JP5781358B2 - 塗膜積層体 - Google Patents
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Description
しかし、このような積層体を観察した場合、その観察角度が変わると光輝性があまり感じられない場合がある。
1.基材の上に、着色塗膜、及び透明塗膜が積層された塗膜積層体であって、
当該着色塗膜は、その表面形状に凹凸を有し、
着色骨材、透光性骨材、及び鱗片状光輝性粒子が、透明樹脂で固定化されたものであり、
当該着色骨材は、着色コーティングが施されたものであり、
当該透光性骨材は、長石、珪砂、珪石、寒水石、ガラス粒子から選ばれる、光透過率が3%以上のものであり、
当該着色骨材の含有比率は、当該透明樹脂100重量部(固形分)に対し、300〜2000重量部であり、
当該透明塗膜は、鱗片状光輝性粒子が散在した透明塗膜であり、
当該鱗片状光輝性粒子の平均粒子径は、前記着色塗膜における輪郭曲線要素の平均長さよりも小さいことを特徴とする塗膜積層体。
2.前記透明塗膜は、鱗片状光輝性粒子が散在した、親水性透明塗膜である1.記載の塗膜積層体。
3.前記着色塗膜は、目地溝で区画されている1.記載の塗膜積層体。
4.前記着色塗膜は、目地溝で区画されており、
当該目地溝表面における輪郭曲線要素の平均高さは、前記着色塗膜における輪郭曲線要素の平均高さよりも低く、
当該目地溝表面には、前記着色塗膜上に積層されたものと同一の透明塗膜が設けられている1.記載の塗膜積層体。
上記1.の積層体では、着色骨材の作用によって、本発明に適した表面凹凸が着色塗膜に形成され、上記効果を安定して得ることができる。また、着色骨材の色調を適宜設定することにより、各種自然石調の意匠を表現することができる。さらに、上記1.の積層体では、透明塗膜中の鱗片状光輝性粒子の作用によって、着色塗膜が濡れ色になり難く、意匠性が向上する。
上記1.の積層体では、上記効果に加え、鱗片状光輝性粒子と透光性骨材の相乗作用によって、塗膜に深み感が付与され、意匠性が一層向上する。
上記1.の積層体では、上記効果に加え、着色塗膜及び透明塗膜の両方における鱗片状光輝性粒子の作用によって、光輝性が高まり、意匠性が一層向上する。
上記2.の積層体では、上記効果が発揮されると共に、透明塗膜の親水性によって、塗膜の汚染が抑制される。特に、塗膜の凹部における汚染物質の堆積が抑制される。よって、上記2.の積層体では、長期にわたり、初期の光輝性を保持することができる。
上記3.の積層体では、上記効果に加え、着色塗膜が目地溝で区画されていることによって、着色塗膜の領域における光輝性が際立ち、意匠性が一層向上する。
上記4.の積層体では、上記効果に加え、目地溝にも光輝性が付与され、全体的な意匠性が向上する。しかも、目地溝の光輝性は、着色塗膜の領域における光輝性よりも控え目であるため、着色塗膜と目地溝のコントラストが鮮明となる。
基材1は、建築物、土木構造物等に適用可能なものであればよい。基材1としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、プラスチック板、金属板、木工板、ガラス、煉瓦、陶磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、何らかの表面処理(フィラー処理、サーフェーサー処理、シーラー処理等)が施されたものや、予め着色されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたものであってもよい。
輪郭曲線要素は、「山とそれに隣り合う谷からなる曲線部分」であり、JIS B0601:2001に規定されている。図2にその概略図を示す。このうち、wが輪郭曲線要素の長さであり、hが輪郭曲線要素の高さである。輪郭曲線要素の平均長さはwの平均値であり、平均高さはhの平均値である。
透光性骨材としては、光透過率が3%以上(より好ましくは3〜50%、さらに好ましくは10〜30%)であるものが好適である。なお、ここに言う光透過率とは、濁度計による全光線透過率の値である。この測定では、試料を内厚5mmの透明ガラス製セル中に充填し、次いで徐々に水を充填した後、セル中の気泡を振動によって取り除いたものを用いる。但し試料としては、粒子径が0.5〜1.0mmのものを選別して用いる。
このような透光性骨材の具体例としては、例えば長石、珪砂、珪石、寒水石、ガラス粒子等が挙げられる。透光性骨材の平均粒子径は、好ましくは0.1〜5mm、より好ましくは0.1〜2mmである。
鱗片状光輝性粒子としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、ステンレスフレーク顔料、ホログラム顔料、金属蒸着高分子フィルムの破砕品等が挙げられる。鱗片状光輝性粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは5〜600μmである。なお、鱗片状光輝性粒子の平均粒子径は、鱗片状光輝性粒子を水平面に安定に静置させ、上から観察したときの長径の平均値である。
本発明において、着色塗膜2は、その表面形状に凹凸を有するものである。そして、透明塗膜3中の鱗片状光輝性粒子31は、着色塗膜2の輪郭曲線要素の平均長さよりも小さい。これにより、着色塗膜2の上に、様々な方向に向いた鱗片状光輝性粒子31が配置され、本発明の効果が発揮される。
鱗片状光輝性粒子31としては、着色塗膜2と同様のものが使用できる。
親水性透明塗膜としては、塗膜の水に対する接触角が70°以下となるものが好適である。この接触角は、接触角計にて測定される。
目地溝4は、目地型枠、目地棒等の目地材を用いて形成できる。例えば、基材1に対し、目地材の貼着、着色塗料の塗装、目地材の除去、透明塗料の塗装を順に行うことによって形成できる。目地材の形状、幅等は、所望の目地模様に応じて適宜設定すればよい。
また、アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、平均粒子径0.2mmの鱗片状光輝性粒子2重量部、造膜助剤18重量部、消泡剤1重量部を常法により均一に混合して、透明塗料Bを製造した。
なお、着色塗料Aによって形成された着色塗膜は、表面に凹凸を有し、その輪郭曲線要素の平均長さは3mm、輪郭曲線要素の平均高さは1mmであった。目地溝部分における輪郭曲線要素の平均高さは0.1mmであった。
以上の方法で得られた塗膜は、どの角度から観察しても光輝性を示した。また、着色塗膜と目地溝とのコントラストも鮮明であった。
2:着色塗膜
3:透明塗膜
4:目地溝
w:輪郭曲線要素の長さ
h:輪郭曲線要素の高さ
Claims (4)
- 基材の上に、着色塗膜、及び透明塗膜が積層された塗膜積層体であって、
当該着色塗膜は、その表面形状に凹凸を有し、
着色骨材、透光性骨材、及び鱗片状光輝性粒子が、透明樹脂で固定化されたものであり、
当該着色骨材は、着色コーティングが施されたものであり、
当該透光性骨材は、長石、珪砂、珪石、寒水石、ガラス粒子から選ばれる、光透過率が3%以上のものであり、
当該着色骨材の含有比率は、当該透明樹脂100重量部(固形分)に対し、300〜2000重量部であり、
当該透明塗膜は、鱗片状光輝性粒子が散在した透明塗膜であり、
当該鱗片状光輝性粒子の平均粒子径は、前記着色塗膜における輪郭曲線要素の平均長さよりも小さいことを特徴とする塗膜積層体。 - 前記透明塗膜は、鱗片状光輝性粒子が散在した、親水性透明塗膜である請求項1記載の塗膜積層体。
- 前記着色塗膜は、目地溝で区画されている請求項1記載の塗膜積層体。
- 前記着色塗膜は、目地溝で区画されており、
当該目地溝表面における輪郭曲線要素の平均高さは、前記着色塗膜における輪郭曲線要素の平均高さよりも低く、
当該目地溝表面には、前記着色塗膜上に積層されたものと同一の透明塗膜が設けられている請求項1記載の塗膜積層体。
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