができる。
本発明の一実施形態では、遮断ユニットの安定化部材は少なくとも靴底複合材を安定化させる少なくとも1つの安定化フレームを有しているので、靴底複合材には遮断材による安定化作用に加えてさらに別な安定化作用が加わることになる。安定化フレームを靴底複合材の少なくとも1つの単独通し空洞または複数通し空洞の少なくとも1つに嵌め込めば、できる限り面積を大きくしたその通し空洞のために当初は安定性が脆弱であった靴底複合材も、安定化フレームの補助によって良好な安定性が確保され、その結果靴底複合材において非常に良好な安定化作用が達成される。
本発明に基づく遮断ユニットの一実施形態では、安定化部材の少なくとも1つの開口箇所は少なくとも1cm2の面積を有している。実際の実施形態では、少なくとも1つの開口箇所は、少なくとも5cm2、例えば8〜15cm2、または明確に、少なくとも10cm2または、さらには少なくとも20cm2または少なくとも40cm2の開口面積が選択される。
本発明に基づく遮断ユニットの場合、安定化部材は少なくとも1つの安定化帯材を有しており、これは、遮断材の少なくとも1つの面に配置されていて、少なくとも1つの開口箇所の面を少なくとも部分的に横切っている。安定化部材に安定化フレームが取り付けられている場合、安定化帯材を安定化フレームに配置することができる。遮断材の少なくとも1つの表面に格子構造を形成させるために、複数の安定化帯材を設置することができる。このような格子構造は、一方では、靴底複合材の非常に良好な安定化をもたらし、その上、比較的大きな石や地面の隆起物など比較的大きな異物が遮断材にまで押し入ることや、そのような遮断ユニット付きの靴製品の着用者に歩行時そのような異物を感じさせることを無くさせている。
一実施形態では、本発明に基づく靴底複合材の安定化部材は、少なくとも1種類の熱可塑性物質で構成されている。それには既述種類の熱可塑性物質が使用できる。
本発明の一実施形態では、安定化部材および遮断材は、例えば接着、溶接、成形、周辺成形、加流および周辺加硫により、少なくとも部分的には互いに結合している。成形または加硫では、安定化部材と遮断材両者間で、主として、互いに向き合う面領域で固定が行われる。周辺成形および周辺加硫の場合は、主として、安定化部材による遮断材の周辺囲い込みが行われる。
一実施形態では、靴底複合材は透水性である。
本発明の第2の観点に従い、例えば、靴底複合材との関係で既に触れた1つまたは複数の実施形態に準拠して構成することのできる、本発明に基づく靴底複合材を使用した靴製品の提供が可能である。その場合の靴製品は、靴底側の靴甲末端領域に防水性で水蒸気透過性の靴甲底部機能層が付与された靴甲を有している。その場合、靴底複合材は靴甲底部機能層の付与された靴甲末端領域と結合しているが、但し靴甲底部機能層が、少なくとも、靴底複合材の少なくとも1つの通し空洞の領域では遮断材と結合しないようになされる。
本発明に基づく靴製品においては、靴底側の靴甲末端領域に靴底部機能層を、および本発明に基づく靴底複合材に遮断材を配置していることが幾つかの利点をもたらしている。1つは、靴甲底部機能層の製造作業が靴甲製造領域に持ち込まれ、靴底複合材の製造領域からは締め出されていることである。これには、靴甲メーカーと靴底複合材メーカーとは別々なメーカーであるか、少なくとも別々な製造部門であることが多くて、通常靴甲メーカーのほうが靴底メーカーや靴底複合材メーカーより機能層材料の取り扱いおよび問題の対処法に長けているという現場の状況が考慮されている。また1つには、靴甲底部機能層と遮断材が同一複合材に入れられるのではなく、靴甲底部複合材と靴底複合材とに分けられた場合、これらは靴底複合材の靴甲下端領域での固定時にも実質上互いに結合しない状態にしておくことが可能である。それらの最終靴製品での相互位置設定は靴甲下端での靴底複合材の固定(接着または成形)によって行われるからである。靴甲底部機能層と遮断材とを完全に、または殆ど完全なまでに互いに非結合の状態に維持するとは、両者間で接着の必要がないこと、接着があったとしても点状接着剤によるもので、水蒸気透過性の維持下で機能層の作用表面の一部分をブロックさせることを意味している。
本発明に基づく靴製品に関する一実施形態では、靴甲は、少なくとも靴底側の靴甲領域では防水性の靴甲機能層を有する、少なくとも一種類の靴甲材で構成されている。さらに、靴甲機能層と靴甲底部機能層との間には防水性のパッキング材が存在する。それにより、靴甲領域でも靴甲底部領域でも両者間の移行箇所でも防水性が保たれて足が濡れることなく、しかも靴甲領域でも靴甲底部領域でも水蒸気透過性の維持された靴製品が得られる。
本発明に基づく靴製品に関する一実施形態では、靴甲底部機能層は水蒸気透過性の靴甲組付け靴底に対応して配置されている。なお、靴甲底部機能層は多層から成る積層の一部として形成することができる。靴甲組付け靴底は、それ自体、積層として構成された靴甲底部機能層によって形成することもできる。靴甲底部機能層および必要に応じて靴甲機能層も、防水性で水蒸気透過性のコーティング層、または防水性で水蒸気透過性の膜で形成することができる。膜は微多孔質の膜か、無孔膜とすることができる。本発明の一実施形態では、膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含んでいる。
防水性、水蒸気透過性の機能層に適した素材としては、特に、資料文献US−A−4,725,418およびUS−A−4,493,870に記載されているようなポリウレタン、ポリプロピレンおよびポリエーテルエステルを含めたポリエステル、さらにそれらの積層物がある。しかし特に好ましいのは、例えばUS−A−3,953,566およびUS−A−4,187,390に記載されているような微多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)および親水性の含浸剤および/または親水性の層が付与された延伸ポリテトラフルオロエチレンである。これについては、例えばUS−A−4,194,041を参照のこと。微多孔質の機能層とは、その平均孔径が約0.2μm〜約0.3μmの機能層のことを云う。孔径はCoulter Electronics社(アメリカ合衆国フロリダ州Hialeath)製造のCoulter Porometer(商標名)によって計測できる。
本発明は、第3の観点に従い、例えば、靴底複合材についての1つまたは複数の上記実施形態に基づく本発明の水蒸気透過性靴底複合材のほか、靴底側の靴甲末端領域には防水性で水蒸気透過性の靴甲底部機能層が付与されている靴製品の製造方法を提供する。この方法では、最初に靴底複合材と靴甲が用意される。靴甲には、靴底側の靴甲末端領域に防水性で水蒸気透過性の靴甲底部機能層が付与される。靴底複合材と靴甲底部機能層の付与された靴底側の靴甲末端領域とは、靴甲底部機能層が少なくとも通し空洞の領域、すなわち、少なくとも1つの通し空洞を持つ領域では遮断材と非結合のままになるように、互いに結合させる。これが、既に説明したとおりの利点をもたらすことになる。
この方法の一実施形態では、靴底側の靴甲末端領域は靴甲底部機能層によって閉鎖される。靴甲に靴甲機能層が付与される場合には、靴甲機能層と靴甲底部機能層との間で防水性結合が形成される。それにより、完全に防水性で水蒸気透過性の靴製品が得られる。
本発明の内容、課題に対する本発明の視点および本発明の長所について、実施形態を手掛かりにさらに掘下げて説明する。
ニードル加工により機械的に固着させた不織布の概要図。 図1の不織布を熱固着させた場合の同じく概要図。 熱固着させた図2の不織布の領域IIaにおける切断面を大きな倍率で拡大させた同じく概要図。 熱固着させた図2の不織布のうち、図2aに示された切断面領域IIaから一部を取り出し、より大きな倍率で拡大させた同じく概要図。 図2に示された熱固着不織布に追加処理として表面加熱圧搾した後の不織布概要図。 靴底複合材を貫通する通し空洞の描かれた、まだ遮断材が付けられていない時点の靴底複合材の概略図。 帯材を含み込んだ安定化部材およびその中に取り込まれた遮断材を有する遮断ユニットの第1実施例の概略図。 帯材を含み込んだ安定化部材および遮断材を有する遮断ユニットの別な実施例の概略図。 少なくとも1つの帯材の形態を取る安定化部材を有する遮断ユニットの別な実施例の概略図。 帯材を含み込んだ安定化部材および遮断材を有する遮断ユニットのまた別な実施例の概略図。 遮断材、および帯材を含み込んだ安定化部材を有する、図4に示された靴底複合材の概略図。 遮断材の下面に配置された、安定化帯材の概略図。 遮断材の下面に配置された、格子状安定化部材の概略図。 本発明に基づく靴底複合材が取り付けられた靴の斜め下方からの斜視図。 本発明に基づく靴底複合材を靴甲底部に接合する前の時点での図12に示された靴。 図12の靴とは別な実施形態の本発明に基づく靴底複合材が取り付けられた靴。 図13aで示された靴底複合材の上面斜視図。 図14に示された靴底複合材の個別構成部に対する斜め上方からの斜視分解図。 図15に示された靴底複合材個別構成部の斜め下方からの斜視図。 図16で示された遮断ユニットの足前方領域と足中央部の斜め上方からの斜視図。ここでは、安定化部材と遮断材は別々に離して描かれている。 遮断ユニット足中央部領域の図17からの変形体についての斜め下方からの斜視図。この遮断ユニットは中央領域のみが遮断材で覆われていて、両側方部は貫通開口部なしに形成されている。 対応する安定化部材と遮断材とが別々に離して描かれた、図18に示された遮断ユニット。 靴底複合材がまだ靴甲底部に接合されていない第1実施形態の足前方領域における底部側の閉鎖された靴甲の切断概略図。 遮断材と安定化帯材を含み込んだ遮断ユニットがその上にある靴甲底部と選択的に結合している別な実施例の概略図。 図20に示された靴甲に靴底複合材を接着結合させた靴構造の詳細図。 図20に示された靴甲に靴底複合材を成形接合させた靴構造の詳細図。 図20に類似するが、別な構造の靴甲底部を持つ、靴底複合材がまだ靴甲から離れている状態の靴構造。 図24に示された靴構造の詳細図。 その他の実施形態における靴底複合材。 また別な実施形態での靴底複合材。
先ず、図1〜3を手掛かりに、本発明に基づく靴底複合材に適した遮断材の実施形態を説明する。それに続き、図4〜11を参照しながら、本発明に基づく遮断ユニットの実施形態の説明をする。次に、図12〜27を手掛かりに、本発明に基づく靴製品および本発明に基づく靴底複合体の実施形態について説明する。
図1〜3に描かれた実施形態の遮断材は、熱固着および熱表面固着された不織布形態の繊維複合材1から成っている。この繊維複合材1は、例えばそれぞれがポリエステル繊維で構成されている2つの繊維成分2、3から成っている。そのうち、繊維複合材1の支持成分として用いられる第1繊維成分2は、固着成分として用いられる第2繊維成分3より高い融解温度を有している。靴材は製靴時には、例えば底革の成形接合では比較的高い温度に曝される場合があることを鑑みて、繊維複合材1の全体に亘り、少なくとも180℃の温度安定性が保証されるように、検討した実施形態の場合では両繊維成分に対し180℃超の融解温度を持つポリエステル繊維が使用される。ポリエステルポリマーには、様々な融解温度およびそれに対応した、それより低い軟化温度を持つ様々なバリエーションがある。本発明に基づく遮断材の場合、検討した実施形態のものについて言えば、第1成分として融解温度約230℃のポリエステルポリマーが選択されるが、他方第2繊維成分3については、少なくともそのうちの1種類は融解温度約200℃のポリエステルポリマーが選択される。第2繊維成分が心部/外郭構造形態の2つの繊維構造部を持つ実施形態の場合、この繊維成分の心部4は軟化温度約230℃のポリエステルから、この繊維成分の外郭は接着軟化温度約200℃のポリエステルから成っている(図2b)。異なった融解温度を持つ2つの繊維構成部から成るこのような繊維成分は、短縮して“Bico”とも称する。以下ではこの短縮形も使用する。
検討した実施形態における2つの繊維成分から成る繊維は、それぞれが上記の特殊な属性を持つステープルファイバである。繊維複合材全体の単位面積当りの質量は約400g/m2であり、第1繊維成分の占める質量の割合は約50%である。それより、第2繊維成分の占める質量の割合も、繊維複合材の単位面積当りの質量を基準にして、同様に約50%である。第1繊維成分の繊度は6.7dtexであり、それに対し、Bicoとして形成された第2繊維成分はより高い繊度4.4dtexを有している。
そのような遮断材の製造には、先ず、ステープルファイバの形態を取る繊維成分を混合する。その後、当該ステープルファイバ混合物から幾つかの個別層を形成し、繊維複合材として求める単位面積質量に達するまで、順次重ね合わせて数層の個別不織布の形態に構成する。そうすることで、不織布のパックが出来上がる。この不織布パックは機械的安定性が非常に低いため、幾つかの固着工程を通す必要がある。
不織布パックの固着としては、先ず、ニードル技術使用下のニードル加工により機械的固着が行われる。その場合、不織布パックはニードルマトリックスに配置されたニードルビームに、不織布パックの展伸面に垂直に通し入れる。それにより、不織布パックの繊維は元の位置から配置変更され、その結果繊維が縺れて、不織布パックは機械的作用下でより安定した構造になる。このようなニードリングによって機械的に固着された不織布用素材が図1に概略図として示されている。
不織布パックの厚さはニードリング工程を通過した時点で既に、非ニードル加工不織布パックの当初に比べ減退している。尤も、ニードリングで得られたこの構造にはまだ持続的な耐久性はない。それは、ステープルファイバの純機械的な三次元「固定」であって、負荷をかけて再び「固定解除」することができるからである。
本発明に基づく繊維複合材は、持続的安定化、すなわち、靴製品への使用に適した安定化特性を達成するために、さらに処理される。それには、熱エネルギーおよび圧力が投入される。この工程では繊維混合物の有利な組成が活用される。つまり、繊維混合物の熱固着には、心部/外郭Bicoの成分のうち、少なくとも、より低い融解温度で融解する外郭の接着軟化温度領域に含まれる温度が選択される。それは、このBicoを粘性状態に軟化させて、それぞれのBicoの外郭軟化質の近くに存在する、第1繊維成分の繊維部分を一部この粘性質に閉じ込めることができるまでにBicoを処理するためである。それによって、両繊維成分は、不織布の基本的な骨組および組織に変化を及ぼすことなく、互いに持続的に結合する。そのようにして、さらに、当該不織布の有利な特性、特に、持続的な機械的安定化特性と組み合わされた良好な水蒸気透過性の利用幅を広げることができる。
このように熱固着された不織布は図2に概略図で示されている。図2aには切取部の詳細な様子が倍率の拡大下で示され、個別繊維間の接着結合点は平坦な黒塗り斑点で描かれている。図2bはこの切取領域をさらに拡大した図である。
不織布には熱固着に加え、不織布用素材の少なくとも1つの表面に表面加熱圧搾加工を行なうことができる。これは、不織布用素材のこの表面を、例えば加熱されたプレスプレートまたはプレスローラにより圧力と温度の作用下に同時に曝すことによる。その結果として、不織布用素材の残りの体積部分よりさらに強固な固着および加熱圧搾表面の平滑化が達成される。
図3には、最初はニードリングにより機械的固着、次に熱固着、そして最後に、1つの面に対して加熱圧搾処理を行った不織布が概略図として描かれている。
添付の比較表では、本発明に基づく遮断材を含めて異種素材を、幾つかのパラメータを通して比較対照している。検討対象は、靴底用スプリットレザー、ニードル固着処理のみの2種の不織布用素材、ニードル固着+熱固着処理不織布および最後にニードル固着+熱固着+表面加熱圧搾処理不織布である。なお、比較表のこれら素材には、以降での比較表の検討を簡易化するために、素材番号1〜5を割り付けてある。
縦方向伸長度と横方向伸長度は、50N、100N、150Nの伸長力を作用させれば、それぞれの素材が何パーセント伸長するかを示している。縦方向または横方向の伸長度が小さければ小さいほど、素材はますます安定化し、遮断材としてますます適すようになる。それぞれの素材が、小石などの異物が膜に侵入するのを防止するための遮断材として使用される場合、耐貫通性が重要である。各素材の靴底複合材としての組み入れには、比較表では摩耗性と表記されている耐磨耗性も重要である。
比較表から読み取れるように、靴底スプリットレザーは、確かに高い引裂き強度、伸長力に対する比較的良好な安定性および高い耐貫通性を有しているが、しかし湿潤試料の場合では耐磨耗性は平凡で、特に水蒸気透過性はあまり芳しくない。
ニードル固着処理だけの不織布用素材(素材2および素材3)は、確かに、比較的軽量で、レザーに比べて高い水蒸気透過性を有しているが、しかし、伸長力に対して比較的抵抗性が弱く、耐貫通性に劣り、並みの耐磨耗性しか持っていない。
ニードル固着および熱固着処理のなされた不織布(素材4)は、素材2および3より薄手構造で、単位面積質量が大きいので、よりコンパクトである。素材4の水蒸気透過性は素材2よりは高く、素材3とはほぼ同程度であるが、一方、素材1のレザーとの比較では殆ど3倍になる。縦方向、横方向の伸長に対する抵抗性については、素材4はニードル固着だけの不織布用素材2および3より明らかに高く、引裂きが現われるまでの縦方向および横方向の荷重に関しても素材2および3の場合より明かに大きい。耐貫通性および耐磨耗性についても素材4は素材2および3より遥かに高い。
素材5、すなわち、ニードル固着、熱固着および表面加熱圧搾処理した不織布用素材は、表面の加熱圧搾処理により同じ単位面積質量では素材4より薄手構造であり、したがって靴底複合材での使用でも素材4よりかさばらない。素材5の水蒸気透過性は、素材4をさらに上回っている。素材5は、縦方向および横方向に50N〜150Nの伸長力を受けても全く伸長を見せないので、伸長抵抗性に関しても素材4より優っている。引裂き強度については、縦方向の耐負荷性は素材4より高いが、横方向の耐負荷性は素材4より劣っている。耐貫通性は素材4よりやや低く、それは素材5のほうが薄いことに起因する。耐磨耗性に関しては、素材5は他のすべての素材1〜4より特別優位な位置にある。
比較表は、このように、遮断材で高い水蒸気透過性、高い形態安定性、それに伴う安定化作用および高い耐磨耗性が要求される場合には素材4および特に素材5が特別に良く適していることを示している。
素材5の場合、ニードル固着および熱固着され、既に非常に良好な安定化作用を持つ不織布になるが、本発明の一実施形態では、不織布用素材の吸湿性を最小化するために、続いて、例えば防水作用のある液体に浸漬させることにより、さらに防水加工も加えられる。不織布は防水浴での処理後、熱作用下で乾燥させる。それにより、加工品の防水特性がさらに改良される。不織布は、乾燥工程後校正装置に通され、そこで最終厚さ、例えば1.5mmへの調整も行われる。
不織布は、非常に平滑な表面に仕上げるために、続いて、再び温度および圧力の作用下に置かれる。それは、融解性のある繊維部分、つまり不織布の表面を構成する第2繊維成分Bicoの外郭にある繊維部分を改めて融解し、同時に圧力をかけて非常に平滑な表面にするためである。これは適当なカレンダー装置か、または加熱されたプレス機で行われる。その場合、不織布と加熱プレスプレートとの間に、例えばシリコンペーパまたはテフロン(登録商標)などの剥離層材を挿入することができる。
表面加熱圧搾による表面の平滑化処理は、遮断材に求める特性の如何に応じて、不織布の片面だけに、または両面に行われる。
既に比較表から明らかなように、そのように作製された不織布は引裂き負荷に対して高い安定性を示すほか、この材料を膜の防護のための遮断材として使用する場合に重要となる良好な耐貫通性も有している。
前記素材5は、本発明に基づき使用される遮断材の実施例1を具現するもので、この場合両繊維成分はポリエステルから成っていて、繊維複合材全体に占める両繊維成分の質量比はそれぞれ50%ずつであり、その第2繊維成分はBicoタイプの心部/外郭形態のポリエステル繊維である。
以上のほか、本発明に基づき使用される遮断材のさらに別な実施例を簡単に考察する。
実施例2
両繊維成分がポリエステルから成り、繊維複合材全体に占める両繊維成分の質量比がそれぞれ50%であり、その第2繊維成分が並列タイプのポリエステルBico繊維である遮断材。
特殊なBico構造は例外として、実施例2に基づく遮断材は、心部/外郭タイプのBico繊維による実施例1の遮断材と同様に製造され、同じ特性を有している。
実施例3
全体に占める両繊維成分の質量比がそれぞれ50%であり、第1繊維成分がポリエステルから、第2繊維成分がポリプロピレンから成る遮断材。
この実施例では、第2繊維成分としてBicoは使用されず、単一成分繊維が使用される。繊維複合材の製造には、単に融解温度だけが異なる2つの繊維成分が選択される。この場合ポリエステル繊維(融解温度約230℃)は質量比が全体の50%で、支持成分を形成し、一方、ポリプロピレン繊維は同じく質量比が50%で、約130℃と低い融点を持つことから粘着性の固着成分として機能する。上記の点を除けば、製造工程は実施例1と同様の経過を辿る。実施例2との比較では、実施例3に基づく不織布のほうが熱安定性は低いが、しかし低温の適用下でも製造することができる。
実施例4
第1繊維成分として全体の80%を占めるポリエステルと第2繊維成分として心部/外郭ポリエステルBico繊維を含む遮断材。
この実施例の場合製造はやはり実施例1の場合と同様に行われるが、もちろん、固着成分を形成する第2繊維成分の割合が変更されている点は異なっている。その質量比は、融解温度の高い第1繊維成分の質量比80%に比べて低く、僅か20%に過ぎない。固着成分の按分比例的減少によって、得られる遮断材の安定化作用は後退する。機械的耐久性の高い不織布に高い撓曲性の組み合わせが要求される場合には、これが有利に働くことがある。この不織布の温度安定性は実施例1の場合に匹敵する。
次に、図4〜11を手掛かりに、靴底複合材または遮断ユニットについて幾つかの実施例を、つまりその仔細を考察する。
図4は、最下方に底革23およびその上に靴安定化部材25を持つ靴底複合材21の、遮断材が取り付けられていない時点での部分横断面を示している。底革23および靴安定化部材25はそれぞれ貫通開口部27または29を有しており、それらが一体化して靴底複合材21の厚さ全体を通り抜ける通し空洞31を形成している。通し空洞31は、したがって、両貫通開口部27および29の交差面によって形成される。この靴底複合材21の構造完全化には、さらに、貫通開口部29の中に(図4には示されていない)遮断材33を設置するか、またはその上に配置する。
図5は、安定化部材25に嵌め込まれた一片の遮断材33を含む遮断ユニット35の例を示している。
一実施形態では、安定化部材を一片の遮断材33の領域の周辺に、あるいはその領域に接合させて成形するが、その場合安定化部材25が遮断材33の繊維組織内へ浸透して、そこで硬化し、堅固な結合が得られるように加工する。
安定化部材の周辺またはそれとの接合領域への成形用加工剤としては、例えば熱可塑性のポリウレタン(TPU)が適しており、これは遮断材を非常に良好な状態に納め入れ、互いに堅固に結合する。
別な一実施形態では、遮断材33は安定化部材25に接着結合されている。安定化部材25は、好ましくは、少なくとも靴底複合材21を安定化させる安定化フレームおよび遮断材33の表面に配置された、少なくとも1つの安定化帯材37を有しているものとする。少なくとも1つの安定化帯材37は、底革のほうに向いた遮断材33下面に配置されるのが好ましい。
図6は、一片の遮断材33が安定化部材25に嵌め込まれている遮断ユニット35を示している。その場合、遮断材33は縁領域が安定化部材25に取り巻かれているだけでなく、両表面も被せられた状態にある。
図7は、一片の遮断材33に、少なくとも1つの安定化帯材37としての安定化部材25が取り付けられた遮断ユニット35を示している。安定化帯材37は遮断材33の少なくとも1つの表面に配置される。好ましくは、底革23のほうに向いた下向き表面に配置する。
図8は、一片の遮断材33に安定化部材25が取り付けられた、但し、該遮断材33が安定化部材25の少なくとも1つの表面に設置された状態の遮断ユニット35を示している。この場合遮断材33が貫通開口部29を覆っている。安定化帯材37は安定化部材25の貫通開口部29の内部にある。
図9は、底革23の上方に、図5に基づく遮断ユニットを持つ、図4に基づく靴底複合材21を示しており、そこでは安定化帯材37は1つだけ図示されている。
遮断材33と安定化部材25との間での成形、周辺成形または接着において結合物質が結合面に付着するだけでなく、繊維組織内に浸透し、そこで硬化することは、図4〜9に基づく上記すべての実施形態に当てはまる。したがって、それらの結合領域での繊維構造は追加強化される。
図10および11には、遮断材33の表面に設置された安定化帯材37の見本について、さらに2つの実施形態が示されている。図10の場合では、例えば靴底複合材21の通し空洞に相当する、例えば遮断材33下面の円形面43上に3つの個別帯材37a、37bおよび37cが、例えば遮断材の下面上への接着によって、T字形に互いに向い合った形に配置されているが、一方、図11の場合では安定化帯材は格子37dの形態に取り付けられている。
次に、図12〜27を参考に、本発明に基づき作られた靴の実施形態について説明する。その場合、個別の構成部分も、特にそれぞれの靴底複合材に関連付けて検討する。
図12は、靴甲103および本発明に基づく靴底複合材105を持つ、本発明に基づく靴101の一実施例を示したものであり、斜め下方からの斜視図である。靴101は、前方領域107、中央部領域109、踵領域111および足挿入口113から成っている。靴底複合材105は、その下面に多区分底革117を有しており、それは靴底複合材105の踵領域の底革部117a、足裏ふくらみ領域の底革部117bおよび足指領域の底革部117cに分かれている。それらの底革部117は、踵領域119a、中央部領域119bおよび足前方領域119cを含む安定化部材119の下面に固定されている。靴底複合材105を以下の図面に関連付けてさらに詳しく説明する。
靴底複合材105のその他の構成部分として、踵領域111と足前方領域107に配置された安定化部材119の表面に靴底緩衝部121aおよび121bを設けることができる。底革117と安定化部材119はそれぞれ、靴底複合材を通り抜ける通し空洞を形成する貫通開口部を有している。この通し空洞は、遮断材片33a〜33dにより水蒸気透過可能な状態に覆われている。
図13aは、靴甲103と靴底複合材105がまだ別々に離された状態の製造段階にある、図12に基づく靴101を示している。靴甲103には、その靴底側下端領域に靴甲底部221があって、防水性で水蒸気透過性の靴甲底部機能層を有している。この層の形成には、防水性で水蒸気透過性の膜が使用できる。機能層は、好ましくは、機能層のほかに支持層、例えば加工保護面としてのテキスタイル裏面を有する多重機能積層の構成部分とする。靴甲底部115には、それに加えて靴甲組付け靴底を取り付けることができる。また、機能積層に靴甲組付け靴底の機能を割り当てる方法も可能である。靴底複合材は、そのほか、既に図8に関連して言及した、遮断材片33a〜33dで覆われた通し空洞31を有している。帯材37は、それぞれの通し空洞の外縁の内側に描かれている。別な実施形態では、通し空洞が3つの場合や、または2つまたは1つの場合がある。また別な一実施形態では4を超える通し空洞が設けられている。靴底複合材105は、図12の状態に仕上げるために靴底側の靴甲下端に成形または接着によって固定させることができる。機能層およびその積層の詳細、および組付け靴底との結合については明細書の説明および図20〜25が参考になる。
図13bと図13aの靴構造は同じであるが、図13aの靴は通し空洞31を4つ有しているのに対し、図13bの靴に設けられた通し空洞31は2つである。図から見て取れるように、帯材37はそれぞれの通し空洞31の外縁より内部に配置されており、通し空洞31の境界を形成してはいない。通し空洞の面積は、その上を横切る帯材の総面積を差し引いて求める。それは、この帯材の面積が水蒸気の移行をブロックしているからである。
図14は、その上部が底革117から離れた位置にある靴底複合材105を示している。安定化部材119は、底革117から離れた上方部で、中央部領域119bおよび足前方領域119cにおいて遮断材33の複数の切片33a、33b、33cおよび33dによって覆われている。図14では見えない靴底複合材105の通し空洞はそれらで覆われている。靴底複合材105の踵領域および足前方領域には、安定化部材119の上方部にそれぞれ靴底緩衝部121aおよび121bが取り付けられている。すなわち、踵領域では実質上全面に、刳り抜き部のある足前方領域では、遮断材片33b、33cおよび33dの設置されているところに取り付けられている。
底革117の部材、安定化部材119および靴底緩衝部材121aおよび121bは靴底複合材の内部で異なった機能を示すので、それぞれ別な材質で構成するのが目的に適っている。良好な耐磨耗性を持たねばならない底革部材は、例えば熱可塑性のポリウレタン(TPU)またはゴムから成っている。熱可塑性ポリウレタンは、異なった特性を示す可能性のある多数の異種ポリウレタンに対する上位概念である。底革には、高い安定性とスリップ防止性とを持つ熱可塑性のポリウレタンを選択することができる。歩行時に受ける靴着用者の衝撃を緩和させるための靴底緩衝部材121aおよび121bは、それ相応の弾力性、撓み性を持つ素材、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)またはポリウレタン(PU)で構成される。互いに関連性のない底革部材117a、117b、117cおよび同様に互いに関連性のない靴底緩衝部材121a、121bの保持材として、および靴底複合材105全体の安定化要素として用いられ、それ相応の弾力的剛性を有していなければならない安定化部材119は、例えば少なくとも1種類の熱可塑性物質で構成される。適した熱可塑性物質の例としては、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアミド(PA)、ポリエステル(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。そのほかに、適した素材としてゴム、熱可塑性ゴム(TR=サーモプラスチックラバー)およびポリウレタン(PU)がある。また、熱可塑性ポリウレタン(TPU)も適している。
図14に示された靴底複合材は、既に安定化部材119bおよび119cに配置されたものとして描かれている遮断材片33a、33b、33cおよび33dを除き、図15では分解図として、すなわち、靴底複合材105の個別部材が別々に切り離された部分図として描かれている。図15に示された実施形態では安定化部材119は、その構成部119a、119bおよび119cを当初はセパレートの構成部として持つが、それらは靴底複合材105の組立過程で安定化部材119に組み立てられ互いに結合する。その組立は、安定化部材の3構成部を互いに溶接または接着することによって行うことができる。図16との関係でも説明するが、遮断材片の下方にある開口部は、底革部材117a、117bおよび117cの開口部123a、123bおよび123cと共に、図4との関係で既に説明した種類の通し空洞31を形成しているが、遮断材片33a〜33dにより水蒸気透過可能な状態に覆われている。安定化部材119の踵部119aにおける貫通開口部125は、遮断材33によるのではなく、靴底緩衝部材121aの面全体で閉鎖されている。それにより、足の汗が主に生成される足の前方領域および中央部領域と違い、汗が生成されず、そのため状況によっては、汗湿分の誘導があまり必要にならない靴の踵領域では靴底複合材105の緩衝作用が増強される。
靴底緩衝部材121bには貫通開口部127a、127bおよび127cが設けられているが、その大きさは、遮断材片33b、33c、33dが、それらをそれぞれ取り巻く、安定化部材119cの境界縁129a、129bおよび129cの内側で、貫通開口部127a、127bおよび127cの中に納めることができるように設定される。
別な一実施形態では、靴底緩衝部材121の使用が想定されていない。この場合、安定化部材の構成部119a、119bおよび119cは境界縁129a、129b、129cのない平坦な表面を有しているので、遮断材33は安定化部材の開口部の中でそれらの表面と同一平面上に設置されている。靴底複合材は、遮断材33と安定化部材119から構成された遮断ユニットおよび底革だけで形成される。
図15に斜め上方から描かれた靴底複合材部分105は、図16でも同様に各部分が切り離されて描かれているが、この場合は斜め下方からの図である。それより明らかなように、底革117a〜117cには通常、スリップの危険を低減化させるため、底革溝パターンが形成されている。その上、安定化部材の構成部119aおよび119eには、その下面に毛羽状の突出物131があり、これらは、図15に見られる、底革部材117a、117bおよび117cの上面に設けられた相補的な窪みに収容され、これら底革117a〜117cと対応の安定化部材構成部119aおよび119cとの正しい位置での結合に用いられる。図16では、そのほか、安定化部材構成部119bおよび119dに開口部135a、135b、135cおよび135dがあるのが認められる。これらはそれぞれ対応の遮断材片33a、33b、33cおよび33dによって水蒸気透過可能な状態に被覆されており、同時に靴底複合材105の通し空洞31(図4)が水蒸気透過性の状態で封鎖されている。一実施形態では、遮断材片はその平滑面が底革のほうへ向くように配置されている。開口部135a〜135dにはそれぞれ安定化格子材137a、137b、137cおよび137eが橋状に架けられていて、これらは安定化部材119のそれぞれの対応開口部領域でそれぞれ安定化構造を形成している。これらの安定化格子材137a〜137eは、そのほか、大きな異物が遮断材33またはその先にまで侵入するのを、つまり、靴の着用者が不快な感じを受ける事態を防止する作用がある。
また、足中央部側の安定化部材構成部119bの軸末端に取り付けられている結合要素139についても触れておく。それは、3つの安定化部材構成部119a〜119cから成る安定化部材119の組立時には底革設置側と反対側の安定化部材構成部119aおよび119cの上側でオーバラップさせ、そこで、例えば溶接または接着によって固定される。
図17は、図16の拡大版であり、互いに固定させる前の両安定化部材構成部119aおよび119bを示している。足前方側の安定化部材構成部119cの開口部135b〜135dおよびその中にある安定化格子構造が非常によく認められる。それより、中央部の安定化部材構成部119bが側方部に大きく湾曲したフレーム、格子部分を有していることも明らかになる。安定化部材構成部119bに設置される遮断材片33aには、側方部がそれ相応に反り上がった側翼141が付けてある。靴安定化部材構成部119bにも遮断材片33aにもこのような高く反り上がった部分が設けられていることにより、足中央部側面の形態への適合が達成される。残りの遮断材片33b〜33dは、足前方側の安定化部材構成部119cの実質上平坦な構造に相応して実質上平坦である。
ここで、一般事項として付け加えるが、安定化部材構成部119bおよび119cの少なくとも1つの開口部135a〜135dは安定化部材119のフレーム147によって境界付けされており、開口部135a〜135d内に存在する帯材37によるのではない。図17に示された境界縁129a〜129cは、この実施形態ではそれぞれのフレーム147の一部をなしている。
さらにまた、複数の遮断材片33b、33c、33dの代わりに一体型の遮断材を使用することも可能である。設置用突出部150および/または境界縁129a〜129cは、それに相応した形態にしなければならない。
足中央部領域に予定された、安定化部材構成部119bおよび遮断材片33aを有する遮断ユニットのまた別な変形体が図18と19に、図18では完全に組み合わせた状態で、図19ではこれら両部分がまだ互いに離れたままの状態で描かれている。図18および19の変形体では、図17のタイプとは異なり、足中央部領域用に用意された安定化部材構成部119bは、中央部領域にのみ開口部とその中に設置された安定化格子材137aを持ち、一方、安定化部材構成部119bの側方部両翼部分143は全体を通して実質形成されている。すなわち、その部分は開口部がなく、単にその下面に安定化肋材145が取り付けられているだけである。それに対応して、図18〜19の変形体の場合、図17の場合の側方翼は必要ないので、この遮断ユニットに割り当てられる遮断材片33aは小型化される。
図12〜19を手掛かりに、本発明に基づく靴底複合材105の実施形態を説明してきたが、今度は図20〜27を手掛かりに、本発明に基づく靴底複合材で構成された、本発明に基づく靴製品の実施形態および詳細を説明する。なお、図20、22および23は、靴甲底部が靴甲組付け靴底および加えて機能積層を持つ、本発明に基づく靴製品の実施形態を示しており、他方、図24および25は、靴甲底部機能積層237が同時に靴甲組付け靴底233の機能を担っている、本発明に基づく靴製品の実施形態を示している。図26は靴底複合材105の別な実施形態を示している。
図20〜25に示された両実施形態の場合、靴101は図12および13a〜bと同じように、上部外層211、内部内張り層213およびその中間に、例えば膜形態の防水性、水蒸気透過性の靴甲機能層215を持つ靴甲103を有している。靴甲機能層215は内張り層213と結合して、2層積層または3層積層の形態を取ることができる。その場合、靴甲機能層215は内張り層213とテキスタイル裏面214との間に挿入されている。靴甲上端217は、図20〜24に描かれた断面図の切断面が足の前方領域に当るのか、中央部領域に当るのかに対応して、閉鎖されているか、または足挿入口113(図12)のほうへ開放されている。靴底側の靴甲末端領域219では靴甲103に靴甲底部221が設けられており、それにより、靴甲103の靴底側下端が閉鎖されている。靴甲底部221は、靴底側靴甲末端領域219と結合する靴甲組付け靴底233を有している。この結合は、図20〜25の実施形態では巻縮縫合によって行われる。
図20、22および23の実施形態の場合では、靴甲組付け靴底233に加えて靴甲底部機能積層237が取り付けられているが、それは靴甲組付け靴底233の下方に配置され、靴甲組付け靴底233の外縁を越えて靴底側靴甲末端領域219にまで及んでいる。靴甲底部機能積層237は3層積層にすることができる。その場合靴甲底部機能層248はテキスタイル裏面と別なテキスタイル層の間に挿入されている。靴甲底部機能層247にテキスタイル裏面だけをあてがうことも可能である。靴底側の靴甲末端領域219では上部層211は靴甲機能層215より短いので、そこでは靴甲機能層215は上部層211に比べて突出部分が生じ、靴甲機能層215の外側表面側は自由空間になる。靴甲機能層215の突出部における、主として機械的引張の軽減のため、上部層211の靴底側末端238と靴甲機能層215の靴底側末端239との間にネットベルトまたはパッキン材を通すことのできるその他素材が配置されている。巻縮縫合部235から離れた側のその長さ方向は、第1縫合部243により上部層211の靴底側末端238と結合しているが、しかし靴甲機能層215とは結合していない。また、巻縮縫合部235に向いたその長さ方向は、巻縮縫合部235により靴甲機能層215の靴底側末端239と、および靴甲組付け靴底233と結合している。ネットベルト241は、主として単繊維素材から成っているので、導水性を持たない。ネットベルトは主に成形靴底に対して使用される。靴底複合材が接着剤により靴甲に固定される場合、ネットベルトの代わりに上部層211の靴底側末端238を接着剤249により靴甲機能積層に固定することができる(図22)。靴甲底部機能積層237が靴甲組付け靴底233の周囲を越えて突き出している外周領域245では、靴甲底部機能積層237と靴甲機能層215の靴底側末端239との間にパッキン材248が配置されており、それによって、靴底側末端239、靴甲機能層215および靴甲底部機能積層237の外周領域245間で防水性の結合が達成され、その場合のパッキング効果はネットベルト241を通り越えて作用する。
図20および23〜25に示されたネットベルトによる解決策は、上部層211に流れ込み、または浸透した水が、巻縮縫合部235にまで達して、そこから靴の内部空間に侵入するのを防止するために用いられる。この侵入防止は、靴甲機能層215の靴底側末端239から離れたところで終わっている上部層211の靴底側末端238を、非導水性のネットベルト241で橋架けし、加えて、靴甲機能層215の突出領域にパッキン材247を取り付けることによって行う。ネットベルトによる解決策は、それ自体資料文献EP0298360B1から公知である。
ネットベルト解決策の代わりに、製靴工業で使用されている、特に、靴甲と靴甲底部との防水性結合のためのあらゆる結合テクノロジーを使用することができる。図示されたネットベルト解決策および図22の固定法は実施形態のモデルである。
図24に示された靴甲構造は、図20の靴甲構造に基本的に一致するが、但し、セパレート型の靴甲組付け靴底は設けられておらず、靴甲底部機能積層237が同時に靴甲組付け靴底233の機能を担っている。図24に示された実施形態では、それに対応して、靴甲底部機能積層237の周縁は巻縮縫合部235を通じて靴甲機能層215の靴底側末端239と結合しており、この巻縮縫合部235の領域にパッキン材248が、靴甲機能層215の靴底側末端239と靴甲底部機能積層237の周縁領域との間の、巻縮縫合部235を含めた移行領域全体が封鎖されるように取り付けられている。
図20および24の両実施形態では、これら両図に示されているように、同じように構成された靴底複合材105を使用することができる。図20および24では靴101の前方領域の切断図が示されており、これら両図で採り上げているのは、靴底複合材105の足前方領域の切断面、すなわち、その開口部135cに遮断材片33cが取り付けられた足前方領域用のある特定の安定化ユニット構成部119cを横断する切断線に沿った断面である。
それに応じて、靴底複合材105のこの切断図には、開口部135cを持つ安定化部材構成部119c、この開口部の橋架けをする当該安定化格子材137cの帯、上方へ高く伸びるフレーム129b、このフレーム129b内に設置された遮断材片33c、安定化部材構成部119cの最上位置の靴底緩衝部材121bおよび安定化部材構成部119cの下面上の底革117bが示されている。これらの点では図20および24の両実施形態は一致している。
図21は、一片の遮断材33の下面に少なくとも1つの安定化帯材37が取り付けられた遮断ユニット35の例を示している。この場合安定化帯材37とは反対側の位置になる、遮断材33の表面領域に接着剤39が塗布されており、それを介して遮断材33と、靴底複合材の外側、遮断ユニット35の上方にある、防水性、水蒸気透過性の靴甲底部221とが結合している。その場合接着剤39の塗布は、遮断材33の下面に安定化帯材37が存在しないいずれの場所でも、靴甲底部221と遮断材33とが非結合のままであるように行う。このようにすることによって、安定化帯材37の配置のために、元々遮断材33を透過しての水蒸気移動が不可能な場所だけは別にして、靴甲底部115の水蒸気透過機能が接着剤39によって損なわれることは避けられる。
図20および24ではそれぞれの靴底複合材105は、対応のそれぞれの靴甲103から切り離された状態で描かれているが、図22、23および25では、靴甲下面に接合された靴底複合材105のこれら両実施形態の拡大切断面が描かれている。これらの拡大図で示されたいずれの実施形態でも、靴甲底部機能積層237の靴甲底部機能層247は、例えば延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から成る、主として微多孔質の機能層である。しかし、既にずっと上段で触れたとおり、機能層には他種素材を使用することもできる。
図22、23および25のこれら切取拡大図では、靴甲機能層215と靴甲底部機能層247の相対して重なり合う末端間に、パッキン材248により防水性結合が形成されているのが非常によく認められる。しかも、ネットベルトの長辺が巻縮縫合部235に引き込まれている様子が図20および24の場合より明瞭に認められる。
図22は、本発明に基づく靴底複合材105を固定用接着剤250により靴甲底部に固定させた実施形態を示している。靴甲機能積層216はテキスタイル層214、靴甲機能層215および内張り層213を持つ3層複合材である。上部層211の靴底側末端238は接合接着剤249により靴甲機能積層216に固定されている。
固定用接着剤250は、通し空洞135およびその通し空洞135の領域に配置された遮断材33の部分を除き、靴底複合材の表面に平たく塗布される。靴底複合材を靴甲底部221に固定させる場合、固定用接着剤250は一部には靴甲機能積層216の内部にまで、および一部には靴甲底部機能積層237の縁領域の内部にまで浸透する。
図23は、成形された靴底複合材を含む、図20に基づく靴甲の構成図である。その場合3層の靴甲底部機能積層237は、テキスタイル裏面246が靴底複合材のほうへ向くように、靴甲組付け靴底233に固定される。そうすれば、靴底成形材260の薄いテキスタイル裏面への浸透が容易になり、そこでの定着が可能になり、それにより靴甲底部機能積層237への堅固な結合が達成される。
少なくとも1つの開口部135および少なくとも一片の遮断材33を備えた遮断ユニットは、予備調製ユニットとして用意され、成形工程の前に成形型に入れられる。靴底成形材260は、その用途に相応して靴甲底部上に成形される。その場合成形材はネットベルト241を通って靴甲機能積層216にまで浸透する。
図25は図24の切取拡大図である。その靴底複合材105は、本発明に基づく遮断ユニット35のまた別な一実施形態である。靴安定化部材119cは靴底複合材105の一部を成し、この場合では靴底複合材105の外周までは伸び出してはいない。開口部135を覆って一片の遮断材33cが設置されるが、それはこの素材33cが、環状平坦に形成された、開口部135の境界縁130の上に載るように行われる。
靴底複合材105は固定用接着剤250によって靴甲底部221に固定するか、あるいは(図示されているような)靴底成形材260によって成形することもできる。
図25からも明らかなように、靴甲底部機能積層237が靴甲組付け靴底233の機能を同時に担っている実施形態では、積層は遮断材片33cの相対する上面の上側に直接配置されることになり、これが非常に有利に働いている。それは、この場合では靴甲底部機能積層237と遮断材片33cとの間に、水蒸気の搬送を損ないかねないエアークッションが生成されないで、遮断材片33cと特に靴甲底部機能層247がそのような靴の着用者の足底に極めて密着した位置にあるからで、それが、靴の内部と外部間に存在する温度勾配にも依存する水蒸気の搬送を改善させている。
図26は、本発明に基づく靴底複合材のまた別な実施形態の図である。本斜視図は、靴底複合材の足指領域から踵領域にまで配置された、安定化部材119内の複数の開口部135を示している。このように、安定化部材119は踵領域にも存在する。底革部材117が底革を形成している。
図27は、本発明に基づく靴底複合材の別な実施形態における横断面を表わした図である。この実施形態の靴底複合材105は、図24に描かれた靴底複合材にかなり類似している。図27に基づく靴底複合材105は底革を有している。この図では靴底複合材105の足裏ふくらみ領域を通る横断面、したがって、対応の底革部材117bを通る横断面が示されている。しかし、図27の描画内容は靴底複合材105の別な領域、すなわち、足中央部および踵部分にも当てはまる。底革部材117bは、歩行時に地面に触れる接地面153を有している。図27に示された靴底複合材105の断面図には、安定化部材119cとその開口部135c、その上方位置にあるそれの境界縁129b、境界縁129bに挿入された遮断材片33c、安定化部材構成部119cの上面上にある靴底緩衝部材121bおよび安定化部材構成部119cの下面上の底革部材117bが含まれている。遮断材片33cの下面には支持要素151が設置されている。支持要素151は、歩行時に遮断材33がこれを通じて歩行地面上で支えられるように、遮断材33の接地面に向いた側から接地面153の水平面にまで及んでいる。すなわち、この靴底複合材の取り付けられた靴が何らかの表面に立ったときには、図27に描かれた支持要素151の下方自由末端がその表面に接している。そのような表面上での歩行の際には支持要素151によるこの支持によって、遮断材片33cは実質上、図27に示されたとおりの位置に保持されるので、靴着用者の荷重による過剰な曲げは回避される。遮断材片33cに対する支持作用を高め、また支持要素の平面方向への広がりを通じて支持作用をより均一化するために、開口部135cには複数の支持要素151を配置することができる。
支持機能は、図24に示された安定化帯材137cを同時に支持要素151として形成することによっても得ることができる。それには、安定化帯材137cの下端を、接地面として用いられる底革部材117bの下面から離れた位置に設置するのでなく、当該下面の水平面にまで引き伸ばす。それによって、安定化帯材137cには、遮断材片33cの安定化と支持という二重機能が付与される。例えば、図10に描かれた安定化帯材37cまたは図11に描かれた安定化格子材37dは、全面的に、または部分的に支持要素151として形成することができる。
本発明に基づく靴底構造によれば、高い水蒸気透過性が達成される。これは、1つには、靴底複合材105には広い面積の通し空洞が設けられていて、それが高い水蒸気透過性を持つ素材によって閉鎖されているからであり、また1つには、少なくとも通し空洞31の領域では、水蒸気透過性の遮断材33と靴甲底部機能層247との間に水蒸気の交換を阻止する結合は存在せず、そのような結合が存在したとしても、せいぜい、水蒸気の交換に積極的には関与しない、通し空洞31の外側の領域、例えば靴底複合材105の縁領域でのことである。その上、本発明に基づく構造の場合靴甲底部機能層247が足に密着した配置なので、水蒸気の搬出を促進させる効果がある。
靴甲底部機能積層237は、2層、3層またはそれを越える層数の多層積層とすることができる。それは、機能層用にテキスタイル担体を少なくとも1つ有し、少なくとも1つの機能層を含んでいる。その場合機能層は防水性で水蒸気透過性であり、好ましくは微多孔質の膜247によって形成することができる。
試験方法
厚さ
本発明に基づく遮断材の厚さはDIN ISO 5084(10/1996)に従って試験する。
耐貫通性
平坦繊維品の耐貫通性は、EMPA(連邦材料試験調査機関)適用の方法によりInstron引張試験機(4465型)使用のもとで行う。直径13cmの円形繊維布片を打抜き機で打抜くが、当該試験片を17の穴を持つ支持プレートに固定する。棘状の17本の針(縫い針110/18タイプ)が固定されている打ち抜きタガネを、針が繊維布片を貫通して支持プレートの穴に入るように、1000mm/分の速度で打ち下ろす。繊維布片への貫通力はロードセル(力変換器)により測定する。結果は3試料から求める。
防水機能層/遮断ユニット
機能層が少なくとも1×104Paの水侵入圧に対して安定であれば、場合によっては機能層における縫目も含め、機能層は「防水性」であると見なされる。機能層用の素材は、好ましくは、1×105Pa超の水侵入圧に対して安定であるとする。この場合水侵入圧は、20±2℃の蒸留水を100cm2の機能層としての試料に対して圧力を上げながら作用させる試験方法によって測定する。水圧の上昇は60±3cm Ws/分とする。水浸入圧は、水が初めて試料の反対側の面に現われるときの圧力に相当する。実施方法の詳細は1981年版のISO規格0811に規定されている。
防水靴
靴が防水性であるか否かは、例えば、US−A−5329807に記載されている種類の遠心分離装置で試験することができる。
遮断材の水蒸気透過性
本発明に基づく遮断材の水蒸気透過性の値は、DIN EN ISO 15496(09/2004)規定のいわゆるビーカー法によって試験する。
機能層の水蒸気透過性
機能層が150m2×Pa×W-1未満の水蒸気透過値Retを示せば、その機能層は「水蒸気透過性」であると見なされる。水蒸気透過性は、Hohenstein−Hautモデルに準じて試験する。試験方法はDIN EN 31092(02/94)またはISO 11092(1993年)に規定されている。
本発明に基づく靴底部構造の水蒸気透過性
靴底複合材、その上の靴甲底部機能層または靴甲底部機能積層を含む靴底部構造を持つ、本発明に基づく靴製品の一実施形態では、靴底部構造は、0.4g/時間〜3g/時間の水蒸気透過性(MVTR=Moisture Vapor Transmission Rate)を有しているが、これは0.8g/時間〜1.5g/時間の範囲に限られることがあり、また現場の一実施形態では1g/時間である。
靴底部構造の水蒸気透過性の度合は、資料文献EP0396716B1に記載の測定方法、つまり、靴全体の水蒸気透過性を対象として構想された測定方法によって求めることができる。靴の底部構造だけの水蒸気透過性の測定には、EP0396716B1に記載の測定方法も同様に使用することができる。その場合ではEP0396716B1の図1に示された測定構造により、2つのシナリオで連続して測定する。すなわち、1つは、水蒸気透過性の靴底部構造を持つ靴を、他の1つは、水蒸気非透過性の靴底部構造である点以外は同条件である靴を測定する。両測定値の差から、水蒸気透過性の靴底部構造に割り振られる水蒸気透過性の割合を求めることができる。
いずれの測定シナリオの場合でも、EP0396716B1に記載の測定方法の適用下で、すなわち、下記のステップを踏んで作業する。
a)靴を空調空間(23℃、相対湿度50%)に少なくとも12時間置いて靴の状態を調整する。
b)挿入靴底(足底材)を取り外す。
c)靴の内部に適合する防水性、水蒸気透過性の内張り材を靴に内張りする。但し、内張り材は足の挿入口領域では防水性、水蒸気非透過性のパッキン材(例えばプレキシガラス製パッキン材および吹込み膨張性スリーブ)で防水性および水蒸気非透過性に封鎖することができるものとする。
d)内張り材に水を満たし、パッキン材により靴の足挿入口を封鎖する。
e)水を満たした靴を、予備設定した時間(3時間)静置させて予備調整する。その場合水の温度は35℃に一定維持する。周辺空間の空調条件も温度23℃、相対湿度50%と同様に一定維持する。試験のあいだ靴には送風機により正面から少なくとも平均2m/秒〜3m/秒の風速で風を当てる(それは、水蒸気の透過には相当な抵抗原因になると思われる、靴の周りに生成される静止空気層の破壊のためである)。
f)パッキン材で密封した、水の満たされた靴を予備調整後に改めて秤量する(質量m2[g])。
g)改めて静置させ、ステップe)と同条件で3時間本来の作業過程を進める。
h)3時間の試験過程後、水が満たされ封鎖された靴を改めて秤量する(質量m3[g])。
i)3時間の試験経過のあいだ靴から逃げ出た水蒸気量(m2−m3)[g]から、関係式M=(m2−m3)[g]/3[時間]に従い靴の水蒸気透過性を算定する。
1つには水蒸気透過性靴底構造を持つ靴全体の水蒸気透過数値(A値)を、また1つには水蒸気非透過性靴底構造を持つ靴全体の水蒸気透過数値(B値)を測定する両測定シナリオの実施後には、その差A−Bだけから水蒸気透過性靴底構造の水蒸気透過性の値を求めることができる。
水蒸気透過性の靴底構造を持つ靴の水蒸気透過性の測定中では、靴またはその靴底を密な組織の土台の上に直接置くことは避けるようにするのが重要である。これは、靴を少し持ち上げるか、または靴を格子構造体の上に置くことによって果たせるが、それによって、送風機からの空気流が底革の下方にも達し、底革に沿って流れが良くなる効果がもたらされる。
それぞれの試験構成では、測定ばらつきをより精確に考慮に入れることができるように、ある特定の靴に反復測定を行って、それより平均値を求めるのが重要である。上記の測定構造により、各靴について少なくとも2つの測定を行わねばならない。測定ではいずれの場合も、例えば実際値が1g/時間とすると測定結果に±0.2g/時間の自然発生的ブレが生じることを想定しておかねばならない。したがって、この例では同一靴について0.8g/時間〜1.2g/時間の測定値が得られることになる。この偏差の影響要因は、試験実行者から、または靴甲上方縁のパッキング品質差から生じる可能性がある。同一靴について複数の個別値を求めることによって、より正確な実際値像を得ることができる。
靴底部構造の水蒸気透過性の値はすべて、標準紐結びしたサイズ43(フランス式)の紳士用短靴がベースになっている。但し、サイズは規格化されておらず、メーカー間で異なる場合がある。
測定シナリオには原則として次の2つの可能性がある。
1.水蒸気透過性の靴甲を有し、
1.1 水蒸気透過性の靴底部構造または
1.2 水蒸気非透過性の靴底部構造
を有する靴の測定。
2.水蒸気非透過性の靴甲を有し、
2.1 水蒸気透過性の靴底部構造または
2.2 水蒸気非透過性の靴底部構造
を有する靴の測定。
伸長性および引裂き強度
伸長性および引裂き強度の試験を1999/04版のDIN EN ISO 13934−1に従って行った。但し、試料数は各方向につき5部と規定されているが3部とした。挟み固定具間の距離はどの試料も100mmとした。
磨耗性
比較表の磨耗値を得るための耐磨耗性試験には2つの測定方法を適用した。1つには、DIN EN ISO規格124947−1、−2(1999/04版)に従い被験試料をサンドペーパーに擦り付けて行うMartindale磨耗試験機による試験を行った(表の「カーボン磨耗性」)。但し、規格からの変更点が3箇所あった。第1は、試料ホルダに粒度180のサンドペーパーのほか標準フォームラバーを張付固定したこと、第2は、試料テーブルに標準フェルトのほか被験試料を張付固定したこと、第3は、試料すべてを700行程の作業下に置き、サンドペーパーを取り換えて検査したことである。また1つには、DIN EN ISO 12947−1、−2、−4に従い、湿潤試料に対して耐磨耗試験を行った(表では「湿潤磨耗性」)。但し、規格からの変更点として、標準フェルトおよび標準ウールの装備された試料テーブルをいずれも12,800行程運転させ、蒸留水で飽和させた。
磨耗試験ではリサジュー図形に従って摩擦運動が行われる。リサジュー図形は、関与周波数の比を然るべき値に選択した場合に繰り返し周期的に現われる全体像のことであり、相対的に位置ずれした個別図の組み合わせから成っている。これらの個別図の1つを通過することが、磨耗試験との関係では1行程と言われる。すべての素材1〜5について、何行程後にそれぞれの素材に穴が開いたかを、つまり、それぞれの素材が擦り切れてしまったかを測定した。比較表には素材ごとに、同一素材につきそれぞれ2つの磨耗試験から2つの行程値が記入されている。
硬度
ショアAおよびショアDによる硬度試験(DIN 53505、ISO 7619−1、DIN EN ISO 868)
原理
ショア硬度とは、定義付けされたバネ弾力の作用下における特定形態の物体の侵入に対する抵抗性のことである。ショア硬度は、試験負荷力の作用下で押し入れられた侵入物体の侵入深度(mm)を目盛幅0.025で割って得られた値と100との差で表わされる。
ショアA硬度試験では侵入物体として開口角35°の切頭錐体が、ショアD硬度試験では開口角30°、先端半径0.1mmの円錐体が使用される。侵入物体は研磨および硬化加工したスチールから成っている。
測定式
HS=100−h/0.025
F=550+75HSA
F=445HSD
hはmm、FはmNの単位
適用領域
両ショア硬度法は適用される硬度領域も硬度分解能も異なっているため、ショアA硬度>80の材料はショアD法で、ショアD硬度<30の材料はショアA法で試験するのが目的に適っている。
硬度等級 適用対象
ショアA硬度 軟質ゴム、非常に柔軟な合成物質
ショアD硬度 硬質ゴム、柔軟な熱可塑性物質
定義
遮断材
靴内の水蒸気移行性、すなわち着用快適性を高いレベルに維持しつつ、靴本体または靴に含まれる部品/材料、例えば甲材、靴底、膜の機械的保護、ならびに変形および外部からの危険物/異物/障害物の例えば靴底からの侵入に対する抵抗を可能にする素材。機械的保護および変形に対する抵抗は、主として、遮断材の小さい伸長性に依拠している。
繊維複合材
あらゆる種類の繊維結合体の上位概念。これには、レザー、金属繊維製の不織布あるいは編物、場合によってはテキスタイル繊維との混合物、糸および糸から作られた繊維品(平坦製品)が含まれる。
繊維複合材は少なくとも2種類の繊維成分を含んでいなければならない。これらの成分としては、繊維(例えばステープルファイバ)、フィラメント、繊維要素、糸、撚り糸などが可能である。各繊維成分は1種類の素材から成るか、または少なくとも2種類の素材を含んでいる。その場合一方の繊維種はもう一方の繊維種より低温で軟化/融解する(Bico)。この種のBico繊維は心部/外郭構造 − この場合は心部繊維が外郭繊維によって覆い被されている − 、並列構造または海島構造を有している。この種の工程資料および機械はRieter社/インゴルシュタット(ドイツ)および/またはSchalfhorst社/メンヒェングラートバッハ(ドイツ)から入手できる。
繊維は単一紡糸状、マルチフィラメント状または末端を互いに絡み合わせて房状にした、引き裂き型複数繊維の形態を取ることができる。
繊維成分は繊維複合材の中で均一に、または不均一に分布させることができる。
繊維複合材の全体は、好ましくは、少なくとも180℃の温度に安定でなければならない。
繊維複合材の少なくとも1つの面では、圧力および温度によって均一で平滑な表面が達成される。この平滑化された表面は、床/地面のほうへ「下」に向いているので、平滑表面では粒子/異物をより効果的に撃退させるか、あるいはより簡単に撥ね付ける。
繊維複合材または安定化部材の表面または組織全体の特性は、選択された繊維、温度、圧力および繊維複合材または安定化部材が温度および圧力の負荷を受けた時間に依存している。
不織布
ここでは繊維をコンベアベルトに載せ絡ませて作る。
巣状ネット
魚網構造または濾し器構造に仕上げた繊維。EP1294656のDupont社の明細書参照。
フェルト
機械的作用により開毛および縮充させた羊毛繊維。
織物
経糸および緯糸で作られた平坦形状物。
編物およびメリヤス
編目によって形成される平坦形状物。
融解温度
融解温度は、繊維成分またはそれに含まれる繊維部分が液状化する温度である。融解温度とは、ポリマー構造または繊維構造の分野では、ポリマー構造または繊維構造の結晶領域が融解して、ポリマーが液状に移行する狭い温度領域のことである。これは軟化温度領域よりも高い位置にあって、部分結晶ポリマーにとっては重要な指数である。融解とは、繊維または繊維部分の特徴的温度における固形から粘性/流動性への集合状態変化を意味している。
軟化温度領域
第2繊維成分または第2繊維部分は、軟化/可塑化するだけよく、液状化する必要はない。すなわち、適用される軟化温度は、成分/成分中の部分が溶けて流れ出す融解温度より低い位置にある。繊維成分またはそのうちの一部は、より温度安定な繊維成分が当該軟化部分に埋め込まれるか、くるみ込まれる程度に、軟化しているのが好ましい。
第1繊維成分の第1軟化温度領域は、第2繊維成分またはその第2繊維成分に含まれる第2繊維部分の第2軟化温度領域より高い位置にある。第1軟化領域の下限は、第2軟化領域の上限を下回ることができる。
接着軟化温度
第2繊維成分または第2繊維部分の軟化に到る温度。その温度では当該素材が接着作用を展開し、第2繊維成分の繊維の少なくとも一部が接着によって互いに熱固着することで、両繊維成分ともこれと同じ素材から成る繊維複合材に対して行う純機械的固着、例えば繊維複合材のニードリングによって得られる固着と比較して、それを上回る繊維複合材の固着安定化がもたらされる。接着軟化温度は、第2繊維成分の繊維の軟化が、その第2繊維成分の繊維間だけの接着ではなく、加えて、第1繊維複合材の繊維の個別位置が第2繊維複合材の繊維の軟化成分によって部分的に、あるいは完全に被覆されるまでも、つまり、第1繊維複合材のそのような位置の繊維が、第2繊維成分の繊維組織内に部分的に、または完全に埋もれて、繊維複合材の安定性強化がそれ相応に高められるに到るまでも行われるように選択することもできる。
温度安定性
安定化部材が成形される場合、遮断材は成形に対して温度安定でなければならない。同じことは靴底の成形(約170℃〜180℃)または加硫の場合にも当てはまる。安定化部材の成形が必要な場合、遮断材は、安定化部材が遮断材の構造内へ少なくとも侵入できるような、あるいは必要な場合にはそれを貫通できるような構造を有していなければならない。
機能層/膜
靴甲底部機能層および場合によっては靴甲機能層も、防水性で水蒸気透過性のコーティング加工材によって、または防水性で水蒸気透過性の膜で形成することができる。膜の場合、微多孔質の膜または孔のない膜が使用の対象になる。本発明の一実施形態では、膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含んでいる。
防水性で水蒸気透過性の機能層として適した素材には、資料文献US−A−4,725、418およびUS−A−4,493,870に記載されているような、特に、ポリウレタン、ポリプロピレンおよびポリエーテルエステルを含めたポリエステルおよびそれらの積層物がある。しかし、特に好ましいのは、例えば資料文献US−A−3,953,566およびUS−A−4,187,390に記載されているような微多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、および親水性浸透剤および/または疎水層の付与された延伸ポリテトラフルオロエチレンである。これについては、例えば資料文献US−A−4,194,041参照。微多孔質機能層とは、その平均孔径が約0.2μm〜約0.3μmの範囲にある機能層のことである。
孔径はCoulter Electronics社(アメリカ合衆国フロリダ州Hialeath)製のCoulter Porometer(商標名)で測定することができる。
遮断ユニット
遮断ユニットは、遮断材および必要な場合にはそれに加え、少なくとも1つの帯材および/またはフレームの形態を取る安定化部材によって形成される。遮断ユニットは既製部品の形態を取ることができる。
靴底複合材
靴底複合材は、遮断材、少なくとも1つの安定化部材、少なくとも1つの底革および必要に応じて加えられるその他の靴底層から成っている。その場合遮断材は、靴底複合材の全厚さに及んで広がる少なくとも1つの通し空洞を封鎖している。
通し空洞
通し空洞は、そこを通って水蒸気の搬送ができるようになっている、靴底複合材の領域である。底革と安定化部材はそれぞれ貫通開口部を有しており、それらは全体として靴底複合材の厚さ全体に亘る通し空洞を形成している。したがって、通し空洞は両貫通開口部の交差面によって形成される。帯材が設けられている場合は、それぞれの通し空洞の外周縁より内部に配置されていて、通し空洞の境界を形成してはいない。通し空洞の面積は、それを横切る帯材全体の面積を差し引いて求める。この帯材面は水蒸気の搬送をブロックするので、通し空洞の面積に入れられないからである。
安定化部材
安定化部材は遮断材の安定化を補助するためのもので、いずれにしろ、遮断材の水蒸気透過性が殆ど影響されないように形成されており、また遮断材への取り付けもそのようになされている。それは、遮断材の極僅かな面積分だけを安定化部材で覆うことによって達成される。安定化部材は地面の方向へ下方に向けられているのが好ましい。安定化部材で第1に問題になるのは、保護機能ではなく、安定化機能の如何である。
安定化部材の開口部
安定化部材の少なくとも1つの開口部は、その少なくとも1つのフレームによって境界付けされている。開口部の面積は、それに交差する全帯材の面積を差し引いて求める。

靴底複合材と閉鎖甲材(靴甲)から成る足の外装具。
靴底部
靴底部は足の下方にあるすべての層を含む。
熱活性化
熱活性化は、素材温度を軟化温度領域にまで高めるエネルギーを繊維複合材に与えることによって行う。
透水性の靴底複合材
靴底複合材の透水性試験は、US−A−5329807に記述された種類の遠心分離装置により行う。靴甲底部機能層が使用されている場合には、試験に先立ち、それが透水性を示すように処置しておかねばならない。本試験が不合格である場合、靴底複合材は透水性であると想定される。靴底複合材を通る液の道筋を識別するために、必要な場合には着色液を用いて試験する。
積層
積層は、少なくとも1つの繊維層を持つ防水性、水蒸気透過性の機能層から成る複合材である。裏面とも言われる、少なくとも1つの繊維層は、主として、加工過程における機能層の保護に用いられる。ここでは2層積層を対象にしている。3層積層は防水性、水蒸気透過性の機能層とそれを中間にくるみ込む2つの繊維層から成っていて、これらの層間には接着剤を点状に塗布することができる。
防水性機能層/遮断ユニット
機能層において、水侵入時に少なくとも1×104Paの圧力生成が保証される場合、機能層および場合によっては機能層に施された縫目も含めて、「防水性」と見なされる。
靴底複合材の上面
靴底複合材の上面とは、靴甲底部に相対する位置にある靴底複合材の表面のことである。
底革
底革とは、地面/床に接する、または地面/床への主要接触部を構成する靴底複合材の部分のことである。
Figure 0005785278
Figure 0005785278
本発明の実施態様の一部を以下の項目1−104に列記する。
[1] 上面(50)を有する水蒸気透過性の靴底複合材(105)であって、該靴底複合材の厚さ全体を通って広がる、少なくとも1つの通し空洞(31)と、該靴底複合材(105)の該上面(50)を少なくとも部分的に形成する上面、および異物の圧入を阻止する遮断体として形成され少なくとも1つの通し空洞(31)を水蒸気が透過できる状態で閉鎖する水蒸気透過性の遮断材(33)を有する、遮断ユニット(35)と、該遮断材(33)に対応して配置され該靴底複合材(105)の機械的安定化のために形成された安定化部材(25)であって、少なくとも該遮断材(33)の表面に配置され該少なくとも1つの通し空洞(31)を少なくとも部分的に横切る少なくとも1つの安定化帯材(37)を有する、安定化部材(25)と、該遮断ユニット(35)の下方に配置された、少なくとも1つの底革部材(117)とを備える、靴底複合材(105)。
[2] 前記遮断ユニット(35)が透水性に形成されている、項目1に記載の靴底複合材(105)。
[3] 透水性に形成されている項目1に記載の靴底複合材(105)。
[4] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足前方領域に対応する面積の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[5] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足前方領域に対応する面積の少なくとも25%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目4に記載の靴底複合材(105)。
[6] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足前方領域に対応する面積の少なくとも40%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目5に記載の靴底複合材(105)。
[7] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足前方領域に対応する面積の少なくとも50%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目6に記載の靴底複合材(105)。
[8] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足前方領域に対応する面積の少なくとも60%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目7に記載の靴底複合材(105)。
[9] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足前方領域に対応する面積の少なくとも75%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目8に記載の靴底複合材(105)。
[10] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足中央部領域に対応する面積の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜9のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[11] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足中央部領域に対応する面積の少なくとも25%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜9のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[12] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足中央部領域に対応する面積の少なくとも40%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜9のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[13] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足中央部領域に対応する面積の少なくとも50%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[14] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足中央部領域に対応する面積の少なくとも60%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[15] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の足中央部領域に対応する面積の少なくとも75%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[16] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向前半分の領域においてその面積の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[17] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向前半分の領域においてその面積の少なくとも25%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目16に記載の靴底複合材(105)。
[18] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向前半分の領域においてその面積の少なくとも40%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目17に記載の靴底複合材(105)。
[19] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向前半分の領域においてその面積の少なくとも50%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目18に記載の靴底複合材(105)。
[20] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向前半分の領域においてその面積の少なくとも60%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目19に記載の靴底複合材(105)。
[21] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向前半分の領域においてその面積の少なくとも75%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[22] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向の領域から踵領域を差し引いた領域の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[23] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向の領域から踵領域を差し引いた領域の少なくとも25%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目22に記載の靴底複合材(105)。
[24] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向の領域から踵領域を差し引いた領域の少なくとも40%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目23に記載の靴底複合材(105)。
[25] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向の領域から踵領域を差し引いた領域の少なくとも50%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目24に記載の靴底複合材(105)。
[26] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向の領域から踵領域を差し引いた領域の少なくとも60%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目25に記載の靴底複合材(105)。
[27] 前記少なくとも1つの安定化部材(119)が、前記靴底複合材の縦方向の領域から踵領域を差し引いた領域の少なくとも75%が水蒸気透過性になるように形成されている、項目26に記載の靴底複合材(105)。
[28] それぞれ一片の遮断材(33)によって閉鎖されている複数の通し空洞(31)を有する、項目1〜27のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[29] 全体が一片の遮断材(33)によって閉鎖されている複数の通し空洞(31)を有する、項目1〜27のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[30] 前記遮断ユニット(35)が、該遮断ユニット(35)の底革のほうに向いた側に少なくとも1つの安定化帯材(37)を有している、項目1〜29のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[31] 前記少なくとも1つの安定化帯材(37)を有する前記安定化部材(25)が前記少なくとも1つの底革部材の構成部分ではない、項目1〜30のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[32] 前記少なくとも1つの安定化帯材(37)を有する前記安定化部材(25)が、地面までの距離が空いた位置にある、項目1〜31のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[33] 前記距離が前記少なくとも1つの底革部材の厚さに相当する、項目32に記載の靴底複合材(105)。
[34] 前記底革部材が第1素材を、前記安定化部材が、該第1素材とは異なる第2素材を有していて、該第2素材が該第1素材より硬質(ショア硬度判定)である、項目1〜33の一項に記載の靴底複合材(105)。
[35] 前記遮断材(33)が繊維複合材の形態に形成されている、項目1〜34のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[36] 前記安定化部材(119)が一体型に形成されていて、通し空洞全体(31)を閉鎖する遮断材(33)を支えている、項目1〜35のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[37] 前記安定化部材(119)が複数の部分に形成され、その各部分が前記少なくとも1つの通し空洞(31)に対し少なくとも対応して配置されていて、それぞれが、前記少なくとも1つの通し空洞(31)を閉鎖する一片の遮断材(33)を支えている、項目1〜36のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[38] 前記安定化部材(25)に、前記通し空洞(31)の少なくとも一部を成し遮断材(33)によって閉鎖されている、少なくとも1つの開口部(135)が設けられている、項目1〜37のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[39] 前記安定化部材(25)が、一片の遮断材(33)により全体が閉鎖される複数の開口部(135)を有している、項目38に記載の靴底複合材(105)。
[40] 前記安定化部材(25)が、それぞれ一片ずつの遮断材(33)で閉鎖される複数の開口部(135)を有している、項目38に記載の靴底複合材(105)。
[41] 前記安定化部材(25)が、靴底の形態または靴底の個別部分の形態に形成されている、項目1〜40のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[42] 前記安定化部材(25)が、少なくとも前記靴底複合材(105)を安定化させる少なくとも1つの安定化フレーム(147)を有している、項目1〜41のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[43] 前記安定化フレーム(147)が、前記少なくとも1つの通し空洞(31)に、または前記靴底複合材(105)の前記通し空洞の少なくとも1つに嵌め込まれている、項目42に記載の靴底複合材(105)。
[44] 前記少なくとも1つの開口部(135)が少なくとも1cm2の面積を有している、項目38〜43のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[45] 前記少なくとも1つの開口部(135)が少なくとも5cm2の面積を有している、項目44に記載の靴底複合材(105)。
[46] 前記少なくとも1つの開口部(135)が少なくとも20cm2の面積を有している、項目45に記載の靴底複合材(105)。
[47] 前記少なくとも1つの開口部(135)が少なくとも40cm2の面積を有している、項目46に記載の靴底複合材(105)。
[48] 前記安定化部材(119)の前記安定化フレーム(147)が、それぞれ対応の前記通し空洞(31)に橋架けをする少なくとも1つの安定化帯材(37)を有する、項目42〜47のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[49] 前記安定化部材(119)が、前記遮断材の少なくとも1つの表面上に格子状の構造を形成するいくつかの安定化帯材(37)を有する、項目1〜48のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[50] 前記安定化部材(119)が、少なくとも1つの熱可塑性物質によって構成されている、項目1〜49のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[51] 前記安定化部材(119)と前記遮断材(33)が、少なくとも部分的には互いに結合している、項目1〜50のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[52] 前記安定化部材(119)および前記遮断材(33)が、接着、溶接、成形、周辺成形、加流または周辺加硫から選択された、少なくとも1つの結合技術により互いに結合している、項目51に記載の靴底複合材(105)。
[53] 項目1〜52のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)であって、前記遮断材(33)が、融解温度の異なる少なくとも2つの繊維成分を含む繊維複合材を有し、第1繊維成分の少なくとも一部が第1融解温度およびそれより低い第1軟化温度領域を、第2繊維成分の少なくとも一部が第2融解温度およびそれより低い第2軟化温度領域を有し、該第1融解温度および該第1軟化温度領域が該第2融解温度および該第2軟化温度領域よりそれぞれ高く、前記繊維複合材が、第2軟化温度領域内の接着軟化温度による該第2繊維成分の熱活性化の結果、熱固着領域で水蒸気透過性を維持した状態で熱固着される、靴底複合材(105)。
[54] 前記繊維複合材の前記第1繊維成分の少なくとも一部が前記第2繊維成分の少なくとも部分的軟化によって互いに熱接着されている、項目53に記載の靴底複合材(105)。
[55] 前記繊維複合材において、少なくとも前記第2繊維成分が少なくとも第1繊維部分と第2繊維部分を含んでいて、該第1繊維部分が該第2繊維部分より高い融解温度と軟化温度領域を有している、項目53または54に記載の靴底複合材(105)。
[56] 前記繊維複合材が繊維平坦形成物である、項目53〜55のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[57] 前記繊維複合材が織物、編物、メリヤス、不織布、フェルト、ネットまたは巣形状物である、項目56に記載の靴底複合材(105)。
[58] 前記繊維複合材が機械的に固着された不織布である、項目57に記載の靴底複合材(105)。
[59] 前記繊維複合材がニードル加工された不織布である、項目58に記載の靴底複合材(105)。
[60] 前記第2繊維成分の少なくとも一部、および必要な場合には前記第2繊維成分の前記第2繊維部分の少なくとも一部が、80℃〜230℃の温度領域で熱活性化可能である、項目53〜59のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[61] 前記第1繊維成分および必要な場合には前記第2繊維成分の第1繊維部分が少なくとも130℃の温度では融解安定である、項目53〜60のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[62] 前記第1繊維成分および必要な場合には前記第2繊維成分の第1繊維部分が少なくとも170℃の温度では融解安定である、項目61に記載の靴底複合材(105)。
[63] 前記第1繊維成分および必要な場合には前記第2繊維成分の第1繊維部分が少なくとも250℃の温度では融解安定である、項目62に記載の靴底複合材(105)。
[64] 前記第1繊維成分および必要な場合には前記第2繊維成分の第1繊維部分が、天然繊維、合成繊維、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維およびそれらの混合物を含む素材グループから選択されている、項目53〜63のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[65] 前記第2繊維成分および必要な場合には前記第2繊維成分の第2繊維部分が、少なくとも一種の合成繊維によって構成されている、項目53〜64のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[66] 前記両繊維成分の少なくとも一方および必要な場合には前記第2繊維成分の両繊維部分の少なくとも一方が、ポリオレフィン、ポリアミド、コポリアミド、ビスコース、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリブチレンテレフタレートおよびそれらの混合物を含む素材グループから選択されている、項目64または65に記載の靴底複合材(105)。
[67] 前記第1繊維成分および必要な場合には前記第2繊維成分の第1繊維部分が、ポリエステルおよびコポリエステルを含む素材グループから選択されている、項目63または65に記載の靴底複合材(105)。
[68] 少なくとも前記第2繊維成分および必要な場合には前記第2繊維成分の少なくとも第2繊維部分が少なくとも一種の熱可塑性物質を有している、項目64または65に記載の靴底複合材(105)。
[69] 前記第2繊維成分および必要な場合には前記第2繊維成分の第2繊維部分が、ポリアミド、コポリアミド、ポリブチレンテレフタレートおよびポリオレフィンを含む素材グループから選択されている、項目68に記載の靴底複合材(105)。
[70] 前記ポリオレフィンがポリエチレンまたはポリプロピレンから選択されている、項目65または68に記載の靴底複合材(105)。
[71] 前記第2繊維成分および必要な場合には前記第2繊維成分の第2繊維部分が、ポリエステルおよびコポリエステルを含む素材グループから選択されている、項目69に記載の靴底複合材(105)。
[72] 前記第2繊維成分の両繊維部分がポリエステルから成っていて、前記第2繊維部分のポリエステルの融解温度およびそれより低い軟化温度領域が前記第1繊維部分のポリエステルより低い、項目71に記載の靴底複合材(105)。
[73] 少なくとも前記第2繊維成分が心部/外郭構造を有していて、前記第2繊維部分が該外郭を形成している、項目53〜72のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[74] 少なくとも前記第2繊維成分が並列構造を有していて、その一方の側が前記第2繊維成分の第2繊維部分によって構成されている、項目53〜72のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[75] 前記第2繊維成分が、前記繊維複合材の単位面積質量を基準として、10%〜90%の質量比を占めている、項目53〜74のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[76] 前記第2繊維成分が、前記繊維複合材の単位面積質量を基準として、10%〜60%の質量比を占めている、項目75に記載の靴底複合材(105)。
[77] 前記第2繊維成分が、前記繊維複合材の単位面積質量を基準として、50%の質量比を占めている、項目76に記載の靴底複合材(105)。
[78] 前記第2繊維成分が、前記繊維複合材の単位面積質量を基準として、20%の質量比を占めている、項目76に記載の靴底複合材(105)。
[79] 前記両繊維成分について、および必要な場合には前記第2繊維成分の両繊維部分についても、それらの融解温度が互いに少なくとも20℃異なる繊維素材が選択されている、項目53〜78のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[80] 前記遮断材(33)がその厚さの少なくとも一部については熱固着されている、項目53〜79のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[81] 前記遮断材(33)がその厚さの少なくとも一部については熱固着されていて、少なくとも1つの表面については圧力および温度の作用により平滑に圧搾加工されている、項目53〜79のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[82] 前記遮断材が、撥水剤、防汚剤、撥油剤、抗菌剤、防臭剤およびそれらの組み合わせを含む物質グループからの1つまたは複数の薬剤によって仕上加工されている、項目1〜81のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[83] 前記遮断材(33)に、撥水性、防汚性、撥油性、抗菌性および/または防臭性の処理が施されている、項目1〜82のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[84] 前記遮断材が、少なくとも4000g/m2・24時間の水蒸気透過性を有している、項目1〜83のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[85] 前記遮断材(33)が、少なくとも7000g/m2・24時間の水蒸気透過性を有している、項目84に記載の靴底複合材(105)。
[86] 前記遮断材(33)が、少なくとも10000g/m2・24時間の水蒸気透過性を有している、項目85に記載の靴底複合材(105)。
[87] 前記遮断材(33)が、少なくとも1mm〜5mmの範囲の厚さを有している、項目1〜86のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
[88] 前記遮断材(33)が、少なくとも1mm〜2.5mmの範囲の厚さを有している、項目87に記載の靴底複合材(105)。
[89] 前記遮断材(33)が、少なくとも1mm〜1.5mmの範囲の厚さを有している、項目88に記載の靴底複合材(105)。
[90] 接地面(153)を有する項目1〜89のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)であって、前記通し空洞(33a、33b、33c)または前記通し空洞の少なくとも1つの中に、前記遮断材(33)の接地面に向いた側から該接地面(153)の水平面にまで及ぶ少なくとも1つの支持要素(151)が、歩行時に前記遮断材(33)が歩行面上で該支持要素(151)によって支えられるように、前記遮断材(33)に対応して配置されている、靴底複合材(105)。
[91] 前記安定化帯材(37)の少なくとも1つが同時に支持要素(151)として形成されている、項目90に記載の靴底複合材(105)。
[92] 靴底側の靴甲末端領域(219)に、防水性で水蒸気透過性の靴甲底部機能層(247)が付与された靴甲(103)を有する、項目1〜91のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)を有する靴製品であって、該靴甲底部機能層(247)が、少なくとも前記少なくとも1つの通し空洞(31)の領域では前記遮断材(33)とは非結合になるように、前記靴底複合材(105)が、該靴甲底部機能層(247)の付与された該靴甲末端領域と結合している、靴製品。
[93] 前記靴甲(103)が少なくとも一種の靴甲材で構成され、該靴甲材が、少なくとも靴底側の前記靴甲末端領域(219)では防水性の靴甲機能層(215)を有し、該靴甲機能層(215)と前記靴甲底部機能層(247)との間に防水性のパッキン材が存在する、項目92に記載の靴製品。
[94] 前記靴甲底部機能層(247)が水蒸気透過性の靴甲組付け靴底(233)に対応して配置されている、項目92または93に記載の靴製品。
[95] 前記靴甲底部機能層(247)が多層積層の一部である、項目92〜94のいずれか一項に記載の靴製品。
[96] 前記靴甲組付け靴底(233)が前記積層で構成されている、項目95に記載の靴製品。
[97] 前記靴甲底部機能層(247)および必要な場合には靴甲機能層(215)が防水性で水蒸気透過性の膜を有している、項目92〜96のいずれか一項に記載の靴製品。
[98] 前記膜(247)が延伸ポリテトラフルオロエチレンを含んでいる、項目97に記載の靴製品。
[99] 前記靴底複合材(105)およびその上にある前記靴甲底部機能層(247)を有する靴底部構造を備えており、ここで、該靴底構造が0.4g/時間〜3g/時間の水蒸気透過率(MVTR)を有している、項目92〜98のいずれか一項に記載の靴製品。
[100] 前記靴底構造が0.8g/時間〜1.5g/時間の水蒸気透過率(MVTR)を有している、項目99に記載の靴製品。
[101] 前記靴底構造が1g/時間の水蒸気透過率(MVTR)を有している、項目100に記載の靴製品。
[102] 項目1〜91のいずれか一項に記載の水蒸気透過性の靴底複合材(105)と、靴底側の靴甲末端領域(219)に防水性で水蒸気透過性の靴甲底部機能層(247)が付与された靴甲(103)とを有する靴製品の製造方法であって、a)前記の靴底複合材(105)および靴甲(103)を用意する工程と、b)前記靴甲(103)の前記靴底側の靴甲末端領域(219)に、防水性で水蒸気透過性の靴甲底部機能層(247)を付与する工程と、c)前記靴底複合材(105)と前記靴甲底部機能層(247)が付与された前記靴底側の靴甲末端領域(219)とを、前記靴甲底部機能層(247)が少なくとも前記少なくとも1つの通し空洞(31)の領域では前記遮断材(33)と非結合の状態であるように、結合させる工程とを含む、靴製品の製造方法。
[103] 前記靴底側の靴甲末端領域(219)が前記靴甲底部機能層(247)によって閉鎖される、項目102に記載の方法。
[104] 前記靴甲(103)に靴甲機能層(215)を付与し、該靴甲機能層(215)と前記靴甲底部機能層(247)との間で防水性の結合を形成する、項目102または103に記載の方法。
1 繊維複合材
2 第1繊維成分
3 第2繊維成分
4 心部
5 外郭
6 結合部
21 靴底複合材
23 底革
25 靴安定化部材
27 底革の開口部
29 靴安定化部材の開口部
31 通し空洞
33 遮断材
33a 遮断材
33b 遮断材
33c 遮断材
33d 遮断材
35 遮断ユニット
37 安定化帯材
37a 個別帯材
37b 個別帯材
37c 個別帯材
37d 安定化格子材
39 接着剤
43 円形面
101 靴
103 靴甲
105 靴底複合材
107 足の前方領域
109 足の中央部領域
111 踵領域
113 足挿入口
115 靴甲底部
117 多区分底革
117a 踵領域の多区分底革
117b 足裏ふくらみ領域の多区分底革
117c 足指領域の多区分底革
119 安定化部材
119a 踵領域
119b 足の中央部領域
119c 足の前方領域
121 靴底緩衝部
121a 踵領域の靴底緩衝部
121b 足の中央部領域の靴底緩衝部
底革の開口部
123a 踵領域
123b 足の中央部領域
123c 足の前方領域
125 安定化部材の踵領域119aにおける貫通開口部
靴底緩衝部の開口部
127a 踵領域
127b 足の中央部領域
127c 足の前方領域
靴安定化部材の境界縁
129a 足の中央部領域
129b 足の前方領域
129c 足の前方領域
131 突出物
133 窪み
安定化部材の開口部
135a 足の中央部領域
135b 足の前方領域
135c 足の前方領域
135d 足の前方領域
安定化格子材
137a 足の中央部領域
137b 足の前方領域
137c 足の前方領域
137d 足の前方領域
139 結合要素
141 側翼
143 安定化部材の翼部分
145 安定化肋材
147 安定化部材のフレーム
150 設置用突出部
151 支持要素
153 接地面
211 上部素材層
213 内張り層
214 テキスタイル層
215 靴甲機能層
216 靴甲機能積層
217 靴甲上端
219 靴底側の靴甲末端領域
221 靴甲底部
233 靴甲組付け靴底
235 巻縮縫合部
237 靴甲底部機能積層
238 上部素材層の靴底側末端
239 靴甲機能層の靴底側末端
241 縫合ベルト
243 第1縫合部
244 繊維層
245 外周領域
246 繊維裏面
247 膜
248 パッキン材
249 接合接着剤
250 固定用接着剤
260 靴底成形材

Claims (14)

  1. 面を有する水蒸気透過性の靴底複合材(105)であって、
    該靴底複合材の厚さ全体を通って広がる、少なくとも1つの通し空洞(31)と、
    該靴底複合材(105)の該上面を少なくとも部分的に形成する上面、および異物の侵入を阻止する遮断体として形成され、少なくとも1つの通し空洞(31)を水蒸気が透過できる状態で閉鎖する水蒸気透過性の遮断材(33)を有する、遮断ユニット(35)と、
    該遮断材(33)に対応して配置され該靴底複合材(105)の機械的安定化のために形成された安定化部材(25,119)であって、少なくとも該遮断材(33)の表面に配置され該少なくとも1つの通し空洞(31)を少なくとも部分的に横切る少なくとも1つの安定化帯材(37)を有する、安定化部材(25,119)と、
    該遮断ユニット(35)の下方に配置された、少なくとも1つの底革部材(117)と
    を備え、
    該安定化部材(25,119)が該遮断材の少なくとも1つの表面上に格子状の構造を形成するいくつかの安定化帯材(37)を有し、
    該少なくとも1つの底革部材(117)が接地面(153)を含み、該遮断材(33)の該接地面(153)に向いた側から該接地面(153)の水平面にまで及ぶ少なくとも1つの支持要素(151)が、歩行時に該遮断材(33)が歩行面上で該支持要素(151)によって支えられるように、該通し空洞(31)の全てまたは通し空洞(31)の少なくとも1つの中に、該遮断材(33)に対応して配置されている、
    靴底複合材(105)。
  2. 前記安定化部材(25,119)が、第一の方向に配置された複数の第一の安定化帯材(37)と、第二の方向に配置された少なくとも一つの第二の安定化帯材(37)を有し、該少なくとも一つの第二の安定化帯材(37)が該複数の第一の安定化帯材(37)を横切る、請求項1に記載の靴底複合材(105)。
  3. 前記複数の第一の安定化帯材(37)が、前記少なくとも一つの第二の安定化帯材を直角に横切る、請求項2に記載の靴底複合材(105)。
  4. 前記複数の第一の安定化帯材(37)が足の幅方向に配置され、前記少なくとも一つの第二の安定化帯材(37)が該足の長手方向に配置されている、請求項2または3に記載の靴底複合材(105)。
  5. 前記安定化部材(119)が複数の第一の安定化帯材と少なくとも一つの第二の安定化帯材を有し、該複数の第一の安定化帯材と該少なくとも一つの第二の安定化帯材の間に少なくとも一つの接触点が形成されている、請求項1に記載の靴底複合材(105)。
  6. 前記安定化帯材(37)が前記通し空洞(31)に関連した安定化格子(137)を形成し、該安定化格子(137)が前記遮断材(33)までの異物の侵入を防止する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
  7. 前記安定化帯材(37)が対応する通し空洞(31)の外周縁内に配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
  8. 前記安定化帯材(37)の少なくとも1つが同時に支持要素(151)として形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
  9. 前記安定化帯材(37)の前記格子状の構造が、全面的に、または部分的に前記支持要素(151)として形成されている、請求項8に記載の靴底複合材(105)。
  10. 前記安定化部材(25)に、前記通し空洞(31)の少なくとも一部を成し、前記遮断材(33)によって閉鎖されている、少なくとも1つの開口部(135)が設けられている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
  11. 前記安定化部材(25,119)が、少なくとも前記靴底複合材(105)を安定化させる少なくとも1つの安定化フレーム(147)を有しており、前記少なくとも1つの開口部(135)が該少なくとも1つの安定化フレーム(147)によって境界付けされており、前記安定化帯材(37)の前記格子状の構造が前記少なくとも1つの開口部(135)内に配置されている、請求項10に記載の靴底複合材(105)。
  12. 前記少なくとも1つの安定化部材(25,119)が、前記靴底複合材の足前方領域に対応する面積の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように形成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
  13. 前記少なくとも1つの安定化部材(25,119)が、前記靴底複合材の足中央部領域に対応する面積の少なくとも15%が水蒸気透過性になるように形成されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の靴底複合材(105)。
  14. 靴底側の靴甲末端領域(219)に、防水性で水蒸気透過性の靴甲底部機能層(247)が付与された靴甲(103)を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の、水蒸気透過性の靴底複合材(105)を有する靴製品であって、該靴甲底部機能層(247)が少なくとも前記少なくとも1つの通し空洞(31)の領域では前記遮断材(33)とは完全に、または殆ど完全なまでに非結合の状態であるように、前記靴底複合材(105)が該靴甲底部機能層(247)の付与された該靴甲末端領域と結合している、靴製品。
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