JP5783021B2 - 無段変速装置 - Google Patents

無段変速装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5783021B2
JP5783021B2 JP2011266399A JP2011266399A JP5783021B2 JP 5783021 B2 JP5783021 B2 JP 5783021B2 JP 2011266399 A JP2011266399 A JP 2011266399A JP 2011266399 A JP2011266399 A JP 2011266399A JP 5783021 B2 JP5783021 B2 JP 5783021B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
continuously variable
variable transmission
toroidal
speed
learning
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011266399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013119862A (ja
Inventor
巧 篠島
巧 篠島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2011266399A priority Critical patent/JP5783021B2/ja
Publication of JP2013119862A publication Critical patent/JP2013119862A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5783021B2 publication Critical patent/JP5783021B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Transmission Devices (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

この発明は、例えば車両(自動車)用自動変速装置、建設機械(建機)用自動変速装置、航空機(固定翼機、回転翼機、飛行船等)等で使用されるジェネレータ(発電機)用の自動変速装置等として利用する、トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の改良に関する。具体的には、トロイダル型無段変速機の変速比制御の基準となる調整部材の位置(例えばステッピングモータのステップ位置)に関する学習値の信頼性を確保できる構造を実現するものである。
自動車用自動変速機として使用されるトロイダル型無段変速機が、特許文献1等の多くの刊行物に記載され、且つ、一部で実施されていて周知である。この様なトロイダル型無段変速機は、互いに対向する軸方向側面をトロイド曲面とした入力側ディスクと出力側ディスクとの間に複数個のパワーローラを挟持して成る。運転時には、この入力側ディスクの回転が、これら各パワーローラを介して前記出力側ディスクに伝達される。これら各パワーローラは、それぞれトラニオン等の支持部材に回転自在に支持されており、これら各支持部材は、それぞれ前記両ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に支持されている。前記両ディスク同士の間の変速比を変える場合は、油圧式のアクチュエータにより前記各支持部材を前記枢軸の軸方向に変位させる。この様なアクチュエータへの圧油の給排は、制御弁により制御すると共に、前記各支持部材のうちの少なくとも1個の支持部材の動きをこの制御弁にフィードバックする様に構成している。
前記アクチュエータに設けた1対の油圧室への圧油の給排に基づき前記各支持部材を前記枢軸の軸方向に変位させると、前記各パワーローラの周面と前記入力側、出力側各ディスクの側面との転がり接触部(トラクション部)に作用する、接線方向の力の向きが変化(転がり接触部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って前記各支持部材が前記枢軸を中心に揺動(傾斜)し、前記各パワーローラの周面と前記入力側、出力側各ディスクの側面との接触位置が変化する。これら各パワーローラの周面を、前記入力側ディスクの側面の径方向外寄り部分と、前記出力側ディスクの側面の径方向内寄り部分とに転がり接触させれば、前記両ディスク同士の間の変速比が増速側になる。これに対して、前記各パワーローラの周面を、前記入力側ディスクの側面の径方向内寄り部分と、前記出力側ディスクの側面の径方向外寄り部分とに転がり接触させれば、前記両ディスク同士の間の変速比が減速側になる。
又、上述の様なトロイダル型無段変速機を実際の自動車用自動変速機に組み込む場合、遊星歯車機構等の歯車式の差動ユニットと組み合わせて無段変速装置を構成する事が、従来から提案されている。例えば特許文献2には、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態(所謂ギヤードニュートラル状態)を挟んで正転、逆転に切り換えられる無段変速装置が記載されている。この様な無段変速装置の場合、所謂低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比が、無限大に変化する。即ち、トロイダル型無段変速機の変速比を調節する事により、入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。この様な、所謂無限大の変速比を実現できる無段変速装置の場合、トロイダル型無段変速機の変速比に関して、前記出力軸の停止状態を実現できる値(ギヤードニュートラルポイント、GN値)の近傍では、前記トロイダル型無段変速機の変速比が僅かに変化しただけでも、前記出力軸に伝わる動力の状態が大きく変化する。この為、トロイダル型無段変速機の変速比制御を高精度で行う必要がある。
例えば車両を停止させた状態で、シフトレバーをPレンジ(パーキング位置)やNレンジ(ニュートラル位置)等の非走行状態から、Dレンジ(通常前進位置)、Lレンジ(高駆動前進位置)やRレンジ(後退位置)等の走行状態に切り換える場合、素早く前方或いは後方への適切な駆動力を生じさせつつ、ブレーキペダルの操作に基づく制動力により車両の停止状態を維持する必要がある。この為、シフトレバーが非走行状態に選択されている状態で、トロイダル型無段変速機の変速比を、変速比無限大の状態を実現できる値(範囲)に厳密に制御しておく必要がある。仮に、トロイダル型無段変速機の変速比が、変速比無限大の状態を実現できる値から大きくずれている場合には、シフトレバーが走行状態に選択された場合に、予想以上の駆動力(クリープ力)が伝達され、車両が動き出したり、運転者の意図とは逆方向の駆動力が伝達される可能性がある。
一方、トロイダル型無段変速機に組み込まれる部品数は多く、しかも、そのうちの多くの部品の寸法精度及び組み付け精度が、トロイダル型無段変速機の変速比に影響を及ぼす。即ち、各パワーローラを支持する支持部材を枢軸の軸方向に変位させる、アクチュエータの操作量を同じとした場合でも、前記トロイダル型変速機で実現される変速比に個体差が生じる事は、或る程度避けられない。従って、変速比無限大の状態を実現できるトロイダル型無段変速機の変速比を調節する為の、調整部材の位置(例えばステッピングモータのステップ位置)にも個体差が生じる事が考えられる。又、このステッピングモータのステップ位置の調節による、前記トロイダル型無段変速機の変速比制御は、長期間に亙る使用による構成部品の経時変化(僅かな塑性変形)等により、その特性が変化する事も考えられる。
この様な事情に鑑みて、例えば特許文献3には、シフトレバーが非走行状態に選択されている事を条件に、変速比無限大の状態を実現できるトロイダル型無段変速機の変速比を実現する、ステッピングモータのステップ位置を学習する(制御器に第三の機能を持たせた)発明が記載されている。具体的には、シフトレバーが非走行状態に選択されている事を条件に、トロイダル型無段変速機を構成する入力側ディスクの回転速度と、出力側ディスクの回転速度とを、それぞれ回転センサにより検出する。そして、これら各ディスクの回転速度から求められる実際の変速比(入力側ディスクの回転速度/出力側ディスクの回転速度)と、遊星歯車式変速機の変速比とに基づいて、非走行状態時の出力軸の回転速度を求める。そして、この出力軸の回転速度を0にすべく、ステッピングモータのステップ位置(駆動量)を調整する事で、トロイダル型無段変速機の変速比を調節する。そして、前記出力軸の回転速度が0になった状態でのステップ位置を学習し、制御器のメモリに記憶する(学習制御を完了する)。そして、調整されたステップ位置(学習値)を基準に、トロイダル型無段変速機の変速比制御を行う。従って、この様な特許文献3に記載された発明によれば、トロイダル型無段変速機の構成部品の個体差や経時変化等に関係なく、変速比制御を高精度に行う事が可能になる。
但し、上述した様な特許文献3に記載された発明を含め、従来から考えられている、シフトレバーが非走行状態に選択されている事を条件として、ステップ位置を学習する制御方法の場合には、アクチュエータを構成する1対の油圧室同士の間の差圧が0でない状態でステップ位置を学習すると、正しく学習できない可能性がある。即ち、前記シフトレバーが非走行状態に選択され、前記入力軸の回転が前記出力軸の回転に伝達されない状態では、前記トロイダル型無段変速機を通過するトルクは、本来、(僅少の摩擦抵抗に見合うトルクを除き)実質的に0となる。この様な状態では、入力側、出力側各ディスクからパワーローラを介してトラニオンに加わる、所謂2Ftと呼ばれる力は(前記摩擦抵抗に見合うトルクを支承する分を除き)0となるので、この力2Ftを支承するアクチュエータの1対の油圧室同士の間の差圧も実質的に0となる。しかし、例えばエンジンを始動した直後等、前記無段変速装置を納めるケーシング内の温度が低い(例えば0度以下)場合に、この無段変速装置を潤滑する潤滑油の撹拌抵抗が増大したり、この無段変速装置と前記出力軸との間に設けられたクラッチのドラッグトルク(引き摺り抵抗)が発生する。又、遠心油圧の増大に伴い前記入力側、出力側各ディスクを互いに近付く方向に押圧する、押圧装置の押圧力が常温時よりも大きくなり、これら各ディスクと前記各パワーローラとの間の転がり接触部(トラクション部)の面圧が高くなる。この結果、前記トロイダル型無段変速機を通過するトルクが0にならず、前記両油圧室同士の間の差圧も0とならなくなる。更には、各アクチュエータや押圧装置、各部に設けた軸受等の変位も円滑に行われにくくなり、前記押圧力の増大に基づく変速比変化(トルクシフト)が増大し易い状態になる。この様な低温状態でステップ位置に関する学習を行い、変速比制御の基準となる学習値を得た後に、エンジンの運転に伴い前記ケーシング内の温度が上昇して前記通過するトルクが0になり、更には上述な原因でのトルクシフトが解消すると、前記学習値が出力軸を停止させるのに適正な位置から外れてしまう。この結果、ステップ位置が出力軸を停止させるのに適正な位置から外れた状態で、変速比制御が開始される可能性があり、変速フィーリングが損なわれるばかりか、最悪の場合には、シフトレバーの選択位置と逆方向に車両が動き出す可能性もある。
特開2001−317601号公報 特開2003−307266号公報 特開2004−308853号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、トロイダル型無段変速機の変速比制御の基準となる調整部材の位置に関する学習の許可条件として、このトロイダル型無段変速機を通過するトルクが0若しくは0の近傍である事を含めて、学習値の信頼性を確保できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動ユニットと、このトロイダル型無段変速機の変速比を制御する為の制御器とを備える。
前記トロイダル型無段変速機は、入力側ディスクと、出力側ディスクと、複数個のパワーローラと、複数個の支持部材と、アクチュエータと、制御ユニットとを備える。
このうちの入力側ディスクは、前記差動ユニットの第一の入力部と共に前記入力軸により回転駆動される。
又、前記出力側ディスクは、前記入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在として支持され、前記差動ユニットの第二の入力部に接続されている。
又、前記各パワーローラは、前記両ディスク同士の間に挟持されている。
又、前記各支持部材(例えばトラニオン)は、前記各パワーローラを回転自在に支持している。
又、前記アクチュエータは、例えば油圧式のもので、圧油の給排状態に基づいて、前記各支持部材を変位させ、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間の変速比を変えるものである。
又、前記制御ユニットは、前記変速比を所望値にする為に、前記アクチュエータの変位方向及び変位量を制御するものであり、後述する調整部材の他、例えばローディング圧制御用の電磁弁、モード切換制御用の電磁弁、及び、これらにより作動状態を切り換えられる制御弁装置等から構成される。
又、前記差動ユニットは、前記第一、第二の入力部同士の間の速度差に応じた回転を取り出して前記出力軸に伝達するもので、例えば遊星歯車式変速機が相当する。
又、前記制御器は、次の第一〜第三の機能を有する。
このうちの第一の機能は、前記トロイダル型無段変速機の変速比を調節して前記差動ユニットを構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事により、前記入力軸を一方向に回転させた状態のまま前記出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで、正転及び逆転に変換する機能である。
又、第二の機能は、例えば前記入力側ディスクの回転速度或いはエンジンの回転数(回転速度)と前記出力側ディスクの回転速度とを利用して、前記トロイダル型無段変速機の変速比を算出する機能である。
更に、第三の機能は、所定の学習許可条件が満たされている事を条件に、前記出力軸の回転速度が0(ゼロ)となる状態に、前記トロイダル型無段変速機の変速比を調節し、この状態での前記制御ユニットを構成する調整部材の位置(例えばステッピングモータのステップ位置)を、前記入力軸を回転させたまま前記出力軸を停止させられる位置として学習し記憶する、学習制御を行う機能である。
特に、本発明の無段変速装置の場合には、前記第三の機能による学習制御を実行する為の学習許可条件に、前記アクチュエータに設けた1対の油圧室同士の間の差圧が0若しくは0の近傍(例えば、|差圧|<0.1[MPa])である事を含む。言い換えれば、この差圧が0若しくは0の近傍でない(例えば、|差圧|≧0.1MPa)場合には、前記学習制御の実行を禁止する。
この様な本発明の無段変速装置を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記第三の機能による学習制御の目標値を、前記差圧に基づいて補正する。
上述の様に構成する本発明の無段変速装置によれば、トロイダル型無段変速機の変速比制御の基準となる調整部材の位置(例えばステッピングモータのステップ位置)に関する学習値の信頼性を確保できる。即ち、例えば無段変速装置を納めるケーシング内の温度が低く、トロイダル型無段変速機を通過するトルクが実質的に0若しくは0の近傍でない状態で、前記調整部材の位置に関する学習が実行される事を防止できる。この結果、前記学習値の信頼性を確保できて、ステップ位置が出力軸を停止させるのに適正な位置から外れた状態で変速比制御が開始されるのを防止して、変速フィーリングが損なわれたり、シフトレバーの選択位置と逆方向に車両が動き出すのを防止する事ができる。
又、請求項2に記載した発明によれば、学習制御により得られた値が、前記通過トルクが0でなくなる原因が解消された(前記ケーシング内の温度が上昇した)場合に、変速比制御の基準位置である、出力軸を停止させるのに適正な位置から外れる事をより確実に防止できる。尚、通過トルクが0でなくなる原因が解消されないまま(前記ケーシング内の温度が低い状態のまま)変速比制御が開始された場合には、変速フィーリングを多少(シフトレバーの選択位置と逆方向に車両が動き出したりする事のない程度)悪化させる事で運転者に注意を促す事ができる。そして、変速比制御実行中に前記通過トルクが0でなくなる原因が解消されれば(前記ケーシング内の温度が上昇すれば)、前記学習制御により得られた値が、出力軸を停止させるのに適正な位置となる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、無段変速装置のブロック図。 同じく無段変速装置に組み込むトロイダル型無段変速機の変速比を調節する為の機構を示す油圧回路図。 同じく本例の特徴となる動作を示すフローチャート。 同じくステップ位置に関する学習状態を説明する為、エンジン回転数(回転速度)と、イグニッションスイッチのオン/オフ状態と、設定下限回転数(回転速度)との関係を示す図。 図3のX部で行う動作の詳細を示すフローチャート。
図1〜5は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の特徴は、パワーローラ7を支持する支持部材であるトラニオンを枢軸の軸方向に変位させる為の、アクチュエータ19に設けた1対の油圧室22a、22b同士の間の差圧が0若しくは0の近傍でない場合に、制御器11が備える第三の機能による学習制御が実行される事を禁止する点にある。この制御器11が備える第一、第二の機能に就いては、前述した特許文献3等に詳しく記載されており、従来から広く知られているものであるから、ここでは説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の無段変速装置の全体構成及び特徴部分に就いて説明する。
先ず、図1のブロック図により、本例の無段変速装置に就いて説明する。この図1中、太矢印は動力の伝達経路を、実線は油圧回路を、破線は電気回路を、それぞれ示している。エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、トロイダル型無段変速機4を構成する油圧式の押圧装置5から入力側ディスク6に伝達され、更にパワーローラ7を介して出力側ディスク8に伝達される。これら両ディスク6、8のうち、入力側ディスク6の回転速度は入力側回転センサ9により、出力側ディスク8の回転速度は出力側回転センサ10により、それぞれ測定して、制御器11に入力し、前記両ディスク6、8間の(トロイダル型無段変速機4の)変速比を算出する。
又、前記入力軸3に伝達された動力は、直接又は前記トロイダル型無段変速機4を介して、差動ユニットである遊星歯車式変速機12に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機12の構成部材の差動成分が、クラッチ装置13を介して出力軸14に取り出される。尚、このクラッチ装置13は、後述する図2に示した低速用クラッチ15及び高速用クラッチ16を表すものである。又、本例の場合には、出力軸回転センサ17により、前記出力軸14の回転速度を検出して、前記入力側回転センサ9及び前記出力側回転センサ10の故障の有無を判定する為のフェールセーフを可能としている。
一方、前記ダンパ2部分から取り出した動力によりオイルポンプ18を駆動し、このオイルポンプ18から吐出した圧油を、前記押圧装置5と、前記パワーローラ7を支持した支持部材であるトラニオンを枢軸(図示省略)の軸方向に変位させる為のアクチュエータ19(図2参照)の変位量を制御する為の制御弁装置20とに、送り込み自在としている。この制御弁装置20を構成する制御弁21(図2参照)は、前記アクチュエータ19への圧油の給排を制御するものである。又、このアクチュエータ19に設けた1対の油圧室22a、22b(図2参照)内の油圧を、油圧センサ23(図2に示す1対の油圧センサ23a、23b)により検出して、その検出信号を前記制御器11に入力している。この制御器11は、前記油圧センサ23(油圧センサ23a、23b)からの信号に基づいて、前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)を算出する。
又、前記制御弁装置20は、調整部材であるステッピングモータ24と、ローディング圧制御用電磁開閉弁25と、モード切換制御用電磁開閉弁26(図2に示す低速クラッチ用電磁弁27、高速クラッチ用電磁弁28)とにより、その作動状態を切り換えられる。そして、これらステッピングモータ24と、ローディング圧制御用電磁開閉弁25と、モード切換制御用電磁開閉弁26とは、何れも前記制御器11からの制御信号に基づいて切り換えられる。
又、前記制御器11には、前記各回転センサ9、10、17及び前記油圧センサ23からの信号の他、油温センサ29の検出信号と、ポジションスイッチ30の位置信号と、アクセルセンサ31の検出信号と、ブレーキスイッチ32の信号と、イグニッションスイッチ33の信号等とを入力している。このうちの油温センサ29は、無段変速装置を納めたケーシング内の潤滑油(トラクションオイル)の温度を検出するものである。又、前記ポジションスイッチ30は、後述する図2に記載した手動油圧切換弁34を切り換える為の、運転席に設けられたシフトレバー(操作レバー)の操作位置(選択位置)を表す信号を発するものである。又、前記アクセルセンサ31は、アクセルペダルの開度を検出する為のものである。又、前記ブレーキスイッチ32は、ブレーキペダルが踏まれた事を検出して、その事を表す信号を発するものである。更に、前記イグニッションスイッチ33は、前記エンジン1を始動及び停止する為のもので、イグニッションキーの作動状態(選択位置)を検出し、その事を表す信号(オン/オフ状態を表す信号)を発するものである。
又、前記制御器11は、前記各スイッチ30、32、33及び前記各センサ9、10、17、23、31からの信号に基づいて、前記ステッピングモータ24と、前記ローディング圧制御用電磁開閉弁25と、前記モード切換制御用電磁開閉弁26とに、前記制御信号を送る他、前記エンジン1を制御する為の制御信号を送る。そして、前記入力軸3と前記出力軸14との間の変速比を制御したり、或いは、停止時若しくは低速走行時に、前記トロイダル型無段変速機4を通過して前記出力軸14に加えられるトルク(通過トルク)を制御する。
図2は、上述の様な無段変速装置を制御する油圧回路を示している。この油圧回路では、油溜35から吸引されてオイルポンプ18により吐出された圧油を、調圧弁36a、36bで所定圧に調整自在としている。又、これら両調圧弁36a、36bのうち、押圧装置5及び前記アクチュエータ19の油圧室22a、22b側に送る油圧を調整する為の調圧弁36aによる調整圧を、ローディング圧制御用電磁開閉弁25の開閉に基づいて調節自在としている。そして、前記調圧弁36aにより圧力を調整された圧油を、前記押圧装置5の他、前記制御弁21を介して、前記アクチュエータ19の油圧室22a、22b内に送り込み自在としている。
又、前記圧油は、前記調圧弁36bで所定圧に調整してから、手動油圧切換弁34と、低速クラッチ用電磁弁27又は高速クラッチ用電磁弁28とを介して、低速用クラッチ15又は高速用クラッチ16の油圧室内に送り込み自在としている。このうちの低速用クラッチ15は、減速比を大きくする(変速比無限大を含む)低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、前記高速用クラッチ16は、低速モードを実現する際に接続を断たれると共に高速モードを実現する際に接続される。又、前記低速用クラッチ15及び前記高速用クラッチ16への油圧の導入状態は、油圧センサ23c、23dによりそれぞれ検出して、検出信号を前記制御器11に入力している。
特に本例の場合は、前記油圧センサ23(油圧センサ23a、23b)により前記両油圧室22a、22b同士の間の差圧を求め、この差圧が0若しくは0の近傍ではない場合には、前記制御器11による前記ステッピングモータ24のステップ位置に関する学習を禁止する。この制御器11が備えるこの様な機能に就いて、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
尚、このフローチャートに示した動作は、前記制御器11に通電されているか、この制御器11中の電圧が(コンデンサや二次電池の存在に基づいて)保持されている間、自動的に繰り返し(開始→各ステップ→終了→開始→・・・)行う。つまり、学習制御が一度も実行されていない場合(イグニッションスイッチ33をオンした直後)は勿論、学習制御の実行中(ステップ位置を調節している状態)、更には学習制御が完了した後(出力軸14を停止させられるステップ位置を一度学習した後)も、前記フローチャートに示した動作を繰り返し行う。
先ず、前記制御器11は、ステップ1で、車両の走行速度が0であるか否かを判定する。この判定は、前記出力軸回転センサ17、或いは、図示しない速度センサからの信号に基づいて行う。そして、車両の走行速度が0でない限り、次のステップ2には進まずに、後述するステップ9に進む。
これに対して、車両の走行速度が0である場合には、続くステップ2に進み、非走行状態が選択されているか否かを判定する。この判定は、前記ポジションスイッチ30からの信号に基づいて行う。このポジションスイッチ30からの信号に基づき、運転席に設けられたシフトレバーの操作位置が、Pレンジ又はNレンジである場合には、非走行状態が選択されていると判定し、それ以外の場合には非走行状態が選択されていないと判定する。そして、非走行状態が選択されていない限り、次のステップ3には進まずに、後述するステップ9に進む。
これに対して、非走行状態が選択されている場合には、続くステップ3に進み、アクセルペダルが全閉の状態にあるか否かを判定する。この判定は、前記アクセルセンサ31からの信号に基づいて行う。このアクセルセンサ31からの信号に基づき、アクセルペダルの開度が0%である場合には、アクセルペダルが全閉であると判定し、それ以外の場合には全閉でないと判定する。そして、アクセルペダルが全閉でない限り、次のステップ4には進まずに、後述するステップ9に進む。この様なステップ3は、単純にアクセル開度が0%ではない(アクセルペダルが踏み込まれている)場合の総ての場合を、ステップ位置に関する学習制御の対象から除外する。この為、アクセルペダルの踏み込み量を変化(増加或いは減少)させる等により、前記エンジン1の回転数を変動させている場合は勿論、アクセルペダルの踏み込み量を一定として前記エンジン1の回転数に変動を生じさせない(生じにくい)場合も、ステップ位置に関する学習制御の対象から除外する。但し、アクセルペダルを開放した直後の様に、アクセル開度が0%であるにも拘らず、前記エンジン1の回転数が変化(低下)している状態は、学習制御の対象からは除外しない(できない)。
上述の様なステップ3で、アクセルペダルが全閉であると判定された場合には、続くステップ4に進み、前記エンジン1の回転数が、前記制御器11により設定される目標アイドル回転数よりも高い値に設定された、設定上限回転数{ENG_GN=目標アイドル回転数(TRGET_IDLE)+X}よりも低いか否かを判定する。ここで、「目標アイドル回転数」とは、エンジンの冷却水の温度、吸気温度、補機の回転状態等に応じて制御器により設定されるエンジンの回転数であり、暖機運転時等には通常運転時に比べて高値に設定される。又、前記設定上限回転数(ENG_GN)を目標アイドル回転数(TRGET_IDLE)よりも高くする程度(Xの値)は、エンジンの特性等に基づき適宜決定する事ができる(チューニング値)。このチューニング値Xの値は、例えばエンジン回転数が目標アイドル回転数に収束する過程で通過する、前記エンジンの始動直後の高回転状態から比較的短時間経過した状態で達する、前記目標アイドル回転数よりも少し高い程度の回転数に見合う値を設定できる。本例の場合には、X=400min-1に設定し、前記エンジン1の回転数が、目標アイドル回転数+400min-1よりも低いか否かを判定する。この判定は、入力側回転センサ9(エンジン1のクランクシャフトの回転がそのまま入力軸3並びに入力側ディスク6に伝達される場合)、或いは、運転席のタコメータにエンジンの回転数(回転速度)を表示させる為の信号に基づいて行う。そして、前記エンジン1の回転数が目標アイドル回転数+400min-1よりも低くない限り、次のステップ5には進まずに、後述するステップ9に進む。この様な判定を行うステップ4では、上述したステップ3では学習制御の対象から除外する事のできない、アクセル開度が0%であるにも拘らず、前記エンジン1の回転数が変化(低下)する様な、アクセルペダルが開放された直後の状態等を学習制御の対象から除外する。
前記ステップ4で、前記エンジン1の回転数が設定上限回転数よりも低いと判定した場合には、ステップ5に進む。このステップ5では、前記エンジン1の回転数が、前記制御器11により設定される目標アイドル回転数よりも低い値に設定された、設定下限回転数(ENG_ON)よりも高いか否かを判定する。この設定下限回転数は、エンジンの特性等に基づき適宜決定する事ができ(チューニング値であり)、例えば目標アイドル回転数の約50〜70%程度の回転数を設定できる。本例の場合には、前記設定下限回転数を500min-1に設定し、前記エンジン1の回転数が、500min-1よりも高いか否かを判定する。この判定に関しても、上述したステップ4の場合と同様に、前記入力側回転センサ9(エンジン1のクランクシャフトの回転がそのまま入力軸3並びに入力側ディスク6に伝達される場合)、或いは、運転席のタコメータにエンジンの回転数(回転速度)を表示させる為の信号に基づいて行う。そして、前記エンジン1の回転数が設定下限回転数である500min-1よりも高くない限り、次のステップ6には進まずに、後述するステップ9に進む。この様なステップ5では、単純に前記エンジン1の回転数が500min-1以下である場合を、ステップ位置に関する学習制御の対象から除外する。但し、前記イグニッションスイッチ33がオフに操作された後は、後述するステップ6によって学習制御の対象から除外する為、ステップ5では、前記イグニッションスイッチ33がオンの状態で、前記エンジン1の回転数が500min-1以下である場合を学習制御の対象から除外する。この為、エンジン回転数と設定下限回転数(ENG_ON)との関係を示した図4から明らかな様に、ステップ5では、前記イグニッションスイッチ33がオンに操作されスタータが稼動し始めてから、前記エンジン1の回転数が500min-1に達するまでの間(図4中の範囲A)を、ステップ位置に関する学習制御の対象から除外する。尚、前記イグニッションスイッチ33がオフに操作されてから所定時間経過後に、前記エンジン1の回転数が500min-1になってから0になるまでの間(図4中の範囲B)は、形式的にはステップ5によっても学習制御の対象から除外できるが、後述するステップ6により、前記イグニッションスイッチ33がオフされた直後に(回転数が500min-1にまで低下する以前の状態で)学習制御の対象から除外される為、ステップ5によって除外する事はない。
前記ステップ5で、前記エンジン1の回転数が設定下限回転数よりも高いと判定した場合には、ステップ6に進む。このステップ6では、前記制御器11により、前記イグニッションスイッチ33がオンの状態にあるか否かを判定する。そして、オンの状態にある場合には、次のステップ7に進む。これに対して、オフの状態にある場合には、次のステップ7には進まずに、後述するステップ9に進む。この様な判定を行うステップ6では、前記図4から明らかな様に、前記イグニッションスイッチ33がオフに操作された直後から、次にこのイグニッションスイッチ33がオンに操作されるまでの間(図4中の範囲C)を、学習制御の対象から除外する。尚、イグニッションスイッチ33のオン/オフ状態の判定は、このイグニッションスイッチ33からの信号を前記制御器11に直接入力して、この制御器11により直接判定しても良いし、エンジンコントローラからの信号を利用して判定しても良い。
続くステップ7では、前記アクチュエータ19の油圧室22a、22b同士の間の差圧ΔPが、所定の範囲内(P_GN_LOW<ΔP<P_GN_HIGH)にあるか否かを判定する。この判定は、前記両油圧室22a、22b内の油圧を検出する、油圧センサ23(油圧センサ23a、23b)からの信号に基づいて行う。即ち、図5に示す様に、先ずステップ7−1でこの信号から求めた差圧ΔPが、予め計算や実験等に求めておいた、設定下限差圧(P_GN_LOW)よりも大きいか否かを判定する。本例の場合、P_GN_LOW=−0.1[MPa]に設定し、前記差圧ΔPが−0.1[MPa]よりも大きいか否かを判定する。そして、この差圧ΔPが−0.1[MPa]以下である場合には、次のステップ7−2には進まずに、後述するステップ9に進む。この様な判定を行うステップ7−1では、前記トロイダル型無段変速機4のケーシング内の温度が低く、潤滑油の撹拌抵抗が増大する等によって、前記出力側ディスク8から前記入力側ディスク6に入力されるトルクが大きくなっている状態を学習制御の対象から除外する。
続くステップ7−2では、前記差圧ΔPが、予め計算や実験等に求めておいた、設定上限差圧(P_GN_HIGH)よりも小さいか否かを判定する。本例の場合、P_GN_HIGH=0.1[MPa]に設定し、前記差圧ΔPが0.1[MPa]よりも小さいか否かを判定する。そして、この差圧ΔPが0.1[MPa]以上である場合には、次のステップ8に進まずに、後述するステップ9に進む。この様な判定を行うステップ7−2では、前記ケーシング内の温度が低く、潤滑油の撹拌抵抗が増大する等によって、前記入力側ディスク6から前記出力側ディスク8に入力されるトルクが大きくなっている状態を学習制御の対象から除外する。
上述の様なステップ7で、前記差圧ΔPが所定の範囲内にある(|ΔP|<0.1[MPa])と判定された場合には、続くステップ8で、変速比無限大の状態を実現する為のステップ位置に関する学習制御を許可し実行する。具体的には、前記ステッピングモータ24を駆動する事により、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を、学習制御の目標変速比±α(閾値)の範囲に調節する。そして、この状態での前記ステッピングモータ24のステップ位置(GN_SMP)を、変速比無限大状態を得られる基準位置として学習し、前記制御器11中のメモリに記憶する。
前記出力軸14の回転速度を0にする変速比(ギヤードニュートラル変速比)eは、前記遊星歯車式変速機12を構成する各歯車の変速比により計算によって求められ、例えば1.306前後の値になる。本例の場合、この様なギヤードニュートラル変速比eを前記差圧ΔPに基づいて補正した値を、ステップ位置の学習制御の為の目標変速比eとしている。
即ち、ステップ位置に関する学習が許可されると、図4のステップ8−1に示す様に、前記ギヤードニュートラル変速比eを、下記の表1に基づいて、前記差圧ΔPの値により補正する。
Figure 0005783021
例えばギヤードニュートラル変速比eが1.306であり、前記両油圧室22a、22b同士の間の差圧ΔPが−0.06[MPa]である場合、目標変速比eは1.312となる。上述の様な表1は、予め計算や実験により求めて、前記制御器11内のメモリにマップとして記憶させておく。
そして、続くステップ8−2で、閾値として±0.01を設定し、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が目標変速比e±0.01の範囲となる様に、前記ステッピングモータ24のステップ位置を調節する。そして、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が目標変速比e±0.01の範囲に入った状態での前記ステッピングモータ24のステップ位置を、変速比制御の基準値として学習する。即ち、学習制御が実行されている間は、前記ステッピングモータ24の現在のステップ位置を表すREAL_SMPを、基準値を表す0に固定し(REAL_SMP=0)、現在のステップ位置(REAL_SMP)が変速比無限大の状態を得られる基準値であると仮定して扱う。この為、前記ステッピングモータ24の出力ロッドのストローク位置を測定する為の位置センサ等を設ける必要はない。
前記トロイダル型無段変速機4の変速比を実際に調節する作業は、前記入力側回転センサ9及び前記出力側回転センサ10の検出信号(入力側ディスク6の回転速度NID、出力側ディスク8の回転速度NOD)を観察しつつ(制御器11が有する第二の機能に基づき算出されるトロイダル型無段変速機4の変速比を観察しつつ)、前記ステッピングモータ24の出力ロッドを変位させる事で行う。そして、この出力ロッドを変位させるべく、このステッピングモータ24を駆動した方向と関連させつつ、このステッピングモータ24のステップ数をカウントする。例えば、このステッピングモータ24をLow側に1ステップ分だけ駆動した場合には、学習中のステッピングモータ24のステップ位置(ステップ数)を表す値(GN_SMP、初期値0)を、1ステップ分だけカウントアップする(GN_SMP=GN_SMP+1)。これに対して、High側に1ステップ駆動した場合には、学習中のステッピングモータ24のステップ位置を表す値を、1ステップ分だけカウントダウンする(GN_SMP=GN_SMP−1)。
そして、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が、目標変速比e±0.01の範囲内に調節されているか否かを判定すると共に、この範囲内に所定時間(例えば3秒間)収まっているか否かを判定する。そして、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が、目標変速比e±0.01の範囲内に調節されており、且つ、この範囲内に所定時間収まっていると判定された場合には、学習制御を完了する。又、前記範囲内に調節した時点での、前記ステッピングモータ24のステップ位置(GN_SMP)を、変速比無限大の状態を得られる基準位置として学習し、前記制御器11中のメモリに記憶する(GN_SMP=REAL_SMP=0)。そして、終了に進み、再度開始に戻る。
これに対して、前述した様な学習許可条件であるステップ1〜7が、運転者のシフトレバー操作或いはアクセルペダル操作、アクチュエータ19の油圧室22a、22b同士の間の差圧ΔP等に基づいて、何れか1つでも条件を満たさなくなった場合(例えばこの差圧ΔPが所定の範囲外の場合)には、ステップ9に進み、変速比無限大の状態を実現する為のステップ位置に関する学習制御を禁止(中止)する。そして、終了に進み、開始に戻る。
以上の様な構成を有し、上述の様に動作する本例の無段変速装置によれば、前記アクチュエータ19の油圧室22a、22b同士の間の差圧ΔPが所定の範囲外にある(|ΔP|>0.1[MPa])場合を、前記トロイダル型無段変速機4の変速比制御の基準となるステッピングモータ24のステップ位置に関する学習制御の対象から除外できる。従って、前記ケーシング内の温度が低い為に、前記トロイダル型無段変速機4を潤滑する潤滑油の撹拌抵抗が増大する等して、このトロイダル型無段変速機4を通過するトルクが0若しくは0の近傍にない場合を、学習制御の対象から除外できるので、ステップ位置に関する学習値の信頼性をより向上できる。
又、本例の場合、前記ギヤードニュートラル変速比eを、前記差圧ΔPに基づいて補正した値eを学習制御の目標値としている。この為、前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが0でなくなる原因が解消した(前記ケーシング内の温度が常温となり、潤滑油の撹拌抵抗が小さくなる等した)場合に、前記ステッピングモータ24のステップ位置が前記出力軸14を停止させるのに適正な位置から外れてしまうのをより確実に防止できる。尚、通過トルクが0でなくなる原因が解消されないまま(前記ケーシング内の温度が低い状態のまま)変速比制御が開始された場合には、変速フィーリングを多少(シフトレバーの選択位置と逆方向に車両が動き出したりする事のない程度)悪化させる事で、運転者に注意を促す事ができる。そして、変速比制御実行中に前記通過トルクが0でなくなる原因が解消されれば(前記ケーシング内の温度が上昇すれば)、前記補正した値eにより学習したステッピングモータ24のステップ位置が、前記出力軸14を停止させるのに適正な位置となる。
又、本例によれば、学習機会を必要以上に失う事なく、前記ステップ位置に関する学習中に前記イグニッションスイッチ33がオフに操作された場合にも、学習値の信頼性を確保できる。
即ち、本例の場合には、ステップ6で、図4に範囲Dで示した、エンジン回転数が設定下限回転数(ENG_ON)以上である場合を含めて、前記イグニッションスイッチ33をオフに操作した直後から前記エンジン1の回転数が0になるまでの回転数の低下している状態(回転数が不安定な状態)を、ステップ位置に関する学習制御の対象から除外できる。この為、得られる学習値が前記出力軸14を停止させるのに不適正となる事を有効に防止できる(誤学習する事を防止できる)。しかも、本例の場合には、前記エンジン1の回転数が低下し始める契機となる前記イグニッションスイッチ33のオフ操作に伴って学習を禁止する為、暖機運転時のアイドリング時の如く、前記エンジン1の回転数が比較的安定して変化(低下)する状態を、学習制御の対象から除外する事もない。従って、本例によれば、学習機会を必要以上に失う事なく、前記ステッピングモータ24のステップ位置に関する学習値の信頼性を確保できる。
更に、本例の場合には、ステップ5で、前記イグニッションスイッチ33がオンに操作されスタータが稼動し始めてから、前記エンジン1の回転数が設定下限回転数(500min-1)に達するまで上昇している間(図4中の範囲A)を、ステップ位置に関する学習制御の対象から除外できる。従って、エンジン回転数が低下している場合と同様に、前記入力側ディスク6と前記出力側ディスク8との間で回転速度の変化(上昇)の程度が不一致になる可能性のある、前記エンジン1の回転数が上昇している場合を、学習制御の対象から除外できる為、ステップ位置に関する学習値の信頼性をより向上できる。
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 押圧装置
6 入力側ディスク
7 パワーローラ
8 出力側ディスク
9 入力側回転センサ
10 出力側回転センサ
11 制御器
12 遊星歯車式変速機
13 クラッチ装置
14 出力軸
15 低速用クラッチ
16 高速用クラッチ
17 出力軸回転センサ
18 オイルポンプ
19 アクチュエータ
20 制御弁装置
21 制御弁
22a、22b 油圧室
23、23a〜23d 油圧センサ
24 ステッピングモータ
25 ローディング圧制御用電磁開閉弁
26 モード切換制御用電磁開閉弁
27 低速用クラッチ用電磁弁
28 高速用クラッチ用電磁弁
29 油温センサ
30 ポジションスイッチ
31 アクセルセンサ
32 ブレーキスイッチ
33 イグニッションスイッチ
34 手動油圧切換弁
35 油溜
36a、36b 調整弁

Claims (2)

  1. 入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動ユニットと、このトロイダル型無段変速機の変速比の変更を制御する為の制御器とを備え、
    このトロイダル型無段変速機は、前記差動ユニットの第一の入力部と共に前記入力軸により回転駆動される入力側ディスクと、この入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在として支持され、前記差動ユニットの第二の入力部に接続された出力側ディスクと、これら両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した複数個の支持部材と、これら各支持部材を変位させて前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間の変速比を変えるアクチュエータと、この変速比を所望値にする為にこのアクチュエータの変位方向及び変位量を制御する為の制御ユニットとを備えたものであり、
    前記差動ユニットは、前記第一、第二の入力部同士の間の速度差に応じた回転を取り出して前記出力軸に伝達するものであり、
    前記制御器は、
    前記トロイダル型無段変速機の変速比を調節して前記差動ユニットを構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事により、前記入力軸を一方向に回転させた状態のまま前記出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換する第一の機能と、
    前記トロイダル型無段変速機の変速比を算出する第二の機能と、
    所定の学習許可条件が満たされているのを条件に、前記出力軸の回転速度が0となる状態に、前記トロイダル型無段変速機の変速比を調節し、この状態での前記制御ユニットを構成する調整部材の位置を、前記入力軸を回転させたまま前記出力軸を停止させられる位置として学習し記憶する、学習制御を行う第三の機能とを有するものである
    無段変速装置に於いて、
    前記第三の機能による学習制御を実行する為の学習許可条件に、前記アクチュエータに設けた1対の油圧室同士の間の差圧が0若しくは0の近傍である事を含む事を特徴とする無段変速装置。
  2. 前記第三の機能による学習制御の目標値を、前記差圧に基づいて補正する、請求項1に記載した無段変速装置。
JP2011266399A 2011-12-06 2011-12-06 無段変速装置 Expired - Fee Related JP5783021B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011266399A JP5783021B2 (ja) 2011-12-06 2011-12-06 無段変速装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011266399A JP5783021B2 (ja) 2011-12-06 2011-12-06 無段変速装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013119862A JP2013119862A (ja) 2013-06-17
JP5783021B2 true JP5783021B2 (ja) 2015-09-24

Family

ID=48772606

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011266399A Expired - Fee Related JP5783021B2 (ja) 2011-12-06 2011-12-06 無段変速装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5783021B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001317601A (ja) * 2000-05-09 2001-11-16 Nsk Ltd トロイダル型無段変速機
JP4151300B2 (ja) * 2002-04-12 2008-09-17 日本精工株式会社 無段変速装置
JP4378991B2 (ja) * 2003-04-10 2009-12-09 日本精工株式会社 無段変速装置
JP4273927B2 (ja) * 2003-10-29 2009-06-03 日本精工株式会社 無段変速装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013119862A (ja) 2013-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5560349B2 (ja) 無段変速装置
JP4378991B2 (ja) 無段変速装置
JP5560350B2 (ja) 無段変速装置
JP2010065731A (ja) 自動クラッチの学習制御装置
JP4548024B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5783021B2 (ja) 無段変速装置
CN106677948A (zh) 车辆控制系统
JP5720268B2 (ja) 無段変速装置
JP5659026B2 (ja) 無段変速装置
JP5290265B2 (ja) 無段変速装置
JP2004218671A (ja) 自動クラッチ機構の制御装置
JP3840079B2 (ja) トロイダル型無段変速機のスリップ防止装置
JP2015064046A (ja) 無段変速装置
JP4273927B2 (ja) 無段変速装置
JP2016114197A (ja) 無段変速装置
JP2010107006A (ja) 車両の制御装置および制御方法
JP4940589B2 (ja) 無段変速装置
JP6384249B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4534596B2 (ja) 無段変速装置
JP4534614B2 (ja) 無段変速装置
JP2791341B2 (ja) 車両用自動クラッチ制御装置
JP4379065B2 (ja) 無段変速装置
JP5732847B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5682359B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP2005127456A (ja) 無段変速装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150623

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150706

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5783021

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees