JP5778691B2 - ジビニルアレーンジオキシドの調製方法 - Google Patents

ジビニルアレーンジオキシドの調製方法 Download PDF

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明はジビニルアレーンジオキシド、特に、ジビニルベンゼンから誘導されるジビニルアレーンジオキシドの調製方法に関する。より詳細には、本発明は(a)少なくとも1種のジビニルアレーン及び(b)少なくとも1種のペルオキシカルボキシミド酸を反応させることを含むジビニルアレーンジオキシドの調製方法に関する。
背景及び関連技術の説明
一般に、オレフィンのエポキシ化は種々の異なる方法により行うことができる。たとえば、従来技術の方法としては(1)オレフィンを次亜塩素酸塩と反応させ、クロロヒドリンを生成し、次いで、塩基と反応させてエポキシドを生成すること、(2)ペルオキシカルボン酸により酸化させること、(3)触媒を用いて有機ヒドロペルオキシドにより酸化させること、(4)触媒を用いて過酸化水素により酸化させること、又は、(5)触媒の存在下に、次亜塩素酸ナトリウム、ヨードシルベンゼン又はペルオキシカーボネートなどの他の酸化剤により酸化させることが挙げられる。
ペルオキシカルボキシミド酸によるオレフィンのエポキシ化は米国特許第3,053,856号明細書に開示されている。米国特許第3,053,856号の方法において、制御されたpH条件にて過酸化水素がニトリルと反応し、ペルオキシカルボキシミド酸を生成し、それがオレフィンと反応してエポキシド及びアミドを生成する。アセトニトリル及び過酸化水素を用いてペルオキシアセトイミド酸を製造する全体の反応を下記に示す。
Figure 0005778691
M. Worzakowska, J. Appl. Poly. Sci. (2007) vol. 103, pp. 462-469は米国特許第3,053,856号明細書に記載されたのと同様の方法により、酸化マグネシウム触媒とともにアセトニトリル−過酸化水素を用い、そして4倍モル過剰を超える過酸化水素/オレフィンを用いてジビニルベンゼン(DVB)をエポキシ化することを開示している。Worzakowskaは90%のエポキシ化度を報告している。Worzakowskaの方法において、DVB、アセトニトリル、水(pH10)及びMgOを反応器に装填し、50度に温め、60%過酸化水素及びメタノールの混合物を2時間にわたってゆっくりと添加し、次いで、合計で5時間、継続して加熱しそして攪拌する。Worzakowskaにより使用された方法は大過剰の過酸化水素が要求されるのでプロセス安全性及び経済性の点で不利益である。Worzakowskaの方法が工業規模で実施可能とするために、この過剰の過酸化水素は回収されそして再使用されねばならない。
米国特許第2,977,374号明細書は酢酸エチル中の過酢酸を用いてDVBをエポキシ化することを開示しており、ジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)の収率が49%であることを報告している。米国特許第2,977,374号明細書中において、スチレンオキシド81%収率が報告されている。スチレン及びDBVなどのオレフィンは構造的に類似しているが、これらの2つのオレフィンのエポキシ化では米国特許第2,977,374号明細書中に示されるとおり、同等の結果を提供しないであろう。過酢酸を用いたエポキシ化は共生成物として酢酸を発生し、それはエポキシド生成物と反応してヒドロキシエステル副生成物を提供することが知られており、それにより、エポキシド生成物の収率が低下される。ジオレフィンの場合、出発ジオレフィンの任意の所与の分子が対応するモノオレフィンと比較して副生成物を生成する確率が2倍大きい。
既知の従来技術の方法の問題を見ると、工業規模でDVBDOなどのジビニルアレーンジオキシドの製造方法であって、可能な最も少量の酸化剤コストで良好なジビニルアレーンジオキシド生成物の収率を与える方法を提供することが望ましい。
発明の要旨
本発明はジビニルアレーンジオキシド、特に、ジビニルベンゼンから誘導されるジビニルアレーンジオキシドの調製方法に関し、(a)少なくとも1種のジビニルアレーン及び(b)少なくとも1種のペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤を反応させることを含む。1つの実施形態において、本発明の反応は少なくとも1種の反応溶剤及び少なくとも1種の塩基性化合物の存在下に、ジビニルアレーンジオキシド生成物を生成する条件下に反応を行うことを含む。別の実施形態において、反応混合物が一般に約7以上のpHであるようにして反応を行うことができる。さらに別の実施形態において、本発明で使用されるペルオキシカルボキシミド酸は、(i)事前生成したペルオキシカルボキシミド酸、(ii)反応混合物中でその場で生成したペルオキシカルボキシミド酸又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせであってよい。他の実施形態において、ペルオキシカルボキシミド酸/ジビニルアレーンのエチレン系二重結合のモル比が、たとえば、約2.0未満であり、そしてジビニルアレーンを基準としたジビニルアレーンモノオキシドの収率が、たとえば、約20%未満であり、及び/又は、ジビニルアレーンを基準としたジビニルアレーンジオキシドの収率が、たとえば、約60%を超えるように反応を行うことができる。
本発明のさらに別の実施形態において、ペルオキシカルボキシミド酸は水性過酸化水素を、エポキシ化しようとするジビニルアレーン、ニトリル、反応溶剤及び反応混合物のpHを、たとえば、約7以上に維持するために添加される塩基性化合物の混合物に添加することにより、反応混合物中でその場で生成されうる。ここで、反応は、たとえば、約40℃〜約50℃の温度で行うことができる。
本発明のさらに別の実施形態において、ペルオキシカルボキシミド酸は、塩基性化合物及び場合により反応溶剤の存在下に水性過酸化水素とニトリルの別途の反応により事前生成されてよく、その後、事前生成されたペルオキシカルボキシミド酸はペルオキシカルボキシミド酸が製造された溶液として、エポキシ化しようとするジビニルアレーン、反応溶剤及び約7を超えるpHを維持するためにエポキシ化反応混合物に添加される塩基性化合物の混合物にフィードされてよい。
図面の簡単な説明
本発明を例示する目的で、以下の図面は現在好ましいとされる本発明の実施形態を示す。しかしながら、本発明は図面に示される厳密な配置及び機器に限定されないことは理解されるべきである。添付の図面において、幾つかの図面をとおして、同様の参照番号は同様の部品を表すために使用される。
図1は本発明の方法の1つの実施形態を示すブロックフローダイアグラムである。 図2は本発明の方法の別の実施形態を示すブロックフローダイアグラムである。
発明の詳細な説明
本発明によると、ジビニルアレーンジオキシド化合物を得るためのジビニルアレーン化合物のエポキシ化はペルオキシカルボキシミド酸を用いて行うことができる。本発明に有用なジビニルアレーンの源は任意の既知の源、特にジビニルアレーンの調製のための既知の方法からのものでよい。たとえば、ジビニルアレーンは塩又は金属廃棄物とともにアレーン及びエチレンから調製されうる。
本発明の方法に有用なジビニルアレーン反応体は以下のとおりに一般化学構造I〜IVにより示すことができる。
Figure 0005778691
本発明のジビニルアレーン反応体の上記の構造I、II、III及びIVにおいて、各R、R、R及びRは個々に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル基であり、ここで、アルキル、シクロアルキル、アリール及びアラルキル基は1〜約18個の炭素原子を有してよく、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、又は、たとえば、ハロゲン、ニトロ、イソシアネート又はR’O基(式中、R’は各々個別に1〜約18個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、アリール又はアラルキル基であってよい)を含む、酸化剤耐性基であることができ、xは0〜4の整数であることができ、yは2以上の整数であることができ、x+yは6以下の整数であることができ、zは0〜6の整数であることができ、z+yは8以下の整数であることができ、そしてArはアレーン断片、たとえば、1,3−フェニレン基である。
本発明の1つの実施形態において、本発明に有用なジビニルアレーンは環の任意の位置に2個のビニル(本明細書中「C=C結合」、「オレフィン系」又は「エチレン系二重結合」とも呼ぶ)基を有する任意の置換もしくは未置換アレーン核を含むことができる。アレーンとしては、たとえば、ベンゼン、置換ベンゼン、又は、(置換)環状ベンゼン及びそれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、ジビニルベンゼンはオルト、メタもしくはパラ異性体又はそれらの任意の混合物であることができる。さらなる置換基は、酸化剤耐性基からなることができ、この酸化剤耐性基としては、たとえば、飽和アルキル又はアリールで、ここで、飽和アルキルは1〜約18個の炭素原子を有してよく、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、そしてアリールは4〜約18個の炭素原子を有してよく、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するもの、ハロゲン、ニトロ、イソシアネート、又は、R’O(式中、R’は飽和アルキル、アリール又はアラルキルであって、各々個別に1〜18個の炭素原子を有し、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する)及びそれらの混合物が挙げられる。環状ベンゼンはとしては、たとえば、ナフタレン、テトラヒドロナフタレンなど及びそれらの混合物を挙げることができる。
別の実施形態において、ジビニルアレーンはある量の置換アレーンを含むことができる。置換アレーンの量及び構造はジビニルアレーンの調製において使用される方法による。たとえば、ジエチルベンゼン(DEB)の脱水素化により調製されるDVBは、場合により、ある量のエチルビニルベンゼン(EVB)、ナフタレン、ポリエチルベンゼン(たとえば、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、テトラエチルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ジフェニルエタン、その他のアルキル化ベンゼン及び高分子量オイル)、フリーラジカル抑制剤又はそれらの混合物を含むことができる。
本発明の1つの実施形態において、DVBはエポキシ化されてよく、DVBは場合によりEVBを含んでよい。使用されるDVBは非常に少量のエチルビニルベンゼンオキシド(EVBO)を含むDVBDOを製造するために高純度のDVBであることができる。本明細書中でDVBに関して「高純度」は、たとえば、1つの実施形態において、約80%を超えるDVBを含み、別の実施形態において、約90%を超えるDVBを含み、さらに別の実施形態において、約95%を超えるDVBを含み、残部が不純物又はEVBなどの他の化合物であることを意味する。
別の実施形態において、方法は共生成物として、1種以上のジビニルアレーンモノオキシド、アルキルビニルアレーンモノオキシド又はそれらの混合物を提供することがある。モノオキシド生成物が共生成物として提供されるときには、モノオキシドは精製され、精製されたモノオキシド生成物は、1つの実施形態において、約50%を超える純度を有することができ、別の実施形態において、約80%を超えることができ、そしてなおも別の実施形態において、約90%を超えることができる。
本発明の方法において使用されるジビニルアレーンとしては、たとえば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルエーテル又はそれらの混合物を挙げることができる。1つの好ましい実施形態において、本発明はジビニルアレーン反応体としてジビニルベンゼンを使用する。ジビニルアレーン反応体としてジビニルベンゼンを使用する実施形態において、生成されるジビニルアレーンジオキシドはジビニルベンゼンジオキシドを含む。
上述のとおり、本発明において使用されるペルオキシカルボキシミド酸反応体は(i)事前生成されても、(ii)反応混合物中でその場で生成されても、又は、(iii)(i)及び(ii)の混合物であってもよい。本発明において有用なペルオキシカルボキシミド酸としては、下記のとおりの一般化学式を有するペルオキシカルボキシミド酸反応体を挙げることができる。
Figure 0005778691
使用されるペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤の上記構造において、Rは1〜約18個の炭素原子を有し、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜約8個の炭素原子を有する飽和炭化水素であることができ、又は、Rは1〜18個の炭素原子を有し、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜約8個の炭素原子を有する芳香族炭化水素であることができ、そしてRは非芳香族多重結合を有しない。
本発明において有用なペルオキシカルボキシミド酸の例としては、限定するわけではないが、ペルオキシプロピオンイミド酸、ペルオキシカプロンイミド酸、ペルオキシカプリンイミド酸、ペルオキシトリデカンイミド酸、ペルオキシ1−及び4−メチシクロヘキサンカルボキシミド酸、ペルオキシシクロヘキサンアセトイミド酸又はそれらの混合物が挙げられる。
本発明の方法の1つの実施形態において、エポキシ化反応は下記の反応スキームIにより示すことができる。
Figure 0005778691
上記の例、スキームIはジビニルベンゼン(DVB)が一般式
Figure 0005778691
(上式中、Rは上記と同一であることができる)を有するペルオキシカルボキシミド酸によりエポキシ化される本発明のエポキシ化法を示している。
上述のとおり、本発明のペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤は種々の方法で得ることができ、たとえば、別個の独立の反応におけるペルオキシカルボキシミド酸の事前生成、又は、反応混合物中でその場での生成により得ることができる。別個に事前生成したペルオキシカルボキシミド酸は反応においてうまく使用することができるが、ペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤は反応混合物中でその場で有利に生成される。ペルオキシカルボキシミド酸は、たとえば、ニトリルを過酸化水素と反応させることにより、反応混合物中でその場で生成されうる。
本発明はニトリル及び過酸化水素(H)をエポキシ化されるべきジビニルアレーンに添加し、ペルオキシカルボキシミド酸が若干塩基性条件(たとえば、pH計により測定して少なくとも約7又はそれ以上(≧))でニトリル及びHから生成され、そして同時にジビニルアレーン化合物をエポキシ化し、ジビニルアレーンジオキシド及びアミドを生成物として生成することによりエポキシ化を行う現場技術を利用する。pHを≧約7に維持するために、塩基を反応混合物に添加することができる。
その場でペルオキシカルボキシミド酸を製造するために使用されるニトリル化合物はニトリル基が過酸化水素と反応することができる唯一の基である化合物であることができる。特に有用なニトリルは下記式を有するものであることができる。
Figure 0005778691
(上記の構造中、Rは上記に規定したのと同一であることができる)。
ニトリル基が芳香環に直接結合しているニトリルは特に有用であることができる。というのは、これらは飽和ニトリルよりも活性であり、このため、より短時間でエポキシ化を行うことができ、プラント能力を増加させることができるペルオキシカルボキシミド酸を生成することが知られているからである。
過酸化水素との反応時に、本発明のエポキシ化剤としての使用のためのカルボキシミド酸を製造するために有利に使用できる、本発明において使用されるニトリルの代表的な例としては下記の例の1つ以上が挙げられる:脂肪族ニトリル、たとえば、下記の化学構造を有するペルオキシアセトイミド酸が得られるアセトニトリル
Figure 0005778691
ペルオキシプロピオンイミド酸が得られるプロピオニトリル、ペルオキシカプロイミド酸が得られるカプロニトリル、ペルオキシカプリンイミド酸が得られるカプリニトリル、ペルオキシトリデカンイミド酸が得られるトリデカンニトリル、脂環式ニトリル、たとえば、ペルオキシ1−及び4−メチルシクロヘキサンカルボキシミド酸が得られる1−及び4−メチルシクロヘキサンニトリル、ペルオキシシクロヘキサンアセトイミド酸が得られるシクロヘキサンニトリル、芳香族ニトリル、たとえば、ペルオキシオルト−、メタ−及びパラ−トルイジン酸が得られるオルト−、メタ−及びパラ−トルニトリル、下記構造を有するペルオキシベンズイミド酸が得られるベンゾニトリル
Figure 0005778691
(上記のペルオキシベンズイミド酸はエポキシ化剤として特に活性であることができる)、又は、それらの混合物。
シアン化水素とエポキシ化合物とを反応させることにより容易に得られるβ−ヒドロキシニトリルは本発明における使用のための別の有用なタイプのニトリルであることができる。たとえば、過酸化水素との反応によりペルオキシβ−ヒドロキシプロピオンイミド酸を生成するβ−ヒドロキシプロピオニトリルは使用されうる。
本発明における使用のためのペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤を製造するのにモノニトリルの代わりにポリニトリルも使用してよい。ポリニトリルは、ニトリル基がニトリル基間で1〜18個の炭素原子により分離される2個以上のニトリル基を有する任意の分子として定義される。たとえば、マロノニトリル、ヘキサメチレンジシアニド、アジポニトリル及びそれらの混合物などのジニトリルは本発明において使用されうる。可溶性ポリアクリロニトリルは本発明において有用な別のタイプのニトリルであることができる。
1つの好ましい実施形態において、本発明に有用なニトリルはアセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピオニトリル又はそれらの混合物を含むことができる。
特に有用なペルオキシカルボキシミド酸は下記式を有するものであることができる。
Figure 0005778691
(上記構造中、Rは上記に規定されるのと同一であることができる)。
別の実施形態において、ペルオキシカルボキシミド酸が、たとえば、ニトリルを過酸化水素と反応させることにより、反応混合物中でその場で生成されるときに、生じる本発明の方法の全体としての反応は下記の反応スキームIIにより示すことができる。
Figure 0005778691
上記の例、スキームIIはジビニルベンゼン(DVB)がエポキシ化され、そしてペルオキシカルボキシミド酸がエポキシ化の間にその場で生成される本発明の方法の実施形態を示す。スキームIIにおいて、Rは上記に規定されるのと同一であることができる。
上記のとおり、ペルオキシカルボキシミド酸は、反応混合物中でのこのようなペルオキシカルボキシミド酸の使用の前に、選択されたニトリル化合物、たとえば、上記の任意の1種以上のニトリルの過酸化水素との別個の反応により調製されうる(事前生成)。その後、事前生成されたペルオキシカルボキシミド酸は反応条件下に緊密混合を行いながらエポキシ化されるべきジビニルアレーン化合物に添加されうる。そのような場合に、要求される塩基の存在下でエポキシ化のためにペルオキシカルボキシミド酸を使用するために、それを単離する必要がないことがある。
本発明の反応における使用のための事前生成されたペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤を製造するための別の方法は、たとえば、下記構造
Figure 0005778691
を有するようなイミド酸クロリドを過酸化物と塩基性条件下に反応させることによることができる。1つの実施形態において、過酸化水素、たとえば、水酸化ナトリウム、ナトリウムペルオキシド、ナトリウムペルボレートなど又はそれらの混合物は単独で使用されるか又は塩基との組み合わせで使用されうる。上記の構造中、Rは上記に規定されるのと同一であることができる。
事前生成されても、又は、その場で製造されても、生成されるエポキシ基1モル当たりに少なくとも1モルのペルオキシカルボキシミド酸は、一般に、本発明の方法において使用されうる。しかしながら、ジビニルアレーン化合物/ペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤の異なるモル比率は使用することができる。たとえば、化学量論過剰量の1つの反応体を使用し、より速い速度で他方の反応体の完全な反応を促進することがしばしば有利である。本発明の成分であるジビニルアレーンは2つのエチレン系二重結合を含む。一般に、約0.25モル〜約4モルのペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤/1モルの、ジビニルアレーンのエチレン系二重結合の比率は使用されてよい。本発明の方法の別の実施形態において、約0.75モル〜約2モルのペルオキシカルボキシミド酸/1モルのジビニルアレーンのエチレン系二重結合の比率は使用されてよく、さらに別の実施形態において、約0.95モル〜約1.30モルのペルオキシカルボキシミド酸/1モルのジビニルアレーンのエチレン系二重結合の比率は使用されてよい。
別の実施形態において、ペルオキシカルボキシミド酸が反応混合物中でその場でニトリル及び過酸化水素から生成されるときには、一般に、約0.25モル〜約4モルの過酸化水素/1モルのジビニルアレーンのエチレン系二重結合の比率は使用されてよい。本発明の方法のさらに別の実施形態において、約0.75モル〜約2モルの過酸化水素/1モルのジビニルアレーンのエチレン系二重結合の比率は使用されてよく、なおも別の実施形態において、約1.0モル〜約2.0モルの過酸化水素/1モルのジビニルアレーンのエチレン系二重結合の比率は使用されてよく、そして、さらに別の実施形態において、約1.05モル〜約1.30モルの過酸化水素/1モルのジビニルアレーンのエチレン系二重結合の比率は使用されてよい。
1モルのエチレン系二重結合当たりに上記の比率の過酸化水素を使用することの利点を例示するために、たとえば、DVBのエチレン系二重結合のペルオキシカルボキシミド酸による逐次エポキシ化を下記のスキームIII及びIVとして示すことができ、その逐次エポキシ化は本発明の方法の実施形態を示す。
Figure 0005778691
スキームIII及びIVにより示される逐次エポキシ化の上記の例において、ジビニルベンゼン(DVB)はペルオキシカルボキシミド酸と反応して、ジビニルベンゼンモノオキシド及びアミドを生成し(スキームIII)、次いで、そのモノオキシドとペルオキシカルボキシミド酸が反応して、ジビニルベンゼンジオキシド及びアミドを生成する(スキームIV)。式スキームIII及びIVの上記の化学構造において、Rは上記に規定されるのと同一であることができる。
エチレン系二重結合のエポキシド基への高程度の反応が得られないならば、実質的な量のジビニルアレーン及び/又はジビニルアレーンモノオキシドが反応生成物中に残存しうることが判った。過酸化水素/エチレン系二重結合の上記の比率は、有利なことに、所望のジビニルアレーンジオキシドへの高程度の反応を生じさせることができる。
ペルオキシカルボキシミド酸が(1)その場で製造されるか又は(2)事前生成されるかに関係なく、過剰モル量のエチレン系二重結合/過酸化水素を用いるならば、多量のジビニルアレーン出発材料及びジビニルアレーンモノオキシドはエポキシ化反応の最後に残存することがあり、そして、ビニルアレーンジオキシドの純粋生成物を得るために、ジビニルアレーンジオキシドから有意な量のジビニルアレーン及びジビニルアレーンモノオキシドを分離することが要求されうる。それゆえ、エチレン系二重結合のエポキシド基への高い転化率を得るために、本発明の方法において、過度に過剰の過酸化水素を使用しなくても、エチレン系二重結合に対して若干モル過剰の過酸化水素を使用することが有利であることができる。それにより、その両方の望ましい実施形態において、エチレン系二重結合のエポキシド基への高転化率及び過酸化水素の最少使用量を実現することができる。
本発明の実施形態は、たとえば、事前生成された又はその場で生成されたペルオキシカルボキシミド酸によるジビニルアレーンのエポキシ化法であって、約1.0モル〜約2.0モルの過酸化水素/1モルのエチレン系二重結合の比率を使用し、そしてより好ましくは約1.05モル〜約1.30モルの過酸化水素/1モルのエチレン系二重結合を使用し、反応が本発明の方法のための本明細書中に記載された条件で行われる方法を含む。
本発明の方法は有利には下記の1つ以上、好ましくはすべての結果をもたらす。
(1)装填されたジビニルアレーンの転化率は1つの実施形態において約80%転化率を超えることがあり、別の実施形態において約90%転化率を超えることがあり、さらに別の実施形態において約98%転化率を超えることがあり、そしてなおも別の実施形態において、装填されたジビニルアレーンの約99%転化率を超えることがある。本発明の目的は装填されたジビニルアレーンの100%転化率を得ることであり、そして、一般に、装填されたジビニルアレーンの転化率は1つの実施形態において約80%〜約100%転化率であることができ、別の実施形態において約90%〜約100%転化率であることができ、さらに別の実施形態において約98%〜約100%転化率であることができ、そしてなおも別の実施形態において約99%〜約100%転化率であることができる。
(2)装填されたジビニルアレーンを基準とした中間体ジビニルアレーンモノオキシドの%収率は1つの実施形態において約50%未満であることができ、別の実施形態において約20%未満であることができ、さらに別の実施形態において約10%未満であることができ、そしてなおも別の実施形態において約5%未満であることができる。別の実施形態において、ジビニルアレーンを基準としたジビニルアレーンモノオキシドの%収率は1つの実施形態において約0.1%〜約50%であることができ、別の実施形態において約0.1%〜約20%であることができ、さらに別の実施形態において約0.1%〜約10%であることができ、なおも別の実施形態において約0.1%〜約5%であることができ、さらに別の実施形態において約0.1%〜約2%であることができる。
(3)ジビニルアレーンを基準としたジビニルアレーンジオキシド生成物の%収率は1つの実施形態において約50%収率を超えることがあり、別の実施形態において約60%を超えることがあり、さらに別の実施形態において約70%を超えることがあり、そしてなおも別の実施形態において約80%を超えることがある。本方法の目的は100%収率のジビニルアレーンジオキシド生成物を得ることであり、そして、一般に、ジビニルアレーンジオキシド生成物の%収率は約50%〜約100%収率のジビニルアレーンジオキシドであることができ、別の実施形態において約60%〜約100%収率であることができ、別の実施形態において約70%〜約100%収率であることができ、なおも別の実施形態において約80%〜約100%収率であることができる。
(4)装填された過酸化水素を基準としたエポキシド基の%収率は1つの実施形態において約50%収率のエポキシド基を超えることがあり、別の実施形態において約60%収率を超えることがあり、別の実施形態において約70%収率を超えることがある。さらに別の実施形態において約90%収率を超えることがある。本方法の目的は装填された過酸化水素を基準としたエポキシド基の収率を100%とすることであり、一般に、エポキシド基の%収率は約50%〜約100%収率であることができ、別の実施形態において約60%〜約100%収率であることができ、別の実施形態において約70%〜約100%収率であることができ、なおも別の実施形態において約90%〜約100%収率であることができる。
ペルオキシカルボキシミド酸が反応混合物中でニトリルからその場で生成される実施形態において、一般に、1つの実施形態において約0.5:1〜約4:1のニトリル/過酸化水素のモル比を用いることができ、別の実施形態において約1:1〜約3:1のニトリル/過酸化水素の比を用いることができ、そしてさらに別の実施形態において約1.2:1〜約2.5:1の比を用いることができる。このような場合には、過酸化水素/ジビニルアレーンのエチレン系二重結合の範囲は本発明の方法に関して上記に記載した範囲であることができる。過酸化水素との反応によりエポキシ化剤をその場で生成するためにポリニトリルを用いる場合には、出発ニトリル1モル当たりのニトリル基の数を考慮したモル割合を用いるべきである。
反応は、好ましくは、反応体に適する水及び/又は1種以上の有機溶剤を含むことができる溶剤を用いて液相中で行うことができる。たとえば、過酸化水素及び/又は塩基性化合物の水性溶液は本発明において使用されうる。水中での溶解度が低いジビニルアレーン化合物をエポキシ化し及び/又は実質的に水不溶性であるペルオキシカルボキシミド酸を使用する際に、反応用有機溶剤は水の代わりに、又は水とともに有用であることがある。アルコール、特に水溶性アルコールは有用な溶剤であることができ、該アルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2− プロパノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール又はそれらの混合物が挙げられる。多価アルコール、たとえば、エチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール又はそれらの混合物を使用することができる。炭化水素溶剤、たとえば、トルエン、ベンゼン、キシレンなどを含む芳香族炭化水素溶剤、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどを含む脂肪族炭化水素溶剤、又は、それらの混合物は本発明で使用されうる。他の非酸性溶剤は本発明で使用でき、たとえば、ケトン、エーテル、塩素化溶剤、エステル又はそれらの混合物である。たとえば、本方法に有用な溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、酢酸エチル、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム又はそれらの混合物を挙げることができる。重合可能なエチレン系結合を含まない溶剤も本発明の方法で使用することができる。
1つの好ましい実施形態において、反応溶剤は、たとえば、メタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、4−メチル−2−ペンタノン、1−メトキシ−2−プロパノール又はそれらの混合物を含むことができる。
一般に、ある量の液体有機溶剤を用いて反応を行うときに、有機溶剤/ジビニルアレーンの質量比は1つの実施形態において約20未満であることができ、別の実施形態において約10未満であることができ、さらに別の実施形態において約5未満であることができる。本発明の他の実施形態において、有機溶剤/ジビニルアレーンの質量比は約0.1〜約20であり、好ましくは約0.5〜約10であり、そしてより好ましくは約1〜約5である。
本発明の別の実施形態は、たとえば、本発明の組成物のための反応体及び反応溶剤の両方としての上記のニトリルの使用を含む。この場合には、必要な反応性及び溶剤として機能するためのニトリルの官能価を提供するために過剰のニトリルを用いることができ、ここで、過剰のニトリルは上記の範囲の質量比にあたる。
反応混合物は単一相又は多相であることができ、すなわち、反応混合物は単一の均一相を含むことができ、又は、反応混合物は1相よりも多くの液相及び/又は固相を含むことができる。
反応混合物のpHを約7以上のpHに維持するために、有機もしくは無機塩基性化合物を反応混合物に添加することができる。実質的に可溶性である塩基性化合物及び実質的に不溶性である塩基性化合物の両方は、反応混合物のpHを要求されるpHに維持するかぎり、本発明において有効に使用できる。塩基性無機化合物は低コストで容易に入手可能であるから、塩基性無機化合物は一般に有利であることができる。
本発明に有用な適切な塩基性化合物としては、たとえば、無機水酸化物が挙げられ、その例はアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど及びそれらの混合物であり、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の対応する酸化物が挙げられ、たとえば、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなど又はそれらの混合物であり、また、水溶性炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩など及びそれらの混合物などの塩基性塩が挙げられ、たとえば、その例は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸トリカリウムなど又はそれらの混合物であることができる。
1つの好ましい実施形態において、塩基性化合物は水酸化物、重炭酸塩又はそれらの混合物を含むことができる。別の実施形態において塩基性化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属重炭酸塩又はそれらの混合物を含むことができる。さらに別の実施形態において、塩基性化合物は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム又はそれらの混合物を含むことができる。
本発明において使用される有機塩基性化合物は、一般に、無機塩基よりも高いコストのために、より好ましくない。しかしながら、有機塩基は本発明においてなおも有用であることができる。本発明に使用されうる有機塩基性化合物には、たとえば、フェノールの塩、たとえば、カリウムフェノキシド、カルシウムフェノキシド、ナトリウムメタ−メチルフェノキシド、ナトリウムナフトキシド、アミン、たとえば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン及びその高級類似体、たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンなど及びそれらの混合物が含まれる。
水溶性塩基性化合物の水性溶液は組成物中に使用されてよく、一般に、1つの実施形態において約0.1wt%〜約50wt%の範囲であることができ、別の実施形態において約1wt%〜約40wt%の範囲であることができ、さらに別の実施形態において約4wt%〜約10wt%の範囲であることができる。
ある実施形態において、不溶性形態の塩基性化合物を使用することに操作上の利点がある場合がある。たとえば、アニオン交換樹脂、特に、アミン又は第四級アンモニウム塩基樹脂は本発明の方法での使用に特に便利な形態の不溶性塩基であることができる。これらの適切な塩基性樹脂の例としては、たとえば、米国特許第2,591,573号明細書(参照により本明細書中に取り込む)に記載されたクロロメチル化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのアミノ化生成物、米国特許第2,388,235号明細書の方法により製造される樹脂(参照により本明細書中に取り込む)、アニオン樹脂、及び、弱塩基イオン交換樹脂など及びそれらの混合物が挙げられる。塩基性樹脂は遊離塩基形態又はその塩の形態、たとえば、強塩基性樹脂の炭酸塩で使用できる。本発明で有用な別のクラスの不溶性塩基性化合物としては、たとえば、ハイドロタルサイトが挙げられ、それはインターレイヤ中のアニオン性種と正電荷を有するブルサイト様の層を含む合成アニオンクレーであり、たとえば、K. Kanedaら, Chem. Commun., 1998, pp. 295-296に記載されそしてその中に引用された文献により調製されるハイドロタルサイトMg10Al(OH)24C0(参照により本明細書中に取り込む)が挙げられる。
本発明の反応の速度はpH依存性であり、少なくとも約7又はそれ以上のpHは、そして別の実施形態において、約9を超えるpHは急速な反応を促進するのに望ましいことがある。一般に、反応混合物のpHは約7を超え、約12以下のpHを含むことができる。1つの実施形態において、反応混合物のpHを約9〜約11.5に維持するために塩基性化合物を使用する。別の実施形態において、反応混合物のpHを約9〜約10.5の範囲に維持するように塩基性化合物の添加を制御するときに有利な結果を得ることができる。さらに別の実施形態において、反応混合物のpHは約9.5〜約10.5の範囲に維持されうる。なおも別の実施形態において、反応混合物のpHは約9.5〜約10.1の範囲に維持される。本明細書中で参照される用語「pH」はFisher Scientific から得られる標準pH7〜pH10の緩衝剤を用いて検量されうるThermoscientific #8272BN pHプローブを装備したpH計により反応温度で反応溶液中で測定されるとおりのpHを意味する。1つ以上の一定添加速度又は間欠添加を用いた塩基性化合物添加プロファイルをpH制御に代わるシステムとして用いることができる。塩基性化合物は、たとえば、水酸化ナトリウム(NaOH)であることができる。
pH制御又はNaOH添加プロファイルのいずれを用いても、添加される合計NaOHは、一般に、1つの実施形態において約0.01モル〜約0.15モルのNaOH/過酸化水素合計添加モル、別の実施形態において約0.02モル〜約0.10モルのNaOH/過酸化水素合計添加モル、さらに別の実施形態において約0.04モル〜約0.08モルのNaOH/過酸化水素合計添加モルである。
本発明の反応方法の反応温度は使用される特定のニトリル及び塩基性化合物などの要因によって変化しうる。一般に、反応の温度は約20℃〜約100℃に維持されうる。約0℃から操作圧力における混合物のおよそ沸騰温度の範囲の温度を使用することができるが、約20℃〜約100℃の温度も通常に使用でき、好ましくは約20℃〜約60℃、より好ましくは約40℃〜約50℃の温度範囲が使用できる。一般に、本発明の方法の反応温度が高いほど、オレフィンの高転化率を達成するのに必要な反応時間が短くなるであろう。たとえば、約24時間までの長さの反応時間は約20℃で使用でき、一方、約6時間未満の反応時間が望ましいときには、反応温度は約50℃に上げられるであろう。別の実施形態において、1種以上の反応体又は溶剤の沸点を超える温度で操作しているときに、反応体を液体相に少なくとも部分的に維持するのに十分な圧力下に操作することが好ましいことがある。
異なる実施形態において、本発明の方法の反応温度は反応混合物の低沸点成分の沸点で、場合により、真空を課すことにより大気圧よりも低い圧力で操作することにより制御でき、ここで、低沸点成分の沸騰により生成される蒸気の少なくとも一部が凝縮され、その後、場合により、凝縮された蒸気は反応混合物にリサイクルされる。
フリーラジカル重合を受けやすいジビニルアレーンのエポキシ化の場合に、所望されないエチレン系二重結合の重合を回避するために、一般に、約70℃未満の温度を用いることができるが、別の実施形態において約60℃未満の温度がより好ましいことがある。
多数の添加剤は本発明の一部として場合により使用でき、該添加剤としては、たとえば、フリーラジカル重合抑制剤が挙げられる。たとえば、1種以上のフリーラジカル重合抑制剤は本発明の方法のいずれかの工程に添加されてよく、たとえば、該工程としては反応工程、回収工程及び/又は精製工程が挙げられる。抑制剤は、フェノール、ヒドロキノン、キノン、芳香族ニトロ化合物、ニトロフェノール、アミン、ニトロソ化合物、ニトロキシド又はそれらの混合物を含むことができる。
本発明で使用されうるフリーラジカル重合抑制剤としては、たとえば、フェノール、たとえば、4−メトキシフェノール、4−tert-ブチルカテコール又は2,6−ジ−tert-ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキノン、たとえば、1,4−ジヒドロキシベンゼン又は3,5−ジ−tert-ブチルベンゼン−1,2−ジオール、キノン、たとえば、1,4−ベンゾキノン又はナフタレン−1,2−ジオン、芳香族ニトロ化合物、たとえば、1,3−ジニトロベンゼン又は1,4−ジニトロベンゼン、ニトロフェノール、たとえば、2−(sec-ブチル)−4,6−ジニトロフェノール、4−メチル−2−ニトロフェノール、又は、4−メチル−2,6−ジニトロフェノール、アミン、たとえば、フェノチアジン、N−フェニル−N−プロピルベンゼン−1,4−ジアミン、N−(1,4−ジメチルフェニル)−N’フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン又は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ニトロソ化合物、たとえば、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、ニトロキシド化合物(本明細書中、下記にて詳細に記載する)又はそれらの混合物が挙げられる。
ニトロキシド化合物はフリーラジカル重合抑制剤のクラスであり、それは本発明において特に有用である。用語「ニトロキシド」は、本明細書中に使用されるときに、用語「アミノキシル」、「ニトロキシル」又は「ヒンダードアミンニトロキシル基」と同義語であり、それらはしばしば当該技術分野に使用されている。ニトロキシドは、一般に、少なくとも1つのNO基を有する化合物であり、ここでアスターリスク*は非対電子を表し、窒素原子は2個の炭素原子に結合しており、その両方ともが水素原子を結合していない。本発明に有用なニトロキシド化合物は下記の一般構造を有する。
Figure 0005778691
上式中、各Rは個々に1〜18個の炭素原子のアルキル基であり、Tは5員環又は6員環を形成するのに要求される基である。2個以上のニトロキシル基は結合基によりT部分を介して2個の上記の環構造を結合することにより同一の分子中に存在してよい。好ましくは、ニトロキシドは下記の群から選ばれる。
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPOとしても当該技術分野において参照される)
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール(4−ヒドロキシTEMPOとしても当該技術分野において参照される)
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−n−プロポキシピペリジン
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−n−ブトキシピペリジン
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−アリルオキシピペリジン
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトアミドピペリジン
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−(N−ブチルホルムアミド)ピペリジン
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−メトキシエトキシアセトキシ)ピペリジン
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルステアレート
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアセテート
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルブチレート
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル2−エチルヘキサノエート
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルオクタノエート
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルラウレート
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルベンゾエート
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル4−tert-ブチルベンゾエート
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジペート
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルマロネート
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)フタレート
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イソフタレート
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)テレフタレート
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサヒドロテレフタレート
N,N’−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパミド
N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カプロラクタム
N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ドデシルスクシンイミド
2,4,6−トリス[N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−s−トリアジン
4,4’−エチレンビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−3−オン)
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)ピペリジン
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシ−4−オキサペントキシ)ピペリジン及び
ジ−tert-ブチルニトロキシル。
1つの好ましい実施形態において、本発明に有用なニトロキシドはビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−n―ブトキシピペリジン及びそれらの混合物からなる群より選ぶことができる。
上記のとおり、同一のクラス(たとえば、ニトロキシド)に入る抑制剤の組み合わせは使用されてよく、又は、上記の異なるクラスの抑制剤の組み合わせは使用されてよく、たとえば、フェノール抑制剤はニトロキシドと組み合わせて使用されてよい。1つの実施形態において、4−tert-ブチルカテコールのビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート又は1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールのいずれかとの組み合わせを、反応におけるフリーラジカル重合を抑制し、DVBDOなどのジビニルアレーンジオキシドを製造するために使用する。
反応工程において導入されるフリーラジカル重合抑制剤は種々の形態で(たとえば、純粋な形態の抑制剤又は溶剤中に溶解された溶液とした抑制剤)、種々の添加方法を用いて添加されうる(たとえば、すべて一度に、連続又は間欠的)。本発明で有用な抑制剤の濃度は、たとえば、反応物中に添加される合計ジビニルアレーンを基準として約0.01wt%〜約5wt%であることができる。好ましくは、別の実施形態において、抑制剤の濃度は反応物中に添加されるジビニルアレーンを基準として約0.1wt%〜約2.0wt%の範囲であることができる。
抑制剤は反応の始めにすべて(加熱の前に)、間欠的に(たとえば、30分毎)又は連続的に添加されうる。添加方法の組み合わせは用いられてよく、たとえば、全抑制剤の一部を反応の始めに添加し、そして抑制剤の残部を反応の間に連続的に添加することができる。抑制剤を間欠的に又は連続的に添加したときに、時間当たりに添加される合計抑制剤の割合は線形であっても非線形であってもよい。連続抑制剤添加を用いるならば、添加をある時間停止することができ、特に、反応の終了に向けて停止することができ、それにより、所望の生成物の収量を犠牲にすることなく抑制剤の使用をより効率的にすることができる。
フリーラジカル重合抑制剤は純粋形態又は適切な溶剤中の溶液のいずれかで導入されうる。抑制剤とともに使用される溶剤は、たとえば、上記の1種以上の同一の反応溶剤であってよい。たとえば、抑制剤は適切な溶剤中の溶液として導入でき、その溶剤としては、たとえば、水、メタノール、アセトニトリル、アルキルビニルアレーンモノオキシド(たとえば、エチルビニルベンゼンモノオキシド)、ジビニルアレーン(たとえば、ジビニルベンゼン)、ジビニルアレーンモノオキシド(たとえば、ジビニルベンゼンモノオキシド)、ジビニルベンゼンジオキシド(たとえば、ジビニルベンゼンジオキシド)又はそれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、抑制剤は、たとえば、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールであることができ、そして反応工程の間に水中の20%溶液として導入されうる。
1つの好ましい実施形態において、反応混合物に添加されるフリーラジカル重合抑制剤の合計量は反応において添加される合計ジビニルアレーンを基準として約0.01wt%〜約5.0wt%を占めることができる。別の実施形態において、反応混合物に添加されるフリーラジカル重合抑制剤の合計量は反応において添加される合計ジビニルアレーンを基準として約0.1wt%〜約2.0wt%を占めることができる。フリーラジカル重合抑制剤は反応混合物に、一度にすべて、間欠的、連続的又は添加法の組み合わせを用いて、添加されることができ、ここで、抑制剤は純粋形態又は適切な溶剤中のいずれかで添加されうる。
1つの好ましい実施形態において、フリーラジカル重合抑制剤は、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、又は、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの置換形態を含むことができる。別の実施形態において、フリーラジカル重合抑制剤は1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−n−ブトキシピペリジン、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、4−tert-ブチルカテコール又はそれらの混合物を含むことができる。さらに別の実施形態において、フリーラジカル重合抑制剤はビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートを含むことができ、それは反応の進行にわたって、たとえば、反応に添加される合計ジビニルアレーンを基準として約0.1wt%〜約2.0wt%の範囲で反応混合物に間欠的に又は連続的に添加されうる。なおも別の実施形態において、フリーラジカル重合抑制剤は1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オールを含むことができ、それは反応の進行にわたって、たとえば、反応に添加される合計ジビニルアレーンを基準として約0.1wt%〜約2.0wt%の範囲で反応混合物に間欠的に又は連続的に添加されうる。
別の実施形態において、本発明の方法は場合によりフリーラジカル重合抑制剤を単独で又は酸素含有ガスとの組み合わせで使用することができ、又は、その方法は酸素含有ガスを単独で使用することができる。一般に、酸素含有ガスは酸素−窒素ガス混合物であることができる。1つの実施形態において、酸素−窒素ガス混合物は約21%以下の酸素を含み、残部が窒素であることができる。別の実施形態において、酸素含有ガスは約10%以下の酸素を含み、残部が窒素である酸素−窒素ガス混合物であることができる。一般に、ガス混合物の流速は1分当たり総反応器体積の約0.01〜約1.0倍であることができる。
1つの実施形態において、活性のために酸素を必要とすることがあるフリーラジカル重合抑制剤を使用することに関連して、プロセスの蒸気相は約21%以下の酸素を含み、残部が窒素を含むこともできる。他の実施形態において、ガスの酸素含有分は、一般に、約21%以下であることができ、好ましくは約10%以下であり、より好ましくは約5%以下であり、残部が窒素又は場合により別の不活性ガス又は不活性ガスの混合物であることができる。
別の実施形態において、酸素含有ガスは、場合により液相全体にガスが分散するのを補助するために攪拌しながら、方法の液相に直接的に導入されてよく、それにより、液相中へ酸素の吸収性を向上させる。1つの好ましい実施形態において、約5%の酸素を含み、残部が窒素であるガス組成物は液相中に直接的に反応に連続的に導入される。ガスの流速は約(0.01×総反応器体積)/分〜約(1.0×総反応器体積)/分であることができる。別のより好ましい実施形態において、流速は約(0.05×総反応器体積)/分〜約(0.5×総反応器体積)/分であることができる。
水は場合により初期反応混合物に添加されてよく(過酸化水素又は事前生成されたペルオキシカルボキシミド酸の添加の前に)、一般に、初期反応混合物の質量に対して約1wt%〜約8wt%の量で添加されてよい。
アルカリリン酸塩などの緩衝剤は塩基性化合物と組み合わせて反応混合物に場合より添加されてもよい。本発明において使用されうるアルカリリン酸塩としては、たとえば、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)、無水形態又は水和形態としてのリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、たとえば、十二水和物、NaHPO・12HO、リン酸水素二カリウム(KHPO)又はそれらの混合物が挙げられる。
エチレンジアミン四酢酸又はそのジアルカリ塩(たとえば、ジナトリウム)などのキレート剤は、場合により、過酸化水素の質量に対して約0.01wt%〜約1wt%の量で初期反応混合物に添加されうる。
本発明の反応はバッチ処理、セミバッチ処理、連続処理又はそれらの組み合わせを含む様々な方法で行うことができる。バッチ、間欠又は連続的な反応方法は本発明で用いることができ、そして反応体は任意の便利な順序で反応混合物中に導入されうる。1つの好ましい実施形態において、反応(i)はバッチ様式又は(ii)連続様式のいずれかで行うことができる。ペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤のその場での生成の手順を用いるときに、バッチ様式反応の1つの有利な方法は、過酸化水素を反応混合物に添加することを含み、たとえば、有利には、約30%〜約75%濃度の市販の過酸化水素水溶液を、エポキシ化しようとしているジビニルアレーン化合物及び有機ニトリルの溶剤中の攪拌されている混合物であって、本発明による範囲内の初期pHをもたらすために十分な塩基を含む混合物に添加することを含む。好ましくは、所望の反応温度を維持するために過酸化水素の供給速度を制御しがなら、反応混合物を冷却することができる。本発明による範囲内に混合物のpHを維持するために必要に応じて追加の塩基も反応混合物に供給することができる。代わりの実施形態では、塩基性化合物の合計量は、この操作方法では反応の開始時に反応混合物に添加されうる。たとえば、重炭酸ナトリウム、カリウムフェノキシド、酢酸ナトリウムなど又はそれらの混合物などの塩基性塩はこのようにして反応の所望のpHを維持するために使用されうる。
又は、反応は事前生成されたペルオキシカルボキシミド酸及び上記のタイプの適切な溶剤を、温度制御手段、適切にはオートクレーブを備え、好ましくは所望の塩基を含む、攪拌されている反応器に装填することにより行うことができる。その後、反応器装填が完了されるまで反応混合物のpHを好ましい範囲に維持するために必要に応じて追加の塩基性化合物を添加し又は添加せずに、エポキシ化されるべきジビニルアレーン化合物を反応器に供給することができる。上記のどの添加順序であっても、すべての反応体が添加された後に、所望の程度の反応を促進するために一定時間反応混合物を反応温度で継続的に攪拌を続け、場合により、好ましい範囲にpHを維持するために追加の塩基性化合物を添加することが通常に望ましいことがある。
本発明の方法は、たとえば、上記のとおりに初期装填物を部分的に反応させ、その後、ジビニルアレーン化合物、過酸化水素及び有機ニトリルを別々に連続的に反応器に添加し、ジビニルアレーンジオキシドを含有する反応済み混合物を反応器から連続的に又は間欠的に抜き出しながら、好ましい量の塩基を連続的に又は間欠的に添加することにより、上記のタイプの装置内で連続的に行うことができる。連続攪拌タンク反応器(CSTR)、プラグフロー反応器(PFR)、ループ反応器又はそれらの組み合わせを用いることにより、直列又は並列の外部交換器を用い又は用いずに、同一の有利な結果を得ることができる。ポンプを用いて連続ストリームとして反応器をとおして反応混合物を循環させてよく、反応混合物中に、エポキシ化されるべきジビニルアレーン化合物、過酸化水素、ニトリル及び塩基性化合物を、反応器から生成物含有混合物の取り出しの前に実質的な反応がなされうる反応混合物の抜き出しポイントとは十分に離れた別個のポイントに連続的に供給することができる。
又は、ジビニルアレーン化合物は管状又はその他の適切な形態の反応器をとおした反応混合物流の経路に沿って、間隔を開けたポイントで供給されてよく、ここで、適切な温度が維持されうる。混合物の揮発性成分、たとえば、少なくとも一部に反応体の溶剤又は希釈剤として機能することもできるブタン又はイソペンタンなどの液化気体炭化水素の外部冷却又は蒸発により、温度制御を行うことができ、装置の圧力は、この揮発性成分が所望の反応温度で蒸発するように制御される。本方法の上記の変更と同様に、使用される過酸化水素溶液及び/又は塩基溶液は、エポキシ化されるべきジビニルアレーンを供給するポイントの中間ポイントで反応混合物流中に供給され、好ましくは別々に供給されうる。これらの操作方法のいずれかにおいて、事前生成されたペルオキシカルボキシミド酸のフィード流を過酸化水素及びニトリルフィードの代わりとすることできる。有利なことに、ペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤は、エポキシ化が好ましくは上記のとおりに行うことができるアルカリpHで好ましくは生成される粗反応混合物として供給されうる。
本発明の方法により生成されたジビニルアレーンジオキシドは適切な様式で、これらの化合物の反応性、特に、水性媒体中での水和又はアルコーリシスを経験するエポキシド環の傾向を考慮し、中性条件下でゆっくりと、そして酸性条件又は塩基性条件でより急速に、反応混合物から回収できる。ジビニルアレーンジオキシド生成物を回収する1つの適切な方法は蒸留によるものであることができる。1つの実施形態において約80%純度を超えるジビニルベンゼンジオキシド生成物、別の実施形態において約90%純度を超えるジビニルベンゼンジオキシド生成物、又は、さらに別の実施形態において約95%純度を超えるジビニルベンゼンジオキシド生成物を得るように蒸留法を使用することができる。
ジビニルアレーンジオキシド及びその共生成物として得ることがあるアミドの相対沸点により、アミドはジビニルアレーンジオキシドの蒸留前又は後に回収されうる。たとえば、ほぼ中性条件の下での減圧を用いたフラッシュ蒸留はアミドを含む又は含まないエポキシドを回収するのに好ましい方法であることができる。
別の実施形態において、抽出、次いで、蒸留はジビニルアレーンジオキシドを回収するために使用されうる別の方法でありうる。ジビニルアレーンジオキシド生成物の蒸留の前に水溶性アミド共生成物を分離するのに抽出は特に有効である。たとえば、ペルオキシアセトイミド酸エポキシ化剤を調製するのにアセトニトリルを使用するときに、共生成物としてアセトアミドが生成される。アセトアミドは抽出によってジビニルアレーンジオキシドから実質的に分離されうる。反応混合物は好ましくはさらなる水により希釈でき、その後、水不溶性有機抽出溶剤により抽出して、(i)ほとんどのアセトアミド及びメタノール又は水溶性反応溶剤を含む水性層、及び、(ii)ほとんどのジビニルアレーンジオキシド生成物を含む有機層を提供する。
本発明に有用な有機抽出溶剤は塩素化有機溶剤、エーテル、芳香族炭化水素、ケトン、エステル又はそれらの混合物を含むことができる。適切な有機抽出溶剤としては、たとえば、クロロホルム及び塩化メチレンなどの塩素化有機溶剤、ジエチルエーテルなどのエーテル、ベンゼン及びトルエンなどの芳香族炭化水素、4−メチルペンタノンなどのケトン、酢酸エチルなどのエステル又はそれらの混合物が挙げられる。有機溶液中のジビニルアレーンジオキシド生成物を、場合により水により洗浄し、あらゆる微量水溶性不純物を除去し、その後、抽出溶剤を蒸留により除去して、組成物中に少なくとも約50wt%を超える量で存在するジビニルアレーンジオキシドを含む粗ジビニルアレーンジオキシド生成物を生じることができ、それはそのまま使用されるか、又は、製品組成物中のDVBDOなどのジビニルアレーンジオキシドの量を増加させるためにさらに精製されてもよい。
本発明のジビニルアレーンジオキシドの上記の精製方法の1つの実施形態は、たとえば、以下の工程を含む:(1)反応混合物を水で希釈すること、(2)反応混合物を、クロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン又はその他などの水不溶性抽出溶剤で抽出すること、(3)得られたジビニルアレーンジオキシド−溶剤層を水洗浄すること、(4)抽出溶剤及び残留水を蒸留により除去し、粗ジビニルアレーンジオキシド生成物を生じさせること、そしてその後、(5)粗ジビニルアレーンジオキシド生成物を蒸留して、高純度ジビニルアレーンジオキシドを得ること。あらゆる固形分不純物を分離するために、本方法と組み合わせて、又は反応工程もしくは精製工程のいずれかの時点で、場合により、ろ過を用いることができる。たとえば、ベンズアミドが共生成物の場合には、ベンズアミドは抽出工程の間に沈殿し、ジビニルアレーンジオキシドからベンズアミドを除去するためにろ過を用いることができる。
粗ジビニルアレーンジオキシド生成物を蒸留するために、フラッシュ蒸留を含むいかなるよく知られている適切な手段を用いてもよい。1つの実施形態において、蒸留は、たとえば、下記の条件下に行われることができる。一般に、蒸留は1つの実施形態において約60℃〜約280℃の温度で、別の実施形態において約90℃〜約200℃、さらに別の実施形態において約100℃〜約195℃、なおも別の実施形態において約130℃〜約170℃の温度で行うことができる。蒸留の圧力は、一般に、1つの実施形態において約10Pa〜約93000Pa、別の実施形態において約10Pa〜約13000Pa、さらに別の実施形態において約10Pa〜約3300Pa、なおも別の実施形態において約10Pa〜約2600Paであることができる。
精製蒸留は、たとえば、ワイプドフィルムエバポレータ、フォーリングフィルムエバポレータ、蒸留カラム、バッチ蒸留など又はそれらの組み合わせを含む、当業者に知られた適切な装置において行うことができる。本発明の蒸留/精製工程はバッチプロセス、セミバッチプロセス、連続プロセス又はそれらの組み合わせを含むことができる。
長時間の精製工程(たとえば、蒸留工程)の間の本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物の熱処理はオリゴマー生成をもたらすことがあり、そのオリゴマーは、たとえば、反応工程で生成されたエポキシド基のダイマー、トリマー及び/又はテトラマーなどのオリゴマーを含む。オリゴマー生成を回避するために、精製はより低温でより長時間、真空条件下に行うことができ、又は、より高温でより短い時間、フラッシュ条件下に行うことができる。
蒸留の間の持続的加熱によりジビニルアレーンジオキシド生成物から生成されるオリゴマーは、オリゴマー含有ジビニルアレーンジオキシドが粘性過ぎて処理装置から流出できなくなり、ジビニルアレーンジオキシド生成物の回収の損失となることもある状況を作り出すことがある。したがって、1つの任意的な実施形態において,「高沸点ポットボイラー」化合物をフィード流に添加し、本発明において使用される装置内でのプロセス流の流動性を維持するために十分な量で精製プロセスを通過させる。たとえば、プロセス流の流動性を維持するために、高沸点ポットボイラーを、一般に、約5wt%〜約50wt%、好ましくは約5wt%〜約40wt%、より好ましくは約10wt%〜約35wt%、そしてさらにより好ましくは約20wt%〜約30wt%で添加することができる。本発明に有用な高沸点ポットボイラーは一般に沸点が1atm(101325Pa)で約280℃を超え、そして蒸気圧が25℃で約<20Paである。
本発明での使用に適切なポットボイラーの例としては、たとえば、鉱油、液体エポキシ樹脂、たとえば、DER(商標)383及びDER(商標)331(The Dow Chemical Companyの商標)、伝熱流体、たとえば、Thermia−C(商標)(Shell Companyの商標)、Derwtherm MX(商標)(The Dow Chemical Companyの商標)及びDowtherm T(商標)(The Dow Chemical Companyの商標)又はそれらの混合物が挙げられる。場合により、上記の実施形態の抑制剤及びその組み合わせは精製工程又は装置に添加されて、ジビニルアレーンジオキシド生成物中の残留エチレン系二重結合の重合を抑制することができる。
反応エフルエント中に存在する未反応ニトリルとともに反応溶剤及び場合により使用される抽出溶剤は本発明の方法においていずれかのストリームから回収でき、たとえば、(1)反応混合物自体からの回収、(2)抽出及び水洗浄から得られる水性層からの回収、(3)抽出及び水洗浄から得られる有機層からの回収、及び、(4)蒸留の前の粗ジビニルアレーンジオキシド生成物からの回収が挙げられる。反応及び/又は抽出溶剤及びニトリルの回収は当該技術分野でよく知られた任意の手段により行うことができるが、好ましくは蒸留により行ってよい。
本発明の回収されたアミド共生成物は多くの既知の方法で有価な化合物として使用されうる。1つの実施形態において、アミド共生成物をニトリルに転化させることが好ましいことがあり、そのニトリルは本発明の方法での使用のために、より多量のペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤を製造するようにプロセスにリサイクルされうる。アミドをニトリルに転化させるための使用可能な方法は数多くあり、たとえば、アミドを五酸化リン又は五塩化リンと反応させる方法である。アミドをニトリルへと転化させることができる他の方法はBellerら, Chemical Communications, (2009), p 4883;及びKologrivova ら, Maslozhirovaya Promyshlennost, (1978), vol. 11, pp 37-38に記載されており、各々を参照により本明細書中に取り込む。
本発明の方法の1つの実施形態において、ペルオキシカルボキシミド酸は上記のとおりにその場で生成されうる。本発明の方法は、また、たとえば、(1)反応又は抽出工程において使用されるすべての溶剤の回収及びリサイクル、(2)ジビニルアレーンモノオキシド、アルキル−ビニルアレーンモノオキシド及び/又はジビニルアレーンジオキシドの別個のストリームでの回収、(3)ジビニルアレーンジオキシド生成物からの反応のアミド共生成物の分離、(4)アミドからニトリルへの転化、及び/又は(5)転化されたニトリルのエポキシ化プロセスへのリサイクル、の工程を含むことができる。本方法において生成されるジビニルアレーンモノオキシドを反応にリサイクルすることができ、それにより、ジビニルアレーンモノオキシドをジビニルアレーンジオキシドへさらに転化させ、又は、場合により、ジビニルアレーンモノオキシドを別個の生成物流としてプロセスから抜き出すことができる。さらに、本明細書中に記載された添加剤が本発明の方法と組み合わせて使用されうる。
図1を参照すると、本発明のプロセスの1つの実施形態を示しており、そのプロセスは一般に、数値10により示され、ジビニルアレーンのフィード流31、水性過酸化水素のフィード流32、塩基性化合物のフィード流33、ニトリル化合物のフィード流34、フリーラジカル重合抑制剤のフィード流35、酸素ガス含有混合物のフィード流36及び反応溶剤のフィード流37を含み、それらのすべては本発明の反応を実施するための反応装置、ここで反応器30にフィードされる。反応器30からの生成物流38は、フィード流38として分離/回収装置、ここで装置40に導入されることができ、ここで、ジビニルアレーンジオキシド生成物流41は他の反応成分から分離され、そして装置40から回収される。たとえば、反応成分は装置40においてジビニルアレーンジオキシド生成物から分離されて、アミド流42、ニトリル流43、水流44及び溶剤流45などがさらなる処理ユニットに送られ、回収され、パージされ、及び/又はリサイクルされることができる。リサイクル流は不純物の堆積を制限するために周期的もしくは連続的パージを要求することがある。水性廃棄流46も装置40から取り出され、そして廃棄物回収ユニット(図示せず)に送られることができる。
その後、装置40からの生成物流41はフィード流41として精製処理/装置、ここで装置50に導入されることができ、ここで、生成物はさらに精製されて、精製済み生成物流51を生成し、装置50を出ていく。有機廃棄物流52も装置50から取り出され、有機廃棄物回収ユニット(図示せず)に送られることができる。装置50から出てくるストリーム53はジビニルアレーンモノオキシド、アルキルビニルアレーンモノオキシド又はそれらの混合物を含むことがあり、そして上記ストリーム53は精製されて、ジビニルアレーンモノオキシド、アルキルビニルアレーンモノオキシド又はそれらの混合物の精製済み生成物流(図示せず)を生成することができる。さらに、精製後の精製済みストリームはさらなる処理ユニットに送られ、回収され、パージされ及び/又はリサイクルされることができる。
図1を再び参照すると、別の任意的な実施形態において、装置40から出てくるアミド流42の一部又はすべては転化ユニット、ここで、装置60にストリーム42aを経て送られることができ、ここで、アミド流は既知の手段によりニトリルに転化されることができ、そして、次いで、装置60からの転化されたニトリル流61はフィード流60を経て反応器30にリサイクルされることができる。別の実施形態において、装置60からの廃棄物流62は装置60を出て、場合によりさらなる処理ユニット又は廃棄ユニットに送られることができる。
次に図2を参照すると、本発明のプロセスの別の実施形態を示しており、そのプロセスは一般に、数値20により示され、ジビニルアレーンのフィード流31、水性過酸化水素のフィード流32、塩基性化合物のフィード流33、ニトリル化合物のフィード流34、フリーラジカル重合抑制剤のフィード流35、酸素ガス含有混合物のフィード流36及び反応溶剤のフィード流37を含み、それらのすべては本発明の反応を実施するための反応装置、ここで反応器30にフィードされる。この実施形態において、反応器30からの生成物流38は、フィード流38として抽出/水洗浄装置、ここで、装置70に導入されることができ、ここで、ジビニルアレーンジオキシド生成物流71は他の反応成分から分離され、そして装置70にて水洗浄される。たとえば、抽出溶剤流72及び水流73は抽出/水洗浄を行うための装置70にフィードされる。その後、たとえば、反応成分は抽出により装置70内でジビニルアレーンジオキシド生成物から分離されて、アミド流74、ニトリル流75、水流76及び抽出溶剤流77などがさらなる処理ユニットに送られ、回収され、パージされ、及び/又はリサイクルされることができる。リサイクル流は不純物の堆積を制限するために周期的もしくは連続的パージを要求することがある。水性廃棄流78も装置70から取り出され、そして廃棄物回収ユニット(図示せず)に送られることができる。
その後、装置70からの生成物流71はフィード流71として抽出溶剤回収装置、ここで装置80に導入されることができ、ここで、生成物琉81は装置80から出て、そして生成物中の抽出溶剤は分離され、抽出溶剤流82を経て、さらなる処理装置に送られることができる。
装置80からの生成物流81は、その後、精製処理/装置、ここで装置90に導入されることができ、ここで、生成物流81はさらに精製されて、精製済み生成物流91を生成し、装置90を出ていく。有機廃棄物流92も装置90から取り出され、有機廃棄物回収ユニット(図示せず)に送られることができる。装置90から出てくるストリーム93はジビニルアレーンモノオキシド、アルキルビニルアレーンモノオキシド又はそれらの混合物を含むことがあり、そして上記ストリーム93は精製されて、ジビニルアレーンモノオキシド、アルキルビニルアレーンモノオキシド又はそれらの混合物の精製済み生成物流(図示せず)を生成することができる。さらに、精製後の精製済みストリームはさらなる処理ユニットに送られ、回収され、パージされ及び/又はリサイクルされることができる。
図2を再び参照すると、別の任意的な実施形態において、装置70から出てくるアミド流74の一部又はすべては転化ユニット、ここで、装置60にストリーム74aを経て送られることができ、ここで、アミド流は既知の手段によりニトリルに転化されることができ、そして、次いで、装置60からの転化されたニトリル流61はフィード流61を経て反応器30にリサイクルされることができる。代わりの実施形態において、装置60からの廃棄流62は装置60を出て、場合によりさらなる処理ユニット又は廃棄ユニットに送られることができる。
本発明の上記の方法は本発明の方法の1種以上のエフルエント又はストリームを処理するための当業者によく知られた装置、計器及び設備の1つ以上の組み合わせを含むことができ、たとえば、任意の種類のベッセル、たとえば、バッチ反応器、セミバッチ反応器、CSTR、管状反応器又はそれらの組み合わせを含む反応器、たとえば、ストリッピングベッセル、蒸留カラム、抽出ユニット、ろ過デバイス、フラッシュ、エバポレータ、遠心分離器、アジテータを含むセパレータ(バッチ、セミバッチ又は連続)、凝縮器、チューブ、パイプ、熱交換器、貯蔵タンク、ポンプ、コンプレッサー、バルブ、フランジ、カラム充填物などの上記の任意の装置内に使用される内部要素、ならびに、本発明の生成物を処理し及び/又は別のプロセスでこのような生成物を消費するための当該技術分野でよく知られたその他の装置又はコネクタを含むことができる。
本発明の方法により調製されるジビニルアレーンジオキシド、特に、ジビニルベンゼンから誘導されるもの、たとえば、ジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)はジエポキシドのクラスであり、比較的に低い液体粘度を有するが、従来のエポキシ樹脂よりも高い剛性を有する。
本発明の方法により調製されるジビニルアレーンジオキシドは、たとえば、環の任意の位置に2個のビニル基を有する任意の置換もしくは未置換アレーン核を含むことができる。ジビニルアレーンジオキシドのアレーン部分はベンゼン、置換ベンゼン又は(置換された)環状ベンゼン又は相同的に結合された(置換された)ベンゼン又はそれらの混合物からなることができる。ジビニルアレーンジオキシドのジビニルアレーン部分は、オルト、メタ又はパラ異性体又はそれらの任意の混合物であることができる。追加の置換基は酸化剤耐性基からなることができ、その酸化剤耐性基としては飽和アルキル、アリール、ハロゲン、ニトロ、イソシアネート又はR’O−(式中、R’は上記に規定されるのと同一であってよい)が挙げられる。
環状ベンゼンはナフタレン、テトラヒドロナフタレンなどからなることができる。相同的に結合された(置換された)ベンゼンはビフェニル、ジフェニルエーテルなどからなることができる。
本発明の方法により調製されるジビニルアレーンジオキシド生成物は下記のとおりの一般化学構造V〜VIIIにより一般に示されることができる。
Figure 0005778691
本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物の上記の構造V、VI、VII及びVIIIにおいて、各R、R、R及びRは個々に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル基(ここで、そのアルキル、シクロアルキル、アリール及びアラルキル基は1〜約18個の炭素原子を有し、好ましくは1〜4個の炭素原子を有することができる)、又は、酸化剤耐性基、たとえば、ハロゲン、ニトロ、イソシアネート又はR’O基(式中、R’は1〜約18個の炭素原子を有し、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、アリール又はアラルキル基であることができる)であり、xは0〜4の整数であることができ、yは2以上の整数であることができ、x+yは6以下の整数であることができ、zは0〜6の整数であることができ、z+yは8以下の整数であることができ、そしてArはたとえば、1,3−フェニレン基を含むアレーン断片である。
本発明の方法により製造されるジビニルアレーンジオキシド生成物は出発材料中のアルキルビニルアレーンの存在により、たとえば、アルキルビニルアレーンモノオキシドを含むことがある。ジビニルアレーンジオキシドの構造、及び、構造異性体の組成は使用されるジビニルアレーンフィード原料によって決定される。エチレン系結合をエポキシ化するための反応は、一般に、それが転化されるときに反応体の異性体分布に影響を及ぼさない。
本発明の1つの実施形態において、本発明の方法により製造されるジビニルアレーンジオキシドは、たとえば、ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド及びそれらの混合物を含むことができる。
本発明の1つの好ましい実施形態において、エポキシ樹脂配合物中に使用されるジビニルアレーンジオキシドは、たとえば、DVBDOであることができる。最も好ましくは、本発明に有用であるジビニルアレーンジオキシド成分としては、たとえば、下記化学構造式IXにより示されるとおりのDVBDOが挙げられる。
Figure 0005778691
上記のDVBDO化合物の化学式は下記のとおり:C1010であることができ、DVBDOの分子量は約162.2であり、DVBDOの元素分析は約C74.06、H6.21、及びO19.73であり、エポキシ当量は約81g/モルである。
ジビニルアレーンジオキシド、特に、ジビニルベンゼンから誘導されるもの、たとえば、DVBDOはジエポキシドのクラスであり、比較的に低い液体粘度を有するが、従来のエポキシ樹脂よりも高い剛性及び架橋度を有する。
下記の構造Xは本発明に有用なDVBDOの好ましい化学構造の実施形態を示す。
Figure 0005778691
下記の構造XIは本発明に有用なDVBDOの好ましい化学構造の別の実施形態を示す。
Figure 0005778691
DVBDOが本発明の方法により調製されるときに、3つの可能な異性体:オルト、メタ及びパラの1つを得ることができる。したがって、本発明は上記のいずれか1つの構造により示されるDVBDOを個々に又はそれらの混合物として含む。上記構造X及びXIはDVBDOのメタ異性体(1,3−DVBDO)及びDVBDOのパラ異性体(1,4−DVBDO)をそれぞれ示す。オルト異性体は稀であり、通常、DVBDOは、ほとんど、約9:1〜約1:9のメタ異性体(構造X)/パラ異性体(構造XI)の範囲で一般に製造される。本発明は好ましくは1つの実施形態として、約6:1〜約1:6の構造X/構造XIの比率の範囲を含み、そして他の実施形態において構造X/構造XIの比率は約4:1〜約1:4、又は、約2:1〜約1:2であることができる。
ジビニルアレーンジオキシドの構造、及び構造異性体の組成は使用されるジビニルアレーンフィード原料によって決定される。1つの実施形態において、メタ:パラ比が一般に約9:1〜約1:9であるジビニルベンゼンフィード原料は好ましい。別の実施形態において、ジビニルベンゼンフィード原料は約6:1〜約1:6、さらに別の実施形態において約4:1〜約1:4、なおも別の実施形態において約2.5:1〜約1:2.5、又は、別の実施形態において約1.5:1〜約1:1.5であることができる。好ましい実施形態において、ジビニルベンゼン及びジビニルベンゼンジオキシドのメタ:パラ比は両方とも約9:1〜約1:9であることができ、別の実施形態において、ジビニルベンゼン及びジビニルベンゼンジオキシドのメタ:パラ比は両方とも約2.5:1〜約1:2.5の比率であることができる。
フィード原料は、限定するわけではないが、エチルビニルベンゼン(EVB)、ナフタレン、ポリエチルベンゼン(たとえば、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、テトラエチルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ジフェニルエタン、他のアルキル化ベンゼン及びより高分子量のオイル)、フリーラジカル抑制剤又はそれらの混合物を含む不純物も含むことができる。フィードのジビニルベンゼン含有分は1つの実施形態において55%を超え、別の実施形態において63%を超え、さらに別の実施形態において80%を超え、さらに別の実施形態において90%を超え、又は、なおも別の実施形態において95%を超える。生成されそして高純度DVBDOを得るために分離されなければならない共生成物EVBOの量はDVBフィード原料組成により決定される。1つの好ましい実施形態において、ジビニルアレーンフィード原料純度は約80%を超えることができる。
1つの実施形態において、本発明の方法は低粘度液体エポキシ樹脂であるジビニルベンゼンジオキシドの調製に特に適する。本発明の方法により製造されるジビニルアレーンジオキシドの粘度は、一般に、25℃で約10mP−s〜約100mP−s、好ましくは10mP−s〜約50mP−s、そしてより好ましくは約10mP−s〜約25mP−sの範囲である。
本発明のジビニルアレーンジオキシドの有用性は有利にはその熱安定性であり、それにより、中程度の温度(たとえば、約100℃〜約200℃)に数時間(たとえば、少なくとも2時間)、オリゴマー化又はホモ重合化を起こすことなく配合し又は処理することができることである。配合又は処理の間のオリゴマー化又はホモ重合化は粘度の実質的な増加又はゲル化(架橋)により明らかになることがある。本発明のジビニルアレーンジオキシドは十分な熱安定性を有し、そのため、中程度での配合又は処理の間に粘度の実質的な増加又はゲル化を経験しない。
本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物はエポキシ樹脂組成物又は配合物の調製に有用であることができ、その組成物又は配合物はコーティング、フィルム、接着剤、ラミネート、複合材、電子装置などの形態の熱硬化物又は硬化製品の調製に有用であることができる。
本発明の例として、一般に、本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物をベースとする樹脂組成物はキャスティング、ポッティング、封入、モールディング及びツーリングに有用であることができる。たとえば、本発明は電気キャスティング用途において使用でき、プラスチックモールディング及びツーリングならびに複合材部品の製造に使用できる。
各種の任意の添加剤は本発明の樹脂組成物に添加されてよく、その添加剤としては、たとえば、他の樹脂、安定剤、充填材、可塑剤、触媒脱活性剤など及びそれらの混合物が挙げられる。
本発明で使用される任意の添加剤の濃度は一般に0wt%〜約99.9wt%であることができ、好ましくは約0.1wt%〜約99.9wt%であり、より好ましくは約1wt%〜約99wt%であり、そして最も好ましくは約2wt%〜約98wt%である。
以下の実施例及び比較例は本発明をさらに詳細に説明するが、その範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
例1〜10に使用される原料は以下のとおりであった:ジビニルベンゼン(DBV)、80%技術等級、Aldrichから入手、アセトニトリル(Optima(商標)グレード)、Fisher Scientificから入手、メタノール(Optima(商標)グレード)、Fisher Scientificから入手、水性過酸化水素、約50質量%、Aldrichから入手(製品番号516183)、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液、1.0N濃度、Ricca Chemical Co.から入手(製品番号7450-32)、重炭酸ナトリウム、Fisher Scientificから入手、重炭酸カリウム、Aldrcihから入手、及び、クロロホルム(Optima(商標)グレード)、Fisher Scientificから入手。
例1〜10の収率を下記のとおりに計算した。
装填されたジビニルベンゼンを基準とした%DVBDO収率
DVBDOのグラムでの収量はクロロホルム中での抽出及び次いで行う水洗浄の後に得られる粗反応生成物の質量及び内部標準ガスクロマトグラフィー(GC)法により測定されるとおりの、粗生成物中に存在するDVBDOの質量比から計算した。装填されたジビニルベンゼンを基準としたDVBDOの%収率を計算するために使用される式は以下のとおりに記載されうる。
DVBDO収量(グラム)=(水洗浄後の粗生成物の質量)×(粗生成物中のDVBDOの質量比)
装填されたDVBを基準とした理論DVBDO収量、グラム=[(装填されたDVB試薬の質量)×(試薬中のDVBの質量比)/(130.2gDVB/モル)]×162.2gDVBDO/モル
DVBDO収率(%)=(DVBDO収量、グラム/理論DVBDO収量、グラム)×100%。
装填された過酸化水素を基準としたエポキシドの%収率
製造された合計エポキシド、モル=[(製造されたDVBDO、グラム)/162.2g/モル]×2+(製造されたEVBO、グラム)/(148g/モル)+(製造されたDVBMO、グラム)/(146g/モル)、ここで、製造されたDVBDO、EVBO及びDVBMOの質量は水洗浄後の粗生成物の質量×GC質量%分析により決定された成分の質量比により決定した。
装填された過酸化水素を基準としたエポキシドの%収率=[(製造された合計エポキシド、モル)/装填された過酸化水素、モル]×100%。
ガスクロマトグラフィーによるDVB、EVBO、DVBMO及びDVBDO濃度の分析方法
フレームイオン化ディテクタ、オートインジェクタ、ヘリウムキャリアガス及びChemStationソフトウエアを装備したAgilent HP-6890 Plusシリーズガスクロマトグラフ(GC)をGC分析のために用いた。
GC操作条件
カラム:DB−1301(30m長さ×0.250mm内径×1.00μmフィルム厚さ)
モード:一定流
初期カラム流:1.1mL/分(mL/min)
初期圧力=約13.75psi
ディテクタ温度:300℃
インジェクション温度:280℃
インジェクション体積:1μL
ガスフロー速度
水素流:40mL/分
空気流:450mL/分
モード:一定流+メークアップ流
組み合わせ流:45mL/分
ヘリウム流:
合計流:約58mL/分
スプリット流:約55mL/分
スプリット比:50:1。
GC温度プログラム
初期温度60℃で1分間保持し、その後、10℃/分の傾斜で150℃に上げ、2℃/分で180℃に上げ、5分間保持し、その後、10℃/分で250℃に上げ、そして15分間保持した。
GC検量
成分の定量を行うためにマルチレベル内部標準検量を用いた。ジグライム(ビス−2−メトキシエチルエーテル)が内部標準であった。下記の表に示す質量%組成を有する標準を調製し、その後、合計成分質量を基準として1.0質量%のジグライムを添加した。下記に示す成分において、m−及びp−はメタ及びパラ異性体をそれぞれ示す。
Figure 0005778691
標準を上記のGC法を用いて分析した。各成分及び内部標準の量/面積比を含むGC検量表をAgilent ChemStationソフトウエアを用いて生成した。検量ポイントをとおる直線の式をソフトウエアにより計算した。各成分の応答ファクタはその成分の検量式から得られる。未知のサンプルの定量化では、各成分の実際の量は、未知のサンプル中の成分の応答、未知のサンプル中の内部標準の応答、未知のサンプルに加えられる内部標準の実際の量、及び、検量式により計算される応答ファクタからChemStationソフトウエアにより計算した。この計算方法はAgilent (以前にはHewlitt Packard Company)ChemStationソフトウエアからの製品文献において見ることができる。
GCサンプル調製
下記の2つのタイプのサンプル調製品を用いた。
(1)標準GCサンプル調製品
(2)クロロホルム抽出GCサンプル調製品。
上記の各調製品の調製手順を下記に記載する。
Figure 0005778691
クロロホルム抽出GCサンプル調製品
直接注入による反応サンプルの分析は複雑なサンプルマトリックスのために誤った結果をもたらすので、抽出サンプルGCサンプル調製品を反応サンプルのために用いる。手順は下記のとおり。
Figure 0005778691
下記の表はどのGCサンプル調製法が異なるタイプのサンプルのために使用されたかを記載している。
Figure 0005778691
粗DVBDO中の%重質分の分析方法
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて、反応生成物中の重質分の濃度(wt%)を測定した。%重質分はジビニルベンゼンジオキシドよりも大きな分子の質量%の濃度として定義される。その方法を下記に要約する。
GPCカラム:5μm粒子で50Å、300mm長さ及び7.5mm直径、Polymer Labsから購入
注入サイズ:100μL
カラム及びディテクタ温度:40℃
溶離剤:テトラヒドロフラン(THF)
ディテクタ:屈折率(RI)
参照標準品:21000g/モルのポリスチレン(PS)
GPCクロマトグラムでDVBDOよりも前に溶離しているすべてのピークの面積を加算し、重質分の合計面積計数を与える。重質分はポリスチレンと同一の屈折率を有するものと仮定する。異なる濃度の一連の標準溶液を5000ppmのPS標準品の一連の希釈により調製した。標準品の注入から得られるRI面積を用いて、線形検量プロットを生成した。RI面積vsPS濃度の最適線の等式を再編成しPS濃度を解いた。
反応混合物のサンプルを、GC分析手順における上記のとおり、分析前にクロロホルムで抽出した。抽出により得られたクロロホルム層を%重質分についてGPCにより分析した。反応混合物のクロロホルム抽出物のサンプルを分析にために調製し、約1.0gの抽出物を約2.0gのTHFとよく混合し、その後、注入の前に0.2ミクロンのフィルターをとおしてろ過した。
GPC積算ファクタを下記の等式により計算する。
(抽出物の質量+THFの質量)/抽出物の質量
注入されるサンプル中の重質分の濃度は検量式に重質分の合計面積計数を代入することにより決定される。反応混合物中の重質分の濃度(wt%)は注入されたサンプル中の重質分の濃度(wt%)をGPC積算ファクタ及びクロロホルム抽出物調製積算ファクタで積算することにより得られる。
過酸化水素濃度の分析方法
0.1〜1gの反応混合物のサンプルを小数点4桁まで計量し、250mLフラスコに入れた。氷酢酸(5mL)を添加し、その後、40mLの脱イオン水を添加した。次いで、約2gのヨウ化ナトリウムをフラスコに添加した。混合物をホットプレート上で中程度の加熱とともに攪拌した。ドライアイス小片(4g)をフラスコに添加した。ドライアイスが消費されるまで攪拌を継続した。120mLの追加の水をフラスコに添加し、その後、溶液を、DM140−SC電極を装備したMettler Toledo DL55自動滴定機を用いて0.1Nのチオ硫酸ナトリウムによりエンドポイントまで滴定した。サンプル中の過酸化水素質量%は下記のとおりに計算される。
Figure 0005778691
例1
本例1で使用されるジビニルベンゼン(DVB)は80%のDVB及び20%のエチルビニルベンゼン(EVB)を含んだ。1Lの5つ口丸底フラスコに、ジビニルベンゼン(105g、0.645モルのDVB、0.159モルのEVB)、アセトニトリル(88.1g、2.1453モル)及びメタノール(210.1g)を装填した。反応フラスコはFisher Scientific accumet(商標)AR15pH計に接続されたThermoscientific #8272BN pHプローブを装備していた。混合物を激しく攪拌しながら、得られた溶液を50℃に温め、そのとき、51%H溶液(72.1g、1.0807モル)及び1N NaOH溶液の同時添加を開始した。反応温度を50℃に維持しながら、そしてNaOH溶液をpH11.0±0.2に維持するために十分な速度で添加しながらHを2時間にわたって添加した。この過酸化物フィードの完了の後に、混合物は0.72wt%の過酸化物を含んだ。混合物をさらに3時間、50℃及びpH10.0〜11.0で熟成し、そのとき、過酸化物は0.06wt%であった。混合物を500mLの水で希釈し、210gのクロロホルムで3回抽出した。合わせた抽出物を水(240g)で2回洗浄し、657.7gの粗生成物を生じ、それはGC内部標準分析に基づいて、9.1gの未反応DVB、5.39gの未反応EVB、14.0gのエチルビニルベンゼンオキシド(EVBO)、40.28gのジビニルベンゼンモノオキシド(DVBMO)及び34.4gのDVBDOを含んだ。未反応DVBは初期DVB装填の10.8%であった。DVBDO収率は装填されたDVBを基準として33%であり、DVBMO収率は43%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として74%であった。
例2
例1に記載された手順を用いて、DVB(80.0g、0.4916モルのDVB、0.1212のEVB)、アセトニトリル(95.85g、2.335モル)及び51%H(77.86g、1.1675モル)をメタノール溶剤(240g)中で、1NNaOHの添加により11.0±0.2にpH制御しながら反応させた。未反応DVBは装填された初期DVBの1.0%であった。DVBDO収率は装填されたDVBを基準として65%であり、DVBMO収率は19%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として71%であった。
例3
例1に記載された手順を用いて、DVB(67.0g、0.4117モルのDVB、0.1015モルのEVB)、アセトニトリル(98.72g、2.4044モル)及び51%H(80.19g、1.2022モル)をメタノール溶剤(234.5g)中で、1NNaOHの添加により11.0±0.2にpH制御しながら反応させた。未反応DVBは装填された初期DVBの0.1%であった。DVBDO収率は装填されたDVBを基準として78%であり、DVBMO収率は7%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として63%であった。
例4
例1に記載された手順を用いて、DVB(67.0g、0.4117モルのDVB、0.1015モルのEVB)、アセトニトリル(98.7g、2.4044モル)及び51%H(80.17g、1.2022モル)をメタノール溶剤(234.5g)中で、1NNaOHの添加により10.4±0.2にpH制御しながら反応させた。DVB転化率は100%であった。DVBDO収率は装填されたDVBを基準として81%であり、DVBMO収率は4%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として64%であった。
例5
本例5はアセトニトリル及びアルカリの代わりにベンゾニトリル及び重炭酸ナトリウムの使用を示す。反応器設備は例1と同一であったが、pH計又は苛性アルカリ添加漏斗を用いなかった。1L5つ口丸底フラスコにDVB(65g、0.399モルのDVB、0.098モルのEVB)、ベンゾニトリル(97.2g、0.942モル)、メタノール(292.6g)及び重炭酸ナトリウム(12.66g、0.151モル)を添加した。25℃での混合物の激しい攪拌とともに、51%H溶液(62.9g、0.942モル)の添加を開始した。
反応温度を25℃に維持しながら、Hを30分間にわたって添加した。Hフィードの完了の後に、混合物を25℃でさらに18時間攪拌し、その後、Hは0.58wt%となった。温度を1時間にわたって45℃に徐々に上昇させ、その後、45℃でさらに1.5時間維持し、そのとき、残存するHは0.45%であった。混合物を600mLの水で希釈し、そして200gのクロロホルムで3回抽出した。合わせた抽出物を水(300g)で3回洗浄し、493gの粗生成物を生じ、それは、GC内部標準分析に基づいて、0.15gの未反応DVB、0.44gの未反応EVB、12.87gのEVBO、7.69gのDVBMO及び52.5gのDVBDOを含んだ。未反応DVBは初期DVB装填の0.3%であった。DVBDO収率は装填されたDVBを基準として81%であり、DVBMO収率は13%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として97%であった。
例6
例1に記載された手順にしたがって、DVB(67.0g、0.4117モルのDVB、0.1015モルのEVB)、アセトニトリル(98.7g、2.4044モル)及び51%H(80.17g、1.2022モル)をメタノール溶剤(234.5g)中で反応させたが、1NNaOHの添加により10.0〜10.1にpH制御し、H添加後の熟成時間は4時間であった。6時間の合計反応時間で合計で94.2gの1NNaOH(0.090モル)を添加した。反応生成物を例1のようにクロロホルム中に抽出し、水で洗浄した。溶剤を蒸留により除去し、76.8gの粗生成物を提供した。装填されたDVBを基準として、DVB転化率は100%であり、DVBDO収率は88%であり、そしてDVBMO収率は2%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として69%であった。オーバーヘッド温度128℃及び3mmHg(400Pa)圧力での粗生成物の蒸留により、17.8gの第一の蒸留物を提供し、それはGC面積%分析に基づいて67.7%のEVBO、3.71%のDVBMO及び25.5%のDVBDOを含んだ。オーバーヘッド温度133℃及び3mmHg(400Pa)圧力でのさらなる蒸留により、GC面積%により97.7%純度の44.5gのDVBDOを提供し、わずか0.1%の残留DVBMOを含んだ。
例7
例6の手順を繰り返したが、水(20.0g、初期反応混合物を基準として5wt%)を、H又はNaOH溶液の添加の前に初期反応混合物に添加した。5時間の合計反応時間で合計で96.4gの1N NaOH(0.093モル)を添加した。ワークアップ及び溶剤を除去するための蒸留の後に、粗生成物の収量は75.2gであった。DVB転化率は100%であり、DVBDO収率は86%であり、DVBMO収率は2%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として67%であった。
例8
本例8はpHを制御するためにNaOHを添加する代わりにNaOH添加プロファイルの使用を例示する。例7の手順を繰り返したが、最初の100分で0.11mL/分で、その後、残りの200分間、0.40mL/分で96.4gの1N NaOHを添加した。ワークアップ及び溶剤を除去するための蒸留の後に、粗生成物の収量は73.9gであった。DVB転化率は100%であり、DVBDO収率は85%であり、DVBMO収率は2%であった。エポキシド基の合計収率は装填されたHを基準として67%であった。
例9
本例9は塩基性化合物として重炭酸ナトリウムとともにアセトニトリルの使用を示す。反応器設備は例1と同一であったが、苛性アルカリ添加漏斗を用いなかった。1L5つ口丸底フラスコにジビニルベンゼン(75.17g、0.4609モルのDVB、0.1135モルのEVB)、アセトニトリル(110.5g、2.6915モル)、メタノール(262.5g)及び重炭酸カリウム(21.63g、0.2160モル)を添加した。25℃での混合物の激しい攪拌とともに、51%H溶液(89.8g、1.3458モル)の添加を開始した。反応温度を25℃に維持しながら、Hを120分間にわたって添加した。過酸化物フィードの完了の後に、混合物を25℃でさらに20時間攪拌し、その後、過酸化物は1.50wt%となった。温度を1時間にわたって45℃に徐々に上昇させ、その後、45℃でさらに2時間維持し、そのとき、残存する過酸化物は0.45%であった。混合物を500mLの水で希釈し、そして200gのクロロホルムで3回抽出した。合わせた抽出物を150gの水で3回洗浄し、637gの粗生成物を生じ、それは、GC内部標準分析に基づいて、0.06gの未反応DVB、0.19gの未反応EVB、15.41gのEVBO、5.86gのDVBMO及び61.79gのDVBDOを含んだ。未反応DVBは初期DVB装填の0.1%であった。DVBDO収率は装填されたDVBを基準として83%であり、DVBMO収率は9%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として69%であった。
例10
例1に記載される手順を用いて、DVB(58.0g、0.3564モルのDVB、0.0877モルのEVB)、アセトニトリル(105.37g、2.5618モル)及び51%H(85.42g、1.2809モル)をメタノール溶剤(232g)中で、1NNaOHの添加により11.0±0.2にpH制御しながら反応させた。未反応DVBは初期DVB装填の0.1%であった。DVBDO収率は装填されたDVBを基準として77%であり、DVBMO収率は6%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として51%であった。
例1〜10の条件及び結果を下記のとおりの表Iに要約する。
Figure 0005778691
下記の例11〜15及び比較例A及びBは本発明を詳細に説明するが、その範囲を限定するものと解釈されるべきでない。例11〜15及び比較例A及びBに使用される原料は以下のとおりであった:ジビニルベンゼン(DBV)、80%又は95%純度(The Dow Chemical Companyから入手)、アセトニトリル(高純度)、INEOS Chemical Comapnyから入手、メタノール(技術等級)、Fisher Scientificから入手、水性過酸化水素、約35質量%、Univarから入手、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液、4wt%溶液をFisher Scientificからの50%苛性アルカリの希釈により調製。
例11〜15及び比較例A及びBの収量は下記のとおりに計算した。
装填されたジビニルベンゼンを基準とした%DVBDO収率
DVBDOのグラムでの収量は得られる最終反応生成物(クロロホルム中での抽出又は水洗浄を行わない)の質量及び内部標準ガスクロマトグラフィー(GC)法により測定されるとおりの、反応生成物中に存在するDVBDOの質量比から計算した。装填されたジビニルベンゼンを基準としたDVBDOの%収率を計算するために使用される式は以下のとおりに記載されうる。
DVBDO収量(グラム)=(反応生成物の質量)×(反応生成物中のDVBDOの質量比)
装填されたDVBを基準とした理論DVBDO収量、グラム=[(装填されたDVB試薬の質量)×(試薬中のDVBの質量比)/(130.2gDVB/モル)]×162.2gDVBDO/モル
DVBDO収率(%)=(DVBDO収量、グラム/理論DVBDO収量、グラム)×100%。
装填された過酸化水素を基準としたエポキシドの%収率
製造された合計エポキシド、モル=[(製造されたDVBDO、グラム)/162.2g/モル]×2+(製造されたEVBO、グラム)/(148g/モル)+(製造されたDVBMO、グラム)/(146g/モル)、ここで、製造されたDVBDO、EVBO及びDVBMOの質量は最終生成物の質量×GC質量%分析により決定された成分の質量比により決定した。
装填された過酸化水素を基準としたエポキシドの%収率=[(製造された合計エポキシド、モル)/装填された過酸化水素、モル]×100%。
例11
本例11で使用されるジビニルベンゼン原料は80%のDVB及び20%のEVBを含んだ。1Lの5つ口丸底フラスコに、ジビニルベンゼン(80g、0.4916モルのDVB、0.1210モルのEVB)、アセトニトリル(117.85g、2.8709モル)、メタノール(160.0g)及び水(17.9g)を装填した。反応フラスコは例1に記載されるとおりのpH計を装備していた。混合物を激しく攪拌しながら、得られた溶液を45℃に温め、そのとき、35%H溶液の添加を0.58グラム/分(g/min)の流速で開始し、合計で139.0g(1.4355モル)のH溶液を添加するのに4時間にわたって添加を続けた。H添加を開始した14分後に、4.0wt%のNaOH溶液の同時滴下添加を開始し、NaOHの添加速度を制御して、5時間の合計反応時間にわたってpHを10.0±0.1に維持した。要求されたNaOH溶液の合計量は113.1g(0.1131モル)であった。反応温度を反応熱から徐々に上昇させて105分で50℃とし、その後、反応の残りの間、温度を50℃に維持した。反応物を5時間でGC分析にためにサンプリングし、その後、周囲温度(約22℃)に冷却した。混合物を反応器から取り出し、592gの反応生成物を生じた。DVB転化率は100%であり、H転化率は92.8%であった。DVBDO収率は80%であり、DVBMO収率は1%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として61%であった。
例12
例11の手順を繰り返したが、混合物のpHは10.5に制御した。ジビニルベンゼン(75.0g、0.4609モルのDVB、0.1135モルのEVB)、アセトニトリル(110.5g)、メタノール(150g)、水(16.7g)を最初に装填し、次いで、35%H(130.3g、1.3458モル)を4時間にわたって添加した。4wt%のNaOH(168.2g、0.202モル)を滴下して加えることにより合計で4.7時間の反応時間、pHを10.5±0.1に制御した。反応の最後に、DVB転化率は99.9%であり、H転化率は96.2%であった。DVBDO収率は66%であり、DVBMO収率は2%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として51%であった。
比較例A
例11の手順を繰り返したが、混合物のpHは11に制御した。本比較例Aは反応の間に高すぎるpHで操作することの不利益を示す。ジビニルベンゼン(80g、0.4916モルのDVB、0.1210モルのEVB)、アセトニトリル(117.85g、2.8709モル)、メタノール(160.0g)、水(17.9g)を反応器に添加し、次いで、35%H(139.0g、1.4355モル)を4時間にわたって添加した。4wt%のNaOH(246.5g、0.2465モル)を14〜220分で滴下して加え、次いで、25wt%のNaOH(18.0g、0.1125モル)を220〜270分で滴下して加えることによりpHを11.0に制御し、その時点で反応を止めた。反応混合物中に目に見える固形分(ポリ−DVB型ポリマーと同定)が存在した。DVB転化率は98.0%であり、H転化率は98.7%であった。DVBDO収率は32%であり、DVBMO収率は11%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として30%であった。
例13
本例13において、例11の手順を繰り返したが、混合物のpHは9.5に制御した。ジビニルベンゼン(80.0g、0.4916モルのDVB、0.1210モルのEVB)、アセトニトリル(117.9g)、メタノール(160g)及び水(17.9g)を装填し、次いで、35%H(139.0g、1.4355モル)を4時間にわたって添加した。4wt%のNaOH(86.0g、0.086モル)を滴下して加えることによって合計5時間の反応時間、pHを9.5±0.1に制御した。反応の最後に、DVB転化率は99.9%であり、H転化率は89.0%であった。DVBDO収率は83%であり、DVBMO収率は1.6%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として62%であった。
例11〜13及び比較例Aの条件及び結果を下記のとおりの表IIに要約する。
Figure 0005778691
例14及び比較例Bを、30ガロン(114L)ステンレススチール反応器[20インチ(51cm)内径、21インチ(51cm)直線壁、24.75インチ(63cm)高さ]であって、4つの1インチ(2.5mm)バッフルを90°の間隔で装備している反応器中で製造した。反応器はジャケット付きであり、ジャケットをとおして循環している伝熱流体の温度の制御により温度制御がなされていた。反応器は凝縮器、4インチ(10cm)×48インチ(122cm)直線チューブを備えていた。凝縮器は反応の間に0℃に設定された。時間に伴う質量変化を測定するためにスケール上に各々配置された別々のフィードベッセルから過酸化水素溶液及びNaOH溶液を計量送液した。200rpmで操作している12インチ(30.5cm)A−310インペラーで攪拌を行った。5%酸素と残部の窒素を含むガス混合物を反応混合物の液相中に連続的に導入した。ガス混合物を約0.25回転/分であるディップチューブをとおして流速0.9scfm(25.5リットル/分)で液体中に導入した。
例14
本例14はDVBのフリーラジカル重合を最少にするために使用される抑制剤PROSTAB(商標)5415を複数回添加する上記の114L反応器中でのスケールアップした反応を示している。PROSTAB5415はBASF Corporationから市販されている抑制剤である。PROSTAB5414はビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートである。
フリーラジカル重合はpH9.5〜10の小規模実験室では観測されなかった。しかし、これらの条件から30ガロン(114L)ステンレススチール反応器にスケールアップすると、フリーラジカル重合が観測された。DVB原料中に存在する抑制剤に加えて、追加のPROSTAB5415を加熱前の初期反応混合物に添加し、次いで、PROSTAB5415の添加を30分間隔で行い、プロセスにて消費されたPROSTAB5415を補充した。
ジビニルベンゼン原料は94%DVB及び4%EVBを含み、重合抑制剤として存在する1500ppmのPROSTAB5415及び1000ppmの4−tert-ブチルカテコール(TBC)を含んだ。上記の30ガロン(114L)のステンレススチール反応器中に、ジビニルベンゼン(10750g、77.34モルのDVB、2.976モルのEVB)、アセトニトリル(17178g、418.48モル)、メタノール(21500g)、PROSTAB5415固形分(26.9g、0.0527モル)及び水(2472g)を装填した。その液体中に0.9scfm(25.5リットル/分)で、5%酸素で残部が窒素であるガスの導入を始めた。200rpmで混合物を攪拌しながら、得られた溶液を45℃に温め、そのとき、35%Hの添加を約87g/分の流速で開始し、添加されるHの合計が20997g(216.1モル)となるように添加を4時間続けた。4.0wt%NaOHの同時添加をH添加の開始の10分後に開始した。以下の流速プロファイルを用いて反応をとおしてNaOH溶液を添加した。
Figure 0005778691
添加された4wt%NaOH溶液の合計量は12914g(12.91モル)であった。加熱の前に添加されたPROSTAB5415の初期量に加え、メタノール中の5wt%PROSTAB5415の溶液を下記の表に示すとおりに反応の間に30分毎に添加した。
Figure 0005778691
反応温度を45℃から徐々に50℃に上昇させて、その後、反応の残りの間、温度を50℃に維持した。NaOHフィードを5時間で止め、その時点が反応の終点であり、なおも激しく攪拌しながらGC分析のために反応物からサンプリングした。最終反応混合物の合計質量は83751gであり、それはGC分析に基づいて12.93wt%のDVBDOを含み、滴定に基づいて0.69wt%のHを含み、そしてGPCにより0.48wt%の重質分を含んだ。DVB転化率は99.9%であり、H転化率は92.1%であった。DVBDO収率は85%であり、DVBMO収率は1.6%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として64%であった。
比較例B
本比較例Bにおいて、例14と同一の手順及び原料を用いたが、反応混合物に追加のPROSTAB5415の添加を行わなかった。ジビニルベンゼン原料は94%DVB及び4%EVBを含み、重合抑制剤として存在する1500ppmのPROSTAB5415及び1000ppmの4−tert-ブチルカテコール(TBC)を含んだ。上記の30ガロン(114L)のステンレススチール反応器中に、ジビニルベンゼン(10752g、77.318モルのDVB、2.977モルのEVB)、アセトニトリル(17178g、418.48モル)、メタノール(21521g)及び水(2472g)を装填した。その液体中に0.9scfm(25.5リットル/分)で、5%酸素で残部が窒素であるガスの導入を始めた。200rpmで混合物を攪拌しながら、得られた溶液を45℃に温め、そのとき、35%Hの添加を約82g/分の流速で開始し、合計で20508g(211.0モルH)が添加されるように添加を4.2時間続けた。4.0wt%NaOHの同時添加をH添加の開始の10分後に開始した。以下の流速プロファイルを用いて反応をとおしてNaOH溶液を添加した。
Figure 0005778691
添加された4wt%のNaOHの合計量は13236g(13.2モル)であった。反応温度を45℃から徐々に50℃に上昇させ、その後、温度を反応の残りの時間50℃に維持した。固形分(ポリマー)を30分からスタートして反応サンプル中に観測した。NaOHフィードを5時間で止め、その時点が反応の終点であり、なおも激しく攪拌しながらGC分析のために反応物をサンプリングした。最終反応混合物の合計質量は83237gであり、それはGC分析に基づいて9.3wt%のDVBDOを含み、滴定に基づいて1.05wt%のHを含み、そしてGPCにより1.73wt%の重質分を含んだ。DVB転化率は100%であり、H転化率は87.8%であった。DVBDO収率は63%であり、DVBMO収率は0.7%であった。エポキシド基の合計収率(EVBO、DVBMO及びDVBDOのすべての3つの生成物の合計)は装填されたHを基準として47%であった。
例14及び比較例Bの条件及び結果を下記の表IIIに要約する。
Figure 0005778691
本発明の方法は参照する表を含めた上記の特定の実施例によって限定されない。むしろ、これらの実施例及び表は本発明の方法の例を示す。

Claims (15)

  1. (I)(a)少なくとも1種のジビニルアレーンと、(b)少なくとも1種のペルオキシカルボキシミド酸エポキシ化剤と、(c)少なくとも1種の溶剤と、(d)少なくとも1種の塩基性化合物と、(e)少なくとも1種のフリーラジカル重合抑制剤との混合物を、ジビニルアレーンジオキシド生成物を生成する条件下で反応させるに際し、該ペルオキシカルボキシミド酸の、該ジビニルアレーンのエチレン系二重結合に対するモル比を2.0未満とし、かつ、該ジビニルアレーンジオキシド生成物の%収率が該ジビニルアレーンを基準として50%を超えることを特徴とする、ジビニルアレーンジオキシドの調製方法。
  2. 前記フリーラジカル重合抑制剤を、反応の進行にわたって間欠的に又は連続的に反応混合物に添加する、請求項1記載の方法。
  3. 前記ペルオキシカルボキシミド酸は、(i)当該反応混合物とは別途に生成させた予備生成ペルオキシカルボキシミド酸、(ii)当該反応混合物中に現場で生成したペルオキシカルボキシミド酸、又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
  4. 当該反応混合物に(i)水性過酸化水素と(ii)ニトリルとを添加することにより、当該反応混合物中に現場でペルオキシカルボキシミド酸を生成させる、請求項1記載の方法。
  5. 当該反応混合物のpHを7〜12の範囲内に維持するために十分に、前記少なくとも1種の塩基性化合物を反応期間中に連続的に又は間欠的に当該反応混合物に添加するか、又は、前記少なくとも1種の塩基性化合物を反応初期に一度にすべて添加する、請求項1記載の方法。
  6. 前記ジビニルアレーンはジビニルベンゼンを含み、そして生成したジビニルアレーンジオキシドはジビニルベンゼンジオキシドを含む、請求項1記載の方法。
  7. 当該反応混合物は酸素含有ガスを含む、請求項1記載の方法。
  8. (II)ジビニルアレーンジオキシド生成物を工程(I)からの反応流出物の他の成分から分離/回収する工程、及び
    (III)該ジビニルアレーンジオキシド生成物を精製する工程
    を含む、請求項1記載の方法。
  9. 工程(III)は80%を超える純度のジビニルアレーンジオキシド生成物を得るための蒸留工程を含み、そして工程(III)はジビニルアレーンモノオキシド、アルキルビニルアレーンモノオキシド又はそれらの混合物を精製することを含む、請求項8記載の方法。
  10. 当該精製工程は、ジビニルアレーンモノオキシド又はアルキルビニルアレーンモノオキシドを、50%を超える純度で提供する蒸留プロセスを含む、請求項9記載の方法。
  11. (IV)工程(II)において存在するアミド副生成物をニトリルへと転化させる工程、及び
    (V)工程(IV)のニトリルを反応工程(I)へリサイクルする工程
    を含む、請求項8記載の方法。
  12. 工程(II)が抽出/水洗浄工程又は溶剤除去工程を含む、請求項8記載の方法。
  13. 工程(II)が、(i)該反応流出物を水で希釈し、(ii)(i)の希釈された反応流出物を抽出溶剤で抽出し、(iii)(ii)の有機抽出物を水洗浄して、残留アセトアミド、残留過酸化水素及び残留塩基性化合物の1種以上を除去し、(iv)工程(iii)の水洗浄された有機抽出物を蒸留して、抽出溶剤を除去し、そして(v)ジビニルアレーンジオキシド生成物を回収する工程を含む、請求項8記載の方法。
  14. 工程(II)が、当該反応溶剤及び過剰のニトリルを反応後に回収し、そして回収された反応溶剤及びニトリルをリサイクルすることを含む、請求項8記載の方法。
  15. 工程(II)が、該反応流出物からの当該反応溶剤及び過剰のニトリルを蒸留することで、該ジビニルアレーンジオキシド生成物を含む濃縮物を形成させ、さらに該濃縮物を2相に分離させてから相分離する工程を含む、請求項8記載の方法。
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