JP5777273B2 - 不快な呈味を有する薬物を含有する製剤粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、イブプロフェン等の不快な呈味を有する薬物を含有する固形製剤に関し、さらに詳しくは、不快な呈味を有する薬物を含有する粒子を核とし、それに2層以上のフィルムコーティングを施し、良好なマスキング性と迅速な溶出性という相反する性質を併有することを特徴とする固形の製剤粒子に関する。
イブプロフェン等の不快な呈味を有する薬物を比較的高濃度に含有する固形製剤を提供する際には、服用性を確保するために何らかのマスキング処理を施すのが一般的である。そして、錠剤においては、フィルムコーティングや糖衣コーティングといった常套のマスキング処理によって容易に不快な呈味をマスキングすることができるが、一方、散剤や顆粒剤といった、小さく、比表面積の大きい固形製剤として提供する場合には、充分なマスキング処理を施すことは難しく、例えば、特開平8−40881号公報には、イブプロフェンを含有する芯物質層をポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(通常AEAと呼称される。)を含有するコーティング層(第1層)とヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するコーティング層(第2層)で被覆した顆粒が開示されている(特許文献1参照)。また、特開2007−223927号公報には、イブプロフェンを含有する粒子(最内層)を、アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキルコポリマー、タルク及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する層で被覆し、さらにその上に二酸化ケイ素及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する層で被覆したコーティング顆粒が開示されている(特許文献2参照)。さらに、特開2008−37863号公報には、イブプロフェンを含有する核粒子を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びタルクを含有するコーティング層(アンダーコート)で被覆し、その上にエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びタルクを含有するコーティング層(オーバーコート)で被覆した製剤粒子が開示されている(特許文献3参照)。
ここに、イブプロフェン等の不快な呈味を有する薬物を含有する散剤や顆粒剤は、口中において苦味を感じることがないように充分にマスキングされていることが望ましいが、胃内では速やかに薬物が溶出し、素早い効き目となって顕れることが求められるので、過度なマスキング処理は薬物の溶出の遅延、効き目の遅効に繋がることから好ましくない。すなわち、良好なマスキング性と迅速な溶出性という、一見すると相反する性質の高次での融合、バランスの確保が製剤設計の上で求められるのである。
このような観点から、前出の従来技術を観ていくと、特開平8−40881号(特許文献1)に開示された顆粒は、pHの影響を強く受けるコーティング基剤を使用しているため、水で服用する限りにおいては問題ないが、市販のオレンジジュースのような酸性の飲料でこれを服用するときは、イブプロフェンの苦味が口中に溶出してしまうため、マスキング処理が充分に機能しないことがあった。また、特開2007−223927号(特許文献2)で開示されているコーティング顆粒は、そもそも放出が制御された顆粒であって、胃内において速やかに溶出しないことを特徴とするものであり、本願が目的とする製剤粒子とは相反する性質を有するものである。さらに、特開2008−37863号(特許文献2)に開示されている製剤粒子は、最外層(オーバーコート層)に水不溶性の高分子(例えば、エチルセルロース)を有するため、pHの影響をあまり受けず、酸性の飲料で服用してもイブプロフェン等の不快な呈味を有する薬物が速やかに溶出することがなく、胃内においても問題のないレベルで薬物が溶出するため、散剤や顆粒剤として提供することにまず問題はないのであるが、さらなるマスキング性の向上と溶出性の改善は、固形製剤の開発に従事する者にとって、法定された有効成分を配合した固形製剤を提供するという制約の中で、競合他社との差別化を図り、市場優位を獲得するための永遠のテーゼといっても過言ではない。
特開平8−40881号公報 特開2007−223927号公報 特開2008−37863号公報
本発明は、不快な呈味を有する薬物を含有する散剤や顆粒剤を提供する上で、優れたマスキング性、特に、不快な呈味を有する薬物を酸性の飲料等で服用した場合にも口中における不快な呈味の発現が充分に抑制され、なおかつ、胃内においては速やかに薬物を溶出し、可及的かつ速やかなる薬効の発現を図るという、良好なマスキング性と迅速な溶出性を併有する、新しいタイプの固形製剤粒子を提供することを課題とする。
本発明者は、1日当たりの配合量が多く、苦味を有するため何らかのマスキング処理が必須の薬物としてイブプロフェンを採択し、このイブプロフェンを含有する核粒子を調製して種々のコーティングを施し、マスキング性や溶出性について鋭意検討を行った。その結果、イブプロフェンを含有する核粒子に保護膜として水溶性コーティング基剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を主とするフィルムコーティングを施した後、水溶性コーティング基剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)と水不溶性コーティング基剤(エチルセルロース)を含有するフィルムコーティングを施し、さらに、水溶性コーティング基剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)を主とするフィルムコーティングを施すことによって、優れた苦味のマスキング性と迅速な溶出性とを両立しうることを見出した。
かかる知見に基づき完成した本発明の態様は、不快な呈味を有する薬物を含有する核粒子と該核粒子を覆う2以上のコーティング層からなる製剤粒子であって、該コーティング層の一部が、水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層とそれを覆う水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、をもって構成されていることを特徴とする製剤粒子である。
本発明の他の態様は、内側から順に、(a)不快な呈味を有する薬物を含有する核粒子、(b)水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、(c)水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、並びに、(d)水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、をもって構成される製剤粒子である。
本発明により、苦味等の不快な呈味を有する薬物を含有し、マスキング性と溶出性に優れた製剤粒子を提供することが可能となった。
3層コートを施した場合の本願製剤粒子の模式図を示す。 イブプロフェンの溶出率を示すグラフである。 イブプロフェンの溶出率を示すグラフである。 イブプロフェンの溶出率を示すグラフである。 イブプロフェンの溶出率を示すグラフである。 イブプロフェンの溶出率を示すグラフである。
本発明における「製剤粒子」とは、不快な呈味を有する薬物を含有する核粒子が2層以上のコーティング層で被覆された粒子であって、コーティング層の一部には必ず水溶性コーティング基剤とpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層とそれを覆う水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層という層構造が存するのが特徴である。3つのコーティング層を有する場合には、例えば、「内側から順に、(a)不快な呈味を有する薬物を含有する核粒子、保護膜としての(b)水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、(c)水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、並びに、(d)水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、からなる製剤粒子」という態様になる。その模式図を図1に示す。
図1を参考に説明すると、(b)の水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層は、本発明の課題とする良好なマスキング性と迅速な溶出性にとって必ずしも不可欠の要素ではないが、(a)の核粒子に含有されている薬物(例えば、イブプロフェン)の不快な呈味をマスキングするのに不可欠な(c)の水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層で斑なく粒子を被覆するためには、(b)の水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層でまず(a)の核粒子を被覆しておくことが好ましい。そして、(c)の水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層で(b)の水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層を被覆した後に、薬物の溶出を促進するために不可欠な(d)の水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層で被覆すると、良好なマスキング性と迅速な溶出性の均衡のとれた製剤粒子が提供できる。これらの事実は後述する試験例1等によって担保されている。
したがって、本発明の製剤粒子の最もシンプルな構成は、「内側から順に、(a)不快な呈味を有する薬物を含有する核粒子、(c)水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、並びに、(d)水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、からなる製剤粒子」という態様になるが、最もポピュラーな構成は前述の「内側から順に、(a)不快な呈味を有する薬物を含有する核粒子、(b)水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、(c)水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、並びに、(d)水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、からなる製剤粒子」という態様になる。
もっとも、本願の課題とする良好なマスキング性と迅速な溶出性には、核粒子を覆うコーティング層の構成として、その一部に“水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層とそれを覆う水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層”という構造が存在すれば足り、例えば、核粒子を水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層で被覆し、その上に水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層を施し、その上に水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層を施した上で、さらにその上に水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層を施したような製剤粒子でも“水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層とそれを覆う水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層”という層構造を有するから、製造コスト等の面では不利になるが、本願発明に包含されることに何ら問題はない。
なお、迅速な溶出性という観点からは、製剤粒子の最も外側のコーティング層は水溶性のコーティング基剤を主とするコーティング層であることが好ましい。
本発明における「核粒子」は、苦味等の不快な呈味を有する薬物を含有し、コーティング用の核として用いられる。核粒子の平均粒子径は100〜500μm、粒度分布の幾何標準偏差は2.0以下、及び摩損度は5%以下である。
ここに、「平均粒子径(mean particle diameter)」とは、質量平均径である。具体的には、サンプリングした粒子(例えば5g)を、30M(500μm)、42M(355μm)、60M(250μm)、80M(180μm)、100M(150μm)、150M(106μm)、200M(75μm)及び270M(53μm)の順に積み重ねた篩上に置き、一定時間(例えば、3分間)振動を与えて分級し、30M篩残、42M篩残、60M篩残、80M篩残、100M篩残、150M篩残、200M篩残、270M篩残及び270M通過分の各質量を測定する。各質量に、予め算出しておいた各篩間の粒径区分の中央値を乗じ、その総和を全質量(5g)で除した値が求める質量平均径、すなわち、本発明における平均粒子径である。例えば、ロッボットシフター(株式会社セイシン企業)などを用いれば自動的に測定できる。なお、Mはメッシュを表す。
例えば、散剤や顆粒剤の場合、服用しやすく、主薬成分の異なる2種以上の散剤・顆粒剤を調製し、混合して均一性を確保すること等を考慮すると、その平均粒子径は100〜500μmの範囲にあるのが好ましいことが知られている(Chem.Pharm.Bull.,55(8),1169-1174(2007)参照)。本発明の核粒子もコーティングを施し、服用性、混合均一性等に優れた散剤・顆粒剤として提供されることを斟酌すると、その平均粒子径は、100〜500μmであることが好ましく、150〜450μmであることがより好ましく、175〜350μmであることがさらに好ましい。
「粒度分布(粒径分布)」とは、ある粒径範囲に属する粒子の粉体全量に対する割合をいう。具体的には、前記と同様にサンプリングした粒子(例えば5g)を、30M(500μm)、42M(355μm)、60M(250μm)、80M(180μm)、100M(150μm)、150M(106μm)、200M(75μm)及び270M(53μm)の順に積み重ねた篩上に置き、一定時間(例えば、3分間)振動を与えて分級し、30M篩残、42M篩残、60M篩残、80M篩残、100M篩残、150M篩残、200M篩残、270M篩残及び270M通過分の各質量を測定する。各質量を全質量(5g)で除し、100を乗じて質量%で表される。コーティング用核粒子としての用途を斟酌すると、その「幾何標準偏差(geometric standard deviation)」は、通常2.0以下であり、1.7以下が好ましく、1.5以下がさらに好ましい。ここに、幾何標準偏差は、対数正規分布により求められる積算通過分率84.13%のときの粒径を積算通過分率50%のときの粒径(中位径または幾何平均径)で除したときの値である。
なお、平均粒子径、粒度分布、幾何学標準偏差については、社団法人化学工学会編「現代の化学工学I」(1988年、朝倉書店、p.239〜p.245)に依った。
「摩損度」は、850μm以下の粒子5gと直径20mm、質量28gの金属球2個を直径32mm、高さ88mmの円柱状の金属製の容器(例えば、ボールミル粉砕機)に充填し、振幅15mm、振動数1500回/分で1分間振動させたときに発生する75μm以下の微粉の割合(%)の増加量である。具体的には、サンプルを850μmの篩で分級し、篩残を除去し、850μmの篩を通過したサンプルを混合して、75μmの微粉の割合(%)を測定しておく。次に850μmの篩を通過したサンプルの5gを直径20mm、質量28gのステンレス球2個と共に直径32mm、高さ88mmの円筒状のステンレス製容器(ベータミル:三菱化学エンジニアリング製)に充填する。容器を振幅15mm、振動数1500回/分で1分間振動させた後、75μm以下の微粉の割合(%)を測定する。「摩損度」は、測定前後の75μm以下の微粉の割合(%)の増加量として求められる。
コーティング用核粒子としての用途を斟酌すると、本発明の粒子の摩損度は、通常7%以下であり、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
核粒子の製造方法としては、例えば、イブプロフェン等の不快な呈味を有する薬物、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、糖類系賦形剤を混合、粉砕して造粒用粉末を調製する。該造粒用粉末を転動(攪拌)流動層造粒機中に転動(攪拌)流動させ、該造粒用粉末に水に結合剤を溶解させた結合液を噴霧し、乾燥、分級して目的とする核粒子を調製するという方法が挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、該核粒子に他の有効成分及び公知の添加剤を配合することができる。公知の添加剤としては、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、結晶セルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、アメ粉(Maltose Syrup Powder)、粉糖、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、白糖、無水マルトース及び含水マルトースが挙げられる。
「不快な呈味」には、いわゆる苦味の他、収斂味、刺激味等が該当し、経口投与により服用感の悪化を招来する呈味であれば特に限定はない。
「不快な呈味を有する薬物」には、苦味等の不快な呈味を有し、1日当たりの配合量が多い薬物の他、微量であっても数種を配合することにより、不快な呈味を有する薬物の配合量が全体的に多くなる場合も含まれる。1日当たりの配合量が多いものとしては、例えば、イブプロフェン、エテンザミド及びアセトアミノフェンが挙げられる。不快な呈味を有する薬物としては、配合量が多く、刺激のある独特の苦味を有するイブプロフェンにおいて本発明を用いる意義が特に大きい。
不快な呈味を有する薬物の核粒子中の含有(配合)量は、通常35質量%以上であり、35〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がより好ましい。35質量%未満ではコーティングを施してまで不快な呈味をマスキングする必要性に乏しく、50質量%を超えるとコーティングに適した物性を有する核粒子の調製が困難となるからである。
本発明における「水溶性コーティング基剤」は、固形製剤の分野においてコーティング基剤として汎用されている水溶性のものであれば特に限定はないが、例えば、水溶性高分子及び多価アルコール(糖類や糖アルコールを含む。)が挙げられる。その中でもハンドリング等の点で水溶性高分子が好ましく、水溶性高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースともいう。)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、プルラン、メチルセルロース及びゼラチンが挙げられる。多価アルコールとしては、エリスルトール、キシリトール及びグリセリンが挙げられる。そして、これらの水溶性コーティング基剤の中でも、薬物の不快な呈味のマスキング性、薬物の溶出性及びコーティングのし易さ等を勘案すれば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが最も好ましい。水溶性コーティング基剤は基本的にあらゆるコーティング層に配合されるものであり、そのコーティング量としては、核粒子の大きさ、水溶性コーティング基剤の種類、どのコーティング層に配合されるかによって異なってくる。例えば、核粒子を直接覆う保護膜の成分として用いられる場合、核粒子に対して通常1〜5質量%であり、好ましくは2〜4質量%である。また、水溶性コーティング基剤とpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層として用いられる場合には、核粒子に対して通常0.5〜4.5質量%であり、好ましくは1.5〜3.5質量%である。さらに、水溶性コーティング基剤とpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を覆うコーティング層の成分として用いられる場合には、通常0.1〜30質量%であり、好ましくは0.2〜18質量%である。水溶性コーティング基剤を含有し、水不溶性コーティング基剤を含有しないコーティング層は、直接核粒子を覆う保護膜と溶出を促進するために製剤粒子の最外層に施されるが、水溶性コーティング基剤の配合量が過度になればマスキング性は向上するが、溶出性が悪化し、コーティングの際のハンドリングが悪くなり、少なすぎれば溶出性は良くなるが、マスキング性が悪くなるという関係があるから、前記の範囲において適宜に調整される。そして、水溶性コーティング基剤は、コーティングに際し、水又は水と有機溶媒(例えば、エタノール)との混液に溶解し、コーティング液として、核粒子又は水溶性コーティング基剤とpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層で被覆された粒子に噴霧して用いられる。
なお、水溶性コーティング基剤は1種を用いるだけでなく、数種を組み合わせて用いてもよい。水溶性コーティング基剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースのような水溶性高分子の場合には単独で用いても特に支障はないが、多価アルコールを用いる場合には、水溶性高分子と併用した方がコーティングフィルムの付着性等が向上するので好ましい。
本発明における「水不溶性コーティング基剤」は、固形製剤の分野においてコーティング基剤として汎用されている水不溶性の高分子等であってpH依存性のないものが好ましい。pH依存性のある基剤、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA)のような基剤を用いて製剤粒子を調製すると、これを水で服用する限りにおいては本発明の目的とする迅速な溶出性を服用後に発揮するので問題ないが、オレンジジュースのような酸性の飲料で服用すると、溶出性が促進される結果、却って口中で苦味等が発現し易くなるので、敢えて本発明を用いる意義に乏しいからである。よって、水不溶性コーティング基剤としては、pHの影響を受けにくい水不溶性高分子であるエチルセルロースやアミノアルキルメタアクリレートが好ましい。そして、pHの影響を受けにくい水不溶性高分子の中でも、薬物の不快な呈味のマスキング性、薬物の溶出性及びコーティングのし易さ等を勘案すれば、エチルセルロースが最も好ましい。水不溶性コーティング基剤は、前記水溶性コーティング基剤とともにコーティング層に配合されるもので、主に不快な呈味を有する薬物の溶出を制御し、その不快な呈味をマスキングする機能を発揮する。したがって、核粒子を直接覆う保護膜には通常用いられない。また、溶出を促進するための最外層のコーティング層にも用いられない。そのコーティング量としては、核粒子に配合されている不快な呈味を有する薬物の量や核粒子の大きさ等によって異なってくるが、核粒子に対して通常1〜7質量%であり、好ましくは3〜5質量%である。水不溶性コーティング基剤のコーティング層における配合量は、それが多すぎるとマスキング性は向上するが、溶出性が悪化し、少なすぎれば溶出性は良くなるが、マスキング性が悪化するという関係があるから、前記の範囲において適宜に調整される。そして、水不溶性コーティング基剤は、水溶性コーティング基剤とともに水と有機溶媒(例えば、エタノール)との混液に溶解し、コーティング液として、核粒子又は水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層(保護膜)で被覆された粒子に噴霧して用いられる。なお、水溶性コーティング基剤は1種を用いるだけでなく、数種を組み合わせて用いてもよく、また、水不溶性コーティング基剤を薬物の溶出性に影響を与えない範囲で、水溶性コーティング基剤を主とするコーティング層(液)に少量配合することは、差し支えない。
そして、実際のコーティングに当たっては、前記核粒子をコーティング流動層造粒機に充填して流動させ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のコーティング基剤を水や水と有機溶媒の混液に溶解させたコーティング液を噴霧し、コーティング層を施すわけであるが、コーティング中に粒子同士の付着・凝集を防止するために、コーティング液には滑沢剤や流動化剤を配合することが好ましい。このような滑沢剤・流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルクが挙げられる。そして、不快な呈味を有する薬物としてイブプロフェンを配合する場合には、タルクが好ましい。滑沢剤又は流動化剤のコーティング液への配合量は、その種類によって異なるが、タルクの場合、コーティング液全体に対して1〜10質量%であり、3〜7質量%が好ましい。1質量%未満ではコーティング中の粒子同士の付着・凝集を充分に抑制することができず、10質量%を超えるとフィルムの強度が低下し、コーティングフィルム層にピンホールが生じたりして、充分なマスキング効果が得られず、好ましくないからである。
以下に、参考例、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
参考例1 核粒子の調製
(1)造粒用粉末の調製
イブプロフェン 450.0g
リボフラビン 4.0g
軽質無水ケイ酸 50.0g
結晶セルロース 200.0g
アメ粉 350.0g
上記成分を秤量後、混合・粉砕し、均一な造粒用粉末を得た。
(2)結合液の調製
ヒドロキシプロピルセルロース 90.0g
精製水 1425.0g
精製水にヒドロキシプロピルセルロースを溶解させ、結合液を得た。
(3)粒子の調製
造粒用粉末を転動流動コーティング装置(商品名:マルチプレックス;パウレック社製)に充填し、前記結合液を噴霧しながら造粒し、乾燥後850μmの篩いで分級して、目的とする核粒子を得た。
得られた核粒子は、平均粒子径255μm、粒度分布の幾何標準偏差は1.5、摩損度は3.4%であった。
参考例2 1次コーティング層(水溶性高分子を含有する保護膜)の形成
(1)1次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 34.0g
タルク 23.0g
精製水 575.0g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて1次コーティング液を調製した。
(2)1次コーティング層(保護膜)の被覆
参考例1で得られた核粒子512gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記1次コーティング液を285gスプレー噴霧し、1次コーティング層(保護膜)を施した。
参考例3 2次コーティング層(水溶性高分子と水不溶性高分子を含有する中間層)の形成
(1)2次コーティング液の調製
エチルセルロース 46.0g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 28.0g
タルク 49.0g
エタノール 1136.0g
精製水 285.0g
エタノールと精製水の混液にエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて2次コーティング液を調製した。
(2)2次コーティング層(中間層)の被覆
1次フィルム層(保護膜)を施した粒子538gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記2次コーティング液を695gスプレー噴霧し、2次コーティング層(中間層)を施した。
実施例1 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 159.0g
タルク 92.0g
精製水 2061.0g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例2 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ゼラチン 133.0g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 4.0g
タルク 92.0g
グリセリン 22.0g
精製水 2061.0g
精製水にゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグリセリンを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次コーティング層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例3 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
エリスリトール 133.0g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 4.0g
タルク 92.0g
グリセリン 22.0g
精製水 2061.0g
精製水にエリスリトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びグリセリンを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次コーティング層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例4 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
プルラン 159.0g
タルク 92.0g
精製水 2061.0g
精製水にプルランを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例5 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
アメ粉 159.0g
タルク 92.0g
精製水 2061.0g
精製水にアメ粉を溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例6 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
乳糖 159.0g
タルク 92.0g
精製水 2061.0g
精製水に乳糖を溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例7 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
キシリトール 159.0g
タルク 92.0g
精製水 2061.0g
精製水にキシリトールを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例8 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
アラビアゴム 159.0g
タルク 92.0g
精製水 2061.0g
精製水にアラビアゴムを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例9 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ポリビニルピロリドン 159.0g
タルク 92.0g
精製水 2061.0g
精製水にポリビニルピロリドンを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例10 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルセルロース 159.0g
タルク 92.0g
精製水 2061.0g
精製水にヒドロキシプロピルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例11 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
メチルセルロース 159.0g
タルク 92.0g
精製水 2061.0g
精製水にメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を925gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例12 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 15.9g
タルク 9.2g
精製水 206.1g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を92.5gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例13 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 47.8g
タルク 27.5g
精製水 618.3g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を277.5gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例14 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 79.7g
タルク 45.8g
精製水 1030.5g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を462.5gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例15 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 111.6g
タルク 64.1g
精製水 1442.7g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を647.5gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例16 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 4.0g
タルク 2.7g
精製水 51.5g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を23.1gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例17 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 8.0g
タルク 5.3g
精製水 103.0g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を46.2gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例18 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 159.6g
タルク 106.4g
精製水 2392.2g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を1063gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例19 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 159.6g
タルク 106.4g
精製水 2392.2g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を1595gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例20 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 159.6g
タルク 106.4g
精製水 2392.2g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を2126gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
実施例21 3次コーティング層(水溶性コーティング基剤を含有する最外層)の形成
(1)3次コーティング液の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 319.2g
タルク 212.8g
精製水 4784.4g
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解させ、タルクを分散させて3次コーティング液を調製した。
(2)3次コーティング層(最外層)の被覆
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gを微粒子コーティング装置(商品名:GPCG;パウレック社製)に充填し、前記3次コーティング液を2658gスプレー噴霧し、3次コーティング層(最外層)を施した。
2次フィルム層(中間層)を施した粒子532gに対して被覆させた3次コーティングフィルム量(g)をまとめると以下の表1−1乃至1−3のようになる。
Figure 0005777273
Figure 0005777273
Figure 0005777273
試験例1 溶出試験
参考例3、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4乃至21で調製した各コーティング粒子中の薬物イブプロフェンの含有量が0.15gとなる粒子質量を用い、日本薬局方のパドル法(試験液:日本薬局方溶出試験第2液,50rpm)にて溶出性を調べた。結果を図2、図3乃至図6に示す。
図2より、溶出試験開始15分後の溶出率において、参考例3では約55%、実施例1では約85%、実施例2では約77%、実施例3では約80%であり、3次コーティング層を施していない参考例3のコーティング粒子に比し、3次コーティング層を施した実施例1乃至3のコーティング粒子では溶出性が格段に向上したことが分かる。また、図3乃至図6においても、溶出試験開始15分後の溶出率において参考例3では約55%に対して、実施例4乃至21において全て約70%以上であり、3次コーティング層を施していない参考例3のコーティング粒子に比し、3次コーティング層を施した実施例1乃至21のコーティング粒子では溶出性が格段に向上したことが分かる。
試験例2 服用性試験
参考例3、実施例1、実施例2及び実施例3で調製した各コーティング粒子の呈味評価を試験者3名で行った。その結果、何れのコーティング粒子も呈味は良好で、イブプロフェンの刺激のある苦味は充分にマスキングされていた。
考察:試験例1及び2の結果より、水溶性高分子と水不溶性高分子を含有する中間層までを施した参考例3のコーティング粒子に比し、さらに水溶性高分子を含有する最外層を施した実施例1乃至3のコーティング粒子では、服用性(苦味のマスキング性)は同等であるが、溶出性が格段に向上していることが分かった。
本発明により、イブプロフェン等の不快な呈味を有する薬物を含有し、服用しやすく、速やかに薬効を発現する散剤、顆粒剤等の商品化が期待される。
(a)イブプロフェン等の不快な呈味を含有する核粒子
(b)水溶性高分子を含有するコーティング層(保護膜)
(c)水溶性高分子及び水不溶性高分子を含有するコーティング層(中間層)
(d)水溶性高分子を含有するコーティング層(最外層)

Claims (7)

  1. 内側から順に、(a)不快な呈味を有する薬物を含有する核粒子、(b)核粒子に対して1〜5質量%の水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、(c)水溶性コーティング基剤及びpH依存性のない水不溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、並びに、(d)水溶性コーティング基剤を含有するコーティング層、をもって構成され、水溶性コーティング基剤が水溶性高分子、糖類又は多価アルコールである、製剤粒子。
  2. 不快な呈味を有する薬物の核粒子中の含有量が35質量%以上である請求項1に記載の製剤粒子。
  3. 不快な呈味を有する薬物がイブプロフェンである請求項1又は2に記載の製剤粒子。
  4. 水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、メチルセルロース、プルラン及びゼラチンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の製剤粒子。
  5. 多価アルコールがエリスリトール、キシリトール又はグリセリンである請求項1〜3のいずれかに記載の製剤粒子。
  6. 水不溶性コーティング基剤がエチルセルロース又はアミノアルキルメタアクリレートである請求項1〜3のいずれかに記載の製剤粒子。
  7. 糖類が、乳糖、マルトース又はアメ粉である請求項1〜3のいずれかに記載の製剤粒子。
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