JP2015064046A - 無段変速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを通過する動力の伝達状態を切り換えるモード切換時にも、変速ショックが生じる事を防止できる無段変速装置を実現する。【解決手段】制御器が有する第三の機能(GN学習制御)により、車両が非走行状態である等の所定の学習許可条件が満たされている事を条件に、変速比無限大の状態を実現できるトロイダル型無段変速機の変速比を得られるステッピングモータの基準ステップ位置を学習すると共に、制御器が有する第四の機能(MC学習制御)により、モード切換ポイントに対応するステッピングモータのステップ位置を、基準ステップ位置からのステップ数として学習する。【選択図】図5

Description

この発明は、例えば車両(自動車)用自動変速装置、建設機械(建機)用自動変速装置、航空機(固定翼機、回転翼機、飛行船等)等で使用されるジェネレータ(発電機)用の自動変速装置等として利用する、トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の改良に関する。
自動車用自動変速機として使用されるトロイダル型無段変速機が、特許文献1等の多くの刊行物に記載され、且つ、一部で実施されていて周知である。この様なトロイダル型無段変速機は、互いに対向する軸方向側面をトロイド曲面とした入力側ディスクと出力側ディスクとの間に複数個のパワーローラを挟持して成る。運転時には、この入力側ディスクの回転が、これら各パワーローラを介して前記出力側ディスクに伝達される。これら各パワーローラは、それぞれトラニオン等の支持部材に回転自在に支持されており、これら各支持部材は、それぞれ前記両ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を可能に支持されている。前記両ディスク同士の間の変速比を変える場合は、油圧式のアクチュエータにより前記各支持部材を前記枢軸の軸方向に変位させる。この様なアクチュエータへの圧油の給排は、制御弁により制御すると共に、前記各支持部材のうちの少なくとも1個の支持部材の動きをこの制御弁にフィードバックする様に構成している。
前記アクチュエータに設けた1対の油圧室への圧油の給排に基づき、前記各支持部材を前記枢軸の軸方向に変位させると、前記各パワーローラの周面と前記入力側、出力側各ディスクの側面との転がり接触部(トラクション部)に作用する、接線方向の力の向きが変化(転がり接触部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って前記各支持部材が前記枢軸を中心に揺動(傾斜)し、前記各パワーローラの周面と前記入力側、出力側各ディスクの側面との接触位置が変化する。これら各パワーローラの周面を、前記入力側ディスクの側面の径方向外寄り部分と、前記出力側ディスクの側面の径方向内寄り部分とに転がり接触させれば、前記両ディスク同士の間の変速比が増速側になる。これに対して、前記各パワーローラの周面を、前記入力側ディスクの側面の径方向内寄り部分と、前記出力側ディスクの側面の径方向外寄り部分とに転がり接触させれば、前記両ディスク同士の間の変速比が減速側になる。
又、上述の様なトロイダル型無段変速機を実際の自動車用自動変速機に組み込む場合、クラッチ装置を介して遊星歯車機構等の歯車式の差動ユニットと組み合わせ、低速モードと高速モードとを有する無段変速装置を構成する事が、従来から提案されている。例えば特許文献2には、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態(所謂ギヤードニュートラル状態)を挟んで正転、逆転に切り換えられる無段変速装置が記載されている。この様な無段変速装置の場合、低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比が無限大に変化する。即ち、トロイダル型無段変速機の変速比を調節する事により、入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換可能となる。この様な、所謂無限大の変速比を実現できる無段変速装置の場合、トロイダル型無段変速機の変速比に関して、前記出力軸の停止状態を実現できる値(ギヤードニュートラルポイント、GN値)の近傍では、前記トロイダル型無段変速機の変速比が僅かに変化しただけでも、前記出力軸に伝わる動力の状態が大きく変化する。この為、トロイダル型無段変速機の変速比制御を高精度で行う必要がある。
例えば車両を停止させた状態で、シフトレバーをPレンジ(パーキング位置)やNレンジ(ニュートラル位置)等の非走行状態から、Dレンジ(通常前進位置)、Lレンジ(高駆動前進位置)やRレンジ(後退位置)等の走行状態に切り換える場合、素早く前方或いは後方への適切な駆動力を生じさせつつ、ブレーキペダルの操作に基づく制動力により車両の停止状態を維持する必要がある。この為、シフトレバーが非走行状態に選択されている状態で、トロイダル型無段変速機の変速比を、変速比無限大の状態を実現できる値(範囲)に厳密に制御しておく必要がある。仮に、トロイダル型無段変速機の変速比が、変速比無限大の状態を実現できる値から大きくずれている場合には、シフトレバーが走行状態に選択された場合に、予想以上の駆動力(クリープ力)が伝達され、車両が動き出したり、運転者の意図とは逆方向の駆動力が伝達される可能性がある。
又、トロイダル型無段変速機に組み込まれる部品数は多く、しかも、そのうちの多くの部品の寸法精度及び組み付け精度が、トロイダル型無段変速機の変速比に影響を及ぼす。即ち、パワーローラを支持する支持部材を枢軸の軸方向に変位させる為のアクチュエータの操作量を同じとした場合でも、トロイダル型無段変速機で実現される変速比に個体差が生じる事は、或る程度避けられない。従って、変速比無限大の状態を実現できるトロイダル型無段変速機の変速比を調節する為の調整部材の位置(例えばステッピングモータのステップ位置)にも個体差が生じる事が考えられる。又、ステッピングモータのステップ位置の調節によるトロイダル型無段変速機の変速比制御は、長期間に亙る使用による構成部品の経時変化(僅かな塑性変形)等により、その特性が変化する事も考えられる。
この様な事情に鑑みて、例えば特許文献3には、シフトレバーが非走行状態に選択されている事を条件に、変速比無限大の状態を実現できるトロイダル型無段変速機の変速比を実現する、ステッピングモータのステップ位置を学習する(制御器に第三の機能を備えた)発明が記載されている。具体的には、シフトレバーが非走行状態に選択されている事を条件に、トロイダル型無段変速機を構成する入力側ディスクの回転速度と、出力側ディスクの回転速度とを、それぞれ回転センサにより検出する。そして、これら各ディスクの回転速度から求められる実際の変速比(入力側ディスクの回転速度/出力側ディスクの回転速度)と、遊星歯車式変速機の変速比とに基づいて、非走行状態時の出力軸の回転速度を求める。そして、この出力軸の回転速度を0にすべく、ステッピングモータのステップ位置を調整する事で、トロイダル型無段変速機の変速比を調節する。そして、前記出力軸の回転速度が0になった状態でのステップ位置を学習し、制御器のメモリに記憶する(学習制御を完了する)。そして、調整されたステップ位置(学習値)を基準に、トロイダル型無段変速機の変速比制御を行う。従って、この様な特許文献3に記載された発明によれば、トロイダル型無段変速機の構成部品の個体差や経時変化等に関係なく、変速比制御を高精度に行う事が可能になる。
但し、上述した様な特許文献3に記載された発明の場合にも、複数の運転モード(例えば低速モードと高速モード)間でモード切換を滑らかに行う面からは、未だ改良の余地がある。即ち、上述した様に、変速比無限大の状態を実現できるトロイダル型無段変速機の変速比に対応する、ステッピングモータのステップ位置(基準ステップ位置)を学習した場合にも、トロイダル型無段変速機の変速比をモード切換を行うべき値であるモード切換ポイント(MC点、本発明の実施の形態の第1例を示す図3のイ点参照)に調節するのに必要な、前記基準ステップ位置からのステップ数が経時変化等により変化する可能性がある。この為、トロイダル型無段変速機の変速比が、モード切換ポイントからずれた状態で、クラッチ装置の断接状態が切り換えられ、モード切換が行われる可能性がある。そして、この場合には、変速ショックを生じ、自動車の乗員に不快感を与える可能性がある。
又、特許文献3に記載された発明の場合には、上述した様に、1対の回転センサを利用して、入力側ディスク及び出力側ディスクのそれぞれの回転速度を求める事で、トロイダル型無段変速機の変速比を求めている。そして、この様にして求めた変速比を利用して、トロイダル型無段変速機の変速比制御を行っている。この為、前記各回転センサのうちの何れかに、誤作動が生じたり、故障が発生したりした場合には、トロイダル型無段変速機の変速比制御を所望通りに行う事が難しくなる。
特開2001−317601号公報 特開2003−307266号公報 特開2004−308853号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、トロイダル型無段変速機と差動ユニットとを通過する動力の伝達状態を切り換えるモード切換時にも、変速ショックが生じる事を防止できる無段変速装置を実現すべく発明したものである。
又、必要に応じて、入力側、出力側各ディスクの回転速度を測定する為の回転センサに異常が発生した場合にも、トロイダル型無段変速機の変速比制御を高精度に行える構造を実現するものである。
本発明の無段変速装置は、入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動ユニットと、これらトロイダル型無段変速機と差動ユニットとの動力の伝達状態を切り換えるクラッチ装置と、このクラッチ装置の断接状態を切り換えると共に、前記トロイダル型無段変速機の変速比の変更を制御する為の制御器とを備える。
このうちのトロイダル型無段変速機は、入力側ディスクと、出力側ディスクと、複数個のパワーローラと、複数個の支持部材と、アクチュエータと、制御ユニットと、入力側回転センサと、出力側回転センサとを備える。
このうちの入力側ディスクは、前記差動ユニットの第一の入力部と共に前記入力軸により回転駆動される。
又、前記出力側ディスクは、前記入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在として支持されおり、前記差動ユニットの第二の入力部に接続されている。
又、前記各パワーローラは、前記両ディスク同士の間に挟持されている。
又、前記各支持部材(例えばトラニオン)は、前記各パワーローラを回転自在に支持している。
又、前記アクチュエータは、例えば油圧式のもので、圧油の給排状態に基づいて、前記各支持部材を変位させ、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間の変速比を変える。
又、前記制御ユニットは、前記変速比を所望値にする為に、前記アクチュエータの変位方向及び変位量を制御するものであり、後述する調整部材の他、例えばローディング圧制御用の電磁弁、モード切換制御用の電磁弁、及び、これらにより作動状態を切り換えられる制御弁装置等から構成される。
又、前記入力側回転センサは、前記入力側ディスクの回転速度を検出するものであり、前記出力側回転センサは、前記出力側ディスクの回転速度を検出するものである。
又、前記差動ユニットは、前記第一、第二の入力部同士の間の速度差に応じた回転を取り出して前記出力軸に伝達するもので、例えば遊星歯車式変速機が相当する。
又、前記クラッチ装置は、例えば、減速比を大きくする低速モードを実現する際に接続されて、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、高速モードを実現する際に接続されて、低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチとを備える。
又、前記制御器は、次の第一〜第三の機能を有する。
第一の機能は、前記トロイダル型無段変速機の変速比を調節して前記差動ユニットを構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事により、前記入力軸を一方向に回転させた状態のまま前記出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで、正転及び逆転に変換する機能である。
第二の機能は、前記入力側回転センサにより求められる前記入力側ディスクの回転速度及び前記出力側回転センサにより求められる前記出力側ディスクの回転速度と、前記差動ユニットの変速比とに基づいて、前記出力軸の回転速度を算出する機能である。
第三の機能は、所定の学習許可条件が満たされている事を条件に、前記第二の機能に基づいて算出される前記出力軸の回転速度が0(ゼロ)となる状態に、前記トロイダル型無段変速機の変速比(実測比)を調節し、この状態での前記制御ユニットを構成する調整部材の位置(例えばステッピングモータのステップ位置)を、前記入力軸を回転させたまま前記出力軸を停止させられる基準位置として学習し記憶する、学習制御(GN学習制御)を行う機能である。
特に本発明の無段変速装置の場合には、前記制御器が、上述した第一〜第三の機能に加えて、次の第四の機能を有する。
即ち、この第四の機能として、前記所定の学習許可条件が満たされている事を条件に、前記トロイダル型無段変速機の変速比を、ギヤードニュートラルポイント(GN変速比)から、このトロイダル型無段変速機と前記差動ユニットとを通過する動力の伝達状態を切り換える為のモード切換ポイント(MC点、回転同期点、例えば最大減速状態)に向けて調節し、前記第三の機能により学習した基準位置からの前記調整部材の移動量(ステップ数、ステッピングモータの駆動量)を学習し記憶する、学習制御(MC学習制御)を行う機能を有する。
本発明を実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記トロイダル型無段変速機に、前記パワーローラの傾転量(傾転角、揺動角)を測定する為の傾転角センサを設ける。尚、傾転角センサには、支持部材の傾転量を測定する事で、間接的にパワーローラの傾転量を測定するものも含む。
又、前記制御器に、フェールセーフを確保する為の次の第五の機能を持たせる。
即ち、この制御器に、前記第三の機能に基づき、前記トロイダル型無段変速機の変速比を前記入力軸を回転させたまま前記出力軸を停止させられる値(ギヤードニュートラルポイント)に調節した状態での、前記パワーローラの傾転量を学習し記憶すると共に、前記第四の機能に基づき、前記トロイダル型無段変速機の変速比を前記モード切換ポイントに調節した状態での、前記パワーローラの傾転量を学習し記憶する。そして、前記入力側回転センサと前記出力側回転センサとの少なくとも一方の回転センサに、誤作動や故障等の異常が発生した場合に、前記傾転角センサの測定値を利用して、前記トロイダル型無段変速機の変速比制御を行う機能(第五の機能)を持たせる。
上述の様な構成を有する本発明の無段変速装置によれば、トロイダル型無段変速機と差動ユニットとを通過する動力の伝達状態を切り換えるモード切換時に、変速ショックが生じる事を有効に防止できる。
即ち、本発明の場合には、制御器が有する第四の機能により、モード切換ポイントに対応する調整部材の位置を、第三の機能に基づき学習した基準位置(ギヤードニュートラルポイントに対応する調整部材の位置)からの移動量として学習し記憶する事ができる。この為、トロイダル型無段変速機の変速比をモード切換ポイントに調節する為の調整部材の位置に関する信頼性(精度)を向上させる事ができる。従って、経時変化等に拘わらず、トロイダル型無段変速機の変速比がモード切換ポイントからずれた状態で、クラッチ装置の断接状態の切り換えが行われ、モード切換が行われる事を有効に防止できる。この結果、モード切換時に、変速ショックが生じる事を有効に防止できる。
又、請求項2に記載した発明によれば、入力側回転センサと出力側回転センサとの少なくとも一方の回転センサに、例えば誤作動や故障等の異常が発生した場合に、傾転角センサの測定値を利用した変速比制御を行える。従って、前記各回転センサに異常が発生した場合にも、フェールセーフを確保できて、トロイダル型無段変速機の変速比制御を高精度に行う事が可能になる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、無段変速装置のブロック図。 同じく無段変速装置に組み込むトロイダル型無段変速機の変速比を調節する為の機構を示す油圧回路図。 同じく無段変速装置全体としての速度比とトロイダル型無段変速機の変速比との関係を示す線図。 同じく本例の動作を示すフローチャート。 同じく図4中のステップ5で行う動作(学習制御)を詳しく示すフローチャート。 本発明の実施の形態の第2例を示す、無段変速装置のブロック図。 同じく本例の動作を示すフローチャート。 同じく図7中のステップ5aで行う動作(学習制御)を詳しく示すフローチャート。
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、制御器11が備える第四の機能にあり、モード切換ポイントに対応するステッピングモータ24のステップ位置を、第三の機能に基づき学習した基準ステップ位置からのステップ数として学習する点にある。前記制御器11が備える第一、第二の機能に就いては、前述した特許文献3等に記載されており、従来から知られているものと共通するから、ここでは説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の無段変速装置の全体構成及び特徴部分に就いて説明する。
先ず、図1のブロック図により、本例の無段変速装置に就いて説明する。この図1中、太矢印は動力の伝達経路を、実線は油圧回路を、破線は電気回路を、それぞれ示している。エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、トロイダル型無段変速機4を構成する油圧式の押圧装置5から入力側ディスク6に伝達され、更にパワーローラ7を介して出力側ディスク8に伝達される。これら両ディスク6、8のうち、入力側ディスク6の回転速度は入力側回転センサ9により、出力側ディスク8の回転速度は出力側回転センサ10により、それぞれ測定して、前記制御器11に入力し、前記両ディスク6、8間の(トロイダル型無段変速機4の)変速比を算出する。
又、前記入力軸3に伝達された動力は、直接又は前記トロイダル型無段変速機4を介して、差動ユニットである遊星歯車式変速機12に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機12の構成部材の差動成分が、クラッチ装置13を介して出力軸14に取り出される。このクラッチ装置13は、前記トロイダル型無段変速機4と前記遊星歯車式変速機12との動力の伝達状態を切り換えるもので、後述する図2に示した低速用クラッチ15及び高速用クラッチ16を表すものである。又、本例の場合には、出力軸回転センサ17により、前記出力軸14の回転速度を検出して、前記入力側回転センサ9及び前記出力側回転センサ10の故障の有無を判定する為のフェールセーフを可能としている。
一方、前記ダンパ2部分から取り出した動力によりオイルポンプ18を駆動し、このオイルポンプ18から吐出した圧油を、前記押圧装置5と、制御弁装置20とに、送り込み自在としている。このうちの制御弁装置20は、前記パワーローラ7を支持した支持部材であるトラニオンを枢軸(図示省略)の軸方向に変位させる為のアクチュエータ19(図2参照)の変位量を制御するものである。又、前記制御弁装置20を構成する制御弁21(図2参照)は、前記アクチュエータ19への油圧の給排を制御するものである。又、このアクチュエータ19に設けた1対の油圧室22a、22b(図2参照)内の油圧を、油圧センサ23(図2に示す1対の油圧センサ23a、23b)により検出して、その検出信号を前記制御器11に入力している。この制御器11は、前記油圧センサ23(油圧センサ23a、23b)からの信号に基づいて、前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)を算出する。
又、前記制御弁装置20は、調整部材であるステッピングモータ24と、ローディング圧制御用電磁開閉弁25と、モード切換制御用電磁開閉弁26(図2に示す低速クラッチ用電磁弁27、高速クラッチ用電磁弁28)とにより、その作動状態を切り換えられる。そして、これらステッピングモータ24と、ローディング圧制御用電磁開閉弁25と、モード切換制御用電磁開閉弁26とは、何れも前記制御器11からの制御信号に基づいて切り換えられる。
又、前記制御器11には、前記各回転センサ9、10、17及び前記油圧センサ23からの信号の他、油温センサ29の検出信号と、ポジションスイッチ30の位置信号と、アクセルセンサ31の検出信号と、ブレーキスイッチ32の信号等とを入力している。このうちの油温センサ29は、無段変速装置を納めたケーシング内の潤滑油(トラクションオイル)の温度を検出するものである。又、前記ポジションスイッチ30は、後述する図2に記載した手動油圧切換弁33を切り換える為の、運転席に設けられたシフトレバー(操作レバー)の操作位置(選択位置)を表す信号を発するものである。又、前記アクセルセンサ31は、アクセルペダルの開度を検出する為のものである。更に、前記ブレーキスイッチ32は、ブレーキペダルが踏まれた事を検出して、その事を表す信号を発するものである。
又、前記制御器11は、前記各スイッチ30、32及び前記各センサ9、10、17、23、31からの信号に基づいて、前記ステッピングモータ24と、前記ローディング圧制御用電磁開閉弁25と、前記モード切換制御用電磁開閉弁26とに、前記制御信号を送る他、前記エンジン1を制御する為の制御信号を送る。そして、前記入力軸3と前記出力軸14との間の変速比を制御したり、或いは、停止時若しくは低速走行時に前記トロイダル型無段変速機4を通過して、前記出力軸14に加えられるトルク(通過トルク)を制御する。
図2は、上述の様な無段変速装置を制御する油圧回路を示している。この油圧回路では、油溜34から吸引されてオイルポンプ18により吐出された圧油を、調圧弁35a、35bで所定圧に調整可能としている。又、これら両調圧弁35a、35bのうち、手動油圧切換弁33側に送る圧油を調整する為の調圧弁35aによる調整圧を、ローディング圧制御用電磁開閉弁25の開閉に基づいて調節可能としている。そして、前記両調圧弁35a、35bにより圧力を調整された圧油を、制御弁21を介してアクチュエータ19に送り込み可能としている。
又、この圧油は、前記手動油圧切換弁33と、低速クラッチ用電磁弁27又は高速クラッチ用電磁弁28とを介して、低速用クラッチ15又は高速用クラッチ16の油圧室内に送り込み可能としている。このうちの低速用クラッチ15は、減速比を大きくする(変速比無限大を含む)低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、前記高速用クラッチ16は、低速モードを実現する際に接続を断たれると共に高速モードを実現する際に接続される。又、前記低速用クラッチ15及び前記高速用クラッチ16への圧油の給排状態は、油圧センサ23c、23dによりそれぞれ検出して、検出信号を前記制御器11に入力している。
図3は、トロイダル型無段変速機4の変速比と無段変速装置全体としての速度比との関係の1例を示している。例えば、前記低速用クラッチ15が接続され、前記高速用クラッチ16の接続が断たれた低速モードでは、実線αで示す様に、トロイダル型無段変速機4の変速比を、ギヤードニュートラルポイント(GN値)から減速する程、無段変速装置全体としての速度比を停止状態(速度比0の状態)から前進方向(+:正転方向)に増速させられる。又、同じくギヤードニュートラルポイントから増速する程、同じく停止状態から後退方向(−:逆転方向)に増速させられる。一方、前記高速用クラッチ16が接続され、前記低速用クラッチ15の接続が断たれた高速モードでは、実線βで示す様に、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を増速する程、前記無段変速装置全体としての速度比を(前進方向に)増速させられる。
尚、一般的には、「変速比」は減速比であり、「速度比」は増速比であり、「変速比」の逆数が「速度比」となる(「速度比」=1/「変速比」)。但し、本明細書及び特許請求の範囲では、トロイダル型無段変速機に関する入力側と出力側との間の比に就いて「変速比」の用語を用い、無段変速装置全体に関する入力側と出力側との間の比に就いて「速度比」の用語を用いている。従って、本明細書及び特許請求の範囲では、「変速比」が減速比に、「速度比」が増速比に、必ずしも対応するものではない。
上述した様な本例の無段変速装置を組み込んだ車両では、アクセルペダルの操作(アクセル開度)や車両の走行速度(車速)から得られる、その時点での車両の走行状態(運転状況)に基づいて、前記制御器11により、前記無段変速装置の最適な速度比(目標速度比)を求める。そして、この目標速度比を実現すべく、前記制御器11の制御信号に基づいて前記ステッピングモータ24を駆動する事により、トロイダル型無段変速機4の変速比を、前記目標速度比に対応する目標変速比に調節する。又、これと共に、必要に応じて(無段変速装置の目標速度比に応じて)モード切換制御用電磁開閉弁26を切り換える事により、前記低速用、高速用各クラッチ15、16の断接状態を切り換え、必要な走行モード(低速モード或いは高速モード)を選択する。これらにより、前記無段変速装置の速度比を、その時点での車両の走行状態に応じた最適な値(目標速度比)に調節する。
この様な本例の場合には、低速モードと高速モードとのモード切換を、次の様に行う。即ち、このモード切換は、その時点での走行状態(に対応する目標速度比)に応じて調節される無段変速装置の速度比を、低速モードと高速モードとの両方のモードで実現できる値{図3で低速モードを表す実線αと高速モードを表す実線βとの交点イに対応する値(増速比で0.458程度)}に調節した状態で行う。この場合に、トロイダル型無段変速機4から見れば、前記モード切換は、その時点での走行状態(に対応する目標変速比)に応じて調節されるこのトロイダル型無段変速機4の変速比が、前記交点イに対応する値であるモード切換ポイント{回転同期点、増速比で0.458程度(最大減速状態)}に調節された状態で行われる。
例えば、低速モードで走行中であれば、その時点での走行状態(に対応する目標変速比)に応じて前記トロイダル型無段変速機4の変速比を減速し(無段変速装置の速度比を増速し)、モード切換ポイント(例えば増速比で0.458程度)に達した状態で、前記制御器11の制御信号に基づいて、低速用、高速用各クラッチ15、16の断接状態の切り換え(低速モードと高速モードとの切り換え)を、モード切換制御用電磁開閉弁26(低速クラッチ用電磁弁27、高速クラッチ用電磁弁28)により行う。これにより、それまで接続を断たれていた高速用クラッチ16を接続すると共に、それまで接続されていた低速用クラッチ15の接続を断ち、低速モードから高速モードに切り換える。一方、高速モードで走行中であれば、その時点での走行状態(に対応する目標変速比)に応じて前記トロイダル型無段変速機4の変速比を減速し(無段変速装置の速度比を減速し)、前記モード切換ポイントに達した状態で、前記制御器16の制御信号に基づいて前記モード切換制御用電磁開閉弁26を切り換える。そして、それまで接続を断たれていた前記低速用クラッチ15を接続すると共に、それまで接続されていた前記高速用クラッチ16の接続を断ち、高速モードから低速モードに切り換える。
特に本例の場合には、上述した様なモード切換時に変速ショックが生じる事を防止する為、前記制御器11に、ギヤードニュートラルポイントに対応するステッピングモータ24のステップ位置(基準ステップ位置)を学習し記憶する第三の機能に加えて、モード切換ポイントに対応するステッピングモータ24のステップ位置(基準ステップ位置からのステップ数)を学習し記憶する、第四の機能を持たせている。この様な第三の機能及び第四の機能に就いて、図4及び図5のフローチャートを参照しつつ説明する。
尚、フローチャートに示した動作は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの間、自動的に繰り返し(開始→各ステップ→終了→開始→・・・)行う。つまり、学習制御が一度も行われていない場合(イグニッションスイッチをONした直後)は勿論、学習制御の実行中(ステップ位置を調節している状態)、更には学習制御が完了した後{出力軸14を停止させられる(ギヤードニュートラルに対応する)ステップ位置及びモード切換ポイントに対応するステップ位置を一度学習した後}も、前記フローチャートに示した動作を繰り返し行う。
先ず、前記制御器11は、ステップ1で、車両の走行速度が0であるか否かを判定する。この判定は、前記出力軸回転センサ17、或いは、図示しない速度センサからの信号に基づいて行う。そして、車両の走行速度が0でない限り、次のステップ2には進まずに、後述するステップ6に進む。
車両の走行速度が0である場合には、続くステップ2に進み、シフトレバー(セレクトバー)が非走行状態に選択されているか否かを判定する。この判定は、前記ポジションスイッチ30からの信号に基づいて行う。このポジションスイッチ30からの信号に基づき、運転席に設けられたシフトレバーの操作位置が、Pレンジ又はNレンジである場合には、非走行状態が選択されていると判定し、それ以外の場合には非走行状態が選択されていないと判定する。そして、非走行状態が選択されていない限り、次のステップ3には進まずに、後述するステップ6に進む。
シフトレバーが非走行状態に選択されている場合には、続くステップ3に進み、アクセルペダルが全閉の状態にあるか否かを判定する。この判定は、前記アクセルセンサ31からの信号に基づいて行う。このアクセルセンサ31からの信号に基づき、アクセルペダルの開度が0%である場合には、アクセルペダルが全閉であると判定し、それ以外の場合には全閉でないと判定する。そして、アクセルペダルが全閉でない限り、次のステップ4には進まずに、後述するステップ6に進む。尚、この様にステップ3として、アクセルペダルが全閉であるか否かを判定する理由は、アクセルペダルが踏み込まれている場合(全閉でない場合)には、前記エンジン1の回転数の変動に基づいて、前記入力側ディスク6及び前記出力側ディスク8の回転速度が変動する(安定しにくい)為、適正な学習値を得る事が難しくなる為である。
アクセルペダルが全閉である場合には、続くステップ4に進み、前記エンジン1の回転数が予め設定した所定値(ENGGN)よりも低いか否かを判定する。具体的には、エンジン1の回転数が予め設定した目標アイドル回転数+400min−1よりも低いか否かを判定する。この判定は、入力側回転センサ9(エンジン1のクランクシャフトの回転がそのまま入力軸3並びに入力側ディスク6に伝達される場合)、或いは、運転席のタコメータにエンジンの回転速度を表示させる為の信号に基づいて行う。そして、前記エンジン1の回転数が目標アイドル回転数+400min−1よりも低くない限り、次のステップ5には進まずに、後述するステップ6に進む。尚、この様にステップ4として、前記エンジン1の回転数が目標アイドル回転数+400min−1よりも低いか否かを判定する理由は、アクセルペダルが開放された直後等、アクセルペダルが踏み込まれていない場合(ステップ3の条件を満たす場合)にも、前記エンジン1の回転数が変動(低下)し、これに基づいて前記入力側ディスク6及び前記出力側ディスク8の回転速度が変動する(安定しにくい)場合があり、適正な学習値を得る事が難しくなる為である。又、この様なステップ4及びステップ3に代えて、例えば、エンジンの回転数がアイドリング時に通常生じ得る変動量を超えて変動していない事{例えばアイドル回転数に関するカタログ値の変動幅(カタログ値が800〜850min−1の場合には、最高回転数と最低回転数との差である50min−1)を超える、所定周波数(例えば2Hz)以上の変動でない事}等を、学習許可条件に加える事もできる。
そして、上述の様なステップ1〜4の総ての学習許可条件が満たされていると判定された場合には、続くステップ5に進み、学習制御(GN学習制御、MC学習制御)を開始する。これに対し、ステップ1〜4の何れかの学習許可条件を満たさなかった場合、或いは、ステップ5での学習制御の実行中に、何れか1つでも学習許可条件を満たさなくなった場合には、ステップ6に進み、学習制御の実行を禁止或いは中止し、終了に進み開始に戻る。そして、直前に学習が完了した値(ステッピングモータ24の基準ステップ位置及びモード切換ポイントに対応する基準ステップ位置からのステップ数)を使用して、トロイダル型無段変速機4の変速比制御を行う。
ステップ5で実行する学習制御に就いて、図5を参照しつつ、詳しく説明する。先ず、ステップ5−1では、第三の機能に基づく学習制御(GN学習制御)を開始し、前記ステッピングモータ24を駆動して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比(入力側、出力側各ディスク9、10の回転速度から求められる実測比)を、前記入力軸1を回転させつつ前記出力軸14の回転速度を0にする変速比である、ギヤードニュートラルポイント(GN変速比)に向けて変速する。このギヤードニュートラルポイントの値は、前記遊星歯車式変速機12を構成する各歯車の変速比に基づき、予め計算によって求められる。尚、図3に示した例では、ギヤードニュートラルポイントの値は、1.658程度となる。
本例の場合には、前記ステッピングモータ24の出力ロッドのストローク位置を測定する為の位置センサ等は設けていない。この為、前記ステッピングモータ24を特定のステップ位置(決まった学習値)に駆動するのではなく、前記トロイダル型無段変速機4の変速比がギヤードニュートラルポイントに調節された状態での、前記ステッピングモータ24のステップ位置を、変速比制御の基準値(基準ステップ位置)とする。従って、第三の機能に基づく学習制御(GN学習制御)が実行されている間は、前記ステッピングモータ24の現在のステップ位置を表す値を、基準値を表す0に固定し、現在のステップ位置が変速比無限大の状態を得られる基準値であるとして取り扱う。
前記トロイダル型無段変速機4の変速比を実際に調節する作業は、入力側回転センサ9及び出力側回転センサ10の検出信号(入力側ディスク6の回転速度NID、出力側ディスク8の回転速度NOD)を観察しつつ、前記ステッピングモータ24の出力ロッドを変位させる事で行う。そして、この出力ロッドを変位させるべく、このステッピングモータ24を駆動した方向と関連させつつ、このステッピングモータ24のステップ数をカウントする。例えば、このステッピングモータ24をLow側に1ステップ分だけ駆動した場合には、学習中のステッピングモータ24のステップ位置(ステップ数)を表す値(初期値0)を、1ステップ分だけカウントアップする。これに対して、High側に1ステップ駆動した場合には、学習中のステッピングモータ24のステップ位置を表す値を、1ステップ分だけカウントダウンする。
そして、続くステップ5−2で、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が、ギヤードニュートラルポイントに調節されたか否かを、このトロイダル型無段変速機4の変速比(実測比)と、予め求めたギヤードニュートラルポイント(GN変速比)との差の絶対値(XGN)が、予め設定した閾値(例えば±0.01)以下であるか否かにより判定する。そして、この差の絶対値(XGN)が閾値以下である場合に、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が、ギヤードニュートラルポイントに調節されたと判定して、続くステップ5−3に進む。これに対し、前記差の絶対値(XGN)が、予め設定した閾値以下に調節されていないと判定された場合には、ステップ5−3には進まずに、ステップ5−1に戻る。そして、前記ステッピングモータ24を再度駆動して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を、ギヤードニュートラルポイントに向けて変速する。
ステップ5−3では、前記差の絶対値(XGN)が、予め設定した閾値以下に調節された状態での、前記ステッピングモータ24のステップ位置を、変速比無限大の状態を得られる基準ステップ位置として学習し、前記制御器11中のメモリに記憶する。これにより、第三の機能に基づく学習制御(GN学習制御)を完了し、その事を表す学習完了フラグを立てる。そして、続くステップ5−4に進む。
ステップ5−4では、第四の機能に基づく学習制御(MC学習制御)を開始し、前記ステッピングモータ24を駆動して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比(実測比)を、ギヤードニュートラルポイントから、モード切換を行う為の変速比であるモード切換ポイント(回転同期点、最大減速状態)に向けて変速する。このモード切換ポイントは、前記遊星歯車式変速機12を構成する各歯車の変速比等により計算によって予め求められる。尚、図3に示した例では、モード切換ポイントの値は、0.458程度となる。
そして、続くステップ5−5で、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が、モード切換ポイントに調節されたか否かを、このトロイダル型無段変速機4の変速比(実測比)と、予め求めたモード切換ポイント(MC変速比)との差の絶対値(XMC)が、予め設定した閾値(例えば±0.01)以下であるか否かにより判定する。そして、この差の絶対値(XMC)が閾値以下である場合に、トロイダル型無段変速機4の変速比が、モード切換ポイントに調節されたと判定して、続くステップ5−6に進む。これに対し、前記差の絶対値(XMC)が予め設定した閾値以下に調節されていないと判定された場合には、ステップ5−6には進まずに、ステップ5−4に戻る。そして、前記ステッピングモータ24を再度駆動して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を、モード切換ポイントに向けて変速する。
ステップ5−6では、前記差の絶対値(XMC)が、予め設定した閾値以下に調節された状態での、前記ステッピングモータ24の基準ステップ位置からのステップ数を学習し、前記制御器11中のメモリに記憶する。これにより、第四の機能に基づく学習制御(MC学習制御)を完了し、その事を表す学習完了フラグを立てる。そして、終了に進み、開始に戻る。
以上の様な構成を有し、上述の様に動作する本例の無段変速装置によれば、シフトレバーが非走行状態から走行状態に選択された場合に、予想以上の駆動力が伝達され、車両が動き出したり、運転者の意図とは逆方向の駆動力が伝達されたりする事を防止できるだけでなく、低速モードと高速モードとのモード切換時に、変速ショックが生じる事を有効に防止できる。
先ず、本例の場合には、所定の学習許可条件(ステップ1〜4)が満たされている事を条件に、前記制御器11が有する第三の機能により、変速比無限大の状態を実現できるトロイダル型無段変速機の変速比を得られる、前記ステッピングモータ24のステップ位置(基準ステップ位置)を学習し記憶できる。この為、個体差や長期間の使用に拘わらず、シフトレバーが非走行状態から走行状態に選択された場合に、予想以上の駆動力が伝達され、車両が動き出したり、運転者の意図とは逆方向の駆動力が伝達されたりする事を防止できる。
更に本例の場合には、前記制御器11が有する第四の機能により、モード切換ポイントに対応するステッピングモータ24のステップ位置を、第三の機能に基づき学習した基準ステップ位置からのステップ数として学習し記憶する事ができる。この為、トロイダル型無段変速機4の変速比をモード切換ポイントに調節する為のステッピングモータ24のステップ位置に関する信頼性(精度)を向上させる事ができる。従って、トロイダル型無段変速機4の変速比がモード切換ポイントからずれた状態で、モード切換が行われる(クラッチ装置13の断接状態の切り換えが行われる)事を有効に防止できる。この結果、モード切換時に、変速ショックが生じる事を有効に防止できる。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記特許文献3に記載された従来構造の場合と同様である。
[実施の形態の第2例]
図6〜8は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の特徴は、無段変速装置を構成するトロイダル型無段変速機4に、各パワーローラ7の傾転量(傾転角、揺動角)を測定する為の傾転角センサ36を設ける事により、入力側、出力側各回転センサ9、10に異常が発生した場合のフェールセーフの確保を図る点にある。その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、共通する部分の説明並びに図示は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合には、図6に示す様に、パワーローラ7の傾転量を検出する為の傾転角センサ36を、それぞれのパワーローラ7毎に設けている。そして、これら各傾転角センサ36の検出信号を、制御器11に入力している。これら各傾転角センサ36は、トラニオンの枢軸(図示省略)を中心とする揺動量を検出する為の回転検出センサであり、この枢軸には、ロータ(エンコーダ)を取り付けている。そして、この回転検出センサから求められる前記トラニオンの揺動量を、前記各パワーローラ7の傾転量として検出している。
本例の場合には、図7中のステップ5aで行う学習制御(GN学習制御、MC学習制御)を、図8に示す様に行っている。尚、図7中のステップ1〜4の学習許可条件に就いては、前述した実施の形態の第1例の場合と同じである。
先ず、ステップ5−1では、第三の機能に基づく学習制御(GN学習制御)を開始し、前記ステッピングモータ24を駆動して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比(入力側、出力側各ディスク9、10の回転速度から求められる実測比)を、前記入力軸1を回転させつつ前記出力軸14の回転速度を0にする変速比である、ギヤードニュートラルポイント(GN変速比)に向けて変速する。
そして、続くステップ5−2で、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が、ギヤードニュートラルポイントに調節されたか否かを、このトロイダル型無段変速機4の変速比(実測比)と、予め求めたギヤードニュートラルポイント(GN変速比)との差の絶対値(XGN)が、予め設定した閾値(例えば±0.01)以下であるか否かにより判定する。そして、この差の絶対値(XGN)が閾値以下である場合に、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が、ギヤードニュートラルポイントに調節されたと判定して、続くステップ5−3aに進む。これに対し、前記差の絶対値(XGN)が、予め設定した閾値以下に調節されていないと判定された場合には、ステップ5−3aには進まずに、ステップ5−1に戻る。そして、前記ステッピングモータ24を再度駆動して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を、ギヤードニュートラルポイントに向けて変速する。
ステップ5−3aでは、前記差の絶対値(XGN)が、予め設定した閾値以下に調節された状態での、前記ステッピングモータ24のステップ位置を、変速比無限大の状態を得られる基準ステップ位置として学習し、前記制御器11中のメモリに記憶すると共に、前記各傾転角センサ36による測定値を学習し、前記制御器11中のメモリに記憶する。尚、複数の傾転角センサ36同士の間で測定値が異なる場合には、プリセスカムが設置されたトラニオンに関する傾転角センサ36の測定値のみを学習するか、或いは平均値を学習する。これにより、第三の機能に基づく学習制御(GN学習制御)を完了し、その事を表す学習完了フラグを立てる。そして、続くステップ5−4に進む。
ステップ5−4では、第四の機能に基づく学習制御(MC学習制御)を開始し、前記ステッピングモータ24を駆動して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比(実測比)を、ギヤードニュートラルポイントから、モード切換を行う為の変速比であるモード切換ポイント(回転同期点、最大減速状態)に向けて変速する。このモード切換ポイントは、前記遊星歯車式変速機12を構成する各歯車の変速比等により計算によって予め求められる。
そして、続くステップ5−5で、前記トロイダル型無段変速機4の変速比が、モード切換ポイントに調節されたか否かを、このトロイダル型無段変速機4の変速比(実測比)と、予め求めたモード切換ポイント(MC変速比)との差の絶対値(XMC)が、予め設定した閾値(例えば±0.01)以下であるか否かを判定する。そして、この差の絶対値(XMC)が閾値以下である場合に、トロイダル型無段変速機4の変速比が、モード切換ポイントに調節されたと判定して、続くステップ5−6aに進む。これに対し、前記差の絶対値(XMC)が予め設定した閾値以下に調節されていないと判定された場合には、ステップ5−6aには進まずに、ステップ5−4に戻る。そして、前記ステッピングモータ24を再度駆動して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を、モード切換ポイントに向けて変速する。
ステップ5−6aでは、前記差の絶対値(XMC)が、予め設定した閾値以下に調節された状態での、前記ステッピングモータ24の基準ステップ位置からのステップ数を学習し、前記制御器11中のメモリに記憶すると共に、前記各傾転角センサ36による測定値を学習し、前記制御器11中のメモリに記憶する。尚、複数の傾転角センサ36同士の間で測定値が異なる場合の処理は、ステップ5−3aの場合と同様である。これにより、第四の機能に基づく学習制御(MC学習制御)を完了し、その事を表す学習完了フラグを立てる。
そして、上述した様な学習制御(GN学習制御、MC学習制御)を行った後は、図7のステップ7に進み、入力側回転センサ9と出力側回転センサ10との少なくとも一方の回転センサに、誤作動が生じているか否か判定する。この誤作動の判定は、出力軸回転センサ17により検出される出力軸14の回転速度を利用して行う事ができる他、入力側、出力側各回転センサ9、10により求められる入力側、出力側各ディスク6、8の回転速度と前記各傾転角センサ36により求められる前記各パワーローラ7の傾転量とを比較する事により行える。即ち、前記各ディスク6、8の回転速度から算出されるこれら両ディスク6、8同士の間の変速比と、予め求めておいた変速比と前記各パワーローラ7の傾転量との関係から算出される当該傾転量での変速比とを比較する事により、これら各センサ9、10、(36)の何れかに異常が発生したか否かを判定する事もできる。
何れの場合にも、前記入力側回転センサ9と前記出力側回転センサ10との少なくとも一方の回転センサに、誤作動が生じていると判定した場合には、続くステップ8に進み、前記各傾転角センサ36の測定値に基づいて求められる変速比を利用した変速比制御を実行する。即ち、前記入力側回転センサ9と前記出力側回転センサ10との少なくとも一方の回転センサに、誤作動が生じた場合には、前記トロイダル型無段変速機4の変速比(実測比)を正確に求められなくなり、このトロイダル型無段変速機4の変速比制御を所望通りに行う事が難しくなる。そこで、本例の場合には、前記少なくとも一方の回転センサ9、10に誤作動が生じたと判定された場合に、前記各傾転角センサ36の測定値に基づいて求められる変速比を利用して、前記トロイダル型無段変速機4の変速比制御を行う。
特に本例の場合には、前述したステップ5−3a及びステップ5−6aに於いて、前記トロイダル型無段変速機4の変速比(GN変速比、MC変速比)と前記各傾転角センサ36の傾転量との関係を学習しており、この学習値を利用して、予め求めておいた傾転量とトロイダル型無段変速機4の変速比との関係(マップ或いは数式等)を補正できるので、これら各傾転角センサ36の測定値により求められる前記トロイダル型無段変速機4の変速比は十分に信頼性の高いものにできる。但し、ステップ7により、前記入力側、出力側各回転センサ9、10に誤作動が判定される直前に学習した学習値には、誤動作の影響が含まれている可能性がある為、本例の場合には、前記入力側、出力側各回転センサ9、10に誤動作がないと判定された場合の直前に学習した学習値により補正した、パワーローラ7の傾転量とトロイダル型無段変速機4の変速比との関係を利用する。
そして、アクセルセンサ31により検出されるアクセル開度や図示しない車速センサ等から得られる車両の運転状況に応じて、必要とするトロイダル型無段変速機4の変速比(目標変速比)、即ち、調節すべき変速比となる目標値(所望値)を算出すると共に、この目標値を実現する為に必要な、前記各パワーローラ7の傾転量(傾転角)の目標値(目標傾転量)を算出する。次いで、前記トロイダル型無段変速機4の変速比を目標値に調節すべく、前記各傾転角センサ36により前記各パワーローラ7の傾転量を求めつつ、制御弁装置20をフィードバック制御する。即ち、前記各傾転角センサ36から実際の傾転量を求めつつ、この傾転量と目標値との差が所定の値よりも小さくなるまで(例えば1度未満となるまで)、アクチュエータ19によりトラニオンを枢軸の軸方向に変位させる。そして、実際の傾転量と目標値との差が所定の値よりも小さくなったと判定したら、変速動作を終了する。
これに対し、前記入力側回転センサ9及び前記出力側回転センサ10に、誤作動が生じていないと判定された場合には、ステップ9に進み、これまで通り、前記入力側、出力側両回転センサ9、10により求められる前記トロイダル型無段変速機4の変速比(実測比)を利用して、変速比制御を行う。
以上の様な構成を有し、上述した様に動作する本例の無段変速装置の場合には、前記各回転センサ9、10に誤作動が発生した場合にも、フェールセーフを確保できて、トロイダル型無段変速機4の変速比制御を高精度に行う事が可能になる。
その他の構成及び作用効果に就いては、実施の形態の第1例の場合と同様である。
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 押圧装置
6 入力側ディスク
7 パワーローラ
8 出力側ディスク
9 入力側回転センサ
10 出力側回転センサ
11 制御器
12 遊星歯車式変速機
13 クラッチ装置
14 出力軸
15 低速用クラッチ
16 高速用クラッチ
17 出力軸回転センサ
18 オイルポンプ
19 アクチュエータ
20 制御弁装置
21 制御弁
22a、22b 油圧室
23、23a〜23d 油圧センサ
24 ステッピングモータ
25 ローディング圧制御用電磁開閉弁
26 モード切換制御用電磁開閉弁
27 低速クラッチ用電磁弁
28 高速クラッチ用電磁弁
29 油温センサ
30 ポジションスイッチ
31 アクセルセンサ
32 ブレーキスイッチ
33 手動油圧切換弁
34 油溜
35a、35b 調整弁
36 傾転角センサ

Claims (2)

  1. 入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動ユニットと、これらトロイダル型無段変速機と差動ユニットとの動力の伝達状態を切り換えるクラッチ装置と、このクラッチ装置の断接状態を切り換えると共に、前記トロイダル型無段変速機の変速比の変更を制御する為の制御器とを備え、
    このトロイダル型無段変速機は、前記差動ユニットの第一の入力部と共に前記入力軸により回転駆動される入力側ディスクと、この入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在として支持され、前記差動ユニットの第二の入力部に接続された出力側ディスクと、これら両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した複数個の支持部材と、これら各支持部材を変位させて前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間の変速比を変えるアクチュエータと、この変速比を所望値にする為にこのアクチュエータの変位方向及び変位量を制御する為の制御ユニットと、前記入力側ディスクの回転速度を検出する為の入力側回転センサと、前記出力側ディスクの回転速度を検出する為の出力側回転センサとを備えたものであり、
    前記差動ユニットは、前記第一、第二の入力部同士の間の速度差に応じた回転を取り出して前記出力軸に伝達するものであり、
    前記制御器は、
    前記トロイダル型無段変速機の変速比を調節して前記差動ユニットを構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事により、前記入力軸を一方向に回転させた状態のまま前記出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換する第一の機能と、
    前記入力側回転センサにより求められる前記入力側ディスクの回転速度及び前記出力側回転センサにより求められる前記出力側ディスクの回転速度と、前記差動ユニットの変速比とに基づいて、前記出力軸の回転速度を算出する第二の機能と、
    所定の学習許可条件が満たされている事を条件に、前記第二の機能に基づいて算出される前記出力軸の回転速度が0となる状態に、前記トロイダル型無段変速機の変速比を調節し、この状態での前記制御ユニットを構成する調整部材の位置を、前記入力軸を回転させたまま前記出力軸を停止させられる基準位置として学習し記憶する、学習制御を行う第三の機能とを有するものである
    無段変速装置に於いて、
    前記所定の学習許可条件が満たされている事を条件に、前記トロイダル型無段変速機の変速比を、このトロイダル型無段変速機と前記差動ユニットとを通過する動力の伝達状態を切り換える為のモード切換ポイントに向けて調節し、前記第三の機能により学習した基準位置からの前記調整部材の移動量を学習し記憶する、第四の機能を有する事を特徴とする無段変速装置。
  2. 前記トロイダル型無段変速機に、前記パワーローラの傾転角を測定する為の傾転角センサが設けられており、
    前記制御器は、前記第三の機能に基づき、前記トロイダル型無段変速機の変速比を前記入力軸を回転させたまま前記出力軸を停止させられる値に調節した状態での、前記パワーローラの傾転量を学習し記憶すると共に、前記第四の機能に基づき、前記トロイダル型無段変速機の変速比を前記モード切換ポイントに調節した状態での、前記パワーローラの傾転量を学習し記憶しており、前記入力側回転センサと前記出力側回転センサとの少なくとも一方の回転センサに異常が発生した場合に、前記傾転角センサの測定値を利用して、前記トロイダル型無段変速機の変速比制御を行う第五の機能を有する、請求項1に記載した無段変速装置。
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