JP5780453B2 - 定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Description
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置されたベルト部材としての定着ベルト(定着部材)、31は定着装置20に設置された加圧回転体としての加圧ローラ、を示す。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写部7で、レジストローラにより搬送された記録媒体P上に転写される。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2は、定着装置20を示す構成図である。図3は、定着装置20を幅方向にみた図である。図4は、定着装置20の要部を示す拡大図である。
図2に示すように、定着装置20は、ベルト部材としての定着ベルト21(定着部材)、圧接部材22(ニップ部形成部材)、対向部材23(支持部材)、熱源としてのヒータ26(加熱手段)、補強部材24、反射部材としての反射板25、加圧回転体としての加圧ローラ31、温度センサ40、ガイド板35、37、等で構成される。
定着ベルト21の基層21aは、層厚が30〜50μmであって、透明色からなるポリイミド(透明ポリイミド)で形成されている。この基層21aは、対向部材23に対向する内周面側に配設されていて、赤外線の一部又は全部を透過する赤外線透過層として機能する。具体的に、透明ポリイミドからなる基層21aは、放射波長が1.5μmの赤外線(本実施の形態におけるヒータ26から射出される赤外線である。)に対して、80%以上を透過する。
定着ベルト21の弾性層21bは、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、等のゴム材料で形成されている。弾性層21bを設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。なお、本実施の形態における弾性層21bは、シリコーンゴムで形成されていて、赤外線透過層として機能する基層21aに対して外周面側に積層されて、赤外線の全部又は一部を吸収する赤外線吸収層として機能する。具体的に、シリコーンゴムからなる弾性層21bは、放射波長が1.5μmの赤外線(本実施の形態におけるヒータ26から射出される赤外線である。)に対して、90%以上を吸収する。
定着ベルト21の離型層21cは、層厚が10〜50μmであって、PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等の材料で形成されている。離型層を設けることで、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保される。なお、本実施の形態における離型層21cは、PFAで形成されていて、赤外線吸収層として機能する弾性層21bと同様に、赤外線の全部又は一部を吸収する赤外線吸収層として機能する。
そして、このような定着ベルト21の構成により、定着ベルト21の加熱効率が向上することになるが、これについては後で詳しく説明する。
図2を参照して、圧接部材22は、加圧ローラ31との対向面が、加圧ローラ31の曲率にならうように形成されている。これにより、記録媒体Pは加圧ローラ31の曲率にならうようにニップ部から送出されるために、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21に吸着して分離しない不具合を抑止することができる。
なお、圧接部材22を形成する材料としては、加圧ローラ31による加圧力を受けても大きく撓むことがないように、ある程度剛性のあるものであることが好ましい。さらに、圧接部材22と定着ベルト21とが摺接しても定着ベルト21の磨耗が軽減されるように、圧接部材22の摺接面を摩擦係数の低い材料で形成することが好ましい。
なお、補強部材24は、上述した機能を満足するために、ステンレスや鉄等の金属材料やセラミック等の機械的強度が高い材料で形成することが好ましい。
これにより、ヒータ26から補強部材24に向かう赤外線は、反射板25で反射された後に対向部材23を透過して定着ベルト21に達して、定着ベルト21の加熱に用いられることになるために、定着ベルト21の加熱効率がさらに向上することになる。
なお、ヒータ26(熱源)を定着ベルト21や対向部材23の内周面側に設置することで、外周面側に設置する場合に比べて、定着装置20の小型化が達成されることになる。
詳しくは、対向部材23は、肉厚が100〜300μmの石英ガラス等の耐熱ガラスで形成された略パイプ状の部材であって、その全体がヒータ26(熱源)から照射された赤外線の一部又は全部を定着ベルト21に向けて透過する赤外線透過部として機能する。なお、図3を参照して、対向部材23は、その幅方向両端部が定着装置20の側板43に保持部材41を介して固定支持されている。
このように、対向部材23(赤外線透過部)がヒータ26から照射された赤外線を透過することで、定着ベルト21がヒータ26によって直接的に加熱されることになり、定着ベルト21の加熱効率が向上する。すなわち、定着装置20のウォームアップ時間やファーストプリント時間が短縮化されるとともに、定着ベルト21を所望の温度に加熱する際に必要な消費電力も小さくすることができる。
このように、赤外線透過部の主部として機能する部分を定着ベルト21に接触しないように形成することで、ヒータ26から射出された赤外線によって直接的に加熱される定着ベルト21から対向部材23への熱伝導による熱損失を少なくすることができるため、定着ベルト21の加熱効率の低下を抑止することができる。
また、反射板25(反射部材)は、上述したヒータ26の位置に合わせて、補強部材24においてヒータ26に対向する対向面(図2の右側の対向面である。)にのみ設置されている。そして、図4中の破線矢印で示すように、ヒータ26から照射されて反射板25に入射した赤外線が対向部材23に向けて反射して、その後に対向部材23を透過して定着ベルト21に達することで、定着ベルト21の加熱効率がさらに向上することになる。
これにより、ヒータ26から照射されて対向部材23(赤外線透過部)を透過して定着ベルト21に達した赤外線は、定着ベルト21の内部において、さらに基層21aを透過して弾性層21bや離型層21cに効率的に吸収されることになる。このため、定着ベルト21の外周面(トナー像の加熱・溶融に直接的に寄与する部分である。)が効率的に加熱されることになる。
これにより、赤外線の透過性を向上させるために対向部材23を薄肉化した場合であっても、対向部材23が撓んで定着ベルト21の内周面が強くこすれる不具合や、対向部材23が撓んで定着ベルト21の駆動トルクが増加する不具合等が抑止される。すなわち、圧接部材22や補強部材24は、加圧ローラ31から加圧力を受けてある程度撓むものの、対向部材23に撓みは生じない。
なお、上述した材料は、いずれも、放射波長が1.5μmの赤外線(本実施の形態におけるヒータ26から射出される赤外線である。)に対して、80%以上を透過するものである。
なお、本実施の形態では、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径と同等になるように形成したが、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径よりも小さくなるように形成することもできる。その場合、ニップ部における定着ベルト21の曲率が加圧ローラ31の曲率よりも小さくなるために、ニップ部から送出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離され易くなる。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、ヒータ26に電力が供給されるとともに、加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、加圧ローラ31との摩擦力によって、定着ベルト21も図2中の矢印方向に従動(回転)する。
その後、給紙部12〜14から記録媒体Pが給送されて、作像部4にて記録媒体P上に未定着画像が担持される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、ガイド板35に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。
そして、対向部材23(ヒータ26)によって加熱された定着ベルト21による加熱と、圧接部材22(定着ベルト21)及び加圧ローラ31の押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
図5は、本実施の形態における定着装置20と、従来の定着装置(赤外線を透過しない熱伝導性金属材料で形成された対向部材が設置されたものである。)と、を用いて、ウォームアップ時間を比較した実験結果を示すグラフである。また、図6は、本実施の形態における定着装置20と、従来の定着装置と、を用いて、複写機の消費電力の指標であるTEC値を比較した実験結果を示すグラフである。なお、いずれの定着装置も、1分間当りの通紙枚数が35枚のものである。
図5及び図6から、本実施の形態における定着装置20を用いることにより、ウォームアップ時間が2.3秒ほど短縮化され、TEC値(消費電力)が62Whほど低減されることがわかる。
そして、その場合にも、少なくとも赤外線透過部を一部に設けたことによる定着ベルト21の加熱効率向上と消費電力低減とが達成されて、本実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
20 定着装置、
21 定着ベルト(ベルト部材)、
22 圧接部材、
23 対向部材、
24 補強部材、
25 反射板(反射部材)、
26 ヒータ(熱源)、
31 加圧ローラ(加圧回転体)、
40 温度センサ、 P 記録媒体。
Claims (7)
- 所定方向に走行してトナー像を加熱・溶融するとともに、可撓性を有する無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材の内周面側に固設されて、当該ベルト部材を介して加圧回転体に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する圧接部材と、
前記ニップ部を除く位置で前記ベルト部材の内周面に対向するように固設されて、前記ベルト部材の走行時の姿勢を保持する対向部材と、
前記対向部材の内周面に対向するように設置されるとともに、赤外線を照射する熱源と、
を備え、
前記対向部材は、
前記ニップ部に対して前記ベルト部材の走行方向上流側と、走行方向下流側と、それらの間となる走行方向中央部と、に対応する位置に前記ベルト部材に接触する接触部がそれぞれ形成されて、
前記走行方向上流側の接触部と、前記走行方向中央部の接触部と、の間において前記ベルト部材に接触しないように形成された非接触部に、前記熱源が近接されて、
少なくとも前記非接触部が、前記熱源から照射された赤外線の一部又は全部を前記ベルト部材に向けて透過する材料で形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記対向部材は、前記加圧回転体の回転軸方向にみたときに、前記接触部が円弧状に形成され、前記非接触部が直線状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記ベルト部材は、
前記対向部材に対向する内周面側に配設されて、赤外線の一部又は全部を透過する赤外線透過層と、
前記赤外線透過層に対して外周面側に積層されて、赤外線の全部又は一部を吸収する赤外線吸収層と、
を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。 - 前記熱源を介して前記対向部材の内周面に対向する位置に、前記熱源から照射された赤外線の一部又は全部を前記対向部材における前記非接触部に向けて反射する反射部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記対向部材の内周面側に固設されて前記圧接部材に当接して当該圧接部材を補強する補強部材をさらに備え、
前記反射部材は、前記補強部材において前記熱源に対向する面に設置されたことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。 - 前記材料は、耐熱ガラス、又は、ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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