本発明の実施形態として、前記第1の配線パターンと前記部品の前記第2の端子電極の前記下面側とを電気的に接続する第3の接続部材である第2のはんだをさらに具備する、とすることができる。これによれば、部品の第1、第2の端子電極がともに第1の配線パターンに電気的に接続される構造になる。このような構成は、部品の両端子電極が、少なくとも、同じひとつの配線層に電気的に接続されているという意味で、むしろ通常と言える構成である。
また、実施態様として、前記第1の接続部材としての前記はんだが、前記部品の前記第1の端部面上にも及ぶように前記部品の前記第1の端子電極の前記下面側と前記第1の配線パターンとの間に位置し、前記第3の接続部材としての前記第2のはんだが、前記部品の前記第2の端部面上にも及ぶように前記部品の前記第2の端子電極の前記下面側と前記第1の配線パターンとの間に位置する、とすることができる。
第1、第3の接続部材としてはんだを用いれば、製造途上で部品実装を行う際の生産性や効率の点で大きな利点になる。部品の第1、第2の端部面上にも及ぶようにはんだを位置させるのは、良好な形状のはんだフィレットを形成して、実装の安定性、信頼性を向上するためである。すずを含有するはんだは、はんだとして一般的である。
また、態様として、前記第2の接続部材が、前記板状絶縁層の厚み方向に一致する軸を有する形状である。このような形状は、板状絶縁層の厚み方向の一部を貫通して設けられる接続部材として、効率性を考慮して考えられるいくつかの製造工程に依拠して必然的に得られるものである。
また、態様として、前記第2の接続部材が、導電性組成物でできた部材である。第2の接続部材には、導電性組成物でできた部材が考えられ、導電性組成物は、板状絶縁層の厚み方向の一部を貫通する部材として使用できる有力で適当な部材である。
また、態様として、前記第2の接続部材としての前記部材が、前記軸の方向において前記部品に近くなるほど径が細くなる形状である、とすることができる。導電性組成物でできた部材である第2の接続部材がこのような形状となるのは、例えば、第2の配線パターンに加工される前の金属箔上にペースト状の導電性組成物をほぼ円錐状に形成し、この頭部をつぶすように塑性変形させていることに由来している。すなわち、効率性を考慮して考えられるひとつの製造工程に依拠した形状である。
また、態様として、前記第2の接続部材としての前記部材が、前記軸の方向に径が変化しない形状である、とすることができる。導電性組成物でできた部材である第2の接続部材がこのような形状となるのは、例えば、板状絶縁層の一部となる層にあらかじめ貫通孔を形成しこの内部に導電性組成物を充填していることに由来している。すなわち、効率性を考慮して考えられる別のひとつの製造工程に依拠した形状である。
また、参考態様として、前記第2の接続部材が、前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから、前記部品の前記第2の端子電極の前記上面側に電気導通するように延設されたビアホール内めっきビアである、とすることができる。第2の接続部材には、その候補としてこのようなビアホール内めっきビアが考えられる。すなわち、ビアホール内めっきビアは、板状絶縁層の厚み方向の一部を貫通する部材として使用できる有力で適当な部材である。
また、実施態様として、前記層間接続体が、前記板状絶縁層の厚み方向に一致する軸を有し該軸の方向において前記第3の配線パターンに近くなるほど径が細くなる形状であり、前記第2の接続部材が、前記板状絶縁層の厚み方向に一致する軸を有しかつ該軸の方向において前記部品に近くなるほど径が細くなる形状である、とすることができる。
これによれば、多層配線化を実現し、加えて層間接続体の形成と第2の接続部材の形成とを同一プロセスで行うことができるので、効率的な製造ができる。
また、実施態様として、前記層間接続体が、前記板状絶縁層の厚み方向に一致する軸を有し該軸の方向に径の変化しない形状であり、前記第2の接続部材が、前記板状絶縁層の厚み方向に一致する軸を有しかつ該軸の方向において該軸の方向に径が変化しない形状である、とすることができる。
これによっても、多層配線化を実現し、加えて層間接続体の形成と第2の接続部材の形成とを同一プロセスで行うことができるので、効率的な製造ができる。
また、参考態様として、前記板状絶縁層の厚みの中間に設けられた第3の配線パターンと、前記第2の配線パターンと前記第3の配線パターンとを電気的に接続する層間接続体と、をさらに具備し、前記層間接続体が、前記第2の配線パターンと電気導通して該第2の配線パターンから、前記第3の配線パターンの面に電気導通するように延設された、前記第2の接続部材と同じ材質でできたビアホール内めっきビアである、とすることができる。
この態様は、第3の配線パターンにより多層配線化を図り、かつこれに関わる層間接続体を第2の接続部材と同じビアホール内めっきビアとしたものである。これによれば、多層配線化を実現し、加えて層間接続体の形成と第2の接続部材の形成とを同一プロセスで行うことができるので、効率的な製造ができる。
また、参考態様として、前記板状絶縁層の厚みの中間に設けられた第3の配線パターンと、前記板状絶縁層の厚み方向の一部を貫通するように前記第1の配線パターンの面と前記第3の配線パターンの面との間に設けられて、該第1の配線パターンと該第3の配線パターンとを電気的に接続する層間接続体と、をさらに具備し、前記第1、第3の接続部材が、それぞれ、前記板状絶縁層の厚み方向に一致する軸を有し該軸の方向において前記部品の前記第1、第2の端子電極の前記下面側に近くなるほど径が細くなる形状の導電性組成物でできた部材であり、前記層間接続体が、前記第1、第3の接続部材と同じ材質の導電性組成物でできており、かつ、前記板状絶縁層の厚み方向に一致する軸を有し該軸の方向において前記第3の配線パターンに近くなるほど径が細くなる形状である、とすることができる。
部品から見て第1、第3の接続部材が設けられる側についても、第2の接続部材が設けられる側と同様に考えることができる。すなわち、この態様は、第3の配線パターンにより多層配線化を図り、かつこれに関わる層間接続体を第1、第3の接続部材と同じ材質の導電性組成物として、その形状も第1、第3の接続部材と同様になるように構成したものである。これによれば、多層配線化を実現し、加えて層間接続体の形成と第1、第3の接続部材の形成とを同一プロセスで行うことができるので、効率的な製造ができる。
また、参考態様として、前記板状絶縁層の厚みの中間に設けられた第3の配線パターンと、前記板状絶縁層の厚み方向の一部を貫通して、前記第1の配線パターンと前記第3の配線パターンとを電気的に接続する層間接続体と、をさらに具備し、前記第1の接続部材が、前記第1の配線パターンと電気導通して該第1の配線パターンから、前記部品の前記第1の端子電極の前記下面側に電気導通するように延設されたビアホール内めっきビアであり、前記層間接続体が、前記第1の配線パターンと電気導通して該第1の配線パターンから、前記第3の配線パターンに電気導通するように延設されたビアホール内めっきビアである、とすることができる。
部品から見て第1の接続部材が設けられる側についても、第2の接続部材が設けられる側と同様に考えることができる。すなわち、これによれば、多層配線化を実現し、加えて層間接続体の形成と第1の接続部材の形成とを同一プロセスで行うことができるので、効率的な製造ができる。
また、実施態様として、前記第1の配線パターンが、該第1の配線パターンの前記板状絶縁層に接する側の面とは反対の側の面上に多層化配線構造のない最外の配線層のパターンである、とすることができる。このような構造にすれば、部品内蔵に関わる板状絶縁層の厚みをより薄くしたことになる。すなわち、より薄型の部品内蔵配線板を得ることができる。
また、実施態様として、前記第2の配線パターンが、該第2の配線パターンの前記板状絶縁層に接する側の面とは反対の側の面上に多層化配線構造のない最外の配線層のパターンである、とすることができる。このような構造にすれば、部品内蔵に関わる板状絶縁層の厚みをより薄くしたことになる。すなわち、より薄型の部品内蔵配線板を得ることができる。
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この部品内蔵配線板は、絶縁層(板状絶縁層)11、同12、同13、配線層(配線パターン)21、同22、同23、同24(=合計4層配線)、層間接続体31、同33、スルーホール導電体32、接続部材33a、表面実装型受動素子部品41、はんだ(接続部材)51、はんだレジスト61、62を有する。なお、符号21rは、配線パターン21の絶縁層11に面する側に形成してある、密着性改善のための粗化面であり、符号41aは、部品41の各端子電極である。
この部品内蔵配線板は、板状絶縁層11、12、13の厚み方向の内部に位置させて表面実装型受動素子部品41を設けている。構造的な特徴は、この部品41が、はんだ(接続部材)51により、板状絶縁層11の一方の外側の面上に設けられた配線パターン21に電気的に接続されるとともに、接続部材33aにより、板状絶縁層13の他方の外側の面上に設けられた配線パターン24にも電気的に接続されている点である。
すなわち、この配線板は、埋め込みの部品41と板状絶縁層11、13の各面上に設けられた配線パターン21、24とが、それぞれ、接続部材51、33aを介して電気的に直に接続された構造であり、これにより部品41は、板状絶縁層11、13のいずれの面上の配線パターン21、24とも、その間の配線長をごく短くして電気的接続ができる。接続部材51、33aは、平面的に見ると部品41と重畳的に位置しており、よって、その分、部品41の端子41aからの導電路の配置密度を向上させることができる。その結果、内部の部品41の配置密度を高めることに寄与できる。また、配線長を短くできることにより電気的特性も優れている。
これらの点は、接続部材33aの存在しない構造と比較すると優位性が明らかである。接続部材33aが存在しない場合、部品41の端子電極41aと、一方の表面にある配線層24との電気的接続は、はんだ51、配線層21、層間接続体31、配線層22、スルーホール導電体32、配線層23、層間接続体33を経由して配線層24に至る経路しかありえず、この経路は、必ず、部品41自体の位置を避けるように層間接続体31、スルーホール導電体32、層間接続体33の構成が必要になる。したがって、このように設けた縦方向導電路により内蔵部品の配置密度の向上には一定の限界が生じ、また、比較すると電気的特性も劣ることになる。
以下、この部品内蔵配線板の構成についてさらにより具体的に説明する。
部品41は、表面実装型受動素子部品(いわゆるチップ抵抗、チップキャパシタ、チップインダクタなど)であり、その形状は直方体状である。チップ抵抗、チップキャパシタの場合、平面的大きさは、例えば、0.6mm×0.3mm(0603型)、0.4mm×0.2mm(0402型)など小型のものが市販されており、部品内蔵の高密度化のためこれらを利用できる。
部品41における直方体の長手方向の一方向側にある端部面およびこの端部面に連なる上面、下面、および両側面のそれぞれ一部が一方の端子電極41aであり、直方体の長手方向の他方向側にある端部面およびこの端部面に連なる上面、下面、および両側面のそれぞれ一部が他方の端子電極41aである。そして、部品41における直方体の上面の側を板状絶縁層13の外側の面の側に向けこの上面と外側の面とを平行にするように、板状絶縁層11、12、13の厚み方向の内部に位置させてある。
なお、市販の部品41の端子電極41aは、その表面に通常、すずのめっきが形成されている場合が多いが、はんだ51で接続可能という意味で、これに代えて銅のめっきが形成されているものを使用できる。この実施形態では、別の考慮として接続部材33aの材質(=後述する導電性組成物)との電気的接続の相性のため、銅のめっき層を有する端子電極41aの方が好ましい。
部品41の両端の端子電極41aは、その下側面が、配線層21が含む、埋め込みの部品実装用のランドに対向位置している。部品41の端子41aとこのランドとは、少なくともすずを含むはんだ51により電気的、機械的に接続されている。はんだ51は、部品41の端部面上に及ぶように端子電極41a周りに形成されたフィレットを含む形状で配線層21のこのランド上に位置している。配線層21の、埋め込みの部品41に対するこのようなランドについては、その設定方法の例を製造過程とともにのちに補足説明する(図3)。
部品41の両端の端子電極41aは、また、その上側面が接続部材33aに接触しており、接続部材33aは、この上側面と配線パターン24との間に挟設された部材である。接続部材33aは、その素材(組成)および形成方法の点において、層間接続体33と共通している。これらの点については、製造方法としての説明において再度説明する(図5)。すでに述べたが、接続部材33aとの関係において端子電極41aは、接続部材33aとして用いられる材質(=後述する導電性組成物)との電気的接続の相性から、銅のめっき層を有する方が好ましい。
接続部材33aは、部品41の片側の端子電極41aに対してのみ設けることもあり得る。その場合であっても構造として何ら問題とならず、これにより、必要な導電路の設計上片側だけ設ければよい場合に対応できる。またこれと関連して、配線層21による部品41用のランドは、その一方または両方を部品41の機械的固定に供するだけの役割のダミーランドとし、電気的には、もっぱら端子電極41aと配線パターン24とをつなぐ接続部材33aで接続する導電路設計もあり得る。
配線層21、24は、配線板としての両主面上の配線層であり、その上に各種の部品が実装され得る。実装ではんだが載るべき配線層21、24のランド部分を除いて両主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト61、62が形成されている(厚さはそれぞれ例えば20μm程度)。このランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。
配線層22、23は、それぞれ、内層の配線層であり、順に、配線層21と配線層22の間に絶縁層11が、配線層22と配線層23の間に絶縁層12が、配線層23と配線層24との間に絶縁層13が、それぞれ位置しこれらの配線層21〜24を隔てている。各配線層21〜24は、例えばそれぞれ厚さ18μmの金属(銅)箔からなっている。
各絶縁層11〜13は、絶縁層12を除き例えばそれぞれ厚さ60μm、絶縁層12のみ例えば厚さ300μmで、それぞれ例えばガラスエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。特に絶縁層12は、埋め込みの部品41に相当する位置部分が開口部となっており、部品41を埋め込むための空間を提供する。絶縁層11、13は、部品41の表面に密着するように絶縁層12の上記開口部および絶縁層12のスルーホール導電体32内部の空間を埋めて変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
配線層21と配線層22とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層11を貫通する層間接続体31により導通し得る。配線層22と配線層23とは、絶縁層12を貫通して設けられたスルーホール導電体32により導通し得る。配線層23と配線層24とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層13を貫通する層間接続体33により導通し得る。
層間接続体31、33は、それぞれ、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とするものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図1の図示で上下の積層方向)に径が変化している。その直径は、太い側で例えば100μmである。なお、すでに述べたように、層間接続体33と接続部材33aとは、素材(組成)およびそれらの形成方法の点で共通している。
この実施形態は、部品41が電気的に接続される配線パターン21、24が、それぞれ、絶縁層11、13に接する面と対向する面上には多層化配線構造のない最外の配線層になっており、その点で、配線層数の増加が限られるが、部品内蔵に関わる板状絶縁層の厚みを最低限にして、薄型の部品内蔵配線板を提供できる点も利点である。
また、接続部材51としてはんだを使用しており、製造途上で部品41の実装を行う際の生産性や効率の点で有利である。特に、部品41の端部面上にも及ぶようにはんだ51を位置させ良好な形状のはんだフィレットを形成しているので、実装の安定性、信頼性をより向上できる。
次に、図1に示した部品内蔵配線板の製造工程を図2ないし図5を参照して説明する。図2、図4、図5は、それぞれ、図1に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図である。図3は、図2に示した製造過程における補足的な平面図である。これらの図において図1中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。
図2から説明する。図2は、図1中に示した各構成のうち配線層21および部品41を中心とした部分の製造工程を示している。まず、配線層21とすべき金属箔(電解銅箔)21Aの、部品41用のランドに相当する領域上に、図2(a)に示すように、例えばスクリーン印刷によりクリームはんだ51Aを印刷する。クリームはんだ51Aは、フラックス中にはんだの微細粒を分散させたものでありスクリーン印刷を用いれば容易に所定パターンに印刷できる。スクリーン印刷に代えてディスペンサを使用することもできる。
クリームはんだ51Aの印刷のあと、部品41をクリームはんだ51Aを介して金属箔21A上に例えばマウンタで載置し、さらにその後クリームはんだ51Aを例えばリフロー炉でリフローさせる。これにより、図2(b)に示すように、部品41がはんだ51を介して金属箔21A上に接続、固定された状態になる。続いて、図2(c)に示すように、金属箔21Aの表面に粗化処理を行って粗化面21aを形成する。以上により得られる部材を積層部材1とする。
なお、粗化処理としては、黒化還元処理やマイクロエッチング処理を採用することができる。マイクロエッチング処理としては、例えば、CZ処理(メック社商品名)やボンドフィルム処理(アトテック社商品名)がある。粗化処理により、金属箔21Aと、この上に積層される絶縁層11との密着性、および層間接続体31との電気的接続の信頼性を向上することができる。
なお、説明が前後するが、図2(b)の図示について補足すると、この状態では、部品41は、金属箔21A上に固定されており、金属箔21Aには通常の意味でのランドはまだ存在していない。すなわち、金属箔21A上でクリームはんだ51Aをリフローさせると、溶融の広がりを制御できにくく、その後に金属箔21Aのパターニングでランドが形成されたときにそのランドの領域に留まるはんだの形成とはなりにくい。この点を改善するには、図3を参照して、次のような対処を例示できる。
ひとつは、図3(a)に示すように、金属箔21A上の、部品41に対するランドに相当する領域にあらかじめニッケル金めっき層56を形成しておく。より具体的に、ニッケルめっき層を金属箔21A上、位置選択的に、厚さ例えば5μm程度に形成し、その後、そのニッケルめっき層上に金めっき層を厚さ例えば0.05μmで形成する。
このようなニッケル金めっき層56をあらかじめ設けておけば、クリームはんだ51Aのリフローで、その含まれるはんだ微粒子が溶融したとき、銅と比べて比較的濡れ性が高い金めっき層上にのみ溶融はんだが広がることで、はんだ51の形状を制御することができる。なお、リフローにより、金めっき層は、その金成分がはんだ51中に取り込まれて消失する。
または、図3(b)に示すように、ニッケル金めっき層56を用いず、代わりに、堰き止め樹脂パターン57をあらかじめ形成しておく対処もある。堰き止め樹脂パターン57は、金属箔21A上の、部品41に対するランドに対応する領域に位置させるべきはんだ51の溶融時の広がりを制限するように、図3(b)に示すように、例えば枠状に形成される。堰き止め樹脂パターン57は、例えばはんだレジストと同様な材質、同様なパターニング形成方法で設けることができる。その厚さは例えば20μm程度とすることができる。
次に、図4を参照して説明する。図4は、図1中に示した各構成のうち絶縁層12および同11を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図4(a)に示すように、両面に例えば厚さ18μmの金属箔(電解銅箔)22A、23Aが積層された例えば厚さ300μmのFR−4の絶縁層12を用意し、その所定位置にスルーホール導電体を形成するための貫通孔72をあけ、かつ埋め込む部品41に相当する部分に部品用開口部71を形成する。
次に、無電解めっきおよび電解めっきを行い、図4(b)に示すように、貫通孔72の内壁にスルーホール導電体32を形成する。このとき開口部71の内壁にも導電体が形成される。続いて、図4(c)に示すように、金属箔22A、23Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングして配線層22、23を形成する。配線層22、23のパターニング形成により、開口部71の内壁に形成された導電体も除去される。
次に、図4(d)に示すように、配線層22上の所定の位置に層間接続体31となる導電性バンプ(底面径例えば100μm、高さ例えば100μmの円錐状)をペースト状導電性組成物(例えば銀粒をペースト状樹脂中に多量に分散させた銀ペースト)のスクリーン印刷により形成する。印刷の後、乾燥させてこれをある程度硬化させる。
続いて、図4(e)に示すように、絶縁層11とすべきFR−4のプリプレグ11A(公称厚さ例えば60μm)を配線層22側にプレス機を用い積層する。プリプレグ11Aには、絶縁層12と同様の、埋め込む部品41に相当する部分の開口部をあらかじめ設けておく。
この積層工程では、層間接続体31の頭部をプリプレグ11Aに貫通させる。なお、図4(e)における層間接続体31の頭部の破線は、この段階でその頭部を塑性変形させてつぶしておく場合と塑性変形させない場合の両者あり得ることを示す(以下の図でも同様である)。この工程により、配線層22はプリプレグ11A側に沈み込んで位置することになる。以上により得られた積層部材を積層部材2とする。
以上の図4に示した工程は、以下のような手順とすることも可能である。図4(a)の段階では、貫通孔72のみ形成し埋め込む部品用の開口部71を形成せずに続く図4(b)、(c)の工程を行う。次に、図4(d)に相当する工程として、プリプレグ11A(開口のないもの)の積層を行う。そして、絶縁層12およびプリプレグ11Aに、埋め込む部品用の開口部を同時に形成する、という工程である。
次に、図5を参照して説明する。図5は、上記で得られた積層部材1、2などを積層する配置関係を示す図である。同図における積層部材3は、配線層24とすべき金属箔(電解銅箔)24A上に層間接続体31と同様の材料、方法で層間接続体33(底面径例えば100μm、高さ例えば100μmの円錐状)および接続部材33a(底面径例えば100μm、高さ例えば100μmの円錐状)を形成し、さらに、プリプレグ11Aと同様の材料、方法で、絶縁層13とすべきプリプレグ13Aをプレス機を用い積層し得られた部材である。
積層部材3における層間接続体33と接続部材33aとは、必ずしも同じ大きさ(底面径および高さ)でなくてもよい。これらを異なる大きさに作るには、例えば、スクリーン印刷で形成する際に用いるスクリーン版(メタルマスク)の、ペースト状の導電性組成物を供給して金属箔24上に付着させる貫通孔(ピット)の径を異ならせておけば容易である。層間接続体33の高さは、プリプレグ13Aを貫通して配線パターン23に対して良好な面積で接触できるように設定しておく。他方、接続部材33aの高さは、プリプレグ13Aを貫通して部品41の端子電極41aに対して良好な接触ができるように設定しておく。
図5に示すような配置で各積層部材1、2、3を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ11A、13Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ11A、13Aの流動性により、部品41の周りの空間およびスルーホール導電体32内部の空間にはプリプレグ11A、13Aが変形進入し空隙は発生しない。
また、層間接続体33は、配線層23に電気的に接続され、接続部材33aは、部品41の端子電極41aに電気的に接続され、さらに層間接続体31は、金属箔21Aに電気的に接続される。この結果、層間接続体33、接続部材33a、および層間接続体31は、それぞれ、頭部が塑性変形で潰れた形状(すなわち、図1に示したように軸を有し軸の頭部側でより細い形状)で固定される。
図5に示す積層工程の後、上下両面の金属箔21A、24Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図1に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。
次に、以上述べた実施形態とは別の実施形態について図6を参照して説明する。図6は、別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
この実施形態は、図1に示したものと比較して、層間接続体31、33の代わりに、これらとは形状の異なる層間接続体31L、33Lを設け、さらに、接続部材33aの代わりに、これとは形状の異なる接続部材33Laを設けたものである。層間接続体31L、33L、接続部材33Laは、それぞれ円柱状の形状(すなわち、軸を有し軸の方向に径が変化しない形状)であり、この形状は、次に説明するように、それらの形成方法に由来している。
図7は、図6に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す工程図であり、上記の実施形態における図5に示した積層段階に相当する段階の工程を示している。図7において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
図7に示すように、この積層工程では、金属箔24Aとプリプレグ13Aとはそれぞれ別の積層部材にされ、プリプレグ11Aも絶縁層12の側とは別の積層部材にされて積層される。ただし、プリプレグ11Aには、層間接続体31Lがこの時点より前に形成されており、プリプレグ13Aには、層間接続体33Lおよび接続部材33Laがこの時点より前に形成されている。
層間接続体33Lおよび接続部材33Laは、プリプレグ13Aの所定位置(接続部材33La用のものは、部品41の端子電極41aに重なる位置)に例えばドリルで貫通孔を形成し、この貫通孔内にペースト状の導電性組成物(例えば、図1中に示した層間接続体31、33で使用のものと同一のもの)を充填、さらに乾燥させることで形成することができる。層間接続体31Lについても、プリプレグ11Aに対しての貫通孔の形成、導電性組成物の充填、乾燥の工程は同様である。なお、プリプレグ11Aには、絶縁層12と同様の、埋め込む部品41に相当する部分の開口部76を、例えば層間接続体31Lの形成後に設けておく。
図7に示すような配置で各積層部材を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ11A、13Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ11A、13Aの流動性により、部品41の周りの空間およびスルーホール導電体32内部の空間にはプリプレグ11A、13Aが変形進入し空隙は発生しない。
また、層間接続体33Lは、配線層23および金属箔24Aに電気的に接続され、接続部材33Laは、部品41の端子電極41aおよび金属箔24Aに電気的に接続され、さらに層間接続体31Lは、金属箔21Aおよび配線層22に電気的に接続される。なお、接続部材33Laと端子電極41aとの対接での材料どうしの電気的接続の相性を考慮すると、端子電極41aは、銅のめっき層を有するものである方が好ましい。
図7に示す積層工程の後、上下両面の金属箔21A、24Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図6に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。
図6に示した部品内蔵配線板においても、部品41の端子電極41aからの導電路の配置密度を向上させることができ、その結果、内部に設ける部品の配置密度を向上できる点は同じである。
次に、さらに別の実施形態について図8を参照して説明する。図8は、さらに別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
この形態は、図1に示した実施形態における層間接続体33および接続部材33aに変更を加えている。すなわち、図1に示したものと比較して、層間接続体33の代わりに、これとは材質の異なる、ビアホール内めっきビアである層間接続体33Mを設け、接続部材33aの代わりに、これとは材質の異なる、ビアホール内めっきビアである接続部材33Maを設けている。
ビアホール内めっきビア33Mは、配線パターン24と電気導通してこの配線パターン24から、配線パターン23に電気導通するように延設されている。また、ビアホール内めっきビア33Maは、配線パターン24と電気導通してこの配線パターン24から、部品41の端子電極41aに電気導通するように延設されている。層間接続体33M、接続部材33Maは、それぞれ例えば円錐台状の形状(すなわち、図示に示すように軸を有し軸の方向に径が変化する形状)であり、この形状は、次に説明するように、それらの形成方法に由来している。
図9、図10は、図8に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す工程図であり、それぞれ、図5に示した積層工程に相当する段階の工程、およびその積層後に行う工程の一部を示している。図9、図10において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
図9に示す積層工程においては、積層部材3Aを積層部材3(図5参照)の代わりに用いる。積層部材3Aは、層間接続体33および接続部材33aの形成のない部材である。図9に示すような配置で各積層部材1、2、3Aを積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ11A、13Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ11A、13Aの流動性により、部品41の周りの空間およびスルーホール導電体32内部の空間にはプリプレグ11A、13Aが変形進入し空隙は発生しない。この点は、図5での説明と同様である。
この積層のあと、図10に示す工程を行う。すなわち、図9に示した積層工程で得られた素材に対して、ビアホール内めっきビア33M、33Maを形成するためのビアホール33h、33haを加工形成する。
より具体的に、図10に示すように、金属箔24Aの露出面の側から、その必要な位置にビアホール33h、33haを例えばレーザ加工で形成する。ビアホール33hは、配線層24となる金属箔24Aと配線層23との層間接続が必要な位置に、金属箔24A、絶縁層13を連通、貫通して配線層23に達するように設ける。ビアホール33haは、部品41の端子電極41aの位置に対応して、金属箔24A、絶縁層13を連通して端子電極41aに達するように設ける。ビアホール33hとビアホール33haとは、同じ工程で同時期に形成することができ、生産効率向上の妨げにならない。
ビアホール33h、33haの形成は、レーザ加工で金属箔24Aおよび絶縁層13を連続して消失させるように穴加工する方法のほかに、まず、金属箔24Aのみをエッチング加工で貫通させその後に、そのエッチングされた金属箔24Aをマスクにその後絶縁層13をレーザ加工で消失させ穴加工するという2段階の工程とすることもできる。金属箔24Aのみをエッチング加工する段階では、パターン化された、エッチング用のレジストマスクを金属箔24A上に形成しておく。前者の方法は、効率的には好ましいと考えられ、後者の方法は、効率で劣るものの穴形状の制御性に優れていると考えられる。
ビアホール33h、33haの大きさは、直径としてそのより大きい側で例えば100μm程度とすることができる。レーザ加工によるビアホール33h、33haは、図示するように、一般にその奥に至るほど多少その直径が小さい形状になる。これは、レーザ加工時のレーザスポットは、そのエネルギ密度がスポットの縁で多少小さく出力されるためである。
図10に示すようにビアホール33h、33haの形成後、無電解めっきおよび電解めっきの工程を行い、金属箔24Aと電気導通してこの金属箔24Aから、配線層23、および部品41の端子電極41aに電気導通するように、ビアホール内めっきビア33M、33Maを形成する。めっきビア33M、33Maは、少なくともビアホール33h、33haの内壁上に形成されることが必要であるが、ビアホール33h、33ha内をほとんど充填し埋めるように形成されてもよい。このようなビアとしての形状コントロールのためには、金属箔24A上に、パターン化されたレジストマスクを形成した上で上記のめっき工程を行ってもよい。めっきビア33M、33Maは、同じ工程で同時期に形成することができ、生産効率向上の妨げにならない。
ビアホール内めっきビア33M、33Maは、それらの材質として、例えば銅を使用することができるが、これに対応して、部品41の端子電極41aについても、この表面が銅のめっき層を有する方が、端子電極41aとビアホール内めっき33Maとの対接の信頼性を効果的に向上させる上で好ましい。
以上の工程の後、上下両面の金属箔21A、24Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図8に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。図8に示した部品内蔵配線板においても、部品41の端子電極41aからの導電路の配置密度を向上させることができ、その結果、内部に設ける部品の配置密度を向上できる点は図1、図6に示した形態と同じである。
次に、さらに別の実施形態について図11を参照して説明する。図11は、さらに別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
この実施形態は、図1に示したものと比較して、接続部材としてのはんだ51に代えて、導電性組成物の接続部材31aを用いている点が大きな違いである。また、導電性組成物の接続部材31aを使用することに合わせて、これと同時工程で形成する導電性組成物31が、その上下方向の向きとして図1での図示のものとは逆になっている。接続部材31aと層間接続体31とを同時工程で形成することで生産性向上に寄与できる。
図12、図13は、図11に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す工程図であり、それぞれ、図2に示した部品41の実装に相当する段階の工程、およびその後に行う、図5に示した工程に相当する積層工程を示している。図12、図13において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
まず、図12(a)に示すように、粗化面21rを形成済みの、配線層21とすべき厚さ例えば18μmの金属箔(電解銅箔)21Aを用意し、その所定位置に層間接続体31となる導電性バンプ(底面径例えば100μm、高さ例えば100μmの円錐状)と部品接続用の接続部材31aとなる導電性バンプ(底面径例えば50μm、高さ例えば30μmの円錐状)を、例えばペースト状の導電性組成物をスクリーン印刷することにより形成する。印刷の後、乾燥させてこれらをある程度硬化させる。導電性組成物の組成については、すでに述べたものを参照できる。
スクリーン印刷に用いるスクリーン版には径の異なる2種のピット(貫通孔)が穿設されたものを用いる。これにより、そのピット内の容積の違いから、大きさ(円錐形状としての底面径および高さ)の異なる層間接続体31および接続部材31aを容易に同時形成でき、生産性向上に寄与できる。
次に、図12(b)に示すように、例えばマウンタを用いて部品41を、その両端子電極41aが接続部材31a上に載るように金属箔21A上に載置する。この時点では印刷形成された層間接続体31は十分には硬化しておらず加重すれば図示のように円錐台状に変形して端子電極41aとの十分な接触面積が確保できる。なお、マウンタによる部品載置に際して、金属箔21Aを真空吸着により位置固定できる平坦なステージを用いると好ましい。これにより、金属箔21Aにしわがよるなどの変形を回避でき、位置精度の高い部品載置が可能になる。
図12(b)に示す工程は、上記での説明とは異なり、部品41のマウンタによる載置を先に行い、その後、層間接続体31および接続部材31aの乾燥、硬化を行うとしてもよい。その場合でも、接続部材31aとなるペースト状の導電性組成物の粘度をある程度大きく制御しておけば、接続部材31aと端子電極41aとの電気的接続に難は生じない。通常用いる導電性組成物の粘度、および部品41の重量を考慮すると、載置に際しての加重が不要である分、むしろこの手順が優る可能性も考えられる。
なお、層間接続体31および接続部材31aの乾燥、硬化をいずれの段階で行うにしても、接続部材31aと端子電極41aとの対接での材料どうしの電気的接続の相性を考慮して、端子電極41aは、銅のめっき層を有するものである方が好ましい。
次に、図12(c)に示すように、絶縁層11とすべき公称厚さ例えば60μmのFR−4のプリプレグ11Aを金属箔21A上にプレス機を用い積層する。このとき、プリプレグ11Aとして部品41の位置に相当する部分に開口が設けられたものを用い、また、プリプレグ11Aの上側には部品41の厚さを吸収できるクッション材(不図示)を介在させて加圧、加熱する。これにより、より確実に、層間接続体31の頭部がプリプレグ11Aを貫通するようになる。以上により、図12(c)に示すような積層部材1Aが得られる。
次に、図12(c)に示した積層部材1Aを用い、図13に示すような積層工程を行う。図13中に示す積層部材3、同2Aはすでに説明した構成のものである(積層部材3は図5、同2Aは図7で説明)。図13に示すような配置で各積層部材1A、2A、3を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ11A、13Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ11A、13Aの流動性により、部品41の周りの空間およびスルーホール導電体32内部の空間にはプリプレグ11A、13Aが変形進入し空隙は発生しない。
また、層間接続体33は、配線層23に電気的に接続され、接続部材33aは、部品41の端子電極41aに電気的に接続され、さらに層間接続体31は、配線層22に電気的に接続される。この結果、層間接続体33、接続部材33a、および層間接続体31は、それぞれ、頭部が塑性変形で潰れた形状(すなわち、図11に示したように軸を有し軸の頭部側でより細い形状)で固定される。
図13に示す積層工程の後、上下両面の金属箔21A、24Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図11に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。図11に示した部品内蔵配線板においても、部品41の端子電極41aからの導電路の配置密度を向上させることができ、その結果、内部に設ける部品の配置密度を向上できる点は、上記の各形態と同じである。
次に、さらに別の実施形態について図14を参照して説明する。図14は、さらに別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
この形態は、図8に示した形態と同様に、層間接続体33の代わりに、ビアホール内めっきビアである層間接続体33Mを設け、接続部材33aの代わりに、ビアホール内めっきビアである接続部材33Maを設けており、加えて次のように変形させている。すなわち、部品41から見て配線パターン21の側に対する電気的接続も、ビアホール内めっきビアである接続部材31Maにより行い、かつ、配線層21と配線層22との層間接続もビアホール内めっきビア31Mにより行うように構成している。
ビアホール内めっきビア31Mは、配線パターン21と電気導通してこの配線パターン21から、配線パターン22に電気導通するように延設されている。また、ビアホール内めっきビア31Maは、配線パターン21と電気導通してこの配線パターン21から、部品41の端子電極41aに電気導通するように延設されている。層間接続体31M、接続部材31Maは、それぞれ例えば円錐台状の形状(すなわち、図示に示すように軸を有し軸の方向に径が変化する形状)である。この理由は、層間接続体33、接続部材33Maの形状に関する説明(図8を参照)と同様である。
なお、この実施形態では、ビアホール内めっきビア31Maは、図示するように、必ずしも、端子電極41aの両方に対して形成されていなくてもよい。ビアホール内めっきビア31Maは、製造途上において、上記の各実施形態とは異なり、部品41を機械的に固定したり姿勢を整えたりするために用いられることがないためである。もちろん、導電路を設ける設計上、ビアホール内めっきビア31Maは、端子電極41aの両方に対して形成される場合もあり得る。
図15は、図14に示した部品内蔵配線板の製造過程の一部を模式的に示す工程図であり、図5に示した積層段階に相当する段階の工程を示している。図15において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
図15に示す積層工程においては、積層部材3A(図9で説明)、積層部材2A(図7で説明)のほか、積層部材1Bを用いる。積層部材1Bは、図示するように、粗化面21rを形成済みの金属箔21A上にプリプレグ11A(厚さ例えば60μm)を配置し、さらに、プリプレグ11Aの所定位置に部品41を載置した、容易に得られる部材である。
図15に示すような配置で各積層部材1B、2A、3Aを積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ11A、13Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ11A、13Aの流動性により、部品41の周りの空間およびスルーホール導電体32内部の空間にはプリプレグ11A、13Aが変形進入し空隙は発生しない。この点は、図5での説明と同様である。
次に、図16は、図15に示した積層工程の後に行う工程の一部を示しており、積層後の素材に対して、ビアホール内めっきビア33M、33Maを形成するためのビアホール33h、33ha、およびビアホール内めっきビア31M、31Maを形成するためのビアホール31h、31haを加工形成した状態を示している。
ビアホール31h、31haの形成については、図10での、ビアホール33h、33haの形成についての説明と同様である。ビアホール31h、31haが、同じ工程で同時期に形成することができ、生産効率向上の妨げにならない点も、ビアホール33h、33haについての説明と同様である。
図16に示すようにビアホール31h、31ha、33h、33haの形成後、無電解めっきおよび電解めっきの工程を行う。これにより、金属箔21Aと電気導通してこの金属箔21Aから、配線層22、および端子電極41aに電気導通するように、ビアホール内めっきビア31M、31Maを形成する。また、金属箔24Aと電気導通してこの金属箔24Aから、配線層23、および端子電極41aに電気導通するように、ビアホール内めっきビア33M、33Maを形成する。これらの点も、図10での説明を参照できる。
以上の工程の後、上下両面の金属箔21A、24Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図14に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。図14に示した部品内蔵配線板においても、部品41の端子電極41aからの導電路の配置密度を向上させることができ、その結果、内部に設ける部品の配置密度を向上できる点は、上記の各形態と同じである。
次に、さらに別の実施形態について図17を参照して説明する。図17は、さらに別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
この実施形態は、図1に示した形態と比較して、配線層数が増加しており、具体的には、配線層(配線パターン)25が配線層24のさらに外側に設けられ、これに伴い、配線層24と同25との間を隔てる絶縁層14と、絶縁層14を貫通して配線層24と同25とを電気的に導通させる層間接続体34とが新たに設けられている。なお、製造工程に依拠して、配線層24は、図1に示したものとは異なり、絶縁層13の厚み方向に沈んで位置している。
図18は、図17に示した部品内蔵配線板製造過程の一部を模式的に示す工程図であり、図5に示した積層工程に相当する段階の工程を示している。図18において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
図18に示す積層工程においては、積層部材3Bを積層部材3(図5参照)の代わりに用いる。積層部材3Bは、積層部材3における金属箔24Aの代わりに、配線パターン24が片面に形成された絶縁層14を用い、その後、積層部材3と同様に層間接続体33および接続部材33aを形成して得られた部材である。配線パターン24が片面に形成された絶縁層14は、この絶縁層14を貫通して層間接続体34が形成された、金属箔25Aを有する両面銅張り板を準備しそのもう片面の金属箔を所定にパターニングして得る。この両面銅張り板は、図5中に示した積層部材3と同様な構成の部材と金属箔とを積層して一体化し得ることができる。
図18に示すような配置で各積層部材1、2、3Bを積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ11A、13Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ11A、13Aの流動性により、部品41の周りの空間およびスルーホール導電体32内部の空間にはプリプレグ11A、13Aが変形進入し空隙は発生しない。この点は、図5での説明と同様である。
図18に示す積層工程の後、上下両面の金属箔21A、25Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図17に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。図17に示した部品内蔵配線板においても、部品41の端子電極41aからの導電路の配置密度を向上させることができ、その結果、内部に設ける部品の配置密度を向上できる点は、上記の各形態と同じである。
図17に示す形態は、その変形例として、層間接続体31、はんだ51の代わりに、それぞれ、図11中に示したような層間接続体31、接続部材31aを設けるように構成することも、当然ながら考えられる。また、別の変形例として、層間接続体31、はんだ51の代わりに、図14中に示したようなビアホール内めっきビア31M、31Maを設けるように構成することも、当然ながら考えられる。
次に、さらに別の実施形態について図19を参照して説明する。図19は、さらに別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
この実施形態は、図8に示した形態と比較して、配線層数が増加しており、具体的には、配線層(配線パターン)20が配線層21のさらに外側に設けられ、これに伴い、配線層20と同21との間を隔てる絶縁層10と、絶縁層10を貫通して配線層20と同21とを電気的に導通させる層間接続体30とが新たに設けられている。なお、製造工程に依拠して、配線層21は、図8に示したものとは異なり、絶縁層11の厚み方向に沈んで位置している。
図20は、図19に示した部品内蔵配線板製造過程の一部を模式的に示す工程図であり、図9に示した積層工程に相当する段階の工程を示している。図20において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
図20に示す積層工程においては、積層部材1Cを積層部材1(図9、図5参照)の代わりに用いる。積層部材1Cは、積層部材1における金属箔21Aの代わりに、配線パターン21が片面に形成された絶縁層10を用い、その後、配線パターン21上に部品41をはんだ51で実装し、さらに粗化面21rを形成して得られた部材である。配線パターン21が片面に形成された絶縁層10は、この絶縁層10を貫通して層間接続体30が形成された、金属箔20Aを有する両面銅張り板を準備しそのもう片面の金属箔を所定にパターニングして得る。この両面銅張り板は、図5中に示した積層部材3と同様な構成の部材と金属箔とを積層して一体化し得ることができる。
図20に示すような配置で各積層部材1C、2、3Aを積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ11A、13Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ11A、13Aの流動性により、部品41の周りの空間およびスルーホール導電体32内部の空間にはプリプレグ11A、13Aが変形進入し空隙は発生しない。この点は、図5での説明と同様である。
図20に示す積層工程の後、図10に示した工程と同様の工程およびその後のめっき工程を行う。続いて、上下両面の金属箔20A、24Aを周知のフォトリソグラフィを利用して所定にパターニングし、続いてはんだレジスト61、62の層を形成することにより、図19に示したような部品内蔵配線板を得ることができる。図19に示した部品内蔵配線板においても、部品41の端子電極41aからの導電路の配置密度を向上させることができ、その結果、内部に設ける部品の配置密度を向上できる点は、上記の各形態と同じである。
図19に示す形態は、その変形例として、ビアホール内めっきビア33M、33Maの代わりに、図1に示したように、導電性組成物による層間接続体33、接続部材33aを設けるように構成することも、当然ながら考えられる。
次に、さらに別の実施形態について図21を参照して説明する。図21は、さらに別の実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図であり、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部位については加える事項がない限り説明を省略する。
この実施形態は、図17に示した形態と比較して、配線層数が増加しており、具体的には、配線層(配線パターン)20が配線層21のさらに外側に設けられ、これに伴い、配線層20と同21との間を隔てる絶縁層10と、絶縁層10を貫通して配線層20と同21とを電気的に導通させる層間接続体30とが新たに設けられている。なお、製造工程に依拠して、配線層21は、図8に示したものとは異なり、絶縁層11の厚み方向に沈んで位置している。
この形態は、換言すると、図17に示した実施形態で使用する部材の一部と図19に示した実施形態で使用する部材の一部とを組み合わせてさらに配線層数を増加させた形態である。製造する場合の具体的な積層配置を図示していないが、図18中に示した積層部材3B、2を用い、さらに積層部材1の代わりに図20中に示した積層部材1Cを用いた積層を行うことで得ることができる。
なお、図18以降を参照して説明した形態では、配線層数をより増加させた配線板について説明したが、配線層数を増加させるには、これらの構造、工法以外のものも採用できる。例えば、図1に示した実施形態おいて、絶縁層12の部分の厚み中間に相当して新たに配線層を設ける構造で多層配線層化することができる。また、図1(図6、図8、図11、図14)に示した部品内蔵配線板の構造をコアとして用い、これにビルドアップするようにさらに多層配線化することもできる。ビルドアップするには、その縦方向の導電体の形成方法として、レーザで形成した穴の内部にめっきを成長させる方法(既述)や、導電性組成物を例えばスクリーン印刷して導電性のバンプとして設ける方法(既述)などを用いることができる。