JP5774400B2 - シリカ粉の評価方法、シリカガラスルツボ、シリカガラスルツボの製造方法 - Google Patents

シリカ粉の評価方法、シリカガラスルツボ、シリカガラスルツボの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリカ粉の評価方法、シリカガラスルツボ、シリカガラスルツボの製造方法に関する。
シリコン単結晶の引き上げなどに利用されるシリカガラスルツボは、一般に、(1)石英ガラスルツボの外形を規定する碗状の内表面を有するモールドを回転させながら、その内部の内面(底部及び側面)
上に結晶質又は非晶質のシリカ粉を所定厚さに堆積させることによってシリカ粉層を形成し、(2)このシリカ粉層をアーク放電によって2000〜2600℃に加熱して溶融させて固化することによってガラス化すると共に直ちに冷却することによって製造する。
シリコン単結晶の引き上げの際には、シリカガラスルツボは、シリコンの融点(1420℃)以上の温度に加熱される。シリカガラスがこの温度に加熱されると、ガラスの一部が結晶化する。結晶化した部分は、剥離しやすく、剥離した結晶片がルツボ内に保持されているシリコン融液に落下・混入した場合、その結晶片は熱対流などに乗って、シリコン単結晶まで運ばれる。この結果、引き上げられるインゴットが多結晶化し、インゴットの単結晶率を低下させる。
現在、シリカガラスの結晶化のされやすさの度合い(以下、「結晶化容易性」と称する)を評価する方法として、原料であるシリカ粉の化学分析が一般的であり、シリカ粉の不純物濃度に上限を設けることにより、結晶化の問題を制御している。しかし、シリカ粉の不純物濃度と結晶化容易性が必ずしもリンクしていないという問題がある。従来の技術では、シリカ粉を分析しても、そのシリカ粉から形成されるシリカガラスの結晶化容易性を正確に予測することができず、実際にルツボを製造してシリコン単結晶の引き上げを行ってみるまでは、そのシリカ粉から形成されるシリカガラスが結晶化されやすいものであるのかどうかは分からない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、シリカガラスルツボの結晶化容易性を正確に予測することを可能にするシリカ粉の評価方法を提供するものである。
本発明によれば、シリカ粉を融解温度1700〜1900℃で融解した後に冷却させてガラス化したサンプルを作成するサンプル作成工程と、前記サンプルを1400〜1750℃で30分以上保持した後に冷却するサンプル熱処理工程と、前記サンプル熱処理工程後のサンプルの不透明化の状態を評価するサンプル評価工程とを備えるシリカ粉の評価方法が提供される。
本発明者は、鋭意検討を行ったところ、上記の融解温度で作成したガラスサンプルに対して上記の温度及び時間で熱処理を行った後のサンプルの不透明化の状態を確認すれば、サンプル作成に用いたシリカ粉から作成されるシリカガラスの結晶化容易性を予測することができ、さらには、このシリカ粉がシリカガラスルツボの製造に適したものであるかを評価することができることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明によれば、従来技術のようなシリカ粉中の不純物濃度を測定する方法よりも容易かつ正確に、シリカ粉の適否を評価することが可能である。
図1は、本発明の一実施形態のシリカ粉の評価方法のフローチャートである。 本発明の実施例にかかる、不透明点が現れたサンプルの顕微鏡写真の一例である。
図1に示すように、本発明の一実施形態のシリカ粉の評価方法は、シリカ粉を融解温度1700〜1900℃で融解した後に冷却させてガラス化したサンプルを作成するサンプル作成工程(S1)と、前記サンプルを1400〜1750℃で30分以上保持した後に冷却するサンプル熱処理工程(S2)と、前記サンプル熱処理工程後のサンプルの不透明化の状態を評価するサンプル評価工程(S3)とを備える。
1.本発明の概要
本発明者が、あるロットの天然シリカ粉を用いて、融解温度を変えて複数のサンプルを作成し、これらのサンプルのそれぞれに対して熱処理を施した後に室温にまで冷却したところ、熱処理前には、いずれもサンプルも透明で外見上区別できなかったのに、熱処理後には、低い融解温度で作成したサンプルではサンプルが不透明化されて多数の不透明点が形成された。この不透明点の数はサンプル作成時の融解温度が高くなるほど少なくなり、ある特定の温度よりも高い融解温度で作成したサンプルには熱処理後も不透明点ができなかった(この温度を「不透明点消失温度」と称する)。なお、不透明点は、観察条件によっては白色に見えるので、「白点」とも呼ばれる。
また、ロットを変えて同じ実験を行ったところ、サンプル作成時の融解温度が高くなるほど不透明点の数が少なくなるという点では同じ結果が得られたが、不透明点消失温度は、異なっていた。不透明点消失温度の違いは、シリカ粉から作成されたシリカガラスの結晶化容易性の違いを表している。結晶化されやすいガラスほど、不透明点消失温度が高くなるので、あるロットのシリカ粉の不透明点消失温度がある基準温度以下であるかどうかを調べれば、そのシリカ粉がシリカガラスルツボの製造に適したものであるかを判断することができる。この方法によれば、従来技術のようなシリカ粉中の不純物濃度を測定する方法よりも容易かつ正確に、シリカ粉の適否を評価することが可能である。なお、不透明点消失温度以外にも、サンプルが完全に不透明化する温度や、サンプルに含まれる不透明点の数密度が所定の値(例えば10個/cm)になる温度を基準にして、シリカ粉の評価を行うこともできる。
また、上記方法では、各ロットにつき融解温度が異なる複数のサンプルを作成する必要があるが、別の方法では、予め定められた融解温度で1つのサンプルを作成し、そのサンプルに対して予め定められた条件での熱処理を行った後に、そのサンプル中に含まれる不透明点の数密度を測定することによっても、シリカ粉の評価が可能である。なぜなら、シリカ粉から作成されるシリカガラスが結晶化されやすい場合ほど不透明点の数密度が高くなるので、不透明点の数密度が、シリカガラスの結晶化容易性と相関しているからである。
2.各工程の説明
2−1.サンプル作成工程(S1)
サンプル作成工程(S1)では、シリカ粉を融解温度1700〜1900℃で融解した後に冷却させてガラス化したサンプルを作成する。サンプル作成に用いるシリカ粉は、天然シリカ粉であってもよく、合成シリカ粉であってもよい。
天然シリカ粉は、α−石英を主成分とする天然鉱物を粉砕して粉状にすることによって製造されるシリカ粉である。天然シリカ粉は、原料が天然物であるので、ロットごとのバラツキが大きく、天然シリカ粉から形成されるシリカガラスの結晶化容易性を評価することの必要性が特に大きい。例えば、各ロットのシリカ粉に対して本実施形態の方法による評価を行えば、ロット間のシリカ粉のバラツキが明らかになる。そして、例えば、基準(例えば、熱処理後の不透明点の数密度が10個/cm以内など)を設けて、その基準をクリアしているかどうかをシリカ粉の出荷基準や納入検査の基準にすることによって、シリカ粉を用いて製造されるシリカガラスルツボのバラツキを低減することができる。
合成シリカ粉は、四塩化珪素(SiCl)の気相酸化(乾式合成法)や、シリコンアルコキシド(Si(OR))の加水分解(ゾル・ゲル法)などの化学合成による手法によって製造されるシリカ粉である。合成シリカ粉は、通常は、純度が高い合成原料を用いて製造されるので、天然シリカ粉よりも高純度にすることが可能である。しかし、反応槽中の化学合成のムラや、後の焼成工程における焼成ムラなどがあり、合成シリカ粉と雖も、ロット内のバラツキがある。従って、同ロットから複数サンプリングし、各サンプルが基準値をクリアしているかどうかをシリカ粉の出荷基準や納入検査の基準にすることによって、シリカ粉を用いて製造されるシリカガラスルツボのバラツキを低減することができる。
また、天然シリカ粉・合成シリカ粉のどちらも、ノンドープで使用することもあれば、鉱化剤をドープして使用することもある。鉱化剤をドープしたシリカ粉から形成されるシリカガラスは、ノンドープのものよりも結晶化されやすいので、シリコンインゴットの引き上げ中に結晶化させてシリカガラスルツボの強度を向上させる目的で利用される。シリカガラスを引き上げ開始後のどのタイミングで結晶化させたいのかは、ルツボのサイズや鉱化剤が添加されたシリカガラス層の配置(例:ルツボの内面側か外面側)や厚さによって異なる。シリカガラス中の鉱化剤濃度を高めれば、それだけ早いタイミングで結晶化されやすくなる傾向にあるが、鉱化剤種類や濃度と結晶化容易性の関係を具体的に調べることは容易ではなく、従来技術では、その評価方法は確立されていない。
本実施形態の方法は、シリカ粉に添加した鉱化剤濃度と、そのシリカ粉から形成されるシリカガラスの結晶化容易性との関係を調べるためにも利用可能である。例えば、鉱化剤濃度が異なる複数種類のシリカ粉のそれぞれからサンプルを作成し、このサンプルのそれぞれに同じ条件で熱処理を施した後にサンプル中の不透明点の数密度を測定することによって、鉱化剤濃度と、シリカガラスの結晶化容易性の相関関係を明らかにすることができる。この相関関係が分かれば、結晶化容易性を高めたい場合に、鉱化剤濃度をどれくらいにすればいいのかを容易に推測することができる。
また、鉱化剤の種類が変われば、その濃度と、シリカガラスの結晶化容易性も変化する。本実施形態の方法によれば、種類の異なる鉱化剤を添加したシリカ粉を用いて作成したサンプルを準備し、このサンプルのそれぞれに同じ条件で熱処理を施した後にサンプル中の不透明点の数密度を測定することによって、鉱化剤の種類と、シリカガラス結晶化容易性の相関関係を明らかにすることができる。
添加する鉱化剤の種類は、ガラスの結晶化を促すものであれば特に限定されない。結晶化は、金属不純物が含まれている場合に特に起こりやすいので、鉱化剤としては、金属不純物が好適であり、例えば、アルカリ金属(例:ナトリウムやカリウム)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、又はバリウム)、アルミニウム、鉄である。シリカ粉への鉱化剤の添加は、例えば、シリカ粉と鉱化剤のアルコキシドを混合し、600〜1100℃程度の温度で焼成することによってシリカ粉表面に鉱化剤を付着させることによって、行うことができる。
シリカ粉の融解温度は、1700〜1900℃であり、好ましくは、1750〜1800℃である。融解温度が1700℃よりも低いとシリカ粉がガラス化されにくく、融解温度が1900℃を超えると、熱処理を行っても不透明点が現れにくいので、本実施形態の評価方法のためのサンプル作成のための融解温度は、1700〜1900℃である。また、融解温度が1750〜1800℃の範囲で不透明点の数密度が大きく変化するので、融解温度は1750〜1800℃が好ましい。融解温度は、例えば、1700,1750,1800,1850,1900℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの範囲内であってもよい。
シリカ粉の融解は、例えば、評価用の試料容器中にシリカ粉を供給し、この試料容器を温度制御可能な加熱装置内に入れて、融解温度まで加熱することによって行うことができる。融解後の冷却は、例えば、加熱装置の電源を切って、室温になるまで放置することによって行うことができる。また、より素早く冷却させるために、ファンなどにより強制的に冷却させてもよい。
2−2.サンプル熱処理工程(S2)
サンプル熱処理工程(S2)では、サンプル作成工程で作成したサンプルを1400〜1750℃で30分以上保持した後に冷却する。
熱処理工程前のサンプルは、融解温度によらずに透明であり、外見をみても、そのサンプルが結晶化されやすいものであるのか、そうでないのか全く分からない。そこで、本工程では、サンプルに対して1400〜1750℃で30分以上の熱処理を行うことによって、サンプルの不透明化を促進する。結晶化されやすいサンプルであれば、この熱処理によってその全体が不透明化されるが、より結晶化されにくいサンプルであれば、不透明点がサンプル中に現れ、さらに結晶化されにくいサンプルであれば、熱処理を行っても全く不透明化されずに透明なままとなる。結晶化されやすいものほど、不透明点の数密度が高くなるので、この不透明点の数密度によってサンプルの結晶化容易性を判断することができる。
この熱処理の温度は、1400〜1750℃である。1400℃未満や1750℃より高い温度での熱処理では不透明化が起こりにくいので、本実施形態のシリカ粉の評価方法における熱処理の温度としては好ましくない。また、不透明化を促進するには、少なくとも30分間は高温状態に維持しておく必要がある。従って、熱処理条件は、1400〜1750℃で30分以上である。熱処理温度は、例えば、1400,1450、1500,1550,1600,1650,1700,1750℃であり、ここで例示した何れか2つの数値の範囲内であってもよい。また、熱処理時間は、必要以上に長くすると本実施形態の評価方法の実行に時間がかかり非効率であるので、例えば10時間以内が好ましい。熱処理時間は、例えば、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間であり、ここで例示した何れか2つの数値の範囲内であってもよい。
熱処理工程は、サンプルを温度制御可能な加熱装置内に入れて、熱処理温度まで加熱させ、熱処理温度に到達すると所定時間その温度に保持し、その後冷却することによって行うことができる。冷却は、例えば、加熱装置の電源を切って、室温になるまで放置することによって行うことができる。また、より素早く冷却させるために、ファンなどにより強制的に冷却させてもよい。
熱処理工程は、一度のみ行ってもよく、熱処理後のサンプルに不透明点が生じていなかった場合には再度行うようにしてもよい。
2−3.サンプル評価工程(S3)
サンプル作成工程(S3)では、サンプル熱処理工程後のサンプルの不透明化の状態を評価する。「サンプルの不透明化の状態を評価する」とは、サンプルがどの程度不透明化されているかについて判断を行うことである。そして、この判断結果に従って、評価対象のシリカ粉が、所望の物性を有しているかどうかの判断を行う。
この判断の結果、納入されたシリカ粉がシリカガラスルツボの製造に適した物性を有していないものであればそのシリカ粉を返品したり、鉱化剤をドープしたシリカ粉から作成されたシリカガラスの結晶化容易性が不十分であれば、鉱化剤のドープ量を増やしたりすることができる。
サンプルの評価は、予め定められた融解温度で1つのサンプルを作成し、そのサンプルに対して予め定められた条件での熱処理を行った後に、そのサンプル中に含まれる不透明点の数密度を測定することによって行うことができる。この場合、数多くのサンプルを作る必要がないという利点がある。数密度の測定方法としては、例えば、試料中の不透明点の全数を試料の体積で割る方法や、単位体積中に含まれる不透明点の個数をカウントする方法が挙げられる。
サンプルの評価は、融解温度が互いに異なる複数のサンプルを作成し、各サンプルに対して熱処理を施し、サンプルの不透明化が所定の状態(不透明点が存在しない状態、不透明点の数密度が所定の範囲内である状態、サンプルの全体が不透明化する状態など)になる融解温度を求めることによって行ってもよい。この場合、サンプル中の不透明点の数密度を精度良く測定する必要がないという利点がある。
以上説明した本実施形態のシリカ粉の評価方法によれば、従来技術のように不純物濃度の分析を行わなくてもよいので、高価な装置が不要であり、しかも、従来技術よりも高い精度でシリカ粉の適否を評価することができる。
3.シリカガラスルツボの製造方法
本実施形態のシリカルツボの製造方法は、上記記載のシリカ粉の評価方法によってシリカ粉の評価を行なうシリカ粉評価工程と、前記評価後のシリカ粉を融解した後に冷却させてシリカガラス層を形成するシリカガラス層形成工程を備える。
シリカガラスルツボは、(1)石英ガラスルツボの外形を規定する碗状の内表面を有するモールドを回転させながら、その内部の内面(底部及び側面)上に結晶質又は非晶質のシリカ粉を所定厚さに堆積させることによって、シリカガラス層用のシリカ粉層を形成し、(2)このシリカ粉層をアーク放電によって2000〜2600℃に加熱して溶融させて固化することによってガラス化すると共に直ちに冷却することによって製造することができるが、堆積するシリカ粉が品質基準に適合しないものであれば、このシリカ粉を用いて製造したシリカガラスルツボの品質低下につながる。そこで、本実施形態のシリカガラスルツボの製造方法では、ルツボの製造に用いるシリカ粉に対して上述の評価方法を行って、使用するシリカ粉が品質基準をクリアしているかどうかを確認した上で、シリカ粉を融解させてシリカガラスルツボの製造を行う。本実施形態の方法によれば、製造されるシリカガラスルツボの品質を向上させることができる。
1.融解温度がサンプルの不透明化に与える影響
直径6cmで深さ10cmの試料容器中に天然シリカ粉(ロット1)を充填し、試料容器ごと加熱装置内に入れて、表1に示す温度で加熱した後、加熱装置の電源を切って室温にまで自然冷却させることによって、評価用のサンプルを得た。得られたサンプルに対して、同じ加熱装置を用いて表1に示す温度及び時間で熱処理を行った後、加熱装置の電源を切って室温にまで自然冷却させた。加熱装置からサンプルを取り出してサンプルの不透明点の数密度を確認したところ、表1に示す状態であった。また、別のロット(ロット2)の天然シリカ粉を用いて同様の評価を行った。その結果を表1に合わせて示す。
なお、不透明点の数密度は以下の方法で測定した。まず、シリカ粉を融解させて製造した直径6cmのシリカガラスサンプルから、厚さ約5mmのシリカガラス板を切り出し、シリカガラス板の表面を光が透過するあるいは散乱しない状態に研磨した。その後、ハロゲンランプを光源とする光学顕微鏡で、シリカガラス板の不透明点の数密度を測定した。測定手順は、以下の通りである。(1)まず、後述するシリカガラス板の撮影時と同じ倍率でピッチ0.1mmのマイクロ目盛を撮影した。このマイクロ目盛を参照して不透明点のサイズを決定した。(2)次に、観察する視野範囲の面積を算出した。(3)次に、顕微鏡の焦点をシリカガラス板の手前側表面に合わせた状態から、奥側表面に合うように焦点位置を動かし、シリカガラス板の表面および中の不透明点状態を写真撮影し、得られた写真中の不透明点のうち、直径10μmの円からはみ出すサイズを有するものの個数を数えた。写真の一例を図2に示す。焦点位置からずれた位置にある不透明点は写真に映らないので、このような方法によってシリカガラス板内部にある不透明点も数えることができる。(4)次に、測定部位の厚さ、面積、及び不透明点個数から不透明点の数密度を算出した。
表1での不透明点の数密度の欄のA〜Eの意味は以下の通りである。
A:不透明点なし
B:不透明点の数密度が1〜10個/cm
C:不透明点の数密度が11〜50個/cm
D:不透明点の数密度が51個/cm以上であるが全体が不透明化しているとはいえない
E:全体が不透明化
表1を参照すると、ロット1では、融解温度が1790℃以上の場合は、不透明点が現れなかったが、それより低い温度では不透明点が現れた。一方、ロット2では、融解温度が1800℃以上の場合は、不透明点が現れなかったが、それより低い温度では不透明点が現れた。不透明点はガラスが結晶化された点であると考えられ、シリコンインゴットの引き上げ時においても、ロット2のシリカ粉を用いて製造したシリカガラスルツボの方が結晶化されやすかった。
この結果から、ロット2のシリカ粉の方が結晶化されやすいものであり、このシリカ粉を結晶化させたくないシリカガラスの原料として使用する場合は、ロット1のシリカ粉の方が高品質であることが分かる。
2.鉱化剤濃度がサンプルの不透明化に与える影響
直径6cmで深さ10cmの試料容器中に、表2に示すように鉱化剤をドープした合成シリカ粉を充填し、試料容器ごと加熱装置内に入れて、表2に示す温度で加熱した後、加熱装置の電源を切って室温にまで自然冷却させることによって、評価用のサンプルを得た。得られたサンプルに対して、同じ加熱装置を用いて表2に示す温度及び時間で熱処理を行った後、加熱装置の電源を切って室温にまで自然冷却させた。加熱装置からサンプルを取り出して不透明点の数密度を測定したところ、表2に示す結果が得られた。表2での不透明点の数密度の欄のA〜Eの意味は,上記の通りである。
表2を参照すると、融解温度と熱処理条件が同じ場合、鉱化剤濃度が変わると、熱処理後にサンプルに現れる不透明点の数密度も変化することが分かる。この結果は、結晶化させたいシリカガラスの原料としてシリカ粉を使用する場合に、シリカ粉の鉱化剤濃度を決定するための判断材料として利用可能である。また、鉱化剤の種類が変わると、不透明点の数密度(結晶化容易性)も変化することが分かった。

Claims (7)

  1. シリカ粉を、当該シリカ粉を加熱して融解させる際の温度である融解温度1700〜1790℃で融解した後に冷却させてガラス化したサンプルを作成するサンプル作成工程と、
    前記サンプルを1400〜1750℃で30分以上保持した後に冷却するサンプル熱処理工程と、
    前記サンプル熱処理工程後のサンプルの不透明化の状態を評価するサンプル評価工程とを備え
    前記サンプル作成工程では、融解温度が互いに異なる複数のサンプルを作成し、
    前記サンプル評価工程では、サンプルの不透明化が所定の状態になる融解温度を求める、シリカ粉の評価方法。
  2. 前記融解温度は、1750〜1790℃である請求項1に記載の方法。
  3. 前記サンプル評価工程では、前記サンプルに含まれる不透明点の数密度を測定する請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記シリカ粉は、天然シリカ粉である請求項1〜請求項の何れか1つに記載の方法。
  5. 前記シリカ粉は、鉱化剤をドープしたシリカ粉である請求項1〜請求項の何れか1つに記載の方法。
  6. シリカ粉を融解した後に冷却させて得られるシリカガラス層を有するシリカガラスルツボであって、
    前記シリカ粉は、請求項1〜請求項の何れか1つに記載のシリカ粉の評価方法による評価基準をクリアしたシリカ粉であるシリカガラスルツボ。
  7. 請求項1〜請求項の何れか1つに記載のシリカ粉の評価方法によってシリカ粉の評価を行なうシリカ粉評価工程と、
    前記評価後のシリカ粉を融解した後に冷却させてシリカガラス層を形成するシリカガラス層形成工程を備えるシリカガラスルツボの製造方法。
JP2011156381A 2010-08-12 2011-07-15 シリカ粉の評価方法、シリカガラスルツボ、シリカガラスルツボの製造方法 Active JP5774400B2 (ja)

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