JP5780045B2 - 発振装置 - Google Patents

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  • Oscillators With Electromechanical Resonators (AREA)
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Description

本発明は、水晶振動子が置かれる温度を検出し、温度検出結果に基づいて出力周波数の温度補償を行う発振装置に関する。
水晶発振器は、極めて高い周波数安定度が要求されるアプリケーションに組み込まれる場合には、通常OCXOが一般的に用いられているが、OCXOは装置が大掛かりであり、消費電力が大きい。このため簡素な構成であり、消費電力の少ないTCXOを利用することが検討されているが、TCXOは温度に対する周波数安定度がOCXOに比べて劣る欠点がある。
図19はTCXOの一般的な構成を示している。90は水晶振動子、91は発振回路であり、制御電圧発生部93から電圧可変容量素子92に供給される制御電圧を変えることにより、電圧可変容量素子92の容量をコントロールして発振周波数(出力周波数)が調整される。
水晶振動子90は温度に応じて周波数が変化するため、制御電圧発生部93は、温度検出器94により検出した温度に応じて制御電圧を補正している。具体的には、水晶振動子90の周波数温度特性を基準温度にて正規化した関数である例えば3次関数をメモリ95内に格納し、この関数(周波数温度特性)に基づいて温度検出値に対応する周波数を読み出す。即ち基準温度時の周波数に対してそのときの温度おける周波数がどのくらいずれているかを読み出し、この周波数のずれ分に対応する制御電圧を温度補償量として、基準温度時の周波数に対応する制御電圧から差し引くようにしている。
しかしながら、きめ細かな温度補正制御を行おうとすると、周波数温度特性の関数を規定するデータ量が大きくなり、メモリ95として大容量のものが必要になることから高価なものになってしまう。また温度検出器としては通常サーミスタが用いられることから、前記データ量を大きくしても、温度検出器の検出精度の限界により、周波数精度の向上が期待できない。
更に温度検出器94と水晶振動子90とは、配置位置が異なることから、水晶振動子90の実際の温度情報を正確に得ることができないため、この点からも周波数精度の向上が期待できない。
特許文献1の図2及び図3には、共通の水晶片に2対の電極を設けて2つの水晶振動子(水晶共振子)を構成することが記載されている。また段落0018には、温度変化に応じて2つの水晶振動子の間で周波数差が現れるので、この周波数差を計測することにより温度を計測することと同じになると記載されている。そしてこの周波数差Δfと補正すべき周波数の量との関係をROMに記憶させ、Δfに基づいて周波数補正量を読み出している。
しかしながらこの手法は、段落0019に記載されているように、所望の出力周波数f0と、2つの水晶振動子の夫々の周波数f1、f2と、について、f0≒f1≒f2の関係となるように水晶振動子の調整を行う必要があるため、水晶振動子の製造工程が複雑になる上、高い歩留まりが得られないという課題がある。更にまた図4に示されているように、各水晶振動子からの周波数信号であるクロックを一定時間カウントしてその差分(f1−f2)を求めているため、検出時間に検出精度が直接影響し、高精度な温度補償が困難である。
特開2001−292030号
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、発振装置において、環境温度が基準温度と異なることに起因する発振周波数の変動を補正するための関数を規定するデータの量を抑え、当該データを記憶するメモリの容量を小さくすることができる技術を提供することである。
本発明の発振装置は、環境温度の検出結果に基づいて出力周波数を設定するための設定信号を補正する発振装置において、
水晶片に第1の電極を設けて構成した第1の水晶振動子と、
水晶片に第2の電極を設けて構成した第2の水晶振動子と、
これら第1の水晶振動子及び第2の水晶振動子に夫々接続された第1の発振回路及び第2の発振回路と、
第1の発振回路の発振周波数をf1、基準温度における第1の発振回路の発振周波数をf1r、第2の発振回路の発振周波数をf2、基準温度における第2の発振回路の発振周波数をf2rとすると、f1とf1rとの差分に対応する値と、f2とf2rとの差分に対応する値と、の差分値に対応する差分対応値を求める周波数差検出部と、
この周波数差検出部にて検出された前記差分対応値xに基づいて環境温度が基準温度と異なることに起因するf1の周波数補正値を取得する補正値取得部と、を備え、
イ)多項式の係数を小さくするために導入した装置固有の除算係数をkとすると、前記補正値取得部は、x/kに相当する値であるXについてn(nは4以上)次の多項式を演算することによりf1の周波数補正値を求める機能を備え、
ロ)前記除算係数kは、測定温度範囲において予め検出した前記差分対応値の最大値に応じて予め設定された値であり、
ハ)発振装置の出力は、前記第1の発振回路の出力を利用して生成され、
ニ)前記補正値取得部にて求めた前記周波数補正値に基づいて前記設定信号を補正するように構成したことを特徴とする発振装置。
前記補正値取得部は、例えば
乗算部と、
この乗算部の出力を前記除算係数kで除算する除算部と、
この除算部の出力を前記多項式の定数に順次積算する積算部と、
前記除算部の出力と前記差分対応値xとを切り替えて前記乗算部に出力する第1の切り替え部と、
前記差分対応値xと多項式の各次数における係数とを切り替えて前記乗算部に出力する第2の切り替え部と、を備え、
前記第1の切り替え部及び第2の切り替え部の切り替え動作により両切り替え部からの値を乗算し、加算部から多項式の演算値を出力するように構成する。
本発明は、環境温度の検出結果に基づいて出力周波数を補正する発振装置において、第1及び第2の発振回路の発振周波数をf1、f2とし、基準温度における第1及び第2の発振回路の発振周波数を夫々f1r、f2rとすると、これらf1、f2、f1r、f2rから得られる差分対応値を予め設定した最大値で正規化した値xに基づいて環境温度が基準温度と異なることに起因するf1の周波数補正値を取得する補正値取得部を備え、予め設定された除算係数をkとすると、前記補正値取得部は、x/kに相当する値であるXについてn次の多項式を演算することによりf1の周波数補正値を求める機能を備える。これによって多項式の係数の絶対値を小さくすることができ、この係数を格納するメモリの容量を抑えることができる。
本発明の実施形態の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の一部を示すブロック図である。 図2に示す一部の出力の波形図である。 図2に示す、DDS回路部を含むループにおいてロックしていない状態を模式的に示す各部の波形図である。 図2に示す、DDS回路部を含むループにおいてロックしている状態を模式的に示す各部の波形図である。 上記の実施形態に対応する実際の装置について前記ループにおける各部の波形図である。 第1の発振回路の周波数f1及び第2の発振回路の周波数f2と温度との関係を示す周波数温度特性図である。 f1、f2の各々を正規化した値と温度との関係を示す周波数温度特性図である。 f1を正規化した値と温度との関係、及びf1を正規化した値とf2を正規化した値との差分ΔFと温度との関係を示す周波数温度特性図である。 図9の縦軸を正規化した値と、周波数補正値との関係を示す特性図である。 補正値演算部を示すブロック図である。 発振装置を製造するための装置のブロック図である。 温度に対する周波数偏差の変化を示すグラフ図である。 温度に対する周波数偏差の変化を示すグラフ図である。 装置毎の補正値の誤差量の関係を示すグラフ図である。 温度に対する周波数偏差の変化を示すグラフ図である。 温度に対する周波数偏差の変化を示すグラフ図である。 温度に対する周波数偏差の変化を示すグラフ図である。 従来のTCXOを示す構成図である。
図1は本発明の発振装置の実施形態の全体を示すブロック図である。この発振装置は、設定された周波数の周波数信号を出力する周波数シンセサイザとして構成され、水晶振動子を用いた電圧制御発振器100と、この電圧制御発振器100におけるPLLを構成する制御回路部200と、この制御回路部200に入力される基準クロックの温度補償を行う温度補償部と、を備えている。温度補償部については符号を付していないが、図1における制御回路部200よりも左側部分に相当する。
この制御回路部200は、DDS(Direct Digital Synthesizer)回路部201から出力するリファレンス(参照用)クロックと、電圧制御発振器100の出力を分周器204で分周したクロックの位相とを位相周波数比較部205にて比較し、その比較結果である位相差が位相周波数比較部205の後段に設けられる図示しないチャージポンプによりアナログ化される。アナログ化された信号はループフィルタ206に入力され、PLL(Phase locked loop)が安定するように制御される。従って制御回路部200は、PLL部であると言うこともできる。ここでDDS回路部201は、後述の第1の発振回路1から出力される周波数信号を基準クロックとして用い、目的とする周波数の信号を出力するための周波数データ(ディジタル値)が入力されている。
しかし前記基準クロックの周波数が温度特性をもっているため、この温度特性をキャンセルするためにDDS回路部201に入力される前記周波数データに後述の周波数補正値に対応する信号を加算している。図1ではこの構成については略記してあるが、DDS回路部201に入力される周波数データを補正することで、基準クロックの温度特性変動分に基づくDDS回路部201の出力周波数の温度変動分がキャンセルされ、結果として温度変動に対して参照用クロックの周波数が安定し、以って電圧制御発振器100からの出力周波数が安定することになる。
温度補償部は、第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20を備えており、これら第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20は、共通の水晶片Xbを用いて構成されている。即ち例えば短冊状の水晶片Xbの領域を長さ方向に2分割し、各分割領域(振動領域)の表裏両面に励振用の電極を設ける。従って一方の分割領域と一対の電極11、12とにより第1の水晶振動子10が構成され、他方の分割領域と一対の電極21、22とにより第2の水晶振動子20が構成される。このため第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20は熱的に結合されたものということができる。
第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20には夫々第1の発振回路1及び第2の発振回路2が接続されている。これら発振回路1、2の出力は、いずれについても例えば水晶振動子10、20のオーバートーン(高調波)であってもよいし、基本波であってもよい。オーバートーンの出力を得る場合には、例えば水晶振動子と増幅器とからなる発振ループ内にオーバートーンの同調回路を設けて、発振ループをオーバートーンで発振させてもよい。あるいは発振ループについては基本波で発振させ、発振段の後段、例えばコルピッツ回路の一部である増幅器の後段にC級増幅器を設けてこのC級増幅器により基本波を歪ませると共にC級増幅器の後段にオーバートーンに同調する同調回路を設けて、結果として発振回路1、2からいずれも例えば3次オーバートーンの発振周波数を出力するようにしてもよい。
ここで便宜上、第1の発振回路1から周波数f1の周波数信号が出力され、第2の発振回路2から周波数f2の周波数信号が出力されるものとすると、周波数f1の周波数信号は、前記制御回路部200に基準クロックとして供給される。 3は周波数差検出部であり、この周波数差検出部3は概略的な言い方をすれば、f1とf2との差分と、Δfrとの差分である、ΔF=f2−f1−Δfrを取り出すための回路部である。Δfrは、基準温度例えば25℃におけるf1とf2との差分である。f1とf2との差分の一例を挙げれば、例えば数MHzである。本発明は、周波数差検出部3によりf1とf2との差分に対応する値と、基準温度例えば25℃におけるf1とf2との差分に対応する値との差分であるΔFを計算することにより成り立つ。この実施形態の場合、より詳しく言えば、周波数差検出部3で得られる値は{(f2−f1)/f1}−{(f2r−f1r)/f1r}]である。ただし、図面では周波数差検出部3の出力の表示は略記している。
図2は、周波数差検出部3の具体例を示している。31はフリップフロップ回路(F/F回路)であり、このフリップフロップ回路31の一方の入力端に第1の発振回路1からの周波数f1の周波数信号が入力され、他方の入力端に第2の発振回路2から周波数f2の周波数信号が入力され、第1の発振回路1からの周波数f1の周波数信号により第2の発振回路2からの周波数f2の周波数信号をラッチする。以下において記載の冗長を避けるために、f1、f2は、周波数あるいは周波数信号そのものを表しているとして取り扱う。フリップフロップ回路31は、f1とf2との周波数差に対応する値である(f2−f1)/f1の周波数をもつ信号が出力される。
フリップフロップ回路31の後段には、ワンショット回路32が設けられ、ワンショット回路32では、フリップフロップ回路31から得られたパルス信号における立ち上がりにてワンショットのパルスを出力する。図3(a)〜(d)はここまでの一連の信号を示したタイムチャートである。
ワンショット回路32の後段にはPLL(Phase Locked Loop)が設けられ、このPLLは、ラッチ回路33、積分機能を有するループフィルタ34、加算部35及びDDS回路部36により構成されている。ラッチ回路33はDDS回路部36から出力された鋸波をワンショット回路32から出力されるパルスによりラッチするためのものであり、ラッチ回路33の出力は、前記パルスが出力されるタイミングにおける前記鋸波の信号レベルである。ループフィルタ34は、この信号レベルである直流電圧を積分し、加算部35はこの直流電圧とΔfrに対応する直流電圧と加算する。Δfrに対応する直流電圧に対応するデータは図2に示すメモリ30に格納されている。
この例では加算部35における符号は、Δfrに対応する直流電圧の入力側が「+」であり、ループフィルタ34の出力電圧の入力側が「−」となっている。DDS回路部36には、加算部35にて演算された直流電圧、即ちΔfrに対応する直流電圧からループフィルタ34の出力電圧を差し引いた電圧が入力され、この電圧値に応じた周波数の鋸波が出力される。PLLの動作の理解を容易にするために図4に極めて模式的に各部の出力の様子を示しておく。装置の立ち上げ時には、Δfrに対応する直流電圧が加算部35を通じてDDS回路部36に入力され、例えばΔfrが5MHzであるとすると、この周波数に応じた周波数の鋸波がDDS回路部36から出力される。
前記鋸波がラッチ回路33により(f2−f1)に対応する周波数のパルスでラッチされるが、(f2−f1)が例えば6MHzであるとすると、鋸波よりもラッチ用のパルスの周期が短いことから、鋸波のラッチポイントは図4(a)に示すように徐々に下がっていき、ラッチ回路33の出力及びループフィルタ34の出力は図4(b)、(c)に示すように−側に徐々に下がっていく。加算部35におけるループフィルタ34の出力側の符号が「−」であることから、加算部35からDDS回路部36に入力される直流電圧が上昇する。このためDDS回路部36から出力される鋸波の周波数が高くなり、DDS回路部36に6MHzに対応する直流電圧が入力されたときに、鋸波の周波数が6MHzとなって図5(a)〜(c)に示すようにPLLがロックされる。このときにループフィルタ34から出力される直流電圧は、Δfr−(f2−f1)=−1MHzに対応した値となる。つまりループフィルタ34の積分値は、5MHzから6MHzへ鋸波が変化するときの1MHzの変化分の積分値に相当するということができる。
この例とは逆に、Δfrが6MHz、(f2−f1)が5MHzの場合には、鋸波よりもラッチ用のパルスの周期が長いためにことから、図4(a)に示すラッチポイントは徐々に高くなり、これに伴い、ラッチ回路33の出力及びループフィルタ34の出力も上昇する。このため加算部35において差し引かれる値が大きくなるので、鋸波の周波数が徐々に下がり、やがて(f2−f1)と同じ5MHzとなったときにPLLがロックされる。このときにループフィルタ34から出力される直流電圧は、Δfr−(f2−f1)=1MHzに対応した値となる。なお、図6は実測データであり、この例では時刻t0にてPLLがロックしている。
ところで既述のように実際には周波数差検出部3の出力、即ち図2に示す平均化回路37の出力は、{(f2−f1)/f1}−{(f2r−f1r)/f1r)の値を34ビットのディジタル値で表した値である。−50℃付近から100℃付近までのこの値の集合は、(f1−f1r)/f1r=OSC1(単位はppmあるいはppb)、(f2−f2r)/f2r=OSC2(単位はppmあるいはppb)とすると、温度に対する変化はOSC2−OSC1と実質同じカーブとなる。従って周波数差検出部3の出力は、OSC2−OSC1=温度データとした取り扱うことができる。
またフリップフロップ31においてf2をf1によりラッチする動作は非同期であることから、メタステーブル(入力データをクロックのエッジでラッチする際、ラッチするエッジの前後一定時間は入力データを保持する必要があるが、クロックと入力データとがほぼ同時に変化することで出力が不安定になる状態)など不定区間が生じる可能性もあり、ループフィルタ34の出力には瞬間誤差が含まれる可能性がある。上記のPLLではループフィルタ34の出力を、温度に対応する値であるΔfrと(f2−f1)との差分として取り扱っていることから、ループフィルタ34の出力側に、予め設定した時間における入力値の移動平均を求める平均化回路37を設け、前記瞬間誤差が生じても取り除くようにしている。平均化回路37を設けることにより、最終的に変動温度分の周波数ずれ情報を高精度に取得することができる。
PLLのループフィルタ34にて得られた変動温度分の周波数ずれ情報、この例ではΔfr−(f2−f1)は、図1に示す補正値取得部である補正値演算部4に入力され、ここで周波数の補正値が演算される。補正値演算部4に関して述べる前に図7から図10を参照して周波数ずれ情報と周波数補正値とについて説明する。図7は、f1及びf2を基準温度で正規化し、温度と周波数との関係を示す特性図である。ここでいう正規化とは、例えば25℃を基準温度とし、温度と周波数との関係について基準温度における周波数をゼロとし、基準温度における周波数からの周波数のずれ分と温度との関係を求めることを意味している。第1の発振回路1における25℃のときの周波数をf1r、第2の発振回路2における25℃のときの周波数をf2rとすると、つまり25℃におけるf1、f2の値を夫々f1r、f2rとすると、図7の縦軸の値は(f1−f1r)及び(f2−f2r)ということになる。
また図8は、図7に示した各温度の周波数について、基準温度(25℃)における周波数に対する変化率を表わしている。従って図8の縦軸の値は、(f1−f1r)/f1r及び(f2−f2r)/f2rであり、これらの値を夫々OSC1及びOSC2で表わすこととする。なお図8の縦軸の値の単位はppmである。
ここで周波数差検出部3の説明に戻ると、既述のようにこの実施形態では周波数差検出部3は、(f2−f2r)−(f1−f1r)=f2−f1−Δfr、そのものの値ではなく、OSC2−OSC1を求める演算を行っている。つまり、各周波数が基準温度からどのくらいの比率で外れているかを示す比率の値について、f2における比率とf1における比率との差分を求めているということである。ラッチ回路33には(f2−f1)に対応する周波数信号が入力されるが、PLLループの中には鋸波が入ってくることから、このような計算を行うように回路を組むことができる。周波数差検出部3の出力が34ビットのディジタル値であるとすると、例えば1ビット当たり0.058(ppb)の値を割り当てており、OSC2−OSC1の値は、0.058(ppb)までの精度が得られていることになる。なお1ビット当たり0.058(ppb)の値に設定できる根拠は、後述の(2)〜(4)式に基づく。この段階で図6の説明をすると、図6はf1とf2との周波数差(正確には周波数の変化率の差)OSC2−OSC1が40ppmである場合において、実際の回路に組み込まれたラッチ回路33及びループフィルタ34の出力値である。
図9は、OSC1と温度との関係(図8と同じである)、及び(OSC2−OSC1)と温度との関係を示しており、(OSC2−OSC1)が温度に対して直線関係にあることが分かる。従って(OSC2−OSC1)は基準温度からの温度変動ずれ分に対応していることが分かる。そして一般的には水晶振動子の周波数温度特性は3次関数で表わされると言われていることから、この3次関数による周波数変動分を相殺する周波数補正値と(OSC2−OSC1)との関係を求めておけば、(OSC2−OSC1)の検出値に基づいて周波数補正値が求まることになる。
この実施形態の発振装置は、既述のように第1の発振回路1から得られる周波数信号(f1)を図1に示す制御回路部200の基準クロックとして用いており、この基準クロックに周波数温度特性が存在することから、基準クロックの周波数に対して温度補正を行おうとしている。このため先ず基準温度で正規化した温度とf1との関係を示す関数を予め求めておき、この関数によるf1の周波数変動分を相殺するための関数を図10のように求めておく。従って図10の縦軸は−OSC1である。この例では温度補正を高精度に行うために前記関数を例えば9次関数として定めている。
既述のように温度と(OSC2−OSC1)とが直線関係にあることから、図10の横軸は、(OSC2−OSC1)の値としているが、(OSC2−OSC1)の値をそのまま用いると、この値を特定するためのデータ量が多くなることから、(OSC2−OSC1)の値を正規化している。この場合の正規化とは、発振装置が実際に使用されるであろう上限温度及び下限温度を定めておき、上限温度と下限温度との間の温度範囲における(OSC2−OSC1)の各値を−1から+1までの範囲の数値として取り扱う。具体的には例えば、上記の温度範囲において周波数偏差量(OSC2−OSC1)が−30ppm〜+30ppmの範囲で変動するものと想定し、(OSC2−OSC1)を−30ppmで除した値を上記Xの値として取り扱う。つまり、この例では図10に示すように−30ppmを+1とし、+30ppmを−1としている。
水晶振動子における温度に対する周波数特性は、この例では9次の多項近似式として取り扱っている。具体的には、水晶振動子の生産時に(OSC2−OSC1)と温度との関係を実測により取得し、この実測データから、温度に対する周波数変動分を相殺する、温度と−OSC1との関係を示す補正周波数曲線を導き出し、最小二乗法により9次の多項近似式係数を導き出している。そして多項近似式係数を予めメモリ30(図1参照)に記憶しておき、補正値演算部4は、これら多項近似式係数を用いて下記の(1)式の演算処理を行う。
Y=P9・X +P8・X +P7・X +P6・X +P5・X +P4・X +P3・X +P2・X +P1・X+P0 ………(1)
(1)式においてXは周波数差検出情報、Yは補正データ、P0〜P9は多項近似式係数である。
ここでXについて詳しく説明する。図1に示す周波数差検出部3により得られた値、即ち図2に示す平均化回路37により得られた値、つまり(OSC2−OSC1)の値をxとすると、X=x/kである。このkは、予めメモリ30に記憶された除算係数であり、装置の固有の定数である。このようにxはkで除算されることで、既述のように−1から+1の範囲に正規化された数値Xとして取り扱われる。除算係数kについて更に説明すると、発振装置が用いられる温度範囲において、正規化された前記Xは−1〜+1の範囲で変動することを想定している。しかし、水晶振動子10、20の加工精度のばらつきなどにより仮に各装置においてkを一律の値に設定した場合に、装置によってはXの変動範囲が−1〜+1の範囲に比べて非常に小さくなる場合がある。後述するように上記(1)式において、このように変動範囲が小さいXを用いて係数P0〜P9を設定すると、これらP0〜P9の絶対値が大きくなり、メモリ30の容量が大きくなってしまう。そこで、上記のように除算係数kを用いてXを算出し、正規化を行うと共にXの変動範囲を予め想定された−1〜+1に近づける。このXを用いて多項式近似係数Pの設定を行うことで、Pの値の絶対値が大きくなることを抑える。前記温度範囲において、0を中心としたOSC2−OSC1の変動幅が小さいほど、除算係数kとしては絶対値が小さな数値が用いられる。
続いて、補正値演算部4の構成について図11を用いて説明する。401、402は第1及び第2のマルチプレクサである。第1及び第2のマルチプレクサ401、402は、その前段側の周波数差検出部3に互いに並列に接続され、前記xが入力される。第2のマルチプレクサ402にはメモリ30からP1〜P9の多項近似式係数が入力される。第1及び第2のマルチプレクサ401、402の後段には演算部403が設けられている。演算部403は前段側の乗算部404と、後段側の除算部405とからなる。
除算部405は、乗算部404からの出力をメモリ30に記憶される除算係数kを用いて除算し、上記の正規化を行って後段に出力する。除算部405の後段は加算部406に接続されており、また、除算部405の出力が第1のマルチプレクサ401の入力へ帰還されるように、第1のマルチプレクサ401と除算部405とが接続されている。加算部406の後段にはラッチ回路407が設けられており、加算部406の出力がラッチされる。ラッチ回路407の後段は、丸め処理を行う回路408に接続されており、また、ラッチ回路407の出力が加算部406に帰還されるようにラッチ回路407と加算部406とが接続されている。加算部406及びラッチ回路407を加算回路409と記載する。
この補正値演算部4にて、近似式(1)の各項が演算される工程を説明する。第1のマルチプレクサ401からxが、第2のマルチプレクサ402から係数P1が夫々出力され、演算部403でx×P1×1/k=P1・Xが演算され、マルチプレクサ401に出力される。また、マルチプレクサ401、402から夫々xを出力し、演算部403でx×x×1/kを演算する。次いでこの演算結果を第1のマルチプレクサ401から出力すると共に、第2のマルチプレクサ402から係数P2を出力し、演算部403にて、x×x×1/k×P2×1/k=P2・X 〔X=(1/k)〕を演算し、加算回路409に出力する。更にマルチプレクサ401、402から夫々x及びx×x×1/kを出力して、x×(1/k)を得る。この演算結果をマルチプレクサ401から出力、マルチプレクサ402からP3を出力し、x×(1/k)×P3=P3×Xを得る。このように近似式(1)の各項が演算されて加算回路409に入力される。上記したように、除算部405でxの正規化が行われるため、このように加算回路409に入力される各項は正規化されたxを用いた演算値である。加算回路409からは、演算された演算値の合計値(加算値)が出力され、回路408にて丸め処理されて出力される。なお、係数P0は加算部406に予め入力される。
補正値の演算式は9次の多項近似式を用いることに限定されるものではなく、要求される精度に応じた次数、例えば4次以上の多項近似式を用いてもよい。なお、補正値演算部4の入り口で除算部405を用いてx/kを演算してXを算出し、このXを用いて(1)式の各項を算出してもよいが、このように最初にx/kを用いて演算を行うと、xをkで割り切れ無い場合にXは近似値となる。この近似値を用いて以降の計算を行うと、計算精度が低下することになるため、この例では乗算部404によりxの乗算を行った後で除算係数kを用いて除算する構成とし、補正値Yを精度高く算出している。
上記の除算係数kを設定するための設定装置の構成について、図12を参照しながら説明する。図中101は、その内部の温度を可変自在な容器である。具体的には恒温槽やペルチェ素子を利用した容器として構成される。容器101は、その内部に本発明の発振装置を例えば複数収納し、各発振装置は容器101外にて切り替え手段102に接続されている。切り替え手段102は、容器101内の発振装置のうちの一つを交代で例えば周波数カウンタからなる周波数測定手段103及び制御手段101に接続する。周波数測定手段103及び制御手段100に接続された発振装置においては、その第1の発振回路1、第2の発振回路2からの出力周波数f1、f2が測定され、メモリ30へ各係数の書き込みが可能になる。
図中104のメモリは、測定された第1の発振回路1、第2の発振回路2からの出力周波数f1、f2や、演算されたOSC1、OSC2、OSC2−OSC1などを記憶する。また、メモリ104には、|OSC2−OSC1|が取り得る範囲例えば0ppm〜30ppmのうち、互いに異なる範囲A1、A2、A3・・・Anと、係数k1、k2、k3・・・knが互いに対応付けられて記憶されている。この係数k1〜knは互いに異なる数値であり、後述するように除算係数kとして設定され得る値である。補正値算出手段105は、メモリ104に取得されたOSC1、OSC2、OSC2−OSC1に基づいて、上記の補正値Yを算出する。上述の補正値Yを演算する。制御手段100は、容器101の温度や、切り替え手段102の動作を制御する。
上記の設定装置による除算係数kの設定手順について説明する。容器101の温度を発振装置が用いられる温度範囲で変化させながら、周波数測定手段103及び制御部100に接続された発振装置について、温度に対する出力周波数f1、f2(単位:Hz)の特性が測定される。続いて、得られた出力周波数f1、f2の特性に基づいて、温度に対するOSC1、OSC2(単位:ppm)の特性を演算し、さらに温度に対するOSC2−OSC1の特性を演算する。
得られた温度に対するOSC2−OSC1の特性から例えば|OSC2−OSC1|の最大値を検出する。そして、メモリ104に記憶される前記範囲A1〜Anからこの検出した最大値が収まる範囲Aを特定し、係数k1〜knのうち特定されたAに対する係数を除算係数kとして決定する。そして、この除算係数kと、温度に対するOSC2−OSC1の特性とから、多項式近似係数P0〜P9を決定し、決定した除算係数k及び多項式近似係数P0〜P9を発振装置のメモリ30に書き込む。書き込み終了後、他の切り替え手段により、他の発振装置を周波数測定手段103及び制御部100に接続し、同様に除算係数k及び多項式近似係数P0〜P9の設定及び書き込みを行う。以上の一連の動作は制御手段100により行われる。また、OSC1、OSC2は発振装置を構成する水晶振動子によって固有の値になるため、装置毎に適切な除算係数kが設定されることになる。
次に上述の実施の形態の全体の動作についてまとめる。第1の発振回路1から出力される周波数信号は、電圧制御発振器100の制御部200にクロック信号として供給され、本実施形態の冒頭に述べたように制御部200における制御動作により電圧制御発振器100から目的とする周波数の周波数信号が出力される。一方第1の発振回路1及び第2の発振回路2から夫々出力される周波数信号f1、f2は、周波数差検出部3に入力され、既に詳述した動作によりこの例では周波数差検出部3の出力であるPLLの出力が{Δfr−(f2−f1)}に対応する値、この例では(OSC2−OSC1)になったときにロックする。そしてこの値が補正値演算部4に入力され、(1)式の演算が実行されて温度補正データである周波数補正分が得られる。(1)式の演算は、例えば図10に示す特性図において、周波数差検出部3の出力値に基づいて得られた値に対応する補正周波数曲線の縦軸の値を求める処理である。
図1に示すように第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20は共通の水晶片Xbを用いて構成され、互いに熱的に結合されていることから、発振回路1、2の周波数差は、環境温度に極めて正確に対応した値であり、従って周波数差検出部3の出力は、環境温度と基準温度(この例では25℃)との温度差情報である。第1の発振回路1の出力される周波数信号f1は制御部200のメインクロックとして使用されるものであることから、補正値演算部4にて得られた補正値は、温度が25℃からずれたことによるf1の周波数ずれ分に基づく制御部200の動作への影響を相殺するために制御部200の動作を補償するための信号として用いられる。この結果、本実施形態の発振装置1の出力である電圧制御発振器100の出力周波数が温度変動にかかわらず安定したものとなる。
上述の実施の形態によれば、周波数差検出部3から出力されるOSC2−OSC1の出力に対応するxと、装置固有の除算係数kと、多項式近似係数Pとを用いてOSC1の補正値を求めるための近似式(1)が演算される。従って、装置毎に正規化したOSC2−OSC1の値xの変動する範囲が異なっていても、近似式(1)のx/k=Xの絶対値を1に近づけることができるので、このXの累乗値が極端に小さくなることが防がれる結果として、多項式近似係数P0〜P9の絶対値が大きくなることを防ぐことができる。従って、多項式近似係数Pを格納しているメモリ30の容量を抑えることができる。ところで、周波数偏差量(OSC2−OSC1)は、第1及び第2の水晶振動子を構成する水晶片の切り出し角度や、電極膜厚、電極面積などにより変動するが、これらを調整して周波数偏差量を想定した−30ppm〜+30ppmに合わせ込むのは手間である。特に上記の実施形態では共通の水晶片Xbにより第1及び第2の水晶振動子11、12を構成しているため、OSC2−OSC1が所望の範囲で変動するように調整することが難しい。従って、このように除算係数kを設定することが有効である。
繰り返しの説明になるが、この実施形態ではf1とf1rとの差分に対応する値とは、{(f1−f1r)/f1r}(=OSC1)であり、f2とf2rとの差分に対応する値とは{(f2−f2r)/f2r}(=OSC2)であり、f1とf1rとの差分に対応する値と、f2とf2rとの差分に対応する値と、の差分値に対応する値とは、OSC2−OSC1である。しかしながら周波数差検出部3は、f1とf1rとの差分に対応する値と、f2とf2rとの差分に対応する値と、の差分値に対応する値として、(f1−f1r)と(f2−f2r)との差分値そのものを用いてもよく、この場合には、図7のグラフが活用されて温度が求められることになる。
上述の実施形態において、図8から図10の説明では、周波数の変化分を「ppm」単位で表示しているが、実際のディジタル回路では全て2進数での扱いとなるため、DDS回路36の周波数設定精度は構成ビット数で計算され、例えば34ビットである。一例を挙げると、図1に示す制御回路部200に含まれるDDS回路部201に10MHzのクロックを供給する場合においてこのクロックの変動周波数が100Hzの場合
〔変動比率計算〕
100Hz/10MHz=0.00001
〔ppm換算〕
0.00001*1e6=10〔ppm〕
〔DDS設定精度換算〕
0.00001*2^34≒171,799〔ratio−34bit(仮称)〕となる。
上記の構成の場合、前記周波数設定精度は次の(2)式で表わされる。
1×〔ratio−34bit〕=10M〔Hz〕/2^34≒0.58m〔Hz/bit〕 ……(2)
従って100〔Hz〕/0.58m〔Hz/bit〕≒171,799〔bit(ratio−34bit)〕となる。
また、0.58mHzは10MHzに対して、次の(3)式のように計算できる。
0.58m〔Hz〕/10M〔Hz〕*1e9≒0.058〔ppb〕…(3)
従って(2)、(3)式から、(4)式の関係が成り立つ。
1e9/2^34=0.058〔ppb/ratio−34bit〕…(4)
即ちDDS回路36で処理した周波数は消え、ビット数のみの関係となる。
更にまた上述の例では第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20とは共通の水晶片Xbを用いているが、水晶片Xbが共通化されていなくてもよい。この場合、例えば共通の筐体の中に第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20を配置する例を挙げることができる。このような構成によれば、実質同一の温度環境下に置かれるため、同様の効果が得られる。
周波数差検出部3のDDS回路部36の出力信号は、鋸波に限ることなく、時間と共に信号値が増加、減少を繰り返す周波数信号であればよく、例えば正弦波であってもよい。
また周波数差検出部3としては、f1とf2とをカウンタによりカウントし、そのカウント値の差分値からΔfrに相当する値を差し引いて、得られたカウント値に対応する値を出力するようにしてもよい。
補正値演算部4にて求めた補正値は、上述の実施形態のように用いることに限定されるものではなく、発振装置の出力周波数が温度で変動する場合に、補正値を用いて出力周波数の変動分を相殺できるように補償できる構成であれば他の手法で補正してもよい。例えば図19に示すTCXOにおいて、温度検出器94の出力に代えて周波数差検出部3で得られた周波数差情報を用い、この情報に基づいて周波数補正量に見合う制御電圧の補償分を求め、制御電圧発生部93にて前記補償分と基準温度における周波数を出力するための基準電圧とを加算して制御電圧としてもよい。周波数差情報から周波数補正量を求める手法は、先の実施形態のように多項近似式に限らず、メモリに予め周波数差情報と周波数補正量との関係を示すテーブルを格納して、このテーブルを参照する手法であってもよい。
以上の実施の形態では、第1の水晶振動子10と第2の水晶振動子20との周波数差をいわば温度計測値として用い、この温度計測値に基づいて第1の水晶振動子10の温度変動に対する周波数補正値を求めている。しかし本発明は、周波数補正の対象となる水晶振動子と、いわば温度計を構成する2つの水晶振動子の一方とを共通化しない構成を取った場合にも特許請求の技術的範囲に含まれる。
この場合の前記補正値取得部は、
周波数差検出部にて検出された前記差分値に対応する値と、前記差分値に対応する値と第1の発振回路の発振周波数f1の周波数補正値と、の関係に基づいて、f1の周波数補正値を取得することに代えて、
周波数差検出部にて検出された前記差分値に対応する値と、前記差分値に対応する値と第1の水晶振動子及び第2の水晶振動子とは異なる他の水晶振動子を発振させる他の発振回路の発振周波数f0の周波数補正値と、の関係に基づいて、f0の周波数補正値を取得するものであるということができる。
(参考試験1)
以下に本発明に関連する参考試験について説明する。上記の実施形態では、OSC2−OSC1を−1〜+1の範囲に正規化しているが、このように正規化を行うことの有効性について説明する。ただし、以下の各試験では、除算係数kを装置固有の定数として設定しておらず、特に記載しない限りX=正規化したOSC2−OSC1として、多項式近似係数P0〜P9を設定しているものとする。図13には、既述の発振装置において、このように正規化を行って前記多項式近似係数P0〜P9を設定した近似式(1)のグラフを実線で示している。グラフの横軸は正規化したOSC2−OSC1である。グラフの縦軸は近似式(1)のY=−OSC1(単位:ppm)である。図13中の鎖線のグラフは、正規化したOSC2−OSC1と実測された−OSC1との関係を示している。実際には実線と鎖線のグラフは互いに重なりあっているが、図13では見やすくするために若干上下にずらしている。
図14にはOSC2−OSC1について、正規化を行わずに多項式近似係数P0〜P9を設定した近似式(1)のグラフを実線で示している。グラフの横軸はOSC2−OSC1(単位:ppm)である。グラフの縦軸は図13と同様、Y=−OSC1である。また、図14には鎖線で実測された−OSC1と(OSC2−OSC1)との関係を示すグラフを示している。このように、正規化を行わない図14の場合、正規化を行った図13に比べて近似式(1)により演算される−OSC1と、−OSC1の実測値との間の相関が低い。
正規化を行わない場合、近似式(1)により演算される−OSC1と、−OSC1の実測値との間の相関が低くなる理由は以下である。グラフ横軸のOSC2−OSC1の値が1より大きくなればなるほど、近似式(1)のX(nは9〜1)の値もべき乗の次数に応じて大きくなるため、P0〜P9の値を小さくしなければ、所望の補正値を得ることが出来なくなる。一方ディジタル処理で補正値演算を行うには、一般的には処理のし易い整数で行うため、小数点以下の係数はゼロ(0)とする必要がある。
(nは9〜1)のべき乗の次数が大きければ大きいほど、対応するPn(nは9〜1)の値も小さくしなければならず、結果、整数化することにより高次の項がゼロ(0)になり易く、図14のような低次項のみに相当する演算結果が現れる。従って、多項式近似係数P0〜P9は、上記の正規化を行って設定することが有効である。
(参考試験2)
上記のように周波数温度特性の実測データに対して多項式近似係数を算出するが、実測データには測定誤差が含まれている場合があるため、例えば同じ水晶振動子の周波数温度特性を複数回取得した場合に毎回同じ近似係数P0〜P9が得られない場合がある。従って、装置の周波数の補正精度には近似係数の誤差が影響することになる。そこで、設定した近似係数が本来の近似係数から測定誤差などの影響によりずれた場合の実測データとの乖離量(誤差量)が、正規化を行うことによりどの程度になるかを確認するためにこの参考試験2を行った。
所定の温度範囲内においてOSC2−OSC1の最大値が互いに異なる装置の実測された−OSC1と、P9を算出された値に+1を加算した値に設定した近似式(1)を用いて演算された−OSC1との差分、即ち補正誤差量(単位:ppb)を測定した。OSC2−OSC1は、上記の実施形態と同様に−30ppm〜+30ppmの範囲でXが−1〜+1となるように正規化を行っている。なお、P0〜P9のうちP9の設定を変更したのは、近似式(1)において高次数の項ほど近似係数のずれの影響が大きくなるため、このようにP9を変更することで前記乖離量が明確になるためである。
図15(a)のグラフの横軸は、装置毎のOSC2−OSC1の最大値、縦軸は前記補正誤差量を示している。図15(b)は、図15(a)のグラフにおいてOSC2−OSC1=30ppm付近を詳しく示したグラフである。この図15(b)に示すように、OSC2−OSC1が30ppmを超えると補正誤差量が急激に大きくなる。このようにOSC2−OSC1が変化する理由を説明すると、OSC2−OSC1が30ppm以下の場合、OSC2−OSC1の正規化後の値の絶対値は1以下の値となるため、近似式(1)に含まれるXの計算値の絶対値が1以下となる。しかし、30ppmを超えると、OSC2−OSC1の正規化後の値は1より大きい値となるため、Xの計算値はOSC2−OSC1の増加により指数関数的に増加することになる。つまり、P9の値が+1ずれただけでも計算値が大きく変わるためであり、この実験より実際に誤差が大きくなることが示された。従って、補正誤差量を抑えるためには、実際にOSC2−OSC1が変化する範囲が、正規化する範囲を超えないように設定する、つまりOSC2−OSC1の最大値を用いて設定することが有効である。
(参考試験3)
上記のようにOSC2−OSC1は−30ppm〜+30ppmで変動することを想定しているが、図16(a)では、OSC2−OSC1の変動範囲が略想定したとおり−28ppmから+28ppmとなる装置のOSC1、OSC2の温度に対する特性を示している。図16(b)ではOSC2−OSC1の変動範囲が想定した範囲を大きく下回り、−12ppmから+12ppmとなる装置のOSC1、OSC2の温度に対する特性を示している。図17(a)のグラフは、図16(a)のOSC1、OSC2から得られた近似式(1)の特性を示している。グラフ中の横軸は正規化したOSC2−OSC1=X、縦軸はY(単位:ppm)を夫々示している。また、図17(b)のグラフは、図16(b)のOSC1、OSC2から得られた近似式(1)の特性を示している。グラフの縦軸及び横軸は図17(b)のグラフと同様である。
図17(a)のグラフの多項式近似係数P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1、P0は、夫々−9015、−2369、16128、4850、−9461、−3392、−12488、2386、11257、−244である。一方、図17(b)のグラフの多項式近似係数P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1、P0は夫々−25644683、−5272937、7770083、1534404、−778158、−155195、−172031、14684、27014、−247である。このように図17(b)のグラフの多項式近似係数P1〜P9の絶対値は、図17(a)のグラフの多項式近似係数P1〜P9の絶対値よりも大きい。従って、上記の実施形態のようにXが−1〜+1の範囲に広く分布するように除算係数kを設定し、X=x/kとして近似式(1)の各係数を設定することが有効である。
(参考試験4)
図18は、図17(b)の特性を持つ装置のOSC2−OSC1を、−30ppm〜+30ppmで正規化する代わりに−12ppm〜+12ppmで正規化して得られた近似式(1)の特性を示すグラフである。つまり、OSC2−OSC1=−12ppmのときX=+1、OSC2−OSC1=+12ppmのときX=-1として取り扱っている。このグラフでは、各多項式近似係数P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1、P0は、夫々−6723、−3456、12731、6285、−7968、−3973、−11010、2379、10806、−247であり、−30ppm〜+30ppmで正規化したときの各数値より小さい。このように装置毎に正規化するOSC2−OSC1の範囲の設定を変えることで、後述の実験に示すように多項式近似係数Pの絶対値の上昇を抑えることができるが、装置を構成する回路を個別に設計することになるため手間やコストがかかってしまう。従って、上記の実施形態のように、X=x/kとして近似式(1)の各係数を設定することが有効である。
1 第1の発振回路
2 第2の発振回路
10 第1の水晶振動子
20 第2の水晶振動子
3 周波数差検出部
31 フリップフロップ回路
32 ワンショット回路
33 ラッチ回路
34 ループフィルタ
35 加算部
36 DDS回路部
4 補正値演算部(補正値取得部)
100 電圧制御発振器
200 制御回路部

Claims (2)

  1. 環境温度の検出結果に基づいて出力周波数を設定するための設定信号を補正する発振装置において、
    水晶片に第1の電極を設けて構成した第1の水晶振動子と、
    水晶片に第2の電極を設けて構成した第2の水晶振動子と、
    これら第1の水晶振動子及び第2の水晶振動子に夫々接続された第1の発振回路及び第2の発振回路と、
    第1の発振回路の発振周波数をf1、基準温度における第1の発振回路の発振周波数をf1r、第2の発振回路の発振周波数をf2、基準温度における第2の発振回路の発振周波数をf2rとすると、f1とf1rとの差分に対応する値と、f2とf2rとの差分に対応する値と、の差分値に対応する差分対応値を求める周波数差検出部と、
    この周波数差検出部にて検出された前記差分対応値xに基づいて環境温度が基準温度と異なることに起因するf1の周波数補正値を取得する補正値取得部と、を備え、
    イ)多項式の係数を小さくするために導入した装置固有の除算係数をkとすると、前記補正値取得部は、x/kに相当する値であるXについてn(nは4以上)次の多項式を演算することによりf1の周波数補正値を求める機能を備え、
    ロ)前記除算係数kは、測定温度範囲において予め検出した前記差分対応値の最大値に応じて予め設定された値であり、
    ハ)発振装置の出力は、前記第1の発振回路の出力を利用して生成され、
    ニ)前記補正値取得部にて求めた前記周波数補正値に基づいて前記設定信号を補正するように構成したことを特徴とする発振装置。
  2. 前記補正値取得部は、
    乗算部と、
    この乗算部の出力を前記除算係数kで除算する除算部と、
    この除算部の出力を前記多項式の定数に順次積算する積算部と、
    前記除算部の出力と前記差分対応値xとを切り替えて前記乗算部に出力する第1の切り替え部と、
    前記差分対応値xと多項式の各次数における係数とを切り替えて前記乗算部に出力する第2の切り替え部と、を備え、
    前記第1の切り替え部及び第2の切り替え部の切り替え動作により両切り替え部からの値を乗算し、加算部から多項式の演算値を出力するように構成したことを特徴とする請求項1記載の発振装置。
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