JP5771901B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等として用いられる撮像装置に関し、特に、車載カメラに好適な撮像装置に関する。
従来、撮像用のレンズ等の光学素子と、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子と、を有する撮像装置が、車載カメラやデジタルカメラ、デジタルビデオ等に広く適用されている。撮像装置は、一般に、光学素子(レンズ)の結像位置が撮像素子(その受光面)となるように位置決めした状態で、筐体に収められて構成されている。
このような撮像装置では、筐体を防水機能や防塵機能を有する構成とすることにより、内部のレンズ(光学素子)および撮像素子(その駆動のための電装品)を水や塵から保護するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の撮像装置は、レンズと撮像素子とを位置決め固定したユニットを、一端にレンズを露出させるためのレンズ開口を有しかつ他端にユニット挿入のために開閉可能な挿入開口を有する筐体に、開放した挿入開口から挿入して固定する構成とされている。特許文献1の撮像装置では、レンズ開口から露見されるレンズの周囲を封止する必要があることから、レンズ開口とレンズとの間にOリングを介在させつつ位置決め固定したユニットを挿入開口から挿入した状態で、筐体内部において撮影光軸方向に延在するネジ部材で当該ユニットを筐体に固定しており、筐体とレンズとの間を互いに圧接するOリングで防水(防塵)するものとされている。
ところが、この特許文献1の撮像装置では、レンズと撮像素子との位置決め固定が完了したユニットを筐体に取り付けるものであって、筐体とレンズとを撮影光軸方向に圧接させることによりOリングによる封止性能を確保するものであることから、位置決め固定したユニットにおいて、係合箇所に係合されるネジ部材への撮影光軸方向からの固定動作(締め付け操作)を可能な構成とする必要がある。ここで、撮像装置では、小型化が要求されることから、位置決め固定したユニットにおいて、係合箇所を撮影光軸に直交する方向で見て撮像素子が設けられた基板よりも突出する位置とすることは大型化を招くため望ましくない。このため、特許文献1の撮像装置では、基板の一部を切り欠くことにより、位置決め固定したユニットの係合箇所に係合されるネジ部材への撮影光軸方向からの固定動作を可能としている。しかしながら、基板の一部に切り欠きを設けると、基板における実装面積の低減を招くことから、基板の枚数の増加を招いてしまい、結果として撮像装置の小型化の妨げとなってしまう。また、ネジ部材自体を小さくすることにより、ユニットにおける係合箇所を小さくすることも考えられるが、筐体とレンズとの圧接力が不足してしまい、Oリングで十分な封止性能を確保することが困難となってしまう。
このため、この筐体とレンズとを撮影光軸方向に圧接させることによりOリングによる封止性能を確保する構成にかえて、レンズ等の光学素子を直接筐体で封止的に保持する構成の撮像装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2の撮像装置では、筐体と光学素子とを撮影光軸方向に圧接させることなく光学素子の周囲の封止性を確保する構成であることから、ユニットを筐体に固定するための係合箇所に起因する上記した問題点を解消することができる。
ところで、特許文献2の撮像装置では、撮像素子が設けられた基板を、筐体の内周面に設けたネジ溝への螺合により基板を筐体で保持する構成とされており、当該基板の撮影光軸回りの回転により基板の光学素子に対する撮影光軸方向への移動が可能とされ、光学素子と撮像素子との位置決め(ピント調整)が可能とされている。このため、特許文献2の撮像装置では、光学素子に対する撮像素子の撮影光軸方向での位置に応じて、撮影光軸回り方向で見た筐体に対する撮像素子の位置関係(撮影光軸回り方向での筐体に対する撮像素子の回転姿勢)が決まってしまうことから、光学素子の結像位置が撮像素子(その受光面)となるように位置決めした状態において、筐体に対する撮像素子の回転姿勢を所定のものとすることが困難である。
ここで、撮像装置では、筐体の外観形状から見た上下左右方向と、取得した画像における上下左右方向と、が一致していることが、製品品質の観点から重要である。例えば、筐体が立方体または直方体に近い形状である場合、筐体の底面が鉛直方向下側となるように撮像装置を配置すると、取得した画像における上下方向が当該画像の被写体における鉛直方向と一致していることが求められる。このため、特許文献2の撮像装置のように、位置決めの結果に応じて撮影光軸回り方向での筐体に対する撮像素子の回転姿勢が変化する構成とする場合、外観形状からでは上下左右方向が特定できない形状の筐体(例えば、円筒状や球状)を用いることで、筐体の外観形状に対する取得した画像における上下左右方向のずれを認識できなくすることが考えられるが、筐体の設計自由度が大きく制限されてしまう。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、筐体の設計自由度の低減を招くことなく、光学素子の周囲での封止性能の確保を容易なものとしつつ小型化の妨げのなることなく適切な光学性能を得ることができる撮像装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の撮像装置は、少なくとも1つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と、該撮像素子が設けられた基板と、前記鏡筒における被写体側となる一端部を撮影光軸に直交する方向で取り囲む外表面を形成し、外観形状から上下左右方向を特定できる形状とされて前記鏡筒とは別体に形成された取付壁部と、前記鏡筒の外周面に設けられた鏡筒側ネジ溝との螺合により、前記鏡筒の前記一端部を前記撮影光軸方向で前記取付壁部に押圧しつつ該取付壁部に前記鏡筒を固定すべく前記取付壁部に設けられた螺合固定手段と、前記螺合固定手段により前記鏡筒が固定された前記取付壁部の上下左右方向に前記撮像素子で取得した画像における上下左右方向を一致させた状態で光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ硬化されて前記鏡筒の他端部と前記基板とを結合する接着構造と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の撮像装置は、少なくとも1つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と、前記鏡筒における被写体側となる一端部を撮影光軸に直交する方向で取り囲む外表面を形成し、外観形状から上下左右方向を特定できる形状とされて前記鏡筒とは別体に形成された取付壁部と、前記鏡筒の外周面に設けられた鏡筒側ネジ溝との螺合により、前記鏡筒の前記一端部を前記撮影光軸方向で前記取付壁部に押圧しつつ該取付壁部に前記鏡筒を固定すべく前記取付壁部に設けられた螺合固定手段と、前記螺合固定手段により前記鏡筒が固定された前記取付壁部の上下左右方向に前記撮像素子で取得した画像における上下左右方向を一致させた状態で光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ硬化されて前記鏡筒の他端部と前記撮像素子とを結合する接着構造と、を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の撮像装置は、請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、前記撮像素子と前記光学素子とは、前記撮像素子で取得した画像における上下左右方向を前記取付壁部の上下左右方向に一致させた状態で、前記撮影光軸方向に相対的に移動されてピント調整が為されていることを特徴とする。
請求項4に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記接着構造は、一端が前記鏡筒への鏡筒側接着面を形成しかつ他端が前記基板または前記撮像素子への受光側接着面を形成する中間保持部材と、前記鏡筒側接着面に設けられた鏡筒側接着層と、前記受光側接着面に設けられた受光側接着層と、を有する間接接着構造を備えることを特徴とする。
請求項5に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記接着構造は、前記撮像素子と前記光学素子とが光学的に位置決めされた状態において、前記鏡筒の前記他端部と、前記基板または前記撮像素子と、の間を充填する充填接着層を有する充填接着構造を備えることを特徴とする。
請求項6に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記接着構造は、一端が前記鏡筒への鏡筒側接着面を形成しかつ他端が前記基板または前記撮像素子への受光側接着面を形成する中間保持部材と、前記鏡筒側接着面に設けられた鏡筒側接着層と、前記受光側接着面に設けられた受光側接着層と、を有する間接接着構造と、該間接接着構造が形成された後に形成された、前記鏡筒の前記他端部と、前記基板または前記撮像素子と、の間を充填する充填接着層を有する充填接着構造と、を備えることを特徴とする。
請求項7に記載の撮像装置は、請求項4または請求項6に記載の撮像装置であって、前記中間保持部材は、前記撮影光軸に直交する面で見て、前記撮影光軸を中心とする互いに直交する4方向に配置されていることを特徴とする。
請求項10に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記取付壁部は、被写体側から前記撮影光軸方向で見て同心状の2つの円形状を呈する段付きの貫通孔と、該貫通孔における段付き箇所に前記撮影光軸に直交する直交面と、を有し、前記鏡筒は、前記他端側よりも前記一端側の方が外径寸法の大きな段付きの外観形状を呈し、前記一端側と前記他端側との間の段付き箇所に前記撮影光軸に直交する直交面を有し、前記取付壁部と前記鏡筒との間では、双方の前記直交面の間に封止部材が配置されていることを特徴とする。
請求項11に記載の撮像装置は、請求項10に記載の撮像装置であって、前記鏡筒の外周面には、前記取付壁部の前記貫通孔に挿通した状態において、前記取付壁部の裏面側での該取付壁部に対する前記鏡筒の撮影光軸回りの回転操作のための保持部が設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記接着構造は、一端が前記鏡筒への鏡筒側接着面を形成しかつ他端が前記基板または前記撮像素子への受光側接着面を形成する中間保持部材と、前記鏡筒側接着面に設けられた鏡筒側接着層と、前記受光側接着面に設けられた受光側接着層と、を有する間接接着構造を備え、前記中間保持部材は、前記撮影光軸回りに前記撮像素子を取り囲む環状を呈していることを特徴とする。
請求項9に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記接着構造は、前記撮像素子と前記光学素子とが光学的に位置決めされた状態において、前記鏡筒の前記他端部と、前記基板または前記撮像素子と、の間を充填する充填接着層を有する充填接着構造を備え、前記充填接着層は、遮光性を有する接着剤で形成されていることを特徴とする。
請求項12に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記取付壁部は、前記外表面とは反対側に一端開放の箱状部材が結合されることにより、該箱状部材と協働して、前記鏡筒と前記撮像素子とを収容する筐体を形成することを特徴とする。
請求項13に記載の車載カメラは、請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の撮像装置を用いることを特徴とする。
請求項1または請求項2に記載の撮像装置では、取付壁部に固定された鏡筒の光学素子に対して撮像素子の位置を光学的に設定した後に、当該鏡筒の他端部に基板または撮像素子を接着構造により結合することで、光学的に位置決めされた撮像素子と光学素子との位置関係を維持することができるので、適切な光学性能を得ることができる。
また、鏡筒の一端部を撮影光軸方向で取付壁部に押圧した状態で、取付壁部と鏡筒とを螺合固定手段により固定することができるので、鏡筒と取付壁部との当接箇所に封止部材を配置することで、取付壁部の外表面側からの取付壁部と鏡筒との間での十分な封止性能を容易に確保することができる。
さらに、取付壁部に対する鏡筒の回転により取付壁部と鏡筒とを固定することができるとともに、その取付壁部に固定された鏡筒の他端部と基板または撮像素子とを接着構造により結合することができることから、それらの固定のために撮像素子が設けられた基板に切り欠きを設ける必要がないので、小型化の妨げとなることなく封止性能を確保することができる。
ついで、外表面を形成する取付壁部に対して鏡筒の封止的な固定を容易なものとしつつその鏡筒に光学的に適切な状態で撮像素子を結合させることができるので、取付壁部を外表面形状から上下左右方向が特定できるものとすることができ、外観形状から上下左右方向が特定できる筐体に用いることができる。
特に、鏡筒の他端部に撮像素子を固定すると、鏡筒と撮像素子との結合のための部材を減らすことができることから、各部材における製造誤差や温度変化に起因する変形の影響を低減することができるので、より高精度の画像特性を得ることができる。
上記した構成に加えて、前記接着構造は、一端が前記鏡筒への鏡筒側接着面を形成しかつ他端が前記基板または前記撮像素子への受光側接着面を形成する中間保持部材と、前記鏡筒側接着面に設けられた鏡筒側接着層と、前記受光側接着面に設けられた受光側接着層と、を有する間接接着構造を備えることとすると、間接接着構造により、簡易な構成で光学的に位置決めされた撮像素子と光学素子との位置関係を維持することができる。
上記した構成に加えて、前記接着構造は、前記撮像素子と前記光学素子とが光学的に位置決めされた状態において、前記鏡筒の前記他端部と、前記基板または前記撮像素子と、の間を充填する充填接着層を有する充填接着構造を備えることとすると、鏡筒の外方から撮像素子の受光面への異物の侵入を防止することができる。
上記した構成に加えて、前記接着構造は、一端が前記鏡筒への鏡筒側接着面を形成しかつ他端が前記基板または前記撮像素子への受光側接着面を形成する中間保持部材と、前記鏡筒側接着面に設けられた鏡筒側接着層と、前記受光側接着面に設けられた受光側接着層と、を有する間接接着構造と、該間接接着構造が形成された後に形成された、前記鏡筒の前記他端部と、前記基板または前記撮像素子と、の間を充填する充填接着層を有する充填接着構造と、を備えることとすると、簡易な構成の間接接着構造により光学的に位置決めされた撮像素子と光学素子との位置関係を維持することができ、その位置関係が維持された状態で基板または撮像素子と鏡筒との結合強度を充填接着構造により向上することができるとともに、鏡筒の外方から撮像素子の受光面への異物の侵入を防止することができる。
上記した構成に加えて、前記取付壁部は、被写体側から前記撮影光軸方向で見て同心状の2つの円形状を呈する段付きの貫通孔と、該貫通孔における段付き箇所に前記撮影光軸に直交する直交面と、を有し、前記鏡筒は、前記他端側よりも前記一端側の方が外径寸法の大きな段付きの外観形状を呈し、前記一端側と前記他端側との間の段付き箇所に前記撮影光軸に直交する直交面を有し、前記取付壁部と前記鏡筒との間では、双方の前記直交面の間に封止部材が配置されていることとすると、螺合固定手段による固定方向である撮影光軸方向で封止部材を圧縮することができるので、取付壁部の外表面側からの取付壁部と鏡筒との間をより適切に封止することができる。
上記した構成に加えて、前記鏡筒の外周面には、前記取付壁部の前記貫通孔に挿通した状態において、前記取付壁部の裏面側での該取付壁部に対する前記鏡筒の撮影光軸回りの回転操作のための保持部が設けられていることとすると、螺合固定手段による取付壁部と鏡筒との固定のための取付壁部に対する鏡筒の回転操作を容易なものとすることができるので、取付壁部と鏡筒とをより適切に固定することができる
上記した構成に加えて、前記接着構造は、一端が前記鏡筒への鏡筒側接着面を形成しかつ他端が前記基板または前記撮像素子への受光側接着面を形成する中間保持部材と、前記鏡筒側接着面に設けられた鏡筒側接着層と、前記受光側接着面に設けられた受光側接着層と、を有する間接接着構造を備え、前記中間保持部材は、前記撮影光軸回りに前記撮像素子を取り囲む環状を呈していることとすると、簡易な構成の間接接着構造により、光学的に位置決めされた撮像素子と光学素子との位置関係を維持しつつより強固に撮像素子と鏡筒とを結合することができるとともに、鏡筒の外方から撮像素子の受光面への異物の侵入を防止することができる。
上記した構成に加えて、前記接着構造は、前記撮像素子と前記光学素子とが光学的に位置決めされた状態において、前記鏡筒の前記他端部と、前記基板または前記撮像素子と、の間を充填する充填接着層を有する充填接着構造を備え、前記充填接着層は、遮光性を有する接着剤で形成されていることとすると、鏡筒の外方から撮像素子の受光面への異物の侵入を防止することができるとともに、鏡筒の外方からの光が撮像素子の受光面に入射することを確実に防止することができる。
上記した構成に加えて、前記取付壁部は、前記外表面とは反対側に一端開放の箱状部材が結合されることにより、該箱状部材と協働して、前記鏡筒と前記撮像素子とを収容する筐体を形成することとすると、全体に小さな構成であるにも拘らず高い光学性能を有しかつ全方位に対して封止性能を有するものとすることができる。
上記した構成の撮像装置を用いる車載カメラでは、小型な構成であるにも拘らず、取付壁部の外表面側からの取付壁部と鏡筒との間での十分な封止性能を有し、かつ適切な光学性能を有するものとすることができることから、任意の位置に取り付けることができ、雨や湿気や塵埃が多い環境であっても適切に運転者による視認を支援することができる。
本発明に係る撮像装置10の外観形状を模式的に示す斜視図である。 図1の撮像装置10を、撮影光軸Oを含む面で破断して示す説明図である。 取付壁部11の構成を説明するための模式的な断面図である。 鏡筒30の構成を説明するための模式的な斜視図である。 鏡筒30の構成を説明するために、その後端側(内縁突起部39側)から見た模式的な斜視図である。 図5のI−I線に沿って得られた模式的な断面図である。 撮像光学系20の構成を説明するための模式的な斜視図である。 撮像光学系20の構成を説明するために、鏡筒30の後端側(内縁突起部39側)から見た模式的な斜視図である。 電装基板部50の構成を説明するための模式的な斜視図である。 中間保持部材54の構成を説明するための模式的な斜視図である。 間接接着工法を説明するための説明図であり、(a)は位置決めされた2つの部材間を接着剤で充填した様子を示し、(b)は(a)の接着剤の硬化収縮により両部材が相対的にずれた様子を示し、(c)は位置決めされた2つの部材を間接接着工法で結合する様子を示し、(d)は間接接着工法により両部材が結合された様子を示している。 撮像装置10の暫定的に組付けの様子を説明するために、各部材に分解して示す模式的な断面図である。 撮像装置10の位置決め固定の様子を説明するための模式的な断面図である。 間接接着工法により基板51が鏡筒30に結合された様子を示す模式的な斜視図である。 間接接着工法により基板51が鏡筒30に結合された様子を部分的に破断して示す模式的な斜視図である。 位置決め固定された撮像装置10を部分的に破断して示す模式的な斜視図である。 位置決め固定された撮像装置10を部分的に破断して示す模式的な側面図である。 位置決め固定された撮像装置10を示す模式的な斜視図である。 充填接着工法のみで基板51が鏡筒30に結合されて位置決め固定された撮像装置10´を示す模式的な斜視図である。 実施例2に係る撮像装置102の構成を説明するための図16と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。 実施例3に係る撮像装置103の構成を説明するための図2と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。 実施例3に係る撮像装置103の構成を説明するための図16と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。 実施例3に係る撮像装置103の構成を説明するための図17と同様の部分的に破断して示す模式的な側面図である。 実施例3に係る撮像装置103の構成を説明するための図18と同様の模式的な斜視図である。
以下に、本願発明に係る撮像装置の発明の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る撮像装置の一例としての実施例1の撮像装置10を、図1ないし図18を用いて説明する。
撮像装置10は、図1および図2に示すように、取付壁部11に、撮像光学系20(図1では、その後述する対物レンズ(レンズ41)および抜止部材22の前端部のみが露見している)と、電装基板部50と、が取り付けられて構成されている。
取付壁部11は、少なくとも撮像光学系20の対物レンズ(この例ではレンズ41)すなわち鏡筒30の一端部の撮影光軸Oに直交する方向(以下では、径方向ともいう)で見た周囲を取り囲む外表面Sを形成するものであり、撮像装置10の所望の箇所への取り付けを可能とするものである。この取付壁部11は、実施例1では、撮影光軸O方向から見た正面形状が矩形状であって全体に直方体形状を呈し、筐体12の前側(被写体側)部分(前側筐体部)を構成するものとされている。このため、取付壁部11は、筐体12の後側を構成する後側筐体部13への取り付けが可能とされている。この取付壁部11は、図示は略すが、封止部材(例えば、Oリングや平パッキン等)を介在させた状態で、後端面11aを後側筐体部13の前端面13aに付き合わされてネジ止め等で結合されることにより、互いの結合箇所における防水機能や防塵機能(以下、封止性能という)を有する筐体12を形成する。この取付壁部11の撮影光軸O方向で見た大きさ寸法は、後述するように鏡筒30の縮径部32との位置関係により設定されている。
取付壁部11には、図3に示すように、撮像光学系20の後述する鏡筒30の撮影光軸O方向での挿通が可能とされた円柱状の挿通孔11bが設けられている。この挿通孔11bでは、撮影光軸O方向で見た後側(後側筐体部13側)に、内周壁面から内方へと突出する環状を呈し、その突出端部が撮影光軸O方向の後側(後側筐体部13側)へと延在する内方突出部11cが設けられている。
この内方突出部11cでは、前側(被写体側)の内壁面が撮影光軸Oを中心とする滑らかな円周面である位置決め面11dとされている。この位置決め面11dは、鏡筒30の後述する位置決め部35と嵌合(内接)可能な内径寸法とされている。また、内方突出部11cでは、位置決め面11dと隣接する後側(後側筐体部13側)の内壁面が、撮影光軸Oを中心としつつ位置決め面11dよりも小さな内径寸法とされており、撮影光軸Oを取り巻くようにネジ溝11eが設けられている。このネジ溝11eは、鏡筒30の後述するネジ溝36と螺合可能とされている。挿通孔11bでは、内方突出部11cが設けられることにより、前側(被写体側)が相対的に径寸法(径方向で見た撮影光軸O方向を基準とする内径寸法)の大きい拡孔部11fとされ、かつ後側(後側筐体部13側)が拡孔部11fよりも径寸法の小さな縮孔部11gとされている。すなわち、挿通孔11bは、内方突出部11cが設けられることにより、取付壁部11において、前側(被写体側)から見て同心状の2つの円形状を呈する段付きの貫通孔を形成している。この挿通孔11bは、位置決め面11dにより後述する径方向位置決め部と、内方突出部11cの前側面11hとネジ溝11eとの協働により後述する撮影光軸方向位置決め部と、を取付壁部11に形成するように設定されている。この前側面11hは、撮影光軸O方向に直交する直交面とされている。
後側筐体部13は、図1および図2に示すように、一端開放の箱形状を呈し、取付壁部11との協働により、撮像光学系20および電装基板部50(撮像素子52)を収容する筐体12を形成する。この後側筐体部13は、取付壁部11における撮影光軸O方向で見た大きさ寸法が後述するように鏡筒30の縮径部32との位置関係により制限されていることから、取付壁部11の後端面11aの後方において、撮像光学系20と、その鏡筒30に結合された電装基板部50と、を収容可能な大きさ寸法(深さ寸法)とされている。後側筐体部13には、後端側に、撮像装置10を含む筐体12を所望の場所に取り付けるための2つの取付突起13bが設けられている。実施例1では、両取付突起13bは、図示は略すがネジ穴が設けられたボス部とされている。また、後側筐体部13には、後述する電装基板部50(後述する電子部品53)へと電力を供給したり、電装基板部50に実装される後述する撮像素子52で取得した画像データを伝送したりするための電線14が設けられている。この電線14は、外部との封止性能を有した状態で電装基板部50への接続を可能とされている。この封止性能を有する構成としては、後側筐体部13に接続穴(図示せず)を設け、そこに電線14を挿通するとともに周囲を防水用接着剤で充填することや、電線14(その被覆部材)を後側筐体部13と一体的に形成することがあげられる。なお、この電線14は、取付壁部11に後側筐体部13を取り付けない場合には、電装基板部50に直接接続する。この後側筐体部13との結合が可能とされた取付壁部11に撮像光学系20が取り付けられる。
この撮像光学系20は、鏡筒30に光学素子群40が保持されて構成されている。この鏡筒30は、光学素子群40を内方で保持すべく筒状を呈し、図4ないし図6に示すように、外観形状が、前側(被写体側)となる一端側が相対的に径寸法(径方向で見た撮影光軸Oを基準とする外径寸法)の大きい拡径部31とされ、かつ後側となる他端側が拡径部31よりも径寸法の小さな縮径部32とされている。この拡径部31は、取付壁部11の挿通孔11bの拡孔部11fへの挿通が可能であり、かつ当該挿通孔11bの縮孔部11gへと挿通することのできない外径寸法とされている。また、縮径部32は、取付壁部11の挿通孔11bの縮孔部11gへの挿通が可能な外径寸法とされている。
この鏡筒30では、拡径部31の外周面にネジ溝33と、拡径部31と縮径部32との外径寸法の差異により形成された撮影光軸O方向に直交する直交面34と、縮径部32の外周面において直交面34に隣接位置に設けられた位置決め部35と、縮径部32の外周面において位置決め部35に隣接位置に設けられた鏡筒側ネジ溝としてのネジ溝36と、縮径部32の外周面で撮影光軸O周りに点在する複数の平坦面部37と、が設けられている。
ネジ溝33は、後述する抜止部材22に設けられたネジ溝22aと螺合可能とされている。直交面34は、鏡筒30の拡径部31を取付壁部11の挿通孔11bの拡孔部11f内に位置させると、その挿通孔11bの前側面11hと面当接可能な位置関係とされている。
位置決め部35は、鏡筒30の縮径部32を取付壁部11の挿通孔11bの縮孔部11g内に位置させると、その縮孔部11g(内方突出部11c)の位置決め面11dに内接可能な面形状とされている。すなわち、位置決め部35は、位置決め面11dとの協働により、取付壁部11の挿通孔11b内において、鏡筒30の径方向での位置決めをすることができる。このため、この位置決め部35と取付壁部11の位置決め面11dとは、取付壁部11に対する鏡筒30(撮像光学系20)の径方向での位置決めを行う径方向位置決め部として機能する。特に、実施例1では、位置決め部35と位置決め面11dとが、撮影光軸Oを中心とし当該撮影光軸O方向に延在する曲面で当接する構成であることから、径方向位置決め部により、取付壁部11(挿通孔11b)における中心軸線と、鏡筒30(保持孔38)における中心軸線と、を一致させることができる。
ネジ溝36は、取付壁部11の内方突出部11cのネジ溝11eに螺合可能とされている。このため、鏡筒30は、その縮径部32を取付壁部11の挿通孔11bの縮孔部11g内に位置させて、その縮孔部11g(内方突出部11c)のネジ溝11eにネジ溝36を螺合させることにより、上述した径方向位置決め部により径方向で位置決めされた状態で、取付壁部11に取り付けることができる。このとき、鏡筒30を回動させて、ネジ溝11eとネジ溝36との作用により、鏡筒30を取付壁部11に対して後側(電装基板部50が装着される他端側)へと移動させると、鏡筒30の直交面34と取付壁部11の挿通孔11bの前側面11hとが圧接し、撮影光軸O方向での相対的な位置が決められて鏡筒30と取付壁部11とを固定することができる。このため、鏡筒30の直交面34と取付壁部11の挿通孔11bの前側面11hとは、取付壁部11に対する鏡筒30(撮像光学系20)の撮影光軸O方向での位置決めを行う撮影光軸方向位置決め部として機能する。また、取付壁部11の挿通孔11bのネジ溝11eは、上述した径方向位置決め部の位置決め面11dと協働して、鏡筒30の一端部(この例では直交面34)を撮影光軸O方向で取付壁部11(この例では前側面11h)に押圧しつつ取付壁部11に鏡筒30を固定する螺合固定手段として機能する。
複数の平坦面部37は、縮径部32の外周面において、撮影光軸O方向でネジ溝36に隣接して設けられており、撮影光軸O方向でみて、所定の長さ寸法で延在されているとともに鏡筒30の後端(他端)部との間に所定の間隔を置くものとされている。この所定の長さ寸法とは、上述したように鏡筒30を取付壁部11に固定する際に、当該鏡筒30を回転させるために、鏡筒30の狭持を容易なものとする観点で設定されている。このため、平坦面部37は、取付壁部11の挿通孔11bに対して鏡筒30を内縁突起部39側(他端側)から挿入し、挿通孔11bの縮孔部11g(内方突出部11c)のネジ溝11eに、鏡筒30の縮径部32のネジ溝36を螺合させた状態(図13参照)において、鏡筒30の狭持のための接触が可能とされた保持部として機能する。また、後端部との間の所定の間隔とは、後述する中間保持部材54の鏡筒側接着部54a(図10参照)の接着を可能とする長さ寸法を確保できることをいう。このため、縮径部32では、撮影光軸O方向で見て各平坦面部37よりも後端側に位置する外周面が、後述する中間保持部材54の鏡筒側接着部54aとの接着面Bとなる。実施例1では、平坦面部37は、縮径部32の周方向で見て等しい間隔で4箇所に設けられており、径方向(撮影光軸Oに直交する方向)からの狭持を容易とすべく径方向で対を為している。
この鏡筒30では、光学素子群40の保持ために、中心位置を撮影光軸O方向に沿って貫通する保持孔38が設けられている。この保持孔38は、前側(被写体側)の後述する光学素子群40としてのレンズ41の嵌合が可能な大内径部38aと、そこと隣接し大内径部38aよりも小さな内径寸法の中内径部38bと、そこと隣接し中内径部38bよりも小さな内径寸法の小内径部38cと、を有する。この大内径部38aでは、中内径部38b側に撮影光軸O方向に直交する直交面38dが設けられており、この直交面38dには、後述するレンズ41の後面を支持すべく中内径部38bと等しい内径寸法とされた環状を呈する環状突起部38eが設けられている。小内径部38cの後側(後述する撮像素子52側)すなわち鏡筒30の後端(他端)には、嵌合された後述する光学素子群40としてのレンズ47の脱落を防止するための内縁突起部39が設けられている。この鏡筒30の保持孔38に光学素子群40が収容される。
光学素子群40は、画像取得のために任意の位置に結像させるものであり、少なくとも1つ以上の光学素子を有し、撮像装置10(撮像光学系20)において求められる光学性能に応じて適宜構成される。この光学素子群40は、図7および図8に示すように、実施例1では、被写体(物体)側から順に、レンズ41、レンズ42、レンズ43、絞り44、レンズ45、レンズ46およびレンズ47を有する。レンズ41は、鏡筒30の保持孔38の大内径部38aに嵌合可能な外径寸法とされている。レンズ42、レンズ43および絞り44は、鏡筒30の保持孔38の中内径部38bに嵌合可能な外径寸法とされている。レンズ46およびレンズ47は、鏡筒30の保持孔38の小内径部38cに嵌合可能な外径寸法とされている。この光学素子群40は、大内径部38a側の開口から、レンズ47、レンズ46、レンズ45、絞り44、レンズ43、レンズ42およびレンズ41の順に、鏡筒30の保持孔38へと挿入される。ここで、実施例1では、レンズ42の次にレンズ41を保持孔38へと挿入する際、先ず、保持孔38の大内径部38aの直交面38dにおいて、環状突起部38eを取り巻くようにOリング21を配置し、そのOリング21および環状突起部38eに後面を宛がいつつ当該後面が直交面38dと対向するように、レンズ41を保持孔38へと挿入する。
この保持孔38に挿入された光学素子群40は、抜止部材22により、大内径部38a側の開口から脱落することが防止される。この抜止部材22は、鏡筒30の拡径部31の外周面を取り巻くことが可能な大きさ寸法とされた筒状を呈し、前端部(被写体側の端部)がレンズ41の前面の周縁部(有効エリアの外側位置)に外方(前側)から当接可能な径寸法とされている。抜止部材22の内周面の後端側には、鏡筒30の拡径部31に設けられたネジ溝33と螺合可能なネジ溝22aが設けられている。この抜止部材22は、保持孔38に光学素子群40が適切に挿入された状態において、拡径部31を覆うようにネジ溝22aがネジ溝33に螺合されることにより、レンズ41を鏡筒30の後側(後述する撮像素子52側)へと押圧する。このため、光学素子群40は、鏡筒30の保持孔38において内縁突起部39側へと押圧され、レンズ47が内縁突起部39へと押し当てられて、当該保持孔38内で撮影光軸O方向に位置決めされる。これにより、光学素子群40が、鏡筒30内において撮影光軸O上で適切な位置に整列されることとなり、所望の光学性能を有する撮像光学系20が組み付けられる。このとき、レンズ41の後面と保持孔38の大内径部38aの直交面38dとの間に配置されたOリング21が、適切に圧縮される、すなわちレンズ41の後面に圧接されるとともに直交面38dに圧接される。このため、撮像光学系20では、適切に圧縮されたOリング21により、レンズ41の周囲から鏡筒30の内方(保持孔38の中内径部38bおよび小内径部38c)への水や塵埃等の侵入が防止されており、十分な封止性能を有している。このように、撮像光学系20では、鏡筒30により封止的に光学素子群40(その対物レンズとなるレンズ41)が保持され、所望の光学性能を有している。なお、実施例1では、光学素子群40(鏡筒30)の中心軸位置となる各レンズ41〜47(絞り44を含む)の回転対称軸(撮像素子52で取得される画像における中心位置)を、撮像光学系20の撮影光軸Oとしている。この撮像光学系20の光学素子群40の結像位置に、電装基板部50が配置される。
電装基板部50は、図9に示すように、基板51に撮像素子52と電子部品53とが実装されて構成されている。撮像素子52は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子で構成されており、撮像光学系20(光学素子群40)を通して受光面52a上に結像された被写体像を電気信号(画像データ)に変換して出力する。電子部品53は、撮像素子52における動作の制御や撮像素子52から出力された電気信号に基づく被写体像に対応したデジタル画像の生成等を行う。
この電装基板部50は、接着構造により鏡筒30に結合される(図2等参照)。実施例1では、接着構造の一部が中間保持部材54を用いる間接接着工法により形成されている(図2、図14および図15等参照)。この中間保持部材54は、撮像光学系20(光学素子群40)の結像位置を撮像素子52の受光面52a上とすべく、光学素子群40に対する撮像素子52(その受光面52a)の位置が光学的に位置決めされた状態(位置関係)を維持したまま、接着剤を用いて鏡筒30に対して撮像素子52もしくはそれが実装された基板51を結合するための間接接着構造を構成する。中間保持部材54は、図10に示すように、細長い直方体の部材が屈曲されて全体にL字状を呈しており、鏡筒側接着部54aと基板側接着部54bとを有する。この中間保持部材54では、間接接着工法の際、鏡筒側接着部54aが鏡筒30の縮径部32の接着面B(外周面)への鏡筒側接着面を形成し、基板側接着部54bが電装基板部50の基板51の表面51a(撮像素子52が実装された側の面)への受光側接着面を形成する。
次に、この間接接着工法について説明する。図11に示すように、互いに離間する2つの部材t1、t2が相対的に位置決めされた状態で、両部材t1、t2を接着剤により結合する場合、(a)に示すように、両部材t1、t2を位置決め固定したまま当該部材t1と部材t2との間を充填するように接着剤を塗布(注入)して接着層C1を形成すること(以下、充填接着工法ともいう)が考えられる。ところが、このように結合した場合、部材t1と部材t2とは、相対的な位置決め固定を解除すると、(b)に示すように、接着層C1が硬化時に収縮すること(以下、硬化収縮という)により、相対的に位置決めされた状態からずれて、特に、この例では互いの間隔が縮む方向(矢印A1参照)に大きくずれてしまう。このことは、部材t1を実施例1における鏡筒30とし、部材t2を実施例1における基板51(撮像素子52)として考えた場合、光学素子群40(それを保持する鏡筒30)と撮像素子52(それが実装された基板51)とを相対的に位置決めして充填した接着剤により結合するものとすると、光学素子群40と撮像素子52との相対的な位置関係、特に撮影光軸Oに沿う方向での互いの間隔が変化してしまうこととなり、撮像光学系20すなわち撮像装置10における光学性能の低下を招いてしまう。このため、実施例1の撮像装置10では、光学素子群40と撮像素子52との相対的な位置関係の変化を防止するために、鏡筒30と電装基板部50(基板51)との結合に、中間保持部材54を用いた間接接着工法を採用している。
この間接接着工法では、上述した部材t1と部材t2とを例にすると、図11(c)に示すように、用いる中間保持部材54を、位置決めされた両部材t1、t2の位置関係に応じた大きさ寸法に設定する。この両部材t1、t2の位置関係に応じた大きさ寸法とは、両部材t1、t2が位置決め固定された状態において、鏡筒側接着部54aを部材t1の側面t1aに当接させつつ基板側接着部54bを部材t2の上面t2aに当接させることが可能であることをいう。間接接着工法では、位置決め固定された両部材t1、t2に対して、接着剤を塗布して形成した接着層C2を介在させて鏡筒側接着部54aと部材t1(側面t1a)とを当接させるとともに、接着剤を塗布して形成した接着層C3を介在させて基板側接着部54bと部材t2(上面t2a)とを当接させて、両部材t1、t2を架け渡すように中間保持部材54を配置する。この両部材t1、t2を位置決め固定しつつ、中間保持部材54を両接着層C2、C3により部材t1(側面t1a)と部材t2(上面t2a)とに付着させかつ他には何にも保持されていない(何ら拘束しない)状態で、接着層C2および接着層C3を硬化させることにより、部材t1と部材t2とを中間保持部材54を介して接着固定するのが、間接接着工法である。この間接接着工法では、接着層C2および接着層C3が硬化した後に、両部材t1、t2の位置決め固定を解除しても、図11(d)に示すように、部材t1と部材t2との位置関係には殆ど変化が生じない。これは、以下のことが考えられる。
中間保持部材54の大きさ寸法が両部材t1、t2の位置関係に応じて設定されていることから、部材t1と部材t2との間隔(位置関係)に拘らず、鏡筒側接着部54aと部材t1(側面t1a)とを当接させることができるとともに基板側接着部54bと部材t2(上面t2a)とを当接させることができるので、接着層C2および接着層C3を極めて薄いものとすることができる。このため、両接着層C2、C3における硬化収縮量を極めて小さくすることができることから、両接着層C2、C3における硬化収縮が部材t1と部材t2との位置関係に与える影響を極めて小さなものとすることができる。また、中間保持部材54は、両接着層C2、C3を硬化させる際、位置決め固定された両部材t1、t2に当該両接着層C2、C3により付着しかつ他には何ら拘束されていない状態とされていることから、接着層C2および接着層C3が硬化収縮すると、両部材t1、t2に対して接近する方向(矢印A2参照)へと移動することとなる。このように、接着層C2および接着層C3における硬化収縮の影響を、中間保持部材54を両部材t1、t2に対して接近する方向(矢印A2参照)へと変位させることで吸収することができることから、両接着層C2、C3における硬化収縮が部材t1と部材t2との位置関係に与える影響を極めて小さなものとすることができる。
実施例1では、4つの中間保持部材54を用いた間接接着工法により、電装基板部50を鏡筒30に結合する(図2、図14および図15等参照)。この各中間保持部材54は、縮径部32の周方向で見て等しい間隔で4箇所に設けられる(図14参照)。実施例1では、各中間保持部材54は、後述するように、間接接着工法の際の接着剤として紫外線硬化型のものを採用していることから、少なくとも紫外線の透過を許す材料で形成されている。
この撮像装置10は、鏡筒30に対する電装基板部50(その基板51に実装された撮像素子52)の位置決め固定に先立って、図12に示すように、上述したように組み付けられた撮像光学系20(図7および図8参照)と取付壁部11とを固定する。この固定では、取付壁部11の前側面11h上に封止部材の一例としてのOリング23を配置し、鏡筒30の内縁突起部39側(他端側)を挿入先端方向として、鏡筒30の直交面34をOリング23に宛がうように、取付壁部11の拡孔部11f側から挿通孔11bへと鏡筒30を挿入し(矢印A3参照)、その縮径部32を取付壁部11の挿通孔11bの縮孔部11g内に位置させて、その縮孔部11g(内方突出部11c)のネジ溝11eにネジ溝36を螺合させる。この挿通されて取付壁部11の裏面側に位置する鏡筒30の縮径部32の平坦面部37を径方向で狭持し、鏡筒30を取付壁部11に対して撮影光軸O回りに回動させて、取付壁部11の前側面11hと鏡筒30の直交面34とを圧接させることにより、上述した径方向位置決め部により径方向で位置決めされた状態で、前側面11hと直交面34とで介在されたOリング23を適切に圧縮しつつ撮影光軸O方向での相対的な位置が決められて、鏡筒30と取付壁部11とを固定することができる。このとき、鏡筒30の後端部(他端部)には、電装基板部50(撮像素子52)が設けられていないことから、取付壁部11に対する鏡筒30の回動操作(固定作業)が容易なものとされている。特に、実施例1では、後述するように第1空間P1(図13参照)が設けられる構成であることから、鏡筒30の取付壁部11への締め付け固定の際に当該鏡筒30の縮径部32の外方位置には他の構成部材が存在しない(第2空間が形成されている)こととなるので、上記した回動操作(固定作業)がより容易なものとされている。なお、この平坦面部37の狭持による鏡筒30の回動は、作業者の手で行うものであっても、作業者が使用する工具で行うものであってもよく、また機械により行うものであってもよい。これにより、取付壁部11の外表面S側(対物レンズとなるレンズ41が露出された側)からの、取付壁部11と鏡筒30(撮像光学系20)との間での水や塵埃等の侵入が防止され、十分な封止性能を有した状態で、鏡筒30と取付壁部11とが固定される(図13参照)。この取付壁部11に封止的に固定された鏡筒30に対する電装基板部50(その基板51に実装された撮像素子52)の位置決め固定について、以下で説明する。
ここで、取付壁部11は、図13に示すように、鏡筒30(撮像光学系20)が固定された状態において、その撮像光学系20の鏡筒30の縮径部32の接着面Bへの中間保持部材54の取り付けが可能な構成とされている。換言すると、取付壁部11は、挿通孔11bに撮像光学系20が挿通された状態において、撮影光軸O方向で見て、撮像光学系20の鏡筒30の縮径部32の外周面上で各平坦面部37よりも後端側の領域(接着面B)に到達することのない大きさ寸法、すなわち接着面Bを横切りつつ撮影光軸O方向に直交する面と干渉することのない大きさ寸法とされている。このため、撮像装置10では、取付壁部11と鏡筒30との固定状態において、縮径部32の接着面Bを径方向で見た外方位置には他の構成部材が存在することはないものとされている。よって、実施例1の撮像装置10では、取付壁部11と鏡筒30との固定状態において、縮径部32の接着面Bを径方向で見た外方位置に、接着により鏡筒30に対して撮像素子52もしくは基板51を結合する(接着構造を構成する)ための第1空間P1が形成されている。なお、この第1空間P1は、撮像装置10の位置決め固定の作業のための空間であることから、位置決め固定が完了した後は確保されている必要はない。
先ず、位置決めのために、鏡筒30が封止的に固定された取付壁部11を、調整装置60としての筐体保持部61で固定的に保持する。その筐体保持部61に保持された状態の鏡筒30の後端側(他端側)であって、撮影光軸O上に撮像素子52(その受光面52a)が位置するように電装基板部50(その基板51)を配置し、その基板51を調整装置60としての撮像素子保持部62で保持する。この撮像素子保持部62は、筐体保持部61に保持された取付壁部11に固定された鏡筒30(光学素子群40)に対して、撮影光軸O回りの任意の回転姿勢で、電装基板部50の基板51を保持可能とされている。また、撮像素子保持部62は、少なくとも取付壁部11を介して筐体保持部61に保持された鏡筒30の軸線(撮影光軸O)に対する撮像素子52(その受光面52a)の傾きの調整を可能とするとともに、鏡筒30に対する撮影光軸O方向での撮像素子52(受光面52a)の位置(間隔)の調整を可能とするように、電装基板部50の基板51を保持可能である。
上述したように、筐体保持部61で固定保持した取付壁部11に対して、その上下左右方向と、撮像素子52で取得した画像における上下左右方向と、が一致し、かつその撮像光学系20(光学素子群40)の撮影光軸Oが撮像素子52で取得した画像における中心に位置するように、電装基板部50の基板51を撮像素子保持部62で保持する。
この撮像素子保持部62(調整装置60)に保持された電装基板部50(その電子部品53)に電力を供給するとともに、電装基板部50(その撮像素子52)からの画像をモニタ70に表示可能な状態とする。そして、撮像装置10の撮影光軸O上で所定の距離に被写体(図示せず)を配置して、撮像光学系20で結像させるとともに、その被写体像を受光した撮像素子52からの電気信号(画像データ)に基づく画像をモニタ70に映し出す。
この調整装置60では、上述したように、筐体保持部61と撮像素子保持部62との作用により、鏡筒30に対して、その軸線(撮影光軸O)に対する撮像素子52(その受光面52a)の傾きの調整が可能であり、鏡筒30に対する撮影光軸O方向での撮像素子52(受光面52a)の位置(間隔)の調整が可能とされていることから、取得した画像における上下左右方向が取付壁部11の上下左右方向と一致した状態を維持したまま撮影光軸Oに対して受光面52aが直交させた状態で撮影光軸O方向へと撮像素子52(受光面52a)を移動させることができるので、撮像光学系20の結像位置を受光面52a上とするいわゆるピント調整を行うことができる。
ピント調整は、筐体保持部61に保持された取付壁部11の鏡筒30に対して、撮像素子保持部62を介して撮像素子52の傾きおよび位置を適宜変化させて、モニタ70に映し出された画像(被写体像)が適切な状態であるか否かで判断する。このピント調整は、作業者が画像を目視により確認しながら行うものであっても、画像解析により自動的に行う(調整装置60にそれらの機能を搭載する)ものであってもよい。
ピント調整が完了すると、筐体保持部61および撮像素子保持部62による固定保持を維持した状態、すなわち鏡筒30と基板51との相対的な位置関係を維持した状態で、鏡筒側接着部54aに接着剤を塗布して鏡筒側接着層である接着層C4を形成するとともに基板側接着部54bに接着剤を塗布して受光側接着層である接着層C5を形成した各中間保持部材54を、その鏡筒30と基板51(電装基板部50)とを架け渡すように配置する(二点鎖線で示す中間保持部材54参照)。実施例1では、各中間保持部材54の鏡筒側接着部54aは、鏡筒30の縮径部32の外周面の接着面Bに宛がわれる。また、各中間保持部材54の基板側接着部54bは、撮像素子52を取り囲むように基板51の表面51aに宛がわれる(図14および図15等参照)。実施例1では、この接着層C4および接着層C5を形成するために紫外線硬化型の接着剤を採用している。各中間保持部材54は、接着層C4および接着層C5により、互いに光学的に位置決めされた鏡筒30と基板51とを架け渡すようにそれらに付着する(二点鎖線で示す中間保持部材54参照)。
この鏡筒30が固定された取付壁部11の筐体保持部61による固定的な保持を維持するとともに、その鏡筒30(光学素子群40)に対して光学的に位置決めされた状態の基板51(電装基板部50)の撮像素子保持部62による固定的な保持を維持し、かつその鏡筒30と基板51とに各中間保持部材54を付着させて他には何ら拘束しない状態で、第1空間P1を利用して紫外線を照射することにより接着層C4および接着層C5を硬化させる、上述した間接接着工法を行う。すると、鏡筒30と基板51とは、図14および図15に示すように、筐体保持部61および撮像素子保持部62による固定保持を解除した後であっても、光学的に設定された位置関係を維持したまま、接着により各中間保持部材54を介して互いに結合される。このため、各中間保持部材54は、接着層C4および接着層C5との協働により、鏡筒30と基板51(撮像素子52)との相対的な位置関係を維持しつつ接着により結合することを可能とする間接接着構造を形成している。なお、ここでいう位置関係の維持とは、光学的に撮像素子52(その受光面52a)において適切な画像の取得が可能である状態を維持するものであれば、厳密な意味での移動は許容するものである。
実施例1では、上述した各中間保持部材54を用いた間接接着工法の後に、充填接着工法を行う。この充填接着工法では、図16、図17および図18に示すように、各中間保持部材54を介して互いに結合された鏡筒30と基板51との間を充填するように、接着剤を塗布(注入)して充填接着層である接着層C6を形成する。実施例1では、接着層C6を形成するために、遮光性を有する熱硬化型の接着剤を採用している。この接着層C6は、鏡筒30の他端(内縁突起部39の外方位置)の外縁部に沿って環状に設けられており、基板51の表面51aにおいて、少なくとも撮像素子52の受光面52aの有効エリア(実効的な受光領域)に干渉しないように当該撮像素子52を取り囲むものとされている。このため、接着層C6は、実施例1では、各中間保持部材54の内側(撮像素子52側)と鏡筒30(その後端)と基板51(表面51a)とに囲まれた空間を充填するように、第1空間P1(図13参照)を利用して各中間保持部材54の内側に接着剤が塗布(注入)されて形成されている(図17参照)。この間接接着構造により結合された鏡筒30と基板51との間に、環状の接着層C6を形成した状態の撮像装置10を、第1空間P1(図13参照)を利用して図示を略すオーブンで適宜加熱することにより、接着層C6を硬化させる、いわゆる充填接着工法を行う。このとき、接着層C6では、硬化時に収縮しようするが、鏡筒30と基板51とは、上述した各中間保持部材54を用いた間接接着構造により互いに位置決めされた状態で結合されていることから、鏡筒30と基板51との位置関係が変化することはない。これにより、鏡筒30と基板51とは、撮像素子52を取り囲むように環状を呈し遮光性を有する接着層C6により、間接接着構造による相対的な位置関係が維持されつつ結合されることとなる。このため、環状の接着層C6は、間接接着構造により相対的な位置決めが為された状態で結合された鏡筒30と基板51とを、その結合強度を高めるべく互いの間を充填して結合する充填接着構造を形成しており、この充填接着構造と間接接着構造とは、電装基板部50(基板51)と鏡筒30とを結合する接着構造を形成している。
このように取付壁部11に固定された鏡筒30に対する電装基板部50(その基板51に実装された撮像素子52)が位置決めされた状態で、当該鏡筒30と電装基板部50(その基板51)とが固定されることにより、撮像装置10が形成される。この撮像装置10では、Oリング23により、取付壁部11の外表面S側(対物レンズとなるレンズ41が露出された側)からの、取付壁部11と鏡筒30(撮像光学系20)との間での水や塵埃等の侵入が防止されており、十分な封止性能を有しているとともに、適切な光学性能を有している。
実施例1では、このように位置決め固定された撮像装置10は、図1および図2に示すように、その取付壁部11に後側筐体部13を封止的に結合することにより、筐体12により取付壁部11の裏面側における外方からの撮像光学系20および電装基板部50への防水機能および防塵機能を得ることができる。このため、撮像装置10は、後側筐体部13の両取付突起13bを介して所望の箇所に取り付けることが可能であって、全体に小さな構成であるにも拘らず高い光学性能を有しかつ全方位に対して封止性能を有するものとすることができる。このことから、この後側筐体部13が結合されて筐体12に取り囲まれた撮像装置10は、例えば、車載カメラとして好適である。
このように、本発明の撮像装置10では、取得した画像における上下左右方向が取付壁部11の上下左右方向と一致した状態であって撮像光学系20とのピント調整が為された状態で、取付壁部11に固定された鏡筒30と基板51すなわち撮像素子52とを接着構造により結合することができる。このため、取付壁部11として、外観形状から上下左右方向を特定できる形状を採用することができるので、取付壁部11すなわち筐体の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
また、本発明の撮像装置10では、接着構造による電装基板部50(基板51)と鏡筒30との結合に先立って、鏡筒30の縮径部32を取付壁部11の挿通孔11bに挿通し、その縮孔部11gのネジ溝11eに縮径部32のネジ溝36を螺合させることにより、取付壁部11と鏡筒30とを封止的に固定することができる。このため、従来技術のように撮影光軸O方向での固定器具の挿通を可能とすべく撮像素子が設けられた基板の一部を切り欠く必要がないので、撮像装置10の小型化に大きく寄与することができる。
さらに、本発明の撮像装置10では、鏡筒30(撮像光学系20)を取付壁部11に固定した状態で、その取付壁部11の上下左右方向と取得した画像における上下左右方向とを一致させつつピント調整を行うことができることから、光学素子群40の各部材における公差の影響をなくすことができ、適切な光学性能を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、鏡筒30(撮像光学系20)を取付壁部11に固定した状態において、取付壁部11の挿通孔11bの縮孔部11gの位置決め面11dと、鏡筒30の縮径部32の位置決め部35と、の当接により、取付壁部11の挿通孔11b内において鏡筒30が径方向で位置決めされているとともに、取付壁部11(挿通孔11b)の中心軸線と鏡筒30(保持孔38)の中心軸線とが一致されていることから、その鏡筒30に適切に保持された光学素子群40に対して撮像素子52(その受光面52a)を光学的に位置決めすることにより、より適切な光学性能を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、取付壁部11に固定した鏡筒30(撮像光学系20)に、接着構造により電装基板部50(基板51)を結合するものであることから、取付壁部11の外観形状を考慮しつつ鏡筒30(光学素子群40)に対する撮像素子52(その受光面52a)の光学的な位置決めされた状態で、鏡筒30と電装基板部50(基板51)とを接着構造で結合することができるので、適切な光学性能を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、取付壁部11に固定した鏡筒30(撮像光学系20)と電装基板部50(基板51)とを結合する接着構造において、中間保持部材54を用いた間接接着工法を採用していることから、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま接着により鏡筒30と基板51とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、鏡筒30(撮像光学系20)と電装基板部50(基板51)との結合のための間接接着工法において、4つの中間保持部材54が撮影光軸Oに直交する面で見て当該撮影光軸Oを中心とする互いに直交する4方向に配置されていることから、たとえ各中間保持部材54において接着層C4および接着層C5の硬化時の収縮に起因して鏡筒30に対して基板51を径方向へと移動させる力が作用したとしても、4つの中間保持部材54の配置関係により当該力を互いに相殺することができるので、間接接着工法の際に鏡筒30と基板51との位置関係が変化することをより確実に防止することができる。
本発明の撮像装置10では、取付壁部11に固定した鏡筒30(撮像光学系20)と電装基板部50(基板51)を結合する接着構造において、間接接着構造により相対的な位置決めが為された状態で結合された鏡筒30と基板51との間を接着層C6で充填する充填接着工法を採用していることから、簡易な構成で光学的に設定された位置関係を維持したまま接着により鏡筒30と基板51とを互いにより強固に結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、間接接着構造において、鏡筒側接着部54aが鏡筒30の縮径部32の外周面の接着面Bに宛がわれるとともに、基板側接着部54bが基板51の表面51aに宛がわれたL字状の中間保持部材54により、鏡筒30と基板51とが架け渡されているので、鏡筒30と基板51とをより強固に結合することができる。このため、たとえ温度変化等の影響により接着層C6における結合強度が弱まってしまった場合であっても、鏡筒30と基板51との位置関係を維持することができるので、温度変化の厳しい環境下であっても安定した画像特性を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、接着構造における接着層C4および接着層C5が、光学的に位置決めされた鏡筒30と基板51との位置関係に応じた大きさ寸法の中間保持部材54を用いた間接接着構造により形成されていることから、極めて薄いものとすることができるので、温度変化等の影響による変形量を少なくすることができ、温度変化の厳しい環境下であっても安定した画像特性を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、鏡筒30と基板51との間が、遮光性を有する接着層C6により塞がれていることから、鏡筒30の外方から撮像素子52の受光面52aへの異物の侵入を防止することができるとともに、鏡筒30の外方からの光が撮像素子52の受光面52aに入射することを確実に防止することができるので、より鮮明な画像を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、取付壁部11の挿通孔11bの縮孔部11gの位置決め面11dと鏡筒30の縮径部32の位置決め部35とにより径方向位置決め部を形成し、それとは別に取付壁部11と鏡筒30との固定のための固定手段としての取付壁部11の縮孔部11gのネジ溝11eと鏡筒30の縮径部32のネジ溝36とを設けていることから、より高い精度で取付壁部11の挿通孔11b内において鏡筒30を径方向に位置決めすることができるとともに、より適切に取付壁部11と鏡筒30とを固定することができる。
本発明の撮像装置10では、取付壁部11の縮孔部11gのネジ溝11eと、鏡筒30の縮径部32のネジ溝36と、で螺合される鏡筒30の取付壁部11に対する締め付けにより、鏡筒30と取付壁部11とが固定されていることから、その固定関係をより強固なものとすることができるとともに温度変化に伴う固定強度の変化を抑制することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。このため、例えば、車に搭載された状態での振動等の外乱や温度条件の差異にも耐えることができ、安定した画像特性を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、取付壁部11の縮孔部11gのネジ溝11eと、鏡筒30の縮径部32のネジ溝36と、で螺合される鏡筒30の取付壁部11に対する締め付けにより、互いに固定される取付壁部11と鏡筒30との間でOリング23が圧縮されていることから、より確実な封止性能を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、鏡筒30に平坦面部37が設けられていることから、取付壁部11に対する鏡筒30の撮影光軸O回りの回転操作、すなわち鏡筒30の取付壁部11への固定を容易に行うことができる。
本発明の撮像装置10では、鏡筒30の縮径部32を取付壁部11の挿通孔11bに挿通した状態において、鏡筒30の縮径部32の外周面における平坦面部37よりも後端(接着面B)が露見している、すなわち第1空間P1となる第2空間が形成されていることから、取付壁部11に対する鏡筒30の撮影光軸O回りの回転操作すなわち鏡筒30の取付壁部11への固定を容易なものとすることができる。
本発明の撮像装置10では、鏡筒30を取付壁部11に固定する際、その鏡筒30の後端部(他端部)には、電装基板部50(撮像素子52)が設けられていないことから、取付壁部11に対する鏡筒30の回動操作(固定作業)を容易なものとすることができる。
本発明の撮像装置10では、取付壁部11と鏡筒30との間を封止するOリング23が、撮影光軸O方向に直交する鏡筒30の直交面34と、撮影光軸O方向に直交する取付壁部11の前側面11hと、の間に配置されていることから、たとえ取付壁部11の挿通孔11b内で鏡筒30が径方向のいずれかに偏っている場合であっても、その偏りの影響を受けることなく取付壁部11と鏡筒30との間でOリング23が適切に圧縮されるので、適切に封止性能を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、取付壁部11に後側筐体部13を封止的に結合することにより、筐体12内に収容された鏡筒30(そこに保持された光学素子群40)および撮像素子52(電装基板部50)を、全方位に対する防水性能および防塵性能を有するものとすることができる。
本発明の撮像装置10では、光学素子群40が取付壁部11とは別体の鏡筒30に保持されていることから、取付壁部や筐体の外観形状を変更した場合であっても、高い光学性能の維持を容易なものとすることができるとともに、その外観形状の設計自由度を高めることができる。これは、以下のことによる。光学素子群40では、所定の光学性能を得るためには極めて高い精度で位置決めした状態でレンズ等の光学素子を保持する必要がある。このことは、実施例1のように、複数の光学素子が用いられている場合に特に重要となる。このため、例えば、上述した従来技術(特許文献2)のように筐体で直接光学素子を保持する構成とし、この筐体を樹脂成形で形成するものとすると、筐体の外観形状を変更する度に、光学素子を保持する箇所における高い精度の確保のために極めて高い精度の金型を作成する必要があり、高い光学性能の維持は容易なものではない。また、筐体で直接光学素子を保持する構成とし、例えば、この筐体を樹脂成形するものとすると、形状に応じて種々の偏肉や金型内での樹脂の流れの不均一等の影響の有無(大きさ)が変わるので、筐体(光学素子を保持する箇所)の精度を確保するために筐体自体の外観形状に制約が生じてしまう。これに対して、本発明に係る撮像装置10では、鏡筒30自体は変更することなく(鏡筒30を共通化する)、取付壁部における鏡筒30との固定のための構成箇所のみを共通のものとすればよいことから、取付壁部の外観形状の変更が光学素子群40の保持状態すなわち光学性能に影響を及ぼすことはなく、逆に光学性能の観点から取付壁部の外観形状の設計変更に影響を及ぼすこともない。
本発明の撮像装置10では、光学素子群40が取付壁部11とは別体の鏡筒30に保持されているとともに、その鏡筒30に電装基板部50(撮像素子52)が固定されていることから、例えば、外気温や日光の照射により外表面Sを形成する取付壁部11が変形してしまった場合であっても、光学的に位置決めされた光学素子群40と撮像素子52(その受光面52a)との位置関係に影響が及ぶことを防止することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。
本発明の撮像装置10では、鏡筒30(撮像光学系20)と基板51(電装基板部50の撮像素子52)とが取付壁部11に封止的に位置決め固定されて構成されていることから、この取付壁部11を所望の箇所、例えば、電子機器や建物の壁面の一部を構成するように取り付けることで、容易に所望の場所において封止性能を有する監視カメラとして利用することができる。
本発明の撮像装置10では、鏡筒30(撮像光学系20)と基板51(電装基板部50の撮像素子52)とを結合する接着構造を形成する際、先ず間接接着工法を行ってから充填接着工法を行うので、光学的に位置決めされた撮像素子52(基板51)と光学素子40(鏡筒30)との位置関係を維持しつつより強固に鏡筒30と基板51とを結合することができる。
したがって、本発明の撮像装置10では、筐体の設計自由度の低減を招くことなく、光学素子(光学素子群40)の周囲での封止性能の確保を容易なものとしつつ小型化の妨げのなることなく適切な光学性能を得ることができる。
なお、上記した実施例1では、電装基板部50(基板51)と鏡筒30とを結合する接着構造が、間接接着構造と充填接着構造とにより形成されていたが、間接接着構造により十分な結合強度が得られれば、充填接着構造(接着層C6)を設けなくてもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。また、光学的に位置決めされた電装基板部50(基板51)と鏡筒30との位置関係を許容範囲内で維持することができれば、図19に示す撮像装置10´のように間接接着構造を設けることなく充填接着構造(接着層C6)により電装基板部50(基板51)と鏡筒30とを結合するものであってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。ここでいう許容範囲とは、位置ずれした撮像素子52(その受光面52a)において適切な画像を取得することが可能であることを言い、例えば、撮像素子52(その受光面52a)に生じる撮影光軸O方向の位置ずれ量が光学素子群40における焦点深度内であることを言う。
また、上記した実施例1では、間接接着工法における接着層C4および接着層C5の形成のために紫外線硬化型の接着剤を用いていたが、間接接着工法による位置関係の維持を可能とするものであれば、例えば、熱硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。この場合、各中間保持部材54を紫外線の透過を許す材料で形成する必要はない。
さらに、上記した実施例1では、充填接着工法における接着層C6の形成のために熱硬化型の接着剤を用いていたが、間接接着工法による位置関係の維持を可能とするものであれば、例えば、紫外線硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
上記した実施例1では、充填接着構造における接着層C6が、鏡筒30と基板51との間で各中間保持部材54の内側を通過して環状を呈するものとされていたが、各中間保持部材54の外側を取り巻くものであってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。この場合、接着層C6の形成のための接着剤の塗布(注入)作業を容易なものとすることができる。
上記した実施例1では、鏡筒30の縮径部32の外周面に4つの平坦面部37が形成されていたが、取付壁部11に対する鏡筒30の撮影光軸O回りの回転操作、すなわち鏡筒30の取付壁部11への固定することを容易なものとすべく鏡筒30の保持を容易とする保持部が形成されていればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
上記した実施例1では、間接接着工法においてL字状の各中間保持部材54を用いていたが、間接接着工法で用いる中間保持部材は、鏡筒30の縮径部32の接着面B(外周面)への鏡筒側接着面を形成することができるとともに、電装基板部50の基板51の表面51a(撮像素子52が実装された側の面)への受光側接着面を形成することができるものであれば、例えば、断面が矩形状や三角形状を呈するものであってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
上記した実施例1では、取付壁部11と鏡筒30との固定状態において、縮径部32の接着面Bを径方向で見た外方位置には他の構成部材が存在することはないものとされていたが、撮像装置10の位置決め固定の作業を可能とする、すなわち間接接着工法のための中間保持部材の配置や、充填接着工法のための接着剤の塗布(注入)や、紫外線硬化型の接着剤を用いた際の紫外線の照射等を可能とするものであれば、例えば、撮影光軸O回りの角度で見て一部の角度領域のみが開放されているものであってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。すなわち、第1空間は、撮影光軸O回りで見て全周に渡って形成されている必要はない。
上記した実施例1では、取付壁部11の縮孔部11gのネジ溝11eと、鏡筒30の縮径部32のネジ溝36と、で螺合される鏡筒30の取付壁部11に対する締め付けにより、鏡筒30と取付壁部11とが固定されていたが、小型化の妨げとなることなく光学素子から撮像素子に至る封止性能の確保を容易なものとする観点からは、鏡筒の外周面に設けられた鏡筒側ネジ溝との螺合により取付壁部に対して撮影光軸O方向に鏡筒(その一端部)を押圧させて固定するものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例2に係る撮像装置102について説明する。この実施例2は、電装基板部50(基板51)と鏡筒30とを結合する接着構造が、実施例1とは異なる例である。この実施例2の撮像装置102は、基本的な構成は上記した実施例1の撮像装置10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図20は、実施例2に係る撮像装置102の構成を説明するための図16と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。
実施例2に係る撮像装置102では、図20に示すように、接着構造が中間保持部材542を用いる間接接着工法により形成されている。この中間保持部材542は、撮像光学系20(光学素子群40)の結像位置を撮像素子52の受光面52a上とすべく、光学素子群40に対する撮像素子52(その受光面52a)の位置が光学的に位置決めされた状態(位置関係)を維持したまま、接着剤を用いて鏡筒30に対して撮像素子52もしくはそれが実装された基板51を結合するための接着構造(間接接着構造)を構成するものである。
この中間保持部材542は、鏡筒30の縮径部32(その接着面B)の内方への挿入を許すとともに撮像素子52を内方に位置させることを可能とする円筒状を呈し、その周回方向で見た断面形状がL字状を呈している。このため、中間保持部材542では、間接接着工法の際、鏡筒30の縮径部32の接着面B(外周面)への鏡筒側接着面を形成する鏡筒側接着部542aと、電装基板部50の基板51の表面51a(撮像素子52が実装された側の面)への受光側接着面を形成する基板側接着部542bと、を有している。この実施例2では、中間保持部材542は、実施例1と同様に、間接接着工法の際の接着剤として紫外線硬化型のものを採用していることから、少なくとも紫外線の透過を許す材料で形成されている。
実施例2に係る撮像装置102では、実施例1と同様に、鏡筒30に対する電装基板部50(その基板51に実装された撮像素子52)の位置決め固定に先立って、組み付けられた撮像光学系20と取付壁部11とを固定する(図12参照)。
その後、位置決めのために、鏡筒30が封止的に固定された取付壁部11を、調整装置60としての筐体保持部61(図13参照)で固定的に保持し、その鏡筒30の縮径部32の接着面Bに、鏡筒側接着部542aに接着剤を塗布して接着層C7を形成するとともに基板側接着部542bに接着剤を塗布して接着層C8を形成した中間保持部材542の鏡筒側接着部542aに挿通させる。
その後、筐体保持部61で固定保持した取付壁部11に対して、その上下左右方向と、撮像素子52で取得した画像における上下左右方向と、が一致し、かつその撮像光学系20(光学素子群40)の撮影光軸Oが撮像素子52で取得した画像における中心に位置するように、電装基板部50の基板51を撮像素子保持部62(図13参照)で保持する。
後は、実施例1と同様に、モニタ70(図13参照)に映し出された画像(被写体像)を用いて、撮影光軸Oに対して受光面52aが直交させた状態で撮影光軸O方向へと撮像素子52(受光面52a)を移動させてピント調整を行い、鏡筒30と基板51との相対的な位置関係を維持した状態で、鏡筒側接着部542aが鏡筒30の縮径部32の接着面Bに挿通された中間保持部材542の基板側接着部542bを、接着層C8を介して基板51の表面51aに当接させる。
この鏡筒30が固定された取付壁部11を筐体保持部61(図13参照)で固定的に保持するとともに、その鏡筒30(光学素子群40)に対して光学的に位置決めされた状態の基板51(電装基板部50)を撮像素子保持部62(図13参照)で固定的に保持し、かつその鏡筒30と基板51とに中間保持部材542を付着させかつ他には何ら拘束しない状態で、第1空間P1(図12参照)を利用して紫外線を照射することにより接着層C7および接着層C8を硬化させて間接接着工法を行う。これにより、鏡筒30と基板51とは、光学的に設定された位置関係を維持したまま、接着により中間保持部材542を介して互いに結合される。このため、中間保持部材542は、接着層C7および接着層C8との協働により、鏡筒30と基板51(撮像素子52)との相対的な位置関係を維持しつつ接着により結合することを可能とする間接接着構造を形成している。
この実施例2の撮像装置102では、間接接着構造において、環状の中間保持部材542を用いていることから、実施例1のように充填接着工法は用いていない。
実施例2の撮像装置102では、基本的に実施例1の撮像装置10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例2の撮像装置102では、接着構造において、充填接着工法を用いることなく十分な固定強度を得ることができることから、位置決め固定作業を容易なものとすることができる。
また、実施例2の撮像装置102では、鏡筒30と基板51との間が、中間保持部材542により塞がれていることから、鏡筒30の外方から撮像素子52の受光面52aへの異物の侵入を防止することができるとともに、鏡筒30の外方からの光が撮像素子52の受光面52aに入射することを確実に防止することができるので、より鮮明な画像を得ることができる。
したがって、実施例2の撮像装置102では、筐体の設計自由度の低減を招くことなく、光学素子(光学素子群40)の周囲での封止性能の確保を容易なものとしつつ小型化の妨げのなることなく適切な光学性能を得ることができる。
なお、上記した実施例2では、間接接着工法における接着層C7および接着層C8の形成のために紫外線硬化型の接着剤を用いていたが、間接接着工法による位置関係の維持を可能とするものであれば、例えば、熱硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した実施例2に限定されるものではない。この場合、中間保持部材542を紫外線の透過を許す材料で形成する必要はない。
また、上記した実施例2では、周回方向で見た断面がL字状を呈する環状の中間保持部材542を用いていたが、間接接着工法で用いる中間保持部材は、鏡筒30の縮径部32の接着面B(外周面)への鏡筒側接着面を形成することができるとともに、電装基板部50の基板51の表面51a(撮像素子52が実装された側の面)への受光側接着面を形成することができるものであれば、例えば、断面が矩形状や三角形状を呈するものであってもよく、上記した実施例2に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例3に係る撮像装置103について説明する。この実施例3は、電装基板部503(基板51)と鏡筒30とを結合する接着構造が、実施例1および実施例2とは異なる例である。この実施例3の撮像装置103は、基本的な構成は上記した実施例1の撮像装置10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図21は、実施例3に係る撮像装置103の構成を説明するための図2と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。図22は、実施例3に係る撮像装置103の構成を説明するための図16と同様の部分的に破断して示す模式的な斜視図である。図23は、実施例3に係る撮像装置103の構成を説明するための図17と同様の部分的に破断して示す模式的な側面図である。図24は、実施例3に係る撮像装置103の構成を説明するための図18と同様の模式的な斜視図である。
実施例3に係る撮像装置103では、図21ないし図24に示すように、接着により鏡筒30に対して電装基板部503を結合する接着構造において、鏡筒30に対して撮像素子523を直接結合する構成としている。その電装基板部503では、撮影光軸O方向から見た撮像素子523の大きさ寸法が基板51と略等しいものとされている。
この撮像装置103では、実施例1と同様に、鏡筒30に対する電装基板部503(その基板51に実装された撮像素子523)の位置決め固定に先立って、組み付けられた撮像光学系20と取付壁部11とを固定し(図12参照)、調整装置60(図13参照)を用いて鏡筒30(そこに保持された光学素子群40)と撮像素子523とを光学的に位置決めする(ピント調整を行う)。
その後、鏡筒30と撮像素子523(電装基板部503)との相対的な位置関係を維持した状態で、鏡筒側接着部54aに接着剤を塗布して接着層C4を形成するとともに基板側接着部54bに接着剤を塗布して接着層C5を形成した各中間保持部材54を、その鏡筒30と撮像素子523(電装基板部503)とを架け渡すように配置する。実施例3では、各中間保持部材54の鏡筒側接着部54aは、鏡筒30の縮径部32の外周面の接着面Bに宛がわれる。また、各中間保持部材54の基板側接着部54bは、撮像素子523の受光面523aにおける有効エリア(実効的な受光領域)以外の領域に宛がわれる。実施例3では、接着層C4および接着層C5を形成するために紫外線硬化型の接着剤を採用している。各中間保持部材54は、接着層C4および接着層C5により、互いに光学的に位置決めされた鏡筒30と撮像素子523とを架け渡すようにそれらに付着する。
この後、鏡筒30が固定された取付壁部11を固定的に保持するとともに、その鏡筒30(光学素子群40)に対して光学的に位置決めされた状態の撮像素子523(電装基板部503)を固定的に保持し、かつその鏡筒30と撮像素子523とに各中間保持部材54を付着させかつ他には何ら拘束しない状態で、第1空間P1(図13参照)を利用して紫外線を照射することにより接着層C4および接着層C5を硬化させて、間接接着工法を行う。これにより、鏡筒30と撮像素子523とは、固定保持を解除した後であっても、光学的に設定された位置関係を維持したまま、接着により各中間保持部材54を介して互いに結合される。
実施例3では、上述した各中間保持部材54を用いた間接接着工法の後に、実施例1と同様に、熱硬化型の接着剤により接着層C6を形成して充填接着工法を行う。この接着層C6は、鏡筒30の後端(内縁突起部39の外方位置)の外縁部に沿って環状に設け、撮像素子523の受光面523aにおいて、少なくともその有効エリア(実効的な受光領域)に干渉しないものとされている。
実施例3の撮像装置103では、基本的に実施例1の撮像装置10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例3の撮像装置103では、鏡筒30と撮像素子523との結合のための部材を減らすことができることから、各部材における製造誤差や温度変化に起因する変形の影響を低減することができるので、より高精度の画像特性を得ることができる。
また、実施例3の撮像装置103では、実施例1および実施例2の構成に比較して、鏡筒30(光学素子群40)や基板51に対して大きなサイズの撮像素子523を用いることができるので、より綺麗な画像を得ることができる。
さらに、実施例3の撮像装置103では、実施例1および実施例2の構成に比較して、撮像素子523に対して鏡筒30(光学素子群40)や基板51等を小さな大きさ寸法とすることができるので、撮像装置103の小型化に大きく寄与することができる。
したがって、実施例3の撮像装置103では、筐体の設計自由度の低減を招くことなく、光学素子(光学素子群40)の周囲での封止性能の確保を容易なものとしつつ小型化の妨げのなることなく適切な光学性能を得ることができる。
なお、上記した実施例3では、間接接着工法における接着層C4および接着層C5の形成のために紫外線硬化型の接着剤を用いていたが、間接接着工法による位置関係の維持を可能とするものであれば、例えば、熱硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した実施例3に限定されるものではない。この場合、各中間保持部材54を紫外線の透過を許す材料で形成する必要はない。
また、上記した実施例3では、充填接着工法における接着層C6の形成のために熱硬化型の接着剤を用いていたが、間接接着工法による位置関係の維持を可能とするものであれば、例えば、紫外線硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した実施例3に限定されるものではない。
さらに、上記した実施例3では、間接接着工法においてL字状の各中間保持部材54を用いていたが、間接接着工法で用いる中間保持部材は、鏡筒30の縮径部32の接着面B(外周面)への鏡筒側接着面を形成することができるとともに、電装基板部503の撮像素子523の受光面523aへの受光側接着面を形成することができるものであれば、例えば、断面が矩形状や三角形状を呈するものであってもよく、また実施例2のように円筒状を呈するものであってもよく、上記した実施例3に限定されるものではない。
なお、上記した各実施例では、本発明に係る撮像装置の一例としての撮像装置10(10´)、撮像装置102および撮像装置103について説明したが、少なくとも1つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と、撮像素子が設けられた基板と、鏡筒における被写体側となる一端部を撮影光軸に直交する方向で取り囲む外表面を形成する取付壁部と、鏡筒の外周面に設けられた鏡筒側ネジ溝との螺合により、鏡筒の一端部を撮影光軸方向で取付壁部に押圧しつつ取付壁部に鏡筒を固定すべく取付壁部に設けられた螺合固定手段と、光学的に位置決めされた撮像素子と光学素子との位置関係を維持しつつ硬化されて鏡筒の他端部と基板とを結合する接着構造と、を備える撮像装置であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、光学素子群40がレンズ41、レンズ42、レンズ43、絞り44、レンズ45、レンズ46およびレンズ47により構成されていたが、画像取得のために任意の位置に結像させるものであって少なくとも1つ以上の光学素子を有するものであり、上述した構成の鏡筒30に保持されているものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、間接接着工法に用いる中間保持部材として、鏡筒30の縮径部32への鏡筒側接着面と、電装基板部503の撮像素子523への受光側接着面と、が直交するものとされていたが、光学素子群40に対する撮像素子52(その受光面52a)の位置が光学的に位置決めされた状態(位置関係)を維持したまま、接着剤を用いて鏡筒30に対して撮像素子52もしくはそれが実装された基板51を結合するものであれば、例えば、長尺な板状部材の同一面における両端位置に鏡筒側接着面と受光側接着面とを形成するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。この場合、受光側接着面は、接着層を介して基板51もしくは撮像素子52(523)の側面に当接(接着)すればよい。
以上、本発明の撮影装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
10、10´、102、103 撮像装置
11 取付壁部
11b (取付壁部の貫通孔としての)挿通孔
11d (螺合固定手段としての)位置決め面
11e (螺合固定手段としての)ネジ溝
11h (直交面としての)前側面
12 筐体
13 (箱状部材としての)後側筐体部
23 (封止部材としての)Oリング
30 鏡筒
31 (一端側としての)拡径部
32 (他端側としての)縮径部
34 直交面
36 (鏡筒側ネジ溝としての)ネジ溝
37 (保持部としての)平坦面部
40 光学素子群
51 基板
52、523 撮像素子
54、542 中間保持部材
O 撮影光軸
S 外表面
C4 (鏡筒側接着層としての)接着層
C5 (受光側接着層としての)接着層
C6 (充填接着層としての)接着層
C7 (鏡筒側接着層としての)接着層
C8 (受光側接着層としての)接着層
特許3835620号公報 特開2009−290527号公報

Claims (13)

  1. 少なくとも1つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、
    前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と、
    該撮像素子が設けられた基板と、
    前記鏡筒における被写体側となる一端部を撮影光軸に直交する方向で取り囲む外表面を形成し、外観形状から上下左右方向を特定できる形状とされて前記鏡筒とは別体に形成された取付壁部と、
    前記鏡筒の外周面に設けられた鏡筒側ネジ溝との螺合により、前記鏡筒の前記一端部を前記撮影光軸方向で前記取付壁部に押圧しつつ該取付壁部に前記鏡筒を固定すべく前記取付壁部に設けられた螺合固定手段と、
    前記螺合固定手段により前記鏡筒が固定された前記取付壁部の上下左右方向に前記撮像素子で取得した画像における上下左右方向を一致させた状態で光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ硬化されて前記鏡筒の他端部と前記基板とを結合する接着構造と、を備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 少なくとも1つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、
    前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と、
    前記鏡筒における被写体側となる一端部を撮影光軸に直交する方向で取り囲む外表面を形成し、外観形状から上下左右方向を特定できる形状とされて前記鏡筒とは別体に形成された取付壁部と、
    前記鏡筒の外周面に設けられた鏡筒側ネジ溝との螺合により、前記鏡筒の前記一端部を前記撮影光軸方向で前記取付壁部に押圧しつつ該取付壁部に前記鏡筒を固定すべく前記取付壁部に設けられた螺合固定手段と、
    前記螺合固定手段により前記鏡筒が固定された前記取付壁部の上下左右方向に前記撮像素子で取得した画像における上下左右方向を一致させた状態で光学的に位置決めされた前記撮像素子と前記光学素子との位置関係を維持しつつ硬化されて前記鏡筒の他端部と前記撮像素子とを結合する接着構造と、を備えることを特徴とする撮像装置。
  3. 前記撮像素子と前記光学素子とは、前記撮像素子で取得した画像における上下左右方向を前記取付壁部の上下左右方向に一致させた状態で、前記撮影光軸方向に相対的に移動されてピント調整が為されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
  4. 前記接着構造は、一端が前記鏡筒への鏡筒側接着面を形成しかつ他端が前記基板または前記撮像素子への受光側接着面を形成する中間保持部材と、前記鏡筒側接着面に設けられた鏡筒側接着層と、前記受光側接着面に設けられた受光側接着層と、を有する間接接着構造を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
  5. 前記接着構造は、前記撮像素子と前記光学素子とが光学的に位置決めされた状態において、前記鏡筒の前記他端部と、前記基板または前記撮像素子と、の間を充填する充填接着層を有する充填接着構造を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
  6. 前記接着構造は、一端が前記鏡筒への鏡筒側接着面を形成しかつ他端が前記基板または前記撮像素子への受光側接着面を形成する中間保持部材と、前記鏡筒側接着面に設けられた鏡筒側接着層と、前記受光側接着面に設けられた受光側接着層と、を有する間接接着構造と、
    該間接接着構造が形成された後に形成された、前記鏡筒の前記他端部と、前記基板または前記撮像素子と、の間を充填する充填接着層を有する充填接着構造と、を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
  7. 前記中間保持部材は、前記撮影光軸に直交する面で見て、前記撮影光軸を中心とする互いに直交する4方向に配置されていることを特徴とする請求項4または請求項6に記載の撮像装置。
  8. 前記接着構造は、一端が前記鏡筒への鏡筒側接着面を形成しかつ他端が前記基板または前記撮像素子への受光側接着面を形成する中間保持部材と、前記鏡筒側接着面に設けられた鏡筒側接着層と、前記受光側接着面に設けられた受光側接着層と、を有する間接接着構造を備え、
    前記中間保持部材は、前記撮影光軸回りに前記撮像素子を取り囲む環状を呈していることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
  9. 前記接着構造は、前記撮像素子と前記光学素子とが光学的に位置決めされた状態において、前記鏡筒の前記他端部と、前記基板または前記撮像素子と、の間を充填する充填接着層を有する充填接着構造を備え、
    前記充填接着層は、遮光性を有する接着剤で形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置。
  10. 前記取付壁部は、被写体側から前記撮影光軸方向で見て同心状の2つの円形状を呈する段付きの貫通孔と、該貫通孔における段付き箇所に前記撮影光軸に直交する直交面と、を有し、
    前記鏡筒は、前記他端側よりも前記一端側の方が外径寸法の大きな段付きの外観形状を呈し、前記一端側と前記他端側との間の段付き箇所に前記撮影光軸に直交する直交面を有し、
    前記取付壁部と前記鏡筒との間では、双方の前記直交面の間に封止部材が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の撮像装置。
  11. 前記鏡筒の外周面には、前記取付壁部の前記貫通孔に挿通した状態において、前記取付壁部の裏面側での該取付壁部に対する前記鏡筒の撮影光軸回りの回転操作のための保持部が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
  12. 前記取付壁部は、前記外表面とは反対側に一端開放の箱状部材が結合されることにより、該箱状部材と協働して、前記鏡筒と前記撮像素子とを収容する筐体を形成することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の撮像装置。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の撮像装置を用いることを特徴とする車載カメラ。
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