JP5780912B2 - 建物の耐震補強構造 - Google Patents
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Description
供用中の建物に対して、耐震壁やブレース等を設置すると、居住空間を狭める場合や、視界を遮る場合がある。そのため、居住者や利用者からの理解が得られ難い場合がある。
第一の実施形態の建物の耐震補強構造は、図1の(a)および(b)に示すように、既存建物1の階段室2内に横架された補強梁11を備えている。
なお、既存建物1の平面形状は矩形状に限定されるものではない。また、階段室2の配置や設置箇所も限定されるものではない。
居住空間3は、各階層が床版6により区切られている。
折り返し階段20は、図1の(a)および(b)に示すように、上側の階段部(以下、単に「上階段」という)21と、下側の階段部(以下、単に「上階段」という)22と、上階段21および下階段22が接続する踊り場23とを備えて構成されている。
踊り場23と側壁4との接合部には、梁24が形成されている。
補強梁11は、階段部21,22の昇降方向と直交しており、上階段21の下端と下階段22の上端とを連結している。
なお、補強梁11として、プレキャスト部材を使用してもよい。また、ハーフプレキャスト部材や捨て型枠を利用して補強梁11を形成してもよい。
なお、従来の耐震補強構造は、図2の(b)に示すように、階段室102は床面に開口が開いたものと評価されるため、階段室102に隣接する側壁104を補強しても、建物本体部に対する補強効果を期待することができず、したがって、居住空間103の左右に形成された耐震壁110,110(側壁104,境界壁105)の補強量を増加させる必要がある。その結果、居住空間103を狭めることとなる。
第二の実施形態の建物の耐震補強構造は、図3の(a)および(b)に示すように、既存建物1の階段室2内に形成された補強壁12を備えている。
なお、既存建物1の詳細は、第一の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
折り返し階段20は、図3の(a)および(b)に示すように、上側の階段部(以下、単に「上階段」という)21と、下側の階段部(以下、単に「上階段」という)22と、上階段21および下階段22が接続する踊り場23とを備えて構成されている。
踊り場23と側壁4との接合部には、梁24が形成されている。
なお、補強壁12の形成方法は限定されるものではなく、例えば、既存の手すり部分を撤去して、新たに構築してもよい。
従来の耐震補強構造は、図4の(b)に示すように、階段室102は床面に開口が開いたものと評価されるため、居住空間103の左右に形成された耐震壁110,110(側壁104,境界壁105)の補強量を増加させる必要がある。その結果、居住空間103を狭めることとなる。
第三の実施形態の建物の耐震補強構造は、図5の(a)および(b)に示すように、既存建物1の階段室2内に形成された補強スラブ13を備えている。
なお、既存建物1の平面形状は限定されるものではない。また、階段室2の配置や設置箇所も限定されるものではない。
本実施形態の既存建物1の前側(図面において下側)の側壁4の一部(角部)には、耐震補強が施されており、耐震壁10が形成されている。
また、階段室2の後側(図面において上側)の側壁4は、耐震補強が施されていて、耐震壁10により構成されている。
折り返し階段20は、図5の(a)および(b)に示すように、上側の階段部(以下、単に「上階段」という)21と、下側の階段部(以下、単に「上階段」という)22と、上階段21および下階段22が接続する踊り場23とを備えて構成されている。
踊り場23と側壁4との接合部には、梁24が形成されている。
補強スラブ13は、上階段21の下端および下階段22の上端に踊り場23を介して連結されている。
なお、図5の踊り場23は、上階と下階との間に形成された踊り場23であるが、各階の床につながる踊り場23の下面にも、補強スラブ13を形成する。
なお、補強スラブ13として、プレキャスト部材を踊り場23の下面に固定してもよい。
従来の耐震補強構造は、図6の(b)に示すように、階段室102は床面に開口が開いたものと評価されるため、X方向の外力に対して、居住空間103の各角部に耐震壁110,110,…を形成して、建物全体の補強量を増加させる必要がある。その結果、居住空間103を狭めることとなる。
第四の実施形態に係る建物の耐震補強構造は、図7に示すように、踊り場23を貫通する柱25を備えている点で、第一の実施形態の建物の耐震補強構造と異なっている。
なお、ベースプレート26aの形状は限定されるものではない。
なお、アンカーボルト26bに代えてケミカルアンカーを採用してもよく、ベースプレート26aの固定方法は限定されるものではない。また、アンカーボルト26bの配置や本数は限定されるものではない。
セパレータ27bの下端部には、型枠30の上面を保持するためのコーン27cが固定されている。
型枠30は、上面に配設されたコーン27cと下面に配設された締め具27dとにより把持される。
また、柱25による補強効果も期待できる。
なお、本実施形態の建物の耐震補強構造において、補強梁11に代えて補強スラブ(図5参照)を採用してもよい。
11 補強梁
12 補強壁(耐震壁)
13 補強スラブ
2 階段室
20 折り返し階段
21 上階段(階段部)
22 下階段(階段部)
23 踊り場
Claims (3)
- 折り返し階段を構成する上下の階段部をせん断伝達部材として利用する建物の耐震補強構造であって、
前記階段部の昇降方向と直交する補強梁を備え、
前記補強梁は、前記階段部と踊り場との接合部において、前記踊り場の下面に沿って横架されているとともに、前記上下の階段部を挟んで対向する一対の耐震壁に両端が接続されていて、
前記補強梁と直交する外力が建物に作用した際に、一方の前記耐震壁からのせん断力を、一方の前記階段部から前記補強梁へと伝達し、当該補強梁から他方の前記階段部を経由して他方の前記耐震壁へと伝達させることを特徴とする、建物の耐震補強構造。 - 折り返し階段を構成する上下の階段部をせん断伝達部材として利用する建物の耐震補強構造であって、
上側の前記階段部と下側の前記階段部との間に形成された耐震壁である補強壁と、
一方の前記階段部を挟んで前記補強壁と対向する耐震壁である側壁と、
他方の前記階段部を挟んで前記補強壁と対向する耐震壁である境界壁と、を備え、
前記側壁の壁面に沿った外力が建物に作用した際に、前記側壁からのせん断力を、前記一方の階段部から前記補強壁へと伝達し、当該補強壁から前記他方の階段部を経由して前記境界壁へと伝達させることを特徴とする、建物の耐震補強構造。 - 折り返し階段を構成する上下の階段部をせん断伝達部材として利用する建物の耐震補強構造であって、
前記折り返し階段を挟んで居住空間の反対側に形成された耐震壁と、
前記耐震壁側の踊り場の下面を覆う第一の補強スラブと、
前記居住空間側の踊り場の下面を覆う第二の補強スラブと、を備え、
前記耐震壁の壁面に沿った外力が建物に作用した際に、前記耐震壁からのせん断力を、前記第一の補強スラブから前記上下の階段部へと伝達し、前記上下の階段部のうちのいずれか一方を経由して前記第二の補強スラブへと伝達させることを特徴とする、建物の耐震補強構造。
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