本発明に係る撮像ユニットの一例としての実施例1の撮像ユニット12を搭載する撮像装置10を、図1ないし図9を用いて説明する。
撮像装置10は、図1に示すように、筐体11に、撮像ユニット12および電装基板部13が収容されて構成されている。この筐体11は、撮像ユニット12および電装基板部13を保護すべく防水機能や防塵機能(以下、封止性能という)を有する箱状を呈し、樹脂材料や金属材料から形成されている。筐体11は、外部との封止性能を有した状態で、撮像ユニット12の先端部(被写体(物体)側の端部)を外部に露出させている。また、筐体11には、撮像ユニット12および電装基板部13へと電力を供給したり、撮像ユニット12に設けられる後述する撮像素子24で取得した画像データを伝送したりするための電線(ワイヤーハーネス)14が設けられている。この電線14は、外部との封止性能を有した状態で電装基板部13への接続を可能とされている。この封止性能を有する構成としては、筐体11に接続穴(図示せず)を設け、そこに電線14を挿通するとともに周囲を防水用接着剤で充填することや、電線14(その被覆部材)を筐体11と一体的に形成することがあげられる。
その電線14は、電装基板部13すなわち撮像装置10を外部機器15に接続することを可能とする。その外部機器15は、撮像装置10により取得された画像データを用いるものであり、例えば、撮像装置10により取得された画像データを表示させる表示装置(モニタ)であったり、当該画像データを解析したりする演算制御装置である。外部機器15は、例えば、図示は略すが撮像装置10を車載カメラとして利用すべく車両に適宜搭載した場面において、当該車両(図示せず)に設けられたナビゲーションシステムの表示部等のモニタとすることにより、乗員特に運転手による視認を支援する視認支援機構を構成することができる。
その電線14が接続される電装基板部13は、図示の例では、撮像ユニット12としての撮像素子用基板21に、信号変換用基板22がコネクタ23により電気的に接続されて構成されている。
その撮像素子用基板21は、撮像ユニット12の一部を構成するものであり、被写体側となる取付面21aに撮像素子24が実装されている。その撮像素子24は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子で構成されており、撮像素子用基板21の制御下において、撮像ユニット12の後述する光学素子群32を通して受光面24a上に結像された被写体像を電気信号(画像データ)に変換して出力する。その出力された電気信号(画像データ)は、電装基板部13すなわちコネクタ23を経て信号変換用基板22へと伝送される。
その信号変換用基板22は、所定の電子回路を構成すべく適宜電子部品が実装されており、撮像素子用基板21(撮像素子24)からの電気信号を、VGA(Video Graphics Array)に対応するビデオ信号や、NTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)に対応するビデオ信号に変換する。信号変換用基板22は、その変換したビデオ信号を、フレキシブル配線25を介して電線14に出力する。このため、電装基板部13は、撮像素子24で取得した画像を、ビデオ信号として出力することができる。なお、この電装基板部13は、上述した機能を有するものであれば、基板の枚数は適宜設定することができる。その電装基板部13が接続された撮像素子用基板21は、撮像ユニット12を構成している。
撮像ユニット12は、撮像素子用基板21に、光学素子群32を保持する鏡筒31が結合されて構成されている。この鏡筒31は、光学素子群32を内方で保持すべく筒状を呈し、外観形状が、前側(被写体側)となる一端側が相対的に径寸法(径方向で見た後述する撮影光軸Oを基準とする外径寸法)の大きく、かつ後側となる他端側が径寸法の小さい段付き形状とされている。鏡筒31では、径寸法の小さい他端側の外周面31aが後述する撮影光軸Oを中心とする円周面(撮影光軸Oから等しい間隔となる位置で当該撮影光軸O方向に延在する曲面)とされており、その外周面31aに鏡筒側ネジ溝33が形成されている。この鏡筒側ネジ溝33は、後述する撮影光軸Oを中心とする螺旋状の溝形状を呈する。鏡筒側ネジ溝33は、後述する各固定部材40により形成される部材側ネジ溝44(図2参照)と螺合可能とされている。
この鏡筒31では、光学素子群32を保持するための保持孔34が設けられている。この保持孔34は、鏡筒31における中心位置を後述する撮影光軸O方向に沿って貫通して設けられている。その光学素子群32は、画像取得のために任意の位置に結像させるものであり、少なくとも1つ以上の光学素子を有し、撮像ユニット12(撮像装置10)において求められる光学性能に応じて適宜構成される。ここで、光学素子とは、レンズや赤外線カットフィルタ等を言う。この光学素子群32は、被写体側から各光学素子が順に鏡筒31の保持孔34へと挿入され、後述する撮影光軸Oに対して適宜位置決めされて鏡筒31(その保持孔34)に固定される。これにより、光学素子群32が、鏡筒31内(保持孔34)において中心軸(撮影光軸O)上で適切な位置に整列されることとなり、所望の光学性能を有する撮像ユニット12としての撮像光学系が組み付けられる。この撮像光学系(撮像ユニット12)では、上述したように先端部(被写体側の端部)が筐体11の外部に露出されることから、光学素子群32における最も被写体(物体)側に位置される光学素子(対物レンズ)の周囲から鏡筒31の内方への水や塵埃等の侵入を防止すべく封止性能を有する構成とされている。なお、実施例1では、光学素子群32(鏡筒31)の中心軸位置となる各光学素子の回転対称軸(撮像素子24で取得される画像における中心位置)を、撮像光学系(撮像ユニット12すなわち撮像装置10)の撮影光軸Oとしている。この撮像ユニット12において、光学素子群32の結像位置を、撮像素子24の受光面24a上の適切な位置とするように、撮像素子用基板21に鏡筒31が取り付けられる。
本発明に係る撮像ユニット12では、少なくとも2つ以上の固定部材40を用いて鏡筒31を撮像素子用基板21に結合する。この各固定部材40は、簡易に鏡筒31を撮像素子用基板21に固定することと、より高い調整精度(位置決め精度)で鏡筒31を撮像素子用基板21に固定することと、を可能とすることにより、それらを選択的に実行することを可能とするものである。実施例1では、鏡筒31と撮像素子用基板21との位置決め固定のために、対を為す2つの固定部材40を一緒に用いるものとしている(図2等参照)。この各固定部材40は、図2および図3に示すように、周壁部41と取付基部42とを有する。なお、2つの固定部材40は、対を為していることから基本的に同一の構成であるので、以下では双方の構成を同一の符号を付して説明するが、2つの固定部材40を個別に述べる場合には、一方の各符号の数字の末尾に1を付して示し、他方の各符号の数字の末尾に2を付して示す。
周壁部41は、円筒部材のうち周方向で見た所定の角度範囲の一部分に相当する湾曲された板状を呈し、装着時における撮影光軸Oに沿って延在するとともに、その撮影光軸Oに直交する断面形状が円弧状を呈している。この周壁部41は、位置決め固定のために一緒に用いられる(当該固定部材40(401)と組を為す)他の固定部材40(402)の周壁部41と協働して、対応する鏡筒(31)の外周面(31a)に面当接する単一の円周面を形成可能な構成とされている。実施例1では、上述したように、位置決め固定のために略同形状の2つの固定部材401、402が用いられることから、それぞれの周壁部411および周壁部412は略半円筒形状を呈し、周壁部411と周壁部412とを対向させるように固定部材401と固定部材402とを所定の間隔Dを置いて配置することにより、周壁部411の内周壁面411aと周壁部412の内周壁面412aとを単一の円周面上に位置させることができる。その円周面は、対応する鏡筒31の外周面31a(図1参照)が内接可能とされている。
2つの内周壁面411a、412aには、各々ネジ溝43(431、432)が設けられている。この2つのネジ溝431、432は、内周壁面411aと内周壁面412aとが単一の円周面上の所定の位置とされた状態において、鏡筒31の外周面31aに形成された鏡筒側ネジ溝33に螺合可能な部材側ネジ溝44を形成する。換言すると、ネジ溝431とネジ溝432とは、周方向で見て部材側ネジ溝44における互いに異なる箇所の一部分(部材側ネジ溝部分)を形成するものであり、内周壁面411aと内周壁面412aとが単一の円周面上の所定の位置とされた状態において同一の螺旋状の溝形状に一致するものとされている。
この周壁部41を一端側として、固定部材40における他端側に取付基部42が設けられている。その取付基部42は、周壁部41の延在方向に直交する面に沿って延在する板状を呈し、周壁部41とは反対側(図2を正面視して下側)の底面42aが撮像素子用基板21(その取付面21a(図1参照))に面当接可能とされている。取付基部42は、実施例1では、周壁部41の外周壁面41bを取り巻くような略半円板形状(扇形状)を呈し、底面42aが平坦面とされている。
この固定部材401と固定部材402とは、実施例1では、互いに対向される対向面部45(451、452)が、対向方向に直交する平坦面とされている。このため、固定部材401と固定部材402とは、撮像素子用基板21(取付面21a)上において、撮影光軸Oを中心としつつその撮影光軸Oと直交する方向で対向面部451と対向面部452とを所定の間隔Dを置いて対向されることにより、内周壁面411aおよび内周壁面412aが撮影光軸Oを中心とする単一の円周面上に位置するとともに、ネジ溝431およびネジ溝432が撮影光軸Oを中心とする部材側ネジ溝44を形成する。このとき、固定部材401の取付基部421と固定部材402の取付基部422とは、撮像素子用基板21の取付面21aにおいて、少なくとも撮像素子24の受光面24aの有効エリア(実効的な受光領域)に干渉しないように当該撮像素子24を取り囲むことが可能とされている。このことから、本願発明において、位置決め固定のために一緒に用いられる(互いに組を為す)固定部材40(実施例1では、固定部材401および固定部材402)とは、基準軸線に直交する基準平面上において所定の位置関係で当該基準軸線を取り囲むように配置されることにより、位置決め固定の対象となる(対応する)鏡筒31の鏡筒側ネジ溝33に螺合可能な部材側ネジ溝44を形成することを言う。
この両固定部材40は、実施例1では、後述するように、間接接着工法の際の接着剤として紫外線硬化型(紫外線硬化性)のものを採用することから、少なくとも紫外線の透過を許す材料で形成されている。このような材料としては、例えば、ガラスや透明樹脂等があげられる。両固定部材40は、実施例1では、紫外線の透過を許す樹脂材料から一体成形により、周壁部41(そのネジ溝43も含む)と取付基部42とが一体的に連続して形成されている。
次に、実施例1における2つの固定部材40を用いて、撮像素子24が実装された撮像素子用基板21に鏡筒31を結合することについて説明する。本発明に係る撮像装置10では、外周面に鏡筒側ネジ溝33が設けられた鏡筒31を、それに対応して組を為す複数の固定部材40を用いることにより、撮像素子24が実装された撮像素子用基板21への位置決め固定方法を選択することが可能となる。詳細には、複数の固定部材40を用いることにより、光学素子群32に対する撮像素子24(その受光面24a)の高い調整精度を確保することのできる位置決め固定方法と、鏡筒31の撮像素子用基板21への高い取り付け容易性を確保することのできる位置決め固定方法と、を選択することができる。
先ず、前者の高い調整精度を確保することのできる位置決め固定方法について説明する。この位置決め固定方法では、撮像ユニット12における光学素子群32の結像位置をより適切な状態で撮像素子24の受光面24a上とすることができる。当該位置決め固定方法では、光学素子群32に対する撮像素子24(その受光面24a)の位置が光学的に位置決めされた状態(位置関係)を維持したまま、複数の固定部材40および接着剤を用いる間接接着工法により、鏡筒31と撮像素子用基板21とを結合する間接接着構造を形成する。
その間接接着工法では、図4に示すように、各固定部材40において、周壁部41の内周壁面41a(ネジ溝43)から上端壁面41cの間に接着剤を塗布して接着層C1を形成するとともに、取付基部42の底面42aから外周壁面42bの間に接着剤を塗布して接着層C2を形成する。この接着剤は、実施例1では、光硬化性樹脂材料である紫外線硬化型のものを採用している。なお、接着剤は、後述する調整を可能とするとともにその後に硬化させることができるものであればよく、実施例1に限定されるものでない。その固定部材401および固定部材402を、対向面部451と対向面部452とを所定の間隔Dよりも大きな間隔d1で対向させて、撮像素子24が実装された撮像素子用基板21の取付面21a上に配置し、接着層C2を介して取付基部42の底面42aを撮像素子用基板21の取付面21aに当接させる(図5参照)。このとき、固定部材401と固定部材402とは、対向面部451と対向面部452とが間隔d1(>D)となるように対向されていることから、それぞれのネジ溝431、432で部材側ネジ溝44(図2等参照)を形成することはない。このため、鏡筒31は、外周面31a(そこに形成された鏡筒側ネジ溝33)を両ネジ溝431、432に接触させることなく、固定部材401の内周壁面411a(ネジ溝431)と固定部材402の内周壁面412a(ネジ溝432)との間に挿入することができる。これにより、固定部材401の内周壁面411a(ネジ溝431)と固定部材402の内周壁面412a(ネジ溝432)との間において、その軸線(撮影光軸O)に対する鏡筒31の傾きを調整することが可能となる。すなわち、固定部材401の内周壁面411a(ネジ溝431)と固定部材402の内周壁面412a(ネジ溝432)との間には、鏡筒31の鏡筒側ネジ溝33を取り囲むように、当該鏡筒31の傾き調整のための調整空間46が形成されていることとなる。
次に、光学素子群32を保持する鏡筒31の外周面31a(鏡筒側ネジ溝33)を、接着層C1を介して内周壁面411a(ネジ溝431)および内周壁面412a(ネジ溝432)に当接させるように、鏡筒31を固定部材401の内周壁面411aと固定部材402の内周壁面412aとの間に挿入する。
その状態であって、接着層C1および接着層C2を硬化させる(硬化する)前に、撮像素子24(その受光面24a)に対して光学素子群32が所定の位置関係となる(互いの光学的な軸線が一致する)ように、撮像素子用基板21に対して鏡筒31を位置決めする。この位置決めでは、撮像素子24(その受光面24a)が、鏡筒31の撮影光軸O上の適切な位置となるように、鏡筒31および撮像素子用基板21のいずれか一方を固定的に保持するとともに、その他方を一方に対する姿勢変位を可能に保持する。ここで、姿勢変位を可能にとは、一方における軸線(撮影光軸Oに一致される)回りに任意の回転姿勢とすることが可能であるとともに、一方の軸線に対する軸線の傾きの調整を可能し、かつ一方の軸線方向での位置(間隔)の調整を可能とすることをいう。
その撮像素子用基板21に電力を供給するとともに、撮像素子用基板21(その撮像素子24)からの画像をモニタ(図示せず)に表示可能な状態とする。そして、撮像光学系(光学素子群32)の光軸(撮影光軸O)上で所定の距離に被写体(図示せず)を配置して、撮像光学系(光学素子群32)で結像させるとともに、その被写体像を受光した撮像素子24からの電気信号(画像データ)に基づく画像を上述したモニタに映し出す。この状態において、そのモニタに映し出された画像(被写体像)が適切な状態となるように、鏡筒31の軸線(撮影光軸O)に対する撮像素子24(その受光面24a)の傾きの調整と、鏡筒31に対するその軸線方向での撮像素子24(受光面24a)の位置(間隔)の調整と、互いの軸線回りの回転姿勢の調整と、を行う(所謂ピント調整)。このピント調整は、作業者が画像を目視により確認しながら行うものであっても、画像解析により自動的に行うものであってもよい。このとき、実施例1では、撮像素子用基板21(撮像ユニット12)の筐体11への取り付け姿勢の設定に応じて、筐体11の上下左右方向と、撮像素子24で取得した画像における上下左右方向と、を一致させる。
ピント調整が完了すると、鏡筒31および撮像素子用基板21の固定保持を維持した状態、すなわち鏡筒31の光学素子群32と撮像素子用基板21の撮像素子24(その受光面24a)との相対的な位置関係を維持した状態とするとともに、その鏡筒31と撮像素子用基板21とを接着層C1および接着層C2を介して架け渡すようにそれらに付着する各固定部材40を他には何にも保持されていない(何ら拘束しない)状態として、接着層C1および接着層C2を硬化させる。このとき、各固定部材40は、互いに光学的に位置決め固定された鏡筒31と撮像素子用基板21とに両接着層C1、C2により付着しかつ他には何ら拘束されていない状態とされていることから、接着層C1および接着層C2が硬化収縮すると、鏡筒31と撮像素子用基板21とに対して接近する方向(矢印A1参照)へと移動することとなる。このように、接着層C1および接着層C2における硬化収縮の影響を、鏡筒31および撮像素子用基板21に対して接近する方向(矢印A1参照)へと各固定部材40を変位させることで吸収することができることから、両接着層C1、C2における硬化収縮が鏡筒31と撮像素子用基板21との位置関係に与える影響を極めて小さなものとすることができる。このため、接着層C1および接着層C2が硬化した後に、鏡筒31と撮像素子用基板21との双方の位置決め固定を解除しても、鏡筒31と撮像素子用基板21との位置関係には殆ど変化が生じない。これにより、鏡筒31と撮像素子用基板21とは、図5に示すように、光学的に設定された位置関係を維持したまま、接着により各固定部材40を介して互いに結合される。このように、鏡筒31と撮像素子用基板21とを固定部材40を介して接着固定することを間接接着工法といい、各固定部材40は、接着層C1および接着層C2の協働により、鏡筒31と撮像素子用基板21(撮像素子24)との相対的な位置関係を維持しつつ接着により結合することを可能とする間接接着構造を形成している。なお、ここでいう位置関係の維持とは、光学的に撮像素子24(その受光面24a)において適切な画像の取得が可能である状態を維持するものであれば、厳密な意味での移動は許容するものである。
なお、接着層C1は、少なくとも光学的に位置決めされた状態において鏡筒31と各固定部材40の一端とを付着させることができ、かつ硬化されることによりそれらを結合することができるものであれば、図4に符号C1で示した全範囲ではなくその一部のみに設けられるものであってもよく、図4に示す例に限定されるものではない。また、接着層C2についても同様に、少なくとも光学的に位置決めされた状態において撮像素子用基板21(取付面21a)と各固定部材40の他端とを付着させることができ、かつ硬化されることによりそれらを結合することができるものであれば、図4に符号C2で示した全範囲ではなくその一部のみに設けられるものであってもよく、図4に示す例に限定されるものではない。
実施例1では、図6に示すように、接着層C1Aは、鏡筒31の外周面31a(鏡筒側ネジ溝33)における上端部(被写体側であり、図6を正面視して上側)近傍に設けられており、接着層C2Aは、各固定部材40の取付基部42の底面42aにおける中間位置(取付基部42の径方向で見た中間位置)に設けられている。このため、接着層C1Aおよび接着層C2Aを硬化させるために、互いに位置決め固定された鏡筒31および撮像素子用基板21と、それらに付着された各固定部材40と、の外方から紫外線を回り込ませるように照射することは困難であるが、実施例1では、上述したように各固定部材40が紫外線の透過を許す樹脂材料で形成されていることから、各固定部材40の外方からの紫外線の照射により接着層C1および接着層C2を硬化させることができる。このように、鏡筒31に組を為して対応する複数の固定部材40を用いることにより、光学素子群32に対する撮像素子24(その受光面24a)の位置の高い調整精度を確保することを可能としつつ、その光学的に位置決めされた状態を維持して、鏡筒31を撮像素子用基板21に位置決め固定する(接着による位置決め固定ともいう)ことができる。なお、実施例1では、接着層C1および接着層C2は、上述したピント調整を行う前に形成されていたが、ピント調整を行った後に位置決めされた状態を維持したまま注入等により形成されるものであってもよく、実施例1に限定されるものではない。
次に、後者の高い取り付け容易性を確保することのできる位置決め固定方法について説明する。この位置決め固定方法では、撮像素子用基板21の取付面21a上において、複数の固定部材40で部材側ネジ溝44を形成する。すなわち、図7および図8に示すように、両固定部材40(401、402)の取付基部42の底面42aから外周壁面42bの間に接着剤を塗布して接着層C3を形成し、その固定部材401と固定部材402とを、対向面部451と対向面部452とを所定の間隔Dと等しい間隔d2で対向させて、それぞれのネジ溝431、432で部材側ネジ溝44を形成する。その固定部材401および固定部材402を、部材側ネジ溝44の中心軸が撮像素子24の受光面24aにおける中心軸(撮影光軸O)と一致するように、撮像素子24が実装された撮像素子用基板21の取付面21a上に配置し、接着層C3を介して取付基部42の底面42aを撮像素子用基板21の取付面21aに、撮影光軸O方向で当接させる。このとき、両固定部材40は、取付基部42(421、422)の設定により、撮像素子用基板21の取付面21a上で、少なくとも撮像素子24の受光面24aの有効エリア(実効的な受光領域)に干渉しないように当該撮像素子24を取り囲んでいる。その接着層C3を硬化させることにより、両固定部材40を撮像素子用基板21(その取付面21a)に結合する。このとき、各固定部材40の取付基部42の底面42aと、撮像素子用基板21の取付面21aと、は、互いに面当接可能とすべく平坦面とされていることから接着層C3を極めて薄いものとすることができるので、接着層C3における硬化収縮量を極めて小さくすることができ、接着層C3における硬化収縮が各固定部材40と撮像素子用基板21との位置関係に与える影響を極めて小さなものとすることができる。また、この位置決め固定方法では、この時点において両者の撮影光軸O方向での位置関係に何らの制約がないことから、主に撮影光軸O方向に生じる接着層C3における硬化収縮が問題となることはない。このため、各固定部材40は、接着により撮像素子用基板21に結合されて、その取付面21a上で、撮影光軸Oを中心とする部材側ネジ溝44を形成する。このとき、実施例1では、撮像素子用基板21の筐体11への取り付け姿勢の設定に応じて、筐体11の上下左右方向と、撮像素子24で取得した画像における上下左右方向と、を一致させる。
その部材側ネジ溝44に、光学素子群32を保持する鏡筒31の外周面31aの鏡筒側ネジ溝33を螺合させて、鏡筒31を固定部材401の内周壁面411aと固定部材402の内周壁面412aとの間に挿入する。その状態において、撮影光軸O方向で見て、撮像素子24(その受光面24a)に対して光学素子群32が所定の位置関係となるように、撮像素子用基板21に対して鏡筒31を位置決めする。この位置決めでは、上述した間接接着工法を用いた位置決め方法と同様に、モニタ(図示せず)に映し出された画像(被写体像)が適切な状態となるように、両固定部材40に対して鏡筒31を撮影光軸O回りに回転させる(所謂ピント調整)。このピント調整は、作業者が画像を目視により確認しながら行うものであっても、画像解析により自動的に行うものであってもよい。このように、複数の固定部材40を用いることにより、光学素子群32に対する撮像素子24(その受光面24a)の撮影光軸Oでの位置の調整を簡易なものとしつつ、その光学的に位置決めされた状態で鏡筒31と撮像素子用基板21とを結合する(螺合による位置決め固定ともいう)ことができる。
なお、接着層C3は、撮像素子24(その受光面24a)を基準とする撮影光軸Oに対応させて部材側ネジ溝44を形成するように、各固定部材40を撮像素子用基板21の取付面21aに結合することができるものであれば、図7に符号C3で示した全範囲ではなくその一部のみに設けられるものであってもよく、図7に示す例に限定されるものではない。
実施例1では、図9に示すように、接着層C3Aは、各固定部材40の取付基部42の底面42aにおける中間位置(取付基部42の径方向で見た中間位置)に設けられている。このため、接着層C3Aを硬化させるために、撮像素子用基板21と、それに付着された各固定部材40と、の外方からの紫外線を回り込ませるように照射することは困難であるが、実施例1では、上述したように各固定部材40が紫外線の透過を許す樹脂材料で形成されていることから、各固定部材40の外方からの紫外線の照射により接着層C3Aを硬化させることができる。
このように、適宜選択された位置決め固定方法を用いて、鏡筒31(光学素子群32(その光軸))と撮像素子用基板21(撮像素子24(その受光面24a))とが位置決めされた状態の撮像ユニット12が、電装基板部13とともに筐体11に収容されることにより、撮像装置10が形成される(図1参照)。この撮像装置10では、全体に小さな構成であるにも拘らず所望の光学性能を有しかつ全方位に対して封止性能を有するものとすることができる。このことから、撮像装置10は、例えば、車載カメラとして好適である。
このように、本発明の撮像ユニット12(撮像装置10)では、鏡筒側ネジ溝33が設けられた鏡筒31に対応する各固定部材40を用いることにより、接着による位置決め固定方法(間接接着構造を形成する方法)と、螺合による位置決め固定方法(部材側ネジ溝44を形成する方法)と、を適宜選択して、鏡筒31を撮像素子用基板21に位置決め固定することができる。このため、各固定部材40を用いて接着による位置決め固定方法を採用(選択)することにより、鏡筒31の軸線(撮影光軸O)に対する撮像素子24(その受光面24a)の傾きと、鏡筒31に対するその軸線方向での撮像素子24(受光面24a)の位置(間隔)と、互いの軸線回りの回転姿勢と、を適切なものとすることができ、要求された高い調整精度に応えつつ鏡筒31を撮像素子用基板21に固定することができる。また、各固定部材40を用いて螺合による位置決め固定方法を採用(選択)することにより、そこに光学素子群32を保持する鏡筒31の外周面31aの鏡筒側ネジ溝33を螺合させるだけの簡易な作業で、鏡筒31に対する撮影光軸O方向での撮像素子24(受光面24a)の位置(間隔)を適切なものとしつつ鏡筒31を撮像素子用基板21に固定することができる。このことは、例えば、同一の仕様の撮像素子(24)を使える場合であっても、種類が異なるレンズを使用しなければならない場合があり、そのように異なる種類のレンズを使用する場合、それぞれの種類における結像条件(画角、焦点距離、射影方式、解像度、明るさ)の変更等に伴って、要求される調整精度が異なる場合あることから、特に有用である。このように種類が異なるレンズを使用しなければならない場合とは、例えば、撮像装置10を後方視認支援機構(所謂バックモニタ)の車載カメラに使用するには水平画角(見える範囲)が広いことが求められ、撮像装置10を前方方向の障害物検知用の車載カメラに使用する場合は狭い箇所を大きく見えることが求められることによる。
また、撮像ユニット12(撮像装置10)では、鏡筒側ネジ溝33が設けられた鏡筒31に、組を為して対応する複数の固定部材40を用いることにより、鏡筒31の撮像素子用基板21への位置決め固定方法の選択を可能とするものであることから、簡易な構成とすることができる。
さらに、撮像ユニット12(撮像装置10)では、組を為して対応する複数の固定部材40として、基準軸線に直交する基準平面上において所定の位置関係で当該基準軸線を取り囲むように配置されることにより、位置決め固定の対象となる(対応する)鏡筒31の鏡筒側ネジ溝33に螺合可能な部材側ネジ溝44を形成することが可能なものとするだけでよいので、互いに組を為す(位置決め固定のために一緒に用いられる)固定部材40を簡易な構成とすることができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、基本的に、鏡筒31の鏡筒側ネジ溝33と、複数の固定部材40が形成可能な部材側ネジ溝44と、が互いに螺合することを可能とするだけで、位置決め固定方法の選択を可能とすることができることから、その他の構成への制限を極めて少ないものとすることができるので、複数の固定部材40を種々の仕様に用いることができ、汎用性を高めることができる。これにより、種々の仕様の撮像ユニット12(撮像装置10)に対して多くの部品の共通化を図ることができるので、部品種類を削減することができ、組立現場(製造現場)における部品管理の負荷を軽減することができ、延いては環境負荷の軽減にも寄与することができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、接着による位置決め固定方法において、各固定部材40を用いた間接接着工法を採用していることから、簡易な構成で光学的に精密に設定された位置関係を維持したまま接着により鏡筒31と撮像素子用基板21とを互いに結合することができる。このため、より適切な光学性能を得ることができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、接着による位置決め固定方法において、固定部材401の内周壁面411a(ネジ溝431)と固定部材402の内周壁面412a(ネジ溝432)との間に、鏡筒31の鏡筒側ネジ溝33を取り囲むように調整空間46を形成することから、その軸線に対して鏡筒31の傾きを容易に調整することができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、撮像素子用基板21の取付面21a上において、中心軸が撮像素子24の受光面24aにおける中心軸(撮影光軸O)と一致するように、対向面部451と対向面部452とを所定の間隔Dで対向させるだけで、対応する鏡筒31の位置決め固定のための部材側ネジ溝44を形成することができるので、簡易な作業とすることができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、紫外線を透過する材料で各固定部材40を形成するとともに、紫外線硬化型の接着剤を用いていることから、鏡筒31と各固定部材40との接着面として、鏡筒31の外周面31a(鏡筒側ネジ溝33)と各周壁部41の内周壁面41a(ネジ溝43)とを利用することにより、広域な接着面積を確保することができるので、鏡筒31と各固定部材40とをより強固に固定することができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、紫外線を透過する材料で各固定部材40を形成するとともに、紫外線硬化型の接着剤を用いていることから、鏡筒31と各固定部材40とをより強固に固定する観点から適切な位置に、接着層C1A(C1)を形成することができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、紫外線を透過する材料で各固定部材40を形成するとともに、紫外線硬化型の接着剤を用いていることから、撮像素子用基板21と各固定部材40との接着面として、撮像素子用基板21の取付面21aと取付基部42の底面42aとを利用することにより、広域な接着面積を確保することができるので、撮像素子用基板21と各固定部材40とをより強固に固定することができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、紫外線を透過する材料で各固定部材40を形成するとともに、紫外線硬化型の接着剤を用いていることから、鏡筒31と各固定部材40とをより強固に固定する観点から適切な位置に、接着層C2A(C2)または接着層C3A(C3)を形成することができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、略同形状の2つの固定部材401、402を用いるものであることから、対向面部451と対向面部452との間隔を調整するだけで、間接接着構造を形成する際に調整空間46を形成したり、部材側ネジ溝44を形成したりするように、固定部材401と固定部材402とを撮像素子用基板21の取付面21a上に配置することができる。特に、上記した実施例1では、対向面部451と対向面部452とが対向方向に直交する平坦面とされていることから、撮像素子用基板21(取付面21a)上において、固定部材401と固定部材402とを、撮影光軸Oを中心としつつその撮影光軸Oと直交する方向で所望の間隔で対向させることをより容易なものとすることができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、接着による位置決め固定方法において、2つの固定部材40が撮影光軸Oに直交する方向で対向して配置されていることから、たとえ各固定部材40において接着層C1および接着層C2の硬化時の収縮に起因して鏡筒31に対して撮像素子用基板21を径方向へと移動させる力が作用したとしても、2つの固定部材40の配置関係により当該力を互いに相殺することができるので、間接接着工法の際に鏡筒31と撮像素子用基板21との位置関係が変化することをより確実に防止することができる。
撮像ユニット12(撮像装置10)では、鏡筒31と撮像素子用基板21とを架け渡す各固定部材40が、ネジ溝43が設けられているとともに、撮影光軸Oに直交する断面で見て円弧状を呈し、かつ撮影光軸Oを含む断面で見てL字状を呈していることから、鏡筒31と撮像素子用基板21とをより強固に結合することができる。
したがって、本発明の撮像ユニット12(撮像装置10)では、要求に応じてレンズ(光学素子群32)と撮像素子24との位置決め固定の方法を変更することができる。
なお、上記した実施例1では、螺合による位置決め固定方法において、紫外線硬化型の接着剤を用いて接着層C3(C3A)を形成していたが、撮影光軸Oを中心とする部材側ネジ溝44を形成した状態を維持したまま、各固定部材40の取付基部42を撮像素子用基板21の取付面21aに結合するための接着層(C3)を形成することができるものであれば、例えば、熱硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例2に係る撮像ユニット12B(撮像装置10B)について説明する。この実施例2は、撮像素子用基板21と鏡筒31とを結合する間接接着構造における接着層C1Bと接着層C2Bとが設けられる位置と、各固定部材40Bの材料とが、実施例1とは異なる例である。この実施例2の撮像ユニット12B(撮像装置10B)は、基本的な構成は上記した実施例1の撮像ユニット12(撮像装置10)と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図10は、実施例2に係る撮像ユニット12B(撮像装置10B)の構成を説明するための図6と同様の断面で示す模式的な説明図である。
実施例2に係る撮像ユニット12Bでは、図10に示すように、間接接着工法により間接接着構造を形成する際、光学的に位置決めされた状態において鏡筒31の外周面31a(鏡筒側ネジ溝33)と各固定部材40Bの内周壁面41a(ネジ溝43)とを付着させる接着層C1Bが、鏡筒31における拡径部の拡径外周面31bと、各固定部材40Bの周壁部41の上端壁面41cと、の双方に接するように肉盛りされた接着剤により形成されている。
また、撮像ユニット12Bでは、光学的に位置決めされた状態において撮像素子用基板21(取付面21a)と各固定部材40Bの取付基部42(底面42a)とを付着させる接着層C2Bが、各固定部材40Bの取付基部42における外周壁面42bと、撮像素子用基板21の取付面21aと、の双方に接するように肉盛りされた接着剤により形成されている。この実施例2では、これらの接着剤は、実施例1と同様に、紫外線硬化型のものを採用している。
さらに、各固定部材40Bは、接着層C1Bおよび接着層C2Bの硬化のために紫外線を透過させる必要がないことから、透過性能を考慮することのない材料で形成されている。実施例2では、各固定部材40Bは、線膨張率の低い金属材料から一体成形により、周壁部41(そのネジ溝43も含む)と取付基部42とが一体的に連続して形成されている。
実施例2に係る撮像ユニット12Bでは、接着(間接接着構造を形成すること)による位置決め固定方法は、以下のように行う。固定部材401Bおよび固定部材402Bを、対向面部451と対向面部452とを所定の間隔Dよりも大きな間隔d1で対向させて、撮像素子24が実装された撮像素子用基板21の取付面21a上に配置する。その固定部材401Bの内周壁面411aと固定部材402Bの内周壁面412aとの間に、光学素子群32を保持する鏡筒31を挿入する。
その状態において、実施例1と同様に、撮像素子24(その受光面24a)に対して光学素子群32(撮影光軸O)が所定の位置関係となるように、撮像素子用基板21に対して鏡筒31を位置決めするピント調整を行う。
ピント調整が完了すると、鏡筒31および撮像素子用基板21の固定保持を維持した状態、すなわち鏡筒31の光学素子群32(撮影光軸O)と撮像素子用基板21の撮像素子24(その受光面24a)との相対的な位置関係を維持した状態で、接着層C1Bおよび接着層C2Bを形成する。その後、鏡筒31と撮像素子用基板21との固定保持を維持しつつ、その鏡筒31と撮像素子用基板21とを接着層C1Bおよび接着層C2Bを介して架け渡すようにそれらに付着する各固定部材40Bを他には何にも保持されていない(何ら拘束しない)状態として、接着層C1Bおよび接着層C2Bに紫外線を照射して硬化させる。このとき、各固定部材40Bは、互いに光学的に位置決め固定された鏡筒31と撮像素子用基板21とに両接着層C1B、C2Bにより付着しかつ他には何ら拘束されていない状態とされていることから、接着層C1Bおよび接着層C2Bにおける硬化収縮の影響を、各固定部材40Bを変位させることで吸収することができるので、両接着層C1B、C2Bにおける硬化収縮が鏡筒31と撮像素子用基板21との位置関係に与える影響を極めて小さなものとすることができる。このため、接着層C1Bおよび接着層C2Bが硬化した後に、鏡筒31と撮像素子用基板21との双方の位置決め固定を解除しても、鏡筒31と撮像素子用基板21との位置関係には殆ど変化が生じない。これにより、鏡筒31と撮像素子用基板21とは、光学的に設定された位置関係を維持したまま、接着により各固定部材40Bを介して互いに結合される。
この実施例2の撮像ユニット12Bでは、螺合(部材側ネジ溝44を形成すること)による位置決め固定に関しては、図示は略すが接着層C2Bと同様に各固定部材40Bの取付基部42における外周壁面42bと、撮像素子用基板21の取付面21aと、の双方に接するように肉盛りされた接着剤により接着層(C3(図7参照))を形成して、各固定部材40Bを撮像素子用基板21に固定することを除くと、実施例1と同様である。
実施例2の撮像ユニット12B(撮像装置10B)では、基本的に実施例1の撮像ユニット12(撮像装置10)と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例2の撮像ユニット12B(撮像装置10B)では、鏡筒31と撮像素子用基板21とを架け渡す各固定部材40Bが線膨張率の低い金属材料で形成されていることから、その固定関係をより強固なものとすることができるとともに温度変化に伴う固定強度の変化および変位を抑制することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。
また、実施例2の撮像ユニット12B(撮像装置10B)では、接着層C1Bおよび接着層C2Bが外方に露出する構成とされているため、それらの硬化のために各固定部材40Bの材料の選定の際に透過性能を考慮する必要がなくなるので、より固定に適した材料で各固定部材40Bを形成することができる。
したがって、実施例2の撮像ユニット12B(撮像装置10B)では、要求に応じてレンズ(光学素子群32)と撮像素子24との位置決め固定の方法を変更することができる。
次に、本発明の実施例3に係る撮像ユニット12C(撮像装置10C)について説明する。この実施例3は、部材側ネジ溝44を形成した各固定部材40Cの撮像素子用基板21Cへの固定方法が、実施例1とは異なる例である。この実施例3の撮像ユニット12C(撮像装置10C)は、基本的な構成は上記した実施例1の撮像ユニット12(撮像装置10)と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図11は、実施例3に係る撮像ユニット12C(撮像装置10C)の構成を説明するための図7と同様の断面で示す模式的な説明図である。図12は、実施例3に係る撮像ユニット12C(撮像装置10C)における部材側ネジ溝44を形成した各固定部材40Cを介して鏡筒31と撮像素子用基板21Cとを結合した様子を説明するための図9と同様の断面で示す模式的な説明図である。
実施例3に係る撮像ユニット12Cでは、図11および図12に示すように、各固定部材40Cの取付基部42Cに複数の挿通孔42Cc(図示の例では、それぞれに1つ)が設けられている。この挿通孔42Ccは、後述する螺合部材47の挿通を許すものであり、実施例3では、取付基部42Cを厚さ方向(撮影光軸O方向)に貫通する貫通孔とされている。
撮像素子用基板21Cには、各固定部材40Cの各挿通孔42Ccに対応して、複数のネジ穴21Cbが設けられている。ここで、各挿通孔42Ccに対応するとは、部材側ネジ溝44を形成することによる位置決め固定方法では、各固定部材40が、撮像素子24の受光面24aを基準とする撮影光軸Oに対応させて部材側ネジ溝44を形成するように取付面21Ca上に設けられることから、その状態における各固定部材40の各挿通孔42Ccの設定位置にその延在方向で一致することを言う。この各ネジ穴21Cbは、後述する螺合部材47の螺合が可能とされている。
その螺合部材47は、外周面にネジ溝が設けられた螺合本体部47aと、そこよりも大きな径寸法の頭部47bと、からなるボルトである。螺合部材47では、螺合本体部47aが各固定部材40Cの各挿通孔42Ccに挿通可能でありかつ撮像素子用基板21Cの各ネジ穴21Cbに螺合可能とされ、頭部47bが各固定部材40Cの各挿通孔42Ccよりも大きな径寸法とされている。
実施例3に係る撮像ユニット12Cでは、螺合(部材側ネジ溝44を形成すること)による位置決め固定方法は、以下のように行う。固定部材401Cと固定部材402Cとを、対向面部451と対向面部452とを所定の間隔Dと等しい間隔d2で対向させて、それぞれのネジ溝431、432で部材側ネジ溝44を形成する。その固定部材401Cおよび固定部材402Cを、部材側ネジ溝44の中心軸が撮像素子24の受光面24aにおける中心軸(撮影光軸O)と一致するように、撮像素子24が実装された撮像素子用基板21Cの取付面21Ca上に配置し、取付基部42Cの底面42Caを撮像素子用基板21Cの取付面21Caにそれらの軸線方向(撮影光軸O方向)で当接させる。その各固定部材40Cの各挿通孔42Ccに螺合部材47(螺合本体部47a)を挿通し、当該螺合部材47(螺合本体部47a)を対応する撮像素子用基板21Cの各ネジ穴21Cbに螺合する。すると、螺合部材47では、頭部47bが取付基部42Cの各挿通孔42Ccの周縁部に係合することにより、各固定部材40Cと撮像素子用基板21Cとを締結することができる(図12参照)。このため、各固定部材40Cは、螺合締結により撮像素子用基板21Cに結合されて、その取付面21Ca上で、撮影光軸Oを中心とする部材側ネジ溝44を形成する(図12参照)。このとき、実施例1と同様に、撮像素子用基板21Cの筐体11への取り付け姿勢の設定に応じて、筐体11の上下左右方向と、撮像素子24で取得した画像における上下左右方向と、を一致させる。その後は、実施例1と同様であり、その部材側ネジ溝44に、光学素子群32を保持する鏡筒31の外周面31aの鏡筒側ネジ溝33を螺合させて、ピント調整を行いつつその光学的に位置決めされた状態で鏡筒31と撮像素子用基板21Cとを結合する。
この実施例3の撮像ユニット12Cでは、接着(間接接着構造を形成すること)による位置決め固定に関しては、実施例1と同様である。
実施例3の撮像ユニット12C(撮像装置10C)では、基本的に実施例1の撮像ユニット12(撮像装置10)と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例3の撮像ユニット12C(撮像装置10C)では、螺合による位置決め固定において、鏡筒31と各固定部材40Cとが鏡筒側ネジ溝33と部材側ネジ溝44との螺合により結合されるとともに、各固定部材40Cと撮像素子用基板21Cとが各挿通孔42Ccを経て各ネジ穴21Cbに螺合する螺合部材47による締結により結合されることから、その固定関係をより強固なものとすることができるとともに温度変化に伴う固定強度の変化を抑制することができ、安定して高品質の画像特性を得ることができる。
また、実施例3の撮像ユニット12C(撮像装置10C)では、接着剤の塗布および硬化という接着工程がないことから、生産性をより向上させることができる。
したがって、実施例3の撮像ユニット12C(撮像装置10C)では、要求に応じてレンズ(光学素子群32)と撮像素子24との位置決め固定の方法を変更することができる。
なお、上記した実施例3では、各固定部材40Cは、実施例1と同様に少なくとも紫外線を透過させる部材から形成されていたが、撮像素子用基板21Cへの結合において接着剤を用いないことから、接着層の硬化のために紫外線を透過させる必要がないので、透過性能を考慮することのない材料で形成してもよい。この場合、間接接着工法では、実施例2と同様に、肉盛りされた接着層C1Bおよび接着層C2Bを形成すればよい。
次に、本発明の実施例4に係る撮像ユニット12D(撮像装置10D)について説明する。この実施例4は、部材側ネジ溝44を形成した各固定部材40Dの撮像素子用基板21への固定方法が、実施例1とは異なる例である。この実施例4の撮像ユニット12D(撮像装置10D)は、基本的な構成は上記した実施例1の撮像ユニット12(撮像装置10)と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図13は、実施例4に係る撮像ユニット12D(撮像装置10D)の構成を説明するための図7と同様の断面で示す模式的な説明図である。図14は、実施例4に係る撮像ユニット12D(撮像装置10D)における部材側ネジ溝44を形成した各固定部材40Dを介して鏡筒31と撮像素子用基板21とを結合した様子を説明するための図9と同様の断面で示す模式的な説明図である。
実施例4に係る撮像ユニット12Dでは、図13および図14に示すように、各固定部材40Dの取付基部42Dに複数の挿通孔42Dd(図示の例では、それぞれに1つ)が設けられている。この挿通孔42Ddは、後述する接着層C3Dの形成のためのものであり、実施例4では、取付基部42Dを厚さ方向(光軸方向O)に貫通する貫通孔とされている。
また、各固定部材40Dは、透過性能を考慮することのない材料で形成されている。この各固定部材40Dは、実施例4では、線膨張率の低い金属材料から一体成形により、周壁部41(そのネジ溝43も含む)と取付基部42Dとが一体的に連続して形成されている。
実施例4に係る撮像ユニット12Dでは、螺合(部材側ネジ溝44を形成すること)による位置決め固定方法は、以下のように行う。固定部材401Dと固定部材402Dとを、対向面部451と対向面部452とを所定の間隔Dと等しい間隔d2で対向させて、それぞれのネジ溝431、432で部材側ネジ溝44を形成する。その固定部材401Dおよび固定部材402Dを、部材側ネジ溝44の中心軸が撮像素子24の受光面24aにおける中心軸(撮影光軸O)と一致するように、撮像素子24が実装された撮像素子用基板21の取付面21a上に配置し、取付基部42Dの底面42Daを撮像素子用基板21の取付面21aにそれらの軸線方向(撮影光軸O方向)で当接させる。その各固定部材40Dの各挿通孔42Ddから、撮像素子用基板21の取付面21a上に紫外線硬化型(紫外線硬化性)の接着剤を注入して接着層C3Dを形成する。このとき、接着層C3Dは、各挿通孔42Ddを介して被写体側(図14を正面視して上側)に露出していることから、その各挿通孔42Ddから紫外線を照射して接着層C3Dを硬化させる。すると、接着層C3Dは、底面42Daと撮像素子用基板21の取付面21aとを結合する。これは、接着層C3Dが、底面42Daと取付面21aとの間において、底面42Daにおける各挿通孔42Ddの周縁部へと浸入し、当該周縁部を取付面21aに結合すること、もしくは、対応する挿通孔42Ddの内周壁面に接着することにより、当該内周壁面を取付面21aに結合すること、が考えられる。このため、各固定部材40Dは、接着により撮像素子用基板21に結合されて、その取付面21a上で、撮影光軸Oを中心とする部材側ネジ溝44を形成する。このとき、実施例1と同様に、撮像素子用基板21の筐体11への取り付け姿勢の設定に応じて、筐体11の上下左右方向と、撮像素子24で取得した画像における上下左右方向と、を一致させる。その後は、実施例1と同様であり、その部材側ネジ溝44に、光学素子群32を保持する鏡筒31の外周面31aの鏡筒側ネジ溝33を螺合させて、ピント調整を行いつつその光学的に位置決めされた状態で鏡筒31と撮像素子用基板21とを結合する。
この実施例4の撮像ユニット12Dでは、接着(間接接着構造を形成すること)による位置決め固定に関しては、各固定部材40Dが透過性能を考慮することのない材料で形成されていることから、実施例2と同様に行うことができる。なお、実施例2では、各固定部材40Dと撮像素子用基板21との結合のための接着層C2B(図10参照)が、各固定部材40Dの取付基部42における外周壁面42bと、撮像素子用基板21の取付面21aと、の双方に接するように肉盛りされた接着剤により形成されていたが、各固定部材40Dでは各挿通孔42Ddが設けられていることから、接着層C3Dと同様の構成とすることもできる。
実施例4の撮像ユニット12D(撮像装置10D)では、基本的に実施例1の撮像ユニット12(撮像装置10)と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例4の撮像ユニット12D(撮像装置10D)では、鏡筒31と撮像素子用基板21とを架け渡す各固定部材40Dが線膨張率の低い金属材料で形成されていることから、その固定関係をより強固なものとすることができるとともに温度変化に伴う固定強度の変化および変形を抑制することができるので、安定して高品質の画像特性を得ることができる。
また、実施例4の撮像ユニット12D(撮像装置10D)では、接着層C3Dが各挿通孔42Ddを介して外方に露出する構成とされているため、それらの硬化のために各固定部材40Dの材料の選定の際に透過性能を考慮する必要がなくなるので、より固定に適した材料で各固定部材40Dを形成することができる。
したがって、実施例4の撮像ユニット12D(撮像装置10D)では、要求に応じてレンズ(光学素子群32)と撮像素子24との位置決め固定の方法を変更することができる。
なお、上記した実施例4では、挿通孔42Ddは、撮影光軸O方向に延在する貫通孔とされていたが、接着層C3Dを形成すべく撮像素子用基板21の取付面21a上に接着剤を注入することと、その接着剤を硬化させるために紫外線を照射することと、を可能とするものであればよく、実施例3の構成に限定されるものではない。
また、上記した実施例4では、螺合による位置決め固定方法において、紫外線硬化型の接着剤を用いて接着層C3を形成していたが、各固定部材40Dの取付基部42Dの挿通孔42Ddを利用して各固定部材40Dと撮像素子用基板21とを結合するための接着層(C3D)を形成してそれを硬化させることができるものであれば、例えば、熱硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した実施例4に限定されるものではない。
なお、上記した各実施例では、本発明に係る撮像ユニットの一例としての撮像ユニット(12、12B、12Cおよび12D)について説明したが、少なくとも1つ以上の光学素子を保持する鏡筒と、前記光学素子により結像された被写体像の取得のための撮像素子と、該撮像素子が設けられた基板と、前記鏡筒の中心軸線を中心とする単一の円周面を形成可能な内周壁面を有する複数の固定部材と、を備え、該各固定部材の前記内周壁面には、該内周壁面を前記円周面上に位置させると、前記鏡筒の外周面に設けられた鏡筒側ネジ溝に螺合可能な環状の部材側ネジ溝を形成する部材側ネジ溝部分が設けられ、前記鏡筒と前記基板とは、前記鏡筒を取り囲むように設けられた前記各固定部材により結合されていることを特徴とする撮像ユニットであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、各固定部材(40等)の他端となる取付基部(42等)が、撮像素子24が実装された撮像素子用基板(21等)の取付面(21a)に結合されていたが、撮像素子24の受光面24aにおける有効エリア(実効的な受光領域)以外の領域に結合するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。この場合、各実施例の構成に比較して、鏡筒31(光学素子群32)や撮像素子用基板21に対して大きなサイズの撮像素子(24)を用いることができるので、より綺麗な画像を得ることができる。換言すると、各実施例の構成に比較して、撮像素子(24)に対して鏡筒31(光学素子群32)や撮像素子用基板21等を小さな大きさ寸法とすることができるので、撮像装置(10等)の小型化に大きく寄与することができる。
さらに、上記した各実施例では、間接接着工法における接着層(C1等)および接着層(C2等)の形成のために紫外線硬化型の接着剤を用いていたが、間接接着工法による位置関係の維持を可能とするものであれば、例えば、他の波長帯域の光により硬化する光硬化型の接着剤(樹脂材料)や熱硬化型の接着剤や他の硬化型の接着剤を用いて形成してもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。この場合、各固定部材40を紫外線の透過を許す材料で形成する必要はない。
上記した各実施例では、2つの略同形状の固定部材(401および402等)が用いられていたが、基準軸線に直交する基準平面上において所定の位置関係で当該基準軸線を取り囲むように配置されることにより、位置決め固定の対象となる(対応する)鏡筒31の鏡筒側ネジ溝33に螺合可能な部材側ネジ溝44を形成することが可能とされて互いに組を為すものであれば、例えば、周方向で見て3つ以上に分割された形状であってもよく、互いの大きさ寸法および形状が異なるものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、各固定部材40が、周壁部41と取付基部42とを有して断面L字状とされていたが、撮像素子用基板(21等)に設けられた撮像素子24の受光面24aを基準とする撮影光軸Oに対応させて部材側ネジ溝44を形成した状態でその撮像素子用基板(21等)の取付面(21a)に他端を固定可能な構成であれば、例えば、断面が矩形状や三角形状を呈するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
以上、本発明の撮像ユニット(撮像装置)を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。