JP6032740B2 - アセトキシフェニル化合物の製造方法 - Google Patents

アセトキシフェニル化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アセチルフェニル化合物を酸化することにより、アセトキシフェニル化合物を製造する方法に関する。具体的には、2−アセチルフルオレン誘導体および4−アセチルフェニル誘導体を酸化することにより、アセトキシフェニル化合物を製造する方法に関する。
2−アセチルフルオレン誘導体(1)の酸化による2−アセトキシフルオレン誘導体(3)の合成に関しては、(i)ハロゲン系溶媒中、硫酸触媒を用いて無水酢酸と過酸化水素水から反応系中で過酢酸を生成させて酸化する方法(例えば特許文献1を参照)、(ii)ハロゲン系溶媒中、蟻酸存在下、硫酸触媒を用いて無水酢酸と過酸化水素水から反応系中で過酸を生成させて酸化する方法(例えば特許文献2を参照)、(iii)ハロゲン系溶媒中、メタクロロ過安息香酸を酸化剤として用いて酸化する方法が知られている(例えば、非特許文献1〜2)。
Figure 0006032740
一方、4−アセチルフェニル誘導体(2)から4−アセトキシフェニル誘導体(4)の合成に関しても、2−アセチルフルオレン誘導体(1)の酸化と同様な方法で合成されている。(iv)反応系中で蟻酸と過酸化水素水から過蟻酸を生成させて酸化する方法(例えば特許文献3〜4)、(v)ハロゲン系溶媒中、蟻酸存在下、硫酸触媒を用いて無水酢酸と過酸化水素水から反応系中で過酸を生成させて酸化する方法(例えば特許文献5〜6を参照)、(vi)ハロゲン系溶媒中、メタクロロ過安息香酸を酸化剤として用いて酸化する方法(例えば特許文献5〜6)、(vii)ジクロロエタン溶媒中、強酸性触媒存在下、過酸化水素水に無水酢酸を加え、反応系中で過酢酸溶液を生成させて酸化する方法(例えば特許文献7)が知られている。
Figure 0006032740
また、過酢酸および過酢酸溶液は、古くから酸化剤として利用されており、これらの製造方法としては、例えばアセトアルデヒドを空気酸化で製造する方法、または過酸化水素水と酢酸を硫酸などの強酸性触媒を用いて過酢酸平衡過酸を製造する方法が知られている。過酢酸平衡過酸は、過酢酸と共に当モル生成する水と、酢酸および未反応の過酸化水素を含む混合物であるが、有機合成用の酸化剤として利用するために、高濃度の過酢酸溶液を生成させ酸化反応に利用するいくつかの方法が知られている。例えば(viii)反応蒸留装置を用いて、水分を除去しながら過酸化水素とカルボン酸を反応させ、水分および過酸化水素含有量の少ない平衡過酸を一旦合成した後、環状ケトンを酸化する方法(例えば特許文献8)、(ix)硫酸、硝酸、過塩素酸などの中性塩の存在下、酢酸と硫酸などの鉱酸と過酸化水素水を添加して、反応系中で過酢酸を生成させオレフィン類をエポキシ化する方法(例えば特許文献9〜10)が知られている。
また、高濃度の過酢酸を得る方法として、例えば精留塔を用いて蒸留による過酢酸を製造する方法(例えば特許文献11)、過酢酸を有機溶剤で抽出して過酢酸濃度を高める方法(例えば特許文献12)が知られている。高濃度過酢酸を用いる方法では、例えば(x)32重量%の濃度の過酢酸を用いてジクロロメタン溶媒を用いて反応させる方法(例えば特許文献5)が知られている。
また、酢酸の代わりに無水酢酸を用いる平衡過酢酸法によらない方法として、例えば(xi)無水酢酸と過酸化水素水から有機合成反応に適する高濃度の過酢酸を製造する方法が知られている(例えば特許文献13)。
しかしながら、上記(i)、(v)、(vii)、(ix)の方法では高価な無水酢酸を使用する点、(i)、(v)、(vii)の方法では、毒性で問題となるハロゲン系溶剤を使用するなどの点で工業的には改善の余地が残されている。また、上記(ii)、(iv)、(v)の方法では、腐食性のある蟻酸を使用し、極めて危険性が高い過蟻酸が生成するなどの点で、スケールアップの上で改善の余地が残されている。さらに、上記(iii)、(vi)の方法では、高価なメタクロロ過安息香酸を使用し、反応中で生成するメタクロロ安息香酸の除去において、煩雑な後処理操作が必要な上、ハロゲン系溶媒の使用などの問題点がある。上記(viii)の方法では、実施にあたっては高い理論段数の反応蒸留塔を必要とする設備的な制約がある。上記(ix)の方法では、系中で過酢酸を生成させながら、オレフィンのエポキシ化に適用した例が示されるが、本発明のアセチルフェニル化合物の酸化に関連する記述はない。さらにまた、(xi)の方法では、商用運送規則では公共の道路上を運送する場合の平衡過酢酸の濃度を35%未満にしているが、製造業者は特別な状況を除いて濃度を15重量%程度に制限しており利用に関して制約がある。また、ハロゲン系溶剤を使用するという問題点がある。また、過酸の生成に硫酸触媒を用いた(i)、(ii)、(v)の方法では、反応の進行に伴って、反応液が黒く着色してくるため、収率が低下する他、着色成分を除去するために精製工程を必要とするなどの問題があった。
特開2003−238491号公報 特開2001−26587号公報 特開昭56−92223号公報 特開昭56−12322号公報 特開平7−69979号公報 特開平3−101632号公報 特開平1−190645号公報 国際公開第1999/14190号 特開平6−172335号公報 特開平6−107652号公報 特開2000−186072号公報 特開平1−16760号公報 特開2008−94768号公報
Journal of Organic Chemistry Vol.42 No.25 (1977) 4144-4146 Mol. Cryst. Liq Cryst. (1987) Vol.150b 361-378
本発明は、アセチルフェニル化合物の酸化によるアセトキシフェニル化合物の製造において、危険性の高い高濃度の過酢酸および環境問題で敬遠されているハロゲン系溶剤を用いることなしに、高純度のアセトキシフェニル化合物を製造する方法を提供する。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、過酢酸、酢酸、過酸化水素、硫酸水素塩および水を含有する過酸組成物を見出し、これを反応系内で生成させることにより、下記一般式(1)のアセチルフェニル化合物からアセトキシフェニル化合物(3)を、また一般式(2)のアセチルフェニル化合物からアセトキシフェニル化合物(4)を夫々高収率で製造する方法を見出し、本発明を完成した。
本発明は以下のとおりである。
[1] 下記(a)〜(c)の少なくとも1種に硫酸水素塩を溶解させ、(a)〜(c)を混合することによりアセチルフェニル化合物を酸化する工程を含むアセトキシフェニル化合物の製造方法。
(a)アセチルフェニル化合物の芳香族炭化水素溶液
(b)酢酸または酢酸水溶液
(c)過酸化水素水
[2] 前記工程が、硫酸を用いずに行われる前記[1]記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
[3] 混合液中の過酸化水素のモル数とアセチルフェニル化合物のモル数との比が1:1〜5:1であり、混合液中の硫酸水素塩のモル数とアセチルフェニル化合物のモル数との比が1:1〜0.01:1であることを特徴とする前記[1]記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
[4] アセチルフェニル化合物が一般式(1)で示され、アセトキシフェニル化合物が一般式(3)で示される前記[1]〜[3]の何れか一項記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
Figure 0006032740
(式中、R1及びR2はそれぞれ水素、フッ素、塩素、臭素又は炭素数1〜20のアルキルであり、R3は水素、フッ素、塩素、臭素、炭素数1〜20のアルキル、アセチル又はアセトキシである。)
[5] アセチルフェニル化合物が一般式(2)で示され、アセトキシフェニル化合物が一般式(4)で示される前記[1]〜[3]の何れか一項記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
Figure 0006032740
(式中、R4は水素、炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン、−C≡N、カルボキシル、アセチル又はアセトキシであり、このアルキル中の少なくとも1つの−CH2−は−O−又は−SO2−で置き換えられてもよく、また少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり、また少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立して単結合、−(CH22−、−(CH24−、−CH2O−又は−OCH2−を表し、k、l及びnはそれぞれ0又は1を表す。k、l及びnの合計は1以上の整数である。)
[6] 芳香族炭化水素がトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ベンゼン又は1,2,4−トリメチルベンゼンである、前記[1]〜[5]の何れか一項記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
[7] 前記[1]〜[6]の何れか一項記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法により得られた混合物から回収した水相に、酢酸又は酢酸水溶液と過酸化水素水とを加えた後、これを用いてアセチルフェニル化合物を酸化する工程を含む再利用方法。
本発明は、反応系内で生成された、過酢酸、酢酸、過酸化水素、硫酸水素塩および水を含有する過酸組成物を用いて、下記式一般式(1)及び(2)のアセチルフェニル化合物から、非ハロゲン系溶媒中で高濃度の過酢酸を使用することなく、アセトキシフェニル化合物(3)及び(4)を高収率で製造できる。また、反応終了後、分液により残存した混合液を回収し、これに酢酸または酢酸水溶液と過酸化水素水とを加えることにより、反応系内で生成される過酸組成物を酸化剤として再利用をすることができるため、工業的な優位性が高い。
本発明に使用する過酸化水素水は、特に限定されるものではないが、20重量%以上の過酸化水素水が好ましく、取扱いや安全面を考えると実用的には20〜60重量%が使用できる。本発明に使用する過酸化水素水は、市販されている過酸化水素水を市販されている濃度、例えば30重量%、50重量%、60重量%のままで使用することもできるが、希釈、濃縮を行い、適宜濃度調整し使用することもできる。
本発明に使用する酢酸としては、氷酢酸又は90重量%以上の酢酸水溶液が使用できる。酢酸水溶液としては、水含有量の少ないものを利用した方が、酸化反応に有効な濃度の過酢酸を生成させることができるため好ましい。
また、本発明の反応系で生成される過酸組成物(以下、「本発明の過酸組成物」と略記する場合がある。)中の過酸化水素及び過酢酸の安定性を高めるために、従来知られている安定化剤を使用することができる。例えばピロリン酸、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、エチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸、ロダンカリ、ポリアミノカルボン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)7ナトリウム等が挙げられる。安定化剤の添加量は、本発明の過酸組成物に対して濃度が0.01〜1.5重量%となる量が好ましい。安定化剤は、本発明の過酸組成物の調整前に予め、酢酸もしくは過酸化水素水に添加して使用してもよいし、本発明の過酸組成物の調整後に添加してもよい。
本発明に使用する硫酸水素塩としては、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素リチウム、硫酸水素カリウム、これらの水和物(例えば硫酸水素ナトリウム水和物、硫酸水素リチウム水和物、硫酸水素カリウム水和物)が挙げられる。これらの硫酸水素塩のうち、硫酸水素ナトリウム水和物または硫酸水素カリウムが好ましい。各種硫酸水素塩としては、市販品を用いることができる。
次に、本発明の過酸組成物の調製について説明する。上記記載の酢酸もしくは酢酸水溶液と過酸化水素水と硫酸水素塩とを混合することで過酸組成物を調製することができる。混合の順序は何ら限定されない。例えば、酢酸と過酸化水素とのモル比4:1〜0.2:1の混合液に、硫酸水素塩を添加して調製することができる。好ましくは、酢酸と過酸化水素とのモル比3:1〜0.5:1の範囲である。調製した酢酸と過酸化水素水の混合液中に添加する硫酸水素塩量は、生成する過酸組成物に対して濃度が0.1〜10重量%となる量が好ましい。硫酸水素塩の濃度が0.5重量%以上となる過酸組成物ではアセチルフェニル化合物の酸化反応に対して効果的であり、硫酸水素塩の濃度10重量%以下であると生産性が悪化しにくく好ましい。
また、本発明の過酸組成物は、硫酸を含まないものが好ましい。硫酸を含有すると反応進行とともに黒色の着色成分が生成し、収率が低下する他、着色成分を除去するために精製工程を必要とする等の問題を有する。これは、硫酸自体が系中に存在する場合は、本発明のように硫酸水素塩を使用する場合と比べて、より酸化反応により生成するアセトキシフェニル化合物の加水分解が促進されやすい、さらに、副生したフェノール体が硫酸により酸化された黒色成分(キノン骨格の化合物となったのち、重合化したと推定)の生成量が増えるからと考えられる。
反応系中で、前記過酸組成物を調製する方法において、反応は、40℃から100℃程度に加熱する方法が有効である。80℃以内で実施することで過酢酸の分解を抑制でき効果的に過酸組成物を調製できる。
基質が存在しない条件下では、過酸組成物の組成比は、過酢酸7〜20重量%、過酸化水素3〜20重量%、酢酸10〜50重量%、硫酸水素塩0.1〜10重量%、及び残分として水20〜55重量%である。また過酸組成物の重量比は、過酸化水素水の過酸化水素純分として10〜25重量部、酢酸水溶液の酢酸純分として15〜60重量部、及び硫酸水素塩0.1〜10重量部である。
本発明のアセトキシフェニル化合物の製造方法に於いて、基質となるアセチルフェニル化合物の一形態は、一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006032740
一般式(1)で表される化合物は、2−アセチルフルオレン誘導体であり、この具体例としては、以下の化合物(1−1)〜(1−3)が挙げられる。
Figure 0006032740
上記一般式(1)で表される化合物を基質として用いて、本発明の製造方法により得られるアセトキシフェニル化合物は、一般式(3)で表される化合物である。
Figure 0006032740
式中R1及びR2はそれぞれ水素、フッ素、塩素、臭素又は炭素数1〜20のアルキルであり、R3は水素、フッ素、塩素、臭素、炭素数1〜20のアルキル、アセチル又はアセトキシである。
また、一般式(3)で表される化合物の具体例としては、一般式(3−1)〜(3−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006032740
式中R1及びR2はそれぞれ水素、フッ素、塩素、臭素又は炭素数1〜20のアルキルであり、R3は水素、フッ素、塩素、臭素、炭素数1〜20のアルキル、アセチル又はアセトキシである。
1及びR2で示される炭素数1〜20のアルキルは、直鎖状、分枝状或いは環状でもよい。好ましくは炭素数1〜9であり、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニルが挙げられる。
1及びR2のより好ましい具体例としては、水素またはメチルが挙げられる。
また、R3の好ましい例としては、水素、臭素、アセチル又はアセトキシが挙げられる。
前記アセチルフェニル化合物(1−1)〜(1−3)は、従来報告されている方法で合成することができる。例えば2,7−ジアセチルフルオレン(式(1−1)において、R1、R2=H)(Mol.Cryst.Liq.Cryst.,1997 Vol 303, pp305−311)、例えば2,7−ジアセチル−9−メチル−フルオレン(式(1−1)において、R1=CH3、R2=H)(特開2003−238491号公報)、例えば9−メチル−2−アセチルフルオレン(式(1−2)において、R1=CH3、R2=H、R3=H)、9−ブロモ−2−アセチルフルオレン(式(1−2)において、R1=Br、R2=H、R3=H)、2−アセチル−7−アセトキシフルオレン((1−3)において、R3=OCOCH3)、7−ブロモ−2−アセチルフルオレン(式(1−3)において、R3=Br)(Mol.Cryst.Liq.Cryst.,1987 Vol 150b, pp361−378)、例えば2−アセチルフルオレン(式(1−3)において、R3=H)(特開2003−238491号公報)、例えば2−アセチル−7−ペンチルフルオレン(式(1−3)において、R3=C511)(Mol.Cryst.Liq.Cryst.,1985 Vol 129, pp17−35)、例えば9,9−ジエチル−2,7−ジアセチルフルオレン(式(1−1)において、R1=C25、R2=C25)(The Ohio Journal of Science 70(6) 371(1970)pp371−378)を参酌できる。
本発明のアセトキシフェニル化合物の製造方法に於いて、基質となるアセチルフェニル化合物の一形態は、一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0006032740
一般式(2)で表される化合物は、4−アセチルフェニル誘導体であり、この具体例としては、以下のような化合物(2−1)〜(2−4)が挙げられる。
Figure 0006032740
式中、R4'は水素、炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン、−C≡N、アセチルまたはアセトキシであり、このアルキル中の少なくとも1つの−CH2−は−O−または−SO2−で置き換えられてもよく、また少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
上記一般式(2)で表される化合物を基質として用いて、本発明の製造方法により得られるアセトキシフェニル化合物は、一般式(4)で表される化合物である。
Figure 0006032740
また、一般式(4)で表される化合物の具体例としては、一般式(4−1)〜(4−4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006032740
式中、R4'は水素、炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン、−C≡N、アセチルまたはアセトキシであり、このアルキル中の少なくとも1つの−CH2−は−O−または−SO2−で置き換えられてもよく、また少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
また、一般式(2)及び(4)に於いて、R4及びR4’で示される炭素数1〜20のアルキルは、一般式(1)及び(3)に於けるR1及びR2で示される炭素数1〜20のアルキルと同様のものが挙げられる。
4及びR4’で示されるアルキル中の−CH2−が−O−で置き換えられた場合としては、炭素数1〜19のアルコキシ、炭素数1〜19のアルキルオキシアルキル等が挙げられ、R4及びR4’で示されるアルキル中の−CH2−が−SO2−で置き換えられた場合としては、炭素数1〜19のアルキルスルホニル、炭素数1〜19のアルキルスルホニルアルキル等が挙げられる。
4及びR4’で示されるアルキル中の少なくとも1つの水素がハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素)で置き換えられた場合としては、例えば3-ブロモプロピル、3-クロロプロピル、4-ブロモブチル、4−クロロブチル等が挙げられる。
4及びR4’で示されるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、A1〜A3で示される環中の少なくとも1つ以上の水素がハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素等)で置き換えられた場合としては、例えば、2’,4’−ジフルオロビフェニル、4’−ブロモ−2’−フルオロビフェニル、4’−ヨードビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4−メトキシ−p−ターフェニル等が挙げられる。
1〜A3の好ましい具体例としては、例えば1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,4−2−フルオロフェニレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルが挙げられる。
1〜Z3での好ましい例としては、例えば単結合、−(CH22−等が挙げられる。
また、k、l及びnの合計は、通常1以上の整数であり、好ましくは1又は2である。
4−アセチルフェニル誘導体(2−1)〜(2−4)は、従来報告されている方法で合成することができる。例えば4−アセチル−4”−カルボキシル−p−ターフェニルエチルエステル(US5,417,885号明細書)、例えば3−フルオロ−4−アルキルオキシ−4’−アセチルビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4−アルキルオキシ−4”−アセチル−p−ターフェニル(特開平3−197438号公報)、例えば4−(4−ペンチルシクロへキシル)アセトフェノン(式(2−1)において、R4’=n−ペンチル基)(特開昭60−19986号公報)、例えば4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)−4’−アセチルビフェニル(式(2−2)において、R4’=4−n−ペンチルシクロヘキシル基)(特開昭56−12322号公報)、例えば4−(2,4−ジフルオロフェニル)アセトフェノン(式(2−2)において、水素をフッ素に置き換え)(特開昭51−34135号公報)、例えば4−アセチル−4”−エトキシカルボニル−p−ターフェニル(式(2−3)において、R4’=CO225)(特開平7−25829号公報)、例えば6−(4−アセチルフェニル)−2−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(式(2−4)において、R4’=C37)(特開昭56−9223号公報)をそれぞれ合成する方法が報告されている。
酸化反応に使用する反応溶媒としては、例えば芳香族炭化水素又はハロゲン系溶媒が挙げられ、中でも芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。芳香族炭化水素系溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼンが好ましい。ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン又はクロロホルムが好ましい。有機溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、アセチルフェニル化合物に対して、重量で2〜30倍程度使用される。
アセチルフェニル化合物からアセトキシフェニル化合物の製造は、以下の方法で行うことができる。即ち、(1)過酢酸、過酸化水素水、酢酸、硫酸水素塩および水を含有する過酸組成物を一旦調製した後、アセチルフェニル化合物の反応溶液と該過酸組成物とを反応させる方法、(2)下記溶液(a)〜(c)の少なくとも1種に硫酸水素塩を溶解させ、これら(a)アセチルフェニル化合物の反応溶液、(b)酢酸または酢酸水溶液、及び(c)過酸化水素水を混合することにより反応させる方法が挙げられる。特に消防法の危険物に該当しない35重量%以下の過酸化水素水を使用したアセトキシフェニル化合物を製造する方法は簡便で、危険性リスクを低減できる製造法として有用である。
(1)と(2)のいずれの方法においても、反応は、過酸組成物からなる水相と基質溶液からなる有機相との2相系で進行するため、反応を十分に進行させるため水相と有機相とが十分分散できるような攪拌が有効である。
以下に、本発明の方法(2)の反応に関する詳細を説明する。酸化反応は、常圧でも加圧下でも行うことができるが、通常、反応操作の容易性から常圧での反応が好ましい。本発明で行う酸化反応においては、可燃性物質である芳香族系炭化水素溶媒として使用するため、引火、爆発の危険性があり有機溶媒が爆発範囲に入らないように、窒素、ヘリウムやアルゴンガスなどの不活性ガス置換下で行い、不活性ガスを反応器に供給しながらの実施が必要である。特に、反応温度が80℃以上に達した場合、反応系中に存在する過酢酸、過酸化水素の分解による酸素が発生するため、仮に着火源が存在しても引火や爆発が起こらないように安全対策として気相部の限界酸素濃度未満になるように不活性ガスをフィードする方法が有効である。
反応器中の酸素濃度を低くするため、予め不活性ガスで置換する方法が好ましい。不活性ガスの置換方法としては、例えば、特開2006−231270号公報に記載されている不活性ガス導入配管を反応器上部に接続し、パージ管からパージする方法、反応器上部に接続した不活性導入配管を反応容器の気相部の内部まで挿入し、パージ管からパージする方法、反応容器上部に接続した不活性ガス導入配管を反応容器の液相部の内部まで挿入し、液相内部に不活性ガスを吹き込み、パージ管からパージする方法が挙げられる。
アセチルフェニル化合物の酸化反応温度は、40℃〜100℃の範囲がよく、好ましくは50℃〜80℃である。100℃以下とすることで、過酢酸および過酸化水素自身の分解を抑制でき、コスト面でも安全面でも望ましい。反応温度を40℃以上とすることで、実用的な反応速度を達成することができる。
本発明に使用するアセチルフェニル化合物は室温で固体の化合物が多いため、有機溶媒を用いた溶液としての取り扱いが好ましい。特に本発明に係わる二官能のアセチルフェニル化合物の酸化反応では、一官能のアセチルフェニル化合物に比べ反応熱量が多いため、反応効率や反応装置による除熱能力を考える必要がある。このような観点から、本発明では各種原料を複数分割して仕込む方法やフィードポンプや滴下ロートなどを用いて連続仕込みする方法が望ましい。本発明では、回分式タンク型反応器、タンク型反応器を直列に連結した連続反応装置、マイクロフロー反応器、および上記反応器を組み合わせた反応系式を使用することができる。
次に方法(2)について説明する。即ち、(a)アセチルフェニル化合物の芳香族炭化水素の溶液、(b)酢酸または酢酸水溶液、(c)過酸化水素水のいずれか少なくても1種に硫酸水素塩を溶解させた溶液を調製した後、混合し過酢酸を生成させ、酸化反応させる方法であり、先の(1)の方法のように予め過酸組成物を調製することなしに、アセチルフェニル化合物の酸化を行うことができる。
本発明に使用する芳香族炭化水素系の溶媒は、(1)の方法と同じでトルエン、キシレン、エチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼンが好ましい。芳香族炭化水素系の溶媒に溶解性が低い基質に対しては、ハロゲン系溶媒(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)を適宜添加して使用することができる。有機溶媒使用量は、特に限定されるものではないが、通常、アセチルフェニル化合物に対して、重量で2〜30倍程度使用される。
過酸化水素水の使用量は、一官能性のアセチルフェニル化合物の反応においては、過酸化水素モル数とアセチルフェニル化合物のモル数との比が1:1〜5:1となる仕込み条件である。特に好ましくは、過酸化水素モル数と一官能性のアセチルフェニル化合物のモル数との比が1.25:1〜2.5:1である。二官能性のジアセチルフェニル化合物に対しては、過酸化水素1モル当量以下の場合は、分子内の1つのみ酸化されたモノアセトキシ化合物が主に生成し、ジアセトキシフェニル化合物を選択的に得ることが困難となるため、過酸化水素モル数と二官能性のジアセチルフェニル化合物のモル数との比が2:1〜10:1の仕込み条件であり、特に好ましくは、過酸化水素とモル数と2官能性のジアセチルフェニル化合物のモル数との比が2.5:1〜5.0:1である。過酸組成物中の過酸化水素のモル数をこの範囲で使用することでコスト的にも安全上も有利に合成できる。
酢酸の使用量は、酢酸と過酸化水素とのモル比が4:1〜0.2:1となる範囲が好ましく、モル比3:1〜0.5:1となる範囲がより好ましい。酢酸を過酸化水素1モルに対して、0.2モル以上用いることで、基質を収率よく反応させることが可能となり、4モル以下の酢酸を用いることで、コスト的にも安全上も有利に合成できる。
硫酸水素塩の使用量は、硫酸水素塩とアセチルフェニル化合物のケトンとのモル比が1:1〜1:0.01となる量である。特に好ましくは、硫酸水素塩とアセチルフェニル化合物のケトンとのモル比が1:0.5〜1:0.03となる量である。
反応終了後に攪拌を止めることで、過酸化水素、酢酸、過酢酸、硫酸水素塩を含有する水相と生成物であるアセトキシフェニル化合物を含有する芳香族炭化水素相との2相に分離することができる。水相は、通常の分液操作により回収することができる。回収された水相は、硫酸水素塩と未反応の過酸化水素、残存過酢酸および酢酸を含むため、回収した水相に過酸化水素水、酢酸を追加補充することで、酸化剤として再利用することができる。追加する過酸化水素水および酢酸は、初回の反応時の仕込み量に準じた量を用い、反応時間を適宜調整することで収率よく製造することができる。
分液操作で得られた有機相は過酸化水素水、過酢酸、酢酸、微量の過酸化ジアセチルが溶解しているため、中和水洗および環元剤処理を行うことが好ましい。中和水洗、還元剤処理は、有機相に対して中和剤水溶液および環元剤水溶液を加え攪拌することで行われる。
中和水洗では、アセトキシフェニル化合物の加水分解による収率低下を避けるため、中和剤としては弱塩基性塩の水溶液(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム)か、またはpHを8〜10程度に調整した苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)水溶液を使用することができる。
中和剤の使用量は、酸化反応で使用した酢酸に対して約0.05〜2モル当量、好ましくは0.1〜1モル当量である。処理温度は、通常0℃〜60℃、好ましくは5℃〜室温であり、処理時間は、数分から数時間、好ましくは10分から1時間である。
環元剤処理に使用する環元剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムであり、これらの水溶液として使用することができる。還元剤処理をすることで、有機相中に含まれている過酢酸および微量の過酸化ジアセチルを分解することができる。亜硫酸ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウムの水溶液は、1〜10重量%の濃度で使用される。これら水溶液の使用量は、酸化反応で使用した酢酸に対して約0.05〜2モル当量、好ましくは0.1〜1モル当量である。処理温度は、通常0℃〜60℃、好ましくは5℃〜室温である。処理時間は、数分から数時間、好ましくは10分から1時間である。
水洗処理および還元処理して得られた有機相は、減圧下、反応溶媒を留去して、アセトキシフェニル化合物を含む粗生成物を得ることができる。粗生成物中には、主生成物のアセトキシフェニル化合物以外の未反応の基質や二官能性のアセチルフェニル化合物の場合ではモノアセトキシ体が含まれる。粗生成物は、通常有機化合物の精製で行われる手法、例えば、カラムクロマトグラフィー、再結晶、晶析、ろ過、乾燥等を用いて、高純度のアセトキシフェニル化合物を得ることができる。具体的には、アセトキシフェニル化合物(3)又は(4)は、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒等の有機溶媒を用いて、クロマトグラフィーや再結晶により精製することができる。
クロマトグラフィーでは、従来公知のシリカ、シリカゲル、アルミナ、フロリジルなどの吸着剤を使用することができる。吸着剤は、平均粒径3〜80μm、好ましくは5〜10μmである。本発明で使用される吸着剤は、金属イオンの含有が少ない高純度のシリカゲルが好ましい。
通常、電子材料用途に使用する場合は、微量な不純物を除去するため、上記の精製法を組み合わせるか、同じ精製を繰り返して、より高純度のアセトキシフェニル化合物を得ることができる。
プロトン核磁気共鳴スペクトルは、VARIAN社製VARIAN NMR SYSTEM(500MHz)を用い、テトラメチルシランを内部標準として測定した。
ガスクロマトグラフィーは株式会社島津製作所 GC−2014ATF/SPLモデル(FID検出器)を用いた。一般財団法人化学物質評価研究機構製の「G−100(40m)」を使用し、カラム温度は95℃とした。
過酸化水素水および反応終了後の水相中の過酢酸および過酸化水素の分析は、チオ硫酸ナトリウムを用いた分別滴定法(特開平6−130051号公報)により実施した。
酸素濃度計は、株式会社オートマチックシステムリサーチ製のFOM−1000/WPH−110を使用した。
35重量%の過酸化水素水は和光純薬株式会社から、50重量%の過酸化水素水はシグマアルドリッチ株式会社からそれぞれ購入した。蒸留水は和光純薬株式会社から購入した。過酸化水素水の濃度調整には、蒸留水を使用した。シリカゲルは、和光純薬株式会社からクロマトグラフィー用シリカゲルを購入した。
以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1] 2,7−ジアセトキシ−9−メチルフルオレン(3−1a−1)の合成(過酸組成物を反応系中で調製する方法)
メカニカル式攪拌機、ジムロート冷却管、温度計、滴下漏斗を取り付け500mlの4つ口フラスコに2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(1−1a)(15.86g;60.0mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(4.15g;30.0mmol)、酢酸(36.03g;600mmol)およびトルエン150mlを加え60℃の恒温槽で、200rpmで攪拌した。温度が安定した後、35重量%の濃度を30重量%に調整した過酸化水素水(34.00g;300mmol)を30分かけて滴下した。その後、60℃で20時間反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて反応中のトルエン溶液の基質、生成物の変化を分析した。ガスクロマトグラフィーにおける面積からの算出で、反応率は98%で、選択率はジアセトキシ体(3−1a−1)90%、モノアセトキシ体(3−1a−2)8%、ジヒドロキシ体(3−1a−3)0.5%以下、モノヒドロキシ体(3−1a−4)0.5%以下であった。
分液ロートを用いて有機層と水層を分離した後、有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液(15ml×2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15ml×2)で洗浄した。有機層は、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下、濃縮を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(容量比で、酢酸エチル:ヘプタン=1:10→3:7)で処理してジアセトキシ体の2,7−ジオキシアセチル−9−メチルフルオレン(ジアセトキシ体3−1a)を15.10g(51.0mmol 単離収率85%)、モノアセトキシ体(3−1a−1)を0.84g;3.0mmol)を単離収率5%で得た。
Figure 0006032740
Figure 0006032740
Figure 0006032740
[実施例2] 2,7−ジアセトキシ−9−メチルフルオレン(3−1a−1)の合成(酢酸量の検討)
実施例1と同じ装置を用いて、使用原料の酢酸の使用量を36.03g(600mmol)から18.02g(300mmol)に変更する以外は、実施例1と同様の操作により反応を行った。反応31時間で、反応率は93%で、選択率はジアセトキシ体(3−1a−1)が84%、モノアセトキシ体(3−1a−2)が12%、ジヒドロキシ体(3−1a−3)0.5%以下、モノヒドロキシ体(3−1a−4)0.5%以下であった。であった。実施例1と同様な精製処理で、ジアセトキシ体(3−1a−1)、モノアセトキシ体(3−1a−2)をそれぞれ80%、10%の単離収率で取得した。
[実施例3] 2,7−ジアセトキシ−9−メチルフルオレン(3−1a−1)の合成(酢酸量の検討)
実施例1と同じ装置を用いて、使用原料の酢酸の使用量を36.03g(600mmol)から54.04g(900mmol)に変更する以外は、実施例1と同様の方法により反応を行った。反応20時間で、反応率は99%で、選択率はジアセトキシ体(3−1a−1)が96%、モノアセトキシ体(3−1a−2)が3%、ジヒドロキシ体(3−1a−3)0.5%以下、モノヒドロキシ体(3−1a−4)0.5%以下であった。実施例1と同様な精製処理で、ジアセトキシ体(3−1a−1)、モノアセトキシ体(3−1a−2)をそれぞれ93%、2%の単離収率で取得した。
[実施例4] 2,7−ジアセトキシ−9−メチルフルオレン(3−1a−1)の合成(硫酸水素塩量の検討)
実施例1と同じ装置を用いて、使用原料の硫酸水素ナトリウム一水和物の使用量を4.15g(30.0mmol)から1.04g(7.5mmol)に変更する以外は、実施例1と同様の操作により反応を行った。反応31時間で反応率は94%で、選択率は、ジアセトキシ体(3−1a−1)が82%、モノアセトキシ体(3−1a−2)が11%、ジヒドロキシ体(3−1a−3)0.5%以下、モノヒドロキシ体(3−1a−4)0.5%以下であった。実施例1と同様な精製処理で、ジアセトキシ体(3−1a−1)、モノアセトキシ体(3−1a−2)をそれぞれ79%、8%の単離収率で取得した。
[実施例5] 2,7−ジアセトキシ−9−メチルフルオレン(3−1a−1)の合成(硫酸水素塩量の検討)
実施例1と同じ装置を用いて、使用原料の硫酸水素ナトリウム一水和物の使用量を(4.15g;30.0mmol)から(8.30g;60.0mmol)に変更する以外は、実施例1と同様の操作により反応を行った。反応時間26時間で、反応率は97%で、選択率はジアセトキシ体(3−1a−1)が86%、モノアセトキシ体(3−1a−2)が10%、ジヒドロキシ体(3−1a−3)0.5%以下、モノヒドロキシ体(3−1a−4)0.5%以下であった。実施例1と同様な精製処理で、ジアセトキシ体(3−1a−1)、モノアセトキシ体(3−1a−2)をそれぞれ80%、7%の単離収率で取得した。
[実施例6〜9] 硫酸水素塩として硫酸水素カリウムを使用
還流冷却管、温度計、滴下ロートを取り付け、スターラーバー(攪拌子)を入れた50mlの四つ口フラスコに2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(1−1a)(1.06g;4.0mmol)、トルエン(10ml)を加えた。反応フラスコを油浴に浸し、60℃まで昇温した。温度が安定した後、下記表1に示す条件で、酢酸、硫酸水素カリウム一水和物、35重量%の濃度を30重量%に調整した過酸化水素水を加え、60℃の油浴中で反応した。室温まで冷却し、トルエン(10ml)を加えた。分液ロートを用いて有機層と水層を分離した後、有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液(5ml×2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5ml×2)で洗浄した。有機層は、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下、濃縮を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(容量比で、酢酸エチル:ヘプタン=1:10→3:7)で処理して、ジアセトキシ体(3−1a−1)、モノアセトキシ体(3−1a−2)の単離収率を算出した。
Figure 0006032740
[実施例10] 2−アセトキシフルオレン(3−3a)の合成
実施例6と同じ方法で、フラスコに2−アセチルフルオレン(1−3a)(1.04g;5.0mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(0.17g;1.2mmol)、酢酸(1.50g;25.0mmol)、トルエン(10ml)を加えた。反応フラスコを油浴に浸し、60℃まで昇温した。同温度を維持し、攪拌しながら35重量%の濃度を30重量%に調整した過酸化水素水(1.42g;12.5mmol)を滴下した。反応液を60℃の油浴中で24時間撹拌した後、室温まで冷却し、トルエン(10ml)を加えた。有機層を分取後、10%亜硫酸ナトリウム水溶液(5ml×2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5ml×2)で洗浄し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(容量比で、酢酸エチル:ヘプタン=1:10→1:5)処理して2−アセトキシフルオレン(3−3a)を1.02g(収率91%)得た。
1H−NMR(CDCl3) δ(ppm) : 2.33(s, 3H), 3.90(s, 2H), 7.09(dd, 1H), 7.28(d, 1H), 7.30(dd, 1H), 7.37(td, 1H), 7.53(d, 1H), 7.75(d, 1H), 7.76(d, 1H).
Figure 0006032740
[実施例11] 7−ブロモ−2−アセトキシフルオレン(3−3b)の合成
実施例6と同じ方法で、フラスコに7−ブロモ−2−アセチルフルオレン(1−3b)(1.00g;3.5mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(0.24g;1.7mmol)、酢酸(2.09g;34.8mmol)、ジクロロエタン(10ml)を加えた。反応フラスコを油浴に浸し、60℃まで昇温した。同温度を維持し、攪拌しながら50重量%の過酸化水素水(1.18g;17.4mmol)を滴下した。反応液を60℃の油浴中で16時間撹拌した後、室温まで冷却し、ジクロロエタン(10ml)を加えた。有機層を分取後、水(5ml×5)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを除去後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(容量比で、ジクロロメタン:ヘプタン=1:1)処理して7−ブロモ−2−アセトキシフルオレン(3−3b)を0.80g(収率75%)得た。
1H−NMR(CDCl3) δ(ppm) : 2.33(s, 3H), 3.88(s, 2H), 7.09(dd, 1H), 7.26(d, 1H), 7.49(dd, 1H), 7.59(d, 1H), 7.66(d, 1H), 7.72(d, 1H).
Figure 0006032740
[実施例12] 4−(トランス−n−プロピルシクロヘキシル)フェニルアセテート(4−1a)の合成
実施例6と同じ方法で、フラスコに4−(トランス−n−プロピルシクロヘキシル)アセトフェノン(2−1a)(1.23g;5.0mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(0.35g;2.5mmol)、酢酸(3.00g;50.0mmol)、トルエン(12ml)を加えた。反応フラスコを油浴に浸し、60℃まで昇温した。同温度を維持し、攪拌しながら50重量%の過酸化水素水(1.70g;25.0mmol)を滴下した。反応液を60℃の油浴中で36時間撹拌した後、室温まで冷却し、トルエン(12ml)を加えた。有機層を分取後、10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液(5ml×2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5ml×2)で洗浄し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(容量比で、酢酸エチル:ヘプタン=1:30→1:20)処理して4−(トランス−n−プロピルシクロヘキシル)フェニルアセテート(4−1a)を0.96g(収率74%)得た。
1H−NMR(CDCl3) δ(ppm): 0.90(t, 3H), 1.04(m, 2H), 1.18−1.46(m, 7H), 1.87(m, 4H), 2.28(s, 3H), 2.46(m, 1H), 6.98(m, 2H), 7.19(m, 2H).
Figure 0006032740
[実施例13] 4−(2,4−ジフルオロフェニル)フェニルアセテート(4−2a)の合成
実施例6と同じ方法で、フラスコに4−(2,4−ジフルオロフェニル)アセトフェノン(2−2a)(1.16g;5.0mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(0.35g;2.5mmol)、酢酸(3.00g;50.0mmol)、トルエン(11ml)を加えた。反応フラスコを油浴に浸し、60℃まで昇温した。同温度を維持しながら50重量%の過酸化水素水(1.70g;25.0mmol)を滴下した。反応液を60℃の油浴中で48時間撹拌した後、室温まで冷却し、トルエン(10ml)を加えた。有機層を分取後、10%亜硫酸ナトリウム水溶液(5ml×2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5ml×2)で洗浄し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(容量比で、酢酸エチル:ヘプタン=1:20)処理して、4−(2,4−ジフルオロフェニル)フェニルアセテート(4−2a)を0.53g(収率43%)得た。
1H−NMR(CDCl3) δ(ppm) : 2.33(s, 3H), 6.93(m, 2H), 7.17(m, 2H), 7.38(m, 1H), 7.50(m, 2H).
Figure 0006032740
[実施例14] 4−(カルボエトキシビフェニル)フェニルアセテート(4−3a)の合成
Figure 0006032740
実施例6と同じ方法で、フラスコに4−(カルボエトキシビフェニル)アセトフェノン(2−3a)(1.03g;3.0mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(0.21g;1.5mmol)、酢酸(1.80g;30.0mmol)、ジクロロエタン(10ml)を加えた。反応フラスコを油浴に浸し、60℃まで昇温した。同温度を維持し、攪拌しながら50重量%の過酸化水素水(1.00g;14.7mmol)を滴下した。反応液を60℃の油浴中で28時間撹拌した後、室温まで冷却し、ジクロロメタン(20ml)を加えた。有機層を分取後、水(10ml×4)、1重量%炭酸水素ナトリウム溶液(10ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。硫酸マグネシウムを除去後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー処理(容量比で、ジクロロメタン:ヘプタン=1:1)して4−(カルボエトキシビフェニル)フェニルアセテート(4−3a)を0.73g(収率65%)得た。
1H−NMR(CDCl3) δ(ppm): 1.42(t, 3H), 2.34(s, 3H), 4.41(q, 2H), 7.19(m, 2H), 7.62−7.72(m, 8H), 8.14(m, 2H).
[実施例15] 排ガス中の酸素濃度の分析、過酸化ジアセチルの分析(13C−NMR)、再結晶による精製
メカニカル式撹拌機、ジムロート冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを取り付けた500mlの五つ口ジャケト型フラスコに窒素ガス流量計、酸素濃度計を付けた反応器を使用した。窒素ガス流量計は、ガス導入管の前に連結して一定量で窒素ガスが反応器に導入できるように調整を行った。反応器に導入した窒素ガスは、ジムロート冷却管口より排気し、酸素濃度計はジムロート冷却管口に繋いだチューブと連結して、廃棄窒素ガス中の酸素濃度を測定できるようにした。反応器に、2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(1−1a)(15.86g;60.0mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(4.15g;30.0mmol)、酢酸(36.03g;600mmol)、トルエン(160ml)を加えた。反応器に窒素ガスを1分間当たり100mlで流し、フラスコ内を窒素ガス置換し、酸素濃度が0.3%以下にした。反応器のジャケットに予め加温していた温水を循環させフラスコ内部の温度を60℃まで昇温させた。同温度を維持しながら35重量%の濃度を30重量%に調整した過酸化水素水(34.00g;300mmol)を15分かけて滴下し、60℃で24時間撹拌した。酸素濃度は反応開始とともに徐々に上がり、反応24時間後で約3%程度まで上昇した。反応率は98%、選択率は、ジアセトキシ体(3−1a−1)が92%、モノアセトキシ体(3−1a−2)6%、ジヒドロキシ体(3−1a−3)0.5%以下、モノヒドロキシ体(3−1a−4)0.5%以下であった。
反応液にトルエン50mlを追加しジャケットの温水を室温まで冷却した後、分液ロートを用いて反応液を有機層と水層に分離した。有機層は、10%亜硫酸ナトリウム水溶液(20ml×2)、飽和炭酸水素ナトリウム水(20ml×2)で洗浄した。還元剤処理および中和処理した有機層を13C−NMR分析を行なったところ、過酸化ジアセチルのメチル炭素に由来するピークが検出されなかった。
得られた有機層をジーンスタークにジムロート冷却管を付けた攪拌器付きフラスコ(500ml)に仕込み、加熱還流させた。有機層に含有していた水をトルエンと共沸させ、ジンスタークトラップより50mlの流出分を抜き出した。得られた粗液を100ml三角フラスコに入れ、−5℃の冷蔵庫に12時間静置した。純度97%ジアセトキシ体(3−1a−1)の一番晶が収率62%で得られ、ジアセトキシ体を81%含む一次母液を回収した。一次母液からトルエン溶媒を用いた再結晶により、純度95%ジアセトキシ体(3−1a−1)の二番晶を収率15%で得た。
[実施例16] 分割仕込み法
実施例15と同じ装置を用いて、反応器に2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(1−1a)(15.90g;60.1mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(4.15g;30.0mmol)、酢酸(21.62g;360mmol)、トルエン(160ml)を加えた。反応器に窒素ガスを1分間当たり100mlで流し、フラスコ内を窒素ガス置換し、酸素濃度が0.3%以下にした。反応器のジャケットに予め加温していた温水を循環させフラスコ内部の温度を60℃まで昇温させた。同温度を維持しながら35重量%の濃度を30重量%に調整した過酸化水素水(20.40g;180mmol)を滴下し、60℃で10時間撹拌した。
同温度を維持しながらさらに、35重量%の濃度を30重量%に調整した過酸化水素水(13.60g;120mmol)、酢酸(14.41g;240mmol)を滴下し、14時間撹拌した。酸素濃度は反応開始とともに徐々に上昇したが最大2%を超えることはなかった。
反応率は97%、選択率は、ジアセトキシ体(3−1a−1)が90%、モノアセトキシ体(3−1a−2)7%、ジヒドロキシ体(3−1a−3)0.5%以下、モノヒドロキシ体(3−1a−4)0.5%以下であった。反応液を冷却後、実施例15と同様な処理および精製を行い、再結晶により、純度97%ジアセトキシ体(3−1a−1)の収率76%で得た。
[実施例17] 回収過酢酸組成物を使用
実施例6と同じ反応装置を使用した。フラスコに2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(1−1a)(1.59g;6.0mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物0.42g(3.0mmol)、酢酸3.60g(60.0mmol)およびトルエン15mlを加え60℃の恒温槽で加熱した。50重量%の過酸化水素水2.05g(30.0mmol)を滴下した。その後、60℃で24時間反応を行った。トルエン層のガスクロマトグラフィー分析により、反応率は98%で、選択率はジアセトキシ体(3−1a−1)95%、モノアセトキシ体(3−1a−2)3%、ジヒドロキシ体(3−1a−3)0.1%、モノヒドロキシ体(3−1a−4)0.1%であった。反応終了後、水層部分は分液ロートを用いて抜き出し、3.46gを回収した。回収した水層中の過酢酸および過酸化水素含有量は、滴定は、1Mヨウ化カリウム、0.1Nチオ硫酸ナトリム標準溶液、硫酸、5重量%モリブデン酸水溶液を用いた滴定法で行い、下記式により算出し各成分の濃度を求めた。
過酢酸重量%=0.38×f×A/S
過酸化水素重量%=0.17×f×B/S
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム標準液のファクター
S:試料採取量(g)
A:1Mヨウ化カリウム溶液を加え、遊離したヨードを0.1Nチオ硫酸ナト
リウム標準液の滴定した量(ml)
B:硫酸、1Mヨウ化カリウム溶液、モリブデンサンアンモニウム溶液、でん
ぷん溶液を加え0.1Nチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定した量(ml)
一回目の回収した水層は、過酢酸4.5重量%、過酸化水素2.5重量%含まれていることを確認した。
実施例6と同じ反応装置を使用し、2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(1−1a)(1.59g;6.0mmol)、酢酸2.20g(36.7mmol)およびトルエン15mlを加え60℃の恒温槽で加熱した。そこに、回収した水層3.29gと、50重量%の過酸化水素水(1.74g;25.0mmol)を加え、35時間反応を行った。反応率96%であり、選択率は、ジアセトキシ体(3−1a−1)86%、モノアセトキシ体(3−1a−2)11%、ジヒドロキシ体(3−1a−3)0.1%、モノヒドロキシ体(3−1a−4)0.1%であった。
また、同様な操作により、水層4.50gを回収した。回収した水層は、一回目の回収した水層と同様の滴定分析を行い、過酢酸1.5重量%、過酸化水素1.4重量%含まれていることを確認した。
[比較例1] 硫酸を触媒として使用
実施例6と同じ反応装置を用いて、2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(1−1a)(1.04g;3.9mmol)、95%硫酸(0.20g;1.9mmol)、酢酸(2.36g;39.3mmol)、トルエン(10ml)を加えた。反応フラスコを油浴に浸し、60℃まで昇温した。同温度を維持しながら35重量%の濃度を30%に調整した過酸化水素水(2.23g;19.7mmol)を滴下した。反応液を60℃の油浴中で30時間撹拌した。反応液は、時間とともに黒色に変化した。室温まで冷却し、トルエン(10ml)を加えた。有機層を分取後、10%亜硫酸ナトリウム水溶液(5ml×2)、飽和重曹水(5ml×2)で洗浄し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(容量比で、酢酸エチル:ヘプタン=1:10→3:7)処理して、ジアセトキシ体(3−1a−1)、モノアセトキシ体(3−1a−2)をそれぞれ60%、10%の単離収率で取得した。
[比較例2] 酢酸ブチルを溶媒として使用
実施例6と同じ反応器を用いて、2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(1−1a)(1.04g;3.9mmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(0.27g;2.0mmol)、酢酸(2.36g;39.3mmol)、酢酸ブチル(10ml)を加えた。反応フラスコを油浴に浸し、60℃まで昇温した。同温度を維持しながら35重量%の濃度を30%に調整した過酸化水素水(2.23g;19.7mmol)を滴下した。反応液を60℃の油浴中で30時間撹拌した。反応後処理、精製法は、比較例1と同様に行った。ジアセトキシ体(3−1a−1)、モノアセトキシ体(3−1a−2)をそれぞれ47%、27%の単離収率で取得した。
実施例に示した方法に準じて、2−アセチルフルオレン誘導体(1−1)〜(1−3)、4−アセチルフェニル誘導体(2−1)〜(2−4)から、対応する2−アセトキシフルオレン誘導体(3−1)〜(3−3)、4−アセトキシフェニル誘導体(4−1)〜(4−4)を容易に合成できる。
Figure 0006032740
Figure 0006032740
(式中、R1〜R3およびR4'は前記に同じ。)
本発明によれば、2−アセチルフルオレン誘導体や4−アセトキシフェニル誘導体のアセトキシフェニル化合物を効率よく製造することができる。アセトキシフェニル化合物は、機能性材料、医薬品、電子材料等の合成中間体としての利用が期待される。

Claims (7)

  1. 下記(a)〜(c)の少なくとも1種に硫酸水素塩を溶解させ、(a)〜(c)を混合することによりアセチルフェニル化合物を酸化する工程を含むアセトキシフェニル化合物の製造方法。
    (a)アセチルフェニル化合物の芳香族炭化水素溶液
    (b)酢酸または酢酸水溶液
    (c)過酸化水素水
  2. 前記工程が、硫酸を用いずに行われる請求項1記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
  3. 混合液中の過酸化水素のモル数とアセチルフェニル化合物のモル数との比が1:1〜5:1であり、混合液中の硫酸水素塩のモル数とアセチルフェニル化合物のモル数との比が1:1〜0.01:1であることを特徴とする請求項1記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
  4. アセチルフェニル化合物が一般式(1)で示され、アセトキシフェニル化合物が一般式(3)で示される請求項1〜3の何れか一項記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
    Figure 0006032740
    (式中、R1及びR2はそれぞれ水素、フッ素、塩素、臭素又は炭素数1〜20のアルキルであり、R3は水素、フッ素、塩素、臭素、炭素数1〜20のアルキル、アセチル又はアセトキシである。)
  5. アセチルフェニル化合物が一般式(2)で示され、アセトキシフェニル化合物が一般式(4)で示される請求項1〜3の何れか一項記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
    Figure 0006032740
    (式中、R4は水素、炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン、−C≡N、カルボキシル、アセチル又はアセトキシであり、このアルキル中の少なくとも1つの−CH2−は−O−又は−SO2−で置き換えられてもよく、また少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり、また少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立して単結合、−(CH22−、−(CH24−、−CH2O−又は−OCH2−を表し、k、l及びnはそれぞれ0又は1を表す。k、l及びnの合計は1以上の整数である。)
  6. 芳香族炭化水素がトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ベンゼン又は1,2,4−トリメチルベンゼンである、請求項1〜5の何れか一項記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか一項記載のアセトキシフェニル化合物の製造方法により得られた混合物から回収した水相に、酢酸又は酢酸水溶液と過酸化水素水とを加えた後、この水相を酸化剤として再利用してアセチルフェニル化合物を酸化する工程を含むアセトキシフェニル化合物の製造方法
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