以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係るラベル装着装置の外観を示す斜視図であり、図2は、同ラベル装着装置を上から見た図であり、図3は、同ラベル装着装置を正面から見た図である。
ラベル装着装置1は、ボトル供給部2、ラベル供給部3、ロータリー型のラベル装着部4、ボトル搬出部5及びラベル装着不良解析部6を備える。
ボトル供給部2は、ラベルを装着すべきPET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂からなる多数のボトルタイプの容器B(以下、「ボトルB」という。)を所定の間隔で連続的にラベル装着部4に供給する機能を果す。
ラベル供給部3は、ポリエステル系樹脂やポリエチレン系樹脂などからなる、筒状で帯状の熱収縮フィルム(シュリンクフィルム)に多数の同一絵柄(ラベル)を一定間隔で印刷したラベル基材Mをラベル切断位置P0(図4参照)に搬送し、そのラベル基材Mの搬送速度に同期して当該ラベル基材Mの各ラベルL(図3参照)の境界位置を切断することにより多数のラベルLを所定の間隔で連続的にラベル装着部4に供給する機能を果す。
ラベル装着部4は、ボトル供給部2から所定の間隔で供給される多数のボトルBを所定の円軌道上を周回させながら各ボトルBにラベル供給部3から供給される多数のラベルLをそれぞれ装着する機能を果す。
ボトル搬出部5は、ラベル装着部4でラベルLが装着されたボトルB(ラベル付きボトルB)を受け取り、後工程に搬出する機能を果す部分である。
ラベル装着不良解析部6は、後述するラベル装着部4のラベル装着ヘッド41(図5,図6参照)が折り畳まれたラベルLを筒状に開いてボトルBに被せる動作をする直近のタイミングで、筒状に開かれたラベルLの開口部分を下から見た画像とそのラベルLが装着されるボルトBを上から見た画像を撮影ユニット61(図12参照)で取得し、それらの画像からラベルLの開口状態やラベルLとボトルBの相対的な位置関係のデータを算出する機能を果たす。このデータは、ラベルLの装着不良が発生したときに当該ラベルLの装着動作をしたラベル装着ヘッド41とボトルBを保持するラベル保持部401(図5参照)とにおける不良原因の解析に利用される。ラベル装着不良解析部6は、本実施形態に係るラベル装着装置1の特徴的な構成である。ラベル装着不良解析部6の詳細は後述する。
図1〜図3において、ラベル装着部4を基準に見ると、正面視でボトル供給部2はラベル装着部4の手前左側に配置され、ボトル搬出部5はラベル装着部4の手前右側に配置されている(図2,図3参照)。ラベル供給部3は、原反からラベル基材Mを繰り出し、そのラベル基材Mをラベル切断位置P0(図4参照)に搬送して切断する機構を備えるが、図1〜図3では、ラベル基材Mを原反からラベル切断位置P0に搬送する部分は省略している。
ラベル供給部3のラベル基材Mから各ラベルLを切り離してラベル装着部4に供給する部分は、ラベル基材Mを上から下に搬送して各ラベルLを切り離し、切り離したラベルLをラベル装着部4でテイクアップ部材423(図4,図5参照)を横方向に移動させて受け取る構成である。従って、ラベル供給部3は、正面視でラベル装着部4の右側上部に配置されている。
ラベル装着部4は、時計回りに回転する環状の支持盤40を備える。この支持盤40には周縁に沿って30個のボトルBを保持するボトル保持部401(図5参照)が等間隔(角度で12°間隔)で設けられている。各ボトル保持部401には吸引口が設けられている。そして、各ボトル保持部401の吸引口には図略のチューブ等の吸引管によって図略の真空ポンプ等の吸引装置が接続されている。また、各ボトル保持部401の上部に、ラベル供給部3から供給される折り畳まれたラベルLを受け取り、当該ラベルLを筒状に開いて各ボトル保持部401に吸着によって保持されているボトルBに被せるようにして装着するラベル装着ヘッド41(図2,図3参照)が設けられている。
図2において、環状の支持盤40の中心から右方向を回転の基準方向とし、この基準方向の線上でラベル装着ヘッド41が通過する位置を各ラベル装着ヘッド41の回転基準位置αとする。図1に示すように、回転基準位置αの上方に後述のラベル装着ヘッド41がラベル供給部3から供給されるラベルLを受け取るラベル受取位置P1(図1参照)が設けられている。また、その基準方向から時計回り(支持盤40が回転する方向)に回転角「+θ」を取ると、+12°回転した位置にラベル装着ヘッド41がボトルBにラベルLを装着するラベル装着位置P4が設けられ、+60°回転した位置にラベル装着部4がボトル搬出部5にラベル付きボトルBを受け渡すボトル受渡位置P5が設けられ、+120°回転した位置にラベル装着部4がボトル供給部2からボトルBを受け取るボトル受取位置P2が設けられている。
また、+240°回転した位置に撮影ユニット61によってラベル装着不良解析用の画像データを取得するラベル撮影位置P3が設けられている。
30本のラベル装着ヘッド41は、ラベル受取位置P1を通過する毎にそれぞれラベル供給部3から供給されるラベルLを受け取る。また、支持盤40上の30個のボトル保持部401は図略の吸引装置によって吸引されており、ボトル受取位置P2を通過するときにそれぞれボトル供給部2から供給されるボトルBを吸着によって受け取り、ボトル受渡位置P5を通過するときにそれぞれラベルLが装着されたボトルB(ラベル付きボトルB)をボトル搬出部5に受け渡す。ボトル保持部401に保持されたボトルBは、ボトル受取位置P2からボトル受渡位置P5に移動するまでの間(支持盤40が5/6回転する間)にラベル装着ヘッド41によってラベルLが装着される。
ボトル供給部2は、多数のボトルBを搬送するベルトコンベア20と、ベルトコンベア20で搬送された多数のボトルBを所定の間隔で一列に整列させて搬送するスクリュー21と、スクリュー21によって所定の間隔で搬送される多数のボトルBをそれぞれ受け取ってラベル装着部4に渡すスターホイール22とを備える。
ベルトコンベア20とスクリュー21はボルBの搬送方向の上流側から下流側(図2で左側から右側)にその順に配置されている。スターホイール22はスクリュー21の後端部とラベル装着部4の間に配置されている。スターホイール22は、周縁に16個の凹部を有し、上面視で反時計周りに回転してスクリュー21によって搬送される各ボトルBを各凹部で受け取り、ラベル装着部4のボトル受取位置P2まで搬送する。
ボトル搬出部5は、ラベル装着部4からラベル付きボトルBを受け取るボトル受取ユニット50と、このボトル受取ユニット50で受け取ったボトルBを後工程に搬送するベルトコンベア51とを備える。ボトル受取ユニット50は、ベルトコンベア51の前端部とラベル装着部4の間に配置されている。
ボトル受取ユニット50は、図略の回転軸に16個のボトル吸着部材50aを放射状に取り付け、各ボトル吸着部材50aでラベル付きボトルBのみを受け取る構成のユニットである。ボトル受取ユニット50は、図2において、反時計周りに回転してラベル装着部4によりボトル受渡位置P5に搬送されたラベル付きボトルBをボトル吸着部材50aで受け取り、ベルトコンベア51まで搬送する。
多数のボトルBは、正面視で、ボトル供給部2のベルトコンベア20により左側から右側に搬送され、スクリュー21でボトル間隔が所定の間隔に調整された後、スターホイール22に受け渡され、当該スターホイール22でラベル装着部4のボトル受取位置P2に搬送される。ボトル受取位置P2に搬送されたボトルBはラベル装着部4の支持盤40のボトル保持部401(図5,図6参照)に保持され、当該支持盤40の回転によってボトル受渡位置P5まで搬送される。支持盤40のボトル保持部401に保持されたボトルBは、ボトル受渡位置P5に搬送されるまでの間に当該ボトルBの上方に設けられたラベル装着ヘッド41によってラベルLが装着される。支持盤40によってボトル受渡位置P5に搬送されたラベル付きボトルBは、ボトル受取ユニット50のボトル吸着部材50aに受け渡され、ボトル受取ユニット50の回転によってベルトコンベア51に搬送される。そして、ラベル付きボトルBはベルトコンベア51によって再び左側から右側に後工程に向けて搬送される。
ラベル装着不良解析部6は、ラベル撮影位置P3に配置される撮影ユニット61(図2,図12参照)と、撮影ユニット61で取得されたラベルLの画像とボトルBの画像とを用いて、ラベルLとボトルBの位置データやラベルLとボトルBの相互の位置ずれのデータを取得するとともに、これらのデータを用いてラベル装着不良の原因を解析する解析装置60(図2参照)とを備える。なお、図1,図3では、解析装置60を省略している。
図4は、ラベル供給部3のラベル基材Mから各ラベルLを切り離してラベル装着部4に供給する部分(以下、「ラベル生成ユニット」という。)の構成を示す図である。
ラベル生成ユニットは、ラベル基材Mをラベル切断位置P0に繰り出すラベル基材繰出部30と、ラベル基材Mを切断するラベル基材切断部31と、切断されたラベルLを吸着してラベル受取位置P1に移送するラベル移送部32と、ラベル移送部32から移送される各ラベルLをラベル受取位置P1でラベル装着部4のラベル受取部材に受け渡すラベル受渡部33とを備える。
ラベル基材繰出部30は、周面が圧接された駆動ローラ30aと従動ローラ30bとで構成される。ラベル基材繰出部30は、駆動ローラ30aと従動ローラ30bとの間にラベル基材Mを挟み込み、駆動ローラ30aを所定の回転速度で回転させてラベル基材Mをラベル切断位置P0に繰り出す。ラベル基材切断部31は、ラベル切断位置P0に固定された固定刃31aとこの固定刃31aに対向して回転可能に配置された回転刃31bとで構成される。ラベル基材切断部31は、駆動ローラ30a及び従動ローラ30bによってラベル基材Mがラベル1枚分の長さだけ繰り出される毎に回転刃31bを1回転させてラベル基材MからラベルLを1枚ずつ切り離す。
ラベル移送部32は、ラベルLの幅寸法より僅かに短い間隔で下方向に向けた一対の無端ベルトによるフィードベルト321と、一対のフィードベルト321に対向配置された一対の無端ベルトによる補助フィードベルト324とを備える。フィードベルト321には長手方向に沿って所定の間隔で多数の吸着孔が設けられている。フィードベルト321は、駆動プーリ322によって時計回りに回転され、補助フィードベルト324は、駆動プーリ325によって反時計回りに回転される。
ラベル移送部32は、ラベル切断位置P0で切り離されたラベルLが下方向に繰り出されると、そのラベルLの幅方向の両端部を一対のフィードベルト321で吸着し、当該フィードベルト321と補助フィードベルト324を下方向に移動させることでラベルLをラベル受取位置P1に移送する。補助フィードベルト324は、フィードベルト321がラベルLを移送するときに当該ラベルLが当該フィードベルト321から離脱することを防止する。
ラベル受渡部33は、ラベルLの幅方向の中央に配置される、フィードベルト321と同様の構成のフィードベルト341を備える。フィードベルト331にはガイドローラ323によってフィードベルト321の回転力が伝達される。ラベル受渡部33にはラベルLがラベル受取位置P1に移送されたことを検出するラベル検出センサ34が設けられている。
ラベル供給部3では、ラベルLがラベル切断位置P0からラベル受取位置P1に移送される時間を1周期として多数のラベルLがラベル受取位置P1に周期的に供給される。一方、ラベル装着部4の各ラベル装着ヘッド41には、図6に示すように、一対の棒状のテイクアップ部材423が設けられている。両テイクアップ部材423の間隔は、一対のフィードベルト321の間隔とほぼ同じに設定されている。ラベル受取位置P1において、テイクアップ部材423のラベルLに当接する面には複数の吸引孔が設けられている。ラベル装着ヘッド41は、ラベル受取位置P1を通過するとき、ラベルLをラベル受渡部33のフィードベルト331から剥ぎ取るようにしてラベルLを受け取り、そのラベルLを吸着によって保持する。
従って、ラベルLのラベル受取位置P1への供給周期がラベル装着部4の30本のテイクアップ部材423がラベル受取位置P1を通過する周期と同一となるように、ラベル装着部4の回転軸の回転速度とラベル供給部3の駆動プーリ322の回転速度が調整されている。
次に、ラベル装着ヘッド41について説明する。
図5はラベル装着ヘッド41の構成を示す正面図、図6は同ラベル装着ヘッド41の構成を示す側面図である。また、図7はラベル受取ユニット42の構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。図8はラベル装着ユニット43の構成を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
ラベル装着ヘッド41は、ラベル供給部3から供給される折り畳まれたラベルLを受け取るラベル受取ユニット42と、ラベル受取ユニット42が受け取ったラベルLを筒状に開らいてボトルBの胴部に被せるようにして装着するラベル装着ユニット43とを備える。ラベル受取ユニット42及びラベル装着ユニット43は、支持フレーム411に昇降可能に取り付けられている。ラベル受取ユニット42の昇降動作は、ラベル受取ユニット42の支持フレーム411への取付部材421に取り付けられたカムフォロア422aと円筒体44に設けられたカム溝422b(図5参照)からなるカム機構422によって行われる(図6参照)。同様に、ラベル装着ユニット43の昇降動作は、ラベル装着ユニット43の支持フレーム411への取付部材431に取り付けられたカムフォロア432a(図5参照)と円筒体44に設けられたカム溝432bからなるカム機構432によって行われる(図6参照)。
ラベル受取ユニット42のカムフォロア422aは円筒体44のカム溝422bに嵌装され、ラベル装着ユニット43のカムフォロア432aは円筒体44のカム溝432bに嵌装されている。カム溝422b,432bは、円筒体44の周面上に所定の波形を描くように形成されている。環状の支持盤40が回転すると、カムフォロア422a,432aがそれぞれカム溝422b,432bに沿って移動することによりラベル受取ユニット42とラベル装着ユニット43が所定の昇降動作を周期的に繰り返す。
ラベル受取ユニット42の取付部材421には、図7に示すように、上側に平行に延びる棒状の一対のテイクアップ部材423が取り付けられている。上述したように、両テイクアップ部材423の間隔は、ラベル移送部32の一対のフィードベルト321の間隔とほぼ同じである。また、両テイクアップ部材423のラベルLに当接する面には一列に吸引孔423aが設けられている。両テイクアップ部材423は、図略のパイプによって真空ポンプなどの吸引装置に接続されており、ラベル受取位置P1でラベルLを受け取る時に吸引動作が行われてラベルLを吸着する。
ラベル装着ユニット43の取付部材431には、上面視で中央部が開口された直方体形状の本体433が取り付けられている。本体433は、図8に示すように、環状の上側ベース433aと下側ベース433bを上下方向に所定の間隔を設けて連結板と連結ロッドで結合した枠体である。上側ベース433aの下面の4つの隅部には、先端が内側に屈曲した鉤形の開閉アーム434A〜434Dが外側に開閉可能に取り付けられている(図9参照)。4つの開閉アーム434A〜434Dの先端部にそれぞれ下方向に延びる4本の吸引杆435A〜435Dが取り付けられている。各吸引杆435A〜435Dの基部には図略のチューブ等の吸引管によって図略の真空ポンプ等の吸引装置に接続され、各吸引杆435A〜435Dの内側の側面には一列に吸引孔435aが設けられている(図8(b)参照)。従って、各吸引杆435A〜435Dは、吸引によってラベルLを吸着することができる。
図9は、図6のY−Y線に沿った断面図である。図9に示すように、本体433の取付部材431側(以下、本体433の取付部材431側を「内側」という。)にある1組の開閉アーム434A,434Cと本体433の先端側(以下、本体433の先端側を「外側」という。)にある1組の開閉アーム434B,434Dは、閉状態では両鉤形の先端面が本体433の開口の幅方向の中心線N上で接触し、開状態では両鉤形の先端面が中心線Nから互いに離れる。
従って、2組の開閉アーム434A,434Cと開閉アーム434B,434Dが閉動作を行うと、一方の組の開閉アーム434A,434Cに取り付けられた2つの吸引杆435A,435Cと他方の組の開閉アーム434B,434Dに取り付けられた2つの吸引杆435B,435Dとが互いに近接してラベルLを挟む動作を行う。閉動作後に吸着しながら2組の開閉アーム434A,434Cと開閉アーム434B,434Dが開動作を行うと、一方の組の2つの吸引杆435A,435Cと他方の組の2つの吸引杆435B,435Dとが互いに離れてラベルLを開く動作を行う(図9はラベルLを開いた状態)。
本体433の上面には、4つの開閉アーム434A〜434Dに開閉動作を行わせるための開閉機構436が設けられている。
図10は、図6のX−X線に沿った断面図であり、開閉機構436を上側から見た図を示している。同図に示すように、開閉機構436は、4つの鉤形の開閉アーム434A〜434Dのうち、図10において上側の2個の開閉アーム434A,434Bと下側の2個の開閉アーム434C,434Dに対してそれぞれ左右方向に移動可能な2個のラック437A,437Bを備える。
内側の2つの開閉アーム434A,434Cの回転軸にはそれぞれセクタ歯車438a,438cが固着されている。図10において、上側の開閉アーム434Aのセクタ歯車438aが上側のラック437Aに連結され、下側の開閉アーム434Cのセクタ歯車438cが下側のラック437Bに連結されている。一方、外側の2つの開閉アーム434B,434Dの回転軸には、図9に示すように、下側ベース433bの近傍位置でそれぞれ平歯車438e,438fが固着されている。
図9において、上側の開閉アーム434Bの平歯車438eがセクタ歯車438bの回転軸に固着された平歯車438gに連結され、下側の開閉アーム434Dの平歯車438fがセクタ歯車438dの回転軸に固着された平歯車438hに連結されている。また、図10において、上側のセクタ歯車438bは上側のラック437Aに連結され、下側のセクタ歯車438dは下側のラック437Bに連結されている。
この構成により、図10において、ラック437A,437Bを外側に移動させると、開閉アーム434Aと開閉アーム434Dは時計回りに回転し、開閉アーム434Bと開閉アーム434Cは反時計回りに回転する。内側の開閉アーム434Aと開閉アーム434Cは各先端面が中心線Nに近接するように移動し、外側の開閉アーム434Bと開閉アーム434Dも各先端面が中心線Nに近接するように移動する。すなわち、ラック437A,437Bを外側に移動させると、4つの開閉アーム434A〜434D(4つの吸引杆435A〜435D)が閉動作を行う。
逆に、ラック437A,437Bを内側に移動させると、開閉アーム434Aと開閉アーム434Dは反時計回りに回転し、開閉アーム434Bと開閉アーム434Cは時計回りに回転するので、4つの開閉アーム434A〜434Dの各先端面は中心線Nから離れるように回転する。従って、4つの開閉アーム434A〜434D(4つの吸引杆435A〜435D)は開動作を行う。
開閉機構436には、図10に示すように、バネ439A,439Bとカム部材440(図8参照)が設けられている。バネ439A,439Bは、ラック437A,437Bにそれぞれ外側に向かう方向(4つの吸引杆435A〜435Dを閉じる方向)の付勢力を常時付与する部材である。カム部材440は、ラック437A,437Bの位置を4つの吸引杆435A〜435Dが閉じる「閉位置」と4つの吸引杆435A〜435Dが開く「開位置」とに切り換える部材である。
図8(b)において、カム部材440を下方向に移動させると、ラック437A,437Bはバネ439A,439Aの付勢力に抗して内側に移動する(「開位置」設定)。逆に、カム部材440を上方向に移動させると、ラック437A,437Bはバネ439A,439Aの付勢力によって外側に移動する(「閉位置」設定)。
開閉機構436には、図8に示すように、カム部材440を上下動させるためにカム機構441が設けられている。カム機構441は開閉機構436に設けられたカムフォロア441aと円筒体44に形成されたカム溝441bによって構成されている。なお、図10に示すように、ラック437A,437Bの内側の端部にそれぞれカム部材440の下端のカム面が当接するカムフォロア440aが設けられている。カム部材440が上昇すると、ラック437A,437Bは外側に移動し(「閉位置」設定)、カム部材440が下降すると、ラック437A,437Bは内側に移動する(「開位置」設定)。
次に、図11を用いて、ラベル装着部4におけるラベルLのボトルBへの装着シーケンスについて説明する。
ラベル装着部4のラベル装着ヘッド41は、(1)ラベル受取ユニット42のテイクアップ部材423でラベルLを受け取る、(2)テイクアップ部材423が受け取ったラベルLを更にラベル装着ユニット43の4本の吸引杆435A〜435Dが受け取る、(3)4本の吸引杆435A〜435DがラベルLを筒状に開く、(4)4本の吸引杆435A〜435DがラベルLを開いた状態で下降することにより当該ラベルLをボトルBに被せる、という4つの動作を行うことによってラベルLをボトルBに装着する。
各ラベル装着ヘッド41は、回転基準位置αを通過するときに上記(1)の動作を行ってラベル供給部3からラベルLを受け取る。各ラベル装着ヘッド41に対応するボトル保持部401(図5,図6参照)は、ボトル受取位置P2を通過するときにボトル供給部2からボトルBを受け取る。各ラベル装着ヘッド41の受け取っているラベルLはボトル受取位置P2で装着すべきボトルBと引き合わされ、両者がボトル受取位置P2からボトル受渡位置P5まで移動する間に上記(2)〜(4)の動作が行われてラベルLがボトルBに装着される。
各ラベル装着ヘッド41では、ラベル受取ユニット42とラベル装着ユニット43とが互いに独立して上下動する構成である。ラベル受取ユニット42がラベル装着ユニット43に対して上昇するときには2本のテイクアップ部材423がラベル装着ユニット43の本体433の開口部分を下側から貫通するように移動してラベル受取ユニット42とラベル装着ユニット43とが互いに干渉しない(例えば、図11(d)(ラベル受取ユニット42が下降した状態)と図11(e)(ラベル受取ユニット42が上昇した状態)を参照)。
また、ラベル装着ユニット43がラベル受取ユニット42からラベルLを受け取るときには、4本の吸引杆435A〜435Dがテイクアップ部材423を囲む位置関係となるようにラベル装着ユニット43がラベル受取ユニット42に対して上昇する(図11(b)参照)。そして、4本の吸引杆435A〜435Dのうち、ラベルLを間に互いに向かい合う2本のテイクアップ部材423と2本の吸引杆435C,435Dとが当該ラベルLを挟んで吸着する。その後、2本のテイクアップ部材423の吸着を解除することによってラベルLがラベル受取ユニット42からラベル装着ユニット43に受け渡される(図11(c),(d)参照)。
ラベル受取ユニット42とラベル装着ユニット43は回転基準位置αよりも上流側の所定の位置でそれぞれの昇降範囲の最も下位の位置に下降され、その状態で回転基準位置αを通過する。その下降動作のときにラベル装着ユニット43はボトルBに対してラベルLの装着動作を行う。ラベル装着部4が回転基準位置αを通過する時には、ラベル受取ユニット42の2本のテイクアップ部材423はラベル装着ユニット43の本体433の開口部分を下側から貫通して当該本体433から上に出ている状態となっている。従って、回転基準位置αでは、図11(a)に示すように、ラベル受取ユニット42の2本のテイクアップ部材423がラベル受取位置P1を通過することによってラベル供給部3から供給されるラベルLを受け取る動作を行う。一方、ラベル装着ユニット43は、ラベル装着部4が回転基準位置αを通過する前に行ったラベル装着動作の状態(4本の吸引杆435A〜435DがラベルLをボトルBに被せた状態)を保持している。
ラベル装着ヘッド41が回転基準位置αを通過してボトル受渡位置P5まで移動する間は、ラベル受取ユニット42は最下位の位置に保持される(図11(a)〜(d)のラベル受取ユニット42の高さ位置参照)。すなわち、ラベル受取ユニット42は受け取ったラベルLの高さ位置を維持する。一方、ラベル装着ユニット43は、回転基準位置αを通過すると、直ちに4本の吸引杆435A〜435Dの吸着を解除し、4本の吸引杆435A〜435Dを開いた状態で最上位の位置に移動する。これにより、2本のテイクアップ部材423で保持されているラベルLが4本の吸引杆435A〜435Dで囲まれる状態となる(図11(b)のラベルLと4本の吸引杆435A〜435Dの位置関係参照)。
次に、4本の吸引杆435A〜435Dのうち、ラベルLに対向している2本の吸引杆435C,435Dを閉じて当該2本の吸引杆435C,435Dと2本のテイクアップ部材423でラベルLを挟む(図11(c)の状態参照)。その後、2本の吸引杆435C,435Dの吸着を開始すると同時に2本のテイクアップ部材423の吸着を解除して2本の吸引杆435C,435DがラベルLを受け取る(図11(d)参照)。
なお、図11(d)のタイミングはラベル装着ヘッド41がボトル受渡位置P5を通過するタイミングで、ラベル保持部401に保持されていたラベル付きボトルBはラベル搬出部5によって搬出される。従って、図11(d)ではラベル付きボトルBが描かれていない。また、2本の吸引杆435C,435DがラベルLを受け取ったときは両吸引杆435C,435DがラベルLの幅方向の両端部を吸着しているだけである。従って、ラベルLは両吸引杆435C,435D側に湾曲した形となる(図11(d)のラベルLの形状参照)。
ラベル装着ヘッド41がボトル受渡位置P5からボトル受取位置P2に移動するまでの間に、ラベルLを挟む動作時に吸引杆435A〜435Dと2本のテイクアップ部材423の干渉を避けるため、ラベル受取ユニット42が最上位の位置に上昇する。すなわち、ラベル受取ユニット42の退避動作が行われる(図11(e)参照)。
ラベル受取ユニット42の退避動作が完了すると、4本の吸引杆435A〜435Dに閉じる動作を行わせて本体433の内側の一組の吸引杆435A,435Cと外側の一組の435B,435DでラベルLの幅方向の両端部を挟み込み(図11(f)の状態参照)、全ての吸引杆435A〜435Dの吸着動作を行わせる。その後、4本の吸引杆435A〜435Dに開く動作を行わせる(図11(g)の状態参照)。この動作により各吸引杆435C〜435DがラベルLの幅方向の両端部を外側に引っ張るので、図11(g)に示すようにラベルLが筒状に開かれる。
4本の吸引杆435C〜435DによるラベルLを開く動作が完了すると、その状態を保持してラベル装着ユニット43は最下位の位置に移動し、同時にラベ受取ユニット42も最下位の位置に移動する。すなわち、ラベル受取ユニット42及びラベル装着ユニット43は同時にボトル保持部401に保持されているボトルBに向かって下降し、最下位の位置に到達すると、図11(h)に示すように、4本の吸引杆435C〜435Dで開いたラベルLがボトルBに被せられ、ボトルBへのラベルLの装着が完了する。
ラベル装着の完了タイミングは、ラベル装着ヘッド41が回転基準位置αを通過する前の所定のタイミングに調整されている。従って、その時のラベル受取ユニット42とラベル装着ユニット43の状態が保持されてラベル装着ヘッド41は回転基準位置αに戻る(図11(a)の状態参照)。
以上のように、各ラベル装着ヘッド41は、支持盤40によってロータリーを周回する毎に、上述した図11(a)〜(h)に示す動作を行ってボトルBにラベルLを装着する。そして、各ラベル装着ヘッド41が図11(g)と図11(h)の間のラベル撮影位置P3を通過するときに、撮影ユニット61によりラベルLの開口状態とボトルBの保持状態の撮影が行われる。
なお、ボトルBへのラベルLの装着速度(本/分)は、回転基準位置αを通過するラベル基準ヘッド41の1分間当たりの本数であるから、支持盤40の回転速度(回/分)によって決定される。支持盤40上には30本のラベル装着ヘッド41が設けられているので、支持盤40の回転速度をn(回/分)とすると、ラベルの装着速度は30×n(本/分)となる。
次に、ラベル装着装置1の特徴的な構成であるラベル装着不良解析部6について説明する。
図12は、ラベル撮影位置P3に配置される撮影ユニット61の構成を示す側面図である。図13は、カメラ611で撮影される画像を示す図である。
撮影ユニット61は、固体撮像素子としてCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いたカメラ611と、ラベルLとボトルBの光像をカメラ611に導く導光部材612と、ラベルL及びボトルBを照明するライト613とを備える。カメラ611、導光部材612及びライト613は保持部材614に一体的に取り付けられ、その保持部材614は図略の支持部材でラベル装着部4に固定されている。ラベル装着部4の支持盤40と円筒体44は回転するが、保持部材614はラベル装着部4の回転しない図略のベースに固定されている。
導光部材612は、断面が直角三角形の三角柱状の枠体612Cの互いに直交する側面に平面鏡612Aと平面鏡612Bとを張り付けた構成である。ライト613は、環状の枠体613Cの上下の横枠にそれぞれ棒状の白色ライト613A,613Bを取り付けた構成である、枠体613Cは、カメラ611の前方位置にカメラ611の光軸Ncに枠体613Cの中心を一致させて保持部材614に取り付けられている。枠体613Cの2つの縦枠の中央から支持部が前方に延びており、その支持部の先端に枠体612Cの直角三角形の両側面が固定されている。枠体612Cは、カメラ611の光軸Ncに対して平面鏡612Aが上方に45°傾斜し、平面鏡612Bが下方に45°傾斜するように枠体613Cの支持部に固定されている。
撮影ユニット61は、ボトル保持部401の鉛直軸Rに対してカメラ611の光軸Ncが直交し、かつ、導光部材612が鉛直軸R上に配置されるようにラベル装着部4のベースに取り付けられている。導光部材612の高さ方向の位置は、ラベル装着ヘッド41が最低の位置にある状態でボトルBの頭頂と4本の吸引杆435A〜435Dの下端との間のほぼ中央の位置である。従って、白色ライト613Aの発光する白色光は、上側の平面鏡612Aで上方に反射され、ラベル装着ヘッド41によって断面円形に開口されたラベルLを照明する。白色ライト613Bの発光する白色光は、下側の平面鏡612Bで下方に反射され、ボトル保持部401で保持されたボトルBを照明する。
また、ラベルLを開いているラベル装着ヘッド41を真下から見た光像が上側の平面鏡612Aでカメラ611側に反射され、ボトル保持部401で保持されたボトルBを真上から見た光像が下側の平面鏡612Aでカメラ611側に反射される。従って、カメラ611では、図13に示すように、撮影画面Fの上半分にラベル装着ヘッド41で開かれたラベルLの開口状態を示す画像G1が撮影され、画面の下半分にボトル保持部401によるボトルBの保持状態を示す画像G2が撮影される。
カメラ611から4本の吸引杆435A〜435Dの下端までの光路の距離とカメラ611からボトルBの頭頂までの光路の距離はほぼ同じであるので、ラベルLの画像G1とボトルBの画像G2は等倍の画像となっている。従って、画像G1の中心OLと画像G2の中心OBを一致させるように両画像G1,G2を重ねると、その画像は、図14に示すように、ラベルLをボトルBに装着した場合の状態を真上から見た画像G3となる。
4本の吸引杆435A〜435DによるラベルLの開口状態とボトル保持部401によるボトルBの保持状態とが正常であれば、画像G1と画像G2とを重ねた画像G3では、図14に示すように、ラベルLの開口状態を示すシルエットの中にボトルBの胴体部分を示す円形のシルエットが含まれ、ボトルBの胴体部分を示す円形のシルエットが吸引杆435A〜435Dの画像Ga〜Gdのいずれとも干渉しない。
一方、4本の吸引杆435A〜435DによるラベルLの開口状態とボトル保持部401によるボトルBの保持状態のいずれかが異常であれば、図15(a),(b)に示すように、ラベルLの開口状態を示すシルエットの中にボトルBの胴体部分を示す円形のシルエットが完全に含まれず、ボトルBの胴体部分を示す円形のシルエットが吸引杆435A〜435Dの画像Ga〜Gdのいずれかと重複することになる。
図15(a)は、吸引杆435A〜435Dの開口動作は正常であるが、開いたラベルLの位置とボトルBの位置とに相対的な位置ずれが生じている場合の画像G3である。図15(a)では、ラベルLの位置(中心OL)がボトルBの位置(中心OB)に対して右にずれているので、吸引杆435A,435Bの画像Ga,GbがボトルBの胴体部分の画像と重複している。
図15(b)は、吸引杆435A〜435Dの開口動作が異常である場合の画像G3である。図15(b)では、吸引杆435Cの開口動作が十分でないので、吸引杆435Cの画像GcがボトルBの胴体部分の画像と重複している。
従って、下から見たラベルLの開口状態の形状や位置を特定するラベルデータと上から見たボトルBの形状や位置を特定するボトルデータとを定義し、画像G1と画像G2とからそれぞれラベルデータとボトルデータを算出し、両データを比較することによりラベル装着の良否を判定したり、ラベル装着が不良の場合の不良の度合いや不良原因を解析したりすることができる。
図16は、解析装置60における解析処理を行うための構成を機能ブロックで示した図である。
解析装置60は、解析処理部60a、撮影制御部60b、撮影画像記憶部60c、インターフェース部60d、撮像部60e、解析結果記憶部60f、操作部60g及び表示部60hの機能ブロックを含む。撮像部60e、解析結果記憶部60f、操作部60g及び表示部60hはインターフェース部60dによって解析処理部60aと撮影制御部60bに接続されている。
撮像部60eは、上述した図2に示すラベル撮影位置P3に配置された撮影ユニット61によりボトルBやラベルLの開口状態を撮影する機能を果たすブロックである。撮像部60eもインターフェース部60dによって解析処理部60aと撮影制御部60bに接続されている。
解析処理部60aは、カメラ611の撮影画像を用いて上記のラベルデータとボトルデータとを算出し、両データを用いてラベル装着の良否を判定したり、ラベル装着が不良の場合の不良の度合いを示すデータを作成したりする。撮影制御部60bは、カメラ611の撮影動作を制御する。撮影制御部60bは、レリーズ指令信号が入力される毎にカメラ611の撮影動作を行わせ、カメラ611から転送される画像データを撮影画像記憶部60cに記憶する。
解析処理部60a及び撮影制御部60bは、解析プログラム及び撮影プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、その解析プログラムや撮影プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUが解析プログラムや撮影プログラムを実行するために必要なプログラムやデータを保存するRAM(Random Access Memory)とを含むマイクロコンピュータで構成される。
撮影画像記憶部60cは、RAM(特に画像データの保存領域として設定された記憶領域)によって構成され、カメラ611の撮影によって取得される画像データをそれぞれ所定の枚数分(例えば、100枚分)だけ一時的に保存する。RAMには、図17に示すように、カメラ611で取得された画像データを保存する撮影画像記憶領域ARが設けられている。撮影画像記憶領域ARは100個のアドレスが設けられ、各アドレスに画像データが1枚ずつ保存される。
撮影制御部60bは、最初の100枚の画像データを撮影順にアドレス(0001)から(0100)に保存する。撮影枚数が100枚を超えると、撮影制御部60bは、101枚目から200枚目の画像データをアドレス(0001)に戻り、各アドレスに保存されている画像データを破棄しながらアドレス(0001)から(0100)に保存する。撮影制御部60bは、200枚目以降の画像データについても同様の記憶処理を行い、最新の100枚の画像データをRAMの撮影画像記憶領域ARに一時的に保存する。
なお、RAMの撮影画像記憶領域ARに保存されている画像データを古い順に破棄し、残っている画像データのアドレスをそれぞれ1つずつ繰り上げるとともに最新の画像データを最下位のアドレスに保存するようにしてもよい。すなわち、最新の100枚分の画像データを常にRAMの撮影画像記憶領域ARのアドレスの番号順に記憶させるようにしてもよい。例えば、アドレス(0001)〜(0100)に保存された画像データの保存先を1つずつ繰り上げ、101枚目の画像データをアドレス(0100)に保存するようにしてもよい。
図2に示すラベル受取位置P1、ボトル受取位置P2、ラベル撮影位置P3及びラベル装着位置P4の各位置へのボトルBやラベル装着ヘッド41の搬送は支持盤40の回転動作によって行われるので、撮像部60e内のカメラ611へのレリーズ指令信号は、当該支持盤40の回転に同期して出力される。
例えば、支持盤40の回転軸に30本のラベル装着ヘッド41にそれぞれ対応してスリットが設けられたロータリーエンコーダを設ける一方、回転基準位置αの方向でロータリーエンコーダに対向する位置にスリットを検出するセンサを設け、そのセンサから支持盤40の回転速度に比例した周期のスリットを検出したパルス信号をレリーズ指令信号として出力させる。撮影制御部60bはセンサからパルス信号が入力されると、カメラ611の撮影動作を行わせる。従って、カメラ611は、ラベル装着ヘッド41がラベル撮影位置P3を通過する毎に当該ラベル装着ヘッド41によって筒状に開かれたラベルLと当該ラベル装着ヘッド41の下方位置にあるボトルBを撮影する。
カメラ611は、撮影をする毎にその撮影により取得した画像データを解析装置60に転送する。解析装置60では、撮影制御部60bがカメラ611から画像データが転送される毎にそれらの画像データをRAMの撮影画像記憶領域ARに保存する。本実施形態では、RAMに100枚分の画像データを保存するので、各画像データがRAMに保存される時間tは撮影周期を「Tr」とすると、t=100×Trである。例えば、720本/分の速度でラベル装着をした場合、撮影周期TrはTr=60/720=1/12(秒)となるから、画像データの保存時間tは凡そ8(秒)となる。
解析処理部60aは、保存時間tよりも短い周期でラベル装着の良否を判定し、「不良」と判定されたときは、RAMの撮影画像記憶領域ARから不良と判定された画像データとその画像データから算出したラベルデータ及びボトルデータを良否判定結果とともに解析結果記憶部60fに転送する。従って、不良と判定されたラベル装着ヘッド41及びボトル保持部401における画像データを確実に解析結果記憶部60fに転送して保存することができる。なお、RAMの撮影画像記憶領域ARの容量を増やし、保存する画像データの枚数を増やせば、保存時間tが長くなるので、解析処理部60aにおける解析処理の時間に余裕を持たせることができる。
図18は、解析処理部60aが算出するラベルデータとボトルデータの一例を示す図である。
本実施形態では、ラベルデータとして、4本の吸引杆435A,435B,435C,435Dの画像Ga,Gb,Gc,Gdの各中央の点Oa(xa,ya),点Ob(xb,yb),点Oc(xc,yc),点Od(xd,yd)の位置データを定義している。点Oa(xa,ya)〜点Od(xd,yd)の位置データはラベルLの開口の形状を特定するデータである。
なお、円形に開いたラベルLの位置を特定するための位置データは定義していない。ラベルLの開口形状が完全な円になる場合は、その円の中心位置をラベルLの位置データとすることができるが、図15(b)に示したように、4本の吸引杆435A,435B,435C,435Dの開口動作のバランスが取れていない場合はラベルLの開口形状は完全な円とならないからである。
点Oa〜点Odの位置を定義するためのxy座標系は、カメラ611の撮像画面Fを上下に二分し、上側画面Fuに設定した直交座標系である。xy座標系の中心Ooは上側画面Fuの中央に設定され、撮影画面Fの横方向と縦方向とがそれぞれx軸とy軸とに設定される。座標値は中心Ooからの画素値で表わされ、単位はピクセルである。
ラベルLは、吸引杆435A,435B,435C,435Dの鉛直軸R(図12参照)に面した側面で吸着され、吸引杆435A,435B,435C,435Dが鉛直軸Rから放射状に離れる動作をすることによって円形状に開かれる。下から見て吸引杆435A,435B,435C,435Dの開動作が鉛直軸Rに対して正確に点対称の動作であれば、吸引杆435A,435B,435C,435Dが開位置に移動したときの鉛直軸Rから吸引杆435A,435B,435C,435DのラベルLを吸着する側面までの距離は等距離となる。
従って、ラベルLの折り目の部分を無視すると、ラベルLの開口形状は、図13に示すように円形となり、吸引杆435A,435B,435C,435Dの点Oa,点Ob,点Oc,点Odは、ラベルLの開口形状の円と同心円上に位置する。このため、吸引杆435A,435B,435C,435Dの下面の中央の点Oa(xa,ya),点Ob(xb,yb),点Oc(xc,yc),点Od(xd,yd)の位置データをラベルLの開口の形状を特定するデータとしている。また、xy座標の中心OoをラベルLの開口形状が完全に円となる場合の仮想的な中心OLとしている。
本実施形態では、ボトルデータとして、ボトルBの胴体の輪郭形状の中央の点OB(xB’,yB’)を定義している。点OB(xB’,yB’)の座標データは、水平面内におけるボトルBの位置を特定するデータである。点OBの位置を定義するためのx’y’座標系は、カメラ611の撮像画面Fの下側画面Fdに設定した直交座標系である。x’y’座標系の中心Oo’は下側画面Fdの中央に設定され、撮影画面Fの横方向と縦方向とがそれぞれx’軸とy’軸とに設定される。座標値の単位はピクセルである。
ラベル装着部4の各ラベル装着ユニット43は、本体433の開口の中心が各ボトル保持部401の鉛直線Rに一致するように調整されている。その調整状態では、カメラ611で撮影されたラベルLの画像G1の中心OLはxy座標系の中心Ooと一致し、撮影ユニット61はボトルBの画像G1の中心OBがx’y’座標系の中心Oo’と一致するように調整されている。従って、xy座標系の中心OoはラベルLの画像G1の位置ずれの基準位置となり、x’y’座標系の中心Oo’は、ボトルBの画像G2の位置ずれの基準位置となる。
カメラ611の撮影画面F内の画素数を横2I(ピクセル)×縦2J(ピクセル)とし、図18に示すように撮影画面Fの左上隅から右方向と下方向に画素をカウントして各画素の位置をg(i,j)(i=1,2,…2I、j=1,2,…2J)で表わすとすると、xy座標系の中心Oo(xo,yo)はOo(I,J/2)、x’y’座標系の中心Oo’(xo’,yo’)はOo’(I,3J/2)となる。従って、撮影画面F内の任意の画素P(ip,jp)のxy座標系における座標(xp,yp)はxp=ip−I、yp=jp−J/2で算出され、x’y’座標系における座標(xp’,yp’)はxp’=ip−I、yp’=jp−3J/2で算出される。
解析処理部60aは、カメラ611の撮影画像から点Oa,点Ob,点Oc,点Odの位置データ(xa,ya),(xb,yb),(xc,yc),(xd,yd),(xB,yB)を算出する。本実施形態では、撮影画像から点Oa,点Ob,点Oc,点Odの位置を検出し易くするために、吸引杆435A,435B,435C,435Dの下面の中央にそれぞれ円形のマークを付している。撮影画像からマークの画像Gma,Gmb,Gmc,Gmd(図13〜図15参照)の検出を容易するため、これらのマークの色は、周囲よりも濃度の濃い色(例えば、黒色)である。
解析処理部60aは、撮影画像の画素データをラスタ走査してマークの画像Gmaを構成する画素群を抽出する。解析処理部60aは、抽出した各画素の輝度レベルの加重平均を演算することにより画像Gmaの中心位置(ia,ja)算出し、更にその算出値に対してxa=ia−I、ya=ja−J/2を演算することによりマークの画像Gmaの中心点Oaの座標(xa,ya)を求める。解析処理部60aは、同様の方法で他のマークの画像Gmb,Gmc,Gmdについても中心点Ob,Oc,Odの座標(xb,yb),(xc,yc),(xd,yd)を求める。
解析処理部60aは、撮影画像の画素データをラスタ走査してボトルBのキャップの画像Gcp(図13参照)を構成する画素群を抽出する。解析処理部60aは、抽出した各画素の輝度レベルの加重平均を演算することにより画像Gcpの中心位置(icp,jcp)算出し、更にその算出値に対してxB’=icp−I、yB’=jcp−3J/2を演算することによりボトルBの中心点OBの座標(xB’,yB’)を求める。
ラベル装着ユニット43の調整状態が良好であれば、点Oa(xa,ya),点Ob(xb,yb),点Oc(xc,yc),点Od(xd,yd)は、
0≦|xa|,|xb|,|xc|,|xd|≦Ex …(1)
0≦|ya|,|yb|,|yc|,|yd|≦Ey …(2)
Ex:吸引杆の位置のx軸方向の誤差の許容範囲
Ey:吸引杆の位置のy軸方向の誤差の許容範囲
但し、|xa|=|ia−I|、|ya|=|ja−J/2|
|xb|=|ib−I|、|yb|=|ja−J/2|
|xc|=|ic−I|、|yc|=|jc−J/2|
|xd|=|id−I|、|yd|=|jc−J/2|
を満たす。従って、(1)式,(2)式の条件式を満たす場合は、ラベルLの画像G1の中心OLはxy座標系の中心Ooにあると看做すことができる。
一方、点Oa(xa,ya),点Ob(xb,yb),点Oc(xc,yc),点Od(xd,yd)のいずれかが(1式),(2)式の条件式を満たさない場合は、その点に対応する吸引杆は調整不良であると認められる。例えば、図15(b)の例では、点Oa(xa,ya),点Ob(xb,yb),点Od(xd,yd)については、0≦|xa|,|xb|,|xd|≦Ex及び0≦|ya|,|yb|,|yd|≦Eyをとなるが、点Oc(xc,yc)については、Ex<|xc|、Ey<|yc|となるから、吸引杆435Cは調整不良となる。
従って、本実施形態では、解析処理部60aは、点Oa(xa,ya),Ob(xb,yb),Oc(xc,yc),Od(xd,yd)が(1)式,(2)式の条件式を満たすか否かを演算し、その演算結果に基づいてラベル装着ユニット43の良否(ラベルL側の良否)を判定している。
ボトル保持部40bによるボトルBの保持状態が良好であれば、点OB(xB’,yB’)は、
0≦|xB’|≦Ex’ …(3)
0≦|yB’|≦Ey’ …(4)
Ex’:ボトル位置のx軸方向の誤差の許容範囲
Ey’:ボトル位置のy軸方向の誤差の許容範囲
但し、|xB’|=|icp−I|、|yB’|=|jcp−3J/2|
を満たす。従って、(3)式,(4)式の条件式を満たす場合は、ボトルBの画像G2の中心OBはx’y’座標系の中心Oo’にあると看做すことができる。一方、点OB(xB’,yB’)が(3)式,(4)式の条件式を満たさない場合は、ボトル保持部401によるボトルBの保持状態は不良であると認められる。
従って、本実施形態では、解析処理部60aは、点OB(xB’,yB’)が(3)式,(4)式の条件式を満たすか否かを演算し、その演算結果に基づいてボトル保持部401によるボトルBの保持状態の良否(ボトルB側の良否)を判定している。
上記の判定方法でラベルL側とボトルB側のいずれにも不良が認められなくても、ボトルBに対するラベルLの相対的な位置ずれが許容範囲を超える場合は、ラベルLをボトルBに正常に装着することはできない場合が生じる。ラベルLの画像G1では仮想的な中心OOに対する4本の吸引杆435A〜435Dの位置である点Oa,点Ob,点Oc,点Odの位置データしか得られないので、4本の吸引杆435A〜435Dが調整不良の場合はこれらの点Oa,点Ob,点Oc,点Odの位置データからラベルLの画像G1の絶対的な中心位置を求めることはできない。従って、ラベルLの画像G1とボトルBの画像G2の中心位置をそれぞれ求めて両中心位置の差分を求める方法でラベルLとボトルBとの相対的な位置ずれを求めることはできない。
そこで、本実施形態では、点Oa(xa,ya),点Ob(xb,yb),点Oc(xc,yc),点Od(xd,yd)の座標基準をボトルBの画像G2の中心点OB(xB’,yB’)に置き換え、点OB(xB’,yB’)に対して上記(1)式,(2)式の条件式と同様の条件式を適用してボトルBとラベルLの相対的な位置ずれを判定している。
すなわち、解析処理部60aは、点Oa(xa,ya),点Ob(xb,yb),点Oc(xc,yc),点Od(xd,yd)に対して、
Xa=xa−xB’=ia−icp …(5)
Ya=ya−yB’=ja−jcp+J …(6)
Xb=xb−xB’=ib−icp …(7)
Yb=yb−yB’=jb−jcp+J …(8)
Xc=xc−xB’=ic−icp …(9)
Yc=yc−yB’=jc−jcp+J …(10)
Xd=xd−xB’=id−icp …(11)
Yd=yd−yB’=jd−jcp+J …(12)
を演算することにより、座標基準をボトルBの画像G2の中心点OB(xB’,yB’)に置き換えた場合の点Oa,点Ob,点Oc,点Oaの位置データ(Xa,Ya),(Xb,Yb),(Xc,Yc),(xd,Yd)を算出する。
図19は、(5)式〜(12)式によって算出される位置データ(Xa,Ya),(Xb,Yb),(Xc,Yc),(Xd,Yd)の技術的な意味を示す図である。ボト
ルBの中心点OBが位置ずれを生じていなければ、点OBはラベルLの仮想的な中心点OLに一致する。しかし、図19の例では、点OBはボトルBの基準位置からずれている(xB’,yB’≠0)ので、仮想的な中心点OLに対しても位置ずれをしている。
位置データ(xa,ya),(xb,yb),(xc,yc),(xd,yd)は、中心点OLを基準に算出されたものであるが、位置データ(Xa,Ya),(Xb,Yb),(Xc,Yc),(xd,Yd)は位置データ(xa,ya),(xb,yb),(xc,yc),(xd,yd)のx座標及びy座標からそれぞれ点OBの座標(xB’,yB’)を減算することにより、点OBを基準にした座標に変換されている。
そして、解析処理部60aは、
0≦|Xa|,|Xb|,|Xc|,|Xd|≦EX …(13)
0≦|Ya|,|Yb|,|Yc|,|Yd|≦EY …(14)
EX:ボトル中心に対する吸引杆の位置のx軸方向の誤差の許容範囲
EY:ボトル中心に対する吸引杆の位置のy軸方向の誤差の許容範囲
を満たすか否かを演算し、その演算結果に基づいてボトルBとラベルLとの相対的な位置ずれの良否を判定している。解析処理部60aは、位置データ(Xa,Ya),(Xb,Yb),(Xc,Yc),(Xd,Yd)のいずれかが(13)式,(14)式の条件式を満たさない場合は、ボトルBとラベルLとの相対的な位置ずれを不良(すなわち、ラベル装着不良)と判定する。
図16に戻り、解析結果記憶部60fは、CPUにインターフェース部60dを介して接続されるハードディスクなどの記憶装置で構成される。解析結果記憶部60fは、解析処理部60aから解析結果のデータや不良と判定された画像データを保存する。
操作部60gは、作業者がラベル操作装置1を動作させるために必要な情報を入力したり、各種の動作指令を入力したりする機能を果す。操作部60gには専用のキーボートやテンキーが設けられており、作業者は操作部60gのキーを操作することによってラベル装着不良の解析処理に関する各種の指令を入力することができる。
表示部60hは、例えば、液晶ディスプレイで構成され、ラベル装着装置1の動作状態を表示させる機能を果す。作業者は、操作部60gを操作することによってラベル装着装置1の動作中における解析装置60の処理状況を表示させることができる。その表示では、解析装置60がカメラ611の撮影画像を用いて解析処理を行う毎に、例えば、図13に示した撮影画像とその撮影画像を用いて解析処理部60aが行った上述のラベルデータ、ボトルデータ及び判定結果のデータとが表示される。
なお、ラベル装着装置1のラベル装着処理速度は高速であるので、表示部60hには解析処理部60aの解析結果が一瞬しか表示されず、各解析結果の内容を作業者は視認することはできないが、不良の判別がされたときにはそのメッセージが表示される。従って、作業者は表示部60hの表示状況からラベル装着装置1の動作状況を確認することができる。
次に、解析処理部60aと撮影制御部60bの行う処理手順について簡単に説明する。まず、図20のフローチャートを用いて撮影制御部60bによるカメラ611の撮影制御について説明する。
ラベル装着装置1のラベル装着動作が開始されると、撮影制御部60bは、先ず、RAMの撮影画像記憶領域ARの画像データを記憶するアドレス位置をカウントするカウンタの値iを「1」にセットする(S1)。なお、ここでは、アドレス位置を撮影画像記憶領域ARの先頭位置からの番号とし、カウンタはその番号をカウントするものとする。上述したように、本実施形態ではRAMの撮影画像記憶領域ARの画像データの保存枚数は100枚であるので、カウンタのカウント範囲は1〜100となる。従って、カウント値が100を越えると、カウンタは再度1〜100のカウントを行うことになる。
続いて、撮影制御部60bは、レリーズ指令信号が入力されたか否かを判別し(S2)、レリーズ指令信号が入力されると(S2:YES)、カメラ611に転送して撮影動作を行わせる(S3)。その後、カメラ611から撮影した画像データが返送されると(S4:YES)、その画像データを撮影画像記憶領域ARのi番目のアドレスに記憶し(S5)、カウント値iを1だけ増加する(S6)。
続いて、撮影制御部60bは、カウント値iが「101」になっているか否かを判別し(S7)、i=101であれば(S7:YES)、カウント値iから「100」を引き(S8)、i=101でなければ(S7:NO)、ステップS8の処理をすることなくステップS2に戻る。以下、撮影制御部60bは、上記のステップS2〜S8のループ処理を行い、レリーズ指令信号が入力される毎にカメラ611に撮影動作を行わせ、その撮影画像のデータをRAMの撮影画像記憶領域ARの100個のアドレスに循環的に記憶する処理を繰り返す。
図21は、カメラ611における撮影動作を示すフローチャートである。
カメラ611は、撮影制御部60bからレリーズ指令信号が入力されると(S11:YES)、撮影動作が行う(S12)。この撮影動作における露出とシャッタスピードは予め設定されている。なお、ラベル装着装置1のラベル装着速度の最大値を30×Nmax(枚/分)とすると、各カメラのシャッタスピードは60/(30×Nmax)=2/Nmax(秒)よりも短い値が設定されている。
続いて、撮影動作が終了すると、カメラ611は、その撮影によって得られた画像データに対して所定の圧縮処理を行った後(S13)、解析装置60に転送して(S14)、ステップS11に戻る。以下、カメラ611は、レリーズ指令信号が入力される毎に撮影動作を行い、その撮影によって得られた画像データを解析装置60に転送する処理を繰り返す(ステップS11〜S14のループ処理)。
図22は、解析処理部60aによる解析処理の処理手順を示すフローチャートである。
ラベル装着装置1でボトルBへのラベル装着を行わせる場合、作業者は最初に操作部60gからラベル装着装置1に対する初期設定を行い、慣らし運転を行ってその初期設定の確認を行う。
上記の初期設定が終了した後、作業者が操作部60gからラベル装着動作の開始を指令する操作を行うと、解析処理部60aは、図22に示すフローチャートに従ってラベル装着処理中に解析処理を行う。解析処理部60aは、その処理を作業者が操作部60gからラベル装着動作の停止を指令するまで繰り返す。
ラベル装着動作を開始すると、解析処理部60aは、先ず、RAMの撮影画像記憶領域ARのアドレス位置をカウントするカウンタの値jを「0」にリセットする(S21)。なお、このカウンタ値jは、アドレス位置を撮影画像記憶領域ARの先頭位置からの番号とした場合にカウンタがその番号をカウントした値である。
続いて、解析処理部60aは、レリーズ指令信号が入力されたか否かを判別する(S22)。レリーズ指令信号が入力されていると(S22:YES)、解析処理部60aは、RAMの撮影画像記憶領域ARのカウント値jのアドレス位置に記憶されている画像データを用いて、上述したラベル装着ヘッド41によるラベルLの開口不良とボトル保持部40bによるボトルBの保持不良に関する処理を行う(S23)。
すなわち、解析処理部60aは、画像データから吸引杆435A,435B,435C,435Dの下面の画像Ga,Gb,Gc,Gdの中心点Oa,Ob,Oc,Odの位置データ(xa,ya),(xb,yb),(xc,yc),(xd,yd)を算出する。解析処理部60aは、算出した位置データ(xa,ya),(xb,yb),(xc,yc),(xd,yd)が上記の(1)式,(2)式の条件式を満たすか否かを判定する。
解析処理部60aは、中心点Oa,Ob,Oc,Odの位置データの全てが(1)式,(2)式の条件式を満たす場合はラベル装着ヘッド41によるラベルLの開口状態は良好と判定し、その判定結果を出力する。一方、解析処理部60aは、中心点Oa,Ob,Oc,Odの座標データの少なくとも1つが(1)式,(2)式の条件式を満たさない場合はラベル装着ヘッド41によるラベルLの開口状態は不良と判定し、その判定結果を出力する。
また、解析処理部60aは、画像データからボトルBのキャップの画像Gcpの中心点OB’の位置データ(xB’,yB’)を算出する。解析処理部60aは、算出した位置データ(xB’,yB’)が上記の(3)式,(4)式の条件式を満たすか否かを判定する。
解析処理部60aは、中心点Ocpの位置データが(3)式,(4)式の条件式を満たす場合はラベル保持部401によるボトルBの保持状態は良好と判定し、その判定結果を出力する。一方、解析処理部60aは、中心点Ocpの位置データが(3)式,(4)式の条件式を満たさない場合はラベル保持部401によるボトルBの保持状態は不良と判定し、その判定結果を出力する。
更に、解析処理部60aは、位置データ(xa,ya),(xb,yb),(xc,yc),(xd,yd),(xB’,yB’)を用いて上記の(5)式〜(12)式を演算することにより位置データ(Xa,Ya),(Xb,Yb),(Xc,Yc),(Xd,Yd)を算出する。解析処理部60aは、算出した4個の位置データ(Xa,Ya)〜(Xd,Yd)が上記の(13)式,(14)式の条件式を満たすか否かを判定する。
解析処理部60aは、全ての位置データ(Xa,Ya)〜(Xd,Yd)が(13)式,(14)式の条件式を満たす場合はボトルBと開口したラベルLの相対的な位置関係は良好と判定し、その判定結果を出力する。一方、解析処理部60aは、4個の位置データ(Xa,Ya)〜(Xd,Yd)の少なくとも1つが(13)式,(14)式の条件式を満たさない場合はボトルBと開口したラベルLの相対的な位置関係は不良と判定し、その判定結果を出力する。
続いて、解析処理部60aは、撮影画像記憶領域ARのアドレス値jから画像データを読み出し、その画像データとステップS23の処理結果を用いて、例えば、図23に示す解析結果表示用の画像データを作成し、表示部60hに表示する(S24)。
図23に示す解析結果の表示内容は、画面に左側にカメラ611の撮影した画像を表示し、右側に良否判定の結果とラベルデータ及びボトルデータを表示するようにしたものである。オープナーA,B,C,Dはそれぞれ吸引杆435A,435B,435C,435Dのことを示している。図23の例は、図15(b)に示した不良の例に相当し、吸引杆435Cの|xc|,|yc|が(1)式、(2)式の条件式を満足しないため、吸引杆435Cが不良になり、解析結果も不良になった例である。詳細データの欄には(1)式,(2)式,(3)式,(4)式,(13)式,(14)式の条件式の内容が表示される。図23の例では、画面の左側にカメラ611の撮影した画像を表示しているが、図14に示したラベルLの画像G1とボトルBの画像B2を重ねた画像G3を表示するようにしてもよい。
続いて、解析処理部60aは、ステップS26の処理結果が不良であるか否かを判定し(S25)、不良であれば(S25:YES)、RAMの撮影画像記憶領域ARのアドレス値jに記憶されている画像データと、ラベルデータ、ボトルデータ及び良否判定に関するデータとを解析結果記憶部60fに記憶し(S26)、カウント値jを1だけ増加する(S27)。
続いて、解析処理部60aは、カウント値jが「101」になっているか否かを判別する(S28)。解析処理部60aは、j=101であれば(S28:YES)、カウント値jから「100」を引いた後(S29)、ステップS22に戻り、j=101でなければ(S28:NO)、ステップS29の処理をすることなくステップS22に戻る。以下、解析処理部60aは、上述したステップS22〜S29の処理を繰り返す。
上記実施形態では、導光部材612でラベルLの開口状態の光像とボトルBの保持状態の光像を同一の方向に導き、1台のカメラで両光像を同時に撮影する構成としたが、両光像を互いに反対方向に導き、2台のカメラでそれぞれ撮影する構成としてもよい。また、上記実施形態では、同一の場所でラベルLの開口状態とボトルBの保持状態を撮影するようにしているが、それぞれの撮影位置を異ならせるようにしてもよい。ラベルLの開口状態とボトルBの保持状態を別々に撮影する構成では、ラベルLの画像データとボトルBの画像データが互いに独立するので、ラベルデータ及びボトルデータの演算処理が容易になる。
上記実施形態では、ラベルLの開口状態とボトルBの保持状態の両方の画像データを撮影により取得するようにしているが、いずれか一方の画像データを取得してラベルデータ若しくはボトルデータを算出するようにしてもよい。ラベルデータだけを算出する方法では、(1)式,(2)式の条件式を満たすか否かでラベル装着ヘッド41によるラベルLの開口動作の良否を判定することができる。すなわち、ラベル装着不良におけるラベルL側の不良原因を究明することができる。一方、ボトルデータだけを算出する方法では、(3)式,(4)式の条件式を満たすか否かでボトル保持部401によるボトルBの保持状態の良否を判定することができる。すなわち、ラベル装着不良におけるボトルB側の不良原因を究明することができる。
上記のように、本実施形態に係るラベル装着装置1によれば、ラベル装着ヘッド41がラベルLを筒状に開いてボトルBに被せるように装着する動作をする直近の所定のタイミングで、ラベル装着ヘッド41によるラベルLの開口状態とボトル保持部401によるボトルBの保持状態を撮影し、それらの画像を用いてラベルLの開口状態とボトルBの保持状態を特定する位置データを演算し、その演算結果を用いてラベルLの開口状態の良否、ボトルBの保持状態の良否及びボトルBに対する開口したラベルLの相対位置に基づくラベル装着の良否を判定するようにしているので、ラベル装着不良が生じた場合にその不良原因を容易に解析することができる。
また、本実施形態では、ラベルLの開口状態を真下から見た画像とボトルBの保持状態を真上から見た画像とを撮影によって取得するようにしているので、ラベル装着ヘッド41がラベルLをボトルBに被せる動作をする際に両者が干渉するか否かを数値化して正確に把握することができる。
特に、ラベルデータを算出して(1)式,(2)式の条件式によりラベルLの開口状態の良否を判定し、ボトルデータを算出して(3)式,(4)式の条件式によりボトルBの保持状態の良否を判定するようにしているので、ラベルL側の不良の具合とボトルB側の不良の具合とを数値により正確に解析することができる。同様に、ラベルデータ及びボトルデータからボトルBに対するラベルLの開口状態の相対的な位置ずれのデータを算出して(13)式,(14)式の条件式により良否を判定するようにしているので、ラベル装着ヘッド41によるラベル装着動作時の不良の具合も数値により正確に解析することができる。
更に、解析処理部60aの解析結果に基づいて、ラベル装着装置1の稼動を停止させるか否かなどの安全対策(作業者へのアラームを含む)を制御することにより、稼動時に発生するラベル装着不良に対して適切な措置が講じ易くなる。
また、上記実施形態では、ラベル装着装置1がラベル装着処理をしている間は不良になったラベル装着ヘッド41及びボトル保持部401の画像データとその解析結果のデータを解析結果記憶部60fに記憶させるだけであったが、不良が連続する個数が所定の個数になると、ラベル装着装置1のメンテナンスが必要と判断して、表示部60hの表示をメンテナンスの警告表示に切り換えるとともにアラーム音を出力して、作業者にその旨を報知するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ラベル装着装置1がラベル装着処理をしている間の表示部60hへの表示は図23に示す解析結果のデータを瞬間的に表示するだけであるが、不良が発生すると、表示画面を不良が発生したラベル装着ヘッド41及びボトル保持部401の位置のリスト表示の形態に切り替えるようにしてもよい。この表示形態では、作業者は、リスト表示によりラベル装着部4における不良の発生状況(不良を発生しているラベル装着ヘッド41及びボトル保持部401の位置と発生頻度や発生時間の分布など)を把握することができ、作業者がメンテナンスの要否を容易に判断することができる。
上記の複数種類の表示形態は、作業者が操作部60gから表示モードの選択操作によって切り替えるようにしてもよく、ラベル装着の不良の発生状況に応じて自動的に切り替えるようにしてもよい。