JP5773102B2 - インダクタのシミュレーション方法並びにインダクタのシミュレーション装置およびその使用方法 - Google Patents
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Description
本発明は、インダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートするインダクタのシミュレーション方法、並びにインダクタのシミュレーション装置およびその使用方法に関するものである。
従来、この種の電子部品のシミュレーション方法および等価回路モデルは、電子回路設計における回路シミュレート時に用いられている。回路シミュレートには、SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Empahsis)等の回路シミュレータが用いられ、回路シミュレータの中には、電子部品製造メーカのホームページサイトにおいて利用することが出来るものもある。利用者は、パーソナルコンピュータ等の端末からインターネット網を通じて電子部品製造メーカのホームページサイトにアクセスし、回路シミュレータを利用する。
従来、この種のシミュレーション方法および等価回路モデルとしては、例えば、特許文献1に開示されたコンデンサについてのものがある。
このシミュレーションでは、同文献の図1に示されるように、第1のステップにおいて、コンデンサの与えられた周波数特性を入力し、第2のステップにおいて、周波数に依存しない抵抗(R)、キャパシタンス(C)、インダクタンス(L)を用いた、時間領域でのシミュレーションが可能な回路として、RC回路、およびRL回路と、RCL回路のいずれかを等価回路モデルとして形成する。そして、第3のステップにおいて、第2のステップで形成した等価回路モデルの精度を判定するための評価関数を合成し、第4のステップにおいて、第3のステップで合成した評価関数を最小化することによって回路定数を決定する。
特許文献1では、上記の構成により、周波数領域でインピーダンスを示されたコンデンサの、時間領域でのシミュレーションが可能な等価回路モデルを導出し、コンデンサの周波数領域または時間領域での電気的特性を、回路シミュレーションによって予測する。
また、従来、インダクタのシミュレーション方法および等価回路モデルとして、例えば、特許文献2に開示されたものがある。
このシミュレーションでは、同文献の図1(C)に示されるように、内部導体の表皮効果を考慮するインダクタンスL1とレジスタンスR1の直列回路に、直流に対するインダクタンスL0とインダクタンスL1との間の相互インダクタンスLmが並列接続され、これに直流に対するインダクタンスL0と内部導体の直流抵抗Rdc1とが直列に接続された等価回路モデルが使用される。この等価回路モデルでは、さらに、外部電極のインダクタンス及びレジスタンスが同時に考慮され、インダクタンスL0に直列に外部電極のインダクタンスLsが直列に接続されると共に、内部導体の直流抵抗Rdc1に外部電極の直流抵抗Rdc2が直列に接続される。また、積層チップインダクタのチップを構成する誘電体の寄生キャパシタンスCpと、誘電体の損失を表す抵抗Rpとを直列に接続した直列回路が、外部電極の等価素子Ls,Rdc2の内側に並列に接続される。
特許文献2では、上記の等価回路モデルを使用した回路シミュレーションにより、回路設計と実際の回路性能との間に発生する誤差を抑制している。
また、従来、コンデンサのシミュレーション方法および等価回路モデルとして、例えば、特許文献3に開示された理想C回路モデルおよび広帯域高精度等価回路モデルを用いたものがある。
理想C回路モデルは、同文献の図1(A)に示されるように、一つのキャパシタンスエレメントCを回路素子とする等価回路で表される。キャパシタンスエレメントCの両端に印加される電圧vは、その両端に印加された時間変化する信号電圧とノイズ電圧をvac、両端に印加されたDCバイアス電圧をVdcとした場合、次の(1)式に表される。
v=vac+Vdc …(1)
v=vac+Vdc …(1)
キャパシタンスエレメントCがDCバイアス電圧Vdcによって変化する特性は、次の(2)式に示される多項式で表現される。
C=C(Vdc)
=C0+C1Vdc+C2Vdc 2+C3Vdc 3+C4Vdc 4+C5Vdc 5+C6Vdc 6+…
…(2)
C=C(Vdc)
=C0+C1Vdc+C2Vdc 2+C3Vdc 3+C4Vdc 4+C5Vdc 5+C6Vdc 6+…
…(2)
また、キャパシタンスエレメントCに流れる電流iは、次の(3)式に表される。
i=C(Vdc)・dv/dt …(3)
i=C(Vdc)・dv/dt …(3)
この(3)式を計算するため、同文献の図1(B)に示されるように演算回路が構築される。この演算回路では、キャパシタンスエレメントCが、DCバイアス電圧Vdcによりコントロールされるノンリニア電圧制御電圧源UA3に変換される。また、コンデンサの両端に印加された総電圧vが、リニア電圧制御電圧源E1を経由して、極めて低いカットオフ周波数を持つローパスフィルタL1及びR1を通過することで、DCバイアス電圧Vdcが得られ、ノンリニア電圧制御電圧源UA3に与えられる。また、総電圧vが、リニア電圧制御電圧源E2を通じて微分デバイスUA1の入力端子に供給されることで、微分dv/dtが行われる。また、微分デバイスUA1の出力電圧v1が、キャパシタンスエレメントCを代替するノンリニア電圧制御電圧源UA3の出力電圧(C(Vdc))と共に、3端子乗算デバイスUA2に入力されることで、乗算(C(Vdc)・dv/dt)が行われる。これにより、乗算デバイスUA2の出力端子に乗算結果が出力される。乗算デバイスUA2の出力電圧v2は、コンデンサに流れている電流iと単位抵抗の積に等しいので、出力電圧v2により制御されるリニア電圧制御電流源Gを用いて、コンデンサと置き換えられる。
このような理想C回路モデルは、実際の部品のインピーダンス特性との差、特に高周波帯域における差が大き過ぎるため、回路シミュレーションには相応しくないが、回路設計の初期段階もしくは回路特性の予測には便利である。
また、特許文献3に開示された広帯域高精度等価回路モデルは、MLCC(積層セラミックコンデンサ)のシミュレーションに適用される。このシミュレーションでは、同文献の図5(A)に示される回路構成の等価回路モデルが使用される。同文献の図5(B)に示されるように、積層チップコンデンサ10では、複数の内部電極20が積層されており、交互に電極の引き出しが行われている。同文献の図5(A)に示される等価回路は、積層チップコンデンサ10の複数の内部電極20の厚みを考慮したものであり、複数の内部電極20のそれぞれ上面22及び下面24における電磁効果のほか、複数の内部電極20の一方の側面26及び他方の側面28と、オープン端面30の電磁効果も考慮したものである。
この等価回路における各種回路素子の値は、すべてDCバイアス電圧により変化する。DCバイアス電圧による各回路素子の特性変化は多項式によって表現され、この特性変化を見込んだ場合のMLCCの等価回路モデルは、同文献の図12に示される。このモデルでは、微分デバイス、乗算デバイス、3端子や4端子の加算デバイスなどの他、除算デバイスと5端子の加算デバイスも使用される。DCバイアス電圧による特性変化を見込んだこのような広帯域高精度モデルは、広い周波数帯域において良好なシミュレーション精度を得ることができる。
コンデンサやインダクタといった電子部品は、その静電容量やインダクタンスといった特性値が、重畳印加されるDCバイアス電圧や直流電流によって変化し、その変化は回路シミュレーションに無視できないものとなる。しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された上記従来の電子部品のシミュレーション方法に用いられる等価回路モデルは、いずれも抵抗素子R、誘導素子Lおよび容量素子Cの受動回路素子だけの組合せによって構成されており、DCバイアス電圧または直流電流が重畳印加されたときに電子部品に生じる特性変化が反映されない。
また、特許文献3に開示された上記従来の電子部品のシミュレーション方法では、電圧源モデルや電流源モデルが等価回路モデルに用いられることで、DCバイアス電圧が重畳印加されたときに電子部品に生じる特性変化が反映されている。しかしながら、この等価回路モデルは、微分、乗算、加算等の演算回路を含んだ複雑な構成をしているため、ある規則に則って規則的に等価回路モデルを導出することができず、等価回路モデルの導出作業は極めて難しい。また、このような複雑な構成をしているため、回路の動作を読むことも難しく、回路の見通しが悪いものとなっている。さらに、(2)式に示されるように、直流バイアスの依存性を反映する近似式に奇数次のべき条項が含まれるため、直流バイアスの符号が逆になった場合に対応することができず、モデルに極性の問題が生じる。また、直流バイアスの値が突発的に変化すると、発散した値に変換される問題も生じる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
受動回路素子を使って表されたインダクタの等価回路を用いてインダクタの特性をコンピュータによってシミュレートするインダクタのシミュレーション方法において、
コンピュータが、
インダクタに流れる電流を参照し、
参照した電流に対応して、実測値を基に電流を変数として表された近似関数により算出される直流電流重畳時における受動回路素子の特性変化率、および直流電流無重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる無重畳時電圧に基づいて、直流電流の重畳によって特性が変化する受動回路素子に直列に接続される制御電圧源により、直流電流重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる重畳時電圧と無重畳時電圧との差分電圧を発生させ、無重畳時電圧に差分電圧を重畳させることで、
インダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートすることを特徴とする。
受動回路素子を使って表されたインダクタの等価回路を用いてインダクタの特性をコンピュータによってシミュレートするインダクタのシミュレーション方法において、
コンピュータが、
インダクタに流れる電流を参照し、
参照した電流に対応して、実測値を基に電流を変数として表された近似関数により算出される直流電流重畳時における受動回路素子の特性変化率、および直流電流無重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる無重畳時電圧に基づいて、直流電流の重畳によって特性が変化する受動回路素子に直列に接続される制御電圧源により、直流電流重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる重畳時電圧と無重畳時電圧との差分電圧を発生させ、無重畳時電圧に差分電圧を重畳させることで、
インダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートすることを特徴とする。
また、インダクタの等価回路を表す受動回路素子と、
インダクタに流れる電流を参照する電流参照手段と、
直流電流重畳時における受動回路素子の特性変化率を実測値を基に電流を変数として表す近似関数により、電流参照手段によって参照される電流に対応して算出される特性変化率、および直流電流無重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる無重畳時電圧に基づいて、直流電流重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる重畳時電圧と無重畳時電圧との差分電圧を発生させる、直流電流の重畳によって特性が変化する受動回路素子に直列に接続される制御電圧源と
を備えて構成されるインダクタの非線形等価回路モデルを用いてインダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートするインダクタのシミュレーション方法を構成した。
インダクタに流れる電流を参照する電流参照手段と、
直流電流重畳時における受動回路素子の特性変化率を実測値を基に電流を変数として表す近似関数により、電流参照手段によって参照される電流に対応して算出される特性変化率、および直流電流無重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる無重畳時電圧に基づいて、直流電流重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる重畳時電圧と無重畳時電圧との差分電圧を発生させる、直流電流の重畳によって特性が変化する受動回路素子に直列に接続される制御電圧源と
を備えて構成されるインダクタの非線形等価回路モデルを用いてインダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートするインダクタのシミュレーション方法を構成した。
本構成のインダクタのシミュレーション方法においては、直流電流重畳時における受動回路素子の特性変化率が、実測値を基に、参照する電流を変数とした近似関数により表される。従って、受動回路素子の特性変化率は、参照する電流に応じて、この近似関数により算出される。また、直流電流重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる重畳時電圧は、直流電流無重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる無重畳時電圧に、重畳時電圧と無重畳時電圧との差分電圧を重畳させることで、求めることができる。このため、上記の特性変化率および無重畳時電圧に基づいて、制御電圧源により、重畳時電圧と無重畳時電圧との差分電圧を発生させ、制御電圧源に受動回路素子を直列に接続してこの差分電圧を無重畳時電圧に重畳させることで、受動回路素子の重畳時電圧をシミュレートすることができる。
すなわち、インダクタに流れる電流を参照して近似関数により受動回路素子の特性変化率を算出し、特性変化率および無重畳時電圧に基づいて制御電圧源により差分電圧を発生させることで、任意の直流重畳電流に対して動的に追従可能なシミュレーションをすることができる。この結果、インダクタの直流電流重畳時の非線形特性を精度高く動的にシミュレートすることが可能なインダクタのシミュレーション方法を単純な構成で簡単に提供することができる。また、インダクタの非線形等価回路モデルは、上記のように、無重畳時電圧を基準にして、無重畳時電圧に差分電圧を制御電圧源によって単に重畳させることで得られるので、逆に、本等価回路モデルから制御電圧源を除外することで、無重畳時電圧に対応した、つまり、直流電流の重畳に依存しないインダクタの等価回路モデルを簡単に得ることができる。
また、本発明は、差分電圧が、差分電圧をΔV、無重畳時電圧をV0、近似関数を参照する電流xを変数とする関数exp(f(x))とした場合に、次式
ΔV=V0×[exp(f(x))−1]
の関数形で与えられることを特徴とする。
ΔV=V0×[exp(f(x))−1]
の関数形で与えられることを特徴とする。
本構成によれば、参照する電流xの値がゼロのときには、指数関数である関数exp(f(x))の値が1になり、無重畳時電圧V0に乗算される係数[exp(f(x))−1]の値がゼロになるので、差分電圧ΔVの値もゼロとなる。また、参照する電流xの値がゼロでないときには、関数exp(f(x))の値が1より大きくなり、無重畳時電圧V0に乗算される係数[exp(f(x))−1]の値がゼロより大きくなる。このため、実用時に即して差分電圧ΔVの値が算出され、参照する電流xの値がゼロでないときには、差分電圧ΔVが電流xに対応して必ず算出されてインダクタの特性がシミュレートされ、インダクタの定性理解に供される。
また、本発明は、近似関数が奇数次のべき乗項を含まない多項式形式の偶関数で与えられることを特徴とする。
本構成によれば、近似関数が奇数次のべき乗項を含まない多項式形式で表現されるため、従来のインダクタのシミュレーションとは異なり、直流バイアスの符号が逆になった場合や直流バイアスの値が突発的に変化した場合などにも、受動回路素子の特性変化率は近似関数によって適切に近似される。
また、本発明は、インダクタに流れる電流が等価回路の入力端または出力端で参照され、無重畳時電圧が受動回路素子の両端で参照されることを特徴とする。
本構成によれば、参照する電流または無重畳時電圧を等価回路モデルと別に設定して計算する方式とは異なり、等価回路モデル内の入力端もしくは出力端に生じる瞬時電流、または等価回路モデル内の受動回路素子両端に生じる瞬時電圧が参照されて、差分電圧の演算が行われる。このため、差分電圧の演算に用いられる電流および無重畳時電圧は時間遅れなく参照され、インダクタの非線形特性についての過渡応答解析を高速に高精度で行うことが可能となる。
また、本発明は、制御電圧源に直列に接続される受動回路素子が、誘導素子単体、または誘導素子と抵抗素子との直列回路、または誘導素子と抵抗素子と容量素子との直列回路であることを特徴とする。
本構成によれば、直流電流の重畳に依存しない受動回路素子の特性は、誘導素子単体、または誘導素子と抵抗素子との直列回路、または誘導素子と抵抗素子と容量素子との直列回路によって表される。そして、これら回路に直列に制御電圧源が接続されることで、直流電流の重畳に依存する受動回路素子の特性がシミュレートされる。
また、本発明は、制御電圧源と受動回路素子との直列回路が複数並列に接続されることを特徴とする。
本構成によれば、制御電圧源と受動回路素子との簡単な直列回路が単に並列に接続され、その並列数が増えることで、等価回路モデルのシミュレート精度が高められる。このため、シミュレート精度の高い等価回路モデルを、規則的で見通しよく構成することができる。また、制御電圧源と受動回路素子との直列回路を複数並列に接続するだけなので、系統的な演算手続によって受動回路素子の直流電流重畳時の特性をシミュレートすることができる。
また、本発明は、等価回路が、インダクタへの直流電流の重畳によって特性が変化しない受動回路素子を含んで構成されることを特徴とする。
本構成によれば、直流電流の重畳によって特性が変化する受動回路素子と、直流電流の重畳によって特性が変化しない受動回路素子とが組み合わされて等価回路モデルが構成されるので、インダクタの非線形特性のシミュレーションをさらに高精度化すると共に、シミュレーションの周波数帯域を広帯域化することが可能となる。
また、本発明は、
インダクタの等価回路を表す受動回路素子、
インダクタに流れる電流を参照する電流参照手段、
直流電流重畳時における受動回路素子の特性変化率を実測値を基に電流を変数として表す近似関数により、電流参照手段によって参照される電流に対応して算出される特性変化率、および直流電流無重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる無重畳時電圧に基づいて、直流電流重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる重畳時電圧と無重畳時電圧との差分電圧を発生させる、直流電流の重畳によって特性が変化する受動回路素子に直列に接続される制御電圧源
を備えて構成されるインダクタの非線形等価回路モデルを格納する格納手段と、
インダクタの種類を入力する第1のステップ、
インダクタへ印加する電圧またはインダクタへ流す電流を入力する第2のステップ、
第2のステップで入力された電圧または電流によってインダクタに流れる電流を参照し、第1のステップで入力された種類のインダクタについて予め用意された近似関数により参照電流に対応して算出される特性変化率、および無重畳時電圧に基づいて、制御電圧源によって差分電圧を発生させ、無重畳時電圧に差分電圧を重畳させることで、インダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートする第3のステップを備えるコンピュータプログラムをコンピュータに実行させて、上記のいずれかのインダクタのシミュレーション方法を実行する実行手段と
からインダクタのシミュレーション装置を構成した。
インダクタの等価回路を表す受動回路素子、
インダクタに流れる電流を参照する電流参照手段、
直流電流重畳時における受動回路素子の特性変化率を実測値を基に電流を変数として表す近似関数により、電流参照手段によって参照される電流に対応して算出される特性変化率、および直流電流無重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる無重畳時電圧に基づいて、直流電流重畳時の受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に受動回路素子に生じる重畳時電圧と無重畳時電圧との差分電圧を発生させる、直流電流の重畳によって特性が変化する受動回路素子に直列に接続される制御電圧源
を備えて構成されるインダクタの非線形等価回路モデルを格納する格納手段と、
インダクタの種類を入力する第1のステップ、
インダクタへ印加する電圧またはインダクタへ流す電流を入力する第2のステップ、
第2のステップで入力された電圧または電流によってインダクタに流れる電流を参照し、第1のステップで入力された種類のインダクタについて予め用意された近似関数により参照電流に対応して算出される特性変化率、および無重畳時電圧に基づいて、制御電圧源によって差分電圧を発生させ、無重畳時電圧に差分電圧を重畳させることで、インダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートする第3のステップを備えるコンピュータプログラムをコンピュータに実行させて、上記のいずれかのインダクタのシミュレーション方法を実行する実行手段と
からインダクタのシミュレーション装置を構成した。
本構成によれば、シミュレートするインダクタの種類、およびインダクタへ印加する電圧またはインダクタへ流す電流の値がコンピュータプログラムに入力されることで、入力された種類のインダクタの非線形特性は、コンピュータプログラムにより、受動回路素子の無重畳時電圧に差分電圧が重畳させられて自動的にシミュレーションされる。このため、本シミュレーション装置の利用者は、シミュレートするインダクタの種類、およびインダクタへ印加する電圧またはインダクタへ流す電流の値をコンピュータプログラムに入力するだけで、的確な回路シミュレーションを高精度かつ簡単に行える。この結果、回路シミュレートに関する専門知識を持たない一般の利用者であっても、インダクタを用いた電子回路の的確な回路シミュレーションを高精度かつ簡単に行える。
また、本発明は、前記格納手段および前記コンピュータプログラムを備えるサーバにインターネット網を介してアクセスし、インターネット網に接続された端末から前記実行手段に前記コンピュータプログラムを実行させるインダクタのシミュレーション装置の使用方法を構成した。
本構成によれば、利用者は、インターネット網に接続された端末から前記格納手段および前記コンピュータプログラムを備えるサーバにアクセスすることで、前記コンピュータプログラムを容易に使用することが出来る。このため、本発明によるインダクタのシミュレーション装置を多数の利用者が使用することが可能になる。
本発明によれば、上記のように、インダクタの直流電流重畳時の非線形特性を精度高く動的にシミュレートすることが可能なインダクタのシミュレーション方法並びにインダクタのシミュレーション装置およびその使用方法を単純な構成で簡単に提供することができる。
次に、本発明によるインダクタのシミュレーション方法およびインダクタの非線形等価回路モデルを、リニアテクノロジー社が提供するLTspiceに適用した実施の形態について、説明する。
図1(a)は、第1の実施の形態におけるインダクタの直流電流無重畳時の受動等価回路モデル、同図(b)は第1の実施の形態における直流電流重畳時のインダクタの非線形等価回路モデルを示す回路図である。
各等価回路モデルにおける、誘導素子L1と抵抗素子R1との直列回路は、シミュレーションの対象とするインダクタの等価回路を表す受動回路素子を構成する。同図(a)に示す受動等価回路モデルでは、直流電流Idcが重畳していない交流電流Iacが、LTspiceの電流源モデルI0によって受動回路素子L1,R1に電流Iとして流される。また、同図(b)に示す非線形等価回路モデルでは、直流電流Idcが重畳した交流電流Iacが、LTspiceの電流源モデルI1によって受動回路素子L1,R1に電流Iとして流される。ここで、各等価回路における誘導素子L1の回路定数は5[μH]、抵抗素子R1の回路定数は0.2[Ω]、直流重畳電流Idcは1[A]に設定した。
同図(a)に示す受動等価回路モデルにおける電圧源モデルV0、および同図(b)に示す非線形等価回路モデルにおける電圧源モデルV1は、各等価回路モデルに流れる電流Iを計測する。これら電圧源モデルV0,V1は、それぞれの回路における電流を計測するために設定した、LTspiceにおける便宜上のコンポーネントであり、設定電圧Vが0[V]に設定されて電流計として代用される。本実施の形態では、計測された電流Iのうちの直流電流Idcが参照電流Irefとされる。電圧源モデルV0,V1は、シミュレーションの対象とするインダクタに流れる電流Irefを参照する電流参照手段を構成する。なお、本実施形態では、電流Iのうちの直流電流Idcだけを参照しているが、直流電流Idcと交流電流Iacとの双方を参照して参照電流Irefとするようにしてもよい。
同図(b)に示す制御電圧源B1は、受動回路素子L1,R1の回路定数の変化率すなわち特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)、および無重畳時電圧VL1,VR1に基づいて、後述するように、重畳時電圧VL1(Idc),VR1(Idc)と無重畳時電圧VL1,VR1との差分電圧ΔVL1,ΔVR1を発生させる。ここで、特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)は、直流電流Idcの無重畳時における受動回路素子L1,R1の回路定数に対する、直流電流Idcの重畳時における回路定数の比である。また、無重畳時電圧VL1,VR1は、直流電流Idcの無重畳時に受動回路素子L1,R1に生じる電圧であり、重畳時電圧VL1(Idc),VR1(Idc)は、直流電流Idcの重畳時に受動回路素子L1,R1に生じる電圧である。この制御電圧源B1は、図示するように、直流電流Idcの重畳によって特性が変化する受動回路素子L1,R1に直列に接続される。
各等価回路モデルにおける受動回路素子L1,R1は、その回路定数が直流重畳電流Idcに依存しない不変のものを表しており、その特性変化による電圧変動分は制御電圧源B1によって表される。制御電圧源B1は、LTspiceにおいてビヘイビア電圧源モデルとして扱われるLTspiceのコンポーネントであり、参照する電流Irefおよび無重畳時電圧VL1,VR1に依存して、それ自身の値が従属的に決定される。
直流電流Idcの重畳によって抵抗素子R1と誘導素子L1の回路定数が変化する場合、本来であれば、図2(a)の回路図に示すように、抵抗素子R1は、直流重畳電流Idcの値に依存して抵抗値が変化する可変抵抗素子RX1(Idc)、誘導素子L1は、直流重畳電流Idcの値に依存してリアクタンスが可変する可変誘導素子LX1(Idc)、と表される。ここで、抵抗素子R1と誘導素子L1との直列回路には、抵抗素子R2と容量素子C2との直列回路が、並列に接続されているものとする。これら抵抗素子R2および容量素子C2は、直流電流Idcの重畳によって回路定数が変化せず、不変であるものとする。このため、回路図における抵抗素子R2および容量素子C2の素子記号には、可変誘導素子LX1(Idc)および可変抵抗素子RX1(Idc)と異なり、可変を示す矢印が無い。
この回路の入力端子に図示するように電流Iが流れ、可変抵抗素子RX1(Idc)と可変誘導素子LX1(Idc)との直列回路に電流I1、抵抗素子R2と容量素子C2との直列回路に電流I2が流れるものと仮定する。この場合、回路に流れる電流I、および回路の入出力端子間に生じる電圧Vは、それぞれ次の(4)式および(5)式によって表される。
I=I1+I2 …(4)
V=RX1(Idc)・I1+LX1(Idc)・dI1/dt …(5)
I=I1+I2 …(4)
V=RX1(Idc)・I1+LX1(Idc)・dI1/dt …(5)
本実施形態では、直流電流Idcの重畳によって回路定数が変化する可変抵抗素子RX1(Idc)を、図3(a)に示すように、LTspiceでビヘイビア電圧源モデルとして扱われる制御電圧源BRと抵抗素子R1との直列回路1として表す。また、直流電流Idcの重畳によって回路定数が変化する可変誘導素子LX1(Idc)を、図3(a)に示すように、LTspiceでビヘイビア電圧源モデルとして扱われる制御電圧源BLと誘導素子L1との直列回路2として表す。この抵抗素子R1および誘導素子L1は、図1におけるものと同じであり、その回路定数が直流重畳電流Idcに依存しない不変のものを表している。
制御電圧源BRは、直流電流Idcの重畳によって抵抗素子R1に生じる電圧の変動分を、直流電流Idcの値に応じて差分電圧ΔVR1(Idc)として発生させる。制御電圧源BLは、直流電流Idcの重畳によって誘導素子L1に生じる電圧の変動分を、直流電流Idcの値に応じて差分電圧ΔVL1(Idc)として発生させる。直列に接続されるこれら制御電圧源BRおよびBLは、図3(b)に示すように、1つの制御電圧源(BR+BL)として表すことができる。ただし、制御電圧源(BR+BL)の発生する電圧の値は、各制御電圧源BRおよびBLが発生する電圧の値の和となる。
可変抵抗素子RX1(Idc)および可変誘導素子LX1(Idc)を上記のように等価モデル化することで、本来的には図2(a)に示される回路は、図2(b)に示す本実施形態の非線形等価回路モデルに置き換えられる。つまり、図2(a)に示される可変抵抗素子RX1(Idc)と可変誘導素子LX1(Idc)との直列回路は、抵抗素子R1と誘導素子L1との直列回路に制御電圧源B1を直列に接続した図2(b)に示す回路に置き換えられる。この制御電圧源B1は、図3(b)における制御電圧源(BR+BL)に相当し、直流電流Idcの重畳によって抵抗素子R1と誘導素子L1との双方に生じる電圧の変動分を、直流重畳電流Idcの値に応じて差分電圧ΔVX1(Idc)として発生させる。また、抵抗素子R1の両端には無重畳時電圧VR1、誘導素子L1の両端には無重畳時電圧VL1が生じる。
この場合、非線形等価回路モデルの入出力端子間の電圧Vは、次の(6)式によって表される。
V=R1・I1+L1・dI1/dt+ΔVX1(Idc) …(6)
V=R1・I1+L1・dI1/dt+ΔVX1(Idc) …(6)
また、差分電圧ΔVX1(Idc)は、抵抗素子R1に生じる電圧の変動分である差分電圧ΔVR1(Idc)と、誘導素子L1に生じる電圧の変動分である差分電圧ΔVLI(Idc)との和であるから、次の(7)式によって表される。
ΔVX1(Idc)=ΔVR1(Idc)+ΔVL1(Idc) …(7)
ΔVX1(Idc)=ΔVR1(Idc)+ΔVL1(Idc) …(7)
また、差分電圧ΔVR1(Idc)は、抵抗素子R1の重畳時電圧VR1(Idc)と無重畳時電圧VR1との差であるから、次の(8)式によって表される。
ΔVR1(Idc)
=VR1(Idc)−VR1
=(RX1(Idc)−R1)・I1
=(kR1(Idc)−1)・R1・I1
=(kR1(Idc)−1)・VR1 …(8)
ΔVR1(Idc)
=VR1(Idc)−VR1
=(RX1(Idc)−R1)・I1
=(kR1(Idc)−1)・R1・I1
=(kR1(Idc)−1)・VR1 …(8)
ここで、特性変化率kR1(Idc)は、直流電流Idcの無重畳時における受動回路素子R1の回路定数R1に対する、直流電流Idcの重畳時における回路定数RX1(Idc)の比であり、次の(9)式によって表される。
kR1(Idc)=RX1(Idc)/R1 …(9)
kR1(Idc)=RX1(Idc)/R1 …(9)
制御電圧源B1は、(8)式に示されるように、特性変化率kR1(Idc)から1を減算した値に無重畳時電圧VR1を乗算することで、つまり、特性変化率kR1(Idc)および無重畳時電圧VR1に基づいて、重畳時電圧VR1(Idc)と無重畳時電圧VR1との差分電圧ΔVR1(Idc)を発生させる。
また、差分電圧ΔVL1(Idc)は、誘導素子L1の重畳時電圧VL1(Idc)と無重畳時電圧VL1との差であるから、次の(10)式によって表される。
ΔVL1(Idc)
=VL1(Idc)−VL1
=(LX1(Idc)−L1)・dI1/dt
=(kL1(Idc)−1)・L1・dI1/dt
=(kL1(Idc)−1)・VL1 …(10)
ΔVL1(Idc)
=VL1(Idc)−VL1
=(LX1(Idc)−L1)・dI1/dt
=(kL1(Idc)−1)・L1・dI1/dt
=(kL1(Idc)−1)・VL1 …(10)
ここで、特性変化率kL1(Idc)は、直流電流Idcの無重畳時における受動回路素子L1の回路定数L1に対する、直流電流Idcの重畳時における回路定数LX1(Idc)の比であり、次の(11)式によって表される。
kL1(Idc)=LX1(Idc)/L1 …(11)
kL1(Idc)=LX1(Idc)/L1 …(11)
制御電圧源B1は、(10)式に示されるように、特性変化率kL1(Idc)から1を減算した値に無重畳時電圧VL1を乗算することで、つまり、特性変化率kL1(Idc)および無重畳時電圧VL1に基づいて、重畳時電圧VL1(Idc)と無重畳時電圧VL1との差分電圧ΔVL1(Idc)を発生させる。
また、本実施の形態では、図1に示されるように、電流参照手段を構成する電圧源モデルV0,V1が等価回路モデルの入力端に設けられている。制御電圧源B1は、差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)を発生させる際、等価回路モデルの入力端で電流Irefを参照する。なお、電圧源モデルV0,V1を等価回路モデルの出力端に設けて、制御電圧源B1が、等価回路モデルの出力端で電流Irefを参照するようにしてもよい。また、制御電圧源B1は、差分電圧ΔVL1,ΔVR1を発生させる際、受動回路素子L1,R1の両端で無重畳時電圧VL1(Idc),VR1(Idc)を参照する。
特性変化率kR1(Idc),kL1(Idc)は、近似関数exp(f(x))により、電圧源モデルV0,V1によって計測される参照電流Iref(=Idc)に対応して算出される。近似関数exp(f(x))は、実測値を基に、インダクタに流れる参照電流Irefを変数xとして、後述するように(図15,図16参照)、表される。本実施形態では、近似関数exp(f(x))は、奇数次のべき乗項を含まない多項式形式の偶関数で与えられる。また、(8)式および(10)式で表される差分電圧ΔVR1(Idc),ΔVL1(Idc)は、この近似関数exp(f(x))を用いて次の(12)式および(13)式の関数形で与えられる。
ΔVR1(Idc)=[exp(f(x))−1]・VR1 …(12)
ΔVL1(Idc)=[exp(f(x))−1]・VL1 …(13)
ΔVR1(Idc)=[exp(f(x))−1]・VR1 …(12)
ΔVL1(Idc)=[exp(f(x))−1]・VL1 …(13)
本実施の形態のインダクタのシミュレーション方法では、まず、インダクタの等価回路を受動回路素子L1,R1の直列回路を使って表し、図1(b)に示す非線形等価回路モデルを構築する。そして、直流電流Idcの重畳時における受動回路素子L1,R1の特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)を、実測値を基に、参照電流Irefを変数xとする近似関数exp(f(x))として表す。次に、受動回路素子L1,R1に直列に接続される制御電圧源B1により、電圧源モデルV0,V1によって計測される参照電流Irefが参照され、近似関数exp(f(x))が用いられて、参照電流Irefに対応して特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)が算出される。また、制御電圧源B1により、受動回路素子L1,R1の両端に生じる無重畳時電圧VL1,VR1が参照される。そして、特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)および無重畳時電圧VL1,VR1に基づいて、制御電圧源B1により、重畳時電圧VL1(Idc),VR1(Idc)と無重畳時電圧VL1,VR1との差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)が発生させられ、無重畳時電圧VL1,VR1に差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)が重畳させられることで、インダクタの直流電流Idcの重畳時の非線形特性がシミュレートされる。
図4(a)は、上記のようにインダクタの非線形特性がシミュレートされて、図1(b)に示す非線形等価回路モデルから算出されるインダクタのインピーダンスZの大きさMagZについての周波数特性と、図1(a)に示す受動等価回路モデルから算出される同大きさMagZについての周波数特性とを、比較して示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は大きさMagZの値[Ω]を表す。また、実線で示す周波数特性A1は非線形等価回路モデルから算出される、直流重畳電流Idc=1[A]のときの特性、破線で示す周波数特性A0は受動等価回路モデルから算出される、直流重畳電流Idc=0のときの特性である。
図4(b)は、上記のようにインダクタの非線形特性がシミュレートされて、図1(b)に示す非線形等価回路モデルから算出されるインダクタの等価直列抵抗ESRの周波数特性と、図1(a)に示す受動等価回路モデルから算出される同等価直列抵抗ESRについての周波数特性とを、比較して示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は等価直列抵抗ESRの値[Ω]を表す。また、実線で示す周波数特性B1は非線形等価回路モデルから算出される、直流重畳電流Idc=1[A]のときの特性、破線で示す周波数特性B0は受動等価回路モデルから算出される、直流重畳電流Idc=0のときの特性である。
図4(a)のグラフに示されるように、インピーダンスの大きさMagZについての周波数特性A1は、直流電流Idcの重畳によってMagZの値が直流電流無重畳時の周波数特性A0より小さくなっており、直流電流Idcの重畳によってインピーダンスが変動している。また、低周波域では、図4(b)に示す等価直列抵抗ESRの特性に漸近する。また、図4(b)のグラフに示されるように、等価直列抵抗ESRについての周波数特性B1も、直流電流Idcの重畳によってESRの値が直流電流無重畳時の周波数特性B0より小さくなっており、直流電流Idcの重畳によって変動している。しかし、周波数特性B1およびB0ともに、等価直列抵抗ESRの値は周波数に依らずに一定値となっている。
このような第1の実施の形態によるインダクタのシミュレーション方法およびインダクタの非線形等価回路モデルにおいては、上記のように、直流電流Idcの重畳時における受動回路素子L1,R1の特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)が、実測値を基に、インダクタに流れる参照電流Irefを変数xとした近似関数exp(f(x))により表される。従って、(9)式,(11)式に示される特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)は、参照する電流Irefに応じて、この近似関数exp(f(x))により算出される。また、重畳時電圧VL1(Idc),VR1(Idc)は、無重畳時電圧VL1,VR1に、(8)式,(10)式に示される差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)を重畳させることで、求めることができる。このため、上記の特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)および無重畳時電圧VL1,VR1に基づいて、制御電圧源B1により、差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)を発生させ、制御電圧源B1に受動回路素子L1,R1を直列に接続して、この差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)を無重畳時電圧VL1,VR1に重畳させることで、受動回路素子L1,R1の重畳時電圧VL1(Idc),VR1(Idc)をシミュレートすることができる。
すなわち、インダクタに流れる電流Irefを参照して近似関数exp(f(x))により受動回路素子L1,R1の特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)を算出し、特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)および無重畳時電圧VL1,VR1に基づいて制御電圧源B1により(8)式,(10)式に示される差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)を発生させることで、任意の直流重畳電流Idcに対して動的に追従可能なシミュレーションをすることができる。この結果、インダクタの直流電流重畳時の非線形特性を精度高く動的にシミュレートすることが可能なインダクタのシミュレーション方法およびインダクタの非線形等価回路モデルを単純な構成で簡単に提供することができる。また、インダクタの非線形等価回路モデルは、上記のように、無重畳時電圧VL1,VR1を基準にして、無重畳時電圧VL1,VR1に差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)を制御電圧源B1によって単に重畳させることで得られるので、逆に、図1(b)に示される非線形等価回路モデルから制御電圧源B1を除外することで、無重畳時電圧VL1,VR1に対応した、つまり、直流電流Idcが重畳しない場合の、図1(a)に示されるインダクタの等価回路モデルを簡単に得ることができる。
また、第1の実施の形態によるインダクタのシミュレーション方法およびインダクタの非線形等価回路モデルによれば、参照電流Irefの値がゼロ(x=0)のときには、指数関数である近似関数exp(f(x))の値が1になり、無重畳時電圧VL1,VR1に乗算される、(12)式および(13)式に示される係数[exp(f(x))−1]の値がゼロになるので、差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)の値もゼロとなる。また、参照電流Irefの値がゼロでないときには、近似関数exp(f(x))の値が1より大きくなり、無重畳時電圧V0に乗算される係数[exp(f(x))−1]の値がゼロより大きくなるため、差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)が参照電流Irefに対応して必ず算出されてインダクタの特性がシミュレートされ、インダクタの定性理解に供される。
また、第1の実施の形態によるインダクタのシミュレーション方法およびインダクタの非線形等価回路モデルによれば、近似関数exp(f(x))が奇数次のべき乗項を含まない多項式形式の偶関数で表現されるため、従来のインダクタのシミュレーションとは異なり、直流バイアスの符号が逆になった場合や直流バイアスの値が突発的に変化した場合などにも、特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)は近似関数exp(f(x))によって適切に近似される。
また、第1の実施の形態によるインダクタのシミュレーション方法およびインダクタの非線形等価回路モデルによれば、参照電流Irefまたは無重畳時電圧VL1,VR1を等価回路モデルと別に設定して計算する方式とは異なり、等価回路モデル内の入力端もしくは出力端に生じる瞬時電流、または等価回路モデル内の受動回路素子L1,R1両端に生じる瞬時電圧が参照されて、差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)の演算が行われる。このため、差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)の演算に用いられる参照電流Irefおよび無重畳時電圧VL1,VR1は時間遅れなく参照され、インダクタの非線形特性についての過渡応答解析を高速に高精度で行うことが可能となる。
図5(a)は、本発明の第2の実施の形態におけるインダクタの直流電流無重畳時の受動等価回路モデル、同図(b)は第2の実施の形態における直流電流重畳時のインダクタの非線形等価回路モデルを示す回路図である。なお、同図において図1と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
第2の実施の形態における受動等価回路モデルおよび非線形等価回路モデルでは、誘導素子L1と抵抗素子R1との直列回路に並列に、誘導素子L2と抵抗素子R2との直列回路が接続されて、シミュレーションの対象とするインダクタの等価回路を表す受動回路素子が構成されている。そして、同図(b)に示す非線形等価回路モデルでは、誘導素子L1と抵抗素子R1との直列回路に直列に制御電圧源B1が接続され、誘導素子L2と抵抗素子R2との直列回路に直列に、制御電圧源B1と同様な制御電圧源B2が接続されている。すなわち、この第2の実施の形態における各等価回路モデルでは、制御電圧源B1と受動回路素子L1,R1との直列回路と、制御電圧源B2と受動回路素子L2,R2との直列回路が、複数並列に接続されている。
この第2の実施の形態においても、同図(a)に示す受動等価回路モデルでは、直流電流Idcが重畳していない交流電流Iacが、電流源モデルI0により、受動回路素子L1,R1と受動回路素子L2,R2との並列回路に、電流Iとして流される。また、同図(b)に示す非線形等価回路モデルでは、直流電流Idcが重畳した交流電流Iacが、電流源モデルI1により、受動回路素子L1,R1と受動回路素子L2,R2との並列回路に、電流Iとして流される。ここで、各等価回路における誘導素子L1の回路定数は4[μH]、抵抗素子R1の回路定数は0.2[Ω]、誘導素子L2の回路定数は100[μH]、抵抗素子R2の回路定数は1000[Ω]、直流重畳電流Idcは1[A]に設定した。
同図(b)に示す制御電圧源B1は、受動回路素子L1,R1の特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)および無重畳時電圧VL1,VR1に基づいて、第1の実施形態のシミュレーション方法と同様に、重畳時電圧VL1(Idc),VR1(Idc)と無重畳時電圧VL1,VR1との差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)を発生させる。また、制御電圧源B2は、受動回路素子L2,R2の特性変化率kL2(Idc),kR2(Idc)および無重畳時電圧VL2,VR2に基づいて、制御電圧源B1と同様に、重畳時電圧VL2(Idc),VR2(Idc)と無重畳時電圧VL2,VR2との差分電圧ΔVL2(Idc),ΔVR2(Idc)を発生させる。
図6(a)は、図5(b)に示す非線形等価回路モデルから算出されるインダクタのインピーダンスZの大きさMagZについての周波数特性と、図5(a)に示す受動等価回路モデルから算出される同大きさMagZについての周波数特性とを、比較して示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は大きさMagZの値[Ω]を表す。また、実線で示す周波数特性C1は非線形等価回路モデルから算出される、直流重畳電流Idc=1[A]のときの特性、破線で示す周波数特性C0は受動等価回路モデルから算出される、直流重畳電流Idc=0のときの特性である。
図6(b)は、図5(b)に示す非線形等価回路モデルから算出されるインダクタの等価直列抵抗ESRの周波数特性と、図5(a)に示す受動等価回路モデルから算出される同等価直列抵抗ESRについての周波数特性とを、比較して示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は等価直列抵抗ESRの値[Ω]を表す。また、実線で示す周波数特性D1は非線形等価回路モデルから算出される、直流重畳電流Idc=1[A]のときの特性、破線で示す周波数特性D0は受動等価回路モデルから算出される、直流重畳電流Idc=0のときの特性である。
図6(a)のグラフに示されるように、インピーダンスの大きさMagZについての周波数特性C1も、図4(a)のグラフに示される周波数特性A1と同様に、直流電流Idcの重畳によってMagZの値が直流電流無重畳時の周波数特性C0より小さくなっており、直流電流Idcの重畳によってインピーダンスが変動している。また、低周波域では、図6(b)に示す等価直列抵抗ESRの特性に漸近する。また、図6(b)のグラフに示されるように、等価直列抵抗ESRについての周波数特性D1も、図4(b)のグラフに示される周波数特性B1と同様に、直流電流Idcの重畳によってESRの値が直流電流無重畳時の周波数特性D0より小さくなっており、直流電流Idcの重畳によって変動している。しかし、周波数特性D1およびD0ともに、図4(b)のグラフに示される周波数特性B1およびB0と異なり、等価直列抵抗ESRの値が周波数によって変化し、周波数特性を持つ値となっている。
このような第2の実施の形態によるインダクタのシミュレーション方法およびインダクタの非線形等価回路モデルによれば、制御電圧源B1と受動回路素子L1,R1との簡単な直列回路と、制御電圧源B2と受動回路素子L2,R2との簡単な直列回路とが単に並列に接続され、その並列数が増えることで、等価回路モデルのシミュレート精度が高められる。このため、シミュレート精度の高い等価回路モデルを、規則的で見通しよく構成することができる。また、制御電圧源B1、B2と受動回路素子L1,R1、L2,R2とによる各直列回路を複数並列に接続するだけなので、系統的な演算手続によって受動回路素子L1,R1、L2,R2の直流電流重畳時の特性をシミュレートすることができる。
なお、上記の第1の実施の形態並びに第2の実施の形態による受動等価回路モデルでは、図7(b)に示すように、誘導素子Lと抵抗素子Rとの直列回路によって受動回路素子を構成することで、直流電流Idcが重畳されない場合の受動回路素子の特性を表した。そして、非線形等価回路モデルでは、図7(e)に示すように、この直列回路に直列に制御電圧源Bを接続することで、受動回路素子の直流電流Idcが重畳される場合の特性をシミュレートした。
しかし、図7(a)に示す受動等価回路モデルのように、誘導素子Lの単体で受動回路素子を構成するようにしてもよい。この場合、非線形等価回路モデルは、図7(d)に示すように、誘導素子Lの単体に直列に制御電圧源Bが接続される。また、図7(c)に示す受動等価回路モデルのように、誘導素子Lと抵抗素子Rと容量素子Cとの直列回路で受動回路素子を構成するようにしてもよい。この場合、非線形等価回路モデルは、図7(f)に示すように、この直列回路に直列に制御電圧源Bが接続される。このように受動回路素子を構成しても、直流電流Idcが重畳されない場合の受動回路素子の特性は、誘導素子Lの単体、または誘導素子Lと抵抗素子Rと容量素子Cとの直列回路によって表される。そして、これら回路に直列に制御電圧源Bが接続されることで、受動回路素子の直流電流Idcが重畳される場合の特性がシミュレートされる。
また、上記の第1の実施の形態並びに第2の実施の形態では、全ての受動回路素子L1,R1、L2,R2が、直流電流Idcの重畳によってその特性が変化する場合について、説明した。しかし、図8(a)に示すアドミッタンス展開型受動等価回路モデルのように、インダクタへの直流電流Idcの重畳によって特性が変化しない受動回路素子r,cを含んで、等価回路が構成されるようにしてもよい。この場合、図8(b)に示すアドミッタンス展開型非線形等価回路モデルでは、直流電流Idcの重畳によって特性が変化する受動回路素子Rx,Lx,Cx(x=1,2,3,…)に直列に制御電圧源Bx(x=1,2,3,…)が接続され、受動回路素子r,cに制御電圧源Bxが接続されないことで、受動回路素子Rx,Lx,Cxの直流電流Idcが重畳される場合の特性がシミュレートされる。なお、同図において図7と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。また、ここでは、等価回路モデルをアドミッタンス展開型に構成した場合について説明しているが、受動回路素子を直列に接続してインピーダンス展開型に各等価回路モデルを構成することも可能である。
図9は、図8(b)に示す非線形等価回路モデルを一般形にして表した、本発明の第3の実施の形態における非線形等価回路モデルの回路図である。なお、図9において図8(b)と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
図9に示す一般形の非線形等価回路モデルを使用したインダクタのシミュレーション方法では、まず、インダクタの等価回路を受動回路素子R,L,Cおよびr,l,cを使って表し、同図に示すような非線形等価回路モデルを構築する。誘導素子lは、抵抗素子rおよび容量素子cと同様、インダクタへの直流電流Idcの重畳によって特性が変化しない受動回路素子である。そして、図1におけるものと同様な電流源モデルI1により、交流電流Iacに直流電流Idcが重畳した電流I(=Idc+Iac)を非線形等価回路モデルに流す。
電流Iは、STEP1において、図1におけるものと同様な、電流計として代用される電圧源モデルV1により、直流電流Idcが参照電流Irefとして参照される(Iref=Idc)。なお、ここでは、電流Iのうちの直流電流Idcだけを参照しているが、直流電流Idcと交流電流Iacとの双方を参照するようにしてもよい。次に、STEP2において、直流電流Idcの重畳時における受動回路素子Rx,Cx,Lx(x=1,2,3,…)の特性変化率kRX(Iref),kCX(Iref),kLX(Iref)(x=1,2,3,…)を、測定値を基に、参照電流Irefを変数xとする近似関数exp(f(x))として表す。そして、受動回路素子Rx,Cx,Lxに直列に接続される制御電圧源BX(x=1,2,3,…)により、電圧源モデルV1によって計測される参照電流Irefが参照され、近似関数exp(f(x))が用いられて、参照電流Irefに対応して特性変化率kRX(Iref),kCX(Iref),kLX(Iref)が算出される。
次に、STEP3において、制御電圧源BXにより、受動回路素子Rx,Cx,Lxの両端に生じる無重畳時電圧VRX,VCX,VLX(x=1,2,3,…)が参照される。そして、特性変化率kRX(Iref),kCX(Iref),kLX(Iref)および無重畳時電圧VRX,VCX,VLXに基づいて、制御電圧源BXにより、重畳時電圧VRX(Iref),VCX(Iref),VLX(Iref)と無重畳時電圧VRX,VCX,VLXとの差分電圧ΔVRX(Iref),ΔVCX(Iref),ΔVLX(Iref)(x=1,2,3,…)が補正電圧として発生させられ、無重畳時電圧VRX,VCX,VLXに差分電圧ΔVRX(Iref),ΔVCX(Iref),ΔVLX(Iref)が重畳させられることで、インダクタの直流電流Idcの重畳時の非線形特性がシミュレートされる。
このような第3の実施の形態によるインダクタのシミュレーションによれば、直流電流Idcの重畳によって特性が変化する受動回路素子Rx,Cx,Lxと、直流電流Idcの重畳によって特性が変化しない受動回路素子r,c,lとが組み合わされて等価回路モデルが構成されるので、インダクタの非線形特性のシミュレーションをさらに高精度化すると共に、シミュレーションの周波数帯域を広帯域化することが可能となる。
なお、図9に示す一般形の非線形等価回路モデルでは、電流計として代用される電圧源モデルV1を等価回路の入力端に設け、等価回路の入力端側において参照電流Irefを計測した場合について説明した。しかし、図10に示すように、等価回路の出力端に平滑コンデンサCFを介して電圧源モデルV1を設け、等価回路の出力端側において、平滑コンデンサCFで平滑した後の参照電流Irefを計測するようにしてもよい。なお、図10において図9と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
また、図11に示すように、受動回路素子単体の回路、および受動回路素子の直列回路の各入力端に電流計となる電圧源モデルVX(x=1,2,3,…)をそれぞれ設け、等価回路の入力端側において、参照電流Irefを計測するようにしてもよい。なお、図11において図9と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
図12は、直流電流Idcの重畳によって特性が変化しない受動回路素子r1,c1、r2,c2が組み合わされて構成された、本発明の第4の実施の形態におけるインダクタのアドミッタンス展開型等価回路モデルの具体的な一例を示す回路図である。特性をシミュレートするインダクタは、インダクタンスが4.7[μH]、定格電流が1100[mA]のパワーインダクタ製品である。以下、このパワーインダクタ製品を供試インダクタと記載する。この等価回路モデルでは、直流電流Idcの重畳によって特性が変化する受動回路素子が、RX1,RX2、LX1、LX2として表されている。直流電流Idcの重畳によって特性が変化するかしないかは、実際の測定値の分析によって決定される。
このアドミッタンス展開型等価回路モデルは、誘導素子LX1と抵抗素子RX1との直列回路No.1、容量素子c1の単体の回路No.2、抵抗素子r1の単体の回路No.3、誘導素子LX2と抵抗素子RX2との直列回路No.4、および容量素子c2と抵抗素子r2との直列回路No.5とが、並列に接続されて構成されている。直列回路No.1、回路No.2および回路No.3の並列回路は、シミュレートする供試インダクタの主共振周波数付近の周波数特性を実際の特性にフィッティングする。直列回路No.4は、シミュレートする供試インダクタの誘導性帯域の周波数特性を実際の特性にフィッティングする。直列回路No.5は、シミュレートする供試インダクタの容量性帯域の周波数特性を実際の特性にフィッティングする。
上記のフィッティングにより導出される各回路素子の回路定数は、直列回路No.1を構成する誘導素子LX1が3.68×10−6[H]、抵抗素子RX1が1.93×10−1[Ω]である。また、回路No.2の容量素子c1が3.65×10−12[F]、回路No.3の抵抗素子r1が3.89×104[Ω]、直列回路No.4の誘導素子LX2が1.31×10−4[H]、抵抗素子RX2が1.37×103[Ω]、直列回路No.5の容量素子c2が2.66×10−12[F]、抵抗素子r2が1.75×103[Ω]である。
図13(a)は、上記供試インダクタの等価直列抵抗ESRの周波数特性を、100[kHz]〜100[MHz]の周波数帯域で各直流重畳電流Idcについて測定した結果を示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は等価直列抵抗ESRの値[Ω]を表す。ここで、目盛りには10の累乗値が振ってあり、例えば1E+5は1×105(=100000)を表し、「E」は底の10、+5は指数を表す。また、1E−1は同様に1×10-1(=0.1)を表す。また、破線で示す周波数特性f0は直流重畳電流Idc=0(zero)[mA]のときの周波数数特性、実線で示す周波数特性f1は直流重畳電流Idc=400[mA]、一点鎖線で示す周波数特性f2は直流重畳電流Idc=800[mA]、点で示す周波数特性f3は直流重畳電流Idc=1100[mA]のときの周波数数特性である。
図13(b)は、上記供試インダクタの等価直列インダクタンスESLの周波数特性を、100[kHz]〜100[MHz]の同じ周波数帯域で各直流重畳電流Idcについて測定した結果を示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は等価直列インダクタンスESLの値[H]を表す。また、破線で示す周波数特性g0は直流重畳電流Idc=0(zero)[mA]のときの周波数数特性、実線で示す周波数特性g1は直流重畳電流Idc=400[mA]、一点鎖線で示す周波数特性g2は直流重畳電流Idc=800[mA]、点で示す周波数特性g3は直流重畳電流Idc=1100[mA]のときの周波数数特性である。
各グラフに示されるように、直流重畳電流Idcの増大に伴い、等価直列抵抗ESRおよび等価直列インダクタンスESL共に値が小さくなり、変動する。
図14(a)は、図12に示す等価回路モデルを用いて計算される、直流電流Idcの無重畳時における供試インダクタの等価直列抵抗ESRの周波数特性を、図13(a)に示す測定された周波数特性と比較して示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は等価直列抵抗ESRの値[Ω]を表す。また、破線で示す周波数特性f0は、直流重畳電流Idc=0(zero)[mA]のときに測定された上述した特性、実線で示す周波数特性F0は、図12に示す等価回路モデルを用いて計算された直流重畳電流Idc=0(zero)[mA]のときの特性である。
図14(b)は、図12に示す等価回路モデルを用いて計算される、直流電流Idcの無重畳時における供試インダクタの等価直列インダクタンスESLの周波数特性を、図13(b)に示す測定された周波数特性と比較して示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は等価直列インダクタンスESLの値[H]を表す。また、破線で示す周波数特性g0は、直流重畳電流Idc=0(zero)[mA]のときに測定された前述した特性、実線で示す周波数特性G0は、図12に示す等価回路モデルを用いて計算された直流重畳電流Idc=0(zero)[mA]のときの特性である。
各グラフに示されるように、等価直列抵抗ESRおよび等価直列インダクタンスESL共に、図12に示す等価回路モデルを用いた計算値は、実際の測定値と精度良く一致している。
図15(a),(b)、図16(a),(b)は、図12に示す受動回路素子LX1,RX1、LX2,RX2の特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)、kL2(Idc),kR2(Idc)を示すグラフである。各グラフの横軸は供試インダクタに重畳させる直流電流Idc(DCbias)[mA]、縦軸は特性変化率である。前述したように、特性変化率は、誘導素子LX1,LX2については、(11)式に示されるように、直流電流無重畳時における受動回路素子LX1,LX2の回路定数L1,L2に対する、直流電流重畳時における回路定数LX1(Idc),LX2(Idc)の比である。抵抗素子RX1,RX2については、(9)式に示されるように、直流電流無重畳時における受動回路素子RX1,RX2の回路定数R1,R2に対する、直流電流重畳時における回路定数RX1(Idc),RX2(Idc)の比である。
また、各グラフにおける四角形のプロットpは特性変化率の測定値であり、各プロットpを結ぶ特性線H1,H2,H3,H4は、この測定値を基に導出される、前述した近似関数exp(f(x))によって表される。
図17(a)は、図12に示す等価回路モデルに基づく、第4の実施の形態におけるインダクタの直流電流無重畳時の受動等価回路モデル、図17(b)は、同じく図12に示す等価回路モデルに基づく、第4の実施の形態における直流電流重畳時のインダクタの非線形等価回路モデルを示す回路図である。なお、同図において図5および図12と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
第4の実施の形態における図17(a)に示す受動等価回路モデルでは、図12では回路素子RX1,RX2、LX1、LX2として表されていた抵抗素子R,誘導素子Lが、直流重畳電流Idcによらずに定数と見なせる受動回路素子R1,R2、L1、L2として、表されている。また、図17(b)に非線形等価回路モデルでは、上記の誘導素子L1と抵抗素子R1との直列回路に直列に制御電圧源B1が接続され、上記の誘導素子L2と抵抗素子R2との直列回路に直列に、制御電圧源B1と同様な制御電圧源B2が接続されて、図12の回路素子RX1,RX2、LX1、LX2が表されている。この第4の実施の形態における各等価回路モデルでも、図5に示される第2の実施の形態における各等価回路モデルと同様、制御電圧源B1と受動回路素子L1,R1との直列回路と、制御電圧源B2と受動回路素子L2,R2との直列回路が、複数並列に接続されている。また、図9に示される第3の実施の形態における等価回路モデルと同様、インダクタへの直流電流Idcの重畳によって特性が変化しない受動回路素子r1,c1,r2,c2を含んで構成されている。
この第4の実施の形態においても、図17(a)に示す受動等価回路モデルでは、直流電流Idcが重畳していない交流電流Iacが、電流源モデルI0によって回路に電流Iとして流される。また、同図(b)に示す非線形等価回路モデルでは、直流電流Idcが重畳した交流電流Iacが、電流源モデルI1によって回路に電流Iとして流される。
図17に示す等価回路モデルを用いたインダクタのシミュレーションにおいても、まず、図15、図16に示す特性線H1,H2、H3,H4を表す近似関数exp(f(x))を使い、参照電流Irefに対応して特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)、kL2(Idc),kR2(Idc)を算出する。そして、制御電圧源B1は、算出した受動回路素子L1,R1の特性変化率kL1(Idc),kR1(Idc)および無重畳時電圧VL1,VR1に基づいて、第1の実施形態のシミュレーション方法と同様にして、重畳時電圧VL1(Idc),VR1(Idc)と無重畳時電圧VL1,VR1との差分電圧ΔVL1(Idc),ΔVR1(Idc)を発生させる。また、制御電圧源B2は、算出した受動回路素子L2,R2の特性変化率kL2(Idc),kR2(Idc)および無重畳時電圧VL2,VR2に基づいて、制御電圧源B1と同様にして、重畳時電圧VL2(Idc),VR2(Idc)と無重畳時電圧VL2,VR2との差分電圧ΔVL2(Idc),ΔVR2(Idc)を発生させる。
図18(a)は、図17に示す等価回路モデルを用いて計算される、各直流電流Idcの重畳時および無重畳時における供試インダクタの等価直列抵抗ESRの周波数特性を、図13(a)に示す測定された周波数特性と比較して示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は等価直列抵抗ESRの値[Ω]を表す。
また、破線で示す周波数特性f0,f1,f2,f3は、直流重畳電流Idc=0(zero),400,800,1100[mA]のときに測定された、前述した図13(a)に示す特性である。また、実線で示す周波数特性F0は、図17(b)に示す非線形等価回路モデルを用いて、直流重畳電流Idc=0(zero)[mA]のときに計算された特性、実線で示す周波数特性F1,F2,F3は直流重畳電流Idc=400,800,1100[mA]のときに計算された特性である。図13(a)に示す周波数特性f0〜f3の測定周波数帯域は、前述したように100[kHz]〜100[MHz]であるが、このシミュレーションにおける計算周波数帯域は、100[kHz]〜1000[MHz]である。
図18(b)は、図17に示す等価回路モデルを用いて計算される、各直流電流Idcの重畳時および無重畳時における供試インダクタの等価直列インダクタンスESLの周波数特性を、図13(b)に示す測定された周波数特性と比較して示すグラフである。同グラフの横軸は周波数[Hz]、縦軸は等価直列インダクタンスESLの値[Ω]を表す。
また、破線で示す周波数特性g0,g1,g2,g3は、直流重畳電流Idc=0(zero),400,800,1100[mA]のときに測定された、前述した図13(b)に示す特性である。また、実線で示す周波数特性G0は、図17(b)に示す非線形等価回路モデルを用いて、直流重畳電流Idc=0(zero)[mA]のときに計算された特性、実線で示す周波数特性G1,G2,G3は、直流重畳電流Idc=400,800,1100[mA]のときに計算された特性である。図13(b)に示す周波数特性g0〜g3の測定周波数帯域は、前述したように100[kHz]〜100[MHz]であるが、このシミュレーションにおける計算周波数帯域も、100[kHz]〜1000[MHz]である。
各グラフに示されるように、等価直列抵抗ESRおよび等価直列インダクタンスESL共に、図17に示す等価回路モデルを用いた計算値は、実際の測定値と精度良く一致している。
図19は、等価回路モデルが図17に示される供試インダクタについての、印加電圧に対する電流の過渡応答特性を示すグラフである。
図19(a)に示すグラフは、供試インダクタに印加した、スイッチングレギュレータIC(高集積化回路)の出力電圧波形を示す。同グラフの横軸は時間[μs]、縦軸は電圧[V]を表す。また、実線で示す電圧波形Vaは測定値から得られた波形であり、破線で示す電圧波形Vbは、使用したスイッチングレギュレータICの製造会社が提供するデバイスモデルを使って計算した計算値から得られた波形である。
図19(b)に示すグラフは、図19(a)に示す電圧が印加されることで供試インダクタに流れる電流の過渡応答特性を示す電流波形である。同グラフの横軸は時間[μs]、縦軸は電流[A]を表す。また、実線で示す電流波形Iaは測定値から得られた波形であり、破線で示す電流波形Ibは、図17に示す供試インダクタの等価回路モデルを使って計算した計算値から得られた波形である。
図19(b)のグラフに示されるように、図17に示す供試インダクタの等価回路モデルを使った過渡応答特性の計算値は、実際の測定値と精度良く一致している。
すなわち、第4の実施形態における図17に示す供試インダクタの等価回路モデルを用いたシミュレーションによっても、直流重畳電流Idcに応じて変動する供試インダクタの特性を広帯域かつ高精度に再現してシミュレートすることが可能であり、第1から第3の各実施形態と同様な作用効果が奏される。
なお、上記の各実施の形態では、各等価回路モデルをリニアテクノロジー社が提供するLTspiceに適用した場合について説明したが、適用する回路シミュレータはこれに限定されることはない。例えば、Applied Wave Reserch社(AWR社)が提供するMicrowave Officeや、Agilent Technologies Inc.社(Agilent社) が提供するADSといった他の回路回路シミュレータにも同様に適用することができる。
上述した各実施の形態のインダクタのシミュレーション方法およびインダクタの非線形等価回路モデルは、次のコンピュータプログラムを用いることで、簡単に利用することが出来る。このコンピュータプログラムは、第1のステップと第2のステップと第3のステップとを備える。第1のステップでは、電子回路設計に用いるインダクタの種類を入力する。第2のステップでは、インダクタへ印加する電圧Vまたはインダクタへ流す電流Iを入力する。第3のステップでは、第2のステップで入力された電圧Vまたは電流Iによってインダクタに流れる電流Iを計測して、参照電流Irefを参照する。そして、第1のステップで入力された種類のインダクタについて予め用意された近似関数exp(f(x))により参照電流Irefに対応して算出される特性変化率kRX(Iref),kCX(Iref),kLX(Iref)、および無重畳時電圧VRX,VCX,VLXに基づき、制御電圧源BXによって参照電流Irefに応じて差分電圧ΔVRX(Iref),ΔVCX(Iref),ΔVLX(Iref)を発生させ、無重畳時電圧VRX,VCX,VLXに重畳させることで、インダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートする。コンピュータプログラムは、これら各ステップを実行する演算処理により、上記の各実施形態のインダクタのシミュレーション方法を実施する、または上記の各実施形態のインダクタの非線形等価回路モデルを機能させる。
本構成によれば、シミュレートするインダクタの種類、およびインダクタへ印加する電圧Vまたはインダクタへ流す電流Iの値が、コンピュータプログラムに入力されることで、入力された種類のインダクタの非線形特性は、コンピュータプログラムにより、受動回路素子Rx,Cx,Lxの無重畳時電圧VRX,VCX,VLXに差分電圧ΔVRX(Iref),ΔVCX(Iref),ΔVLX(Iref)が重畳させられて自動的にシミュレーションされる。このため、本シミュレーション方法または本非線形等価回路モデルの利用者は、シミュレートするインダクタの種類、およびインダクタへ印加する電圧Vまたはインダクタへ流す電流Iの値をコンピュータプログラムに入力するだけで、的確な回路シミュレーションを高精度かつ簡単に行える。この結果、回路シミュレートに関する専門知識を持たない一般の利用者であっても、インダクタを用いた電子回路の的確な回路シミュレーションを高精度かつ簡単に行える。
また、上記のコンピュータプログラムは、上記コンピュータプログラムを備える電子部品製造メーカなどのサーバにインターネット網を介してアクセスすることで、インターネット網に接続されたパーソナルコンピュータ等の端末から使用することが出来る。本構成によれば、利用者は、インターネット網に接続された端末から上記コンピュータプログラムを備えるサーバにアクセスすることで、上記コンピュータプログラムを容易に使用することが出来る。このため、上記の各実施の形態によるインダクタのシミュレーション方法およびインダクタの非線形等価回路モデルを多数の利用者に提供することが可能になる。
Rx,Lx,Cx,r,l,c…受動回路素子
BX…制御電圧源(ビヘイビア電圧源モデル)
VX…電圧源モデル(電流計)
IX…電流源モデル
RX1(Idc)…可変抵抗素子
LX1(Idc)…可変誘導素子
BX…制御電圧源(ビヘイビア電圧源モデル)
VX…電圧源モデル(電流計)
IX…電流源モデル
RX1(Idc)…可変抵抗素子
LX1(Idc)…可変誘導素子
Claims (10)
- 受動回路素子を使って表されたインダクタの等価回路を用いてインダクタの特性をコンピュータによってシミュレートするインダクタのシミュレーション方法において、
コンピュータは、
インダクタに流れる電流を参照し、
参照した電流に対応して、実測値を基に電流を変数として表された近似関数により算出される直流電流重畳時における前記受動回路素子の特性変化率、および直流電流無重畳時の前記受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に前記受動回路素子に生じる無重畳時電圧に基づいて、直流電流の重畳によって特性が変化する前記受動回路素子に直列に接続される制御電圧源により、直流電流重畳時の前記受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に前記受動回路素子に生じる重畳時電圧と前記無重畳時電圧との差分電圧を発生させ、前記無重畳時電圧に前記差分電圧を重畳させることで、
インダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートすることを特徴とするインダクタのシミュレーション方法。 - インダクタの等価回路を表す受動回路素子と、
前記インダクタに流れる電流を参照する電流参照手段と、
直流電流重畳時における前記受動回路素子の特性変化率を実測値を基に電流を変数として表す近似関数により、前記電流参照手段によって参照される電流に対応して算出される前記特性変化率、および直流電流無重畳時の前記受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に前記受動回路素子に生じる無重畳時電圧に基づいて、直流電流重畳時の前記受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に前記受動回路素子に生じる重畳時電圧と前記無重畳時電圧との差分電圧を発生させる、直流電流の重畳によって特性が変化する前記受動回路素子に直列に接続される制御電圧源と
を備えて構成されるインダクタの非線形等価回路モデルを用いてインダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートするインダクタのシミュレーション方法。 - 前記差分電圧は、前記差分電圧をΔV、前記無重畳時電圧をV0、前記近似関数を参照する電流xを変数とする関数exp(f(x))とした場合に、次式
ΔV=V0×[exp(f(x))−1]
の関数形で与えられる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインダクタのシミュレーション方法。 - 前記近似関数は奇数次のべき乗項を含まない多項式形式の偶関数で与えられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインダクタのシミュレーション方法。
- 前記インダクタに流れる電流は前記等価回路の入力端または出力端で参照され、前記無重畳時電圧は前記受動回路素子の両端で参照されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインダクタのシミュレーション方法。
- 前記制御電圧源に直列に接続される前記受動回路素子は、誘導素子単体、または誘導素子と抵抗素子との直列回路、または誘導素子と抵抗素子と容量素子との直列回路であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインダクタのシミュレーション方法。
- 前記制御電圧源と前記受動回路素子との直列回路が複数並列に接続されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインダクタのシミュレーション方法。
- 前記等価回路は、直流電流の重畳によって特性が変化しない前記受動回路素子を含んで構成されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のインダクタのシミュレーション方法。
- インダクタの等価回路を表す受動回路素子、
前記インダクタに流れる電流を参照する電流参照手段、
直流電流重畳時における前記受動回路素子の特性変化率を実測値を基に電流を変数として表す近似関数により、前記電流参照手段によって参照される電流に対応して算出される前記特性変化率、および直流電流無重畳時の前記受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に前記受動回路素子に生じる無重畳時電圧に基づいて、直流電流重畳時の前記受動回路素子の特性に応じて直流電流重畳時に前記受動回路素子に生じる重畳時電圧と前記無重畳時電圧との差分電圧を発生させる、直流電流の重畳によって特性が変化する前記受動回路素子に直列に接続される制御電圧源
を備えて構成されるインダクタの非線形等価回路モデルを格納する格納手段と、
前記インダクタの種類を入力する第1のステップ、
前記インダクタへ印加する電圧または前記インダクタへ流す電流を入力する第2のステップ、
前記第2のステップで入力された電圧または電流によって前記インダクタに流れる電流を参照し、前記第1のステップで入力された種類の前記インダクタについて予め用意された前記近似関数により参照電流に対応して算出される前記特性変化率、および前記無重畳時電圧に基づいて、前記制御電圧源によって前記差分電圧を発生させ、前記無重畳時電圧に前記差分電圧を重畳させることで、前記インダクタの直流電流重畳時の非線形特性をシミュレートする第3のステップを備えるコンピュータプログラムをコンピュータに実行させて、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のインダクタのシミュレーション方法を実行する実行手段と
から構成されるインダクタのシミュレーション装置。 - 前記格納手段および前記コンピュータプログラムを備えるサーバにインターネット網を介してアクセスし、インターネット網に接続された端末から前記実行手段に前記コンピュータプログラムを実行させる請求項9に記載のインダクタのシミュレーション装置の使用方法。
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