JP5783925B2 - 熱間タンデム圧延ミルの制御装置および熱間タンデム圧延ミルの制御方法 - Google Patents

熱間タンデム圧延ミルの制御装置および熱間タンデム圧延ミルの制御方法 Download PDF

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本発明は、熱間圧延ミルの制御装置及びその制御方法に係り、特に圧延スタンド間のマスフロー(鋼板板厚と板速の積)を精度よく制御することで、鋼板先端がスタンドに噛み込んだ直後の圧延を安定化し、良好な鋼板品質を得るために好適な熱間タンデム圧延ミルの制御装置及びその制御手法に関する。
熱間圧延の技術分野では、圧延スタンドを複数設け、高温下の鋼板をその複数の圧延スタンドで順に加工する、いわゆるタンデム圧延ミルが用いられている。
鋼板の先端がスタンドに噛み込まれるとき、後段スタンドのロール速度に対して、鋼板の速度が早いとスタンド間で板がたるみ、圧延が不安定になる。逆に鋼板の速度が遅いとスタンド間で鋼板が引っ張られ、過大な張力が発生することにより、板幅や板厚が縮み、鋼板品質を悪化させる。したがって各スタンドのロール速度を適切な値に制御し、スタンド間の鋼板速度をマスフロー(鋼板板厚と板速の積)が一定になるように制御する必要がある。
これをスムーズに行うため従来の手法に、例えば、特開2007−185703号公報には、スタンド間に取り付けられた板厚計の信号とルーパ角度、前後のスタンドの圧延荷重、圧下位置、ロール速度からスタンド間の鋼板のループ量を算出し、算出したループ量に応じて後ろのスタンドのロール速度を補正する方法が示されている。
また、例えば、特開平6−335719号公報には、補正の応答を上げるため、後段スタンドの出側板厚を実測または推定して、後段スタンドに鋼板が噛み込む前に前段スタンドの主機速度(ワークロール速度)を補正する方法が示されている。
特開2007−185703号公報 特開平6−335719号公報
しかしながらこれら従来技術には以下の問題があった。熱間圧延ミルでは通常、板厚計は最終スタンド出側のみに備えられる。特許文献1の手法では、これに加えてスタンド間に板厚計とこれに必要な配線、計測器盤等の設置が必要なため、システムが高価になるとともに、メンテナンスや板厚計の定期的な校正等が必要になる問題があった。またこの手法は、板厚計が備えられたスタンド間にのみ有効なので、板厚計が備えられていないスタンド間ではマスフローが崩れる従前の問題があった。さらに多くのスタンド間に板厚計を備えることも、コストや保守の観点から現実的でない問題があった。
また特許文献2の手法では、後段スタンドの出側板厚を実測する場合には同様に板厚計の設置が必要になる問題があった。また推定する場合には推定誤差に依存して、制御の精度が悪化する問題があった。
したがって、本発明は、たとえスタンド間に板厚計が設置されてなくても、スタンド間の板厚推定精度に大きく依存せずに、鋼板先端がスタンドに噛み込んだ直後の圧延を安定化し、良好な品質の鋼板を得ることが可能な熱間タンデム圧延ミルの制御装置及びその制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明では、複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機を制御対象とし、該圧延スタンドに備えられたワークロールで連続的に圧延される鋼板の板厚や圧延スタンド間の鋼板の張力等の制御対象の値を所望の値に制御する熱間タンデム圧延ミルの制御装置において、所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも各圧延スタンドの圧延荷重の指令値、該ワークロールの圧下位置の指令値とロール速度の指令値を計算して出力するセットアップ部と、所定の圧延スタンドで前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板が前記所定のスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度あるいはこれらを用いた演算結果で、該セットアップ部が出力したロール速度の指令値を補正する速度指令補正部とを備えるように構成した。
あるいは、複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機を制御対象とし、該圧延スタンドに備えられたワークロールで連続的に圧延される鋼板の板厚や圧延スタンド間の鋼板の張力等の制御対象の値を所望の値に制御する熱間タンデム圧延ミルの制御装置において、所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも各圧延スタンドの圧延荷重、該ワークロールの圧下位置とロール速度の指令値を計算して出力するセットアップ部と、所定の圧延スタンドで前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板が前記所定のスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、最終出側スタンドで前記先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板がスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度あるいはそれらを用いた演算結果で、該セットアップ部が出力したロール速度の指令値を補正する速度指令補正部とを備えるように構成した。
あるいは、複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機を制御対象とし、該圧延スタンドに備えられたワークロールで連続的に圧延される鋼板の板厚や圧延スタンド間の鋼板の張力等の制御対象の値を所望の値に制御する熱間タンデム圧延ミルの制御方法において、所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも各圧延スタンドの圧延荷重、該ワークロールの圧下位置とロール速度の指令値を計算し、所定の圧延スタンドで前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板がスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度あるいはそれらを用いた演算結果で、該ロール速度の指令値を補正して新たなロール速度の指令値を算出するように構成した。
本発明によれば、熱間タンデムミルにおいて、各スタンドのロール速度を、例えば前回圧延された鋼板の安定状態を参考にして、スタンド間のマスフローを一定に保つように制御するので、この結果、鋼板先端の圧延を安定化できるとともに、高品質な鋼板が生産できる。
本発明の熱間タンデム圧延ミルの制御装置の構成を示した説明図である。 セットアップ手段101の処理である。 ドラフトスケジュールテーブル102の構成である。 速度パターンテーブル103の構成である。 先端値抽出手段105の処理である。 定常値抽出手段106の処理である。 先端値記憶手段107、定常値記憶手段108の構成である。 速度指令補正手段109の処理である。 速度指令補正手段109の処理を説明する模式図である。 速度指令バランス手段110の処理である。 速度指令バランス手段110の処理を説明する模式図である。
本発明の実施の形態を図面を用いて以下に説明する。
図1に本発明の実施例を示す。熱間タンデム圧延ミルの制御装置100は、例えば、単一のあるいは複数の計算機及びその入出力装置から構成され、制御対象150から種々の信号を受信し、制御信号を制御対象150に出力する。まず制御対象150の構成を説明する。「−手段と」記載の各機能は、単一のあるいは複数に分散された計算機のソフトウェアあるいは入出力回路として実装される。本実施例で制御対象150は、複数のスタンドからなる熱間圧延タンデムミルであり、図の例でミル151は、圧延スタンド152を7つ連続配置した構成となっている。図1で鋼板は、左から右に移動し、前工程である粗圧延機で生産された厚さ30mm程度の粗材161はミル151の各圧延スタンド152で圧延により順次薄く加工され、F7出側で最終的に1mm〜10mm程度の鋼板160として、払い出される。粗材161および鋼板160を直接圧延するのはワークロール153で、本発明でロール速度とはワークロール153の周速を意味している。本実施例ではミル151の最終圧延スタンド(F7)出側に、鋼板160の板厚を測定する板厚計154が備えられている。
次に熱間タンデム圧延ミルの制御装置100の構成を説明する。熱間タンデム圧延ミルの制御装置100は、圧延される鋼板のそれぞれについて、上位計算機50から、鋼種、目標板厚、目標板幅等の圧延に必要な情報を受信し、ドラフトスケジュールテーブル102、速度パターンテーブル103を参照して、各圧延スタンド152に対してワークロール153の圧下位置(ロールギャップ)、ワークロール153のロール周速(ロール速度)、圧延荷重等を計算するセットアップ手段101、圧延実績や実際に制御対象に出力された制御指令値を収集する実績収集手段104、実績収集手段104が収集したデータから、前回圧延された鋼板160の先端部の圧延データを抽出する先端値抽出手段105、先端値抽出手段105で抽出した値を記憶する先端値記憶手段107、前回の鋼板160の圧延が定常状態に達した後の、各圧延スタンド152のロール速度、圧延荷重、圧下位置を抽出する定常値抽出手段106、定常値抽出手段106が抽出した値を記憶する定常値記憶手段108、先端値記憶手段107と定常値記憶手段108の内容を取り込み、次回圧延される鋼板に対してセットアップ手段101が算出したロール速度を補正する速度指令補正手段109、速度指令補正手段109の出力を取り込み、各圧延スタンド152のそれぞれに対する速度補正量を圧延スタンド間のバランスに配慮して上下限内にリミットする速度指令バランス手段110、最終的なロール速度の指令に対して、速度制御を行う速度制御手段111、セットアップ手段101が出力した圧下位置指令に対して、板厚計154で計測した実績板厚と目標板厚の差(板厚偏差)等の信号を用いて実際の圧下位置を制御する圧下位置制御手段112を備えた。
以下、各部の動作を詳細に説明する。図2にセットアップ手段101が実行する処理を示す。セットアップ手段101は、上位計算機50から、鋼種、目標板厚、目標板幅等の圧延に必要な情報を受信した後、これから圧延される鋼板に対する制御指令を算出する。鋼板先端は、セットアップ手段101が出力した制御指令にしたがって圧延されるので、鋼板が下流スタンドに噛み込むときの挙動を安定化するためには、各スタンドのロール速度を、鋼板160のマスフローが乱れないようなバランスの良い指令にすることが必要である。まずS2−1でドラフトスケジュールテーブル102の対応する項目から、圧延スタンド152のそれぞれで粗材161および鋼板160をどれくらい薄くするかに対応した情報であるドラフトスケジュールを取り込む。
図3にドラフトスケジュールテーブル102の構成例を示す。図の例でドラフトスケジュールは、粗材161と鋼板160の厚み差に対して、各圧延スタンド152で圧延される値を、厚み差に対するパーセントで格納しており、各ドラフトスケジュールは圧延される鋼板の鋼種、板厚、板幅で層別されている。例えば鋼種がSS400、目標板厚が2.5mm、目標板幅が900mmの35mmの粗材161を考える。目標板厚は2.0〜3.0mm、目標板幅は1000mm以下の層別が該当する。35mm粗材161を2.5mmの鋼板160に圧延するので、板厚差32.5mmについて、図3では、F1ではその24%、F2では16%を圧延することを示している。すなわちF1では、
〔数1〕
32.5mm×24/100=7.8mm
であるから、35mmの粗材を27.2mm(35mm−7.8mm)に圧延すべきであることを示している。同様に、
〔数2〕
32.5mm×16/100=5.2mm
であるから、F2では27.2mmの板を22.0mm(27.2mm−5.2mm)に圧延すべきであることを示している。ある層別に対して、ドラフトスケジュールの各圧延スタンドの数値の総和は100であり、同様の計算手順を繰り返すと、F7(最終スタンド)の出側板厚は目標板厚である2.5mmになる。このようにしてセットアップ手段101は、S2−1で、上位計算機50から受け取った次回圧延される鋼板の鋼種、板厚、板幅からドラフトスケジュールテーブル102の該当層別箇所を検索し、各圧延スタンドの圧延量を取り込む。次にS2−2で、速度パターンテーブル103から速度パターンを取り込み、各圧延スタンドのロール速度を計算する。
図4に速度パターンテーブル103の構成を示す。鋼板160の鋼種、目標板厚、目標板幅に対して、F7(最終圧延スタンド)から鋼板160の先端が払い出されるときの速度(初期速度)、その後、第1加速度、第2加速度、最大速度、最大速度から鋼板160の尾端を圧延するときの終期速度まで減速するときの減速度、および終期速度が、各層別毎に蓄積されている。セットアップ手段101は鋼板160の鋼種、板厚、板幅を判定して、速度パターンテーブル103から対応する速度パターンを抽出する。たとえば鋼種がSUS304、板厚2.0〜3.0mm、板幅が100mm以下のときには、初期速度650mpm、第1加速度2mpm/s、第2加速度12mpm/s、定常速度1050mpm、減速度6mpm/s、終期速度900mpmが設定されることを示している。次にS2−3で圧延温度を推定する。粗材161および鋼板160の温度は、温度計で検出した値と、熱輻射、熱伝達等を考慮した温度予測計算を組み合わせて推定する。温度推定方法は熱力学の文献等で多数紹介されており、さらに圧延における温度変化は、例えば「板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会)」の第6章(圧延における温度変化)で詳しく述べられているので、詳しい説明は省略する。S2−4では、各圧延スタンドで圧延される鋼板の硬さに相当する値である変形抵抗を計算する。変形抵抗については種々の文献で述べられている、例えば「板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会)」の第7章(変形抵抗)に詳しく説明されている。変形抵抗の代表的な計算式として、推定された圧延時の鋼板温度Tを用いて、
〔数3〕
f=Kεn(dε/dt)mexp(A/T)
ε:ひずみ、(dε/dt):ひずみ速度
K、n、m、A:鋼種ごとに決まる定数
のように与えられる(「板圧延の理論と実際」7.54式)。
次に、S2−5で各圧延スタンドのロール速度を計算する。S2−2で取り込んだ速度パターンはF7出側の板速なので、これを元に各圧延スタンドの出側板速を、以下により計算する。まず各圧延スタンドの出側板速を〔数4〕で計算する。
〔数4〕
si=Vs7×hi/h7
si:第iスタンドの出側板速
i:第iスタンドの出側板厚
7:第7スタンド(最終圧延スタンド)の出側板厚
次に先進率を用いて、各圧延スタンドの出側板速から各圧延スタンドのロール速度を算出する。先進率は、ロール速度と出側板速の比であり、これらには〔数5〕の関係がある。
〔数5〕
ri=Vsi/fi
ri:第iスタンドのロール速度
i:第iスタンドの先進率
先進率は、同様に「板圧延の理論と実際」の第2章(2次元圧延理論)で述べられており、例えば〔数6〕のような関係式となることが、広く知られている。
〔数6〕
f=g1(H、h、R′、tb、tf、kf
f:先進率、H:圧延スタンドの入側板厚、h:圧延スタンドの出側板厚
R′:偏平ロール径、tb:鋼板の後方張力、tf:鋼板の前方張力
f:変形抵抗
〔数5〕を圧延スタンド毎に計算し、各圧延スタンドのロール速度を求める。
さらにS2−6で圧延荷重を計算する。圧延荷重も同様に「板圧延の理論と実際」の第2章(2次元圧延理論)で述べられている。圧延荷重は変形抵抗が大きいほど、入側板厚が厚く、出側板厚が薄いほど大きな値となり、以下のような関係式で表される。
〔数7〕
p=g2(H、h、R′、tb、tf、Kf、Qp、Qs
p:圧延荷重、Qp:ピーニング効果、Qs:圧下力関数
さらにS2−7でワークロール153の圧下位置(ロールギャップ)を計算する。圧下位置算出の基本部分は、〔数8〕の関係式で表されるが、実際には算出精度を上げるため、種々の補正項が付加される。
〔数8〕
S=h−p/K
S:圧下位置、p:圧延荷重、K:ミルばね定数
セットアップ手段101は、次回圧延される鋼板に対応して上記のように計算したロール速度や圧下位置を制御指令として出力する。
図5に先端値抽出手段105の処理を示す。ここで実績収集手段104は制御対象150から送られる圧延情報や鋼板温度、熱間タンデム圧延ミルの制御装置100が制御対象150に対して出力する指令値等の実績データを、周期的または鋼板の一定長に対応付けて収集する。先端値抽出手段105はこのような実績収集手段104の出力の中から、鋼板160の先端が圧延されたときの圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を、圧延スタンド毎に取り込む。本実施例では圧下位置と圧延荷重については実績値、ロール速度については速度制御手段111が出力した設定値を取り込むことにする。S5−1で、各圧延スタンドにおける鋼板160の払い出し長さ(圧延長)が一定長に到達したかどうかを判定する。圧延長は通常、制御対象150から取り込む信号の中に含まれており、〔数5〕の関係を用いて、各圧延スタンドのロール速度から先進率を用いて推定した鋼板160の速度を積分して算出される。本実施例では圧延長に着目して先端部のデータの抽出を行う。S5−1で鋼板160の払い出し長さが一定長に到達していないと判定された場合にはS5−1の処理を繰り返す。払い出し長さが一定長に到達していると判定された場合には、S5−2で実績収集手段から、該当圧延スタンドのロール速度、圧下位置、圧延荷重を取り込む。S5−3ですべての圧延スタンドについて処理が終了したかどうかを判定し、終了していない場合には、処理が終了していない圧延スタンドについて、S5−1〜S5−2を繰り返す。すべての圧延スタンドについて、鋼板先端のロール速度、圧下位置、圧延荷重の取り込みが終わった時点で、この鋼板160に対する先端値抽出手段105の処理を終了する。
図6に定常値抽出手段106の処理を示す。定常値抽出手段106はこのような実績収集手段104の出力の中から、圧延が定常状態に到達したときの各圧延スタンド同一時刻の圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を取り込む。S6−1で鋼板160のF7払い出し長さ(圧延長)が一定長に到達したかどうかを判定する。圧延長は通常、制御対象150から取り込む信号の中に含まれており、〔数5〕の関係を用いて、F7のロール速度から先進率を用いて推定した鋼板160の速度を積分して算出される。F7の圧延長が小さいとき、圧延は鋼板160噛み込み直後の過渡状態であるが、圧延長が大きくなると、圧延は安定する。この点に着目して、本実施例では圧延長に着目して圧延の安定性を判定し、定常データの抽出を行う。S6−1で鋼板160のF7払い出し長さが一定長に到達していないと判定された場合にはS6−1の処理を繰り返す。F7払い出し長さが一定長に到達していると判定された場合には、S6−2で実績収集手段から、各圧延スタンドのロール速度、圧下位置、圧延荷重を、一斉に取り込む。
図7に先端値記憶手段107と定常値記憶手段108の構成を示す。先端値記憶手段107は、各圧延スタンドが鋼板先端を圧延した時に対応して先端値抽出手段105が抽出して出力した圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を格納している。例えばF1の圧下位置は30.40mm、圧延荷重は2364ton、ロール速度は27mpmであったことが記憶されている。定常値記憶手段108は、圧延が定常状態に到達したときに対応して定常値抽出手段106が出力した各圧延スタンド圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を格納している。例えばF1の圧下位置は29.78mm、圧延荷重は2380ton、ロール速度は26.4mpmであったことが記憶されている。
図8に速度指令補正手段109が実行する処理を示す。まずS8−1で先端値記憶手段107から、各圧延スタンドに対応した前コイル先端部の圧下位置、圧延荷重、ロール速度を取り込む。次にS8−2で定常値記憶手段108から、各圧延スタンドに対応した前コイル定常部の圧下位置、圧延荷重、ロール速度を取り込む。S8−3で圧延スタンド毎に速度指令の補正量を算出するが、算出方法について、図9を用いて詳しく説明する。図9に鋼板先端と定常状態の圧延スタンドの挙動を第jスタンド(Fj)を例に示す。(a)は鋼板先端の挙動で、鋼板先端903を圧延した直後の圧延荷重、圧下位置、ロール速度がそれぞれ、Pact-top、Sact-top、Vset、Fjスタンド出側の板厚がhであることを示している。一方、(b)は圧延が定常状態に達した後の挙動で、鋼板先端903はF7(最終圧延スタンド)出側にあり、全圧延スタンドが圧延を行っており、釣り合っている。このときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度がそれぞれ、Pact-stab、Sact-stab、Vstab、またFjスタンド出側の板厚がhであることを示している。このとき板厚と板速の積(マスフロー)が一定であることから、釣り合い状態から先端のあるべきロール速度を導出すると、〔数9〕が得られる。
〔数9〕
top_est・(1+ftop)・(Stop+Ptop/M)=Vstab・(1+fstab
・(Sstab+Pstab/M)
top_est:鋼板先端を圧延した時のあるべきロール速度
top:鋼板先端部を圧延した時の先進率
top:鋼板先端部を圧延した時の圧下位置
top:鋼板先端部を圧延した時の圧延荷重
M:ミル定数
stab:鋼板定常部を圧延した時のロール速度
stab:鋼板定常部を圧延した時の先進率
stab:鋼板定常部を圧延した時の圧下位置
stab:鋼板定常部を圧延した時の圧延荷重
V・(1+f)が板速、(S+P/M)が板厚に対応している。
1+ftop≒1+fstabとすると、
〔数10〕
top_est・(Stop+Ptop/M)=Vstab・(Sstab+Pstab/M)
したがって、
〔数11〕
top_est=Vstab・(Sstab+Pstab/M)/(Sstab+Pstab/M
+Stop−Sstab+(Ptop−Pstab)/M)
=Vstab・h/(h+Stop−Sstab+(Ptop−Pstab)/M)
(Sstab−Pstab/M=h)
となる。同様にF7(最終圧延スタンド)について、
〔数12〕
7top_est=V7stab・h7/(h7+S7top−S7stab+(P7top−P7stab)/M)
が得られる。また、最終圧延スタンドは速度制御の起点で、ロール速度は圧延中に変化しないので、
〔数13〕
7stab=V7set
である。速度制御の起点を他のスタンドにすることもできる。各圧延スタンドの速度補正係数αiは、前回圧延した鋼板160に設定した速度指令と、圧延が釣り合った状態のロール速度から算出したあるべき速度指令の比である。あるべき速度指令は各スタンドで、圧延が釣り合った状態のロール速度を、このときの鋼板厚みと鋼板先端が圧延されたときの鋼板厚みを用いて、マスフローが一定則にしたがって鋼板先端のロール速度に換算することで求められる。すなわち〔数14〕で計算できる。
〔数14〕
αi=(Vi_top_est/Vi_set)・(V7_set/V7_top_est
=(Vi_act_stab/Vi_set)・hi/{(hi+Si_act_top
−Si_act_stab+Pi_act_top−Pi_act_stab)/Mi}・{(h7
+S7_act_top−S7_act_stab+P7_act_top−P7_act_stab
/M7}/h7
i_act_stab:第iスタンドが鋼板定常部を圧延した時のロール速度
i_set:第iスタンドが鋼板先端を圧延した時のロール速度設定値
i:第iスタンドの出側板厚
i_act_top:第iスタンドが鋼板先端部を圧延した時の圧下位置
i_act_stab:第iスタンドが鋼板定常部を圧延した時の圧下位置
i_act_top:第iスタンドが鋼板先端部を圧延した時の圧延荷重
i_act_stab:第iスタンドが鋼板定常部を圧延した時の圧延荷重
i:第iスタンドのミル定数
7_act_stab:第7スタンドが鋼板定常部を圧延した時のロール速度
7_set:第7スタンドが鋼板先端を圧延した時のロール速度設定値
7:第7スタンドの出側板厚
7_act_top:第7スタンドが鋼板先端部を圧延した時の圧下位置
7_act_stab:第7スタンドが鋼板定常部を圧延した時の圧下位置
7_act_top:第7スタンドが鋼板先端部を圧延した時の圧延荷重
7_act_stab:第7スタンドが鋼板定常部を圧延した時の圧延荷重
7:第7スタンドのミル定数
となる。すなわち前回圧延した鋼板の先端を圧延したときのロール速度、圧延荷重、圧下位置、鋼板の圧延が定常状態に達した後のロール速度、圧延荷重、圧下位置から、セットアップ手段が算出したロール速度を補正するための補正値が算出できる。あるいは、計算を簡単にするために、
〔数15〕
αi=(Vi_top_est/Vi_set)・(V7_set/V7_top_est
=(Vi_act_stab/Vi_set)・hi/{(hi+Si_act_top
−Si_act_stab+Pi_act_top−Pi_act_stab)/Mi
のように計算することも考えられる。S8−3では、このような計算により圧延スタンド毎に速度指令の補正量を算出する。ちなみにF7(最終圧延スタンド)の速度指令補正量α7は、速度指令の起点になる圧延スタンドであることから、0である。S8−4ですべての圧延スタンドについて速度補正量の算出が終わったかを判定し、終わってなければS8−1〜8−4の処理を繰り返す。すべての圧延スタンドについて速度補正量の算出が終わっていれば、処理を終了する。
図10に速度指令バランス手段110が行う処理を示す。速度指令バランス手段110は、速度指令補正手段109が出力した各圧延スタンドの速度指令補正量を取り込み、上下限制約を超えた補正量が算出された圧延スタンドがあった場合に、これを制限内にリミットした上で他の圧延スタンドの補正量をバランスさせる処理を行う。S10−1で速度指令補正量が上下限を超えた圧延スタンドがあるかどうかを判定する。上下限を超えた圧延スタンドがない場合は、処理を終了する。上下限を超えた圧延スタンドがある場合には、S10−2以降で、この圧延スタンドの速度指令補正量を上下限にリミットする処理を行う。S10−2で速度指令補正量の絶対値が最大の圧延スタンドを特定し、速度指令補正量の上下限値αLを速度指令補正量絶対値の最大値で割り、速度補正バランス量α0を算出する。
〔数16〕
α0=αL/|αmax
α0:速度補正バランス量
αL:速度補正量の上下限値
αmax:速度補正量絶対値の最大値
S10−3で、〔数17〕により、各圧延スタンドの補正量にα0を乗じることで、バランス後の補正量を算出する。
〔数17〕
αi-b=α0・αi
αi-b:バランスされた後の速度補正量
図11に速度指令バランス手段110の処理内容を模式的に示す。図ではバランス前の補正量1101により、第1スタンド(F1)の速度指令補正量が最大となり、第2スタンド(F2)の速度指令補正量とともに、上限値を逸脱している。
ここで上下限値であるαLをαmaxで割ることにより、速度補正バランス量α0が得られる。そして各バランス前の速度補正量(図の白丸)を速度補正バランス量α0で割ることによりバランス後の補正量(図の黒丸)が得られる。
圧下位置制御手段は、セットアップ手段101から受けとった圧下位置指令を、圧延荷重の実績の変化や板厚計154で検出した実績板厚と目標板厚の差を反映して補正し、補正後の値を制御対象150に出力する。圧下位置の制御はAGC(Automatic Gauge Control)と呼ばれ、Bisra AGC、Monitor AGC、Gauge meter AGC等、種々の手法が知られている。また、圧下位置が変化すると入側鋼板と出側鋼板のマスフローの値が変化することに対して、これを補償するために圧下位置が変化したスタンドとこのスタンドから見た上流スタンドのロール速度を変化させる。
速度制御手段111は、速度指令バランス手段110が出力した速度指令に、圧下位置制御手段112が出力した速度補正量を加算した値を指令値にして、ワークロール153の速度制御を行う。速度制御系は、通常ASR(Automatic Speed Control)と呼ばれる比例・積分の制御系で構成される。
本実施例では、速度指令補正量の上限と下限の値を絶対値としては同一としたが、異なった値でも、αmaxをαiと上下限値の比で定義することにより、同様の考え方で処理することができる。また速度バランス手段110を省略し、速度指令補正手段109が出力した速度指令にしたがって速度制御手段111が動作する構成も考えられる。
また本実施例では圧延長に着目して定常部データの抽出を行ったが、圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を直接用いて、それらが一定以上変化しないことで圧延の安定性を判定し、定常データ抽出の条件とすることもできる。
さらに図2でセットアップ手段101はドラフトスケジュールから計算を始めて、圧延荷重、圧下位置、ロール速度を計算したが、荷重バランスから計算を始める手法も知られており、本発明は、この場合にも同様に適用できる。
また、本発明ではワークロール153の周速を速度指令の補正対象にしたが、ワークロールを駆動する主機モータの回転速度、主機ドライブの速度指令等補正の対象にしても、等価な処理で実現できる。
以上のように、先端値記憶手段は、各スタンドが前回圧延された鋼板の先端部を圧延したときの各スタンドのロール速度、圧延荷重、圧下位置の値を記憶する。定常値記憶手段は、前回圧延された鋼板に対して、圧延が定常状態に達したときの各スタンドのロール速度、圧延荷重、圧下位置を記憶する。速度指令補正手段は、各スタンドのマスフローが概ね一定となり、圧延が釣り合った定常状態のロール速度に対して、鋼板先端からの圧下位置と圧延荷重の変化を補償する演算を施し、前回圧延された鋼板の先端に対して算出すべきであったロール速度を計算する。そしてこのロール速度とセットアップ手段が実際に出力したロール速度の比を、速度指令補正量として出力する。速度指令バランス手段は、各スタンドに対する速度補正量の上下限をチェックし、あるスタンドの速度補正量が上下限を逸脱しているとき、スタンド間の補正バランスに配慮して速度補正量を上下限内にリミットする処理を行う。
次回圧延する鋼板のセットアップでは、セットアップ手段が計算したロール速度指令値を速度補正量を用いて補正することにより、各スタンドのマスフローが概ね一定となる速度指令を算出し、出力できる。
本発明は、熱間タンデム圧延ミルのセットアップ制御に、有効に適用できる。
100 熱間タンデム圧延ミルの制御装置
101 セットアップ手段
102 ドラフトスケジュールテーブル
103 速度パターンテーブル
105 先端値抽出手段
106 定常値抽出手段
107 先端値記憶手段
108 定常値記憶手段
109 速度指令補正手段
110 速度指令バランス手段
150 制御対象
151 ミル
160 鋼板

Claims (9)

  1. 複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機を制御対象とし、該圧延スタンドに備えられたワークロールで連続的に圧延される鋼板の板厚や圧延スタンド間の鋼板の張力等の制御対象の値を所望の値に制御する熱間タンデム圧延ミルの制御装置において、 所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも各圧延スタンドの圧延荷重の指令値、該ワークロールの圧下位置の指令値とロール速度の指令値を計算して出力するセットアップ部と、
    所定の圧延スタンドで前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板が前記所定のスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度あるいはこれらを用いた演算結果で、該セットアップ部が出力したロール速度の指令値を補正する速度指令補正部とを備え、
    前記速度指令補正部は、所定の回より前のいずれかの回に圧延された鋼板が前記所定のスタンドで前記先端部以外で安定してタンデム圧延されているときのスタンドのロール速度を、鋼板速度と鋼板厚みの積であるマスフローが一定であることを利用した演算で前記スタンドが先端を圧延しているときのスタンドのロール速度に換算し、前記換算されたロール速度を用いて該セットアップ部が出力したロール速度の指令値を補正すること
    を特徴とする熱間タンデム圧延ミルの制御装置。
  2. 複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機を制御対象とし、該圧延スタンドに備えられたワークロールで連続的に圧延される鋼板の板厚や圧延スタンド間の鋼板の張力等の制御対象の値を所望の値に制御する熱間タンデム圧延ミルの制御装置において、 所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも各圧延スタンドの圧延荷重の指令値、該ワークロールの圧下位置の指令値とロール速度の指令値を計算して出力するセットアップ部と、
    所定の圧延スタンドで前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板が前記所定のスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度あるいはこれらを用いた演算結果で、該セットアップ部が出力したロール速度の指令値を補正する速度指令補正部とを備え、
    前記速度指令補正部は、所定の回より前のいずれかの回に圧延された鋼板がスタンドで安定して圧延されているときのスタンドのロール速度を、このときの圧延荷重と圧下位置およびスタンドが先端部を圧延しているときの圧延荷重と圧下位置を用い、マスフローが一定であることを利用した演算で各スタンドが先端部を圧延しているときのスタンドのロール速度に換算し、換算されたロール速度を用いて該セットアップ部が出力したロール速度の指令値を補正すること
    を特徴とする熱間タンデム圧延ミルの制御装置。
  3. 複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機を制御対象とし、該圧延スタンドに備えられたワークロールで連続的に圧延される鋼板の板厚や圧延スタンド間の鋼板の張力等の制御対象の値を所望の値に制御する熱間タンデム圧延ミルの制御装置において、
    所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも各圧延スタンドの圧延荷重、該ワークロールの圧下位置とロール速度の指令値を計算して出力するセットアップ部と、
    所定圧延スタンドで前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板が前記所定のスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、最終出側スタンドで前記先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板がスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度あるいはそれらを用いた演算結果で、該セットアップ部が出力したロール速度の指令値を補正する速度指令補正部とを備え、
    前記速度指令補正部は、所定の回より前のいずれかの回に圧延された鋼板が前記所定のスタンドで前記先端部以外で安定してタンデム圧延されているときのスタンドのロール速度を、鋼板速度と鋼板厚みの積であるマスフローが一定であることを利用した演算で前記スタンドが先端を圧延しているときのスタンドのロール速度に換算し、前記換算されたロール速度を用いて該セットアップ部が出力したロール速度の指令値を補正することを特徴とする熱間タンデム圧延ミルの制御装置。
  4. 前記熱間タンデム圧延ミルの制御装置が出力する制御指令値及び前記制御対象からの検出値を収集する実績収集部と、
    該実績収集部から、圧延スタンドで鋼板を一定長圧延したときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度を先端部の値として抽出する先端値抽出部と、
    先端値抽出部が抽出した各圧延スタンドの圧延荷重、圧下位置、ロール速度を格納する先端値記憶部と、
    最終出側スタンドが鋼板を一定長圧延したときの各スタンドの圧延荷重、圧下位置、ロール速度を鋼板定常部の値として抽出する定常値抽出部と、
    定常値抽出部が抽出した各圧延スタンドの圧延荷重、圧下位置、ロール速度を格納する定常値記憶部を備え、
    前記速度指令補正部は、前記先の回に圧延された鋼板に対応して先端値記憶部と定常値記憶部に格納されている圧延荷重、圧下位置、ロール速度を用いた演算結果にしたがって、該セットアップ部が出力したロール速度の指令値を補正すること
    を特徴とする請求項1からのいずれか記載の熱間タンデム圧延ミルの制御装置。
  5. 前記速度指令補正部が出力した各スタンドのロール速度の補正値のいずれかが上限値または下限値を逸脱していたとき、このスタンドの補正値1を上限値または下限値にリミットして補正値2を算出するとともに、補正値1を補正値2に変更したことによる各スタンドの補正値の相対関係の変化を最小とするように各スタンドの補正値を修正する速度指令バランス部を備えたこと
    を特徴とする請求項1からのいずれか記載の熱間タンデム圧延ミルの制御装置。
  6. 前記速度指令補正部が出力した各スタンドのロール速度の補正値のいずれかが上限値または下限値を逸脱していたとき、このスタンドの補正値1を上限値または下限値にリミットして補正値2を算出するとともに、補正値2を補正値1で除した値を各スタンドの補正値に乗じることで各スタンドの補正値の相対変化を最小化する速度指令バランス部を備えたこと
    を特徴とする請求項1からのいずれか記載の熱間タンデム圧延ミルの制御装置。
  7. 複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機を制御対象とし、該圧延スタンドに備えられたワークロールで連続的に圧延される鋼板の板厚や圧延スタンド間の鋼板の張力等の制御対象の値を所望の値に制御する熱間タンデム圧延ミルの制御方法において、
    所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも各圧延スタンドの圧延荷重、該ワークロールの圧下位置とロール速度の指令値を計算し、
    所定の圧延スタンドで前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板がスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度あるいはそれらを用いた演算結果で、該ロール速度の指令値を補正して新たなロール速度の指令値を算出する熱間タンデム圧延ミルの制御方法であって、
    前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板がスタンドで前記先端部以外で安定してタンデム圧延されているときのスタンドのロール速度を、鋼板速度と鋼板厚みの積であるマスフローが一定であることを利用した演算で各スタンドが先端部を圧延しているときのスタンドのロール速度に換算し、
    前記換算されたロール速度と前記先の回に圧延された鋼板に対するロール速度の指令値からその回以降に圧延される鋼板のために計算した該ロール速度の指令値を補正して新たなロール速度の指令値を算出する熱間タンデム圧延ミルの制御方法。
  8. 複数の圧延スタンドを備えた熱間圧延機を制御対象とし、該圧延スタンドに備えられたワークロールで連続的に圧延される鋼板の板厚や圧延スタンド間の鋼板の張力等の制御対象の値を所望の値に制御する熱間タンデム圧延ミルの制御方法において、
    所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも各圧延スタンドの圧延荷重、該ワークロールの圧下位置とロール速度の指令値を計算し、
    所定の圧延スタンドで前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板がスタンドで前記先端部以外で圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度あるいはそれらを用いた演算結果で、該ロール速度の指令値を補正して新たなロール速度の指令値を算出する熱間タンデム圧延ミルの制御方法であって、
    前記所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも圧延スタンドの圧延荷重、該ワークロールの圧下位置とロール速度の指令値を計算し、
    前記所定の回より前のいずれかの回である先の回に圧延された鋼板が各スタンドで安定してタンデム圧延されているときの各スタンドのロール速度を、このときの圧延荷重と圧下位置および各スタンドが鋼板先端を圧延しているときの圧延荷重と圧下位置を用い、マスフローが一定であることを利用した演算で各スタンドが先端部を圧延しているときの各スタンドのロール速度に換算し、
    前記換算されたロール速度と前記先の回に圧延された鋼板に対するロール速度の指令値から前記所定の圧延される鋼板のために計算した該ロール速度の指令値を補正して新たなロール速度の指令値を算出する熱間タンデム圧延ミルの制御方法。
  9. 前記所定の回に圧延される鋼板のための制御指令として、少なくとも各圧延スタンドの圧延荷重、該ワークロールの圧下位置とロール速度の指令値を計算し、
    圧延スタンドで前回圧延された鋼板の先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板が各スタンドで安定してタンデム圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、最終出側スタンドで前記先の回に圧延された先端部が圧延されたときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度と、前記先の回に圧延された鋼板が各スタンドで安定してタンデム圧延されているときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度を取り込み、
    これら用いた演算結果で、前記所定の回に圧延される鋼板のために計算した該ロール速度の指令値を補正して新たなロール速度の指令値を算出する
    請求項7又は8のいずれか記載の熱間タンデム圧延ミルの制御方法。
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